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サイレントリー

2011.11.15
 イレッサ騒動に伴いがん治療薬について補足というか説明を。(遺族の逆転敗訴に関しては16日に。)まずは1番問題になっている副作用について頭髪が抜け落ち、強烈な吐き気が起こり、手足症候群、肺線維症(日本では医者が何も考えずに薬を与え続けるので肺線維までいっちゃいます。)が起こります。これはどのがん治療薬を使ってもほぼ必発の症状であり、がん治療患者はマトモに物を食べることもできなくなるのでガリガリ痩せこけて死んでいくそうです。

 具体的に言うと口の中の粘膜が剥がれ落ち風邪で喉を痛めた際に物を飲み込む時の数段上の痛みが発生します。患者さん曰く「ご飯に一つかみ砂を入れて混ぜた後のような触感。」(当然味覚もやられ、味も感じない。)だそうで痛めた喉では到底食べられず、お味噌汁に入れて猫まんまにしてなんとか食べるしかないそうです。何故食べるのかというとそうでもして食べなければ死んでしまうからです。

 この「皮膚が剥がれ落ちる」症状は手足にも現れます。血が出るほど皮がボロボロはがれるので癌の患者さんはバンドエイド代わりに白い手袋をしていることが多いそうです。これが手足症候群です。(頭髪抜け落ちもそうだが基本的に皮膚が弱くなるらしい。これが肺に現れると間質性肺炎→肺線維症になる。)

 そこまでの副作用に耐えながら治療薬を飲み続けて一体どのくらい延命が可能なのか、というと長く生きた場合でも2カ月に過ぎず、まさに癌で死ぬか副作用で死ぬかのイタチごっこ状態なんだそうです。(そして日本の場合、副作用死の肺線維症でむしろ寿命より早く死んでしまう事が多い。)今回問題になったイレッサにしても投薬1年後の生存率が他の薬と比べて10%高いだけ(10人に1人だけかい!)でその2ヶ月後には生存者が60%→50%に落ち込み(他の薬投薬1年後と並んじゃったじゃないですか…。)30ヶ月後には全員死亡している(とうとう副作用に耐えられなくなったらしい。)というデータが出ているので効果に関しても「…?」という所です。結論として癌の特効薬というのは未だ地球上に存在しないというのが現実のようです。

 個人的には同じ長さなら苦しみながら寿命を終えるよりも最後まで美味しいもの食べて、病院に閉じ込められてるんじゃなくて色んな所に出かけて、短くても楽しい思い出作れた方が幸せだなあと思ってしまう私です。(しかも肺線維症(呼吸障害死)って1番苦しい死に方じゃないですか…。)どんなことになっても延命に縋る方を選ぶか、天命と思って充実した思い出を作る方を選ぶか、ここはもう個人の考え方ですよね。



 本について、登場する女性に対してツッコミどころ満載(読んでて面白い位男の願望が具現化しているというか同じ女として「この人ちょっとズレてるなあ~。」と感じる女性ばかりなのです。現実にはこんな人達はあまりいないというか少数派に入るでしょうね。)な短編集です。解説を書いている田口ランディ先生のお言葉にいちいち最もだとうなずいてしまいました。(さすが女性。女の性をよく分かった上での的確なツッコミをしてくれています。)テーマは家族小説であり「別れが辛いからと言って人を愛する行為を放棄するつもりはない。執着が強いほど悲しみは増すが、その分生の喜びや手ごたえは大きくなるはずだ。」という「再生」を描いているのは分かるのですが、キャラ的に個性的な考えの人が多くてどうにもツッコミが絶えなかった本です。

 目覚めれば目の前は海…転げ落ちて歯を折って口から血を流している女(物凄く怖いんですけど。)に対して果たして恋が出来るものなのでしょうか?ワインを拾っただけで天啓を感じたことといいこの主人公は物凄くドリーミンな性格なんでしょうね。そして転び方についても「1段目から踏み外し前転の要領で転がるいかにも怪我をしそうにない安心感ある転び方」とありましたが横転ならまだしも前転は危ないだろ!(初登場時に歯を折ったのを忘れたんですか!?)と主人公の特殊な感じ方についてもツッコミを入れてしまいました…ゲフッ!(弟曰く「ちゃんと前回り受け身を取っているんだよ。」との事ですがそれでもワンフロア分転げ落ちるのは危ないと思う…。)この話に限って言えば女じゃなくて男の感覚が一般人とは物凄~くズレてるなあと思えてなりません。「分かるだろ?」と語りかけられても…分かんないですよ、そんな感覚は…ゴフッ!

 大山…全国に教え子がいるので日本中を旅しているという嘘つき老女は一体何者だったのでしょうか?(借金取りにでも追われて全国を逃げ回っているとしたらまさしく主人公のその後を暗示しています…ゴフッ!)ともあれその後に出会った妻・真奈美が夫の浪費癖にも浮気にも何も言わないできた女房で(夫の失敗で)離婚させられる羽目になっても一途に主人公を慕い続けるというまさしく男の願望そのままの都合の良すぎる女ぶりにちょっとは怒れよ!とツッコミを入れてしまいました。(自分の都合で離婚しておきながら、というより奥さんの忠告を完全に無視した結果の自滅なのに生活が立て直るまで待っていてくれなんて勝手すぎませんか?待つにしても4年は長すぎです。)今時の女だったら復縁はあり得ないな、と冷静に読んでいた記憶があります…ガフッ!

 結婚指輪…「経済力の有無が幸福の度合いを決める決定打にはならない。」私の友人に大手企業のエリートと結婚したものの、性格が合わずに離婚した女性がいますし、私の親も裕福な暮らしをしながらもケンカが絶えず最後には離婚に至りましたし(裁判沙汰になり、おかげで今は極貧です。)中々的をを得ている言葉だと思ってしまいました。結婚って相手の給料などの「条件」でするものではなく、本当は性格で決めるものですよね。
 話について、仕事に出ようとするのを邪魔されたから離婚を仄めかされているのではなく自身の性格がうとまれていることにこの夫は最後まで気づいていません。(そもそも仕事するかしないかなんて話し合いで解決できる問題で離婚の原因になり得ないしね。)そうじゃなくて細かいことまでグチグチこだわる几帳面すぎる性格や、好きでもない仕事を金の為だけで続けている(生活の為には仕方ないんですが、本当は仕事というのは金じゃなくて自身の情熱の為にするものなんです…よね。)俗物的思考が嫌がられているんですよと教えてあげたくなりました。子供に関してもぐずっている時「自分の思い通りにならなくて母親がいないのを呪いたくなる。」とありましたがそんなの母親だって同じです(母親相手でもぐずる時はぐずるし、母だってそんな状況に理不尽を感じるんです。)と、この人、人の気持ちが分からないんだ(もっともこういう男はよくいるが。)と2人が上手くいかない理由は分かる気がしました。もっと自分を分かってくれれば妻に対して歩み寄れそうだと夫は期待を持っていますが、奥様の方は多分彼の性格をすごくよく分かった上で嫌っているので修復はそんな簡単に行かないだろうなあ、と話の後が心配になってしまいました…ゲフッ!

 枝の折れた小さな樹…死者が何故死んだのかを問い続ける限り、残された物は今を生きれない。死者がどう生きたのかを思い出すことが鎮魂であり家族の再生に繋がる…と解説にありましたがそれを考えるとCGを使って亡き妹の人生を再生させた兄の手法は的を得ていたと言えるでしょうね。(精神崩壊のラインを越えてしまった母親や、そんな妻に対して何もできないまま悲しみに沈んでいた父親よりもこの長男の方がたくましく現実を受け入れて悲しみを乗り越えている。本来慰めるのは親の役目なのに立場が逆転しているとも言いますが…ゴフッ!)「サイコドクター」よりトラウマを克服するためには追体験が必要とあったのでその意味でもいい手段だと思います。「短かったけど生まれてきて良かった。」という言葉はそのまま妹の声なのではないでしょうか?お兄ちゃんの情愛がよく見えてこの本の中では1番好きな話です。

 人生相談…「息子は兄弟を欲しがっている。」とありましたがそれと同時にスキャンダルまで受け入れる覚悟があるのかはまた別の話だろ!と序盤からツッコミを入れてしまいました。ヒロインの恵子は社会的・金銭的にも自立しているようですが解説にもあった通りおそらくロクな母親にならないでしょうね。(現時点でさえ子供を他人に預けて妻子持ちの男と不倫している辺り母親失格な気がする。)むしろヒロインより妊娠中のデカ腹でそれとなく脅しをかける妻・理絵子の方によっぽどシンパシーを感じました。同じ状況に陥った場合10人の妻が10人共同じことをするでしょうね。
 さて、この話に出てくるヒロインの不倫相手・深沢英二ですが「ソフトでナイーブなオーラで相手を和ませ、自分が尽くす気はないがおいしいところだけは持って行こうという根性だけは1人前。」というような描写にこれこそまさしく癒し系の人間だとヒロインが中々手を切れない理由は分かる気がしました。(優柔不断と言えば聞こえはいいですが要するに潔さが無いせいでズルズル引きずってしまうはめになってしまうのです。)負担が大きいのは自分の方で傍から見ても自分でもしょうもない人間だということは分かっているのにそれでも顔を合わせると憎めないそこが癒し系の恐ろしい所です。でもね、この人達悪気(だけ)はないんです。ちゃっかり人からして貰う程度の感覚でいるだけで本当に人の気持ちに気づけない人達なのでそれで相手に負担をかけているという自覚が無いんですよね。最もこの話にもある通り深沢の場合は愛人・恵子には振られ妻の理絵子にしたってこのまま何もわだかまりなく生活することは不可能でしょうし世の中癒し系だからと言って何もかも許されるほど甘くはありません。人の真心に気持ちを返せない人間は最後には誰も手を差し伸べてくれなくなるという現実が待っているという話です。

 一輪車…学校まで送ってくれた父親に対して「上履き忘れたから。」と欲しいCDだけ手に入れて舌を出している娘の小狡さが嫌いでした。そもそも小中学生というものはその手の話が大好きで(「ちびまるこちゃん」の話の中でもうっかり男子(はまじ)に旅行のお土産を渡してしまったが最後、翌日にはまるこ×はまじの噂で教室が持ち切りになってしまったというリアルな話があります。)ちょっとしたことだけでも関連づけて大騒ぎするものなのですから「経験者」の噂に関してはそもそも公園という公衆の面前で男と抱き合う形をとってしまっていた事自体がうかつだとしか言いようがない…ある意味娘の自業自得だと思えてしまうのは私だけでしょうか?父親の事を「わざと努力した痕跡を見せて、君の為にこんなに一生懸命なんだと恩着せがましくアピールするタイプ」で片づけていますが現実から逃げて登校拒否をしているお前だけには言う資格ないだろうよ、とツッコミを入れてしまいました…ガフッ!

 サイレントリー…医療ミスで子供を残して妻を亡くした塾講師、作文をきっかけに自分の誕生を祝った写真を手に取りその風景を見に行った生徒…作文を書いているため互いに交わしている言葉は少ないのに2人の回想シーンが鮮やかに胸に迫って来て読後にさわやかな余韻が残る話です。たとえ無言のままでも笑顔を向ければ思いは伝わる(タイトルの由来はこの辺から来ているのでしょう。)という最後の文章になるほどとうなずいてしまいました。この短編集の中でも家族の情愛が色濃く描かれていて身近な人の死を経験した人達ばかりなのに何故か心があったかくなる思いがしました。サラッと書かれている話ですが私はこの話が結構好きです。
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エス

2011.01.15
 もし、山村貞子の子供が存在するのなら、それは誰の子で今何をしている?(「リング」より)という一文から派生したのかリング本編終了後から20年近くの長~い時を経て久しぶりの「番外編」の刊行です。が、今でこそ映画化もされて超有名になった「リング」は刊行当時あまり売れず(厳しいこと言ってしまえば「たかがホラー小説」以外の何物でもなかったので注目する人間がいなかったのだろう。)賞を取った後に発表した「光刺す海」も今一つ(1年かけて書いたのに入ってきた印税は数十万。これじゃやっていけねえなと思ったそうです。)そんな時期に3年かけて書いた続編「らせん」が「パラサイトイブ」大ヒットの影響もあってか一週間で数万部単位の増刷がかかるほどバンと売れ(鈴木先生はとっさに手に入る印税を頭の中で計算してしまったそうです。)これを機に貧乏生活から脱出したという感慨深いこのシリーズ、久しぶりの「続編」にオールドファンも感無量だろうなあ(まあ、私もその1人で思わず映画版・小説版を見返してしまったものだが。)とせっかくの機会なので合わせて語っていく事にします。

 丸山茜…「孝くん、1人で悩まないで。私だってあなたを助ける事が出来る。信じて。私にはその『力』がある。」

その言葉通りに孝くんの不眠症の原因だった新村裕之(妻・茜をつけ狙っていたストーカー男)を持ち前の超能力で排除していた彼女。(そんな「力」を始めから持っているのなら正体不明の男に尾行された位であそこまで脅える必要は無い気がするが…。)結局彼女は貞子コピーではなかったものの貞子の娘として尋常ならざる力は立派に受け継いでいる様子で(貞子の母親の志津子も超能力者だったし、この力はおそらく代々遺伝するのだろう…。)こうなると本来おめでたいはずの妊娠(出来ちゃった婚)も複雑な様相を呈してくるな(貞子が滅んでも、その力は脈々と受け継がれているって…別の意味で怖い。)と種を撒いたご本人とは言えとんでもない女を妻に迎えてしまった安藤孝則に同情もしてしまいました。新村裕之が何者かに操られるかのように電車に飛び込んだその時間帯に茜が何故か誰にも邪魔されないように携帯の電源を切っていた(偶然と片付けるにはタイミングが良過ぎる不審な展開)から真相を薄々感づきながらも「世の中には知らずに済むのであれば知らぬままでおいた方が良いこともある。」(それは「知らなかった」のではなく「見て見ぬふりをした」と言うのだと思うが…。)と全てに目を瞑った孝くん。思えば水難事故で一度「死んだ」孝くんが復活して今ここにいるのもその「力」のおかげですし自分には何も言う資格は無いと悟ったんでしょうね…ゲフッ!

 安藤孝則…竜司「俺とお前は同じ過去を持つ。共に貞子の子宮から生まれた。お前の父親はからくりを知った時にお前自身が余計な疚しさを抱く事を心配してそいつを必死で隠そうとした。世の中には知らずに済むのであれば知らぬままでおいた方が良い事がある。」

現実問題、交通事故など「予期せぬ事故」で子供を亡くす親はごまんといるのに安藤家だけが亡くした子供を取り戻す事が出来たのは狡い話で、しかも人類を売る代償と引き換えだった交換条件(読んだ人間を一週間で殺す魔の本「リング」を世に解き放つのを黙認した)を考えるとそんな出生譚は確かに知りたくもないな(知った息子は当然の展開として物凄く悩む事だろう)と竜司の言葉に頷いたものでした。つまり彼が年齢よりも若く見られるのは復活するまでに2年間のブランクがある(肉体が戸籍上の年齢よりも若い)おかげで「1度死んでいた事実」を予期せずして知ってしまう(予告無しで戸籍謄本を見てしまう。)為にも「出来ちゃった婚」となる必要性があったのだろうなあ(しかし両親に反対される心配が無いと予測がついても避妊位しろよ、お前ら!)と伏線の上手さに唸らされた展開でした。結果として桃太郎よろしく老夫婦に拾われて育てられたという出来の悪い父親の嘘は全て崩されてしまった訳ですが、孝則復活の前に父自身が貞子と関係を結んでいた事など家庭崩壊につながりかねない「らせん」での秘め事は表沙汰にならず、その後、妻との間に妹という第2子まで作った安藤満男のリア充生活(奥さんとそこまで上手くやり直せて本当に良かったですね)も伺え、もしかしてシリーズ中一番幸せになったのはこの父親ではないのかと別の面でも注目してしまった、そんな後日譚でした…。

 丸山真砂子(山村貞子)…竜司「彼女は子供を産みたかったのだ。だが産める身体ではなかった。そこで悪魔と契約を結んで…沢山の子供を…」(「リング」より)

「リング」の続編「らせん」では沢山の山村貞子を世に生み出し、あまつさえ高山竜二や安藤孝則までその特異な子宮で産み落とした彼女でしたが、それはどれもこれも「他の人間のコピー」であって「彼女の子供」ではないというジレンマを彼女は感じていたのかどうか、この本では子供(茜)を一人残したという結末に到っています。「らせん」において復活を果たしたものの両性具有(睾丸性女性化症候群)がパワーアップ(!)して子供を産める機能が備わっても男としても女としても生きられずに死ぬ死に様は変わらないままだったのは、まあ哀れとは言えるので、貞子の幸せを考えると肉体は滅んでも娘と一緒に年を取りながら過ごしている現在の生霊状態は幸せな部類とは言えるのでしょうね。そして子供を作るお相手として、元恋人(復活時の25年後は立派に妻子持ち)で短編集にて早々に死んでしまった(下半身はまだまだ現役だったが子供を作る間もありゃしなかった)遠山さんを除外すれば、こんな怖い女相手でもその気になれそうなのは確かに竜司位のものかもしれないと納得はしたものでした。半世紀(25年)前の念の力で人まで殺せる超能力を持っていた貞子なら年に一度の割合とはいえ娘だけに見える幻覚として姿を現せることができるのにも何の不思議は無いと序盤の「母の謎」についても合点も行ったものです。とはいえ「リング」で一番感情移入できたのは主人公の浅川であり彼と彼の家族を破滅に追いやった張本人の貞子だけが子供を残してのうのうと天寿を全うした展開は個人的には微妙な物を感じる私ではあるのですが…ゲフッ!

 柏木誠ニ(高山竜司)…「茜は真砂子(貞子)と俺との間の確かな行為の結果として生まれた。愛情が介在した事をどうか信じてほしい。」

高山竜司=二見馨(「ループ」の設定)で考えていた私にとっては「現実世界」で杉浦礼子との間に1子をもうけておきながらてめえ、浮気してたのかよ(それもよりによって貞子と!)と思わず憤りを感じてしまった展開でしたが、冷静に考えてみれば前世にも等しい「現実世界」のその目で見ることもできない妻子の為に「人生」を童貞のままで終わらせるのも男として哀れな話ではある(「処女のまま死にたくないって気持ちはそんなにバカげてるのかよ。俺だったら、もし俺だったらやはりそう思うぜ。童貞のまま死ぬのは嫌だってな。」と「リング」でも言ってたしね…。)と矛を収めるに到ったものでした。娘を作っても子供と暮らす事よりも次元を超える旅に出る方を選んでいる彼。肉体が無実の罪で死刑に到った以上彼が存在し続けるにはもうそれしか手が無い(貞子という復活のツールが無くなった以上ループ界でも死ぬしかない)のは分かりますが自分の子孫を残せてから死ねて娘(茜)との誤解も解けて、少なくとも誰に看取られる事も振り返られる事も無いまま死んだ死に様は「バースデイ」と同じ(「最後に自分の顔を思い浮かべながら死んだ」事で礼子は感動していたが感動したのは礼子1人だけでその時彼の周りにいた人間は誰も注目していない点は痛かったな…。)でも多分色々と納得して「次の世界」に旅立てた幸せな死に様・生き様だったのではないかなと彼の為に納得することにしました。孫の顔までは見れなかったものの娘も結婚して落ち着いているし幸福な最期ではあったのでしょうね。

ループ

2011.01.13
 まさか「リング」→「らせん」の今までの流れが全てコンピューター内の仮想空間の出来事だったなんて…と「ループ」の設定(貞子も竜司も浅川も、登場人物全員が機械で作られた世界の上に存在する人工生命に過ぎなかった。)自体にちょっとガッカリしたものでしたが、前2作を書き終わった時ですらこの続編ストーリーが全く頭になかったのに関連させながら新しくここまでの話を書ける事は驚嘆に値すると評価はできたものでした。謎解き(馨=竜司)自体はオチが見えていたもののホラー要素に頼らず貞子ワールドと化した「らせん」のラストを見事に収集させた手腕は見事と完結編に拍手したものです。

 二見馨(高山竜司)…「安藤、安心しろ。世界はお前の考えているようにはならない。お前が考えている滅亡の図は一度その通りに進んだ。しかし今度は違う。何故ならそのためにこそ俺が帰ってきたのだ。」

事件のカギを握る「高山竜司」は実は僕でした(進んだ科学技術をもってしてDNA情報を元に赤ん坊から再生されたクローン人間でした。)というオチは途中から読めていたものの、彼を「この世」に招いた為に貞子ウイルス(リングウイルス)の変異である転移性ヒトガンウイルスを研究者を中心に世界中にばら撒いてしまい(悪い事にループ・プロジェクトの為に世界中から研究者を集めており、ガン化(プロジェクトの凍結)と共に研究者達は故国に帰っていた。ウイルスと共に。)世界の危機を招いてしまった創始者エリオットのうっかりな顛末、治療法を得る為に馨の肉体情報が必要だけどニューキャップで調べたが最後、液状に溶けて死んでしまうというお約束オチ(人類の為に死んでくれ!)には微妙に思えてしまった顛末でした…ゲフッ!という訳で貞子ワールド化寸前の時間帯から「やり直す」為に善玉に生まれ変わって古巣(ループ界)に戻ってきた高山くん。おかげでわずか20年という短さで「現実世界」では死ぬことになったのですが20歳という若さで早くもパパになったって凄い生涯だな(その若さで妊娠した恋人に「俺、まだ学生でアルバイト生活している極貧男だから堕ろしてほしい。」ではなくためらいも無く「産んでほしい」と言える男はなかなかいない。そこまで愛しているのか、あるいは現実が見えてないのか…取りあえず前者と解釈しておきましょう。)と子孫を残す事にはちゃっかり成功している彼のリア充人生には拍手してしまったものでした。(普通は…晩婚化が進んだこの時代に子孫なんか残してないぞ、20歳という若さでは。)

 杉浦亮二…「僕、いなくなるから、後はちゃっかりやってよ。」

時間にして10分足らずの出来事でも検査前にはきちんと服を着ていた母親の背中のファスナーが下がっている、部屋が何か臭いなど状況の違いから同じ男の彼には一瞬で何があったのか分かったのでしょうね。(また10分足らずでそんな事ができるからこそ今までだって数分の隙を見つけてはヤッていたのではないかと誤解も生まれそうな気がする…ゲフッ!)元々「ほら、寝てるママに触りたいだろ。いいよ、僕が許可するから。チャンスをあげるから。」と挑発していたご本人ではあったものの実際に母親に触れる事を選んだ馨を見て「やっぱりアンタは僕じゃなくてママの方が目当てなんだね。」(親しげに接してくれてるけど僕は所詮ママに近づく為の口実に過ぎないんだ。)と白ける気持ちは有ったでしょうし、母親の方まで馨の恋人になってしまったことで(息子の自分よりも恋人である馨の方に夢中で神聖な病院で検査の時間を狙ってまでセックスしていた…と、取られてしまっても仕方ないし、実際に行った行動はその通りである。)自分は誰からも2の次の存在(むしろ存在しない方が良い邪魔者)になってしまったと思わず死にたくなる気持ちは少し分かる気がします。(長い闘病生活で友達が一人もおらず嫌味を言いながらも母親だけが彼の全てだったという事実も気持ちに拍車をかけた事だろう。)先立つ不孝(自殺)は確かにこれ以上ない親不幸な行動だけれど引導を渡している(原因を作っていた)のが親である以上彼一人を責めるのは難しいなと感じてしまった最期でした…。

 杉浦礼子…礼子「(↑のおかげで子供が)できたらしいのよ。」
馨「産んでほしい。」
礼子「息子が自殺した直後に、ウイルスのキャリアの私に向かって、よくも安易な言葉を吐いてくれたわね!」

病院でそんな事をした挙句に避妊までしなかったのか、お前ら…とどこまでツッコミを入れれば済むのか手に負えない展開の連発には衝撃を通り越して度肝を抜かれてしまいました…ゲフッ!彼女は被害者顔しているけれども一人じゃ子供は作れない(自身がウイルスのキャリアだと承知の上で馨本人に感染する危険性も忘れて合意の上でセックスした←馨に流された側面はあるもののあれはレイプではない)事実を考えると礼子は立派な共犯者(加害者)であり自己憐憫に浸る資格などないのではないかと多少冷めた目でも見てしまったものです。(本当に可哀想なのは情事に溺れた母親の姿に自殺するほど絶望した息子の方だろう。)そして「あなたは行くのよ、ウイルス治療法の鍵があるであろう、その土地に。」と問題解決を馨に丸投げにしているのも微妙で(他力本願かい…。)年を取っても美しさをキープしているのは大したものだが(これで美人ですらなかったら、ただでさえ病気の父親と精神不安定な母親を抱えて苦労しているのに同じ病気のコブつきの女性を選んでしまった馨はどこまでも報われない)性格はあまり良い女ではないなとガッカリしたものでした。(そもそもそれなりに大きくなった子供がいるのに20歳の男と情事に走っているって母親としてどうかと…ゴフッ!)馨の(子孫を残す)為には必要な(尻の軽い)存在ではあったのは分かるんですけどね…ガフッ!

 二見秀幸…「大切なのは遺伝子を受け継ぐことではない。親と子は接することにより絆を深めていくものだ。この20年間の俺とお前の関係を振り返ってごらん。お前は確かに俺の息子だ。」

この世界は仮想空間であるという真理に気づいた(でもって神の領域に電話までかけてきた)高山竜司の天晴な直観力に応じて彼の望み通り「こちらの世界」で生かしてあげようじゃないか…というエリオットの思い付き(!)によってDNA情報を元に再生された後、さあどこでこの赤ん坊を育てさせるかという時になって同じ「日本人」の親であれば周りにも気づかれないだろうとお鉢が回ってきたのが彼の所だったという事らしいです。(で、引き取ってしまった二見夫妻は12年後2人揃ってウイルスに感染して苦しむ羽目になったと…ゲフッ!)血が繋がっていなくても親子は親子、そう心から言いきれる関係は素敵ですがその関係こそが馨を苦しめる一因になっている(自分の肉体を調査(消滅)させない限り義父も義母も助からない)とは皮肉な展開でした。(ついでに馨の(内縁の)妻・礼子も妻との間に作った子供も立派なキャリアなので一緒くたに助からない。)続編短編「バースデイ」では取りあえず礼子の出産まで生きていた彼(どうやら治療法の発見は間に合ったらしいが胃の3分の2、肛門全部とS状結腸、肝臓の半分、と度重なる手術で切り取りまくった臓器は戻らない…ゴフッ!)ですが、それはそれとしていつまで経っても帰ってこない行方不明状態の息子の事を妻にどう説明しているのか色々気になってしまった終わり方でした…ガフッ!

リング

2011.01.11
 ボクシング物ではなくホラー物である映画「ザ・リング」の原作小説です。解説を書いている人でさえ「今までのホラーは映画においても実際にはスプラッターやサスペンスであり『怖い』と思った事はない。作り手が怖がらせようとしているのは分かるが僕が3日酒を絶った時に見た悪夢の足元にも及ばなかった。けれどこの物語を読み終わった時には1人でいることが無性に怖く新宿までタクシーを飛ばして仲間がたむろする飲み屋へ駆けつけてしまった。」ほどに怖い話なのですが物語の骨子は「見ると一週間後に死ぬ恐怖のビデオテープの謎を解く」という非常にありふれた展開(不幸の手紙等々、この手の物はザラにある。)だったこともあり作品紹介だけを読んで棚に戻した人も多く物凄い傑作なのに刊行当時はほとんど注目されなかったそうです。(鈴木先生も横溝正史賞でなく日本ホラー小説大賞の方に応募すれば良かったのに、この小説。)このシリーズ1作目が真の評価を得るのは3年後、続編「らせん」の大ヒットを待ってからの話でした。

 浅川和行…「俺は家族を守るために人類を滅ぼすかもしれない疫病を世界に解き放とうとしている。…後悔なんてしない。俺の家族が防波堤になる義理などどこにも無い。」

自分は無意識のうちに「オマジナイ」(ダビング)を実行していた為に助かり、竜司は死亡、残る「ビデオを見た人間」はエロビデオかと思ってうっかり見てしまった浅川の妻子だけ(「夜中に男2人でビデオをつけたり消したり…どんなビデオなのか何となく想像がつくわ。」「何でそういう想像がついたビデオを1歳にならない年齢とはいえ子供と一緒に見るんだよ、お前!」と主人公が結婚して初めて妻を殴りたい衝動に駆られた心理が分かります…ゲフッ!)であり、この2人が何もせずに死ねば新たな犠牲者(ビデオを見てしまいオマジナイを実行せざるを得ない人間)はこの先一人も出ることがなく騒ぎはそのまま消滅するのですが…世界人類の為に自分の妻子を亡くした所で誰も褒めてくれないし、そんな尊い犠牲心は発揮するだけ損だとマスコミ関係者(新聞記者)である浅川は十二分に分かっていたのか、妻子の為にビデオを増やす暴挙に出てしまっていました。惜しむらくはそこまでして妻子の方を選んだのにオマジナイ(増殖)の意味を履き違えて妻子は救えなかった続編「らせん」の後日談ですかね…。(「記事」にする為に逐一記録を取っていた浅川は殺したら損だと貞子も見逃したが、たかがビデオ一本分しか増えない妻子の方はそのままブチ殺された。)妻子の死亡に前方も見ずに追突事故を起こして植物状態になってしまう彼の未来にはただ涙するしかありませんでした…。

 高山竜司…「期限を切られるなんて面白いじゃねえか。罰は死…いいねえ、命がけじゃなければ遊びは面白くねえ。」

もし、竜司が死ぬ運命に陥ったとしても知ったことか。人類の滅亡を見たいなどという奴には長生きする資格は無いと浅川も彼の命に対する気遣いを失くしてビデオを見せて積極的に巻き込んでいきまいたが…何はともあれ竜司が浅川の為に命がけの道を一緒に歩んでくれた事実には変わりなく、彼の性格の問題点や真意はどうあれこの人はこの人で良い友人だったのではないか(他に「俺も一緒に頑張るよ!」と自分の命を危険に晒す危険を充分に分かった上でビデオを見てくれた「真の友人」は一人もいない。)と評価には到ったものでした。婦女暴行犯(後に竜司の大ボラだと分かる。)であり浅川の妻にさえ出禁を食らった男(「いやあ、最近の女子大生は酒も強いしアッチも強い。参ったね。」「あなた、お願いだから、もうあの人を家に呼ばないでちょうだい!」by静)であっても友人の為に東奔西走してくれた行動は真実で(彼の尽力のおかげでビデオを念写した人物が方言からどこの出身だったか突き止め、それが誰なのか超能力ネットワーク(記録)から犯罪者でもないのに割り出す事が出来た。)浅川に見せていた「下品な悪党」の顔も実は演技していただけだったという不器用な生き方と共に好感が持てたものでした。最も同じ女としては主人公の妻と同じく、こいつと親しくお付き合いするのはやはり御免こうむりたいという評価しか出ないのですが…ゲフッ!(主人公も自分で疑問に思っていたけれど何でこんな奴と友達やっているんだろうね…?まあピンチの時には滅茶苦茶頼りになる豪胆さを持っている事は確かなんだけど、そのピンチ自体が人生にはそんなに訪れない訳で…ゴフッ!)

 高野舞…「高山先生、私の前では10歳の純真な坊や、そこに第3者が加わると紳士、そして浅川さんの前では悪党を演じてらしたんじゃない?そうやって演じ分けなければ、先生、この社会で生きていく事ができなかったのよ。とても純粋な方…チャラチャラした男子学生なんて比較にもならない。」

竜司が舞に対してほのかな好意を抱いていたのも分かる、舞もまた竜司の知性や純粋さを尊敬し特別に思っていたのも分かる、けれど結局、料理、洗濯など「恋愛の真似事」はしながらも体は一切彼に許さず(真似事は所詮、真似事に過ぎず、結果、竜司は童貞のまま死ぬことに…。)そのくせ自分の所有物(手柄)のように他の男達の事を彼と比較して見下している彼女(別に「チャラチャラした男子学生」をわざわざ卑下する必要性は無いだろ?竜司も男子生徒達もどっちもアンタの物ではないのだし貴女に「評価を下す」資格自体が無いんじゃないですか?)が…なんか、あんまり良い女じゃないなぁ~と個人的には好きになれなかった女性でした。(この人が竜司と本当に特別な仲だったのなら「そりゃ恋人至上主義となってしまうのは恋愛の定石で他の男皆がイモに見えてしまうのも仕方ないよね。」と納得できるのだが、竜司に何のいい思いもさせないまま死なせた経緯も含めて彼女でもないのに何様だとしか思えない。)おかげで続編「らせん」で早々に死んでしまっても短編「バースデイ」で死に至る経緯が詳しく描かれてもあまり同情できず読みやすかった面はあるのですが…竜司も竜司で恋愛対象にする女性は選んでほしかったと残念に思ってしまったものでした…。(その願いが通じたのか続編「ループ」では礼子と、「エス」では貞子との間にそれぞれ1子を儲けているリア充にも程がある竜司の生き様が描かれていましたが…ゲフッ!)

 山村貞子…竜司「怨念だな。マスコミだけじゃねえ、最初は超能力ブラボーなんてチヤホヤしておきながら趨勢が変わるや嘲笑を浴びせ家族を破滅に追いやった一般大衆への恨み。山村貞子はそういった世間の風潮を肌で感じ取っていたはずだ。」
浅川「だからって何も無差別な攻撃を仕掛けなくたって…。」

念写、透視、予知の超能力を持つ母親は皆からインチキ呼ばわりされるのを苦に自殺してしまい、父親は「じゃあ皆から何を言われても立ち向かえる俺が超能力を身につける!」と山ごもりをしたせいで肺結核になってしまい、貞子自身はそんな父親が入院している療養所にお見舞いに行った所を担当医師に強姦された末に殺されてしまった(しかも当のレイプが初体験…。)というまさしく大衆に人生を狂わされてしまった生き様でしたが(それは哀れに思うのですが)事件が起きたのは30年近くも前、だったら当時の大衆に復讐すれば良い話でその時生まれていたかどうかも怪しい浅川さん達に矛先を向けるのは違う(当時の大衆の子供達を奪う方が精神的ダメージは確かに大きいかもしれないけれど当の大衆自身がかつてバッシングを浴びせた超能力で自分の子供が死んだことを分かっておらず、貞子達にした仕打ちさえ忘れ去っている今、あまり意味が無い気がする…ゲフッ!)と思えてならなかった私でした。(多分、当時の大衆の皆さんは原因も分かっていない上に後悔さえしてないよ…。)本人は生前女優を目指していた(で、大衆を利用する形で見返そうとした。)そうですが劇団の皆とさえ上手くいかずに夢を諦めた直後(「頭も良かったし演技の勘も悪くはなかった。でも性格的に欠陥があったからねぇ。この世界、要するに人と人との関係でしょ。彼女のような不気味な性格だとちょっと合わないんじゃないかな。」by有馬)に殺されたのもあって余計に怨念は募ったようですが(でも女優として成功しなかったのは君自身の性格のせいだよ。)だから、それなら関係者だけを祟れよ、と改めてツッコミを入れてしまったものです…ゴフッ!

光射す海

2010.08.03
 精神病を軸に危うい人間関係を描いた話…なのですが腐女子な私はそんなことよりも主人公とともに海に乗り込んだ同僚がズボンのチャックを半開にした先輩足腰立たなくなる程のどんな暴行を受けてしまったのかということの方が気になってしまいました。(もはやメインストーリーなどどうでも良かったり…ゲフッ!)蟹工船よろしく閉鎖された男社会ではそういうことはよくあるそうなので、やっぱりそんななことが行われたんじゃないかと一人妄想してしまった話です。まあ、それは置いといてもストーリー的にもツッコミ所は多くていろいろ楽しめた話です。

 望月医師…一応患者でもある砂子健や愛人の明子への対応が身勝手で、精神科医という人の心をケアする職業に就いている割に優しい男じゃないなあと幻滅してしまった男性です。(最も医者とはそういう自分本意な人間が多いらしいですが…。)特に砂子さんへの対応について、心魅かれている女性が妊娠していることを告げるのは残酷ですし(そもそも何の資格も持っていない一般人にそういうことを告げるのは患者のプライバシーに関する守秘義務違反にはならないのだろうか?)まして「君がさゆりさんを引き取ろうとするのはヒューマニズムから来る自己欺瞞であって愛じゃない。」と説教するのもどうかと思いました。(その通りだとは思うが、自分の都合で女を振り回すことに関しては愛人を持っているこの男に言う資格はない。)また、あれだけさゆりに関して調べてもらっておきながら最後まで礼の一言も無い事にも(砂子さんの調査結果が無ければ真木洋一は永遠に海に逃げ続け、さゆりは幸せを掴むことなく精神病院で一生を終えてしまうことになってしまったでしょう。少なくとも望月先生一人では絶対に物語は進まなかったと断言できます。)何様のつもりなんだろうと共感できませんでした。取り合えず一言でいいから調べてもらった礼を言ってはいかかでしょう、先生?

 野々山明子…望月先生の愛人。子供を身ごもることを目的に先生と付き合ってますが、仮に彼女が一生子供の認知を申し出なかったとしても(最も妊娠をわざわざ告げようとしている辺り、このまま収まるような女とはとても思えませんが…。)生まれた子供自身が父親に認知を求めないかどうかは未知数です。また夫には子供の本当の父親を絶対に言わなくても、「立派な先生」に幻惑されている彼女は子供本人にはいつか必ず真実を告げることでしょう。今だけしか見ていない望月先生はそんな将来の不安を漠然としたものとしてしか捕えておらず自覚がありませんが(もっと危機感を持って下さい、先生!)近い未来に家族共々泥沼にはまることは必定であり(もしかして冒頭の底なし沼の描写はこの伏線だったのだろうか?)正直これから先が凄く心配になった関係です。ちなみにこうして妻に騙されて血のつながらない子供を育てている例はよくある話(特に末っ子に多い。)らしく、親子の血液型が合わない例だけでも出産例の1割を超えるそうです。(しかも日本人はA型とO型が多いのでDNA鑑定をすれば合わない例はもっと多いだろうと言われている…ゴフッ!)それにしたって最初からそれを狙うなんて旦那の立場って何なんでしょう(むしろそこまで嫌い抜いているのに何故結婚したのか謎。)と夫の方に同情してしまいました。本当にこの先どうするんでしょうね?

 浅川さゆり…舞台照明の仕事をしていた父親と女優の卵の母親との間に生まれたこともあって芸能界に多少のなじみはあったんでしょうね。(多少は…ね。それもあって歌手や舞台女優など芸能関係の道を選んだのでしょう。)初めて会った男にお昼ご飯をおごってと言える図々しさや(しかも男はメカ好きが多いので自分の愛車を勝手に触られていたら8話以上の確率で怒られることでしょう。よく怒られなかったな。)「わ、やだー。」「邪魔しないでよおー。」と独り言を言う不気味さ(女友達との語らいだったら微笑ましいセリフだが、独り言の世界でこんなことを言っている女は正直怖い。)映画の内容も見ずに大声で独り言を言う異様さ(入場料丸損じゃないですか。)は全てハンティントン舞踏病のせい(正確には発病への恐怖から来るノイローゼですが、それにしたってこんな症状は出るものだろうか?)ということになっていましたが因子を持つ父親が実は義父だった事の発覚により発病の心配は0と確定できました。が、それならあの破天荒な言動はすべて彼女の自前の性格だったのかい!とこれから生活を共にすることの苦痛が垣間見えてげんなりしてしまいました。(たとえ遺伝的な病気の発病確率が0でも「ハイ、そうですか。」と人の性格がそうそう変わるものでもあるまい…。)いくら生命保険付き(父親の遺産。「馬鹿にならない額」にも関わらず自殺が認められたことからして加入から相当の年月が経っていたと推測できる。)都心のマンション付き(親の遺産その2。舞台照明の仕事はそんなに儲かるものなのだろうか?)とはいえこの人と暮らすのは大変なことだと思うのですが…ガフッ!

 真木洋一…さゆりに殺されかけた後、マグロ船に乗っている現在30歳になっています。2度に渡って俳優の道を棒に振ってしまった彼(演出家との喧嘩で劇団の公演を台無しにした上で看板女優を辞めさせるという大迷惑を引き起こした。財閥企業の重役の娘、恵子が授けてくれた舞台出場の機会さえ無断欠席の連続の果てに勝手に辞めている。私がスポンサーならこんなトラブルばかり引き起こす男はたとえ演技力があっても採らないだろう。)がもう2度と俳優の道を歩めないのは当然の結末として、何の資格も無いというのにどんな職に就いて(無職の)妻と子を養っていくつもりなのか将来に不安を覚えてしまったものでした。(マグロ船で稼いだ金があると言っても貯金なんてあっという間に無くなるものですよ?)海で死にそうになった経験(死にそうになるのはさゆりに殺されかけた後これで2回目。)をさゆりの状況とオーバーラップさせ可哀想に思うことで愛情が再燃し彼女の元に戻ってきましたが、同情で相手に惹かれているなら砂子健と同じパターンじゃないか!と私などはツッコミを入れてしまいました。1度は純粋に彼女の性格の重苦しさから逃げだした彼(病気の事を知っていたらもっと早くに逃げていただろう…と確信を持っている辺りも微妙。)がさらに子供と言う重荷を抱えてやっていけるのか(赤ちゃんを育てるのはとても大変なこと。結婚生活のストレスは増えこそすれ減りはしません。それが現場の現実です。)とどうにもハッピーエンドには思えないカップルでした。(さゆりが肝っ玉母さんタイプのしっかりした女性なら幾分安心できるんだが、子供を道連れに自殺しようとしたり、出産までボーっと精神病院で過ごしている辺りまるで頼りにならない。真木洋一が戻ってこなかったら子供は確実に乳児院行きだっただろう。)この先本当に大丈夫なんでしょうかね、この2人?

 高木重吉…過去、宮崎の父親を死なせてしまった責任を取りその息子がどんな悪業をしようと父親の二の舞のように殺し合いを経験しないようにする…そう決めて息子が同じ船乗りになって以来フォローに走り回って来たのでしょうね。(その息子から感謝の念どころか殺意を抱かれているとも知らずに…ゲフッ!)嫌な奴を徹底的に排除するということは(たとえその人間が職場中の仲間全てから嫌われている人であっても)一人の人間を殺すことと同じだったという重さに彼は今でも苦しんでいるのでしょうね。(挙句にその宮崎父が妻から愛されてもおらず息子も顔を知らないという事実、死んでもだれも悼んでくれないという現実が切なすぎたのだろう。)その上息子も同じ海の上で死んでしまったという事実は(もちろん宮崎の自業自得だが。)重吉には痛いだろうなあ…と物語の中のことながら心配してしまいました。(これでまた10年ほど老けてしまうのでしょうか?)死んだ人間に対してどう責任を取るべきなのか、また責任は死ぬまで取り続けなければいけないものなのか、色々考えてしまったものです。全てが無くなってしまったことだしこれにて一件落着!とは考えそうにない性格なので(真木洋一は同じく目の前で死んだのを見たにも関わらずすっかり「済んだこと」として忘れ去っているが…ゴフッ!)これからの彼もまた心配な人物の一人です。…ていうか物語は完結してるのに将来が心配な人間が多すぎです、この話!ゲッフン!
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