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心中天網島

2012.01.01
 1月・12月の記事でも詳しく語った元友人がした事についてあまりにも酷いので目に余って2011年の夏に会って話をつけようとした事がありました。約束を取り付けた後、直前になって「突然の仕事が入っちゃって予定より2時間ほど遅れそうなんですけれども、ちょっと遅過ぎますよね?」相手側から会うのをキャンセルして貰おう(そしてこの件については永遠にうやむやにしよう)という姑息な手段を使われた(未だかつてマトモに就職したためしの無い人間の元にどんな仕事が突然(2時間という微妙な時間だけ)入るのか疑問だが、ともあれ私と会う予定を分かっておきながら喜んで受けたことは確か。)ものの何時間でも待っているよ、と返信して観念させて何とか会う事が出来た時の話です。(思えばこの直前になって急に嘘をついてキャンセルするやり方、高校時代の友人と同じだな。あの2人はどんだけ同じ穴のムジナなんだろう?)今まで嘘をつきながら人の不幸だけを楽しんでいた事も全部バレてるし、以前ネット騒ぎにした友人の家庭の事情や恋愛譚など実名出しで直接関わりが無いのを良い事に私を愚痴の吐き捨て場に使っていた事といい一体人というものを何だと思ってるのか問いただそうとした時です。

突然(何も言う前に)彼女がうずくまって泣き出してしまいとっくに成人した大人の女(一人称が「ボク」でも彼女は女。)が人前で泣いたことに驚いて、彼女の自分卑下の連発に「あなたにも良い所は沢山あるじゃない。癒し系な雰囲気とか、穏やかな所とか…。」と慌てたこっちが必死でなぐさめる始末で結局ちゃんと糾弾できずじまい(泣いている人間をそれ以上追い詰めるのも大人気ないかとそのまま返すしかなかった。)で終わってしまったのでした。

ここは私が大人となって全てを許すか…と考え始めた私にその顛末を聞いた弟は言いました。
「それ、泣けば許されると思っているクズだから。お菓子が欲しくて大人の金(他人の親切)を当てにして泣きわめく3歳児と同じだから。申し訳ないとか言いながら相手の良心を利用して都合良く事を進めようとするなんてどんだけ根性甘ったれてるわけ?反省すらしてないじゃん!」
でも相手は女性なことだし…と反論すると弟はさらに言いました。
「それは男女差別に名を借りたただの甘えだから。今の社会では男も女も泣いたら全部許して貰えるなんて甘い展開はあり得ないし、そうやって『相手の大人気ないという意識』(「子供の立場」を利用して心無い行動をとっても全てを許して貰ってきた)に甘ったれてきたのが今のそのダメ人間じゃないの?」
言い返せないのは弟の言い分に理があって納得できてしまうからだと心から感心してしまったからでした。本当に反省していれば多少なりとも改めるはずでその後2度と会おうとしなかった(「ちゃんと就職出来たら忙しさは増えても心の余裕が出来ると思うのでそれまではボクの常である『自分優先』を許してやってくださいませ。」とメールすら来なくなった。朝も起きない時間すら守れないお前に務まる仕事なんてどこにも無いだろというツッコミ以前にゲーム関連の会社に勤めたいという言葉とは裏腹に「企画書を会社に送ることすらしなくなった」この女にそもそも就職する気があるのか(就職活動すらしてないだろ!)と問いたい。)彼女の行動を取ってもその場限りの泣き落としで都合の悪い事を帳消しにする事しか考えていない事が伺え傾きかけた私にストップをかけたものでした。

弟曰く「万引きした事は何とも思っていないけれども、停学を食らうのは嫌だ。」(悪い事はするけれどもペナルティを食らうのは嫌だ。)と言っているのと同じにしか聞こえない…そうで「今、同じ年代の方々と似たような立場に立っていないボクには心に余裕が無くて…ちゃんとした職について早く笑いたいです。」(それは同じ年代の方々のように何がしかの資格を取る努力をしてこなかったアンタの自業自得)と仕事を学生の立場のようなステータスとしか考えていない事といい(現実に仕事を持ったらむしろ笑う余裕が無くなるくらい重い責任が肩にかかってくる。今、社会で仕事を持つという事がどれほど大変な事なのか普通の人間はみんな知っているのに「仕事をしていないボクの方が辛い立場なのよ。」って…。)この人は世の中を甘く考えているという点においては私も頷けたものでした。

妹のセクハラ談を家族で笑い物にする他、私に対しても学生時代の友人の現在の性生活や、その人に告白された事(同性であっても嫌いな人間であってもそういう事は黙って秘密にするのが暗黙のルールなのに本人を知っている人間に言いふらす彼女に「…。」と思いました。)や家の事情まで(場所はコンビニの駐車場、後ろを通る人がギョッとして振り返るのもかまわずに)聞いてもいないのに実名を出してベラベラと話す事といいこの人は周りの人間を「話のネタ」以上に認識できないんだ(辺り構わず話してはいけない友達のプライベートだと本当に理解していたら話す相手を選ぶ以前に黙って墓まで持っていく事を選ぶはずなので。)という事も察せられ、この人は信じる以前の問題として人として信用ならない人間だと私の中でも太鼓判が押されてしまったのでした。(直接会う心配の無い私を選んで本人には何も言わないまま影で悪口を言っているのも人間としてどうなのだろう?)

女優になっている訳でも演劇の道に進んだ訳でもない彼女の涙あ100%ウソだった訳では無いとは思いますが(それにしてはえらくタイミング良く泣いていましたが。)その後も全く反省の色もなく借りていた本を返したのを良い事に見事に音沙汰が無くなった彼女の態度からこの人はただひたすら「自分が」気まずい思いをして相手に気を使うのが嫌だっただけで(じゃあ嘘をついたり他人を利用することを辞めればいいのに…。)都合のいい人間は話のネタ、都合の悪い人間は使い捨てにしている様に人間として心底軽蔑を感じてしまったものでした。「悪い事をしても謝るつもりは無い。自分の保身を考えた汚い考え方だと『正直』に言っているから無かった事にしてくれるよね。」と「正直」という美徳を見せれば全ては許されてしかるべき(んな訳、あるか!そんな無神経な正直さには何の価値もない。)と本気で思って甘えようとしている様にこんな人間の為に尽くして何になると目が覚めてしまった思いでした。(甘えるのは実のママン限定にして下さい。)

友達として服従するにしたって限度があるだろう…といい加減頭に来たのでここに全てをまとめて残しておく事にしました。自分がされている扱いに見て見ぬふりをしたり、相手が望むとおりに褒めて持ち上げる事は簡単ですがそれは相手の成長を潰す事でもあるので私もまた彼女に対して改める事にしました。都合の悪い人間とは会う事すら避けるという彼女の性格上の事情からブログ上に書き記し、いつか読んで人に対する態度を改めてくれることを切に願っていたのですがあんなコメントを書き送ってくる辺り全然変わっていやしないんだな(むしろ始めの頃の下手に出ようとする姿勢すらなくなり悪化の一途を辿っているな。)とげんなりしている今日この頃です…。



 近松門左衛門が作った晩年、円熟期の浄瑠璃話の数々です。福井に生まれた近松は少年時代に父親が浪人した為家族と共に上京し公家方に雑掌として仕えた後宇治加賀録の元で浄瑠璃作者として修業を始め習作時代を経て「出世景清」により浄瑠璃に新風を吹き込んだ(それ以降の浄瑠璃は「古浄瑠璃」に対して「新浄瑠璃」と称されるようになり「実際に起こった世間を賑わす事件」を元に作られた世話物のジャンルが創始された。)彼の世話物4作品が収録されており義理と人情の挟間に生きる庶民の姿(いるいる、こういうダメ人間、というキャラクター)に読後感はともあれリアリティを感じたものでした。

<心中天網島>
 小春…「これでええのや。もうあの人は生涯私の本心には気づいてくれんけど、ええのや…。」

ここで終わっていたらいい話だったんですけどね…ゲフッ!客に色(体)を売りながら身売りされた代金(年季)を返済し惚れあった恋人とも思うように一緒になれない彼女の身の上は確かに不幸(そしてその不幸を治兵衛さんが「自分にはどうしようも出来ないから一緒に死のう」と増長している。)で可哀想なのかもしれませんが私に言わせれば虫も殺さないような顔をしながら他人の家庭を壊す小春も小春で、口先では「おさん様に申し訳ない。」と綺麗事を言いながらも心の中では「公平な立場に生まれていれば最初から私がこの人の妻だったのに…。」と自惚れている様に「…。」とも思ってしまったものでした。(この人が遊女じゃなかった所で結婚は親戚同士と血縁関係でがんじがらめの治兵衛の家で可愛い一人娘のおさんが惚れ抜いている婿候補を易々と手放すとも思えませんし公平な立場だった所で設定が変わるだけで話の展開に変わりは無いだろうともツッコミも入れてしまいました。)人それぞれ立場があり、だからこそ「この場でこれっきりの仲」と粋に遊ぶ(その場限りで終わらせる)のが色街の決まり事。妻子の存在を忘れて恋に溺れている2人は盛り上がっている所申し訳ないけれど幼稚な子供としか言いようがない(「必ず約束を守る人」なら店に自分の借金を返す証文付きの約束はどうなるんだともツッコミを入れてしまったり…ゴフッ!)とフォローの仕方に困った愛人さんでした…ガフッ!

 おさん…「小春さんは女同士の義理を守ってあんたを私に返す約束を果たしてくれた立派な人です。あの人を死なせるわけには参りません。」

ここで自分の女としての幸せよりも人の道を選ぶ(本来「敵」であるはずの相手の女の為に気持ちを押し殺して寛大な所を見せる)のは彼女が言っているような「女房の本領発揮」ではなく小春に出来た事が自分には出来ないというのはプライドが許さないからという妻としての意地であったように思えます。ちなみに話に描かれている通り当時の離婚とは子供(跡取り達)を婚家において妻が身一つで家を出ること(なのでどうしようもない夫に真実愛想を尽かしていても子供を思うと離婚が出来ないという母親の思いから離婚率は低かった。おさんのように本当に夫本人を愛しているケースは稀有な例…でしょうね。)で離婚(離縁)自体が珍しくはあったものの乳母や飯炊き女になり下がるよりは出戻りの女の方がまだ扱いとしてはマシで当人の気持ちはともかく連れ戻した親の判断は正しいと拍手した物でした。(「娘の不幸と比べれば恥も外聞も構わん!」との言葉に親の愛を感じました。)信じて尽くしたのに裏切られ(小春に入れあげた治兵衛は3年も仕事に身を入れずに色街で遊んでいた。)恋敵のお情けに縋ってまで夫の命を救ったのに結局自殺されたこの女性こそこの話中1番の不幸な登場人物だろうとしみじみ思ってしまいました。可哀想な本妻です…。

 治兵衛…「おさんは連れ戻されたし、小春は身請けされるし、もう何もかもどうにもできない!」

もはや自分にできることで何か「変えられる」ことがあるとしたら死ぬことだけだ(だったら1人で死んでくれ!)と小春を道連れに死ぬ最後には要するにこの男はこの先1人で子供を抱えながら生きていく辛い責任から逃れたいと安易な道を選んだだけであり覚悟も責任感も無く頭に血が上っているだけの最低の男だ(by義父)と私も思ってしまったものでした。(道連れにされるのがおさんじゃなかったのが不幸中の幸いでしたが…。)小春におさんに女2人の間をフラフラしながら(「おさんと別れるときは死ぬ時です!」と刀を振り回したその日に「ああ小春、今はお前だけが俺の夢だ!」と他の女と心中する変わり身の早さには呆れ果てました…ゲフッ!)それでも女性2人共が最後まで彼を見捨てない辺りこの男は余程顔(だけ)がいい男なのだろうと伺えますが…男は顔よりも中身です。結果(そもそも治兵衛の浮気のせいで)離縁する羽目になった妻のおさんも父親を失った子供達も不幸であり本人達よりも残された人達に余程同情してしまったダメ男でした…ゴフッ!

<女殺油地獄>
 与兵衛…母「育てた恩も忘れて迷惑ばかりかけて…皆が甘やかすから世の中をなめ切ってかかってる。」

これまでは何でも許してくれたのに何で急に厳しく冷たくなったんだ…ではなく何でも充分過ぎるほど甘やかして貰ってきた今までが異常だったんだよとツッコミを入れてしまいました。親はもう充分過ぎるほどこの子を庇って守ってきたんですし(親として子を守り育てる義務は不必要な位、立派に果たしてきた。その過剰な保護こそが子供の増長を招いてしまったのでしょうが…。)年も年なのだから、いい加減本人が自覚して自立すべきで被害者顔するのは間違っている(むしろ被害者は脛をかじられ続けながら本人の代わりに周りに頭を下げ続けてきた親の方だろう。)と私も感じたものでした。借金に利息がつく前に清算したい気持ちは分かりますがその借金にしたって元々自分が捲いた種(利息がつこうが自分の力で頑張って返していくのが本来の道理。)であって都合の悪い時ばかり他人の好意に縋る事自体が道に外れていると彼の年齢らしからぬ幼稚さに呆れてしまったものです。物事をよく知らないから世間と人生を甘く見てその場しのぎの利益に走るのでしょうが物を知っている大人から見たら非難されて当然の非道な事をしているのは一目瞭然で最後に「うわ~ん、バレちゃったあ」と泣いても全然同情できませんでした。妹・おかちの入り婿話が与兵衛の性根を治したいが故の作り話だった(始めから徳兵衛は与兵衛に継がせるつもりではあった)事も合わせて大事に思われていたのに人をないがしろにし続けた彼を軽蔑したものでした。

 お吉…与兵衛「最後のとどめの情やと思って金貸してほしい。こんなに真剣に物を頼んだの初めてやろ。な!」
お吉「そんな上手な言い方でいっつも騙されてきた。もう、いやや!」

感動して涙を流そうが結局この人間が1番に考える事は人の情を利用して自分に都合よく事を進めることだけという腐りきった根性に、さすがのお吉さんもこれ以上甘やかす気持ちにはなれなかったようです。子供を思うあまりつい甘やかしてしまい当の子供が人に迷惑をかけてばかりの一人で生きられない(正しくは1人で自立しようとしない)ダメ人間になってしまった親の苦しみを目の当たりにしただけに「泣き伏す親の姿を見ても、あんたは何も変わろうとしないのか!?」(そこまで親を追い詰めた事を知りながらそれでも自分の事しか考えられないのか?)と同じ子供を持つ親としてお吉さんは手を差し伸べられなかったんでしょうね。「土壇場で見捨てたれたら利用する為には殺すしかない!」とどこまでも性根の腐った与兵衛を甘く見過ぎたのが敗因だったとはいえ、それも裏を返せばいくらどうしようもない子でも人を手に欠けるほどの悪人ではないだろうとの信頼があったからであり人には恵まれていたのにその人達の情を悉く省みなかった彼に改めて嫌悪感を抱いてしまいました。最後に自業自得で泣いている与兵衛よりも彼を信じたい気持ちが裏切られて泣いてる親兄妹や迷惑をかけられたお吉さん本人とその遺族の方に余程同情してしまったものです。心霊関連の話でも「所詮相手を一生面倒見ることは不可能なのだから命が惜しいのなら責任の持てない同情はするな」とよく言われていますが、生きている人間相手にも手を差し伸べるのは考えもののようです。

<鑓の権三重帷子(かさねかたびら)>
 表小姓・笹野権三…権三「生き恥をかくよりは、いっそ死んで潔白を証明するしかない。」
おさい「どうせ死ぬ命ならその命で夫の顔を立ててやっては下さいませんか?妻の不義に対して妻と相手の男を打ち果たせば夫は男として顔が立ちます。」
権三「…だから生き恥をかけって?」

本当の望みをすり替えられ上手い事丸め込まれてしまっては「俺、何やってるんだろう…?」としょっちゅう疑問が出るのも仕方ない展開ではあるでしょうね。(そこまでして女敵討(めがたきうち)を果たさせてあげても夫は一生「寝取られ者」の後ろ指を指される事を考えると真実男として顔が立っているのかは微妙。けじめはつけたとは言えるのでしょうが…。)とはいえ未来の嫁の家に他の女から貰った手縫いの帯を締めて出かけたり(着用するなよ、そんなもん!)誰にでもいい顔をしようとした(その実自分の立場しか考えていない)この人の上っ面の配慮の無さにも問題を起こす原因は有ったと思われます。浮気・二股・不倫が悪いとは言いませんが(いや、悪いから。)マズイ事をしている自覚があるのなら、せめて隠す努力はすべきだとツッコミを入れてしまったものです。おさい殿も「真の台子」(正式に茶の湯で用いられる4本柱の棚。飾り方には真・行・草の3方式があり真が最も格式が高い。)を教える前に彼とお雪どのとの関係を問い詰めて確かめておくべきだったなとしみじみ思ってしまいました…ゲフッ!

 おさい…「寂しさよりもお役目でしょう、武家は。不義に走るのは自己中心的な身勝手からくる心の隙ですよ。」

つまりこの人にとっては不義者として逃げるのも殺されるのも武家の妻としての夫に尽くす「お役目」であり本懐を遂げた以上は満足して死んでいける訳だと彼女の最期に納得したものでした。(「弟ではなく夫に殺されたい」というのは「どうせ死ぬなら愛する人の手にかかって死にたい」というある意味究極の愛し方でもあったような気がします。)問題は「相手の男」役である権三をどうやって「最後」までつき合わせるかという事だと考えるとわざわざ誘って後戻りのできない立場に彼を追い込んだのは彼女の策略だった(残念ながら彼を巧みに操る為の手立ての一つでありそこに愛ははなかった。)としか思えずNoと言えない日本人的性格である権三の自業自得(そもそもお雪との結婚にもお菊への婿入り話にもどちらに対してもYESと言っていなかったらこんな事にはならなかった。)とはいえ多少同情もしてしまったものでした。最後に権三が気づいた通り夫の心にいつまでも消えない自分への気持ち(自分の存在)を残すことこそが彼女の人生の目的になってしまっていたのでしょうね。

<曽根崎心中>
 徳兵衛…「継母が勝手に使ってしまった婿入りの支度金の銀2貫目の金の工面は済んだんだ。だが油屋の九平次が頼むのでその金は一時貸してあるんだ。」

それで判を変更して証文(借用書)を無効にするという詐欺を働かれて金を騙し取られた挙句に世間からは「人の判を盗んで偽の証文を作り金を奪おうとした犯罪者」扱いされるようになってしまった徳兵衛さま。「金は貸しても借りてもいけない。貸せば金はもとより友達も失う事になり借りれば倹約する心が鈍る」と言ったのはシェイクスピアですが全くその通りの展開で洋の東西を違えても人間の本質は変わらないんだなと話を通して実感してしまったものでした。おかげで縁談を断るどころか世間にも顔向けできなくなってた彼ですが迂闊に大事な金を貸してしまったこの人にも落ち度はあったような気はします。九平次なんてダメ男にに金を貸さなければこんな事にもならなかったんだよともツッコミを入れてしまいました…ゲフッ!

 お初…「ただ死ぬわけじゃないわ。生まれて初めて自分で選んだ道なのよ。生き方は選べなくても死に方は選べる。」

一生真面目に醤油屋で働いても自分の足場さえ思うように築けない(親方の姪(好きでもない女)の元に婿入りして大店の跡取りの立場にでもならない限りは)徳兵衛様も、金の為に売られて嫌いな男相手でも身請けされたら一生男の持ち物にされる(でなければ客に自分を売りながら年老いていくだけの人生が待っている)お初も望んでそう生まれた訳でもそんな生き方をしたかった訳でもなく唯一自分で「自由」にできるのが死ぬことだけだったというのは皮肉な結末です。自分達を縛り続けた金としがらみから逃れるには死しかないという、切羽詰まった覚悟を潔いと思いながらも悲しく感じてしまったものでした…。
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あすなろ坂④

2011.09.07
 昔のままにと再現された東京駅がえらくショボくてガッカリした(庶民の日常生活に根差した建物とは所詮この程度の豪華さも立派さも無いスケールの小さい物だった)反面、この作品に出てくる家・劇場・道路はどれもこれも豪華に描かれており「明治・大正時代に造られた今も立派に残っている建築物」(百年経っても残っているのは頑丈で立派なものばかりで庶民の日常生活にまつわるものはとうに無くなっている。)を参考にして背景を描いているだけあるなぁと感心したものでした。「いくらなんでも全ての世代がお城のような家に住んでいるのは富裕過ぎだろ!」というツッコミの答えはそういう部分にあったようです…。

 秋月精一郎…精一郎「集会の途中で警察に踏み込まれて…。」
詩絵&芙美「警察引き連れて他人の家に迷惑かけに来るんじゃないわよ、クズ野郎!」

わざわざ自宅でなく義姉夫婦の豪華な邸宅に隠れに来て(主義主張を貫くなら逃げ隠れせずに警察と討論すればいいじゃないですか。)60過ぎのおばあちゃん(芙美)に怪我をさせてまで庇って貰って(年を取ってからの怪我って治るのが遅くて大変なんだよね…。)海外逃亡も源さんの力添えのおかげであって(置いて行くと決めた妻子の面倒を見るのも源さん任せ。)一体この男はどれだけ他人に甘えているのか(武士の生き方を教える以前にアンタは男として情けなさ過ぎるだろ!)再度幻滅したものです。妻子の安全を考えるからこそ「足手まとい」として置いて行くと言っていましたが本当に安全を考えるなら真っ先に反政府運動を辞めるべき(反政府運動に自分の全てを捧げるのなら恋も結婚も子作りも将来責任をとれなくなる事は始めからすべきではない。)ですし、それはもはや男の「愛し方」でなく男の「身勝手」に思え理解を示せる女性は確かに不幸だろうと納得したものでした…ゲフッ!
 思えば詩絵さんを選んだ時も忍を選んだ時も自分に都合のいい女性を求めた結果のように思える(詩絵→売れっ子になれる実力があるのに劇団を飛び出して死ぬ覚悟で自分について来てくれた都合のいい女。しかし現実をよく見ていて理想という狭い考えでしか道を歩もうとしない自分とは意見が合わず、酔った勢いで肉体関係結ぼうが一言も文句を言わない都合のいい忍に乗り換えた。)のでそれを踏まえても女性を不幸にする達人として好きになれなかったものでした。(だからそんな男を増長させてしまっている忍も微妙…。)作品に関しても「設定の1つ1つが自分の考えだから妥協して変えるのは信念を曲げることになる。」と(大切なのはその信念を「伝える」ことだという目的を忘れてしまっています。限られた条件の中でどれだけ自分の考えを伝えていけるのかが劇作家の腕の見せ所…であって脚本家一人のこだわりの為に役者も舞台裏も劇団員全員を犠牲にする方が余程間違っていると思うのですが。)自分の全てはありのまま認められるのが当たり前といい大人にもなって勘違いしている様(そんな理想通りにはいかないのが世の中であって辛い時でも笑って気持ちを表に出さないのが大人というものです。)が幼稚で共感できなかったものでした。そもそも詩絵さんに「一緒に生きよう。一生…。」と(適当な事を)言って廊下でキスしておきながら、その後あっさり他の女(忍)に乗り換えたこの男が信念信念言っても説得力が無いんですよね…。女に関して言えばアンタは信念曲げまくりだろ!とツッコミを入れてしまったものでした…ゴフッ!

 秋月忍…みどり「客を取るから、客を取るから…さくらちゃんに手術を受けさせてって頼んだのよ!」

最後まで夫を想って彼と一緒に凶弾に倒れたといえば聞こえはいいですが娘が幼くして生活の為に売春を強要されても守る人間はいなくなる、この母親がやったことはそういう事です。(夫のことを追いかけて実の子供は他人に置き捨ててほっぽらかしですか、お母さん…。)そもそも本来、夫を追って死ぬなんて甘い事は「母親」には許されないはず(死ぬより辛くても子供を育てる為に生きるのが母親としての責務。)で夫の方だってそれを望んでいたのに愛しているはずの夫の遺志さえ無視して子供を捨てて男(夫)の後を追った身勝手な生き様には美しいシーンのはずなのに全然感動できなかったものでした。(生後7か月のまだ母乳が必要な乳飲み子を子供(サーシャ)に押し付けるな、ダメ母親!)子供がいなかったら(というより子供よりも男が大事なモンスターペアレント並の自己本位なダメ親ぶりを見なくて済んでいたら)色々印象は変わっていたんでしょうけどね…。最初から最後まで身内よりも男を選ぶ女だったなあ(それにしたって子供を手離すのは最低だが。)とまだ親の顔も覚えられない時期に両親をいっぺんに亡くす羽目になってしまった子供の方にひたすら同情してしまいました。(子供は親を選べないとはいえ、よりによった女の元に生まれてしまったね、みどりちゃん…。)それがこの人の性格と言ってしまえば仕方ないですが母親になった以上はもっと親としての意識を持ってほしかったです。(そもそも妊娠中にも関わらず流産の危険も無視して船に乗る辺りからして…。)

 さくらの両親…母「いい加減に出て行って貰えないの!?私やさくらまで変な目で見られるのは嫌だわ!」
父「お前…文句を言いつつも置いてあげている辺り、お人好しだよなあ…。」

阪神大震災の際、血の繋がった親類でさえ被災者の人達を引き取ろうとはしなかった事例があった(もちろん全部が全部そうではないですが。)のを振り返っても赤の他人なのに置いてあげているこの奥さんは心が広いと言えるでしょうね。(おじさんはそのまたおばさんに、そのおばさんは息子に頼まれて、その息子はさらに別の人から頼まれて…と他の人達は皆タライ回しにしてきたというのに。)そうやって文句を言われているのを知っており疎ましく思われて肩身の狭い思いをしつつもしっかり7か月も居座っている忍達の面の皮の厚さが立派だ(7か月だけじゃなくプラス出産の2か月前から居候やっていたんだっけ…。)と感じたものでした。(「あの…これ、いつもお世話になってる分…。」と金で居場所を買っているしたたかさに「…。」と思ったものでした。)本当に心ない奥さんだったら夫が死んだ時点でサーシャとみどりを追い出しているはずで刀1本で10年以上置いてくれた(サーシャの労働と引き換えとはいえちゃんと薬も買ってくれた。)彼女は、悪役風に描かれてはいますが真実悪い人ではなかったように私には思えたのでした…。人間言葉より行動に真実が出るんですよね…。

 有馬詩絵…源「韓国人が水に毒物を入れた疑いを掛けられてあちこちでリンチに遭っているだと!?」
詩絵「なんて馬鹿な事を!火事での死者の方が圧倒的大多数なのにそんな細かい事を気にするなんて!」

「行くよ兄さん(1923)火事を見に」というあられもない年表の覚え方からも分かるとおり関東大震災では皆が欲を出して布団やタンスなどとっても燃えやすい物を台八車に積んで財産と一緒に逃げようとしたせいで火事による被害は増大したそうです(死者が増えた原因は台所仕事中や工場運営中の火を使う時間帯のピークだった…だけではありませんでした。)死者のほとんどは火災による犠牲者(関東一円は文字通り火の海と化し東京での134か所からの出火は9月1日~3日まで3日間も燃え続けた。)で詩絵のように余震で崩れた建物に潰されたのは少数派と言えるようです。普通は庇った子供と一緒に潰されて2人とも助からない状況になる所を半身不随だけで済んだ(瓦礫に体を貫かれたり潰されたりすることも無く結果として体を切断する事もせずに助かった)のはいかにも出来過ぎた状況ですがこれは漫画なので細かい所はツッコミを入れずに読んでいく事にしましょう…ゲフッ!珍しくケンカして、そのまま生き別れになってしまったのを再会が果たせて仲直りできた奇跡に感動したものでした。

 サーシャ…「僕、一生懸命働くし一生懸命お祈りする。でも辛いことばかり…。神様なんていやしないよ。」

ロシア革命での貴族狩りから生き延びて、働かされているとはいえ疲労骨折や脱臼もせずに済むレベルの労働で、貧しいながらも年齢相応に発育できる食事は与えられて…これを神の御心(恵まれている)と言わずして何というのでしょうか?虐待の歴史を見てもサーシャもみどりも厄介者の割に扱いはそんなに悪くなかったと思うのですが…ゲフッ!)元々が貴族のお坊ちゃんだったせいか辛い現実について行けなかった様子です。若く頼りない愛する女性(生後7カ月の乳飲み子)を守るため考え方を変えて強く成長した彼ですがわずか6歳で父親の役割も母親の役割も背負う事になった彼の苦労を思うとやはり忍(実の母親)の勝手な行動は許せなかったものです。その後みどりを守る為に命を落とした…と見せかけて実は生きていましたが無傷で浸かっても大の男が心臓麻痺を起こす川に落ちて(しかも銃弾を撃ち込まれて)どうやったら助かることが可能なのかという疑問は払拭できず展開に出来過ぎたものも感じてしまったり…ゲフッ!それが漫画だと言ってしまえばそれまでなのですが…ゴフッ!

 有馬さくら…津川「みどりさんは凄い美人になりますよ。それだけじゃなく何か人を惹きつける物を持っている。女優になりなさいよ。」
詩絵「悪いけど女優に1番必要なのは顔じゃなくて演技力だから。」

顔(だけ)で通用するのはモデル業(それにしたって自分を売り込む為のお愛想や気配りが必要)であり、内気で慎ましやかなみどりには人前で発表する胆力が必要な女優業はまず向いてないと思うのですが…。(顔にしたって化粧で別人のように美しくなれるしね。演技力も見ていないのに容姿だけで判断しないで下さい、津川さん。)ともあれ、どこに行っても注目を集めるのはみどりの方で自分は「大富豪・有馬家の跡取り娘」というカテゴリーしか褒めそやされない(自分の人格・能力に関しては何の価値も見出して貰えない)事に内心イライラは募ったご様子です。この子も顔は可愛いし(「2人共磨けばなかなか…。」by娼家の女主人。)学年5位の頭はあるし(1位はみどりでしたが…。)立派に人並み以上ではあるのにどう頑張っても天才にはかなわない事にジレンマを感じている様にはむしろみどりよりもシンパシーを感じてしまったものです。そんな読者は私だけではなかったのか5巻では見栄っ張りないじめっ子→モンペ姿で畑を耕したり人好きのする肝っ玉母ちゃんに成長(キャラ改変)していました…ゲフッ!

 有馬みどり…みどり「サーシャが死んだのはあなたのせいなのよ…!」
さくら「どう考えても銃を撃ったオッサンのせいだと思うんだけど…。」

敢えてオッサンの罪を棚上げして考えるとサーシャは「みどりを守る為」に郭の掟を破って足抜けした訳で(これが身売りさせられるのがさくらだった場合、サーシャはここまで必死になって守ろうとはしないだろう。)どちらかというとみどりのせいだと言えるのですが…。言ってはいけない事を言って(責任転嫁して)さくらちゃんを傷つけた事に罪悪感を感じて出生の秘密に関しては黙る決意をしていました。意地悪をしてきた継母にも薬を煎じてあげたり、性格の悪い幼馴染(さくら)を庇って身売りしようとしたり、自分に都合の良い出生の秘密さえ黙っていたり出来過ぎた性格には逆に嫌味さえ感じてしまう程、慎ましやかで完璧なヒロインと言えるのですが…ですが…非難を覚悟で言わせてもらえば完璧な人間なんてハッキリ言ってつまらない。人間には必ず漆黒の部分や欠点がある(人間として生まれたからには百と八つの煩悩がある…はず。)と信じる私としてはこんな女絶対に現実にはいないだろ!とツッコミを入れてしまうのでした…ゲフッ!

あすなろ坂③

2011.09.06
 4巻の内容も多分に入ってしまっていますが取りあえず孫世代のカップル(結婚)確立までという事で語っていこうと思います。この作品の連載中、里中先生自身も何度か健康を害したそうで武史様の「毅然と病気を受け止め冷静に見つめる」姿勢を見習っていたそうです。成功なんて人が決めるもの(だから不確かな未来が華やかなものになると根拠の無い自信を持つのは間違っている。by芙美さん。)とはいえそこまでして魂を込めて描き続けたからこそ素晴らしい作品に仕上がったのだと感じたものでした。

 有馬史織…「強くなりたいの。私の恐怖感なんて踏みにじってしまう位強く抱いて!」

いつもいつも行動するのは「相手任せ」で流されるままに最悪の状態になってから初めて拒絶の意志表示をする(おかげで事後処理に当たる家族はいつも大変でした。)世間知らずのお嬢様だった史織が自分でここまで行動するようになるとは…彼女の成長を感じました。何が凄いって本当に8年も待ち続けていたのが凄いです。(普通ここまで待たせてしまったら、どんな出来た女でも意固地になる…だけで済んだらまだ良い方で最悪の場合、他に男を作って綺麗に忘れ去っています…ゲフッ!)しかも初体験がレイプだった事(強引=相手への優しさなど皆無という訳で女の初体験はただでさえ痛いだけなのにその上こんな扱い受けたらトラウマにもなるだろう。少尉は「結婚さえすれば『良い思い出』になる。」と言っていましたが何をどう頑張ってもレイプは『痛い思い出』にしかならないでしょうね。)で性愛に対して癒しがたいトラウマを抱えてしまったのに自分から立ち向かったのには今までを知っていただけに驚いてしまいました。成長を感じただけに、そこまでして乗り越えたのに結局彼女には子宝が恵まれなかったというその後の展開が痛かったです…。(おかげで家は続いているけれど、これで武史様の血筋は絶えてしまったんですよね…ゴフッ!)

 有馬武雄…新之介「雄々しい武士のように生きて欲しい。」

それと同時に「長生きして欲しい。」と願うべきだったでしょうか…?(武史様の血筋だけでなく彼にあやかって名付けた子供まで…!)妹達を助ける為に自分は力尽きて亡くなってしまった様が儚くて思わず涙してしまったものです。彼の死によって詩絵は弱くて優しい男の子の中にも思いがけない強さがある(人間は1面だけでは測れない。いざという時にこそ、その人の真価が分かる。)と初めて兄に対して憧れを抱くようになり、それが顔が似ていただけの秋月さん(この男は上手くいかないと先の展望も無いのに辞表を叩きつけるわ、彼女の妹に手を出すわ、妻子捨てて満州に行こうとするわ仕事も私生活も逃げてばかりの情けない男であり、武雄のように大切な人間の為に自分を犠牲にする気高さは無い。)への恋情へと繋がっていきます。姉妹揃って男を見る目は限りなく低く育ってしまったんだなあ、と別の意味でも悲しくなってしまったものでした。忍がうっかり川に落ちなければ、助けにきた詩絵にしがみついて2次災害を引き起こさなければ彼が無理することも無く今も生きていたのですが…ね。

 有馬珠絵…「武雄はもう誰にも優しくしてもらえないの。だから生きている詩絵や忍に優しくするのはえこひいきになってしまうのよ。」

「死んだ子供の分まで生き残った子供を慈しんであげるのが親の務め」というのは世間の理屈であって、そんな綺麗事で子供の死を片づけられる心が形成される訳でも、納得できる訳でもなく所詮1時しのぎの慰めにしかならない(甘美な慰めから覚めたら何も変わらない辛い現実が待っているだけ。)と思い入れのある初めての子供、しかも男の子を亡くした痛手から未だ立ち直れていない珠絵さん。終わったことばかりを見つめて今そこにいる人達を慈しむことを忘れてしまったせいで家族との絆はだんだんギクシャクしてしまいました。大切な家族を亡くした悲しみを味わっているのは新之介も詩絵も忍も同じ(特に姉妹2人はいつまでも兄の影から逃れられずに2人揃って兄に(顔だけ)似た人に恋してしまった。)であり彼女ばかりが特別ではなかった、同じ悲しみを背負った人間として愛情を育てて行くという1番大切な事を忘れてしまっていた事に遅ればせながら気づいてくれて良かったです。意地を張ってしまうのは相手に分かって貰いたいから(だったら素直に寄り添えばいいのですが…。)自分の為に相手が行動してくれるのが筋だと甘えているからで本当に思いやって欲しいのならまず自分が相手の為に行動しなければ気持ちは返ってこないんです…よね。その人の為に使うエネルギー(愛)があるのなら別方向で表現してもいいんじゃないかという芙美さんの助言の元に仲直りができてホッとしたものでした。

 橋本新吾…「ほんの少し手を伸ばせば…私達の人生は…。」

相変わらずの話ですが奥さんの立場って…。(そういえばこの巻から、夫の気持ちは昔の女性の元にあると気付きつつも長年尽くしてくれた奥さんも作りまくった子供達も登場しなくなりますがどうしたんでしょうか?とうとう愛想を尽かされて逃げられたのだったら…いいなあ。←オイ!)対する相手の芙美の方も「最近は新吾の夢ばかり見てしまう。」「(私達の愛の結晶である)息子の新之介の見送りに来てくれませんか?」と武史様を愛していると言いつつも昔の恋(新吾)に引き摺られるようになってしまっていて(奥さんの立場に対して遠慮は…!?)3巻以降の2人にはかなりイライラさせられたものでした。武史様の墓前(武史様の目の前)で逢引するのも無神経(アンタ達、互いの伴侶に対して気を使おうとはしないのか?)としか思えず「人生はやり直せるものじゃない。」という持論も「やり直すだけの意気地が無いから。」という本音が見えて(少なくとも新吾の方は生まれた女の子に昔の恋人の名前(芙美)を付けるわ奥さんに対して本当に愛があったのかかなり微妙。)嫌悪感はさらに募ったものです。互いの為にも(何より今の家族の皆さんの為にも!)終わった関係をウジウジ掘り返すのは辞めて欲しい物なのですが…ゲフッ!

 有馬忍…「あ…姉様、許して…今このひとときだけ…その気バリバリで貴女の彼氏とセックスすることを。」

ふざけるな!と人として女として嫌悪感と共にツッコミを入れてしまったものです。この時代「女性が男性の部屋に入る」だけで「とんでもないこと」(もちろん自由に恋愛を楽しんだ女性も少なからずいましたが、まだまだ結婚するまで処女でいるのが当然という時代です。)として世間から非難される時代だったのですが、よりにもよって姉の恋人を寝取るという時代の常識を超えて破廉恥な事をしでかしている彼女にドン引きしてしまったものでした。(私にも妹がいますが相手が酒を飲んで正常な判断力を失っていたからと言い訳して抵抗せずにこんなことをしでかしていたら多分衝動的に刃物を握って立ち上がる事でしょう。←何する気?)「生涯でこの一時だけ…。」と言っていますが1回だろうが100回だろうが裏切りは裏切りであり、結局1回で済んでもいない様になんて潔くない女だろう、と幻滅してしまったものです。(そして姉が妹への情の為に偽装結婚までしたのを「良かった、良かった。これで自分は罪の意識を感じなくて済む。」と自分に都合よく鵜呑みにして喜んで、その後姉の前でも「子供ができたの。」と姉×夫の事は「済んだこと」として平然とのろけられる辺り人格を疑いました。)慎ましく家の事をしっかりしているとはいえ女の価値は家政婦能力ではありませんし、惚れた相手だからと言っても勢いで迫られてすぐにOKする辺りかなり股の緩い女(風呂にも入らず、酒の勢いに任せて…ケダモノか、お前らは?)だという事が伺え、現実にいたらまず間違いなくお近づきになりたくない女性だなあ、と感じてしまいました…ゲフッ!(何というか8年間も自粛していた史織さんの気高さを見た後だっただけに余計に…ゴフッ!)見つめるだけなら傷つかない(本当は自分が傷つきたくなかっただけ。姉に申し訳ないと思うのなら肉体関係など結ばずに身を引けばいいものを自分で関係をかき回しておきながら「姉が可哀想。」なんて自己陶酔に浸る辺りはもう笑いが出そうでした。)という姿勢で結局皆を決定的に傷つけてしまったんじゃないかと女として好きになれなかった女性でした…ゴフッ!

 秋月精一郎…「女優としての君を愛していたようだ。」
詩絵「別れる原因を相手のせいにする前に人の妹に手を出したことを土下座して謝りなさいよ、クズ野郎!」

これが「忍に手を出してしまった上に君にはもう飽きてしまったんだ。」(悪いのは全部この俺です。)と正直に言って殴られてお別れしていたらまだ好感持てたのですが「君の女優としての実力しか愛してなかった。」(女優としてはいいけど女としてはダメだから付き合っていけないんだ。)と相手に全ての原因があるかのように別れる責任を押し付けたのには愕然としました。その後も詩絵さんへの「女優として成功した詩絵さんが秋月さんを捨てた。」という誹謗中傷をいいことに「自分が今をときめく大女優の性格が気に入らなくて捨てた上に付き合っている最中から彼女の妹とセックスしていた。」という真実を語らずに世間の非難を体よく回避した様にはなんて卑劣な人間だろうと忍共々軽蔑してしまったものです。(おかげで実の姉が悪者にされていようが自分の都合の悪い事は黙っている辺りは忍も同罪だと思う。)こんな男が仕事のパートナーで、その新しい彼女が妹だという立派な地獄絵図に詩絵さんはよく耐えられたものだなあと元カノの胆力&心の広さに感心してしまったものでした。(私だったら舞台の上に立った人間として手加減抜きで殴っています…ゲフッ!)顔は良いかもしれませんが身勝手で都合が悪くなると他人を当てにしてばかり(彼の舞台の成功もその後の満洲への逃亡もほとんど源さんの力添えのおかげで上手く行ったようなもの。)で一時に2人の女性からモテルほどいい男とは私には到底思えませんでした…ゴフッ!

 有馬詩絵…「女から求婚させるのは男の恥だと思わない?」

何でこの人が自分を裏切った元彼と妹の尻拭いの為に好きでもない男と愛の無い結婚をしなければならないのでしょうか?(その後源さんとの間に本当に愛が芽生えたから良かったものの下手したら詩絵は一生「幸せ」という嘘を演じながら人生を犠牲にしてしまう所だった。)現実にも離婚して他の女との間に子供もいる元夫とは今でも仕事仲間として仲良く付き合っているという漫画家さん(新井祥先生)がいますが、その方に最も寄せられた意見はやはり「よく平気で付き合うことができるね。」だったそうです。相手と仲が良ければ恋が無くなったら友達(仲良し)に戻れるというのは理想論に過ぎず現実には相手に裏切られても(浮気されても)なお仲良くできるかは未知数です。(というか、ほとんどの人が無理だろう。人間にはプライドも自尊心もあるのだ。…例外として自然消滅的に終わった恋愛だったら可能性はあるかもしれませんが。)ライバルが赤の他人だったら「2度と会わない」ことも可能なのに冠婚葬祭及び盆暮れ正月には必ず顔を合わせなければいけない身内(妹)だという設定に色々な意味で悲しくなってしまったものです。親も親で結婚前の女性だったにも関わらず他人(姉)の恋人と肉体関係を結んだ忍に対して何も言わなかったのでしょうか…ね?(それともやはりそういう「都合の悪い事」は黙っていたのだろうか、忍さんは?)

 余談…現代でもなお「男と二人きりで部屋にいる」(または男を自分一人の部屋に招き入れる)=「自分とHしてもいいと男を誘っているサイン」と誤解されるから気をつけよう、と言われているのに自分から男の部屋に入って行く(しかも相手は酔っている=何をしでかしてもおかしくない状況にいる)忍の行動って凄いな、と読み返して改めて彼女の軽率ぶりに「…。」と思ってしまいました…。(「頭悪くていい女って最高じゃん!」と男には好かれそうですけどね…。)

あすなろ坂②

2011.09.03
 子供世代編です。(最も正確には文庫版1巻の頃から子供世代の恋愛編は始まってはいたのですが、時期ごとにまとめてみました。)作者さん的には新之助×史織(カップリングにするなっての!)の血の繋がらない兄妹の恋話を進めたかったようですが読者は誰もプッシュしてくれずにおじゃんになった経緯が見て取れます。(結局新之助一人がウジウジ悩むだけで終わっている。)そんな感じで時代は明治の外国猿真似時代へと進んでいます。もうすぐ「坂の上の雲」と同じ時代です。

 有馬新之助…「婚約は自然に任せるよ。」

聞こえのいいセリフですが「今は婚約するほど相手に興味はない。」という意味です。(騙されないでよ、史織さん。)自分の子供のネーミングに際してようやく自分の出生の秘密を掴みかけましたが(あれだけそっくりな顔をしていて、というより読者から言わせればむしろ見分けがつかなくて困っている位なのに(禁句)何故今まで気づかん!?と逆にツッコミを入れてしまいましたが。)敢えて蓋をして子供にも(新の字を打ち消して)養父の名前から1字取って名前をつけている辺り、実父に対しては(うっすらと感づきながらも)完全に割り切ったようです。ウジウジ史織を思い続けている諦めの悪さは父親譲りなので仕方ないにしても実際に手は出さなかったり(新吾だったら婚礼前に一線を越えている。)子供に好きな女の名前をつけなかったり(新吾の「男は勝手につけろ。女は芙美だ。」と一生「芙美」と関わって生きていこうとする様は…相手にとって酷過ぎると思うの。また新之助の子供位幼い子供を新たに作っている辺りは年取った後もどんだけエロいんだこの親父は!とツッコミも入れてしまったり…ゲフッ!)誠実さでいえば新吾よりも数段上の漢です。しかし土地をだまし取られたり事務能力はまるでなく、頼りがいは無いので旦那より稼いでいる珠絵奥さんとはいいカップルだなあと逆に納得してしまいました…ゴフッ!

 おきく…新之助「この体の隅から隅まで僕が洗い流してやる!」
おきく「…って結局ヤルことは他の男と同じなのかい!」

そう、下品にツッコミを入れてしまったのは私だけでしょうか…ゲフッ!(いや健康な他の女性ならともかく出会った時から青白い顔した病人相手にああいうことをするのは余計疲れさせてしまうだけなのでは…?余計に病気が悪化しないかと逆に心配してしまうのですが…ゴフッ!)最初は「本命にあげられなかったから。」(訳・君は本命じゃない。)と櫛をプレゼントしていたり(「正直に言ってくれて嬉しいわ。」というのは「トドメを刺してくれてありがとう。」という意味に近かったのでは…ガフッ!)妹に比べればアウトオブ眼中の憂き目を見てましたがそのあまりにも薄幸過ぎる(すべてを諦めて控えめな)生き様が新之助の心に火を灯しいつの間にかナンバーワンの座を勝ち取っていました。(勝ち取った矢先に…。)「きくにはたったの1日もこんな幸せな日は無かった…。」と死後1年が経っても心に留めておいてくれている辺りには史織に勝った!とも喜んでしまいました。最後だけでも愛し愛されて幸せな時を過ごせて良かったね、とその後のお妙さんのあまりに報われない死に様と比較しても安心してしまったキャラです。ご冥福をお祈りします、おきくさん。

 後藤珠絵…男の子なら新太郎というそのネーミングはまだマトモですが女の子なら新子(しんこ)というのは辞めてくれと切に願ってしまいました。(おしんこじゃないんですから!)結局名前は男女ともに新之助がつけてくれたらしく武雄と詩絵(うたえ。今度は珠さんから一文字貰ったらしい。史織に絡んだ名前をつけなかった辺り偉いと思ってしまいました。)で良かったね、とホッとしてしまいました。(珠絵さん、ネーミングセンス独特だよねぇ…。)恋をしてその後すぐおきくさんに新之助を奪われ、お亡くなりになって1年、その後やっといい感じになるも史織のお家断絶騒動で家出、押しかけ女房となった後は自分の作家活動で逆に家族を養っている…という波乱万丈の人生を歩んでいる様にパワーのある人だなあ、と感動してしまいました。また連載している「自分の恋の話」は確かに本にできるほどドラマチックな話ではある(実家が今をときめく大財閥様だから余計にね。)と納得してしまったり…ゲフッ!

 有馬史織…「恋」しているというより「計算」しているだけの女。またナースキャップについて、そのかぶり方じゃ意味がないよ(髪の毛をまとめる為のナースキャップでしょうに、ダラダラ出てるじゃないですか!)とツッコミも入れてしまいました。今回初めて自分のの出生の秘密を知っていましたが正直ショックを受けている史織よりも何もかも報われないまま死んでしまったお妙さんの方がよほど哀れに思えるのは私だけでしょうか…?もちろん今まで育ててくれたのは芙美さんの方で子供にとってはかけてくれた手間と触れあいが愛情というのも分かってはいるんですが、妙さんの場合、子供が嫌で捨てたわけでも年取って寂しくなったからという自分の都合で連絡取った身勝手な親とも違うじゃないですか。そして知り合いの保育士のお言葉より「たとえ川に捨てられた子供でも、川は子供を産まない。」(た、確かに…。)そうなので最後に実の子供に振り切られて一人寂しく死んでしまった死に様にはどうしても納得いきませんでした。(せめて死体相手でも「お母さん!」と呼んで取りすがってくれていたらちょっとは変わっていたんですが…その後芙美さん相手に「母様…!」と縋りついていたのも妙さんの存在を全否定しているようで個人的には微妙に感じました。)
 ちなみに妙さんの病気、子宮癌というのは子宮頸ガン(主に異性間交渉による炎症が原因で起こる。つまりこっちの方だったら原因は耕三ということになる。)と子宮体ガン(子宮内部にできる。通り道にできている頸ガンと違い初期発見は困難。)の2種類があり不正出血がある場合はもうかなり進行している(子宮、卵巣、リンパ節を含んだ拡大手術が必要。弱っている患者がそんな大手術に耐えられるかという問題もある。)ので現代日本でもできる手立ては少ないでしょうね。(未だがんに対する有効な治療法は存在しない。)死んでしまうのは仕方ない運命だったにしてもあの死に様は可哀想すぎると改めて思ってしまいました…ゲフッ!

 後藤光太郎…後の大財閥にして史織の元婚約者。「貧しさというのは一つの悪で、天から与えられた才能を生かせない怠け者だからだ。」という彼の言葉に史織は反発してますがそれは貴女がが病院に来る善意の人々にしか触れたことがなく庭師の耕三のような悪意ある貧乏人に会ったことが無いからだよとツッコミを入れてしまいました。何事にも溺れいない辺りこの人は新之助のように言われるがままにゆすりに応じたり金をだまし取られたりということは絶対にあり得ないでしょうね。融通の利かない所もありますが譲らない史織も史織だと思いますし(お互い様に見えます、私には。)自分と同じように相手だって「分かってほしい。」という気持ちがあることを見ようとしないままホイホイ婚約してしまった史織(それだって父親を安心させる孝行娘のポイントを稼ぎたいという計算があった。死んだ後で婚約破棄という大事にまで発展させ、お母さんも苦労したでしょうね。)にも問題はありますし振り回された光太郎ぼっちゃんも大変だったでしょうね。「婚約」してしまった以上は家同士の問題も絡んでくるのは当然で(それが嫌なら新之助達のように「お付き合い」に留めながら相手を見ていくべきだった。)周り中の好奇の目に晒されてしまった後藤家が哀れに思えてしまいました。(おかげで家を捨てる羽目になった珠絵さんはいい迷惑です。)「結婚は本人の気持ち次第。」と芙美さんはおっしゃっていましたが今はまだそんな時代じゃないよ?(「ゲゲゲの女房」世代までは親その他周りの人間が決める時代です。)と後藤家が憤慨する理由は大いに分かるような気がしました。(本人の気持ち次第にしたって式の直前は困ると思うし。)「いやあ、女を見る目が無かったよ。」と本人があっさり諦めている辺りの立ち直りの早さだけが救いでしたが(ウジウジ男・新吾もこの辺を見習ってほしいと思ってしまったり…ゲフッ!)大変だったろうなあ、と同情してしまいました。

 甲野晶平…史織「随分手が荒れてますね。患者さんに包帯を巻くのはもっと柔らかい手の方がいいと思いません?」
晶平「…イヤミですか?」

あけみおばさん(おねえさんとおっしゃい!)に対しても「恋したことも無いのに表情が豊かね。」(豊かじゃ悪いんですか?恋の結果が人の目に見えるものにならなければ認めないんですか?)と無神経発言をぶちかましていましたし天然なのか(でも自覚が無いだけタチが悪い部類に入ると思う。)言うことがいちいちイヤミだなあと感じてしまった史織の発言です。こんな酷い事ばかり言う女(余計なこと言わずに素直に「手伝います。」と言えばいいじゃないですか。)よりもカッコイイあけみ先生に惚れて欲しかったのですがやっぱり恋する時は若さがポイントになってしまうのでしょうか?彼に対しても「好きな人は誰なのかと聞いて欲しい。それから…。」と妄想し、それを察して動いてくれない事に対して不満を抱いていますが(現実には自分の思い通りに動いてくれる人間なんてこの世にいません。)何も言わないのに自分の事を何もかも分かって尽くしてくれなんて考えてみれば身勝手な話ですよね。(もっともこういう相手を試してばかり、尽くしてもらってばかりで何も返さない人間は私の友人にもいます。相手にしてもらうことばかり考えて自分のことを棚に上げていることに心底気づいていないのがこの人達のタチの悪い所です。)犯された史織(最も自分に気のある男と二人きりで部屋にいるという「状況」を作ってしまった史織にも隙があったとは思うが。)よりも気を使いまくっている晶平の方がよっぽど哀れに思ってしまいました…ゲフッ!(そんなことのあった後でも「嫌なことを忘れられるように抱きしめて欲しい。」と相変わらず相手を利用することを考えている史織に幻滅でした。男は人間は自分の都合を満たすために存在してるんじゃありません。)

 綾公路少尉…綾公路「どんな火事でも俺の心ほどは燃えないだろう。」

などの愛のセリフの数々に爆笑しながら読んでしまった男の人です。こんなセリフを素でいえる日本人男子が未だかつていたでしょうか?(欧米か!?)そんなわけで史織への求婚者第2弾です。婚期を過ぎた女(最も現代日本人女性の私に言わせれば18や19で結婚結婚騒ぐなと言いたいですが。)にも関わらず、少尉様(上等兵よりも上のいい身分の軍人。しかも華族のご親戚。本来こんな没落した家の女、しかも問題を起こして婚約破棄した女でなく、しかるべき身分の令嬢を娶るべき立場にある。)に惚れられるなんて話ができすぎてはいないかと思えてならず、ストーリー的に共感はできなかった(いくらなんでも無理がある展開だと思うのですが…元婚約者の大手銀行の株主・光太郎といいどんだけシンデレラなんでしょう、史織は?)ですが、それにしてもセリフの笑える男だなあと笑いながら読んでました。(笑うなよ。)また冒頭の「少尉殿、馬を撃つのでよけて下さい!」のシーンではその馬に乗ってるのによけれるか!ともツッコミを入れてしまいました。これで部下をクビにしない辺り、しかもミスを庇っている辺りいい奴じゃないかとも思ってしまったり…ゲフッ!

ラファエロ~その愛~

2011.09.01
 多くの聖母子像を描いたことで有名な3大巨人の一人です。ミケランジェロ、レオナルドと並び立つ「天才」の割に2人に比べて扱いが小さく「大して苦労もせずに持って生まれた天与の才能だけで絵を描いた。」(努力もせずに認められた)かのような「風説」(他「若くして亡くなったが女にもてた。」「大量生産した売れっ子。」など。)を気の毒に思い彼の人生を描いてみたいと思ったのがこの話を描くきっかけだったそうです。里中先生の書く「伝記ドラマ」は「浅黄色の風」もそうでしたが登場人物が優しさに満ちていて(例外・「天上の虹」。これは優しくなかった。)心が暖かくなる気がします。ネットで彼やその恋人の人となりを見るにとてもこんな人物とは思えないのですが、あくまでも解釈の一つとして読んでいきましょう。

 ラファエロ・サンツィオ・ダ・ウルビーノ…マリア「謝ってほしいって言ってるんじゃなくてよ。結婚してって言ってるのよ!」
ラファエロ「すみません…。全ては性病をなかなか治せない私が悪いのです。」
   ~数日後~
ビッビエーナ卿「マリアが寝込んでしまったよ…。君とは会いたくないと言っている。」
ラファエロ「…ゲフッ!」

彼の死因については熱病ではなくて性感染症ではないかと現在では見方を見直されてきているそうです。(やだなあ、そんな見直され方…。)それまでの芸術手法を統合、洗練し、優美な様式を作り上げた総合芸術の天才ラファエロ。父親が死んだ時まだ11歳だったこの子がどのようにしてぺルジーノの工房に至ることができたのか謎だそうですが、実力があり従順で多くの仕事をそつなくこなしたために多くのパトロンができていました。話では「優しすぎて断れない」性格から女性と(仕方なく)関係していて本人的には腰が引けていた…と描かれてますが実際は大変な女好きだったらしいです。死因の熱病についても性愛が過ぎた為に高熱が出た(性感染症)のを医者が誤診して瀉血の治療を施してしまった為に急死したとの説もあったり…ゲフッ!(ちなみに本当に37歳の誕生日に死んでいる。)そんな訳でこの話のように優しく清らかな精神を持っていた(それでもヤルことはヤッていましたけどね!)とは個人的には考え辛いのですが…あくまでも「里中先生だけのラファエロ」として読み進めていくことにしましょう。歴史上の人物の解釈はあくまでも解釈した人の主観であって頑なに信じてはいけない、という話です。

 ミケランジェロ・ブオナローティ…名前はミカエル+エンジェル(天使。アンジェロ。)との由来だそうです。話上ではラファエロはミケランジェロともレオナルドとも仲がいい感じに描かれていましたが実際には接触はほとんどなくラファエロの作品にも彼の影響は見られていません。またミケランジェロはかっとなりやすい性格で若いころケンカして鼻を折られたことから容姿にコンプレックスを持ち自画像を残さなかったと言われています。
 作品としては4.34mの「ダビデ像」(敵であるゴリアテ見据える厳しい表情「テリビリタ」が上手いと思った。)が有名です。(ところで何で裸なんでしょうか?)その「バランス」にラファエロも感動していますが、あれはコントラポストという片足に重心を置き左右対称にしないことで躍動感を出すという数百年ぶりに復活された技法なんだそうです。(それまでの絵画・建築物は宗教関連の作品が主に作られていたこともあり両足に重心を乗せた「動きを感じない」表現で荘厳さを出すのが一般的だった。)他の作品としては「システィナ礼拝堂の天井画」(この仕事のせいで首が曲がり、目に絵の具が垂れたことで視力を損なったそうです。)「ピエタ」(死せるイエスを抱きかかえながら嘆き悲しむマリアの像。あの年の息子がいる女性にしては、いやにマリアが若すぎる気がしますが…。)が有名で、やっぱり話中でちょっと紹介されている様によく調べているなあ~と感心してしまいました。

 レオナルド・ディ・セル・ピエーロ・ダ・ヴィンチ…ヴィンチ村のセル・ピエーロの息子のレオナルド、という意味の名前だそうです。私生児として生まれ読み書きの教育を受けなかった左手で鏡文字を書いていたと言われています。「万能人」(ウィモ・ウニヴェルサーレ)と呼ばれた彼はかのチェーザレ・ボルジアの軍事顧問兼技術者を務めたこともあり(8か月で辞めてしまいましたが)彼の絵を模写したラファエロにもその影響がみられるそうです。実力はあったものの遅筆で代表作にも未完の作品が多いことから「こ理屈ばかり並べて、ろくに仕事もしないで。」とミケランジェロからは嫌われていたようです。(ライバル意識ですな。)
 代表作品の1つ「モナ・リザ」については彼が仕えていたミラノ公ドウィーゴ・スフォルツァ(イル・モーロ)の義姉、マントヴァ候妃イザべッラ・デステがモデル(まつざきあけみ先生の「歴史を動かした女帝達」参照。)と言われており「聖母の微笑か?魔女の誘いか?」と絵から受ける印象強さにラファエロが戸惑っている姿が見られます。心理学的にいうと彼女が浮かべているのは「嘲笑」でありしかもカメラ目線なので絵を見ている人間は「一体自分の何を笑っているのだろう?」と落ち着かない気持ちになるんだそうです。(だから学校の怪談で夜な夜な出歩くとか、動物を食べるとか悪いイメージで捕らえられることが多い。)とはいえここまで「気になる」肖像画は他にないでしょうね。あらゆる感情、あらゆる内面を包み込んでいるのかはとにかく「究極の肖像画」であることは間違いないなと私も思ってしまいました。

 マリア・ビッビエーナ…ラファエロの婚約者。とはいえ婚約はしたものの結婚は渋られてしまい、そうこうしているうちに病気で亡くなってしまいました。本の最後の方に「マルゲリータを描いた絵」として登場している「ラ・ヴェラータ」(「ヴェールの女」。頭にはヴェール、髪には飾り物を付けた貴婦人の婚礼の肖像画。)は実は結婚が実現しないまま失ってしまったマリアへの贖罪の気持ちで描かれた絵ではと言われています。(つまりモデルはマリア。…同じ女性を描いたにしては2つの絵から受ける印象が違い過ぎるのが気になっていたのでそう解釈すると納得いきます。)絵から「貞淑で清らかな乙女」という印象を受けますがだからこそ遊び人で名の知れたラファエロには逆に合わない女になってしまったのではないか、と邪推してみたりもしました。結婚を引き延ばしていた理由はどうあれ相手の女性との結婚に気が進まないことだけは真実なので、思えば哀れな女性です。彼女が望んでいた婚礼姿に描いたのはせめてもの謝罪の気持ちでしょうね。(え?漫画上では髪の色は金髪だったって?これは写真が出来る300年以上前の時代の話ですよ?)

 マルゲリータ・ルティ…ラファエロの恋人。(「アテナイの学堂」にもラファエロと同じ高さに白い服を着た女性として左側に描かれている。)里中先生解釈では「自分の気持ちに正直な潔い女性」として描かれています(しかし金の為に銀行家キージの愛人になるのは有りだったらしい…ゲフッ!)が、絵のタイトル「ラ・フォルナリーナ」(裸体の肖像画。ラファエロの死後に見つかった。つまり大事に手元に置いといていた作品でもある。)には「粉屋の娘」という意味以外に「高級娼婦の源氏名」という意味があり、本名マルゲリータという遊女だったのでは?とも言われています。(ビッビエーナ卿が「汚らわしい!」と部屋から追い出すわけです…ゴフッ!)彼女がラファエロの「恋人」(少なくとも1番のお気に入り。)であったことは間違いないようですが「ラ・フォルナリーナ」と「ラ・ヴェラータ」の女性の顔が微妙に違う(髪の色はおんなじ黒髪だけどさ…里中先生の模写を見たって似てなくないですか?)所を見るに「モデルは別の女性」説が余計に信憑性を増してしまうのは私だけでしょうか?1番愛していたのは腕に「ウルビーノのラファエロ」と腕輪をつけていた「ラ・フォルナリーナ」(マルゲリータ。左手の薬指には指輪を塗りつぶした跡もあるという。)のようですがマリアに対しても罪悪感はあったようですし、どっちの絵を先に描いたのかは不明ですがマリアへの罪悪感から「ラ・ヴェラータ」をマルゲリータとの愛の記念から「ラ・フォルナリーナ」を描いた(裸の絵である辺り2人が親密というか裸を見せあう仲であったということが分かる。)と解釈した方が個人的にはしっくりきてしまいます。娼婦だということからもこんなに優しい心温かい女性ということは(絵から見えるオーラというか第一印象から見ても)あり得ないのではないかな~と思ってしまったり…ゲフッ!
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