検索フォーム
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード

スポンサーサイト

--.--.--
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

エンバーミング①~⑤

2011.05.02
 世界3大モンスターであるドラキュラ、狼男、フランケンシュタイン(怪物くんの登場人物としても有名。)のうち「地獄先生ぬ~べ~」でも取り上げて貰えなかったフランケンシュタイン(ドラキュラ→女の精気を吸う元気功師、狼男→狼に育てられたとされた少年、とアレンジを加えられながらも2つは取り上げて貰えたんですけどね…。似た系統でゴーレム(ベースは土と水)は取り上げて貰えたんですけどね…。)の話です。妖怪としては最も神秘性から遠く人間性に近い存在である事から話を作ることが難しいと思われるだけに新境地を感じたものでした。

 ヒューリー・フラットライナー…「この復讐は俺のモノだ。それで親父やお袋、ここで殺された人達が生き返る訳じゃないけど、それでもやらなきゃ俺はこの先一歩も進めやしない。人造人間(フランケンシュタイン)は殺す!全て殺す!」

言う事が怖いレイス曰く、ヒューリーの怖い部分は「顔だけ」で性格の方はエーデルやシェイド以下屋敷の皆とも仲良しの「人好きのするお兄ちゃん」だったらしいですが復讐街道一辺倒の話の展開に「この主人公、怖いですよ…。」と引いてしまったファンもいたらしく(特にライトポップな「武装錬金」(明るく前向きな主人公)以降からのファンはギャップに苦しんだらしい。「るろうに剣心」から読んでいる私は多少グロイ・怖い・暗い展開もこの作者は描くことを知っているから許容範囲というか心の準備は出来ていましたが…。)彼の人間味(優しさも思いやりも人一倍あるいい奴)を描ききれなかったのが反省点だと作者もキャラクターファイルに書いていました。その後もエルムちゃん(赤の他人)の面倒を見たり、根が良い奴(でなければ既に死んで何も言えない人間の為に、何の得にもならない復讐なんてしないだろう。)であることは確からしいですが、だとしたらビジュアル(見た目)でかなり損をしているよな、この人…と変な所で同情もしてしまったメインキャラクターでした。

 シェイド・ジェイソン…ワイス卿「一文無しだったお前の子供が流行り病で苦しんでいるのを看たのは誰だ?私だ!高値な薬を使って痛みを和らげてやったのは誰だ?もちろん私だ!キチンと埋葬して墓を立てて弔ってやったのは誰だ?やっぱり私だ!一身一生を捧げてでもこの恩に報いると誓ったのは誰だ?お前だ!!」

彼がワイス卿に傾倒して「育ての子」であるヒューリー達を殺そうとしてまで「エーデルを取り戻すこと」に協力したのは同じ「本当の我が子を失った痛み」を知っているから(そして悲しい話だが所詮「偽物」は本物の代わりにはなれなかった。誰だって誰の代わりにはなれないというのは真理だが、その「本物1人」の為に他の人間を犠牲にするのはもっと間違っていると思うぞ。)という理由があっての行動だったそうです。が、その為に邪魔者として殺されかける羽目になった育ての子にしてみれば、いい迷惑な話(そもそもヒューリー達が孤児になったのも「実験素材の調達」の為に彼らに親を殺されたせいで、運命を狂わせたのは全部こいつら。)で、ちょっと共感はしきれなかった今までの経緯でした。挙句に、その育ての子らの扱いに関しても差があった(ヒューリーに対しては期待をかけて強い男に育て上げたが、レイスに関しては最初から見込み無しとして期待(試すこと)すらしなかった。)様を考えるとやはり「親」としては間違っていたな(そもそも育てた子(血の繋がりの無くとも我が子)でも邪魔するなら殺すってどうなんだ?)と思えて、改めてヒューリーとレイスの2人に同情してしまったものでした…。

 エーデル・ワイス…「どうしたの、ヒューリー?何で泣いてるの?ひょっとして初めての都会がちょっと怖い?…どう?こうやってギュッとすると少しだけ怖い気持ち、和らがない?」

本来、顎で使う(つまり口は使わない)はずの使用人と平気で口をきくわ、深夜の回廊を1人でふらつくわ(そんなはしたない真似、淑女はしない。)レディ(誉れ高き子爵令嬢)というよりは、おきゃんな町娘と言った方がピンとくる女性になり果てている様に(そりゃ社交界デビュー前から深刻に嫁き遅れの心配もするだろう。こんなお子ちゃまを「妻」にしたら上流階級で恥をかく事は必至です。)それを放置して好き放題させている父親(普通は鞭で打ってでも礼儀を叩き込もうとする所。娘は必ず泣く羽目になるが、礼儀作法を知らない事で嫁いだ先で血の涙を流すのも、また娘自身なのだ。)に疑問を持っていたのですが、それは人造人間(フランケンシュタイン)化した時に記憶も人格もどうせ飛ぶから、本格的な教育は「理想の姿」(黒い瞳のエーデル)になった時からで構わないとわざと放任されていたという恐るべきオチに思わず背筋が寒くなったものでした。1人「お嬢様」として恵まれていたけれど、それは代償を期待しての意図だっただったと分かり、ちょっと同情もした女の子でした…。

 アザレア・ミレー…「そうよ。資産階級(ブルジョワ)の御曹司も、訳有りの金持ちそうなお嬢ちゃんも、一回10ペンス(千円)で尻を触ってくる酒場のオッサン達も、小金持ちはみーんな私のカモ。アザレア・ミレーはセコイ人よ。」

まあ、確かに聖女とは言い難い女性だけれども、悪ぶっているのは「自分を下げて相手に嫌われる」為(それで「自分が手に入れられるもの」はせいぜい小金くらいで、彼の幸せの為に愛も住む場所も全てを失いながら身を引いている。)という物腰とは正反対の隠れた優しさに、だから成金息子のフィリップも惚れたのだろうと納得がいった女性でした。元々、婚約者のフィリップの家も「衣食足りて家名を欲す」というくだらない理由で、貧乏でも「貴族」の娘を彼に娶らせようとしていただけ(正しくは「衣食足りて礼節を知る」。人間は物質的に満たされて初めて相手への思いやりが持てる余裕が出るという意味だが、彼の父親はそれで満足せずに息子の人生を利用してまで地位を得ようとした。)ですし「人情的に」考えれば間違っていると同時に馬鹿げている話に長男フィリップは辟易していた事から今回の駆け落ち騒動に到ったそうです。が、逃げてばかりでは根本的な問題は解決しない。2人できちんと立ち向かった展開に好感を持った話でした。(ていうか次男もいるんだしイギリス元皇太子のエドワードとウォリス夫人のように廃嫡して弟に任せる選択肢もあると思うのですが…。)

 メアリ・ジェーン・ケリー…ヴァイオレット「私、知っているのよ!離婚された腹いせに父さんから攫うように屋敷から私を連れ出した事も!そのくせロンドンでは育児を面倒臭がってゴミと埃だらけの部屋に私を置き去りにしてロクに帰ってこなかった事も!娼館の女主人に私を担保にして借金をした事も!自分がどんな母親だったか忘れたの?今さら何しに出てきたの!?」
ヒューリー「そうだ。確かに生前のメアリはエーデルの言う通りの悪女で、だからこの人造人間メアリは…狂っているんだ。」

確かに恥があったら今さら娘の前に顔など見せられないはずですが、気が狂ってその辺の「常識」を忘れた今の母親(その死に様が室内で2時間かけてのバラバラ殺人だったという内容を考えれば、気が狂うのも無理はない痛い結末だったでしょうね。←他の犠牲者は野外での短時間犯行という事もあり切り裂かれたのは喉だけでミンチにはされなかった。700年も続く伝統行事・シティ市長の就任パレードの時期に合わせて「目立った事件を起こす」為だけにこんな目に遭わされたのだから思えばメアリも浮かばれない女性である。)には「最後に娘に会いたかった」(最後に娘に何かしてやれば良かった。)という思いしか残らなかった様子でした。(生きている頃は見舞い一つ来なかったくせに「死んだ」とたんに喚き出す↑のような人間は本当によくいる。「じゃあ普段からもっと大切にしてれば良かっただろう。」という常識的ツッコミはそこには届かないらしい。)「検死審問」によると生前は「自称25歳で炭鉱夫の夫はガス爆発でなくなり、父親は鉄工場の職工長、兄は近衛歩兵連隊所属」という経歴を吹聴していたそうですが、どれ一つ裏付けが取れず(最も真実であっても「売春婦なんて恥ずかしい娘は家族にいません!苗字がたまたま同じだけの他人です!」と家族は否定するだろうが。)メアリの経歴は「全部デタラメかもしれない」という解釈からこのようなドラマを成り立たせた展開には思わず舌を巻いたものでした…。

 切り裂きジャック(ジャック・ザ・リッパー)…ピーベリー「こいつは下水道を住み家にしていて逃げ道に精通していた。その上。元々の身体能力も高く警察に一度も捕まる事は無かった。結局の所こいつの最後は周辺住民の手による私刑(リンチ)…」
リッパー・ホッパー「何だ?俺は生き返ったのか?頭がボーッとして良く分からねえ。けど、ただ一つハッキリ分かる。名も無く誰にも知られること無く惨めに死ぬのはゴメンだ。あんな『終わり』は2度とゴメンだ!」

自分の娘(売春婦)を生きたまま解体された人間は職業貴賤を問わず犯人を許さない。下水道どころか地獄の果てまで追いかけて復讐を果たすだろうし、ましてやイーストエンドという英国一安全と程遠い地域では長生き出来るはずも無いだろう(そして、この手の犯人は捕まるか殺されるかして物理的に犯行が不可能な状況に陥らない限り辞めはしない。羊達の沈黙風に言えば「犯罪を犯す事が犯人にとって既に『趣味』になってしまっている」からである。)と犯人が実は人造人間だったというフィクションが加えられたとはいえ、結末にはかなりのリアリズムを感じたものでした。切り裂きジャックが英国中に知れ渡った後に突然「消えた」のは、有名になり過ぎて自粛したというより、事件を知った皆が「証拠は無い」けれど物理的に「奴」以外には犯行が不可能だとしか思えない人間に秘かに私刑を下したから(で、人造人間になるなんて現実には無理だから漫画のように蘇りはしなかった。)と考えると全てに納得がいって、史実とちゃんと辻褄を合せた事と合わせて唸らせて貰った展開でした…。

 レイス・アレン…死体卿「聞けば寒冷地で死んですぐ人造人間になり、調べれば余計余分な機能は一切備わっていない。これまで数多の人造人間を観て来たが、これほど新鮮(フレッシュ)で単純(プレーン)な死体は初めて。失われたエグゾスケルトンの精神を再構築する、その寄り代(生贄)として最高最適故に、彼は特別なのだよ。」

まさか「何の取り柄も無い」という特徴がそんな風に活用できるなんて…と思わぬパワーアップ(と、その代償として死体同然に動けなくなってしまった結末。)に驚かされた展開でした。実の親には虐待されて育った為に復讐に生きるヒューリーみたいに家族を殺されても何の感慨も湧かず(育ての親であるシェイドには育てては貰ったものの「こいつ、ヒューリーに比べらたら出来の悪い男だなあ。」と幻滅されていたので信頼関係は芽生えなかった。子供は虐待されなくても差別されると分かるものなのだ。)「ヒューリーに期待していいのは僕ただ一人!僕の期待に応えてくれるのもヒューリーただ一人!」(なんか、すっごく寂しい人間だな…。)と自分を助けてくれたヒューリーに余計に執着するようになった様子です。が…親に虐待(ネグレクト)されて育って、人造人間に殺されかけて、ヒューリーが一生懸命助けようとしているって、正に今のヴァイオレット(エーデル)の事じゃないか(「エーデル」を殺す事は自分自身を殺すも同然だった。)と自分の「間違い」にここに置いてようやく気付いた模様でした。その結果が自分が殺される事を受け入れる事だとは悲しい話でしたが…。

 余談…「ノック2回はトイレ、3回は知人・友人・恋人など親愛なる間柄、4回が仕事先など礼儀を必要とする場所」でありそれ以上は絶対の殺意だと書いてありましたが、トイレでも「ちょっと!早く出てよ!ドンドコドンドンドン!」と5回以上叩く事はあるし(この場合、微妙に殺意もこもっていますが。)「これはあくまでも一説に過ぎない」という但し書きに納得したものでした。

 追記…ヒューリー(怒り)、レイス(死霊)、アシュヒト(アッシュ(灰)になった人)、エルム(楡の木。花言葉は信頼。)、エーデルワイス(大切な思い出)、アザレア(あなたに愛される喜び)、ヴァイオレット(小さな幸せ)、タイガーリリイ・コフィン(賢者)という花言葉を中心とした名前に、コフィンは「棺」という意味、エルム(楡の木)が棺桶にするのに最も高級な木である事実と合わせて(どうやらポーラールートでは不吉極まりない名前ばかりが流行していた事が分かる。)意味を持たせてある様になるほど!と思えたネーミングの由来でした。
スポンサーサイト

エンバーミング⑥~⑩

2011.05.01
 何故、俺はこんな事をしてしまうのだろう、どうして俺は「普通」に出来ないのだろうと思いながら奴らはそれをする。奴らは動きを止めると溺死する鮫と同じだ。奴らは自分がしている事を分かっている。その結果どうなるのかも含めてな。だが辞められないのだ。何故なら奴らは自分の預かり知らぬ手の届かない所でそうするように仕組まれてしまっているからだ。理由を知っているのは奴らを作り上げた者達だけだろう。「フランケンシュタイン」は架空の話ではない。あれは現実を単に書いただけなのだ…という風に頭のおかしい殺人者を語っている小説「ダイナー」(著・平山夢明)の一説に、同じようにやたらめったら人を殺すイカレた人造人間(元人間)が多く出てくるこの話とシンパシーを感じて色々考えてしまったものでした。(話のヤバさ、救いようの無さは「ダイナー」の方が断然上ですが。)という訳でこっちの話は「死んだ人間にやり直しはきかない」事は同じでも、ある種の救いを持った終わり方で終了です。

 ジョン・ドゥ(正体不明の死体)…アシュヒト「お前達、結婚するんだって?こいつはプータローだぞ!なのに奥さんの方まで仕事辞めちゃうって、アンタら、これからどうやって生活していく気なんだよ!?」

仕事を辞めるのは個人の自由だが、それは新しい就職先が決まってからの話にした方が良いぞ(特に草刈りや土木作業などの汚れ仕事を全部、人造人間に押し付けて、人間の手間が無くなっているこの町では肉体しか取り柄の無い夫・ジョンは半永久的に無職(プータロー)から脱出できないだろう…適した仕事が無くて。)と思わず奥さん(ヒルダ)にもツッコミも入れてしまった2人のロマンスでした。グロイ描写にも暗い展開にも「るろうに剣心」で耐性はついていたけれども、まさか「事後」とはいえ思いっきり「思わせぶりな描写」(素っ裸での起床。ジョンの方も真っ裸で風呂から出てきたし、もはや「誤解」のしようは無い。)を、あの和月先生が描かれたのに驚きながらも、この「人好きのするお兄ちゃん」の幸せに素直に拍手したものでした。おかげでエルムちゃんをぶち殺して蘇った非情な殺人鬼と化した「現在のジョン」は対比と合わせて、あんまり好きになれなかったりしています…。(それにしても、ジョンが法廷に立っている時といい、ヒルダが印つきとして牢獄に入れられている時といい、パンツくらい与えてやれよ、ポーラールート!と別の所でツッコミも入ってしまった過去編でした…。)

 トロイマン・ワーグナー…ワーグナー「ポーラールート崩壊、その原因は色々あろう。だが、その一つが職務を全うできなかった私の非力。もはや誇りなど欠片も無い。だが親の代から受け継いだ理想郷を次の代に引き継げなかった身として、せめて生き残った市民だけは無事、外の世界に…。」
ジョン「アンタ、真面目だねぇ。そんなんで人生楽しいか?」
ワーグナー「…そうだな。楽しくはない。だが、充実している。」

10年前のその時は、日本の警察と同じく自分の立場を守る(職場の椅子を温める)事を優先して、本来の使命である弱者(女子供)を守る事さえ仕事を言い訳にしてなおざりにしてきたけれど、バカ男時代のジョンの単純明快な行動(自分はバカですら行う「男として当たり前の行動」すらやっていないという現実。)、そして保身大事に行動した結果、結局、理想郷崩壊時に何もできなかった責任を感じた事も有り、彼も変わった様子です。(犯人探しは興信所、罰をあたえるならヤクザという定説まであるように、最早、民間企業にすら劣っている「日本警察の皆さん=正義の立場にいながらデスクワークを言い訳にして交通違反のノルマ以外は何もしない寄生虫」にも見習ってほしい位だ。)もう故郷も職場も立場も無くなっているのに、使命(弱者を守る)の為に命をかけて散った最後には、知らず、感動してしまったものでした。おかげで「かつてのジョン」も一瞬だけ目を覚ました様子(そのまま一瞬で消えなきゃ良かったのに。)ですし、変わり果てた「現在のジョン」にも感じる物が有ったのでしょうね。

 タイガーリリイ・コフィン…ヒルダ「どうせ最期だ。自分の記憶も自身の存在も自分自身で選べばいい。」
タイガーリリィ「そうだな。私は人造人間タイガーリリィ・コフィン。統率のナンバー2だ。…さあ、約束を果たせ、先生。」

起動した後の思い出は全部、嘘偽りで、あれほど慕っていた死体卿からも「便利な手駒」として扱う為に騙されていただけだった…それでも騙されていても楽しかったというか「統率のナンバー2」として頑張ってきた自分の気持ちには嘘偽りはなかった(「嘘がどうした!偽りが何だ!幻だってかまわない!それでもあの時感じた夢のような心地こそが私が始めて感じた幸せだったんだ!」byリリィ)それが胸を張って言える彼女だけの真実だったのでしょうね。そして戦った結果、ジョンに半殺しにされ、アバーラインにも情けをかけられた(プライドが高いだけに「自分はもう、こんなコミカル系の雑魚にまで同情されるレベルに成り下がってしまったのか。」という状況は辛いだろうな。)という展開に、何だか可哀想になってしまった女戦士でした。最後は信頼していた先生に看取って貰えたのが救いでしたが、生前の彼女が言っていた通りに「たとえ下等でも人間として生きた方がマシ」だったと思うと切ないです…。

 ヒューリー・フラットライナー…「どうやら終わりが来たようだ。もう思い残すことは無い。もう安らかに死なせてくれ…。」

御大登場…とはいえそもそもポーラールートとは全く関わりの無い人間で、本人の話(レイスとの愛憎劇)も既に終わっているし、後半に置いてあんまり重要性を感じられなかった3主役のうちの1人でした。(それでも「全く関係の無い他人の事情」の為に魂を使い果たしてまで戦ってくれる辺り、この人はやっぱりいい人なんだろうな。)仇を撃つ事も出来ず、友人(レイス)も救えずに殺されて驚愕と絶望の表情で死んでいた生首ヒューリーが、やれる事は全部やれたと心から満足して笑って死ねた(奇しくもエーデルを殺した人造人間に復讐を果たす事もできたし、ヴァイオレット(本物エーデル)の命も救う事が出来た。)様には、同じ生首の姿とはいえ拍手した終わり方でした。最終ページではエーデル、レイスの墓と3基微妙に離れた距離(何故あんな斜めの向きに…。)で同じ土地に眠っている様子ですし、彼の人生が幕を閉じた後ジョンが残り僅かな人造人間を倒して世界は元通りになった…という事なのでしょうね。

 エルム・L・レネゲイド…アシュヒト「エルム…このまま本当に君を黄泉返らせる事が出来ても、ボク(12歳の私)がもう此処にいない。あの日からの続きは、同じ歳月を歩む事はもう出来ない。過ちはそのままに…僕達はもう2度と、会うことはできない。」

共に歩む歳月が記憶と人格を作り、魂や心を育むのならば、あの日、喪ったエルムとは共に歩めなくなった時点でとっくに終わっていたんだ…というどうしようもない真理に10年も経った今更になって悟ったというのは思えば痛い展開です。(いっそ本物エルムの方も人造人間化して両手に花の展開にしてしまう、というのはやっぱり無しなのか。)とはいえ、それまでずっと人造人間エルム=人間エルムのなれの果て(肉体は同一)と思っていただけに、まさか死体卿の言う通りに本当に「2人いた」とは思わず、アホの子の方が選ばれた展開(まあ、あれだけアシュヒトの事を想ってきた子が利用価値が無くなったからという理由だけで捨てられるのは読者も許さないだろうが。)と合わせて驚かされたものでした。惜しむらくは人造人間の方が選ばれたにも関わらず彼女の方も余命いくばくも無いという点でしょうか?眠るように苦しまずに死ねるし、死後も友達(人間エルム)が待っていてくれているのが救いですが、色々切なく感じてしまった終わり方でした…。(それにしても、まさかの「女の友情エンド」とはね…。)

 大創造主ゲバルト・リヒター…「家族が欠けた…もう2度と元には戻らない。私の楽園が失われてしまった…。今度こそ私は揺らいでしまうのか…?否!しからば心機一転!新たな家族を作って、新たなる私の楽園を目指せば良いのだ!」

うわ、立ち直り、早っ!と、その百面相と合わせて思わず吹いてしまったアシュヒトのお父さんでした。病気(寿命)で亡くなった妻を10年も忘れずに想い続けた(普通だったら死後1年位で周りの友人も「そろそろ次の人の手を取ってもいいんじゃない?」と勧め出し、とっくの昔に再婚している。)辺りの一途さは息子に通じる所があるのでしょうが、本当に相手の事を思うのなら生前の彼女(母)の遺志通りに「年月を重ねる事も、成長する事も出来ない死体」として生きるのは「幸せ」ではないだろう(だからって亡骸を傷つけるのはやり過ぎだと思うが。)と意見が別れた父子の相違です。才能がありながらも好きにはなれなかった創造の仕事(「お前、つまらなさそうだな。」「つまらんよ。こんなの粗大ゴミを組み立てているようなものだ。」とトートと会話している通りのただの器用貧乏。)から察しても彼にとって妻のダリアが全てだった(妻と一緒に過ごした日々が「楽園」(エデン)だったって…。)が伺え、10年以上追い求めた夢が息子同様に叶えられずに終わった様には、思えば悲しい人でもあったなと同情もした大創造主でした…。

 死体卿トート・シャッテン…トート「人間に興味は無いんだ。僕と仲良くしたいのなら、一緒に暮らしたいなら、死体にならなきゃ。…分かっている。僕は死体に生まれたかった。」
ジョン「じゃあ死ねよ。死ねば、てめえの周りに生きてる奴は一人もいねえ。死んだ奴しかいない、お望み通りの死体の楽園だ。」

ジョンの言うとおり「死体になりたい」のなら今すぐにでも首を括れば願いは叶うでしょうに、周り中の人間を巻きこんで、その為に大量の死者も出した様(死ぬなら1人で死ね!)には、結局こいつが願っていた事は「自分を王様とした、何の文句も言わない人達(死体)にかしずかれる国」を作る事だけ(それは妄想だけで済ませて下さい。)で、本気で死にたいとも、自分の異常性を改善しようとも考えていなかったんだ、というゲスな本音が垣間見えたものでした。大創造主ももっと助手にする人間は選んでほしかったというか、律儀に彼との約束なんか守らずに死なせてやればその後の犠牲者は出なかったでしょうに(そして素体の誤魔化しも「死人に口無し」でバレる心配は無くなったでしょうに。)気違いが2人して選択を誤りまくったせいで起きた悲劇には、もう涙するしかありませんでした。おかげで駆け足で死んでくれた最後がとても小気味良かったです。

武装錬金①~⑤

2011.04.21
 「一つの物語を強烈に好きだと思ってくれる気持ちは素晴らしいと思うけれど、それ以外は認めないというのは本当に残念。」みたいな事を作者も言っていた事からも分かるとおり、読者はまだまだ「和月先生=るろ剣」の気持ちが強く、しかも連載時期が「鋼の錬金術師」の人気最盛期と被った(最も被っているのはタイトルだけで内容は全く別物なのだが、中身をよく読まずに混同する人間は多かったらしい。)こと、支持してくれる読者層の年齢が高かったこと(要するに「アンケート葉書」を出すのが恥ずかしくなってくる年頃の中高生以上。)などなど色々な不運・不幸が重なって連載はわずか9巻で打ち切り(そして作者の根性から連載終了直後に60ページもの読み切りで補足完結という異例な事態が起こる。かの「思春期未満お断り」が打ち切りになったのに「じゃあ読み切りの形でいいですから、このキャラクター達を描かせて下さい!」と続編をねじ込んだ渡瀬悠宇先生みたいだ。)となり、ネットの評価に反して「面白い」と思えた自分としては作者が納得いくまで連載を続けられなかったのは本当に残念な結果だな、と人気投票(葉書)だけで判断する編集部のやり口に嫌悪感を改めて感じながら読み進めた本でした。日本一の発行部数を誇る雑誌上で生き残るには「ほどほどの人気」でなく「物凄い人気」でないと続けられない(実際、別の雑誌だったら連載はもう少し続けられたと思う。)のは分かるけれど、それで連載が続いている他の作品が流しそうめんみたいに内容がグダグダになっている事を考えると、あんまり褒められたものでもないよな、と認識を新たにもしたものです…。

 津村斗貴子…「帰れば元通りの世界。来れば戦いの世界。自分が住む世界がどちらか言わずとも分かるだろう?君は来るな。来てはいけない。妹と一緒に帰りなさい。」

昨今ツンデレに名を借りた理不尽な暴力ヒロインが多い中、攻撃力が高い(その気になればギャグで誤魔化した暴力が振るい放題な)割に、最も暴力や苦労を押しつけやすい対象であろう主人公に↑の言葉で自分と巻き込まいとし1人で戦う様にはこの人は「優しい大人」だと戦い方のスパルタンぶりに反して登場初期から好感を持ったバトルヒロインでした。(最もこの辺は「最近は『暴力ヒロイン』が嫌われる傾向にあるから。」という作者の配慮も根底に有ったらしいけれど。←「NARUTO」のヒロインのサクラなんて男にも女にもワーストトップで嫌われているしな…ゲフッ!)顔の傷といい(それは「るろうに剣心」の主人公の特徴…。最もるろ剣の方では主人公を描いたら「女の子」になってしまった為に男だと判別をつけられるように敢えて十字傷を入れたらしいが。)性別が逆だったらこの人はきっとカズキを押しのけて主人公を張っていただろうと実感も出来た、女の子の割には存在感が滅茶苦茶あるヒロインでした…。

 武藤カズキ…「オレ、頑張ったんだ。でも…オレ、偽善者なのかなぁ…。」

第一話で早くも見ず知らずの女の子(斗貴子さん)の為に尊い犠牲となり(第一話から死ぬ主人公というのも珍しいよな…。)妹・まひろの遅刻減点まで引き受けてなんていい子なんだろう…と昨今の少年漫画には珍しく周りの人間思いな様に思わず感動してしまった主人公です。(その純粋培養された性格が悪人には癇に障るらしくパピヨンには「綺麗事ばかり言う偽善者」(「一番嫌いなタイプだ。」byパピヨン)とまで言われてしまっていますが…。)しかし良い子過ぎて逆にアクが薄く感じるのか、イロモノ代表のパピヨン以下濃過ぎるキャラクターが周りに集中してしまっているせいか(多分後者だな。)人気投票ではヒロインに負けてしまったり、ネット上でも存在感があまり無い主人公(だから周りが濃過ぎるんだってば!)と評されていたり、辿る運命の割には(主に「るろうに剣心」との比較もあってだろうけれど。)結構な言われようで、ちょっと同情してしまったものでした。いかん、頑張れカズキ!(和月先生風に。)

 パピヨン(蝶野攻爵)…蝶野「自分はのうのうと生き返って、お前は俺にこのまま死ねと?病という運命を受け入れて死んでしまえと?」
カズキ「で、作ったホムンクルス一体につき一人の犠牲だけで20人。エサとして更なる犠牲者…犠牲者だらけだ!」
斗貴子「死んでしまえ!」

最初に出てきた猿のアジトにも相当数の人骨があったし、ホムンクルスの素体にされた人間の精神(魂)だって潰している事を考えると何、一回死んだ事で綺麗に清算されたかのようにふるまっているんだ!とツッコミを入れたくなる位の大量殺人者なのですが…正直ここまで我を通して、周りからの非難も屁とも思わず、たった一人になっても一切の迷いも持たずに目的に向かって邁進するその姿勢はいっそ好感が持てると逆にポイントが高くなった主要登場人物でした。(個人的に。)親分風気取りながらも「取り巻きがいないと何もできない人間」(偉そうなことを言っているけれど何をやるにもパシリ任せで「自分」では何もできない人間。)はよくいるけれど、どこにも味方がいなくても自分を貫ける信念の人はなかなかいない(たとえその信念が「他人を糧とする事をも厭わず、己が生き延びる為だけに独走する」という間違ったものであっても、そこまでする根性とエネルギーは見上げたもの、というか…。)とその信念の強さだけは買ったものです。(「善でも、悪でも、最後まで貫き通せた信念に偽りなどは何一つない!」byブラボー)結果としてカズキにやられて死んだはずの彼がしゃあしゃあと生き延びた事に関しては賛否両論ありそうですが、これでカズキは「偽善者」になっても「殺人犯」にはならずに済んだ訳で個人的には色々な意味で嬉しかったのですが…あの胸板ほぼ見えのパピヨンスーツといい、パンツ一丁姿(しかも黒ブリーフ)といい彼のセクシャルバイオレットなオシャレについて行けなかった読者も結構いた様子で人気もあった反面、彼を恰好だけでキモい!と判断する読者も多かったらしいです…。(そんな個性的な所が大好きだったんですが。)

 鷲尾…鷲尾「創造主は私の命の恩人。一度死んだ私に新しい命と力を下さった。今、その方の命がかかっているのだ!邪魔立ては許さん!」
カズキ「蝶野はお前達を実験材料としてしか見ていない。他人の命は全部ないがしろにして、死ぬ恐怖から免れて自分が生きる事しか考えていない。」

「死を恐れる」のも「生きたいと願う」のも生物の本能で創造主の行為は間違っていない!(他人を蹴落としてまで自分が生きたいというのが人間の、そして生物全ての本能だ。)というのはある意味では正解でしょうが…それよりも何よりも自分が創造主にとって実験動物並のどうでもいい存在だという事実関係(「目的を果たせないなら、ただの役立たずだ。」by蝶野)に思う所は無いのか…と涙ながらにツッコミを入れてしまったものでした。(「そんな奴でも命の恩人である事実に変わりは無い!」って言いそうだけどね…。)ちなみに元々の人間版鷲尾はひ弱な蝶野を鍛える為のトレーナーで別に何も悪い事はしていなかったのに逆恨みでホムンクルスにされたそうで(というか蝶野作ホムンクルスの犠牲に選ばれた人間の大半はそんな感じだな…。)人間側も動物側もどっちも哀れな扱い方をされたな、と密やかに同情したキャラクターでもありました…。

 蝶野次郎…「蝶野の家に生まれたのに1年遅かっただけで後はずーっと『兄さんの予備』扱い!名前だって曾々爺ちゃんにちなんだ由緒ある『爵』の一文字をつけて貰えず至って普通!兄さんが発病するまで、僕がずーっと地を這うイモ虫だったんだ!」

良かったじゃん、「次爵」とかのS極やN極がついているような石の名前(それは磁石だ。)じゃなくて、普通に無難に「次郎」という名前で…というツッコミは彼には届かないらしいです。とはいえ兄貴よりも出来が良い成績を修めていれば、あの父親の事だから、もっと早くに次男を格上げしたでしょうに(最もIQ230の化け物並の頭をした兄に打ち勝つのはまず不可能だろうが。)「普通の生活」に文句を言いながらも、枠からはみ出てまで人並み外れた事を成し遂げようとはしなかった…辺りが兄に負けた部分なのだろうなと頭以外の部分でも敗因が見えた弟君でした。ちなみにパピヨンが言っている彼の味の評価(「悪魔のように黒く、地獄のように熱く、接吻のように甘い…これが人間の味か。」byパピヨン)はフランスの元外相タレーランの「美味しいコーヒー」を評したセリフだそうで「そうか、次郎君はコーヒー味か。言われてみれば確かに『ブラック』な子だったもんな…。」と妙な納得もしてしまったものでした…ゲフッ!

 ドクトル・バタフライ(蝶野爆爵)…「パピヨンは蝶は蝶でも、私と違い1人では高くも遠くへも飛べない出来損ない。それでも一応はホムンクルスだから私がお情けで『保護してやってる』のさ。」

ヒントを貰いながらも独力で研究を完成させた曾々孫・パピヨンの成果を認めてくれた…訳ではなく、助けてくれたのは修復フラスコの効果を証明する為の「実験素材」に使いたかったからで、仲間に引き入れてからも決して信用した訳ではなく見下していた(「所詮アイツは私の研究を使いながらも不完全なホムンクルスにしかなれなかった愚図。」by爆爵。)というのが、パピヨンの痛い所です。(所詮、あの親父と弟に連なるDNAを持ったご先祖様だからな。「エリート街道を外れた身内」は評価に値しない存在なのだろう…。)結果として「飼い犬」に手を噛まれた(どころか下剋上を果たされた。)のも逆に見下されたのも納得の展開でしたが…それよりも何よりも鬚といい、服といい、この一族のセンスの悪さ(ある意味で個性)に度肝を抜かれたお爺ちゃんでした。パピヨンも見下されながらもオシャレな服だけは気に入った様子(以来、アレが彼の一張羅となる。)で、やっぱり血筋なのか…と改めて頷かせて貰ったご一族でした…ゲフッ!ちなみにドクトルはドイツ語でバタフライは英語だけど、ついでに言えばパピヨンはフランス語だけど、気にしない、気にしない…。(「お願い、気にしないで…。」by和月先生)

 早坂秋水&桜花先輩…桜花先輩「私達の望みはたった一つ。ホムンクルスになって死ですら別てない命を得て、2人だけの世界で共に生きていくこと…。」
斗貴子「言いたい事はそれで終わりか。自分達が一番不幸だと思っているのなら別にそれで構わない。だが、貴様達がホムンクルスになって人に不幸を振り撒く真似は絶対に許さない!」

比べてみれば、偽物(誘拐犯)だったとはいえ「母親」と温かい家庭を営んだ記憶があって、実の両親に疎まれながらも「普通の家」で暮らすチャンスもあって(逃げ出したのは双子の勝手。冷静に考えれば母親に「あんな女が3年も育てた子達なんて、もう私の子じゃないわよ!」と言われる「罵声だけで済む生活」の方が、脱落すれば食われる「子飼いの信奉者」となるよりも幾分は得だったろう。)双子の片割れである「身内」も生き残って側にいる…辺りは一家全員どころかご近所の人達まで食われて、その精神的ショックから家族との記憶まで失くしてしまった斗貴子さんよりは不幸ではないのでは?(後は赤ん坊の頃に家族を食われて「家族との記憶」すら作れなかった錬金戦団の剛太とかね…。)とツッコミも入れてしまったものでした。秋水先輩の得意技が逆胴(左胴。「本来なら侍の二本差しが邪魔して斬っても致命傷にはなりにくい箇所。現代剣道に於いてもその辺を考慮に入れて最も判定が厳しく一本が取りにくくなっている。けど裏返せば相手が最も油断していて上段者にとっては絶好の狙い場所にもなり得るとか。」by六舛)だったり、剣道関連の技が出て来た辺りはやっぱり「るろうに剣心」の作者なんだなあ~と微妙な所で嬉しくも感じたもので、最後「2人だけの世界」から互いに違う道へと歩み始めた辺りは成長したのでしょうが、高校生にもなって武者修行の旅に出るのはどうなのか(それはそれで良いけれど、いくら腕を上げても剣道で食ってはいけないよ…。)大学へ進む道を選んだ姉の方が腹黒い分、きちんと将来を見据えた選択ができていたな、と進んだ道の違いにも頷いてしまった2人でした…。

武装錬金⑥~⑩

2011.04.20
 「これが自分にとっての最後の少年漫画作品になるかもしれない」と考えてやりたいと思っていた事のありったけをぶつけた一年半、体力の消耗が激しく一冬に4回も風邪を引いたとか、疲労困憊のあまり約30年ぶりに寝小便を漏らしたとか(サラ金で働く女性があまりの疲労とストレスでトイレにも行けず、紙パンツを履きながら過ごし、遊ぶ余裕なんて無いせいで友達も、そして彼氏もいなくなったという話を思い出しました…。)打ち切りの報せを聞いて、誰とも会いたくなくて一晩だけ箱根の温泉に逃げたとか、それでも何が何でもこの作品は最後まで描きたいとあがいて60ページを超える読切&描き下ろしの形で何とか終わらせた事とか、読んでいると血の叫びが聞こえてきそうな後書きと共に、作者が本当にこの作品を愛してくれていたことが伝わってきて、何と言うか感慨深い思いが込み上げてきたものでした。(そしてやっぱり漫画家は「ただ漫画描くのが好き」な程度ではなく「この人にこのまま漫画を描かせていたら心身共に限界を迎えて死んでしまうのではなかろうか?」と思われるほど「必死になれる人」でないとなれない物なんだなあ、と改めて感じたものでした。)そんな訳で良い意味で「イロモノ」だったこの作品(変態ばかりが目につく作品ではあるが、それさえ気にならなければ面白い…はず。)もいよいよ(残念ながら)完結です。

 津村斗貴子…「キミが死ぬ時が私が死ぬ時。いや…キミと一緒に生きていく。もう離れない。キミと私は一心同体だ。」

本当はこのシーン、ヴィクターとシルバースキンが抱き合うという非常にむさくるしい絵(正しくは、怪物化したカズキとシルバースキンに身を包んだ斗貴子。)になるはずだったのですが、↑のセリフの元でラブラブマックスになる場面でそんな絵はアウトだろう(いくらコメディと言っても外し過ぎるのもいかがなものかと思う。)という良識的な判断から制服を着たカズキと斗貴子という「イメージ画像」で送られる事となりました。(「え~、裸じゃないの~?」by黒崎先生)雑誌終了時にはカズキの唇を奪い(注・合意の上です。)読み切り(補足完結)版の扉絵ではウエディングドレスまで着て(結婚かよ!)幸せに終わっていた彼女。この物語は日常を奪われて「非日常の世界」(戦士の世界)の中で生きてきた彼女がカズキと手を取って「日常の世界」に戻っていく話でもあったそうでバカップルぶりと合わせて素直に祝福出来た終わり方でした。おめでとう、斗貴子さん!

 武藤カズキ…「オレが皆を守るから、誰かオレを守ってくれ…!」

随分とパワーインフレはしたけれど(インフレが過ぎて危うく人間を辞めた存在になり果てる所だったけれど。)この子の内面はやっぱり初めて登場した時と同じ「普通の心の優しい男の子」のまま(斗貴子達「戦士」のように元々の精神がスパルタン的に「強い」訳ではなく周りの人達の為に、ただやせがまんしてるだけ。メンタルは実は一般人並み。)なんだなあ…という妙に当たり前の事を実感させてくれたセリフでした。(「俺が皆を守る」けれど、本当は「俺だって怖い」のね…。)それがヴィクターでもパピヨンでも、誰でも彼でも救いたいなんて甘っちょろい理想論ばかり言うのに不快な所が全然無いのは、当の彼の人の良さに起因する事でもあるのでしょうね。(パピヨンには「前にも増して大層な偽善者ぶりだ。」と言われてしまっていますが…。)最後は結局誰も彼も助かって斗貴子さんまで日常の世界へ連れ込めた、まさしく彼の頑張りが実を結んだ終わり方には拍手ばかりが出た話でした…。

 パピヨン(蝶野攻爵)…カズキ「死んだ命をしっかり弔って、これで全部終わりにしよう。お前の名前は俺がずっと覚えている。お前の正体もずっとずっと覚えている。だから新しい命と名前で新しい世界を生きてくれ。」

ホムンクルスになる人間のほとんどが「嫌々、無理矢理そんな体にされた」(人間の世界に未練タラタラで「出来る事なら人間に戻りたい」その感情が食人衝動として表れている)反面、パピヨンの場合は「自分の意志で心から望んでそんな体になった」(始めから人間社会に何の未練も持たなかったから、別に人間を食べなくても禁断症状が出ない)のでホムンクルスとしては欠陥品(病気の症状はそのまんま。)でも、脱・人間は完全に果たした新しい存在になった様子です。とはいえ「動物実験」の段階までにも数多の犠牲者を出し、超人になった直後には弟以下、何十人と食いまくった後になって食欲が無くなったというだけで全てが許されていいのか?(親殺しでもあるよな、この男。)というツッコミは入ってしまったものでした。2巻死亡時、家族や部下ですら彼の存在を忘れ去っており父親にさえ名前を呼んで貰えなかった(「なあんだ。蝶野攻爵は今夜ではなく、とっくの昔に死んでいた訳か…。」by蝶野)最後を考えると多くの人に愛を込めて名前を呼んで貰っている今は嬉しい限りなのですが、一般的価値観から考えるとそこまで「過去」を捨て去って良かったもんかなあ(むしろ捨てるべきはマスクと衣装だろ!)とも言われている主要登場人物でした。(蝶・素敵な水着といい、彼のそういう突き抜けている所が大好きだったのですが。)

 キャプテン・ブラボー(防人)…「最後まで貫き通せた信念に偽りなどは何一つない。俺の信念は一人でも多くの命を守ること。その為なら仲間(カズキ)殺しも厭わない。俺は悪にでもなる。」

まさかの上司の離反(いや、組織の一員である彼の立場からしてみれば妥当な判断ではあるのだが。)には、それまでの関係が良好だっただけに、海水浴でも良いコンビを見せてくれていただけに(…まさか「最後の思い出」になるように、という嫌な方向での仏心だったのだろうか?)タイトル同様「Say it not so,Bravo!」(嘘だと言ってよ、ブラボー!)と思わず胸の内で叫んでしまった展開でした。その後、和解して主人公達を炎から庇って燃え尽きた(尽きてません!)終わり方には、その回のタイトル「GONE INTO FLAME」(炎と共に去りぬ。)通りに死んでしまったのかと焦ったり…なんだかタイトル通りに踊らされた記憶ばかりが生々しい登場人物です。ちなみに彼のコート(シルバースキン)は実は武装錬金(武器)だったというオチがありましたが「伊達や酔狂でこんな変な恰好をしているとでも思ったか?」「思ってた!」のネタに地味に笑わせて貰ったものでした。(味方にまで…。)

 中村剛太…斗貴子「君と私は一心同体。君が死ぬ時が私が死ぬ時だ!」
カズキ「分かったよ。でも一方通行の一心同体なんかゴメンだ。だから斗貴子さんが死ぬ時がオレが死ぬ時だ!」
剛太「もうダメ。ストロベリー過ぎて…立てね。」

斗貴子さん、公衆の面前でも全く構わずカズキにプロポーズしたのは最高だが「その他大勢」にされた人間の気持ちも考えるべきだ。剛太くん、きっと傷ついたぞ(その前には人工呼吸にかこつけて危うく「目の前」でキスシーンを繰り広げてしまう所だったし…。)と、思わず語りかけてしまった3角関係の様でした…。「恋の為(だけ?)に動くキャラクター」という設定は始めから揺るがなかったものの、当初は惚れる相手は斗貴子でなくカズキの妹・まひろの予定だったそうで(全然接点の無い2人=惚れた理由は一目惚れという顔だけの上っつらな判断でなされたもの…って凄くつまらないし共感もできないから現在の方向に変更されて本当に良かったと思えた。)おかげで初恋だって実らなかったものの、熱い友情の元に立派に成長し、それに周りの女(ちーちゃん)も気づき始めている(大丈夫。本当に良い男は「女1人」に振られても別の女10人にモテルから!←本当か?)現在が、ちょっと嬉しく感じる今日この頃な彼でした。

 ヴィクター…ヴィクター「アレキサンドリア…母さんは、最期に何と?」
ヴィクトリア「ママはいつまでもパパのこと愛していたって…。」

「今」ある白い核鉄は1個だけ。とてもカズキが人間でいられるタイムリミットである25日後までにヴィクター分と合わせてもう一個作れる時間は無い…なら、締め切り伸ばせばいいんじゃんという考えてみれば結構簡単な解決方法(2者択一でなく時間差で一つずつ解決できる問題にした。意外と盲点だが柔軟で役立つ考え方である。)で人間に戻れたラスボスです。奥さんとの再会は果たせなかったけれど(100年以上経っちゃっていたからなあ…。)娘の方はホムンクルス化していたおかげで認知症になる事も無く別れた頃とほぼそのままに親子生活が再開できていますし(これで娘がもし「普通の人間」のままだったら、ヴィクターはせっかく人間に戻るも自分よりはるかに年老いた娘(ババア)の介護に追われ、妻の最期の言葉を聞くどころか日常会話すらマトモに成り立たないという悲劇が待っていた。合掌。)化物のままなのは相変わらずだけれど、共に暮らせる家族が出来て、同じ立場の仲間(蝶野作ホムンクルスの皆さん)も増えて、多分、今の彼らは幸せなんだろうな、と人間社会に戻れなかった点を差し引いても「救いが持てた終わり方」に感じた結末でした…。

 読切「エンバーミング」…リトル・ロゼ「執事さんは随分と人造人間にご執心ですね。マリゴールドが僕達、壊し屋を呼んだ事、博士の卵という僕の表向きの触れ込み、全部死体卿に筒抜けでした。実際にその目で見た人造人間はそれほど魅力的でしたか?主人を裏切って敵に取り入る程に。」

情報ダダ漏れ=味方の中に内通者がいるという事であり、両足を切断されて思うように出歩くことすらできないマリゴールドお嬢様を普通に除外すれば自ずと「犯人」は見えてくる(執事以外の誰にも、そんな真似は出来ない。お嬢様が最後まで知らなかったのが救いだったが、彼こそが自分の両親を売り渡した裏切り者であり、死体卿に良い顔をしてゴマをすっていたコウモリ野郎だった。)という事だったのでしょうね。アフターケアも万全なのか、進んで人造人間に関わる悪人は全滅させるのがリトル・ロゼの組織のポリシーなのか、彼にもきっちりと制裁を加えてくれていた様には心から拍手したものでした。ちなみに元の話(メアリー・シェリー著「フランケンシュタイン」)は天才学生ヴィクトル・フランケンシュタインによって作られた人造人間(名前すら与えられなかった。)が作るだけ作って捨てられたのを恨んで、引っ越し先まで追いかけてきて「一緒に暮らしてくれとは言いません。だから、せめて嫁さん下さい。そうすれば2人仲良くひっそりと生きていきます。」「冗談じゃない!1人だけでも殺人事件を起こしまくった迷惑野郎なのに、これ以上増やせるか!」と決裂し、最後は北極で共倒れみたいな形で終わった…という話なので、主人公ジョン・ドゥが「自分と同じ人造人間の花嫁」が目的というのにも原典を知っている人間としては納得できた話です。(なるほど、生みの親にまで拒絶されて迫害され続けた記憶なんて「失っている」方がまだ幸せかもしれないな…。)そんな原作を知る人間としては関連項目が多いという点で2度美味しい思いを味わえた話でした…。

るろうに剣心①~④

2010.09.20
 ええ~、新撰組の敵が主人公なの~?と設定からして受け付けず弟が夢中で読んでいたにも関わらずスルーしていたものでしたが、その後、新撰組関連の書物を読むにつれ、奥さんがいながら京都で美人姉妹と姉妹ドンブリをした近藤勇局長、美形な顔で行く先々で女とのトラブルになっていた土方歳三(大河ドラマ「新撰組」では「あんな綺麗な顔を殴るなんて…。」「で、何で僕が代わりに顔をはたかれなきゃならないんですか!」と近藤局長が身代りにしょっちゅう平手打ちを喰らっている。)「不細工な女の方が尽くしてくれるから」と選んだ女に「今日で最後だから」と言ったとたん相手の女は事を終えた後自殺していた(のに「で、名前何だったっけ?」と忘れ、現在は他の女・時尾を妻にしている)斎藤一(藤田五郎)といい、会津の悲劇と共に散った新撰組の悲惨な歴史はともかく「こいつら取りあえず女の敵だ!」と新撰組(の性生活)に大いに幻滅してしまった後(今でも好きな新撰組の隊員は女っ気の無かった沖田総司や映画「壬生義士伝」の主人公にもなった奥さん一筋の吉村貫一郎位。思うに最も多感で潔癖だった思春期女子中学生の頃に関連文献を読んだのがまずかったんだろうなあ…。)「ふむふむ、新撰組の敵が主人公ね~♪」と随分と時が経ってから嬉々として手に取ったものでした。で、思いました。「ええ~、主人公が悪の新撰組をメッタ斬りにする話じゃないの~?」と。(時代、明治ですから。幕末に活躍した新撰組は滅んだ後でした…。)

 緋村剣心…山形有明「是非、帝国陸軍の幹部に迎えたい。多くの維新志士がお前の帰参を待ち望んでいるんだ。」
剣心「あいにくですが、絶対に働きたくないんでござるよ。」

流浪人(るろうに)という言葉(造語)だけ読んでみれば聞こえはいいものの、外で働いて金を稼いでくる訳でもなく、家(道場)で師範代(先生)の一人になって家計を助ける訳でもなく、家事に勤しんではいるものの(それにしたって食費はおそらく薫持ちだろうし)現代で言えば立派な二ートである彼の生き様にはその卓越した剣技とは別に「…。」と思ってしまったものでした。血縁でもないのに家に住まわせてくれる薫という家持ち・土地(道場)持ちの素晴らしい女性に惚れられた(28才のオッサンが17歳美少女の自宅に居候→婿養子って勝ち組過ぎる)のが彼の幸運だったでしょうがそれって今で言う所のヒモと違うのか?(女性の地力で食わせて貰って住まわせて貰ってるって…。)という疑問も出て、剣術の腕はカッコイイけれどもそれとは別に生き方はカッコ悪いよなと再度認識してしまった主人公です…ゲフッ!余談ですがこの頃は30間際の男が主人公(その年齢で二ートってどうなんだよ!?)というのにも抵抗がある時代だったんだなあ、と薫や恵さんの騒ぎぶり(「流浪人さん、父の同志だったって事は今おいくつなのかしら…?」「そーいえば…若くても30前後。なのに無職で…?」by読み切り版)にも納得してしまった男でもありました…ゴフッ!

 神谷薫…剣心「拙者は元々神谷活心流の者ではないし弟子を取る気も無いから悪いけどお引き取り願うでござるよ。」
薫「取りあえず入門させちゃえばこっちのものだったのに何で帰しちゃうのよ!15人もいたのに!」
剣心「興味半分のにわか入門者では半年も持たないでござるよ。」
薫「その半年間分の月謝という収入をパーにしといて何を偉そうに語っているのよ!」

全くニートはこれだから…!生活するには金が必要だという当たり前の現実をちっとも分かっちゃいないんだ!)と薫の苦労が偲ばれたものでした…ゲフッ!そんな訳で第一話でこそ木刀を手に剣心と戦ったり千葉佐那(坂本竜馬の自称婚約者)顔負けの剣術小町(バトルヒロイン)ぶりを見せてくれている彼女ですが(しかし剣心が超都合良く来なければニセ抜刀斎兄弟に道場を乗っ取られていただろうが)この子がそうやって「前線で戦った」のは一巻だけで恵編の時も家で料理を作って待っているだけ(その割に料理の腕は今一つ…どころか酷いものだが。)以来一度も「敵相手に戦う姿は見られない」(弥彦に剣術は教えているけれど)彼女の姿に終盤では実は竹刀剣術では全国レベルで他道場経営者(幹部)とも対等に渡り合える実力の持ち主(女だてらに滅茶苦茶強い)という「初期設定」など綺麗に忘れ去っており一話目及び特筆版を読んで「…え?この人って『戦える女性』だったの?」と物凄い違和感を感じてしまったものでした。それは私だけでなく弟も同様だったようで特筆版のあらすじを聞いて「ええ?薫は『戦わない』でしょ?」と物凄く驚いていたのが…記憶に残っています。黒傘事件の時にはもうピーチ姫のように刀衛(大魔王クッパ)に攫われて剣心(マリオ)の助けを待つ「お姫様」状態だったし誰もそんな初期設定なんて覚えていないのでは…?と疑問も出てしまった女性です…ゴフッ!

 明神弥彦…剣心「この人は神谷活心流師範代で神谷薫殿。今から童の先生でござるよ。」
薫「先生って、まさかこの子まで門弟という名の居候(二ート)に!?」

こうして神谷道場に第二の同居人(という名のニート)東京府士族・明神弥彦が加わる事に相なった…のですが上記のセリフからも分かるとおり彼の保護者(という名の月謝を払う人)は既に他界しており、剣心1人だけでも食いぶちが増えたというのに育ち盛り・食べ盛りの男の子まで加わって薫は本当に大変だったろうなあ(そりゃ味噌に米に醤油に塩に買い込む必要があるし、祖父の水墨画も売らざるをえない必然性が出てくるよね…ゲフッ!)と一人で秘かに納得してしまったものでした。スリも辞め、後に始めるアルバイトも逆刃刀を買う為(全部自分のおこずかい)というやっぱり実収入ゼロのこの門下生、酒の勢いで剣を振るって人の腕を折りリベンジ騒ぎを起こした元門下生達(「私刑(リンチ)で木砲をブチこむ菱卍の連中も度を知らねえバカだけど、こいつらはそれ以下の下衆だぜ!」by弥彦)よりはマシだろうけど道場自体の経営は相変わらず大変だろうなあ木砲で壊された壁の修理費も誰が出したんだろう…?)と別の所で同情してしまいました…ゴフッ!

 相楽左之助…左之助「ねえ隊長、四民平等の時代になったらさ、俺、隊長と結婚して相楽って名乗っていいスか?」
相楽総三「左之…いくら『平等』っていっても別に赤報隊は男が女と同様に男と結婚できるようにする事を伝えている訳じゃ…。」
左之助「でも、俺、男同士の結婚が認められるようになるってそこかしこで言いふらしちゃいましたよ。」
相楽総三「…え!?」
            ~後日~
モブA「ニセ官軍、赤報隊一番隊隊長・相楽総三。同性婚認可などと虚言を用いて人心を惑わしたかどにより斬首だと。」
モブB「英雄気取りで維新志士様の真似は構わねえが俺達ホモップルをぬか喜びさせるなってんだ、全く。」

…というネタが同人誌にあり、維新政府の建前と本音(嘘と誠)を最も端的に表した赤報隊事件(1868年、鳥羽伏見の戦いの直後に結成された草莽部隊・赤報隊。諸藩の農民を官軍の味方につける為に「年貢半減令」を餌に人々を釣っていったが、釣り上げた後で財政難過ぎてその約束は実行できない現実に気づいた維新政府は「皆さん!年貢半減令は赤報隊だけが勝手に言っていた事なんですよ~!」と全部の罪(悪)を赤報隊に押し付け口封じも兼ねて処刑した。戊辰戦争真っただ中の時代だった事も有ってあまり有名になれなかった事件であり私の時代の教科書にも載っていなかったマニアックな歴史事項でもある。)を背景にした切ない過去でありながらも↑を思い出して含み笑いばかりしていた思い出があります…ゲフッ!剣心との戦いを経て過去を忘れる為の喧嘩三昧の日々はもう辞めた…のはいいけれど喧嘩屋(仕事)を辞めたことで収入も無くなりそして仲間(二ート)がまた一人増えた展開にはひたすら薫に同情してしまったものです。(一応、住んでいる所は別のようだけれど食事をたかりに来る無駄飯ぐらいの男という現実には変わりない…ゴフッ!)喧嘩屋を辞めるのは構わない、けれど自分の食いぶち位は自分で稼ごうよとツッコミを入れてしまった登場人物でした…ガフッ!

 鵜道刃衛…「維新だ、明治だ、新政府だと騒いじゃいるが、その中身はなんてことは無い、幕末同様の血で血を洗う権力抗争が続いているのさ。人斬りは所詮死ぬまで人斬り。お前がいつまで流浪人などと言ってられるか地獄の淵でみててやるよ。」

戦争の終わりと共に時代は一気に変わったように思える江戸時代→明治時代への変化ですが「時代の変化」はいつだって緩やかに進むもので明治になってからもう10年も経っているからと言って人々の振舞いや考え方までそう簡単にガラッと変わった訳ではない、影では相変わらず幕府時代同様の迫害や権力抗争が続いており「人間は死ぬまで変わらない」(そして自分も人斬り以外の何物にも変われずに死んだ)という彼の生き様にはマッドな反面、少し分かる気がしたものでした。(人斬り抜刀斎に斬られる事を熱望していた辺りも「あの時代に生きた同類」と剣を交えて死にたかったのではないかな、と思えて…。)「人斬りは自分の意志で人を斬る。だがそれは相手を選ばずお偉い方に利用されるだけ」だったのを無視して剣心に挑んだのは生き方は変えられなくても最後は自分の意志の元に生きて死んだ証にも思えて多少、哀愁を感じてしまったものです。剣心に対しては「人斬りは所詮人斬り」(お前だって俺の同じように変われないさ)と随分と嫌味を言っていますが自分をぶち殺した人間に優しい希望に満ちた言葉なんてかけないのが当たり前でその辺りも理解できたものでした…ゲフッ!この人もこの人である意味での維新政府の犠牲者だったのかもしれません…。

 高荷恵…武田観柳「私はいつもあなたを可愛く思っているんですけどねぇ。」
恵「可愛く思っているのは私が作った阿片の利益でしょ。」
観柳「ええ、ですから、そのついでに貴女も可愛がってあげているんですよ。」

確かに情婦(両想い)ではなかったようだが読み切り版の西脇さんと同じく奴にセクハラを受けてはいたようで、一体どこまで何をされていたのか心配になったものの制作秘話によると彼のモチーフとなったのは男色家(ゲイ)としても有名だった新撰組の武田観柳斎(それに倣って観柳もホモという設定だったが話に関係ないので、その設定が「使われる」事は無かった。)だそうでじゃあ女性の恵は毒牙にかかっていやしないな(むしろ蒼紫の方が危険な立場かもしれない)とホッと胸をなでおろしたものでした。自分の所業(阿片作り)のせいで大勢の人が中毒症状を起こして死んだのだから死んで償うべきだというのは同じ人殺しである(むしろ恵の比ではない)剣心自身の「自分の特技(剣技。恵の場合は医術)を生かして役立てて行くのが本当の償いだ」という凄く説得力のある言葉によって回避されていましたが、現在二ートである彼が生き方を説くのもどうなのか、特技を生かす事を否定はしないがお前はまず働くべきではないのか等々ツッコミは入れてしまったエピソードでした…ゲフッ!

 四乃森蒼紫…「仕官の話なら山ほどあったさ。だがそれは全て俺一人だけの事。部下達を見捨てて御頭の俺が仕官など、何故できる?最後の将軍・徳川慶喜のような醜い裏切りは俺は御免だ。」

なるほど5人分の給料を払ってくれる観柳に乗る訳だ…と元は将軍や大名の城・屋敷を隠れて警護する誉れ高い密偵間者(忍者)御庭番衆(実は実在の役職。最も火男(ひょっとこ)のようなビックリ人間ショーにも出れそうな人物はそうそういなかったでしょうが…。)が一般人の、それも虎(金)の威を借る狐状態の性格の悪い男に仕えている理由が分かったものでした。が、結果そんな男に仕えたおかげで残った部下4人共を回転式機関砲(ガトリングガン)で死なせてしまった最期を見るに完全に雇い主を選び間違えたなと彼の判断に「…。」とも思ってしまったものです。仕官の話が山ほどあったのなら部下4人分養うつもりで自分が大黒柱となって働けば良いものを(薫だって男のニートを3人も養ってるんだしさ!)妙な男気を見せるから人生を誤ってしまったんだとツッコミを入れてしまった人物でした。その後、志々雄に仕えている辺り雇い主を見る目が無いのは治らなかったご様子です…ゲフッ!

 余談…3巻読み切り版の話にて「目線と銃口の角度を見てれば弾道くらい読めるさ!」と拳銃での攻撃を避けていた剣心でしたが、弾道が読めてもそれを避けれる早さで動けるかはまた別の話では?(それは既にマトリックスの動き!)とツッコミを入れてしまったものでした…ゲフッ!
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。