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神かくし

2009.05.31
 良い作品は映画であれ、漫画であれ、人の心が描かれている。「無神論者である日本人は、物事を善悪でなく、損得で判断する」(人はそうした明らかでないものを見る能力を失った代わりに、知性を得たのだが。)という大胆な表現しかり、山岸先生の作品にはそのエネルギーがある、という作品解説に私も深く頷けてしまった短編集です。他の本でも「夫の浮気は一生、知らずにいた方が良い。」「女がそんな事を言うから、浮気する夫に良い口実を与えてしまうのよ!」(家族を裏切って悪事を働く事に問題があるのであって、バレないようにすれば影で何をしたって良いのとは違う。)とのやり取りが印象に残ったそうで、話を知らない私としては是非読みたくもなったものでした…。

 神かくし…藤堂「私に弟を失くした12年間があるように、千冬として育てられた京也にも、夫を上意討ちで亡くしたあの女にも、愛憎入り混じった12年間があったはずなのだ。だが、京也、兄とは呼んでくれないのか。」
千冬「あなたの弟、京也は神かくしに遭ったのです。」

結局、血の繋がった家族よりも育ての親…それが仇の息子という復讐の道具として育てられた「千冬」(だが、人1人育てるのはそう簡単出単純な事ではなく、千載一遇のチャンスを目前にしながら「我が子」の命を繋ぎ止めている藤堂を討てなかった母親しかり、2人の間にはいつの間にか本当の親子の絆が芽生えていた。)の出した結論でした。しかし12年間、諦めきれずに探し求めた弟を今度こそ本当に失ってしまっても、今の藤堂さんには新しい家族がいる(婚約者の雪乃どの。内気なだけの印象に残らない娘だったので最初は断ろうとしたが、ドジっ子萌えな部分を発見してからは気に入ったらしい。)辺りに救いが見えて、山岸先生の話にしては珍しく暖かい気持ちで読み終えられた話でした。(いつものパターンだったら主人公は何もかも失って独り寂しく生きていくのが常なのに!)スランプ以来、作風が変わったなと改めて感じた短編です。

 神入山(神かくしPART2)…夏彦「僕の父も子供の頃ここで育ったんだけど、一度も神隠しなんか無かったって。昔は神隠しにあった子が『天狗』に連れ去られて空を飛んだなんてことを話した記録があるから一概に片づけられないけどね。」
友人「そういえばUFOの特集で出演者が言ってたよ、宇宙人はまるで天狗(犬)のように顔が前に突き出ていると。」
夏彦「そうだ、UFOは天狗のように空を飛ぶ…。」
ちえみ「誰が…誰が言ったの!?宇宙人は地球人に好意的だなんて、ねえ、誰が言ったの!?」

この話、SFだったのか…(前にもあったな、このシリアスに見せかけた宇宙人ネタ。)と驚きのオチに恐怖を感じるのを通り越して爆笑してしまった話でした。という訳で前話と同じ神入山を舞台にしながら、神隠しは実はキャトルミューティレィションでしたという意外なネタで絞められているこの話、その後が気になるものですが、Xファイルと同じく尻切れトンボで終わってしまう模様です。(それが怪奇現象だろうと、怖い話で原因まで全てが分かっている話は意外に少なく、こんなものらしい。読者の手に解釈をゆだねられていると言えば聞こえは良いが、釈然としないものが残るのは、フィクションとしてきちんと話を再構成されていない実話の常である。)

 <負の暗示>
実際に有った事件「津山30人殺し」を描いた話です。昭和13年5月に起こった一僻村の大惨事は日中戦争の最中である事も有り、報道を甚だしく規制され、私も映画「八墓村」(金田一耕輔の事件簿)のモデルである人物と知るまでは、その存在自体も知らなかった(本当に映画と同じ格好で凶行に及んだそうです。)事件ですが、今回改めて読んでみて、これって無言電話女よしみつの生き様そっくり(女がゲームにすり変わっているだけで、「遊び」に溺れて「キチンと就職して働かなきゃいけない」という現実の問題を先送りにして犯罪に手を染めている様は、まんま同じ。犯罪者ってどいつもこいつも似たり寄ったりなんだな。)とも感じたので、ここに細かくまとめてみました。

 寺山澄子…春雄「僕、近いうちに教員の資格を取るんだ。通信講座を受けることにしたから。」
澄子「いいわ。先生様になって努(夫)と福夫(金ヅル)から私を奪いに来てよ。」
春雄「…何だ、この問題?こんなこと小学校で習わなかったぞ。」

何で昔から通信講座があるのに皆、塾へ行くのか。それは、先生が傍で見張っている訳でもない、仲の良い友達が勉強する姿に刺激(焦り)を受ける訳でもない、自分だけが頼りの通信講座はよっぽどの意志の力が無い限り続かないからです。ましてや勉強ができると言われていたのも「小学生レベル」の時の話(秀才ともてはやされはしたけれど所詮は「僻村での級長止まり」という井の中の蛙。)であり、学校を卒業して数年も経ち、朝も起きずに一日ダラダラ過ごす生活がすっかり身に着いた今、それが自分の体面の為でもコツコツ努力をする気力は失せていた…という体たらくでした。出来ないと分かっていて「先生様になるのを待ってる。」と言う澄子が憎らしくも感じたそうですが、それは「出来ない」んじゃなくて「やる気が無い」の間違いだろ(それって「ゲーム関係の仕事に就く!」とカッコイイ事を言って、昔はゼミにも受かったけれど、それは所詮「学生レベルの実験段階」に過ぎず、正規に応募してもどこにも受からずに、現在では企画書を書く事すらしなくなった、よしみつそっくりだよ。)と思わずツッコミを入れてしまったものです。そこで才能が無い事にも、その為に努力する気すら無い(その人がその仕事に就きたい情熱なんて、所詮その程度。)のにも気づいたのなら、方向転換して大人しく百姓(就職)すれば良い物を、努力する気も無い夢を題目にその後もニートを続けるのだから、呆れた人間です…。

 岸田栄子…栄子「いい加減に女遊びは辞めて、みゆきとちゃんと結婚したら?」
春雄「みゆきはたしなみを知らない男を立てない女だ。僕が気になるのは…よし子なんか、いいんじゃないか。」
栄子「へえ~、そんなこと考えてたなんて、ちっとも知らなかった。」

常識で考えれば「若い女にうつつを抜かして、すっかり自分を見限った男」と他の女との恋の橋渡しを誰が喜んでするものか(いくら「誰彼構わずのルーズな女達」でも、そこまでお人好しではない。)事は予測がつきそうな話なのですが、世間を甘く見ている彼は「特別な自分が言ってあげた希望」なんだから自分の好感を買う為に、皆(栄子)が嬉々として叶えようと奔走するだろうと妄想すらしていたそうです。結果として「本命」のよし子は他の男の元に早々に嫁がされて、「愛人」のみゆきまで隆の所に嫁に入った顛末(「アンタ、本命はよし子で私とは結婚する気もない『遊び』に過ぎなかったんですって?」「ひ、酷い!ボクは『2人きりの話』として話した(つもり)なのにバラすなんて!」「『酷い』のはアンタの思考回路じゃないの?大体、屋外で堂々と話して、何が『2人きりの話』よ!」って、そのまんま、よしみつのパターンじゃないか!)には、疑心暗鬼にかられる前に、自分のした事、言った事の内容をもう一度よく考えろ、とツッコミを入れてしまった経過でした…。

 寺山みゆき…みゆき「触らないで、汚らわしい!肺病患者は熱のせいで色情狂になるというけど、本当だったのね。そうと知ってたら、アンタとなんか付き合わなかったわよ!」
春雄「色情狂!?そこまで言うのか、お前は!」
みゆき「隆に私の浮気をバラして追い出すように仕組んだら、自分の所に来るとでも思ったの?よしてよね。隆の方がアンタより、ずーっと良かったのよ。」

いや、村中の女(それも人妻だろうが40過ぎのオバサンだろうが誰かれ構わず)に手を出したって立派な色情狂だろ…と野良仕事をサボるのを「怠け病」だと指摘された時と同じく、青筋立てて怒る彼(まるで、やってることはその通りなのに、「二ート」だの「ストーカーババア」だの「図星を指される」と逆ギレする、よしみつのようだな。)を思わず冷めた目で見てしまったものでした。甲種合格(徴兵検査・最高の評価)にもなった隆の方は「別れても~好きな人~」と別居に到っても「未練のある相手」になりえたれど、丙種合格の春雄の方は「やめて、よして、触らないで、カビが生えるわ~」(ビビディ・バビディ・ブーのテーマで。)と夫に捨てられても、そばに寄られるのも気持ちの悪い男(可能性0%、「彼氏はいないが、お前とは付き合いたくない。」という話。)にしかなり得なかった様子で、そこで自分の性格を振り返ってみればまだ救いようがあるものの、周り中の女達から嫌われるのは丙種合格になったせい、丙種合格になったのも胸の病のせい、とどこまでも人のせいにする春雄は、そこまでのレベルになっても懲りなかった様子です…。(アンタが皆から嫌われるのは単純に「色情狂の気持ち悪い男」だからで徴兵検査以前の問題だよ。)

 西川の須磨子…須磨子「いいわね。肺病の春雄なんか無視するのよ。あんなの女の敵よ。もし、コッソリ会ってる人がいたら、その人も肺病男の一味だからね。」
村の女A「やだー、気持ち悪い。もう誰も、あんな男を相手にするはずないじゃない。」
村の女B(そこまでハッキリ言わなくても。まあ、皆さん勝手にやって下さいな。私、知~らない。)

今まで当の病気を理由に学校をサボり、兵役を免れ、百姓仕事までサボって(20を過ぎた、いい若者が未だに祖母に畑を耕させて食わせて貰ってるって…。)散々、美味しい目を見てきたのに、「正真正銘の結核患者」として嫌われる自分の事は認められないって、どういう思考回路なんだろうな(まるで「ボクって『鈍い』からなあ~。」を免罪符に人の気持ちを考えない自分の事を正当化し、ストーカー行為にまで手を染めて、今や「正真正銘の犯罪者」として2ちゃん中で気持ち悪がられているのを「B恵批判て、ダウンにダウン辞めろって言っている位、酷い事なんだぞ!」と自分「一人」だけで一生懸命庇っている、よしみつのようだな。「1人」で喚いている所、悪いけれど、↑と同じく皆の評価は全員「キモい」か「黙認」(否定はしない。)で、同調する人間なんて本人の他に誰1人いないというのに。)と、皆の目の敵にされる事を先にしたのは自分の癖に、結果として嫌われた事で被害者面する彼の神経を疑ったものでした。誰彼構わず都合の良い時だけ利用するから女に嫌われるし、奥さんを寝取るから男にも嫌われた(妻が身持ちの悪い女だという事実以前に「友達の女には手を出さない」という友情はアンタの中には無かったのか?)そこに「肺病患者」(「人にうつる悪い病気な」ので近づかないのを正当化できる。)という大義名分まで下りてきた、それだけの話だよ、と思わず語りかけてしまったものです…。

 土井春雄(都井睦雄)…祖母「徴兵検査の書類には胸の病の事を書き入れるんだよ。甲種合格になれば、すぐにでも兵隊に取られるというから。」
春雄「って、やったら僕は丙種評価!?」
村の女達「ねえ、春雄ってば『最低の評価』が下されるほど、本当に悪いらしいよ。あそこは悪い病気の家系なのよ。」

村でも甲種合格になったのは、わずかに3人。「普通の男」程度では皆、乙種合格というレベルなのに、何でそこに野良仕事もロクにやらずに祖母に食わせて貰っているニートの自分が入れると思うのか(良かったじゃないか、望み通りに「まず兵隊に取られる心配の無い」役立たずの男になれて。)本人の過大評価に呆れると共に、それで復讐に走ってみたら、傍観者レベルの村人はたくさん殺せたけれど、自分が女に溺れるきっかけを作った澄子、長年の恋人であったみゆき、最大の恋敵であった福夫、と一番思い知らせてやりたい人達は悉く取り逃がしている様に思わず失笑もしてしまったものでした。現実を見てサッサと就職すれば良かったものを、いつまでも女(ゲーム)との快楽で現実の問題を先送りにして、とうとう周り中の人間に嫌われた(そんな自分が嫌われるという現実からは逃れられないと知った。)から、無理心中を図ったって最後までロクでもない人間だったな、と実感すると同時に、心中以外は本当によしみつの生き様そのまんまだな、と頷いてもしまったニートの一生でした…。丙種合格した人間は非国民(お国の役に立てない人間)として村八部にされるのは本当だったそうですが、他の丙種認定された人達はそれを恥じて皆1人で自殺した(お国の為に身を捧げる事こそ誉れとしていたこのご時世、合格すれば徴兵されると分かっていても米俵を持ち上げるという単純な試験を誰も手を抜かずに行っていたし、喜んで特攻隊に志願していた。↑のように自分の保身に走っていたのは春雄だけ。)のに、最後まで周りに迷惑をかけて生きたどうしようもない人間だったな(死に様まで、そんなですか。)と呆れた男でした…。

 黄泉比良坂…夫「お前は俺を軽蔑している。俺は知ってるんだ、お前はお腹の中と表面が天と地ほど違う事を。その底冷たい自分本意の考え方が、どれほど俺を苦しめているのか、お前にはまるで分かっていないのだ。」
妻「浮気してるくせに、よく言えるわね。自分の事は棚に上げて。私は絶対あなたを解放したりするものですか!どこまでも食らいついて手枷足枷になって、あなたとあの女を苦しめてやる!」

「原因」が自分の方に無くとも、一緒にいて楽しくないのなら、それは別れた方が良いよ…(というか綺麗に別れておけば、業を煮やした夫に殺される事も無かったのに。)と邪魔をする者を消す為なら相手を殺す事も厭わない最低な性格の夫(もう「嫌がらせ」と「しつこさ」だけで済んでいる妻以上の性格の悪さである。それに、いくら不倫の果ての愛でも「殺人犯となった男」と一緒になれるほど愛人の神経が図太いのかも謎。)に、いつまでも縋りついてしまったが為に起こった悲劇に思わず涙してしまったものでした。どうせ祟り殺すのなら自分を殺した張本人の夫を呪えば良い物を、死んでしまったが最後「縋りつく」事以外は綺麗に忘れてしまった様子で、通りすがりの性格の悪い人間(自分が同調出来る人間。)にばかり憑りついている様には、完全に本末転倒となってるな…と溜め息ばかり出てしまった女性でした。

 夜の虹…山岸先生「その雲の彩りときたら、サーモンピンクにペパーミントグリーン、薄紫色に淡いブルー、レモン色と、それが高じて朱金色が所々にキラキラ。とにかく様々なパステルカラーに彩られた雲が遠くの山々にたなびいているのです。」
母「お母さんも見たこと無いけど、昔から言われている、そういった美しい色合いの雲を『錦雲』と言うのよ。よく言うでしょう、綾錦って。お前が見たのは、きっとそれよ。良かったね、珍しい物が見られて。」

ニュースでも取り上げられるほど珍しい彩雲、台風の時に雲の隙間から見えた異常夕焼け(台風の目もどきである、うね雲・むら雲。)、作品でも使われた三重の虹(北海道は空港へ行く途中に空を覆う邪魔な建物も少なく、余計にすっきりと見渡せた。)、直径5、6ミリの肉眼でハッキリ見える「雪の結晶」(が空から降ってくるのを、黒い服をわざわざ着て確かめながら楽しんだ子供時代。)…と私も見た事もない自然現象の数々に北海道って凄いな(さすが自然の宝庫。)と思わず感心したものでした。最も作者が奈良の法隆寺で見た、寝ている虹(月の周りに色の輪がボーッと出るように、雲に隠れた太陽の光が屈折して白っぽく光るカサに色がついた為に輪状に虹が出来た…のが、虹の輪が雲で途切れて「寝ている」ように見えた。)といい、場所は北海道に限定されないそうなので、普段から景色を良く見るのが大事…らしいです。
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東京大学物語32、33

2009.05.31
 「タルるーと君」の時もそうでしたが序盤は勢いがあって面白かったのに途中から暴走し、連載終了直前になって新章開始→尻切れトンボで終了というのは江川先生の作品のお決まりパターンのようです。そんな夢オチに近い掟破りの終わり方であっても妄想が何重にも重なって徹底的に行われている辺りは…まあ…面白かったかな…?(タルるーと君の時よりは…。)「これからという時に打ち切る形で話を終わらせて読者のアンコールで連載再開を狙うような形」に色々思う所はありますが、これ以上話が続いてもいい事はあるまいとも感じるので文句は言わず、ひとまずは連載終了お疲れ様でしたという言葉で結んでおくことにします。

 谷口瞳…▲▲「よしみつさんは、いい奴だよ。」
私「この人が何したか分かってるの?勝手に人のIPアドレスを不正使用してブログ覗きや住所検索に走って、同じ手を使っては統合失調だの頭がおかしいだの、名誉棄損バリバリの中傷コメントを何度も送りつけて、2年以上も無言電話を続けた上に職場にまで非通知でかけてきて…どこが、いい奴なのよ!」

以上、谷口さんと高畠君のやりとりを参考にアレンジしてみました。突然、現れた痴漢男(村上)に対しても全くひるまずに「住居侵入!プライバシー侵害!ストーカー条例違反!公然猥褻!強制猥褻!名誉棄損!」とスラスラと罪状を並べられた辺りは素晴らしい彼女(さすが法学部。)でしたが、思えば顔も性格も目立たない素敵(モテル)という言葉の対局にいる男でも、「村上と真逆の人格者」であり何をやっても怒らない都合の良い男(それこそ友達が自分の彼女を犯そうとしても、何故か被害者である自分の方が謝って許して貰おうとする程に。)だからこそ高畠君を選んだ側面も有った様子…です。そして、安全日に油断して避妊をしなかった事で妊娠→学生の自分の立場を優先して中絶(「俺は産んでほしいって言ったのに、都合が悪いっていう理由一つで、生まれる前の罪の無い命は殺すのかよ!」とそれで高畠君ともダメになった。)となってからは「そんな男にさえ捨てられる自分」にすっかり自信を失ってしまった様子(自分は村上君と違って、ちゃんとした美しい恋愛をしているつもりだったが、結局、自分の理想と肉欲に溺れていただけで、身勝手な都合で動いていただけだったと自覚し、そんな自分に幻滅もした。)で、彼女もまた村上のセフレになってしまった展開にはかなりガッカリさせられたものでした。(傷心の女ほど落ちやすいっていう定説は有るけどさ…。)結局、そんな「普通レベルの女」だったとしても意地だけは貫いてほしかったです…。

 真紀…真紀「水野さん、あんた何考えてんの?その若さで子供産むなんて…自分はまだしも相手の人生、考えないの?もう一度言うわ。まだ間に合う。まだ人間じゃないうちに堕ろすのよ。」
直樹「なんだか、真紀…この前、子供を堕ろしたんだって。」

この子はもうお腹の中で「生きて」いる、と答えれば「最低!あなた、私の事を人殺しって言いたいのね!」(「そうよ、貴女は自分の幸せの為に、男と無計画にセックスをしてできた自分の子供を殺した女。」by英里)と被害者面をして喚き立てようとする彼女(どっちかというと、被害者であり一番可哀想なのは堕ろされた子供であり、加害者である母親には少なくとも「傷ついた女の顔」をする資格は無いと思うが。)の言葉の裏には「知り合いの女性が道を踏み外そうとしているのを留める気持ち」より「自分が出来なかった事をやすやすとやってのけて幸せいっぱいに生きている恋敵に水を差す気持ち」の方が強かった様子です。他の女と浮気されまくりながらも学生の身で彼の子供を産んでまで彼について行くって、ただの「都合の良い女」、その程度の存在に過ぎないでしょ、という渾身のツッコミには「一番、都合のいい女だから最後に帰っていくんでしょ。」(「何をしようが、必ず、村上君の心は遥ちゃんの元に帰るのよ。」by英里)というフォローが入っていますが、現実の男の「都合のいい女」の選び方の基準は「相手がいかに尽くしてくれたか」(その気になれば他の誰でも真似できる技。)ではなく「相手のバックグラウンドに何があるか」(土地持ち財産持ちの娘だとか、性格の良い女ではなく「スペックの高い女」を選んでいる。)だったりするので、現実に遥ちゃんみたいな女性が選んで貰える可能性は低いだろうなあ(大体、尽くした分だけ返してくれない人間なんて男女関係無く、相手への思いやりなんて持ち合わせていないし。)とも思ってしまった私でした…。

 鈴木英里…真紀「水野さん、直樹の子供がお腹にいるのよ。友達とか言って直樹と今でもセックスしてるって…水野さんがどういう気持ちか分かってやってるの!?」
英里「当たり前よ。分かってやってるに決まってるでしょ。私は遥ちゃんの事を傷つけている悪い女なのよ。でも、貴女達とは違う。自分のこと『善人』だと思ってないもの。自分を正当化して無意識にワガママやってないもの…。」

真紀さん、谷口さん、英里さん、とその場にいる全員が村上と関係したことがある(時系列の流れは別として)事を考えると全員が何も言えない立場ではあるけれど、事実を認める事と、開き直れば何でも許されるだろう(バレた所で覆水は盆に返らないし、相手は「どうしようもできなくなった事」として受け入れざるを得ないとタカを括っている。人の妹のセクハラを家族中で笑い物にしたり、理髪師さんの全性生活をコンビニの駐車場でベラベラ話しては「もう、やっちゃった後だし、別に良いよね!」と事後承諾を強要する、よしみつさんと同じ思考回路だな。)と無神経な正直さを炸裂させる事は違うし、むしろ表面つらだけでも善人をやろうとしている一般人の方がまだマシなのではないか?と嫌悪感しか抱けなかった持論でした。自分で「悪い女だ。」とは言いながらも(そう言えば誰かフォローしてくれるとでも思ってる?)相手を傷つけた事実にも周りにも迷惑をかけた経緯にも全部スルー(「そ、そうね。英里ちゃん、酷かったよね…で、言う事はそれだけ?」by遥)して、同じ悪事をまだ繰り返してるって、人の家に無言電話かけ続けて、それで友達(▲▲さん)の隠蔽工作までネット上に挙げられた(友達を売ってまで無言電話をかける方を取った。)よしみつさんと全く同じ言動じゃないか!とツッコミすら入れてしまったものです。(そう言えばあの人も「ボクって偽善者だからなあ~。」と自分の悪さを特別な存在の証かのように勘違いしている部分が有ったな…。)こういう人間って「自覚している」だけに直しようも無いんだな(むしろ無自覚な奴の方が確信犯よりは直しようがあるという点で人間としてまだマシ。)と改めて実感もしてしまった理論でした…。

 村上直樹…「…なんて、一目、姿を見ただけで、たったそれだけで、こんなに長く妄想してしまった。」

「彼女に一目惚れのあまりの妄想」にしては遥ちゃんは現実にはまずいないであろう性格のDQN女(しかも男(村上)の事はどこまでも許す「都合の良い女」)にされているし、よりにもよって彼女の親友(英里ちゃん)と浮気はするわ、他に彼女(真紀)まで作るわ、新しい女(谷口さん)を本命として乗り換えるわ(遙ちゃんの事はもう完全にキープ君状態。)、強姦はしかけるわ、他のBFと幸せになることも許さないわの酷い内容で、ネタにされる側としては、たまらない話だなとドン引きしてしまった内容でした。(リアル遙ちゃんの方も、よく、あんな成人向け妄想話で「意外なほど盛り上がれた」な、と彼女の大人ぶりに感心すらしてしまったものです…。)大体、全ては妄想でしたって34巻の今更になってそれは有りなのか!?と今までの話を全否定した結末に(それまでの不思議ちゃんな性格でも「一途で健気なバカ過ぎる遙ちゃん」に好感を持っていただけに)残念に感じた終わり方でした。最も「一番都合のいい女だから最後に帰っていく」…のではなく、最後まで放っておかれて、他に誰も相手をしてくれなくなった時に「利用」されているだけ、子供が出来ても他の女と浮気されまくり(どんなにフラフラした男でも「あの人の子供を産めた」のは私一人、という正妻感覚はあるのかもしれないが…。)という妄想版結末もかなり微妙な内容なので、「無かった事にされた」のは遥ちゃんの人生的には良かったのかもしれませんが…。

 水野遥…「自分可愛さについつい自分に都合の良い妄想をして現実を捻じ曲げて見ちゃうんだよね。あたしは大人になっても、いつまでも沢山いろんな妄想をして、一つの妄想なんかに縛られないで、楽しく自由に生きるんだ。…なんて考えている男の子がいたらいいな。」

つまり新章の小悪魔的遥ちゃんさえ妄想の産物で新章に到るまで小学生の遥が授業中に空想した物語に過ぎない(どんな物語を空想してるんですか、小学生!)という驚きの終わり方で締められてしまいました。つまり30巻以上主人公として物語を引っ張ってきた村上は実在もしておらず今までの話は全て嘘だった訳です。(一応、小学生の彼の姿が見られる辺り、村上直樹という男の子は存在はする様子だが、さっきまでの新章同様「彼がどんな性格なのか」は分からない。)作者の後書きの中に書かれていた「恋に落ちた人は大体が相手を勘違いしている事が多い。相手に自分勝手な妄想を巡らせて幸せな気持ちになっているだけ。」(そして付き合えば付き合うほど妄想は裏切られ、結果、恋心は消えていく。)という持論から考えると、現実の恋なんてこんなものなのかもしれないし、「(勝手に)恋したのに妄想通りじゃなかった恋人も、また見方を変えれば素敵だし、もっと素敵な人を探せると考えるのもまた良い。」という点から考えると「自分の青春はこれからだ!」(だからまだ小学生だろ、アンタは!)という終わり方はまさしく後書きに即していたのかもしれません。が、「一つの物語の終わり」としてはやっぱり反則技だし、微妙だなあとしか思えなかった終わり方でした…。(まあ34冊も話(人気)を引っ張れた辺り、江川先生は漫画家としては、やっぱり才能があるんでしょうけどね…。)

東京大学物語27~31

2009.05.31
 確かに新しく続々と登場した女性3人(村上君の恋人…というよりただのセフレ。)よりは過去の恋人2人(英里ちゃんと真紀)の方がいい女で不必要に似たようなキャラ(貞操観念が低くて男の都合のいい女)を増やすよりは彼女達の話の方が良かったとは思ったけれど…それは彼女達がちゃんと自分の人生を自分で歩いていてなんだかんだ言いながらも男に左右されない生き方をした所(村上を卒業し振り向かない潔さ)に好感が持てたのであって「全部自分が悪かったのよ。」と過去の自分を全否定して「都合のいい女」になる為に登場して欲しかった訳ではなかったのにな…とかなり残念に思ってしまった展開です。そこまでするほど村上君がいい男か(まあ「バカもおだてれば木に登る」(正しくはバカでなく豚ですが)の喩え通り調子よく甘えさせれば言う事を聞く男ではあり、将来性はあるけれど…性格は最悪のような…。)も疑問で個人的にはあまり好きになれなかった話でした…。

 村上直樹…吉野「村上の心をコントロールするのは簡単だ。何故なら奴は自分がいかに贅沢な事を『当たり前』と思っているか気づいてないからな。」

便利で当たり前、親切にされて当たり前、周りは仏のごとくいい人で当たり前、だから人に何かして貰う事に感謝もしなければ自分が相手の為に何かしようと考える事もない(何故ならばそれは全て「当たり前」だから。相手にするのはついてきて自分を押し上げてくれる人間だけで美味しい思いの見込めない人間は切り捨てながら自分の都合が通るように選別している。まわりもまた「都合に合わせなければこの人を失ってしまう。」という脅迫観念から言う事を聞かざるを得ない。)そういう思考回路が出来上がっているんだと、よしみつさんの生態の謎がまた一つ解けたものでした。(自分では悪気が無い事だけを指して自分が良い人間だと思い込んでいるけれど実は自分の事しか考えていない欲深な人間に過ぎない(相手の気持ちなんて全く考えていない)事に本人だけが気づいていない。)それでも村上は(性格が歪んでいても)東大の国Ⅰトップの成績で将来のエリートキャリア官僚候補という将来性がある分だけ(一応「周りの人間より優れた点」がある分だけ)人としてはマシだよな(過去に去った女性2人もこういう経歴を誇る将来性抜群の男になったと聞いたら金の為…もとい元サヤ目当てで戻ってもくるでしょうね…ゲフッ!)と経歴の素晴らしさ(だけ)に感心もしたものです。性格が最悪でも特化した実力があれば相殺されるもので、なんだかんだ言いながらも彼の周りに女性が絶えないのは一応「実力の結果」ではある事に納得は出来たものでした。(展開としては女として心底嫌悪を覚えましたが。)

 鈴木英里…村上「英里ちゃんてさ、人間として最低の女だよね。」

お前が言うか!(そりゃ携帯の電源を切られてまで会話を拒否されるわ!)と思わずツッコミを入れてしまいました。ともあれ今までは何股かけていても最高のセックスが楽しめるからという理由(だけ)で村上を追いかけていた女性達も放置していた間に新しい男ができたことで誰も村上を相手にしなくなったようです。英里ちゃんが「誰とセックスしても私を抱いて下さるのならそれで良いです。」(良くねえよ!)と言った通り「セックスの無い村上君」(=彼の人格)なんて顔を見るだけで気分が悪くなるほど忌まわしいレベル(例・谷口さん)で風俗嬢全員に振られたと同時に完全に目が覚めた英里ちゃんに快哉を叫んだものでした。相手の心理を考えて罵倒や突き放しも計算の内という吉野(嫌な方向ではあるが「相手の気持ち」を事細かに考えてはいる。)と違って全部「自分の気の向くまま」にやっているだけの身勝手な人間には人はついてきませんよ…ね。

 谷口瞳…村上「『困っている人を見過ごせないから弁護士になる』のなら恵まれたこの日本の女性のセクハラ問題の為だけに戦うのでなく、もっと悪質な犯罪に苦しんでいる人達から助けようとするよ。」

社会貢献という綺麗事を言っているけれどそれは上っ面で善人顔をしているだけで本当は相手をねじ伏せることしか考えていないのではないか(優位な立場にいる男を虐めたいだけで本当は女の気持ちだってちゃんと分かっていないのではないか?「自分の事しか考えていない」辺りは確かに村上と似ているのかもしれないが。)と村上にまでツッコミを入れられていた新キャラです。しかし新しい「ヒロイン」にしては遥ちゃんのような包容力も無いし、英里ちゃんのような品の良さも無いし、真紀のように知恵を巡らせながらの強かさも無いし(レイコさん達は脇役に近いセフレなので除外。でも金と体を貢いでまで尽くしている辺り少なくともこの女性よりは「健気」と言えましょうね。)自分からうっとおしくつきまとったくせに「不愉快な思いをしたのは全て相手のせい」と被害者顔をするえげつない性格(ただの勘違い女)がヒロインとしては最低ランクの女性だなとげんなりしたものでした。(こんな女の為に遥ちゃんがとうとう「本命」ですらなくなり、ただの「未練」になったのも凄く残念でした。)そんな明らかに性格の悪い幼稚な女性が他のいい女達をさしおいて「本命」(1番)になってしまうほど、現実の恋愛は理不尽で不平等な物だとは分かっていますが、それはそれとして「読者の共感」には繋がらないよな(村上に愛されていながら…というより村上を愛している数多の女性の心を傷つけながらそれを何とも思っていない辺り何様のつもりだろうと他の女性達が哀れなだけに嫌悪感につながってしまいました。)と、この人の話を最後に最終章(打ち切り)を迎えた事に納得もしてしまったものです。やっぱりメインヒロインには魅力が無いとダメですよね…。

 水野遥…遥「河野君とは付き合ってないよ。あたし、ずーっと1人であの部屋で村上君を待ってるんだよ。」
河野「……。」

全てを聞いてしまっている河野君が哀れでした…ゲフッ!八方美人な遥ちゃんだけに自分を慕ってくれる男の人を拒絶せずに誰とでも仲良くする替わりにキス以上は村上君としかしないスタイルを貫いているようです。(そして「無理やりしようとするなんて強姦しようとした村上と同じじゃないか!」と自分に律している河野君は相手からOKが貰えない限り手を出せない。)が当の村上はもはや「未練」(手離すのはもったいない程度の気持ち)しか感じておらず他の女(谷口さん)が「本命」になっているのだから、いい加減「傷つけられることを快感(マゾ)として楽しむ」愛の形は卒業して「村上の都合のいい女」を辞めて欲しいと切に願ってしまいました。最悪の人格をしている村上が他の女にいずれ愛想を尽かされるのは当然でも誰からもそっぽ向かれた寂しい時にしか彼に相手をして貰えない(都合のいい女は所詮、都合のいい女でしかない。)というのは遥ちゃんに対して失礼で彼女の気持ちが本物なだけに余計に悲しくなってしまったものでした…。

 余談…「片想いのままだとストーカー、後に犯罪者だが、その病的な思いが相手に歓迎されればストーカーこそ最高の恋人!」と佐野は言っていましたが、いくら「熱愛」されても隠し撮りをされまくった挙句に執拗な几帳面さで写真をファイルされ(自分をモデルに勝手な「作品」を作られ)許可もしていないのに個人データまで調べる(もはやプライバシーの侵害)その病的な思いが「歓迎」される事は現実にはほとんど無いだろうとツッコミを入れてしまったものでした…。

東京大学物語22~26

2009.05.30
 「どんな男でも100人の女性に声をかければ最低一人は最後までできる女の子にぶち当たる」という統計が出ている…そうですが100回も声をかければ否が応でも(ちゃんと学習していれば)話し方の技術は上がっているはずですし、それは数の問題でなく口が上手くなっただけなのでは?と話の中の「持論」にツッコミを入れてしまいました。風俗業へのスカウトは「1万人に断られて一人前」(ゼロが2つほど増えてますけど…。)だそうで「一人前になってからは成功率が上がる」事を考えてもやっぱり問題は数(確率論)ではなく本人の技術だよなと改めて思ってしまいました。

 村上直樹…村上「この仕事も器の大きな人間になる為の試練…そう考えて頑張ってるじゃないですか。」
北里「頑張って…これだけか!?なんて自分中心な男なんだ…!」

「向こうが自分を馬鹿にしなければ自分はこんな事をしなかったのに。」と(自分が思いやりの無い行動をしたのは棚にあげて)原因はいつも相手のせい、自分がわずかな努力をしている様ばかりを(人並みの成果さえあげられていない現実も忘れて)認められたがっている何様思考は相変わらず健在でした。結局いつも自分に言い訳をして真面目に相手に向き合う事を否定していて浅はかな考えで小手先の嘘でなんとかしようとしている彼の思考回路は本当によしみつさんに似ていると感心もしたものです。でも話にもあるように人間社会はそんな簡単で単純な受験の「マニュアル」のようにはいかない物です。「欲深な人間に与えてはいけない。情をかければかけるほどワガママが増長するだけで与える者が最後に恨まれる、その者には厳しく当たり自ら学ぶことを教えるべきである。」(古本屋→自宅前まで相手に来て貰う、イヤリングや首飾りを誕生日やクリスマスなどイベントごとに貰って自分は何のアクセサリーも贈らない、イラスト集→与えた直後に「次はミスティックアークだね!?」と欲求する、おかずをごちそうになったら「ご飯と一緒に食べたいんだけど!」と要求する…なるほど確かに「増長」していると、よしみつさんの今までの言動を振り返って思わず納得してしまいました。)という話の言葉通りに、もうこれからはそういう人間には厳しく接していこう(ダメ人間には情をかけても甘えることしか考えようとしない。)と再度、決意を新たにしてしまったものでした。「鈍くて相手の気持ちに気づけない」というのは「いつも自分の事しか考えていない」という事で、それは「いつも他人を下に見ている」(全然自分と同等(同じ位)に相手の事を考えていない)のと全く変わらない訳で、だからアンタは自分が下に見ても許してくれる人だけとしか付き合えないんだよ(自分を甘やかしてくれる小さな世界でしか生きておらず、またそこから出ようともしていない。)と改めてツッコミを入れてしまったものでした。

 レイコさん…「テストがいくらできても、いくら出世しても他人の気持ちが分からない奴はクズだよ。」

だったらそんなクズ男の魔手になどかからずに仕事上の付き合いだけと割り切ってほしかったのに(仕事仲間として好意を抱いても「心は許しても体は許さないから大丈夫~。」と軽く流した最初の頃のままでいて欲しかったのに…。)と3人共にツッコミを入れてしまいました。(唯一涼子さんは北里に命じられて村上を遥以外の女の虜にさせる為に魔手にかかる必然性があったけれども…他の2人はそんな必要なかったのに…ね。)電話で直接話せないのをいい事に「涼子が『さよなら。色々ゴメンなさい』って…。」「村上とは話したくないって。うん、うん。分かった。」と通話を終了する(「そんなこと言ってないわ!何が『分かった』って言うのよ!」by涼子。)頭の良さには感心したのに、その後「欲しいだけお金あげるし他の女の子と遊んでも良いから取りあえず抱いて!」という頭の悪過ぎる展開には微妙さしか感じずに共感できなかった女性でした。「体は許しても心は許さないかな、こんな奴。」と悪ぶっていて尻が軽くても男に媚びてはいない様(だけ)に好感が持てただけに3人共に相手をして貰う(全員了承の上で三つ股をかけられることを良しとする)という最悪な結末には微妙さしか感じずにげんなりしてしまったものでした。登場初期はまだ少しはカッコ良かったのにね…ゲフッ!

 吉野博彰…「退屈な真実よりもドラマチックな嘘…色あせた日常は幻を見せる事でのみ輝いてくるのだ…。」

と余命2年の男(それで入院の必要もないなんて何の病気ですか?)は「残りの命が短い可哀想な人間」(「最後」だからできる限りワガママを聞いてあげるべき人間)であることを利用して遥ちゃんの心をつかもうとしていますが「こうしてワガママ(添い寝まで)は聞くけれど、もし自分が吉野さんの立場だったら周りの人には正直に自分を出してほしいと思うから男としては受け入れない。」(「あたしが大人の男として抱き合いたいのは村上君1人だけだからあなたとそれはダメです。」)と今回の作戦も失敗して振られていました。(村上君をひきはがす事には成功したけどね。)話をして遥ちゃんの「見返りを求めない愛情」(ほとんどの人間の優しさは自分の欲しい見返りの為に発揮されており、しかも当の本人は自分だけは打算的ではないと思い込んでいる。けれど遥ちゃんは本気で他の人間だけを思いやっていた。)に改めて感動して惚れ直している彼ですが、そうやって遥ちゃんを本命にする以前の問題としてアンタには奥さんと子供がいるだろ!(思惑通りアンタとくっついた所で遥ちゃんは不幸になるだけだ!)とツッコミを入れてしまったものです。遥ちゃんの愛は「ただそこに村上君が存在しているだけでいい」という無償の愛ですが、この男の愛は遥ちゃんの心と体目当てで、しかも「本命」がいつつも他の女性達(妻子含む)と体良く付き合っている打算的な愛だよな~と、やはり応援はできなかったものでした。

 水野遥…「村上君はあたしの心の奥に突き刺さるんです。突き刺さって抜けないんです。こんな人、他にいません!」

「普通の人間は次の行動が予測できる(想像の範囲内)だけど村上君は自分の想像を超えた事をしてくる」から好きだと彼女は言いますが…それは村上が他に類を見ないダメ人間というだけで決して魅力ではないと思うのですが…ゲフッ!(むしろ吉野が言うように相手を過剰解釈した幻に恋をしてその幻想が裏切られる事で相手への想いが冷めていく一般的大多数の恋愛の形だったら(とっととこの異常な恋が終わってくれて)まだ救いようがあった…のに…。)プロポーズされながらも「紙切れなんかいらない。大事なのは2人の気持ちでしょ。」と入籍(法的権限を利用して縛るチャンス)も断ってひたすら村上を待ち続けている遥ちゃん。ですが当の村上君はそれ(吉野と浮気したと誤解して)以来同棲も解消して全く戻ってこなくなってしまい、そもそも気持ちも絆も大した事の無い村上君を信じることはいい加減諦めて他の人と幸せになってくれないものかと切に願ってしまったものでした。(それでもマゾの彼女はそんな「普通の幸せ」はただの「刺激の少ない退屈な状態」にしか過ぎないのでしょうか…?)山崎さんとの恋愛も経て自分は結局村上君しか見る事が出来ないと思い込み過ぎていませんかね、この人?

東京大学物語19~22

2009.05.29
 ドラえもんの人気の秘密はのび太がダメ人間でありダメ人間であっても好感が持てるように演出されている事だとこの作者が何かの本に書いていたそうです。だからこの話の主人公はどこまでもダメ人間なのかと納得する反面、好感が持てるようには演出されきっていないんじゃないか?(女として普通にこんな男には嫌悪感を持つと思うが…何故かメインヒロインには見捨てられない不思議さをも再現する事はないんじゃないか?)と疑問も持ってしまった、そんな話でもありました。予想していたよりは面白かったですけどね。

 村上直樹…村上「俺は普通の奴らのはるか上を行く人間なんだ。」
遥「村上君は人間として普通の人以下だよ。温室育ちの村上君の『当たり前』は周りから見て不条理なの。」

何か辛い事があるとすぐに他人のせいにして悪い結果は全て相手の責任にする、自分で考えることをしないでいつも他人の受け売りだけなのにプライドだけは高くて謝る事も出来ない…同じような偽善者(本人申告)のよしみつさんの生態の謎がここで解けた気がしました。とはいえ心にもない事でもスラスラと言えて相手を論理的に丸め込んだり(「村上君、詐欺師になったら?才能あるかも…。」by遥。)プライドを保持する為の「努力」はしてきた村上君(部活を辞めるまで高校サッカー部のエースで、1浪したとはいえ東大にも合格した。…その中でも真紀と妊娠騒動を起こしたり最低ぶりは健在だったが、あんなただれた生活を送りながらもちゃんと合格するだけのテスト勉強をしてきた事は凄いとは思う…尊敬はできないけれど。)の方はまだ認めるに値する人間だな(よしみつさんは間違った方向に進みながらもその価値観の中で優秀であろうとする努力はしていなかったので。同じ自己保身や利益の為に他人に嘘をつく人間でも何か頑張っている事や他の実力があれば少しは評価できたのにと改めて彼女を残念に思ってしまいました。)と今回少しだけ村上君を見直してしまったものです。人としては最低の部類に入るけれども、それでも物語の主人公を張れるだけの内面の深さはあるか(それは人として嫌な深さだが。)と見方を改めたものでした。

 水野遥…「山崎さんは最初から分かってたんだ。出会った時から私が山崎さんの姿に村上君の面影を見てた事を…。」

「つまり自分はずっと村上君だけを見てた」と納得した遥ちゃんでしたが、だったらオリジナルを前にしながら(「本当の想い人」の村上君に熱愛されながら)身代わりに過ぎない山崎さんにここまで揺らぐことは無かったはずではないのか(だから山崎さんを好きと言いながらも村上君とのセックス(未満)を歓んでしまっていたのか?)面影(自分好みの外見)が同じなら人として中身が上の山崎さんの方を選ぶべきではないのか(28にもなって定職にもついていないフリーターではありますがとりあえず家持ちで、なにより遥ちゃんのDQNな行動も笑って受け入れられるだけの器量の大きさがあります。←自分が変態だという所まで認めている人間だから遥かちゃんの変な所くらい軽く受け入れてくれる。)などなど色々考えてしまったものです。河野君、山崎さんと他にまだマシな男がいただけに1番のダメ人間である村上君と元のサヤに戻ってしまった事がかなり残念に思えた結末でした…ゲフッ!

 山崎守…「手錠を外したら、遥…俺は君とはサヨナラだ。」

遥ちゃんを手錠に繋いでまで危険な村上君と一緒に旅をさせた(村上君がどんな人間なのか、また遥はどんな人間なのかとことんまでお互いに見せ合わせた。)のは「もしかしたら村上を完全に断ち切って自分の元に来てくれるかもしれない」という一種の「賭け」だったとはいえ最初から2人はまだ互いに気持ちを残しており「新しい想い人」となった自分は彼らの関係への刺激(スパイス)以上でもそれ以下でもないという結末は見えていたのでしょうね…。それでも泣くほど本気で遥ちゃんを好きになってしまった彼がどうしようもなく哀れに思えて仕方ありませんでした…ゲフッ!(一応、最初にアプローチをかけてきたのは遥ちゃんの方だったのにね…ゴフッ!)「リアルな心を撮る」事にこだわりを持つのではなくさっさとモノにしてしまえば自分も彼女も幸せになれたのに(「見ないように見せないように努力しているけれど誰もが秘かに変態性を秘めている」…と分かっているのなら覆い隠して見せないようにしながら普通の人の振りをして幸せをつかめば良かったのでは…?)と変な所で純情さが抜けない彼に涙してしまいました…。そういう大人の狡さが無い所が彼の長所ではあるんですけどね…。(その長所が変態という短所一つで台無しになってはいるのですが…ガフッ!)

 吉野博彰…「撮影の為に借金をしようとしていた山崎は私の出したクルーザー、食糧、撮影資金、そして『村上がちゃんとした借用書にサインするシナリオ』を使ってくれた。」

長い旅に出た山崎さんがどこに行ってしまったのか(そもそも撮影の為に昔儲けた金を使い果たした彼に旅行費用はあるのか?)も気になる所ですが、民法167条(債権者が失踪して返す宛て(先)がなくなってもその債権を他の人間に譲渡してしまっていたら借金は消えない。)をうまく使って村上君を追い詰めている様はさすが弁護士だと感心したものでした。裁判になったら自分が今まで何をしてきた人間なのかも公になるというのは本当にある話で(離婚裁判でも子供が親について書いた作文から親について判断する事例がある。)結局最後に物を言うのは人間性なんだよね、と全ては自業自得からギリギリの状況に追い込まれた村上君にいい気味だと感じたものでした。(正直山崎さんは2人を極限の状況に追い込む割にはやり方がぬるかったので。)遥ちゃんがこの男にどうこうされるのはかなり嫌ですが村上君にはもっと痛い目を見て欲しい物です…ゲフッ!

東京大学物語⑭~⑱

2009.05.28
 典型的な東大君=学校の勉強だけできて運動神経ゼロ。大人しく親や先生の言うなりに素直に勉強してきたからテストの点数はいいが面白みや人間の深みが無い(「いい奴」ではあるのだろうがエネルギーが無いせいで女の子にはモテず「どうでもいい奴」で終わるタイプ。)という記述があり「なるほど今の草食系だ。」と変な納得もしてしまったものでした。実際問題、草食系男子は婚期も遅くなかなか思うような人生は歩めないようです…。

 山崎守…「人間の心は傷ついて成長するんだから相手の心を傷つけない為に無理に我慢する努力なんて無意味だ。」

「酷い事されても我慢して、怒りがたまって、悲しくて、腹が立って『今度会ったら言ってやろう。ムカついたこと全部言ってやろう。思ってること全部言ってやろう。』と思ってても相手の顔を見ると言えなくなってしまう。『こいつって悪い奴じゃないんだよね。』…なんて思っちゃってさ。」という彼のセリフには私もよしみつさんに散々ウソをつかれてその度に誤魔化されてきた経験があるだけに納得したものですがその「効果」は顔を見る機会が無ければ働かない物であり、いつまでも同じようにはいかない物だという実感も現在味わっている最中です。辛い時だけ山崎さんの善意に縋っている(利用している)南さんですが村上君が言うように「そりゃ余りに自分勝手で甘え過ぎ。」(仕方ないから相槌を打ってあげているけれど、そんな当たり前の事を辛いと言うアンタには誰もが内心呆れてるよ。←それをあの村上君に言われている辺りも終わっている。)とツッコミを入れてしまったものです。今まで「好き」だった相手でもその評価は一生は続きません。都合のいい時にばかり人を利用していると、いつも通り善意に縋ろうとしても最早相手には愛想を尽かされている事もあり得るという実例でした。

 桂木南…「守が可哀想…。せめて手錠で繋がっている間はもうこれ以上守を裏切らないで…。」

勝手な都合で守を捨てた(そのクセに新しい彼氏達と上手くいかないと甘えに来る)身勝手な元・彼女でも今まで散々優しくしてもらった分だけの「相手への思いやり」はわずかに残っていた様子です。なんだかんだ言いながらも村上君を突き放すことはできずに揺らぎまくっている遥ちゃんを目の当たりにしている守が痛々しくて(だったら盗撮してまで見るなよ…ゲフッ!)速攻で部屋に乱入して2人のセックスの邪魔をした彼女の行動には「お前、良い所もあるじゃないか。」(よくぞ邪魔をしてくれた。)と少しだけ見直したものです。が、過去に守を捨てたのは南さんの方であり今も色々な男と体よく付き合っている(守の良さに気付いたから…もとい失うのを惜しんでいるから執着しているだけで別に彼だけに「一途」になったわけでもなく、この人の甘えた性根は何も変わっていない。)彼女には守への愛を語る資格は既に無くもはや何をしても振り向いて貰えないのはアンタの自業自得だよとツッコミを入れてしまったものでした。

 吉野博彰…「中華料理も美味い。フランス料理やイタメシも美味い。だからと言って寿司を食うなと言われればそれもまた困る。」

いわゆる「おせちも良いけどカレーもね。」(古!)という典型的な浮気思考であり「それにしたって節操が無さ過ぎよ!」(全くです。)と由貴ちゃんにもツッコミを入れられていました。それでも「どれも同じだけ好き」だったらまだ平等ではあったのに(救いようは無いけれど)「一人しか選べないなら1番は誰?」(無人島に1人だけしか連れていけないなら誰が選ばれる?)と聞くと「水野遥」と答える辺り…開き直るのもいい加減にしろよとげんなりしてしまったものです。挙句に愛人(由貴)の前で遥ちゃんの良さを羅列する無神経さにはとうとう攻撃方法もパーからグーに変わってしまい「いいぞ!もっとやってしまえ!」と男前な由貴ちゃんを応援してしまったものでした。(不倫しながら他にもう一人愛人(好きな人)ができた場合、前愛人とはべつに別れる必要は無いとは言うけれど、だからと言って「相手」をどんどん増やすのはさすがに節操が無さ過ぎだろうと私も思ってしまいました。)ワガママな由貴ちゃんには「従順な相手は『退屈』で飽きているから」とそっけない態度で燃えさせ、寂しがり屋の南さんは思い出したような「優しさ」で繋ぎ止め、お人好しの遥ちゃんは「誰でもいい所を見つけてしまう君には好きな人が何人もいる『同じ気持ち』が分かるはずだ」と体よく騙くらかし、正義感の強い河野君には村上の悪事(強姦未遂)を教えて爆発するよう仕向け…人間心理をよく分かって色々な人間を体よく扱っている辺り本当に頭はいいのでしょうがそのうちに天罰が下ってしまえ女の敵めと安全な所から皆を見下ろしながらしゃあしゃあと我が道を好きに生きているこの男に嫌悪感を抱いてしまったものでした。

 村上直樹…「俺の目指してきた『上』は人としては『下』だった!?」

そう、その目指してきた「上」とは「成績優秀、スポーツ万能の東大文Ⅰ大学生で将来の大蔵官僚」という「条件」であって「人としての魅力」(性格の良さ)ではなかったのですから、全く磨いてこなかった性格が「下のレベル」なのは当たり前の話でしょうね。(「あまりにも哀れに感じるほどに人としては幼稚過ぎる」という同情ですね、これは…。同情というのが「相手より1段高い所から見下しながら哀れむ行為」である事からプライドの高い人間にはショックだったでしょうが…自業自得にしか見えないような…ゲフッ!)目指してきた物に問題があったのではなくこの人の考え方の問題(同じ東大生でも人気者の遥ちゃんや男らしい河野君、友達思いの由貴ちゃん…と色々な人がいる。)なので原因は目標には無いよとしみじみ思ってしまったものでした。別れたばかりの彼女(真紀)の事も忘れて遥ちゃんに迫っていますが「強姦しようとした人間を許すなんて本当は(普通は)出来ないだろ。」(「あの頃」に戻れないほど嫌われる行動をしてきたのだから当たり前だろ。)とツッコミを入れざるを得ず改めてこの男が嫌いになってしまったものでした…。(一応、主人公なのにね。)

東京大学物語⑦~⑭

2009.05.27
 ドラマ版しか見たことが無く映画版は未視聴ですがネットによると15禁でヒロイン役の人は前ばり有りというきわどい恰好で撮影に及んだ(つまり肝心な所は偽物で隠しているものの裸が出てくる)と知って見るのは辞めた作品です。同じ大学の文系で同じ授業を取っていてもも文科Ⅰ類(日本を動かす優秀な官僚を数多く輩出する東大「法学部」卒業生予定者。)と文科Ⅲ類(卒業しても就職に困る東大「文学部」卒業生予定者。)は違うという事も描かれており同じ教室の生徒なのに学力(勉強してきた必須科目)の違いで授業が成り立たないというのはこの辺にも原因があるんだろうなとよく調べられている事に感心もしたものでした。

 池野幡由貴…「どうして東大なの?つまんない仕事ばっかりの官僚になったり法匪の群れの中に入って日本を動かしている幻想に浸れても結局しょせん歯車にしか過ぎないよ…。」

お偉い官僚になっても、それは国民の下僕で愚かな大衆に仕える使用人に過ぎないという彼女の解釈には「さすが東大に入るだけあって頭いいわ、この人。」と利己的で性根が腐ってて意地が悪くて人間がクズで品性下劣で小心者で臆病で卑しい心の持ち主で悪人の村上君が追い詰められる様に爽快感を感じてしまいました。(オイ!)高校時代からそうでしたが村上君は周りから「スゴーイ」ともてはやされたいだけで「それじゃあ東大に受かったが最後、人生の目標を失っちゃうね。」(東大に受かってもその中では高校時代のように多少成績が良いだけで「特別扱い」はされない。大人になったら社会でやっていくのに必要なのはコミニケーション能力で記憶力の良さ(成績)だけでチヤホヤされてきた今まで通りにはいかなくなる。それは高校までの受験を前提にした「狭い社会」の中でしか通用しない価値観であり大学に入った後の受験が無くなった世代以降はモテなくなる。)という彼女の論理には成程と頷いてしまったものでした。この頃はまだ「日本の社会じゃ仕事ができなくても東大さえ出ていれば出世できる時代」だったんだなあ~(今は東大を出ても就職さえ困難な実力主義の時代です。)と懐かしみながら読んだものです…。

 水野遥…「ありがとう村上君。あなたが生きてそこにいることは、あたしが貰った1番の贈り物でした。」

彼女の中で「世界で1番君が好きだ。」という村上の言葉がそんなにも重い意味で受け取られていた(いじめを受けたり周りから否定ばかりされていた彼女が「生まれて初めて完全肯定して貰った」と解釈した。)とは思わず「そんな言葉、付き合い始めに勢いだけで言った中身の無いセリフじゃないか…。」(事実その時はそう言ったにも関わらずその後は「足手纏いだ。」と突き放し彼女の友達と浮気をした挙句に他の女と付き合い始め…「世界で1番好きな女」に対して非常に失礼な行動を連発している。)とツッコミを入れてしまいました。吹雪の中(東大の前期入試を放って)助けに来るもその場で自分が倒れている(助けるつもりが逆に助けられる立場になって却って苦労をかけている。)様には立場が逆だろ!とツッコミを入れざるを得ず(守られているのはむしろ村上君の方。)こんな男はもう忘れてしまえと切に願ってしまいました。

 小泉真紀…「頭の中で作った格好いい自分に酔って涙なんか流して『愛』だとか言うな!もっと現実を見ろ!弱虫!」

そう言った直後すら「現実」の真紀の痛みを考えずに「俺の子を殺さないでくれよ。」と自分の事しか考えていない村上君。(そりゃ殴られますって。)今までだって遥ちゃんとの間で揺れ動きながら傷つけられてきたのにニュースキャスターになる夢さえも潰されてもっと村上の為に犠牲になれというのは確かに酷な願いでしょうね。(別れたのは妊娠が原因でなく「村上が自分のことしか頭にない男」だと分かったから。)子供ができたら殺すのが可哀想だから産むべきという「定説」はありますが、子供を産んでこんな男の為に夢も人生も犠牲にしてどうするという点においては真紀の中絶するという選択にも納得は出来たものでした。(なにぶん相手があの村上なので。)「産んでほしい」と言っている村上も胎児とはいえ殺人に加担する(「命を殺す」罪悪感をしょいこむ)のが嫌なだけで全く現実が見えていないし(そもそも妊娠→出産→子育ての全てを今まで通り大学に通って親にも隠しながら誰にもバレずに行うという将来設計そのものに無理がある。子育てはそんな簡単なものではない。)生理が来た(もしかしたら自然流産かもしれないが、ともかく「自分の子供」はいなくなった)事に大喜びしている辺り結局この男は「重い責任を負う」事が嫌だっただけで本心から相手を大切にしようとは考えていない事も分かり真紀が幻滅するのにも遥から奪い取ってまで付き合ったのにお別れの選択を選ばれた事にも納得したものでした。こんな男、別れて正解です。

 村上直樹…先輩「お前、自分がミスしても1度も謝らないよな。すっげー偉ぶってるぜ。一人前にできないくせに。」

村上本人(だけ)は「偉そうにもしてないし皆を馬鹿になんかしていない」と思っているのですが、それは頭の中でただ思っているだけで「結局皆の為に何の行動もしていないじゃないか。」(謝罪の一言すら無いじゃないか。)と客観的に冷静なツッコミを入れられていました。(この辺りはよしみつさんと思考パターンが同じだな。悪気さえ無かったら自分が無神経な言動をしても許されるべきで、それを悪く評価する周りが悪いと思ってるよ、この人…。)真紀の事に関しても「現実を見ろ!」(もっと現実の周りの人間の気持ちを考えろ!)と怒られた矢先に他の女とヨリを戻しに行っているし(その行為の中身が強姦行為だった事を忘れても彼の子供まで身籠った「彼女」の真紀に対して物凄く失礼。)結局この男は女性に「母親のように甘えさせて貰う事」を求めているだけ(だから自分を「完全肯定してくれる」真紀を選び、「いつでも自分を包んでくれる」遥ちゃんを選んでいる。)で自分の事しか頭にないんだなと改めて真紀の言葉に納得したものでした。そんな人間だから周りから人が離れていくんですよ、村上君。

「超」怖い話K(カッパ)

2009.05.26
 「超」怖い話シリーズ10冊目にして丸々平山夢明先生著というファンには狂喜したくなる1冊です。先生曰く、元々誰にでも書けると思っていた実録恐怖譚(そんな事は無い。数多の怪談本を読んできた私だから分かるが実話で有ろうと無かろうと、それを効果的に伝える「文章力」はやっぱり必要で、書くのが下手な人のは盛り上がらない。)だけど「ビーケワン怪談賞」「幽怪談文学賞」と怪談周りのあれやこれやが百花繚乱し、精栄や俊英がどしどし産まれてくる昨今、それらと互していかなければデリートの憂き目に遭う(「全く何てジャンルなんだ。10年以上やっているのにちっとも楽をさせてくれない。本当に町場の喧嘩です。」by作者)ので「振り出しに戻った気持ち」でつまらない話にも手を出さず「質」を意識して書いたそうです…。

 実験…チカ「これは実験なの。幽霊がいるならチカは世界一の有名人にして下さいって頼もうと思っている。つまり科学で証明できない不思議な存在を利用したいの。科学をも超越する存在なら私の願いも叶えられるはずだもの。」

そう言って近所の洋館で首吊り自殺をした老女を警察に通報する事もせず(「警察に言ったって生き返らないわよ!」byチカ)毎日不法侵入を繰り返しながら腐乱死体に祈りを捧げていたチカにこそ恐怖を感じたものでした。(どう考えても中学生女子のやる事ではない。「子供は善悪の判断がつかない」という問題を軽く凌駕している。)幽霊が出た事で全てを自白して警察に大目玉を食らいながらも一ヶ月間毎日墓掃除を行った奈良橋さん(今でも盆には墓参りを欠かさない。)に対して、チカの方は警察に何を言われても頑として認めようとしなかった。(そして「証拠が無い」以上は警察もそれ以上踏み込む事は出来ず、罪にはならなかった。)けれど、霊感のある母親に言わせれば「このままじゃ、あの子は死ぬまで運に見放される。」そうで、取りあえず「有名人になりたい」という彼女の夢は奇しくも当の「科学をも超越する存在」によって永遠に叶わなくなったんだなと納得がいった話でした。

 三日…飯干「お姉ちゃん、手をかざせば三日間だけとはいえペットの金魚や猫を生き返らせる事が出来たじゃない。お婆ちゃんが死んだんだよ。悲しくないの?」
姉「悲しいけど、それとこれとは別だよ。人になんかできないよ。」
飯干「バカだね。この時の為に神様はその力をくれたんじゃんか。出来ることを全部してから諦めればいいじゃん。」
死神「仕事の邪魔をするなら、代わりになれ。」

祖母の死体に手をかざして「力」を使い始めたとたん葬祭場が停電し、物凄く冷たい手に引っ張られた(「かざしていた手をいきなり掴まれて『抜けた』の。体はちゃんと椅子に座っているのに脱皮するみたいに中身そのものがズルッと外に出た感じ。分かりやすく言えば『魂を抜かれた』みたいだったわ。」by姉。)事から力を使うのを辞めたのか、本当に力が無くなったのかは不明ですが、ともあれ姉は高校を卒業してからは生き物を生き返らせる事ができなくなり、現在はただの主婦をやっているそうです。しかし、もし本当に生き返らせる事が出来た所で体中の穴に詰め物をされて死後硬直も始まっているであろう体を蘇らせたら、それはそれで大変なことになるでしょうし(むしろ「看取ったその時」に力を使うべきであり「今となっては手遅れ」という時系列に変わりはない気がする。)生き返らせた所で持つのは三日だけなのだから、あまり意味は無い気がするのですが…。

 ネット予約…山本「通常は6万円の部屋がキャンペーン期間中だけ朝夕付きで1万8千円だったんです。」
友達「最近は事故が有った部屋に敢えて人を泊まらせる事で『浄化』しようとする傾向があるらしいんですよね。安くても空けているよりはマシだという事もあるそうなんですけど…。」

ネットで検索していたら偶然にも超安い宿泊先を見つけてしまった、ラッキー…ではなく、温泉街の中でも老舗中の老舗で、かつては文豪も愛用していたのが売りの名店で(今更、客に媚びる必要も無く常連がいるであろう歴史ある宿で)何で「普通だったら絶対にそんな価格じゃ泊まれない値段」で部屋を提供しているのか、もう少し考えてみるべきでしたね。(生きた人間の話でも「○○在住の方のみキャンペーン期間中だけ安く割引きします!」と有ったので住所を提示した所、家に帰ったら泥棒に入られていたという話を聞いたしね…。←いや、話がおかしいと気づけよ!)案の定、泊まった1日目から天井から血を流す女の霊に遭遇し「やっぱり安い訳だよね。」と納得していた山本さん達でしたが、当の霊が地縛霊でなくてたまたま気に入った客について行ってしまったら(旅館としては万々歳でしょうが。)と考えると怖い話で、危ない所だったなと感じたものでした。

 こつこつ、ずるずる…早樹「細長の和紙でできた手のひらサイズの紙人形?今度はどの子の嫌がらせ!?」

銀座のホステスをしている職業柄、色々な嫌がらせが形を変えてやってくるので、こうした事は初めてではなかった…というより心当たりが有り過ぎて逆に犯人が分からなかった(不景気になってからホステスの上客の取り合いは熾烈を極めた。「ケーキ」の数は決まっているのだから自分の手に無ければ他人の手にあるものを取り上げなければ飢えてしまう。そして「奪い取らない」ことはすなわち「銀座からの撤退」を意味していた。)お客様には住所を教えないし、自分の家(の玄関)を知っているのはママと数人だけだから少なくとも自分の顔見知りの仕業には違いないけれど、どの子が裏切ったか分からない…という様には溜め息しか出なかった話です。(なるほど、よしみつさんと▲▲さんのように「知り合いの中から絞り込める」ほど、あからさまな手とバレバレの演技の元で同じパターンの嫌がらせを繰り返すのは「頭悪過ぎるレアケース」でもあったんだな。)こういう仕事ってギャラが良い分、大変な目にも遭うんだな(ストーカーでも霊現象か…。)と別の所で同情もした内容でした…。

 性根…下園「僕、ドーベルマンが欲しい!」
親「お金うんぬんよりも世話ができないだろ。もう今、一匹あんな大きいスピッツがいるのに。」
下園「そうか。なら、この犬がいなくなりゃ良いんだ。」

相手は生き物なんだから世話もできないのに飼ってはいけない…という話だったのに↑のように勘違いして、散歩に連れて行っては車にはねられやすいように車道を歩かせ、ニラやネギ、チョコなど犬に食べさせてはいけないものをご飯に混ぜ、果ては近所の貯水池に投げ込んで溺死させた経緯には、通りがかりの仁王様も思わず罰を当ててしまうほどフォローの仕様が無かった様子です。(「産まれたばかりの時には誰しも、まぎれもなくまっすぐな物なのだが…。」「ここまでが限度。ここからは本人の精進。」と「曲がった性根」を伸ばしてくれたが、わずかに神妙な気持ちになったのも束の間、また欲に突き動かされて犬をいじめ始めた。)原因不明の首から下の全身麻痺という状態で6年(!)も過ごして初めて自分の不遜に気づいて後悔したという様には、こういう人間って本当に、自分が「痛い目」に遭わない限り反省もしないんだなと改めて実感したものです…。

 布団…忍田「位牌は女子寮を造る際に出てきた物で、捨てる訳にもいかず、苦肉の策として開かずの間の天井裏に隠すように集めていたんだそうです。」

女子寮は昔、処刑場だった(おかげで土地代が安かったんです。)…という話はよく聞きますが、それならそれで供養ぐらいはきちんとしようよ(「開かずの間」にしたって釘で扉を打ちつけるだけじゃなく、南京錠をいくつもつけるとか、いっそコンクリートで壁に改築してしまうとか、色々やりようが有ったでしょうに。釘抜きを使わずともフォークで釘頭を引っかけると面白いように抜けてしまう作りでは「開かずの間」どころか「全開の間」になり果ててますよ。)と思わずツッコミを入れてしまったものでした。おかげでふざけたバカ女子の罰ゲームに使われて、心霊現象で済むどころか、うち2人は意識がハッキリしないまま両親に引き取られていったという経緯には、警備員による見回りを1時間毎にするとか、もっと「ヤバイ物を手中に隠している」なりの対応をきちんと行っていくべきだったな、と学校側の緩い仕組みにも溜め息が出てしまった話でした…。(これでイメージダウンは確実だな、経営陣…。)

 残滅…ユタ「これは誰にも祓えない。祓うには死人が多すぎるし、こんな呪いは見た事が無い。これをかけた人は自分の命を捨てて神罰を自分の呪いに利用してる。『神罰』なら呪いと違って、どんな巫女や霊能者も祓う事はできないから。」
宮チュー「高校の時に自殺した大森の母親は元々古い神官の血筋でね。娘がいじめで殺されたって知った時から、それに関わった人間を呪殺することに決めたのよ。でも、いじめっ子の親戚に霊能者がいて、その人が移植する方法を教えたの。呪いは凄く強くて祓えない。だったら他人に移すことで難を逃れるしかないって…2度でも3度でも完全に消えたって確信できるまでは色んな奴にやるの。私は今でも剣道部の原田君を横から盗んでいったアンタが憎いの。だからやったのよ。」
木暮「とっくの昔に他の男と結婚して子供までいるのに、くだらない理由でこんな事をするのね!」
宮チュー「いいのよ、くだらなくて。移すには最低でも『本気で憎い』と思う相手でないとダメなんだから!」

以来、木暮さんはたて続けに3人の男と関係して難を逃れた(「皆、昔付き合ったことのある人で、堕ろさせられたり、お金を騙し取ったり、殴ったりした人。」by木暮。呪いを移すには自分の血で相手の首筋に大森の名前(いみり)を書かなくてはいけない(吸い込まれるように消えたら移った証拠。)事を考えると「情事の後」なんて相手が首筋丸出し(ていうか全裸)で惰眠を貪っている時間という絶好の機会だった事だろう。)そうで何年も連絡していなかった昔の知り合いが突然親しげに訪ねてきたら、それは何か裏があると疑った方が良い様子です。(連絡を取り合わなくなった時点で、その人はもう「友達」ではない。「会いたい」のは人を利用して何がしかの利益を得たいからで、騙して捨てても何の罪悪感も感じない相手だからこそ自分が選ばれたというのが、悲しいながら事の真相である。)ホイホイと釣られるままにホテルまで行った男は3人共バカだったな、とも実感した話でもありました…。

「超」怖い話Z(ゼータ)

2009.05.25
 「超」怖い話シリーズ6作目です。「毎度毎度、締め切りボーダーラインの上の攻防と語っていたが今回は本当のボーダーラインもフェイルセイフも遙かに突破して臨死状態での発刊となる模様…」と書かれていた割には執筆分は共同著者の加藤一先生の倍近くあり、しっかり仕事してるじゃないですか、先生(むしろ他の人の2倍近く!)と思わず語りかけてしまったものです。この本では砂漠に埋もれかけている蝶の絵で(死んでますがな。)次のHでは燃えながら森を飛ぶ蝶の絵で(死ぬって!)東京伝説シリーズが女の子の絵だったのに対してこのシリーズの表紙は蝶の絵シリーズなんだな、と納得もした心霊物シリーズでした。

 忠告…沖田「30を過ぎると大体、自分が見えてきて…訳も無く死にたくなる時期でもあるんだよね。やりたい事、やれない事、そいつを考えれば、いつだって引き算なんだ。金も才能も何もかも自分には無い物ばかりで引き算人生。嫌にもなるよね。」

だから今になってから本を出した神戸連続殺人事件の少年Aといい、いい歳をしたオバサンになって就職活動もせずに無言電話に走っている、よしみつさんといい、30歳を過ぎてから異様な行動を取る人間が多いのか(いっそ、沖田さんのように「他人に迷惑をかけずに死ぬ」方向に走ってくれる方が、まだ救いようがあるのだが。)と納得してしまった説でした。首を吊った後、頭の中に話しかけてきた声に説得されて「生きる」事を選んだとたん、地面に投げ出された沖田さん(「ロープが切れたんですか?」「いや、持ち上げられて外れたみたい。家に帰ると両脇に掴まれた痣が残っていたんだ。」by沖田)文字通り「死ぬほど苦しんだ」事もあって現在では「あの苦しみに比べれば!」と小さな店も持って頑張っていらっしゃる様子です。

 T.S…友美「席を変えて貰ったら具合悪かったのが嘘みたいに元気になっちゃったんで恥ずかしかったわ。」
友人「当然よ。あれT.S(タブー・シート)だもの。あのシートの裏に成田山の御札が貼ってあったでしょう。事故死や病死した人が乗っていた席で極力、客は乗せないようにしてるんだけど、ゴールデン・ウィークじゃね。」

以来、友美さんは飛行機に乗ると真っ先に座席の下を確認するようになったそうです。(「あれから2回ぐらい見つけて席を換えて貰いました。結構あるんですよね。」by友美)離陸して2時間後から寒気が止まらず、体調不良を訴えていたのにスチュワーデスの態度がどこか変だった(「普通だったら病気を疑ったり薬を持ってこようとするでしょうに、どこか諦めているというか、仕方ないという投げやりな感じなんです。」by友美)辺り、教えてくれた友人以外のスチュワーデス全員がグルになって黙認していた(そのくせ料金は他の客と同じだけ取っていた。)事も窺い知れ「…。」と思ってしまった話でした。詐欺事件でもよく言われていますが本当に怖いのは手口を「知らない」ということだって本当なんですね…。

 忌外し…市太郎「忌み物(やると祟りや障りが起きると言われている演じ物。)をしたいけれど、とてもじゃないが縁のある神社へお参り出来ない。そんな時の知恵が『忌外し』なんです。四谷怪談ならお岩様、累が淵(かさねがぶち)ならお累様、牡丹灯籠ならお露様、と『主人公』の台詞を稽古時だけ逆様にするんです。もちろん初日の前には近くの神社にしっかり参詣しますがね。」

ところがいくらドサ周り(土砂降りになると芝居を辞めなければならないような「粗末な小屋で演じる芝居」とも「土間座席で見るような芝居」とも言われている。南は九州、北は北海道まで足を伸ばす大衆演劇一座の巡業のこと。)の芝居といえど「お怨み申しますえ」→「えすましうもみらうお」と単純に逆言葉でいうだけではダメで、口立てが基本の大衆演劇では同じ言葉でも「いぇすぅまし、うぉもみなうお」と微妙な抑揚や細かな所まで再現できなくては流れとリズムを重要視するドサの稽古にはならず、厳密には「忌外し」ができたとは言えないような状況の中、初日を迎えた結果、ラストでは場内を圧倒するような読経が始まり、仇の男は怨霊となった主人公に凄まじいまでの殺伐とした雰囲気の中で討たれた…そうです。(「いやあ、迫力だったねぇ。あの読経、いきなりでビックリしたけど誰のアイデア?」「誰もやっちゃいないです…。第一、小屋のスピーカーではあんな座席が揺れるような凄い音は出せないです。」by一座)そんな訳でこの一座、翌日からは普通の人情芝居に演目を換えたとの事でした。

 願解き…後藤「会社員をしていた時、ある政党から引き抜きがあってね。乗り気になったら、僕が前に勤めた議員さん(現在は大臣)が『絶対に後藤はやらん!』って横槍を入れたんだ。じゃあ会社員のままでいようとしたら、今度はまだ辞めてもいないのに『大臣に楯突く奴は怖いから戻って来てくれるな』って今の社長に言われて…3人も子供がいるのに、どうしてこんな事に。」
霊能者「願が解けてないわ。あなたのお祖母さん、あなたが生まれる時に『健康な子が生まれますように』って、お百度に近い参り方をしてる。それで『叶えてやったのに礼が無い』って神社の眷属が怒ってます。コップ酒で良いので、お供えしてお礼をしっかり言ってきて下さいな。」

そっか、お参りしたんだからそれで良しじゃなくて、願いが叶ったら「お礼」を言わなきゃいけないのか(所謂「お礼参り」という奴ね。それにしたって、その子が40を過ぎた年齢になってから、本人がした願かけでもないのに「礼はどうした!?」と執念深く呪いをかけるなんて、ギリシャ神話の神様みたいに人間臭い眷属さんだな。)と辻褄が合っている事に納得した話でした。↑のようにした所、翌週(早!)になると元・上司であり現・大臣である議員さんとの間を取りなしてくれる人物が現れ、彼は無事に秘書としてスタート(再就職)を切ることができた事情(本当に、超タイミング良く現れた取りなした人物だけの手柄なのか、憑き物が落ちたように怒りを収めた現・大臣の心境の変化なのか、何にせよ、このタイミングの良さは出来過ぎている。)を見るに、得心したと共に、無闇やたらと願かけするのも考えものだな、と感じた話でした…。

 血の丸…司「地獄チョークはね、自分の血でチョークを赤く漬けるのよ。そして呪いたい相手の所に印を付ければ良いんだって。そうすると色々な悪いモノがその家に集まって災いを起こすらしいのね。」
平山「でも、そんなチョークが染まるぐらいの血を出すのが大変じゃない。そこまでしてやる子はいないんじゃないの?」
司「…あたし、やったの。」

飼っていた犬を暴走族の青年に轢き殺されたのが悔しかったから…という理由で3か月がかりで水筒に血を貯め(ブタの血でも無かろうに、献血で使う血が固まらない薬も使わずに、よく「血を貯める」事ができたな。そんな物を皆で使う冷蔵庫に保存して3ヶ月も気がつかない親も凄いけれど。)4本作ったチョークのうちの3本を使って大きな血の丸を青年の家に描いたそうです。(「すぐにボロボロに崩れちゃって、3本使わないと円が完成しなかったの。」by司)すると本当に彼はトラックと正面衝突して死んでしまい、家族も引っ越し(一家離散かい!)家は売りに出された…が、血の丸を消したその夜から本人も一ヶ月間、昏睡する羽目になった様には、呪いは、かける方も気力と体力を使う物だ(ここまでの効果が出るほど抜群の成果を上げてはな…。)という説をまざまざと思い出したものでした。「人を呪わば穴二つ」という言葉にある通り、呪いなんてかけない方が正解のようです。

 裏鏡…叔母「念を込めた鏡を壁の中に封印し壁を通して映った相手を呪殺するんだよ。怖いよ、これは。見つかり難いしね。」
田島「聞いたら、その部屋からは数人の自殺者が出ていたんです。ところが皆、部屋の中じゃなくて外(ベランダの下)で死んでるから教える義務は無いって、敷金の返金はおろか壁の修繕費まで払わされたんです。」

おそらく呪いをかけた人間は最初の犠牲者(目的の人物)が死んだのを良い事に、後は野となれ山となれと裏鏡をそのまま放置したのか、最初から無差別殺人を狙って壁に埋め込んでいたのか(後者だったら嫌過ぎる。)のどちらかでしょうが、どっちにしろ何の関係も無いのに殺されかけた田島さんとしては迷惑な話だったろうな、と身近に「感じる人」がいた為に難を逃れた彼女(「ゴメンね、こんな時間に。アンタが危ないから今、絶対に電話しろってお婆ちゃんが凄くて…。」「おかげでビックリしてベランダからダイブする所が、部屋の内側に滑り落ちたよ。私、どうしちゃったんだか…!」by田島一家)の運の良さに拍手したものでした。やっぱり女の一人暮らしは色々と危ないな(心霊的な意味でも。)と実感した話です。

 方法とその効果について…上司妻「家内ですけど今日もお休み頂きたいので…。」
山上「目に見えて呪いの効果がハッキリ出てるんだから、効いてるのが嬉しくてなあ。思わず笑みが漏れたよ。オフィスに誰もいなくて良かった。多分、その時の俺って危ない人に見えたかもしれん。」

段ボールの梱包で上司の頭に「うっかり」とガムテープを貼り付けて(髪の毛を手に入れた。)百円ショップの紙粘土で髪を入れた人型を作り、筆ペンでフルネームと生年月日を書き、夜中の2時(!)にわざわざ墓場まで出かけて古い墓に埋めた…だけでは飽き足らずに自分の血をたらしてまで顔を描き、その後三日スパンで掘り起こしては手足を砕いたり、脳天から針金をねじ込んだりして上司が苦しむ様を喜ぶ様子(カッターで指を切る、画鋲を踏む、急に四十肩になる、に始まり針金を貫通した翌日からは病欠が続いた。普通はそこで気が済みそうなものだが…。)は、もう「危ない人に見えるかも」(推定形)じゃなくて、もはや「充分危ない人」(断定形)だろう、と作者共々ツッコミを入れてしまいました。(自覚はあるらしい、が…。)結果、最後には倒れてきた墓石の下敷きになって自分も大怪我をした彼。(「自分の血」で顔を描いちゃなあ…。)それでも「この程度の供物で呪いが完成するなら安いもんさ。」と笑う彼にこそ恐怖を感じてしまった話でした…。(「イカレてるね。」byうちの弟。やっぱり聞いた人全員がそう思うよな…。)

学園七不思議

2009.05.24
 絵柄が少女漫画風…!?(特に脇役キャラ)と絵の変化に驚くと同時に、つのだじろう先生が元々はりぼん→なかよしと少女漫画雑誌の連載経験を経てから少年誌に移行した漫画家だという事を改めて実感した本でもありました。(でもやっぱりタイトルといい話の内容はホラー系なのね。)この本も「恐怖新聞」同様テレビアニメ化されたそうで、人気のほどが伺える1冊です。

 第1話・君の名は…?…母「あさ子は朝早く来て美術室に花を飾ったり、良い成績を取るように頑張ったり、一年間も尽くしたのに、杉田先生に言われた言葉が…」
杉田「君の名は…?」
母「あんなに一生懸命愛してきたのに杉田先生は自分の名前すら覚えてくれないんだって悲観したあさ子は飛び降り自殺しちゃったのよ。」

1人で勝手に思いを募らせて、勝手に悲観して、勝手に自殺した女生徒の方にも問題が有れば(そもそも学校は恋愛する場所じゃなくて勉強をする所だ。)自分の制作に夢中で教え子の名前すら覚えていない先生の方にも問題があったな(挙句に交通事故で頭を打って死んだ事が原因で、化けて出ながらも全てを忘れていましたって…。)と微妙に思えた第一の怪談でした。幽霊となった後やっぱりあさ子さんの事は忘れていて記憶を失いながらも絵だけは描いていた辺り、この先生にとって大切だったのはやはり自分の作品だけだったのだろうと実感してしまった話です…。

 第2話・給食の栄養…父「何だ。給食に髪の毛が入っていた位で…食べたって死にやせん!世の中にはもっと恐ろしい食べ物が平然と出回っているのかもしれないんだぞ!」

そして髪の毛程度を気にしている娘に、奇形魚が出る養殖ハマチの話(魚を囲う網に貝や海藻がつかないように有害な薬を使っている。)やアメリカ産オレンジに使用されている防腐剤(毒性が強いからと使用禁止になっているのに日本ではその薬を使っていない物は輸入しないという規則がある。)大量に漂白剤を使用しているレンコン、ゴボウ、もやし(業者自身は「自分ではそんな野菜、気味が悪くて絶対に食べない!」と言っているのが本音。)一番酷いシソの葉(虫がつきやすいので強力な薬剤を使い、しかも洗い落とさないまま市場に出ている物まである。)の話なんかしたら、余計に食欲が失せるだろうな…と一気に拒食症が悪化した展開に納得してしまったものでした。医者曰く「霊が見えるのは一種の幻覚」(よくあること)だそうで、これは本当に原因が心霊現象なのか、神経質になり過ぎているだけなのかは疑わしい所だなと思ってしまった話でした…。

 第3話・黒板に何かが!?…増尾「私が悪いんじゃないわ!私だって毎日、毎朝お母さんに勉強、勉強っていじめられて、そのイライラであなたに当たったのかも…!」
桐生「そう…あなたのせいじゃない、と言うのね。自分の母親のせいだ、と。だったら母親も同罪だわね!」

なるほど、それはその通りだ。と、実行犯である自分のせいではなく、自分にイライラを与えた母親こそが諸悪の根源だ(だから自分は悪くない。)と責任を母親になすりつけた娘に出した結論に頷いてしまったものでした。娘をそんな人間に育てた母親にも責任は有るが(大体、娘が影でそんな事をして人1人死なせた事を気づいていないのに親として問題がある。最も匿名一家のように全てを知りながら娘に加担して素知らぬフリを始める親よりはまだマシだが。)それはそれとして「娘本人」が1人の人間をいじめ殺した事実には変わりはない。他の人間のせいだと言うのなら、その人間にも同じ罰を与えるだけで責任逃れは許さないという桐生さんの結論に拍手してしまった話でした。

 第4話・花ことばの怪…花輪みどり「もしチューリップ(恋の宣言、魅惑)とパンジー(私の事を考えて)とバラ(美、愛、恋)の花束を貰ったら『貴女は美しい女神だ。愛しています。僕の事を考えて下さい』か…ムフッ。」
園芸部員「あ~、無理無理。アンタが貰えるのは金魚草(でしゃばり、欲張り)とザクロ(バカ)と石竹(嫌い)の花束ね。」
花輪「つまり『アンタなんか、でしゃばりでバカだから嫌い』…って、こんにゃろ~!許さーん!」

「花は桜木、人は武士」(桜は美しく咲いてパッと散る。昔はそれを武士の潔さに例えた。)というように日本にも「花言葉」と言えるものはあったけれど、現代日本に伝わる「花言葉」はほとんど西洋文化の受け売りで中世ヨーロッパで騎士達が無言で自分の心を好きな女性に伝える風習から来ているという説明に、だから欧米諸国の男達は愛を告げる際にバラの花束(「あなたは美しい、恋しい人です。愛しています。」)を贈るのねと納得したものでした。(実際、現代でも愛の告白の際にいちいち相手を呼び出して「好きです!」と言うのは日本だけで、欧米諸国は「何でわざわざ言うの?」と小首を傾げているのだとか。←その代わり欧米諸国は普段からの「愛情表現」を欠かさないから「言わなくても分かる」が成り立っている面もあるそうですが。)話では花の妖精にとり殺されてしまった花壇荒らしの犯人ですが、同じ人間でも他人の厄介事は知らんふりを決め込むのに、花だけがそこまで他人に義理固い訳も無く、こんな「事故」は著者自身見た事も聞いた事も無い(自分で言っちゃいますか、つのだ先生!)というフィクション満載のストーリーでした。

 第五話・地底からの声…母子霊「二人の人間が私達の運命に引き込まれてくれたおかげで、私達は永い地縛から解かれ『あちらの世界』に行けることになりました。ありがとう!」

自殺・事故死などで「地縛霊」になってしまった霊は他の人間を自分と同じ事故に引きずり込まないと霊界へは行けない…けれど犠牲者を出してまで行けるようになる場所はもちろん「地獄」だというオチにはもう溜め息しか出ませんでした。(空襲による死者でも死因は爆撃で通気口が塞がれての「酸欠による窒息死」だから「再現」はしやすかったんでしょうけどね…。)あの母子はあちらの世界についた所で、ただ移動ができないだけの今までより余計に苦しむ羽目になった様に今頃後悔しているんだろうなあ、と色々考えてしまった、そんな話でした…。

 第六話・一番奥の扉…佐和山先生「霊能者は神様ではありませんからね。どんな霊魂にも必ず勝つというわけではありません。悪霊が強ければ霊能者が負けて憑依されてしまう事も、時には命を落とす事だってあるんですよ。」

まあ、新聞の折り込み広告に宣伝を入れているような霊能力者じゃたかが知れてるわな(「特別霊障相談室!霊魂の事、悩みごと、何でも直々に相談を受け付けます!」ってどんだけ軽いノリで霊能者やってるんだ、この人は…と思わず吹いてしまったものです。一応霊の正体を暴いた辺り「視る力」は本物だったらしいですが、多くの霊感のある人達と同様に「見えること」と「徐霊できること」とは別物なんですよね…。)と「負けた」理由は納得できたものでした。最後の「私にとり憑いたんですよ!」というお約束オチには終わり方を予測しながらも頷いてしまったラストでした…。

 第七話・狐火…祖母「狐が人間の骨を咥えて走ると、骨の中のリンと狐の吐く息が混ざって火が燃えるそうな。狐の嫁入りの時には狐火が行列して見える…わしらはそう教えられて育ったんじゃ。」

それで火の玉を狐火っていうのね…と、また一つ日本の怪奇現象の由来が分かった話でした。ちなみに早稲田大学理学博士・大槻義彦教授の著作「火の玉の謎」(多分「地獄先生ぬ~べ~」に出てくるプラズマ男・大槻先生はこの著者から取ったのだろう。)によると最も有力な説は、郵便受けなどに使う小さい蛍光灯を水を少し張った小鉢に入れて電子レンジにかけると光る雷放電(プラズマ)説だそうで、蛍光灯が光を放つ原理(プラズマの発生)と同じ=火の玉はただの蛍光灯の親戚だという説明にすっかり緊張感を失くしてしまった生徒達。火の玉が物理的に説明できる現象でも、それで集団催眠や精神錯乱は解決できないのだから下手に異常現象に近づかない方が良いのに…と思わずツッコミを入れてしまった話でした。

<青嵐学園編>
恐怖新聞といい、PSI霊査室といい、この作者が描く心霊シリーズ物の主人公(またはヒロイン)は必ず最期に死ぬ羽目になる運命なのか(元々「七不思議を全部知ってしまうと死ぬ」という俗説はあるから、ある意味「正しい展開」なのかもしれないけれど…。)各話のストーリーテラーとして全話に登場していた主人公が最終話で幽霊に憑りつかれたまま車に撥ねられて死んでしまった様には登場回数の多いおかげで慣れ…もとい好感を持っていただけに残念に思えた終わり方でした。あるいは彼女を生かしておいたが最後、連載が続いてしまうので「七不思議」のはずが八話以上になってしまうという配慮だったのかもしれませんが…。

 その1・13非常階段…月影明子「一滴の水も集まれば大洪水となり頑丈なダムをも破壊するエネルギーを持つ。火も集まれば熱を発し大噴火と共に街をも埋めてしまう。大地は移動しそのエネルギーで大地震を起こし、目に見えない小さな細菌が伝染病を起こす…。」

そうやって「塵も積もれば山となる」…のなら「あの13階段は不吉だ!」という皆の思いも積もり積もれば魔界の者を呼び寄せてしまうほどに効果を発揮してしまう事だろう(そういえば「学校の怪談」でよくモナリザの絵が不吉だと言われているのも、嘲笑を浮かべている彼女に不快感を感じる皆の念が絵の中の彼女を「イメージ通り」に動かしているという解釈の話が「地獄先生ぬ~べ~」で描かれていましたっけ。)と人の念の強さと合わせて展開していた話でした。せっかくの除霊も「させてしまえば噂を認めたことになる!」と保身大事の先生によって止められてしまいましたし、この非常階段での事故はきっとまだまだ続くのでしょうね…。(避難訓練の時どうするんだ、この学校?)

 その2・理科実験室…日暮今日子「お願いです。この教室にある手首の標本を探すのを手伝ってくれませんか?ただし誰にも絶対に秘密ですよ!もし誰かに話したら許しませんからね!」
一条「失礼よ、1年生!私は2年生よ。あなた下級生でしょう!それに他人に物を頼むのにそういう言い方は無いでしょう!」
日暮「バカな事を!あたしの方がずっと先輩だわ!」
一条「どんだけ留年したのよ、あなたは!?」

いやいや、神出鬼没のその様に、2階の自室の窓の外に立たれる前に、壁をすり抜けて部屋に入ってこられる前に、もっと早くに幽霊だと気づこうよ!と思わずツッコミを入れてしまった主人公の様でした。結局、不法侵入を果たしてまで見つけた手首の標本は日暮さんの物ではなかった(「アレは手首に出来た年寄りの皮膚ガンの標本で、『珍しい大凶の手相だったから人身事故で自殺した彼女の遺体からコッソリ取って行った』なんて全部デタラメな噂だったのよ。」by一条みずき)というオチには無駄に苦労した点と合わせて主人公にも同情したものです。日暮先輩の自殺の原因も受験の悩みだったそうですし、思うに生きている頃から頭の悪かった人だったんだろうなあ、としみじみ思ってしまった話でした…。

 その3・机文字の怪…新聞記事「宿直を監禁!覆面の数人、校庭へ447個の机を運んで下書き無く正確な9の形を作る!余った机は一つも無し!」

…で、建造物侵入・逮捕監禁をしてまで覆面の数人は一体何がやりたかったのか?きっと宇宙から変な電波でも受信していたに違いない、という解釈かこの話では宇宙人に攫われた生徒を返して貰う「目印」の為に「机で丸を描いた」という話になっています。(アレ?「怪しい話」に違いは無いけれど、幽霊が心霊現象を引き起こす一般的な「学園七不思議」から外れてしまっているような…。学園が舞台で「不思議な話」なら何でも有りなのか?)でも、それはつのだじろう先生の解釈(「実は青嵐学園でも似たような信じられない事件があったんです。」by一条みずき)であり実際の↑の事件の真相は分からずじまいで終わっているらしいです…。

 その4・猫足の墓…墓地管理人「縁起の悪い墓相?色々あるけど、一番どうしようもないのが先祖代々の墓がありながら子孫が放りっぱなしにしているケースだな。先祖霊が怒って本来護るはずの子孫にバチを当ててくる。こういうのを『戒告現象』って言うんだ。」
一条みずき「ヤバイなあ…。あたし、うちのご先祖のお墓がどこにあるのかも知らないよ。」
一条父「人間は死んだら土になるんだ。墓なんて生きている身内の気休めみたいな物で死んだら皆ホットケ(放っとけ)様だよ。」

お墓の研究家・鹿島大賢の「墓と開運」によると、「自然石のお墓」は昔から家が絶えると言われて嫌われており、「酒の一升瓶型」「将棋の駒型」とかの変わった形の墓は子孫が恋愛トラブルを呼びやすい色難の凶相、「猫足の墓」は破産や跡継ぎの家出や主人の病気など最も凶相の確率が高く、「普通の一般的な墓」でも土台石が崩れていたりめり込んでいたりすると水難を呼ぶ…そうです。自分の家は四角い普通の形で毎年の墓参りも欠かさず行っていて本当に良かった(しかしペット霊園の方の墓参りは忘れて本当に黒い影を見たり、風も無いのに鈴の音を聞いたりした。墓参りに行ったとたんに治まった、という事は…。)と感じたトリビアでした。もう本編の骨を齧る少女の話など、どうでもいい(オイ!)。プラズマ現象の本といい、この作者が本当に色々な本を読んで研究している事に感心した話でした。

 その5・保健室の血痕…医者「虫垂炎をこじらせて酷い腹膜炎を起こしていました。その上ストレス性胃潰瘍で吐血したんです。もう少し病院へ連れておいでになるのが早ければ助かったかもしれません。残念です。」
新沼先生「私は一般の腹痛だろうとタカをくくってお腹を温めさせてしまった。その為に出血も酷くなり炎症をより酷くしてしまった。私があの子を殺したんです。」
月影さん「現実にはその時お腹を冷やしていても助かったとは思えないんだけれど…。」

一体誰が一番、静さんの死を後押しした(彼女を死に追いやった)のかというと↑のような状態で弱っていた所を腹をかっさばいて開腹手術をした医者だろうな、と私も頷いてしまったものでした。お腹を冷やした所で盲腸は治らない。「もう少し早く連れて来て」と言っても↑のような段階まで進んでしまった後で、もう5分10分早く来た所で事態が変わったのかは微妙な所だな(もう少し早くって「あと2、3日早く来て」って意味だと思いますよ?)その時保険医が投げやりな対応をしていたことは認めるけれど「原因」が彼女ではなかったからこそ当の生徒も成仏しているし、母親の呪いは逆恨みに過ぎない(ぶっちゃけ呪う相手を間違えている。)でしょうと納得ができた話です…。

 その6・人喰い岩…祖母「誰も水死した所を見た者はいないし死体も上がらない。だから行方不明扱いで葬式もしておらん。それでは水死者の霊魂が浮かばれんのは当然じゃて…。」

誰もその人が死んだ所なんて見ていないのだからと家族は生きている事に賭けて「行方不明」扱いにしているけれど、本当に生きていたら家族の前に姿を現すはずで、ロクに手持ちの金も無い=飲まず食わずの状態で何日も過ごしている(現実的に考えて、生きていればあり得ない状況が発生している。)という時点で諦めるべきではあるんでしょうね。一般的になじみがある葬式が「顕斎」(生きている人間が死者と別れる為の葬式。)死者を霊界に導くための葬式が「幽斎」(霊界の霊魂達に「この死人をお願いします」と神式の祭壇をこしらえて頼む、霊界への根回し。)というのと合わせて詳しく調べられてるなと思った話でした。

 その7・青色のピアノ…千草「指先を包丁で切った位じゃ大切な大会を前にして不注意だと皆にそしられる。交通事故なら不運、可哀想と同情してくれるはず!」
一条「千草さんは車に軽くはねられて手首捻挫とか、その位のつもりだったらしいけど…軽く当たって倒れた所へ、後から追い越しをかけてきたトラックに轢かれて左腕切断という重傷を負ってしまったんですって。」

現実には自分の思い通りに動いてくれる人間すらいないのに、ましてや「急には止まれない」車なら尚更の事でしょう…と千草先輩のバカさ加減に思わず呆れた話です。(そして万が一、思い通りの怪我を負えた所で「大会を前にして急に道路に飛び出すなんて不注意だ!」と皆にそしられるのは免れないと思うぞ。)実力不足で「賞が取れない」という自業自得をどうやって「他人のせい」にして責任をなすりつけられるかと狡い事ばかり考えるから、本人が自分で言っているように天罰が下ったのだろうとツッコミも入れてしまいました。挙句に「2度と満足にピアノが弾ける体でなくなった」事に自棄を起こして怪我が治ってもいないのに病院脱走→片手でピアノを弾いて傷口が開く→出血多量で死亡というマヌケな死に様には言葉も出なかったり…ゲフッ!

いま、殺りにゆきます2

2009.05.23
 警察は目の前で起きた犯罪や、やたら自分の成績に反映するような事例だったら頑張るけれど庶民の一人暮らしの女性の警護などという事件には全く興味を向けない。それよりは駐車違反やスピード違反、飲酒運転をセコセコ摘発する方がよほど「成績」になる(何しろ各警察署ごとに摘発の割り当てがあり無理にでも違反者を血祭りに上げないとボーナスが下がる。)ので、そっちが忙しく使い物にならない。(少しでも余計な仕事をしたくない、その気持ちは分かる。けれど、それが仕事で、それで金を貰いながら「早く守ってくれる彼氏が見つかるといいね。」という対応はさすがに非常識だと私も思った。)という事は自衛以外に手段は無いのです。ストーカーの主成分は負け犬根性です。人生において正々堂々と戦う事もできない臆病者だから自分より弱い者の血と悲鳴と涙が必要(つまり「同じレベルの人間相手では勝てない」から弱い相手ばかり狙っているのね。)で犯罪行為を行う事で自分を一時、理想とする強者になれたと錯覚(陶酔)しているダメ人間なのだから、手口を知って対応していけるようにという後書きに今回も力強く頷いてしまった1冊です。下手したら「東京伝説」シリーズよりタチが悪い話の数々には読みながらゾッとするばかりの本でした。

 3890円…マユミ「男って本当は『女』よりも『自分の話を真剣に聞いてくれる相手』を探してるのよ。だからこの客は絶対にモノにするって思った時はグラスが空になってもワザと注がないの。話に聞き入って忘れた位の『小芝居』を見せた方が食いつきが良いのよ。」
男「結局お前はお金だろう。お金の為にしてるんだ。だから今日はお前に一杯あげようと思って…それにちょっとトンチが効いてるし、10円貯めるのがどんなに大変な事か、これで分かるやろ。」

そしてグラインダーをかけてギンギンに切れるようにした10円玉を全部で3980円分彼女の口に詰めた後(398枚分もそんな事をするヒマがあるのならバイトでもして普通に10円(以上)を稼いでなよとツッコミを入れてしまいました。)にガムテープで口を塞いで顔を揉みしだいた、おかげで硬貨が皮膚を裂いて突き出すだけでなく歯まで折れて翌朝には顔が破れたカーテンのようになっていたという様には思わずゾッとしたものでした。最もそこはプロの女、知り合いのヤクザに(枕営業手法で)頼んで全てを終わらせた(おそらくはそのダメ男の人生を終わらせたのだろう。)様にはたくましさを感じたものです。(「分かるでしょ。警察なんかより信頼できるあの人達の方がその手の事は早いもの。」byマユミ)という訳でキャバ嬢だろうが風俗だろうがやっぱり「プロの女性」には手を出さない方が良いんだなあと改めて感じた話でした…。

 くちゃくちゃちゃん…叶「人の部屋に不法侵入してきて、ナイフで脅して体中を噛んできた男は逮捕はされなかったんです。」
警察「彼には精神科の入院歴があるから起訴は難しいんです。貴女につけた歯形は軽傷ですし、逆に貴女が彼を刺したナイフが肺に達していて重体であることを考えると、むしろ貴女の方が過剰防衛で訴えられる可能性があります。」

コンビニの客の中で気に入った女性がいると彼女達が出した宅配便や公共料金の領収書から住所を調べ出しては付きまとい、時には不法侵入までする変態男なんて、いっそ死んでいてくれたら良かったのにと重体であっても命は助かった(らしい)様には心の底から残念に感じた変態男でした。しかしいくら住んでいるマンションから歩いて2分(変態が身近にいる場合、逆に怖いな、その距離。)であっても距離的に便利だからとその男が務めるコンビニに通い続けた彼女の方も甘かったな(車道側から中を覗いて男がいると入るのを辞めた…とはいえ「かなりの頻度で目が合った」そうでしょっちゅう覗いては入店を辞める女性=他の店がある場所よりも近所に住んでいる女だという事は大体推測できたんでしょうね。)とも感じた話でした。変態が身近にいる場合(そして目をつけられたと感じた時)は即引っ越しを考えるのが、やはり一番安全な対処法みたいです…。

 自作ビデオ…アズサ「業界にはね、タレントの住所をこっそり売る奴がいるのよ。それで小遣い稼ぎしてる奴がね。私みたいに足を洗っちゃった人間は一番のターゲットなのよ。」

そこそこのAV女優レベル(壇蜜のようなアイドルではない。)だと別に事務所が守ってくれる訳でもない、警察は「職業AV」というだけで被害届もマトモに受理してくれない、ヤクザの人達は義理をかけると後がややこしくなる場合も多いから(大体、AV女優を辞めた後の、今の自分にストーカーがつく理由もないだろう。)と、歯ブラシが逆様に入っていたり、トイレットペーパーが斜めに破られたりの「他人が部屋に入ったサイン」を全部見逃して、ついにはナイフで脅されながらコンドームを被せた電球を入れられて割られる羽目になったアズサさん。(拷問で、剃刀を入れたガチャポンのカプセルを何個も「入れて」腹の上でブギを踊るっていうのが有ったのを思い出しました。by「ダイナー」)こんな事なら「ほとぼりが冷めるまで都心で暮らす」(親の借金を返しながら弟妹に送金するほどの大金を女の身でどうやって稼いでいるのかは深く考えなくても地元民には分かる。)のではなく、恥を晒してでもサッサと田舎に帰っておくべきだったな、と涙ながらに思ってしまった話でした…。
 
 アメちゃん…チヅ「2時間ほどカラオケで歌っていたら手にナイフを持った大男が入ってきてテーブルに手錠で繋がれたの。」
店側「警察が入れば指紋を採ったり操作をする間、部屋が使えなくなる。通報するならその分を保証しろ。」
チヅ「そんなお金無いし。私達も学校バックレ(早退)して来てるから親にバレたらヤバイし。」

結局、ナイフで脅されて顔を舐められてと「被害を受けた」のは女性側の方だったのに(手錠は簡単には切れず、仕方なくハンズまで店員が鉄鋸を買いに行き、それで切断した。)延長料金の二千円を払って黙って出てくる羽目になった彼女達。(その前に学校サボってまでカラオケに行くなよ。おかげで制服の着替えが無い→有名チェーン店だと通報されたり入れてくれない→防犯カメラの無い場末のドリンクセルフ店(店員が部屋まで運んで来ない。つまり決して部屋には入ってこない。)に入ったから、こんな事態を招いたんでしょう?)それ以来「学習」して防犯カメラのある有名カラオケ店にしか行かなくなったとはいえ、普通に規則(学校生活)を守っていれば始めからそんな事態は起こらなかった事を考えると微妙に思えた話でした。取りあえず制服で出歩くのは(どこの学校に通っているのか即バレの服だし)普通に辞めなよとツッコミばかりが入った話です…。

 上映中…片岡「映画は3時間を超える超大作で、一刻も早くラストが知りたかった私は1人でオールナイトに出かけたんです。いつもは食べないんですけど今日は雰囲気が重要だと思ってジュースとポップコーンまで買って…」

「魔法の指輪を巡る映画」という触れ込みから「ロードオブザリング」シリーズか(「ハリー・ポッター」シリーズもそうだけど、6時間前から並ぶ人が出るほど、100人以上の人間が列を作るほど、アレってそんなに面白い?いや、否定はしないけど普通に昼間上映を待とうよ。)とピンときました。そして冷たいジュースと固いポップコーンを食べてお腹を悪くした結果、説明が延々と続くシーン(物語が停滞したと感じた時)でトイレに駆け込み、そこで女装した大男に襲われた(従業員のほとんどは客入れが終わると同時に帰ったらしく売店にも誰もいなかった。)妙な薬を飲まされて気がついたら全裸の上に丸坊主にされていた(劇場のスタッフのユニフォームを借りてなんとか家には帰れた。)有り様にはだから、夜中に女1人で出かけるのは辞めなさいって!と妙に当たり前のツッコミが入ってしまったものです。夜中の女の一人歩きはたとえ屋内であっても危ないと実感した話でした。

 おサイフ君…サチヨ「お金が無いアンタなんか首が無いのと同じよ。この先も私と付き合いたいって言うんなら数千万もする毛皮買ってよ。それを買えないなら、もう会わないわ。」
相手側弁護士「詐欺と脅迫未遂で訴えますよ。事実、彼は盗んだ会社の金で貴女と付き合っていたんですから。あなたが彼を精神的に脅迫して会社の金を横領させたんです。」

おかげで食事に薬を混ぜて体の自由を奪い、毛皮に沢山取り付けた剃刀で全身なます切りにした上に口まで裂いても雀の涙のような額で示談になったこの話。(多分、そんな真似をするほど「精神的にキていた」(責任能力なし)というのもあるのだろうけれど、物は言いようというか有能な弁護士がいて良かったな、この変態男は。)警察に通報しようなら評判をガタ落ちにさせる分の慰謝料を請求させて貰いますと惨劇の現場となったホテル側からもやんわりと脅され、結果として彼女は(自分の方にも弱みがあるだけに)警察に訴える事もせずに泣き寝入りしたそうです。しかし↑のような事を言う女なんて惨劇に走る前に普通に別れれば良い話(数千万円の毛皮を贈らなくても付き合ってくれる女はきっといる。たとえ次の女が相も変わらず金目当てでお財布君としか彼を見ていなくても「毛皮レベル」はそうそういないだろう。)で、男の方も女の方もバカだったなと感じた顛末でした…。

 天使の羽…カズエ「母親とケンカしてムシャクシャしてたから、そいつにナンパされた時も、まあいいかって感じてついてっちゃったんだ。バカを相手にバカな事をして、アンタの娘はこんなにバカなんだよって親に復讐してるつもりだったんだ。」

なるほど。それで、よしみつさんも無言電話が親にバレた時に辞めるどころか叱られたその日から連日かけてきた訳か(よしみつさんは、バラした私に嫌がらせをすると同時に、影で親の立場を悪くする事をして、ほくそ笑んでるつもりだったという訳か。)とバカ女の心理に納得したものでした。結果、頭がバカな行きずりの男相手に、出会ったその日にラブホテルに入るというバカな事をしでかしたおかげで、気を失うまで首を絞められた後、背中に焼けたアイロンを押し当てられて天使の羽のような火傷が残ってしまった彼女。(望み通りにバカな目に遭ったんじゃないか。嘆く必要も無いだろう。)当然の事ながら、一番犯人が捕まり辛いケース(前々から怪しいと思っていた「近所の変態」なら話は早いが、その日まで会った事も無い住所も分からない人間だと見つけるのも大変。)故に、未だに犯人は捕まっていないそうです。

ふりむいてはいけない

2009.05.22
 「怖い本」シリーズの番外編みたいな本です。取材相手から「私、死んだら化けて出てもいいですか?」とよく言われて、そのたびに「もちろんですよ。歓迎します。思いっきり凄い感じでやってきて下さい。」と言うと相手は大概、嬉しそうな顔をする。そして、そういう反応を見ていると「幽霊も寂しいから色々かまって貰いたくて現世に現れるのかも」と思ってしまうという作者の言葉に、だから「幽霊に出会ってしまった時は出来る限り無視した方が良い」というのは本当なのだろう(怖がったり「反応」が返ってくるのが、おそらく一番嬉しいのだろう。)と改めて思えてしまった、そんな説得力のある前書きでした…。

 人形…藤田「うちが不幸続きになったの、全部アンタから貰った人形が来てからなんだけど、どこで買ったの!?」
親友「実は、お墓にあったのを盗んできたの。憧れの彼が貴女の事を好きだって分かって、死んじゃえば良いと思ったの…ごめんね。」

ゴメンで済むか、ボケ!(そこは友人である自分の立場を利用して「私達、友達よね。まさか友情を裏切って『親友の好きな人』を横から奪ったりしないわよね?」と牽制をかける方が、祟りを利用しての抹殺計画を立てるより、はるかに話は簡単に片付いたと思うが。)とツッコミを入れると同時に、姉の娘が喘息で死にかけたり、母親が10円玉のパイルから飛び出したコインで角膜を傷つけ失明寸前の事態になったり、火の気が無いのにボヤが起きたり、不幸になってはいるものの、本人の命に全く別状は見られなかった事態(結局、目的は全然達せられなかった。)に呆れる事しかできなかった話です。また、憧れの彼が「ちょっと気がある」だけの相手(別に藤田さんに告白した訳でも付き合い始めた訳でもない。)に↑のような事をする性格の悪い親友に何で自分が選ばれなかったのか、一度よ~く考えてみた方が良いんじゃない?と思わず語りかけてもしまったものでした…。

 Wデート…カナエ「廃墟に行った後、事故で死んだ2人は今どうしていますか?」
霊能者「一緒だね。2人共一緒にいる。」
カナエ「ああ。良かった。」
霊能者「良くはないよ…。地獄に落ちているからね。」

いくらデートでも、Wで行う事で人数がいても、一家心中した跡の真夜中の廃墟なんて行くものじゃないな(結局そこで見つけた「不気味な絵」を蹴って小便をかけた彼氏カップルは交通事故で亡くなっているし、自分達は車全面に「すごく死ぬ」と落ちない落書きをされた心霊現象を思い出すのが嫌で自然と別れてしまった。カップルの絆を深めるのがデートなのに、おかげで恋愛関係自体がぶち壊しになってしまっては意味無いよな…。)と改めて納得してしまったものでした。霊能者曰く自分も自分で「まだ業が取れていない」(今、死んだらもれなく地獄行き。)そうなので、つくづく人が死んだ所に遊びで行くものではないと思い知った話です…。

 トンネル…則和「小坪トンネルに行く時に乗っていたのがボルボだったんです。あれ、幅広じゃないですか。だから民家の壁をギリギリで避けたり、片側が崖の所を通ったりする時は本当マジでシャレになんなかったっス。」

微妙に海岸線を飲み込んだ逗子一帯は一度、幹線道路を外れると、どんどん細く迷路のような道に入り込む。そんな片側2車線は取れない道だから後続車が来ても追い越させてあげる事は不可能(だって道幅が狭くて車2台が並べないんだもん。)という道路事情の元に自分達がスピードを上げるしかない…結果、追突するような勢いで迫ってきたトラックに、ハイビームでなぶられるような状態(車高が高いトラックは真後ろに迫れば迫るほどヘッドライトがモロに普通車の車内に入ってくる事になり、車内が明るくなる分、暗い外への視界が利かなくなる。)で走り続けた、というのは下手に幽霊を見るより恐怖を感じた体験だったそうです。トンネルを抜けたとたん完全に首の曲がった女が運転していたトラックが消えた事から、あの車は幽霊だったと分かったそうですが、それよりも間違えてタイヤを落としたら海まで一直線だった途中経過の方がよほど怖いと感じた話でした…。

 コーヒーカップ…ミク「何を睨んで来てるのよ。お前、関係無いんだよ…ってお湯入れてやったんだ。」
彼「お前、どうしてくれるんだよ…姉ちゃん、火傷したってよ!顔半分!」

男には元カノを記「録しておきたい派」と「完全に忘れてしまう派」とあるそうで、「記録しておきたい派」はメモやプリクラはもちろん彼女からのプレゼントも後生大事に取ってあるらしく今カノに見つかった日にはもちろん痴話喧嘩に発展するそうです。しかしそれも「元カノからの贈り物」だからこそ「ありふれた話」になれるのであって、何で実の姉からのプレゼント(コーヒーカップ)が「過去の女の物」として嘘をついてまで大切に保管されているのか、何でそのお姉さんの生き霊は「実の弟の彼女」を敵意満々の目で睨むのか、ぶっちゃけて言えば彼氏は姉貴とどんな関係だったのか、別の意味で背筋が寒くなってしまった話でした…。別れられて正解でしたね、そんな男。

 ドビンちゃん…土瓶「今、店の者が来ます。すぐ頭のお医者にかかるよう勧めて貰えませんか。このままでは頭が馬鹿になるのです。」
祭主「話しようがないじゃない。いきなり『あなた、頭の医者に行った方が良いってこの土瓶が言ってますよ』なんて言ったら…自分が行けと言われるに決まってる。」

じゃあどうすれば信じて貰えるか、と思いついて「この陶器の作者は亡くなってますね。この方も。この方も。」と全て言い当てて「自分の能力」が確かなことを見せてから↑の話を伝えた(「怒鳴られたら店を出よう。それ以上は出来ない。土瓶ちゃん、ゴメンなさい。」by祭主。)祭主さんの気転の良さ(と、できる限りの事をしてくれた優しさ)になるほどと思った話でした。能力が本物でもあまり人には見せられない事情(「最初は叱られて、当たると今度は嫌われるのよ。まるで私がバイ菌や不運をその人になすりつけたみたいに思われるの。」by祭主)と合わせて感動したものでした。店主に信じて貰えて良かったね、ドビンちゃん。

 ほくろ…タエコ「そのマジックのほくろ、明日も顔に着けておかなかったら増やすからね。」
カツミ「…ねえ、先生とかに言った方がいいよ。大人しくしてるから余計にエスカレートするんだよ。」
クロ「ダメ!言わないで!分かったら、お母さんが悲しむから。お父さんは死んだし、あたしまで哀しい子になったら可哀想だから…。」

黙って我慢さえしていれば、いつか終わるかと思いきや、中学校でもイジメは続き、高校でもそれは継承されていた(私立高校など望むべくもない母子家庭ではイジメっ子達も皆行く、電車賃のかからない地元の県立高校に入るしかなかった。)恐ろしい事に小学2年生の頃から彼女が高校を退学する17歳の時まで9年間(!)もそんな状態が続き、改善されるどころか酷くなるばかりだったという様に、同じように年単位で無言電話を続け、「黙っている」と毎週木曜→逆ギレした時など一日2回もかけてくる(▲▲さん以下、周りの人間に伝えない限り止まらない)よしみつさんを思い出したものでした。(彼女もまた、職場にまで無言電話かけてきたり、IPアドレスを勝手に使ってブログを消そうとしたり、「放っておくと、どこまで行くか分からない」面があったしね。いじめっ子って皆こういう奴なんだな。)話にもあったけれど、この手の人達って「周りに知られない限り」はエスカレートするばかりなんだなと改めて認識したものです。(警察に教えて貰った通り、質問箱でも2ちゃんの掲示板でも何でもいいから「人目を増やす」のは実は非常に有効。警察の皆さんも犯人を捕まえる事は出来なくても空き巣多発地帯はパトロールの回数を増やしたり「人目を多く」して犯罪を犯し辛い状況を作っているそうです。)

 ノン…友達「1週間、海外旅行に行くから、その間だけ猫のノンを預かって!」
浅井「ねえ、このお土産、メイドインジャパンのシールが貼ってあるんだけど…。」

預かっている間、当の猫は上下逆さの女の顔の形に壁に爪痕を作り(辞めてよ、人の家の壁に。)、寝ている間に女の霊が出てくるという恐怖体験をした後、引き取りに来た友達から貰ったお土産は↑のような様、数日後には彼女から申し訳程度にお金の入った封筒(慰謝料のつもりか?)が届いた辺り、「実験台にされたみたい」ではなく、この友達は確実に全て分かった上で「実験台にしていた」のだろう、と確信が持てました。困っているから助けてあげるのではなく「何故、普通にペットホテルに預けないのか?」(何なら、その分のお金を貸してあげるよ。)という当たり前の疑問の元に、安請け合いをするべきではなかったな、とお人好し高じて騙されている(おかげで不必要に怖い思いをする羽目になった)浅井さんにツッコミを入れてしまったものでした。

爆れつハンター①~⑦

2009.05.21
 中学友人(匿名の中学時代からの友達。)の部屋に有った本で、理髪師さんからも色々と話を聞いているし、彼女に関して語るかどうか悩んだのですが、色々あった上で「泣き寝入りすることを選んだ」のは理髪師さん本人だし(それは私ではなく彼女達の問題だ。)、今でも無言電話女の匿名と仲良くお友達をやってはいても、少なくともこの女は▲▲さんのように急に友達面して人を騙そうとはしなかった(年賀状の返事もせず見て見ぬふりを始めたけれど、私の側に干渉しない「他人」の立場は守った。味方の顔をして人を騙してほくそ笑む▲▲さんに比べると、同じ「匿名の一味」という点では50歩100歩でも、ストーカー女に加担もしないその50歩分だけ評価には値するかと思い直した。)と割愛して純粋に作品の感想だけ語っていくことにします。

 キャロット・グラッセ…ボンバー「あの、あたしで良ければ是非つき合って貰いたいんです!(花火を筒の奥に押し込んで点火する役に!)」
キャロ「もちろんさ!さ、2人だけで、どこか静かな所へ行こう!」

結局の所、騙したつもりがチョイと騙されて(俺がそ~んなにモテルわきゃ無~いよ♪って歌があったなあ、クレイジーキャッツで…。)相手にはされていなかった訳ですが、彼があれだけ可愛いショコラやティラに触手が動かないのは「うる星やつら」の主人公と同じく「逃げる女だから追いたくなる」(迫ってくる彼女達だから追う必要性が無く、体裁だけ嫌がるポーズを取っている。)だけで本当は多少なりとも憎からず思ってくれているのではないか、と信じたかっただけに「彼女達以外の女なら誰でもOKだった」という結論には、ちょっと…少し…割と…かなり、ガッカリしたものでした。(結果として彼には誰も引っかからないから良いだろう…ではなく、いくら節操が無くても、その位の「お約束」程度は守ろうよ…。)破壊神をその身に宿しているせいで、つかまったり攫われたりするお姫様扱いをされている他は、あんまり共感のしどころが無い主人公だなと思ってしまったり…。

 ティラ・ミス…ショコラ「アンタ意外と不器用なのね。」
「ショコラさんは上手いアルね。手つき良いアル!」
ティラ「要するに食材を切れば良いんですわよね。つむぎ糸の威力、ごらんあそばせ!」

普通は糸を使って切る方が包丁で切るよりも難しいんですけどね。(不器用なんだか、器用なんだか…。)ともあれ、根暗系女子の唯一のセールスポイントである家政婦能力の高さ(無駄なプライドの高さ(保身)から肉食系女子のように話術や媚態で積極的にアプローチする事が出来ないので、必然的にそこしか売りこめる所が無くなる。)も無いなんて、どこまでも良い所の無い女じゃないか!と「恋人」でもないのに彼女面して彼氏が他の女の子と近づいただけで怒って鞭打つ(それは他人の自由恋愛で、告白すらしないアンタに責める資格は無いと思うよ。)姿に、扱い辛い女だなあ~と引いてしまうばかりのメインヒロインでした。普段(本来の性格)は内気で淑やかな女子のポーズを取っているけれど、あれだけ激しく女王様をやっておいて「私、本当は内気なブリッ子なんですう~。」って言われても説得力に欠けるばかりで…ゲフッ!(ただの2重人格なだけだろ、アンタは!)

 ショコラ・ミス…キャロ「お前、俺の家でこれからずっと暮らすんだろ!だったら兄弟みたいなもんじゃねえか!兄弟守って何が悪い!」
ショコラ「あの時と同じ…?あの時と…。」

今はもう兄弟のように思ってはいない(それどころか迫ってくる女として嫌がっている。←悲しいな…。)とはいえ、口先でどう言おうが彼は今も兄弟としてしか扱ってくれていない(言葉よりも行動に真実が出ていた。「仲間として」庇ってはくれるけれど、所詮恋愛対象からは外れている。)事も、ここにおいて自覚できてしまった様子です。(それでもめげない姿勢が逞しいな、と余計に好感を持ってしまいましたが。)個人的にはティラよりも、どー見てもこっちのお姉ちゃんの方がエロ可愛いと思う(実際、アニメの声優の皆さんも全員「どっちか選べと言われたらショコラだろう。なのに何でティラなんですか、あかほり先生?」と言っており、それに対して「ティラじゃないと読者は納得しないだろうから。」と答えている。←ショコラ派に比べて何人いるんだ、そんな読者が?)のですが、始めからキャロ×ティラの出来レースで終わっているこの話上では、そんな彼女の努力も報われずに終わった様子です…。

 リウリウ…おばさん「女だけが受け継ぐ封印の力を使うなんて…だけどリウリウ、あたしはこの子達を置いては…。」
リウリウ「その子供達の為でもあるんだよ。全ての封印から村を解放させる為になら、この身がどうなろうとかまいはしないさ。」
恋人「だめだ、リウリウ!やめてくれえ!僕は君を失うのは嫌だああっ!」

一番笑わせて貰った話だったので…。(「そういえば、誰も女の人達が死ぬとは言わなかったね…。」byマロン)と世にも恐ろしいオッサン村誕生の経緯に爆笑させていただいた話でした。作者コメントによると、この話は作画担当の臣士れい先生の完全オリジナル話だそうで、よくここまでシリアスに見せかけた、ぶっ飛んだ話を描けたもんだなと感心したものでした。「女を犠牲にしたら、どっちにしろ村は滅びる!」と大長老様は大慌てしていましたが、これで村の外に行けるようにもなった訳で、今後は出稼ぎにでも出て外から女を迎え入れれば何とかなる話で、大丈夫なんじゃないかな、と生暖かい目で見守ってしまった話でした…。

 ドーター…シリウス「俺の子を産んでくれ、ドーター!部族の血を次代に伝える為なんだ!」
ドーター「い…嫌!そんな孵卵機扱い!」

女を口説くその時によりにもよってそんな理由を持ち出してしまっては、そりゃ、断られるだろう…とかなりイイ感じだったのに、その夜、事を成し遂げられなかった事情に心から納得してしまったものでした。(まあ、出会った初日に肉体を許す女性など、そうそういない…と思いたいけれど。)とはいえ攫っては来たものの、丁重なもてなしと熱い口説き言葉に(内容に問題があっても)彼女の体はゲットできなくても、心は立派にゲットできた(一日で…か。)様子で、ドーターに庇って貰う形で守護五妖の中では珍しく生き残っていた彼。元々ドーター自体がマムの使い魔(脇役)に過ぎず、ビジュアルも小悪魔風→天使に変更した(有翼人という設定自体が本来無かった。)経緯から、絵だけからここまで話を膨らませたって凄いな、と改めて感嘆してしまったものでした。

 デネブ(エクレア・モカ)…ザッハ「何故、私を討たぬ。今一瞬私は無防備だった。お前に討ち取られていたかもしれぬ。」
エクレア「できないのよ!あたしは、あなたを愛してしまったから!お願い…私の記憶を消して!あなたを憎まなければならない全ての記憶を消して!」

いくら挑んでも歯が立たない究極に強い男(その強さでアンタの家族や仲間をぶち殺しているんですけど。)に憧れを抱き、「法族も庶民も無い全てが平等の世界を作りたい」(その目的の為にショコラ達の兄弟分以下もう何百人という人間を殺している。)という理想に共感して、怪我の手当てをして貰った(女の子の体にあれだけの跡を残して、そもそもの原因を作った男に、どんな魅力が?)事で完全に愛が芽生えた(あなた、ザッハの実年齢を知って…?)という不自然な展開には、ザッハ様が異様に若作りなさっている事と合わせて、もしかしなくてもそれ(恋)を狙ってガトー(男)の方じゃなくてエクレア(女)の方を誘拐したのではなかろうか?と思わずツッコミを入れてしまったものでした。「愛してしまった」といっても、それは誘拐された人間が犯人を好きになるのと同じく「洗脳」に近い物だったんじゃないのかなあ~(親も殺されて兄貴とも引き離されて、仇でもそいつ(保護者)に縋らないと生きていけないから、優しくされると救いの神に見えるんだよ。そいつが諸悪の根源なのに。)と思える私としては、あまり共感できなかった恋模様でした。

 ザッハ・トルテ…ザッハ「この世界を滅ぼし、新しい世界を作り直す。その為に、この世界の半分の数の人間は死ぬが、犠牲を恐れていては進歩は無い!」
キャロ「一部の人間が幸せになる為に、それ以上に多くの人間が不幸になってもいいって言うのか!自分勝手のエゴイスト野郎め!」

キャロの言うとおり「てめえこそが、この世界にとって迷惑だ!」とツッコミを入れてしまったものでした。魔法という努力で手に入れた訳でもない「生まれついて」の絶対的な力の前に身分差別がある世界は間違っている…それはそうでしょうが(その為にマムも法族狩り(ソーサラーハンター)なんて人殺し組織を作ったのでしょうが。)問答無用で大量殺人に走るよりかは政治的組織でも作って学生運動でも始めた方が平和で現実的だし、ついてくる人間もいるでしょう。自分に特別な才能があったから周りの人間を選別するのって、アンタが嫌っている法族のやり方とどう違うんだ?(これなら怨恨関係(因果応報)を理念に標的を狙って人間狩りをしているマムの方がまだ仕置き人として理にかなっているだろう。今のアンタは相手かまわずの「クレイジーな大量殺人犯」、ただそれだけです。)と知らず語りかけてしまいました。最後は念願の破壊神から攻撃を食らって終わっていますし、結構しょぼいオヤジだったな(自分が当の世界変革の犠牲者となれたんだ。本望だろ?)と合掌するばかりの男でした…。

爆れつハンター⑧~⑬

2009.05.21
 中学時代、匿名さん経由で仲良くなったクラスの違う友人(略して中学友人)の部屋に有った本で、匿名さんと、うちの妹と一緒に遊びに行くたびに読ませて貰った覚えがあります。(主に匿名の趣味のゲームする場所となり果てていたが。)あの頃は匿名さんも、人の物を盗んだり、約束の時間に1時間以上平気で遅れたり、影で人を批判した手紙を書いたりしていたものの、取り敢えず無言電話(ストーカー行為)や誹謗中傷コメント(不正アクセス)などの「犯罪行為」には足を踏み入れていなかったマトモな人間だったのにね、と懐かしくも思い返せる本でもあります…。

 アプリコット・アンズ…アプリコット「フン!あたしのナイフは何でも斬れるぜ!てめえの首だってな!」
カヌレ「ザッハも、やはりお前のような淑やかな娘の方が好きだと思うか?」

どこが「淑やか」やねん!(普段、大人しいポーズを取っているだけで、立派な二重人格者じゃないか、この女も!)とツッコミを入れはしたものの、好きな男(オニオン)に対してはただのツンデレ(照れ隠し)で終わっていて、「彼女面」して押し付けがましい態度を取っていない分ティラよりは可愛いヒロインではあるな(マロンに似て(逆です。)美人だしね。)と好感度は高かった女性でした。(大丈夫ですよ、カヌレ様。もしザッハが淑やかな女性が好みだった場合↑の戦いぶりを見たことで立派に彼女に幻滅なさった後です。)破壊神が宿っていたのは実はキャロットではなくアプリコットの方だった(むしろキャロは「普通の人間」として生まれてくる所を、ビッグ・マムの目論見の元、母親から本来いらない運命を引き継がされた被害者だった。)という伏線がその後にも生かされて「病気で死んだはずの彼女」が後に生き返ることになる展開にはちょっと驚いたものでした。

 カヌレ・ステラ(ビッグ・マム)…「私はシャルロットに続いて、また一人大いなる運命を背負わせてしまった。私の罪は未来永劫、決して消える事は無い…。」

遙かな過去での出会いだったとはいえ、同じ顔で同じ名前の少女(アプリコット)が現れて、谷の封印を解けば過去に行ける事も知っている彼女としてはあのレトロ編(超過去編)は全部分かっていた上で仕組んだ展開…という事だったのでしょうね。全ての仕組みを知ったこと(法族に「悪想念」が発生したら、魔力供給を通して繋がっているインターフェース(シャルロット)が動揺し、世界の安定が崩れる。だから彼らをサッサとぶち殺す法族狩りが必要。)で、アプリコットの方も人殺し(法族狩り)に関してゴチャゴチャ文句を言わなくなりましたし、この人はシャルロットといい、アプリコットといい、大義名分の元に自分に都合のいい人間を作り上げただけなんじゃないのかな、と不信感すら持ってしまった過去編でした。それはそれとして過去からずっとザッハがモテモテ過ぎた内容には「…。」と思ってしまった前奇譚です…。(マムにまで好かれていたのか、あいつは…。)

 シャルロット・ステラ…カヌレ「シャルロット、お前が力を解放させなければこの世界は滅びてしまう…。安心しろ、苦しむのはお前だけではない。この城にいる者すべてがお前と運命を分かち合う…。」
シャルロット「…って言ってたのに姉さんは元気に外で過ごしてるじゃないか!僕はもう嫌だ!この世界なんか嫌いだ!なくなってしまえば良いんだ!」

一家心中する…のではなく「犠牲になる」のは自分1人だけで、死ぬのと違って終わりになる訳ではなく、死者の霊に縋りつかれながら魔法のインターフェースとしての役割を果たす為(だけ)に生きていかなければならない…そんな現状に、彼が↑のようにキレたくなるのも少し分かる気がしました。(むしろ今までよく持ったもんだ。)とはいえザッハの時(結局、世界は何も変わりはしなかった。)と違って彼の暴走のおかげでこの世界から魔法は無くなった(ザッハと同じく自分だけの考えに酔って世界の破滅を目論んだ大迷惑野郎ではあったが、得る物は有った。)訳ですし、目的の為に(ザッハのように)計画的な大量殺人を行った訳でもないし、(ザッハに比べれば)幼いだけで性格的にはまだマシな大ボスではあったな、と最後は「死ぬ」事も無く姉に何事も無かったかのように許されて眠るだけで済んだ甘い終わり方にも許せたものでした。悪人風(諸悪の根源みたい)に描かれちゃいるけれど、前大ボス(ザッハ)に比べれば、そう大したことはしていない子とは言えるでしょうね…。

 キャロット・グラッセ…「あの頃のままじゃ、だめなのかよ…。」

そりゃ、子供の頃のままなら誰に対しても責任を取らなくて済むし、楽だもんな…と、彼女達の気持ちを知りながらも誰にもちゃんと応えようとせず放置プレイを強いている(ムースちゃんなんて裸で抱き締められて、まさにこれからという時に「ゴメン、俺、好きな女がいるんだ。」と最悪なタイミングで生殺しと共に振られている。)彼にツッコミを入れつつもその状況下で片っ端から食ったりはせずに童貞を貫いている様には一応評価をしたものでした。(取りあえず、長年思い続けてきてくれた女を袖にしてまで、後からポッと出てきたつまらない女を選んでしまうほど見る目の無い男ではなかった…と。初対面のナンパ男を喜んで、出会って数日で自分からパンツを脱ぐ尻の軽過ぎる女(ムース)にぐらついている辺りはダメダメだったけれど。)最後はうっかり公衆の面前で告白してしまった為に勢いでティラと結婚まできてしまいましたが、結局ティラとショコラの姉妹丼で過ごしている(そこは全然変わっていない)何のケジメもつけられていない辺りには、そもそも結婚までした意味が無かったんじゃないの?と思わず語りかけてしまった相変わらずダメ男な主人公でした…。

 ムース…「あたし…人から花なんて貰ったこと無くて…(泣)」

取りあえず泣き顔すら「綺麗」に見える可愛い女の子で本当に良かったな(涙が汚いとまでは言わないけれどマスカラは流れるわ鼻水は出るわ、元の顔がよほど綺麗でないと(そして事前に化粧の仕方を細工しないと)男に「可愛い」と解釈して貰う事は不可能だろう。そして、それでも「いきなり泣き出した女」に対して一瞬ギョッとするのは確かであり、そこから「壊れやすい可愛い女」と評価して貰えるか「似合いもしないのに泣き落としで男を釣ろうとする女」(正直、扱いに困る女)と判断されるかは命運が別れる所である。)と、表裏が無い分、同じブリッコ系でもティラよりは可愛く思える新ヒロインにホッとしたものでした。(女としてはムースのベタベタした性格に苛々するものはあるが、あれはあれで彼女の素であり、2重人格な部分が無いだけ、まだ人間としては可愛い範疇に入れる…みたいな。)クローンとはいえ一応、人格は有ったのにアプリコットの寄代として消滅した様には少し可哀想にも思えてしまった少女です…。(キャロットの母親の体を複製した身の上では彼と結ばれる事はあり得ない、とはいえ…。)

 ティラ・ミス…ティラ「お姉さま…本当に良かったんですの?あたしがキャロと結婚して…。」
ショコラ「本気でそんな事を言っているのなら、今からでも立場を代わりなさいよ。」

一番穏やかな事を言うにしても「アンタなんか妹じゃない!」ぐらいは言っていいでしょうに、さんざん好き好き言っていた男を奪った裏切り者の妹(姉と彼が「付き合って」はいなかったにしても姉への遠慮など微塵も考えずに自分の気持ちを優先させた事は確か。)の結婚式にまで笑顔で参加して、泥棒猫である当の妹へも今まで通りに接しているお姉ちゃんが凄く良い女に見えました。(それだけに勝利者の立場から公衆の面前で↑のような事を聞いて「お姉様はこれで良いと宣言しているんですから、私は何も悪くないんですわ!」みたいに正妻の立場をゲットした幸福をかみしめている妹が凄く嫌な女に見えました。)初夜の為に用意したネグリジェ、裸エプロン、セーラー服などなどのマニアックな衣装に関しても(ボンデージ姿のアンタを見慣れた後に今更…。)この女、普段淑やかに見せかけて腹の下ではいつもそんな下品なこと考えていたのか(所詮、2重人格者か。)と「可愛さ」をすっ飛ばしてツッコミしか入らなかったり…ゲフッ!

 ショコラ・ミス…「正妻の座は譲ったけれど、あたしには愛人の座があるもの…!」

普通は余り物がくっつくような形で弟(マロン)の方とデキ上がったり(美形のマロンの熱狂的ファンが許すはずなさそうだけど。)相棒(ガトー)とくっついたり(命を助けてあげたドラマチックな出会い方をしながらも、単にコンビだからいっしょにいるだけで恋愛的な興味は無さそうだよね、2人共。)するんですけどね…。100歩譲って彼女が振られるのは致し方ない(所詮キャロ×ティラの出来レースに過ぎない事は始めから分かっていたから。)としても愛人なんて2番目以下の「都合のいい女」扱いでこれからも続いて行くというのは彼女のファンとして、かなり悲しいものがありました。続編では「正妻の座は譲ってやったんだから子供位はあたしが先に作らなきゃ!」という言葉通りに不義の子を2人も作っている彼女(思いきり2人のコピーである子供達を前に「知らない」で通しているキャロもキャロなら、「知って」いてなお正妻という立場だけは手離そうとしないティラもティラ。)の姿に、もう結婚しろよ、お前ら!と涙目でツッコミを入れてしまったものでした…。

ふしぎ遊戯 玄武開伝①~⑥

2009.05.21
 かの▲▲さんに到ってはゲーム版まで手に入れており(そういえば「ときめきメモリアル」の男版まで買ってプレイしていたし、トカゲみたいな顔の割に恋に夢見てる女だったな、あの人…。そこまで男に憧れる(ヒロインの立場を夢見てる)位なら、せめて化粧とダイエット位はしてほしいものだが。)現在もファンの支持を受けている大人気シリーズの新章です。「朱雀・青龍編」である本編が大ヒット→アニメ化→ビデオ化、パレット文庫(小説)化の他、ボックス発売だ、トレカだ、完全版だと連載終了後も根強いファンの元に流れが止まった事はなく、完結して7年が経っても関連イラストを描かない年は無かった(実際私も朱雀・青龍7星士&巫女のキャラソング(!)を妹と一緒に聞いたことがある。どんだけメディアミックス化していたのだろう。)そうで、前奇譚である「玄武」と「白虎」の話も読みたい!という読者の要望もあって、完結後7年目にして漫画版の新章開幕という事になったそうです。ちなみに、この玄武編はアニメ化はならなかった(まあ、人はたくさん死ぬし、緋鉛の腕が早々に切り落とされる描写といい、ギャグ要素の強かった前作と違って「お子様向け」「夕方のゴールデンタイム向け」の作品ではないわな…。)ものの上記のようにゲーム化はされており、ファンの多さを感じたものでした…。(で、当のゲームにて腕ナシが引っかかって登場できなくなった緋鉛の姿に「やっぱりお子様向け(全年齢対象)」ってそういう部分が大きいんだな、と改めて感じたものでした。)

 奥田多喜子…「あなたには分からないわ!誰かに必要として貰える事が、どんなに嬉しいか!」

「そう、お前が息子だったら、もっと…お前とも分かり合えただろう。」という大事な後半部分を父ちゃんがうっかり言いそびれてしまった為に、大杉さんへの失恋(「本当は10年前からそばにいてほしかった!多喜子を一人にしないで下さい!」「ご免、多喜ちゃん。僕はもう妻も子供もいるんだ…。」)というWパンチも合わせて、自分は誰からも必要とされない人間なのだと思いこみ、自棄を起こしてうっかり「父親の大事な本」を破ろうと手に取ってしまった為に巫女として本に吸い込まれてしまった主人公です。(父親は書くのは得意だが口で伝えるのは苦手なだけで、多喜子の事も別に疎んじている訳ではない…のだが、触れ合った時間の長さ=愛情という子供の理屈の前にはその論理は通らない。)前作のヒロイン・美朱のような「守られるだけのお姫様」じゃなくて「戦えるヒロイン」という事で女子の支持率は前作よりも高い(というより前作は「ヒロインの人気」でなく七星士という「美形男三昧の設定」が人気を支えていたと思う…絶対。)そうで、しっかりした性格には私も好感が持てた女の子でした。

 女宿(李武土・琅輝)…予言「玄武の巫女が現れ四神天地の書を開く時、貴方の息子が必ずや貴方を殺す。」
女宿「そんな…たかが『予報』ごときで、タウルは私の為に死なねばならなかったのか!」

天気予報もそうだけど、ノストラダムスの大予言ですら外れたし、運命がどうなるかなんてその時になってみなければ分からない(何で性格も能力も分からない赤子のその時にその子の未来がそこまで分かるんだ?大体、普通に親子やっていれば実の父親をブチ殺そうなんて親不孝な息子はまず育たないだろう。根拠の無い予言を避けるつもりで、実際には予言を招くように「息子に恨まれる真似」を繰り返している辺り、親父さんはかなりのアホな気がする。)というのに、予言なんて根拠の無い物をそこまで信じ上げた小心者の父親の為に悲劇が起こっている様(これは「予言」のせいではない。)には涙すべきか笑うべきか迷ってしまったものでした。(笑うなよ。)初期設定ではヒロインの相手役でも何でもない「七星士の一人」であり、能力も両性具有だった(何の役に!?)そうで、皇子様&相手役にまで大出世したのに拍手すると同時に、↑の暴走族の当て字のような本名(何故、彼だけ漢字なんだ!?)に思わず吹いてしまったメインキャラクターでした…。

 室宿(ザラー・エルタイ)…室宿「ボクは両親がいなくても、檻の中の生活でも泣いてないよ。だってフェンがいてくれるから…。」
多喜子「だからって、こんな所でこの先ずっとニートとして生きていくの?」

檻から外に行かないようにフェンに騙されていた(「私を信じて!この2年あなたの面倒を見てきたのは誰?あるのは人を殺める力だけ、他に何も出来ないあなたを、私以外、誰も受け入れてくれやしないのよ!」byフェン。鳩山元首相と同じように「自分を信じろ!」なんて言う人間は基本的に信用ならないロクデナシである様子です。)とはいえ「騙されていても楽しかった」程度の満足感は得ていた(「や、優しかったよ。ボクには、たった一人の理解者だった…。」by室宿。)らしく、彼女が死んだ時には思わず涙していた姿に彼の優しさを感じたものでした。彼のビジュアルに関して、女ウケよりもバラエティ感を取った結果、美形男でなくデブ(太っちょキャラ)になったそうで、そのせいか斗宿よりも早く登場しているのにゲーム版では相手役として選ばれなかった(壁宿もだけど。)結果には秘かに涙してしまいました…。(彼が真面目に恋を語ったら爆笑できると思うんだけどなあ~。←笑うなよ。)

 虚宿(チャムカ・ターン)…虚宿「女宿のとこ戻れよ!好きなんだろ?あいつも多分お前のこと…。」
多喜子「いやだ、何言ってるの?だって私、元の世界にずっと好きだった人がいるんだもの!」
虚宿「…なんだよ。それじゃ俺、どのみちダメじゃないか。」

順当に行けばリムドと同じく物語初期から多喜子と絡むキャラクターとして、「朱雀・青龍編」にも登場する重要登場人物として、彼(か、斗宿辺り)が相手役になっていたでしょうにね…。そんな彼にも(彼のせいで1年以上氷漬けにされたにも関わらず)想いを寄せてくれる女の子(アイラ)がいるのが救いですが(本命とは別だったとはいえ、それなりに可愛い異性に特別な好意を持たれるのは素直に嬉しい事ではあるだろう。)それはそれとして仄かな思いを抱きながら目の前で意中の人が他の男と熱愛してるって、ちょっと(かなり)辛いだろうなと同情もしてしまった人物でもありました。(多喜子の気持ちも分かって、その上で割り切れているのが幸いではあるけれど。)最も想いを寄せてくれるのが斗宿ではなくて妹の方だった(一部で怪しい噂も流れていたので。)のは、個人的にはかなり嬉しく感じた事実ではありましたが…。

 斗宿(エムタト・チェン)…「忘れたというのなら思い出させてやる。一族にさえ疎まれた俺のもう一つの力、この『視鏡監』で!」

眼帯をしていたのはそういう意味だったの!?(視力があるのかどうかは分からないが、それでは確かにマトモに人の顔を見れないだろう。)と字の出現場所に驚くと共に、その字、他の七星士みたいにひっこめる事は出来ないんですか?(簡単な話で、力を使わなければ眼帯をする必要も無くなるのでは…?)と、ごく当たり前の疑問を抱いてしまったものでした。虚宿に妹を氷漬けにされた事に関しては、自分も「そんなつもりじゃなかった」ものの「力」で危うく彼の母親を殺してしまう所だった事も有り「お互い様」だと思っているのか、(虚宿のお母さんは今も元気に生きているのに)逆に斗宿の方が「許してくれとは言わない。」と謝っている辺り、どこまでもお人好しでいい奴だな、と思ってしまいました。その後は伝説通りに水を飲み合ったり、妹と虚宿の恋愛関係といい、色々な意味で義兄弟になっている様にはやっぱりたまたま死んだ七星士同士というだけじゃなく、元々特別に仲の良い2人だったんだな(おかげで一部読者の間に「誤解」も生じてる訳だ。)と改めて感じた、そんな2人でした…。

 牛宿(タルマ)…「あたしはここでシュヌと死ぬのも悪かない。どうせ11年前、死ぬはずだったんだ。」

潔いおばちゃんだな…(しかし、いかにもといった「可愛い少女」のルウデじゃなくて、よりにもよって一番厄介そうなこの年配の女性が七星士だったとは意外な展開だ。)と個人的には好感を持った反面、読者の中には多喜子と思いっきり対決した事も有り(それでなくても「廓の女将」という姑的立ち位置からイヤミのように監督(叱咤)していた事もあって)「こっちのオバサンの方が七星士なの~?」「メインキャラになる顔じゃないだろ?」(に…人間は顔じゃないよ!)みたいな反発意見もチョコチョコ出ていたそうです。↑の親友のシュヌ(本来の女将)の病気(呪い)が治れば「代理」に過ぎない現・女将の彼女が来てくれるかと思いきや、彼女は死んでしまい、いよいよ仲間になるのは不可能か、と思った所で廓の女の子達全員の推薦に押されてパーティーに加わったというのは好感が持てる内容でした。力の方も最も良く制御できている様子(さすが年配。)ですし、頼もしい仲間が加わったなと私的には嬉しかった新メンバーでした。

 「外伝・妖しのセレス」…セレス「どうぞ。判っています。私を手に入れたいのでしょう?構いません。」
ミカギ「服を着ろ。…なんて悲しい目をするのだ。俺は今はお前が心から笑った顔が見たい。」

そうして初めて心から笑えるようになり人の心を知り始めたセレスと、恋を知り始めたミカギと、それぞれ成長を遂げたのに、その後、2人は幸せにはなれなかった(本編参照。モノローグにある「たとえ」で終わらずに、本当に2人は引き裂けんほど苦しみ、子々孫々に渡って沢山の血が流れる宿命が待っていた)展開には本編を読んだ人間として、知らず溜め息が出てしまったものです。(「成長すること」と「幸せになること」とは別物なんですよね。いっそ成長せずに人の心を知らないままだったら、セレスもさっさと前夫のようにミカギを忘れ去っていて、子供が死んでもあれだけ「気に病む」ことは無かっただろう、とすら思ってしまったり…。←そして「妖しのセレス」の物語はいつまで経っても始まらない。)また、個人的には本編ヒロインの妖と十夜の子供は、死期の近い十夜の生まれ変わりのように男の子になるだろうと思っていたので予想に反して女の子が生まれた事に驚いた話でもありました。

ふしぎ遊戯 玄武開伝⑦~⑫

2009.05.21
 ▲▲さんにこれのゲーム版と一緒に「テニスの王子様」のゲーム版(やっぱり男ハーレムゲーム)を半強引に貸された覚えがあります。(玄武の方は絵が綺麗だからという理由だけで何とかクリアしたけれど、テニスの方はスカした主人公からして苦手だったのでほぼ放置だった。)「私、男の趣味が悪いから!」と開き直っていた▲▲さんは一体誰が理想だったのか(漫画版「アークザラッド2」でも若くなったアンデルが好きだったり、「上から見下している人間」ばかり好きだった。匿名を庇う時も恩着せがましく「私は貴女の為に言ってあげただけなのに、ふ~ん、そういう疑い方するんだ~。」と人を騙しながら「説得力ある(つもりの)自分」に酔っている風だったし(こんな事しながら、よく「良い気分」になれるな。普通の人間ならそこまで友達を騙す事も出来ないけどね。)どうもこれが彼女自身の理想像でもあるらしい。なるほど、確かに似てるよ。)多少、気にもなったものでした。(紫義辺りかな。)

 連載開始から早10年、長~い年月をかけながらもとうとう堂々の完結です。(色々あったけれど、大抵の作品が休載を続けるうちにほとんど進まない未完の作品となり果てていくのはよくある事なので、きちんと終わらせてくれたその様は読者としては有り難いし、作者としては立派だと思えた。)朱雀のテーマが美朱と鬼宿の世界を超えた「愛」、青龍のテーマが美朱と唯の「友情」(結局、心宿は「青龍の巫女」を復讐の為に体良く利用していただけだし、まだ美朱の方が唯ちゃんを大事に思っていたという事なのだろう。少なくとも美朱だったら友達を神獣に食わせるような真似はしないだろうし。)だったのに対して玄武のテーマは「死と生」(ちなみに白虎のテーマは意外にも「大恋愛」ではないらしい。)だそうで、登場人物それぞれの濃い生き様、死に様に思わず涙するばかりの「最初の物語」でした…。

 奥田多喜子…奥田栄之助「お前と私は父と子だ。すれ違って悲しい思いもさせ、こんな運命にお前を巻きこんだどうしようもない父親だが、それでもこうして私達に流れる血はつながっているんだ。もういい、今、父さんが助けてやる…!」

血の繋がった親子だから本の内外でも会話ができたり(「世界」を超えて声が届いている。凄い。)互いに影響を及ぼし合っている=自分と娘は連動している=自分が死ねば同調している娘も一緒に死ぬ(そして「健康な自分の死」(ピンピンコロリ)で死ねるのなら、その方が病に苦しみ神獣に体を引き裂かれながら、ゆっくりと死んでいくよりも苦しくはないだろう。)という結論から、こうして旧作通りに「娘の多喜子を刺殺して後、自殺した」結末が導かれました。(そういえば「刺殺された」とはあったけれど「死体がそこに残っていた」とは書かれていなかったっけ…。)おかげで玄武に「生贄」として食いつくされる前に「人間」として死ねた様には、文字通り父親に「命をかけるほど」愛されての結末だった(父親はあんな本を産み出してしまった罪と娘殺しの罪から自滅して、逃げる為に死を選んだ訳ではなかった。)という事もあり、多少救いも持てた死に様に感じたものでした…。

 女宿(李武土・琅輝)…リムド「多喜子、お前がくれた春だ。幾つもの春をこれからも共に行こう…。」
ナレーター「そうしてちょうど100年目の春、かつて「風斬鬼」と呼ばれた名君は天寿を全うした。生涯、妃を持たず従妹に当たるエフィンルカ皇女の曾孫を世継ぎに育て風となった…。」

117歳まで元気溌剌だったのか!(長寿村の爺さん達も真っ青な長生きぶりだな!)と、巫女の、死んでいった仲間の望み通りに「生きた」様には、その「普通のレベル」を軽く通り越した様と合わせて度肝を抜かれた彼の生涯でした。わずか17歳という若さ溢れる年齢で妃(多喜子)を亡くしたにも関わらず、本当にその言葉通りに誰とも再婚しなかった…もちろんコッソリ隠し子を作ったりもしなかった様には、歴史的名君の大抵は下半身もエネルギッシュだという世界史の事例の数々と合わせて、フィクションとはいえ驚かせて貰ったものです。葬儀の時、遺体の手にはいつか城下で買った夫婦円満の腕飾りがきちんとつけられていた辺り2人の愛は100年経っても色褪せなかった(それは普通に凄い。)という事が感じられて秘かに嬉しく感じた終わり方でもありました。最後のシーンはきっと映画「タイタニック」のように魂だけとなって若くなった彼が天国で彼女と再会したのだろうと勝手に確信もしている私であり(白虎七星士の言より、原則として「現実の人間」が四神天地書の世界で生きることは出来ず、それは神獣の力を持ってしても叶えられなかった、という事は…。)これはこれで2人が再会できた形でもあるんだろうなと実感もしたものでした…。

 ソルエン…ソルエン「父上が亡くなられたのは誰の為だ?12の歳から逃げ続け戦うだけの生活になったのは?今、この手を離せば終わらせることができる。俺は自由に…」
女宿「俺は許した!お前なら裏切られようが許した!『あの時』だって手を離せばお前は楽になれたのに!」

頼みの綱の父親(タウル。そういえば母親はどうしたのだろうか?)も亡くして、「仕方ないから」という理由一つでいい年して恋人の一人も作らずに16年間も男手一つで「子育て」しながら尽くして来て(対して主人である女宿の方は現在、多喜子という恋人とラブラブになっている。あんまりだ。)最後も最後で彼を守る為に死んで、どこまでも忠義に生きた幸薄い人生には作者ですら「女宿が本当に女だったらな~。」(たとえ源氏物語風の犯罪臭い関係でも恋人同士になれたのに。)と溜め息をついていたほどでした。↑の時、一瞬魔が差したように女宿さえいなければ(彼1人だけならば)どこか人ごみにまぎれて普通に家庭を持って生きて死ぬことも可能だったでしょうに、結局最後まで主人を裏切ることは無かった(主従ここに極まれり)という彼の生き様にひたすら涙してしまったものです。おかげで彼の望み通り「リムド皇子」が即位して、117歳という年齢まで生き抜いた(むしろ生き過ぎた程に。)様には素直に感動できた終わり方でもありました。良かったね、ソルエンさん…。

 及川医師…多喜子「私やっぱり、あなたとは結婚できません。ごめんなさい。」
及川「病気の事を気にしているのか?だったら大丈夫だ。僕は医者だし、こんな事で君への気持ちは…」
多喜子「好きな人がいるんです!その人はとても遠くて一緒にもなれなくて、だから忘れたくて…でもダメなんです!」
及川「…だったら僕で妥協してっていうのもダメなんですか…。」

多喜子が気づいていなかっただけで女宿のように病身でも構わず愛してくれる人間は「現実」にもちゃんといた、親父さんもただ口下手で不器用なだけだし、母親が亡くなっても彼女は彼女で現実でもちゃんと必要とされていた…というのは振られる及川さん(所詮は後からポッと出てきただけの当て馬役)を哀れに思いつつも「多喜子の居場所は現実にもちゃんとあった」(現実から逃げる為に本の世界に逃避した訳ではなく、それが彼女が自分で選んだ運命だった。)事に好感が持てた展開ではありました。後に女の子の夢である「結婚」も立派に愛する人と果たしていますし(その辺はますます及川さんが哀れだが。)初恋の人・大杉さんが評しているように、若くして死ぬ運命は変えられなくとも「幸せな最期」を迎えてはいたのだろうなと実感も出来たエピソードでもありました…。(気にするな及川さん、「帝大出のお医者様で将来も安泰」という君の肩書きなら、多喜子1人に振られた所でこの先引く手数多だ!←オイ!)

 フィルカ(エフィンルカ・ロウン)…フィルカ「分かっていたわ、父がこうなる事は…ついでに娘の私も殺したらどうなの?そうよ、ここで父を殺したあなたを殺しても、私もどの道、捕虜にされて殺される…!」
ハーガス「許せとは言わん。だがお前は父とは関係無い。死ぬ事など…ないんだ。いいか、お前だけでも生きろ。」

この2人はいつの間にそんな仲になっていたのやら…(星護族のアジトで一部の読者が恋愛フラグを懸念するほど必要以上にリムドの世話を焼いてかまっていたのは何だったのやら、綺麗に流れたな。)と半年間会うどころか何の連絡も取り合っていなかったのに、いきなりキスシーンになだれ込むほど燃え上がる2人にツッコミを入れてしまったものでした。テグ曰く「ハーガスはちゃんと貴女を見ていた。」(ハーガスもハーガスで彼女には惹かれており片想いで終わってはいなかった。)そうで、どの道天罪病で長くない命でも死ぬ前に恋が叶って兄にも恋人(?)にも愛されながら死んでいったのは救いが持てた終わり方だったかなと納得が出来たものでした。その後、姫は双子の兄貴のテグと上手く行ったらしい(北甲国の後継ぎにもなった曾孫の先祖、もとい彼女の夫はおそらくテグなのだろう。)様には、やっぱり顔が恋に落ちる一番の決め手だったのか?(ハーガスにしたって、アンタら顔以外のおおよその事情は話し合ってもいないじゃないか!)と変な所で疑心も持ってしまった、そんな彼女の情熱的な恋の様でした…。(まあ、恋に落ちるのに「理由はいらない」らしいから…。)

 テムダン・ロウン…テムダン王「先帝は私がすぐ死ぬとお思いになられ便宜上お前の補佐としてこの地に置き封じ込めた。だかおかげですぐ傍で機会を窺う事が出来たわ。こうして目の前で、お前の首が飛ぶ所を見る機会をな…。」
多喜子「…なんて虚ろな瞳をしているの。この人には絶望しかなかったのだ。動けない宮殿の中で他になす術もなく、病に苦しみ、弟に裏切られ、息子を憎み、国を憂い…なんて悲しい人。」

弟に復讐を果たして皇帝に返り咲いた所で、もうすぐ氷河期に入るこの国に未来は無いし(「『戦争に負けた』事で首都から明け渡そうとしたのだが『戦の犠牲者を最小限に止める』という期待も弟は見事に裏切ってくれたわ…。」byテムダン)息子が自分を殺すという予言を回避出来た所で、どの道、自分は不治の病で長くはないし(それでも17年持った事を考えると天罪病患者にしては長生きした方なのだろうが、117歳という超・長寿を誇る息子に比べれば立派に「短命」ではあるだろう。)どうやっても希望は持てない様には「自分達皇族が滅んでも、わずかな民さえ生き残れば『北甲国』の歴史は続く(何百年も後の、氷河期が終わった頃には…。)」と悟りながらも虚しさばかりが募った様子です。最後に自分と妻の面影を受け継いだ息子と和解できたのが救いですが、この人もこの人で可哀想な人だよな(それにしたって、もっと早くに悟っていれば息子とはここまでこじれなかったと思うが。)と同情もしたお父様でした…。

 斗宿&虚宿…チャムカ「アイラ、待ってろ、こんな戦すぐに終わらせる。そしたらお袋と斗宿と皆で暮らそーぜ!」

七星士だって人間で立派に年を取る(事実「朱雀・青龍編」では白虎七星士の方々は立派にお爺ちゃんお婆ちゃんになっているし、同じ玄武七星士の牛宿は現在立派なおばちゃんである。)のに、何でこの2人は若いまま幽霊になっているの?(人数が欠けても神獣を呼び出せるレアアイテム(神座宝)はまだこの時代に存在しないし、玄武召喚(物語の終わり)まで死なないはずではないの?)と心配なお二人ではありましたが…まさか召喚直後に戦死したとは何とも悲しい終わり方でした。(あと5分持っていれば生命の水の効果で2人とも無傷で復活できていたでしょうに…!)これから幸せに暮らすはずだったのに、妹を残して、母親を残して死んでいっただけに、果たされなかった↑の約束がひたすら痛かった最期です。本人達は玄武召喚という目的を達成した事で、ある程度は納得している(表情は明るい)様子ですが、戦が終わりきらないうちに死んでしまったのはやっぱり無念だった(そりゃ、そうだろう…。)らしく「成仏できないままなら新しい使命を与えてくれ!」と神座宝の守り人となった経緯には「こうして物語が繋がっていくのか…。」と感慨深い思いも抱いたものでした。そして話は「朱雀・青龍編」に続いていきます…。

新・幸せの時間①~⑨

2009.05.20
インフルエンザの予防接種に行った時に待合室に置いてあった2巻(なんて本を置いてるんだよ、Tクリニック…)を読んでハマり、勢いで旧作の方まで読破してしまった本です。続編という事で、よしみつさんは「あの良介が結婚したって、もしかして奈津ちゃんと?」と期待していましたが、自分の都合で捨てた男が、そんな扱いをされてもいつまでもおめでたく想い上げてくれて、就職できて「養ってくれる理想的な男」になったとたんに迎えに来てくれたって、ある訳ないだろ(歌手として成功したのなら逆に良介というヒモの一人位、養うのは簡単だったはず。それを自分のプライドの為だけに追い出して、だけど自分も(勝手に)傷ついたから水に流すのは当然、どんな扱いをしても自分は彼の永遠の女性なのよって、よしみつさんは男を何だと思っているんだろう?)と心ひそかに思ってしまった(ぶっちゃけ、私は設定を見たとたんに結婚相手は少なくとも「昔の彼女」以外の女性だと確信していた。常識的に。)そんな話でした。不倫物なので個人的にはあまり好きじゃないのですが内容の濃さにハマってしまった本です。

 牧原良介…「一体どういうつもりなんだろう、小夜ちゃん…。僕にすっかり体を預けてしまって…昼間も突然強く抱きついてきたし。」

だって男とはいえ彼は「家族」だから甘えちゃうんだもん、電車の中でもたれかかるのも、突然のハグも当然!という言い訳(こじつけ)は通用しない。実の父親でさえ「ちょっと、お父さんの洋服と一緒に私の服を洗濯しないでって言ったでしょ!」「その位、我慢しなさい。お母さんなんて毎日同じ布団で寝てるのよ。」(志村けん)というほど年頃の娘は「男との触れ合い」を嫌がるのが普通で、奥さん(ちづる)やストーカー女(遠藤さん)ですらしてこない肉体的なアプローチ(ていうか普通に良識ある女はそんな事はしない。)に良介が思わずモヤモヤしてしまうのも分かる気がしました。(それ、愛じゃない。性欲。不倫に燃えて義理の妹相手でも激しいプレイが出来る辺りは父親譲りだと思ってしまったけれど。)2巻から読み始めたので当初こそ「レイプされそうになっていた小夜子」に同情していましたが、一巻で痴漢にあったのさえ利用してチャンスとばかりに良介に抱きつき、思惑通りとばかりに笑みを浮かべたり、艶めかしいアプローチの数々(出会ったばかりの「姉の夫」に対してよくもそんな気持ちになれるな。)に気持ち悪さを感じてドン引きしてしまったものでした。当のレイプ未遂ですら「お前が大学の卒論の為なんて大嘘ついて父親の会社に潜り込まなければ、こんな事にもならなかったんだろ。」としか思えなくなったり…ゲフッ!

 牧原ちづる…良介「小夜ちゃんは残念だけど女としての魅力は君にはかなわないさ。だって僕達は奇跡の太い絆で結ばれたんだから…僕には君の全てが魅力的だし、僕は君の全てを愛している。」

当の「奇跡の出会い」は本当だったら看板攻撃でひったくりを撃退してくれた料理屋のおっちゃんが相手だったろうに…というツッコミはさておいて、結婚して2年も経っているのに(既に「新婚時代」は終わっているのに)未だにこんなこと言ってくれる旦那さんっていいなあ…と、社長令嬢のちづるが陥落した(そもそも高校もマトモに出ていないフリーター上がりの30男が社長令嬢を射止めたっていうのが凄い。これを奇跡と言わずして何を奇跡と言うのだろうか?)のにも納得がいってしまう程のイイ男だった(過去形)のにね…と現在の変貌がとても残念に思えてしまう夫です。「全て小夜子が悪いのよ!」という彼女の暴走には女の勘は凄いもんだな、バレていないだけ(証拠が発覚していないだけ)で小夜子が姉婿と不倫して2人の関係をブチ壊している張本人だって事は見事に当たっているよ(「冤罪」だったら小夜子にもまだ同情の余地はあったのだが、事実関係(不倫関係)がある以上は「逆恨み」ではなくて「当然の報い」だろう。映画「シカゴ」だったら「姉の夫と不倫した妹」なんて登場を待たずして撃ち殺されているし、これが部屋を荒らされて平手打ちだけで済んだなんて、優しい(甘過ぎる)姉ちゃんだなとしか思えませんでした。)と感じて、余計に小夜子が苦手に思えてしまったものでした…。(こんな妹、いたら嫌。)という訳で私はちづるが一番好きです。

 遠藤珠美…遠藤「早く消えてよ!私と課長の世界から…!」
社長(父)「…と『取材』の為に良介君にくっつけた小夜子だったが、実は大学は中退していたそうなんだ。」
ちづる「じゃあ、小夜子はこの一週間『卒論の為』なんて嘘を言って全く意味の無い事に皆を付き合わせていた訳じゃないの!」

その小夜子の体面を保つ為だけのデタラメ(と、それを真に受けた親バカ)のおかげで、次々と自分の仕事を奪われ、ついには課長本人まで寝取られてしまった遠藤さんとしてはいい迷惑だったろうな、と会社でファイルをぶつけて、新潟で通りすがりの旅行鞄をぶつけての階段転落事件を仕組むほど殺意を抱く様には同じ女として心から共感できたものでした。(だって自分は好きでもない男とのセクハラに耐えてまで彼の為に尽くしているのに「私はあなたが他の誰(遠藤さん)と関係しても気にもしないわ」って…他の女(姉含む)全員をバカにしてるのか、小夜子は?)挙句に本来その全てが無かったはずだったと知った時にはちづるでなくても「何でも『済んだ話』にするって甘やかし過ぎだろ!」(「お父さんはどうしてそんなに小夜子を甘やかすの?昔からずっとそうよ!」byちづる)と怒る気持ちは分かる気がします。そんな目に遭ってもなお懲りずに姉婿との不倫を続ける様には遠藤さんが自分で思っているようにトドメを刺しておいてほしかった、と切に思ってしまったり…ゲフッ!

 牧原小夜子…「お願い、お姉さんを捨てないで!だってお姉さんは1人で生きていける人じゃないから…。私、誰も傷つけたくないの!」

本当に姉に悪いと思っているのなら、自分が大人しく身を引けばそれで済む話でしょうに、それをしないどころか、わざわざ新潟(!)まで姉婿と不倫する為だけにやってきて、散々ヤルことヤった後になってからそんな理由で泣いてみせるなんて、言っている事とやっている事の矛盾が凄過ぎて笑いが出そうになりました。こんな事をしておいて「私の居場所はアメリカにも家にも無いみたい…。」(だから良介の心の中を占めるのは当然なのよね!)と実感している様には、自己陶酔に浸っている所、水を差して悪いけれど、他人(どころか身内)の夫と不倫するような娘は勘当されるのが当然で普通に実家の居場所は無くなるだろとツッコミを入れてしまったものです。アメリカで居場所を失くしたのだって妻帯者の教授を毒牙にかけて、ついには殺人沙汰にまでしたからでしょう(そりゃ皆ドン引きするわ!)としか思えず、過去が明らかになって(むしろ、こんな過去を抱えて、よく懲りずに「姉の夫」に手を出す事が出来るなと)余計に彼女が気持ち悪く思えてしまったものでした…。リストカットの一件にしても空港で搭乗せずに屋上なんて「発見されやすい場所」にわざわざ移動して、刀の折れやすいカッターなんて「確実に失敗しやすい凶器」を選んで行っている辺り、安全に実家に帰れるように自分で仕組んだ(よしんば家族が事情を知らずにそのまま帰ってしまっても必ず空港・病院から連絡が行き「ケガをした小夜子」は日本に留まれる。)ようにしか見えなかったり…ゲフッ!

 牧原麟太郎…小夜子「蜘蛛膜下出血って激しいショックを受けた時に起こる事があるんですって。多分、引き金を引いたのは私達よ…。」

ちなみに当の蜘蛛膜下出血という物は倒れる瞬間に雷が落ちたかのような激しい頭痛にのたうちまわり(またはのたうつ暇もなく)意識を失うという症状ではあるものの、怒ったり興奮した瞬間に血管が切れるという現象が起こる訳もなく(動悸、息切れが影響するのは心臓病や肺病だけ。ショックを受けるのは心臓だから脳は関係が無い。)またそれまで彼に見られた「偏頭痛」は硬膜下出血の症状(蜘蛛膜と硬膜の間で出血し、脳が圧迫される、蜘蛛膜にガードされての出血なので、意識は保ったまま頭痛を感じる。そしてよほど手遅れにならない限り、血さえ抜けば割合簡単に治ってしまう。)であるので、小夜子達のせいではないのでは…?と思いかけた所ストレスからピロリ菌が無くても胃潰瘍になるように脳梗塞になる場合も少なからずあるそうで、全ては小夜子のせいだという原因を否定できなくなりました…ゲフッ!(おそらく父親は何百万円も出してアメリカ留学をさせた娘が不倫の果てに自分に何の相談も無く大学を辞め、マトモな男(彼氏候補)との縁談を勧めても見向きもせず、姉の夫とまで不倫をしていたという事実に非常なストレスを感じたのだろう。考えてみれば当たり前だが。)ついでに言えばその蜘蛛膜下出血とは脳の皺に合わせて血が入り込んでしまい血の除去も大変な他、後遺症も残る酷い病気であり実の父親が危篤であるまさにその時に、↑のように自分が父親をそういう状態にしたという自覚がありながら、翌週には相も変わらず姉婿との不倫を続けている小夜子の神経を疑ったものでした。そんな訳で、どこまでも好きになれないです、この妹。

カラマーゾフの兄弟

2009.05.20
 「罪と罰」でも有名なドエトフスキーの生涯最後の作品であり、深い内容に現在では「カラマーゾフの妹」という続編まで書かれたそうです。(「風と共に去りぬ」→「スカーレット」と別の人間が続編を書いたみたいだね。)作品中でも使用人として仕えていた男が実は館の主人の隠し子だったというオチがありますし、あの親父の性格上、よそにまだ子供を作っていても全く不思議は無いなと言い切れてしまう所が…切ない内容です。

 ドミトリー・カラマーゾフ…アリョーシャ「兄は暴行を振るったあなたに必ず謝りに来ます。いえ、来させます!必ずあなたの気の済むようになりますから!兄に謝罪の場を作らせて下さい!お願いします!」
イリューシャ「そんな奴の言う事なんか聞く事ないよ!パパにあんな恥かかせた奴、許さなくていいよ!」

あの父親にしてこの長男有り…というロクデナシ親子であり、やった事は到底許される事ではないものの(「『あかすり』というのはドミトリーに引き毟られたこの髭の事ですよ。運悪く息子イリューシャの友達に見られた事で9歳の息子は今、そう呼ばれていじめられているんです。」byスネギリョフ)↑のようにやった所業を誤魔化すのではなく「謝る」為に行動して、慰謝料まで用意してくれる家族がいる(「これは示談金です!金で全てを解決できるとでも思っているのか!?」と受け取りは拒否されたものの、それでも「用意した」その行動は偉かったと思う。)辺りは結託して知らないフリを決めこんで警察まで騙した匿名一家に比べれば、同じ「ダメ人間を抱えた家族」でもまだ救いようがあるなと感じてしまった一家でした。最後はこの長男も(罪状自体は無実の罪だが)シベリア送りになりましたし結局全ての事は罰として自分に返ってくるんだなと感じた話でした。

 イワン・カラマーゾフ…「何故、領主は犬に石を投げた子供を許さなかった?見せしめに猟犬に食い殺された子供は死後の世界で領主を許しているのか?母親は息子を殺されて領主を許す事が出来るのか?それほど許し合う事が大切か?殺された子供の血を…領主の罪を『帳消し』にしてまで!」

相手の罪を「許す」事と「帳消しにする」事とは違う(日本の風習に罪人の腕に入れ墨を入れるというのがあったが、それは懲役が終わっても「あなたは当然の『罰』を受けただけで、やった事が消えて無くなった訳ではない。」というサインだったように思える。)そんな気がしました。思えば「神なんていませんよ。いたら父さんなんか丸裸にされてます。」というセリフからも分かる通り、放蕩生活を続けている父にいつまで経っても裁きを下さない神に対する幻滅からも無神論者→こんな世の中変えてやる!と学生運動…もとい革命活動に走ったのでしょうね。父と違って自分は理想的な人間なんだ!と信じ上げていただけに、兄貴が父親を殺したおかげで金(遺産)も女(兄貴の婚約者)も全てが手に入った「偶然」に喜んでいただけに、実は自分が引き金を引いていた(弟のスメルジャコフが自分の為にと仕組んだ展開だった。)という真相には耐えきれなかった様子です。その辺りはどんなに頭が良くても所詮、温室育ちのお坊ちゃんだったのでしょうね…。

 アレクセイ・カラマーゾフ(アリョーシャ)…アリョーシャ「ここに有る金と兄がモークロエで豪遊に使った金を合計すると、ちょうど父の部屋から消えた3千ルーブルになるはずですが、その計算はしましたか?凶器の件だってグレゴリーを殴ったきねが証拠として挙げられていますが、同じ凶器で父が殺されたのか、気絶していたグレゴリーが『目撃』できたはずがない!」
カテリーナ「裁判長、この手紙を!『俺は親父を殺してでも、金を手に入れて君に返す!』事件の前に私に送られたミーチャの殺人予告ですわ!」
アリョーシャ「いや、だから…。」

父親殺しという無実の罪を背負わされたドミトリー兄貴(そして普段行っている乱暴狼藉から、弟以外誰も信じてくれなかった。)と、「金(遺産)や女(カテリーナ)が目的で殺人を犯すなど認める訳にはいかない」のに実の弟(スメルジャコフ)に父親を殺させ、更に当の弟を自殺に追い込んでしまったイワン兄貴(革命を起こすに足る「理想的な人間」であるはずだったのに、自分が原因でこんな事態を起こさせてしまった。)に比べて、唯一何の罪も犯していない清廉潔白に生きている3男です。温厚で優しい性格が幸いして、あのどケチの父親にまで気に入られていますし、本当の意味で「理想的な人間」は一番敵を作らない性格の彼であったのでしょうね。思えば幸せな性格…とはいえ「父親殺しの弟」(実際に殺したのは別の人間だが「兄弟」であることに変わりは無かった。)として彼はこれからも「犯罪者の一家」として後ろ指を指される立場ではありますし苦労していない訳ではないのでしょう。冷静に状況を見れば、頼みにしていた師は亡くなり、親父は殺され、兄貴はシベリア送り、もう一人の兄貴も精神を病んで療養生活という過酷な内容に(いっそ修道院に籠っている方が楽な気がする。)彼らしく健やかな強さで今日も生きているのは凄い事なんだろうなあ、と頷けもした青年でした…。

 スメルジャコフ…イワン「ドミトリー兄貴に親父と愛人との秘密の合図を教えた!?ふざけるな!使用人なら体を張って主人を守れ!」
スメルジャコフ「あの乱暴者から私が守る!?無理ですよ!」
イワン「それなら何故、俺にここに残れと言わない!?何故、親父を守ってくれと言わない!?何故、兄貴を止めてくれと言わない!?お前は兄貴に親父を殺させるつもりか!?」

そう、自分にいじめっ子を屈服させる「力」が無くても、教師に密告したり、人を連れて来ていじめの出来ない「場」を整えたり(実は犯罪行為を起こさせない為に一番効果的な方法は「人目を増やすこと」だそうです。)目の前のイジメを止める為に出来る事は実は沢山あるのですが、何もする気が無いからそいつらは目の前の惨状を放置している訳で、この話のスメルジャコフが実はすべての状況を仕組んだ黒幕だったように「傍観者が一番悪い」(虐待やイジメなど、「事件」の影には直接手を出している実行犯の他に、こうして他人のフリをしながら実行犯の味方をしている間接的加害者が必ず存在する。)という事例を端的に表した話なんだろうな、ともう一人の使用人・グレゴリー(「フョードル様がどんな人間であろうと、使用人として主人をお守りするのが私の務めだ!」byグレゴリー)との違いと合わせて実感したものでした。この人もまたフョードルが精神を病んだ娘に産ませた「カラマーゾフの兄弟」なのですが、一度でも母親が正妻の座に着いた子供と、認知もされていない愛人の子供の間では立場に明白な違いがあり、兄弟として「認められる」事は一生叶わず使用人で終わった彼。そりゃ、目の前で他の兄弟との差(えこひいき)を見せつけられ続けた事もあって親父を殴り殺したくもなるよな、と納得もした経緯でした…。

いま殺りにゆきます REーDUX

2009.05.20
 「やっぱり一番怖いのは人間だと思うんだよね。「四谷怪談」だって病床で旦那に捨てられたお岩さんは可哀想なだけで、本当に恐ろしいのは仇討ちに来たお岩さんの親父までブチ殺した伊右衛門だもん。」(この野郎、お茶と同じ名前をしながら、ちっとも爽やかじゃねえ。)との語り草に心から頷けてしまったと同時に、週刊プレイボーイに書いていたビデオ評を町山さんがこの本のように再録しようとしたら、原題も製作国も製作年も不明な、観た(はずの)本人に聞いても現物が残っていない物が多過ぎて、この人は存在もしない映画評を適当に書いて給料を貰っていたのではないだろうか?(夢さんはまだ、捕まってはいない。)という疑惑話が浮上した事にに思わず笑ってしまった後書き解説でした。という訳で東京伝説シリーズに近い「いま殺りにゆきます」①②の再録本です。

 M…カオル「やるのは出会い系で拾っての一本釣り。一回きり、これが大事なのね。最初だと相手も緊張してて下手な動きはしないけど、2度3度と寝てると情報が漏れやすいし、ノーバックがバレちゃうからね。そうしたら何されるか分からない。ストーカー化するオヤジも多いし。」
男「せっかくシティーホテルだし、ビールでも一杯飲まないかい?」
サキ「私は未成年だから、一杯だけね。」

未成年なら飲むんじゃねえよ!(むしろ、行きずりの身元を割るのも難しい相手からの食べ物・飲み物は要注意!)というツッコミも虚しく、目が覚めたら両手足をロープで固定され、糸と針で大きな蜘蛛の絵を刺繍された(入れ墨だったらどれだけ良かったか、病院で糸を抜くだけでも偉く時間がかかり、しかも抜糸したら皮膚は破けたり緩んだりして、もう元の体には戻らなかった。オマケに顔に「M」と縫われていたその糸には皮膚や組織を腐らせる薬が染み込ませてあり、頬の皮がMの字に腐食してしまった。)様には、言わんこっちゃない、と目を覆う展開に同情しながらも溜め息が出たものでした。(女を金で買うような人間にマトモな男がいる方が少ない。金のやり取りできちんと「売る」から安全でなく、始めから「それ以上の犯罪」目的の男もいるのだ。)おかげで現在では援助交際といえどもデリヘル屋(異常に長時間出てこない時にすぐに来てくれるボディガード)に尻を持って貰う子が多くなったんだそうです。

 わたしのししゅう…ホームレスの詩「君と僕は違う世界に住んでいるけれど、きっと結ばれる。君を咲かせるのは僕の使命。」
原「変なの。詩集を売るなら人通りの多い駅の側が良いのに、反対に人気の無い道路に移動していってる…って、これ、私の帰宅する道じゃん!」

つまり男は今、座っている位置から彼女の姿が消える地点まで、直線の短い距離であれば角を曲がる所までを移動し(何故ならそこで彼女の姿は一旦見えなくなるからだ。)次の週には見失った所で売る…を繰り返し、気づくと随分、家の近所まで売りに来ていた。単純な気まぐれで1冊50円に過ぎない詩集を買っていたが、そういえば最近の詩には妙な恋愛混じりの物が含まれるようになった…事で気味が悪くなり、詩集を売っていても無視、帰宅するルートもわざと大回りして見当違いな方向に誘ったりしていたけれど、時すでに遅し、次に見た時には玄関にガリ版刷りの詩集が入れてあり、憎しみのこもった眼で睨まれた(無視された恨み…なんだろうけど、ストーカーは普通に嫌われるって。)様には私もゾッとしてしまいました。最も、そのまま一生つけ狙うのではなく、彼女の目の前で電車に飛び込むような潔い男で良かった(トラウマ必至の状況でも、何はともあれこれで全て終わったのだ。)と別の意味では見直した男でした。

 さよなら、おーえる…男「おーえる?これ、おーえるさんの自転車でしょう?あんなとこに置いたら盗まれちゃうよほぉ。おーえるは俺に話をしないのか?」
水元「もしもし、警察ですか?すぐに来て下さい!」
警察「夜、公園なんかのトイレに入っちゃダメでしょう。それに携帯で110番すると中継局とかを経由する分、遅くなるよ。」

イヤン、スケベ、ここは女子トイレよ!(何で男のアンタは人の自転車持ってカラカラと個室の前に入って来てんだよ!)という真っ当なツッコミは、終いにはツルハシを持ってドアを突き破り始めた変態男には通用しない様子です。目の前で警察に電話した事にビビって、サッサと逃げてくれて本当に良かったね(その後、警察が到着したのは30分も後の話だったしな。)と胸をなでおろすと同時に、警察の言っている事は当たっている(昼日中でさえ昼寝してるホームレスがいるような「溜まり場になりやすい公園」に夜に入り込むなんて危険極まりない。嫌われ松子だって最後はまさしく夜の公園で殺されている。)と、本人が自分で言っている通りに駅のトイレで出す物を出しておけば良かったのに(汚ない個室の事を考えると気分が萎えたとか、ワガママ言ってるんじゃありません!)と思わずツッコミを入れてしまったものでした。結論として夜中に危ない所をフラフラするのは良くない、という話です。

 ゼロ…戸北「何これ。鍵は回るのに鍵が抜けない。…ドアチェーンだけ掛けといて、明日にしよっと。」
男「いいよ、叫んでも。そうしたら顔の皮を剥いでやる。人殺しは罪が重い。でも、それなら傷害事件で済む。」

ドアチェーンを一巻きしてからドアを閉めておけばチェーンの緩みが無くなって鍵が開いていてもドアが開かない(というのは部屋に上がり込んだ後、絶対に女性をドアから外に逃がさない為のプロのレイプ犯の手口である。)のですが、一般人である戸北さんがそんな豆知識を知ろうはずも無く、ドアチェーンを切断されたらそれで終わりの状況でまんまと男の侵入を許してしまっていました。何もしていないのに、いきなりドアの鍵が壊れていた(=不審者が下見をした証拠。無理に鍵のかかったドアを開けようとすると中のシリンダーがずれて緩んだり、逆に硬くなったりする。)場合は、取りあえず別の部屋に避難した方が無難な様子です。結果、意識が戻った時には腹にゼロというサイン入りの入れ墨を施されていた彼女。「練習台」が欲しかったのなら、自分の体でやってればいいだろ、と思わずツッコミを入れてしまった彫り師でした…。(強姦魔とどちらがマシだったかは微妙な所だな…。)

平山夢明 恐怖全集~怪奇心霊編⑤~

2009.05.20
 再録版第5弾です…が、振り返ってみると、この頃はシリーズが続く反面、自身は神がかり的な新興宗教に入ったり、霊媒的な物に到るまでには素養と興味が無く(そこまで妙な道にハマる…もとい積極的に研究する気にはなれなかった。)はたまた現実に見聞きする「街場の怪談」も渉猟しつくした感があり、身内や親族を片っ端から勧誘しまくった後の保険屋のおばさんにも似た寂寥感を味わっていたそうです。おかげで後々「超怖い話M」を持って卒業する経緯にも納得してしまったものでした。(それでこの再録シリーズも、あと1冊で終了なのね…。)という訳で5冊目です。

 だんご…御獄「葬式団子の数は大体の場合は6個。死者は天国に行くまでの間に6回の難関に遭遇し、その時にだんごを使って鬼や死神の魔手から逃れるんだそうです。」
嫁「だから5個でいいの!あんなババアは最後で地獄に行かせてやる!」
先輩「遺族がそう言うんだから放っておけ。」

3兄弟でなく、葬式団子の話です。よほど因業な事があったのか、死んだ後までもそこまで嫁に憎まれている姑(渡る世間は鬼ばかり…か。)を微妙に思うと同時に、そんな嫁の行動は予測済みだったのか、死んでもまぶたを閉じず(「縫う訳にもいかないんで、そういう場合は歯科用の接着剤を使って留めちゃうんです。」by御獄)葬式の真っ最中に接着剤に打ち勝ってまぶたを開き、棺に釘が打たれる段になったら血が滴り始めた(死んだ人間が死後48時間以上たってからドバドバと出血する事は無い。しかも死体に外傷は無かった。)挙句に口から団子がポロリと転がり出た様には(試しにそれを祭壇の団子の上に乗せた所、棺の老婆は目を閉じたという。)これぞホラーだと実感したものでした。という訳で御獄くんは現在、産婦人科のインターンに転職したそうです。(そりゃ、こんな怪奇現象を目の当たりにした後も勤める気にはなれないよな…。)

 紫陽花…山崎「被害者のマンションをカメラで撮影している中年の男を見つけたんだ。この時間なら誰にも見つからないと思ってたんだろう。もちろん前科は無いし、容疑者リストにも載ってない。ありきたりの質問をしつつ部屋を物色していたら、鉢植えの紫陽花の一つが被害者の顔に変わったんだ。」

へえ、犯人は必ず事件現場に舞い戻ってくるって本当なんだ(自分がやった現場の記念写真ですか…。)と実感すると同時に、驚いて手放して落として割れた鉢植えの中から被害者の乳首が出てきた(何でそんな緊急逮捕に直結する証拠品を後生大事に自宅に置くんですか!?)という気違い男の顛末には、心霊現象以前の問題として溜め息が出たものでした。(何故そんな怪しさ大爆発の行動ばかり取るんだか、常識に照らし合わせればヤバい事をしている自覚は出るだろうに、バカは分からん。)しかし、容疑者の否認は固く、それまで新しい証拠も発見できなかった(「俺はこいつだろうと腹の底では思っていたし、それは犯人にも知れてたと思う。」のに、そんな事を奴がしていたのは要するに「いくら疑われようが捕まりっこないや。」と図に乗っての記念撮影だったらしい。)辺りからたまたま心霊現象が起こらなかったら、そのまま迷宮入りしていただろう事も伺え、改めて警察の実力のほどが知れた事件でした…。

 海月…ママ「客は生かして殺せ。いずれはお店を持ちたいなら、そんな一気に絞ったりしてはダメなのよ。長く長く固定客を育ててなけりゃ、景気が悪くなるとすぐに閑古鳥が鳴く店しかできなくなっちゃうもの。」
不動産屋「エツコ、この水槽にお前の好きな魚を入れてやる。ピラニアだろうが人食い鮫だろうが何でも好きな物を言ってみろ。」
エツコ「じゃあクラゲを頂戴!それもキラキラ光るクラゲがいい!」
不動産屋「…お前、クラゲって高いなあ。全部で200万はしたぜ…。」

どこが「法外なプレゼントは辞退した」(どころか自分からリクエストしてるじゃないですか!)状況なんですか!?とツッコミを入れると同時に、そんなものをホイホイと買って貰えたのもバブルのうちだけで、バブルがはじけた後は彼もいつのまにか姿を見せなくなり、ある日、海月と一緒に腐乱した生首(霊)となって彼女の前に現れた顛末に納得したものでした。(「大分危ない所」からお金なんか借りちゃうから…。)が、苦しくなった客が錯乱して馴染みのホステスの元に現れるのはよく聞く話で、そしてその場合、大抵酷い事になった実例(グラインダーをかけた10円を3千枚以上口に含ませて揉みしだき、女の顔をズタボロにした男等々。)を「東京伝説」を通して知っている私としては、そんな程度で済んで良かったね、としか言いようがなく、あまり怖くは無かった話でした。(結論として、ホステスだのキャバ嬢だのは「そういうリスク」が付き物だから、そんな商売するもんじゃないって話ですね。)

 死刑囚の手…注意書き「万が一の為にもこの手錠で固定しておく事をお勧めします。」
那須田「アレ?犬のピッピは?」
友人「死んだよ。死刑囚の手の傍で首の骨が折られていたんだ。今でもあの時、両腕をいっぺんに買っていたらと思うよ。『本物』だったのに惜しい事をした。」

世の中には「よせばいいのに…」という物をわざわざ散財してまで集める人がいる。インターネットで(ネット通販ですか…。)5人の少女を絞殺した死刑囚の腕を「コレクションの一つ」として買った(「片手で30万、両手で50万だったけど、どうせこういうのはガセだからね。一本も有れば充分だとその時は思ったんだ。」←どうせガセだと思ってるモノに30万も出せるその心理が分かりません。)所、「僕以外、誰も住んでいない家」の中で飼い犬が殺され、ある日見てみたら手錠から腕が抜けて、自分が寝ていた2段ベッドの下に無数の引っかき傷と共に転がっていた…以来、その腕はボルトで柾目板に固定したそうです。本人は「本物」を手に入れたことでご満悦の様子ですが、普通のベッドだったら本人自体が今ここにいなかった(というか、こんな事態が起こった時点で腕を手離す所だが。)を思うと「本物」である以上に「そんなものを喜んでいる人」の姿に背筋が寒くなったものでした…。

 イヤリング…五味「この人間が材料のイヤリング、話では中国産だそうなので、多分、堕胎児でしょうね。あちらは今、一人っ子政策ですから。」
住職「このようなものを売買し、玩具のように所持するなど、もってのほか!」

世の中には「よせばいいのに…」という物を以下略。おかげで片方だけ(イヤリングって普通は「一対」だよね…。)しかもお値段は50万円(!)という、役に立たない高額なイヤリングは所持したとたんに部屋中に虫が湧き(「ゴキブリとかなら分かりますけど、うちは12階なのに何でアリやゲジゲジやムカデが湧いたんでしょうね?」by五味)置いてある部屋の本棚(転倒防止装置付き)が2竿も倒れ、自身も原因不明の高熱と咳に悩まされた果てに昏倒→救急車で運ばれるに到っても「負けてなるものか!こういうゴタゴタに打ち勝てば、あのイヤリングは自分の物になるんだ!」と決意を新たにしていた五味さん。(親父さんまで大量出血して倒れたんですし、そこは手離しましょうよ。)胎児の霊をその目で見るに到って、やっと手離す事を決意したそうですが、寺の住職もさすがに2回目は受け取ってくれず、医大の研究室に引き取ってもらったそうです…。

平山夢明 恐怖全集~怪奇心霊編①~

2009.05.20
 生きていると突拍子も無い事がある。まさか竹書房さんから頸文社時代の超怖い話を始めとして、昔、執筆した話を6巻に渡って再録して出す事になるとは夢にも思わなかった(「20年ぶりに自分の未熟で拙い文章が本になって出てしまうなんて…今になって一番怖いのはこの事だと思うんですけどね。」by平山先生)そうで、水戸先生曰く「再版は2度印税が貰える最も美味しい事態。」(とはいえ読者からのリクエストや編集部のGOサインが無い限り実現不可能な事態なのですが。)という言葉と合わせて、初期作品をの一部を読み損ねた身としても拍手を送った復活シリーズでした。全6巻、チマチマ追いかけて行こうと思います。

 砂時計…泰「嫌だ、目の前に家庭教師をやる教え子の家があるのに、この道なんでか通りたくない…!」
生徒「あそこ、死体が見つかったのよ。車がここで寝込んだ酔っ払いを轢いちゃって、このT字路の側溝に隠したんだって。畑の側だったから異臭が出ても肥料の臭いだと相手にされないで、結局見つかった時にはかなりグズグズの状態だったんだって。」

そして夜中になると人がそこに立って自分の部屋を見上げているような気がする→先日とうとう足先から砂時計のようにサラサラとした粒子が注ぎ込まれて「いいじゃないか。」と肩から魂を引き抜かれかけた…という様に生徒の方もさすがに危機感を持ち、御札を貰った所、以来、寮の部屋では何も起こらなくなった。…が、それ以来、当のT字路では事故が頻発するようになったので成城周辺をドライブする方は要注意であるというオチには先が見えながらも思わず吹いてしまいました。(結局、成仏はしてないんですか!)↑のようなエピソードも知っていて、事故多発地帯にもなったのならとりあえずお祓いをしませんか?と、知らず願ってもしまったものです…。

 ポケベル…古川「橘がトラックと接触事故を起こした前日といい、俺の家が火事になった前日といい、ポケベルに入っていた3719259って何なんだ?」
橘「『ミナイクジゴク(皆行く地獄)』だろ。」

「ハンドルを持って行かれた」接触事故といい、寝煙草(人災)を利用しての火事といい、これは確実に「不幸を知らせた」のではなく「不幸を呼んだ」方の部類だな(未来予知をするよりも、未来日記にしてしまう方がずっと話は簡単…ってね。大体「ポケベルを持つようになってから不幸が続いた」辺りで…。)とポケベルを返してから社会人一年目となる現在に至るまで何の不幸も起きなかった実情と合わせて結論が見えたものでした。現在ではポケベルはすっかり姿を消した(皆、携帯メールを使っており、もはや完全に絶滅した。)ので、絶対にこんな事態は起こらないでしょうが、意味不明のメッセージが送られた時には取りあえず要注意である様子です。

 赤い卵…清水「お母さん、あのアンティーク・ドール、どこで買ってきたの?」
母「って、アンタが買ってきたんじゃなかったの?…やっぱりね。アンタが出て行った筈なのに2階をドンドン歩く音がするのよ。」

ある日、突然湧いて出た不審なフランス人形も(その場で一言「わあ、凄い。まず玩具屋で売ってない、小さな子供は確実にドン引きするリアルな人形、真面目にどこで買ったの?」と聞けば良かったのだが、不運にも誰もそこまでの興味を持たなかった。)お互いがお互いに相手が買ってきたのだろうという思い込みの元で放置され、飾ったその日から金縛りが始まっても「怖い物は見なかった」事でまた放置され(ここは金縛りという霊現象が何人形が出てきてから頻発したか、タイミング的に不信感を持つ所なのですが。)赤い卵のような女性(「顔が無かった。正確には目が潰れ、鼻と唇が削がれて、まるで赤い卵のようだった。よく見れば耳も無かった。」by清水)が登場した所で、ようやく↑の会話に到った清水さん。占い師に見せてみると人形の中から耳が出てきた(「こんな物を持ち続けていたら、死ぬ所だったぞ。」by占い師)そうで、親子の会話は日々キチンと交わしておこう、という教訓話でした。

 シヅさんの布団…繁田「お嫁さんが毎日見舞いに来てくれて、家からわざわざ運ばせた『慣れた布団』まで使わせてくれて…いいわねえ、お婆ちゃん。」
シヅ「冗談じゃない。これは私の旦那が死んだ時、通夜に使った布団だよ。死体をくるんだ物なんだ。嫁に毎日見張られながら、私はもうすぐ死ぬんだよ。」

元はと言えば納骨の後に泊まっていった嫁に、そんな布団を使わせたのはシヅさん本人(「お義母さん、金糸の布団は2組あったんですよね?」「いいえ、うちに金糸は一つだけ。アンタは一晩、死体をくるんだ布団で寝ていたんだよ、イッヒッヒ!」「…!」で、ショックを受けた嫁さんはお腹の子供を流産してしまったそうです。)であり、シヅさんが死んだ後は今度は嫁さんが入れ替わりに入院して、何の因果か当の布団が敷かれたベッドで過ごすことになった(「あの人、どうしたのかしら?夜中になると部屋の隅に向かってゴメンなさいって泣きながら謝っているの。」という奇行が噂になったまま、一ヶ月後には入院した病気とは全く関係の無い脳溢血でアッサリと亡くなった。)…というのは、もう卵が先か鶏が先かという話だな(2人とも因果応報で死んだのか。)と思わず溜め息が出たものです。ちなみに当の金糸の布団は仕立てが良かったのが災いして今日も使われている(毎月、人が死んでいる。)そうで全く関係無い他の患者にとっては傍迷惑な話だな、とも感じた話でした…。

 CDと老人…須藤「死んだ家内が美空ひばりが好きで、軍靴一辺倒だった私はどうしてあんなもんがと思っとりましたが、どうにも寂しくてアレの好きな歌はどんなものだったんだろうと聞いとります。いいもんですな、美空ひばりは…。」
警察「これはCDに使われるプラスチック材だ。これが腹の中にいっぱい詰まっていた。この人は生活保護が廃止されて以来、CDを砕いて破片を飲み下し、役所に来ては唄っていたんだね。」

時代が悪かったのか、たまたまその市役所が錯乱したのか、生活保護廃止(受け持ちの人間から何人の需給廃止者を出せるか。)を職務判定の基準にした所、「やり手」だった先輩は「白いご飯だけでも大変な事なのに、他人が稼いだ金を貰って、卵かけご飯とは何事か!」と半分視力を失った老女から、そしてCDプレイヤーなんて「贅沢な物」を所持していた須藤さんから保護廃止願いに判をつかせた(あまつさえCDプレイヤーまで質屋に入れて給付金返還に当てさせた。)そうで、元々最愛の妻を無くして半分呆けていた須藤さんは廃人になるのを通り越して発狂してしまったようです。親戚がいない彼の為に役所で形だけの通夜を行っていたら、死体に抱きつかれ、管理事務所に何とか逃げ込んだ時には背広の肩口は裂けてボロボロになっていた(自分の負い目が見せた妄想だと思いたかったが「何者かに抱きつかれた証拠」がしっかりと残っていた。)のに、さすがの先輩も役所を辞めたそうです。先輩もどうせなら「気の弱いお人好し」タイプでなく、受給されたその日にパチンコでするような「ロクデナシ」タイプから絞り取れば良かったのに(「だって善良な貧乏人から金をせしめる方が、ずっと易しくて、しかも安全ですもの。」とは「風と共に去りぬ」のスカーレットの言だけどね…。)とも感じてしまった話でした。

薔薇の夜明け

2009.05.20
 「薔薇の名前」シリーズ4作目です。前回は水戸先生の校了があまりにも遅かった為に後編の本文に挿絵担当の青木先生が絵を描く暇が無かった(表紙カバーの絵だけでギリギリだった。にざ・かな先生の「B・Bジョーカー」でも描かれていたが、原作つき作品はこういう事があるから作画担当の人は大変らしい。)そうですが、今回はきちんと絵が入っている辺り、無事に締め切りを守れたんだな、とちょっとホッとした次第です。一応、舞台であるイギリスにも取材に行ったそうですが「ハッキリ言って何の役にも立たなかった」そうで、取材旅行をしてもそれで都合良くインスピレーションが湧く訳でもないよな、と思えば当たり前の悲しい結果に頷けたものでした…。

 瀬名勇…瀬名「霧を晴らすのに一番いい手を知っているか?火を起こせば良いんだ。」
紗倉「だからって不動明王呪の護符で博物館に火を放つなんて、何って事するんですか、アンタ!つうか、大英博物館って世界遺産なんですよ!操られていただけの人も正気に戻った時には死んでますよ!」

うちの社長はキレるとヤクザや多感な十代よりも恐い。その持論通りに屍鬼(操られているだけの人間)ごと躊躇なく博物館に火を放った瀬名の「暴走ぶり」は今作でも健在でした。(「あんな護符、土産物のポプリと一緒に社長の手が届く机の上になんて飾っておくんじゃなかった。霊力の無い人間にとっては『ただの紙切れ』だから油断してた…!」by紗倉)おかげで、霧の魔力で正気を失っていただけなのに火傷だらけになった元・屍鬼、現・観覧客の皆さんはいい迷惑で、もちろんこんな事態を仕掛けた敵さんが一番悪かったとはいえ、常識を保って生きているのか疑問な御一行様(彬さえ無事なら他はどうでも良い人間達。)の方にも問題は有ったな、としみじみ感じてしまった序盤です。この人達は信念を持って動いている反面、大切な人を廃人にされてしまった被害者である事実は置いておいて、絶対に「正義のヒーロー」ではあり得ないな、とも感じた物語の始まりでした…。

 紗倉さん…老婆「病持ちのあたしに触れてくれた人間は何十年かぶりだ…これをあげるよ。」
奈津央「…変だよ。こんなイギリスの片田舎のお婆さんがどうして日本語を喋れるの?あの人は本当に『喋って』いたの?…言葉が頭の中に直接、響いてくる感じだった。」
紗倉「案外若い頃、日本に留学してたんじゃないの?それでイギリスに帰って来て、道で民芸品を売ってるとかじゃない?」

BCGの予防接種を受けてて感染する心配が無い(20世紀の現代に生きる彼の世界では天然痘は絶滅している。)にしても、醜い容貌の患者の姿にドン引きせずに触れられるかは別の話なのに、その後出会った少女(紗倉さんが目を覚まさなかったら「羅生門」さながらに、その金髪を鬘にして一儲けするつもりだった泥棒娘。)への応対といい、この人は本当に優しい人だな~と改めて感じた経緯でした。(「不気味なお婆ちゃん」も常識的範疇の中に入れちゃったよ、この人は。)極限状態でまで素直になれない主人公カップルの2人を何とか元サヤに戻したのも彼の尽力があってこそ(「君は社長が好きだし、社長だって君が好きだ!認めろ、彬くん!まずは、そこからだろ!うちのバカ社長は僕がこれから責任を持って何とか真人間に調教するから!」by紗倉。恋愛なんて本人だけが悩めば良いという考え方の彼としては、こうやって茶々を入れるのも本意ではない事だろう。)ですし、実は今回、一番活躍していたのは彼だったのかもしれません…。

 エリクシール…エリクシール「馬車で引き裂かれたのは、母さん。火炙りにされたのは本当はお婆ちゃんよ。異形になって死んだのは父さんだけ。お婆ちゃんは異形になりかけた母さんを匿ったから殺されたの。」

そんな地獄絵図を描くなよ!(見返すだけ辛くなるだろ、そんな絵!)というツッコミは彼女の元には届きませんでしたが、お人好しの紗倉との出会い(そしてその後、目の当たりにした奇跡)に救われた部分は有ったのか、そんな「現実を描いた絵」に似非(エセ)天使として金髪の彼が描き足されていた(「僕の金髪は染めただけの偽物だって、あんなに言ったのに信じなかったのかな?」「な、何、あの人、地獄絵図を見て1人ほくそ笑んでいるの?」「紗倉さん、苦労が祟って、とうとうアレに…?」by奈津美&遠弥)様には、知らず、微笑ましい気持ちにもなったものでした。彼女の名前と同じく「万能薬」の力を持つ神が君臨した世界でも、人々は決して幸せではなかった(ていうか1人で町中の人を救うのは血肉を全部使っても普通に間に合わない。)辺り、彬がフィラードと共に教祖にならなかった選択は本当に正解だったなとも感じたサブエピソードでした…。

 ローゼンクロイツ(山上彬)…ローゼンクロイツ「お前は…僕を想いながら自瀆したり、しないのか?」
黒騎士「しないな。夢想の中のお前などに興味は無い。」

ドイツ語で「薔薇十字」の意味を持つ名前(舞台はイギリスなのに何故ドイツ語?)と、血肉で異形を治す特別な遺伝子を代々受け継ぎ、15代目の教祖として生を受けた「彼」ですが、その内情は子孫(次の生贄)を残す為だけに好きでもない女とのセックスを強要され(本性はゲイであるだけに、その命令は余計に辛かっただろうな…。)崇めたてられる反面、自由も無く血肉を貪られるだけという一生に、恋人の黒騎士はそんな彼の運命を断ち切る為にもブチ殺してしまったようです。惜しむらくは彼本人に何の相談も無いまま殺ってしまい、彼の方は「あんなに愛し合ったのに、何でこんな事をするんだ!僕は…お前が好きだったのに!」と来世(彬)に至るまで溝がそのまま残ってしまったという点でしょうね。今生でも魔封じのピアスと一緒に彬の人格まで壊してしまいましたし、どうも瀬名さんは「鳴かぬなら、殺してしまえ、ホトトギス」(思い通りに行かないと、すぐにちゃぶ台をひっくり返して全部台無しにするタイプ。)である様子です…。

月読

2009.05.20
 櫻シリーズの最初の話に出てくる天沼矛(あめのぬぼこ。太古の昔、二柱の親神イザナミ・イザナギが国(日本)を作る時に使った道具。)といい、木花佐久夜姫といい、最高神・天照大御神を筆頭とした三貴子(後の二人は月読と須佐之男)といい、この短編集は古事記スペシャルなのか(「蛭子」もイザナミ・イザナギが最初に作った「骨の無いダメな子」=転じて「若い身空からストーカーやってるダメな子」を描いた話のタイトルになってるしね。)昔、パラパラと訳文を読んだ事のある身としては、古事記をほとんど忘れていても(オイ!)面白く感じた話でした。という訳で解釈次第で色々な見方が出来る「原作」つき短編集です。

 夜櫻…少女「どうして、桜を燃やしただけで、あなたが焼けただれるんですか!?」
蛇神「夜の帳を焼き払えば、私も焼け死ぬ運命なのだ。けれど、これしか夜を明ける方法が無かった。」

山岸先生の話にしては本当に珍しくハッピーエンドを迎えている話だ(「日出処の天子」といい、原作通りの「事実関係だけは合っている物語」の漫画化であっても、ぶっ飛んだ解釈の元に主人公の恋心は酷く報われない救いの無い話ばっかりのあの山岸先生の話で!←酷い。)と、そこにまず驚いてしまい、どうして妊娠もしていない少女の乳が出るのか、何で火が消えただけで蛇神様は人間になっているのか、細かい事はどうでも良くなってしまった次第でした。(オイ!)こんな若い2人がその後何の心配も無く幸せになったなんて信じられません、とクレヨンしんちゃんの風間君辺りは言いそうですが…いいんですよ「それでめでたし、良かったね」で。

 緋櫻…佐江子「そうだ、桜の木に丑の刻参りをしていたのは、お母さんだった。母が…あんなことをするなんて。そこまでする恨みとは一体、何?誰を恨んで、あんな事を!?」

誰を恨んでやった事かって、そりゃ、間違いなく自分がいなくなった後にしゃあしゃあと後釜に座る妹(恋敵)に対してでしょうねえ…と、答えが見えただけに「子持ちの前妻と理想的に行かなかった離婚歴」を持つ婚約者との結婚に恐怖を感じる佐江子さん(シチュエーションが全く同じじゃないですか!)の気持ちが分かったものでした。そして、娘に「見られた」為に呪いは効果を発揮せず自分が死亡(呪いとは種類を問わず「バレたら、その効果を失う」のみならず、自分に跳ね返ってくるものなのである。)、恋敵の妹は今日も元気に生きている(もちろん、しっかり後妻にも収まっている。)という有り様に思わず溜め息が出てしまった母の呪いの有り様でした。丑の刻参りなら本式に乗っ取って、いつ寝てる家族が起きて来てもおかしくない「庭先の桜の木」でなく、ちゃんと夜には人がいなくなる「神社の御神木」で行うべきだったな(そこ?)と思わずツッコミを入れてしまったホラー話でした…。

 薄櫻…友人「年寄りの人魂は低い所をフラフラ飛んで、若い奴のは高い所を勢いよく飛んで行くんだとさ。近くに墓地があるから、ここじゃ人魂を見たら一人前で、長く居つく事になるって言うぜ。」
節「じゃあ、見ちゃった僕の病気は長引く…治らない!」
荒雄「気にするなよ、お前のはすぐ良くなるよ。窓際のベッドのおかげで僕なんか何度見たか知れない。皆だって口にしないだけで結構、見てるんだよ。それでも皆どんどん退院していくんだから。」

2人きりのクリスマスを祝ってくれたり(と書くと怪しい状況に誤解されそうだが、共に家族に引き取って貰えずに、病院でナースや夜勤の医者とささやかなパーティーを開いただけで、「普通の恋人のクリスマス」のようにベッドインになだれ込んだりはしていない。)普段見せない優しさに相手の好感度はアップという王道の展開に、熱があるのに無理してまで主人公を気遣う心遣いに、確実に荒雄さんは主人公に気があったな(でなければ直前で頬に逸らしたとはいえ男相手にキスなんかしないだろう。)と分かると同時に、もうすぐ死ぬ自分と、相手の未来を思ってどこまでもプラトニックで通した彼の人格者ぶり(いっそ「最後のチャンス」とばかりに唇を奪ってしまっていても、この主人公は彼を恨んだりはしないし、「普通の男」でも無かった事にする(強引に気にしない事にする)と思うし、どうせバッシングを受ける前に己は死ぬ運命なのですが…いい人過ぎませんか、荒雄さん。)に涙が出たものでした。おそらく主人公の直感通りに桜の頃にお亡くなりになってしまったでしょうに…ね。

 木花佐久夜毘売…圭「圭というのは死んだ兄と同じ名前なんだよ。顔も見た事も無い2歳で死んだ兄と同じ名前をつけられたと知った時はショックだった。両親は兄の身代わりとしてではなく、僕個人の人格を認めてつけてくれた名前なんだろうか…とね。君の場合、僕とは少し違うんだけど妙に引っかかった。そこには3歳で妹の名付け親になった天才の咲耶さんはいても、そこに『君』がいない。」

古事記では「咲耶姫」だけがニニギの命(みこと)に惚れられて、不細工の岩長姫(姉)の方は嫌われて送り返されたのですが、現実では正反対で、両親自慢の良い子の咲耶姉さんが男(飛渡君)に敬遠されて、不良の妹・典子の方と駆け落ちされたという結末を迎えていました。型に外れない才女の咲耶姉さんは成績が良い事で親にも周りにもチヤホヤされて育った(「凄い!3歳で名付け親になったんですか?」「俺、3歳の頃なんて何も覚えてないよ!」「昔から天才だったんですね!」by周囲)けれど「成績優秀」でモテルのはせいぜい高校まで。大学生にもなってしまえば、ただの「頭の固い面倒臭い女」で、もう周りの大人がチヤホヤ持て囃す年齢ではなくなっているし、両親には相変わらず特別扱いされていても、気になる彼にも選んで貰えなかった今、姉さんが現実を知っていくのはこれからだろうな(「大人の社会」は頭の良さだけで特別扱いして貰えない。)と溜め息も出てしまった話でした…。

 蛭子…春洋「お姉さん、お願い、2万円貸して下さい。」
里見「彼は、くすねた小銭の事も盗んだ1万円の事も口にしません。もしも正直にその事も全て謝ってくれていたら、私はこの美しい少年の赤い唇から出る言葉に負けてしまったかもしれません。」
隣人「それで玄関にケーキなすりつけるわ、動物のはらわたを裂いて撒き散らすわ、不法侵入してペットの金魚を殺すわって、まあ、酷い。いたずらにしてもタチの悪い。」

「仲良くしていた間」も、ご馳走して貰って泊めて貰えるのに飽き足らずチマチマと窃盗という犯罪を犯して(「やだ!彼が泊まった日はどうしてもお金が無くなってる!」←短絡的に犯人と決めつけてはいけないと思いつつも、それから一月ほど「彼から何の音沙汰も無かった間」は生活費が突然無くなる現象は起こらなかった。)、お礼にと持ってくるのは香水や高価なケーキとはいえど家にゴロゴロ転がっているもの(つまり彼にとっては元手タダのお手軽な安物。)、ちょっと言う事を聞いて貰えなかっただけで↑のような嫌がらせに走り(それも器物破損に不法侵入、ストーカー規制法違反という犯罪レベルである。)、そんな事をした後でもヘラヘラと知らないフリして、ちょっと甘い顔をすれば相手は言うがままになびいてくれると思いこんでいるって…「友達」だった間もIPアドレスを勝手に使って人のブログの未公開記事を不正に覗き、誤魔化しに持ってくるのはビニール袋に入れたお菓子(家にある物をくすねただけでラッピングすらしない。)、挙句に思い通りに動いて貰えなかった事で連日無言電話を繰り返す、犯罪女のよしみつ、そのものじゃないか!(それで、ちょっと拍手したりコメントしたりすれば、友達の名の元に、また甘やかして貰えるだろうと考えるって、常軌を逸してるよ。)と犯罪者の性格の符合に妙な所で納得がいったものでした。里見お姉さんもせっかく犯人がドアの前に来ているのだから写真やビデオに撮って「動かぬ証拠」を作っておけば良かったんですけどね。(詰めが甘かったな、このお姉さんは。)

 蛇比礼…真弓「ねえ達也、いい加減に機嫌直してよ。この間は断ったけど、あたし決心したの。あなたの良いようにして…」
達也「今日、真弓が何か言っていたけれど、あんな奴のどこが良いと思ったんだろう、僕は?」

もっと早くにヤル事ヤッて捕まえておけば、彼は他の女に心変わりしなかったかもしれない…ではなく、彼の気持ちは所詮ただの肉欲に過ぎず、身近にもっと手軽にヤレる女(従姉妹の虹子)が現れたから興味が失せただけに見えました。危ない魅力を放つ虹子が本命に移ったとはいえ、本当に愛していたら血の繋がり的には問題の無い従姉妹であっても「8歳の幼女」相手にセックスまではしない(その時点で、その男は最低のクズ。8歳の子供にセックスを求めるなんてマトモな男のすることじゃないし、それって刑法に触れる犯罪である。)し、他の男と寝ている事を何とも思わない(普通は「彼女」がそんな事をしたら許さないし嫉妬もする。なのに自分ともセックスさえしてくれれば何とも思わない。)辺りに、そこにあるのは100%肉欲だけで気持ちなんか無い事が知れ、暗澹たる思いが広がったものでした。親戚の子供を引き取るって美談ですけど、現実はそう美しくは済まないという悪い見本です…。

 月読…天照「須佐之男は私の可愛くて大きな坊や…私を裏切ったりなぞは決してしない。」
→天照「違う!須佐之男が無理矢理、私を犯そうとしただけで、合意の上でセックスなんかしてなかったの!」
月読「共犯者の須佐之男に全て押し被せて…えこひいきしてても姉上の須佐之男への愛なぞ脆いものだったのですね。」

2人して人(月読)を騙して悦に入るほど仲が良いけれど、ひとたびマズイ事態になったらアッサリと仲間(須佐之男)に責任を押し付けて、自分は安全な所から舌を出している(所詮はそんな人間だから仲間に対してさえも利用価値の有無でしか見ないし、相手(▲▲さん)が何もしていなくても快楽(無言電話)の為に平然と裏切る)ってまるで、よしみつのようだな、とあれだけ仲良くしていたにも関わらず、決して裏切らなかった(むしろ尽くしてきた)仲間を自分の都合の為に裏切った天照姉上(よしみつ)の生臭い性格に妙なリアリティを感じたものでした。でも、そんな人間だと(それこそ一緒にほくそ笑む位に)分かっていて彼女と仲良くする事を選んだのは須佐之男(▲▲さん)本人なのだし、それで破滅する事になっても自分が選んだ道(自業自得)で同情は出来ないなとも感じたものです。結局、月読同様に天照には見限られた須佐之男でしたが、思うにこの人間(天照=よしみつ)は誰の事もそうやって利用して切り捨てる事しか考えないんだろうなと、今では彼女をすっかり「そんなもの」扱い(便所コオロギを見る目)でしか見れなくなった月読さんにえらくシンパシーを感じた話でした…。

 ウンディーネ…ゆき子「家族がいなくても、こう考えたらいいわ。親の無い子供より、子供を亡くした親の方が可哀想なんだから、あなたはまだ幸せ。」
陸田「逝く子と書いてゆき子…何をこじつけているんだろう、僕は。彼女と会ったのは、まぎれも無い現実だったのに。そうだ、僕、カメラマンになります!カメラマンになってもう一度、絶対に行子を撮るんだ!」
鷲見「き、急に1人で叫び出して、気は確かか!皆が見てるぞ!(彼は肺炎で、脳炎ではなかったはずだが…。)」

彼女を見たのは陸田さん、ただ1人だけ。教えて貰った住所に行ってみたら、そんな女の子は住んでいないという。(現在の一家がその家で暮らすようになったのは最近で、その前に住んでいた一家は女の子が沼で溺れ死んだ事で引っ越していった(つまりその女の子の霊か!?)という解釈は出来るが、本当にそうなのか、また生死に関わらず何で「出会って数日の女の子」が女性に手慣れていない主人公相手にキスまでするほど盛り上がってくれるのかも謎。)心霊現象でなかった場合、彼は「彼女」に騙されて、からかって遊ばれただけだな(いっそ心霊現象(自然消滅)であった方が美しい恋の終わりであり、むしろそうあってほしいと思うのだが、確証は無い。)と「呼ばれた」割には何故か命は助かっている(普通の悪霊だったらあの世に連れて行かれている。)状況に一抹の生々しい不安を感じながら読み終えたものでした。本当にウンディーネ(水妖)だったら良いんですけどね…。

GP学園情報処理部

2009.05.20
 最初は「情報処理部」(苦労人の部長・鶴賀先輩の周りの人に振り回される日常譚)の話だったのに、いつの間にやら情報処理部に入部もしていない生徒会の会長・副会長の話がメインになり、続編ではとうとう「GP学園生徒会執行部」(情報処理部は脇役に格下げ決定!?)にタイトルが変わってしまったという歴史が流れる作品の最初の2冊です。「読んだ人に一番印象が残った人物が主役」と考えると妥当な変更ぶりですが、おかげで主人公からも格下げされた部長には同情もしたものでした…。

 天ノ原凛…叡智「君が僕のモノになってくれたら、欲しい物は何でもあげるよ。君はこの先、自由に好きな事をしていいんだ。」
凛「全く矛盾してるよな。あの時から叡智の所有物になった俺の、どこが『自由』なんだよ。」

そして他の子と遊んだだけで「僕の知らない所で他の男と仲良くしてる凛なんて、いらないから!」と逆上して部屋に閉じ込め、それにメイド以下、屋敷の大人達は何も言わず(オイ!)、翌日なんとか凛が監禁状態から抜け出そうと2階から飛び下りた(大した怪我が無かった事より、それに関して何の騒ぎにもならない(させない)この家が怖い。)所、逃走に失敗して再び彼の魔手に捉えられた(相手のあまりの美形ぶりと心配そうな態度に、子供心ながらに「この人には自分がいないとダメなんだ。」と感じて、正式に叡智のモノ(恋人)になると決めた様子ですが、半分、洗脳に近いような…。)という経緯に玉の輿に乗りながらも、彼は彼で苦労しているんだろうなと感じた「今までのあらすじ」でした。何でもできる叡智に甘えている反面、男として劣等感も感じている様子で、恋人をやりながらも男心は今日も複雑らしいです…。

 木村鈴音…鈴音「琴音は昔から俺より頭が良くて要領が良くて、可愛いと思ってた娘は大体が琴音の事が好きだった。そんな琴音に兄貴面して構われて、比べられるのがが嫌で、俺は…。」
琴音「ちゃんと考えろよ。何でお前が『兄貴』の俺を嫌うのか、俺をそんなに意識するのか…俺に気づかせたのはお前なんだからな、鈴音!」

本当に比べられるのが嫌なら、傍に寄らなきゃいいのに、何で同じ高校に入ってるんだよお前…という単純な問いの答えは、どうやら「嫌よ嫌よも好きのうち」(本当の「好きの反対」は無関心であり、視界にすら入らないように「距離を置く」のが正しい行動である。「言葉より行動に真実が出る」事を考えると、口先では悪く言いながらも決して彼から離れようとはしない鈴音の行動から、自ずと本心は見えてくる。)のようですが、やっと思春期に入ったばかりの鈴音くんは「自分の気持ち」にもまだ気づいていない様子で、2人の仲は家も隣同士で互いの部屋に行きかうのを親も公認しているという、チャンス有りまくりな状況下にも関わらず、遅々として進まない様子でした…。既に「自覚症状」まで辿り着いている分、琴音の方が辛い立場だろうな、とも感じてしまった恋愛成長途中の2人です…。

 五十嵐吾朗…吾朗「いっその事…とことんまで嫌われてみようか?どこまでなら許してくれるかなんて、もういい!二度と許して貰えないくらいに滅茶苦茶に抱きたい!」
大ちゃん「保健室の鍵、閉めとくから、1人で勝手にそこで悶えてろ!『許して』ほしかったら反省してろ!バカ!」

優しさだけで今のは「許せる」レベルじゃないだろう…とズボンと下着まで脱がされて、尻に指まで突っ込まれたにも関わらず「許して貰えた」顛末に私も頷けたものでした。普通だったら「最後までしなかったから良いだろう。」(心の準備ができていなかった相手の為に生殺しを我慢してあげた自分ってイイ奴。)ではなく、恋人でもないのに嫌がる相手を無理矢理組み敷いた犯罪者一歩手前の男(そもそも本当に誠実な男はレイプまがいの真似はしない。)を気持ち悪がって二度と目も合わせてくれないのが当然で、昔、爆発事故を起こして大ちゃんの眼を傷つけた(その時も彼は一言も責めずに相手を許した。)事といい、相手の大ちゃんは本当に優しい人だな、と実感もしたものでした。一応、根に好意はあった様子で↑の彼の行動も「(未来の)恋人の若さゆえの暴走」で許してあげちゃったらしいです…。

 鶴賀燎一…燎一「何、俺はこんなに必死になって南を探してたんだろう…。南にとったら俺が心配していようが、いまいが、どうでもいい事なのに…バカじゃないか?」
南「行っちゃ、ヤッ!残されんのヤダ!一緒に行くう!」
燎一「自分から離れてったくせに、置いてかれるのは嫌なんだ…。」

それでも「俺」を追いかけてきてくれたんだと思うと嬉しい…と「そんな程度」を喜んでいる辺りに(普段どんだけ報われていないんだか…は読んでいれば分かるわ。)、相手にとっての特別はお菓子(人間ですらない。)で、それ以上にすらなれない彼の不憫さ(他に気になる「男」がいないと言えば聞こえは良いが、「嫌い」じゃない代わりに「特別な好意も無い」ように聞こえて…あまり嬉しくはない。)に同情し、思わず涙が出たものでした。それでも可愛さは全てを凌駕するのか、兄(自分)を愛する美形な弟(ていうか同じ顔)が傍にいるにも関わらず、彼の本命は菓子以外眼中に無いような性格の南(高校生にもなった立派な十代後半の人間として、その性格もどうかと思う。最も当の「性格に似合う可愛さ(容姿)」が無いとさらに痛い人間になる(例・▲▲さん)ので、外身だけは「見れるレベル」で本当に良かったが。)だそうで、彼のこれからの(正しくは「これからも」)苦労が偲ばれたものでした…。

ライジングインパクト⑭~⑰

2009.05.20
 一度は復活(連載再開)したものの、2度もその奇跡は起きなかったらしく、打ち切りという編集部側の「一部の読者が出すアンケート」ばかりに左右された非情な決断(だから今のジャンプは腐女子の意向ばかり重視した内容の薄い話ばかりになっているし、かつては世界一の発行部数を誇ったのに、現在では200万部切りという先細りの様を見せてるんだよ。)から、新章に突入するも話はここで終わってしまい、加筆された読み切りでは子供まで出来ている(もはや完全に彼らの「少年時代」は終わった=連載が再開する事は、もう2度と無い。)様に、思わず悲しみを感じてしまった、そんな終わり方でした…。(いや、綺麗にまとめられていたけどね…。)

 七海ガウェイン…ガウェイン「グラールとキャメロットの試合中…つーが、その前に、その試合どっちが勝ったんだっけ?」
クエスター「…呆れた奴だな。そんな事まで忘れたのか?」
ガウェイン「しゃーねーべ?オレ、まだ小学生だったんだしよー。…だがら試合よかよ、その後じーちゃんが死んだ時のごとの方がよく覚えでんだ。つい、こないだのごとみでぐ。」

最終章をそんな扱いですか、主人公…!(息子達が語っている「伝説」によると友達(トリスタン)をバカにされた事で、その試合中に乱闘騒ぎを起こし、骨折沙汰の怪我をしたせいで、またスパーク状態になって20アンダーもの超成績を残したというのに…。)と、父親の遺志を継いだ因縁の試合を「そんな事」扱いですっかり忘れ去っており(つくづく、アーサー叔父ちゃんの立場って…。)、家族である祖父の死だけしか覚えていないガウェインの姿に涙すると同時に、その時そばにいてくれたのが霧亜だった(楽しい時だけ遊んでいた友達と違い、本当に辛い時にそばで支えてくれたのは彼女だった。)様に、後に2人が結ばれ、最終話では10代後半にして既に子供まで作っている様に納得がいったものでした。(「なぐさめ」がいつの間にか「あやまち」になったんだろうな…。←オイ!)結局、実父ウーゼルの事は最後まで未消化でしたが、自身が親になった現在、自分を捨てた父親の事など完全にどうでもよくなった事でしょうね…。(そもそも最初から、父親を恋しいと思ってはいなかった様子ですしね…。)

 実父ウーゼル・フェニックス…七海笑子「あのね、できちゃったみたい…。」
ウーゼル「俺…知らないよ!俺、ちゃんと気をつけてたもん!」
アーサー「そしてウーゼルは行方をくらました。理由もつげずにな…。全てが一瞬で色あせた。ウーゼルを心の底から憎み、奴を選んだ笑子を哀れみ、笑子を諦めきれていなかった自分を責めた。」

…な、所だったんだろうな(父は子が生まれた事すら知らなかったのか、きっと中絶してくれてる(はず)と恐ろしい現実を直視しない為に2度と帰って来なかったって…典型的な蒸発の様じゃないか!)と天才的なゴルフの才能が有りながらツアーに出る事もせず(そんなに見つかるのが嫌?)、仕事(キャメロット学院)も辞めて現在も完全に行方をくらましている様に、カップル破局の詳しい経緯が読み取れたものでした。(普通は血の繋がった身内位には金を無心する為にも居場所を知らせそうだけど、数々の事業も成功して、いくらでも興信所を雇えそうな弟・アーサーが彼の身元を割り出せていない辺り、よっぽど完璧にホームレスをやっているのだろう。)きっとイギリスで優雅に育った人間が、そこに恋人がいてもイナゴの佃煮を食べる福島に骨をうずめる気にはなれなかったとか、色々言い訳はあったんだろうけれど、女の私に言わせれば子供まで作って責任逃れに走った最低の男だぞ、としか思えなかったクソ兄貴でした…。(アーサー父ちゃん、劣等感を持つ事は無い。キチンと結婚してしっかり息子を養育したアンタは立派に漢として勝ってるよ。)

 須賀川紅葉…美花「60億のうちのたかが100や200でしょ、あなたが今まで出会った人の数なんて。認めてくれないなら、それでもいいじゃない。ふてくされて努力を台無しにするなんて真似は全くの無意味よ。努力は一生続けてこそ、努力なんだから。」
紅葉「お前だけだった、この俺にそんな言葉をかけてくれたのは…俺は!お前に惚れた!美花、俺の女になってくれ!」
美花「何を言い出すのかと思えば…2年以上も会った事が無くて、名前すら知らなかった女(私)相手に、相変わらず思い込みの激しい人ね…。」

それ、他人じゃないか…!(普通は他人→知り合い→友達→恋人(告白)と段階を踏む物なんですが、全部すっ飛ばして最終段階に進む人間は「前々から(一方的に)彼女を知っていた」としてもストーカーとしか認識されないよ…。)と初手から間違えている愛の告白の様に思わずツッコミを入れてしまったものでした。(読者の大半も「情熱的」を通り越してそう思ったらしく「嫌っ!何このマッチョ!キモい!」「あの筋肉にロン毛はヤバい!」「ストーカーになりそうで怖い!」と反応は散々だったんだとか…。)作者も「ライザーがミドル級なら、こいつの筋肉と人気の無さはヘビー級。」と認めており(作者まで…。)、性格が強い黒峰さんだから恐れ慄かずに済んでいるけれど、確かに好かれてもあんまり嬉しくない男だろうなあ、といきなり過ぎる展開に頷けてしまったものでした。悪い奴じゃないんですけどね…。(しかし「いい奴」って恋愛対象外の男を指す言葉と昔から相場が決まっているんだよな…。)

 黒峰美花…紅葉「どうやらお前が惚れていた相手というのは戒の事らしいが、見込み違いもいい所だぞ、美香!こんな口先だけの男より、俺の方がお前を大切にしてやれる!」
美花「あんたこそ東堂院の何が分かるって言うのよ。そんなに私が欲しいなら、この人(東堂院)に勝ってからにしなさいな!」

ダメじゃん、煽っちゃ…とはいえ、いつまで経ってもハッキリと意思表示しない「幼なじみ」止まりの恋人に、足して2で割れるなら…(もちろん、あんなキモいマッチョの恋人などゴメンだし、どこから来るのか分からない思い込みの激しさも謎だけれど、あそこまで露骨な愛情表現にだけは感心しているというか、せめてその半分くらい自分の恋人にもそれが有ればいいのに、と思う所は有ったらしい。)と思わず溜め息が出てしまう部分はあった様子です。結果として、東堂院は相変わらず口では何も言わなかったけれど、将来プロとしてやっていく事よりも、今、紅葉先輩との飛距離勝負に勝って美花を捕まえる事を選んだ(この時に無理をして80インチドライバーをかっ飛ばした為に、腱を痛めるだけで済まなかった腕は再起不能になり、プロゴルファーとしてやっていく未来は露と消えた。「夢なんざ持とうと思えばいくらでも持てる!」と本人は納得している様子ですが…。)そんな様に、美花も何も言えなくなったし、紅葉先輩も男として負けを認めた模様です…。

 ライザー・ホプキンス…若葉「切磋琢磨って言葉があるじゃない。切ない響きだよね。同じ努力をしても10伸びる人間がいれば、1しか伸びない人間もいるのに。…気づいてるんでしょ?君は一生『主人公』にはなれないって。このままじゃ永遠のピエロだって。」
ライザー「小せえよな、俺も。10倍の努力で足りねーなら、100倍努力すりゃいーんだ。それができねえなら、どの道、大して好きでもねーってこった。」

個人差や素質はもちろんあるだろう、けれど技術なんて努力すればついてくる物なんだし、その「人並み外れた努力」を嫌がる人間は実力の世界で大成はできないよ(そりゃ一般人がサッカー選手になろうと思って努力した所で才能的に無理がある話だが、ライザーも日本校とはいえ「1パーセント未満の競争率」をくぐり抜けて選ばれたキャメロット学院の立派な生徒であり「充分に素質はある」部類なのだから、後はやる気と努力の問題である。)と冷静にツッコミも入れたものでした。が、ガウェインとの才能の違い(彼はインフレし過ぎてる特殊例だから、参考にした日にゃゴルファーになれねえ。)に忸怩たる思いを抱えたこともあって、思わず敵陣に着くという裏切りに走ってしまった様子です。結局、試合を通して彼も成長したらしく、最終話ではガウェインを抑えてプロとして活躍する姿が描かれていましたが…当の成長試合の様もじっくり読んでみたかったです。(打ち切りのバカ…!)

 リーベル・リングヴォルト…プラタリッサ「女子プロのアリア・セイフォート、夫レイン・グレースと協議離婚していた事が判明。2人の間には女の子も1人…18で結婚して19で産んだって事かしら。」
リーベル「(僕、いつか、アリア先生をお嫁さんにしたいな…って思ってたのに。)」

ボロボロ泣いて「自分の理想通りではなかった恋人の姿」に見事に終わった初恋の様ですが(「そりゃー泣くって。惚れた女が結婚の上に離婚も経験済みなんてねえ。」by裕美子。人それぞれ事情はあるしアリア先生ばかりが悪い訳ではないのだろうが、「経験者」であるだけで幻滅する男子がいるように「理由も無い恋心」なんて、それだけでしぼむのには充分なのだろう。)それはそれとして「過去に何があっても僕の気持ちは変わりませんから…。」と復活愛の様を呈していた(グラール・キングダムの皆さんは↑を通して「大人なんて皆、汚い!もう先生なんか見るのも嫌い!」とリーベルがキャメロットを飛び出してくるのを狙っていた様子だが、予想に反して彼の性格はどこまでも天使だった。)だけに、最終話ではアッサリその恋心を忘れ去ってプラタリッサと結婚していた様に「現実」を感じながらも釈然としない物が残った私でした…。(そりゃ、アリア先生は霧亜と違って「年下の子供に過ぎない彼」を眼中にも入れていなかったでしょうけれど…。)

 七海太陽…霧亜「まだ、アンタには分かんないだろーけど、ガウェインは大事な息子のアンタにだから想い出の染み込んでいるクラブをあげたのよ。」
太陽「あ、あのさー、父ちゃん、クラブなんだけどさー、あのね…」
ガウェイン「んだ…、また父ちゃん、来週がら試合でヨーロッパさ行ってくっから、母ちゃんど留守番頼むな!」
太陽「か、勝手にどこへでも行けばいーじゃんか!(本当は…クラブありがとうって言いたかっただけなのに…。)」

思春期とツンデレ的性格が併合して、すっかり立派な厨二病になってしまっているらしく、素直でおバカな主人公に比べると今一つ可愛気のないガキ、そして同じ年で既にインフレしまくっていたガウェインに比べると今一つパッとしない才能の様(いや、全国小学生の部で4位は立派に凄いんだけれど、ガウェインの活躍を今まで読んできた身としては、やっぱり「地味」に映るんだよね。)に、何だか残念な息子が2代目になってしまったな(というか親父のガウェインの方が「魅力的な主人公」だった。)という感想を持ってしまった読み切りでした。(いや、ガウェインがプロの世界で立派に活躍して、どつき漫才やりながらも幸せな家庭築いていて安心したし、良かったけど。)今、初めてライジングインパクトが見えてきた彼(レベルで言えば昔のクエスター位?)の才能が花開いていくのは多分これからの話なのでしょうね。見事に親の特徴を受け継いだ子供達の姿に思わず含み笑いが出てしまった話でした…。

ライジングインパクト⑦~⑫

2009.05.20
 マスターズに全米オープン、全英オープン、全米プロの世界四大大会に女性は参加できない事もあって、日本ではよく韓国人「女性」プロを目にするんだろうな(レベル的に稼ぎやすいという点ももちろんあるのだろうが。)、と、いつかきっと男と一緒に世界大会に出場する事を夢見る「女の子」(「アプローチやパットなら女性も男性も関係無いわ!女性が男性に負けるのはドライバーの飛距離だけ!」←しかし、男に負けないくらいドライバーをかっ飛ばせるのも「君1人だけ」に限った話だと思うぞ…。)の姿に、またも納得しながら読み進めた新章です。登場人物の名前も有名な物語やオペラから取ったものが多くて、何気に教養高い人だったんだな、鈴木央先生…と感心したものでした。

 ガウェイン・七海…アリア先生「力みによるダフリね…。しかも原因が分かった所で心の問題を解決しないと治らない『病気』のようなものです。その証拠に右肩が原因だと分かった後でさえ直っていない!」
ガウェイン「そういや、オレも霧亜姉ちゃんと会わねがったらゴルフに出会ってねがったんだな…って、やったー!戻ったー!ワーイ!いつも通り、かっ飛ばせたぞ、気ん持ぢいー!」

自分以上に飛距離を出す人間(クエスター)を目の当たりにした焦りで、初めて思うように打てないスランプという壁にぶち当たったその時、彼女のことを思い浮かべたら、無心に戻れて(初心に帰って?)前以上のスイングができるようになったって…女神か、霧亜姉ちゃんは!?と、滅多に会う事も無くなったのに今もなおガウェインの中で彼女が特別な立ち位置にいる事を改めて思い知らされたエピソードでした。(そりゃ、他の女の子とどんなに仲良くなっても選ぶのは彼女になるわな。)スランプに陥っても、たった一日(!)でそれを克服し、ライバル以上の玉を飛ばすようになった彼に、自分の異母弟疑惑(「ライジングインパクト(が打てる動体視力)は我が一族だけに受け継がれたものだ。」「で、ガウェインにも俺と同じギフトがあるって事は、つまり…。」byクエスター)と合わせて、今度はクエスターの方が大いに動揺する事になるのでした…。

 パーシバル・ロレンス…父「そうだ!君さえ良かったらパーシバルのお婿にでも…」
パーシバル「お父さん!変なこと言わないでよーっ!ガウェイン、行きましょ、行きましょ、車はそっち!…お父さんなんて嫌いっ!バカバカ!」

話を逸らしつつも頬を染めて怒っている(意識している)辺り、彼女もまんざらでもなかった様がうかがえますし、実際、一緒に暮らして仲良くやれた事で期待も持ったでしょうね。しかし、話も合うし、楽しくやれる、特別に仲が良い友達。でも、それだけ(そんな立場、その辺の男友達にすら簡単に取って代わられる。)って現実ではよくある話で、親まで「君がパーシバルの所にお婿に来てくれれば良いのに。」と言っている(そういう事って周りが盛り上がると、本人は「勝手に敷かれた出来レース」に逆に引くんだよね…。)反面、ガウェインの方は友達以上の気持ちを全く持たず、元カノ(霧亜)とそのまま結婚した様に納得がいったものでした。毎日のように会って親しく付き合う事で「お手軽な友達」にはなれるかもしれないけれど、それでは「僕が苦労して心を開いてくれた、なかなか会えない特別で大切なあの人」にはなれなかったという話ですね、これは(そもそも恋愛というものは「相手のことをもっと知りたい」という気持ちから始まる(つまり全部知られたが最後、彼の自分への興味は消えてなくなっている。)のだから、知り合ったその日からお泊りをさせて、部屋のぬいぐるみやパジャマの柄まで全部見せた彼女は初手から誤ってしまったな。)とも実感した淡い恋の終わりでした…。(まあ、淡い段階で終わった分ダメージ少なくて良かったじゃないですか、パーシバルさん。)

 スフィーダ・ボネール…母「体には気をつけてね、プラタリッサ。何かあったら電話しなさい。」
スフィーダ(私だってイギリスに行っちゃうのにスルーして…ああやって、いつもプラタリッサばっかり…。)
母「そうだ。プラタリッサにこのお守りをあげるわ。このチョーカーをママだと思って、しっかり頑張るのよ。くじけそうになったら、これを握りしめて…。」
スフィーダ「ひどい!そのチョーカー、私にくれるって約束したのに、どうしてプラタになんかあげちゃうの!?プラタリッサばっかり特別扱いして!いつも…いつも、そうよ!」」

スフィーダとプラタリッサ、どちらが悪かった訳でもない、えこひいきする親が悪かったのだ。(優勝という「結果」を出している自分ではなく、成果も出していない妹の方を「可愛いから」という理由一つでチヤホヤしていたら、誰だって理不尽を感じるだろう。)とはいえ、どっちがより辛いのかというと、「可愛さだけで世の中をちゃっかり渡っていける妹」(実際、甘え上手な素の性格に戻ってからは読者の人気も急上昇し、他の女に恋していたはずの男(リーベル)まで手に入れている。)よりも「努力をしても報われない姉」の方だろうな(「敵」であるはずのプラタリッサも笑って許さなければならない。気難しい性格は不器用なだけなのだろうが、作者が「そんなに尻に敷かれそうなのが嫌?」と疑問符を出すほどに人気は伸びなかった。特に男に。)と、読者からの好かれ具合も親同様になっている様に同情もしたお姉ちゃんでした…。(和解は出来て良かったですけどね…。)

 クエスター・フェニックス…クエスター「ウソだ…。俺がドライバーで負けるなんて、こんな事が…。」
スフィーダ「米国校はもうダメね。飛距離にプライドを持つ人間が自分よりはるかに飛び抜けた力を見せられたんだもの。それも相手は自分よりもずっと年下…ショックは計り知れないわ。」

「言えねえ…。ドライバーでアイアンに負けたなんて…。」と、かつてガウェインに味あわせた思いを巡り巡って自分が味わう羽目になった(これぞまさしく因果応報。)その時、数時間(!)で精神的ショックを克服したガウェインと違って、頑張ってはいても所詮は温室育ちのお坊ちゃんに過ぎなかった彼は試合の真っ最中である(しかも相棒と組んだペアマッチ=もろに相棒に迷惑をかける試合。)にも関わらず大スランプに陥ってしまった様子です。(悔しさのあまりクラブを放り投げるというカッコ悪い行動まで取ってしまい、完全に冷静さを失ってしまった。)試合が終わったら終わったで、今度は親父登場(ただでさえケンカ中で、傍にいられるだけで気まずい相手。)の上にガウェイン異母弟疑惑が持ち上がるし、苦労知らずのお坊ちゃん(メンタリティは人並み以下。)には違いないけれど、気苦労は絶えないお兄ちゃんだよな(これでよく胃に穴が開かなかったものだよ…。)と思わず同情してしまった、そんな新・登場人物でした…。

 ブリジット・バーロウ…クエスター「なあ、ブリジット、学院を卒業したら一緒に暮らそうか。今更どうでもいい親の元へ戻る事も無いだろ。俺達はもう子供じゃないんだ。」
ブリジット「…俺、お前の事も皆の事も騙してた。お前の親父に頼まれた『お前の見張り』さ。キャメロットに編入しても怪しまれないようグラール・キングダムで死ぬ程の訓練受けて、大会受賞歴まで偽造して貰って、全員分の履歴からゴルフに関するデータまで色んなものをあそこに流し続けてた。何で…気づいてくれなかったんだよ!お前はやっぱり、お坊ちゃんだよ。親父には本気で逆らえないし、俺との事だって結局はままごとだったんだ…!」

「泣き面に蜂」「弱り目に祟り目」(英語でも「雨が降る時は、いつも土砂降り」(悪い時には悪い事が重なる。)と洋の東西を問わない諺になってしまっている。)とはよく言ったもので、飛距離スランプ、異母弟疑惑と合わせて、恋人まで親父の手駒にされていたという、さらなる悲劇がクエスターを待ち受けていました。ブリジットの方も恋した弱みから断る事が出来なかった(「クエスターと同じ学園に入って奴を見張れ!?そんなもん、俺が引き受けると思ってんのかよ!」「あっそ、じゃあいい。君がダメなら『クエスターの見張り兼恋人役』には、こっちでグラマラス系美女を用意して侍らせる事にするよ。」「…!!」という流れが絶対に有ったと思われる。「そんな女に側をうろつかれるよりは、君が彼の傍にいてやりたいだろ。」という話から首を縦に振らざるを得なかったのだろう。)金で人の気持ちを買う事は出来ない、けれど上手く使えば相手の自由を奪う事は出来る(クエスター自身が父の元に残る気持ちは無くても、彼の恋人が手の内にいる限り裏切って離れていく事は出来ない。)という悪い見本です…。

 トリスタン・リオネス…メリオダス「父さんは何も気にしちゃいないさ。人に何を言われようが、一日中働きづめだろうが、どんなに貧乏だろうが…でもな、息子の好きなこと位は思いきりやらせてやりたい。お前にゴルフをやらせてあげる事が私の生きがいなんだ。頼むから、父さんのワガママを聞いてくれ…。」
トリスタン「見ていてくれ。この試合の優勝も貴方に捧げよう。プロになっても、いつの日か頂点を極めたとしても、俺がゴルフをやり続ける限り…父さん、俺は貴方の誇りであり続けたい。」

で、文字通り「死ぬ」まで自分のゴルフの才能を信じて、血もつながらない義理の息子である自分にぬくもりを与えてくれた「父親」に納得する(頂点を極める)まで走り続ける事を誓ったんでしょうが、それとは別に散々自分達をいじめ続けた「父親以外の人間」に対しては完全に人間不信になってしまったんだろうな…と対戦相手との握手すら拒否する、どこまでも冷淡な態度(好きの反対は「無関心」…か。)に納得がいってしまったものでした。だからこそ強力な実力の持ち主であるライバル(ガウェインとランスロット)の登場で形はどうあれ「他人に興味を持った」のは彼にしては大きな一歩だったのでしょうね。ラストでは妹分のイゾルデを育てる為に取りあえずは納得してクラブを置いて子育てに専念している彼(他人の為にそこまでするようになったの!?)に大きな成長を感じたものでした…。しかし「トリスタンとイゾルデ」(オペラ版ロミオとジュリエットみたいな話)って絶対某オペラから取ったでしょ、と思わずツッコミも入れてしまったものです…。

 アーサー・フェニックス…アーサー「ガウェイン・七海…だったね。君の両親は?教えてくれないか?」
ガウェイン「オレ、父ちゃんも母ちゃんもいねえよ。母ちゃんは七海笑子。俺、産んだ夏に死んじまったげっちょな。父ちゃんは名前も知んねえし、一枚っきゃねえ写真も顔が破がっちぇんだ。きっと七海珍ノ助丸とか、とんでもねぐ恥ずかしい顔と名前なんだっぺ!」
アーサー「そうか…。」

出会った初日に「ただの他人」がそんなプライベートな事を聞くか?(しかも血が出るほど拳を握り締めたり、「他人の子供の母親の死」に明らかに不自然に動揺している。)と、息子のクエスターにはバレバレの怪しい態度でしたが、鈍いガウェインは何も感づかずにスルーしていました。電話ではガウェインが自分の息子だと語って(騙って)いた彼ですが、後にそれはアーサーの妄想で甥っ子に過ぎなかった(本妻とも愛人とも子供作るほどウハウハだったという「男の夢」を言ってみたかっただけ。)と分かるのでホッとした次第でしたが、この人にも色々あったんだなあ~と息子にすら心をさらけ出せない不器用さに思わず同情もしたものでした。ガウェイン、ランスロット、トリスタン、パーシバル、マーリン先生と登場人物はことごとく「アーサー王伝説」から名前を取られているのに誰1人仲間にはなっていない様にも涙が出たものです…。(物語の中では王様なのに「円卓の騎士」は誰も集まってくれないなんて…。)

ライジングインパクト①~⑥

2009.05.20
 ゴルフが正式に誕生したのは英国(外国)なのに、なぜ舞台が日本なんだ?(世界に3つしかないゴルフ学園の場所の一つに何故、極東の狭い島国に過ぎない日本が選ばれた?)と思ったら「日本は四季も相まって季節ごとにそれぞれのコースの難易度が変化する」し、バブルではじけたゴルフ場だから安く買えた(そこかい!)と説明が有り、納得したものでした。横文字の外人ばかりが登場する中で何で皆、日本語を話しているんだと思ったら、現実でもアン・ソンジュやシン・ジエがバリバリに日本語で優勝インタビューに答えている(今なら分かる。確かに自国語しか話さない外人プロは「何だよ、『出稼ぎ』に来てるだけかよ!」(賞金だけが目的で、お前、うちの国の言語や文化に何一つ興味無いだろ!)と国民としてはかなりイメージ悪く感じるものだ。)様を見て納得がいったものでした。そんな訳で、実は色々辻褄が合ってるなと感じたゴルフものです。

 ガウェイン・七海…霧亜「アンタ確か、ゴルフの女子プロ10位なんて大したこと無いとかって…そもそも、何で見ず知らずのガキに『彼氏いないだろ?』とか言われなきゃなんない訳?」
ガウェイン「オレが、もし大人だったら放っておかないくらい君は素敵だべ…だよ。怒った所も、また素敵。」

そして大人になったその時、12歳差もの年の差を物ともせず本当に彼女を嫁に迎えたのには驚かされた最終話でした。(9才の彼が大人になるまで、三十路に入っても体型を崩さず、若さを保って待ち続けた霧亜の方も凄いと思う。アラサー(アラウンド30代)を過ぎての高齢出産も大変だった事だろう。)が、読み返してみたら第一話の頃から既に「伏線」は張ってあったのね。(霧亜は彼をゴルフに出会わせてくれた、いわば「運命の女性」であり、大人になった頃に「噂がついに真実になってしまった」という訳か…。)と恐るべき展開の始動の様に頷いてしまったものです。それにしたって普通だったら年の差的に有り得ないカップルなのに!(男の方だって自分と同世代以下の若い女の方が良いに決まっているし、女の方だって何年も待っていられない。)と奇跡のように将来結ばれる2人に、逆に微笑ましささえ感じた出会いの様でした…。

 西野霧亜…ガウェイン「なーなー、もちっと大人になったら行っていーんだべ?オレ、成長期だがんな。すーぐ、でっけくなっちまうぞ。」
霧亜「体がでかいから大人って訳じゃないの!」

「霧亜姉ちゃん、起ぎでっか?」(寝てるのなら意識の無い女性相手に強引に初夜を遂げるような鬼畜な真似は出来ないが、起きてて自分に応えてくれる(=GOサイン)なら…。)という「定型の問い」を経て、「寝室」に顔を出し、布団に近付いてきたガウェイン(「なーなー、もちっと大人になったら布団の中に行ってもいーんだべ?」←違うから!東京だから!)にオイオイ!それってまるっきり夜這いの様じゃないか!と2人が将来結ばれる展開と合わせて大焦りしてしまった序盤のシーンでした。祖父の許しも得て(ゴルフを学ぶ為に)彼女の家で押しかけ居候を始めた様には、妹の胡桃の言う通り、それって同棲じゃん!とツッコミばかりが入り、噂に拍車がかかる様(「実年齢=彼氏いない歴の霧亜に、ようやく彼氏ができたんだって。それも婿養子よ。」「おめでたい近況報告だね。」「それが栗色の髪の外国人小学生なんですって。」「それって…。」byランスロット姉弟)にも納得がいったものです…。

 ランスロット・ノーマン…リーベル「西野霧亜プロがここまで来れたのは、カジェリ姉さんを目指していたからだよ。女子最強の女王復活を皆、待ってる!また一緒に…ゴルフやろう!」
霧亜「いい加減、少しは姉離れしな!それじゃシスコンって言われても仕方ないわよ!」
ランスロット「それの、どこがいけないんですか?あなたこそショタコンのくせに。」

開き直りやがった、しかも潔い…!(確かに彼は「ただのシスコン」であって、ストーカーのように誰に迷惑をかけている訳ではないし、文句のつけどころは無い…!)と、それまで「スカした嫌な奴」(ゴルフパターの実力は確かにあるけれど、性格は悪くない?)という微妙な内容だった彼の評価が「本当はお姉ちゃん想いの、凄くいい子だったのね!」と好感度が上がった瞬間でした。そして、そんなお姉さん(将来の小姑…もとい、お義姉さん。)に見舞いを欠かさず、他の皆は復活を「待っている」だけだったのに、こまめに会いに行っていた胡桃ちゃんが彼の嫁の座をゲットしたのにも思えば納得がいった未来図でした。(別に他の皆が冷たかったって言ってる訳じゃない。皆、話題にはしたし心配もしてくれた。でも実際に(たとえそこに自分(男)がいなくても)毎日のように見舞いに来てくれたのは彼女だけだったんだ…って、ポイント高いよな~。)顔だけで自分を判断していたミーハーな裕美子を選ばなかった辺り、思うに彼は見る所は見ていたんでしょうね…多分。

 小泉裕美子…ランスロット「人の顔をチラチラ伺っているようだけど、何か言いたい事があるのなら、どーぞ。」
裕美子「簡単な事よ。アンタとじかに戦えて嬉しいの。普通、公式戦って男と女は別々じゃん。だから一緒の試合でアンタを叩きのめして、女子Jr最強に加えてJr最強の名を手に入れる!」

…と、最初は純粋にライバル視してゴルフの頂点を目指していたのに、「それなりの成績は残せたんだから良かったじゃん!」みたいな妥協論を言うようになって(もちろん思うように結果を出せなかった仲間への慰め…もとい思いやりの気持ちではあるのだけれど。)ゴーイングマイウェイにデートに誘う彼女(「明日には個人戦が控えているんだよ?」byランスロット)に彼は改めて幻滅し、そして「イヤミの一つを言われた」程度で頑張る気力が無くなった裕美子の方も「所詮、自分の気持ちはそんな程度でしかなかったんだ。」(誰にでも良い顔をするお人好しな美形じゃないから、振り向かせたが最後「自分1人だけを特別に扱ってくれる理想的な恋人」になりそうだと、条件付きで好意を寄せていただけで、それを「好きと思いこんでいた」の間違いだった。)と目が覚めた様子です。とはいえ「自分のプライドを傷つけられた」(女としての自分をお断りされた。)のは確かで、以来、他人の恋愛にも否定的になってしまったようです…。

 リーベル・リングヴォルト…アリア「ペナルティを申告しないで大会で優勝した。真剣にゴルフをしている皆を裏切った事が…あなたが、それからの試合で一度も優勝できなかった…いえ、しなかった理由なのね。」
リーベル「お婆ちゃんは『俺がゴルフをしている姿』を見るのが生きがいなんだ。だから俺はツアープロにはならず、ティーチングプロになろうと思ってる。」
ガウェイン「オレはなあ!手加減されて勝づぐれえなら、全力で勝負して負ける方がずっといい!おめえは一生懸命ゴルフやってる奴らをバガにしてるだげだべ!」

ズルをして勝った自分には、もうこれ以上「勝つ」資格は無い、と実力はあるくせに肝心な所でわざとミスして他のプレイヤーに優勝を譲ってきたリーベルでしたが、それって結局、他のプレイヤーを自分の手の平の上で転がしているだけじゃないか(そんな「お情けで与えられた物」なんか貰っても嬉しくはない。いっそのこと熱いキャッツファイトをして「同じ土俵の上」で戦って負けた方が、まだスッキリするわ。)とガウェインは、実は「上から見下していた姿勢」を取っていたに過ぎない彼(本人は善意のつもりだったらしいが…。)に怒り心頭になった様子です。実際、本人がそれで良いと言っても、美味しい部分(試合での勝利)ばかりを人に譲って、自分を抑えて誤魔化した人生を送っている彼を見て、お婆ちゃんが本当に喜ぶかは微妙な所でしょうし、アリア先生の配慮は的を得ていた(「このままでは、あなたがダメになってしまいそうだから。」byアリア先生。)のでしょうね。

 金園秀美…金園「せっかくパパのコネで学院に入っても、肝心のキャメロット杯に出れなきゃ意味ないじゃない!くそ!くそ!せっかく荒井とハーシィのクラブまで折れるよう細工したのに、無駄無駄!全然、意味なーし!」
ハーシィ「あんた…あんたが、あたち達のクラブを…!」
金園「み…みみみ皆さん…アレ?今日は練習場での授業じゃなかったんですか?」

1人言はもっと小さな声で言いましょうね(ハッキリ言ってバカ過ぎるぞ、お前。)…と、自分で卑怯な手を使って、勝手に自白して、自業自得で恨まれた自滅の様に思わず脱力してしまった脇役の様でした。一応、彼にもハーシィ達にクラブ磨きを押しつけられて散々奴隷扱いされてきた(今までいじめられてきた復讐。)という言い分は有った様子ですが、それは彼らの選抜試験を潰して良い言い訳にはなりませんし、そもそもズボンとパンツを雨の中に捨てられたガウェインは金園に何もしていないですし(つまり、いじめに関係無く、こいつは素で性格が悪い。)話が終った後も「登場人物は皆、好きです!…金園は別ですが。」と人気は出なかったそうです。(これはもう、いじめる方もいじめられる方も最低って話に過ぎない。)キャメロット杯でも自分達を蹴落として勝ち進んだ東堂院先輩を応援するほど「仲間」に対しては気持ちのある連中ではあった様子なんですけど…ね。(それは「仲間限定」で、見下している相手に対してはえげつないイジメをする辺りが3人共…な。)

 黒峰美香…美香「天才はあなたの方だったようね。私なんて毎日500球のパッティングをしたというのに、このザマだもの。結局は才能の差だったという訳ね…。」
ランスロット「ボクは6歳の頃から毎日1000球ずつ一日も休まずパットの練習を続けてきた。天才とか才能とか、そんな安易な言葉で片付けてほしくないな。」

あなたには多分、見えてない。自分にだって、腕を磨いて努力した日々がある。あなたが見てるのは「成功した結果」だけで、その過程が見えていないんだ。(人より恵まれた素質があっても、それは努力をしなければ花開かない。そして成功した人間は、それがどんな職業であれ必ず「並外れた努力」をしている。自分の半分以下の努力しかしていない人間に、まるで自分がインスピレーションと能天気さだけで、ここまでやってこれたかのように言われたくないな。)というプライド対決の様に思わず拍手した試合の様でした。ちなみに、この時点で手を握り合って「頑張って…。」「ああ…。」と思いっきり雰囲気を出していた東堂院と彼女が実は付き合ってはいなかった(…アレで?)と後に分かって逆にビックリしたものでした。(きっと子供の頃から仲良くやり過ぎてしまった為に、逆に告白する必要(きっかけ)が無かったんでしょうね。最も外国では「誰もわざわざそんな事は言わない」(何故ならば普段から愛情表現を欠かさないから、そんなの今更、改まってまで言う必要が無い。)そうなので、そんなノリで来てしまったのでしょう。)

激マン!

2009.05.20
 ストーカー女のよしみつさんが「ぼんじり」という名を騙ってまで「話を逸らして、あわよくば自分の好きな話の記事を書かせようとした本」(2012年1月1日に移動した記事参照。「私がよしみつさんだという『誤解』が解けて良かったです。」「普段は『永井作品の感想だけしか読んでいない』のでトップ記事に気づくのが遅れました。」と主張している割に、次にコメントをよこした記事は「王家の紋章④」で、説得力の無い支離滅裂な言動も大概にしろと思わず呆れた。)であり、この頃はまだ「犯罪レベルにまで達した嫌がらせ」(無言電話)まではしてこなかったから、下手な嘘で人を騙そうとしようが、人(私)を避けながらも美味しい思い(新しい記事)だけはちゃっかり味わおうと汚い思考回路を巡らせようが、「騙されたフリ」をしてあげるのも友情だったけれど(それでも嫌悪感が勝って記事を書く気にはなれなかったけれど)、職場にまで無言電話をするほど完全なストーカーババアになり果てた現在、何一つ彼女を慮る理由は無くなって、おかげでなかなか手に取る気にはなれなかった本です。が、弟が本編デビルマンの方を知っている(よしみつでなく、弟の為の話のネタになる。)事から、デビルマン話が終わった事もあり、ようやく読んで記事を書いている現在です。(でも「王家の紋章」や「ベルサイユのばら」等の少女漫画は弟の管轄外なので、これからも永久欠番決定だな。少なくとも、よしみつが無言電話を辞めるまでは。)なので、よしみつが無言電話を辞めるまで、当分「映画中心の記事更新」の様は変わらないですし、本の感想も白黒記事ばかりになりそうですが、ご了承下さい…。(面白いカラー記事は「奴の専門外」である映画に回しときます。気持ちの悪い無言電話女の為に、そこまでサービスする気にはなれません。)
 あの「デビルマン」を最初から「現在の上手くなった絵」で読めると同時に、制作秘話まで拝めちゃう(話を知っている人間にも、新しい発見が楽しめる。)という、ファンには美味しい「リメイク版」のような漫画化作品です。(同じ「漫画家(自分)を主人公にした話」でも「バクマン。」のような自己陶酔漫画家話(ついて行けない恋愛話。)でなくて良かったです。)という訳で作者の前世も関わっていると評判(チャネラーによると中世の魔女狩り時代、宣教師だった永井先生は「とても厳しい時代」に耐えきれずに自殺したそうで、話を聞いた永井先生の頭にその瞬間「枝振りの良い樹」が頭に浮かび、何も口にしていないのにチャネラーは「それはあなたが首を吊った木です。」と言い当てたんだそうな。)の、デビルマンをもう一度楽しめる、珠玉の作者自伝漫画です。

 不動明…研究員「いや、我々も彼らが正体を現すように色々やったんだが、結果として誰も変身せずに死んじゃったんだ。つまり皆『人間』で、君達の仲間(悪魔)は1人もいなかったんだよ。だから我々は無罪!テヘペロ!」
明「悪魔はお前らだーっ!」

…と、主人公(ヒーロー)であるはずなのに怒りのままに「人間」をぶち殺していった明の姿(最も、思わず殺ってしまうのに心から頷けてしまうほど醜い人間なのだが。被害者の中には家族ぐるみで付き合っていた恋人(美樹)の両親までいたのだし。)に、これはいわゆる一般的な「勧善懲悪の王道ヒーロー」とは全くの別物だ(どんなにいじめられても「人間の味方」で人間を守る方向で戦っていたスーパーマンとはそこが違う。)と感じていたら、そこには最初から編集長との「ありきたりなヒーローは描かない」(だって主人公は悪魔なんだもん。)という約束が根にあった様子です。こうして「アニメとは別物」として始まった永井先生初のストーリー漫画(「でもアニメが終わった以上、お役御免なんだから打ち切りね。」「い、いや、これからが話の本番でイメージ膨らんできたのに!じゃあ内容詰めて衝撃の絵に!」「だからって女性が真っ二つにされている拷問シーンの絵はダメ!」「じゃあ、あと2か月!」「…っ!?」と他の人気連載を辞めてまで「終了が決まった連載」に全力を注いだ様(「あ~あ、アシスタントへの給料も家賃も払わなきゃいけないのに、儲けを度外視して作品描くって、俺って、つくづくプロじゃないよな…。」by永井先生)に作者の情熱を感じました。)は、どんどん頭角を現していき、結果として「異色の作品」として世に名を残す事になったのでした…。

 シレーヌ…明「俺を虫けらと言ったよな!その虫けらに犯されるお前は何だ!?」
シレーヌ「おのれ~!よくも犯ったな、デビルマン!絶対に許さないぞ!」
担当「え~、見開きセックスシーン!?そ、それはマズイよ!少年マンガ人(マガジン)は少年誌なんだから!」

作者曰く「この方がシレーヌの怒りがストレートに出る」(いや、まあ、確かに女としては間違いなく相手の男に殺意を抱く場面ではあるだろうけれど、同じ女として言わせて貰えばそんな主人公に共感は出来ないわよ。)し「2人共、悪魔で『人間のセックス』じゃないから良いでしょ!読者の中にも大学生(18歳以上)は大勢いるし!」(そんな、犬の交尾じゃないんだからさ…。)と作者がかなり乗って描いたシーンは「読者が18歳以上でも『少年誌』と銘打ってある以上ダメな物はダメなの!」という編集部の良い仕事ぶりから発表時のようなプラトニックな戦いに変更されていました。(「まあ、いいじゃないですか。セミヌードのシレーヌとくんずほぐれつ…って本番が無くても充分エロく見えるし。」「分かってないな~。だからこそ本番が入るとバリエロになるのに…。」by作者)ちなみに女性(シレーヌ)を本気で殴って、頭かち割って致命傷を負わせた(そして初期設定ではレイプまでしていた)主人公の姿にはアシスタントからも非難轟々で、作者もフォローの仕様が無かったそうです…。(うん、この主人公ってやっぱり「悪魔」だよね…。)

 牧原美樹…暴徒A「俺に犯らせろ!悪魔の正体を現すかもしれんぞ!」
暴徒B「へっへっへ!たっぷりと慰んでやるぜ!」
暴徒C「待て!悪魔の正体を現してからでは危険だぞ!先に殺せ!」

…え?殺される前(後)にレイプまでされてたの?(「危険な人間を殺す」ことを本意として集まったのに、どうせ殺すくせに、わざわざ何の意味があるの、その行為!?←ハッキリ言ってこの時の人間達の行動はケダモノ同然で、サル以下の理性となり果てていたから、戦時中と同じく「そこに女がいる」だけで、その場に居合わせただけの不運な女性はそういう目に遭ってしまうだろう。)と、家族と共に殺されて、ヒーローたるべき恋人(明)にも助けて貰えなかっただけでも充分にお腹いっぱいだった悲劇の影に隠された、さらなる惨い真相(そういえば確かにあの時「彼女の服がビリビリ破けていた」けれど、あくまでも「表現の一種」だとばかり思ってました…。)に思わず絶句してしまったものでした。ちなみに、この直前に「すっぽんぽんで逆さ吊りにされた(拷問の果てに殺された)美樹の母親」のショッキングな死に様を巡って散々すったもんだした事も有り、さすがにこの時は「また編集長と揉めたいのか!?こんな『具体的で生々しい描写』でなくとも表現を変えれば、美樹の心が引き裂かれた事は伝わるだろ!」と作者も一人ツッコミが入り、あのような描かれ方になったそうです…。

 飛鳥了(サタン)…ゼノン「私は『人間』の貴方の思考をキャッチして、その通りに事件を起こしていくだけで良かった。しかし誤算もあり、多くの部下を失った。最大の誤算…それは貴方が人間・不動明を愛したことだった!」
了「それは私が…両性生物だったから。明…お前とは戦いたくない。だが、明の性格は分かっている。明は、私と戦わずにはいられない!」

そういう男女の心の機微に疎い(少女漫画を好まない)うちの弟にすら「了、完全に明に恋してるね。」とまで言われていた、そこまで読者にバレバレだった恋心(だからさ、明君…美樹ちゃんとのラブシーンを目の前で見せつけるのは程々に…。)は男女両性という特異な体(男の心身と女の心身の両方を持ち合わせ、「女の心」で明に恋していた。)という自然な表現で受け入れやすく描かれており、おかげで物語終了時の天使軍侵攻のシーンでは「あのラストは了と明の愛の成就(心中)で、それを天使が祝福してるんですね!」(「ええ~、あの天使達はサタンごと地球を滅ぼす、全てを無にする恐ろしい存在なんだけど…ま、いいか。」by作者)というような意見も多く届いたそうです。という訳で聖書の「光あれ!」のように神からの啓示を指す奇跡(それこそ天使が大挙して押しかけるほどに。)のように美しく描かれているラストですが、おかげで主要登場人物は全員死亡、地球は滅亡したというとんでもない終わり方で話は締められたのでした…。

薔薇の楔

2009.05.20
 「薔薇の名前」シリーズ3作目です。水戸先生も人生色々あった(ていうかキャバ嬢をやっておられた。)そうで、「おミズ時代に毎回指名してくれるお客さんとの同伴をすっぽかし、後にそのお客さんが広域暴力団指定の立派なヤクザさんだと知って横須賀の街をしばらく歩けなくなった(最近のヤクザさんはあまりにも普通のサラリーマンと区別がつきにくいので、ちゃんと組の方でパンチパーマ・サングラス・偽ロレックスなどの着用を義務づけてほしいものです。制服として!by水戸先生)時でも、今回の締め切りほどには焦りはしませんでした。」と書かれている辺りにこの世界の厳しさを感じたものです。「いつもこのような多大な犠牲(ただし本人ではなく他人様の)の上に砂の城を築き、何とか発行にこぎつけている」との表記には、笑い事じゃないと感じながらも思わず吹いてしまった後書きの様でした…。

 山上彬…瀬名「お前の故郷では電化製品が恥ずかしい物なのか?共産圏(ルーマニア)の文化は、やはり分からんな。」
彬「国柄が関係あるか!この歩く有害指定図書野郎!あんなもん、てめえの所の変態妖魔社員にでもくれてやれ!」
瀬名「何を言ってる?悪い物でも食べたか?」
彬「昨日からミカンしか食ってねえよ!」
瀬名「栄養失調が脳に来たか…。」

クリスマスプレゼントに届いた小包みがデジタルカメラでなく性具にすり変わっていた(「冷静に考えてみろ。誰がこんな悪趣味な大人の玩具をお前に送ると思うんだ?」「れ、冷静に考えてみても、お前しか心当たりがいないんだけど…。」by彬)事で、凍死寸前の地獄から天国の気分を味わえるかと思った瀬名の目論見は見事に外れてしまったのでした。(まあ、一緒にご馳走とケーキ食べて、2人きりの夜も過ごせたし、多少、破廉恥な事があったとしても恋人らしくクリスマスを過ごせたという事で良かったじゃないですか…。)結果として当のクリスマスプレゼントは、変態妖魔社員である経理の田中君(マニアに言わせれば高価な「レア物」だが、マニアでない大多数の人間に言わせれば「気持ちの悪いガラクタ」に過ぎないフィギュアを愛好する33才。)が注文した代物で、羞恥心の欠片も無い紗倉さんが恥ずかしげも無く入手してあげ(断れよ、そんな現物支給ボーナス注文…!)、配送を頼まれた奈津央が故意に伝票を貼り間違えた(「ボーナスだなんて職権乱用して、兄さんにプレゼントなんかしようとするからだよ。いい気味だ。」by奈津央)という経緯であり、周りの人間の配慮の無さと合わせて、2人の仲はこれからも前途多難そうです…。

 瀬名勇…ローゼンクロイツ「この魔封じのピアスは普通の方法では取れない。取りたければ陰茎ごと切り取るんだな!」
瀬名「これで『彬』を封じているのか。…魔封じなら、切り取らなくても外す方法がある。壊せば、いいんだ。」
ローゼンクロイツ「よせっ…!お前は『彬』を助けたいんじゃないのか!?無理矢理、壊せば彬も…!」

彬ごとブチ壊してから「悔恨」されてもな…と度重なる日々、凌辱を続け(「食べないなら、また栄養剤を打つだけだ。人は点滴だけで何年も生きるぞ。無駄な事は辞めた方が良いんじゃないのか?」by瀬名←鬼ですか、アンタは!?)彬の肉体をフィラードの元に帰させない為に、他の誰にも触れさせない為に、勢いで魔封じを壊した彼の不器用さ(で、済む内容だろうか?)にツッコミを入れてしまったものでした。おかげでせっかく彬(の肉体)だけは戻ってきたのに、心の方は崩壊したまんまの恋人の為に、次は大英博物館に行くことを決めた様子で、仕事は本当にエベレスト並みに山積みしているのに、事務所も全壊している状態で旅行を決めた社長の姿に紗倉さんの苦労も忍ばれた(「仕方ない。どの道トチ狂った社長が殺人犯になったら『会社はお終い』だ…。」by紗倉)そんな有様です…。

 山上奈津央…奈津央「どこで、買うの?そういう銃…。」
瀬名「ただの32口径トカレフだ。どこにでも売っている。ロシア製だから、あまり性能は良くないが。」
奈津央「そういう、不良品まがいの銃で、人(僕)を…撃つ?」

ソビエト崩壊のどさくさ以降、サハリンを経由して日本にも大量に流されたという噂のトカレフ(撃鉄の部分に赤い星のマークがついている事から通称「赤星」と呼ばれている。)ですが、どこにも売ってねえよ、そんなもん!とツッコミを入れると同時に、運良く太腿に当たってくれたから良かったものの、ちょっと弾がぶれて臓器や毛細血管が大量に詰まっている腹に当たったら命が危なかったでしょうに(銃弾という「点」を当てる事は、目標が人間ほどの太さを所持していても想像以上に大変な事なのである。実際、戦争でもコンクリート壁があれば容易に防げる銃弾でなく、全てを吹き飛ばす爆撃で死ぬ人間の方が圧倒的に多い。)恋人でなければ、その弟であっても容赦なく撃つ瀬名の冷酷さ(「本来だったら瞬殺だが、お前は彬の弟だ。半殺しにまけといてやろう。」「アンタの事情はいつだって僕の兄さんかよ!」by奈津央←これで「普段、見せない優しさに相手(彬)の好感度はアップ」とか考えてるのだろうか、瀬名さんは?)に背筋が寒くなったものでした。本当に当て馬役の弟・奈津央が哀れに思えてくる位、どこまでもラブラブなんですね、あの人は…。

 フィラード・マクウェル…フィラード「我々の目的は破壊ではなく、新たなる進化です。」
瀬名「お前、大学でアニメ研究会にでも入っていたのか?」

彬を攫っても営利誘拐という事は無いだろう、相手は仕事も金も頼れる保護者無い未成年だし(現・保護者である叔父の学はフリーのジャーナリストで、別に売れてる訳でもなく、金も甲斐性も無い。そんな男の甥っ子を誘拐・監禁しても実益は見込めない。)宗教法人って税金を払わなくていいから元々儲かっているだろうし(「それは日本だけですよ…。」byフィラード)一体、何の意味があるのか、と思ったら相手は前世からの電波を受信していましたというオチが待っていました。小説というフィクションだからこそ、そんなアニメのような展開も本物の脅威として成り得ていましたが、現実だったら↑のように、ただの痛い人間で終わっています。ヤッてる内容が同じであっても、言っている事はマトモである瀬名の方を彬が選んだのは、思えば当然の展開だな、と心から頷けてしまった当て馬役2号でした…。

薔薇の行方

2009.05.20
 「薔薇の名前」シリーズ2作目です。犬の散歩をしていたら「アンタ去年、税金払っていないでしょ。」「いえ、そんなはずないです。課税義務が生じるギリギリの収入だったんで、それはそれはムカつきながらも、ちゃんと払いました。」「まあ、ちょっと署の方まで。」と連れて行かれ、取り調べに3日もかかり、結局、寿町にいる同姓同名の人が脱税していただけ(って、誤認逮捕じゃないですか!)で無罪だって分かって貰ったものの、全てが終わるまでに半年かかった(!)そうで、おかげでこの本の発行も遅れてしまったそうです。日本警察は本当に無能だな(パソコンの不正使用でも確か4人位、誤認逮捕してたな。)とも、まざまざと感じた裏話でした…。

 山上彬…瀬名「約束の一ヶ月はとっくに過ぎてる。一週間前にルーマニアのお前の住所に違約金の請求を出した。帰ってきたという事は払えないんだろ。今日は掃除でもしてろ。」
紗倉「ちょっと社長、何で所属の子に掃除なんか?ちゃんと清掃の人、頼んでるじゃないですか。」
瀬名「今、彬には仕事が無い。だが本人は違約金を返す為、どうしても働きたいらしい。これも下積みだ。まずは玄関から行け。」

という訳で、所属タレントの一人として瀬名には近づきやすいものの、人気の廃れが仕事の切れ目である芸能稼業では、弟の死を悼んで故国ルーマニアに二ヶ月も帰郷しているうちに皆、明の存在を忘れており、グループの他のメンバーも死亡したか引退したかで全員いなくなっている(既にバンドグループとして終わっている。)現在、どこからも仕事のオファーなんか来ないという厳しい現実が待っていました。おかげで違約金を言い訳に帰ってきた彬は、高校も辞めて逃げる言い訳が無い(おかげで別の学校に潜りこんで様子を探るのもスムーズに行ったのだが。)事も有り、継母にいじめられるシンデレラのように掃除洗濯の毎日を送る羽目になったのでした…。(いっそ、瀬名の所に嫁にでも入ってしまえば良かったのに。)死んだかと思った弟が生きていたと分かったら、当の弟は平気で他の男から「精気」を貰うアバズレ女状態になっており(「兄ちゃんがこんなヤクザな封殺師なんてやってるから、奈津央まで…。」「お前の奈津央像には少し幻想が混じっているぞ。」by瀬名)、できた友達(遠弥)は兄貴を愛するホモ、当の兄貴の久弥は男ならいつでも誰でもOKな有り様だし、この子の周りには変態ばかりしかいないな!と改めて思ってしまったトンデモ話でした…。

 瀬名勇…教頭「えー、産休に入られた高橋先生の代わりに臨時できて下さった瀬川先生です。化学を担当して下さいます。」
瀬名「お前一人では覚束ないと思ってな。一週間だけ。事務所は紗倉に預けてきた。」
彬「嘘だ…。これは、きっと悪い幻だ…。」

結局、アンタも来たんかい!(どんだけ愛してるんだ、彬のことを!)と思わずツッコミを入れてしまいました。と同時に、呪いをかけられてもボーッとして電柱にぶつかるなんて事があり得ないキャラクター(「瀬名はぶつかる前に、あらかじめ電柱を壊すタイプだ。」by彬)なのに怪我が増えているなんて妙だと思ったら、「いつまで経っても何の成果も上げない彬」に焦れた法王庁が、とっくの昔に別の封殺師を何人も送り込んでいたという裏話がありました。(どうやら「個人に対する仕事」ではなく「早い者勝ちの争奪戦」にしたらしい。)ともあれ、被害者(瀬名)がどういう事情か全部知っていて、加害者(封殺師)の組織に入っている自分(彬)に恨みごとも、哀願も何一つ言わない(恋人関係をすっ飛ばしても「関係者」であるのに、爪弾きにされた。)事で、彬との仲は再度こじれた模様です…。

 阿久津遠弥…遠弥「何で兄貴がこんな所にいて、俺の彼女と話してるんだよ!そんなに…俺のものを盗るのが楽しいかよ!」
久弥「奈津美さんは誰の物でもないよ。そういう言い方は辞めなさい。」
彬(奈津央(男)と自分はそんな関係じゃないって言えば早いのに、どうしてそういう言い方するかな、この人は~。)

昨晩、遠弥の目の前で彼女(?)にされるがままにBまでしていた2人が「そんな関係」じゃないという言葉を信じてくれるかは謎ですが、ともあれ「奈津美さんを挟んでの恋敵関係」は「自分と兄貴とどっちが勝つか」という、くだらない勝負事の一つでしかなく、彼女をネタにしながらも本気で恋している訳ではなかった(遠弥が本当に気にしているのは、自分からキスまで仕掛けて、それをオートシャッターで写真(証拠)にまで収めた久弥兄貴であり「奈津美さん」はスパイスでしかなかった。)というのは正直、微妙なオチだと感じてしまった顛末でした。まあ、当の「奈津美さん」が女性ですらなく、同じく兄貴(彬)しか眼中に無い「どーでもいい2人の男」に振られても何とも思わない「男」だったのが不幸中の幸いですが…。(ブラコンを理由に「張り合っている」だけだったって、むしろ女の方こそいい面の皮だし、ちょっと傷つくと思うんですけど…。)

 竹上匡輔…匡輔「久弥の封殺は僕がやる。ただ君は彼と親しいでしょう。彼の体に『第三の存在』の証である薔薇の痣が無いかどうか、きちんと確かめてきてほしい。」
彬「俺が?でも、いくら親しいったって、全身くまなく調べるなんて、そう簡単には出来ないぜ?」
匡輔「だから君に頼んだんだよ。男を脱がせるの、得意みたいだから。」

否定した所で、目の前で瀬名とのラブシーンを見せつけてしまった後では、全ての言い訳が無意味でした…。(「見え透いた嘘はやめなよ。人前であれだけ恥ずかしい真似をしておいて、何を今さら。」by匡輔)しかし、そこまで理解してたのなら、恋人(瀬名)の為に組織の命令までスルーして、同業者の前でも痴態を晒した…もといラブラブな様を見せつけた彬が「恋人を殺された」時に暴走しないはずが無い(たとえそれが「上意討ち」であっても遺族感情はついて行かない。人はそういう生き物である。)というのも常識の元に予測しておくべきでしたね。もう一人の「第三の存在」である男子生徒(女装している事務員の奈津美)も見つけられずに、久弥も黒魔術に手を出しているだけの「一般人」だと分かって、功を焦り過ぎてしまったのは分かりますが、その結果どうなるかも考えておけば「死んで当然の人物」として最後の生贄(ちょうどよく現れた死体)にされる事も無かったんですけどね…。
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