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神かくし

2009.05.31
 良い作品は映画であれ、漫画であれ、人の心が描かれている。「無神論者である日本人は、物事を善悪でなく、損得で判断する」(人はそうした明らかでないものを見る能力を失った代わりに、知性を得たのだが。)という大胆な表現しかり、山岸先生の作品にはそのエネルギーがある、という作品解説に私も深く頷けてしまった短編集です。他の本でも「夫の浮気は一生、知らずにいた方が良い。」「女がそんな事を言うから、浮気する夫に良い口実を与えてしまうのよ!」(家族を裏切って悪事を働く事に問題があるのであって、バレないようにすれば影で何をしたって良いのとは違う。)とのやり取りが印象に残ったそうで、話を知らない私としては是非読みたくもなったものでした…。

 神かくし…藤堂「私に弟を失くした12年間があるように、千冬として育てられた京也にも、夫を上意討ちで亡くしたあの女にも、愛憎入り混じった12年間があったはずなのだ。だが、京也、兄とは呼んでくれないのか。」
千冬「あなたの弟、京也は神かくしに遭ったのです。」

結局、血の繋がった家族よりも育ての親…それが仇の息子という復讐の道具として育てられた「千冬」(だが、人1人育てるのはそう簡単出単純な事ではなく、千載一遇のチャンスを目前にしながら「我が子」の命を繋ぎ止めている藤堂を討てなかった母親しかり、2人の間にはいつの間にか本当の親子の絆が芽生えていた。)の出した結論でした。しかし12年間、諦めきれずに探し求めた弟を今度こそ本当に失ってしまっても、今の藤堂さんには新しい家族がいる(婚約者の雪乃どの。内気なだけの印象に残らない娘だったので最初は断ろうとしたが、ドジっ子萌えな部分を発見してからは気に入ったらしい。)辺りに救いが見えて、山岸先生の話にしては珍しく暖かい気持ちで読み終えられた話でした。(いつものパターンだったら主人公は何もかも失って独り寂しく生きていくのが常なのに!)スランプ以来、作風が変わったなと改めて感じた短編です。

 神入山(神かくしPART2)…夏彦「僕の父も子供の頃ここで育ったんだけど、一度も神隠しなんか無かったって。昔は神隠しにあった子が『天狗』に連れ去られて空を飛んだなんてことを話した記録があるから一概に片づけられないけどね。」
友人「そういえばUFOの特集で出演者が言ってたよ、宇宙人はまるで天狗(犬)のように顔が前に突き出ていると。」
夏彦「そうだ、UFOは天狗のように空を飛ぶ…。」
ちえみ「誰が…誰が言ったの!?宇宙人は地球人に好意的だなんて、ねえ、誰が言ったの!?」

この話、SFだったのか…(前にもあったな、このシリアスに見せかけた宇宙人ネタ。)と驚きのオチに恐怖を感じるのを通り越して爆笑してしまった話でした。という訳で前話と同じ神入山を舞台にしながら、神隠しは実はキャトルミューティレィションでしたという意外なネタで絞められているこの話、その後が気になるものですが、Xファイルと同じく尻切れトンボで終わってしまう模様です。(それが怪奇現象だろうと、怖い話で原因まで全てが分かっている話は意外に少なく、こんなものらしい。読者の手に解釈をゆだねられていると言えば聞こえは良いが、釈然としないものが残るのは、フィクションとしてきちんと話を再構成されていない実話の常である。)

 <負の暗示>
実際に有った事件「津山30人殺し」を描いた話です。昭和13年5月に起こった一僻村の大惨事は日中戦争の最中である事も有り、報道を甚だしく規制され、私も映画「八墓村」(金田一耕輔の事件簿)のモデルである人物と知るまでは、その存在自体も知らなかった(本当に映画と同じ格好で凶行に及んだそうです。)事件ですが、今回改めて読んでみて、これって無言電話女よしみつの生き様そっくり(女がゲームにすり変わっているだけで、「遊び」に溺れて「キチンと就職して働かなきゃいけない」という現実の問題を先送りにして犯罪に手を染めている様は、まんま同じ。犯罪者ってどいつもこいつも似たり寄ったりなんだな。)とも感じたので、ここに細かくまとめてみました。

 寺山澄子…春雄「僕、近いうちに教員の資格を取るんだ。通信講座を受けることにしたから。」
澄子「いいわ。先生様になって努(夫)と福夫(金ヅル)から私を奪いに来てよ。」
春雄「…何だ、この問題?こんなこと小学校で習わなかったぞ。」

何で昔から通信講座があるのに皆、塾へ行くのか。それは、先生が傍で見張っている訳でもない、仲の良い友達が勉強する姿に刺激(焦り)を受ける訳でもない、自分だけが頼りの通信講座はよっぽどの意志の力が無い限り続かないからです。ましてや勉強ができると言われていたのも「小学生レベル」の時の話(秀才ともてはやされはしたけれど所詮は「僻村での級長止まり」という井の中の蛙。)であり、学校を卒業して数年も経ち、朝も起きずに一日ダラダラ過ごす生活がすっかり身に着いた今、それが自分の体面の為でもコツコツ努力をする気力は失せていた…という体たらくでした。出来ないと分かっていて「先生様になるのを待ってる。」と言う澄子が憎らしくも感じたそうですが、それは「出来ない」んじゃなくて「やる気が無い」の間違いだろ(それって「ゲーム関係の仕事に就く!」とカッコイイ事を言って、昔はゼミにも受かったけれど、それは所詮「学生レベルの実験段階」に過ぎず、正規に応募してもどこにも受からずに、現在では企画書を書く事すらしなくなった、よしみつそっくりだよ。)と思わずツッコミを入れてしまったものです。そこで才能が無い事にも、その為に努力する気すら無い(その人がその仕事に就きたい情熱なんて、所詮その程度。)のにも気づいたのなら、方向転換して大人しく百姓(就職)すれば良い物を、努力する気も無い夢を題目にその後もニートを続けるのだから、呆れた人間です…。

 岸田栄子…栄子「いい加減に女遊びは辞めて、みゆきとちゃんと結婚したら?」
春雄「みゆきはたしなみを知らない男を立てない女だ。僕が気になるのは…よし子なんか、いいんじゃないか。」
栄子「へえ~、そんなこと考えてたなんて、ちっとも知らなかった。」

常識で考えれば「若い女にうつつを抜かして、すっかり自分を見限った男」と他の女との恋の橋渡しを誰が喜んでするものか(いくら「誰彼構わずのルーズな女達」でも、そこまでお人好しではない。)事は予測がつきそうな話なのですが、世間を甘く見ている彼は「特別な自分が言ってあげた希望」なんだから自分の好感を買う為に、皆(栄子)が嬉々として叶えようと奔走するだろうと妄想すらしていたそうです。結果として「本命」のよし子は他の男の元に早々に嫁がされて、「愛人」のみゆきまで隆の所に嫁に入った顛末(「アンタ、本命はよし子で私とは結婚する気もない『遊び』に過ぎなかったんですって?」「ひ、酷い!ボクは『2人きりの話』として話した(つもり)なのにバラすなんて!」「『酷い』のはアンタの思考回路じゃないの?大体、屋外で堂々と話して、何が『2人きりの話』よ!」って、そのまんま、よしみつのパターンじゃないか!)には、疑心暗鬼にかられる前に、自分のした事、言った事の内容をもう一度よく考えろ、とツッコミを入れてしまった経過でした…。

 寺山みゆき…みゆき「触らないで、汚らわしい!肺病患者は熱のせいで色情狂になるというけど、本当だったのね。そうと知ってたら、アンタとなんか付き合わなかったわよ!」
春雄「色情狂!?そこまで言うのか、お前は!」
みゆき「隆に私の浮気をバラして追い出すように仕組んだら、自分の所に来るとでも思ったの?よしてよね。隆の方がアンタより、ずーっと良かったのよ。」

いや、村中の女(それも人妻だろうが40過ぎのオバサンだろうが誰かれ構わず)に手を出したって立派な色情狂だろ…と野良仕事をサボるのを「怠け病」だと指摘された時と同じく、青筋立てて怒る彼(まるで、やってることはその通りなのに、「二ート」だの「ストーカーババア」だの「図星を指される」と逆ギレする、よしみつのようだな。)を思わず冷めた目で見てしまったものでした。甲種合格(徴兵検査・最高の評価)にもなった隆の方は「別れても~好きな人~」と別居に到っても「未練のある相手」になりえたれど、丙種合格の春雄の方は「やめて、よして、触らないで、カビが生えるわ~」(ビビディ・バビディ・ブーのテーマで。)と夫に捨てられても、そばに寄られるのも気持ちの悪い男(可能性0%、「彼氏はいないが、お前とは付き合いたくない。」という話。)にしかなり得なかった様子で、そこで自分の性格を振り返ってみればまだ救いようがあるものの、周り中の女達から嫌われるのは丙種合格になったせい、丙種合格になったのも胸の病のせい、とどこまでも人のせいにする春雄は、そこまでのレベルになっても懲りなかった様子です…。(アンタが皆から嫌われるのは単純に「色情狂の気持ち悪い男」だからで徴兵検査以前の問題だよ。)

 西川の須磨子…須磨子「いいわね。肺病の春雄なんか無視するのよ。あんなの女の敵よ。もし、コッソリ会ってる人がいたら、その人も肺病男の一味だからね。」
村の女A「やだー、気持ち悪い。もう誰も、あんな男を相手にするはずないじゃない。」
村の女B(そこまでハッキリ言わなくても。まあ、皆さん勝手にやって下さいな。私、知~らない。)

今まで当の病気を理由に学校をサボり、兵役を免れ、百姓仕事までサボって(20を過ぎた、いい若者が未だに祖母に畑を耕させて食わせて貰ってるって…。)散々、美味しい目を見てきたのに、「正真正銘の結核患者」として嫌われる自分の事は認められないって、どういう思考回路なんだろうな(まるで「ボクって『鈍い』からなあ~。」を免罪符に人の気持ちを考えない自分の事を正当化し、ストーカー行為にまで手を染めて、今や「正真正銘の犯罪者」として2ちゃん中で気持ち悪がられているのを「B恵批判て、ダウンにダウン辞めろって言っている位、酷い事なんだぞ!」と自分「一人」だけで一生懸命庇っている、よしみつのようだな。「1人」で喚いている所、悪いけれど、↑と同じく皆の評価は全員「キモい」か「黙認」(否定はしない。)で、同調する人間なんて本人の他に誰1人いないというのに。)と、皆の目の敵にされる事を先にしたのは自分の癖に、結果として嫌われた事で被害者面する彼の神経を疑ったものでした。誰彼構わず都合の良い時だけ利用するから女に嫌われるし、奥さんを寝取るから男にも嫌われた(妻が身持ちの悪い女だという事実以前に「友達の女には手を出さない」という友情はアンタの中には無かったのか?)そこに「肺病患者」(「人にうつる悪い病気な」ので近づかないのを正当化できる。)という大義名分まで下りてきた、それだけの話だよ、と思わず語りかけてしまったものです…。

 土井春雄(都井睦雄)…祖母「徴兵検査の書類には胸の病の事を書き入れるんだよ。甲種合格になれば、すぐにでも兵隊に取られるというから。」
春雄「って、やったら僕は丙種評価!?」
村の女達「ねえ、春雄ってば『最低の評価』が下されるほど、本当に悪いらしいよ。あそこは悪い病気の家系なのよ。」

村でも甲種合格になったのは、わずかに3人。「普通の男」程度では皆、乙種合格というレベルなのに、何でそこに野良仕事もロクにやらずに祖母に食わせて貰っているニートの自分が入れると思うのか(良かったじゃないか、望み通りに「まず兵隊に取られる心配の無い」役立たずの男になれて。)本人の過大評価に呆れると共に、それで復讐に走ってみたら、傍観者レベルの村人はたくさん殺せたけれど、自分が女に溺れるきっかけを作った澄子、長年の恋人であったみゆき、最大の恋敵であった福夫、と一番思い知らせてやりたい人達は悉く取り逃がしている様に思わず失笑もしてしまったものでした。現実を見てサッサと就職すれば良かったものを、いつまでも女(ゲーム)との快楽で現実の問題を先送りにして、とうとう周り中の人間に嫌われた(そんな自分が嫌われるという現実からは逃れられないと知った。)から、無理心中を図ったって最後までロクでもない人間だったな、と実感すると同時に、心中以外は本当によしみつの生き様そのまんまだな、と頷いてもしまったニートの一生でした…。丙種合格した人間は非国民(お国の役に立てない人間)として村八部にされるのは本当だったそうですが、他の丙種認定された人達はそれを恥じて皆1人で自殺した(お国の為に身を捧げる事こそ誉れとしていたこのご時世、合格すれば徴兵されると分かっていても米俵を持ち上げるという単純な試験を誰も手を抜かずに行っていたし、喜んで特攻隊に志願していた。↑のように自分の保身に走っていたのは春雄だけ。)のに、最後まで周りに迷惑をかけて生きたどうしようもない人間だったな(死に様まで、そんなですか。)と呆れた男でした…。

 黄泉比良坂…夫「お前は俺を軽蔑している。俺は知ってるんだ、お前はお腹の中と表面が天と地ほど違う事を。その底冷たい自分本意の考え方が、どれほど俺を苦しめているのか、お前にはまるで分かっていないのだ。」
妻「浮気してるくせに、よく言えるわね。自分の事は棚に上げて。私は絶対あなたを解放したりするものですか!どこまでも食らいついて手枷足枷になって、あなたとあの女を苦しめてやる!」

「原因」が自分の方に無くとも、一緒にいて楽しくないのなら、それは別れた方が良いよ…(というか綺麗に別れておけば、業を煮やした夫に殺される事も無かったのに。)と邪魔をする者を消す為なら相手を殺す事も厭わない最低な性格の夫(もう「嫌がらせ」と「しつこさ」だけで済んでいる妻以上の性格の悪さである。それに、いくら不倫の果ての愛でも「殺人犯となった男」と一緒になれるほど愛人の神経が図太いのかも謎。)に、いつまでも縋りついてしまったが為に起こった悲劇に思わず涙してしまったものでした。どうせ祟り殺すのなら自分を殺した張本人の夫を呪えば良い物を、死んでしまったが最後「縋りつく」事以外は綺麗に忘れてしまった様子で、通りすがりの性格の悪い人間(自分が同調出来る人間。)にばかり憑りついている様には、完全に本末転倒となってるな…と溜め息ばかり出てしまった女性でした。

 夜の虹…山岸先生「その雲の彩りときたら、サーモンピンクにペパーミントグリーン、薄紫色に淡いブルー、レモン色と、それが高じて朱金色が所々にキラキラ。とにかく様々なパステルカラーに彩られた雲が遠くの山々にたなびいているのです。」
母「お母さんも見たこと無いけど、昔から言われている、そういった美しい色合いの雲を『錦雲』と言うのよ。よく言うでしょう、綾錦って。お前が見たのは、きっとそれよ。良かったね、珍しい物が見られて。」

ニュースでも取り上げられるほど珍しい彩雲、台風の時に雲の隙間から見えた異常夕焼け(台風の目もどきである、うね雲・むら雲。)、作品でも使われた三重の虹(北海道は空港へ行く途中に空を覆う邪魔な建物も少なく、余計にすっきりと見渡せた。)、直径5、6ミリの肉眼でハッキリ見える「雪の結晶」(が空から降ってくるのを、黒い服をわざわざ着て確かめながら楽しんだ子供時代。)…と私も見た事もない自然現象の数々に北海道って凄いな(さすが自然の宝庫。)と思わず感心したものでした。最も作者が奈良の法隆寺で見た、寝ている虹(月の周りに色の輪がボーッと出るように、雲に隠れた太陽の光が屈折して白っぽく光るカサに色がついた為に輪状に虹が出来た…のが、虹の輪が雲で途切れて「寝ている」ように見えた。)といい、場所は北海道に限定されないそうなので、普段から景色を良く見るのが大事…らしいです。
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東京大学物語32、33

2009.05.31
 「タルるーと君」の時もそうでしたが序盤は勢いがあって面白かったのに途中から暴走し、連載終了直前になって新章開始→尻切れトンボで終了というのは江川先生の作品のお決まりパターンのようです。そんな夢オチに近い掟破りの終わり方であっても妄想が何重にも重なって徹底的に行われている辺りは…まあ…面白かったかな…?(タルるーと君の時よりは…。)「これからという時に打ち切る形で話を終わらせて読者のアンコールで連載再開を狙うような形」に色々思う所はありますが、これ以上話が続いてもいい事はあるまいとも感じるので文句は言わず、ひとまずは連載終了お疲れ様でしたという言葉で結んでおくことにします。

 谷口瞳…▲▲「よしみつさんは、いい奴だよ。」
私「この人が何したか分かってるの?勝手に人のIPアドレスを不正使用してブログ覗きや住所検索に走って、同じ手を使っては統合失調だの頭がおかしいだの、名誉棄損バリバリの中傷コメントを何度も送りつけて、2年以上も無言電話を続けた上に職場にまで非通知でかけてきて…どこが、いい奴なのよ!」

以上、谷口さんと高畠君のやりとりを参考にアレンジしてみました。突然、現れた痴漢男(村上)に対しても全くひるまずに「住居侵入!プライバシー侵害!ストーカー条例違反!公然猥褻!強制猥褻!名誉棄損!」とスラスラと罪状を並べられた辺りは素晴らしい彼女(さすが法学部。)でしたが、思えば顔も性格も目立たない素敵(モテル)という言葉の対局にいる男でも、「村上と真逆の人格者」であり何をやっても怒らない都合の良い男(それこそ友達が自分の彼女を犯そうとしても、何故か被害者である自分の方が謝って許して貰おうとする程に。)だからこそ高畠君を選んだ側面も有った様子…です。そして、安全日に油断して避妊をしなかった事で妊娠→学生の自分の立場を優先して中絶(「俺は産んでほしいって言ったのに、都合が悪いっていう理由一つで、生まれる前の罪の無い命は殺すのかよ!」とそれで高畠君ともダメになった。)となってからは「そんな男にさえ捨てられる自分」にすっかり自信を失ってしまった様子(自分は村上君と違って、ちゃんとした美しい恋愛をしているつもりだったが、結局、自分の理想と肉欲に溺れていただけで、身勝手な都合で動いていただけだったと自覚し、そんな自分に幻滅もした。)で、彼女もまた村上のセフレになってしまった展開にはかなりガッカリさせられたものでした。(傷心の女ほど落ちやすいっていう定説は有るけどさ…。)結局、そんな「普通レベルの女」だったとしても意地だけは貫いてほしかったです…。

 真紀…真紀「水野さん、あんた何考えてんの?その若さで子供産むなんて…自分はまだしも相手の人生、考えないの?もう一度言うわ。まだ間に合う。まだ人間じゃないうちに堕ろすのよ。」
直樹「なんだか、真紀…この前、子供を堕ろしたんだって。」

この子はもうお腹の中で「生きて」いる、と答えれば「最低!あなた、私の事を人殺しって言いたいのね!」(「そうよ、貴女は自分の幸せの為に、男と無計画にセックスをしてできた自分の子供を殺した女。」by英里)と被害者面をして喚き立てようとする彼女(どっちかというと、被害者であり一番可哀想なのは堕ろされた子供であり、加害者である母親には少なくとも「傷ついた女の顔」をする資格は無いと思うが。)の言葉の裏には「知り合いの女性が道を踏み外そうとしているのを留める気持ち」より「自分が出来なかった事をやすやすとやってのけて幸せいっぱいに生きている恋敵に水を差す気持ち」の方が強かった様子です。他の女と浮気されまくりながらも学生の身で彼の子供を産んでまで彼について行くって、ただの「都合の良い女」、その程度の存在に過ぎないでしょ、という渾身のツッコミには「一番、都合のいい女だから最後に帰っていくんでしょ。」(「何をしようが、必ず、村上君の心は遥ちゃんの元に帰るのよ。」by英里)というフォローが入っていますが、現実の男の「都合のいい女」の選び方の基準は「相手がいかに尽くしてくれたか」(その気になれば他の誰でも真似できる技。)ではなく「相手のバックグラウンドに何があるか」(土地持ち財産持ちの娘だとか、性格の良い女ではなく「スペックの高い女」を選んでいる。)だったりするので、現実に遥ちゃんみたいな女性が選んで貰える可能性は低いだろうなあ(大体、尽くした分だけ返してくれない人間なんて男女関係無く、相手への思いやりなんて持ち合わせていないし。)とも思ってしまった私でした…。

 鈴木英里…真紀「水野さん、直樹の子供がお腹にいるのよ。友達とか言って直樹と今でもセックスしてるって…水野さんがどういう気持ちか分かってやってるの!?」
英里「当たり前よ。分かってやってるに決まってるでしょ。私は遥ちゃんの事を傷つけている悪い女なのよ。でも、貴女達とは違う。自分のこと『善人』だと思ってないもの。自分を正当化して無意識にワガママやってないもの…。」

真紀さん、谷口さん、英里さん、とその場にいる全員が村上と関係したことがある(時系列の流れは別として)事を考えると全員が何も言えない立場ではあるけれど、事実を認める事と、開き直れば何でも許されるだろう(バレた所で覆水は盆に返らないし、相手は「どうしようもできなくなった事」として受け入れざるを得ないとタカを括っている。人の妹のセクハラを家族中で笑い物にしたり、理髪師さんの全性生活をコンビニの駐車場でベラベラ話しては「もう、やっちゃった後だし、別に良いよね!」と事後承諾を強要する、よしみつさんと同じ思考回路だな。)と無神経な正直さを炸裂させる事は違うし、むしろ表面つらだけでも善人をやろうとしている一般人の方がまだマシなのではないか?と嫌悪感しか抱けなかった持論でした。自分で「悪い女だ。」とは言いながらも(そう言えば誰かフォローしてくれるとでも思ってる?)相手を傷つけた事実にも周りにも迷惑をかけた経緯にも全部スルー(「そ、そうね。英里ちゃん、酷かったよね…で、言う事はそれだけ?」by遥)して、同じ悪事をまだ繰り返してるって、人の家に無言電話かけ続けて、それで友達(▲▲さん)の隠蔽工作までネット上に挙げられた(友達を売ってまで無言電話をかける方を取った。)よしみつさんと全く同じ言動じゃないか!とツッコミすら入れてしまったものです。(そう言えばあの人も「ボクって偽善者だからなあ~。」と自分の悪さを特別な存在の証かのように勘違いしている部分が有ったな…。)こういう人間って「自覚している」だけに直しようも無いんだな(むしろ無自覚な奴の方が確信犯よりは直しようがあるという点で人間としてまだマシ。)と改めて実感もしてしまった理論でした…。

 村上直樹…「…なんて、一目、姿を見ただけで、たったそれだけで、こんなに長く妄想してしまった。」

「彼女に一目惚れのあまりの妄想」にしては遥ちゃんは現実にはまずいないであろう性格のDQN女(しかも男(村上)の事はどこまでも許す「都合の良い女」)にされているし、よりにもよって彼女の親友(英里ちゃん)と浮気はするわ、他に彼女(真紀)まで作るわ、新しい女(谷口さん)を本命として乗り換えるわ(遙ちゃんの事はもう完全にキープ君状態。)、強姦はしかけるわ、他のBFと幸せになることも許さないわの酷い内容で、ネタにされる側としては、たまらない話だなとドン引きしてしまった内容でした。(リアル遙ちゃんの方も、よく、あんな成人向け妄想話で「意外なほど盛り上がれた」な、と彼女の大人ぶりに感心すらしてしまったものです…。)大体、全ては妄想でしたって34巻の今更になってそれは有りなのか!?と今までの話を全否定した結末に(それまでの不思議ちゃんな性格でも「一途で健気なバカ過ぎる遙ちゃん」に好感を持っていただけに)残念に感じた終わり方でした。最も「一番都合のいい女だから最後に帰っていく」…のではなく、最後まで放っておかれて、他に誰も相手をしてくれなくなった時に「利用」されているだけ、子供が出来ても他の女と浮気されまくり(どんなにフラフラした男でも「あの人の子供を産めた」のは私一人、という正妻感覚はあるのかもしれないが…。)という妄想版結末もかなり微妙な内容なので、「無かった事にされた」のは遥ちゃんの人生的には良かったのかもしれませんが…。

 水野遥…「自分可愛さについつい自分に都合の良い妄想をして現実を捻じ曲げて見ちゃうんだよね。あたしは大人になっても、いつまでも沢山いろんな妄想をして、一つの妄想なんかに縛られないで、楽しく自由に生きるんだ。…なんて考えている男の子がいたらいいな。」

つまり新章の小悪魔的遥ちゃんさえ妄想の産物で新章に到るまで小学生の遥が授業中に空想した物語に過ぎない(どんな物語を空想してるんですか、小学生!)という驚きの終わり方で締められてしまいました。つまり30巻以上主人公として物語を引っ張ってきた村上は実在もしておらず今までの話は全て嘘だった訳です。(一応、小学生の彼の姿が見られる辺り、村上直樹という男の子は存在はする様子だが、さっきまでの新章同様「彼がどんな性格なのか」は分からない。)作者の後書きの中に書かれていた「恋に落ちた人は大体が相手を勘違いしている事が多い。相手に自分勝手な妄想を巡らせて幸せな気持ちになっているだけ。」(そして付き合えば付き合うほど妄想は裏切られ、結果、恋心は消えていく。)という持論から考えると、現実の恋なんてこんなものなのかもしれないし、「(勝手に)恋したのに妄想通りじゃなかった恋人も、また見方を変えれば素敵だし、もっと素敵な人を探せると考えるのもまた良い。」という点から考えると「自分の青春はこれからだ!」(だからまだ小学生だろ、アンタは!)という終わり方はまさしく後書きに即していたのかもしれません。が、「一つの物語の終わり」としてはやっぱり反則技だし、微妙だなあとしか思えなかった終わり方でした…。(まあ34冊も話(人気)を引っ張れた辺り、江川先生は漫画家としては、やっぱり才能があるんでしょうけどね…。)

東京大学物語27~31

2009.05.31
 確かに新しく続々と登場した女性3人(村上君の恋人…というよりただのセフレ。)よりは過去の恋人2人(英里ちゃんと真紀)の方がいい女で不必要に似たようなキャラ(貞操観念が低くて男の都合のいい女)を増やすよりは彼女達の話の方が良かったとは思ったけれど…それは彼女達がちゃんと自分の人生を自分で歩いていてなんだかんだ言いながらも男に左右されない生き方をした所(村上を卒業し振り向かない潔さ)に好感が持てたのであって「全部自分が悪かったのよ。」と過去の自分を全否定して「都合のいい女」になる為に登場して欲しかった訳ではなかったのにな…とかなり残念に思ってしまった展開です。そこまでするほど村上君がいい男か(まあ「バカもおだてれば木に登る」(正しくはバカでなく豚ですが)の喩え通り調子よく甘えさせれば言う事を聞く男ではあり、将来性はあるけれど…性格は最悪のような…。)も疑問で個人的にはあまり好きになれなかった話でした…。

 村上直樹…吉野「村上の心をコントロールするのは簡単だ。何故なら奴は自分がいかに贅沢な事を『当たり前』と思っているか気づいてないからな。」

便利で当たり前、親切にされて当たり前、周りは仏のごとくいい人で当たり前、だから人に何かして貰う事に感謝もしなければ自分が相手の為に何かしようと考える事もない(何故ならばそれは全て「当たり前」だから。相手にするのはついてきて自分を押し上げてくれる人間だけで美味しい思いの見込めない人間は切り捨てながら自分の都合が通るように選別している。まわりもまた「都合に合わせなければこの人を失ってしまう。」という脅迫観念から言う事を聞かざるを得ない。)そういう思考回路が出来上がっているんだと、よしみつさんの生態の謎がまた一つ解けたものでした。(自分では悪気が無い事だけを指して自分が良い人間だと思い込んでいるけれど実は自分の事しか考えていない欲深な人間に過ぎない(相手の気持ちなんて全く考えていない)事に本人だけが気づいていない。)それでも村上は(性格が歪んでいても)東大の国Ⅰトップの成績で将来のエリートキャリア官僚候補という将来性がある分だけ(一応「周りの人間より優れた点」がある分だけ)人としてはマシだよな(過去に去った女性2人もこういう経歴を誇る将来性抜群の男になったと聞いたら金の為…もとい元サヤ目当てで戻ってもくるでしょうね…ゲフッ!)と経歴の素晴らしさ(だけ)に感心もしたものです。性格が最悪でも特化した実力があれば相殺されるもので、なんだかんだ言いながらも彼の周りに女性が絶えないのは一応「実力の結果」ではある事に納得は出来たものでした。(展開としては女として心底嫌悪を覚えましたが。)

 鈴木英里…村上「英里ちゃんてさ、人間として最低の女だよね。」

お前が言うか!(そりゃ携帯の電源を切られてまで会話を拒否されるわ!)と思わずツッコミを入れてしまいました。ともあれ今までは何股かけていても最高のセックスが楽しめるからという理由(だけ)で村上を追いかけていた女性達も放置していた間に新しい男ができたことで誰も村上を相手にしなくなったようです。英里ちゃんが「誰とセックスしても私を抱いて下さるのならそれで良いです。」(良くねえよ!)と言った通り「セックスの無い村上君」(=彼の人格)なんて顔を見るだけで気分が悪くなるほど忌まわしいレベル(例・谷口さん)で風俗嬢全員に振られたと同時に完全に目が覚めた英里ちゃんに快哉を叫んだものでした。相手の心理を考えて罵倒や突き放しも計算の内という吉野(嫌な方向ではあるが「相手の気持ち」を事細かに考えてはいる。)と違って全部「自分の気の向くまま」にやっているだけの身勝手な人間には人はついてきませんよ…ね。

 谷口瞳…村上「『困っている人を見過ごせないから弁護士になる』のなら恵まれたこの日本の女性のセクハラ問題の為だけに戦うのでなく、もっと悪質な犯罪に苦しんでいる人達から助けようとするよ。」

社会貢献という綺麗事を言っているけれどそれは上っ面で善人顔をしているだけで本当は相手をねじ伏せることしか考えていないのではないか(優位な立場にいる男を虐めたいだけで本当は女の気持ちだってちゃんと分かっていないのではないか?「自分の事しか考えていない」辺りは確かに村上と似ているのかもしれないが。)と村上にまでツッコミを入れられていた新キャラです。しかし新しい「ヒロイン」にしては遥ちゃんのような包容力も無いし、英里ちゃんのような品の良さも無いし、真紀のように知恵を巡らせながらの強かさも無いし(レイコさん達は脇役に近いセフレなので除外。でも金と体を貢いでまで尽くしている辺り少なくともこの女性よりは「健気」と言えましょうね。)自分からうっとおしくつきまとったくせに「不愉快な思いをしたのは全て相手のせい」と被害者顔をするえげつない性格(ただの勘違い女)がヒロインとしては最低ランクの女性だなとげんなりしたものでした。(こんな女の為に遥ちゃんがとうとう「本命」ですらなくなり、ただの「未練」になったのも凄く残念でした。)そんな明らかに性格の悪い幼稚な女性が他のいい女達をさしおいて「本命」(1番)になってしまうほど、現実の恋愛は理不尽で不平等な物だとは分かっていますが、それはそれとして「読者の共感」には繋がらないよな(村上に愛されていながら…というより村上を愛している数多の女性の心を傷つけながらそれを何とも思っていない辺り何様のつもりだろうと他の女性達が哀れなだけに嫌悪感につながってしまいました。)と、この人の話を最後に最終章(打ち切り)を迎えた事に納得もしてしまったものです。やっぱりメインヒロインには魅力が無いとダメですよね…。

 水野遥…遥「河野君とは付き合ってないよ。あたし、ずーっと1人であの部屋で村上君を待ってるんだよ。」
河野「……。」

全てを聞いてしまっている河野君が哀れでした…ゲフッ!八方美人な遥ちゃんだけに自分を慕ってくれる男の人を拒絶せずに誰とでも仲良くする替わりにキス以上は村上君としかしないスタイルを貫いているようです。(そして「無理やりしようとするなんて強姦しようとした村上と同じじゃないか!」と自分に律している河野君は相手からOKが貰えない限り手を出せない。)が当の村上はもはや「未練」(手離すのはもったいない程度の気持ち)しか感じておらず他の女(谷口さん)が「本命」になっているのだから、いい加減「傷つけられることを快感(マゾ)として楽しむ」愛の形は卒業して「村上の都合のいい女」を辞めて欲しいと切に願ってしまいました。最悪の人格をしている村上が他の女にいずれ愛想を尽かされるのは当然でも誰からもそっぽ向かれた寂しい時にしか彼に相手をして貰えない(都合のいい女は所詮、都合のいい女でしかない。)というのは遥ちゃんに対して失礼で彼女の気持ちが本物なだけに余計に悲しくなってしまったものでした…。

 余談…「片想いのままだとストーカー、後に犯罪者だが、その病的な思いが相手に歓迎されればストーカーこそ最高の恋人!」と佐野は言っていましたが、いくら「熱愛」されても隠し撮りをされまくった挙句に執拗な几帳面さで写真をファイルされ(自分をモデルに勝手な「作品」を作られ)許可もしていないのに個人データまで調べる(もはやプライバシーの侵害)その病的な思いが「歓迎」される事は現実にはほとんど無いだろうとツッコミを入れてしまったものでした…。

東京大学物語22~26

2009.05.30
 「どんな男でも100人の女性に声をかければ最低一人は最後までできる女の子にぶち当たる」という統計が出ている…そうですが100回も声をかければ否が応でも(ちゃんと学習していれば)話し方の技術は上がっているはずですし、それは数の問題でなく口が上手くなっただけなのでは?と話の中の「持論」にツッコミを入れてしまいました。風俗業へのスカウトは「1万人に断られて一人前」(ゼロが2つほど増えてますけど…。)だそうで「一人前になってからは成功率が上がる」事を考えてもやっぱり問題は数(確率論)ではなく本人の技術だよなと改めて思ってしまいました。

 村上直樹…村上「この仕事も器の大きな人間になる為の試練…そう考えて頑張ってるじゃないですか。」
北里「頑張って…これだけか!?なんて自分中心な男なんだ…!」

「向こうが自分を馬鹿にしなければ自分はこんな事をしなかったのに。」と(自分が思いやりの無い行動をしたのは棚にあげて)原因はいつも相手のせい、自分がわずかな努力をしている様ばかりを(人並みの成果さえあげられていない現実も忘れて)認められたがっている何様思考は相変わらず健在でした。結局いつも自分に言い訳をして真面目に相手に向き合う事を否定していて浅はかな考えで小手先の嘘でなんとかしようとしている彼の思考回路は本当によしみつさんに似ていると感心もしたものです。でも話にもあるように人間社会はそんな簡単で単純な受験の「マニュアル」のようにはいかない物です。「欲深な人間に与えてはいけない。情をかければかけるほどワガママが増長するだけで与える者が最後に恨まれる、その者には厳しく当たり自ら学ぶことを教えるべきである。」(古本屋→自宅前まで相手に来て貰う、イヤリングや首飾りを誕生日やクリスマスなどイベントごとに貰って自分は何のアクセサリーも贈らない、イラスト集→与えた直後に「次はミスティックアークだね!?」と欲求する、おかずをごちそうになったら「ご飯と一緒に食べたいんだけど!」と要求する…なるほど確かに「増長」していると、よしみつさんの今までの言動を振り返って思わず納得してしまいました。)という話の言葉通りに、もうこれからはそういう人間には厳しく接していこう(ダメ人間には情をかけても甘えることしか考えようとしない。)と再度、決意を新たにしてしまったものでした。「鈍くて相手の気持ちに気づけない」というのは「いつも自分の事しか考えていない」という事で、それは「いつも他人を下に見ている」(全然自分と同等(同じ位)に相手の事を考えていない)のと全く変わらない訳で、だからアンタは自分が下に見ても許してくれる人だけとしか付き合えないんだよ(自分を甘やかしてくれる小さな世界でしか生きておらず、またそこから出ようともしていない。)と改めてツッコミを入れてしまったものでした。

 レイコさん…「テストがいくらできても、いくら出世しても他人の気持ちが分からない奴はクズだよ。」

だったらそんなクズ男の魔手になどかからずに仕事上の付き合いだけと割り切ってほしかったのに(仕事仲間として好意を抱いても「心は許しても体は許さないから大丈夫~。」と軽く流した最初の頃のままでいて欲しかったのに…。)と3人共にツッコミを入れてしまいました。(唯一涼子さんは北里に命じられて村上を遥以外の女の虜にさせる為に魔手にかかる必然性があったけれども…他の2人はそんな必要なかったのに…ね。)電話で直接話せないのをいい事に「涼子が『さよなら。色々ゴメンなさい』って…。」「村上とは話したくないって。うん、うん。分かった。」と通話を終了する(「そんなこと言ってないわ!何が『分かった』って言うのよ!」by涼子。)頭の良さには感心したのに、その後「欲しいだけお金あげるし他の女の子と遊んでも良いから取りあえず抱いて!」という頭の悪過ぎる展開には微妙さしか感じずに共感できなかった女性でした。「体は許しても心は許さないかな、こんな奴。」と悪ぶっていて尻が軽くても男に媚びてはいない様(だけ)に好感が持てただけに3人共に相手をして貰う(全員了承の上で三つ股をかけられることを良しとする)という最悪な結末には微妙さしか感じずにげんなりしてしまったものでした。登場初期はまだ少しはカッコ良かったのにね…ゲフッ!

 吉野博彰…「退屈な真実よりもドラマチックな嘘…色あせた日常は幻を見せる事でのみ輝いてくるのだ…。」

と余命2年の男(それで入院の必要もないなんて何の病気ですか?)は「残りの命が短い可哀想な人間」(「最後」だからできる限りワガママを聞いてあげるべき人間)であることを利用して遥ちゃんの心をつかもうとしていますが「こうしてワガママ(添い寝まで)は聞くけれど、もし自分が吉野さんの立場だったら周りの人には正直に自分を出してほしいと思うから男としては受け入れない。」(「あたしが大人の男として抱き合いたいのは村上君1人だけだからあなたとそれはダメです。」)と今回の作戦も失敗して振られていました。(村上君をひきはがす事には成功したけどね。)話をして遥ちゃんの「見返りを求めない愛情」(ほとんどの人間の優しさは自分の欲しい見返りの為に発揮されており、しかも当の本人は自分だけは打算的ではないと思い込んでいる。けれど遥ちゃんは本気で他の人間だけを思いやっていた。)に改めて感動して惚れ直している彼ですが、そうやって遥ちゃんを本命にする以前の問題としてアンタには奥さんと子供がいるだろ!(思惑通りアンタとくっついた所で遥ちゃんは不幸になるだけだ!)とツッコミを入れてしまったものです。遥ちゃんの愛は「ただそこに村上君が存在しているだけでいい」という無償の愛ですが、この男の愛は遥ちゃんの心と体目当てで、しかも「本命」がいつつも他の女性達(妻子含む)と体良く付き合っている打算的な愛だよな~と、やはり応援はできなかったものでした。

 水野遥…「村上君はあたしの心の奥に突き刺さるんです。突き刺さって抜けないんです。こんな人、他にいません!」

「普通の人間は次の行動が予測できる(想像の範囲内)だけど村上君は自分の想像を超えた事をしてくる」から好きだと彼女は言いますが…それは村上が他に類を見ないダメ人間というだけで決して魅力ではないと思うのですが…ゲフッ!(むしろ吉野が言うように相手を過剰解釈した幻に恋をしてその幻想が裏切られる事で相手への想いが冷めていく一般的大多数の恋愛の形だったら(とっととこの異常な恋が終わってくれて)まだ救いようがあった…のに…。)プロポーズされながらも「紙切れなんかいらない。大事なのは2人の気持ちでしょ。」と入籍(法的権限を利用して縛るチャンス)も断ってひたすら村上を待ち続けている遥ちゃん。ですが当の村上君はそれ(吉野と浮気したと誤解して)以来同棲も解消して全く戻ってこなくなってしまい、そもそも気持ちも絆も大した事の無い村上君を信じることはいい加減諦めて他の人と幸せになってくれないものかと切に願ってしまったものでした。(それでもマゾの彼女はそんな「普通の幸せ」はただの「刺激の少ない退屈な状態」にしか過ぎないのでしょうか…?)山崎さんとの恋愛も経て自分は結局村上君しか見る事が出来ないと思い込み過ぎていませんかね、この人?

東京大学物語19~22

2009.05.29
 ドラえもんの人気の秘密はのび太がダメ人間でありダメ人間であっても好感が持てるように演出されている事だとこの作者が何かの本に書いていたそうです。だからこの話の主人公はどこまでもダメ人間なのかと納得する反面、好感が持てるようには演出されきっていないんじゃないか?(女として普通にこんな男には嫌悪感を持つと思うが…何故かメインヒロインには見捨てられない不思議さをも再現する事はないんじゃないか?)と疑問も持ってしまった、そんな話でもありました。予想していたよりは面白かったですけどね。

 村上直樹…村上「俺は普通の奴らのはるか上を行く人間なんだ。」
遥「村上君は人間として普通の人以下だよ。温室育ちの村上君の『当たり前』は周りから見て不条理なの。」

何か辛い事があるとすぐに他人のせいにして悪い結果は全て相手の責任にする、自分で考えることをしないでいつも他人の受け売りだけなのにプライドだけは高くて謝る事も出来ない…同じような偽善者(本人申告)のよしみつさんの生態の謎がここで解けた気がしました。とはいえ心にもない事でもスラスラと言えて相手を論理的に丸め込んだり(「村上君、詐欺師になったら?才能あるかも…。」by遥。)プライドを保持する為の「努力」はしてきた村上君(部活を辞めるまで高校サッカー部のエースで、1浪したとはいえ東大にも合格した。…その中でも真紀と妊娠騒動を起こしたり最低ぶりは健在だったが、あんなただれた生活を送りながらもちゃんと合格するだけのテスト勉強をしてきた事は凄いとは思う…尊敬はできないけれど。)の方はまだ認めるに値する人間だな(よしみつさんは間違った方向に進みながらもその価値観の中で優秀であろうとする努力はしていなかったので。同じ自己保身や利益の為に他人に嘘をつく人間でも何か頑張っている事や他の実力があれば少しは評価できたのにと改めて彼女を残念に思ってしまいました。)と今回少しだけ村上君を見直してしまったものです。人としては最低の部類に入るけれども、それでも物語の主人公を張れるだけの内面の深さはあるか(それは人として嫌な深さだが。)と見方を改めたものでした。

 水野遥…「山崎さんは最初から分かってたんだ。出会った時から私が山崎さんの姿に村上君の面影を見てた事を…。」

「つまり自分はずっと村上君だけを見てた」と納得した遥ちゃんでしたが、だったらオリジナルを前にしながら(「本当の想い人」の村上君に熱愛されながら)身代わりに過ぎない山崎さんにここまで揺らぐことは無かったはずではないのか(だから山崎さんを好きと言いながらも村上君とのセックス(未満)を歓んでしまっていたのか?)面影(自分好みの外見)が同じなら人として中身が上の山崎さんの方を選ぶべきではないのか(28にもなって定職にもついていないフリーターではありますがとりあえず家持ちで、なにより遥ちゃんのDQNな行動も笑って受け入れられるだけの器量の大きさがあります。←自分が変態だという所まで認めている人間だから遥かちゃんの変な所くらい軽く受け入れてくれる。)などなど色々考えてしまったものです。河野君、山崎さんと他にまだマシな男がいただけに1番のダメ人間である村上君と元のサヤに戻ってしまった事がかなり残念に思えた結末でした…ゲフッ!

 山崎守…「手錠を外したら、遥…俺は君とはサヨナラだ。」

遥ちゃんを手錠に繋いでまで危険な村上君と一緒に旅をさせた(村上君がどんな人間なのか、また遥はどんな人間なのかとことんまでお互いに見せ合わせた。)のは「もしかしたら村上を完全に断ち切って自分の元に来てくれるかもしれない」という一種の「賭け」だったとはいえ最初から2人はまだ互いに気持ちを残しており「新しい想い人」となった自分は彼らの関係への刺激(スパイス)以上でもそれ以下でもないという結末は見えていたのでしょうね…。それでも泣くほど本気で遥ちゃんを好きになってしまった彼がどうしようもなく哀れに思えて仕方ありませんでした…ゲフッ!(一応、最初にアプローチをかけてきたのは遥ちゃんの方だったのにね…ゴフッ!)「リアルな心を撮る」事にこだわりを持つのではなくさっさとモノにしてしまえば自分も彼女も幸せになれたのに(「見ないように見せないように努力しているけれど誰もが秘かに変態性を秘めている」…と分かっているのなら覆い隠して見せないようにしながら普通の人の振りをして幸せをつかめば良かったのでは…?)と変な所で純情さが抜けない彼に涙してしまいました…。そういう大人の狡さが無い所が彼の長所ではあるんですけどね…。(その長所が変態という短所一つで台無しになってはいるのですが…ガフッ!)

 吉野博彰…「撮影の為に借金をしようとしていた山崎は私の出したクルーザー、食糧、撮影資金、そして『村上がちゃんとした借用書にサインするシナリオ』を使ってくれた。」

長い旅に出た山崎さんがどこに行ってしまったのか(そもそも撮影の為に昔儲けた金を使い果たした彼に旅行費用はあるのか?)も気になる所ですが、民法167条(債権者が失踪して返す宛て(先)がなくなってもその債権を他の人間に譲渡してしまっていたら借金は消えない。)をうまく使って村上君を追い詰めている様はさすが弁護士だと感心したものでした。裁判になったら自分が今まで何をしてきた人間なのかも公になるというのは本当にある話で(離婚裁判でも子供が親について書いた作文から親について判断する事例がある。)結局最後に物を言うのは人間性なんだよね、と全ては自業自得からギリギリの状況に追い込まれた村上君にいい気味だと感じたものでした。(正直山崎さんは2人を極限の状況に追い込む割にはやり方がぬるかったので。)遥ちゃんがこの男にどうこうされるのはかなり嫌ですが村上君にはもっと痛い目を見て欲しい物です…ゲフッ!

東京大学物語⑭~⑱

2009.05.28
 典型的な東大君=学校の勉強だけできて運動神経ゼロ。大人しく親や先生の言うなりに素直に勉強してきたからテストの点数はいいが面白みや人間の深みが無い(「いい奴」ではあるのだろうがエネルギーが無いせいで女の子にはモテず「どうでもいい奴」で終わるタイプ。)という記述があり「なるほど今の草食系だ。」と変な納得もしてしまったものでした。実際問題、草食系男子は婚期も遅くなかなか思うような人生は歩めないようです…。

 山崎守…「人間の心は傷ついて成長するんだから相手の心を傷つけない為に無理に我慢する努力なんて無意味だ。」

「酷い事されても我慢して、怒りがたまって、悲しくて、腹が立って『今度会ったら言ってやろう。ムカついたこと全部言ってやろう。思ってること全部言ってやろう。』と思ってても相手の顔を見ると言えなくなってしまう。『こいつって悪い奴じゃないんだよね。』…なんて思っちゃってさ。」という彼のセリフには私もよしみつさんに散々ウソをつかれてその度に誤魔化されてきた経験があるだけに納得したものですがその「効果」は顔を見る機会が無ければ働かない物であり、いつまでも同じようにはいかない物だという実感も現在味わっている最中です。辛い時だけ山崎さんの善意に縋っている(利用している)南さんですが村上君が言うように「そりゃ余りに自分勝手で甘え過ぎ。」(仕方ないから相槌を打ってあげているけれど、そんな当たり前の事を辛いと言うアンタには誰もが内心呆れてるよ。←それをあの村上君に言われている辺りも終わっている。)とツッコミを入れてしまったものです。今まで「好き」だった相手でもその評価は一生は続きません。都合のいい時にばかり人を利用していると、いつも通り善意に縋ろうとしても最早相手には愛想を尽かされている事もあり得るという実例でした。

 桂木南…「守が可哀想…。せめて手錠で繋がっている間はもうこれ以上守を裏切らないで…。」

勝手な都合で守を捨てた(そのクセに新しい彼氏達と上手くいかないと甘えに来る)身勝手な元・彼女でも今まで散々優しくしてもらった分だけの「相手への思いやり」はわずかに残っていた様子です。なんだかんだ言いながらも村上君を突き放すことはできずに揺らぎまくっている遥ちゃんを目の当たりにしている守が痛々しくて(だったら盗撮してまで見るなよ…ゲフッ!)速攻で部屋に乱入して2人のセックスの邪魔をした彼女の行動には「お前、良い所もあるじゃないか。」(よくぞ邪魔をしてくれた。)と少しだけ見直したものです。が、過去に守を捨てたのは南さんの方であり今も色々な男と体よく付き合っている(守の良さに気付いたから…もとい失うのを惜しんでいるから執着しているだけで別に彼だけに「一途」になったわけでもなく、この人の甘えた性根は何も変わっていない。)彼女には守への愛を語る資格は既に無くもはや何をしても振り向いて貰えないのはアンタの自業自得だよとツッコミを入れてしまったものでした。

 吉野博彰…「中華料理も美味い。フランス料理やイタメシも美味い。だからと言って寿司を食うなと言われればそれもまた困る。」

いわゆる「おせちも良いけどカレーもね。」(古!)という典型的な浮気思考であり「それにしたって節操が無さ過ぎよ!」(全くです。)と由貴ちゃんにもツッコミを入れられていました。それでも「どれも同じだけ好き」だったらまだ平等ではあったのに(救いようは無いけれど)「一人しか選べないなら1番は誰?」(無人島に1人だけしか連れていけないなら誰が選ばれる?)と聞くと「水野遥」と答える辺り…開き直るのもいい加減にしろよとげんなりしてしまったものです。挙句に愛人(由貴)の前で遥ちゃんの良さを羅列する無神経さにはとうとう攻撃方法もパーからグーに変わってしまい「いいぞ!もっとやってしまえ!」と男前な由貴ちゃんを応援してしまったものでした。(不倫しながら他にもう一人愛人(好きな人)ができた場合、前愛人とはべつに別れる必要は無いとは言うけれど、だからと言って「相手」をどんどん増やすのはさすがに節操が無さ過ぎだろうと私も思ってしまいました。)ワガママな由貴ちゃんには「従順な相手は『退屈』で飽きているから」とそっけない態度で燃えさせ、寂しがり屋の南さんは思い出したような「優しさ」で繋ぎ止め、お人好しの遥ちゃんは「誰でもいい所を見つけてしまう君には好きな人が何人もいる『同じ気持ち』が分かるはずだ」と体よく騙くらかし、正義感の強い河野君には村上の悪事(強姦未遂)を教えて爆発するよう仕向け…人間心理をよく分かって色々な人間を体よく扱っている辺り本当に頭はいいのでしょうがそのうちに天罰が下ってしまえ女の敵めと安全な所から皆を見下ろしながらしゃあしゃあと我が道を好きに生きているこの男に嫌悪感を抱いてしまったものでした。

 村上直樹…「俺の目指してきた『上』は人としては『下』だった!?」

そう、その目指してきた「上」とは「成績優秀、スポーツ万能の東大文Ⅰ大学生で将来の大蔵官僚」という「条件」であって「人としての魅力」(性格の良さ)ではなかったのですから、全く磨いてこなかった性格が「下のレベル」なのは当たり前の話でしょうね。(「あまりにも哀れに感じるほどに人としては幼稚過ぎる」という同情ですね、これは…。同情というのが「相手より1段高い所から見下しながら哀れむ行為」である事からプライドの高い人間にはショックだったでしょうが…自業自得にしか見えないような…ゲフッ!)目指してきた物に問題があったのではなくこの人の考え方の問題(同じ東大生でも人気者の遥ちゃんや男らしい河野君、友達思いの由貴ちゃん…と色々な人がいる。)なので原因は目標には無いよとしみじみ思ってしまったものでした。別れたばかりの彼女(真紀)の事も忘れて遥ちゃんに迫っていますが「強姦しようとした人間を許すなんて本当は(普通は)出来ないだろ。」(「あの頃」に戻れないほど嫌われる行動をしてきたのだから当たり前だろ。)とツッコミを入れざるを得ず改めてこの男が嫌いになってしまったものでした…。(一応、主人公なのにね。)

東京大学物語⑦~⑭

2009.05.27
 ドラマ版しか見たことが無く映画版は未視聴ですがネットによると15禁でヒロイン役の人は前ばり有りというきわどい恰好で撮影に及んだ(つまり肝心な所は偽物で隠しているものの裸が出てくる)と知って見るのは辞めた作品です。同じ大学の文系で同じ授業を取っていてもも文科Ⅰ類(日本を動かす優秀な官僚を数多く輩出する東大「法学部」卒業生予定者。)と文科Ⅲ類(卒業しても就職に困る東大「文学部」卒業生予定者。)は違うという事も描かれており同じ教室の生徒なのに学力(勉強してきた必須科目)の違いで授業が成り立たないというのはこの辺にも原因があるんだろうなとよく調べられている事に感心もしたものでした。

 池野幡由貴…「どうして東大なの?つまんない仕事ばっかりの官僚になったり法匪の群れの中に入って日本を動かしている幻想に浸れても結局しょせん歯車にしか過ぎないよ…。」

お偉い官僚になっても、それは国民の下僕で愚かな大衆に仕える使用人に過ぎないという彼女の解釈には「さすが東大に入るだけあって頭いいわ、この人。」と利己的で性根が腐ってて意地が悪くて人間がクズで品性下劣で小心者で臆病で卑しい心の持ち主で悪人の村上君が追い詰められる様に爽快感を感じてしまいました。(オイ!)高校時代からそうでしたが村上君は周りから「スゴーイ」ともてはやされたいだけで「それじゃあ東大に受かったが最後、人生の目標を失っちゃうね。」(東大に受かってもその中では高校時代のように多少成績が良いだけで「特別扱い」はされない。大人になったら社会でやっていくのに必要なのはコミニケーション能力で記憶力の良さ(成績)だけでチヤホヤされてきた今まで通りにはいかなくなる。それは高校までの受験を前提にした「狭い社会」の中でしか通用しない価値観であり大学に入った後の受験が無くなった世代以降はモテなくなる。)という彼女の論理には成程と頷いてしまったものでした。この頃はまだ「日本の社会じゃ仕事ができなくても東大さえ出ていれば出世できる時代」だったんだなあ~(今は東大を出ても就職さえ困難な実力主義の時代です。)と懐かしみながら読んだものです…。

 水野遥…「ありがとう村上君。あなたが生きてそこにいることは、あたしが貰った1番の贈り物でした。」

彼女の中で「世界で1番君が好きだ。」という村上の言葉がそんなにも重い意味で受け取られていた(いじめを受けたり周りから否定ばかりされていた彼女が「生まれて初めて完全肯定して貰った」と解釈した。)とは思わず「そんな言葉、付き合い始めに勢いだけで言った中身の無いセリフじゃないか…。」(事実その時はそう言ったにも関わらずその後は「足手纏いだ。」と突き放し彼女の友達と浮気をした挙句に他の女と付き合い始め…「世界で1番好きな女」に対して非常に失礼な行動を連発している。)とツッコミを入れてしまいました。吹雪の中(東大の前期入試を放って)助けに来るもその場で自分が倒れている(助けるつもりが逆に助けられる立場になって却って苦労をかけている。)様には立場が逆だろ!とツッコミを入れざるを得ず(守られているのはむしろ村上君の方。)こんな男はもう忘れてしまえと切に願ってしまいました。

 小泉真紀…「頭の中で作った格好いい自分に酔って涙なんか流して『愛』だとか言うな!もっと現実を見ろ!弱虫!」

そう言った直後すら「現実」の真紀の痛みを考えずに「俺の子を殺さないでくれよ。」と自分の事しか考えていない村上君。(そりゃ殴られますって。)今までだって遥ちゃんとの間で揺れ動きながら傷つけられてきたのにニュースキャスターになる夢さえも潰されてもっと村上の為に犠牲になれというのは確かに酷な願いでしょうね。(別れたのは妊娠が原因でなく「村上が自分のことしか頭にない男」だと分かったから。)子供ができたら殺すのが可哀想だから産むべきという「定説」はありますが、子供を産んでこんな男の為に夢も人生も犠牲にしてどうするという点においては真紀の中絶するという選択にも納得は出来たものでした。(なにぶん相手があの村上なので。)「産んでほしい」と言っている村上も胎児とはいえ殺人に加担する(「命を殺す」罪悪感をしょいこむ)のが嫌なだけで全く現実が見えていないし(そもそも妊娠→出産→子育ての全てを今まで通り大学に通って親にも隠しながら誰にもバレずに行うという将来設計そのものに無理がある。子育てはそんな簡単なものではない。)生理が来た(もしかしたら自然流産かもしれないが、ともかく「自分の子供」はいなくなった)事に大喜びしている辺り結局この男は「重い責任を負う」事が嫌だっただけで本心から相手を大切にしようとは考えていない事も分かり真紀が幻滅するのにも遥から奪い取ってまで付き合ったのにお別れの選択を選ばれた事にも納得したものでした。こんな男、別れて正解です。

 村上直樹…先輩「お前、自分がミスしても1度も謝らないよな。すっげー偉ぶってるぜ。一人前にできないくせに。」

村上本人(だけ)は「偉そうにもしてないし皆を馬鹿になんかしていない」と思っているのですが、それは頭の中でただ思っているだけで「結局皆の為に何の行動もしていないじゃないか。」(謝罪の一言すら無いじゃないか。)と客観的に冷静なツッコミを入れられていました。(この辺りはよしみつさんと思考パターンが同じだな。悪気さえ無かったら自分が無神経な言動をしても許されるべきで、それを悪く評価する周りが悪いと思ってるよ、この人…。)真紀の事に関しても「現実を見ろ!」(もっと現実の周りの人間の気持ちを考えろ!)と怒られた矢先に他の女とヨリを戻しに行っているし(その行為の中身が強姦行為だった事を忘れても彼の子供まで身籠った「彼女」の真紀に対して物凄く失礼。)結局この男は女性に「母親のように甘えさせて貰う事」を求めているだけ(だから自分を「完全肯定してくれる」真紀を選び、「いつでも自分を包んでくれる」遥ちゃんを選んでいる。)で自分の事しか頭にないんだなと改めて真紀の言葉に納得したものでした。そんな人間だから周りから人が離れていくんですよ、村上君。

「超」怖い話K(カッパ)

2009.05.26
 「超」怖い話シリーズ10冊目にして丸々平山夢明先生著というファンには狂喜したくなる1冊です。先生曰く、元々誰にでも書けると思っていた実録恐怖譚(そんな事は無い。数多の怪談本を読んできた私だから分かるが実話で有ろうと無かろうと、それを効果的に伝える「文章力」はやっぱり必要で、書くのが下手な人のは盛り上がらない。)だけど「ビーケワン怪談賞」「幽怪談文学賞」と怪談周りのあれやこれやが百花繚乱し、精栄や俊英がどしどし産まれてくる昨今、それらと互していかなければデリートの憂き目に遭う(「全く何てジャンルなんだ。10年以上やっているのにちっとも楽をさせてくれない。本当に町場の喧嘩です。」by作者)ので「振り出しに戻った気持ち」でつまらない話にも手を出さず「質」を意識して書いたそうです…。

 実験…チカ「これは実験なの。幽霊がいるならチカは世界一の有名人にして下さいって頼もうと思っている。つまり科学で証明できない不思議な存在を利用したいの。科学をも超越する存在なら私の願いも叶えられるはずだもの。」

そう言って近所の洋館で首吊り自殺をした老女を警察に通報する事もせず(「警察に言ったって生き返らないわよ!」byチカ)毎日不法侵入を繰り返しながら腐乱死体に祈りを捧げていたチカにこそ恐怖を感じたものでした。(どう考えても中学生女子のやる事ではない。「子供は善悪の判断がつかない」という問題を軽く凌駕している。)幽霊が出た事で全てを自白して警察に大目玉を食らいながらも一ヶ月間毎日墓掃除を行った奈良橋さん(今でも盆には墓参りを欠かさない。)に対して、チカの方は警察に何を言われても頑として認めようとしなかった。(そして「証拠が無い」以上は警察もそれ以上踏み込む事は出来ず、罪にはならなかった。)けれど、霊感のある母親に言わせれば「このままじゃ、あの子は死ぬまで運に見放される。」そうで、取りあえず「有名人になりたい」という彼女の夢は奇しくも当の「科学をも超越する存在」によって永遠に叶わなくなったんだなと納得がいった話でした。

 三日…飯干「お姉ちゃん、手をかざせば三日間だけとはいえペットの金魚や猫を生き返らせる事が出来たじゃない。お婆ちゃんが死んだんだよ。悲しくないの?」
姉「悲しいけど、それとこれとは別だよ。人になんかできないよ。」
飯干「バカだね。この時の為に神様はその力をくれたんじゃんか。出来ることを全部してから諦めればいいじゃん。」
死神「仕事の邪魔をするなら、代わりになれ。」

祖母の死体に手をかざして「力」を使い始めたとたん葬祭場が停電し、物凄く冷たい手に引っ張られた(「かざしていた手をいきなり掴まれて『抜けた』の。体はちゃんと椅子に座っているのに脱皮するみたいに中身そのものがズルッと外に出た感じ。分かりやすく言えば『魂を抜かれた』みたいだったわ。」by姉。)事から力を使うのを辞めたのか、本当に力が無くなったのかは不明ですが、ともあれ姉は高校を卒業してからは生き物を生き返らせる事ができなくなり、現在はただの主婦をやっているそうです。しかし、もし本当に生き返らせる事が出来た所で体中の穴に詰め物をされて死後硬直も始まっているであろう体を蘇らせたら、それはそれで大変なことになるでしょうし(むしろ「看取ったその時」に力を使うべきであり「今となっては手遅れ」という時系列に変わりはない気がする。)生き返らせた所で持つのは三日だけなのだから、あまり意味は無い気がするのですが…。

 ネット予約…山本「通常は6万円の部屋がキャンペーン期間中だけ朝夕付きで1万8千円だったんです。」
友達「最近は事故が有った部屋に敢えて人を泊まらせる事で『浄化』しようとする傾向があるらしいんですよね。安くても空けているよりはマシだという事もあるそうなんですけど…。」

ネットで検索していたら偶然にも超安い宿泊先を見つけてしまった、ラッキー…ではなく、温泉街の中でも老舗中の老舗で、かつては文豪も愛用していたのが売りの名店で(今更、客に媚びる必要も無く常連がいるであろう歴史ある宿で)何で「普通だったら絶対にそんな価格じゃ泊まれない値段」で部屋を提供しているのか、もう少し考えてみるべきでしたね。(生きた人間の話でも「○○在住の方のみキャンペーン期間中だけ安く割引きします!」と有ったので住所を提示した所、家に帰ったら泥棒に入られていたという話を聞いたしね…。←いや、話がおかしいと気づけよ!)案の定、泊まった1日目から天井から血を流す女の霊に遭遇し「やっぱり安い訳だよね。」と納得していた山本さん達でしたが、当の霊が地縛霊でなくてたまたま気に入った客について行ってしまったら(旅館としては万々歳でしょうが。)と考えると怖い話で、危ない所だったなと感じたものでした。

 こつこつ、ずるずる…早樹「細長の和紙でできた手のひらサイズの紙人形?今度はどの子の嫌がらせ!?」

銀座のホステスをしている職業柄、色々な嫌がらせが形を変えてやってくるので、こうした事は初めてではなかった…というより心当たりが有り過ぎて逆に犯人が分からなかった(不景気になってからホステスの上客の取り合いは熾烈を極めた。「ケーキ」の数は決まっているのだから自分の手に無ければ他人の手にあるものを取り上げなければ飢えてしまう。そして「奪い取らない」ことはすなわち「銀座からの撤退」を意味していた。)お客様には住所を教えないし、自分の家(の玄関)を知っているのはママと数人だけだから少なくとも自分の顔見知りの仕業には違いないけれど、どの子が裏切ったか分からない…という様には溜め息しか出なかった話です。(なるほど、よしみつさんと▲▲さんのように「知り合いの中から絞り込める」ほど、あからさまな手とバレバレの演技の元で同じパターンの嫌がらせを繰り返すのは「頭悪過ぎるレアケース」でもあったんだな。)こういう仕事ってギャラが良い分、大変な目にも遭うんだな(ストーカーでも霊現象か…。)と別の所で同情もした内容でした…。

 性根…下園「僕、ドーベルマンが欲しい!」
親「お金うんぬんよりも世話ができないだろ。もう今、一匹あんな大きいスピッツがいるのに。」
下園「そうか。なら、この犬がいなくなりゃ良いんだ。」

相手は生き物なんだから世話もできないのに飼ってはいけない…という話だったのに↑のように勘違いして、散歩に連れて行っては車にはねられやすいように車道を歩かせ、ニラやネギ、チョコなど犬に食べさせてはいけないものをご飯に混ぜ、果ては近所の貯水池に投げ込んで溺死させた経緯には、通りがかりの仁王様も思わず罰を当ててしまうほどフォローの仕様が無かった様子です。(「産まれたばかりの時には誰しも、まぎれもなくまっすぐな物なのだが…。」「ここまでが限度。ここからは本人の精進。」と「曲がった性根」を伸ばしてくれたが、わずかに神妙な気持ちになったのも束の間、また欲に突き動かされて犬をいじめ始めた。)原因不明の首から下の全身麻痺という状態で6年(!)も過ごして初めて自分の不遜に気づいて後悔したという様には、こういう人間って本当に、自分が「痛い目」に遭わない限り反省もしないんだなと改めて実感したものです…。

 布団…忍田「位牌は女子寮を造る際に出てきた物で、捨てる訳にもいかず、苦肉の策として開かずの間の天井裏に隠すように集めていたんだそうです。」

女子寮は昔、処刑場だった(おかげで土地代が安かったんです。)…という話はよく聞きますが、それならそれで供養ぐらいはきちんとしようよ(「開かずの間」にしたって釘で扉を打ちつけるだけじゃなく、南京錠をいくつもつけるとか、いっそコンクリートで壁に改築してしまうとか、色々やりようが有ったでしょうに。釘抜きを使わずともフォークで釘頭を引っかけると面白いように抜けてしまう作りでは「開かずの間」どころか「全開の間」になり果ててますよ。)と思わずツッコミを入れてしまったものでした。おかげでふざけたバカ女子の罰ゲームに使われて、心霊現象で済むどころか、うち2人は意識がハッキリしないまま両親に引き取られていったという経緯には、警備員による見回りを1時間毎にするとか、もっと「ヤバイ物を手中に隠している」なりの対応をきちんと行っていくべきだったな、と学校側の緩い仕組みにも溜め息が出てしまった話でした…。(これでイメージダウンは確実だな、経営陣…。)

 残滅…ユタ「これは誰にも祓えない。祓うには死人が多すぎるし、こんな呪いは見た事が無い。これをかけた人は自分の命を捨てて神罰を自分の呪いに利用してる。『神罰』なら呪いと違って、どんな巫女や霊能者も祓う事はできないから。」
宮チュー「高校の時に自殺した大森の母親は元々古い神官の血筋でね。娘がいじめで殺されたって知った時から、それに関わった人間を呪殺することに決めたのよ。でも、いじめっ子の親戚に霊能者がいて、その人が移植する方法を教えたの。呪いは凄く強くて祓えない。だったら他人に移すことで難を逃れるしかないって…2度でも3度でも完全に消えたって確信できるまでは色んな奴にやるの。私は今でも剣道部の原田君を横から盗んでいったアンタが憎いの。だからやったのよ。」
木暮「とっくの昔に他の男と結婚して子供までいるのに、くだらない理由でこんな事をするのね!」
宮チュー「いいのよ、くだらなくて。移すには最低でも『本気で憎い』と思う相手でないとダメなんだから!」

以来、木暮さんはたて続けに3人の男と関係して難を逃れた(「皆、昔付き合ったことのある人で、堕ろさせられたり、お金を騙し取ったり、殴ったりした人。」by木暮。呪いを移すには自分の血で相手の首筋に大森の名前(いみり)を書かなくてはいけない(吸い込まれるように消えたら移った証拠。)事を考えると「情事の後」なんて相手が首筋丸出し(ていうか全裸)で惰眠を貪っている時間という絶好の機会だった事だろう。)そうで何年も連絡していなかった昔の知り合いが突然親しげに訪ねてきたら、それは何か裏があると疑った方が良い様子です。(連絡を取り合わなくなった時点で、その人はもう「友達」ではない。「会いたい」のは人を利用して何がしかの利益を得たいからで、騙して捨てても何の罪悪感も感じない相手だからこそ自分が選ばれたというのが、悲しいながら事の真相である。)ホイホイと釣られるままにホテルまで行った男は3人共バカだったな、とも実感した話でもありました…。

「超」怖い話Z(ゼータ)

2009.05.25
 「超」怖い話シリーズ6作目です。「毎度毎度、締め切りボーダーラインの上の攻防と語っていたが今回は本当のボーダーラインもフェイルセイフも遙かに突破して臨死状態での発刊となる模様…」と書かれていた割には執筆分は共同著者の加藤一先生の倍近くあり、しっかり仕事してるじゃないですか、先生(むしろ他の人の2倍近く!)と思わず語りかけてしまったものです。この本では砂漠に埋もれかけている蝶の絵で(死んでますがな。)次のHでは燃えながら森を飛ぶ蝶の絵で(死ぬって!)東京伝説シリーズが女の子の絵だったのに対してこのシリーズの表紙は蝶の絵シリーズなんだな、と納得もした心霊物シリーズでした。

 忠告…沖田「30を過ぎると大体、自分が見えてきて…訳も無く死にたくなる時期でもあるんだよね。やりたい事、やれない事、そいつを考えれば、いつだって引き算なんだ。金も才能も何もかも自分には無い物ばかりで引き算人生。嫌にもなるよね。」

だから今になってから本を出した神戸連続殺人事件の少年Aといい、いい歳をしたオバサンになって就職活動もせずに無言電話に走っている、よしみつさんといい、30歳を過ぎてから異様な行動を取る人間が多いのか(いっそ、沖田さんのように「他人に迷惑をかけずに死ぬ」方向に走ってくれる方が、まだ救いようがあるのだが。)と納得してしまった説でした。首を吊った後、頭の中に話しかけてきた声に説得されて「生きる」事を選んだとたん、地面に投げ出された沖田さん(「ロープが切れたんですか?」「いや、持ち上げられて外れたみたい。家に帰ると両脇に掴まれた痣が残っていたんだ。」by沖田)文字通り「死ぬほど苦しんだ」事もあって現在では「あの苦しみに比べれば!」と小さな店も持って頑張っていらっしゃる様子です。

 T.S…友美「席を変えて貰ったら具合悪かったのが嘘みたいに元気になっちゃったんで恥ずかしかったわ。」
友人「当然よ。あれT.S(タブー・シート)だもの。あのシートの裏に成田山の御札が貼ってあったでしょう。事故死や病死した人が乗っていた席で極力、客は乗せないようにしてるんだけど、ゴールデン・ウィークじゃね。」

以来、友美さんは飛行機に乗ると真っ先に座席の下を確認するようになったそうです。(「あれから2回ぐらい見つけて席を換えて貰いました。結構あるんですよね。」by友美)離陸して2時間後から寒気が止まらず、体調不良を訴えていたのにスチュワーデスの態度がどこか変だった(「普通だったら病気を疑ったり薬を持ってこようとするでしょうに、どこか諦めているというか、仕方ないという投げやりな感じなんです。」by友美)辺り、教えてくれた友人以外のスチュワーデス全員がグルになって黙認していた(そのくせ料金は他の客と同じだけ取っていた。)事も窺い知れ「…。」と思ってしまった話でした。詐欺事件でもよく言われていますが本当に怖いのは手口を「知らない」ということだって本当なんですね…。

 忌外し…市太郎「忌み物(やると祟りや障りが起きると言われている演じ物。)をしたいけれど、とてもじゃないが縁のある神社へお参り出来ない。そんな時の知恵が『忌外し』なんです。四谷怪談ならお岩様、累が淵(かさねがぶち)ならお累様、牡丹灯籠ならお露様、と『主人公』の台詞を稽古時だけ逆様にするんです。もちろん初日の前には近くの神社にしっかり参詣しますがね。」

ところがいくらドサ周り(土砂降りになると芝居を辞めなければならないような「粗末な小屋で演じる芝居」とも「土間座席で見るような芝居」とも言われている。南は九州、北は北海道まで足を伸ばす大衆演劇一座の巡業のこと。)の芝居といえど「お怨み申しますえ」→「えすましうもみらうお」と単純に逆言葉でいうだけではダメで、口立てが基本の大衆演劇では同じ言葉でも「いぇすぅまし、うぉもみなうお」と微妙な抑揚や細かな所まで再現できなくては流れとリズムを重要視するドサの稽古にはならず、厳密には「忌外し」ができたとは言えないような状況の中、初日を迎えた結果、ラストでは場内を圧倒するような読経が始まり、仇の男は怨霊となった主人公に凄まじいまでの殺伐とした雰囲気の中で討たれた…そうです。(「いやあ、迫力だったねぇ。あの読経、いきなりでビックリしたけど誰のアイデア?」「誰もやっちゃいないです…。第一、小屋のスピーカーではあんな座席が揺れるような凄い音は出せないです。」by一座)そんな訳でこの一座、翌日からは普通の人情芝居に演目を換えたとの事でした。

 願解き…後藤「会社員をしていた時、ある政党から引き抜きがあってね。乗り気になったら、僕が前に勤めた議員さん(現在は大臣)が『絶対に後藤はやらん!』って横槍を入れたんだ。じゃあ会社員のままでいようとしたら、今度はまだ辞めてもいないのに『大臣に楯突く奴は怖いから戻って来てくれるな』って今の社長に言われて…3人も子供がいるのに、どうしてこんな事に。」
霊能者「願が解けてないわ。あなたのお祖母さん、あなたが生まれる時に『健康な子が生まれますように』って、お百度に近い参り方をしてる。それで『叶えてやったのに礼が無い』って神社の眷属が怒ってます。コップ酒で良いので、お供えしてお礼をしっかり言ってきて下さいな。」

そっか、お参りしたんだからそれで良しじゃなくて、願いが叶ったら「お礼」を言わなきゃいけないのか(所謂「お礼参り」という奴ね。それにしたって、その子が40を過ぎた年齢になってから、本人がした願かけでもないのに「礼はどうした!?」と執念深く呪いをかけるなんて、ギリシャ神話の神様みたいに人間臭い眷属さんだな。)と辻褄が合っている事に納得した話でした。↑のようにした所、翌週(早!)になると元・上司であり現・大臣である議員さんとの間を取りなしてくれる人物が現れ、彼は無事に秘書としてスタート(再就職)を切ることができた事情(本当に、超タイミング良く現れた取りなした人物だけの手柄なのか、憑き物が落ちたように怒りを収めた現・大臣の心境の変化なのか、何にせよ、このタイミングの良さは出来過ぎている。)を見るに、得心したと共に、無闇やたらと願かけするのも考えものだな、と感じた話でした…。

 血の丸…司「地獄チョークはね、自分の血でチョークを赤く漬けるのよ。そして呪いたい相手の所に印を付ければ良いんだって。そうすると色々な悪いモノがその家に集まって災いを起こすらしいのね。」
平山「でも、そんなチョークが染まるぐらいの血を出すのが大変じゃない。そこまでしてやる子はいないんじゃないの?」
司「…あたし、やったの。」

飼っていた犬を暴走族の青年に轢き殺されたのが悔しかったから…という理由で3か月がかりで水筒に血を貯め(ブタの血でも無かろうに、献血で使う血が固まらない薬も使わずに、よく「血を貯める」事ができたな。そんな物を皆で使う冷蔵庫に保存して3ヶ月も気がつかない親も凄いけれど。)4本作ったチョークのうちの3本を使って大きな血の丸を青年の家に描いたそうです。(「すぐにボロボロに崩れちゃって、3本使わないと円が完成しなかったの。」by司)すると本当に彼はトラックと正面衝突して死んでしまい、家族も引っ越し(一家離散かい!)家は売りに出された…が、血の丸を消したその夜から本人も一ヶ月間、昏睡する羽目になった様には、呪いは、かける方も気力と体力を使う物だ(ここまでの効果が出るほど抜群の成果を上げてはな…。)という説をまざまざと思い出したものでした。「人を呪わば穴二つ」という言葉にある通り、呪いなんてかけない方が正解のようです。

 裏鏡…叔母「念を込めた鏡を壁の中に封印し壁を通して映った相手を呪殺するんだよ。怖いよ、これは。見つかり難いしね。」
田島「聞いたら、その部屋からは数人の自殺者が出ていたんです。ところが皆、部屋の中じゃなくて外(ベランダの下)で死んでるから教える義務は無いって、敷金の返金はおろか壁の修繕費まで払わされたんです。」

おそらく呪いをかけた人間は最初の犠牲者(目的の人物)が死んだのを良い事に、後は野となれ山となれと裏鏡をそのまま放置したのか、最初から無差別殺人を狙って壁に埋め込んでいたのか(後者だったら嫌過ぎる。)のどちらかでしょうが、どっちにしろ何の関係も無いのに殺されかけた田島さんとしては迷惑な話だったろうな、と身近に「感じる人」がいた為に難を逃れた彼女(「ゴメンね、こんな時間に。アンタが危ないから今、絶対に電話しろってお婆ちゃんが凄くて…。」「おかげでビックリしてベランダからダイブする所が、部屋の内側に滑り落ちたよ。私、どうしちゃったんだか…!」by田島一家)の運の良さに拍手したものでした。やっぱり女の一人暮らしは色々と危ないな(心霊的な意味でも。)と実感した話です。

 方法とその効果について…上司妻「家内ですけど今日もお休み頂きたいので…。」
山上「目に見えて呪いの効果がハッキリ出てるんだから、効いてるのが嬉しくてなあ。思わず笑みが漏れたよ。オフィスに誰もいなくて良かった。多分、その時の俺って危ない人に見えたかもしれん。」

段ボールの梱包で上司の頭に「うっかり」とガムテープを貼り付けて(髪の毛を手に入れた。)百円ショップの紙粘土で髪を入れた人型を作り、筆ペンでフルネームと生年月日を書き、夜中の2時(!)にわざわざ墓場まで出かけて古い墓に埋めた…だけでは飽き足らずに自分の血をたらしてまで顔を描き、その後三日スパンで掘り起こしては手足を砕いたり、脳天から針金をねじ込んだりして上司が苦しむ様を喜ぶ様子(カッターで指を切る、画鋲を踏む、急に四十肩になる、に始まり針金を貫通した翌日からは病欠が続いた。普通はそこで気が済みそうなものだが…。)は、もう「危ない人に見えるかも」(推定形)じゃなくて、もはや「充分危ない人」(断定形)だろう、と作者共々ツッコミを入れてしまいました。(自覚はあるらしい、が…。)結果、最後には倒れてきた墓石の下敷きになって自分も大怪我をした彼。(「自分の血」で顔を描いちゃなあ…。)それでも「この程度の供物で呪いが完成するなら安いもんさ。」と笑う彼にこそ恐怖を感じてしまった話でした…。(「イカレてるね。」byうちの弟。やっぱり聞いた人全員がそう思うよな…。)

学園七不思議

2009.05.24
 絵柄が少女漫画風…!?(特に脇役キャラ)と絵の変化に驚くと同時に、つのだじろう先生が元々はりぼん→なかよしと少女漫画雑誌の連載経験を経てから少年誌に移行した漫画家だという事を改めて実感した本でもありました。(でもやっぱりタイトルといい話の内容はホラー系なのね。)この本も「恐怖新聞」同様テレビアニメ化されたそうで、人気のほどが伺える1冊です。

 第1話・君の名は…?…母「あさ子は朝早く来て美術室に花を飾ったり、良い成績を取るように頑張ったり、一年間も尽くしたのに、杉田先生に言われた言葉が…」
杉田「君の名は…?」
母「あんなに一生懸命愛してきたのに杉田先生は自分の名前すら覚えてくれないんだって悲観したあさ子は飛び降り自殺しちゃったのよ。」

1人で勝手に思いを募らせて、勝手に悲観して、勝手に自殺した女生徒の方にも問題が有れば(そもそも学校は恋愛する場所じゃなくて勉強をする所だ。)自分の制作に夢中で教え子の名前すら覚えていない先生の方にも問題があったな(挙句に交通事故で頭を打って死んだ事が原因で、化けて出ながらも全てを忘れていましたって…。)と微妙に思えた第一の怪談でした。幽霊となった後やっぱりあさ子さんの事は忘れていて記憶を失いながらも絵だけは描いていた辺り、この先生にとって大切だったのはやはり自分の作品だけだったのだろうと実感してしまった話です…。

 第2話・給食の栄養…父「何だ。給食に髪の毛が入っていた位で…食べたって死にやせん!世の中にはもっと恐ろしい食べ物が平然と出回っているのかもしれないんだぞ!」

そして髪の毛程度を気にしている娘に、奇形魚が出る養殖ハマチの話(魚を囲う網に貝や海藻がつかないように有害な薬を使っている。)やアメリカ産オレンジに使用されている防腐剤(毒性が強いからと使用禁止になっているのに日本ではその薬を使っていない物は輸入しないという規則がある。)大量に漂白剤を使用しているレンコン、ゴボウ、もやし(業者自身は「自分ではそんな野菜、気味が悪くて絶対に食べない!」と言っているのが本音。)一番酷いシソの葉(虫がつきやすいので強力な薬剤を使い、しかも洗い落とさないまま市場に出ている物まである。)の話なんかしたら、余計に食欲が失せるだろうな…と一気に拒食症が悪化した展開に納得してしまったものでした。医者曰く「霊が見えるのは一種の幻覚」(よくあること)だそうで、これは本当に原因が心霊現象なのか、神経質になり過ぎているだけなのかは疑わしい所だなと思ってしまった話でした…。

 第3話・黒板に何かが!?…増尾「私が悪いんじゃないわ!私だって毎日、毎朝お母さんに勉強、勉強っていじめられて、そのイライラであなたに当たったのかも…!」
桐生「そう…あなたのせいじゃない、と言うのね。自分の母親のせいだ、と。だったら母親も同罪だわね!」

なるほど、それはその通りだ。と、実行犯である自分のせいではなく、自分にイライラを与えた母親こそが諸悪の根源だ(だから自分は悪くない。)と責任を母親になすりつけた娘に出した結論に頷いてしまったものでした。娘をそんな人間に育てた母親にも責任は有るが(大体、娘が影でそんな事をして人1人死なせた事を気づいていないのに親として問題がある。最も匿名一家のように全てを知りながら娘に加担して素知らぬフリを始める親よりはまだマシだが。)それはそれとして「娘本人」が1人の人間をいじめ殺した事実には変わりはない。他の人間のせいだと言うのなら、その人間にも同じ罰を与えるだけで責任逃れは許さないという桐生さんの結論に拍手してしまった話でした。

 第4話・花ことばの怪…花輪みどり「もしチューリップ(恋の宣言、魅惑)とパンジー(私の事を考えて)とバラ(美、愛、恋)の花束を貰ったら『貴女は美しい女神だ。愛しています。僕の事を考えて下さい』か…ムフッ。」
園芸部員「あ~、無理無理。アンタが貰えるのは金魚草(でしゃばり、欲張り)とザクロ(バカ)と石竹(嫌い)の花束ね。」
花輪「つまり『アンタなんか、でしゃばりでバカだから嫌い』…って、こんにゃろ~!許さーん!」

「花は桜木、人は武士」(桜は美しく咲いてパッと散る。昔はそれを武士の潔さに例えた。)というように日本にも「花言葉」と言えるものはあったけれど、現代日本に伝わる「花言葉」はほとんど西洋文化の受け売りで中世ヨーロッパで騎士達が無言で自分の心を好きな女性に伝える風習から来ているという説明に、だから欧米諸国の男達は愛を告げる際にバラの花束(「あなたは美しい、恋しい人です。愛しています。」)を贈るのねと納得したものでした。(実際、現代でも愛の告白の際にいちいち相手を呼び出して「好きです!」と言うのは日本だけで、欧米諸国は「何でわざわざ言うの?」と小首を傾げているのだとか。←その代わり欧米諸国は普段からの「愛情表現」を欠かさないから「言わなくても分かる」が成り立っている面もあるそうですが。)話では花の妖精にとり殺されてしまった花壇荒らしの犯人ですが、同じ人間でも他人の厄介事は知らんふりを決め込むのに、花だけがそこまで他人に義理固い訳も無く、こんな「事故」は著者自身見た事も聞いた事も無い(自分で言っちゃいますか、つのだ先生!)というフィクション満載のストーリーでした。

 第五話・地底からの声…母子霊「二人の人間が私達の運命に引き込まれてくれたおかげで、私達は永い地縛から解かれ『あちらの世界』に行けることになりました。ありがとう!」

自殺・事故死などで「地縛霊」になってしまった霊は他の人間を自分と同じ事故に引きずり込まないと霊界へは行けない…けれど犠牲者を出してまで行けるようになる場所はもちろん「地獄」だというオチにはもう溜め息しか出ませんでした。(空襲による死者でも死因は爆撃で通気口が塞がれての「酸欠による窒息死」だから「再現」はしやすかったんでしょうけどね…。)あの母子はあちらの世界についた所で、ただ移動ができないだけの今までより余計に苦しむ羽目になった様に今頃後悔しているんだろうなあ、と色々考えてしまった、そんな話でした…。

 第六話・一番奥の扉…佐和山先生「霊能者は神様ではありませんからね。どんな霊魂にも必ず勝つというわけではありません。悪霊が強ければ霊能者が負けて憑依されてしまう事も、時には命を落とす事だってあるんですよ。」

まあ、新聞の折り込み広告に宣伝を入れているような霊能力者じゃたかが知れてるわな(「特別霊障相談室!霊魂の事、悩みごと、何でも直々に相談を受け付けます!」ってどんだけ軽いノリで霊能者やってるんだ、この人は…と思わず吹いてしまったものです。一応霊の正体を暴いた辺り「視る力」は本物だったらしいですが、多くの霊感のある人達と同様に「見えること」と「徐霊できること」とは別物なんですよね…。)と「負けた」理由は納得できたものでした。最後の「私にとり憑いたんですよ!」というお約束オチには終わり方を予測しながらも頷いてしまったラストでした…。

 第七話・狐火…祖母「狐が人間の骨を咥えて走ると、骨の中のリンと狐の吐く息が混ざって火が燃えるそうな。狐の嫁入りの時には狐火が行列して見える…わしらはそう教えられて育ったんじゃ。」

それで火の玉を狐火っていうのね…と、また一つ日本の怪奇現象の由来が分かった話でした。ちなみに早稲田大学理学博士・大槻義彦教授の著作「火の玉の謎」(多分「地獄先生ぬ~べ~」に出てくるプラズマ男・大槻先生はこの著者から取ったのだろう。)によると最も有力な説は、郵便受けなどに使う小さい蛍光灯を水を少し張った小鉢に入れて電子レンジにかけると光る雷放電(プラズマ)説だそうで、蛍光灯が光を放つ原理(プラズマの発生)と同じ=火の玉はただの蛍光灯の親戚だという説明にすっかり緊張感を失くしてしまった生徒達。火の玉が物理的に説明できる現象でも、それで集団催眠や精神錯乱は解決できないのだから下手に異常現象に近づかない方が良いのに…と思わずツッコミを入れてしまった話でした。

<青嵐学園編>
恐怖新聞といい、PSI霊査室といい、この作者が描く心霊シリーズ物の主人公(またはヒロイン)は必ず最期に死ぬ羽目になる運命なのか(元々「七不思議を全部知ってしまうと死ぬ」という俗説はあるから、ある意味「正しい展開」なのかもしれないけれど…。)各話のストーリーテラーとして全話に登場していた主人公が最終話で幽霊に憑りつかれたまま車に撥ねられて死んでしまった様には登場回数の多いおかげで慣れ…もとい好感を持っていただけに残念に思えた終わり方でした。あるいは彼女を生かしておいたが最後、連載が続いてしまうので「七不思議」のはずが八話以上になってしまうという配慮だったのかもしれませんが…。

 その1・13非常階段…月影明子「一滴の水も集まれば大洪水となり頑丈なダムをも破壊するエネルギーを持つ。火も集まれば熱を発し大噴火と共に街をも埋めてしまう。大地は移動しそのエネルギーで大地震を起こし、目に見えない小さな細菌が伝染病を起こす…。」

そうやって「塵も積もれば山となる」…のなら「あの13階段は不吉だ!」という皆の思いも積もり積もれば魔界の者を呼び寄せてしまうほどに効果を発揮してしまう事だろう(そういえば「学校の怪談」でよくモナリザの絵が不吉だと言われているのも、嘲笑を浮かべている彼女に不快感を感じる皆の念が絵の中の彼女を「イメージ通り」に動かしているという解釈の話が「地獄先生ぬ~べ~」で描かれていましたっけ。)と人の念の強さと合わせて展開していた話でした。せっかくの除霊も「させてしまえば噂を認めたことになる!」と保身大事の先生によって止められてしまいましたし、この非常階段での事故はきっとまだまだ続くのでしょうね…。(避難訓練の時どうするんだ、この学校?)

 その2・理科実験室…日暮今日子「お願いです。この教室にある手首の標本を探すのを手伝ってくれませんか?ただし誰にも絶対に秘密ですよ!もし誰かに話したら許しませんからね!」
一条「失礼よ、1年生!私は2年生よ。あなた下級生でしょう!それに他人に物を頼むのにそういう言い方は無いでしょう!」
日暮「バカな事を!あたしの方がずっと先輩だわ!」
一条「どんだけ留年したのよ、あなたは!?」

いやいや、神出鬼没のその様に、2階の自室の窓の外に立たれる前に、壁をすり抜けて部屋に入ってこられる前に、もっと早くに幽霊だと気づこうよ!と思わずツッコミを入れてしまった主人公の様でした。結局、不法侵入を果たしてまで見つけた手首の標本は日暮さんの物ではなかった(「アレは手首に出来た年寄りの皮膚ガンの標本で、『珍しい大凶の手相だったから人身事故で自殺した彼女の遺体からコッソリ取って行った』なんて全部デタラメな噂だったのよ。」by一条みずき)というオチには無駄に苦労した点と合わせて主人公にも同情したものです。日暮先輩の自殺の原因も受験の悩みだったそうですし、思うに生きている頃から頭の悪かった人だったんだろうなあ、としみじみ思ってしまった話でした…。

 その3・机文字の怪…新聞記事「宿直を監禁!覆面の数人、校庭へ447個の机を運んで下書き無く正確な9の形を作る!余った机は一つも無し!」

…で、建造物侵入・逮捕監禁をしてまで覆面の数人は一体何がやりたかったのか?きっと宇宙から変な電波でも受信していたに違いない、という解釈かこの話では宇宙人に攫われた生徒を返して貰う「目印」の為に「机で丸を描いた」という話になっています。(アレ?「怪しい話」に違いは無いけれど、幽霊が心霊現象を引き起こす一般的な「学園七不思議」から外れてしまっているような…。学園が舞台で「不思議な話」なら何でも有りなのか?)でも、それはつのだじろう先生の解釈(「実は青嵐学園でも似たような信じられない事件があったんです。」by一条みずき)であり実際の↑の事件の真相は分からずじまいで終わっているらしいです…。

 その4・猫足の墓…墓地管理人「縁起の悪い墓相?色々あるけど、一番どうしようもないのが先祖代々の墓がありながら子孫が放りっぱなしにしているケースだな。先祖霊が怒って本来護るはずの子孫にバチを当ててくる。こういうのを『戒告現象』って言うんだ。」
一条みずき「ヤバイなあ…。あたし、うちのご先祖のお墓がどこにあるのかも知らないよ。」
一条父「人間は死んだら土になるんだ。墓なんて生きている身内の気休めみたいな物で死んだら皆ホットケ(放っとけ)様だよ。」

お墓の研究家・鹿島大賢の「墓と開運」によると、「自然石のお墓」は昔から家が絶えると言われて嫌われており、「酒の一升瓶型」「将棋の駒型」とかの変わった形の墓は子孫が恋愛トラブルを呼びやすい色難の凶相、「猫足の墓」は破産や跡継ぎの家出や主人の病気など最も凶相の確率が高く、「普通の一般的な墓」でも土台石が崩れていたりめり込んでいたりすると水難を呼ぶ…そうです。自分の家は四角い普通の形で毎年の墓参りも欠かさず行っていて本当に良かった(しかしペット霊園の方の墓参りは忘れて本当に黒い影を見たり、風も無いのに鈴の音を聞いたりした。墓参りに行ったとたんに治まった、という事は…。)と感じたトリビアでした。もう本編の骨を齧る少女の話など、どうでもいい(オイ!)。プラズマ現象の本といい、この作者が本当に色々な本を読んで研究している事に感心した話でした。

 その5・保健室の血痕…医者「虫垂炎をこじらせて酷い腹膜炎を起こしていました。その上ストレス性胃潰瘍で吐血したんです。もう少し病院へ連れておいでになるのが早ければ助かったかもしれません。残念です。」
新沼先生「私は一般の腹痛だろうとタカをくくってお腹を温めさせてしまった。その為に出血も酷くなり炎症をより酷くしてしまった。私があの子を殺したんです。」
月影さん「現実にはその時お腹を冷やしていても助かったとは思えないんだけれど…。」

一体誰が一番、静さんの死を後押しした(彼女を死に追いやった)のかというと↑のような状態で弱っていた所を腹をかっさばいて開腹手術をした医者だろうな、と私も頷いてしまったものでした。お腹を冷やした所で盲腸は治らない。「もう少し早く連れて来て」と言っても↑のような段階まで進んでしまった後で、もう5分10分早く来た所で事態が変わったのかは微妙な所だな(もう少し早くって「あと2、3日早く来て」って意味だと思いますよ?)その時保険医が投げやりな対応をしていたことは認めるけれど「原因」が彼女ではなかったからこそ当の生徒も成仏しているし、母親の呪いは逆恨みに過ぎない(ぶっちゃけ呪う相手を間違えている。)でしょうと納得ができた話です…。

 その6・人喰い岩…祖母「誰も水死した所を見た者はいないし死体も上がらない。だから行方不明扱いで葬式もしておらん。それでは水死者の霊魂が浮かばれんのは当然じゃて…。」

誰もその人が死んだ所なんて見ていないのだからと家族は生きている事に賭けて「行方不明」扱いにしているけれど、本当に生きていたら家族の前に姿を現すはずで、ロクに手持ちの金も無い=飲まず食わずの状態で何日も過ごしている(現実的に考えて、生きていればあり得ない状況が発生している。)という時点で諦めるべきではあるんでしょうね。一般的になじみがある葬式が「顕斎」(生きている人間が死者と別れる為の葬式。)死者を霊界に導くための葬式が「幽斎」(霊界の霊魂達に「この死人をお願いします」と神式の祭壇をこしらえて頼む、霊界への根回し。)というのと合わせて詳しく調べられてるなと思った話でした。

 その7・青色のピアノ…千草「指先を包丁で切った位じゃ大切な大会を前にして不注意だと皆にそしられる。交通事故なら不運、可哀想と同情してくれるはず!」
一条「千草さんは車に軽くはねられて手首捻挫とか、その位のつもりだったらしいけど…軽く当たって倒れた所へ、後から追い越しをかけてきたトラックに轢かれて左腕切断という重傷を負ってしまったんですって。」

現実には自分の思い通りに動いてくれる人間すらいないのに、ましてや「急には止まれない」車なら尚更の事でしょう…と千草先輩のバカさ加減に思わず呆れた話です。(そして万が一、思い通りの怪我を負えた所で「大会を前にして急に道路に飛び出すなんて不注意だ!」と皆にそしられるのは免れないと思うぞ。)実力不足で「賞が取れない」という自業自得をどうやって「他人のせい」にして責任をなすりつけられるかと狡い事ばかり考えるから、本人が自分で言っているように天罰が下ったのだろうとツッコミも入れてしまいました。挙句に「2度と満足にピアノが弾ける体でなくなった」事に自棄を起こして怪我が治ってもいないのに病院脱走→片手でピアノを弾いて傷口が開く→出血多量で死亡というマヌケな死に様には言葉も出なかったり…ゲフッ!

いま、殺りにゆきます2

2009.05.23
 警察は目の前で起きた犯罪や、やたら自分の成績に反映するような事例だったら頑張るけれど庶民の一人暮らしの女性の警護などという事件には全く興味を向けない。それよりは駐車違反やスピード違反、飲酒運転をセコセコ摘発する方がよほど「成績」になる(何しろ各警察署ごとに摘発の割り当てがあり無理にでも違反者を血祭りに上げないとボーナスが下がる。)ので、そっちが忙しく使い物にならない。(少しでも余計な仕事をしたくない、その気持ちは分かる。けれど、それが仕事で、それで金を貰いながら「早く守ってくれる彼氏が見つかるといいね。」という対応はさすがに非常識だと私も思った。)という事は自衛以外に手段は無いのです。ストーカーの主成分は負け犬根性です。人生において正々堂々と戦う事もできない臆病者だから自分より弱い者の血と悲鳴と涙が必要(つまり「同じレベルの人間相手では勝てない」から弱い相手ばかり狙っているのね。)で犯罪行為を行う事で自分を一時、理想とする強者になれたと錯覚(陶酔)しているダメ人間なのだから、手口を知って対応していけるようにという後書きに今回も力強く頷いてしまった1冊です。下手したら「東京伝説」シリーズよりタチが悪い話の数々には読みながらゾッとするばかりの本でした。

 3890円…マユミ「男って本当は『女』よりも『自分の話を真剣に聞いてくれる相手』を探してるのよ。だからこの客は絶対にモノにするって思った時はグラスが空になってもワザと注がないの。話に聞き入って忘れた位の『小芝居』を見せた方が食いつきが良いのよ。」
男「結局お前はお金だろう。お金の為にしてるんだ。だから今日はお前に一杯あげようと思って…それにちょっとトンチが効いてるし、10円貯めるのがどんなに大変な事か、これで分かるやろ。」

そしてグラインダーをかけてギンギンに切れるようにした10円玉を全部で3980円分彼女の口に詰めた後(398枚分もそんな事をするヒマがあるのならバイトでもして普通に10円(以上)を稼いでなよとツッコミを入れてしまいました。)にガムテープで口を塞いで顔を揉みしだいた、おかげで硬貨が皮膚を裂いて突き出すだけでなく歯まで折れて翌朝には顔が破れたカーテンのようになっていたという様には思わずゾッとしたものでした。最もそこはプロの女、知り合いのヤクザに(枕営業手法で)頼んで全てを終わらせた(おそらくはそのダメ男の人生を終わらせたのだろう。)様にはたくましさを感じたものです。(「分かるでしょ。警察なんかより信頼できるあの人達の方がその手の事は早いもの。」byマユミ)という訳でキャバ嬢だろうが風俗だろうがやっぱり「プロの女性」には手を出さない方が良いんだなあと改めて感じた話でした…。

 くちゃくちゃちゃん…叶「人の部屋に不法侵入してきて、ナイフで脅して体中を噛んできた男は逮捕はされなかったんです。」
警察「彼には精神科の入院歴があるから起訴は難しいんです。貴女につけた歯形は軽傷ですし、逆に貴女が彼を刺したナイフが肺に達していて重体であることを考えると、むしろ貴女の方が過剰防衛で訴えられる可能性があります。」

コンビニの客の中で気に入った女性がいると彼女達が出した宅配便や公共料金の領収書から住所を調べ出しては付きまとい、時には不法侵入までする変態男なんて、いっそ死んでいてくれたら良かったのにと重体であっても命は助かった(らしい)様には心の底から残念に感じた変態男でした。しかしいくら住んでいるマンションから歩いて2分(変態が身近にいる場合、逆に怖いな、その距離。)であっても距離的に便利だからとその男が務めるコンビニに通い続けた彼女の方も甘かったな(車道側から中を覗いて男がいると入るのを辞めた…とはいえ「かなりの頻度で目が合った」そうでしょっちゅう覗いては入店を辞める女性=他の店がある場所よりも近所に住んでいる女だという事は大体推測できたんでしょうね。)とも感じた話でした。変態が身近にいる場合(そして目をつけられたと感じた時)は即引っ越しを考えるのが、やはり一番安全な対処法みたいです…。

 自作ビデオ…アズサ「業界にはね、タレントの住所をこっそり売る奴がいるのよ。それで小遣い稼ぎしてる奴がね。私みたいに足を洗っちゃった人間は一番のターゲットなのよ。」

そこそこのAV女優レベル(壇蜜のようなアイドルではない。)だと別に事務所が守ってくれる訳でもない、警察は「職業AV」というだけで被害届もマトモに受理してくれない、ヤクザの人達は義理をかけると後がややこしくなる場合も多いから(大体、AV女優を辞めた後の、今の自分にストーカーがつく理由もないだろう。)と、歯ブラシが逆様に入っていたり、トイレットペーパーが斜めに破られたりの「他人が部屋に入ったサイン」を全部見逃して、ついにはナイフで脅されながらコンドームを被せた電球を入れられて割られる羽目になったアズサさん。(拷問で、剃刀を入れたガチャポンのカプセルを何個も「入れて」腹の上でブギを踊るっていうのが有ったのを思い出しました。by「ダイナー」)こんな事なら「ほとぼりが冷めるまで都心で暮らす」(親の借金を返しながら弟妹に送金するほどの大金を女の身でどうやって稼いでいるのかは深く考えなくても地元民には分かる。)のではなく、恥を晒してでもサッサと田舎に帰っておくべきだったな、と涙ながらに思ってしまった話でした…。
 
 アメちゃん…チヅ「2時間ほどカラオケで歌っていたら手にナイフを持った大男が入ってきてテーブルに手錠で繋がれたの。」
店側「警察が入れば指紋を採ったり操作をする間、部屋が使えなくなる。通報するならその分を保証しろ。」
チヅ「そんなお金無いし。私達も学校バックレ(早退)して来てるから親にバレたらヤバイし。」

結局、ナイフで脅されて顔を舐められてと「被害を受けた」のは女性側の方だったのに(手錠は簡単には切れず、仕方なくハンズまで店員が鉄鋸を買いに行き、それで切断した。)延長料金の二千円を払って黙って出てくる羽目になった彼女達。(その前に学校サボってまでカラオケに行くなよ。おかげで制服の着替えが無い→有名チェーン店だと通報されたり入れてくれない→防犯カメラの無い場末のドリンクセルフ店(店員が部屋まで運んで来ない。つまり決して部屋には入ってこない。)に入ったから、こんな事態を招いたんでしょう?)それ以来「学習」して防犯カメラのある有名カラオケ店にしか行かなくなったとはいえ、普通に規則(学校生活)を守っていれば始めからそんな事態は起こらなかった事を考えると微妙に思えた話でした。取りあえず制服で出歩くのは(どこの学校に通っているのか即バレの服だし)普通に辞めなよとツッコミばかりが入った話です…。

 上映中…片岡「映画は3時間を超える超大作で、一刻も早くラストが知りたかった私は1人でオールナイトに出かけたんです。いつもは食べないんですけど今日は雰囲気が重要だと思ってジュースとポップコーンまで買って…」

「魔法の指輪を巡る映画」という触れ込みから「ロードオブザリング」シリーズか(「ハリー・ポッター」シリーズもそうだけど、6時間前から並ぶ人が出るほど、100人以上の人間が列を作るほど、アレってそんなに面白い?いや、否定はしないけど普通に昼間上映を待とうよ。)とピンときました。そして冷たいジュースと固いポップコーンを食べてお腹を悪くした結果、説明が延々と続くシーン(物語が停滞したと感じた時)でトイレに駆け込み、そこで女装した大男に襲われた(従業員のほとんどは客入れが終わると同時に帰ったらしく売店にも誰もいなかった。)妙な薬を飲まされて気がついたら全裸の上に丸坊主にされていた(劇場のスタッフのユニフォームを借りてなんとか家には帰れた。)有り様にはだから、夜中に女1人で出かけるのは辞めなさいって!と妙に当たり前のツッコミが入ってしまったものです。夜中の女の一人歩きはたとえ屋内であっても危ないと実感した話でした。

 おサイフ君…サチヨ「お金が無いアンタなんか首が無いのと同じよ。この先も私と付き合いたいって言うんなら数千万もする毛皮買ってよ。それを買えないなら、もう会わないわ。」
相手側弁護士「詐欺と脅迫未遂で訴えますよ。事実、彼は盗んだ会社の金で貴女と付き合っていたんですから。あなたが彼を精神的に脅迫して会社の金を横領させたんです。」

おかげで食事に薬を混ぜて体の自由を奪い、毛皮に沢山取り付けた剃刀で全身なます切りにした上に口まで裂いても雀の涙のような額で示談になったこの話。(多分、そんな真似をするほど「精神的にキていた」(責任能力なし)というのもあるのだろうけれど、物は言いようというか有能な弁護士がいて良かったな、この変態男は。)警察に通報しようなら評判をガタ落ちにさせる分の慰謝料を請求させて貰いますと惨劇の現場となったホテル側からもやんわりと脅され、結果として彼女は(自分の方にも弱みがあるだけに)警察に訴える事もせずに泣き寝入りしたそうです。しかし↑のような事を言う女なんて惨劇に走る前に普通に別れれば良い話(数千万円の毛皮を贈らなくても付き合ってくれる女はきっといる。たとえ次の女が相も変わらず金目当てでお財布君としか彼を見ていなくても「毛皮レベル」はそうそういないだろう。)で、男の方も女の方もバカだったなと感じた顛末でした…。

 天使の羽…カズエ「母親とケンカしてムシャクシャしてたから、そいつにナンパされた時も、まあいいかって感じてついてっちゃったんだ。バカを相手にバカな事をして、アンタの娘はこんなにバカなんだよって親に復讐してるつもりだったんだ。」

なるほど。それで、よしみつさんも無言電話が親にバレた時に辞めるどころか叱られたその日から連日かけてきた訳か(よしみつさんは、バラした私に嫌がらせをすると同時に、影で親の立場を悪くする事をして、ほくそ笑んでるつもりだったという訳か。)とバカ女の心理に納得したものでした。結果、頭がバカな行きずりの男相手に、出会ったその日にラブホテルに入るというバカな事をしでかしたおかげで、気を失うまで首を絞められた後、背中に焼けたアイロンを押し当てられて天使の羽のような火傷が残ってしまった彼女。(望み通りにバカな目に遭ったんじゃないか。嘆く必要も無いだろう。)当然の事ながら、一番犯人が捕まり辛いケース(前々から怪しいと思っていた「近所の変態」なら話は早いが、その日まで会った事も無い住所も分からない人間だと見つけるのも大変。)故に、未だに犯人は捕まっていないそうです。

ふりむいてはいけない

2009.05.22
 「怖い本」シリーズの番外編みたいな本です。取材相手から「私、死んだら化けて出てもいいですか?」とよく言われて、そのたびに「もちろんですよ。歓迎します。思いっきり凄い感じでやってきて下さい。」と言うと相手は大概、嬉しそうな顔をする。そして、そういう反応を見ていると「幽霊も寂しいから色々かまって貰いたくて現世に現れるのかも」と思ってしまうという作者の言葉に、だから「幽霊に出会ってしまった時は出来る限り無視した方が良い」というのは本当なのだろう(怖がったり「反応」が返ってくるのが、おそらく一番嬉しいのだろう。)と改めて思えてしまった、そんな説得力のある前書きでした…。

 人形…藤田「うちが不幸続きになったの、全部アンタから貰った人形が来てからなんだけど、どこで買ったの!?」
親友「実は、お墓にあったのを盗んできたの。憧れの彼が貴女の事を好きだって分かって、死んじゃえば良いと思ったの…ごめんね。」

ゴメンで済むか、ボケ!(そこは友人である自分の立場を利用して「私達、友達よね。まさか友情を裏切って『親友の好きな人』を横から奪ったりしないわよね?」と牽制をかける方が、祟りを利用しての抹殺計画を立てるより、はるかに話は簡単に片付いたと思うが。)とツッコミを入れると同時に、姉の娘が喘息で死にかけたり、母親が10円玉のパイルから飛び出したコインで角膜を傷つけ失明寸前の事態になったり、火の気が無いのにボヤが起きたり、不幸になってはいるものの、本人の命に全く別状は見られなかった事態(結局、目的は全然達せられなかった。)に呆れる事しかできなかった話です。また、憧れの彼が「ちょっと気がある」だけの相手(別に藤田さんに告白した訳でも付き合い始めた訳でもない。)に↑のような事をする性格の悪い親友に何で自分が選ばれなかったのか、一度よ~く考えてみた方が良いんじゃない?と思わず語りかけてもしまったものでした…。

 Wデート…カナエ「廃墟に行った後、事故で死んだ2人は今どうしていますか?」
霊能者「一緒だね。2人共一緒にいる。」
カナエ「ああ。良かった。」
霊能者「良くはないよ…。地獄に落ちているからね。」

いくらデートでも、Wで行う事で人数がいても、一家心中した跡の真夜中の廃墟なんて行くものじゃないな(結局そこで見つけた「不気味な絵」を蹴って小便をかけた彼氏カップルは交通事故で亡くなっているし、自分達は車全面に「すごく死ぬ」と落ちない落書きをされた心霊現象を思い出すのが嫌で自然と別れてしまった。カップルの絆を深めるのがデートなのに、おかげで恋愛関係自体がぶち壊しになってしまっては意味無いよな…。)と改めて納得してしまったものでした。霊能者曰く自分も自分で「まだ業が取れていない」(今、死んだらもれなく地獄行き。)そうなので、つくづく人が死んだ所に遊びで行くものではないと思い知った話です…。

 トンネル…則和「小坪トンネルに行く時に乗っていたのがボルボだったんです。あれ、幅広じゃないですか。だから民家の壁をギリギリで避けたり、片側が崖の所を通ったりする時は本当マジでシャレになんなかったっス。」

微妙に海岸線を飲み込んだ逗子一帯は一度、幹線道路を外れると、どんどん細く迷路のような道に入り込む。そんな片側2車線は取れない道だから後続車が来ても追い越させてあげる事は不可能(だって道幅が狭くて車2台が並べないんだもん。)という道路事情の元に自分達がスピードを上げるしかない…結果、追突するような勢いで迫ってきたトラックに、ハイビームでなぶられるような状態(車高が高いトラックは真後ろに迫れば迫るほどヘッドライトがモロに普通車の車内に入ってくる事になり、車内が明るくなる分、暗い外への視界が利かなくなる。)で走り続けた、というのは下手に幽霊を見るより恐怖を感じた体験だったそうです。トンネルを抜けたとたん完全に首の曲がった女が運転していたトラックが消えた事から、あの車は幽霊だったと分かったそうですが、それよりも間違えてタイヤを落としたら海まで一直線だった途中経過の方がよほど怖いと感じた話でした…。

 コーヒーカップ…ミク「何を睨んで来てるのよ。お前、関係無いんだよ…ってお湯入れてやったんだ。」
彼「お前、どうしてくれるんだよ…姉ちゃん、火傷したってよ!顔半分!」

男には元カノを記「録しておきたい派」と「完全に忘れてしまう派」とあるそうで、「記録しておきたい派」はメモやプリクラはもちろん彼女からのプレゼントも後生大事に取ってあるらしく今カノに見つかった日にはもちろん痴話喧嘩に発展するそうです。しかしそれも「元カノからの贈り物」だからこそ「ありふれた話」になれるのであって、何で実の姉からのプレゼント(コーヒーカップ)が「過去の女の物」として嘘をついてまで大切に保管されているのか、何でそのお姉さんの生き霊は「実の弟の彼女」を敵意満々の目で睨むのか、ぶっちゃけて言えば彼氏は姉貴とどんな関係だったのか、別の意味で背筋が寒くなってしまった話でした…。別れられて正解でしたね、そんな男。

 ドビンちゃん…土瓶「今、店の者が来ます。すぐ頭のお医者にかかるよう勧めて貰えませんか。このままでは頭が馬鹿になるのです。」
祭主「話しようがないじゃない。いきなり『あなた、頭の医者に行った方が良いってこの土瓶が言ってますよ』なんて言ったら…自分が行けと言われるに決まってる。」

じゃあどうすれば信じて貰えるか、と思いついて「この陶器の作者は亡くなってますね。この方も。この方も。」と全て言い当てて「自分の能力」が確かなことを見せてから↑の話を伝えた(「怒鳴られたら店を出よう。それ以上は出来ない。土瓶ちゃん、ゴメンなさい。」by祭主。)祭主さんの気転の良さ(と、できる限りの事をしてくれた優しさ)になるほどと思った話でした。能力が本物でもあまり人には見せられない事情(「最初は叱られて、当たると今度は嫌われるのよ。まるで私がバイ菌や不運をその人になすりつけたみたいに思われるの。」by祭主)と合わせて感動したものでした。店主に信じて貰えて良かったね、ドビンちゃん。

 ほくろ…タエコ「そのマジックのほくろ、明日も顔に着けておかなかったら増やすからね。」
カツミ「…ねえ、先生とかに言った方がいいよ。大人しくしてるから余計にエスカレートするんだよ。」
クロ「ダメ!言わないで!分かったら、お母さんが悲しむから。お父さんは死んだし、あたしまで哀しい子になったら可哀想だから…。」

黙って我慢さえしていれば、いつか終わるかと思いきや、中学校でもイジメは続き、高校でもそれは継承されていた(私立高校など望むべくもない母子家庭ではイジメっ子達も皆行く、電車賃のかからない地元の県立高校に入るしかなかった。)恐ろしい事に小学2年生の頃から彼女が高校を退学する17歳の時まで9年間(!)もそんな状態が続き、改善されるどころか酷くなるばかりだったという様に、同じように年単位で無言電話を続け、「黙っている」と毎週木曜→逆ギレした時など一日2回もかけてくる(▲▲さん以下、周りの人間に伝えない限り止まらない)よしみつさんを思い出したものでした。(彼女もまた、職場にまで無言電話かけてきたり、IPアドレスを勝手に使ってブログを消そうとしたり、「放っておくと、どこまで行くか分からない」面があったしね。いじめっ子って皆こういう奴なんだな。)話にもあったけれど、この手の人達って「周りに知られない限り」はエスカレートするばかりなんだなと改めて認識したものです。(警察に教えて貰った通り、質問箱でも2ちゃんの掲示板でも何でもいいから「人目を増やす」のは実は非常に有効。警察の皆さんも犯人を捕まえる事は出来なくても空き巣多発地帯はパトロールの回数を増やしたり「人目を多く」して犯罪を犯し辛い状況を作っているそうです。)

 ノン…友達「1週間、海外旅行に行くから、その間だけ猫のノンを預かって!」
浅井「ねえ、このお土産、メイドインジャパンのシールが貼ってあるんだけど…。」

預かっている間、当の猫は上下逆さの女の顔の形に壁に爪痕を作り(辞めてよ、人の家の壁に。)、寝ている間に女の霊が出てくるという恐怖体験をした後、引き取りに来た友達から貰ったお土産は↑のような様、数日後には彼女から申し訳程度にお金の入った封筒(慰謝料のつもりか?)が届いた辺り、「実験台にされたみたい」ではなく、この友達は確実に全て分かった上で「実験台にしていた」のだろう、と確信が持てました。困っているから助けてあげるのではなく「何故、普通にペットホテルに預けないのか?」(何なら、その分のお金を貸してあげるよ。)という当たり前の疑問の元に、安請け合いをするべきではなかったな、とお人好し高じて騙されている(おかげで不必要に怖い思いをする羽目になった)浅井さんにツッコミを入れてしまったものでした。

爆れつハンター①~⑦

2009.05.21
 中学友人(匿名の中学時代からの友達。)の部屋に有った本で、理髪師さんからも色々と話を聞いているし、彼女に関して語るかどうか悩んだのですが、色々あった上で「泣き寝入りすることを選んだ」のは理髪師さん本人だし(それは私ではなく彼女達の問題だ。)、今でも無言電話女の匿名と仲良くお友達をやってはいても、少なくともこの女は▲▲さんのように急に友達面して人を騙そうとはしなかった(年賀状の返事もせず見て見ぬふりを始めたけれど、私の側に干渉しない「他人」の立場は守った。味方の顔をして人を騙してほくそ笑む▲▲さんに比べると、同じ「匿名の一味」という点では50歩100歩でも、ストーカー女に加担もしないその50歩分だけ評価には値するかと思い直した。)と割愛して純粋に作品の感想だけ語っていくことにします。

 キャロット・グラッセ…ボンバー「あの、あたしで良ければ是非つき合って貰いたいんです!(花火を筒の奥に押し込んで点火する役に!)」
キャロ「もちろんさ!さ、2人だけで、どこか静かな所へ行こう!」

結局の所、騙したつもりがチョイと騙されて(俺がそ~んなにモテルわきゃ無~いよ♪って歌があったなあ、クレイジーキャッツで…。)相手にはされていなかった訳ですが、彼があれだけ可愛いショコラやティラに触手が動かないのは「うる星やつら」の主人公と同じく「逃げる女だから追いたくなる」(迫ってくる彼女達だから追う必要性が無く、体裁だけ嫌がるポーズを取っている。)だけで本当は多少なりとも憎からず思ってくれているのではないか、と信じたかっただけに「彼女達以外の女なら誰でもOKだった」という結論には、ちょっと…少し…割と…かなり、ガッカリしたものでした。(結果として彼には誰も引っかからないから良いだろう…ではなく、いくら節操が無くても、その位の「お約束」程度は守ろうよ…。)破壊神をその身に宿しているせいで、つかまったり攫われたりするお姫様扱いをされている他は、あんまり共感のしどころが無い主人公だなと思ってしまったり…。

 ティラ・ミス…ショコラ「アンタ意外と不器用なのね。」
「ショコラさんは上手いアルね。手つき良いアル!」
ティラ「要するに食材を切れば良いんですわよね。つむぎ糸の威力、ごらんあそばせ!」

普通は糸を使って切る方が包丁で切るよりも難しいんですけどね。(不器用なんだか、器用なんだか…。)ともあれ、根暗系女子の唯一のセールスポイントである家政婦能力の高さ(無駄なプライドの高さ(保身)から肉食系女子のように話術や媚態で積極的にアプローチする事が出来ないので、必然的にそこしか売りこめる所が無くなる。)も無いなんて、どこまでも良い所の無い女じゃないか!と「恋人」でもないのに彼女面して彼氏が他の女の子と近づいただけで怒って鞭打つ(それは他人の自由恋愛で、告白すらしないアンタに責める資格は無いと思うよ。)姿に、扱い辛い女だなあ~と引いてしまうばかりのメインヒロインでした。普段(本来の性格)は内気で淑やかな女子のポーズを取っているけれど、あれだけ激しく女王様をやっておいて「私、本当は内気なブリッ子なんですう~。」って言われても説得力に欠けるばかりで…ゲフッ!(ただの2重人格なだけだろ、アンタは!)

 ショコラ・ミス…キャロ「お前、俺の家でこれからずっと暮らすんだろ!だったら兄弟みたいなもんじゃねえか!兄弟守って何が悪い!」
ショコラ「あの時と同じ…?あの時と…。」

今はもう兄弟のように思ってはいない(それどころか迫ってくる女として嫌がっている。←悲しいな…。)とはいえ、口先でどう言おうが彼は今も兄弟としてしか扱ってくれていない(言葉よりも行動に真実が出ていた。「仲間として」庇ってはくれるけれど、所詮恋愛対象からは外れている。)事も、ここにおいて自覚できてしまった様子です。(それでもめげない姿勢が逞しいな、と余計に好感を持ってしまいましたが。)個人的にはティラよりも、どー見てもこっちのお姉ちゃんの方がエロ可愛いと思う(実際、アニメの声優の皆さんも全員「どっちか選べと言われたらショコラだろう。なのに何でティラなんですか、あかほり先生?」と言っており、それに対して「ティラじゃないと読者は納得しないだろうから。」と答えている。←ショコラ派に比べて何人いるんだ、そんな読者が?)のですが、始めからキャロ×ティラの出来レースで終わっているこの話上では、そんな彼女の努力も報われずに終わった様子です…。

 リウリウ…おばさん「女だけが受け継ぐ封印の力を使うなんて…だけどリウリウ、あたしはこの子達を置いては…。」
リウリウ「その子供達の為でもあるんだよ。全ての封印から村を解放させる為になら、この身がどうなろうとかまいはしないさ。」
恋人「だめだ、リウリウ!やめてくれえ!僕は君を失うのは嫌だああっ!」

一番笑わせて貰った話だったので…。(「そういえば、誰も女の人達が死ぬとは言わなかったね…。」byマロン)と世にも恐ろしいオッサン村誕生の経緯に爆笑させていただいた話でした。作者コメントによると、この話は作画担当の臣士れい先生の完全オリジナル話だそうで、よくここまでシリアスに見せかけた、ぶっ飛んだ話を描けたもんだなと感心したものでした。「女を犠牲にしたら、どっちにしろ村は滅びる!」と大長老様は大慌てしていましたが、これで村の外に行けるようにもなった訳で、今後は出稼ぎにでも出て外から女を迎え入れれば何とかなる話で、大丈夫なんじゃないかな、と生暖かい目で見守ってしまった話でした…。

 ドーター…シリウス「俺の子を産んでくれ、ドーター!部族の血を次代に伝える為なんだ!」
ドーター「い…嫌!そんな孵卵機扱い!」

女を口説くその時によりにもよってそんな理由を持ち出してしまっては、そりゃ、断られるだろう…とかなりイイ感じだったのに、その夜、事を成し遂げられなかった事情に心から納得してしまったものでした。(まあ、出会った初日に肉体を許す女性など、そうそういない…と思いたいけれど。)とはいえ攫っては来たものの、丁重なもてなしと熱い口説き言葉に(内容に問題があっても)彼女の体はゲットできなくても、心は立派にゲットできた(一日で…か。)様子で、ドーターに庇って貰う形で守護五妖の中では珍しく生き残っていた彼。元々ドーター自体がマムの使い魔(脇役)に過ぎず、ビジュアルも小悪魔風→天使に変更した(有翼人という設定自体が本来無かった。)経緯から、絵だけからここまで話を膨らませたって凄いな、と改めて感嘆してしまったものでした。

 デネブ(エクレア・モカ)…ザッハ「何故、私を討たぬ。今一瞬私は無防備だった。お前に討ち取られていたかもしれぬ。」
エクレア「できないのよ!あたしは、あなたを愛してしまったから!お願い…私の記憶を消して!あなたを憎まなければならない全ての記憶を消して!」

いくら挑んでも歯が立たない究極に強い男(その強さでアンタの家族や仲間をぶち殺しているんですけど。)に憧れを抱き、「法族も庶民も無い全てが平等の世界を作りたい」(その目的の為にショコラ達の兄弟分以下もう何百人という人間を殺している。)という理想に共感して、怪我の手当てをして貰った(女の子の体にあれだけの跡を残して、そもそもの原因を作った男に、どんな魅力が?)事で完全に愛が芽生えた(あなた、ザッハの実年齢を知って…?)という不自然な展開には、ザッハ様が異様に若作りなさっている事と合わせて、もしかしなくてもそれ(恋)を狙ってガトー(男)の方じゃなくてエクレア(女)の方を誘拐したのではなかろうか?と思わずツッコミを入れてしまったものでした。「愛してしまった」といっても、それは誘拐された人間が犯人を好きになるのと同じく「洗脳」に近い物だったんじゃないのかなあ~(親も殺されて兄貴とも引き離されて、仇でもそいつ(保護者)に縋らないと生きていけないから、優しくされると救いの神に見えるんだよ。そいつが諸悪の根源なのに。)と思える私としては、あまり共感できなかった恋模様でした。

 ザッハ・トルテ…ザッハ「この世界を滅ぼし、新しい世界を作り直す。その為に、この世界の半分の数の人間は死ぬが、犠牲を恐れていては進歩は無い!」
キャロ「一部の人間が幸せになる為に、それ以上に多くの人間が不幸になってもいいって言うのか!自分勝手のエゴイスト野郎め!」

キャロの言うとおり「てめえこそが、この世界にとって迷惑だ!」とツッコミを入れてしまったものでした。魔法という努力で手に入れた訳でもない「生まれついて」の絶対的な力の前に身分差別がある世界は間違っている…それはそうでしょうが(その為にマムも法族狩り(ソーサラーハンター)なんて人殺し組織を作ったのでしょうが。)問答無用で大量殺人に走るよりかは政治的組織でも作って学生運動でも始めた方が平和で現実的だし、ついてくる人間もいるでしょう。自分に特別な才能があったから周りの人間を選別するのって、アンタが嫌っている法族のやり方とどう違うんだ?(これなら怨恨関係(因果応報)を理念に標的を狙って人間狩りをしているマムの方がまだ仕置き人として理にかなっているだろう。今のアンタは相手かまわずの「クレイジーな大量殺人犯」、ただそれだけです。)と知らず語りかけてしまいました。最後は念願の破壊神から攻撃を食らって終わっていますし、結構しょぼいオヤジだったな(自分が当の世界変革の犠牲者となれたんだ。本望だろ?)と合掌するばかりの男でした…。

爆れつハンター⑧~⑬

2009.05.21
 中学時代、匿名さん経由で仲良くなったクラスの違う友人(略して中学友人)の部屋に有った本で、匿名さんと、うちの妹と一緒に遊びに行くたびに読ませて貰った覚えがあります。(主に匿名の趣味のゲームする場所となり果てていたが。)あの頃は匿名さんも、人の物を盗んだり、約束の時間に1時間以上平気で遅れたり、影で人を批判した手紙を書いたりしていたものの、取り敢えず無言電話(ストーカー行為)や誹謗中傷コメント(不正アクセス)などの「犯罪行為」には足を踏み入れていなかったマトモな人間だったのにね、と懐かしくも思い返せる本でもあります…。

 アプリコット・アンズ…アプリコット「フン!あたしのナイフは何でも斬れるぜ!てめえの首だってな!」
カヌレ「ザッハも、やはりお前のような淑やかな娘の方が好きだと思うか?」

どこが「淑やか」やねん!(普段、大人しいポーズを取っているだけで、立派な二重人格者じゃないか、この女も!)とツッコミを入れはしたものの、好きな男(オニオン)に対してはただのツンデレ(照れ隠し)で終わっていて、「彼女面」して押し付けがましい態度を取っていない分ティラよりは可愛いヒロインではあるな(マロンに似て(逆です。)美人だしね。)と好感度は高かった女性でした。(大丈夫ですよ、カヌレ様。もしザッハが淑やかな女性が好みだった場合↑の戦いぶりを見たことで立派に彼女に幻滅なさった後です。)破壊神が宿っていたのは実はキャロットではなくアプリコットの方だった(むしろキャロは「普通の人間」として生まれてくる所を、ビッグ・マムの目論見の元、母親から本来いらない運命を引き継がされた被害者だった。)という伏線がその後にも生かされて「病気で死んだはずの彼女」が後に生き返ることになる展開にはちょっと驚いたものでした。

 カヌレ・ステラ(ビッグ・マム)…「私はシャルロットに続いて、また一人大いなる運命を背負わせてしまった。私の罪は未来永劫、決して消える事は無い…。」

遙かな過去での出会いだったとはいえ、同じ顔で同じ名前の少女(アプリコット)が現れて、谷の封印を解けば過去に行ける事も知っている彼女としてはあのレトロ編(超過去編)は全部分かっていた上で仕組んだ展開…という事だったのでしょうね。全ての仕組みを知ったこと(法族に「悪想念」が発生したら、魔力供給を通して繋がっているインターフェース(シャルロット)が動揺し、世界の安定が崩れる。だから彼らをサッサとぶち殺す法族狩りが必要。)で、アプリコットの方も人殺し(法族狩り)に関してゴチャゴチャ文句を言わなくなりましたし、この人はシャルロットといい、アプリコットといい、大義名分の元に自分に都合のいい人間を作り上げただけなんじゃないのかな、と不信感すら持ってしまった過去編でした。それはそれとして過去からずっとザッハがモテモテ過ぎた内容には「…。」と思ってしまった前奇譚です…。(マムにまで好かれていたのか、あいつは…。)

 シャルロット・ステラ…カヌレ「シャルロット、お前が力を解放させなければこの世界は滅びてしまう…。安心しろ、苦しむのはお前だけではない。この城にいる者すべてがお前と運命を分かち合う…。」
シャルロット「…って言ってたのに姉さんは元気に外で過ごしてるじゃないか!僕はもう嫌だ!この世界なんか嫌いだ!なくなってしまえば良いんだ!」

一家心中する…のではなく「犠牲になる」のは自分1人だけで、死ぬのと違って終わりになる訳ではなく、死者の霊に縋りつかれながら魔法のインターフェースとしての役割を果たす為(だけ)に生きていかなければならない…そんな現状に、彼が↑のようにキレたくなるのも少し分かる気がしました。(むしろ今までよく持ったもんだ。)とはいえザッハの時(結局、世界は何も変わりはしなかった。)と違って彼の暴走のおかげでこの世界から魔法は無くなった(ザッハと同じく自分だけの考えに酔って世界の破滅を目論んだ大迷惑野郎ではあったが、得る物は有った。)訳ですし、目的の為に(ザッハのように)計画的な大量殺人を行った訳でもないし、(ザッハに比べれば)幼いだけで性格的にはまだマシな大ボスではあったな、と最後は「死ぬ」事も無く姉に何事も無かったかのように許されて眠るだけで済んだ甘い終わり方にも許せたものでした。悪人風(諸悪の根源みたい)に描かれちゃいるけれど、前大ボス(ザッハ)に比べれば、そう大したことはしていない子とは言えるでしょうね…。

 キャロット・グラッセ…「あの頃のままじゃ、だめなのかよ…。」

そりゃ、子供の頃のままなら誰に対しても責任を取らなくて済むし、楽だもんな…と、彼女達の気持ちを知りながらも誰にもちゃんと応えようとせず放置プレイを強いている(ムースちゃんなんて裸で抱き締められて、まさにこれからという時に「ゴメン、俺、好きな女がいるんだ。」と最悪なタイミングで生殺しと共に振られている。)彼にツッコミを入れつつもその状況下で片っ端から食ったりはせずに童貞を貫いている様には一応評価をしたものでした。(取りあえず、長年思い続けてきてくれた女を袖にしてまで、後からポッと出てきたつまらない女を選んでしまうほど見る目の無い男ではなかった…と。初対面のナンパ男を喜んで、出会って数日で自分からパンツを脱ぐ尻の軽過ぎる女(ムース)にぐらついている辺りはダメダメだったけれど。)最後はうっかり公衆の面前で告白してしまった為に勢いでティラと結婚まできてしまいましたが、結局ティラとショコラの姉妹丼で過ごしている(そこは全然変わっていない)何のケジメもつけられていない辺りには、そもそも結婚までした意味が無かったんじゃないの?と思わず語りかけてしまった相変わらずダメ男な主人公でした…。

 ムース…「あたし…人から花なんて貰ったこと無くて…(泣)」

取りあえず泣き顔すら「綺麗」に見える可愛い女の子で本当に良かったな(涙が汚いとまでは言わないけれどマスカラは流れるわ鼻水は出るわ、元の顔がよほど綺麗でないと(そして事前に化粧の仕方を細工しないと)男に「可愛い」と解釈して貰う事は不可能だろう。そして、それでも「いきなり泣き出した女」に対して一瞬ギョッとするのは確かであり、そこから「壊れやすい可愛い女」と評価して貰えるか「似合いもしないのに泣き落としで男を釣ろうとする女」(正直、扱いに困る女)と判断されるかは命運が別れる所である。)と、表裏が無い分、同じブリッコ系でもティラよりは可愛く思える新ヒロインにホッとしたものでした。(女としてはムースのベタベタした性格に苛々するものはあるが、あれはあれで彼女の素であり、2重人格な部分が無いだけ、まだ人間としては可愛い範疇に入れる…みたいな。)クローンとはいえ一応、人格は有ったのにアプリコットの寄代として消滅した様には少し可哀想にも思えてしまった少女です…。(キャロットの母親の体を複製した身の上では彼と結ばれる事はあり得ない、とはいえ…。)

 ティラ・ミス…ティラ「お姉さま…本当に良かったんですの?あたしがキャロと結婚して…。」
ショコラ「本気でそんな事を言っているのなら、今からでも立場を代わりなさいよ。」

一番穏やかな事を言うにしても「アンタなんか妹じゃない!」ぐらいは言っていいでしょうに、さんざん好き好き言っていた男を奪った裏切り者の妹(姉と彼が「付き合って」はいなかったにしても姉への遠慮など微塵も考えずに自分の気持ちを優先させた事は確か。)の結婚式にまで笑顔で参加して、泥棒猫である当の妹へも今まで通りに接しているお姉ちゃんが凄く良い女に見えました。(それだけに勝利者の立場から公衆の面前で↑のような事を聞いて「お姉様はこれで良いと宣言しているんですから、私は何も悪くないんですわ!」みたいに正妻の立場をゲットした幸福をかみしめている妹が凄く嫌な女に見えました。)初夜の為に用意したネグリジェ、裸エプロン、セーラー服などなどのマニアックな衣装に関しても(ボンデージ姿のアンタを見慣れた後に今更…。)この女、普段淑やかに見せかけて腹の下ではいつもそんな下品なこと考えていたのか(所詮、2重人格者か。)と「可愛さ」をすっ飛ばしてツッコミしか入らなかったり…ゲフッ!

 ショコラ・ミス…「正妻の座は譲ったけれど、あたしには愛人の座があるもの…!」

普通は余り物がくっつくような形で弟(マロン)の方とデキ上がったり(美形のマロンの熱狂的ファンが許すはずなさそうだけど。)相棒(ガトー)とくっついたり(命を助けてあげたドラマチックな出会い方をしながらも、単にコンビだからいっしょにいるだけで恋愛的な興味は無さそうだよね、2人共。)するんですけどね…。100歩譲って彼女が振られるのは致し方ない(所詮キャロ×ティラの出来レースに過ぎない事は始めから分かっていたから。)としても愛人なんて2番目以下の「都合のいい女」扱いでこれからも続いて行くというのは彼女のファンとして、かなり悲しいものがありました。続編では「正妻の座は譲ってやったんだから子供位はあたしが先に作らなきゃ!」という言葉通りに不義の子を2人も作っている彼女(思いきり2人のコピーである子供達を前に「知らない」で通しているキャロもキャロなら、「知って」いてなお正妻という立場だけは手離そうとしないティラもティラ。)の姿に、もう結婚しろよ、お前ら!と涙目でツッコミを入れてしまったものでした…。

ふしぎ遊戯 玄武開伝①~⑥

2009.05.21
 かの▲▲さんに到ってはゲーム版まで手に入れており(そういえば「ときめきメモリアル」の男版まで買ってプレイしていたし、トカゲみたいな顔の割に恋に夢見てる女だったな、あの人…。そこまで男に憧れる(ヒロインの立場を夢見てる)位なら、せめて化粧とダイエット位はしてほしいものだが。)現在もファンの支持を受けている大人気シリーズの新章です。「朱雀・青龍編」である本編が大ヒット→アニメ化→ビデオ化、パレット文庫(小説)化の他、ボックス発売だ、トレカだ、完全版だと連載終了後も根強いファンの元に流れが止まった事はなく、完結して7年が経っても関連イラストを描かない年は無かった(実際私も朱雀・青龍7星士&巫女のキャラソング(!)を妹と一緒に聞いたことがある。どんだけメディアミックス化していたのだろう。)そうで、前奇譚である「玄武」と「白虎」の話も読みたい!という読者の要望もあって、完結後7年目にして漫画版の新章開幕という事になったそうです。ちなみに、この玄武編はアニメ化はならなかった(まあ、人はたくさん死ぬし、緋鉛の腕が早々に切り落とされる描写といい、ギャグ要素の強かった前作と違って「お子様向け」「夕方のゴールデンタイム向け」の作品ではないわな…。)ものの上記のようにゲーム化はされており、ファンの多さを感じたものでした…。(で、当のゲームにて腕ナシが引っかかって登場できなくなった緋鉛の姿に「やっぱりお子様向け(全年齢対象)」ってそういう部分が大きいんだな、と改めて感じたものでした。)

 奥田多喜子…「あなたには分からないわ!誰かに必要として貰える事が、どんなに嬉しいか!」

「そう、お前が息子だったら、もっと…お前とも分かり合えただろう。」という大事な後半部分を父ちゃんがうっかり言いそびれてしまった為に、大杉さんへの失恋(「本当は10年前からそばにいてほしかった!多喜子を一人にしないで下さい!」「ご免、多喜ちゃん。僕はもう妻も子供もいるんだ…。」)というWパンチも合わせて、自分は誰からも必要とされない人間なのだと思いこみ、自棄を起こしてうっかり「父親の大事な本」を破ろうと手に取ってしまった為に巫女として本に吸い込まれてしまった主人公です。(父親は書くのは得意だが口で伝えるのは苦手なだけで、多喜子の事も別に疎んじている訳ではない…のだが、触れ合った時間の長さ=愛情という子供の理屈の前にはその論理は通らない。)前作のヒロイン・美朱のような「守られるだけのお姫様」じゃなくて「戦えるヒロイン」という事で女子の支持率は前作よりも高い(というより前作は「ヒロインの人気」でなく七星士という「美形男三昧の設定」が人気を支えていたと思う…絶対。)そうで、しっかりした性格には私も好感が持てた女の子でした。

 女宿(李武土・琅輝)…予言「玄武の巫女が現れ四神天地の書を開く時、貴方の息子が必ずや貴方を殺す。」
女宿「そんな…たかが『予報』ごときで、タウルは私の為に死なねばならなかったのか!」

天気予報もそうだけど、ノストラダムスの大予言ですら外れたし、運命がどうなるかなんてその時になってみなければ分からない(何で性格も能力も分からない赤子のその時にその子の未来がそこまで分かるんだ?大体、普通に親子やっていれば実の父親をブチ殺そうなんて親不孝な息子はまず育たないだろう。根拠の無い予言を避けるつもりで、実際には予言を招くように「息子に恨まれる真似」を繰り返している辺り、親父さんはかなりのアホな気がする。)というのに、予言なんて根拠の無い物をそこまで信じ上げた小心者の父親の為に悲劇が起こっている様(これは「予言」のせいではない。)には涙すべきか笑うべきか迷ってしまったものでした。(笑うなよ。)初期設定ではヒロインの相手役でも何でもない「七星士の一人」であり、能力も両性具有だった(何の役に!?)そうで、皇子様&相手役にまで大出世したのに拍手すると同時に、↑の暴走族の当て字のような本名(何故、彼だけ漢字なんだ!?)に思わず吹いてしまったメインキャラクターでした…。

 室宿(ザラー・エルタイ)…室宿「ボクは両親がいなくても、檻の中の生活でも泣いてないよ。だってフェンがいてくれるから…。」
多喜子「だからって、こんな所でこの先ずっとニートとして生きていくの?」

檻から外に行かないようにフェンに騙されていた(「私を信じて!この2年あなたの面倒を見てきたのは誰?あるのは人を殺める力だけ、他に何も出来ないあなたを、私以外、誰も受け入れてくれやしないのよ!」byフェン。鳩山元首相と同じように「自分を信じろ!」なんて言う人間は基本的に信用ならないロクデナシである様子です。)とはいえ「騙されていても楽しかった」程度の満足感は得ていた(「や、優しかったよ。ボクには、たった一人の理解者だった…。」by室宿。)らしく、彼女が死んだ時には思わず涙していた姿に彼の優しさを感じたものでした。彼のビジュアルに関して、女ウケよりもバラエティ感を取った結果、美形男でなくデブ(太っちょキャラ)になったそうで、そのせいか斗宿よりも早く登場しているのにゲーム版では相手役として選ばれなかった(壁宿もだけど。)結果には秘かに涙してしまいました…。(彼が真面目に恋を語ったら爆笑できると思うんだけどなあ~。←笑うなよ。)

 虚宿(チャムカ・ターン)…虚宿「女宿のとこ戻れよ!好きなんだろ?あいつも多分お前のこと…。」
多喜子「いやだ、何言ってるの?だって私、元の世界にずっと好きだった人がいるんだもの!」
虚宿「…なんだよ。それじゃ俺、どのみちダメじゃないか。」

順当に行けばリムドと同じく物語初期から多喜子と絡むキャラクターとして、「朱雀・青龍編」にも登場する重要登場人物として、彼(か、斗宿辺り)が相手役になっていたでしょうにね…。そんな彼にも(彼のせいで1年以上氷漬けにされたにも関わらず)想いを寄せてくれる女の子(アイラ)がいるのが救いですが(本命とは別だったとはいえ、それなりに可愛い異性に特別な好意を持たれるのは素直に嬉しい事ではあるだろう。)それはそれとして仄かな思いを抱きながら目の前で意中の人が他の男と熱愛してるって、ちょっと(かなり)辛いだろうなと同情もしてしまった人物でもありました。(多喜子の気持ちも分かって、その上で割り切れているのが幸いではあるけれど。)最も想いを寄せてくれるのが斗宿ではなくて妹の方だった(一部で怪しい噂も流れていたので。)のは、個人的にはかなり嬉しく感じた事実ではありましたが…。

 斗宿(エムタト・チェン)…「忘れたというのなら思い出させてやる。一族にさえ疎まれた俺のもう一つの力、この『視鏡監』で!」

眼帯をしていたのはそういう意味だったの!?(視力があるのかどうかは分からないが、それでは確かにマトモに人の顔を見れないだろう。)と字の出現場所に驚くと共に、その字、他の七星士みたいにひっこめる事は出来ないんですか?(簡単な話で、力を使わなければ眼帯をする必要も無くなるのでは…?)と、ごく当たり前の疑問を抱いてしまったものでした。虚宿に妹を氷漬けにされた事に関しては、自分も「そんなつもりじゃなかった」ものの「力」で危うく彼の母親を殺してしまう所だった事も有り「お互い様」だと思っているのか、(虚宿のお母さんは今も元気に生きているのに)逆に斗宿の方が「許してくれとは言わない。」と謝っている辺り、どこまでもお人好しでいい奴だな、と思ってしまいました。その後は伝説通りに水を飲み合ったり、妹と虚宿の恋愛関係といい、色々な意味で義兄弟になっている様にはやっぱりたまたま死んだ七星士同士というだけじゃなく、元々特別に仲の良い2人だったんだな(おかげで一部読者の間に「誤解」も生じてる訳だ。)と改めて感じた、そんな2人でした…。

 牛宿(タルマ)…「あたしはここでシュヌと死ぬのも悪かない。どうせ11年前、死ぬはずだったんだ。」

潔いおばちゃんだな…(しかし、いかにもといった「可愛い少女」のルウデじゃなくて、よりにもよって一番厄介そうなこの年配の女性が七星士だったとは意外な展開だ。)と個人的には好感を持った反面、読者の中には多喜子と思いっきり対決した事も有り(それでなくても「廓の女将」という姑的立ち位置からイヤミのように監督(叱咤)していた事もあって)「こっちのオバサンの方が七星士なの~?」「メインキャラになる顔じゃないだろ?」(に…人間は顔じゃないよ!)みたいな反発意見もチョコチョコ出ていたそうです。↑の親友のシュヌ(本来の女将)の病気(呪い)が治れば「代理」に過ぎない現・女将の彼女が来てくれるかと思いきや、彼女は死んでしまい、いよいよ仲間になるのは不可能か、と思った所で廓の女の子達全員の推薦に押されてパーティーに加わったというのは好感が持てる内容でした。力の方も最も良く制御できている様子(さすが年配。)ですし、頼もしい仲間が加わったなと私的には嬉しかった新メンバーでした。

 「外伝・妖しのセレス」…セレス「どうぞ。判っています。私を手に入れたいのでしょう?構いません。」
ミカギ「服を着ろ。…なんて悲しい目をするのだ。俺は今はお前が心から笑った顔が見たい。」

そうして初めて心から笑えるようになり人の心を知り始めたセレスと、恋を知り始めたミカギと、それぞれ成長を遂げたのに、その後、2人は幸せにはなれなかった(本編参照。モノローグにある「たとえ」で終わらずに、本当に2人は引き裂けんほど苦しみ、子々孫々に渡って沢山の血が流れる宿命が待っていた)展開には本編を読んだ人間として、知らず溜め息が出てしまったものです。(「成長すること」と「幸せになること」とは別物なんですよね。いっそ成長せずに人の心を知らないままだったら、セレスもさっさと前夫のようにミカギを忘れ去っていて、子供が死んでもあれだけ「気に病む」ことは無かっただろう、とすら思ってしまったり…。←そして「妖しのセレス」の物語はいつまで経っても始まらない。)また、個人的には本編ヒロインの妖と十夜の子供は、死期の近い十夜の生まれ変わりのように男の子になるだろうと思っていたので予想に反して女の子が生まれた事に驚いた話でもありました。

ふしぎ遊戯 玄武開伝⑦~⑫

2009.05.21
 ▲▲さんにこれのゲーム版と一緒に「テニスの王子様」のゲーム版(やっぱり男ハーレムゲーム)を半強引に貸された覚えがあります。(玄武の方は絵が綺麗だからという理由だけで何とかクリアしたけれど、テニスの方はスカした主人公からして苦手だったのでほぼ放置だった。)「私、男の趣味が悪いから!」と開き直っていた▲▲さんは一体誰が理想だったのか(漫画版「アークザラッド2」でも若くなったアンデルが好きだったり、「上から見下している人間」ばかり好きだった。匿名を庇う時も恩着せがましく「私は貴女の為に言ってあげただけなのに、ふ~ん、そういう疑い方するんだ~。」と人を騙しながら「説得力ある(つもりの)自分」に酔っている風だったし(こんな事しながら、よく「良い気分」になれるな。普通の人間ならそこまで友達を騙す事も出来ないけどね。)どうもこれが彼女自身の理想像でもあるらしい。なるほど、確かに似てるよ。)多少、気にもなったものでした。(紫義辺りかな。)

 連載開始から早10年、長~い年月をかけながらもとうとう堂々の完結です。(色々あったけれど、大抵の作品が休載を続けるうちにほとんど進まない未完の作品となり果てていくのはよくある事なので、きちんと終わらせてくれたその様は読者としては有り難いし、作者としては立派だと思えた。)朱雀のテーマが美朱と鬼宿の世界を超えた「愛」、青龍のテーマが美朱と唯の「友情」(結局、心宿は「青龍の巫女」を復讐の為に体良く利用していただけだし、まだ美朱の方が唯ちゃんを大事に思っていたという事なのだろう。少なくとも美朱だったら友達を神獣に食わせるような真似はしないだろうし。)だったのに対して玄武のテーマは「死と生」(ちなみに白虎のテーマは意外にも「大恋愛」ではないらしい。)だそうで、登場人物それぞれの濃い生き様、死に様に思わず涙するばかりの「最初の物語」でした…。

 奥田多喜子…奥田栄之助「お前と私は父と子だ。すれ違って悲しい思いもさせ、こんな運命にお前を巻きこんだどうしようもない父親だが、それでもこうして私達に流れる血はつながっているんだ。もういい、今、父さんが助けてやる…!」

血の繋がった親子だから本の内外でも会話ができたり(「世界」を超えて声が届いている。凄い。)互いに影響を及ぼし合っている=自分と娘は連動している=自分が死ねば同調している娘も一緒に死ぬ(そして「健康な自分の死」(ピンピンコロリ)で死ねるのなら、その方が病に苦しみ神獣に体を引き裂かれながら、ゆっくりと死んでいくよりも苦しくはないだろう。)という結論から、こうして旧作通りに「娘の多喜子を刺殺して後、自殺した」結末が導かれました。(そういえば「刺殺された」とはあったけれど「死体がそこに残っていた」とは書かれていなかったっけ…。)おかげで玄武に「生贄」として食いつくされる前に「人間」として死ねた様には、文字通り父親に「命をかけるほど」愛されての結末だった(父親はあんな本を産み出してしまった罪と娘殺しの罪から自滅して、逃げる為に死を選んだ訳ではなかった。)という事もあり、多少救いも持てた死に様に感じたものでした…。

 女宿(李武土・琅輝)…リムド「多喜子、お前がくれた春だ。幾つもの春をこれからも共に行こう…。」
ナレーター「そうしてちょうど100年目の春、かつて「風斬鬼」と呼ばれた名君は天寿を全うした。生涯、妃を持たず従妹に当たるエフィンルカ皇女の曾孫を世継ぎに育て風となった…。」

117歳まで元気溌剌だったのか!(長寿村の爺さん達も真っ青な長生きぶりだな!)と、巫女の、死んでいった仲間の望み通りに「生きた」様には、その「普通のレベル」を軽く通り越した様と合わせて度肝を抜かれた彼の生涯でした。わずか17歳という若さ溢れる年齢で妃(多喜子)を亡くしたにも関わらず、本当にその言葉通りに誰とも再婚しなかった…もちろんコッソリ隠し子を作ったりもしなかった様には、歴史的名君の大抵は下半身もエネルギッシュだという世界史の事例の数々と合わせて、フィクションとはいえ驚かせて貰ったものです。葬儀の時、遺体の手にはいつか城下で買った夫婦円満の腕飾りがきちんとつけられていた辺り2人の愛は100年経っても色褪せなかった(それは普通に凄い。)という事が感じられて秘かに嬉しく感じた終わり方でもありました。最後のシーンはきっと映画「タイタニック」のように魂だけとなって若くなった彼が天国で彼女と再会したのだろうと勝手に確信もしている私であり(白虎七星士の言より、原則として「現実の人間」が四神天地書の世界で生きることは出来ず、それは神獣の力を持ってしても叶えられなかった、という事は…。)これはこれで2人が再会できた形でもあるんだろうなと実感もしたものでした…。

 ソルエン…ソルエン「父上が亡くなられたのは誰の為だ?12の歳から逃げ続け戦うだけの生活になったのは?今、この手を離せば終わらせることができる。俺は自由に…」
女宿「俺は許した!お前なら裏切られようが許した!『あの時』だって手を離せばお前は楽になれたのに!」

頼みの綱の父親(タウル。そういえば母親はどうしたのだろうか?)も亡くして、「仕方ないから」という理由一つでいい年して恋人の一人も作らずに16年間も男手一つで「子育て」しながら尽くして来て(対して主人である女宿の方は現在、多喜子という恋人とラブラブになっている。あんまりだ。)最後も最後で彼を守る為に死んで、どこまでも忠義に生きた幸薄い人生には作者ですら「女宿が本当に女だったらな~。」(たとえ源氏物語風の犯罪臭い関係でも恋人同士になれたのに。)と溜め息をついていたほどでした。↑の時、一瞬魔が差したように女宿さえいなければ(彼1人だけならば)どこか人ごみにまぎれて普通に家庭を持って生きて死ぬことも可能だったでしょうに、結局最後まで主人を裏切ることは無かった(主従ここに極まれり)という彼の生き様にひたすら涙してしまったものです。おかげで彼の望み通り「リムド皇子」が即位して、117歳という年齢まで生き抜いた(むしろ生き過ぎた程に。)様には素直に感動できた終わり方でもありました。良かったね、ソルエンさん…。

 及川医師…多喜子「私やっぱり、あなたとは結婚できません。ごめんなさい。」
及川「病気の事を気にしているのか?だったら大丈夫だ。僕は医者だし、こんな事で君への気持ちは…」
多喜子「好きな人がいるんです!その人はとても遠くて一緒にもなれなくて、だから忘れたくて…でもダメなんです!」
及川「…だったら僕で妥協してっていうのもダメなんですか…。」

多喜子が気づいていなかっただけで女宿のように病身でも構わず愛してくれる人間は「現実」にもちゃんといた、親父さんもただ口下手で不器用なだけだし、母親が亡くなっても彼女は彼女で現実でもちゃんと必要とされていた…というのは振られる及川さん(所詮は後からポッと出てきただけの当て馬役)を哀れに思いつつも「多喜子の居場所は現実にもちゃんとあった」(現実から逃げる為に本の世界に逃避した訳ではなく、それが彼女が自分で選んだ運命だった。)事に好感が持てた展開ではありました。後に女の子の夢である「結婚」も立派に愛する人と果たしていますし(その辺はますます及川さんが哀れだが。)初恋の人・大杉さんが評しているように、若くして死ぬ運命は変えられなくとも「幸せな最期」を迎えてはいたのだろうなと実感も出来たエピソードでもありました…。(気にするな及川さん、「帝大出のお医者様で将来も安泰」という君の肩書きなら、多喜子1人に振られた所でこの先引く手数多だ!←オイ!)

 フィルカ(エフィンルカ・ロウン)…フィルカ「分かっていたわ、父がこうなる事は…ついでに娘の私も殺したらどうなの?そうよ、ここで父を殺したあなたを殺しても、私もどの道、捕虜にされて殺される…!」
ハーガス「許せとは言わん。だがお前は父とは関係無い。死ぬ事など…ないんだ。いいか、お前だけでも生きろ。」

この2人はいつの間にそんな仲になっていたのやら…(星護族のアジトで一部の読者が恋愛フラグを懸念するほど必要以上にリムドの世話を焼いてかまっていたのは何だったのやら、綺麗に流れたな。)と半年間会うどころか何の連絡も取り合っていなかったのに、いきなりキスシーンになだれ込むほど燃え上がる2人にツッコミを入れてしまったものでした。テグ曰く「ハーガスはちゃんと貴女を見ていた。」(ハーガスもハーガスで彼女には惹かれており片想いで終わってはいなかった。)そうで、どの道天罪病で長くない命でも死ぬ前に恋が叶って兄にも恋人(?)にも愛されながら死んでいったのは救いが持てた終わり方だったかなと納得が出来たものでした。その後、姫は双子の兄貴のテグと上手く行ったらしい(北甲国の後継ぎにもなった曾孫の先祖、もとい彼女の夫はおそらくテグなのだろう。)様には、やっぱり顔が恋に落ちる一番の決め手だったのか?(ハーガスにしたって、アンタら顔以外のおおよその事情は話し合ってもいないじゃないか!)と変な所で疑心も持ってしまった、そんな彼女の情熱的な恋の様でした…。(まあ、恋に落ちるのに「理由はいらない」らしいから…。)

 テムダン・ロウン…テムダン王「先帝は私がすぐ死ぬとお思いになられ便宜上お前の補佐としてこの地に置き封じ込めた。だかおかげですぐ傍で機会を窺う事が出来たわ。こうして目の前で、お前の首が飛ぶ所を見る機会をな…。」
多喜子「…なんて虚ろな瞳をしているの。この人には絶望しかなかったのだ。動けない宮殿の中で他になす術もなく、病に苦しみ、弟に裏切られ、息子を憎み、国を憂い…なんて悲しい人。」

弟に復讐を果たして皇帝に返り咲いた所で、もうすぐ氷河期に入るこの国に未来は無いし(「『戦争に負けた』事で首都から明け渡そうとしたのだが『戦の犠牲者を最小限に止める』という期待も弟は見事に裏切ってくれたわ…。」byテムダン)息子が自分を殺すという予言を回避出来た所で、どの道、自分は不治の病で長くはないし(それでも17年持った事を考えると天罪病患者にしては長生きした方なのだろうが、117歳という超・長寿を誇る息子に比べれば立派に「短命」ではあるだろう。)どうやっても希望は持てない様には「自分達皇族が滅んでも、わずかな民さえ生き残れば『北甲国』の歴史は続く(何百年も後の、氷河期が終わった頃には…。)」と悟りながらも虚しさばかりが募った様子です。最後に自分と妻の面影を受け継いだ息子と和解できたのが救いですが、この人もこの人で可哀想な人だよな(それにしたって、もっと早くに悟っていれば息子とはここまでこじれなかったと思うが。)と同情もしたお父様でした…。

 斗宿&虚宿…チャムカ「アイラ、待ってろ、こんな戦すぐに終わらせる。そしたらお袋と斗宿と皆で暮らそーぜ!」

七星士だって人間で立派に年を取る(事実「朱雀・青龍編」では白虎七星士の方々は立派にお爺ちゃんお婆ちゃんになっているし、同じ玄武七星士の牛宿は現在立派なおばちゃんである。)のに、何でこの2人は若いまま幽霊になっているの?(人数が欠けても神獣を呼び出せるレアアイテム(神座宝)はまだこの時代に存在しないし、玄武召喚(物語の終わり)まで死なないはずではないの?)と心配なお二人ではありましたが…まさか召喚直後に戦死したとは何とも悲しい終わり方でした。(あと5分持っていれば生命の水の効果で2人とも無傷で復活できていたでしょうに…!)これから幸せに暮らすはずだったのに、妹を残して、母親を残して死んでいっただけに、果たされなかった↑の約束がひたすら痛かった最期です。本人達は玄武召喚という目的を達成した事で、ある程度は納得している(表情は明るい)様子ですが、戦が終わりきらないうちに死んでしまったのはやっぱり無念だった(そりゃ、そうだろう…。)らしく「成仏できないままなら新しい使命を与えてくれ!」と神座宝の守り人となった経緯には「こうして物語が繋がっていくのか…。」と感慨深い思いも抱いたものでした。そして話は「朱雀・青龍編」に続いていきます…。

新・幸せの時間①~⑨

2009.05.20
インフルエンザの予防接種に行った時に待合室に置いてあった2巻(なんて本を置いてるんだよ、Tクリニック…)を読んでハマり、勢いで旧作の方まで読破してしまった本です。続編という事で、よしみつさんは「あの良介が結婚したって、もしかして奈津ちゃんと?」と期待していましたが、自分の都合で捨てた男が、そんな扱いをされてもいつまでもおめでたく想い上げてくれて、就職できて「養ってくれる理想的な男」になったとたんに迎えに来てくれたって、ある訳ないだろ(歌手として成功したのなら逆に良介というヒモの一人位、養うのは簡単だったはず。それを自分のプライドの為だけに追い出して、だけど自分も(勝手に)傷ついたから水に流すのは当然、どんな扱いをしても自分は彼の永遠の女性なのよって、よしみつさんは男を何だと思っているんだろう?)と心ひそかに思ってしまった(ぶっちゃけ、私は設定を見たとたんに結婚相手は少なくとも「昔の彼女」以外の女性だと確信していた。常識的に。)そんな話でした。不倫物なので個人的にはあまり好きじゃないのですが内容の濃さにハマってしまった本です。

 牧原良介…「一体どういうつもりなんだろう、小夜ちゃん…。僕にすっかり体を預けてしまって…昼間も突然強く抱きついてきたし。」

だって男とはいえ彼は「家族」だから甘えちゃうんだもん、電車の中でもたれかかるのも、突然のハグも当然!という言い訳(こじつけ)は通用しない。実の父親でさえ「ちょっと、お父さんの洋服と一緒に私の服を洗濯しないでって言ったでしょ!」「その位、我慢しなさい。お母さんなんて毎日同じ布団で寝てるのよ。」(志村けん)というほど年頃の娘は「男との触れ合い」を嫌がるのが普通で、奥さん(ちづる)やストーカー女(遠藤さん)ですらしてこない肉体的なアプローチ(ていうか普通に良識ある女はそんな事はしない。)に良介が思わずモヤモヤしてしまうのも分かる気がしました。(それ、愛じゃない。性欲。不倫に燃えて義理の妹相手でも激しいプレイが出来る辺りは父親譲りだと思ってしまったけれど。)2巻から読み始めたので当初こそ「レイプされそうになっていた小夜子」に同情していましたが、一巻で痴漢にあったのさえ利用してチャンスとばかりに良介に抱きつき、思惑通りとばかりに笑みを浮かべたり、艶めかしいアプローチの数々(出会ったばかりの「姉の夫」に対してよくもそんな気持ちになれるな。)に気持ち悪さを感じてドン引きしてしまったものでした。当のレイプ未遂ですら「お前が大学の卒論の為なんて大嘘ついて父親の会社に潜り込まなければ、こんな事にもならなかったんだろ。」としか思えなくなったり…ゲフッ!

 牧原ちづる…良介「小夜ちゃんは残念だけど女としての魅力は君にはかなわないさ。だって僕達は奇跡の太い絆で結ばれたんだから…僕には君の全てが魅力的だし、僕は君の全てを愛している。」

当の「奇跡の出会い」は本当だったら看板攻撃でひったくりを撃退してくれた料理屋のおっちゃんが相手だったろうに…というツッコミはさておいて、結婚して2年も経っているのに(既に「新婚時代」は終わっているのに)未だにこんなこと言ってくれる旦那さんっていいなあ…と、社長令嬢のちづるが陥落した(そもそも高校もマトモに出ていないフリーター上がりの30男が社長令嬢を射止めたっていうのが凄い。これを奇跡と言わずして何を奇跡と言うのだろうか?)のにも納得がいってしまう程のイイ男だった(過去形)のにね…と現在の変貌がとても残念に思えてしまう夫です。「全て小夜子が悪いのよ!」という彼女の暴走には女の勘は凄いもんだな、バレていないだけ(証拠が発覚していないだけ)で小夜子が姉婿と不倫して2人の関係をブチ壊している張本人だって事は見事に当たっているよ(「冤罪」だったら小夜子にもまだ同情の余地はあったのだが、事実関係(不倫関係)がある以上は「逆恨み」ではなくて「当然の報い」だろう。映画「シカゴ」だったら「姉の夫と不倫した妹」なんて登場を待たずして撃ち殺されているし、これが部屋を荒らされて平手打ちだけで済んだなんて、優しい(甘過ぎる)姉ちゃんだなとしか思えませんでした。)と感じて、余計に小夜子が苦手に思えてしまったものでした…。(こんな妹、いたら嫌。)という訳で私はちづるが一番好きです。

 遠藤珠美…遠藤「早く消えてよ!私と課長の世界から…!」
社長(父)「…と『取材』の為に良介君にくっつけた小夜子だったが、実は大学は中退していたそうなんだ。」
ちづる「じゃあ、小夜子はこの一週間『卒論の為』なんて嘘を言って全く意味の無い事に皆を付き合わせていた訳じゃないの!」

その小夜子の体面を保つ為だけのデタラメ(と、それを真に受けた親バカ)のおかげで、次々と自分の仕事を奪われ、ついには課長本人まで寝取られてしまった遠藤さんとしてはいい迷惑だったろうな、と会社でファイルをぶつけて、新潟で通りすがりの旅行鞄をぶつけての階段転落事件を仕組むほど殺意を抱く様には同じ女として心から共感できたものでした。(だって自分は好きでもない男とのセクハラに耐えてまで彼の為に尽くしているのに「私はあなたが他の誰(遠藤さん)と関係しても気にもしないわ」って…他の女(姉含む)全員をバカにしてるのか、小夜子は?)挙句に本来その全てが無かったはずだったと知った時にはちづるでなくても「何でも『済んだ話』にするって甘やかし過ぎだろ!」(「お父さんはどうしてそんなに小夜子を甘やかすの?昔からずっとそうよ!」byちづる)と怒る気持ちは分かる気がします。そんな目に遭ってもなお懲りずに姉婿との不倫を続ける様には遠藤さんが自分で思っているようにトドメを刺しておいてほしかった、と切に思ってしまったり…ゲフッ!

 牧原小夜子…「お願い、お姉さんを捨てないで!だってお姉さんは1人で生きていける人じゃないから…。私、誰も傷つけたくないの!」

本当に姉に悪いと思っているのなら、自分が大人しく身を引けばそれで済む話でしょうに、それをしないどころか、わざわざ新潟(!)まで姉婿と不倫する為だけにやってきて、散々ヤルことヤった後になってからそんな理由で泣いてみせるなんて、言っている事とやっている事の矛盾が凄過ぎて笑いが出そうになりました。こんな事をしておいて「私の居場所はアメリカにも家にも無いみたい…。」(だから良介の心の中を占めるのは当然なのよね!)と実感している様には、自己陶酔に浸っている所、水を差して悪いけれど、他人(どころか身内)の夫と不倫するような娘は勘当されるのが当然で普通に実家の居場所は無くなるだろとツッコミを入れてしまったものです。アメリカで居場所を失くしたのだって妻帯者の教授を毒牙にかけて、ついには殺人沙汰にまでしたからでしょう(そりゃ皆ドン引きするわ!)としか思えず、過去が明らかになって(むしろ、こんな過去を抱えて、よく懲りずに「姉の夫」に手を出す事が出来るなと)余計に彼女が気持ち悪く思えてしまったものでした…。リストカットの一件にしても空港で搭乗せずに屋上なんて「発見されやすい場所」にわざわざ移動して、刀の折れやすいカッターなんて「確実に失敗しやすい凶器」を選んで行っている辺り、安全に実家に帰れるように自分で仕組んだ(よしんば家族が事情を知らずにそのまま帰ってしまっても必ず空港・病院から連絡が行き「ケガをした小夜子」は日本に留まれる。)ようにしか見えなかったり…ゲフッ!

 牧原麟太郎…小夜子「蜘蛛膜下出血って激しいショックを受けた時に起こる事があるんですって。多分、引き金を引いたのは私達よ…。」

ちなみに当の蜘蛛膜下出血という物は倒れる瞬間に雷が落ちたかのような激しい頭痛にのたうちまわり(またはのたうつ暇もなく)意識を失うという症状ではあるものの、怒ったり興奮した瞬間に血管が切れるという現象が起こる訳もなく(動悸、息切れが影響するのは心臓病や肺病だけ。ショックを受けるのは心臓だから脳は関係が無い。)またそれまで彼に見られた「偏頭痛」は硬膜下出血の症状(蜘蛛膜と硬膜の間で出血し、脳が圧迫される、蜘蛛膜にガードされての出血なので、意識は保ったまま頭痛を感じる。そしてよほど手遅れにならない限り、血さえ抜けば割合簡単に治ってしまう。)であるので、小夜子達のせいではないのでは…?と思いかけた所ストレスからピロリ菌が無くても胃潰瘍になるように脳梗塞になる場合も少なからずあるそうで、全ては小夜子のせいだという原因を否定できなくなりました…ゲフッ!(おそらく父親は何百万円も出してアメリカ留学をさせた娘が不倫の果てに自分に何の相談も無く大学を辞め、マトモな男(彼氏候補)との縁談を勧めても見向きもせず、姉の夫とまで不倫をしていたという事実に非常なストレスを感じたのだろう。考えてみれば当たり前だが。)ついでに言えばその蜘蛛膜下出血とは脳の皺に合わせて血が入り込んでしまい血の除去も大変な他、後遺症も残る酷い病気であり実の父親が危篤であるまさにその時に、↑のように自分が父親をそういう状態にしたという自覚がありながら、翌週には相も変わらず姉婿との不倫を続けている小夜子の神経を疑ったものでした。そんな訳で、どこまでも好きになれないです、この妹。

カラマーゾフの兄弟

2009.05.20
 「罪と罰」でも有名なドエトフスキーの生涯最後の作品であり、深い内容に現在では「カラマーゾフの妹」という続編まで書かれたそうです。(「風と共に去りぬ」→「スカーレット」と別の人間が続編を書いたみたいだね。)作品中でも使用人として仕えていた男が実は館の主人の隠し子だったというオチがありますし、あの親父の性格上、よそにまだ子供を作っていても全く不思議は無いなと言い切れてしまう所が…切ない内容です。

 ドミトリー・カラマーゾフ…アリョーシャ「兄は暴行を振るったあなたに必ず謝りに来ます。いえ、来させます!必ずあなたの気の済むようになりますから!兄に謝罪の場を作らせて下さい!お願いします!」
イリューシャ「そんな奴の言う事なんか聞く事ないよ!パパにあんな恥かかせた奴、許さなくていいよ!」

あの父親にしてこの長男有り…というロクデナシ親子であり、やった事は到底許される事ではないものの(「『あかすり』というのはドミトリーに引き毟られたこの髭の事ですよ。運悪く息子イリューシャの友達に見られた事で9歳の息子は今、そう呼ばれていじめられているんです。」byスネギリョフ)↑のようにやった所業を誤魔化すのではなく「謝る」為に行動して、慰謝料まで用意してくれる家族がいる(「これは示談金です!金で全てを解決できるとでも思っているのか!?」と受け取りは拒否されたものの、それでも「用意した」その行動は偉かったと思う。)辺りは結託して知らないフリを決めこんで警察まで騙した匿名一家に比べれば、同じ「ダメ人間を抱えた家族」でもまだ救いようがあるなと感じてしまった一家でした。最後はこの長男も(罪状自体は無実の罪だが)シベリア送りになりましたし結局全ての事は罰として自分に返ってくるんだなと感じた話でした。

 イワン・カラマーゾフ…「何故、領主は犬に石を投げた子供を許さなかった?見せしめに猟犬に食い殺された子供は死後の世界で領主を許しているのか?母親は息子を殺されて領主を許す事が出来るのか?それほど許し合う事が大切か?殺された子供の血を…領主の罪を『帳消し』にしてまで!」

相手の罪を「許す」事と「帳消しにする」事とは違う(日本の風習に罪人の腕に入れ墨を入れるというのがあったが、それは懲役が終わっても「あなたは当然の『罰』を受けただけで、やった事が消えて無くなった訳ではない。」というサインだったように思える。)そんな気がしました。思えば「神なんていませんよ。いたら父さんなんか丸裸にされてます。」というセリフからも分かる通り、放蕩生活を続けている父にいつまで経っても裁きを下さない神に対する幻滅からも無神論者→こんな世の中変えてやる!と学生運動…もとい革命活動に走ったのでしょうね。父と違って自分は理想的な人間なんだ!と信じ上げていただけに、兄貴が父親を殺したおかげで金(遺産)も女(兄貴の婚約者)も全てが手に入った「偶然」に喜んでいただけに、実は自分が引き金を引いていた(弟のスメルジャコフが自分の為にと仕組んだ展開だった。)という真相には耐えきれなかった様子です。その辺りはどんなに頭が良くても所詮、温室育ちのお坊ちゃんだったのでしょうね…。

 アレクセイ・カラマーゾフ(アリョーシャ)…アリョーシャ「ここに有る金と兄がモークロエで豪遊に使った金を合計すると、ちょうど父の部屋から消えた3千ルーブルになるはずですが、その計算はしましたか?凶器の件だってグレゴリーを殴ったきねが証拠として挙げられていますが、同じ凶器で父が殺されたのか、気絶していたグレゴリーが『目撃』できたはずがない!」
カテリーナ「裁判長、この手紙を!『俺は親父を殺してでも、金を手に入れて君に返す!』事件の前に私に送られたミーチャの殺人予告ですわ!」
アリョーシャ「いや、だから…。」

父親殺しという無実の罪を背負わされたドミトリー兄貴(そして普段行っている乱暴狼藉から、弟以外誰も信じてくれなかった。)と、「金(遺産)や女(カテリーナ)が目的で殺人を犯すなど認める訳にはいかない」のに実の弟(スメルジャコフ)に父親を殺させ、更に当の弟を自殺に追い込んでしまったイワン兄貴(革命を起こすに足る「理想的な人間」であるはずだったのに、自分が原因でこんな事態を起こさせてしまった。)に比べて、唯一何の罪も犯していない清廉潔白に生きている3男です。温厚で優しい性格が幸いして、あのどケチの父親にまで気に入られていますし、本当の意味で「理想的な人間」は一番敵を作らない性格の彼であったのでしょうね。思えば幸せな性格…とはいえ「父親殺しの弟」(実際に殺したのは別の人間だが「兄弟」であることに変わりは無かった。)として彼はこれからも「犯罪者の一家」として後ろ指を指される立場ではありますし苦労していない訳ではないのでしょう。冷静に状況を見れば、頼みにしていた師は亡くなり、親父は殺され、兄貴はシベリア送り、もう一人の兄貴も精神を病んで療養生活という過酷な内容に(いっそ修道院に籠っている方が楽な気がする。)彼らしく健やかな強さで今日も生きているのは凄い事なんだろうなあ、と頷けもした青年でした…。

 スメルジャコフ…イワン「ドミトリー兄貴に親父と愛人との秘密の合図を教えた!?ふざけるな!使用人なら体を張って主人を守れ!」
スメルジャコフ「あの乱暴者から私が守る!?無理ですよ!」
イワン「それなら何故、俺にここに残れと言わない!?何故、親父を守ってくれと言わない!?何故、兄貴を止めてくれと言わない!?お前は兄貴に親父を殺させるつもりか!?」

そう、自分にいじめっ子を屈服させる「力」が無くても、教師に密告したり、人を連れて来ていじめの出来ない「場」を整えたり(実は犯罪行為を起こさせない為に一番効果的な方法は「人目を増やすこと」だそうです。)目の前のイジメを止める為に出来る事は実は沢山あるのですが、何もする気が無いからそいつらは目の前の惨状を放置している訳で、この話のスメルジャコフが実はすべての状況を仕組んだ黒幕だったように「傍観者が一番悪い」(虐待やイジメなど、「事件」の影には直接手を出している実行犯の他に、こうして他人のフリをしながら実行犯の味方をしている間接的加害者が必ず存在する。)という事例を端的に表した話なんだろうな、ともう一人の使用人・グレゴリー(「フョードル様がどんな人間であろうと、使用人として主人をお守りするのが私の務めだ!」byグレゴリー)との違いと合わせて実感したものでした。この人もまたフョードルが精神を病んだ娘に産ませた「カラマーゾフの兄弟」なのですが、一度でも母親が正妻の座に着いた子供と、認知もされていない愛人の子供の間では立場に明白な違いがあり、兄弟として「認められる」事は一生叶わず使用人で終わった彼。そりゃ、目の前で他の兄弟との差(えこひいき)を見せつけられ続けた事もあって親父を殴り殺したくもなるよな、と納得もした経緯でした…。

NARUTO

2009.05.20
 10年以上も連載が続いた(むしろ続き過ぎ)な岸元先生の大ヒット連載ではあるのですが…中忍選抜試験の後辺りから勢いが落ちて来て(人気はそのまま有ったけれど)引き延ばしに引き延ばしを重ねていった展開に、青年時代位からマトモに読んで来なかった(オイ!)のですが、そんな大長編(過ぎ)な物語も、いよいよ完結したそうなので、記念にちょっと語ってみる事にします。ちなみに、この後はサクラを主人公とした番外編と続き、原作・岸元先生として新連載「VORUTO」が始まったそうです。(結局まだ続くんかい!)

 イルカ先生…「卒業…おめでとう。」

本当だったらこの人は「ナルトを初めて認めてくれた人間」という「段階の一つ」でしかなく、卒業したらそれでさようなら~という二度と登場しない人物であったはずなのですが、必死で生徒(ナルト)を庇い、涙までする彼の姿に心を射抜かれた(かの「地獄先生ぬ~べ~」でも「ぬ~べ~はこんなに生徒達の為に戦っているのに担任の先生は何でも見て見ぬ振りで保身しか考えていない。」「いやいや、妖怪と戦う事が先生の仕事じゃないから…ね!」(by原作者の必死のフォロー)という意見が多数届いたそうですが、それと同じく、こんな生徒思いの先生は他にいません!)という読者は後を絶たず、予想外に大人気となってしまった為に、本来だったら関係無くなるはずが、中忍選抜試験の試験官になったり、カカシ先生の親友案まで出たり(おかげで腐女子の世界では、すっかり2人はデキている。)ラストまで、ちょこちょこと無理に出番が増やされています。ファンとしては感無量だろうなあ(それでアンソロジーまで何冊も出ているのだから人気というのは恐ろしいものである。)とつくづく感じさせられた素晴らしい登場人物でした…。

 うずまきナルト…「まっすぐ自分の言葉は曲げねえ。それが俺の忍道だ。」

でも、好きな女に関してはサクラ→ヒナタと自分の言葉を曲げたのか(正しい選択だが。)とツッコミが入ってしまう主人公。ですが後にリーさん、その他にも出会った男を一目惚れさせるサクラの顔面偏差値の高さ(アレで一応「美形」らしい。)を考えると、顔だけに惹かれていただけで、当のサクラちゃんへの想い自体がそもそも本当の「恋心」ではなかったではないかとも思える(よしんば恋心だった所で打算の為に大して気持ちのこもっていない告白をするサクラの媚態に幻滅はしてそうだが。)ので、普通に相手の中身も知って好きになったヒナタと結ばれたのは良かったと思えたものです。(物語のテーマが「家族や愛を知らなかったナルトがそれを見つける」のなら相手はサクラでもヒナタでもどっちでも良かった事だしね。←禁句。)義兄ネジから取ったであろう息子の名前ボルトには吹かせて貰いましたが(娘の名前がナットとかでなくて普通にヒマワリという名前で良かったです。)幸せに円満家庭を築いていそうな様子に素直に拍手してしまいました。夢を全部叶えられて良かったね!ナルト!

 日向ヒナタ…「ナルトくん…。私はずっと昔からあなたを見ていた。何でかな…。」

周り中の女が顔と成績に惹かれてサスケ君サスケ君と騒いでいる中で、始めからナルトを選ぶとはなかなか見る目があるではないか(原石に磨きがかけられた後になってから、彼氏候補に捨てるのは「もったいない」程度に思い始めただけのサクラとはそこが違う。)と最初から好感が持てたので、意外にも彼女とカップルになったのは個人的に嬉しい誤算でした。ヒナタが最高に良い女とは言わないけれど(むしろナイスバディ(巨乳)に慎ましやかな性格(ブリッ子)という理想的過ぎる内容に神経を逆なでされる女性読者の気持ちも分からんでもないが。)それでもサクラと比べると雲泥の差で良い女じゃないか…。(なのに何でこの子がメインヒロインじゃなくて当て馬役なんだ…。)とずっと理不尽を感じており、中の人(声優さん)ですら「ナルトに恋する気持ちは本物だが報われない悲恋で終わりそう。」みたいな事を言っていたので正直この逆転ホームラン級のヒロイン変更(なんだかんだで作者の思惑の元に結局ナルトはサクラとくっつくかと思っていた…が、その予測は良い方向に裏切られた。)には意外性を感じると共に素直に喜べたものです。(きっとナルト×サクラのカップルのあまりの人気の無さに、いよいよとなって「やっぱり無理!一般的大多数の読者がそんな結末は喜ばない!」となったのでしょうね。←禁句。)旦那さんは忙しそうですがそんな中でもいち早く子供2人も作ってしまうほど家庭円満な様子のうずまき家。(忙しくても、そういう暇はあったのか…。)ワゴン車の宣伝のように車の写真の前に並ぶのが凄く似合いそうな家族4人の絵には自然と笑みがこぼれてしまったものです…。

 春野サクラ…「ナルト…あんたね、うざい!」

うわっ、登場したしょっぱなから全ナルトファンを敵に回しちゃったよ、この女…と最初から引いてしまったメインヒロインです。昨今、嫌われる風潮にある暴力ヒロインであり(ギャグ(暴力に走ってもおかしくないシーン)として描かれてはいるけれど暴力をふるうのに正当な理由など、この世のどこにも無いというツッコミを入れられてしまえばそれまでである。)作者自身も「可愛いタイプ」(男ウケするタイプ)ではないけれど「現実の女の子」らしくて自分は気に入っている、と認めていましたが…そんな「現実の女の嫌な部分」なんて、リアリティ以前に漫画という二次元の理想化された世界で受けるはずが無いでしょう!と思わずツッコミを入れてしまいました。擁護していた、うちの妹すら友達いのとのエピソードでは「これは嫌われても仕方ない。」(友達と同じ人を好きになってしまった、おかげでその友達とは現在気まずい、そこまでは分かる。けれど世話になりまくった友達を自分の都合で罵倒するのはさすがにありえない。)とフォローの仕様がなくて口を噤んでいましたし、海外での「嫌いなヒロインランキング」であらゆる作品のキャラを蹴散らして堂々の一位に輝いてしまったのにも残念ながら納得がいってしまったものです。…という訳でナルトとは散々フラグが立っていた(母親が推していた「母さんのような女」(クシナ)に似ていると父親も認めており、ナルト自身も子供の頃から好きだったという好条件)にも関わらず、告白しても読者受けは最悪(ナルトの身を案じたウソ告白だった…以前に「自分がちょっと甘い顔をすれば相手は言うがままになびいてくれるだろう」という上から目線の傲慢さが凄く嫌。)で「遠回りはしたけれど結局主人公と結ばれる」王道展開は歩めなかった(というより読者が許さなかった)彼女。結果として昔からの想い人・サスケくんは(どうやったのか)ゲットしたものの、メインヒロイン(主人公の妻)の座からは転落したんだな、と小気味の良さと共に頷いてしまった女の子でした…。

 うちはサスケ…サクラ「子供の名前、決めた?」
サスケ「ああ、『サラ』だ。」
サクラ「『サラダ』?べ、別にサスケ君が決めてくれた名前ならそれでいいけど…。」
サスケ「?」

というニアミスでもあったのか2人の間にできた娘の名前には吹いてしまったものでした。(ナルトといい、このお父さん達のネーミングセンスって…。)サクラの他にも、いの、カリンと女性達からは引く手数多のモテ男(腐女子の説によるとナルトやカカシも数に入ってしまっているらしい。)ですが…顔以外とりえの無いメンへラテロリストの無職男に年頃の女性が入れ上げてくれるか?という疑問が出て、むしろ未だに女性陣に想われている顛末には謎しか感じませんでした。(そもそもこの男のどこがそんなに魅力的なのか分からない。サクラを嫌いな理由の一つにこんなダメ男に入れ上げる見る目の無さに共感できないというのもある。)火影(最高権力者)となったナルトと前火影のカカシのとりなし(お情け)のおかげで里に散々迷惑かけながらもお咎めナシになっているけれど(そして、うちは一族の写輪眼を広める為にもたった一人の末裔である彼を抹殺して絶滅させる訳にはいかなかったのだろうけど)現在ではサクラと子供を作るだけ作ってフラフラ1人旅しているクズ親父になっている様子ですし(おかげで番外編では娘のサラダが「パパとママは本当に夫婦なんだよね?」とあまりにも家にいない父親の姿に不安まで感じている。…ダメ父やないか!)現在でもなお微妙に感じてしまう男でした。サクラとのカップルについても「俺はそいつを愛する理由も愛される理由も無い。」(本当にな。子供の頃、里を抜けて以来マトモに会ってもいないもんな。←禁句。)と明言しちゃったし、数少ない貴重なサクラファンもこれには溜め息が出ている事だろうなあ(どんだけ円満やラブラブと程遠い関係なんですか…。)と最後までガッカリさせて貰ったお二人さんでした…。ナルトの所はラブラブ昂じて2人目まで作ってしまう程あんなに円満そうなのにね…ゴフッ!

 サイ…ナルト「サイ…やっぱりお前に相談して良かったってばよ。こんな本持ってたとは。なるほど…デート代は全て男が出しちゃうのがマナーなのかあ…。」
サイ「いえいえ…しかし君がデートですかあ…。」

いやいや…誰との為に恋愛マニュアル本なんて持ってるんですか、サイさん!?と、むしろそこが気になったら、いつの間にやら、いのとデキていた(サスケくんをゲットできないのはサクラがいるから仕方ないとして、シカマルと上手くいかないのはテマリとのフラグから予測できた光景として、チョウジと妥協する展開も次世代に花札から取ったであろう猪鹿蝶コンビが結成できなくなる(このチーム内でくっつくのは却下!)という理由から不可能ということで、残る一番身近なフリーがサイしかいなかった、という事なんだろうな、きっと…。)という展開には、彼女の夢の中で2人が自分を取りあって争うシーン以外ほとんどフラグが立っていなかった(まあ、一応「候補の一人」に上げられるほど彼女の中で認識されていた、という事で…。)とはいえ、納得はいったものでした。それにしても、ナルト達の世代が皆してカップルになっていた最終回の様には独身のカカシ先生が「俺、今年は何回結婚式に出席すればいいんだろう…。」とぼやいてそうだな、と思わず生暖かい目で見守ってしまったものでした…。

 シカマル…ナルト「もしかして、お二人はデートですかい?」
シカマル「そんなんじゃねーよ。」

なんて言ってたくせに、シカマル、あなたまで…と、いつの間にやら隣国の最高権力者・風影(我愛羅)の姉君(テマリ)を娶っていた展開(「絶対、男できねーぞ、こいつ。」と言いながら君が「男」になるとは…いやはや。)にはチームの他のメンバーの例に洩れずいきなりな話、とはいえ↑のように口先だけで何と言おうが、何だかんだで一緒にいる事が多い(そして「仕事のついで」に一緒に食事したり、「ついで」に遊びに行ったり、本人達は否定しながらも、さりげなくデートの口実に使っている、という話は現実でもよく耳にする。)し、多分3人の中では「前から知っている相手」(急に登場した新キャラではない。)と一番普通に恋愛した事例なんだろうな、と得心したものでした。しかし、わざわざ時期を合わせて皆して子供を作っていた展開には、独身のイルカ先生が「俺、今年は何回出産祝い包めばいいんだろう…。」とぼやいてそうだな、と改めて生暖かい目で見守ってしまったものでした…。

屍鬼(小説版)①

2009.05.20
 遺血話(1話)、腐堕話(2話)、惨話(3話)、死話(4話)、偽話(5話)、髏苦話(6話)、弑魑話(7話)、夜話(8話)、柩話(9話)、悼話(10話)→祭終話(最終話)と、おどろおどろしい文字を重ねて話が進んでいった漫画版(その発想は無かった!)を読み終えると、改めて小説版を読み返したくなり、思わず再度買い揃えて読破してしまった原作本です。覚えていたよりも漫画版と同じシーンが多くて、作画担当の藤崎先生は本当に原作を読みこんでいたんだなあ~と改めて感心したホラー小説でした。

 後藤田秀司…敏夫「本人は3日も前から寝ついているのに医者を呼びもしなきゃ、病院に行かせもしない。挙句の果てに起きてみたら死んでただと?本当に診る必要のある患者に限って手の施しようが無くなるまで来ようとしないんだからな!」
母・ふき(だって、あの子の布団には血がついていたんです。油断してた訳じゃない。でも医者(他人)を呼ぶことが、呼ばない事よりも悪い結果になりはしないかと怖かったんです。息子が心配だったから。)

心配ってそっち(犯罪の露見)の心配ですか…と子供の不自然な様子から「最悪の事態」を薄々予想していながら、問題を表沙汰にしない為に「サイン」をそのまま見て見ぬ振りをして、自分達が破滅を迎えるまで放置した(全く怪我を負っていない息子が血まみれで帰って来て、兄に電話してもつながらない。普通はそこで警察に連絡する所を、自分達が殺人犯として捕まるのは怖くて、実の兄が死んでいるのに放置して過ごした。それを息子に感謝して貰えるどころか、起き上がった息子には殺される羽目になるのだから、つくづくしょうもない親である。)って、まるで「無言電話をする娘」だと分かっていながら、その後の娘の動向には見て見ぬ振りをして、ネットの掲示板で大炎上してる結果を招いた(挙句に娘本人に「家長辞めろwww」と書かれている。)、よしみつ一家のようだと思い出しました。(バカ親って、どいつもこいつもこんな感じなんだな。)自分達は一生懸命、子供を庇っているつもりだった(ハイハイ、自己陶酔はその辺で。本当に迷惑してるのは娘と一緒になって犯罪を隠蔽しているアンタ達じゃなくて、犯罪レベルのストーカーを繰り返されている被害者の方だから。)けれど、子供の方は親を「何でも尻拭いしてくれる下僕」としてしか認識してなくて、親孝行をするどころかウザいとしか思われていない様には、思わず呆れた目でしか見れなかった親子関係の様でした…。

 村迫正雄…保「あいつ、兄弟の一番下だろ。しかも兄貴とは17も年が離れてる恥かきっ子で甘やかされて育ってるから、だから自分の思うようにならないと気に入らないんだ。周りと比べて出来が悪い事に卑屈になる割に、それを正面から受けて立つだけの度量が無いから逆ギレに走ってるんだな。」
夏野「バカか。年の離れた末っ子だから甘やかされたとかワガママだとか、そういうのって通説だろ。同じ環境に育ったら、必ず同じ人間ができるのかよ。本人の個性無視して、周りの環境から来るイメージに振り回されて、だから許してあげちゃうなんてバカ臭いって言ってんの。」
保「お前、そんな態度ばっか取ってると、そのうち誰かに刺されるぞ。」
夏野「刺すほど度胸のある奴がいたら受けて立ってやるよ。」

本人にも大いに問題はあるが、それを「あいつは面白くない事があると、いつもああなんだよ。」で済ませて、許してしまう周りにも問題は有る。周りだって本人を増長させている一因じゃないか、という様には誹謗中傷コメントも無言電話も「○っちゃんだから仕方ない。」「謝る気なんて無いんだから、許してあげなよ。」とストーカー女をフォローして、被害者が悪いかのように説教を始めた▲▲さんを思い出したものでした。(バカか。その主張が本当に正しいと胸を張って言えるのなら、ネットを通してご近所の人達にも見て貰いなさいよ。)そんなにそいつに肩入れするなら、どうぞ一緒になって「相棒をやっている人間」として1人で言い訳していれば良いじゃないですか。「私」があなたの基準で「こんな人間」を許してあげちゃうような、バカ臭い事はしないわよ、と夏野同様、白い目でしか見れなかった「汚友達の言い訳」の様でした…。(「私はあなたの肩を持ってあげてるでしょ。さりげなく、よしみつのフォローをしつつ、謎の日本人を立ててやってる。こういうのを気配りって言うのよ。」「陰口の間違いでしょ。そういうセコイ味方なんかいらないわよ。」って所ですね。)

 清水恵…保「お前には遺品を貰う謂われが無くても、向こうにはあるんだろ。いいのか、あんなすげなくして。」
夏野「俺、清水、嫌いなんだよ。すっげえ絡んで鬱陶しかったんだ。遺品なんか貰ったって気味悪いだけだろ。」
葵「ナツって、最低。死んだ子にそこまで言う?」
夏野「んじゃ、保っちゃん達なら受け取るのかよ?」
保「受け取る位は受け取るぜ。後で捨てるかもしれないけど。」
夏野「どっちが最低なんだか。」

文字通り、葬儀には「来た」だけで帰っていったのね…(確かに言葉の意味的には間違ってはいないが。)と、本人が死んだ後でもストーカー女に対する嫌悪は変わらず、その気持ちに正直に遺品の受け取りすら拒否した夏野の初志貫徹ぶりには逆に拍手さえしてしまったものでした。私もストーカー女の遺品なんて、有り難がるどころか「物で釣ろうとするなんて最低!」としか思えないだろう自分がいるので(よしんば遺族の立場を配慮して、受け取る位は受け取っても保が言うように確実に後で捨てる。)、彼の態度には目から鱗が落ちたものです。礼儀としては「ありがたく貰うポーズを取る」のが普通でも、そこに気持ちがこもっていないのなら本当の意味は無い(大体、自分は「これで2度と奴のストーカー行為に悩まされる事も無くなる訳だ。」と死んだ事を喜んでいる方の人間である。)死を悼んでいるフリなんて偽善的な事は自分はしない、とそう言いたいんでしょうね。

 田中かおり…夏野「埋葬に立ち会うほどの義理も無いし、日影も無いのにいられねえよ、こんな所。」
村人A「チャラチャラした娘だったからな。男でも作ってしけこんで、悪い病気でも貰ったんじゃないかい?」
村人B「元々、浮ついた所のある娘だからねぇ、いつかはこんな事が起きると思っていたよ。」
かおり「酷い…。恵ちゃんは死んだのに、もういないのに、とてもとても可哀想なのに。もっと皆、死を悼めばいいのに、酷いよね、恵ちゃん。こんな扱いを受けるなんて…。」

じゃなくて、死んだら全てが帳消しになる訳ではない(死は故人の何もかもを美化してくれる、特別なイベントではない。)という当たり前の現実が現れただけで、生前の行いがそんなだったから親戚や近所の人達にまでそんな風に言われるし、本人が胸の内で「くだらない、野暮ったい、最低な住人達」だと評していたのも皆、薄々察していたよ(だから死んでも「ざまあみろ。」「どうせ自業自得だろ。」という評価だし、クラスメイトに至るまで気持ち悪がられて葬式にも付き合って貰えないんだよ。)と、純粋に友達の死を悲しんでいる(友達の本性の方は全く見えていない)かおりにツッコミを入れてしまったものでした。むしろ今まで夏野に対して行っていたストーカー行為まで取り沙汰されなくて良かった方ではないか(逆に彼がサッサと余計な事を言わずに帰ってくれて良かったね。)と、どこまでもピュアなかおりに慰めにならない語りかけすらしたものです…。

ママレード・ボーイ

2009.05.20
 昔、アニメ化していたのをリアルタイムに見ていた世代(と書くと年齢がバレそうだが)でしたが、色々な相手と長々~とキスしまくっている登場人物達の姿(しかもそれを回想しまくっている。そんなに浸りたいの?)に「この人達は万年発情期なのか?サル以下なのか?」と冷めた目で見ていた(割に毎週欠かさず見ていたのだが。←オイ!)ので、原作を読んでみて登場人物達がとても貞淑なのに驚いた(ジニー、亜梨実、すずと3人もの女の子に公衆の面前で唇を奪われていた遊に到っては光希1人にしか肉体(唇)を許していないし、ヒロインの光希のファーストキスは「何なのよ~、保健室のベッドの上でこれからが本番っていう時に、もう辞めちゃうの?」(注・そんな事は言ってません!)と言わんばかりに長~く誘い受け…もとい、されるがままになっていたのが、原作では「え?今、何が起こったの!?」という風に一瞬で終わっている。)そんな話でした。「アレ(キスシーン)がなくっちゃママレじゃありませんよ!」と声優さんにまで言われていた(中の人にまで…。)ように、私の中でもすっかり「そういう話」だという頭があったので、読んでみてかなりマトモに作られている話に良い意味で裏切られたものでした。

 小石川光希…母「あのね、光希。私達、離婚しようと思うの❤。ハワイ旅行で松浦夫婦と一緒に行動しているうちに、ママは松浦さんと、パパはその奥さんと恋に落ちてしまって、4人で色々話し合った結果、パートナーを交換して再婚する事にしたの。」
父「俺達元々、結婚前も恋人って言うより親友ってノリだったしな。お互いもう『恋愛』じゃなくって家族愛なんだよな。」
光希「そんな理由で離婚って、何言ってんの!?情熱は無くなっても穏やかな愛情で結ばれたまま仲良くやっていくのが夫婦ってもんでしょうが!普段からちょっと変わった所があったけど今回のは酷すぎる!許せる範囲を超えてるよ!」

16年も夫婦やって来て立派な年頃の子供もいるのに、「初対面」のご夫婦相手にそれはいくらなんでも軽すぎる(応じる相手のご夫婦だってマトモじゃない。)と思ったら、実は4人は昔の恋人同士で焼けぼっくりに火がついた形で元サヤカップルに戻ったという裏事情がありました。だからって子供の気持ちも考えずにホイホイと離婚して再婚、しかも全員が同じ家で同居(だから光希達子供は「今まで通りの組み合わせ」を両親だと考えてくれていいのよ…って、そういう問題じゃない気がする。)って、どう考えても異常な展開で、おかげで後にいらない恋愛事で悩む羽目になるヒロインの姿(お互い「父親の籍」に引き取られたおかげで、同居しながらも「義理の兄妹」ではなく戸籍上も「赤の他人」だからと遊と恋人同士になったら、実は父親が昔の恋人の方だったという異母兄妹疑惑が持ち上がり、別れの危機を迎えた。)と合わせて微妙に思えた両親達でした。何だかんだ言いながらも「自分をこんな目に合わせた人間」と仲良くやれる光希(普通ならグレてる。両親に限らず、ラブレター回し読みにして笑い者にした銀太しかり、勝手な理由で別れた遊しかり、2度と口をきいて貰えなくても全くおかしくは無い。)は本当に人間が出来ているとも感じたものです…。

 松浦遊…留美(光希母)「酷いわ、千弥子(遊母)!上司と浮気して次は私の彼氏とって訳!?要士も私をほったらかして、千弥子のことばっかり、度を越してるわよ!」
要士(遊父)「それで仁(光希父)のロンドン転勤に結婚してついて行ったって…何で、こうなるんだよ!」
千弥子(遊母)「その後、仁の子供を妊娠している事に気づいて、親友の要士と結婚して育てる事にしたけど、精神的にも肉体的にも参ってしまったのね。式の直前に流産してしまったの。そうして私達は普通に結婚して、翌年、遊が生まれたの。」

子供っぽい誤解と嫉妬と、それに勢いから結婚して速攻で子供を作った(でも全ての事情が分かって誤解も解けた以上は、異母兄妹である2人には都合の悪い事は全部黙って仲良く家族やって貰おう。)…って、両親ズが凄く酷い人達ってことになっちゃうかなあ(オマケに最初から釘を刺してくれていればこんな事にもならなかったのに、お互い離れられない恋人同士になった後でその事実が分かったってシャレになりませんよ!)という作者の気持ちの変化の元に本来、結ばれるはずの無かった2人は↑のようなラストに変更され、道徳的にもOKな状態(実は兄妹じゃありませんでしたというお約束展開。)で、めでたくくっつく事になったそうです。それにしたって息子の遊はそれで12歳の頃から今までず~っと悩んできた訳ですし(「交換結婚の時も、父さんと母さんは色々と乗り越えて深く愛し合ってるんだって信じてたのに、こんなにアッサリ相手を変えるのかって、実は俺それなりにショックだったんだぜ?」by遊)兄妹でなくても充分に酷い両親だったと思うぞ、とツッコミを入れてしまった可哀想な子供達の恋愛譚でした…。

 須王銀太…男友達「『一年の時からずっと銀太が大好きです』だってよ。どーすんだよ、銀太。お前は別に光希のこと何とも思ってないって、いつも言ってただろ?」
光希「『ただの友達』。それならそれで仕方ない。だけど、皆に人のラブレター回し読みさせて笑い者にすること無いじゃない!サイテー!見損なった!銀太のバカヤロー!」
銀太「あのラブレターが入ってた雑誌、俺のじゃなかったんだよ!勝手に持って行った持ち主が手紙を見つけて、止めるヒマも無く回し読みされたんだ。クラスの男子どもから人気のあったお前に抜け駆けすんなって普段から言われてたし、奴らを敵に回す度胸も無かったから嘘ついてたんだよ!」

それを2年も経った後「他の男が現れた今」になってから言っても、もう遅いだろ(そして遊という新しい男の出現が無かったら、ジタバタする事も無かったし、今現在も傷つけたことを謝ってないよね、君。「あれはお前だって悪かったんだ!」と責任なすりつけてるだけで。)と熱烈な告白の反面、妙に白けてしまった私でした。(「ちょっと銀太、あなた、そういうこと言える立場じゃないでしょ?」by茗子)結果として公衆の面前で彼女の気持ちを全否定して「自分の意志で彼女を振った」事実に違いは無いでしょうに、一言の謝罪も無いままで、光希もよく普通に友達する事が出来たなと、彼女の心の広さに逆に感心すらしたものです。彼が亜梨実さんと仲良くなって行った事で光希本人も「友達の筈なのに何で自分はやきもちを焼いてるの!?」(それってまだ彼に恋してるから!?)と混乱していましたが、それは昔の恋人も他の女には渡したくないという幼稚な独占欲で彼が本命でない事に変わりは無いよ(「状況が変わった」から揺れるような気持ちは、また状況が変わった時にアッサリと手の平を反すものだと思うよ。)とツッコミも入れてしまった2股の様でした…。

 鈴木亜梨実…遊「鈴木なら男には不自由してないだろ。何も俺じゃなくても…気持ちは嬉しいけど俺、今女の子と付き合う気は無いんだ。」
亜梨実「3か月でいいわ。ためしに付き合ってみてよ。トライもしないで拒否するなんて間違ってるわよ。3か月経ってもやっぱり私を恋人にする気になれなかったら、その時はきっぱり諦めるから、ね!」
遊「…3か月、すげー楽しかったよ。お前、いい奴だし。だけど、やっぱり友達以上には思えない。ごめん…。」

それはそれとして3ヶ月間も付き合っていながらキスもセックスも「彼女」相手に何もしなかった遊は誠実な男だったな(可愛い女の子と「付き合って」いながらファーストキスすら果たしていないって…嘘だろ?)と彼女の「アンタには一生、マトモな恋愛なんてできないわよ!」発言と合わせて納得がいったものでした。(そりゃ「男に不自由しない」言い寄られてばかりの、恋愛経験豊富な彼女としては「何も手を出してこない彼氏」に疑問符が出た事だろう。)その後、遊に振り向かれない事は分かっていながらも、他の女(光希)とくっつかれるのを防ぐ為だけに彼女の元彼の銀太に近づいた(それで良い雰囲気を出しながら、当の遊は2人の仲を気にするどころか「どうぞ、お好きに付き合ってて。」と言わんばかりに質問すらしてこない所が…悲しい。)辺りは一応、純情だったのでしょうか?なのに、そんな事をしても無駄骨に終わって結局2人は付き合い始めたという展開が痛かったです…。最もモテる人は目当ての男1人に振られても他にモテるから大丈夫という真理の元に、「嘘から出た真」で彼女もいつの間にやら銀太と付き合っていたのが救いですが…。

 六反田務…六反田「亜梨実と銀太の場合は遊とは違う。お互い両想いだってんなら、俺の出る幕はねーよ。」
亜梨実「それじゃ、これからもお友達として…!」
六反田「そりゃ無理だね!お前らが付き合うのは勝手だが、俺と今まで通りでいたいってのはちょっと虫が良すぎるぜ。俺は亜梨実と友達付き合いする気はねーし、銀太の事はもう従兄弟とは思わねえ!お前ら二人共、もう顔も見たくねえ!…当分はな!なるべく早く許してやるよーにするけどよ、でも何年…何か月かかるか分かんねーからな!覚悟しとけよ!」

何年も思い続けたのに、彼女は結局、彼に振り向かずに他の男と付き合い始めたという顛末(そこは努力が認められる所じゃないんですか…?)に現実を感じると共に、他の男と付き合うけれど君には今まで通り「都合の良い男」(お友達)であってほしい…って、それは確かに勝手だよ!(何、男を使い分けてるの、亜梨実さん!こんな説得に乗る銀太も銀太だよ!)と六反田の言い分に心から頷けてしまいました。むしろ何十年も絶縁状態が解けなくても全く不思議ではないよ、とツッコミすら入れてしまったものです。(銀太にこっぴどく振られた後に仲良くお友達ができる光希といい、この漫画、人間が出来過ぎてる人が多いよね…。)なのにその場で「当分の間だけの冷却期間だ。」(気持ちが落ち着いたら、「友達」の自分の恋心を知りながら、友情を無視して裏切った人間2人と、また仲良くお友達が出来るだろう。←それで良いのか、男として…。)と宣言し、現在だって実はもう許している彼がとても良い男に見えました。アニメで彼女が出来たのが思えば慰めです…。

 秋月茗子…茗子「うちの両親、夫婦仲は冷え切ってて、お互い愛人もいるのに父は世間体から、母は経済的理由から、絶対、離婚しないの。普段は冷戦状態なんだけど、たまに爆発すると酷いのよ。あの日も酷いののしり合いになって、私とうとう耐えられなくなって恋人の先生の所へ行ったの。アパートに泊まったけど皆が思っているような事は何も無かったわ。」
光希「茗子…うちに、私の所に来てくれたって良かったのに。なっちゃんとの事だって、こんな風に知らされる前に話してほしかったな。親友なのに、こんな大事なこと隠してたなんて、ちょっとショック…。」

ベラベラ何でも話すのが親友なら、その人間は「他の親友」にもペラペラと言いふらすだろうし(実際、友達の性生活や家庭の事情の全てを直接は彼女と会わない(バレない)友達を選んで話の種にして、影で笑い物にしていた最低女(無言電話女のよしみつ)を1人知ってるし。)誰にも言わない事を選んだ彼女の選択は英断だったな(秘密を守る一番の方法は「秘密を持たせない」事である。)と感じたものでした。確かに光希なら口止めしておけば言わない人間だったでしょうが、事態が明るみになったとたん「ほら、あの子よ。名村先生とお泊まりしてクビにさせたって女は…」と廊下を通るだけでヒソヒソ噂する口さがない生徒達(大多数)の姿を見ても分かる通り、ほとんどの人間は秘密という名の噂話を楽しむ物。(と、親にまで手紙を回し読みして人の不幸を楽しんでいる、よしみつ一家を見て知った。)知られたら困る事情なら話さないに越した事は無い(それなら100%バレる事は無い。)と、その当時から人間という生き物の本性を分かっていた茗子に拍手したものでした。

 名村先生(なっちゃん)…先生「教氏を辞めて故郷に帰る今の俺には、君のこれからの人生まで背負ってやれるほどの包容力なんか無い。自分のことで精一杯なんだ。君の事を思いやってやれる余裕なんか無い。連れて行っても不幸にするだけだよ。」
茗子「…待ってるのもダメなの?いつか迎えに来るって言ってくれないの?」
先生「そんな約束でお互いを縛るべきじゃないよ。許してくれとは言わない。憎んで、忘れてくれ。…さよなら。」

…と、きっちりハッキリ別れたはずの女性が1年以上も経った後で広島(宮島)にまで会いに来たって、漫画だから復活愛→結婚(!)の様を呈していたけれど、それは愛の行動力に感動されるどころか、逆に嫌われ松子のようにドン引きされて逃げられても仕方ないよ(まあ、恐れ慄いていれば、最初から「呼び出し」に応じて会ってなんかくれないだろうけれど。)と思わずツッコミを入れてしまったものでした。名村先生も名村先生で理性的な人だった(ピチピチの女子高校生と付き合っていながら、彼女が泊まりに来たという美味しい状況でも手を出すような事をせず、なのに「女子高生と一晩過ごした男」として潔く退職した。)ので彼女に惹かれながらもやせ我慢してただけ(「なのにどうして『私は一生、好きだから我慢するだけ無駄なんです』って抑えきれなくさせるんだ…!」byなっちゃん)という状況だったからこそ成し得た展開でもあったでしょうね。我慢していた所を押し切ったら展開は早かったな(高校卒業と同時に結婚ですか…。)と感心もした年の差カップルの結末でした。

東京伝説ベストセレクション~壊れた街の怖い話~

2009.05.20
 確かに好奇心は大切だし、かのソクラテスもそれは認めている所なのですが、ホームで人を突き飛ばしたり、通りすがりの人を刺したり、子供時代に昆虫相手にやっていたようなレベルの低い好奇心っていうのは大人になってから実験しないでほしい。警察の副署長が飲酒運転して署に戻った所を部下が逮捕するような時代(つくづく警察って何をやってるんだか…。)になってしまったのは分かるけれど、やるならせめて「夢でやって欲しい」というのが正直な所だと前書きにも書いてあった、異常な人間譚の再録集です。「何かを知る為に人生の全てをかけるのは冒険家とか開発者とか研究者とかに限られているものだと思っていたけれど、そうではない訳ですね。」(このような事件に巻き込まれない為にも、本書の「実例」を読んで知っておいて下さい。)…という作者の言葉にしみじみ頷いてしまった、そんな分厚い一冊でした。

 露天嫌い…金本「少し疲れる事をすれば寝られると思って、真夜中だけど温泉に行って湯当たりする事にしたんです。」
男「座っていれば何もしないから、俺が死ぬまで見てて。」

部屋で筋トレでも始めれば良かったのに…と真夜中に女1人で部屋を抜け出した小娘の迂闊さ(非常に危険な行動)にツッコミを入れてしまったものでした。露天風呂が開いていたから思わず泳いだり潜ったりしていたら、マナーの悪い自分を男の人が睨んでいた(…え?混浴?)だけで済んでいたら、良かったん、です、けど、ね。(それでも、その場で無駄な道連れに殺されなかった分、金本さんは運が良かった方だと思う。)刃物を出して近くに来いと脅されて、頭が真っ白になって側に行ってしまったら、手を掴まれたまま首を切って相手は死んだ。死後硬直が緩んだのか相手の手が緩んだ瞬間に飛び出して、全裸のまま廊下で悲鳴を上げていた所を発見された、というトラウマ必至の出来事(「あれ以来、友達とでなければ温泉に入れなくなりました。」by金本)に、以来、その旅館からは盆暮れに必ず大量の新鮮な海の幸が届くようになったそうです。(口止めですかい!)

 臭い手紙…井出「なんか凄いね。その包帯、エヴァの某キャラのコスプレじゃなくて本物のリストカットの跡で、膿んだ傷口から汁が出てるって…。」
レイ「だって私、腐女子だもん!」

腐女子ってそういう意味(本当に肉体が腐っている女)ではないのですが、2次元の世界にどっぷりハマって現実を見ない女性(本人が傷ついているとか、可哀想だとかいう問題の前に、そんな「異常な人間」に普通の男はドン引きする。)には、それが分からないらしいです。(「オタクや一種のマニアって、趣味が昂じて挙句の果てはどん詰まりっていうのは分かっていたんですけどね…。」by井出)化粧や衣装程度じゃなくて、キャラクター同様に本当にタトゥーを入れたり、アニメキャラの顔だけをずっと被っていたりの濃いイベントで知り合った相手ではあったけれど(そもそも、そんな危ないイベントに顔を出している人間って時点で…。)それでもずば抜けたルックス(顔だけは良い。)だったから彼女に興味を持って、誘ってみたらそんなだった、その場で逃げ出したのに現在でも妙なインク(体液)で書かれた臭い手紙が届くという顛末に、もう完全に彼女への興味は失われたそうです…。

 出会い系…女「ステーキ3人前にスパゲティにデザートもご馳走になっちゃったし、お礼に私の部屋に来ない?(=Hしない?)」
塩屋「って、部屋に行ったら怖いお兄さんが出てくる(美人局)じゃないの?」
女「そんなこと無いわよう。私、手術で子供出来ないようにしたいんだよ。そのお金ちょうだいよ。薬のやり過ぎだと思うんだけど、頭が水膨れみたいな子とか、背中に穴の開いてる子とか変なのばっかり産まれてくるのよ。すぐ死んじゃうから助かるけど…。」

そして部屋に行ってみたらテレビの前だけがかろうじて座れる程度のゴミの山(本当に足首が埋まるぐらい、部屋の中が全部ゴミ。周りはコンビニ袋に食い終わった食品のクズが入ったまま積もってて、ちゃぶ台の上には食べかけのカップラーメンがカビで変色して緑色の泡が立ってた。」by塩屋)、泣き喚いて雰囲気を壊した子供(雰囲気が壊れたのは子供が原因ではない気がする。)に煙草の吸殻を詰め込んで黙らせる母親の姿に、一気に萎えたそうです。ちなみにこの「塩屋さん」の方も慎重158センチ、体重80キロというお方(待ち合わせ後、彼を一目見て「ごめんなさい!」とデートを拒否られたり、走って逃げられた事も一度や二度ではない。)そうで、出会い系で本当に相手に会ったり、セックスするような人間はかなり痛い奴が多いという通説は本当なんだな(好奇心からメールのやり取りを何度かする事は有っても「普通の人」がするのはそこまでらしい。)と改めて認識した話でした…。

 爆弾…電話「逃げろ。店に爆弾を仕掛けた。あと五分で爆発する。」
客「キャアア!トイレから白い煙が!」
本部「すぐお客様を避難させなさい!君も従業員も全員退避だ!」

そして避難した後に確認してみたら、白い煙は便器に塊で投げ込んであったドライアイスの物で、振り返ると異常に多いオーダーを出して食っていた外国人集団客が一人残らず消えていた(「アレも新手なんでしょうね…。」by保井)というのは、オチが判明した今だからこそ食い逃げだった事が分かるけれど、初めての予想もしていない状態の時はどうしようもないよな…と不運な牛丼屋の店員達に同情してしまったものでした。消防隊員は煙を一目見てアッサリとドアを開けていた(煙の色や状態で一瞥しただけで「偽物」と分かるらしい。さすがプロ。)けれど、判別できない一般人の自分が「どうせドライアイスだろう。」とドアを開けたとたんバックドラフト現象で大爆発が起こったら嫌だし、女性も入る共用トイレでいつでもバッチリ丸見えの監視カメラをつける訳にもいかないしで、現在でも対応に困っているんだそうです…。(取りあえず煙を触って、それが異常に冷たいかどうかの確認からですね。)

金田一少年の事件簿⑦~⑨

2009.05.20
 この頃は単なる密室殺人事件のトリックだけでなく、オペラやギリシャ神話、有名な映画(ジェイソン)などの古典的名作を取り入れた部分もあったから、終盤の安っぽい「学園だけでの連続殺人事件」(どんな学校だよ!)とは少し違って、おどろおどろしい雰囲気が出ていたな(おかげで当初は「ホラー物」として怖がりながら読んでました…気持ち的に。)と、懐かしくも思い出せるシリーズです。人間ドラマの方も、年配者のこれまでの壮絶な人生が語られていたりと深みが有った点も有り、引き込まれていた話です。

<異人館ホテル殺人事件>
 不破鳴美警視(北見蓮子)…女優・万代鈴江「楽屋が荒らされたから劇を中止しろ!?ここで引き下がったら犯人の思うツボじゃないの!」
俵田刑事「しかし犠牲者が出てからじゃ遅いんですよ!?」
万代「そうならないようにするのが警察の仕事でしょ?犯人は私の性格を知らないようね。邪魔されるほど燃えるのよ、私は!」
不破警視「分かりました。劇は予定通り上演して下さい。(ニヤリ)」

万代さんは警察の特性を知らないようね。事件を予防するのが警察の仕事でも、彼らは実際に死人が出るまで重い腰を上げようとはしないし、予防できたどころか「事件」前から被害者が相談していたにも関わらず、警察が死人が出る前に犯人を捕まえた話なんて私は見た事も聞いた事も無いよ。(「それが仕事だ」という事と、「彼ら全員が使命感を持って真面目に仕事に取り組んでいるか」は全く別の問題であって、警察はただ公務員試験に受かっただけの、やる気の無い「お役人」に過ぎない。期待はしないでおきましょう。)大体、今度の楽屋荒らしの騒動にしたって、当の警察がついていながら起きたという体たらくじゃないですか…。(そこで、もう警察の程度が推し量れるじゃないですか!)と「警察の実情」と「万代鈴江の性格」を充分に知っていた上で見事に連続殺人を完遂した不破警視(結局、ターゲットは全員殺している。警察は何をやっているんだか。)に思わず拍手もしてしまった有様でした。主人公の金田一少年(資格も無いド素人)の推理が無ければ犯人として捕まる事も無かったでしょうし、つくづく警察の無能ぶりを感じさせられた事件でした。(プロとして、それで良いのか、警察よ…!)

 女優・文月花蓮(北見花江)…蓮子「私は仕事に打ち込む事で全てを忘れようとしたのよ。整形して失った美しい顔の事も、子供の頃からの女優の夢も…!ところが花江は、その私の夢見ていた未来をそっくり手に入れていたのよ!血を分けた双子の私を警察に売った、あの子が!」
金田一「それは違うぜ。顔を整形したことを知らなかった花江さんは、次にアンタが自分を頼ってきた時の為に、双子の姉が誰にも怪しまれずに夢だった女優としての生活を送れるよう、女優とデザイナーの二重生活をしながら、もう一つの人生を用意して待っていたんだ。」
蓮子「そんなの嘘よ、花江がそんな…あ、あたし、殺しちゃったじゃない…!」

家出→男(ヤクザ)と同棲→覚醒剤にハマる→別れ話のもつれで殺人沙汰→逃亡生活の果てに双子の妹の元に押しかけた所で自首を勧められ、たまたまその時に警察が駆けつけた(そこまで追いつめておきながら指名手配犯(北見蓮子)には、また逃げられている。本当に日本の警察って…。)為に「自分は憐れまれた上に警察に捕まるように嵌められた」と最悪の誤解をした姉も姉なら、再会できたのにいつまで経っても何も言わない妹も妹(それじゃ、↑のような裏の事情なんて分かる訳ないじゃないですか…。「大切な人」の為にも「次に失敗したら、そういう安全基地が用意してある」事くらいは伝えておいてあげた方が親切だと思うのですが。)で、「全ては麻薬がきっかけ」だったのではなく、確認ミスと連絡不足の元に自爆した「何も言わない姉妹」の双方に問題が有ったのではないか(「どんなに悪い状況になっても最悪の道を避けるだけの選択の余地は残っていると思うんだ。麻薬のせいばかりとは言い切れないんじゃないか?」by金田一。)と実感してしまった姉妹の絆でした。お互い話し合っていれば、こんな破滅的な結末にもならなかったんですけど…ね。

<首吊り学園殺人事件>
 古谷直樹…仁藤「人間って案外簡単に逝っちまうもんだな~。深町が死んだ時、とっさに自殺に見せかけようって古谷さんが言わなきゃ、俺達どうなってた事か…でも、もしアレがバレたら…。」
古谷「心配すんなよ!皆はいつもの『自殺』だって信じきってる。誰も俺達が深町を『殺した』なんて夢にも思っちゃいないさ。俺達は、ほんの遊びの首吊りごっこのつもりだったんだ。負け犬が一匹、死んだだけ…ただそれだけの事さ。」
浅野先生「それを聞いた私は自分の手で奴らに復讐しようと心に決めたのよ。深町君を死に追いやったのと同じ方法でね。」

「答案を血で汚したのも、テストの日を選んで自殺したのも、偏差値信望者である浅野先生を犯人(悪者)に仕立てたのも、全ては僕達のメッセージなのです。僕らの死を契機にもう一度、今の教育システムについて考えて下さい。」という「殊勝な遺書」はもちろん嘘でした。(こいつらはそんな純情なタマじゃありません。)イジメ(遊び)気分で人1人殺しておきながら、警察がロクに調べもせずに「自殺」として片付けた、自分達は何のお咎めも受けなかった事を良い事に、懲りるどころか開き直ってまた同じ事を繰り返している彼らの姿(「俺が宮園の花壇を荒らしたって!?見た訳でもないのに因縁つける気か、コラ!」「どーでもいいけどアンタ、その靴の泥くらい払っておけよ。それじゃ私がやりましたって言ってるよーなもんだぜ?」by金田一)に、恋人を殺された浅野先生は許す気も湧かなかったのでしょうね。同僚の先生さえ「犯人の浅野先生は君達が充実した授業を受けられるよう、逆賊・古谷達を粛清して下さったのだ!」と放言しているし(どんな予備校だよ!)被害者とはいえ根っからの問題児だった様子です…。

 浅野遥子先生…浅野先生「こ、この絵に描かれていたのは、私…?」
金田一「この絵、実は深町の両親から是非あんたにって頼まれたんだ。『人の命を奪った罪は重いけれど、そこまで息子の事を想ってくれた貴女のこと、感謝してます』ってさ。」

そりゃ、息子がイジメの果てに「自分で死んだ」だけでも遺族感情はどうにもならないというのに、真相は殺された(息子が自分で死ぬはずも無かった。)という内容で、本音を言えば自分達こそ犯人を血祭りにあげたい中で(だけど、相手は少年法に守られており、こんな奴らの為に刑務所に行くのも嫌だし、リスクが大き過ぎる。)何もできずに忸怩たる思いを抱えていた所を、全部代わりに殺ってくれる形で元恋人が(キャリアを犠牲にしてまで)活躍してくれたのだから、親としては拍手を贈りたい気持ちだろう(もう、親に隠れて何やってたんだお前ら、とか、女の方が15歳年上(!)というとんでもない年齢差なんて、本人が死んでしまった今、どうでもいい。そこまでやってくれたアンタの気持ちは本物だ。)と、彼が精魂込めて描き上げていた絵が(金田一君が目の前で水彩絵の具を剥がした=親は彼女がモデルだという正体を知らないままなのに)浅野先生に贈られた経緯に納得したものでした。深町君も失ったキャリア(塾講師の道)も戻っては来ないけれど、愛し愛された事だけは本当だった、と気持ちを一新して彼女が立ち直ってくれることを願っています…。

<飛騨からくり屋敷殺人事件>
 後妻・巽紫乃…紫乃「高校時代に私を散々いじめた、あんな酷い女でも金持ちの家に生まれたおかげで資産家と幸福な結婚をしている。綾子が産む子供も輝かしい一生が保証されてるに違いない。なんて事だろう…あの女が飛騨の旧家・巽家に嫁いだのは噂で聞いていたけど、それにしても、この差は何…!?」
龍之介「で、『俺』の幸福の為に嬰児交換して征丸と俺の人生を入れ替えただと?だったら何で今頃、俺の前に現れたりしたんだ!?てめーが征丸(連れ子)なんぞ連れて後妻に来なけりゃ、俺は何の苦労も無くこの家を継ぐことが出来たんだぞ!」

そりゃ、その差は、誰かに縋りたいから(誰でも良かったから)と寂しさを口実に責任感の無い男と無計画なセックスをして、出来た結果の紫乃さん(母親が死んで辛かったとか、高校も辞めて働きに出る生活を忘れたかったとか、色々と言い訳はあるのだろうが、極論を言ってしまえば、子供は1人では作れない。)と、キチンと結婚を前提にしたお付き合いの元に、見合い相手の所に嫁いだ綾子(もちろん子供を作ったのも、ちゃんと結婚をした後の話。)との、貞操観念の違いから来たのではないのかな?と自分で原因を作ったのも棚に上げて、不幸面して自己憐憫に浸っている紫乃さんにツッコミを入れてしまったものでした。「自分の分身」(本当の息子)である龍之介が、あの女の家の次期当主として立派に成長するのを間近で見る事が出来るから、思わず巽家の使用人にもなっちゃった、と彼女は言いますが、それなら↑の危険性を考えて、なおさら連れ子(新しい家督相続の障害人物)がいる身で後妻に入る必要性はありませんし、アンタが余計な欲得を発揮しないで使用人の身分に留まっていれば誰も殺されること無く全ては上手く行ったんじゃないか?と白い目でしか見れなかった母親でした…。

 巽龍之介…隼人「兄さん、また毒を入れたね?6年前の5月節句の会の時も僕は見たんだよ。兄さんが台所で僕が飲む祝い酒に何か入れてたのを。それが毒だと知ったのは僕が倒れた後だったけどね!」
剣持警部「な、何て奴だ!家督欲しさに自分の弟まで殺そうとしてたのか!?そのうえ今度は『実の母親』の紫乃さんまで…!」
紫乃「ち、違うのよ、剣持さん…。紅茶に毒を入れたのは私…自殺する為に、自分で毒、入れたの…。」

剣持警部は「罵倒されても愛し続け、毒を盛られて殺そうとされてさえ庇い、そんな子供に対して、死に際に『何にもしてあげられなくて、ごめんなさい』なんて言えるなんて、母の愛は凄い。」と評価していましたが(それでも、何も知らない子供の運命を狂わせて、ちゃっかり後妻に入って、育ての子が邪魔になっただけ問答無用でブチ殺した、その様はもはや「無償の愛」というより、単なる「逆恨みの果ての暴走」にしか見えなかったが。)逆に、そうやって何でもワガママ放題させて、子供が犯罪を犯しても大嘘ついて揉み消すような真似をするから、当の子供はこんな人間に育っちゃったんだろうなあ(結果、子供は何をやっても親が罪を被ってくれるのでお咎めは受けない、と更に図に乗っただけで、感謝も反省もせず、今回の2度目の犯行(同じ事の繰り返し)である。)と、親が親なら子も子という様になり果てている、親子2人共に軽蔑の眼差しを向けながら頷いてしまったものでした。むしろ龍之介は、邪魔になれば育ての子でも夫でも平然と殺す性悪女の性格を正しく受け継いだだけなのでは、とすら思ってしまったり…。

「超」怖い話ベストセレクション2~腐肉~

2009.05.20
 怖い話の最強の物だけを選りすぐった物が果たして「ベスト」と呼べるのか、本来ならば「ワースト」と言わなければいけないのではないか、という作者の前書きから始まる(2巻目にして今更…。)分厚い豪華版再録集です。解説の福澤徹三さんが語っている通り「その手の本を買うには買うが、ありきたりな怪異や紋切り型の表現に辟易するのがほとんどで、大の大人が怪談など読んだ所で怖いはずがないという思い込みを根底から突き崩してくれた本だった」と、全く同じ感想を持った私(以来、他の怪談本がぬる過ぎて読めなくなった。)としては同じ事を思った人がここにもいたと変な所で嬉しくも感じてしまったものでした。

 雨だれの部屋…客室係「今日はあいにくこの離れしか開いてないんです。その代わり、タダ泊まりで勉強させて貰いますから。」
柴田「そう言う割に高級旅館の係の動きがどうも雑なんだ。食器を音を立てて並べる、栓を抜こうとしてビール瓶を落とす…後で考えると、アレは早くその『離れ』から出て行きたかったんだと思う。」

どうせ予約もしないで入ってきた無礼な客なんだから、心霊スポットの離れを使わせて「浄化」に役立って貰え(「大浴場にも行ったのに、到着してから一度も他の客の姿を見なかった。如何に自分が飛び込み客とは言え、離れを使わせなければいけないほど混雑しているようには見えなかった。」by柴田)と、昨今のわざと客を泊まらせて「問題の無くなった事実」の記録を作るパターンに当て嵌められてしまったというのが事の真相らしいです。夜中にドボドボ雨だれの音がうるさいと思って外を見たら、雨はとっくに止んでいて、首の無い馬から噴血する音だった、同じく胴体だけの武者から首を切り落とされそうになった、というオチには「やっぱりね。(世の中にそんな上手い話があるはずがない。)」としか思えなかったものです。商品券まで手渡されたものの、ほとんどの髪の毛が抜けてしまった(それがストレスなのか、心霊現象なのかは、残った髪の跡が明らかに人の顔に見えるとか、髪が生えるまでの間、目の前で動物がよく突然死した事を考えると微妙。)という様には、取りあえず「1人あても無いぶらり旅」は辞めようとツッコミしか入らなかった話でした…。

 林檎…吉岡「何これ。リンゴの中に真っ赤なマニキュアをした女の爪が3つも入ってる。」
電話「イノチゴイ…イノチゴイ…ギャアァァァ!」
母「今、あなたが気の狂った女に刺された夢を見たの。あんまりリアルだったから心配で電話かけたの。」

朝になって見てみると、リンゴを入れた冷蔵庫の中の物は全て腐っていた。その辺りから、これが呪いの一種である事に間違いはなさそうですが、「よく行くスーパー」で買ったリンゴにそんな物を入れられて(要は彼女の行動範囲を知っている。)、「携帯電話に怪しい電話をかけてきた」(つまり番号まで入手されている。)辺り、この犯人は彼女のすぐ傍まで来ている(「このまま」では母親の予知夢が現実になってしまうのは、そう遠い未来ではない。)事は確実で、即・引っ越しを勧めた母親の言葉に頷けたものでした。どうやら目的は彼女の祖母にある(「私も前に同じような目にあったの。どうも自分達をよく思っていない人達がいるってお婆ちゃんから聞いた事があるけれど、詳しい事は教えて貰えなかったの。」by母)らしいですが、こういう気の狂ったストーカーって本人の周りの人間(もはや他人)に迷惑をかけられれば何でもいいんだなと、よしみつという現実例も合わせて納得できた話でした。(「そんな人間が家族にいる」という、後ろ指さされる身内の不幸も考えればいいのに…。)

 予約席…バーテン「俺は槍で死ぬ。あなたは木の靴で死ぬと言っています。」
マイケル「翌年、そのバーテンは酔ってホテルから帰る途中で何故か橋から落ちたらしい。橋は橋でも立体交差で、庭園の柵の泥棒よけに串刺し。出血多量だそうだ。」
平山「それにしても木の靴って何だ?」
マイケル「俺の夢はアジアに住む事だ。多分、下駄だろう。撲殺だな…良い感じだ、誰か知らんが返り討ちにしてやる。」

元々の彼はホテルのオーナーの親友で漁師だったが、数年前に甲板から冬の海に投げ出され、助けられたものの既に凍傷で両耳が腐り落ちて心肺は停止、2日後、葬儀の最中に生き返ったは良いものの、以来ブツブツと訳の分からない独り言をいう気の狂った男になった(オーナーは同情からか、それとも宿泊客の退屈しのぎに使う為か、一日に一度だけタダで飲み食いさせている。)そんな人間を面白がって観察していたら、初めてしっかりと自分を振り返って言った言葉がそれだった…点には、バーテンの方の死に様が見事に的中した恐怖をすっ飛ばして、ふと「かまいたちの夜2」でカマイタ(かまぼこ板)でタコ殴りにされる登場人物の皆さんの姿が浮かんだものでした。(木の靴ならぬ木の板ですが。)願わくば、あんな感じでマイケルさんも難を逃れてくれれば…と祈っておきます。

 箸…友人「申し訳ない、同じ国の人間として謝罪する。この箸は象牙ではなく人骨だ。呪う相手に人骨で造った箸で食事をさせると1年足らずで殺せる。敵を衰弱死させる中国の呪法の一つだ。」
倉田「俺は知らなかったがメイドからボーイに到る全員が買収されて、この箸の事を口止めされていたんだ。」

だから香港人を相手に取引する時は術を使われるから絶対に生年月日を告げてはいけない(「箸の裏に筋が一本付いていて、そこに呪文が刻まれているのが証拠なんだ。馬鹿にはできないよ。使われるからには使われるだけの実績があり、根拠があるのだからね。」by友人)そうです。誰の差し金かは結局分からずじまいでしたが「呪法は見破られた途端に術者の元へ倍になって返される」のは古今東西どんな呪いでも共通らしく、以来、倉田さんは嘘のように回復したそうです。(ちなみに買収されていた「知っていて黙っていた使用人の皆さん」は全員その場でクビになった。)極論を言ってしまえば象牙なんて気取った物で食事なんかするなよ(日本人なら漆塗り(木製)だろ!)という貧乏人の本音が頭をもたげてしまう話でもあるのですが、別の意味で(人が1人死ぬことを分かっていて黙認した人達の方にこそ)恐怖を感じた話でした…。

 植物園…比留間「毎日、受験勉強で追いまくられて、大学に受かったからって別に薔薇色の人生が待っている訳でもなし、かといって自分で何か始められる度胸も無い私のような人間は、ああいう自分よりも可哀想な植物状態の人達の中に身を置くと安心したのよ。」

「植物園」って、そういう意味ですか!と見舞客を装っては病棟を徘徊し(「一人でファミレスに行ったって面白くないし、コーヒー代だってバカにならない。その点、大学病院だったら冷暖房も完備されているし、ソファーで寝ていたって看病疲れだろうと大目に見て貰えるしね。」by比留間)植物状態で何も言えない老婆をつねってはヒマ潰しをし、地下の霊安室前で携帯で話しまくっていた(「地下と言っても半地下だったし、何しろ人が来ない。電波が干渉し合う計器も無い。暖かい。落ち着いて話すにはちょうど良かったのね。」by比留間)様には、そんな性格だからアンタは彼氏に振られたんだよ(その理由が受験だろうが、他の女だろうが「貴女とどうしても別れたい」と直で言っている時点で終わっている。)と思わず当然のツッコミを入れてしまいました。おかげで死んだ老婆に掴まれて、つねっていたのと同じ左腕の感覚が失われた顛末には、本人が言う通り自業自得だ(「何も感じない腕」に刺激になっていいんだよ、と自分で言っていた通りに怪我が絶えなくなっただけ。)としか思えなかったものです…。

 土いじり…トダ「俺、気に入らない奴が隣に入ると殺人現場の土を室外機の下に詰め込む事にしてるんだ。大体、一週間以内に悲鳴が聞こえて引っ越していく。今まで無視された事は無いよ。あの子の土、よく効くんだよなあ。」
原田「そんな事をして、あなたは大丈夫なんですか?」
トダ「いや、僕もダメ。指先から始終鼻を突く腐臭がするんだ。僕にしか分からない。まあ、あの子と僕の絆みたいなもんだよね。」

被害者は付き合っていた男とその仲間数人に暴行を受けた挙句に焼き殺された(最低な彼氏だな。)そうで、現場が近くだという事を知ったトダは、熱で白く変色した部分を選んで、以来、隣室に入った人間の態度が悪かったり、大騒ぎをしたり、また興味本位(オイ!)でも土を置くようになったそうです。元々は瑕疵物件でも何でもなかったのに(誰もその部屋で殺されたり、自殺したりはしていない。)勝手に幽霊の出る部屋にされたなんて、大家だっていい迷惑だと、周りの人間の方の同情してしまったものでした。(あの子の方も、土を運んでるトダの所にも化けて出てくれば良いのに。)今度、一緒にやるかと誘っても、誰もそんな事に嬉々として乗らないよ(自分を基準として物を考えている所、悪いけれど、そんな気持ち悪い事を趣味として楽しむ人間性の持ち主は他に誰もいないと、まず自覚を持つと良い。)と、丁重に断った原田さん同様、ドン引きする事しかできなかったオタク男の秘密の趣味の様でした…。

隣人悪夢~怖い人②~

2009.05.20
 先日、ホームで電車を待っていた女性がいきなり見知らぬ男に腕を掴まれて線路に飛び込まされ、幸い電車は止まっていたものの、女性は背骨を骨折する重傷、犯人は酔っていて覚えていないと供述している(そんな恐ろしい事を酔った勢いでしでかす輩の方が怖い。)事件があったそうで、残念な事にもう世の中はそうなってしまっている。彼らの狙いはただ一つ「油断している人間」なので、ぜひ隙の無い暮らしをしてほしいという前書きの言葉にも頷けた、東京伝説番外編のようなシリーズです。日本は確かに銃刀法の無い他国と比べれば安全だけれど、毎日何かしらニュースを賑わす犯罪は起きているし、あまり風説をうのみにすると痛い目を見るという現実を改めて実感した1冊でした。

 罠…渡辺「多分ドアノブには錆びた注射針か剃刀の刃を小さく折ったもの、そして排泄物をドロドロに腐らせた『特性クリーム』がたっぷりと塗りつけられていたんだ。バンジィステークっていうベトナム戦争の時にゲリラが米軍に対して使った罠なんだよ。それでも引っ越す金が無いから粘るつもりだったけど…」
ドアの張り紙「HIV」
渡辺「俺はまだ治療すれば治る腐敗菌(ガス壊疽)で良かったよ。あの罠につけられていたのがエイズウイルスだったらと思うと生きた心地がしなかったね。」

ゴミの分別やゴミ出し時間を守らないのは当たり前、真夜中にも大声で喚き続け、いつの間にか人数が増えている、という外国人のマナーの悪さに渡辺さんもキレて管理人に直訴するのはもちろん、「薬物中毒らしい外国人がいる。」と匿名で警察に電話も入れた(「不法滞在だったみたいだし、やっぱり警察や入管だけは怖いんだろうね。しばらく隣の部屋から人の気配が無くなったよ。」by渡辺)結果、そんな事をする人間はこいつしかいない(おそらく直訴しちゃった管理人から名前が漏れたのだろう。)という状況からアッサリと自分が犯人だという事はバレ、以来、帰宅するたびにボリュームマックスのオーディオの轟音・罵声、そして遂には↑のような命に関わる攻撃(翌日、掌が膿でパンパンになるのを通り越して傷口周辺が腐り、リンパなどが腫れて体が膨れ上がってしまった。)を仕掛けられて、さすがの彼も退院したその日に退去届を出したそうです。だから外国人は嫌われるんだよと日本人らしく常識の元にツッコミを入れたくなった話でした…。

 緊急連絡…ちふみ「夜中の一時を過ぎていた時、大野っていう同級生から元彼が刺されたって連絡が来たんです。付き合っていたのは10年近く前の話だけど、嫌いで別れた訳ではなかったので一緒に車に乗って見舞いに行ったら…」
メール「ちふみ?ちょっと連絡があったので回します。高校の時の同級生の大野って覚えてる?彼が最近やたら同窓の女の子に電話をかけて夜中のドライブに誘い出そうとしているそうです。彼は数年前から仕事をしなくなって最近は色々とそちらの病院にも通っているようで自殺モード全開らしいです。電話があっても決して誘われて出て行ってはダメだよ。理由をつけて会ってみても、本音は死にたいとか、一緒に死んでくれとかマジ、ヤバいそうですから…じゃ、また近々会おうね。おやすみなさ~い。byケイコ」
ちふみ「…!」

大野君の言う通りに「もう一回、無理だろうけれどやり直せたらな…」と彼が本当に思っていたのなら、大野君がしたように「母親から連絡先を聞く」という犯罪に片足を突っ込んだ方法を行ってでも連絡をくれたでしょうし、嫌いで別れた(見るのも気持ち悪くなった。)訳でもない=これが縁となって復活愛となってもイイかもしれない(2年くらい前に友達に聞いた話では大手自動車メーカーに就職して順調に出世しているらしいし。)と思っても真夜中の1時に出掛けるべきではなかったな(ヒーリング能力(超常現象)を持ち合わせている訳でもない貴女が彼の元に行った所で何をする事も出来ない。今カノでもないのだから病院を聞いて翌日の昼間か、週末に見舞いに行くべきである。)と思い立ったら即行動の元に車に飛び乗ってしまった彼女のうかつさ…もとい勢いの良さにツッコミを入れてしまった話でした。運良くガードレールの下に落っこちなかったのは結果論。車という走る密室にはもっと危機感を持とう、という教訓話です。

 昔の男…リョーコ「ごめんなさい、毎日わざわざ私の窓口で大金(同額)の出入金を繰り返してますけど、私、あなたの事を全く覚えていないんです。」
井上「心外だな。君には少々、失望したよ。君は僕の前で一糸まとわぬ身を晒した癖に…1999年8月13日は君にとっても僕にとっても特別な日だと思ったけど?」
リョーコ「その瞬間、全部つながったんです。井上は過去の悪夢そのものでした。その日は私が両親にも黙って堕胎した日だったんです。井上はその時の医者だったんです。」

だから「一度で良いから付き合ってよ。」と言われても断れなかった。結果、元・医者、現・変態男に言われるがままにマンションの一室に入り(あの、婚約者がいるのに他の男の部屋にノコノコついて行くって…。)コーヒー(薬)を飲んだとたんに意識を失い、気がついた時は全裸で手足を縛られて体中にヒルを這わされた(「かつて中国では生娘の生き血をこのようにして飲んだそうだよ。これだと殺さずに済むからね。」by井上)というのには、元々が無計画なセックスの果ての自業自得が原因にある事も有り、あんまり同情できなかったものでした。(むしろ強姦殺人の憂き目に遭わなかっただけ、まだ運が良い方だし、男の方は約束を守って本当にそれ以来現れなくなったのだからマシな方だろう。)おかげでヒルの吸い口は長い間アザになっていたそうで(そりゃ彼氏には「異常事態があった」事はバレるわな。)だから「婚約者がいた」と過去形で語られているのか、と得心もした因果応報話でした。

 ホラー映画…太田「今はシネコンができて、どこの映画館も清潔で安全になりましたけど、昔の映画館は雨漏りがするほど汚い所もあって特に邦画系の映画館は酷かったんです。それである日「男はつらいよ」を見ていたら、目に指を入れられたんです。」
医者「目がすっかり淋菌にやられてるね。このまま放っておいたら間違いなく失明してたよ。注射と抗生物質を処方しておくけど…ダメだよ、変な男と付き合っちゃ!」
太田「誤解です!」

まあ性病(淋病)の症状を発症させながら病院に来て「清らかな生活を送っていたけれど、2、3日前に映画館で目を触られてから酷く目ヤニが出るようになったんです。」なんて言っても「下手な言い訳をしている」としか思われないだろうなあ…としたり顔の医者の「誤解」に頷けてしまいました。だからガテン系の男の人が圧倒的に多い「不潔で危ない場所」になんて、女っぽく見えないようにジーパンとジャンパーで武装しても(ただのコスプレじゃないか!)1人で行くべきではないよ、と思わずツッコミも入れてしまったものです。(洋画だって「指輪物語」の最終作をオールナイトで見たら、途中でトイレに立ったとたん、男に薬を飲まされて気がついたら丸裸&丸坊主にされていたという話があったし、取りあえず夜に1人で映画を見に行くのは辞めよう。)「昔のそういう映画館」での邦画は封切られた途端に通常の半分の値段になったり、公開終了間近になると500~300円で見る事もできたとはいえ、安い裏にはそういうホラーなリスクがあったという話です…。

 ゴージャス愛…ヨーコ「私って生まれながらの恋愛体質なのよね。とにかく本当の、最高の恋がしたいの!だから、違うと思ったら、すぐ別の男を探さなけりゃ時間がどんどん過ぎていくし、『中途半端な恋愛』では絶対に後悔するから!」
友人全員「絶対に、そんな愛なんか見つかるはずがないじゃない。付き合ってるそばから別の男にも手を出しちゃうし、私らから見たら単なる尻の軽い女だわ、アンタ。」

恋に夢見る女性(ロマンチックな恋愛)の客観的評価ってこんなもんらしいです。本人は少女漫画のヒロインにでもなったつもりで目をキラキラさせているけれど、友達は全員、呆れた目で彼女を見ていた現実(「そんな夢みたいな事が叶うはずがない」し、色々な男に手を出す口実に使っているだけじゃないか、というのがキチンと現実を見て恋愛している一般的大多数の「普通の人間」の意見である。)に、もっと早くに気づいていれば、素敵な彼と会員制の島(普通のツアー客が訪れない所)に出かけた果てに、薬を飲まされて整形手術をさせられて、二目と見れない顔にされる事も無かったのにね(大体、付き合って早々に怪しげな場所に旅行に行ってしまうって時点で…。)とツッコミばかりが入ってしまった顛末でした。その前もトラブル続きで自身も殴られたりしていた(その後「しばらく」は大人しくしていたけれど、3カ月もしたらまた元に戻っていた。)のだから、一度、痛い目にあった時点で学習しておけば良かったのに、としか思えなかったバカ女でした…。

いま殺りにゆきます REーDUX

2009.05.20
 「やっぱり一番怖いのは人間だと思うんだよね。「四谷怪談」だって病床で旦那に捨てられたお岩さんは可哀想なだけで、本当に恐ろしいのは仇討ちに来たお岩さんの親父までブチ殺した伊右衛門だもん。」(この野郎、お茶と同じ名前をしながら、ちっとも爽やかじゃねえ。)との語り草に心から頷けてしまったと同時に、週刊プレイボーイに書いていたビデオ評を町山さんがこの本のように再録しようとしたら、原題も製作国も製作年も不明な、観た(はずの)本人に聞いても現物が残っていない物が多過ぎて、この人は存在もしない映画評を適当に書いて給料を貰っていたのではないだろうか?(夢さんはまだ、捕まってはいない。)という疑惑話が浮上した事にに思わず笑ってしまった後書き解説でした。という訳で東京伝説シリーズに近い「いま殺りにゆきます」①②の再録本です。

 M…カオル「やるのは出会い系で拾っての一本釣り。一回きり、これが大事なのね。最初だと相手も緊張してて下手な動きはしないけど、2度3度と寝てると情報が漏れやすいし、ノーバックがバレちゃうからね。そうしたら何されるか分からない。ストーカー化するオヤジも多いし。」
男「せっかくシティーホテルだし、ビールでも一杯飲まないかい?」
サキ「私は未成年だから、一杯だけね。」

未成年なら飲むんじゃねえよ!(むしろ、行きずりの身元を割るのも難しい相手からの食べ物・飲み物は要注意!)というツッコミも虚しく、目が覚めたら両手足をロープで固定され、糸と針で大きな蜘蛛の絵を刺繍された(入れ墨だったらどれだけ良かったか、病院で糸を抜くだけでも偉く時間がかかり、しかも抜糸したら皮膚は破けたり緩んだりして、もう元の体には戻らなかった。オマケに顔に「M」と縫われていたその糸には皮膚や組織を腐らせる薬が染み込ませてあり、頬の皮がMの字に腐食してしまった。)様には、言わんこっちゃない、と目を覆う展開に同情しながらも溜め息が出たものでした。(女を金で買うような人間にマトモな男がいる方が少ない。金のやり取りできちんと「売る」から安全でなく、始めから「それ以上の犯罪」目的の男もいるのだ。)おかげで現在では援助交際といえどもデリヘル屋(異常に長時間出てこない時にすぐに来てくれるボディガード)に尻を持って貰う子が多くなったんだそうです。

 わたしのししゅう…ホームレスの詩「君と僕は違う世界に住んでいるけれど、きっと結ばれる。君を咲かせるのは僕の使命。」
原「変なの。詩集を売るなら人通りの多い駅の側が良いのに、反対に人気の無い道路に移動していってる…って、これ、私の帰宅する道じゃん!」

つまり男は今、座っている位置から彼女の姿が消える地点まで、直線の短い距離であれば角を曲がる所までを移動し(何故ならそこで彼女の姿は一旦見えなくなるからだ。)次の週には見失った所で売る…を繰り返し、気づくと随分、家の近所まで売りに来ていた。単純な気まぐれで1冊50円に過ぎない詩集を買っていたが、そういえば最近の詩には妙な恋愛混じりの物が含まれるようになった…事で気味が悪くなり、詩集を売っていても無視、帰宅するルートもわざと大回りして見当違いな方向に誘ったりしていたけれど、時すでに遅し、次に見た時には玄関にガリ版刷りの詩集が入れてあり、憎しみのこもった眼で睨まれた(無視された恨み…なんだろうけど、ストーカーは普通に嫌われるって。)様には私もゾッとしてしまいました。最も、そのまま一生つけ狙うのではなく、彼女の目の前で電車に飛び込むような潔い男で良かった(トラウマ必至の状況でも、何はともあれこれで全て終わったのだ。)と別の意味では見直した男でした。

 さよなら、おーえる…男「おーえる?これ、おーえるさんの自転車でしょう?あんなとこに置いたら盗まれちゃうよほぉ。おーえるは俺に話をしないのか?」
水元「もしもし、警察ですか?すぐに来て下さい!」
警察「夜、公園なんかのトイレに入っちゃダメでしょう。それに携帯で110番すると中継局とかを経由する分、遅くなるよ。」

イヤン、スケベ、ここは女子トイレよ!(何で男のアンタは人の自転車持ってカラカラと個室の前に入って来てんだよ!)という真っ当なツッコミは、終いにはツルハシを持ってドアを突き破り始めた変態男には通用しない様子です。目の前で警察に電話した事にビビって、サッサと逃げてくれて本当に良かったね(その後、警察が到着したのは30分も後の話だったしな。)と胸をなでおろすと同時に、警察の言っている事は当たっている(昼日中でさえ昼寝してるホームレスがいるような「溜まり場になりやすい公園」に夜に入り込むなんて危険極まりない。嫌われ松子だって最後はまさしく夜の公園で殺されている。)と、本人が自分で言っている通りに駅のトイレで出す物を出しておけば良かったのに(汚ない個室の事を考えると気分が萎えたとか、ワガママ言ってるんじゃありません!)と思わずツッコミを入れてしまったものでした。結論として夜中に危ない所をフラフラするのは良くない、という話です。

 レンタル家族…義父「尚子はブラックだったね。モカを深煎りにしたんだが、口に合わなかったかい?」
尚子役「…!?ブラックのはずなのにカップの底に白い粉末が!?」
義父「尚子、お前、よくも抜け抜けとこの家に帰ってこれたものだな。お前が不倫の果てに駆け落ちしたおかげで息子は自殺、母さんはすっかり狂ってしまった。お前ら母子、今日こそシチューだ。シチューにして犬に食わせてやる!その前に息子の遺影に詫びて貰おうか!」

そういう事は本物の尚子さんにやって下さい…と「里帰り」を演じているだけのレンタル家族(1人一時間一万円のレンタル料だから、百万単位で金のかかる興信所を頼むよりは安く済むのかもしれないけれど…それ、他人だから。)相手に復讐を始めた老夫婦にツッコミを入れてしまったものでした。ともあれ、よく知らない他人からの食べ物・飲み物には要注意(他の話でも、勧められた酒を一口飲んで気がついたら裸でベッドに縛られていた→もちろんその後は「体を売る」程度では済まなかったという話はざらにある。)という事で、一口しか飲まなかった子役が外に助けを求めに行けたから大事に到らなかったものの、危ない所だったなあ~と恐怖を感じたものでした。妙なバイトは辞めましょう(大体「裸エプロンで出迎えてくれる若い奥さんをレンタルしてくれ!」などと新手の風俗と勘違いした人間がほとんどだったんだからさ…。)という話です。

 ちゅうちゅうして…大里「お花見の席で私、お酒は強くないのにどんどん注がれちゃって…お腹が完全に下ってしまったので駅の公衆トイレで用を済ませたんですけど、帰り道でまたしたくなって公園のトイレに入ったんです。」
男「俺の指ちゅうちゅうして血を飲んで。それとも死にますか?」

カッターで脅されながら、殴られながら、そういう目に遭う位なら、病気(エイズ)の心配まで出てくる位なら(しかも2か月ほどしなくては確定診断が出ない=2ヶ月もハラハラビクビクしなければならない。)、いっそ漏らしてでも家に帰っていれば良かったな(どういう事情があっても「夜中の公園のトイレ」に入っちゃダメだな。)と、携帯まで奪われた被害の大きさと合わせて実感してしまったものでした。(あと、理想を言えば車通勤にすべきかな~。)被害届は出したけれど、捜査の報告は未だに無い(全く何もしていないのか、手がかりも掴めないのか、ともかく「何も成果を出せていない」事だけは確実である。つくづく日本の警察って役に立たない。)そうですし、↑にもツルハシでドアを破られかけた話が収録されていますし(これは犯人がドアの上の隙間から入る頭が無かったから事無きを得たというラッキーな事例でもある。)ともかく夜中の公園は危険地域である様子です…。

 ゼロ…戸北「何これ。鍵は回るのに鍵が抜けない。…ドアチェーンだけ掛けといて、明日にしよっと。」
男「いいよ、叫んでも。そうしたら顔の皮を剥いでやる。人殺しは罪が重い。でも、それなら傷害事件で済む。」

ドアチェーンを一巻きしてからドアを閉めておけばチェーンの緩みが無くなって鍵が開いていてもドアが開かない(というのは部屋に上がり込んだ後、絶対に女性をドアから外に逃がさない為のプロのレイプ犯の手口である。)のですが、一般人である戸北さんがそんな豆知識を知ろうはずも無く、ドアチェーンを切断されたらそれで終わりの状況でまんまと男の侵入を許してしまっていました。何もしていないのに、いきなりドアの鍵が壊れていた(=不審者が下見をした証拠。無理に鍵のかかったドアを開けようとすると中のシリンダーがずれて緩んだり、逆に硬くなったりする。)場合は、取りあえず別の部屋に避難した方が無難な様子です。結果、意識が戻った時には腹にゼロというサイン入りの入れ墨を施されていた彼女。「練習台」が欲しかったのなら、自分の体でやってればいいだろ、と思わずツッコミを入れてしまった彫り師でした…。(強姦魔とどちらがマシだったかは微妙な所だな…。)

月読

2009.05.20
 櫻シリーズの最初の話に出てくる天沼矛(あめのぬぼこ。太古の昔、二柱の親神イザナミ・イザナギが国(日本)を作る時に使った道具。)といい、木花佐久夜姫といい、最高神・天照大御神を筆頭とした三貴子(後の二人は月読と須佐之男)といい、この短編集は古事記スペシャルなのか(「蛭子」もイザナミ・イザナギが最初に作った「骨の無いダメな子」=転じて「若い身空からストーカーやってるダメな子」を描いた話のタイトルになってるしね。)昔、パラパラと訳文を読んだ事のある身としては、古事記をほとんど忘れていても(オイ!)面白く感じた話でした。という訳で解釈次第で色々な見方が出来る「原作」つき短編集です。

 夜櫻…少女「どうして、桜を燃やしただけで、あなたが焼けただれるんですか!?」
蛇神「夜の帳を焼き払えば、私も焼け死ぬ運命なのだ。けれど、これしか夜を明ける方法が無かった。」

山岸先生の話にしては本当に珍しくハッピーエンドを迎えている話だ(「日出処の天子」といい、原作通りの「事実関係だけは合っている物語」の漫画化であっても、ぶっ飛んだ解釈の元に主人公の恋心は酷く報われない救いの無い話ばっかりのあの山岸先生の話で!←酷い。)と、そこにまず驚いてしまい、どうして妊娠もしていない少女の乳が出るのか、何で火が消えただけで蛇神様は人間になっているのか、細かい事はどうでも良くなってしまった次第でした。(オイ!)こんな若い2人がその後何の心配も無く幸せになったなんて信じられません、とクレヨンしんちゃんの風間君辺りは言いそうですが…いいんですよ「それでめでたし、良かったね」で。

 緋櫻…佐江子「そうだ、桜の木に丑の刻参りをしていたのは、お母さんだった。母が…あんなことをするなんて。そこまでする恨みとは一体、何?誰を恨んで、あんな事を!?」

誰を恨んでやった事かって、そりゃ、間違いなく自分がいなくなった後にしゃあしゃあと後釜に座る妹(恋敵)に対してでしょうねえ…と、答えが見えただけに「子持ちの前妻と理想的に行かなかった離婚歴」を持つ婚約者との結婚に恐怖を感じる佐江子さん(シチュエーションが全く同じじゃないですか!)の気持ちが分かったものでした。そして、娘に「見られた」為に呪いは効果を発揮せず自分が死亡(呪いとは種類を問わず「バレたら、その効果を失う」のみならず、自分に跳ね返ってくるものなのである。)、恋敵の妹は今日も元気に生きている(もちろん、しっかり後妻にも収まっている。)という有り様に思わず溜め息が出てしまった母の呪いの有り様でした。丑の刻参りなら本式に乗っ取って、いつ寝てる家族が起きて来てもおかしくない「庭先の桜の木」でなく、ちゃんと夜には人がいなくなる「神社の御神木」で行うべきだったな(そこ?)と思わずツッコミを入れてしまったホラー話でした…。

 薄櫻…友人「年寄りの人魂は低い所をフラフラ飛んで、若い奴のは高い所を勢いよく飛んで行くんだとさ。近くに墓地があるから、ここじゃ人魂を見たら一人前で、長く居つく事になるって言うぜ。」
節「じゃあ、見ちゃった僕の病気は長引く…治らない!」
荒雄「気にするなよ、お前のはすぐ良くなるよ。窓際のベッドのおかげで僕なんか何度見たか知れない。皆だって口にしないだけで結構、見てるんだよ。それでも皆どんどん退院していくんだから。」

2人きりのクリスマスを祝ってくれたり(と書くと怪しい状況に誤解されそうだが、共に家族に引き取って貰えずに、病院でナースや夜勤の医者とささやかなパーティーを開いただけで、「普通の恋人のクリスマス」のようにベッドインになだれ込んだりはしていない。)普段見せない優しさに相手の好感度はアップという王道の展開に、熱があるのに無理してまで主人公を気遣う心遣いに、確実に荒雄さんは主人公に気があったな(でなければ直前で頬に逸らしたとはいえ男相手にキスなんかしないだろう。)と分かると同時に、もうすぐ死ぬ自分と、相手の未来を思ってどこまでもプラトニックで通した彼の人格者ぶり(いっそ「最後のチャンス」とばかりに唇を奪ってしまっていても、この主人公は彼を恨んだりはしないし、「普通の男」でも無かった事にする(強引に気にしない事にする)と思うし、どうせバッシングを受ける前に己は死ぬ運命なのですが…いい人過ぎませんか、荒雄さん。)に涙が出たものでした。おそらく主人公の直感通りに桜の頃にお亡くなりになってしまったでしょうに…ね。

 木花佐久夜毘売…圭「圭というのは死んだ兄と同じ名前なんだよ。顔も見た事も無い2歳で死んだ兄と同じ名前をつけられたと知った時はショックだった。両親は兄の身代わりとしてではなく、僕個人の人格を認めてつけてくれた名前なんだろうか…とね。君の場合、僕とは少し違うんだけど妙に引っかかった。そこには3歳で妹の名付け親になった天才の咲耶さんはいても、そこに『君』がいない。」

古事記では「咲耶姫」だけがニニギの命(みこと)に惚れられて、不細工の岩長姫(姉)の方は嫌われて送り返されたのですが、現実では正反対で、両親自慢の良い子の咲耶姉さんが男(飛渡君)に敬遠されて、不良の妹・典子の方と駆け落ちされたという結末を迎えていました。型に外れない才女の咲耶姉さんは成績が良い事で親にも周りにもチヤホヤされて育った(「凄い!3歳で名付け親になったんですか?」「俺、3歳の頃なんて何も覚えてないよ!」「昔から天才だったんですね!」by周囲)けれど「成績優秀」でモテルのはせいぜい高校まで。大学生にもなってしまえば、ただの「頭の固い面倒臭い女」で、もう周りの大人がチヤホヤ持て囃す年齢ではなくなっているし、両親には相変わらず特別扱いされていても、気になる彼にも選んで貰えなかった今、姉さんが現実を知っていくのはこれからだろうな(「大人の社会」は頭の良さだけで特別扱いして貰えない。)と溜め息も出てしまった話でした…。

 蛭子…春洋「お姉さん、お願い、2万円貸して下さい。」
里見「彼は、くすねた小銭の事も盗んだ1万円の事も口にしません。もしも正直にその事も全て謝ってくれていたら、私はこの美しい少年の赤い唇から出る言葉に負けてしまったかもしれません。」
隣人「それで玄関にケーキなすりつけるわ、動物のはらわたを裂いて撒き散らすわ、不法侵入してペットの金魚を殺すわって、まあ、酷い。いたずらにしてもタチの悪い。」

「仲良くしていた間」も、ご馳走して貰って泊めて貰えるのに飽き足らずチマチマと窃盗という犯罪を犯して(「やだ!彼が泊まった日はどうしてもお金が無くなってる!」←短絡的に犯人と決めつけてはいけないと思いつつも、それから一月ほど「彼から何の音沙汰も無かった間」は生活費が突然無くなる現象は起こらなかった。)、お礼にと持ってくるのは香水や高価なケーキとはいえど家にゴロゴロ転がっているもの(つまり彼にとっては元手タダのお手軽な安物。)、ちょっと言う事を聞いて貰えなかっただけで↑のような嫌がらせに走り(それも器物破損に不法侵入、ストーカー規制法違反という犯罪レベルである。)、そんな事をした後でもヘラヘラと知らないフリして、ちょっと甘い顔をすれば相手は言うがままになびいてくれると思いこんでいるって…「友達」だった間もIPアドレスを勝手に使って人のブログの未公開記事を不正に覗き、誤魔化しに持ってくるのはビニール袋に入れたお菓子(家にある物をくすねただけでラッピングすらしない。)、挙句に思い通りに動いて貰えなかった事で連日無言電話を繰り返す、犯罪女のよしみつ、そのものじゃないか!(それで、ちょっと拍手したりコメントしたりすれば、友達の名の元に、また甘やかして貰えるだろうと考えるって、常軌を逸してるよ。)と犯罪者の性格の符合に妙な所で納得がいったものでした。里見お姉さんもせっかく犯人がドアの前に来ているのだから写真やビデオに撮って「動かぬ証拠」を作っておけば良かったんですけどね。(詰めが甘かったな、このお姉さんは。)

 蛇比礼…真弓「ねえ達也、いい加減に機嫌直してよ。この間は断ったけど、あたし決心したの。あなたの良いようにして…」
達也「今日、真弓が何か言っていたけれど、あんな奴のどこが良いと思ったんだろう、僕は?」

もっと早くにヤル事ヤッて捕まえておけば、彼は他の女に心変わりしなかったかもしれない…ではなく、彼の気持ちは所詮ただの肉欲に過ぎず、身近にもっと手軽にヤレる女(従姉妹の虹子)が現れたから興味が失せただけに見えました。危ない魅力を放つ虹子が本命に移ったとはいえ、本当に愛していたら血の繋がり的には問題の無い従姉妹であっても「8歳の幼女」相手にセックスまではしない(その時点で、その男は最低のクズ。8歳の子供にセックスを求めるなんてマトモな男のすることじゃないし、それって刑法に触れる犯罪である。)し、他の男と寝ている事を何とも思わない(普通は「彼女」がそんな事をしたら許さないし嫉妬もする。なのに自分ともセックスさえしてくれれば何とも思わない。)辺りに、そこにあるのは100%肉欲だけで気持ちなんか無い事が知れ、暗澹たる思いが広がったものでした。親戚の子供を引き取るって美談ですけど、現実はそう美しくは済まないという悪い見本です…。

 月読…天照「須佐之男は私の可愛くて大きな坊や…私を裏切ったりなぞは決してしない。」
→天照「違う!須佐之男が無理矢理、私を犯そうとしただけで、合意の上でセックスなんかしてなかったの!」
月読「共犯者の須佐之男に全て押し被せて…えこひいきしてても姉上の須佐之男への愛なぞ脆いものだったのですね。」

2人して人(月読)を騙して悦に入るほど仲が良いけれど、ひとたびマズイ事態になったらアッサリと仲間(須佐之男)に責任を押し付けて、自分は安全な所から舌を出している(所詮はそんな人間だから仲間に対してさえも利用価値の有無でしか見ないし、相手(▲▲さん)が何もしていなくても快楽(無言電話)の為に平然と裏切る)ってまるで、よしみつのようだな、とあれだけ仲良くしていたにも関わらず、決して裏切らなかった(むしろ尽くしてきた)仲間を自分の都合の為に裏切った天照姉上(よしみつ)の生臭い性格に妙なリアリティを感じたものでした。でも、そんな人間だと(それこそ一緒にほくそ笑む位に)分かっていて彼女と仲良くする事を選んだのは須佐之男(▲▲さん)本人なのだし、それで破滅する事になっても自分が選んだ道(自業自得)で同情は出来ないなとも感じたものです。結局、月読同様に天照には見限られた須佐之男でしたが、思うにこの人間(天照=よしみつ)は誰の事もそうやって利用して切り捨てる事しか考えないんだろうなと、今では彼女をすっかり「そんなもの」扱い(便所コオロギを見る目)でしか見れなくなった月読さんにえらくシンパシーを感じた話でした…。

 ウンディーネ…ゆき子「家族がいなくても、こう考えたらいいわ。親の無い子供より、子供を亡くした親の方が可哀想なんだから、あなたはまだ幸せ。」
陸田「逝く子と書いてゆき子…何をこじつけているんだろう、僕は。彼女と会ったのは、まぎれも無い現実だったのに。そうだ、僕、カメラマンになります!カメラマンになってもう一度、絶対に行子を撮るんだ!」
鷲見「き、急に1人で叫び出して、気は確かか!皆が見てるぞ!(彼は肺炎で、脳炎ではなかったはずだが…。)」

彼女を見たのは陸田さん、ただ1人だけ。教えて貰った住所に行ってみたら、そんな女の子は住んでいないという。(現在の一家がその家で暮らすようになったのは最近で、その前に住んでいた一家は女の子が沼で溺れ死んだ事で引っ越していった(つまりその女の子の霊か!?)という解釈は出来るが、本当にそうなのか、また生死に関わらず何で「出会って数日の女の子」が女性に手慣れていない主人公相手にキスまでするほど盛り上がってくれるのかも謎。)心霊現象でなかった場合、彼は「彼女」に騙されて、からかって遊ばれただけだな(いっそ心霊現象(自然消滅)であった方が美しい恋の終わりであり、むしろそうあってほしいと思うのだが、確証は無い。)と「呼ばれた」割には何故か命は助かっている(普通の悪霊だったらあの世に連れて行かれている。)状況に一抹の生々しい不安を感じながら読み終えたものでした。本当にウンディーネ(水妖)だったら良いんですけどね…。

激マン!

2009.05.20
 ストーカー女のよしみつさんが「ぼんじり」という名を騙ってまで「話を逸らして、あわよくば自分の好きな話の記事を書かせようとした本」(2012年1月1日に移動した記事参照。「私がよしみつさんだという『誤解』が解けて良かったです。」「普段は『永井作品の感想だけしか読んでいない』のでトップ記事に気づくのが遅れました。」と主張している割に、次にコメントをよこした記事は「王家の紋章④」で、説得力の無い支離滅裂な言動も大概にしろと思わず呆れた。)であり、この頃はまだ「犯罪レベルにまで達した嫌がらせ」(無言電話)まではしてこなかったから、下手な嘘で人を騙そうとしようが、人(私)を避けながらも美味しい思い(新しい記事)だけはちゃっかり味わおうと汚い思考回路を巡らせようが、「騙されたフリ」をしてあげるのも友情だったけれど(それでも嫌悪感が勝って記事を書く気にはなれなかったけれど)、職場にまで無言電話をするほど完全なストーカーババアになり果てた現在、何一つ彼女を慮る理由は無くなって、おかげでなかなか手に取る気にはなれなかった本です。が、弟が本編デビルマンの方を知っている(よしみつでなく、弟の為の話のネタになる。)事から、デビルマン話が終わった事もあり、ようやく読んで記事を書いている現在です。(でも「王家の紋章」や「ベルサイユのばら」等の少女漫画は弟の管轄外なので、これからも永久欠番決定だな。少なくとも、よしみつが無言電話を辞めるまでは。)なので、よしみつが無言電話を辞めるまで、当分「映画中心の記事更新」の様は変わらないですし、本の感想も白黒記事ばかりになりそうですが、ご了承下さい…。(面白いカラー記事は「奴の専門外」である映画に回しときます。気持ちの悪い無言電話女の為に、そこまでサービスする気にはなれません。)
 あの「デビルマン」を最初から「現在の上手くなった絵」で読めると同時に、制作秘話まで拝めちゃう(話を知っている人間にも、新しい発見が楽しめる。)という、ファンには美味しい「リメイク版」のような漫画化作品です。(同じ「漫画家(自分)を主人公にした話」でも「バクマン。」のような自己陶酔漫画家話(ついて行けない恋愛話。)でなくて良かったです。)という訳で作者の前世も関わっていると評判(チャネラーによると中世の魔女狩り時代、宣教師だった永井先生は「とても厳しい時代」に耐えきれずに自殺したそうで、話を聞いた永井先生の頭にその瞬間「枝振りの良い樹」が頭に浮かび、何も口にしていないのにチャネラーは「それはあなたが首を吊った木です。」と言い当てたんだそうな。)の、デビルマンをもう一度楽しめる、珠玉の作者自伝漫画です。

 不動明…研究員「いや、我々も彼らが正体を現すように色々やったんだが、結果として誰も変身せずに死んじゃったんだ。つまり皆『人間』で、君達の仲間(悪魔)は1人もいなかったんだよ。だから我々は無罪!テヘペロ!」
明「悪魔はお前らだーっ!」

…と、主人公(ヒーロー)であるはずなのに怒りのままに「人間」をぶち殺していった明の姿(最も、思わず殺ってしまうのに心から頷けてしまうほど醜い人間なのだが。被害者の中には家族ぐるみで付き合っていた恋人(美樹)の両親までいたのだし。)に、これはいわゆる一般的な「勧善懲悪の王道ヒーロー」とは全くの別物だ(どんなにいじめられても「人間の味方」で人間を守る方向で戦っていたスーパーマンとはそこが違う。)と感じていたら、そこには最初から編集長との「ありきたりなヒーローは描かない」(だって主人公は悪魔なんだもん。)という約束が根にあった様子です。こうして「アニメとは別物」として始まった永井先生初のストーリー漫画(「でもアニメが終わった以上、お役御免なんだから打ち切りね。」「い、いや、これからが話の本番でイメージ膨らんできたのに!じゃあ内容詰めて衝撃の絵に!」「だからって女性が真っ二つにされている拷問シーンの絵はダメ!」「じゃあ、あと2か月!」「…っ!?」と他の人気連載を辞めてまで「終了が決まった連載」に全力を注いだ様(「あ~あ、アシスタントへの給料も家賃も払わなきゃいけないのに、儲けを度外視して作品描くって、俺って、つくづくプロじゃないよな…。」by永井先生)に作者の情熱を感じました。)は、どんどん頭角を現していき、結果として「異色の作品」として世に名を残す事になったのでした…。

 シレーヌ…明「俺を虫けらと言ったよな!その虫けらに犯されるお前は何だ!?」
シレーヌ「おのれ~!よくも犯ったな、デビルマン!絶対に許さないぞ!」
担当「え~、見開きセックスシーン!?そ、それはマズイよ!少年マンガ人(マガジン)は少年誌なんだから!」

作者曰く「この方がシレーヌの怒りがストレートに出る」(いや、まあ、確かに女としては間違いなく相手の男に殺意を抱く場面ではあるだろうけれど、同じ女として言わせて貰えばそんな主人公に共感は出来ないわよ。)し「2人共、悪魔で『人間のセックス』じゃないから良いでしょ!読者の中にも大学生(18歳以上)は大勢いるし!」(そんな、犬の交尾じゃないんだからさ…。)と作者がかなり乗って描いたシーンは「読者が18歳以上でも『少年誌』と銘打ってある以上ダメな物はダメなの!」という編集部の良い仕事ぶりから発表時のようなプラトニックな戦いに変更されていました。(「まあ、いいじゃないですか。セミヌードのシレーヌとくんずほぐれつ…って本番が無くても充分エロく見えるし。」「分かってないな~。だからこそ本番が入るとバリエロになるのに…。」by作者)ちなみに女性(シレーヌ)を本気で殴って、頭かち割って致命傷を負わせた(そして初期設定ではレイプまでしていた)主人公の姿にはアシスタントからも非難轟々で、作者もフォローの仕様が無かったそうです…。(うん、この主人公ってやっぱり「悪魔」だよね…。)

 牧原美樹…暴徒A「俺に犯らせろ!悪魔の正体を現すかもしれんぞ!」
暴徒B「へっへっへ!たっぷりと慰んでやるぜ!」
暴徒C「待て!悪魔の正体を現してからでは危険だぞ!先に殺せ!」

…え?殺される前(後)にレイプまでされてたの?(「危険な人間を殺す」ことを本意として集まったのに、どうせ殺すくせに、わざわざ何の意味があるの、その行為!?←ハッキリ言ってこの時の人間達の行動はケダモノ同然で、サル以下の理性となり果てていたから、戦時中と同じく「そこに女がいる」だけで、その場に居合わせただけの不運な女性はそういう目に遭ってしまうだろう。)と、家族と共に殺されて、ヒーローたるべき恋人(明)にも助けて貰えなかっただけでも充分にお腹いっぱいだった悲劇の影に隠された、さらなる惨い真相(そういえば確かにあの時「彼女の服がビリビリ破けていた」けれど、あくまでも「表現の一種」だとばかり思ってました…。)に思わず絶句してしまったものでした。ちなみに、この直前に「すっぽんぽんで逆さ吊りにされた(拷問の果てに殺された)美樹の母親」のショッキングな死に様を巡って散々すったもんだした事も有り、さすがにこの時は「また編集長と揉めたいのか!?こんな『具体的で生々しい描写』でなくとも表現を変えれば、美樹の心が引き裂かれた事は伝わるだろ!」と作者も一人ツッコミが入り、あのような描かれ方になったそうです…。

 飛鳥了(サタン)…ゼノン「私は『人間』の貴方の思考をキャッチして、その通りに事件を起こしていくだけで良かった。しかし誤算もあり、多くの部下を失った。最大の誤算…それは貴方が人間・不動明を愛したことだった!」
了「それは私が…両性生物だったから。明…お前とは戦いたくない。だが、明の性格は分かっている。明は、私と戦わずにはいられない!」

そういう男女の心の機微に疎い(少女漫画を好まない)うちの弟にすら「了、完全に明に恋してるね。」とまで言われていた、そこまで読者にバレバレだった恋心(だからさ、明君…美樹ちゃんとのラブシーンを目の前で見せつけるのは程々に…。)は男女両性という特異な体(男の心身と女の心身の両方を持ち合わせ、「女の心」で明に恋していた。)という自然な表現で受け入れやすく描かれており、おかげで物語終了時の天使軍侵攻のシーンでは「あのラストは了と明の愛の成就(心中)で、それを天使が祝福してるんですね!」(「ええ~、あの天使達はサタンごと地球を滅ぼす、全てを無にする恐ろしい存在なんだけど…ま、いいか。」by作者)というような意見も多く届いたそうです。という訳で聖書の「光あれ!」のように神からの啓示を指す奇跡(それこそ天使が大挙して押しかけるほどに。)のように美しく描かれているラストですが、おかげで主要登場人物は全員死亡、地球は滅亡したというとんでもない終わり方で話は締められたのでした…。

SO BAD!

2009.05.20
 直訳すると「最悪」という意味に取れる単語ですが、実はこれは「Foxy」や「Sexy」と同様に口語体の意訳で「最高じゃん!」という褒め言葉の部類に入るんだそうです。(そーゆー予測もできない違う意味が出てくるから英語って苦手なんだよなあ。漢字だったら元が象形文字だけあって「知らない単語」でも部首からある程度、正確な予測ができるのだけれど。)話にある「学校最高の生徒になったら留学が待っている」制度なんてこの世にあるのか、と疑問を感じた所、後書きに「農業高校では優秀な成績の生徒は今年は北陸、来年は北海道で全国大会に参加する」(要するに学校持ちの費用で代表生徒がタダ旅できる。)機会が有ったと書いてあり、それと似たようなものかなと合点がいったものでした。ちなみに代表となった女性ライターは女1人×男7人(代表生は全部で8人。その中の数少ない女。)という状況下で明けても暮れても同世代の男に囲まれてチヤホヤされた(この時「人間は人に恋するのではなく、環境が恋をさせる」という事を学んだ。)けれど旅行から帰って「正気」に戻った彼は学校で顔を合わせてもニコリともしなくなった(「愛してるよ。(訳・別に殺意は抱いちゃいない。)けれど、もうバケーションは終わったんだ。」って、リアルによくある話…ですよね。)そうで、現実ってこんなもんだよなあ…とライター共々頷いてしまった、そんな青春の後書きでした…。

 雪野今日子…「最優秀生徒(ステューデント・オブ・ジ・イヤー)の副賞でロスにある姉妹校に留学して、帰国して、目指せ東大!目指せ、スーパーエリート!そしたら『お母さんが目をかけている蓮城環』に勝って、やっと自分を認めて貰える!」

つまり彼女の行動原理の全ては「母親にこちらを向いて貰いたいが為」だったのですが、恋を知って、相手からも愛されて変わった彼女は「最優秀生徒の称号」を貰えるその時、既に親を必要としなくなっていた(もう親に依存してはいない。)とは皮肉な展開です。母親は今日子の事を大事に思いながらも、環への負い目(蓮城父×自分の愛人疑惑のせいで母親が自殺に近い死に方をしてしまった。)から、いつも環の事を一番に考えてきたそうですが、その割に当の環が義母とデキている事も、三男の湛がセクハラの果てに不登校になっている事も、何も気づいてはいないし、次男の美人にも懐かれてはいない様には完全にダメ母じゃないか!(結局この母親ができた事は「おさんどん」以上の何物も無く、三人とも娘の今日子の方に救われている。)とツッコミを入れてしまったものです。言葉と目に見える一部の態度だけが全てとは言わないけれど、何も言わない以上は誤解されても仕方ないよ(それで脳内妄想の方だけは分かってほしいと言うのはおこがましいよ。)と思わず語りかけてしまった母子の様でした…。

 連城環(カンちゃん)…蓮城父「本当はお前だって結麻に惚れてなんかいないんだ。父親への反発と義母への同情を一緒にして、それを愛情だと思い込んだだけだ。…子供なんだよ。」
環「勝手なこと言うな。俺は『好き』だった。だから、ちゃんとサヨナラって言いたかったんだ。俺だって、短かったけど付き合ってくれてありがとうって言いたかったから。…そしたら、ちゃんと帰れる。待っててくれてる人の所に。」

既に本命は雪野ちゃんに移っていたとはいえ、それがどんな理由であれ「彼女」を放って「他の女」の元へ走っちまった事は確かで、それは大きなマイナスとなってしまったんだろうなあ、と「2兎を追う物は1兎をも得ず」の諺の通りに最後は一人身で終わってしまった様に溜め息が出てしまった彼でした。そして、夫がいながら義理の息子(!)である自分と関係した挙句にポイ捨てした結麻も結麻なら、「待っている」と言っていたくせに自分がいない間に弟(!)に乗り換えた今日子も今日子で、現在では立派な女性不信となってしまったそうです。愛人疑惑(勘違い)の為に事故死に走った母親(「雪野ちゃんの母親の出産に駆けつける夫を追って飲酒の果てに車を飛ばして事故死した母親の話を聞いた時、俺はそんな母さんを憎いと思った。赤ん坊だった俺を見向きもしないで親父(男)の事ばっかり求めて、俺を置いて逝っちゃった人なんて。」by環)といい、どうやら破滅的に女運が無いようですが、出来過ぎるが故にエリート街道は走れる(それであの顔でモテないはずはない。)ので、いつかきっといい人が見つかるよ、と慰めを入れながら終わる事にします…。

 蓮城湛(しー様)…「本当はあの時、先生の手が、指の動きが、目つきが、何か違うって分かってた。でも、俺は知ってて、知らないフリしたんだ。」

つまり最初から気づいていたんじゃん!「本気で付き合ってなんかいなかった」のはお互い様だし、これはむしろいきなり愛人に冷たくされ始めた先生(女)の方が可哀想ではないのか?と最初は思ったけれど、考えてもみればこの時、しずかちゃんはまだ中1(!)、違和感を感じても、それに大人のようにしっかりとした判断を下せない「子供」で、子供の無知につけ込む形でセクハラを続ける先生(大人)の方にこそ問題がある(ていうか教師のする事じゃない。男女逆で男教師×中学生女生徒だったらと考えると怖い。)と気がついた関係でした。(湛の方が攻めの立場だとかそういう事に関係無く、これは立派なセクハラである。)思うに、今までは彼女への好意もあって、なし崩しに(彼女の為に)関係していたものの「冬には本命彼氏と結婚するけれど、学校にいる限りは肉体関係を続けよう!」と言う彼女に、自分は所詮オモチャに過ぎなかったんだと、やっとハッキリ自覚しただけで「今までが異常だった」だけなのでしょうね。自立して離れていこうとする愛人を、手ごめにする為だけに引き止めようとする大人の方が汚いよ、と私もツッコミを入れてしまったものでした。

 蓮城美人(次男)…環パターン①「あの人がサッカーの名門、T高の監督だなんて知らなかったんだ。サッカーを本格的にやろうって誘われたけど、断ったよ。だってホラ、サッカーは美人のだもんね。」
環パターン②「斎藤さんが俺のこと好きだったなんて知らなかったんだ。付き合って下さいって言われたけど、断ったよ。だってホラ、斎藤さんは美人のクラスの委員長で、美人のだもんね。」
美人「どうして、いつも俺じゃなくって、カンちゃんなんだろう?」

今日子同様「出来過ぎるカンちゃん」に、いつも大事な人の関心を奪われ、劣等感を抱えてきた。(実の母親もやんちゃな自分より聞き分けの良い「義理の息子」である環の方を可愛がっており、初恋の女の子も奪われた。)もちろん「環」には大切にして貰っているけれど、所詮は兄の都合(余裕のなせる技)の二の次で、気を使って貰ってはいても「カンちゃんのお余りを分けて貰っている」だけみたい(「ざけんな。誰がアンタが『譲ってくれた』ものの為に本気でなんか、やるもんか!」by美人)という経緯に、他の女(結麻という兄の都合)の為に環に置き去りにされた今日子と性格・方向は違えども物凄く同調する部分は有ったのか、いつの間にやら兄を押しのけてデキ上がっていたお二人でした…。とはいえ、お綺麗で出来過ぎた欠点の無い人間(環)が、恋もヒロインも結局は全てを手に入れているという展開は微妙に感じていた私としては、路線変更して彼とくっついた様にかなりホッとしてしまったものです。今まで何でも挑戦する前から諦めてきた(正しい「酸っぱいブドウ」をやってきた。)彼も、初めて「カンちゃん」の前に諦めずに奪い取るほど情熱を見せた辺り、彼もまた雪野ちゃんと関わった事で変わったのでしょうね。

 余談…蓮城父が不倫同棲をしていたモデルのケイト・キャンベルって、絶対に黒人のスーパーモデルだったナオミ・キャンベル(「そんな…声まで変わって…!」のCMで有名。)から取ったでしょ!と、妹共々、妙な所で大爆笑させて貰ったものでした。

続・嫌われ松子の一生~ゴールデンタイム~

2009.05.20
 続編とはいえヒロインの松子は本編1ページ目にしてとうに死んでいるのですが、「その後の物語」として4年後、甥っ子の笙が大学を卒業してフリーター生活をしている様(番外編に登場する赤木さんも、すっかり晩年のお爺ちゃんです。)から始まる青春物語です。平成の現代にも相変わらずセクハラや理不尽な展開は存在するものの、松子のパターンに比べると随分と軽い展開(男の為に身を持ち崩した過去を持つ新ヒロインも、松子のように肉体を売るレベルまでは行っていないし、何だかんだ言って現代日本は恵まれている。)で、後書きにもある通り「時代の眩暈のするほどの軽さ」も感じた後日談でした…。

 川尻笙…明日香「俳優なんて当ての無い夢を引きずって、30歳になってもダメなら方向転換するって、それで社会に通用する人間になれると思うの?そんなの、その場しのぎの薄っぺらな人生じゃない!」
笙「何故『薄っぺら』なんて他人の人生を見下すような言い方が出来るんだ?人が生きて死んでいくことに、分厚いとか薄っぺらいとか、あるのか?お前みたいに医者を目指して社会の役に立てたら有意義な人生で、ホームレスになって公園で野垂れ死にしたら、薄っぺらい人生か?…松子伯母さんの人生は、薄っぺらい人生だったのか?」

いやいや、映画化もしてドラマ化もして、個人的に共感こそできなかったものの、別の意味で充分に「濃い人生」だったと思うぞ、彼女は…と思わず今さらな感想を持ってしまったものでした。「仕事なら何でもかんでも出来過ぎな松子」とは正反対に「大学を卒業しても職にあぶれた笙」ですが、性格の方も正反対で「男が全て」だった松子とは違い、「どこまでもいい奴」で今回も恋人(有里)を他の男に譲っている笙には人間的に好感が持てる主人公です。今回でも有里相手に1晩ヤルだけヤられて、結局昔の恋人と元サヤに戻る形で終わった(「笙の事もそれなりに好きだから『誰でも良い』訳じゃなく『あなたを選んだ』(ただしセカンドとして。)」って…嬉しくないんですけど。)男女逆なら泣き伏している(いや、男でも泣いていい。)状況で「いいんです。もういいんです。本当に、いいですから。」(何が良いのか…泣。)と2人の中まで取り持っている彼には思わず涙すら出てしまったものでした。仕事は確かにできない奴だけど、そこまで「いい奴」に徹せられるのはある意味で立派だと充分に拍手が出来た甥っ子主人公です…。

 沖山輝樹…玲子「明日香はその男とどうして別れないの?気持ちを無視してベッドに運ばれて、手首を押さえつけて犯されかけたなんて、完全な暴力じゃない!」
明日香「泣いて嫌がったら、すぐに辞めてくれたから、それなりに誠実なんじゃないかと…。ちゃんと謝ってもくれたし。」
玲子「誠実な男が、レイプまがいの事をするの?」

そして現在、彼とは気まずい状態が続いているように、断ると世にも悔しそうな顔をするし、その後ご機嫌を取るのが大変(ヤッてしまった方が簡単。)なので「次」からは断るなんて面倒臭い事をしないようになった…というのは、よくある話です。(「それで彼を庇える気持ちが分からないんだよね。人格を侮辱されてるのに、どうして好きでいられるんだろ?」by玲子)それでも明日香の中には疑問符が残ったようで誠実にプロポーズされても「何か違う。」(それって「相手に合わせて『都合の良い女』をやってる」だけで「自分の意志」でも何でもない。)と実を結ぶことは無かった優良債権との恋の顛末でした。それにしたって輝樹は何も悪くないのに可哀想だな(本当に酷い男だったら自分の気持ちしか考えないし、責任を取った意思表示(プロポーズ)をしたりもしない。「彼氏」なんだから、その位しても許されると誤解してる面もあるだろうし、多分、今でも何で自分が振られたのか「本当の理由」は分からずじまいのままだろう。)と現実の男性に比べると一生懸命、頑張っていた彼に同情もしてしまったものです。最も結婚前に別れられた(心はともかく、戸籍の方は傷つかずに済んだ。)分だけダメージが少なかったのが幸いですが…。

 渡辺明日香…明日香「私、前に東京の大学に行ってたでしょ。その時、付き合ってた人がいるの。でも医学部を再受験する事を決めた時、私は彼と別れた。それだけの覚悟をして自分の生きる道を決めたの。だから私は、あの日の自分に恥じない生き方をしたい。」
輝樹「それが沖山病院の御曹司である僕との玉の輿結婚を断る理由?」
明日香「うん。それがアメリカに臨床留学する事を決めた理由。」

玉の輿に乗る代わりに、速攻妊娠を求められており(「アメリカ留学って、大学卒業して日本で2年間研修すると考えると、早くても出発は5年後、向こうのレジデントの3年間で8年、フェローシップまで取るのなら11年後って事じゃないか!その時に超タイミング良く妊娠できても君は36才になってるよ!」「でも子連れでの留学はさすがに無理でしょ。『若い私』に子供を産んでほしいのなら、輝樹が専業主夫になってくれる?」「ふざけんな!」by輝樹)病院の跡取り息子に嫁ぐ以上は就職先も部署も決められている。(「沖山病院は消化器外科がメインだから僕はそっちで明日香さんには麻酔医になってほしいんだ。」「…それって脅迫みたい。勝手に決められてるんだ、私の進む道。」by明日香)彼と結婚しても「医者」にはなれるけれど好きには生きられない(一生、生活には困らないだろうが、自由は無くなる。)という未来予想図に、原点に立ち返って考えをまとめてみた所、「そもそも自分は『男を捨てて』医者の道を目指したんじゃん!」という結論がはじき出されてしまった彼女でした。という訳で「当ての無い夢を追いかける元彼・笙」(本来だったら普通に就職した方が親も安心するし遙かに小利口な生き方である。でも彼は険しい夢の方を選んだ。)の生き様にも感化されて、夢に向かって進む事を決めた様子です…。

 上条有里…有里「キャバ嬢だった頃のあたしは無敵だった。誰からも認められるナンバーワンだった。でもある時、あたしのお得意さんが会社のお金を使いこんで失踪しちゃったのよ。その事を知った時、あたしの中で何かが切れちゃったんだよね。接客してると急に吐き気がするようになって、枕営業していたって根も葉もない噂が立つと、あっという間にナンバーワンから転落。店に出る気力も無くなって、無断で退店しちゃった。」
笙「風俗(トルコ風呂)と水商売(キャバクラ)の違いって、よく分からないんだけど。」
有里「風俗は、肉体を売る。水商売は、夢を売る。」

肉体は許さないものの「夢を売る」という言葉の通りに、キャバクラは周りの女(家族含む)に相手にされない男が、キレイなお姉ちゃんにチヤホヤされる「夢」を金を絞られながら買う場所であり、普通はそこで目が覚める所なのですが(食い物にされるだけでHが出来る訳でもないし、未成年でないから合法の域に入るとはいえ、もはや年増女を相手にした援助交際である。)現実に何も無く、夢だけが全てとなってしまった男はトチ狂ってしまうらしいです。(実際、妻子がいるのに関係無くストーカーになり果てる男は多い。現実(東京伝説)でも↑のように自業自得で全てを失くした男が、数ヶ月(!)も経った後になって部屋に火を付けた猫を投げ入れたり、グラインダーで研ぎすませた10円玉を口いっぱいに頬張らせて揉みしだいたりする事件は後を絶たず、警察の方も「職業・キャバ嬢?じゃあ、仕方ないね。」と、よくある事としてスルーしてる体たらくである。)なので現在に至るまで何の被害も被っていない彼女はかなり運が良い方と言えましょうね。その辺はやっぱり小説(フィクション)だなあとも思えた新ヒロインでした。

 沢村めぐみ…めぐみ「あたしが名刺を渡さなかったら松っちゃんが死ぬ事は無かったんだよ。あたしが殺したようなもんだ。」
笙「悪いのは松子伯母さんを殴り殺した犯人であって、沢村社長じゃありません。伯母さんは死んでしまったけれど、最後に再就職という未来への希望を手にする事が出来たんです。それは沢村社長のおかげです。」

犯人を除いた一番の要因を挙げるなら、夜中の公園なんて不審人物がたむろしやすい場所に出向いた松子伯母さん本人で、そもそもは貰った名刺を公園に「捨てた」松子の行動が原因で(たとえ名刺を無くしても、アダルトビデオ会社とはいえ代表取締役を務め、HPだって持っている人物なんだから、いくらでも調べようは有ったと思うが。)、それってチャンスを与えた人間に対して非常に失礼な事だと思うのですが、16年も音信不通にした不義理な友人(挙句に言う事が「私はあなたの事なんか親友と思った事は無いよ。」って…。)の死に対して涙して、それ以来、毎年、命日には彼女の甥っ子と故人を偲んで食事するようにしているって、なんて情の深い女性なの!?と逆に感動した顛末でした。赤木さんといい、彼女といい、松子の周りにだって、いい人はちゃんといたのに、その人達を袖にしてロクデナシに尽くす自分に酔ってる(挙句に当のダメ男に捨てられてちゃ世話は無い。)から、そんな最期を迎えたんだよ、と松子に再度、当たり前のツッコミを入れてしまったものでした。

 赤木健二…東尾先生「もしかして、赤木さんが今の家を出たくないのは、今でも雪乃さんからの連絡を待っているからですか?家を出てしまうと万が一、雪乃さんが助けを求めて来ても自分の元に届かないかもしれない。だから、あの家を離れられない。そう考えているから、姪御さんとの同居を断っているのではないですか?」
赤木「最後に雪乃に電話をかけてから何年か後、あの子が一人ぼっちで震えて泣いている夢を見てさ…だから次の日は仕事も休んで一日中、電話の前にいた。今にも雪乃から電話がかかって来るんじゃないかって。もちろん、そんな電話はかかって来なかった。次の日も、その次の日もかかって来なかった…うん、分かってるんだよ、かかってくる訳ないって。でもさ、先生…馬鹿だろ。俺は、本当、馬鹿なんだよ。」

うん、マジでバカだよ、アンタ…松子にはどう考えても、そこまで入れ上げる価値なんか無いのに…(そりゃ、仕事の「技術」は大したものだけれど、松子が仕事する理由って、いつも男への当てつけか金を貰う手段でしかないんだもん。新しい男出現で毎回、仕事を放り投げるし共感できないよ。)と、小金を持って北海道の八雲に帰った後も独身を通し、足腰が弱って独り暮らしがきつくなって来ても、雪乃の為だけに「彼女に教えた連絡先の住所と電話番号」の家で待ち続け、姪御さんの好意まで袖にしている姿(「私が結婚する時、渋る父を説得してくれたのは叔父なんです。好き合ってる者を引き離すなんて、いくら親でもしちゃいけないって涙を流して意見してくれて、おかげで父は結婚を許してくれたんです。叔父は私の恩人です。その叔父が困っている時、手を差し伸べるのは当然の事ですし、主人や息子も同居する事に…特に反対はしていません。」「積極的に賛成もしていない、という事ですね。」「……。」by姪・乙部美佐子)に、男らしさを感じるのを通り越して涙が出てきたものでした。いっそ雪乃はとっくの昔に死んでいて、完全に無駄な事をしていると知らせてやろうかとも思ってしまったのですが、年も年だし「彼の唯一の生き甲斐」を奪ってしまうと、生きる気力を失くして一気に呆けてしまうかもしれないという危険性の前には今後も何も言わずに見守っていくしかない様子です…。
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