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東京大学物語32、33

2009.05.31
 「タルるーと君」の時もそうでしたが序盤は勢いがあって面白かったのに途中から暴走し、連載終了直前になって新章開始→尻切れトンボで終了というのは江川先生の作品のお決まりパターンのようです。そんな夢オチに近い掟破りの終わり方であっても妄想が何重にも重なって徹底的に行われている辺りは…まあ…面白かったかな…?(タルるーと君の時よりは…。)「これからという時に打ち切る形で話を終わらせて読者のアンコールで連載再開を狙うような形」に色々思う所はありますが、これ以上話が続いてもいい事はあるまいとも感じるので文句は言わず、ひとまずは連載終了お疲れ様でしたという言葉で結んでおくことにします。

 谷口瞳…▲▲「よしみつさんは、いい奴だよ。」
私「この人が何したか分かってるの?勝手に人のIPアドレスを不正使用してブログ覗きや住所検索に走って、同じ手を使っては統合失調だの頭がおかしいだの、名誉棄損バリバリの中傷コメントを何度も送りつけて、2年以上も無言電話を続けた上に職場にまで非通知でかけてきて…どこが、いい奴なのよ!」

以上、谷口さんと高畠君のやりとりを参考にアレンジしてみました。突然、現れた痴漢男(村上)に対しても全くひるまずに「住居侵入!プライバシー侵害!ストーカー条例違反!公然猥褻!強制猥褻!名誉棄損!」とスラスラと罪状を並べられた辺りは素晴らしい彼女(さすが法学部。)でしたが、思えば顔も性格も目立たない素敵(モテル)という言葉の対局にいる男でも、「村上と真逆の人格者」であり何をやっても怒らない都合の良い男(それこそ友達が自分の彼女を犯そうとしても、何故か被害者である自分の方が謝って許して貰おうとする程に。)だからこそ高畠君を選んだ側面も有った様子…です。そして、安全日に油断して避妊をしなかった事で妊娠→学生の自分の立場を優先して中絶(「俺は産んでほしいって言ったのに、都合が悪いっていう理由一つで、生まれる前の罪の無い命は殺すのかよ!」とそれで高畠君ともダメになった。)となってからは「そんな男にさえ捨てられる自分」にすっかり自信を失ってしまった様子(自分は村上君と違って、ちゃんとした美しい恋愛をしているつもりだったが、結局、自分の理想と肉欲に溺れていただけで、身勝手な都合で動いていただけだったと自覚し、そんな自分に幻滅もした。)で、彼女もまた村上のセフレになってしまった展開にはかなりガッカリさせられたものでした。(傷心の女ほど落ちやすいっていう定説は有るけどさ…。)結局、そんな「普通レベルの女」だったとしても意地だけは貫いてほしかったです…。

 真紀…真紀「水野さん、あんた何考えてんの?その若さで子供産むなんて…自分はまだしも相手の人生、考えないの?もう一度言うわ。まだ間に合う。まだ人間じゃないうちに堕ろすのよ。」
直樹「なんだか、真紀…この前、子供を堕ろしたんだって。」

この子はもうお腹の中で「生きて」いる、と答えれば「最低!あなた、私の事を人殺しって言いたいのね!」(「そうよ、貴女は自分の幸せの為に、男と無計画にセックスをしてできた自分の子供を殺した女。」by英里)と被害者面をして喚き立てようとする彼女(どっちかというと、被害者であり一番可哀想なのは堕ろされた子供であり、加害者である母親には少なくとも「傷ついた女の顔」をする資格は無いと思うが。)の言葉の裏には「知り合いの女性が道を踏み外そうとしているのを留める気持ち」より「自分が出来なかった事をやすやすとやってのけて幸せいっぱいに生きている恋敵に水を差す気持ち」の方が強かった様子です。他の女と浮気されまくりながらも学生の身で彼の子供を産んでまで彼について行くって、ただの「都合の良い女」、その程度の存在に過ぎないでしょ、という渾身のツッコミには「一番、都合のいい女だから最後に帰っていくんでしょ。」(「何をしようが、必ず、村上君の心は遥ちゃんの元に帰るのよ。」by英里)というフォローが入っていますが、現実の男の「都合のいい女」の選び方の基準は「相手がいかに尽くしてくれたか」(その気になれば他の誰でも真似できる技。)ではなく「相手のバックグラウンドに何があるか」(土地持ち財産持ちの娘だとか、性格の良い女ではなく「スペックの高い女」を選んでいる。)だったりするので、現実に遥ちゃんみたいな女性が選んで貰える可能性は低いだろうなあ(大体、尽くした分だけ返してくれない人間なんて男女関係無く、相手への思いやりなんて持ち合わせていないし。)とも思ってしまった私でした…。

 鈴木英里…真紀「水野さん、直樹の子供がお腹にいるのよ。友達とか言って直樹と今でもセックスしてるって…水野さんがどういう気持ちか分かってやってるの!?」
英里「当たり前よ。分かってやってるに決まってるでしょ。私は遥ちゃんの事を傷つけている悪い女なのよ。でも、貴女達とは違う。自分のこと『善人』だと思ってないもの。自分を正当化して無意識にワガママやってないもの…。」

真紀さん、谷口さん、英里さん、とその場にいる全員が村上と関係したことがある(時系列の流れは別として)事を考えると全員が何も言えない立場ではあるけれど、事実を認める事と、開き直れば何でも許されるだろう(バレた所で覆水は盆に返らないし、相手は「どうしようもできなくなった事」として受け入れざるを得ないとタカを括っている。人の妹のセクハラを家族中で笑い物にしたり、理髪師さんの全性生活をコンビニの駐車場でベラベラ話しては「もう、やっちゃった後だし、別に良いよね!」と事後承諾を強要する、よしみつさんと同じ思考回路だな。)と無神経な正直さを炸裂させる事は違うし、むしろ表面つらだけでも善人をやろうとしている一般人の方がまだマシなのではないか?と嫌悪感しか抱けなかった持論でした。自分で「悪い女だ。」とは言いながらも(そう言えば誰かフォローしてくれるとでも思ってる?)相手を傷つけた事実にも周りにも迷惑をかけた経緯にも全部スルー(「そ、そうね。英里ちゃん、酷かったよね…で、言う事はそれだけ?」by遥)して、同じ悪事をまだ繰り返してるって、人の家に無言電話かけ続けて、それで友達(▲▲さん)の隠蔽工作までネット上に挙げられた(友達を売ってまで無言電話をかける方を取った。)よしみつさんと全く同じ言動じゃないか!とツッコミすら入れてしまったものです。(そう言えばあの人も「ボクって偽善者だからなあ~。」と自分の悪さを特別な存在の証かのように勘違いしている部分が有ったな…。)こういう人間って「自覚している」だけに直しようも無いんだな(むしろ無自覚な奴の方が確信犯よりは直しようがあるという点で人間としてまだマシ。)と改めて実感もしてしまった理論でした…。

 村上直樹…「…なんて、一目、姿を見ただけで、たったそれだけで、こんなに長く妄想してしまった。」

「彼女に一目惚れのあまりの妄想」にしては遥ちゃんは現実にはまずいないであろう性格のDQN女(しかも男(村上)の事はどこまでも許す「都合の良い女」)にされているし、よりにもよって彼女の親友(英里ちゃん)と浮気はするわ、他に彼女(真紀)まで作るわ、新しい女(谷口さん)を本命として乗り換えるわ(遙ちゃんの事はもう完全にキープ君状態。)、強姦はしかけるわ、他のBFと幸せになることも許さないわの酷い内容で、ネタにされる側としては、たまらない話だなとドン引きしてしまった内容でした。(リアル遙ちゃんの方も、よく、あんな成人向け妄想話で「意外なほど盛り上がれた」な、と彼女の大人ぶりに感心すらしてしまったものです…。)大体、全ては妄想でしたって34巻の今更になってそれは有りなのか!?と今までの話を全否定した結末に(それまでの不思議ちゃんな性格でも「一途で健気なバカ過ぎる遙ちゃん」に好感を持っていただけに)残念に感じた終わり方でした。最も「一番都合のいい女だから最後に帰っていく」…のではなく、最後まで放っておかれて、他に誰も相手をしてくれなくなった時に「利用」されているだけ、子供が出来ても他の女と浮気されまくり(どんなにフラフラした男でも「あの人の子供を産めた」のは私一人、という正妻感覚はあるのかもしれないが…。)という妄想版結末もかなり微妙な内容なので、「無かった事にされた」のは遥ちゃんの人生的には良かったのかもしれませんが…。

 水野遥…「自分可愛さについつい自分に都合の良い妄想をして現実を捻じ曲げて見ちゃうんだよね。あたしは大人になっても、いつまでも沢山いろんな妄想をして、一つの妄想なんかに縛られないで、楽しく自由に生きるんだ。…なんて考えている男の子がいたらいいな。」

つまり新章の小悪魔的遥ちゃんさえ妄想の産物で新章に到るまで小学生の遥が授業中に空想した物語に過ぎない(どんな物語を空想してるんですか、小学生!)という驚きの終わり方で締められてしまいました。つまり30巻以上主人公として物語を引っ張ってきた村上は実在もしておらず今までの話は全て嘘だった訳です。(一応、小学生の彼の姿が見られる辺り、村上直樹という男の子は存在はする様子だが、さっきまでの新章同様「彼がどんな性格なのか」は分からない。)作者の後書きの中に書かれていた「恋に落ちた人は大体が相手を勘違いしている事が多い。相手に自分勝手な妄想を巡らせて幸せな気持ちになっているだけ。」(そして付き合えば付き合うほど妄想は裏切られ、結果、恋心は消えていく。)という持論から考えると、現実の恋なんてこんなものなのかもしれないし、「(勝手に)恋したのに妄想通りじゃなかった恋人も、また見方を変えれば素敵だし、もっと素敵な人を探せると考えるのもまた良い。」という点から考えると「自分の青春はこれからだ!」(だからまだ小学生だろ、アンタは!)という終わり方はまさしく後書きに即していたのかもしれません。が、「一つの物語の終わり」としてはやっぱり反則技だし、微妙だなあとしか思えなかった終わり方でした…。(まあ34冊も話(人気)を引っ張れた辺り、江川先生は漫画家としては、やっぱり才能があるんでしょうけどね…。)
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東京大学物語27~31

2009.05.31
 確かに新しく続々と登場した女性3人(村上君の恋人…というよりただのセフレ。)よりは過去の恋人2人(英里ちゃんと真紀)の方がいい女で不必要に似たようなキャラ(貞操観念が低くて男の都合のいい女)を増やすよりは彼女達の話の方が良かったとは思ったけれど…それは彼女達がちゃんと自分の人生を自分で歩いていてなんだかんだ言いながらも男に左右されない生き方をした所(村上を卒業し振り向かない潔さ)に好感が持てたのであって「全部自分が悪かったのよ。」と過去の自分を全否定して「都合のいい女」になる為に登場して欲しかった訳ではなかったのにな…とかなり残念に思ってしまった展開です。そこまでするほど村上君がいい男か(まあ「バカもおだてれば木に登る」(正しくはバカでなく豚ですが)の喩え通り調子よく甘えさせれば言う事を聞く男ではあり、将来性はあるけれど…性格は最悪のような…。)も疑問で個人的にはあまり好きになれなかった話でした…。

 村上直樹…吉野「村上の心をコントロールするのは簡単だ。何故なら奴は自分がいかに贅沢な事を『当たり前』と思っているか気づいてないからな。」

便利で当たり前、親切にされて当たり前、周りは仏のごとくいい人で当たり前、だから人に何かして貰う事に感謝もしなければ自分が相手の為に何かしようと考える事もない(何故ならばそれは全て「当たり前」だから。相手にするのはついてきて自分を押し上げてくれる人間だけで美味しい思いの見込めない人間は切り捨てながら自分の都合が通るように選別している。まわりもまた「都合に合わせなければこの人を失ってしまう。」という脅迫観念から言う事を聞かざるを得ない。)そういう思考回路が出来上がっているんだと、よしみつさんの生態の謎がまた一つ解けたものでした。(自分では悪気が無い事だけを指して自分が良い人間だと思い込んでいるけれど実は自分の事しか考えていない欲深な人間に過ぎない(相手の気持ちなんて全く考えていない)事に本人だけが気づいていない。)それでも村上は(性格が歪んでいても)東大の国Ⅰトップの成績で将来のエリートキャリア官僚候補という将来性がある分だけ(一応「周りの人間より優れた点」がある分だけ)人としてはマシだよな(過去に去った女性2人もこういう経歴を誇る将来性抜群の男になったと聞いたら金の為…もとい元サヤ目当てで戻ってもくるでしょうね…ゲフッ!)と経歴の素晴らしさ(だけ)に感心もしたものです。性格が最悪でも特化した実力があれば相殺されるもので、なんだかんだ言いながらも彼の周りに女性が絶えないのは一応「実力の結果」ではある事に納得は出来たものでした。(展開としては女として心底嫌悪を覚えましたが。)

 鈴木英里…村上「英里ちゃんてさ、人間として最低の女だよね。」

お前が言うか!(そりゃ携帯の電源を切られてまで会話を拒否されるわ!)と思わずツッコミを入れてしまいました。ともあれ今までは何股かけていても最高のセックスが楽しめるからという理由(だけ)で村上を追いかけていた女性達も放置していた間に新しい男ができたことで誰も村上を相手にしなくなったようです。英里ちゃんが「誰とセックスしても私を抱いて下さるのならそれで良いです。」(良くねえよ!)と言った通り「セックスの無い村上君」(=彼の人格)なんて顔を見るだけで気分が悪くなるほど忌まわしいレベル(例・谷口さん)で風俗嬢全員に振られたと同時に完全に目が覚めた英里ちゃんに快哉を叫んだものでした。相手の心理を考えて罵倒や突き放しも計算の内という吉野(嫌な方向ではあるが「相手の気持ち」を事細かに考えてはいる。)と違って全部「自分の気の向くまま」にやっているだけの身勝手な人間には人はついてきませんよ…ね。

 谷口瞳…村上「『困っている人を見過ごせないから弁護士になる』のなら恵まれたこの日本の女性のセクハラ問題の為だけに戦うのでなく、もっと悪質な犯罪に苦しんでいる人達から助けようとするよ。」

社会貢献という綺麗事を言っているけれどそれは上っ面で善人顔をしているだけで本当は相手をねじ伏せることしか考えていないのではないか(優位な立場にいる男を虐めたいだけで本当は女の気持ちだってちゃんと分かっていないのではないか?「自分の事しか考えていない」辺りは確かに村上と似ているのかもしれないが。)と村上にまでツッコミを入れられていた新キャラです。しかし新しい「ヒロイン」にしては遥ちゃんのような包容力も無いし、英里ちゃんのような品の良さも無いし、真紀のように知恵を巡らせながらの強かさも無いし(レイコさん達は脇役に近いセフレなので除外。でも金と体を貢いでまで尽くしている辺り少なくともこの女性よりは「健気」と言えましょうね。)自分からうっとおしくつきまとったくせに「不愉快な思いをしたのは全て相手のせい」と被害者顔をするえげつない性格(ただの勘違い女)がヒロインとしては最低ランクの女性だなとげんなりしたものでした。(こんな女の為に遥ちゃんがとうとう「本命」ですらなくなり、ただの「未練」になったのも凄く残念でした。)そんな明らかに性格の悪い幼稚な女性が他のいい女達をさしおいて「本命」(1番)になってしまうほど、現実の恋愛は理不尽で不平等な物だとは分かっていますが、それはそれとして「読者の共感」には繋がらないよな(村上に愛されていながら…というより村上を愛している数多の女性の心を傷つけながらそれを何とも思っていない辺り何様のつもりだろうと他の女性達が哀れなだけに嫌悪感につながってしまいました。)と、この人の話を最後に最終章(打ち切り)を迎えた事に納得もしてしまったものです。やっぱりメインヒロインには魅力が無いとダメですよね…。

 水野遥…遥「河野君とは付き合ってないよ。あたし、ずーっと1人であの部屋で村上君を待ってるんだよ。」
河野「……。」

全てを聞いてしまっている河野君が哀れでした…ゲフッ!八方美人な遥ちゃんだけに自分を慕ってくれる男の人を拒絶せずに誰とでも仲良くする替わりにキス以上は村上君としかしないスタイルを貫いているようです。(そして「無理やりしようとするなんて強姦しようとした村上と同じじゃないか!」と自分に律している河野君は相手からOKが貰えない限り手を出せない。)が当の村上はもはや「未練」(手離すのはもったいない程度の気持ち)しか感じておらず他の女(谷口さん)が「本命」になっているのだから、いい加減「傷つけられることを快感(マゾ)として楽しむ」愛の形は卒業して「村上の都合のいい女」を辞めて欲しいと切に願ってしまいました。最悪の人格をしている村上が他の女にいずれ愛想を尽かされるのは当然でも誰からもそっぽ向かれた寂しい時にしか彼に相手をして貰えない(都合のいい女は所詮、都合のいい女でしかない。)というのは遥ちゃんに対して失礼で彼女の気持ちが本物なだけに余計に悲しくなってしまったものでした…。

 余談…「片想いのままだとストーカー、後に犯罪者だが、その病的な思いが相手に歓迎されればストーカーこそ最高の恋人!」と佐野は言っていましたが、いくら「熱愛」されても隠し撮りをされまくった挙句に執拗な几帳面さで写真をファイルされ(自分をモデルに勝手な「作品」を作られ)許可もしていないのに個人データまで調べる(もはやプライバシーの侵害)その病的な思いが「歓迎」される事は現実にはほとんど無いだろうとツッコミを入れてしまったものでした…。

東京大学物語22~26

2009.05.30
 「どんな男でも100人の女性に声をかければ最低一人は最後までできる女の子にぶち当たる」という統計が出ている…そうですが100回も声をかければ否が応でも(ちゃんと学習していれば)話し方の技術は上がっているはずですし、それは数の問題でなく口が上手くなっただけなのでは?と話の中の「持論」にツッコミを入れてしまいました。風俗業へのスカウトは「1万人に断られて一人前」(ゼロが2つほど増えてますけど…。)だそうで「一人前になってからは成功率が上がる」事を考えてもやっぱり問題は数(確率論)ではなく本人の技術だよなと改めて思ってしまいました。

 村上直樹…村上「この仕事も器の大きな人間になる為の試練…そう考えて頑張ってるじゃないですか。」
北里「頑張って…これだけか!?なんて自分中心な男なんだ…!」

「向こうが自分を馬鹿にしなければ自分はこんな事をしなかったのに。」と(自分が思いやりの無い行動をしたのは棚にあげて)原因はいつも相手のせい、自分がわずかな努力をしている様ばかりを(人並みの成果さえあげられていない現実も忘れて)認められたがっている何様思考は相変わらず健在でした。結局いつも自分に言い訳をして真面目に相手に向き合う事を否定していて浅はかな考えで小手先の嘘でなんとかしようとしている彼の思考回路は本当によしみつさんに似ていると感心もしたものです。でも話にもあるように人間社会はそんな簡単で単純な受験の「マニュアル」のようにはいかない物です。「欲深な人間に与えてはいけない。情をかければかけるほどワガママが増長するだけで与える者が最後に恨まれる、その者には厳しく当たり自ら学ぶことを教えるべきである。」(古本屋→自宅前まで相手に来て貰う、イヤリングや首飾りを誕生日やクリスマスなどイベントごとに貰って自分は何のアクセサリーも贈らない、イラスト集→与えた直後に「次はミスティックアークだね!?」と欲求する、おかずをごちそうになったら「ご飯と一緒に食べたいんだけど!」と要求する…なるほど確かに「増長」していると、よしみつさんの今までの言動を振り返って思わず納得してしまいました。)という話の言葉通りに、もうこれからはそういう人間には厳しく接していこう(ダメ人間には情をかけても甘えることしか考えようとしない。)と再度、決意を新たにしてしまったものでした。「鈍くて相手の気持ちに気づけない」というのは「いつも自分の事しか考えていない」という事で、それは「いつも他人を下に見ている」(全然自分と同等(同じ位)に相手の事を考えていない)のと全く変わらない訳で、だからアンタは自分が下に見ても許してくれる人だけとしか付き合えないんだよ(自分を甘やかしてくれる小さな世界でしか生きておらず、またそこから出ようともしていない。)と改めてツッコミを入れてしまったものでした。

 レイコさん…「テストがいくらできても、いくら出世しても他人の気持ちが分からない奴はクズだよ。」

だったらそんなクズ男の魔手になどかからずに仕事上の付き合いだけと割り切ってほしかったのに(仕事仲間として好意を抱いても「心は許しても体は許さないから大丈夫~。」と軽く流した最初の頃のままでいて欲しかったのに…。)と3人共にツッコミを入れてしまいました。(唯一涼子さんは北里に命じられて村上を遥以外の女の虜にさせる為に魔手にかかる必然性があったけれども…他の2人はそんな必要なかったのに…ね。)電話で直接話せないのをいい事に「涼子が『さよなら。色々ゴメンなさい』って…。」「村上とは話したくないって。うん、うん。分かった。」と通話を終了する(「そんなこと言ってないわ!何が『分かった』って言うのよ!」by涼子。)頭の良さには感心したのに、その後「欲しいだけお金あげるし他の女の子と遊んでも良いから取りあえず抱いて!」という頭の悪過ぎる展開には微妙さしか感じずに共感できなかった女性でした。「体は許しても心は許さないかな、こんな奴。」と悪ぶっていて尻が軽くても男に媚びてはいない様(だけ)に好感が持てただけに3人共に相手をして貰う(全員了承の上で三つ股をかけられることを良しとする)という最悪な結末には微妙さしか感じずにげんなりしてしまったものでした。登場初期はまだ少しはカッコ良かったのにね…ゲフッ!

 吉野博彰…「退屈な真実よりもドラマチックな嘘…色あせた日常は幻を見せる事でのみ輝いてくるのだ…。」

と余命2年の男(それで入院の必要もないなんて何の病気ですか?)は「残りの命が短い可哀想な人間」(「最後」だからできる限りワガママを聞いてあげるべき人間)であることを利用して遥ちゃんの心をつかもうとしていますが「こうしてワガママ(添い寝まで)は聞くけれど、もし自分が吉野さんの立場だったら周りの人には正直に自分を出してほしいと思うから男としては受け入れない。」(「あたしが大人の男として抱き合いたいのは村上君1人だけだからあなたとそれはダメです。」)と今回の作戦も失敗して振られていました。(村上君をひきはがす事には成功したけどね。)話をして遥ちゃんの「見返りを求めない愛情」(ほとんどの人間の優しさは自分の欲しい見返りの為に発揮されており、しかも当の本人は自分だけは打算的ではないと思い込んでいる。けれど遥ちゃんは本気で他の人間だけを思いやっていた。)に改めて感動して惚れ直している彼ですが、そうやって遥ちゃんを本命にする以前の問題としてアンタには奥さんと子供がいるだろ!(思惑通りアンタとくっついた所で遥ちゃんは不幸になるだけだ!)とツッコミを入れてしまったものです。遥ちゃんの愛は「ただそこに村上君が存在しているだけでいい」という無償の愛ですが、この男の愛は遥ちゃんの心と体目当てで、しかも「本命」がいつつも他の女性達(妻子含む)と体良く付き合っている打算的な愛だよな~と、やはり応援はできなかったものでした。

 水野遥…「村上君はあたしの心の奥に突き刺さるんです。突き刺さって抜けないんです。こんな人、他にいません!」

「普通の人間は次の行動が予測できる(想像の範囲内)だけど村上君は自分の想像を超えた事をしてくる」から好きだと彼女は言いますが…それは村上が他に類を見ないダメ人間というだけで決して魅力ではないと思うのですが…ゲフッ!(むしろ吉野が言うように相手を過剰解釈した幻に恋をしてその幻想が裏切られる事で相手への想いが冷めていく一般的大多数の恋愛の形だったら(とっととこの異常な恋が終わってくれて)まだ救いようがあった…のに…。)プロポーズされながらも「紙切れなんかいらない。大事なのは2人の気持ちでしょ。」と入籍(法的権限を利用して縛るチャンス)も断ってひたすら村上を待ち続けている遥ちゃん。ですが当の村上君はそれ(吉野と浮気したと誤解して)以来同棲も解消して全く戻ってこなくなってしまい、そもそも気持ちも絆も大した事の無い村上君を信じることはいい加減諦めて他の人と幸せになってくれないものかと切に願ってしまったものでした。(それでもマゾの彼女はそんな「普通の幸せ」はただの「刺激の少ない退屈な状態」にしか過ぎないのでしょうか…?)山崎さんとの恋愛も経て自分は結局村上君しか見る事が出来ないと思い込み過ぎていませんかね、この人?

東京大学物語19~22

2009.05.29
 ドラえもんの人気の秘密はのび太がダメ人間でありダメ人間であっても好感が持てるように演出されている事だとこの作者が何かの本に書いていたそうです。だからこの話の主人公はどこまでもダメ人間なのかと納得する反面、好感が持てるようには演出されきっていないんじゃないか?(女として普通にこんな男には嫌悪感を持つと思うが…何故かメインヒロインには見捨てられない不思議さをも再現する事はないんじゃないか?)と疑問も持ってしまった、そんな話でもありました。予想していたよりは面白かったですけどね。

 村上直樹…村上「俺は普通の奴らのはるか上を行く人間なんだ。」
遥「村上君は人間として普通の人以下だよ。温室育ちの村上君の『当たり前』は周りから見て不条理なの。」

何か辛い事があるとすぐに他人のせいにして悪い結果は全て相手の責任にする、自分で考えることをしないでいつも他人の受け売りだけなのにプライドだけは高くて謝る事も出来ない…同じような偽善者(本人申告)のよしみつさんの生態の謎がここで解けた気がしました。とはいえ心にもない事でもスラスラと言えて相手を論理的に丸め込んだり(「村上君、詐欺師になったら?才能あるかも…。」by遥。)プライドを保持する為の「努力」はしてきた村上君(部活を辞めるまで高校サッカー部のエースで、1浪したとはいえ東大にも合格した。…その中でも真紀と妊娠騒動を起こしたり最低ぶりは健在だったが、あんなただれた生活を送りながらもちゃんと合格するだけのテスト勉強をしてきた事は凄いとは思う…尊敬はできないけれど。)の方はまだ認めるに値する人間だな(よしみつさんは間違った方向に進みながらもその価値観の中で優秀であろうとする努力はしていなかったので。同じ自己保身や利益の為に他人に嘘をつく人間でも何か頑張っている事や他の実力があれば少しは評価できたのにと改めて彼女を残念に思ってしまいました。)と今回少しだけ村上君を見直してしまったものです。人としては最低の部類に入るけれども、それでも物語の主人公を張れるだけの内面の深さはあるか(それは人として嫌な深さだが。)と見方を改めたものでした。

 水野遥…「山崎さんは最初から分かってたんだ。出会った時から私が山崎さんの姿に村上君の面影を見てた事を…。」

「つまり自分はずっと村上君だけを見てた」と納得した遥ちゃんでしたが、だったらオリジナルを前にしながら(「本当の想い人」の村上君に熱愛されながら)身代わりに過ぎない山崎さんにここまで揺らぐことは無かったはずではないのか(だから山崎さんを好きと言いながらも村上君とのセックス(未満)を歓んでしまっていたのか?)面影(自分好みの外見)が同じなら人として中身が上の山崎さんの方を選ぶべきではないのか(28にもなって定職にもついていないフリーターではありますがとりあえず家持ちで、なにより遥ちゃんのDQNな行動も笑って受け入れられるだけの器量の大きさがあります。←自分が変態だという所まで認めている人間だから遥かちゃんの変な所くらい軽く受け入れてくれる。)などなど色々考えてしまったものです。河野君、山崎さんと他にまだマシな男がいただけに1番のダメ人間である村上君と元のサヤに戻ってしまった事がかなり残念に思えた結末でした…ゲフッ!

 山崎守…「手錠を外したら、遥…俺は君とはサヨナラだ。」

遥ちゃんを手錠に繋いでまで危険な村上君と一緒に旅をさせた(村上君がどんな人間なのか、また遥はどんな人間なのかとことんまでお互いに見せ合わせた。)のは「もしかしたら村上を完全に断ち切って自分の元に来てくれるかもしれない」という一種の「賭け」だったとはいえ最初から2人はまだ互いに気持ちを残しており「新しい想い人」となった自分は彼らの関係への刺激(スパイス)以上でもそれ以下でもないという結末は見えていたのでしょうね…。それでも泣くほど本気で遥ちゃんを好きになってしまった彼がどうしようもなく哀れに思えて仕方ありませんでした…ゲフッ!(一応、最初にアプローチをかけてきたのは遥ちゃんの方だったのにね…ゴフッ!)「リアルな心を撮る」事にこだわりを持つのではなくさっさとモノにしてしまえば自分も彼女も幸せになれたのに(「見ないように見せないように努力しているけれど誰もが秘かに変態性を秘めている」…と分かっているのなら覆い隠して見せないようにしながら普通の人の振りをして幸せをつかめば良かったのでは…?)と変な所で純情さが抜けない彼に涙してしまいました…。そういう大人の狡さが無い所が彼の長所ではあるんですけどね…。(その長所が変態という短所一つで台無しになってはいるのですが…ガフッ!)

 吉野博彰…「撮影の為に借金をしようとしていた山崎は私の出したクルーザー、食糧、撮影資金、そして『村上がちゃんとした借用書にサインするシナリオ』を使ってくれた。」

長い旅に出た山崎さんがどこに行ってしまったのか(そもそも撮影の為に昔儲けた金を使い果たした彼に旅行費用はあるのか?)も気になる所ですが、民法167条(債権者が失踪して返す宛て(先)がなくなってもその債権を他の人間に譲渡してしまっていたら借金は消えない。)をうまく使って村上君を追い詰めている様はさすが弁護士だと感心したものでした。裁判になったら自分が今まで何をしてきた人間なのかも公になるというのは本当にある話で(離婚裁判でも子供が親について書いた作文から親について判断する事例がある。)結局最後に物を言うのは人間性なんだよね、と全ては自業自得からギリギリの状況に追い込まれた村上君にいい気味だと感じたものでした。(正直山崎さんは2人を極限の状況に追い込む割にはやり方がぬるかったので。)遥ちゃんがこの男にどうこうされるのはかなり嫌ですが村上君にはもっと痛い目を見て欲しい物です…ゲフッ!

東京大学物語⑭~⑱

2009.05.28
 典型的な東大君=学校の勉強だけできて運動神経ゼロ。大人しく親や先生の言うなりに素直に勉強してきたからテストの点数はいいが面白みや人間の深みが無い(「いい奴」ではあるのだろうがエネルギーが無いせいで女の子にはモテず「どうでもいい奴」で終わるタイプ。)という記述があり「なるほど今の草食系だ。」と変な納得もしてしまったものでした。実際問題、草食系男子は婚期も遅くなかなか思うような人生は歩めないようです…。

 山崎守…「人間の心は傷ついて成長するんだから相手の心を傷つけない為に無理に我慢する努力なんて無意味だ。」

「酷い事されても我慢して、怒りがたまって、悲しくて、腹が立って『今度会ったら言ってやろう。ムカついたこと全部言ってやろう。思ってること全部言ってやろう。』と思ってても相手の顔を見ると言えなくなってしまう。『こいつって悪い奴じゃないんだよね。』…なんて思っちゃってさ。」という彼のセリフには私もよしみつさんに散々ウソをつかれてその度に誤魔化されてきた経験があるだけに納得したものですがその「効果」は顔を見る機会が無ければ働かない物であり、いつまでも同じようにはいかない物だという実感も現在味わっている最中です。辛い時だけ山崎さんの善意に縋っている(利用している)南さんですが村上君が言うように「そりゃ余りに自分勝手で甘え過ぎ。」(仕方ないから相槌を打ってあげているけれど、そんな当たり前の事を辛いと言うアンタには誰もが内心呆れてるよ。←それをあの村上君に言われている辺りも終わっている。)とツッコミを入れてしまったものです。今まで「好き」だった相手でもその評価は一生は続きません。都合のいい時にばかり人を利用していると、いつも通り善意に縋ろうとしても最早相手には愛想を尽かされている事もあり得るという実例でした。

 桂木南…「守が可哀想…。せめて手錠で繋がっている間はもうこれ以上守を裏切らないで…。」

勝手な都合で守を捨てた(そのクセに新しい彼氏達と上手くいかないと甘えに来る)身勝手な元・彼女でも今まで散々優しくしてもらった分だけの「相手への思いやり」はわずかに残っていた様子です。なんだかんだ言いながらも村上君を突き放すことはできずに揺らぎまくっている遥ちゃんを目の当たりにしている守が痛々しくて(だったら盗撮してまで見るなよ…ゲフッ!)速攻で部屋に乱入して2人のセックスの邪魔をした彼女の行動には「お前、良い所もあるじゃないか。」(よくぞ邪魔をしてくれた。)と少しだけ見直したものです。が、過去に守を捨てたのは南さんの方であり今も色々な男と体よく付き合っている(守の良さに気付いたから…もとい失うのを惜しんでいるから執着しているだけで別に彼だけに「一途」になったわけでもなく、この人の甘えた性根は何も変わっていない。)彼女には守への愛を語る資格は既に無くもはや何をしても振り向いて貰えないのはアンタの自業自得だよとツッコミを入れてしまったものでした。

 吉野博彰…「中華料理も美味い。フランス料理やイタメシも美味い。だからと言って寿司を食うなと言われればそれもまた困る。」

いわゆる「おせちも良いけどカレーもね。」(古!)という典型的な浮気思考であり「それにしたって節操が無さ過ぎよ!」(全くです。)と由貴ちゃんにもツッコミを入れられていました。それでも「どれも同じだけ好き」だったらまだ平等ではあったのに(救いようは無いけれど)「一人しか選べないなら1番は誰?」(無人島に1人だけしか連れていけないなら誰が選ばれる?)と聞くと「水野遥」と答える辺り…開き直るのもいい加減にしろよとげんなりしてしまったものです。挙句に愛人(由貴)の前で遥ちゃんの良さを羅列する無神経さにはとうとう攻撃方法もパーからグーに変わってしまい「いいぞ!もっとやってしまえ!」と男前な由貴ちゃんを応援してしまったものでした。(不倫しながら他にもう一人愛人(好きな人)ができた場合、前愛人とはべつに別れる必要は無いとは言うけれど、だからと言って「相手」をどんどん増やすのはさすがに節操が無さ過ぎだろうと私も思ってしまいました。)ワガママな由貴ちゃんには「従順な相手は『退屈』で飽きているから」とそっけない態度で燃えさせ、寂しがり屋の南さんは思い出したような「優しさ」で繋ぎ止め、お人好しの遥ちゃんは「誰でもいい所を見つけてしまう君には好きな人が何人もいる『同じ気持ち』が分かるはずだ」と体よく騙くらかし、正義感の強い河野君には村上の悪事(強姦未遂)を教えて爆発するよう仕向け…人間心理をよく分かって色々な人間を体よく扱っている辺り本当に頭はいいのでしょうがそのうちに天罰が下ってしまえ女の敵めと安全な所から皆を見下ろしながらしゃあしゃあと我が道を好きに生きているこの男に嫌悪感を抱いてしまったものでした。

 村上直樹…「俺の目指してきた『上』は人としては『下』だった!?」

そう、その目指してきた「上」とは「成績優秀、スポーツ万能の東大文Ⅰ大学生で将来の大蔵官僚」という「条件」であって「人としての魅力」(性格の良さ)ではなかったのですから、全く磨いてこなかった性格が「下のレベル」なのは当たり前の話でしょうね。(「あまりにも哀れに感じるほどに人としては幼稚過ぎる」という同情ですね、これは…。同情というのが「相手より1段高い所から見下しながら哀れむ行為」である事からプライドの高い人間にはショックだったでしょうが…自業自得にしか見えないような…ゲフッ!)目指してきた物に問題があったのではなくこの人の考え方の問題(同じ東大生でも人気者の遥ちゃんや男らしい河野君、友達思いの由貴ちゃん…と色々な人がいる。)なので原因は目標には無いよとしみじみ思ってしまったものでした。別れたばかりの彼女(真紀)の事も忘れて遥ちゃんに迫っていますが「強姦しようとした人間を許すなんて本当は(普通は)出来ないだろ。」(「あの頃」に戻れないほど嫌われる行動をしてきたのだから当たり前だろ。)とツッコミを入れざるを得ず改めてこの男が嫌いになってしまったものでした…。(一応、主人公なのにね。)

東京大学物語⑦~⑭

2009.05.27
 ドラマ版しか見たことが無く映画版は未視聴ですがネットによると15禁でヒロイン役の人は前ばり有りというきわどい恰好で撮影に及んだ(つまり肝心な所は偽物で隠しているものの裸が出てくる)と知って見るのは辞めた作品です。同じ大学の文系で同じ授業を取っていてもも文科Ⅰ類(日本を動かす優秀な官僚を数多く輩出する東大「法学部」卒業生予定者。)と文科Ⅲ類(卒業しても就職に困る東大「文学部」卒業生予定者。)は違うという事も描かれており同じ教室の生徒なのに学力(勉強してきた必須科目)の違いで授業が成り立たないというのはこの辺にも原因があるんだろうなとよく調べられている事に感心もしたものでした。

 池野幡由貴…「どうして東大なの?つまんない仕事ばっかりの官僚になったり法匪の群れの中に入って日本を動かしている幻想に浸れても結局しょせん歯車にしか過ぎないよ…。」

お偉い官僚になっても、それは国民の下僕で愚かな大衆に仕える使用人に過ぎないという彼女の解釈には「さすが東大に入るだけあって頭いいわ、この人。」と利己的で性根が腐ってて意地が悪くて人間がクズで品性下劣で小心者で臆病で卑しい心の持ち主で悪人の村上君が追い詰められる様に爽快感を感じてしまいました。(オイ!)高校時代からそうでしたが村上君は周りから「スゴーイ」ともてはやされたいだけで「それじゃあ東大に受かったが最後、人生の目標を失っちゃうね。」(東大に受かってもその中では高校時代のように多少成績が良いだけで「特別扱い」はされない。大人になったら社会でやっていくのに必要なのはコミニケーション能力で記憶力の良さ(成績)だけでチヤホヤされてきた今まで通りにはいかなくなる。それは高校までの受験を前提にした「狭い社会」の中でしか通用しない価値観であり大学に入った後の受験が無くなった世代以降はモテなくなる。)という彼女の論理には成程と頷いてしまったものでした。この頃はまだ「日本の社会じゃ仕事ができなくても東大さえ出ていれば出世できる時代」だったんだなあ~(今は東大を出ても就職さえ困難な実力主義の時代です。)と懐かしみながら読んだものです…。

 水野遥…「ありがとう村上君。あなたが生きてそこにいることは、あたしが貰った1番の贈り物でした。」

彼女の中で「世界で1番君が好きだ。」という村上の言葉がそんなにも重い意味で受け取られていた(いじめを受けたり周りから否定ばかりされていた彼女が「生まれて初めて完全肯定して貰った」と解釈した。)とは思わず「そんな言葉、付き合い始めに勢いだけで言った中身の無いセリフじゃないか…。」(事実その時はそう言ったにも関わらずその後は「足手纏いだ。」と突き放し彼女の友達と浮気をした挙句に他の女と付き合い始め…「世界で1番好きな女」に対して非常に失礼な行動を連発している。)とツッコミを入れてしまいました。吹雪の中(東大の前期入試を放って)助けに来るもその場で自分が倒れている(助けるつもりが逆に助けられる立場になって却って苦労をかけている。)様には立場が逆だろ!とツッコミを入れざるを得ず(守られているのはむしろ村上君の方。)こんな男はもう忘れてしまえと切に願ってしまいました。

 小泉真紀…「頭の中で作った格好いい自分に酔って涙なんか流して『愛』だとか言うな!もっと現実を見ろ!弱虫!」

そう言った直後すら「現実」の真紀の痛みを考えずに「俺の子を殺さないでくれよ。」と自分の事しか考えていない村上君。(そりゃ殴られますって。)今までだって遥ちゃんとの間で揺れ動きながら傷つけられてきたのにニュースキャスターになる夢さえも潰されてもっと村上の為に犠牲になれというのは確かに酷な願いでしょうね。(別れたのは妊娠が原因でなく「村上が自分のことしか頭にない男」だと分かったから。)子供ができたら殺すのが可哀想だから産むべきという「定説」はありますが、子供を産んでこんな男の為に夢も人生も犠牲にしてどうするという点においては真紀の中絶するという選択にも納得は出来たものでした。(なにぶん相手があの村上なので。)「産んでほしい」と言っている村上も胎児とはいえ殺人に加担する(「命を殺す」罪悪感をしょいこむ)のが嫌なだけで全く現実が見えていないし(そもそも妊娠→出産→子育ての全てを今まで通り大学に通って親にも隠しながら誰にもバレずに行うという将来設計そのものに無理がある。子育てはそんな簡単なものではない。)生理が来た(もしかしたら自然流産かもしれないが、ともかく「自分の子供」はいなくなった)事に大喜びしている辺り結局この男は「重い責任を負う」事が嫌だっただけで本心から相手を大切にしようとは考えていない事も分かり真紀が幻滅するのにも遥から奪い取ってまで付き合ったのにお別れの選択を選ばれた事にも納得したものでした。こんな男、別れて正解です。

 村上直樹…先輩「お前、自分がミスしても1度も謝らないよな。すっげー偉ぶってるぜ。一人前にできないくせに。」

村上本人(だけ)は「偉そうにもしてないし皆を馬鹿になんかしていない」と思っているのですが、それは頭の中でただ思っているだけで「結局皆の為に何の行動もしていないじゃないか。」(謝罪の一言すら無いじゃないか。)と客観的に冷静なツッコミを入れられていました。(この辺りはよしみつさんと思考パターンが同じだな。悪気さえ無かったら自分が無神経な言動をしても許されるべきで、それを悪く評価する周りが悪いと思ってるよ、この人…。)真紀の事に関しても「現実を見ろ!」(もっと現実の周りの人間の気持ちを考えろ!)と怒られた矢先に他の女とヨリを戻しに行っているし(その行為の中身が強姦行為だった事を忘れても彼の子供まで身籠った「彼女」の真紀に対して物凄く失礼。)結局この男は女性に「母親のように甘えさせて貰う事」を求めているだけ(だから自分を「完全肯定してくれる」真紀を選び、「いつでも自分を包んでくれる」遥ちゃんを選んでいる。)で自分の事しか頭にないんだなと改めて真紀の言葉に納得したものでした。そんな人間だから周りから人が離れていくんですよ、村上君。

「超」怖い話K(カッパ)

2009.05.26
 「超」怖い話シリーズ10冊目にして丸々平山夢明先生著というファンには狂喜したくなる1冊です。先生曰く、元々誰にでも書けると思っていた実録恐怖譚(そんな事は無い。数多の怪談本を読んできた私だから分かるが実話で有ろうと無かろうと、それを効果的に伝える「文章力」はやっぱり必要で、書くのが下手な人のは盛り上がらない。)だけど「ビーケワン怪談賞」「幽怪談文学賞」と怪談周りのあれやこれやが百花繚乱し、精栄や俊英がどしどし産まれてくる昨今、それらと互していかなければデリートの憂き目に遭う(「全く何てジャンルなんだ。10年以上やっているのにちっとも楽をさせてくれない。本当に町場の喧嘩です。」by作者)ので「振り出しに戻った気持ち」でつまらない話にも手を出さず「質」を意識して書いたそうです…。

 実験…チカ「これは実験なの。幽霊がいるならチカは世界一の有名人にして下さいって頼もうと思っている。つまり科学で証明できない不思議な存在を利用したいの。科学をも超越する存在なら私の願いも叶えられるはずだもの。」

そう言って近所の洋館で首吊り自殺をした老女を警察に通報する事もせず(「警察に言ったって生き返らないわよ!」byチカ)毎日不法侵入を繰り返しながら腐乱死体に祈りを捧げていたチカにこそ恐怖を感じたものでした。(どう考えても中学生女子のやる事ではない。「子供は善悪の判断がつかない」という問題を軽く凌駕している。)幽霊が出た事で全てを自白して警察に大目玉を食らいながらも一ヶ月間毎日墓掃除を行った奈良橋さん(今でも盆には墓参りを欠かさない。)に対して、チカの方は警察に何を言われても頑として認めようとしなかった。(そして「証拠が無い」以上は警察もそれ以上踏み込む事は出来ず、罪にはならなかった。)けれど、霊感のある母親に言わせれば「このままじゃ、あの子は死ぬまで運に見放される。」そうで、取りあえず「有名人になりたい」という彼女の夢は奇しくも当の「科学をも超越する存在」によって永遠に叶わなくなったんだなと納得がいった話でした。

 三日…飯干「お姉ちゃん、手をかざせば三日間だけとはいえペットの金魚や猫を生き返らせる事が出来たじゃない。お婆ちゃんが死んだんだよ。悲しくないの?」
姉「悲しいけど、それとこれとは別だよ。人になんかできないよ。」
飯干「バカだね。この時の為に神様はその力をくれたんじゃんか。出来ることを全部してから諦めればいいじゃん。」
死神「仕事の邪魔をするなら、代わりになれ。」

祖母の死体に手をかざして「力」を使い始めたとたん葬祭場が停電し、物凄く冷たい手に引っ張られた(「かざしていた手をいきなり掴まれて『抜けた』の。体はちゃんと椅子に座っているのに脱皮するみたいに中身そのものがズルッと外に出た感じ。分かりやすく言えば『魂を抜かれた』みたいだったわ。」by姉。)事から力を使うのを辞めたのか、本当に力が無くなったのかは不明ですが、ともあれ姉は高校を卒業してからは生き物を生き返らせる事ができなくなり、現在はただの主婦をやっているそうです。しかし、もし本当に生き返らせる事が出来た所で体中の穴に詰め物をされて死後硬直も始まっているであろう体を蘇らせたら、それはそれで大変なことになるでしょうし(むしろ「看取ったその時」に力を使うべきであり「今となっては手遅れ」という時系列に変わりはない気がする。)生き返らせた所で持つのは三日だけなのだから、あまり意味は無い気がするのですが…。

 ネット予約…山本「通常は6万円の部屋がキャンペーン期間中だけ朝夕付きで1万8千円だったんです。」
友達「最近は事故が有った部屋に敢えて人を泊まらせる事で『浄化』しようとする傾向があるらしいんですよね。安くても空けているよりはマシだという事もあるそうなんですけど…。」

ネットで検索していたら偶然にも超安い宿泊先を見つけてしまった、ラッキー…ではなく、温泉街の中でも老舗中の老舗で、かつては文豪も愛用していたのが売りの名店で(今更、客に媚びる必要も無く常連がいるであろう歴史ある宿で)何で「普通だったら絶対にそんな価格じゃ泊まれない値段」で部屋を提供しているのか、もう少し考えてみるべきでしたね。(生きた人間の話でも「○○在住の方のみキャンペーン期間中だけ安く割引きします!」と有ったので住所を提示した所、家に帰ったら泥棒に入られていたという話を聞いたしね…。←いや、話がおかしいと気づけよ!)案の定、泊まった1日目から天井から血を流す女の霊に遭遇し「やっぱり安い訳だよね。」と納得していた山本さん達でしたが、当の霊が地縛霊でなくてたまたま気に入った客について行ってしまったら(旅館としては万々歳でしょうが。)と考えると怖い話で、危ない所だったなと感じたものでした。

 こつこつ、ずるずる…早樹「細長の和紙でできた手のひらサイズの紙人形?今度はどの子の嫌がらせ!?」

銀座のホステスをしている職業柄、色々な嫌がらせが形を変えてやってくるので、こうした事は初めてではなかった…というより心当たりが有り過ぎて逆に犯人が分からなかった(不景気になってからホステスの上客の取り合いは熾烈を極めた。「ケーキ」の数は決まっているのだから自分の手に無ければ他人の手にあるものを取り上げなければ飢えてしまう。そして「奪い取らない」ことはすなわち「銀座からの撤退」を意味していた。)お客様には住所を教えないし、自分の家(の玄関)を知っているのはママと数人だけだから少なくとも自分の顔見知りの仕業には違いないけれど、どの子が裏切ったか分からない…という様には溜め息しか出なかった話です。(なるほど、よしみつさんと▲▲さんのように「知り合いの中から絞り込める」ほど、あからさまな手とバレバレの演技の元で同じパターンの嫌がらせを繰り返すのは「頭悪過ぎるレアケース」でもあったんだな。)こういう仕事ってギャラが良い分、大変な目にも遭うんだな(ストーカーでも霊現象か…。)と別の所で同情もした内容でした…。

 性根…下園「僕、ドーベルマンが欲しい!」
親「お金うんぬんよりも世話ができないだろ。もう今、一匹あんな大きいスピッツがいるのに。」
下園「そうか。なら、この犬がいなくなりゃ良いんだ。」

相手は生き物なんだから世話もできないのに飼ってはいけない…という話だったのに↑のように勘違いして、散歩に連れて行っては車にはねられやすいように車道を歩かせ、ニラやネギ、チョコなど犬に食べさせてはいけないものをご飯に混ぜ、果ては近所の貯水池に投げ込んで溺死させた経緯には、通りがかりの仁王様も思わず罰を当ててしまうほどフォローの仕様が無かった様子です。(「産まれたばかりの時には誰しも、まぎれもなくまっすぐな物なのだが…。」「ここまでが限度。ここからは本人の精進。」と「曲がった性根」を伸ばしてくれたが、わずかに神妙な気持ちになったのも束の間、また欲に突き動かされて犬をいじめ始めた。)原因不明の首から下の全身麻痺という状態で6年(!)も過ごして初めて自分の不遜に気づいて後悔したという様には、こういう人間って本当に、自分が「痛い目」に遭わない限り反省もしないんだなと改めて実感したものです…。

 布団…忍田「位牌は女子寮を造る際に出てきた物で、捨てる訳にもいかず、苦肉の策として開かずの間の天井裏に隠すように集めていたんだそうです。」

女子寮は昔、処刑場だった(おかげで土地代が安かったんです。)…という話はよく聞きますが、それならそれで供養ぐらいはきちんとしようよ(「開かずの間」にしたって釘で扉を打ちつけるだけじゃなく、南京錠をいくつもつけるとか、いっそコンクリートで壁に改築してしまうとか、色々やりようが有ったでしょうに。釘抜きを使わずともフォークで釘頭を引っかけると面白いように抜けてしまう作りでは「開かずの間」どころか「全開の間」になり果ててますよ。)と思わずツッコミを入れてしまったものでした。おかげでふざけたバカ女子の罰ゲームに使われて、心霊現象で済むどころか、うち2人は意識がハッキリしないまま両親に引き取られていったという経緯には、警備員による見回りを1時間毎にするとか、もっと「ヤバイ物を手中に隠している」なりの対応をきちんと行っていくべきだったな、と学校側の緩い仕組みにも溜め息が出てしまった話でした…。(これでイメージダウンは確実だな、経営陣…。)

 残滅…ユタ「これは誰にも祓えない。祓うには死人が多すぎるし、こんな呪いは見た事が無い。これをかけた人は自分の命を捨てて神罰を自分の呪いに利用してる。『神罰』なら呪いと違って、どんな巫女や霊能者も祓う事はできないから。」
宮チュー「高校の時に自殺した大森の母親は元々古い神官の血筋でね。娘がいじめで殺されたって知った時から、それに関わった人間を呪殺することに決めたのよ。でも、いじめっ子の親戚に霊能者がいて、その人が移植する方法を教えたの。呪いは凄く強くて祓えない。だったら他人に移すことで難を逃れるしかないって…2度でも3度でも完全に消えたって確信できるまでは色んな奴にやるの。私は今でも剣道部の原田君を横から盗んでいったアンタが憎いの。だからやったのよ。」
木暮「とっくの昔に他の男と結婚して子供までいるのに、くだらない理由でこんな事をするのね!」
宮チュー「いいのよ、くだらなくて。移すには最低でも『本気で憎い』と思う相手でないとダメなんだから!」

以来、木暮さんはたて続けに3人の男と関係して難を逃れた(「皆、昔付き合ったことのある人で、堕ろさせられたり、お金を騙し取ったり、殴ったりした人。」by木暮。呪いを移すには自分の血で相手の首筋に大森の名前(いみり)を書かなくてはいけない(吸い込まれるように消えたら移った証拠。)事を考えると「情事の後」なんて相手が首筋丸出し(ていうか全裸)で惰眠を貪っている時間という絶好の機会だった事だろう。)そうで何年も連絡していなかった昔の知り合いが突然親しげに訪ねてきたら、それは何か裏があると疑った方が良い様子です。(連絡を取り合わなくなった時点で、その人はもう「友達」ではない。「会いたい」のは人を利用して何がしかの利益を得たいからで、騙して捨てても何の罪悪感も感じない相手だからこそ自分が選ばれたというのが、悲しいながら事の真相である。)ホイホイと釣られるままにホテルまで行った男は3人共バカだったな、とも実感した話でもありました…。

「超」怖い話Z(ゼータ)

2009.05.25
 「超」怖い話シリーズ6作目です。「毎度毎度、締め切りボーダーラインの上の攻防と語っていたが今回は本当のボーダーラインもフェイルセイフも遙かに突破して臨死状態での発刊となる模様…」と書かれていた割には執筆分は共同著者の加藤一先生の倍近くあり、しっかり仕事してるじゃないですか、先生(むしろ他の人の2倍近く!)と思わず語りかけてしまったものです。この本では砂漠に埋もれかけている蝶の絵で(死んでますがな。)次のHでは燃えながら森を飛ぶ蝶の絵で(死ぬって!)東京伝説シリーズが女の子の絵だったのに対してこのシリーズの表紙は蝶の絵シリーズなんだな、と納得もした心霊物シリーズでした。

 忠告…沖田「30を過ぎると大体、自分が見えてきて…訳も無く死にたくなる時期でもあるんだよね。やりたい事、やれない事、そいつを考えれば、いつだって引き算なんだ。金も才能も何もかも自分には無い物ばかりで引き算人生。嫌にもなるよね。」

だから今になってから本を出した神戸連続殺人事件の少年Aといい、いい歳をしたオバサンになって就職活動もせずに無言電話に走っている、よしみつさんといい、30歳を過ぎてから異様な行動を取る人間が多いのか(いっそ、沖田さんのように「他人に迷惑をかけずに死ぬ」方向に走ってくれる方が、まだ救いようがあるのだが。)と納得してしまった説でした。首を吊った後、頭の中に話しかけてきた声に説得されて「生きる」事を選んだとたん、地面に投げ出された沖田さん(「ロープが切れたんですか?」「いや、持ち上げられて外れたみたい。家に帰ると両脇に掴まれた痣が残っていたんだ。」by沖田)文字通り「死ぬほど苦しんだ」事もあって現在では「あの苦しみに比べれば!」と小さな店も持って頑張っていらっしゃる様子です。

 T.S…友美「席を変えて貰ったら具合悪かったのが嘘みたいに元気になっちゃったんで恥ずかしかったわ。」
友人「当然よ。あれT.S(タブー・シート)だもの。あのシートの裏に成田山の御札が貼ってあったでしょう。事故死や病死した人が乗っていた席で極力、客は乗せないようにしてるんだけど、ゴールデン・ウィークじゃね。」

以来、友美さんは飛行機に乗ると真っ先に座席の下を確認するようになったそうです。(「あれから2回ぐらい見つけて席を換えて貰いました。結構あるんですよね。」by友美)離陸して2時間後から寒気が止まらず、体調不良を訴えていたのにスチュワーデスの態度がどこか変だった(「普通だったら病気を疑ったり薬を持ってこようとするでしょうに、どこか諦めているというか、仕方ないという投げやりな感じなんです。」by友美)辺り、教えてくれた友人以外のスチュワーデス全員がグルになって黙認していた(そのくせ料金は他の客と同じだけ取っていた。)事も窺い知れ「…。」と思ってしまった話でした。詐欺事件でもよく言われていますが本当に怖いのは手口を「知らない」ということだって本当なんですね…。

 忌外し…市太郎「忌み物(やると祟りや障りが起きると言われている演じ物。)をしたいけれど、とてもじゃないが縁のある神社へお参り出来ない。そんな時の知恵が『忌外し』なんです。四谷怪談ならお岩様、累が淵(かさねがぶち)ならお累様、牡丹灯籠ならお露様、と『主人公』の台詞を稽古時だけ逆様にするんです。もちろん初日の前には近くの神社にしっかり参詣しますがね。」

ところがいくらドサ周り(土砂降りになると芝居を辞めなければならないような「粗末な小屋で演じる芝居」とも「土間座席で見るような芝居」とも言われている。南は九州、北は北海道まで足を伸ばす大衆演劇一座の巡業のこと。)の芝居といえど「お怨み申しますえ」→「えすましうもみらうお」と単純に逆言葉でいうだけではダメで、口立てが基本の大衆演劇では同じ言葉でも「いぇすぅまし、うぉもみなうお」と微妙な抑揚や細かな所まで再現できなくては流れとリズムを重要視するドサの稽古にはならず、厳密には「忌外し」ができたとは言えないような状況の中、初日を迎えた結果、ラストでは場内を圧倒するような読経が始まり、仇の男は怨霊となった主人公に凄まじいまでの殺伐とした雰囲気の中で討たれた…そうです。(「いやあ、迫力だったねぇ。あの読経、いきなりでビックリしたけど誰のアイデア?」「誰もやっちゃいないです…。第一、小屋のスピーカーではあんな座席が揺れるような凄い音は出せないです。」by一座)そんな訳でこの一座、翌日からは普通の人情芝居に演目を換えたとの事でした。

 願解き…後藤「会社員をしていた時、ある政党から引き抜きがあってね。乗り気になったら、僕が前に勤めた議員さん(現在は大臣)が『絶対に後藤はやらん!』って横槍を入れたんだ。じゃあ会社員のままでいようとしたら、今度はまだ辞めてもいないのに『大臣に楯突く奴は怖いから戻って来てくれるな』って今の社長に言われて…3人も子供がいるのに、どうしてこんな事に。」
霊能者「願が解けてないわ。あなたのお祖母さん、あなたが生まれる時に『健康な子が生まれますように』って、お百度に近い参り方をしてる。それで『叶えてやったのに礼が無い』って神社の眷属が怒ってます。コップ酒で良いので、お供えしてお礼をしっかり言ってきて下さいな。」

そっか、お参りしたんだからそれで良しじゃなくて、願いが叶ったら「お礼」を言わなきゃいけないのか(所謂「お礼参り」という奴ね。それにしたって、その子が40を過ぎた年齢になってから、本人がした願かけでもないのに「礼はどうした!?」と執念深く呪いをかけるなんて、ギリシャ神話の神様みたいに人間臭い眷属さんだな。)と辻褄が合っている事に納得した話でした。↑のようにした所、翌週(早!)になると元・上司であり現・大臣である議員さんとの間を取りなしてくれる人物が現れ、彼は無事に秘書としてスタート(再就職)を切ることができた事情(本当に、超タイミング良く現れた取りなした人物だけの手柄なのか、憑き物が落ちたように怒りを収めた現・大臣の心境の変化なのか、何にせよ、このタイミングの良さは出来過ぎている。)を見るに、得心したと共に、無闇やたらと願かけするのも考えものだな、と感じた話でした…。

 血の丸…司「地獄チョークはね、自分の血でチョークを赤く漬けるのよ。そして呪いたい相手の所に印を付ければ良いんだって。そうすると色々な悪いモノがその家に集まって災いを起こすらしいのね。」
平山「でも、そんなチョークが染まるぐらいの血を出すのが大変じゃない。そこまでしてやる子はいないんじゃないの?」
司「…あたし、やったの。」

飼っていた犬を暴走族の青年に轢き殺されたのが悔しかったから…という理由で3か月がかりで水筒に血を貯め(ブタの血でも無かろうに、献血で使う血が固まらない薬も使わずに、よく「血を貯める」事ができたな。そんな物を皆で使う冷蔵庫に保存して3ヶ月も気がつかない親も凄いけれど。)4本作ったチョークのうちの3本を使って大きな血の丸を青年の家に描いたそうです。(「すぐにボロボロに崩れちゃって、3本使わないと円が完成しなかったの。」by司)すると本当に彼はトラックと正面衝突して死んでしまい、家族も引っ越し(一家離散かい!)家は売りに出された…が、血の丸を消したその夜から本人も一ヶ月間、昏睡する羽目になった様には、呪いは、かける方も気力と体力を使う物だ(ここまでの効果が出るほど抜群の成果を上げてはな…。)という説をまざまざと思い出したものでした。「人を呪わば穴二つ」という言葉にある通り、呪いなんてかけない方が正解のようです。

 裏鏡…叔母「念を込めた鏡を壁の中に封印し壁を通して映った相手を呪殺するんだよ。怖いよ、これは。見つかり難いしね。」
田島「聞いたら、その部屋からは数人の自殺者が出ていたんです。ところが皆、部屋の中じゃなくて外(ベランダの下)で死んでるから教える義務は無いって、敷金の返金はおろか壁の修繕費まで払わされたんです。」

おそらく呪いをかけた人間は最初の犠牲者(目的の人物)が死んだのを良い事に、後は野となれ山となれと裏鏡をそのまま放置したのか、最初から無差別殺人を狙って壁に埋め込んでいたのか(後者だったら嫌過ぎる。)のどちらかでしょうが、どっちにしろ何の関係も無いのに殺されかけた田島さんとしては迷惑な話だったろうな、と身近に「感じる人」がいた為に難を逃れた彼女(「ゴメンね、こんな時間に。アンタが危ないから今、絶対に電話しろってお婆ちゃんが凄くて…。」「おかげでビックリしてベランダからダイブする所が、部屋の内側に滑り落ちたよ。私、どうしちゃったんだか…!」by田島一家)の運の良さに拍手したものでした。やっぱり女の一人暮らしは色々と危ないな(心霊的な意味でも。)と実感した話です。

 方法とその効果について…上司妻「家内ですけど今日もお休み頂きたいので…。」
山上「目に見えて呪いの効果がハッキリ出てるんだから、効いてるのが嬉しくてなあ。思わず笑みが漏れたよ。オフィスに誰もいなくて良かった。多分、その時の俺って危ない人に見えたかもしれん。」

段ボールの梱包で上司の頭に「うっかり」とガムテープを貼り付けて(髪の毛を手に入れた。)百円ショップの紙粘土で髪を入れた人型を作り、筆ペンでフルネームと生年月日を書き、夜中の2時(!)にわざわざ墓場まで出かけて古い墓に埋めた…だけでは飽き足らずに自分の血をたらしてまで顔を描き、その後三日スパンで掘り起こしては手足を砕いたり、脳天から針金をねじ込んだりして上司が苦しむ様を喜ぶ様子(カッターで指を切る、画鋲を踏む、急に四十肩になる、に始まり針金を貫通した翌日からは病欠が続いた。普通はそこで気が済みそうなものだが…。)は、もう「危ない人に見えるかも」(推定形)じゃなくて、もはや「充分危ない人」(断定形)だろう、と作者共々ツッコミを入れてしまいました。(自覚はあるらしい、が…。)結果、最後には倒れてきた墓石の下敷きになって自分も大怪我をした彼。(「自分の血」で顔を描いちゃなあ…。)それでも「この程度の供物で呪いが完成するなら安いもんさ。」と笑う彼にこそ恐怖を感じてしまった話でした…。(「イカレてるね。」byうちの弟。やっぱり聞いた人全員がそう思うよな…。)

学園七不思議

2009.05.24
 絵柄が少女漫画風…!?(特に脇役キャラ)と絵の変化に驚くと同時に、つのだじろう先生が元々はりぼん→なかよしと少女漫画雑誌の連載経験を経てから少年誌に移行した漫画家だという事を改めて実感した本でもありました。(でもやっぱりタイトルといい話の内容はホラー系なのね。)この本も「恐怖新聞」同様テレビアニメ化されたそうで、人気のほどが伺える1冊です。

 第1話・君の名は…?…母「あさ子は朝早く来て美術室に花を飾ったり、良い成績を取るように頑張ったり、一年間も尽くしたのに、杉田先生に言われた言葉が…」
杉田「君の名は…?」
母「あんなに一生懸命愛してきたのに杉田先生は自分の名前すら覚えてくれないんだって悲観したあさ子は飛び降り自殺しちゃったのよ。」

1人で勝手に思いを募らせて、勝手に悲観して、勝手に自殺した女生徒の方にも問題が有れば(そもそも学校は恋愛する場所じゃなくて勉強をする所だ。)自分の制作に夢中で教え子の名前すら覚えていない先生の方にも問題があったな(挙句に交通事故で頭を打って死んだ事が原因で、化けて出ながらも全てを忘れていましたって…。)と微妙に思えた第一の怪談でした。幽霊となった後やっぱりあさ子さんの事は忘れていて記憶を失いながらも絵だけは描いていた辺り、この先生にとって大切だったのはやはり自分の作品だけだったのだろうと実感してしまった話です…。

 第2話・給食の栄養…父「何だ。給食に髪の毛が入っていた位で…食べたって死にやせん!世の中にはもっと恐ろしい食べ物が平然と出回っているのかもしれないんだぞ!」

そして髪の毛程度を気にしている娘に、奇形魚が出る養殖ハマチの話(魚を囲う網に貝や海藻がつかないように有害な薬を使っている。)やアメリカ産オレンジに使用されている防腐剤(毒性が強いからと使用禁止になっているのに日本ではその薬を使っていない物は輸入しないという規則がある。)大量に漂白剤を使用しているレンコン、ゴボウ、もやし(業者自身は「自分ではそんな野菜、気味が悪くて絶対に食べない!」と言っているのが本音。)一番酷いシソの葉(虫がつきやすいので強力な薬剤を使い、しかも洗い落とさないまま市場に出ている物まである。)の話なんかしたら、余計に食欲が失せるだろうな…と一気に拒食症が悪化した展開に納得してしまったものでした。医者曰く「霊が見えるのは一種の幻覚」(よくあること)だそうで、これは本当に原因が心霊現象なのか、神経質になり過ぎているだけなのかは疑わしい所だなと思ってしまった話でした…。

 第3話・黒板に何かが!?…増尾「私が悪いんじゃないわ!私だって毎日、毎朝お母さんに勉強、勉強っていじめられて、そのイライラであなたに当たったのかも…!」
桐生「そう…あなたのせいじゃない、と言うのね。自分の母親のせいだ、と。だったら母親も同罪だわね!」

なるほど、それはその通りだ。と、実行犯である自分のせいではなく、自分にイライラを与えた母親こそが諸悪の根源だ(だから自分は悪くない。)と責任を母親になすりつけた娘に出した結論に頷いてしまったものでした。娘をそんな人間に育てた母親にも責任は有るが(大体、娘が影でそんな事をして人1人死なせた事を気づいていないのに親として問題がある。最も匿名一家のように全てを知りながら娘に加担して素知らぬフリを始める親よりはまだマシだが。)それはそれとして「娘本人」が1人の人間をいじめ殺した事実には変わりはない。他の人間のせいだと言うのなら、その人間にも同じ罰を与えるだけで責任逃れは許さないという桐生さんの結論に拍手してしまった話でした。

 第4話・花ことばの怪…花輪みどり「もしチューリップ(恋の宣言、魅惑)とパンジー(私の事を考えて)とバラ(美、愛、恋)の花束を貰ったら『貴女は美しい女神だ。愛しています。僕の事を考えて下さい』か…ムフッ。」
園芸部員「あ~、無理無理。アンタが貰えるのは金魚草(でしゃばり、欲張り)とザクロ(バカ)と石竹(嫌い)の花束ね。」
花輪「つまり『アンタなんか、でしゃばりでバカだから嫌い』…って、こんにゃろ~!許さーん!」

「花は桜木、人は武士」(桜は美しく咲いてパッと散る。昔はそれを武士の潔さに例えた。)というように日本にも「花言葉」と言えるものはあったけれど、現代日本に伝わる「花言葉」はほとんど西洋文化の受け売りで中世ヨーロッパで騎士達が無言で自分の心を好きな女性に伝える風習から来ているという説明に、だから欧米諸国の男達は愛を告げる際にバラの花束(「あなたは美しい、恋しい人です。愛しています。」)を贈るのねと納得したものでした。(実際、現代でも愛の告白の際にいちいち相手を呼び出して「好きです!」と言うのは日本だけで、欧米諸国は「何でわざわざ言うの?」と小首を傾げているのだとか。←その代わり欧米諸国は普段からの「愛情表現」を欠かさないから「言わなくても分かる」が成り立っている面もあるそうですが。)話では花の妖精にとり殺されてしまった花壇荒らしの犯人ですが、同じ人間でも他人の厄介事は知らんふりを決め込むのに、花だけがそこまで他人に義理固い訳も無く、こんな「事故」は著者自身見た事も聞いた事も無い(自分で言っちゃいますか、つのだ先生!)というフィクション満載のストーリーでした。

 第五話・地底からの声…母子霊「二人の人間が私達の運命に引き込まれてくれたおかげで、私達は永い地縛から解かれ『あちらの世界』に行けることになりました。ありがとう!」

自殺・事故死などで「地縛霊」になってしまった霊は他の人間を自分と同じ事故に引きずり込まないと霊界へは行けない…けれど犠牲者を出してまで行けるようになる場所はもちろん「地獄」だというオチにはもう溜め息しか出ませんでした。(空襲による死者でも死因は爆撃で通気口が塞がれての「酸欠による窒息死」だから「再現」はしやすかったんでしょうけどね…。)あの母子はあちらの世界についた所で、ただ移動ができないだけの今までより余計に苦しむ羽目になった様に今頃後悔しているんだろうなあ、と色々考えてしまった、そんな話でした…。

 第六話・一番奥の扉…佐和山先生「霊能者は神様ではありませんからね。どんな霊魂にも必ず勝つというわけではありません。悪霊が強ければ霊能者が負けて憑依されてしまう事も、時には命を落とす事だってあるんですよ。」

まあ、新聞の折り込み広告に宣伝を入れているような霊能力者じゃたかが知れてるわな(「特別霊障相談室!霊魂の事、悩みごと、何でも直々に相談を受け付けます!」ってどんだけ軽いノリで霊能者やってるんだ、この人は…と思わず吹いてしまったものです。一応霊の正体を暴いた辺り「視る力」は本物だったらしいですが、多くの霊感のある人達と同様に「見えること」と「徐霊できること」とは別物なんですよね…。)と「負けた」理由は納得できたものでした。最後の「私にとり憑いたんですよ!」というお約束オチには終わり方を予測しながらも頷いてしまったラストでした…。

 第七話・狐火…祖母「狐が人間の骨を咥えて走ると、骨の中のリンと狐の吐く息が混ざって火が燃えるそうな。狐の嫁入りの時には狐火が行列して見える…わしらはそう教えられて育ったんじゃ。」

それで火の玉を狐火っていうのね…と、また一つ日本の怪奇現象の由来が分かった話でした。ちなみに早稲田大学理学博士・大槻義彦教授の著作「火の玉の謎」(多分「地獄先生ぬ~べ~」に出てくるプラズマ男・大槻先生はこの著者から取ったのだろう。)によると最も有力な説は、郵便受けなどに使う小さい蛍光灯を水を少し張った小鉢に入れて電子レンジにかけると光る雷放電(プラズマ)説だそうで、蛍光灯が光を放つ原理(プラズマの発生)と同じ=火の玉はただの蛍光灯の親戚だという説明にすっかり緊張感を失くしてしまった生徒達。火の玉が物理的に説明できる現象でも、それで集団催眠や精神錯乱は解決できないのだから下手に異常現象に近づかない方が良いのに…と思わずツッコミを入れてしまった話でした。

<青嵐学園編>
恐怖新聞といい、PSI霊査室といい、この作者が描く心霊シリーズ物の主人公(またはヒロイン)は必ず最期に死ぬ羽目になる運命なのか(元々「七不思議を全部知ってしまうと死ぬ」という俗説はあるから、ある意味「正しい展開」なのかもしれないけれど…。)各話のストーリーテラーとして全話に登場していた主人公が最終話で幽霊に憑りつかれたまま車に撥ねられて死んでしまった様には登場回数の多いおかげで慣れ…もとい好感を持っていただけに残念に思えた終わり方でした。あるいは彼女を生かしておいたが最後、連載が続いてしまうので「七不思議」のはずが八話以上になってしまうという配慮だったのかもしれませんが…。

 その1・13非常階段…月影明子「一滴の水も集まれば大洪水となり頑丈なダムをも破壊するエネルギーを持つ。火も集まれば熱を発し大噴火と共に街をも埋めてしまう。大地は移動しそのエネルギーで大地震を起こし、目に見えない小さな細菌が伝染病を起こす…。」

そうやって「塵も積もれば山となる」…のなら「あの13階段は不吉だ!」という皆の思いも積もり積もれば魔界の者を呼び寄せてしまうほどに効果を発揮してしまう事だろう(そういえば「学校の怪談」でよくモナリザの絵が不吉だと言われているのも、嘲笑を浮かべている彼女に不快感を感じる皆の念が絵の中の彼女を「イメージ通り」に動かしているという解釈の話が「地獄先生ぬ~べ~」で描かれていましたっけ。)と人の念の強さと合わせて展開していた話でした。せっかくの除霊も「させてしまえば噂を認めたことになる!」と保身大事の先生によって止められてしまいましたし、この非常階段での事故はきっとまだまだ続くのでしょうね…。(避難訓練の時どうするんだ、この学校?)

 その2・理科実験室…日暮今日子「お願いです。この教室にある手首の標本を探すのを手伝ってくれませんか?ただし誰にも絶対に秘密ですよ!もし誰かに話したら許しませんからね!」
一条「失礼よ、1年生!私は2年生よ。あなた下級生でしょう!それに他人に物を頼むのにそういう言い方は無いでしょう!」
日暮「バカな事を!あたしの方がずっと先輩だわ!」
一条「どんだけ留年したのよ、あなたは!?」

いやいや、神出鬼没のその様に、2階の自室の窓の外に立たれる前に、壁をすり抜けて部屋に入ってこられる前に、もっと早くに幽霊だと気づこうよ!と思わずツッコミを入れてしまった主人公の様でした。結局、不法侵入を果たしてまで見つけた手首の標本は日暮さんの物ではなかった(「アレは手首に出来た年寄りの皮膚ガンの標本で、『珍しい大凶の手相だったから人身事故で自殺した彼女の遺体からコッソリ取って行った』なんて全部デタラメな噂だったのよ。」by一条みずき)というオチには無駄に苦労した点と合わせて主人公にも同情したものです。日暮先輩の自殺の原因も受験の悩みだったそうですし、思うに生きている頃から頭の悪かった人だったんだろうなあ、としみじみ思ってしまった話でした…。

 その3・机文字の怪…新聞記事「宿直を監禁!覆面の数人、校庭へ447個の机を運んで下書き無く正確な9の形を作る!余った机は一つも無し!」

…で、建造物侵入・逮捕監禁をしてまで覆面の数人は一体何がやりたかったのか?きっと宇宙から変な電波でも受信していたに違いない、という解釈かこの話では宇宙人に攫われた生徒を返して貰う「目印」の為に「机で丸を描いた」という話になっています。(アレ?「怪しい話」に違いは無いけれど、幽霊が心霊現象を引き起こす一般的な「学園七不思議」から外れてしまっているような…。学園が舞台で「不思議な話」なら何でも有りなのか?)でも、それはつのだじろう先生の解釈(「実は青嵐学園でも似たような信じられない事件があったんです。」by一条みずき)であり実際の↑の事件の真相は分からずじまいで終わっているらしいです…。

 その4・猫足の墓…墓地管理人「縁起の悪い墓相?色々あるけど、一番どうしようもないのが先祖代々の墓がありながら子孫が放りっぱなしにしているケースだな。先祖霊が怒って本来護るはずの子孫にバチを当ててくる。こういうのを『戒告現象』って言うんだ。」
一条みずき「ヤバイなあ…。あたし、うちのご先祖のお墓がどこにあるのかも知らないよ。」
一条父「人間は死んだら土になるんだ。墓なんて生きている身内の気休めみたいな物で死んだら皆ホットケ(放っとけ)様だよ。」

お墓の研究家・鹿島大賢の「墓と開運」によると、「自然石のお墓」は昔から家が絶えると言われて嫌われており、「酒の一升瓶型」「将棋の駒型」とかの変わった形の墓は子孫が恋愛トラブルを呼びやすい色難の凶相、「猫足の墓」は破産や跡継ぎの家出や主人の病気など最も凶相の確率が高く、「普通の一般的な墓」でも土台石が崩れていたりめり込んでいたりすると水難を呼ぶ…そうです。自分の家は四角い普通の形で毎年の墓参りも欠かさず行っていて本当に良かった(しかしペット霊園の方の墓参りは忘れて本当に黒い影を見たり、風も無いのに鈴の音を聞いたりした。墓参りに行ったとたんに治まった、という事は…。)と感じたトリビアでした。もう本編の骨を齧る少女の話など、どうでもいい(オイ!)。プラズマ現象の本といい、この作者が本当に色々な本を読んで研究している事に感心した話でした。

 その5・保健室の血痕…医者「虫垂炎をこじらせて酷い腹膜炎を起こしていました。その上ストレス性胃潰瘍で吐血したんです。もう少し病院へ連れておいでになるのが早ければ助かったかもしれません。残念です。」
新沼先生「私は一般の腹痛だろうとタカをくくってお腹を温めさせてしまった。その為に出血も酷くなり炎症をより酷くしてしまった。私があの子を殺したんです。」
月影さん「現実にはその時お腹を冷やしていても助かったとは思えないんだけれど…。」

一体誰が一番、静さんの死を後押しした(彼女を死に追いやった)のかというと↑のような状態で弱っていた所を腹をかっさばいて開腹手術をした医者だろうな、と私も頷いてしまったものでした。お腹を冷やした所で盲腸は治らない。「もう少し早く連れて来て」と言っても↑のような段階まで進んでしまった後で、もう5分10分早く来た所で事態が変わったのかは微妙な所だな(もう少し早くって「あと2、3日早く来て」って意味だと思いますよ?)その時保険医が投げやりな対応をしていたことは認めるけれど「原因」が彼女ではなかったからこそ当の生徒も成仏しているし、母親の呪いは逆恨みに過ぎない(ぶっちゃけ呪う相手を間違えている。)でしょうと納得ができた話です…。

 その6・人喰い岩…祖母「誰も水死した所を見た者はいないし死体も上がらない。だから行方不明扱いで葬式もしておらん。それでは水死者の霊魂が浮かばれんのは当然じゃて…。」

誰もその人が死んだ所なんて見ていないのだからと家族は生きている事に賭けて「行方不明」扱いにしているけれど、本当に生きていたら家族の前に姿を現すはずで、ロクに手持ちの金も無い=飲まず食わずの状態で何日も過ごしている(現実的に考えて、生きていればあり得ない状況が発生している。)という時点で諦めるべきではあるんでしょうね。一般的になじみがある葬式が「顕斎」(生きている人間が死者と別れる為の葬式。)死者を霊界に導くための葬式が「幽斎」(霊界の霊魂達に「この死人をお願いします」と神式の祭壇をこしらえて頼む、霊界への根回し。)というのと合わせて詳しく調べられてるなと思った話でした。

 その7・青色のピアノ…千草「指先を包丁で切った位じゃ大切な大会を前にして不注意だと皆にそしられる。交通事故なら不運、可哀想と同情してくれるはず!」
一条「千草さんは車に軽くはねられて手首捻挫とか、その位のつもりだったらしいけど…軽く当たって倒れた所へ、後から追い越しをかけてきたトラックに轢かれて左腕切断という重傷を負ってしまったんですって。」

現実には自分の思い通りに動いてくれる人間すらいないのに、ましてや「急には止まれない」車なら尚更の事でしょう…と千草先輩のバカさ加減に思わず呆れた話です。(そして万が一、思い通りの怪我を負えた所で「大会を前にして急に道路に飛び出すなんて不注意だ!」と皆にそしられるのは免れないと思うぞ。)実力不足で「賞が取れない」という自業自得をどうやって「他人のせい」にして責任をなすりつけられるかと狡い事ばかり考えるから、本人が自分で言っているように天罰が下ったのだろうとツッコミも入れてしまいました。挙句に「2度と満足にピアノが弾ける体でなくなった」事に自棄を起こして怪我が治ってもいないのに病院脱走→片手でピアノを弾いて傷口が開く→出血多量で死亡というマヌケな死に様には言葉も出なかったり…ゲフッ!

いま、殺りにゆきます2

2009.05.23
 警察は目の前で起きた犯罪や、やたら自分の成績に反映するような事例だったら頑張るけれど庶民の一人暮らしの女性の警護などという事件には全く興味を向けない。それよりは駐車違反やスピード違反、飲酒運転をセコセコ摘発する方がよほど「成績」になる(何しろ各警察署ごとに摘発の割り当てがあり無理にでも違反者を血祭りに上げないとボーナスが下がる。)ので、そっちが忙しく使い物にならない。(少しでも余計な仕事をしたくない、その気持ちは分かる。けれど、それが仕事で、それで金を貰いながら「早く守ってくれる彼氏が見つかるといいね。」という対応はさすがに非常識だと私も思った。)という事は自衛以外に手段は無いのです。ストーカーの主成分は負け犬根性です。人生において正々堂々と戦う事もできない臆病者だから自分より弱い者の血と悲鳴と涙が必要(つまり「同じレベルの人間相手では勝てない」から弱い相手ばかり狙っているのね。)で犯罪行為を行う事で自分を一時、理想とする強者になれたと錯覚(陶酔)しているダメ人間なのだから、手口を知って対応していけるようにという後書きに今回も力強く頷いてしまった1冊です。下手したら「東京伝説」シリーズよりタチが悪い話の数々には読みながらゾッとするばかりの本でした。

 3890円…マユミ「男って本当は『女』よりも『自分の話を真剣に聞いてくれる相手』を探してるのよ。だからこの客は絶対にモノにするって思った時はグラスが空になってもワザと注がないの。話に聞き入って忘れた位の『小芝居』を見せた方が食いつきが良いのよ。」
男「結局お前はお金だろう。お金の為にしてるんだ。だから今日はお前に一杯あげようと思って…それにちょっとトンチが効いてるし、10円貯めるのがどんなに大変な事か、これで分かるやろ。」

そしてグラインダーをかけてギンギンに切れるようにした10円玉を全部で3980円分彼女の口に詰めた後(398枚分もそんな事をするヒマがあるのならバイトでもして普通に10円(以上)を稼いでなよとツッコミを入れてしまいました。)にガムテープで口を塞いで顔を揉みしだいた、おかげで硬貨が皮膚を裂いて突き出すだけでなく歯まで折れて翌朝には顔が破れたカーテンのようになっていたという様には思わずゾッとしたものでした。最もそこはプロの女、知り合いのヤクザに(枕営業手法で)頼んで全てを終わらせた(おそらくはそのダメ男の人生を終わらせたのだろう。)様にはたくましさを感じたものです。(「分かるでしょ。警察なんかより信頼できるあの人達の方がその手の事は早いもの。」byマユミ)という訳でキャバ嬢だろうが風俗だろうがやっぱり「プロの女性」には手を出さない方が良いんだなあと改めて感じた話でした…。

 くちゃくちゃちゃん…叶「人の部屋に不法侵入してきて、ナイフで脅して体中を噛んできた男は逮捕はされなかったんです。」
警察「彼には精神科の入院歴があるから起訴は難しいんです。貴女につけた歯形は軽傷ですし、逆に貴女が彼を刺したナイフが肺に達していて重体であることを考えると、むしろ貴女の方が過剰防衛で訴えられる可能性があります。」

コンビニの客の中で気に入った女性がいると彼女達が出した宅配便や公共料金の領収書から住所を調べ出しては付きまとい、時には不法侵入までする変態男なんて、いっそ死んでいてくれたら良かったのにと重体であっても命は助かった(らしい)様には心の底から残念に感じた変態男でした。しかしいくら住んでいるマンションから歩いて2分(変態が身近にいる場合、逆に怖いな、その距離。)であっても距離的に便利だからとその男が務めるコンビニに通い続けた彼女の方も甘かったな(車道側から中を覗いて男がいると入るのを辞めた…とはいえ「かなりの頻度で目が合った」そうでしょっちゅう覗いては入店を辞める女性=他の店がある場所よりも近所に住んでいる女だという事は大体推測できたんでしょうね。)とも感じた話でした。変態が身近にいる場合(そして目をつけられたと感じた時)は即引っ越しを考えるのが、やはり一番安全な対処法みたいです…。

 自作ビデオ…アズサ「業界にはね、タレントの住所をこっそり売る奴がいるのよ。それで小遣い稼ぎしてる奴がね。私みたいに足を洗っちゃった人間は一番のターゲットなのよ。」

そこそこのAV女優レベル(壇蜜のようなアイドルではない。)だと別に事務所が守ってくれる訳でもない、警察は「職業AV」というだけで被害届もマトモに受理してくれない、ヤクザの人達は義理をかけると後がややこしくなる場合も多いから(大体、AV女優を辞めた後の、今の自分にストーカーがつく理由もないだろう。)と、歯ブラシが逆様に入っていたり、トイレットペーパーが斜めに破られたりの「他人が部屋に入ったサイン」を全部見逃して、ついにはナイフで脅されながらコンドームを被せた電球を入れられて割られる羽目になったアズサさん。(拷問で、剃刀を入れたガチャポンのカプセルを何個も「入れて」腹の上でブギを踊るっていうのが有ったのを思い出しました。by「ダイナー」)こんな事なら「ほとぼりが冷めるまで都心で暮らす」(親の借金を返しながら弟妹に送金するほどの大金を女の身でどうやって稼いでいるのかは深く考えなくても地元民には分かる。)のではなく、恥を晒してでもサッサと田舎に帰っておくべきだったな、と涙ながらに思ってしまった話でした…。
 
 アメちゃん…チヅ「2時間ほどカラオケで歌っていたら手にナイフを持った大男が入ってきてテーブルに手錠で繋がれたの。」
店側「警察が入れば指紋を採ったり操作をする間、部屋が使えなくなる。通報するならその分を保証しろ。」
チヅ「そんなお金無いし。私達も学校バックレ(早退)して来てるから親にバレたらヤバイし。」

結局、ナイフで脅されて顔を舐められてと「被害を受けた」のは女性側の方だったのに(手錠は簡単には切れず、仕方なくハンズまで店員が鉄鋸を買いに行き、それで切断した。)延長料金の二千円を払って黙って出てくる羽目になった彼女達。(その前に学校サボってまでカラオケに行くなよ。おかげで制服の着替えが無い→有名チェーン店だと通報されたり入れてくれない→防犯カメラの無い場末のドリンクセルフ店(店員が部屋まで運んで来ない。つまり決して部屋には入ってこない。)に入ったから、こんな事態を招いたんでしょう?)それ以来「学習」して防犯カメラのある有名カラオケ店にしか行かなくなったとはいえ、普通に規則(学校生活)を守っていれば始めからそんな事態は起こらなかった事を考えると微妙に思えた話でした。取りあえず制服で出歩くのは(どこの学校に通っているのか即バレの服だし)普通に辞めなよとツッコミばかりが入った話です…。

 上映中…片岡「映画は3時間を超える超大作で、一刻も早くラストが知りたかった私は1人でオールナイトに出かけたんです。いつもは食べないんですけど今日は雰囲気が重要だと思ってジュースとポップコーンまで買って…」

「魔法の指輪を巡る映画」という触れ込みから「ロードオブザリング」シリーズか(「ハリー・ポッター」シリーズもそうだけど、6時間前から並ぶ人が出るほど、100人以上の人間が列を作るほど、アレってそんなに面白い?いや、否定はしないけど普通に昼間上映を待とうよ。)とピンときました。そして冷たいジュースと固いポップコーンを食べてお腹を悪くした結果、説明が延々と続くシーン(物語が停滞したと感じた時)でトイレに駆け込み、そこで女装した大男に襲われた(従業員のほとんどは客入れが終わると同時に帰ったらしく売店にも誰もいなかった。)妙な薬を飲まされて気がついたら全裸の上に丸坊主にされていた(劇場のスタッフのユニフォームを借りてなんとか家には帰れた。)有り様にはだから、夜中に女1人で出かけるのは辞めなさいって!と妙に当たり前のツッコミが入ってしまったものです。夜中の女の一人歩きはたとえ屋内であっても危ないと実感した話でした。

 おサイフ君…サチヨ「お金が無いアンタなんか首が無いのと同じよ。この先も私と付き合いたいって言うんなら数千万もする毛皮買ってよ。それを買えないなら、もう会わないわ。」
相手側弁護士「詐欺と脅迫未遂で訴えますよ。事実、彼は盗んだ会社の金で貴女と付き合っていたんですから。あなたが彼を精神的に脅迫して会社の金を横領させたんです。」

おかげで食事に薬を混ぜて体の自由を奪い、毛皮に沢山取り付けた剃刀で全身なます切りにした上に口まで裂いても雀の涙のような額で示談になったこの話。(多分、そんな真似をするほど「精神的にキていた」(責任能力なし)というのもあるのだろうけれど、物は言いようというか有能な弁護士がいて良かったな、この変態男は。)警察に通報しようなら評判をガタ落ちにさせる分の慰謝料を請求させて貰いますと惨劇の現場となったホテル側からもやんわりと脅され、結果として彼女は(自分の方にも弱みがあるだけに)警察に訴える事もせずに泣き寝入りしたそうです。しかし↑のような事を言う女なんて惨劇に走る前に普通に別れれば良い話(数千万円の毛皮を贈らなくても付き合ってくれる女はきっといる。たとえ次の女が相も変わらず金目当てでお財布君としか彼を見ていなくても「毛皮レベル」はそうそういないだろう。)で、男の方も女の方もバカだったなと感じた顛末でした…。

 天使の羽…カズエ「母親とケンカしてムシャクシャしてたから、そいつにナンパされた時も、まあいいかって感じてついてっちゃったんだ。バカを相手にバカな事をして、アンタの娘はこんなにバカなんだよって親に復讐してるつもりだったんだ。」

なるほど。それで、よしみつさんも無言電話が親にバレた時に辞めるどころか叱られたその日から連日かけてきた訳か(よしみつさんは、バラした私に嫌がらせをすると同時に、影で親の立場を悪くする事をして、ほくそ笑んでるつもりだったという訳か。)とバカ女の心理に納得したものでした。結果、頭がバカな行きずりの男相手に、出会ったその日にラブホテルに入るというバカな事をしでかしたおかげで、気を失うまで首を絞められた後、背中に焼けたアイロンを押し当てられて天使の羽のような火傷が残ってしまった彼女。(望み通りにバカな目に遭ったんじゃないか。嘆く必要も無いだろう。)当然の事ながら、一番犯人が捕まり辛いケース(前々から怪しいと思っていた「近所の変態」なら話は早いが、その日まで会った事も無い住所も分からない人間だと見つけるのも大変。)故に、未だに犯人は捕まっていないそうです。

ふりむいてはいけない

2009.05.22
 「怖い本」シリーズの番外編みたいな本です。取材相手から「私、死んだら化けて出てもいいですか?」とよく言われて、そのたびに「もちろんですよ。歓迎します。思いっきり凄い感じでやってきて下さい。」と言うと相手は大概、嬉しそうな顔をする。そして、そういう反応を見ていると「幽霊も寂しいから色々かまって貰いたくて現世に現れるのかも」と思ってしまうという作者の言葉に、だから「幽霊に出会ってしまった時は出来る限り無視した方が良い」というのは本当なのだろう(怖がったり「反応」が返ってくるのが、おそらく一番嬉しいのだろう。)と改めて思えてしまった、そんな説得力のある前書きでした…。

 人形…藤田「うちが不幸続きになったの、全部アンタから貰った人形が来てからなんだけど、どこで買ったの!?」
親友「実は、お墓にあったのを盗んできたの。憧れの彼が貴女の事を好きだって分かって、死んじゃえば良いと思ったの…ごめんね。」

ゴメンで済むか、ボケ!(そこは友人である自分の立場を利用して「私達、友達よね。まさか友情を裏切って『親友の好きな人』を横から奪ったりしないわよね?」と牽制をかける方が、祟りを利用しての抹殺計画を立てるより、はるかに話は簡単に片付いたと思うが。)とツッコミを入れると同時に、姉の娘が喘息で死にかけたり、母親が10円玉のパイルから飛び出したコインで角膜を傷つけ失明寸前の事態になったり、火の気が無いのにボヤが起きたり、不幸になってはいるものの、本人の命に全く別状は見られなかった事態(結局、目的は全然達せられなかった。)に呆れる事しかできなかった話です。また、憧れの彼が「ちょっと気がある」だけの相手(別に藤田さんに告白した訳でも付き合い始めた訳でもない。)に↑のような事をする性格の悪い親友に何で自分が選ばれなかったのか、一度よ~く考えてみた方が良いんじゃない?と思わず語りかけてもしまったものでした…。

 Wデート…カナエ「廃墟に行った後、事故で死んだ2人は今どうしていますか?」
霊能者「一緒だね。2人共一緒にいる。」
カナエ「ああ。良かった。」
霊能者「良くはないよ…。地獄に落ちているからね。」

いくらデートでも、Wで行う事で人数がいても、一家心中した跡の真夜中の廃墟なんて行くものじゃないな(結局そこで見つけた「不気味な絵」を蹴って小便をかけた彼氏カップルは交通事故で亡くなっているし、自分達は車全面に「すごく死ぬ」と落ちない落書きをされた心霊現象を思い出すのが嫌で自然と別れてしまった。カップルの絆を深めるのがデートなのに、おかげで恋愛関係自体がぶち壊しになってしまっては意味無いよな…。)と改めて納得してしまったものでした。霊能者曰く自分も自分で「まだ業が取れていない」(今、死んだらもれなく地獄行き。)そうなので、つくづく人が死んだ所に遊びで行くものではないと思い知った話です…。

 トンネル…則和「小坪トンネルに行く時に乗っていたのがボルボだったんです。あれ、幅広じゃないですか。だから民家の壁をギリギリで避けたり、片側が崖の所を通ったりする時は本当マジでシャレになんなかったっス。」

微妙に海岸線を飲み込んだ逗子一帯は一度、幹線道路を外れると、どんどん細く迷路のような道に入り込む。そんな片側2車線は取れない道だから後続車が来ても追い越させてあげる事は不可能(だって道幅が狭くて車2台が並べないんだもん。)という道路事情の元に自分達がスピードを上げるしかない…結果、追突するような勢いで迫ってきたトラックに、ハイビームでなぶられるような状態(車高が高いトラックは真後ろに迫れば迫るほどヘッドライトがモロに普通車の車内に入ってくる事になり、車内が明るくなる分、暗い外への視界が利かなくなる。)で走り続けた、というのは下手に幽霊を見るより恐怖を感じた体験だったそうです。トンネルを抜けたとたん完全に首の曲がった女が運転していたトラックが消えた事から、あの車は幽霊だったと分かったそうですが、それよりも間違えてタイヤを落としたら海まで一直線だった途中経過の方がよほど怖いと感じた話でした…。

 コーヒーカップ…ミク「何を睨んで来てるのよ。お前、関係無いんだよ…ってお湯入れてやったんだ。」
彼「お前、どうしてくれるんだよ…姉ちゃん、火傷したってよ!顔半分!」

男には元カノを記「録しておきたい派」と「完全に忘れてしまう派」とあるそうで、「記録しておきたい派」はメモやプリクラはもちろん彼女からのプレゼントも後生大事に取ってあるらしく今カノに見つかった日にはもちろん痴話喧嘩に発展するそうです。しかしそれも「元カノからの贈り物」だからこそ「ありふれた話」になれるのであって、何で実の姉からのプレゼント(コーヒーカップ)が「過去の女の物」として嘘をついてまで大切に保管されているのか、何でそのお姉さんの生き霊は「実の弟の彼女」を敵意満々の目で睨むのか、ぶっちゃけて言えば彼氏は姉貴とどんな関係だったのか、別の意味で背筋が寒くなってしまった話でした…。別れられて正解でしたね、そんな男。

 ドビンちゃん…土瓶「今、店の者が来ます。すぐ頭のお医者にかかるよう勧めて貰えませんか。このままでは頭が馬鹿になるのです。」
祭主「話しようがないじゃない。いきなり『あなた、頭の医者に行った方が良いってこの土瓶が言ってますよ』なんて言ったら…自分が行けと言われるに決まってる。」

じゃあどうすれば信じて貰えるか、と思いついて「この陶器の作者は亡くなってますね。この方も。この方も。」と全て言い当てて「自分の能力」が確かなことを見せてから↑の話を伝えた(「怒鳴られたら店を出よう。それ以上は出来ない。土瓶ちゃん、ゴメンなさい。」by祭主。)祭主さんの気転の良さ(と、できる限りの事をしてくれた優しさ)になるほどと思った話でした。能力が本物でもあまり人には見せられない事情(「最初は叱られて、当たると今度は嫌われるのよ。まるで私がバイ菌や不運をその人になすりつけたみたいに思われるの。」by祭主)と合わせて感動したものでした。店主に信じて貰えて良かったね、ドビンちゃん。

 ほくろ…タエコ「そのマジックのほくろ、明日も顔に着けておかなかったら増やすからね。」
カツミ「…ねえ、先生とかに言った方がいいよ。大人しくしてるから余計にエスカレートするんだよ。」
クロ「ダメ!言わないで!分かったら、お母さんが悲しむから。お父さんは死んだし、あたしまで哀しい子になったら可哀想だから…。」

黙って我慢さえしていれば、いつか終わるかと思いきや、中学校でもイジメは続き、高校でもそれは継承されていた(私立高校など望むべくもない母子家庭ではイジメっ子達も皆行く、電車賃のかからない地元の県立高校に入るしかなかった。)恐ろしい事に小学2年生の頃から彼女が高校を退学する17歳の時まで9年間(!)もそんな状態が続き、改善されるどころか酷くなるばかりだったという様に、同じように年単位で無言電話を続け、「黙っている」と毎週木曜→逆ギレした時など一日2回もかけてくる(▲▲さん以下、周りの人間に伝えない限り止まらない)よしみつさんを思い出したものでした。(彼女もまた、職場にまで無言電話かけてきたり、IPアドレスを勝手に使ってブログを消そうとしたり、「放っておくと、どこまで行くか分からない」面があったしね。いじめっ子って皆こういう奴なんだな。)話にもあったけれど、この手の人達って「周りに知られない限り」はエスカレートするばかりなんだなと改めて認識したものです。(警察に教えて貰った通り、質問箱でも2ちゃんの掲示板でも何でもいいから「人目を増やす」のは実は非常に有効。警察の皆さんも犯人を捕まえる事は出来なくても空き巣多発地帯はパトロールの回数を増やしたり「人目を多く」して犯罪を犯し辛い状況を作っているそうです。)

 ノン…友達「1週間、海外旅行に行くから、その間だけ猫のノンを預かって!」
浅井「ねえ、このお土産、メイドインジャパンのシールが貼ってあるんだけど…。」

預かっている間、当の猫は上下逆さの女の顔の形に壁に爪痕を作り(辞めてよ、人の家の壁に。)、寝ている間に女の霊が出てくるという恐怖体験をした後、引き取りに来た友達から貰ったお土産は↑のような様、数日後には彼女から申し訳程度にお金の入った封筒(慰謝料のつもりか?)が届いた辺り、「実験台にされたみたい」ではなく、この友達は確実に全て分かった上で「実験台にしていた」のだろう、と確信が持てました。困っているから助けてあげるのではなく「何故、普通にペットホテルに預けないのか?」(何なら、その分のお金を貸してあげるよ。)という当たり前の疑問の元に、安請け合いをするべきではなかったな、とお人好し高じて騙されている(おかげで不必要に怖い思いをする羽目になった)浅井さんにツッコミを入れてしまったものでした。

爆れつハンター①~⑦

2009.05.21
 中学友人(匿名の中学時代からの友達。)の部屋に有った本で、理髪師さんからも色々と話を聞いているし、彼女に関して語るかどうか悩んだのですが、色々あった上で「泣き寝入りすることを選んだ」のは理髪師さん本人だし(それは私ではなく彼女達の問題だ。)、今でも無言電話女の匿名と仲良くお友達をやってはいても、少なくともこの女は▲▲さんのように急に友達面して人を騙そうとはしなかった(年賀状の返事もせず見て見ぬふりを始めたけれど、私の側に干渉しない「他人」の立場は守った。味方の顔をして人を騙してほくそ笑む▲▲さんに比べると、同じ「匿名の一味」という点では50歩100歩でも、ストーカー女に加担もしないその50歩分だけ評価には値するかと思い直した。)と割愛して純粋に作品の感想だけ語っていくことにします。

 キャロット・グラッセ…ボンバー「あの、あたしで良ければ是非つき合って貰いたいんです!(花火を筒の奥に押し込んで点火する役に!)」
キャロ「もちろんさ!さ、2人だけで、どこか静かな所へ行こう!」

結局の所、騙したつもりがチョイと騙されて(俺がそ~んなにモテルわきゃ無~いよ♪って歌があったなあ、クレイジーキャッツで…。)相手にはされていなかった訳ですが、彼があれだけ可愛いショコラやティラに触手が動かないのは「うる星やつら」の主人公と同じく「逃げる女だから追いたくなる」(迫ってくる彼女達だから追う必要性が無く、体裁だけ嫌がるポーズを取っている。)だけで本当は多少なりとも憎からず思ってくれているのではないか、と信じたかっただけに「彼女達以外の女なら誰でもOKだった」という結論には、ちょっと…少し…割と…かなり、ガッカリしたものでした。(結果として彼には誰も引っかからないから良いだろう…ではなく、いくら節操が無くても、その位の「お約束」程度は守ろうよ…。)破壊神をその身に宿しているせいで、つかまったり攫われたりするお姫様扱いをされている他は、あんまり共感のしどころが無い主人公だなと思ってしまったり…。

 ティラ・ミス…ショコラ「アンタ意外と不器用なのね。」
「ショコラさんは上手いアルね。手つき良いアル!」
ティラ「要するに食材を切れば良いんですわよね。つむぎ糸の威力、ごらんあそばせ!」

普通は糸を使って切る方が包丁で切るよりも難しいんですけどね。(不器用なんだか、器用なんだか…。)ともあれ、根暗系女子の唯一のセールスポイントである家政婦能力の高さ(無駄なプライドの高さ(保身)から肉食系女子のように話術や媚態で積極的にアプローチする事が出来ないので、必然的にそこしか売りこめる所が無くなる。)も無いなんて、どこまでも良い所の無い女じゃないか!と「恋人」でもないのに彼女面して彼氏が他の女の子と近づいただけで怒って鞭打つ(それは他人の自由恋愛で、告白すらしないアンタに責める資格は無いと思うよ。)姿に、扱い辛い女だなあ~と引いてしまうばかりのメインヒロインでした。普段(本来の性格)は内気で淑やかな女子のポーズを取っているけれど、あれだけ激しく女王様をやっておいて「私、本当は内気なブリッ子なんですう~。」って言われても説得力に欠けるばかりで…ゲフッ!(ただの2重人格なだけだろ、アンタは!)

 ショコラ・ミス…キャロ「お前、俺の家でこれからずっと暮らすんだろ!だったら兄弟みたいなもんじゃねえか!兄弟守って何が悪い!」
ショコラ「あの時と同じ…?あの時と…。」

今はもう兄弟のように思ってはいない(それどころか迫ってくる女として嫌がっている。←悲しいな…。)とはいえ、口先でどう言おうが彼は今も兄弟としてしか扱ってくれていない(言葉よりも行動に真実が出ていた。「仲間として」庇ってはくれるけれど、所詮恋愛対象からは外れている。)事も、ここにおいて自覚できてしまった様子です。(それでもめげない姿勢が逞しいな、と余計に好感を持ってしまいましたが。)個人的にはティラよりも、どー見てもこっちのお姉ちゃんの方がエロ可愛いと思う(実際、アニメの声優の皆さんも全員「どっちか選べと言われたらショコラだろう。なのに何でティラなんですか、あかほり先生?」と言っており、それに対して「ティラじゃないと読者は納得しないだろうから。」と答えている。←ショコラ派に比べて何人いるんだ、そんな読者が?)のですが、始めからキャロ×ティラの出来レースで終わっているこの話上では、そんな彼女の努力も報われずに終わった様子です…。

 リウリウ…おばさん「女だけが受け継ぐ封印の力を使うなんて…だけどリウリウ、あたしはこの子達を置いては…。」
リウリウ「その子供達の為でもあるんだよ。全ての封印から村を解放させる為になら、この身がどうなろうとかまいはしないさ。」
恋人「だめだ、リウリウ!やめてくれえ!僕は君を失うのは嫌だああっ!」

一番笑わせて貰った話だったので…。(「そういえば、誰も女の人達が死ぬとは言わなかったね…。」byマロン)と世にも恐ろしいオッサン村誕生の経緯に爆笑させていただいた話でした。作者コメントによると、この話は作画担当の臣士れい先生の完全オリジナル話だそうで、よくここまでシリアスに見せかけた、ぶっ飛んだ話を描けたもんだなと感心したものでした。「女を犠牲にしたら、どっちにしろ村は滅びる!」と大長老様は大慌てしていましたが、これで村の外に行けるようにもなった訳で、今後は出稼ぎにでも出て外から女を迎え入れれば何とかなる話で、大丈夫なんじゃないかな、と生暖かい目で見守ってしまった話でした…。

 ドーター…シリウス「俺の子を産んでくれ、ドーター!部族の血を次代に伝える為なんだ!」
ドーター「い…嫌!そんな孵卵機扱い!」

女を口説くその時によりにもよってそんな理由を持ち出してしまっては、そりゃ、断られるだろう…とかなりイイ感じだったのに、その夜、事を成し遂げられなかった事情に心から納得してしまったものでした。(まあ、出会った初日に肉体を許す女性など、そうそういない…と思いたいけれど。)とはいえ攫っては来たものの、丁重なもてなしと熱い口説き言葉に(内容に問題があっても)彼女の体はゲットできなくても、心は立派にゲットできた(一日で…か。)様子で、ドーターに庇って貰う形で守護五妖の中では珍しく生き残っていた彼。元々ドーター自体がマムの使い魔(脇役)に過ぎず、ビジュアルも小悪魔風→天使に変更した(有翼人という設定自体が本来無かった。)経緯から、絵だけからここまで話を膨らませたって凄いな、と改めて感嘆してしまったものでした。

 デネブ(エクレア・モカ)…ザッハ「何故、私を討たぬ。今一瞬私は無防備だった。お前に討ち取られていたかもしれぬ。」
エクレア「できないのよ!あたしは、あなたを愛してしまったから!お願い…私の記憶を消して!あなたを憎まなければならない全ての記憶を消して!」

いくら挑んでも歯が立たない究極に強い男(その強さでアンタの家族や仲間をぶち殺しているんですけど。)に憧れを抱き、「法族も庶民も無い全てが平等の世界を作りたい」(その目的の為にショコラ達の兄弟分以下もう何百人という人間を殺している。)という理想に共感して、怪我の手当てをして貰った(女の子の体にあれだけの跡を残して、そもそもの原因を作った男に、どんな魅力が?)事で完全に愛が芽生えた(あなた、ザッハの実年齢を知って…?)という不自然な展開には、ザッハ様が異様に若作りなさっている事と合わせて、もしかしなくてもそれ(恋)を狙ってガトー(男)の方じゃなくてエクレア(女)の方を誘拐したのではなかろうか?と思わずツッコミを入れてしまったものでした。「愛してしまった」といっても、それは誘拐された人間が犯人を好きになるのと同じく「洗脳」に近い物だったんじゃないのかなあ~(親も殺されて兄貴とも引き離されて、仇でもそいつ(保護者)に縋らないと生きていけないから、優しくされると救いの神に見えるんだよ。そいつが諸悪の根源なのに。)と思える私としては、あまり共感できなかった恋模様でした。

 ザッハ・トルテ…ザッハ「この世界を滅ぼし、新しい世界を作り直す。その為に、この世界の半分の数の人間は死ぬが、犠牲を恐れていては進歩は無い!」
キャロ「一部の人間が幸せになる為に、それ以上に多くの人間が不幸になってもいいって言うのか!自分勝手のエゴイスト野郎め!」

キャロの言うとおり「てめえこそが、この世界にとって迷惑だ!」とツッコミを入れてしまったものでした。魔法という努力で手に入れた訳でもない「生まれついて」の絶対的な力の前に身分差別がある世界は間違っている…それはそうでしょうが(その為にマムも法族狩り(ソーサラーハンター)なんて人殺し組織を作ったのでしょうが。)問答無用で大量殺人に走るよりかは政治的組織でも作って学生運動でも始めた方が平和で現実的だし、ついてくる人間もいるでしょう。自分に特別な才能があったから周りの人間を選別するのって、アンタが嫌っている法族のやり方とどう違うんだ?(これなら怨恨関係(因果応報)を理念に標的を狙って人間狩りをしているマムの方がまだ仕置き人として理にかなっているだろう。今のアンタは相手かまわずの「クレイジーな大量殺人犯」、ただそれだけです。)と知らず語りかけてしまいました。最後は念願の破壊神から攻撃を食らって終わっていますし、結構しょぼいオヤジだったな(自分が当の世界変革の犠牲者となれたんだ。本望だろ?)と合掌するばかりの男でした…。

爆れつハンター⑧~⑬

2009.05.21
 中学時代、匿名さん経由で仲良くなったクラスの違う友人(略して中学友人)の部屋に有った本で、匿名さんと、うちの妹と一緒に遊びに行くたびに読ませて貰った覚えがあります。(主に匿名の趣味のゲームする場所となり果てていたが。)あの頃は匿名さんも、人の物を盗んだり、約束の時間に1時間以上平気で遅れたり、影で人を批判した手紙を書いたりしていたものの、取り敢えず無言電話(ストーカー行為)や誹謗中傷コメント(不正アクセス)などの「犯罪行為」には足を踏み入れていなかったマトモな人間だったのにね、と懐かしくも思い返せる本でもあります…。

 アプリコット・アンズ…アプリコット「フン!あたしのナイフは何でも斬れるぜ!てめえの首だってな!」
カヌレ「ザッハも、やはりお前のような淑やかな娘の方が好きだと思うか?」

どこが「淑やか」やねん!(普段、大人しいポーズを取っているだけで、立派な二重人格者じゃないか、この女も!)とツッコミを入れはしたものの、好きな男(オニオン)に対してはただのツンデレ(照れ隠し)で終わっていて、「彼女面」して押し付けがましい態度を取っていない分ティラよりは可愛いヒロインではあるな(マロンに似て(逆です。)美人だしね。)と好感度は高かった女性でした。(大丈夫ですよ、カヌレ様。もしザッハが淑やかな女性が好みだった場合↑の戦いぶりを見たことで立派に彼女に幻滅なさった後です。)破壊神が宿っていたのは実はキャロットではなくアプリコットの方だった(むしろキャロは「普通の人間」として生まれてくる所を、ビッグ・マムの目論見の元、母親から本来いらない運命を引き継がされた被害者だった。)という伏線がその後にも生かされて「病気で死んだはずの彼女」が後に生き返ることになる展開にはちょっと驚いたものでした。

 カヌレ・ステラ(ビッグ・マム)…「私はシャルロットに続いて、また一人大いなる運命を背負わせてしまった。私の罪は未来永劫、決して消える事は無い…。」

遙かな過去での出会いだったとはいえ、同じ顔で同じ名前の少女(アプリコット)が現れて、谷の封印を解けば過去に行ける事も知っている彼女としてはあのレトロ編(超過去編)は全部分かっていた上で仕組んだ展開…という事だったのでしょうね。全ての仕組みを知ったこと(法族に「悪想念」が発生したら、魔力供給を通して繋がっているインターフェース(シャルロット)が動揺し、世界の安定が崩れる。だから彼らをサッサとぶち殺す法族狩りが必要。)で、アプリコットの方も人殺し(法族狩り)に関してゴチャゴチャ文句を言わなくなりましたし、この人はシャルロットといい、アプリコットといい、大義名分の元に自分に都合のいい人間を作り上げただけなんじゃないのかな、と不信感すら持ってしまった過去編でした。それはそれとして過去からずっとザッハがモテモテ過ぎた内容には「…。」と思ってしまった前奇譚です…。(マムにまで好かれていたのか、あいつは…。)

 シャルロット・ステラ…カヌレ「シャルロット、お前が力を解放させなければこの世界は滅びてしまう…。安心しろ、苦しむのはお前だけではない。この城にいる者すべてがお前と運命を分かち合う…。」
シャルロット「…って言ってたのに姉さんは元気に外で過ごしてるじゃないか!僕はもう嫌だ!この世界なんか嫌いだ!なくなってしまえば良いんだ!」

一家心中する…のではなく「犠牲になる」のは自分1人だけで、死ぬのと違って終わりになる訳ではなく、死者の霊に縋りつかれながら魔法のインターフェースとしての役割を果たす為(だけ)に生きていかなければならない…そんな現状に、彼が↑のようにキレたくなるのも少し分かる気がしました。(むしろ今までよく持ったもんだ。)とはいえザッハの時(結局、世界は何も変わりはしなかった。)と違って彼の暴走のおかげでこの世界から魔法は無くなった(ザッハと同じく自分だけの考えに酔って世界の破滅を目論んだ大迷惑野郎ではあったが、得る物は有った。)訳ですし、目的の為に(ザッハのように)計画的な大量殺人を行った訳でもないし、(ザッハに比べれば)幼いだけで性格的にはまだマシな大ボスではあったな、と最後は「死ぬ」事も無く姉に何事も無かったかのように許されて眠るだけで済んだ甘い終わり方にも許せたものでした。悪人風(諸悪の根源みたい)に描かれちゃいるけれど、前大ボス(ザッハ)に比べれば、そう大したことはしていない子とは言えるでしょうね…。

 キャロット・グラッセ…「あの頃のままじゃ、だめなのかよ…。」

そりゃ、子供の頃のままなら誰に対しても責任を取らなくて済むし、楽だもんな…と、彼女達の気持ちを知りながらも誰にもちゃんと応えようとせず放置プレイを強いている(ムースちゃんなんて裸で抱き締められて、まさにこれからという時に「ゴメン、俺、好きな女がいるんだ。」と最悪なタイミングで生殺しと共に振られている。)彼にツッコミを入れつつもその状況下で片っ端から食ったりはせずに童貞を貫いている様には一応評価をしたものでした。(取りあえず、長年思い続けてきてくれた女を袖にしてまで、後からポッと出てきたつまらない女を選んでしまうほど見る目の無い男ではなかった…と。初対面のナンパ男を喜んで、出会って数日で自分からパンツを脱ぐ尻の軽過ぎる女(ムース)にぐらついている辺りはダメダメだったけれど。)最後はうっかり公衆の面前で告白してしまった為に勢いでティラと結婚まできてしまいましたが、結局ティラとショコラの姉妹丼で過ごしている(そこは全然変わっていない)何のケジメもつけられていない辺りには、そもそも結婚までした意味が無かったんじゃないの?と思わず語りかけてしまった相変わらずダメ男な主人公でした…。

 ムース…「あたし…人から花なんて貰ったこと無くて…(泣)」

取りあえず泣き顔すら「綺麗」に見える可愛い女の子で本当に良かったな(涙が汚いとまでは言わないけれどマスカラは流れるわ鼻水は出るわ、元の顔がよほど綺麗でないと(そして事前に化粧の仕方を細工しないと)男に「可愛い」と解釈して貰う事は不可能だろう。そして、それでも「いきなり泣き出した女」に対して一瞬ギョッとするのは確かであり、そこから「壊れやすい可愛い女」と評価して貰えるか「似合いもしないのに泣き落としで男を釣ろうとする女」(正直、扱いに困る女)と判断されるかは命運が別れる所である。)と、表裏が無い分、同じブリッコ系でもティラよりは可愛く思える新ヒロインにホッとしたものでした。(女としてはムースのベタベタした性格に苛々するものはあるが、あれはあれで彼女の素であり、2重人格な部分が無いだけ、まだ人間としては可愛い範疇に入れる…みたいな。)クローンとはいえ一応、人格は有ったのにアプリコットの寄代として消滅した様には少し可哀想にも思えてしまった少女です…。(キャロットの母親の体を複製した身の上では彼と結ばれる事はあり得ない、とはいえ…。)

 ティラ・ミス…ティラ「お姉さま…本当に良かったんですの?あたしがキャロと結婚して…。」
ショコラ「本気でそんな事を言っているのなら、今からでも立場を代わりなさいよ。」

一番穏やかな事を言うにしても「アンタなんか妹じゃない!」ぐらいは言っていいでしょうに、さんざん好き好き言っていた男を奪った裏切り者の妹(姉と彼が「付き合って」はいなかったにしても姉への遠慮など微塵も考えずに自分の気持ちを優先させた事は確か。)の結婚式にまで笑顔で参加して、泥棒猫である当の妹へも今まで通りに接しているお姉ちゃんが凄く良い女に見えました。(それだけに勝利者の立場から公衆の面前で↑のような事を聞いて「お姉様はこれで良いと宣言しているんですから、私は何も悪くないんですわ!」みたいに正妻の立場をゲットした幸福をかみしめている妹が凄く嫌な女に見えました。)初夜の為に用意したネグリジェ、裸エプロン、セーラー服などなどのマニアックな衣装に関しても(ボンデージ姿のアンタを見慣れた後に今更…。)この女、普段淑やかに見せかけて腹の下ではいつもそんな下品なこと考えていたのか(所詮、2重人格者か。)と「可愛さ」をすっ飛ばしてツッコミしか入らなかったり…ゲフッ!

 ショコラ・ミス…「正妻の座は譲ったけれど、あたしには愛人の座があるもの…!」

普通は余り物がくっつくような形で弟(マロン)の方とデキ上がったり(美形のマロンの熱狂的ファンが許すはずなさそうだけど。)相棒(ガトー)とくっついたり(命を助けてあげたドラマチックな出会い方をしながらも、単にコンビだからいっしょにいるだけで恋愛的な興味は無さそうだよね、2人共。)するんですけどね…。100歩譲って彼女が振られるのは致し方ない(所詮キャロ×ティラの出来レースに過ぎない事は始めから分かっていたから。)としても愛人なんて2番目以下の「都合のいい女」扱いでこれからも続いて行くというのは彼女のファンとして、かなり悲しいものがありました。続編では「正妻の座は譲ってやったんだから子供位はあたしが先に作らなきゃ!」という言葉通りに不義の子を2人も作っている彼女(思いきり2人のコピーである子供達を前に「知らない」で通しているキャロもキャロなら、「知って」いてなお正妻という立場だけは手離そうとしないティラもティラ。)の姿に、もう結婚しろよ、お前ら!と涙目でツッコミを入れてしまったものでした…。

ふしぎ遊戯 玄武開伝①~⑥

2009.05.21
 かの▲▲さんに到ってはゲーム版まで手に入れており(そういえば「ときめきメモリアル」の男版まで買ってプレイしていたし、トカゲみたいな顔の割に恋に夢見てる女だったな、あの人…。そこまで男に憧れる(ヒロインの立場を夢見てる)位なら、せめて化粧とダイエット位はしてほしいものだが。)現在もファンの支持を受けている大人気シリーズの新章です。「朱雀・青龍編」である本編が大ヒット→アニメ化→ビデオ化、パレット文庫(小説)化の他、ボックス発売だ、トレカだ、完全版だと連載終了後も根強いファンの元に流れが止まった事はなく、完結して7年が経っても関連イラストを描かない年は無かった(実際私も朱雀・青龍7星士&巫女のキャラソング(!)を妹と一緒に聞いたことがある。どんだけメディアミックス化していたのだろう。)そうで、前奇譚である「玄武」と「白虎」の話も読みたい!という読者の要望もあって、完結後7年目にして漫画版の新章開幕という事になったそうです。ちなみに、この玄武編はアニメ化はならなかった(まあ、人はたくさん死ぬし、緋鉛の腕が早々に切り落とされる描写といい、ギャグ要素の強かった前作と違って「お子様向け」「夕方のゴールデンタイム向け」の作品ではないわな…。)ものの上記のようにゲーム化はされており、ファンの多さを感じたものでした…。(で、当のゲームにて腕ナシが引っかかって登場できなくなった緋鉛の姿に「やっぱりお子様向け(全年齢対象)」ってそういう部分が大きいんだな、と改めて感じたものでした。)

 奥田多喜子…「あなたには分からないわ!誰かに必要として貰える事が、どんなに嬉しいか!」

「そう、お前が息子だったら、もっと…お前とも分かり合えただろう。」という大事な後半部分を父ちゃんがうっかり言いそびれてしまった為に、大杉さんへの失恋(「本当は10年前からそばにいてほしかった!多喜子を一人にしないで下さい!」「ご免、多喜ちゃん。僕はもう妻も子供もいるんだ…。」)というWパンチも合わせて、自分は誰からも必要とされない人間なのだと思いこみ、自棄を起こしてうっかり「父親の大事な本」を破ろうと手に取ってしまった為に巫女として本に吸い込まれてしまった主人公です。(父親は書くのは得意だが口で伝えるのは苦手なだけで、多喜子の事も別に疎んじている訳ではない…のだが、触れ合った時間の長さ=愛情という子供の理屈の前にはその論理は通らない。)前作のヒロイン・美朱のような「守られるだけのお姫様」じゃなくて「戦えるヒロイン」という事で女子の支持率は前作よりも高い(というより前作は「ヒロインの人気」でなく七星士という「美形男三昧の設定」が人気を支えていたと思う…絶対。)そうで、しっかりした性格には私も好感が持てた女の子でした。

 女宿(李武土・琅輝)…予言「玄武の巫女が現れ四神天地の書を開く時、貴方の息子が必ずや貴方を殺す。」
女宿「そんな…たかが『予報』ごときで、タウルは私の為に死なねばならなかったのか!」

天気予報もそうだけど、ノストラダムスの大予言ですら外れたし、運命がどうなるかなんてその時になってみなければ分からない(何で性格も能力も分からない赤子のその時にその子の未来がそこまで分かるんだ?大体、普通に親子やっていれば実の父親をブチ殺そうなんて親不孝な息子はまず育たないだろう。根拠の無い予言を避けるつもりで、実際には予言を招くように「息子に恨まれる真似」を繰り返している辺り、親父さんはかなりのアホな気がする。)というのに、予言なんて根拠の無い物をそこまで信じ上げた小心者の父親の為に悲劇が起こっている様(これは「予言」のせいではない。)には涙すべきか笑うべきか迷ってしまったものでした。(笑うなよ。)初期設定ではヒロインの相手役でも何でもない「七星士の一人」であり、能力も両性具有だった(何の役に!?)そうで、皇子様&相手役にまで大出世したのに拍手すると同時に、↑の暴走族の当て字のような本名(何故、彼だけ漢字なんだ!?)に思わず吹いてしまったメインキャラクターでした…。

 室宿(ザラー・エルタイ)…室宿「ボクは両親がいなくても、檻の中の生活でも泣いてないよ。だってフェンがいてくれるから…。」
多喜子「だからって、こんな所でこの先ずっとニートとして生きていくの?」

檻から外に行かないようにフェンに騙されていた(「私を信じて!この2年あなたの面倒を見てきたのは誰?あるのは人を殺める力だけ、他に何も出来ないあなたを、私以外、誰も受け入れてくれやしないのよ!」byフェン。鳩山元首相と同じように「自分を信じろ!」なんて言う人間は基本的に信用ならないロクデナシである様子です。)とはいえ「騙されていても楽しかった」程度の満足感は得ていた(「や、優しかったよ。ボクには、たった一人の理解者だった…。」by室宿。)らしく、彼女が死んだ時には思わず涙していた姿に彼の優しさを感じたものでした。彼のビジュアルに関して、女ウケよりもバラエティ感を取った結果、美形男でなくデブ(太っちょキャラ)になったそうで、そのせいか斗宿よりも早く登場しているのにゲーム版では相手役として選ばれなかった(壁宿もだけど。)結果には秘かに涙してしまいました…。(彼が真面目に恋を語ったら爆笑できると思うんだけどなあ~。←笑うなよ。)

 虚宿(チャムカ・ターン)…虚宿「女宿のとこ戻れよ!好きなんだろ?あいつも多分お前のこと…。」
多喜子「いやだ、何言ってるの?だって私、元の世界にずっと好きだった人がいるんだもの!」
虚宿「…なんだよ。それじゃ俺、どのみちダメじゃないか。」

順当に行けばリムドと同じく物語初期から多喜子と絡むキャラクターとして、「朱雀・青龍編」にも登場する重要登場人物として、彼(か、斗宿辺り)が相手役になっていたでしょうにね…。そんな彼にも(彼のせいで1年以上氷漬けにされたにも関わらず)想いを寄せてくれる女の子(アイラ)がいるのが救いですが(本命とは別だったとはいえ、それなりに可愛い異性に特別な好意を持たれるのは素直に嬉しい事ではあるだろう。)それはそれとして仄かな思いを抱きながら目の前で意中の人が他の男と熱愛してるって、ちょっと(かなり)辛いだろうなと同情もしてしまった人物でもありました。(多喜子の気持ちも分かって、その上で割り切れているのが幸いではあるけれど。)最も想いを寄せてくれるのが斗宿ではなくて妹の方だった(一部で怪しい噂も流れていたので。)のは、個人的にはかなり嬉しく感じた事実ではありましたが…。

 斗宿(エムタト・チェン)…「忘れたというのなら思い出させてやる。一族にさえ疎まれた俺のもう一つの力、この『視鏡監』で!」

眼帯をしていたのはそういう意味だったの!?(視力があるのかどうかは分からないが、それでは確かにマトモに人の顔を見れないだろう。)と字の出現場所に驚くと共に、その字、他の七星士みたいにひっこめる事は出来ないんですか?(簡単な話で、力を使わなければ眼帯をする必要も無くなるのでは…?)と、ごく当たり前の疑問を抱いてしまったものでした。虚宿に妹を氷漬けにされた事に関しては、自分も「そんなつもりじゃなかった」ものの「力」で危うく彼の母親を殺してしまう所だった事も有り「お互い様」だと思っているのか、(虚宿のお母さんは今も元気に生きているのに)逆に斗宿の方が「許してくれとは言わない。」と謝っている辺り、どこまでもお人好しでいい奴だな、と思ってしまいました。その後は伝説通りに水を飲み合ったり、妹と虚宿の恋愛関係といい、色々な意味で義兄弟になっている様にはやっぱりたまたま死んだ七星士同士というだけじゃなく、元々特別に仲の良い2人だったんだな(おかげで一部読者の間に「誤解」も生じてる訳だ。)と改めて感じた、そんな2人でした…。

 牛宿(タルマ)…「あたしはここでシュヌと死ぬのも悪かない。どうせ11年前、死ぬはずだったんだ。」

潔いおばちゃんだな…(しかし、いかにもといった「可愛い少女」のルウデじゃなくて、よりにもよって一番厄介そうなこの年配の女性が七星士だったとは意外な展開だ。)と個人的には好感を持った反面、読者の中には多喜子と思いっきり対決した事も有り(それでなくても「廓の女将」という姑的立ち位置からイヤミのように監督(叱咤)していた事もあって)「こっちのオバサンの方が七星士なの~?」「メインキャラになる顔じゃないだろ?」(に…人間は顔じゃないよ!)みたいな反発意見もチョコチョコ出ていたそうです。↑の親友のシュヌ(本来の女将)の病気(呪い)が治れば「代理」に過ぎない現・女将の彼女が来てくれるかと思いきや、彼女は死んでしまい、いよいよ仲間になるのは不可能か、と思った所で廓の女の子達全員の推薦に押されてパーティーに加わったというのは好感が持てる内容でした。力の方も最も良く制御できている様子(さすが年配。)ですし、頼もしい仲間が加わったなと私的には嬉しかった新メンバーでした。

 「外伝・妖しのセレス」…セレス「どうぞ。判っています。私を手に入れたいのでしょう?構いません。」
ミカギ「服を着ろ。…なんて悲しい目をするのだ。俺は今はお前が心から笑った顔が見たい。」

そうして初めて心から笑えるようになり人の心を知り始めたセレスと、恋を知り始めたミカギと、それぞれ成長を遂げたのに、その後、2人は幸せにはなれなかった(本編参照。モノローグにある「たとえ」で終わらずに、本当に2人は引き裂けんほど苦しみ、子々孫々に渡って沢山の血が流れる宿命が待っていた)展開には本編を読んだ人間として、知らず溜め息が出てしまったものです。(「成長すること」と「幸せになること」とは別物なんですよね。いっそ成長せずに人の心を知らないままだったら、セレスもさっさと前夫のようにミカギを忘れ去っていて、子供が死んでもあれだけ「気に病む」ことは無かっただろう、とすら思ってしまったり…。←そして「妖しのセレス」の物語はいつまで経っても始まらない。)また、個人的には本編ヒロインの妖と十夜の子供は、死期の近い十夜の生まれ変わりのように男の子になるだろうと思っていたので予想に反して女の子が生まれた事に驚いた話でもありました。

ふしぎ遊戯 玄武開伝⑦~⑫

2009.05.21
 ▲▲さんにこれのゲーム版と一緒に「テニスの王子様」のゲーム版(やっぱり男ハーレムゲーム)を半強引に貸された覚えがあります。(玄武の方は絵が綺麗だからという理由だけで何とかクリアしたけれど、テニスの方はスカした主人公からして苦手だったのでほぼ放置だった。)「私、男の趣味が悪いから!」と開き直っていた▲▲さんは一体誰が理想だったのか(漫画版「アークザラッド2」でも若くなったアンデルが好きだったり、「上から見下している人間」ばかり好きだった。匿名を庇う時も恩着せがましく「私は貴女の為に言ってあげただけなのに、ふ~ん、そういう疑い方するんだ~。」と人を騙しながら「説得力ある(つもりの)自分」に酔っている風だったし(こんな事しながら、よく「良い気分」になれるな。普通の人間ならそこまで友達を騙す事も出来ないけどね。)どうもこれが彼女自身の理想像でもあるらしい。なるほど、確かに似てるよ。)多少、気にもなったものでした。(紫義辺りかな。)

 連載開始から早10年、長~い年月をかけながらもとうとう堂々の完結です。(色々あったけれど、大抵の作品が休載を続けるうちにほとんど進まない未完の作品となり果てていくのはよくある事なので、きちんと終わらせてくれたその様は読者としては有り難いし、作者としては立派だと思えた。)朱雀のテーマが美朱と鬼宿の世界を超えた「愛」、青龍のテーマが美朱と唯の「友情」(結局、心宿は「青龍の巫女」を復讐の為に体良く利用していただけだし、まだ美朱の方が唯ちゃんを大事に思っていたという事なのだろう。少なくとも美朱だったら友達を神獣に食わせるような真似はしないだろうし。)だったのに対して玄武のテーマは「死と生」(ちなみに白虎のテーマは意外にも「大恋愛」ではないらしい。)だそうで、登場人物それぞれの濃い生き様、死に様に思わず涙するばかりの「最初の物語」でした…。

 奥田多喜子…奥田栄之助「お前と私は父と子だ。すれ違って悲しい思いもさせ、こんな運命にお前を巻きこんだどうしようもない父親だが、それでもこうして私達に流れる血はつながっているんだ。もういい、今、父さんが助けてやる…!」

血の繋がった親子だから本の内外でも会話ができたり(「世界」を超えて声が届いている。凄い。)互いに影響を及ぼし合っている=自分と娘は連動している=自分が死ねば同調している娘も一緒に死ぬ(そして「健康な自分の死」(ピンピンコロリ)で死ねるのなら、その方が病に苦しみ神獣に体を引き裂かれながら、ゆっくりと死んでいくよりも苦しくはないだろう。)という結論から、こうして旧作通りに「娘の多喜子を刺殺して後、自殺した」結末が導かれました。(そういえば「刺殺された」とはあったけれど「死体がそこに残っていた」とは書かれていなかったっけ…。)おかげで玄武に「生贄」として食いつくされる前に「人間」として死ねた様には、文字通り父親に「命をかけるほど」愛されての結末だった(父親はあんな本を産み出してしまった罪と娘殺しの罪から自滅して、逃げる為に死を選んだ訳ではなかった。)という事もあり、多少救いも持てた死に様に感じたものでした…。

 女宿(李武土・琅輝)…リムド「多喜子、お前がくれた春だ。幾つもの春をこれからも共に行こう…。」
ナレーター「そうしてちょうど100年目の春、かつて「風斬鬼」と呼ばれた名君は天寿を全うした。生涯、妃を持たず従妹に当たるエフィンルカ皇女の曾孫を世継ぎに育て風となった…。」

117歳まで元気溌剌だったのか!(長寿村の爺さん達も真っ青な長生きぶりだな!)と、巫女の、死んでいった仲間の望み通りに「生きた」様には、その「普通のレベル」を軽く通り越した様と合わせて度肝を抜かれた彼の生涯でした。わずか17歳という若さ溢れる年齢で妃(多喜子)を亡くしたにも関わらず、本当にその言葉通りに誰とも再婚しなかった…もちろんコッソリ隠し子を作ったりもしなかった様には、歴史的名君の大抵は下半身もエネルギッシュだという世界史の事例の数々と合わせて、フィクションとはいえ驚かせて貰ったものです。葬儀の時、遺体の手にはいつか城下で買った夫婦円満の腕飾りがきちんとつけられていた辺り2人の愛は100年経っても色褪せなかった(それは普通に凄い。)という事が感じられて秘かに嬉しく感じた終わり方でもありました。最後のシーンはきっと映画「タイタニック」のように魂だけとなって若くなった彼が天国で彼女と再会したのだろうと勝手に確信もしている私であり(白虎七星士の言より、原則として「現実の人間」が四神天地書の世界で生きることは出来ず、それは神獣の力を持ってしても叶えられなかった、という事は…。)これはこれで2人が再会できた形でもあるんだろうなと実感もしたものでした…。

 ソルエン…ソルエン「父上が亡くなられたのは誰の為だ?12の歳から逃げ続け戦うだけの生活になったのは?今、この手を離せば終わらせることができる。俺は自由に…」
女宿「俺は許した!お前なら裏切られようが許した!『あの時』だって手を離せばお前は楽になれたのに!」

頼みの綱の父親(タウル。そういえば母親はどうしたのだろうか?)も亡くして、「仕方ないから」という理由一つでいい年して恋人の一人も作らずに16年間も男手一つで「子育て」しながら尽くして来て(対して主人である女宿の方は現在、多喜子という恋人とラブラブになっている。あんまりだ。)最後も最後で彼を守る為に死んで、どこまでも忠義に生きた幸薄い人生には作者ですら「女宿が本当に女だったらな~。」(たとえ源氏物語風の犯罪臭い関係でも恋人同士になれたのに。)と溜め息をついていたほどでした。↑の時、一瞬魔が差したように女宿さえいなければ(彼1人だけならば)どこか人ごみにまぎれて普通に家庭を持って生きて死ぬことも可能だったでしょうに、結局最後まで主人を裏切ることは無かった(主従ここに極まれり)という彼の生き様にひたすら涙してしまったものです。おかげで彼の望み通り「リムド皇子」が即位して、117歳という年齢まで生き抜いた(むしろ生き過ぎた程に。)様には素直に感動できた終わり方でもありました。良かったね、ソルエンさん…。

 及川医師…多喜子「私やっぱり、あなたとは結婚できません。ごめんなさい。」
及川「病気の事を気にしているのか?だったら大丈夫だ。僕は医者だし、こんな事で君への気持ちは…」
多喜子「好きな人がいるんです!その人はとても遠くて一緒にもなれなくて、だから忘れたくて…でもダメなんです!」
及川「…だったら僕で妥協してっていうのもダメなんですか…。」

多喜子が気づいていなかっただけで女宿のように病身でも構わず愛してくれる人間は「現実」にもちゃんといた、親父さんもただ口下手で不器用なだけだし、母親が亡くなっても彼女は彼女で現実でもちゃんと必要とされていた…というのは振られる及川さん(所詮は後からポッと出てきただけの当て馬役)を哀れに思いつつも「多喜子の居場所は現実にもちゃんとあった」(現実から逃げる為に本の世界に逃避した訳ではなく、それが彼女が自分で選んだ運命だった。)事に好感が持てた展開ではありました。後に女の子の夢である「結婚」も立派に愛する人と果たしていますし(その辺はますます及川さんが哀れだが。)初恋の人・大杉さんが評しているように、若くして死ぬ運命は変えられなくとも「幸せな最期」を迎えてはいたのだろうなと実感も出来たエピソードでもありました…。(気にするな及川さん、「帝大出のお医者様で将来も安泰」という君の肩書きなら、多喜子1人に振られた所でこの先引く手数多だ!←オイ!)

 フィルカ(エフィンルカ・ロウン)…フィルカ「分かっていたわ、父がこうなる事は…ついでに娘の私も殺したらどうなの?そうよ、ここで父を殺したあなたを殺しても、私もどの道、捕虜にされて殺される…!」
ハーガス「許せとは言わん。だがお前は父とは関係無い。死ぬ事など…ないんだ。いいか、お前だけでも生きろ。」

この2人はいつの間にそんな仲になっていたのやら…(星護族のアジトで一部の読者が恋愛フラグを懸念するほど必要以上にリムドの世話を焼いてかまっていたのは何だったのやら、綺麗に流れたな。)と半年間会うどころか何の連絡も取り合っていなかったのに、いきなりキスシーンになだれ込むほど燃え上がる2人にツッコミを入れてしまったものでした。テグ曰く「ハーガスはちゃんと貴女を見ていた。」(ハーガスもハーガスで彼女には惹かれており片想いで終わってはいなかった。)そうで、どの道天罪病で長くない命でも死ぬ前に恋が叶って兄にも恋人(?)にも愛されながら死んでいったのは救いが持てた終わり方だったかなと納得が出来たものでした。その後、姫は双子の兄貴のテグと上手く行ったらしい(北甲国の後継ぎにもなった曾孫の先祖、もとい彼女の夫はおそらくテグなのだろう。)様には、やっぱり顔が恋に落ちる一番の決め手だったのか?(ハーガスにしたって、アンタら顔以外のおおよその事情は話し合ってもいないじゃないか!)と変な所で疑心も持ってしまった、そんな彼女の情熱的な恋の様でした…。(まあ、恋に落ちるのに「理由はいらない」らしいから…。)

 テムダン・ロウン…テムダン王「先帝は私がすぐ死ぬとお思いになられ便宜上お前の補佐としてこの地に置き封じ込めた。だかおかげですぐ傍で機会を窺う事が出来たわ。こうして目の前で、お前の首が飛ぶ所を見る機会をな…。」
多喜子「…なんて虚ろな瞳をしているの。この人には絶望しかなかったのだ。動けない宮殿の中で他になす術もなく、病に苦しみ、弟に裏切られ、息子を憎み、国を憂い…なんて悲しい人。」

弟に復讐を果たして皇帝に返り咲いた所で、もうすぐ氷河期に入るこの国に未来は無いし(「『戦争に負けた』事で首都から明け渡そうとしたのだが『戦の犠牲者を最小限に止める』という期待も弟は見事に裏切ってくれたわ…。」byテムダン)息子が自分を殺すという予言を回避出来た所で、どの道、自分は不治の病で長くはないし(それでも17年持った事を考えると天罪病患者にしては長生きした方なのだろうが、117歳という超・長寿を誇る息子に比べれば立派に「短命」ではあるだろう。)どうやっても希望は持てない様には「自分達皇族が滅んでも、わずかな民さえ生き残れば『北甲国』の歴史は続く(何百年も後の、氷河期が終わった頃には…。)」と悟りながらも虚しさばかりが募った様子です。最後に自分と妻の面影を受け継いだ息子と和解できたのが救いですが、この人もこの人で可哀想な人だよな(それにしたって、もっと早くに悟っていれば息子とはここまでこじれなかったと思うが。)と同情もしたお父様でした…。

 斗宿&虚宿…チャムカ「アイラ、待ってろ、こんな戦すぐに終わらせる。そしたらお袋と斗宿と皆で暮らそーぜ!」

七星士だって人間で立派に年を取る(事実「朱雀・青龍編」では白虎七星士の方々は立派にお爺ちゃんお婆ちゃんになっているし、同じ玄武七星士の牛宿は現在立派なおばちゃんである。)のに、何でこの2人は若いまま幽霊になっているの?(人数が欠けても神獣を呼び出せるレアアイテム(神座宝)はまだこの時代に存在しないし、玄武召喚(物語の終わり)まで死なないはずではないの?)と心配なお二人ではありましたが…まさか召喚直後に戦死したとは何とも悲しい終わり方でした。(あと5分持っていれば生命の水の効果で2人とも無傷で復活できていたでしょうに…!)これから幸せに暮らすはずだったのに、妹を残して、母親を残して死んでいっただけに、果たされなかった↑の約束がひたすら痛かった最期です。本人達は玄武召喚という目的を達成した事で、ある程度は納得している(表情は明るい)様子ですが、戦が終わりきらないうちに死んでしまったのはやっぱり無念だった(そりゃ、そうだろう…。)らしく「成仏できないままなら新しい使命を与えてくれ!」と神座宝の守り人となった経緯には「こうして物語が繋がっていくのか…。」と感慨深い思いも抱いたものでした。そして話は「朱雀・青龍編」に続いていきます…。

新・幸せの時間①~⑨

2009.05.20
インフルエンザの予防接種に行った時に待合室に置いてあった2巻(なんて本を置いてるんだよ、Tクリニック…)を読んでハマり、勢いで旧作の方まで読破してしまった本です。続編という事で、よしみつさんは「あの良介が結婚したって、もしかして奈津ちゃんと?」と期待していましたが、自分の都合で捨てた男が、そんな扱いをされてもいつまでもおめでたく想い上げてくれて、就職できて「養ってくれる理想的な男」になったとたんに迎えに来てくれたって、ある訳ないだろ(歌手として成功したのなら逆に良介というヒモの一人位、養うのは簡単だったはず。それを自分のプライドの為だけに追い出して、だけど自分も(勝手に)傷ついたから水に流すのは当然、どんな扱いをしても自分は彼の永遠の女性なのよって、よしみつさんは男を何だと思っているんだろう?)と心ひそかに思ってしまった(ぶっちゃけ、私は設定を見たとたんに結婚相手は少なくとも「昔の彼女」以外の女性だと確信していた。常識的に。)そんな話でした。不倫物なので個人的にはあまり好きじゃないのですが内容の濃さにハマってしまった本です。

 牧原良介…「一体どういうつもりなんだろう、小夜ちゃん…。僕にすっかり体を預けてしまって…昼間も突然強く抱きついてきたし。」

だって男とはいえ彼は「家族」だから甘えちゃうんだもん、電車の中でもたれかかるのも、突然のハグも当然!という言い訳(こじつけ)は通用しない。実の父親でさえ「ちょっと、お父さんの洋服と一緒に私の服を洗濯しないでって言ったでしょ!」「その位、我慢しなさい。お母さんなんて毎日同じ布団で寝てるのよ。」(志村けん)というほど年頃の娘は「男との触れ合い」を嫌がるのが普通で、奥さん(ちづる)やストーカー女(遠藤さん)ですらしてこない肉体的なアプローチ(ていうか普通に良識ある女はそんな事はしない。)に良介が思わずモヤモヤしてしまうのも分かる気がしました。(それ、愛じゃない。性欲。不倫に燃えて義理の妹相手でも激しいプレイが出来る辺りは父親譲りだと思ってしまったけれど。)2巻から読み始めたので当初こそ「レイプされそうになっていた小夜子」に同情していましたが、一巻で痴漢にあったのさえ利用してチャンスとばかりに良介に抱きつき、思惑通りとばかりに笑みを浮かべたり、艶めかしいアプローチの数々(出会ったばかりの「姉の夫」に対してよくもそんな気持ちになれるな。)に気持ち悪さを感じてドン引きしてしまったものでした。当のレイプ未遂ですら「お前が大学の卒論の為なんて大嘘ついて父親の会社に潜り込まなければ、こんな事にもならなかったんだろ。」としか思えなくなったり…ゲフッ!

 牧原ちづる…良介「小夜ちゃんは残念だけど女としての魅力は君にはかなわないさ。だって僕達は奇跡の太い絆で結ばれたんだから…僕には君の全てが魅力的だし、僕は君の全てを愛している。」

当の「奇跡の出会い」は本当だったら看板攻撃でひったくりを撃退してくれた料理屋のおっちゃんが相手だったろうに…というツッコミはさておいて、結婚して2年も経っているのに(既に「新婚時代」は終わっているのに)未だにこんなこと言ってくれる旦那さんっていいなあ…と、社長令嬢のちづるが陥落した(そもそも高校もマトモに出ていないフリーター上がりの30男が社長令嬢を射止めたっていうのが凄い。これを奇跡と言わずして何を奇跡と言うのだろうか?)のにも納得がいってしまう程のイイ男だった(過去形)のにね…と現在の変貌がとても残念に思えてしまう夫です。「全て小夜子が悪いのよ!」という彼女の暴走には女の勘は凄いもんだな、バレていないだけ(証拠が発覚していないだけ)で小夜子が姉婿と不倫して2人の関係をブチ壊している張本人だって事は見事に当たっているよ(「冤罪」だったら小夜子にもまだ同情の余地はあったのだが、事実関係(不倫関係)がある以上は「逆恨み」ではなくて「当然の報い」だろう。映画「シカゴ」だったら「姉の夫と不倫した妹」なんて登場を待たずして撃ち殺されているし、これが部屋を荒らされて平手打ちだけで済んだなんて、優しい(甘過ぎる)姉ちゃんだなとしか思えませんでした。)と感じて、余計に小夜子が苦手に思えてしまったものでした…。(こんな妹、いたら嫌。)という訳で私はちづるが一番好きです。

 遠藤珠美…遠藤「早く消えてよ!私と課長の世界から…!」
社長(父)「…と『取材』の為に良介君にくっつけた小夜子だったが、実は大学は中退していたそうなんだ。」
ちづる「じゃあ、小夜子はこの一週間『卒論の為』なんて嘘を言って全く意味の無い事に皆を付き合わせていた訳じゃないの!」

その小夜子の体面を保つ為だけのデタラメ(と、それを真に受けた親バカ)のおかげで、次々と自分の仕事を奪われ、ついには課長本人まで寝取られてしまった遠藤さんとしてはいい迷惑だったろうな、と会社でファイルをぶつけて、新潟で通りすがりの旅行鞄をぶつけての階段転落事件を仕組むほど殺意を抱く様には同じ女として心から共感できたものでした。(だって自分は好きでもない男とのセクハラに耐えてまで彼の為に尽くしているのに「私はあなたが他の誰(遠藤さん)と関係しても気にもしないわ」って…他の女(姉含む)全員をバカにしてるのか、小夜子は?)挙句に本来その全てが無かったはずだったと知った時にはちづるでなくても「何でも『済んだ話』にするって甘やかし過ぎだろ!」(「お父さんはどうしてそんなに小夜子を甘やかすの?昔からずっとそうよ!」byちづる)と怒る気持ちは分かる気がします。そんな目に遭ってもなお懲りずに姉婿との不倫を続ける様には遠藤さんが自分で思っているようにトドメを刺しておいてほしかった、と切に思ってしまったり…ゲフッ!

 牧原小夜子…「お願い、お姉さんを捨てないで!だってお姉さんは1人で生きていける人じゃないから…。私、誰も傷つけたくないの!」

本当に姉に悪いと思っているのなら、自分が大人しく身を引けばそれで済む話でしょうに、それをしないどころか、わざわざ新潟(!)まで姉婿と不倫する為だけにやってきて、散々ヤルことヤった後になってからそんな理由で泣いてみせるなんて、言っている事とやっている事の矛盾が凄過ぎて笑いが出そうになりました。こんな事をしておいて「私の居場所はアメリカにも家にも無いみたい…。」(だから良介の心の中を占めるのは当然なのよね!)と実感している様には、自己陶酔に浸っている所、水を差して悪いけれど、他人(どころか身内)の夫と不倫するような娘は勘当されるのが当然で普通に実家の居場所は無くなるだろとツッコミを入れてしまったものです。アメリカで居場所を失くしたのだって妻帯者の教授を毒牙にかけて、ついには殺人沙汰にまでしたからでしょう(そりゃ皆ドン引きするわ!)としか思えず、過去が明らかになって(むしろ、こんな過去を抱えて、よく懲りずに「姉の夫」に手を出す事が出来るなと)余計に彼女が気持ち悪く思えてしまったものでした…。リストカットの一件にしても空港で搭乗せずに屋上なんて「発見されやすい場所」にわざわざ移動して、刀の折れやすいカッターなんて「確実に失敗しやすい凶器」を選んで行っている辺り、安全に実家に帰れるように自分で仕組んだ(よしんば家族が事情を知らずにそのまま帰ってしまっても必ず空港・病院から連絡が行き「ケガをした小夜子」は日本に留まれる。)ようにしか見えなかったり…ゲフッ!

 牧原麟太郎…小夜子「蜘蛛膜下出血って激しいショックを受けた時に起こる事があるんですって。多分、引き金を引いたのは私達よ…。」

ちなみに当の蜘蛛膜下出血という物は倒れる瞬間に雷が落ちたかのような激しい頭痛にのたうちまわり(またはのたうつ暇もなく)意識を失うという症状ではあるものの、怒ったり興奮した瞬間に血管が切れるという現象が起こる訳もなく(動悸、息切れが影響するのは心臓病や肺病だけ。ショックを受けるのは心臓だから脳は関係が無い。)またそれまで彼に見られた「偏頭痛」は硬膜下出血の症状(蜘蛛膜と硬膜の間で出血し、脳が圧迫される、蜘蛛膜にガードされての出血なので、意識は保ったまま頭痛を感じる。そしてよほど手遅れにならない限り、血さえ抜けば割合簡単に治ってしまう。)であるので、小夜子達のせいではないのでは…?と思いかけた所ストレスからピロリ菌が無くても胃潰瘍になるように脳梗塞になる場合も少なからずあるそうで、全ては小夜子のせいだという原因を否定できなくなりました…ゲフッ!(おそらく父親は何百万円も出してアメリカ留学をさせた娘が不倫の果てに自分に何の相談も無く大学を辞め、マトモな男(彼氏候補)との縁談を勧めても見向きもせず、姉の夫とまで不倫をしていたという事実に非常なストレスを感じたのだろう。考えてみれば当たり前だが。)ついでに言えばその蜘蛛膜下出血とは脳の皺に合わせて血が入り込んでしまい血の除去も大変な他、後遺症も残る酷い病気であり実の父親が危篤であるまさにその時に、↑のように自分が父親をそういう状態にしたという自覚がありながら、翌週には相も変わらず姉婿との不倫を続けている小夜子の神経を疑ったものでした。そんな訳で、どこまでも好きになれないです、この妹。

カラマーゾフの兄弟

2009.05.20
 「罪と罰」でも有名なドエトフスキーの生涯最後の作品であり、深い内容に現在では「カラマーゾフの妹」という続編まで書かれたそうです。(「風と共に去りぬ」→「スカーレット」と別の人間が続編を書いたみたいだね。)作品中でも使用人として仕えていた男が実は館の主人の隠し子だったというオチがありますし、あの親父の性格上、よそにまだ子供を作っていても全く不思議は無いなと言い切れてしまう所が…切ない内容です。

 ドミトリー・カラマーゾフ…アリョーシャ「兄は暴行を振るったあなたに必ず謝りに来ます。いえ、来させます!必ずあなたの気の済むようになりますから!兄に謝罪の場を作らせて下さい!お願いします!」
イリューシャ「そんな奴の言う事なんか聞く事ないよ!パパにあんな恥かかせた奴、許さなくていいよ!」

あの父親にしてこの長男有り…というロクデナシ親子であり、やった事は到底許される事ではないものの(「『あかすり』というのはドミトリーに引き毟られたこの髭の事ですよ。運悪く息子イリューシャの友達に見られた事で9歳の息子は今、そう呼ばれていじめられているんです。」byスネギリョフ)↑のようにやった所業を誤魔化すのではなく「謝る」為に行動して、慰謝料まで用意してくれる家族がいる(「これは示談金です!金で全てを解決できるとでも思っているのか!?」と受け取りは拒否されたものの、それでも「用意した」その行動は偉かったと思う。)辺りは結託して知らないフリを決めこんで警察まで騙した匿名一家に比べれば、同じ「ダメ人間を抱えた家族」でもまだ救いようがあるなと感じてしまった一家でした。最後はこの長男も(罪状自体は無実の罪だが)シベリア送りになりましたし結局全ての事は罰として自分に返ってくるんだなと感じた話でした。

 イワン・カラマーゾフ…「何故、領主は犬に石を投げた子供を許さなかった?見せしめに猟犬に食い殺された子供は死後の世界で領主を許しているのか?母親は息子を殺されて領主を許す事が出来るのか?それほど許し合う事が大切か?殺された子供の血を…領主の罪を『帳消し』にしてまで!」

相手の罪を「許す」事と「帳消しにする」事とは違う(日本の風習に罪人の腕に入れ墨を入れるというのがあったが、それは懲役が終わっても「あなたは当然の『罰』を受けただけで、やった事が消えて無くなった訳ではない。」というサインだったように思える。)そんな気がしました。思えば「神なんていませんよ。いたら父さんなんか丸裸にされてます。」というセリフからも分かる通り、放蕩生活を続けている父にいつまで経っても裁きを下さない神に対する幻滅からも無神論者→こんな世の中変えてやる!と学生運動…もとい革命活動に走ったのでしょうね。父と違って自分は理想的な人間なんだ!と信じ上げていただけに、兄貴が父親を殺したおかげで金(遺産)も女(兄貴の婚約者)も全てが手に入った「偶然」に喜んでいただけに、実は自分が引き金を引いていた(弟のスメルジャコフが自分の為にと仕組んだ展開だった。)という真相には耐えきれなかった様子です。その辺りはどんなに頭が良くても所詮、温室育ちのお坊ちゃんだったのでしょうね…。

 アレクセイ・カラマーゾフ(アリョーシャ)…アリョーシャ「ここに有る金と兄がモークロエで豪遊に使った金を合計すると、ちょうど父の部屋から消えた3千ルーブルになるはずですが、その計算はしましたか?凶器の件だってグレゴリーを殴ったきねが証拠として挙げられていますが、同じ凶器で父が殺されたのか、気絶していたグレゴリーが『目撃』できたはずがない!」
カテリーナ「裁判長、この手紙を!『俺は親父を殺してでも、金を手に入れて君に返す!』事件の前に私に送られたミーチャの殺人予告ですわ!」
アリョーシャ「いや、だから…。」

父親殺しという無実の罪を背負わされたドミトリー兄貴(そして普段行っている乱暴狼藉から、弟以外誰も信じてくれなかった。)と、「金(遺産)や女(カテリーナ)が目的で殺人を犯すなど認める訳にはいかない」のに実の弟(スメルジャコフ)に父親を殺させ、更に当の弟を自殺に追い込んでしまったイワン兄貴(革命を起こすに足る「理想的な人間」であるはずだったのに、自分が原因でこんな事態を起こさせてしまった。)に比べて、唯一何の罪も犯していない清廉潔白に生きている3男です。温厚で優しい性格が幸いして、あのどケチの父親にまで気に入られていますし、本当の意味で「理想的な人間」は一番敵を作らない性格の彼であったのでしょうね。思えば幸せな性格…とはいえ「父親殺しの弟」(実際に殺したのは別の人間だが「兄弟」であることに変わりは無かった。)として彼はこれからも「犯罪者の一家」として後ろ指を指される立場ではありますし苦労していない訳ではないのでしょう。冷静に状況を見れば、頼みにしていた師は亡くなり、親父は殺され、兄貴はシベリア送り、もう一人の兄貴も精神を病んで療養生活という過酷な内容に(いっそ修道院に籠っている方が楽な気がする。)彼らしく健やかな強さで今日も生きているのは凄い事なんだろうなあ、と頷けもした青年でした…。

 スメルジャコフ…イワン「ドミトリー兄貴に親父と愛人との秘密の合図を教えた!?ふざけるな!使用人なら体を張って主人を守れ!」
スメルジャコフ「あの乱暴者から私が守る!?無理ですよ!」
イワン「それなら何故、俺にここに残れと言わない!?何故、親父を守ってくれと言わない!?何故、兄貴を止めてくれと言わない!?お前は兄貴に親父を殺させるつもりか!?」

そう、自分にいじめっ子を屈服させる「力」が無くても、教師に密告したり、人を連れて来ていじめの出来ない「場」を整えたり(実は犯罪行為を起こさせない為に一番効果的な方法は「人目を増やすこと」だそうです。)目の前のイジメを止める為に出来る事は実は沢山あるのですが、何もする気が無いからそいつらは目の前の惨状を放置している訳で、この話のスメルジャコフが実はすべての状況を仕組んだ黒幕だったように「傍観者が一番悪い」(虐待やイジメなど、「事件」の影には直接手を出している実行犯の他に、こうして他人のフリをしながら実行犯の味方をしている間接的加害者が必ず存在する。)という事例を端的に表した話なんだろうな、ともう一人の使用人・グレゴリー(「フョードル様がどんな人間であろうと、使用人として主人をお守りするのが私の務めだ!」byグレゴリー)との違いと合わせて実感したものでした。この人もまたフョードルが精神を病んだ娘に産ませた「カラマーゾフの兄弟」なのですが、一度でも母親が正妻の座に着いた子供と、認知もされていない愛人の子供の間では立場に明白な違いがあり、兄弟として「認められる」事は一生叶わず使用人で終わった彼。そりゃ、目の前で他の兄弟との差(えこひいき)を見せつけられ続けた事もあって親父を殴り殺したくもなるよな、と納得もした経緯でした…。

超怖い話A(アー)

2009.05.20
 「超怖い話って収録された話のうちの何本かは作り話なんだろ?」「これを言ったら、物書きとしては負けているような気がするけれど、自分の頭の中で考えた怖さより皆が体験したと言い張る話の方がなんぼか怖い。」(予想の範囲内に収まっている出来事は怖くも何ともない。「事実は小説よりも奇なり」とはよく言うが、自分が予想していた事の1段も2段も上を行かれるからこその恐怖である。)と後書きに書いてあったこの本。実は刊行が決まってから入稿するまでの間に著者・編集者などの知己・親戚で急逝なさった方が7人、執筆が始まった後に軽傷とはいえ交通事故が2人、そして後書きを書いている最中に平山先生の奥様が当て逃げに遭われた(呪い祟りは怪談本の景気づけ…とはいえ10人(2桁)の大台とは、ちょっと多過ぎる。)そうで、いい加減にお祓いに行った方が良いのではないか(「そうなのだ。我々は今回もまた、お祓いをまるでしていないのだ。」by加藤一先生)と復刊した最初から不安にかられた1冊目でした…。

 腐り縁…アヤ「デートの最中にひき逃げした男や、妻子持ちの窃盗の常習犯、毎日ドアポストから手を入れてくるストーカー、麻薬の売人、企業舎弟(ヤクザ)、詐欺師、強姦魔、横領犯…ナンパについて行ったり、出会い系サイトに手を出した訳でもないのに、付き合う男、付き合う男と何かツイてなくって。」
パート仲間「それ、アヤちゃんのせいじゃないね。思い出の品に、べっとり生霊の念がついてる。処分しないと男運だけじゃ済まなくなるよ。」

浮気やパチンコ・競馬狂いとかだったら、男を見る目が無かったにしても、まだ「よくある別れ話」(笑い話で終わるレベル)で済ませられる。けれど↑のような「警察沙汰レベル」ではさすがに誰も共感してくれず(もはや「笑って済ませられる軽い話」のレベルは超えている。)自分は知りもしなかった「そんな男の事情」に巻き込まれた被害者なのに、「女のアンタがだらしないからよ!」とか「隙が有るから犯罪者につけ込まれるんだ!」(だって私達はそんな犯罪者と関わり合いになった事は無いんだもん。)と叱られるばかりで、だんだん誰にも相談する事も出来なくなってきたある日、元彼の特徴と合わせて↑のような事を言われて「そういえば、そんな男達と関わり合いになったのは学生時代に付き合っていた彼と別れてからだ。」とも合点がいったそうです。という訳で思い出の品(ブランド物のジャケット。それだけはタダで手に入れたプレゼントの中でも、もったいないからと取っておいた。)を処分した現在、彼女は鋭意恋人募集中だそうです。

 なんでも屋…大磯「妙な奴に『下着盗ってこい。仕事なら構わないだろう。』『好きな女の後つけて住所を調べてくれ』とか犯罪がらみの仕事を請け負ってほしいと言われる事も多いんですよ。私らレベルがやると軽犯罪法に触れたり、条例で不法行為に当たるし、断るのはいいんだけど、ヤクザ関係の人の場合はやっぱり冷や汗かきますよ。」

で、結局「何でも屋」の仕事の大部分は引っ越しと御家掃(ゴケソウ。人が死んだ部屋の清掃。)になり、ゴミ処理代をパクる為に不法投棄を繰り返していたら、いつの間にかその場所が事故多発地帯になっていた(オイ!)というオチには予想通りながらもツッコミを入れてしまったものでした。ちなみに「本当は瑕疵物件」ながらも、勝手に死んだ人間のせいで部屋の価格を下げる羽目になっては大家としてはたまらないという事で、和室なら畳をめくって一枚、フローリングの部屋なら壁のクロスに挟んで上から一枚、ワンルームならユニットバスの天井裏(丸い蓋を開けて少し奥。)と、何でも屋さんにお掃除(リフォーム)ついでにコッソリお札を貼って貰う事も多いそうで、結局、人に表立っては言えないヤバめな仕事が多いんだな、と改めて実感した「軽作業従事者」の様でした。耳慣れない職業に妙な憧れは持たないようが良い様子です。(「漫画のような有閑マダムとの出会いなど万に一つも無いし、あったとしても向こうで待っているのは小錦」だそうです…。)

 ボッタクリ…須田「嘘はつかないよ。お一人様、完全パックで五千円五千円五千円五千円だから!女の子よりどりみどり飲み放題で五千円五千円五千円、ほんと五千円!」
平山「…で、本当はいくらなんだ?」
須田「バーカ。1人四万円だよ。五千円って8回言ってんだろ、HAHAHA!」

へー、新宿歌舞伎町の客引きの手ってそういうのなんだ…と呆れながらも感心した(確かに「嘘は言っていない」が、重要な部分を隠し立てして、客が気づいていないのを良い事に騙してるでしょ。)ものの、それでも法外とはいえ「払えない金額ではない」し、女の子達にそれなりのサービスもさせていた辺り、その店はまだ良心的だったそうです。酷い所は始めから「かっぱぐ」事を目的として「数百万単位の金なんて払えませんよ!」「…兄ちゃん、ちょっと表に出て貰おうか。」→半殺し&窃盗というオヤジ狩りのような営業をするハイエナ・キャバレー(そして毎月ビルを変えたり「事件数」の多さに警察が介入してくる前にはトンズラしている。)であり、当の店の裏であまりに酷く殴られた為に首が後ろ向きになって吐いていた男性を見て以来、須田さんはその町でのバイトを辞めたそうです。風俗街って怖い所なんだなあ~という現実を改めて認識させて貰った話でした…。

 厭な店…各務「オーナーはバイトや業務サポートの私達にはセコく当たっても、お客さんにはペロペロ猫撫で声を出してましたから、それなりに常連がついてきたのに、見てみるとその常連客の多くが怪我をしてるんです。」
地元民「あいつら、工事の下請け業者にも酷い事してやがるから、頭にきた工務店が基礎工事に敷く砂利を檀家が廃れて無縁仏になっちまったお墓の石を潰して砕いたのを敷いてやったって言ってたよ。」

新しいコンビニ支店が出来ると軌道に乗るまでの1、2週間、店長に手取り足取りマニュアルを指導する業務サポート(開発応援)の各務さんの立場は微妙であり、本部からすれば教育係(上司)なのに、加盟店側からしてみれば自分達こそが加盟してあげた「お客様」だと口の利き方一つで怒鳴られる事も多く、個人商店がコンビニに鞍替えするケースが増えてきた昨今(要するに今まで「一国一城の主」であった彼らは、今日からは「本部という権力の下に置かれた一部下に過ぎない立場」という現実を分かってくれない。)色々と辛い目にも遭われてきたご様子です。そして、そんなオーナーだからこそ他の人からも恨みを買って「出る」コンビニになってしまった経緯には、本当に態度には気を付けた方が良いと改めて実感してしまいました。ただ、立地条件だけは良かったので当のコンビニは、流行るでもなく廃れるでもなく、現在も平行線状態で営業中らしいです…。

拘束・束縛・恋人プログラム

2009.05.20
 実はこの話に出てくる警備会社は他ならぬ「優しい~」シリーズの番外編主人公が転職した先でもあり、同僚として本人と犬が脇役で出てきた時にはビックリしたと同時に「…アレ?彼氏の恭悟君は?」と多少の不満も感じたものでした。(プライベートで付き合っているだろうから、「仕事中」に職務を忘れてイチャイチャ会ったりはしないだろう。主人公カップルじゃあるまいし。(爆))資産家の一人息子とボディガードという一般にはまず見かけない設定の2人の話ですが、ツッコミ所は多くて結構楽しめたものです。

 華月春真…「今日、大学の外で知らない男達にさらわれかけた!そいつらに俺『うまそうな子猫ちゃんだな』って意味不明な事、言われたんだ!理由を教えてくれないなら、家出して生活費の為に夜のバイトも始めるからな!」

良家の子女って、それを知られるだけでも大変なんだな(そういえば昔、母親が金持ちだってだけで攫われたガードの緩い女性がいたな。)と資産家ならではの苦労に納得が行くのと同時に、おかげで大学生になった今でも世間ずれせず純情に育ち、結果として周りと上手くコミニケーションが取れずに、彼女の1人もいない有り様(ファーストキスが男相手ですか…。)に同情もしてしまったものでした。男なのに痴漢に遭い、男(昇陽)に口説き落とされ、3巻では集団で性的なイタズラをされかけたって、この子もこの子で大変な人生を歩んでるよな(現実でも「可愛い子」だから攫われて犯されて捨てられた事件を耳にするし、もはや美形に生まれると、それだけで損をする時代なのかもしれない。)という様をまざまざと感じてもしまった主人公です…。(ボディガードという名の彼氏に守られているなんて夢のようだけど、それって変な男に狙われているから成立した状況であって…。)

 呉橋昇陽…「俺を恋人だって言った事には責任を取って貰います。身の危険を、俺で身をもって体感して下さい。」

アンタが一番、危険なのかい!(貞操的な意味で。)とツッコミを入れると同時に、第一話(早!)にして主人公のファーストキスを奪い、1巻の終わりでは相手から告白させるほどその気にさせ、2巻からは既に同棲を始めている、手熟れのホストのような対応の上手さ(普通だったら、いくら可愛くても「世間知らずで、すぐに拗ねて、甘えてばかりの幼い性格の男」なんて正直つき合っていくのが面倒臭い相手である。)に思わず溜め息が出たものでした。と同時に確かに主人公相手では、こういう包容力があって強引にリードしてくれて、ワガママや甘えも笑って許してくれる大人の男じゃないと務まらないだろうなあ、と改めて実感もしたものです。最も、恋愛においての相手の扱いが上手いだけあって「過去」はいっぱいあるらしく(「過去」で済んでれば良いけどね…。)こういう人と付き合うのも大変ではあるでしょうが…。(これだけ仕事に忙しく、これだけ恋人との時間を作り、その上で他にも女がいるとすれば、それはそれで見上げたもののような気もするが…。)

 華月小雪…小雪「私、結婚する事になったの。アラブにある産油国の第二王子であられる方なんだけど…。」
昇陽「春真坊ちゃん、しっかり!…そりゃ、一国の王子だし気も遠くなるだろうけど。」
旭人「第二王子とはいえ、何かあったら政治的にも問題視されるレベル…。」

19歳大学生の年の離れた姉(=20代後半)という年齢を考えると、ちょうど適齢期で結婚もするか、と納得もできた展開ですが、だからと言ってアラブの王子はちょっと行き過ぎてないか!とスケールの大きさにツッコミを入れると同時に、当の国の文化を考えて不安にも思えた結婚(「アラブ旅行に来たら、何だか道行く人に愛の告白ばかりされるのよね。私も『王家の紋章』のキャロルみたいにモテモテ?」「違いますよ。この国は一夫多妻制なんで小金を持っている男は誰かれ構わずプロポーズするんです。珍しい日本人なら、なおさらです。」by「王家の紋章」文庫版後書き)でもありました。それにしても大学生にもなって「義兄なんて俺は絶対にいらない!考えただけで気持ち悪い!」と大泣きするなんて、春真坊ちゃんはよっぽどのシスコンだったんだなあ(まあ、それだけ純情だったって事なんだろうけど。)と改めて実感もした有様でした…。

 グレン・シャゼル…グレン「春真坊ちゃんは、私の仕えるマフムード殿下のお妃になられる方の弟君です。だから私が責任を持ってお護りします。命に代えても王子に恥をかかせるような真似はできません。」
春真「ちょ、ちょっと、手にキスなんて辞めて下さい!ここ、大学の構内!人が見てますってば!」

「外人なんだから価値観とか色々ずれてても仕方ない」のかもしれないが、それにしたって、人前で麗しい金髪碧眼の白人の男が男相手に腰をかがめて手にキスしていたら目立っただろうなあ(ナイトですか、アンタは!)と、友人に過ぎない男の頬にキスしてる小雪と同じく日本でそれをやられると反応に困る態度を取っている彼にツッコミを入れてしまいました。(外国では「よくある光景」でも、日本では「映画でしか見ない非日常な光景」であり、誤解や噂話を招く触れ合いである。)この人は、この作者の作品でよく使われている「郷に入りては郷に従え」(ローマではローマ人のように振る舞え。)という言葉の意味を、もうちょっと学んだ方が良い、と実感もしてしまったものです。最も、そんなに目立って存在感のある彼も、この話上では「当て馬役扱い」に過ぎず、オマケで描かれている通りに「忘れられてた人」に過ぎない辺りが痛いですが…。(目の前でイチャイチャは辞めてあげましょうよ、春真坊ちゃん…。)

大人と子供の境界線・好きと嫌いの境界線

2009.05.20
 2冊で話の順番が色々前後しており、どっちから読んでも時間が飛んでいる部分があるので、取りあえず通して読んで時系列をつなげていくのが得策の初期シリーズです。元々は読みきりで、それがこんなに話を続けられたのはリクエストの手紙のおかげだと後書きにも書いてあった(つまり、そういう要望が無いと書かせて貰う事自体が難しい世界なのね…。)辺りに、この業界の厳しさも感じたものでした…。

 平井透巡査…貴文「俺が好きな人を押し倒したいって言ったら、中学生がそんな事を言うもんじゃないって怒られたよ。」
同僚刑事「好きな娘がいるのか?でも無理矢理はいかんぞ。女の子が可哀想だからな。その前にお前の年じゃ犯罪だな。」
貴文「じゃあ、男なら良い?」
同僚刑事「そりゃ、押し倒される男がバカだわな。でも男なんか押し倒したって楽しくないだろ~。」
透「…!(泣)」

「やっぱり変だ。何で、こんなにコロッと昔と態度が変わってるんだよ!?」という違和感の通りに、人懐っこい態度の裏には下心があったというお約束のオチ(世間に出れば自ずと分かる。出会った当初から馴れ馴れしい男との馴れ初めには、大抵そういう落とし穴がついて回る。)で話は進んでいました。しかも相手が子供(中学生)である為に、過剰なスキンシップも甘えられているだけとして流されて、↑のような関係になっても8歳年下の中学生男子に組み敷かれた大人の男という有り様は、爆笑こそされ、誰も同情してくれないという厳しい現実が待っていました。普通は将来のある(青春の思い出として、いくらでも潰しが効きそうな)貴文でなく、これから結婚を考える年齢の透の方こそ、男との恋愛にブレーキをかける事を考える立場だと思うのですが、最初から相手の事しか考えていなかった時点で、今思えば色々と終わっていたんでしょうね…。

 東城貴文…父「お父さん、この新堂君と一緒になろうと思うんだ。貴文は嫌か?」
貴文「嫌か、だと?今まで散々、俺の事一人にして、ほったらかしといて、今度は赤の他人と一緒に暮らせって?ふざけんな!」

父子家庭で祖母の所に預けられっぱなし、孤独な心臓病少年(当然、学校へも人並みには行けず、普通の子より友達は少ない。)の姿に、小さい頃から「高貴(父親)のせいで苦労させられて可哀想に。」と女性達にえこひいきされた結果、当然の展開としてゲイなのに男達には嫌われた。(男女問わず「異性にモテる人間」は自然と同性に敬遠される。)不利な立場に、好きな子に雑巾を投げ付ける心理で初恋の相手(男)に嫌がらせを繰り返したら、発作を起こした時も信じて貰えずに、キレて上の立場にある祖母と一緒になって暴言を吐いたら、相手にもされなくなった(気まずくなった彼の一家は、遠慮して祖母の家にも来なくなり、会う事さえできなくなった。)…という「過去の失敗」から彼も学習して、相手に嫌われるばかりのイジメっ子キャラから、甘え上手の人懐っこい性格(↑のセリフの本音も隠して、アッサリOK出すほど猫を被ることが上手になった。)に変わった様子です。そりゃ、ゲイでも上手く隠して世の中渡っていけそうだろうな、と納得もしてしまった成長ぶりでした…。

 東城良平…良平「今の世の中、貴文みたいなスカした奴より、俺みたいなお笑い君の方がモテんねんで!」
貴文「良平みたいのは『いいお友達よね』で終わるタイプだろーが。」

確かに「遠くから見ている分」(周りからキャーキャー言われる観賞用美人)としては貴文の方が上だろうけれど、「一緒にいて楽しいタイプ」(友達としても楽しい相手)は良平の方だろうなあ、と何となく納得した持論でした。理想の相手と、現実に付き合っていける相手は別というか、美形な上に女の裸に興味ありませんなんて本気で言いそうな貴文(実際、ゲイだからその通りではあるんだろうが。)の方が「クール」な分(迫りくる性欲を感じなくて済む分)お綺麗で女子としては憧れを抱くタイプでしょうね。でも、それって自分(女)にも興味が無いっていう意味で、付き合えても長続きはしないだろうな(結局、美人なんて3日で見飽きるし、むしろ、自分を持てはやしてくれる「お笑い君」の方が一緒にいて楽しいだろう。「構って貰えないと寂しい女」は特に。)と頷けたものです。最も、この場合、彼らは2人共ゲイなので、どっちに狙いを定めても玉砕は確実でしょうが…。

 木ノ原幹…擁護教師「勘違いするなよ。風邪気味の彼の服を脱がせてあげてただけだから。」
良平「アホ抜かせ!だったら何で部屋の鍵を閉めとんじゃ、このクソエロ教師が!」

真実、疚しい事はしていないのなら「なるべく状況を隠そうとする事」などせずに、「いつ誰に見つかってもOK!」と堂々とできるはずでしょう(「自分は何も知らない無実の人間だ。」と貴方が胸を張って言い張れるのなら「見つかってマズイ事」なんて何一つ無いはずでしょ?)と人を騙して美味しい思いを味わおうとしながら、「そんな自分の姿」はなるべく世間から隠そうと自宅付近以外の店を指定しようとした▲▲さんの姿とダブらせながらツッコミを入れてしまった話でした。(自分が汚い隠蔽工作をしてるって、誰よりも自分でよく分かってるんじゃない。「公表したくない状況」という時点で怪しさはバリバリだし、それでも友達の名目の元に私だけは騙されて良いように動かせるだろうと、たかを括っていたゲスな心情にも幻滅したよ、▲▲さん。)結局、そんな人間だから「相手の勘違い」で誤魔化そうとしてもバレてるし、身近な人間にも見限られるんだよ(損得勘定で相手を利用する事しか考えていないから、一番の仲間だと思っていた、よしみつさんにも同じ「利用」扱いで返されているって、そういう話だよ。考えてみれば、お互い「同類」だから当たり前だね。)と自業自得の元に恋人を手にできなかった(どころか敵の株を上げている。)登場人物の様に深く頷いてしまった、そんな話でした…。

ハトシェプスト

2009.05.20
 この本のテーマは「男女」だったのか、男装の麗人ハトシェプスト女王(古代エジプト王朝で唯一人の女ファラオ。王位継承権を持ちはするものの「国王」にはなれない王女で、「王」を名乗ったのは彼女だけ。かのクレオパトラ女王も政治を取り仕切りはしたものの、玉座にはお飾り王として弟や息子を座らせていた。)といい、両性具有(キメイラ型)の殺人犯といい、母親のトラウマから男装させられていた少女(おかげでロリコン連続殺人犯にも殺されずに済みました。)といい、性別が微妙な人が多々出てくる短編集です。でも、性別よりも何よりも「マトモな思考回路をしている」事の方がずっと大切なんだな、という当たり前の事にも気づかせて貰った話の数々でした。

 ハトシェプストⅠ・Ⅱ…「イシス」にも収録されており、記事で散々語ったので今回は割愛。

 キメイラ…磯村「こんな真夜中にシャワーの音が!ウフ…もしかしたら翔さんのヌードが見られるかもン。」
回想「今、思うと死体のあったシャワー室に夜中出掛けてみるなんて、何という怖いもの知らずの私でしょう。しかし私のスケベ心は恐怖心に勝ったのでした。」

そして、いかにも心配そうな風を装ってカーテンを引いてまで彼女の全裸を見ようとした(「ああ!私ときたら、もう絶望的な位にスケベな人です!」by磯村さん)辺りに、…え?そこまでそっちの趣味に走ったの?と自然を通り越した不自然な展開にツッコミを入れてしまったものでした。(最も、妻子持ちの藤原コーチのように、己も全裸になって襲いかかろうとした訳ではない分だけ、まだマシですが。←辞めろよ、妻子持ち。)ともあれ、自分は彼女の事を特別に思っており、恋人という「特別な立場」を彼女から与えられる事は無くとも、彼女が誰の気持ちにも無関心だった事で安心していた…要するに彼女は「自分の事しか考えていなかった」だけなのですが、周りの皆同様に自分の気持ちにも興味が無いんだと認めるのは辛い事なので見て見ぬ振りをしてきた(「後から考えればアホみたい。彼女のそうした態度は、私に対する態度でもあったのにね。」by磯村)って、まるで、よしみつさんの周りにいる人みたい(友情を示そうにも、犯罪行為を繰り返す彼女の前にはフォローの仕様が無く、また彼女自身がそんな友達を犠牲にする事を何とも思っていない辺りなんか特に。)と思ってしまった話でした。彼女(よしみつ)にも心はあるし涙もある。けれどそれを発揮するのは「自分の為だけ」で、他のどんな人間の事も愛してはいない(でなきゃ、友達の評判を落としてまで無言電話を続けたりはできないだろう。)というくだりにとても納得が出来た、病んだ人間の様でした。

 海の魚鱗宮…甥「お隣、逮捕されたよ。この町に戻ってくる前にいたW市でも女の子2人を殺ってるらしいんだって。叩けばまだまだ余罪があるだろうってさ。」
母「昔、海で死んだ奈保子ちゃんも、もしかしてあの人が…あの子はレイプされて首を絞められていたんだよ。考えてみれば、あの事件のすぐ後に石田さん一家は引っ越していったね。」

「あの人がそんな人間だったなんて…そんな変な人には見えなかったのに、影で何をやっているか分からないものだね。」(でも、考えてもみれば、あの人が犯人だと思えば全てに辻褄が合うわ。)って無言電話女のよしみつ、そのまんまじゃないか!とツッコミを入れると同時に、だからアンタの友達も両親も、もちろん警察も「証拠が無い」にも関わらず、誰もよしみつさんの無実なんか信じちゃいないんだよ、状況の全てが貴女が犯人だと指しているんだから(「よしみつ一家が警察に連絡をしたその日から無言電話が止んで、犯人と疑われて連絡を入れられた日から再開したって、真犯人以外に出来るはずが無いじゃない。そんな基本的なミスをするなんて、フォローの仕様が無いわね。」by理髪師さん)と思わず語りかけてしまったものでした。こういう人って中年になっても改まらないんだなあ…と、いい年をしながら相変わらず親の脛を食い物にして、逮捕されるまで犯罪行為を続ける犯人の様(ていうか犯罪者を抱えた家族って、どこもこういう親なんだな。)に、知らず溜め息が出たものです…。

 スピンクス…看護婦「しかし酷い母親ですね。溺愛のあまり彼を学校へもやらずに、これじゃいけないと自立しようとした息子の目の前で車に飛び込むという事をやってのけるなんて…怖いわ。」
医者「狂気の母親に育てられた子供こそ、いい迷惑さね、全く。」

これで親の方だけは「こんなに子供に尽くしてあげている自分」に酔っていて、普通の親なら絶対にしない事まで許している自分を逆に凄い存在だと勘違いしているのだからタチが悪いよな…と、娘が何度、無言電話をしても証拠偽造をしてまでそれを続けさせ、警察に怒られても止めもしない、よしみつの両親(こんなにコケにされても私は子供を愛してるの、と辛い目に遭っている反面で自惚れている狂気の親。夜中に大音量でステレオを流したり、ガンガン壁を蹴りながらビルの階段を下りていく息子といい、本当に辛くて迷惑しているのは産んでもいない他人の子の為に被害を被っている周りの住民の方で、ダメ娘・ダメ息子を野放しにしているアンタ達じゃないのだが、そういう現実は見えていない様子である。)を連想させながら読んだ話でした。子育てって「子供をマトモな大人に育てる」という事で、ニートを無駄に養っているアンタ達の苦労とは別に、子供を「きちんとした普通の人間」に育て上げていない時点で、それは虐待だから、と常識の元にツッコミを入れてしまったものです。

いま、殺りにゆきます

2009.05.20
 思えば昔は、よほどの変人でもない限り、人を刺したらどんな気持ちがするか試したり、何度も無言電話を続けたり、相手が飼っているペットの足を一本ずつ折って行ったり、犯罪行為にまで化した嫌がらせを繰り返せば自分の悩みは解決するなどと考える人間は少なかったように思います。ところが今は友人や恋人、自分の身近にいる犯罪など一番しないだろうと思われる人が平然とそういう事をしている、既にこの世は引き返せないほど狂い果てた人間が溢れかえっているという後書きの言葉に力強く頷かせて貰った、今回も濃い展開を見せる「怖い人間」の実話恐怖集でした…。

 上ル下ル…横井「上りエスカレーターに乗って携帯でメールを打っていたら、下りエスカレーターに乗った男からすれ違いざまにグイッと髪を引っ張られて転落しそうになったの。」

そりゃ携帯メールなんか打って「私は両手を離していて、目も周りなんか見ていません。」とアピールしていたら事故や犯罪に巻き込まれるって…(警察曰く、犯罪者が一番狙うのはウォークマンを聞きながら携帯メールを打っている「目も耳も他の事に気を取られている女性」だそうですよ?)と、横井さんの不手際にツッコミを入れてしまったものでした。幸運にも反射的に伸ばした手が手すりを掴めたおかげで大事(転落)には至りませんでしたが、男はエスカレーターを降りるとサッサと逃げ出してしまい捕まらずじまいだったそうですし、「エスカレーターに御乗りの際は手すりにしっかりとおつかまり下さい。」というあのアナウンスは正鵠を得ていたんだな、と実感してしまった話でした。というか、基本的に野外で携帯操作をするのはアウトですね、安全面的に。

 セメントいきます…小野田「そういえばドアノブが緩々になってたんですよね。始めは少し硬い感じがしてて…何だろうって思ってたんですけど。」
警察「多分もうその時点で何かノブに細工をされていたんでしょう。何回か無理に開けようとすると中のシリンダーがずれて緩んだり、逆に硬くなったりするんです。」

そして、その夜寝ていたらいきなり右腕、左足、左手と折られ彼女の上にダイブするように顔面を殴りつけられた(そして左手を股に挟んでそのまま体を捻って床に倒れるように折った時に男が言った言葉が「セメント行きまあす!」だった。)あまりの激痛に失禁・嘔吐したら「汚いなあ。これじゃ試合にならないじゃないか、バカ。」と去って行ったは良いものの、携帯は持ち去られていたし、立ち上がる事も這う事も出来ない彼女はベッドの上で叫んでいたがその日が休日という事も有り誰も助けに来てくれなかった(運悪く彼女が会社に行かなくても誰も不審に思わない日曜日だった。)という有り様には、やっぱり女の一人暮らしはするものじゃないな(家族と同居していたら、いくら何でも激痛に叫び続けている娘はもっと早くに発見されている。)と吐いた吐しゃ物が腐り始めてもそのままで、覚悟を決めてベッドから落ちても誰にも気づかれず、夕方になってようやく発見された彼女に同情してしまったものでした。そして現在の取っ手を押すタイプのドアは鍵と別になっている事もあって安全性が高いんだなと納得もした話でした。

 謎電…変態男「……。」(無言電話)
松本「もしもし…あのね、こんな暇な事してるから人生つまらないのよ。死にたいなら死ぬか、辛いなら病院に行きなさい。」
警察「このタイプはかなり執念深い。油断しない方が良いですよ。多分、捕まるまで一生つきまとってくるでしょう。本当に奥さん、心当たりはありませんか?」

頻度からすると多い時で一ヶ月に3回位の無言電話、それでもそれ以下にはならず必ずかけてくる。挙句の果てには家に不法侵入してベビーベッドで眠る赤子にピアノ線を仕掛けていった…という様には、思わず現在でも懲りる気配も無く3年以上も無言電話を続けている、よしみつを思い出したものでした。(多い時で毎週木曜日、月に4回位の無言電話。挙句に相手(私)が動じないのに逆ギレして職場への無言電話やIPアドレス不正使用にまで犯罪行為をエスカレートさせていった辺りなんか酷似している。最も我が家の場合は監視カメラが常備してあるので不法侵入者はすぐに分かるし、その場で捕まえられるのが幸いですが。)家と携帯電話にまで無言電話をかけられた様から私は「心当たり」が割り出せたけれど(だって携帯を持ち始めたのが就職する寸前で職場仲間以外に番号を知っているのはごく限られた友人だけ、しかも電話は「皆が立派に働いている朝10時過ぎ」にかかってくるとくれば…ねえ。)私より下の携帯世代は、知り合い全員が番号を知っている分だけ割り出すのが困難なんだと別の視点から同情もしてしまった事例でした。取りあえず犯人が何をやっているか自覚(だけでも)させる為にもブログ等で全てをネットに流してみてはいかがでしょう、松本さん?

 記念写真…大川「寺巡りをしてる時、気持ちの良い場所だったら長くいたくなってしまうし、逆に思った以上に混み合っていれば早々に引き上げたくなるんですよね。でも友達が一緒だとそういう勝手がなかなか難しいじゃないですか。だから、その日も1人で150段位の階段を登っていたんです。他には誰もいませんでしたね。」

そうしたら、もうちょっとで階段が終わるという所で、下りて来る人からすれ違いざまに目にスプレーを吹き付けられ、勢いよく体当たりされたせいでマトモに転落し、茂みの中に引きずり込まれて「記念写真」を取られた。(足と手首を骨折、鎖骨と肩の骨にヒビが入る重症で携帯電話は転落の衝撃でポケットの中で壊れてしまっていた。)そして最近、その時盗まれた財布(免許証)から住所を知った様子で当の「記念写真」が送りつけられてきた…という有り様には、だから女の一人旅って危ないんだよ、と後の話と合わせてツッコミを入れてしまったものでした。一人旅は確かに自分1人の都合だけで動けて煩わしさが無い、けれど誰にも助けて貰えないというリスクもある事は重々承知しておいた方が良い(むしろ今までの寺巡りで、よく無事で済んでいたな。)と当たり前の防災論を改めて感じた話でした。

 串打ち…田口「冷凍庫から凍ったモツを取り出すと、その表面に一斉に蝿が取りついてさ、あいつらバカだからモツの表面であっという間に凍りついちゃうんだよね。別に俺らが食う訳じゃないから、いちいち摘んで取ったりしないけどさ。」

殺虫剤は一応「食べ物」を扱っているので使用できない、作業場に蝿取り紙は何本もぶら下がっているがほとんど役に立っていないという環境で、作る人も一本でも『串』を完成させる事が先決だから「蝿なんて、そのうち溶けて落ちるか、焼け落ちるか、焼き手が気づいて取るだろう。」と完全放置されている有り様だそうで、正直モツを食べたい気持ちが半減したものでした。挙句の果てには凍死する前の断末魔の蝿がモツに卵を産みつけてしまい、当のモツに串を刺している(ヌルヌルと滑るからどうしてもモツ(蝿の卵)と一緒に手を刺してしまう)作業員の手が蛆の巣になっているという有り様にはドン引きしてしまいました。蛆は勝手に出てきて体の他の部分にまで寄生している(作者の目の前で彼の頬にできた吹き出物から体液と共に小さな蛆が出てきた。)姿には、絶対にモツ問屋でのバイトはしたくないと心底思ってしまった、そんな話でした…。

 大土星王…大土星王コメント『自分の女になる為のその一』『奴隷の喜びとは』『女犬之心得』『高蛋白雄汁料理』etc
友人「ねえ、『大土星王の館』ってHPの写真、目隠ししてあるけどどう見てもアンタに見えるから、ちょっと確認して。」
山口「もしかしたら私が無防備にブログに上げた写真の中に個人を特定できるものがあったのかもしれません。」

かの工藤勘九郎も「クドカン、店の中なう。」というツイッターの一言から、その人のつぶやきを辿って「マニキュア新しくしたの!」という言葉から同じ店の中にいる爪を染めたこの女だと「犯人」を特定した話を読んだ事がありますが、デジカメで撮った写真を添えた日記ブログでは「まるっきりの別人になったつもり」でも分かる人には「正体はこの女だ。」と目星をつけられたのかもしれません。セクハラ極まりないコメントシリーズを(ブログを一度閉じて別の所から新しいブログを始めたにも関わらず)2度に渡って送りつけられ、一人旅をしてみたら彼女のすぐ後ろから撮った写真や撮影者が振り上げたナイフが写り込んでいる写真がアップされ、さらに次のページには彼女の住んでいるマンション、部屋のドアが写っていた…という様には恐怖を感じると共に知らせてくれた友人にもっと感謝すべきだなと実感してしまいました。「どうせ誰だかバレないでしょう。」とネットの匿名性を盾に高を括っても分かる人には分かるし、無自覚で本性をさらけ出している分だけ勘づかれた時には危険なツールなんだろうなと改めて思ってしまったネット社会の有り様でした。

 みっくちゅじゅうちゅ…恵子「彼は色々な脚本のコンテストや小説に応募すると言っては授業を休んだり、闇雲に部屋に籠ったしていたんですけれど、結局、最終的には締め切りまでダラダラと過ごしてしまい一つも物にはならなかった。何かに集中しているんだっていうポーズに溺れいているだけのように思えました。」
彼氏「俺を捨てるのかよお~。自分だけサッサと就職して良い目を見てよぉ。」

実際問題ニートよりも就職して働いている人間の方が苦労しているのだが、そんな恋人でも、愛しているなら相手を信用し続けるのが愛情だと思い、外食してもバイトすらしない彼に代わって支払いをしたり、必要だという資料を買い与えたり尽くしてきたが、彼は献身すればするほど、それに甘えるようになっていった。挙句には自分の都合に合わせて付き合ってくれない彼女を逆恨みして無言電話、中傷、脅迫、不法侵入の果てにミキサーに手を入れさせようとしたなんて、ストーカー女の、よしみつみたいな男だな(最も、その男の親はマトモで、そんな事をしでかした我が子の行状に平身低頭、謝っていたのが大きな違いだが。)と、「ゲーム関連の仕事に就きたい!」と口先では言いながら、就職話も会社が関西にあるから(千葉に住む親に面倒を見て貰えなくなるから。)と自分で蹴り、企画書は一つとして物になった例はなく(人に案を考えさせながら覚える気はなく、2度3度と話させた挙句に携帯の録音機能を取り出して語らせようとする様には呆れた。終いには「上手く行かないから最近では企画書を書く事すらしなくなった」という体たらくである。)人に資料とは名ばかりの山田章博の画集を買い与えさせ(もはやシナリオライター(物語担当)になりたいんだか、プログラマー(絵担当)になりたいんだか不明。完全な彼女の趣味である。)現在でもニートを続けている(それだけならまだ良い。親の脛を食い物にしながら、やってる事は無言電話という犯罪行為なのだから始末に負えない。)身近にいる変態女がダブって嫌悪感が募った話でした。こういう人間って離れようとしてもしつこく嫌がらせを続けてくるし、関わり合いになってしまったのが不幸だったという事なんでしょうね…。

クローバートレフル①~④

2009.05.20
 多分、遅くにやってきた純情…を描きたかったんでしょうが、作者も「誰よりも家族思いのヒロインだからこそ素敵な人(それは細谷さん!?)といつか結婚できると信じている。」と語っていますが、10代後半や20代前半の「若い女の子」だったら可愛いと解釈できる行動でも(多少、痛い言動をしても可愛いという範疇で許して貰えるが)、30を過ぎた老け顔の女がブリブリ恋愛脳を発揮している姿は見ていて痛々しいな(前ヒロイン沙耶の時は「自信は無いけれど一生懸命で、おかげで空回りしている姿」が素直に可愛いと思えたけれど、妃女子は所帯臭さとかダサイ下着とか以前の問題で「惨めったらしい女」にしか見えない。)と年齢に合わない幼さ(会社の中で、男の前で、脱いで下着を見せるなよ…。それは下着売り場の店員さんに確認して貰う話で恋人でもない男に見せるものではないよ。)と合わせてあんまり好きになれなかった話でした。元祖クローバーのキャラ達のその後が拝めるのは美味しいけれど…それが無かったら読んでもいなかったかもしれません。

 鈴木妃女子…妃女子「ブライダル雑誌。10代後半の結婚に夢見る年齢と、結婚が決まった20代独身以外の女が買うと非常に痛い雑誌。特に彼氏もいないような30代の女は決して手を出してはいけない。でも今、可能性はゼロじゃなくなった!」
里李香「妃女子!男、ドン引きだよ!付き合って4日目でブライダル雑誌買ってるなんて!」

ていうか同じ家に住む妹がそういう雑誌を買っているなら一緒に見せて貰えば良い話で、わざわざ新しく買う必要も無いでしょうが!(そこ?)というツッコミと同時に、何だかこの人、▲▲さんと同じ匂いがする(顔文字満載の可愛い子ブリッコメールといい、「年齢と容姿に似合わない」乙女チックな言動といい、「可愛いタイプ」として生きていきたい気持ちは分かるけれど明らかに外している様が…。)と引きながらも妙なリアリズムを実感してしまったニューヒロインでした。里李香の言うように「女友達」だったら、そういう妃女子を可愛いと思う(その場の空気と彼女の気持ちを理解して「可愛い扱い」をしてあげられる。)けれど、デリカシーの無い、自分に正直な「男」は素直に遠ざかるだろう(30歳を過ぎてそこまで夢見てる女は普通に怖い。)と漫画だから上手くいっている展開(振られずに済んでいるのは、前作同様「付き合っていても恋愛って難しい」というテーマである以上、ここで別れたら連載が終了してしまう(禁句)という裏事情のおかげであって現実だったら確実に終わっている。)にツッコミを入れながら読み進めたものです。処女じゃない事実も「その年齢で未経験というのはダサイ」(まだ経験者であった方が格好がつく。)のではなく「この女は機会があれば軽々しく股を開く女なんだ」(ただ今まで1人しか相手にしてくれる男がいなかっただけで。)としか思えず引いてばかりの共感できない女主人公でした…。親を早くに亡くして妹達を養育する為に恋愛どころじゃなかった「事情」があったのは分かりますが、事情があるなら尚更、自分のワガママで血のつながりも無い相手にその重荷を背負わせるのはどうかと思いますし、24才という若い男(妹尾くん)との逆玉を狙った辺りも、自分はまだしも相手の人生を考えないの?とツッコミばかり入ってちょっと好きにはなれなかったヒロインです…。

 妹尾翼…妹尾「僕、結婚する気ないんです。仲の悪い親を見て育ったせいか結婚に夢とか無くて。だから彼女は欲しいとは思いますけど皆、結局は離れていくんです。僕は僕でしかないのに。」
妃女子(私、何がしたいんだろう?妹尾君と結婚して玉の輿にって半分本気で思っていたのに。その為に細谷さんまで利用しようとして。)

24才という若さで結婚を考えている男がそうそういるはずも無かろうに、付き合えてもスピード婚の見込み無しと分かったら一気にやる気が失せたって、何なんだ、この女は…(何なの、その損得計算しか考えていない思考回路は。)とプチ失恋の反面、全然同情できなかったプロローグでした。そもそも彼を落とす為に他の男とセックスして寝技を磨く(他の男の肉体だけ利用する。)という考え方自体、私には間違っていると思えたし(普通に恋愛すれば良いだろ。30歳の自分の実力では彼を口説き落とせなそうだから「寝技を利用して相手を嵌めようとする」ってどうなのよ?)そういう関係に燃えるか萎えるかは人次第だけれど、里李香の言うようにダーティーな感じ(「汚い関係」という事実)は拭えないし、全然共感できないよ、とヒロインに対して改めて引いてしまった恋のきっかけ(細谷教官との関係始め)でした。「結婚するつもりも無いのに付き合いたいなんて勝手な言い分だった」と彼の方が何故か謝っていますが、私にはそれが普通に思えるのですが…。(付き合いも浅い「よく知らない人」相手に結婚を前提に考えている人間の方が私には怖いが。)

 細谷武人…「俺は世間の普通の男女がするような1対1の付き合いはしない主義だったし、アンタの妹だろうが誰だろうが長く付き合った事ないし、一緒にいたいとも思わなかった。だけどアンタは違うんだ。」

(今まで数多の女性経験は有ったけれど)「君だけは違う、特別なんだ。」って女たらしが新しい女をモノにする時の常套句なので漫画以外で信じないように、きっと泣くのは貴女の方です。(「私は今までの女みたいな尻軽と違うわ!ちゃんと恋愛してたのよ!あの人だって私だけは特別って言ってくれた!」「奴は誰にでもそう言うんだってば。」「違うわ!いずれ結婚する気でいたし本当に愛していたのよ!」「プロポーズもされてないのに、よくそこまで思いこめるわね。」by山本文緒「きっと君は泣く」より。)と、ここで一応、忠告は入れておきます。(口先では何とでも言える。今まで彼が散々女を弄んできた遊び人で所詮はそんな男だという過去こそが彼という人間を表している。)女友達が言っている通り「そんな男が急に誠実な男に変貌する」という話も望み薄(男は急に自分を変えられるものでもない。)でしょうし、現実にこんな男から声をかけられたら、関わり合いにならない方が身の為だろうと思ってしまいました…。(彼女が真実「特別」なら、それはそれで今までの「踏み台にされてきた女性達」が哀れ過ぎて、同じ女としては萎えるな…個人的に。)

 鈴木花音…チラシ「鈴木花音はSMの女王!ビッチで最低女!」
坂巻田「このチラシの絵は女王KANONのHPのものだし、セックス画像はどう考えても元彼の盗撮だな。」

作るなよ、そんなHPを!(半分は自業自得じゃないか!)と事実無根の誹謗中傷ではなくて「ありのままの真実(裏の顔)をバラされた」事に焦っている妹の自滅の様にツッコミを入れてしまったものでした。(会社の人間でもない元婚約者が勝手に入り込んだのは立派な不法侵入だが、明るみにされた内容は事実な物だから「名誉棄損」には当たらない。プライバシーの侵害には当たるかもしれないが、その前にプライバシーで何をやっているんだか、という話である。)そしてその原因を作ったのも「姉より先に結婚がしたいから」(自分が姉を差し置いて幸せになる様を見せつけてやりたいから。)というくだらない虚栄心で、付き合ってたった半年のクズ男のプロポーズを受けた(そして、姉の彼氏に手を出す為に振った。)という因果応報な話でしたし、非難されている反面、呆れることしかできなかったバカ妹でした。うわっつらはあんなに清楚に見せかけているのに…ね。(表裏を持つのならもっと頭良くやるべきだったんじゃない、妹さん?)

 木村拓真…妃女子「私、あなたの事ふってないよ。だって『自然消滅』だったじゃない。だんだん連絡無くなって、それで別れたみたいに思ってたけど。」
木村「君が忘れているとはね。10年前もそうだったけど、本当に酷い女だな。」
妃女子「…って言っても、木村君との記憶が私ほとんど無いんですけど。」

一応「かつての恋人」で初体験の相手でもあった男の事を、インパクトのある名前(かのキムタクと一字違い)以外は綺麗さっぱり忘れ去っていたって、それは酷いよ!(ていうか普通は忘れないだろ!)と私も思わずツッコミを入れてしまったものです。3ヶ月も続かなかった、そんな程度の男でしかなかった…以前に付き合って3ヶ月も経たないうちに「何とも思っていないつまらない男」とでも形式上は「彼氏」だからとセックス(しかも初体験)を果たす妃女子の尻の軽さに改めて幻滅した過去話でした。(どんだけお手軽な女なんだ、妃女子は。)そんな「一度寝て後はそっけないという高等テクニック」(始めはチヤホヤしてきたくせに、ある時から急に冷たくされたら誰だって気になる。「上手く行ってしまう王道パターン」ではないですか。)を披露されてしまっては、彼の方は元々好きで付き合っていただけに忘れ難かったでしょうね。おかげで恋愛話が一番盛り上がるであろう20代はその「忘れられない女」のせいで散々だったそうで、当の彼女が完全に忘れ去っていた事と合わせて心から同情してしまった元彼でした…。

「超」怖い話Δ(デルタ)

2009.05.20
 この本の締め切り間際の6月中旬、早朝に作者の事務所隣室から火災が発生(原因は寝たばこ、本人は焼死。)延焼を防ぐ目的で作者事務所のドアも破壊され壁に放水された(元々一室を薄いベニヤのような物で区切っただけなので消防の判断は正しかった。)…為に取材時の備忘録が消え資料も濡れてしまった。締切だっていうのに現場検証、事情聴取、出頭、始末書提出を行わされ、焼き肉臭の中での執筆となった様に、執筆中は火元の奴(霊)が眼前に現れることだけを念じていた(「殴ってやろうと思っていた。」by平山先生)…そうで作家って大変なんだなあと改めて感じた次第でした。そんな呪いも感じる1冊です。

 二組…越谷「人間ってのは薄情なもんだ。俺も他の連中も可哀想だ、気の毒だ、励ましてやれなんて言って善人ぶっていたんだがなあ…幽霊が見えるって悩んでいる行田を泊めた連中は翌日残された足跡を見て誰も彼も波が引くように距離を置くようになった。触らぬ神に祟りなしって事だな。誰だって幽霊に取り憑かれているような奴に関わりなんか持ちたくない。そうだろ?」

鹿児島県国分市と宮崎県都城市を繋ぐ道の一つである財部(たからべ)線。他の道と比べて交通量が少なく信号もあまり無い為、地元では「急ぎの時にスピードが出せる道」として重宝されている反面、山道なので見通しの悪いカーブも有り事故も多く、また「出る」という噂も聞く道だそうです。そこで交通事故を起こし、相手の息子夫婦は怪我で済んだものの祖父と孫を死なせるという大事態になってしまった行田くん。おかげでそれから毎日幽霊が出るようになり、その証拠に靴跡が残っている(「最近はもっと酷い。部屋に帰って玄関を開けたらもういるんです。トイレに入ろうとしても風呂に入ろうとしても、どのドアを開けても爺さんと孫が立ってる。だからドアは開けっ放しです。…閉められないんです。」by行田)…なんてノイローゼからくる思い込みだろうと自宅に泊めてあげた越谷さんでしたが、霊を見る事こそできなかったものの行田が指さしていた場所には確かに泥のこびりついた足跡が残されていた(しかも「行田の部屋」ではなく関係無い自分の家の中に化けて出てきた。)様には彼の話を信じると同時に彼とは他人扱いで通すことを決めた様子です。必要最低限の付き合いを残して誰も彼に声をかけなくなった様にも絶望してか行田くんは会社を辞めると同時に失踪してしまったそうで、元はと言えば自分で起こした事故が原因とはいえ、ここまで来ると見ていて憐れだとも感じてしまった話でした…人間関係的に。

 冷蔵庫…蓮田(あ、粗大ゴミの冷蔵庫から明かりが漏れてる。開けっ放しにしとくと電気代がかさむのになあ…。)
冷蔵庫の中から伸びた手「バタン!」
蓮田(ああ、良かった。これで電気代もかさまないし、中の物も傷まないぞ。冷蔵庫の中の人も安心だ…。)

…手?…電気代?…中の物?…中の人!?と私も作者と一緒になってツッコミを入れてしまったものでした。本当に怖いのは明らかに異常な状況なのに何の疑問も恐怖も持たずに納得する酔っ払いの思考回路かもしれない(最もおかげで変な好奇心から関わり合いにならずにスルーし、結果として何者にも襲われる事も無く無事だったのだから幸いだと思うべきなのかもしれないが。)と思った話でもあります。ともあれ明らかに変な人が住み着いている冷蔵庫(霊だったら良いがホームレスの簡位ホテルになっている可能性も無きにしも非ず。)なので、サッサと収集して下さい清掃係の人…と願ってしまった話でした。

 鴉…森山「カラスって東京都だけでも15万羽いるでしょう。奴らは空のゴキブリですよ。ヘルメットだって何だって体当たりしてきますから。特に5月辺りが最大警戒期ですね。子供ができたばっかりのカラスが多いですから。」
相方「コツは目を合わせないこと。少しでも弱みを見せるとチンピラみたいに図に乗ってきますしね。」

そういえばテレビでカラス狩りに鷹を投入する特集がやっていたな(最も「捕まえる」のではなく鷹で追いかけて人の周り(地上)に近づかないよう脅しつける形だったけれど。)と、ふと思い出したものでした。カラスはとても好奇心が強い。(それこそゴキブリのように時には人に向かって飛んでくるほどに。←ゴキブリもこれが無ければあそこまで嫌われる事は無かったと思う。)また縄張り意識も強いので巣の側での作業は細心の注意が必要(ていうか危険)だが、それを理由にきちんと作業期限が切られている窓拭きを中止する訳にはいかない。一応ゴム手袋はしているけれどペンチみたいな嘴でやられたらたまらない…との事で、ゴンドラに乗っていて滅多な事で落ちる心配は無くても窓拭き清掃って大変なんだなあ…と実感したものでした。オマケにどうやって捕まえたのか人の生首(の霊)を足に掴んでこっちに向かってきた日には、尚の事たまらない…ですよね。仕事って生きるって大変なんだなあとしみじみ思った話でした。

 石吞み…池田「よし!皆で記念におしっこしよう!」
大西「これ、甲塚って言ってるけど、昔は甲は貴重品だから埋めたりしないんだ。絶対に持って帰ってリサイクルして使ったんだ。だから、ここに埋められているのは甲ではなく負けた兵隊の首なんだってよ。」
池田「大丈夫だよ。迷信、迷信。」

そうして、おしっこをかけた上に土足で足をかけて塚に登ろうとした瞬間、両手の皮が剥けた(しかも皮どころか手の筋肉まで持って行かれて、夏休みが終わっても包帯を外せない程の重傷を負った。外れた手の皮(ていうか肉)が次に見た瞬間には無くなって、その部分の石が盛り上がっていた様には「石が肉を呑んだ。」ともっぱらの評判になった。)様には、これぞまさしく祟りだったのだろうと納得した結果でした。そんな甲塚では江戸・明治時代には神隠しが多発していたそうで(手だけでなく体ごと持って行かれていたのね…。)現在では↑のようなバカ男子が不用意に罰当たりな事をしないようにと柵が設けられ、正式に一般人立ち入り禁止になったそうです…。

 キューピッド使い…ブルース「あと2回で99回目。そしたらお前と会える。つれてく。」
北見「それで怖くなってキューピッドさんを封印したら、友達にはあからさまにガッカリした顔をされるし、中には『使えない奴!』なんて捨て台詞を残していく子もいたりして…。」

自分よりも当たる確率の低いキューピッド使い(参加者全員が聞き手に回るこっくりさんと基本は同じだが、親指と小指を伸ばして残った3本指で鉛筆の半分を支え、もう半分を相手の子に預けるキューピッドさんでは「聞き手」はキューピッド使い1人だけで、占ってほしい子と手をつないで質問をする。)が活躍するのを指をくわえて見ているしかない日々が続き、今まで親しそうにしてきた友達も減り始めた(それは「友達」ではない。都合の良い時だけ美味しい部分を利用している人間だ。)事から、我慢し続けられずにとうとう再開していた北見さんでしたが…今までの人気がブルースによるものだった事を思い知らされた(つまり、元々アンタの力じゃない。)のなら、ただそれが元通りに戻っただけの話でしょうし、占う内容も大地震でも株の上下でもない、たかが恋話ですし、随分とくだらない理由で再開しちまったんだな、と思わず白い目で見てしまったものでした。用意していた塩のおかげで白髪になるだけで済んだものの、始めからそんな事しなきゃ良かったじゃないか、とツッコミを入れてしまった話です。

 タロじ…佐々木「無人の隣室との間仕切りのパネルに『タロじ』ってへのへのもへじみたいなイラスト風の顔が書かれていたの。拭いても拭いてもまた出てくるし、洗濯機の蓋や壁にまで出てくるようになって…。」
庵主「アンタ、これはゴツイ呪いや。『怨』ゆう字が少し離れて掠れて書かれとうだけや。」

文字はだんだん増殖すると同時に赤みがかって来て、それと同時に右足の爪が化膿(「化膿してると麻酔は効かないってその場で麻酔ナシでペンチみたいな工具で引き剥がされたんです。痛みによる吐き気が酷くて、その日は食事もできなかった。」by佐々木←アレ?痛み止めは?)一週間後には瞼の裏に肉粒ができ(「ピンセットで抜くと早いですよ。」「瞼の裏の話をイボ毟るみたいに言わないで下さい!」→強引に飲み薬と軟膏に変更。)診察したその日に乱暴な男にぶつかられてすっ転んだ。(そして手首が折れた。)そこまではまだ「不幸な偶然」と思えても、ある夜、目が覚めると不気味な女の霊に顔を覗きこまれていたのに到って、さすがの佐々木さんも即日引っ越しを決めたそうです。分かりやすい字の呪いだった(タロじ=怨って…そのまんまじゃないですか!)のに、「顔」という先入観が先立って気づくのが遅れてしまった(いや、へのへのもへじが増殖しても怖いと思うのだが。)のが彼女の不幸でしたね…。

 心残り…梶「卒塔婆折りで40本を超えた辺りで父が末期癌で死にました。50本目で実家が火事で全焼。60本目では母が蜂に眼球を刺され失明。70本目では妹がバイクに撥ねられ聴力を失いました。辞めたいんですけど、またやってしまうような気がするんです。ただの偶然なら、我慢するだけ損をするような、ここで辞めてしまったら一生後悔すると思うんです。」
医師「何故ここで辞めると後悔するのでしょう?元より住居不法侵入、器物破損という立派な犯罪ですよ?」
梶「え?当たり前じゃないですか。キリが悪いからですよ。100本折るまでは気が済みません。」

罰当たりな犯罪だという事は分かっている。けれど誰からも責められないし、それでも折ると「こんな事が出来ちゃう自分」に自信が湧くから辞められないって、完全に頭がおかしいな、この男…と、終いには「罰の先払いだ!」と車で自分の右腕を潰して100本折り完遂にホクホクしていた有り様に引いてしまった怖い話でした。「今の会社に私大から入ったのも自分だけだし、国立出の同期に負けない業績を作り出してきたのも、卒塔婆を折った気合いで乗り切ってきた結果」(だと開き直ってきた)なのに、義手になった挙句に失業してしまっては世話ないよな(今まで何の為に卒塔婆を折ってきたのやら。)…と、生まれたばかりの赤子と失業者の夫を抱える羽目になった奥さんにこそ同情してしまったものです。ナレーター役の佐渡医師が言っているように、アンタは早く(精神科の)病院に行った方が良いよ、と思わず語りかけてしまった話でした。(お化けよりも、おバカの方が怖い…って話か。)

MIND ASSASSIN①

2009.05.20
 匿名こと、よしみつさんから「短編だから途中の巻からでも充分に楽しめるよ!」と1~3巻をすっ飛ばして4巻5巻をプレゼントされた本です。誕生日プレゼントと言えば聞こえは良いですが、要は彼女が読んだ後の中古品であり、部屋の床に直接本が山積みになっていると自己申告していた事から考えても(だから何度、他人の家でもてなされようが「ボクの部屋は散らかってるから呼べないんだ~。」と掃除しようともしない、対等に返さないことを正当化していた。それで他人の家では「御飯が足りないんだけど?」と要求するのだから図々しい人間の図々しさには限度が無いんだなと振り返ってみて改めて呆れる。)「邪魔になった本の処理」でしかなかった事は伺え、ありがたみは感じなかったものでした。とはいえ作者自身に罪は無く、話の方は普通に面白かったので、この場で感想を語っていこうと思います。

 悲しみを継ぎし者…山下夜志保「先生、ありがとう…鉄也…愛してる…。」

カバンの中にヨーヨーは無い(しょっちゅう抗争を繰り広げている、「武器」を常備している真正のスケ番ではない。)けれど、ノーヘルメットでバイク2人乗りをしたり、学校をサボったり、男と遊んだり、立派な不良娘ではあった夜志保さん。(凄い名前だな。)オマケに彼氏が署に押収された麻薬を刑事に命令されて持ち出し売っていた為に「彼氏から全てを聞いているだろう。」と勘違いされて当の刑事に殺された様には世も末な設定だな!(本来正義を関する立場はずの刑事がそれかい!)と思わずツッコミを入れたものでした。おかげで奥森先生も久しぶりに「記憶を消す」だけでなく「廃人にする」事を実行した(「もう2度とこの能力で『人殺し』はしたくなかった…。(けど、これはさすがに人間としての許容範囲を超えてるだろ!)」by奥森先生。)様には心から頷いてしまった第一話目です。そして、これがはずみになったのか今まで何年も人殺し(廃人化)はしなかったそうなのに、この先たびたびそこまでする展開が増えたのには厄日だったのか?とさえ思ってしまった物語の始まりでした…。

 病める者…かずい「下を向いて歯をくいしばって知らないと答え続けたこの子の気持ちが…お前には分からないのか。」

となりの保父さんは確かに虐待していたけれど、それでも仕事を理由に体中の痣を見ようともせず病院に置いて行った無関心な母親(服に隠れたお腹だけでなく顔もひっぱたいていたし普通は気づくだろう。)と違って「自分の側にいてくれた人」ではあったんでしょうね。隣の家が保父さん(昔保育園の園長)だったのを良い事に毎日この子と遊んでくれる(つまり毎日、子供の世話を押し付けている。)と体良くタダで使っていた様と合わせて母親のダメっぷりにツッコミを入れてしまったものでした。「便利なお隣さん」がいなくなった事で母親も娘と一緒に家に帰ったり、ようやく娘と過ごす時間を作るようになった(というより尻拭いしてくれる人がいなくなった為に自分で割を食うしかなくなった。)ようですが、それはそれとして娘の体に数多く残された傷跡に関してはどう思っているのか、色々気になった話でした…。

 乱暴者…室井貴子先生「生徒にとってみれば…私はただの女だったんです。呼び出して私の話を分かってもらおうとしただけなのに…私、最後まで教師になれませんでした…。」

だから中学生相手でも「男と部屋で2人きり」になってしまってはいけないんだな(将来これからの「生徒」の彼の立場を考えて、警察に訴える事もしなかったらしいが、被害届けを出した所で「自分で男を部屋に招き入れた」以上、「強姦罪」は成立しないのが現実である。)と生徒の下衆の程(授業中でも「むしろコッチの方を教えてよ。」とエロ雑誌を開いて要求する位に。)を目にしていながら、おめおめと「状況」を作ってしまった彼女の甘さに歯噛みしてしまいました。(それだけ生徒を(1人で勝手に思い上げて)信じていた、とは取れるかもしれないけれど…。)おかげで年季が終わった訳でもないのに自主退職した(あまりの展開に新年度まで持たなかった。)彼女ですが、写真では田舎で再度教師として再出発しており、一応「教師」になる夢は果たしたようです。が、たとえ田舎であろうと、よく教諭としての就職口が有ったな(臨時教師でさえ、なかなかなれない倍率のはずなんですけど?)と出来過ぎた展開にツッコミも入れてしまった話でした…。

 闇深き者~愛する者…高村先生「夜中の無言電話ものぞきも下着泥棒も私の愛し方なんです。私は色々な愛し方を研究してまして、最後に自殺まで追い込むのが幸せなんですよ。あなたは信じないと思うけど彼女が好きなんだ…。」

その偏愛が歓迎されればストーカーこそ最高の恋人という破綻したロジックを聞いた事は有るけれど、実際には「両想い」であっても、たとえ愛でも、そんな「愛され方」は御免だ(犯人を知らなかった頃の彼女は純粋にノイローゼになっているし、犯人を知った後は自殺をしかけ、文字通り「死ぬほど」苦しんでいる。)というのがマトモな人間の共通の反応である様子です。愛を理由に実行犯として犯罪に手を染めていく受付の石川さん(そうすれば彼は自分を相手にしてくれる、と考えての行動だったが、そこまでしても彼の本命にはなれなかったというのが現実だった。)と合わせて、女を不幸にする達人である高村先生(顔だけは良いものだから…。)にツッコミを入れてしまったものでした。あるいは北見先生(高村父に頼まれた後見人)にいびられて性格が歪んだのかもしれませんが、それなら北見先生本人に復讐すれば良い話で、「自分より弱い相手」(絶対に逆らえないであろう相手)を選んで弱い者イジメを楽しんでいるこの人は立派に壊れてるな、と感じた話です…。

 幸福者…「昔よく聞かれたっけ、『何でライター使わないの』って。昔憧れた俳優が映画の中でやってたの真似してたんだ。お前の前で一生懸命カッコつけてたんだぜ。可愛いだろ。」

そして「思い出の音」から目が覚めたは良いが、手にしていた「ソープクラブ桃色珊瑚」のマッチにケンカは必至だったろうな(「タバコやめたの?と思ったら女遊びかよ!」「誤解だ!」by夫婦)と幸せな終わり方に反してツッコミを入れてしまったものでした。とはいえ酒の席でうっかり同僚を殴っちゃった為に会社をクビ→毎日賭け事に出掛ける酒乱夫(DV有り)となったダメ男が、酒も煙草も一切やらず土木作業で真面目に働く貯金有りの理想的な夫に変わったというのは、まさしく愛ですが漫画でしかあり得ない展開(普通は殴る蹴るまでできる元々「見下げていた存在」が廃人になろうが、「役に立たなくなった」事だけを鬱陶しがるだけで尽くそうとはしないだろう。愛が有るのなら普段から大切にしていたはずで、申し訳ないがこんな「賭け」に出るまでもなく結果は見えている。)ではあるだろうなと理想的な終わり方に反して、現実論から溜め息も出てしまった話ではありました…。

 過去の者…小島「俺、あの時、相棒とつるんで適当な女を探してたんだよね。そしたら初々しい女の子が男の子と手をつないで歩いてるじゃないか。どう見ても親にナイショでHしてきたって感じだったろ。だから狙ったんだ。そういう奴は密告する可能性が少ないからな。」

なるほど、親や警察に被害を訴えた所で「そもそも何でそんな時間にアンタは外を出歩いていたんだ?」という当然のツッコミが入る(御本人にも疚しい事がある)為に何も言えずに全ては闇に葬られたのか…と納得しました。しかし表面上は「何も無い」で済んでも「他の男の手垢がついた彼女」から彼氏は改めて去っていき(目の前で傷つけられる彼女をを尻目に逃げた男のふがいなさは、この際、関係無いらしい。)レイプをきっかけに彼女が無くした物は多かったと思われます。(「俺がどんなに償ってもその記憶は消えることは無いでしょう。俺は苦しめばいいんですが彼女の心の傷は消えないんです。」by現・彼氏)レイプ被害者だと訴えるのは簡単だけれど「それを知った彼氏は自分から去っていく」という経験談から敢えて脅迫に応じた事を思うと、彼女の傷の深さが改めて伺えたものでした。問題はレイプよりも「それを知られた時に周り中が味方になってくれない」現実なのかもしれません…。

「超」怖い話M(ミュー)

2009.05.20
 まさかの平山先生卒業という編著としては最後の1冊です。前回「振り出しに戻って頑張る」とか言っていたくせに、卒業ですか!(「元々『お化け屋』ですので、そこの所は根も葉もないという事でご勘弁いただきたいなと。」by平山先生)と一読者として嘆きはしたものの、元々「中途半端な駄作になったら辞めます。くだらないものを続けるよりはスパッと辞めます。その時は勘弁して下さい。」「もちろん。品質の悪い物を続ける位なら辞めてしまって下さい。」と編集との間で約束が交わされていたそうで、人気作品に有りがちなグダグダ引き伸ばし展開が嫌いな私としては「良し」という判断を下さざるを得ませんでした。(充分面白いのに…。)という訳でこれからは過去作をチマチマ探して読んでいこうと思います…。

 隣家…手紙「私は長男と長女を井戸へ落下させて殺した隣家を恨む。隣家全員が死に絶えるよう…」
尚美「私は勘違いしていたのかもしれません。隣の空き地じゃなくて、私が住んだあの家こそが『隣家』だったんじゃないかって思うんです。」

越してきたその晩に写真に写っていた「長男」と「長女」そして手紙を書いた父親らしき男が化けて出てきた(普通は人が来てすぐは霊の方も慣れるまで出てこない、様子を伺うって言うけど、初日から出るとは余程、恨みが強かったのだろう。)ことから、すぐにそこを引き払った尚美さんですが、よく見ると草に埋もれて庭の隅に「廃井戸」(問題の場所)があった事から、彼らの「自宅」を借りた為に霊を見てしまったのじゃなくて↑の事情だったのだろうと、納得がいったそうです。考えてもみれば「思い知らせる」為に呪っているのだから、本人達の家に手紙が渡っていなければ意味が無い(何で自分達がこんな目に遭うのか知って貰っていなければ困る。)訳で、物が日記(お家で「自分で読み返す」為の記録。)ではなく手紙(本来「他人に読ませる」用途を為すもの。)だった事からも↑の説の信憑性が深まったものでした…。

 手洗い…駒野「母は倒れ込むのを目撃した人の通報で救急車で病院に搬送されたんです。ところが最初に運ばれた病院では手に負えないということで別の病院に転送させられたんです。」

取りあえず手近な病院に運ばれても、充分な検査ができない、専門医がいない、という事になると死んだ時に「どうして検査もできて専門医もいる大学病院に転院させてくれなかったんですか!?病院側の判断ミスでしょう!」と一気に訴訟に突入する事態が増えたので、現在では「取りあえず入院」させるのではなく↑のように「充分な対応ができないケース」だと判断がなされたら他の大病院に回す事が一般的になってきたそうです。(▲▲さんがついた大嘘のように、足腰が立たない患者を検査する事もなく病院内に放置しておくなんて、以ての外。今やどこの病院もそんないい加減な対応はしていない。)そしてかかりきりで病院に詰めた結果(「看護婦さん任せにはできないって意識が有りましたね。彼女達にとっては何人もいる患者さんの一人でしょうけれど私にとっては、たった一人の母ですから。」by駒野。いい人だな。病院の医者に聞いた何年も前のカビの生えた医療知識任せで、このネット時代に病状すら自分で調べようとしない、どっかの誰かさん(▲▲さん)にも聞かせてやりたいよ。)指先から死臭がするのに気づき、お清めの塩を混ぜたお湯で日に何度も洗っていった(そしたら妙な事に母の手から何やらベトベトぬるぬるした臭い元が出て、終わると水が濁っていたりした。)所、すっかり「ぬる」が取れた頃には元気に回復した(医者もビックリのレアケースだった。)という内容には驚くと共に、これぞまさしく親への愛だなあと感動したものでした。(話を読んで知っている読者の我々はともかく、何も知らない所から一から気づいて対応したのは普通に凄い。)親をネタに利用する事しか考えない、どこぞの誰かさん(▲▲さん)とはえらい違いだなとも思ってしまったり…。

 あおる…彼氏「あのトンネル、恋人のバイクから落ちてトラックに轢かれた女の幽霊が出るんだよ。でも幽霊が嫉妬する位の美女がいないと出ないらしいんだ。」
葛城「大学の4年生にもなって、そんな事を試すなんて、これだから2浪するほど頭の悪い奴は…!」

彼曰く「彼女が『美人』かどうかを確かめたかった」からやったそうですが、そんなの付き合って毎日のように顔を見ているアンタが一番よく分かっている事柄ではないのか?(大体、他人からの「美人」判定が出た所で、自分が魅力を感じていなければ意味の無い事柄だと思うが…。)と彼女に怖い思いをさせてまで、本当に「出た」為に危うくバイクから転げ落ちそうにさせてまで、バイクを売る羽目にもなって、結局は別れた顛末と合わせて溜め息が出た話でした。彼女から学生時代に「付き合っていた」彼氏と過去形で語られていたという事は、現在でも彼が店主をやっている焼き鳥屋に食べに行くほど仲が良くても、終わった仲である事は確か(「彼氏はいないけれど、お前とはもう付き合いたくない。」という事情になり果ててはいるんだろうな。)である事も窺い知れ、何だかなぁ、とも思ったものです…。

 莫迦だねえ…次原「こんな話を集めるのは良いこっちゃない。いつか俺達みたいに報いが来る事もあるだろう。でもな、書く側と読む側がこういった莫迦な話に畏敬の念を持ってくれるならば、それはそれで意味があることかもしれないし、な。」

「家に幽霊が出る?安西も嫁もそんな話を真面目にしてるなんて莫迦だよなあ。」「この時代、世の中にそんな事があるかよ。」「作り話も大概にしろよな。」等々、酒の席で安西の家に出るという莫迦話(怪談話)をして盛り上がった為に、その足で安西家を訪ねたタイミングで彼らは目の前で自殺してしまった(そんな話をしていると「当事者の霊が出てくる」と言うし、その時の安西さんが何を見聞きしたのかは不明だが、嫁と一緒に「死ぬほど」怖い思いをしたのは確かなのだろう。)事情はよく分からないが、あの「莫迦な話」が何かのキーになってしまったとしか思えない、という話です。もしもあの時、莫迦にしないで酒のサカナに話をしなければ(事情はよく分からないけれど)こんな事にはならなかったのかもしれない、怖い話をする時は笑い話のネタとして莫迦にするのは辞めておきましょうという教訓話でした。

 吐瀉物…鐘尾「木陰から出てきたのは野犬だったので、いけないと思ったんです。実際、熊よりも野犬の方が気が荒い場合が多いんです。」

山で注意しなければならないのは毒蛇、そして熊ですが、「人を恐れない野犬」の場合だと、群れであれば尚更危険度が増す(犬はネコ科の熊のように木には登れない為、木登りさえしてしまえば物理的に襲われる心配は無いが…それと本人が猿のように瞬発的に木に登れる実力があるかどうかは別の話である。)しかも姿の見える場所まで出てくるという事は人間の足音に「怯えて」おらず、むしろ接触を図ろうとしている(襲う算段を考えている。)事で実際は凄く危険な状況だったと思われます。大量の腸を吐いて覚束ない足取りで去っていった心霊犬(?)に度肝を抜かれ、取りあえず吐瀉物をカメラに撮ってみた(撮るなよ、そんなもん!)ものの、家に帰って見てみたら吐瀉物はどこにも無く、自分の腰から上のミドルショットが撮られていた(「僕は1人でトレッキングしていたのに、僕のカメラで誰が撮ったっていうんですか!?」by鐘尾)様には疑問符と共に恐怖が湧いた話でした。襲われなかった事だけが幸いでしたが、一体何をしたかったんでしょうね、あの犬…。

 隠す人…マイコ「アンタ、『見える』って言ってたよね。今から心霊スポットに遊びに行くからさ、アンタも来いよ。」
乙黒「む、無理だよ。見える事はあるけど私だって怖いんだよ。」
マイコ「来ないと新学期の方が『怖い』ことになるんじゃないの?絶対、来なよ。今すぐ。」

そして元・友人、現・不良少女のマイコちゃんに無理矢理付き合わされる形で出向いた結果、入口からして「見る」結果になり(怖い物を見るかもしれないと覚悟はしていたが完全に出鼻をくじかれた。)霊視で腕を亡くしたマイコちゃんの姿を視る羽目になり(地元の新聞報道では仲間からの行き過ぎたイジメの結果とされた。マイコちゃんは同行した不良仲間2人から両手をライターで炙られ、中には肉のほとんど焼け落ちた指も有ったという。イジメから脱する為に不良グループに入ったのに、こんな結果になるとは皮肉なものである。)自身は何とか無事だったものの散々怖い思いをした結果、以来、乙黒さんは「見える」事を隠すようになったそうです。(「とにかく心霊スポットとかそんなのに2度と関わりたくない。誰かを見てあげるのも絶対に無理。『レーダー役』はもう御免なの。」by乙黒)「見える」ことを自己申告する人と隠そうとする人とがいるけれど往々にして「隠す人」にはそれなりの理由があることをしみじみ実感してしまいました…。

 塚崩し…阿部「カネキ屋は一応『何でも屋』って事にしてたけど、一般からの依頼はほとんど無くて、やっている事は特殊清掃と特殊解体。要は殺人や自殺、病死、腐乱死の後片付け、墓や潰れた寺、神社の解体。だから現場で『できません』じゃ話になんないから…試験すんの。」

そして樹海で(なるべく死体がぶら下がっていた感じの所で)一泊させるという試験を行いはするものの、態度の悪い奴と一緒に仕事はしたくない…という訳で携帯でSOSがかかってきた(樹海でも風穴、氷穴の辺りならちゃんと携帯は繋がるらしい。)時に、お経を唱えてやった、という意地の悪い試験管でした。しかし「お経」を唱えたのがまずかったのか戻ってきた時の奴の作業着には背中一面に手形がついていた(物凄い悲鳴が聞こえたが、それは携帯からのお経にビビったのか、お経の声をきっかけにして現れた何者かにビビったのかは本人のみぞ知る。←「何にせよ、ウチはこんな仕事ばかりだから向かないよ。」「…そうですよね。」by阿部)というのは、お約束とはいえ怖い展開です。こういう事があるから面接時の態度は大切なんだろうな(「挨拶なんかも軽くメンチきってて、外見的にはヒョロっとしている俺を完全に舐めてる風だった。もちろん俺は最初から、そんな態度の悪い奴なんか潰れれば良いと思ってたから、やったんだ。」by阿部)と改めて思った話でもありました…。

彼氏彼女の事情①~⑩

2009.05.20
 アニメ化までした知る人ぞ知る名作で、私も妹も当初はモザイクで表情を隠したテレビ版の演出の良さなどに当時は夢中で見ていたものでしたが、そのアニメが何度もオープニングテーマを無駄に繰り返したり、割り箸絵を動かして終わらせたり、見るからに雑になっていった(いくらなんでもサボり過ぎだろ!)様に学生演劇の辺りで見るのを辞めた(どうせその劇が後に漫画版になったとか、それでエリートの道ではなく女優に進んだとかいうよくあるパターンだろうと勝手に見切りをつけてしまった。)ので、その後こんな深い話になっているとは思いもよらず楽しませて貰った長編でした。久しぶりに濃い話を読ませて貰ったものです。

 宮沢雪野…「恥ずかしい。有馬みたいな『本物』とあまりに違う自分が。見栄や成績にこだわって賞賛のまなざしを得る為だけに、いい人げに振る舞って周りを騙してきた私は…『偽善』って言うんじゃないか?」

それが人間として恥ずかしい事だと自覚があるなら大丈夫。「ボクって偽善者だからなあ~。」(そんな人間だから、そんなキャラクターとして許されて当然なのよ。)と勘違いして開き直っている無言電話女(匿名)よりは、まだ終わってないよ。(誹謗中傷コメントや不正アクセス、ストーカー行為を繰り返す変態女に比べたら、アンタは立派な真人間だ。)と思わず語りかけてしまった主人公でした。そして、それが「特別な目で見られたい」という「見返り」目当ての行動でも、模試でトップクラスの成績を取り、体育会系活動の練習も欠かさない、その努力は大いに褒め称えてあげたい(たとえ動機が不純であろうと、そこまで本当にやり遂げられる人間はそうそういないだろう。)と逆に見直してしまった女性でもあります。しかし「人生」は「学校の成績の良さ」で渡り切れるほど甘くない。うわべばかり取り繕って「いい子」のフリをして本気で人と付き合って来なかった彼女は、人生経験値ゼロから高校生にして「やり直す」事になるのでした…。(でも欠点に気づいて目を背けずに「やり直そう」と変わり始めた貴女は偉いよ、やっぱり。)

 有馬総一郎…「子供には分からないと思ったんだろうな。親族に面と向かって言われたよ。『あんな親から生まれた子はロクな者にはならない』。だから僕は欠点の無い人間にならなくてはいけなかった…絶対に。」

何の事は無い、有馬の方も「その理想的な姿」は「努力して創り上げられた偽物」だった訳ですが、それを宮沢さんのように「外面」として割り切っていたのではなく、その姿と「素の自分」が癒着するほど病んでしまっていた(というより病まざるを得ないほど凄絶な家庭環境だった。)という、ある意味、宮沢さんより重い問題のある事情だったのでした。外では「いい子」を演じていても、家の中では気ままに「自分」を出せていた(そこまで信頼して甘えられる「決して裏切らない家族」がいた)宮沢さんは、ある意味で気が楽だったでしょうが、家の中でも「いい子」を演じ続けてきた(家族とさえ信頼関係を築けなかった)彼は、恋愛を通して変わり始めてきた今「素の自分の姿」が分からなくなってしまって多少混乱もしている様子です。とはいえ告白の返事が貰えない(非常に気まずい沈黙が続いている状況)で「そろそろ帰ろうか。」とサラッと「話を流せる」彼はやはり只者ではない(どんだけ対人社交術が上手いんだ…?)と感心もした男でした。

 芝姫つばさ…父「パパは別にお前への愛情が無くなった訳じゃない。お前が事故に遭った時、妻に続いて娘にまで死なれたら生きていけないと思った。そんな恐怖心を抱えて1人で耐えていくのは本当に辛かったよ。…パパは人間だ。完璧じゃない。支えてくれる人が欲しかった。」
つばさ「男なんて皆キライ。優しくするくせに『特別な一人』にはいつも他の女の人を選んじゃうもん。」

「私、『可愛い』から皆が特別扱いしてくれるもん。」と「可愛い素振り」を通じて周りの人間(女友達含む)に特別扱いさせるように促し、その実やることは「彼女イジメ」というえげつない本性(ボールの棚をぶつけたり、本を倒したり、足をかけたり、冷静に見れば全然「可愛くない性格」をしている。)に、これって無言電話女(匿名)と結託して人を潰そうとした▲▲さんとそっくり(「可愛い素振り」と「知らないフリ」で何でも上手くいくと思っている様子だが、「小悪魔系」を張るには顔とスタイルが全然追いついておらず、結局自滅している様は別物だけれど。)と感じると同時に、「本当に可愛い容姿」(容姿だけはな。)なのに他の女を選んだ有馬君は思えば見る目が有ったのだろうと見直した内容でした。「妹扱い」にしても何故この性悪チビが選ばれたのか不思議でならなかったので↑の、彼女にもまた事情が有った展開(有馬と同じく親のいない環境)を通じて初めて納得もできたものでした。(要するに主人公2人のような「出来の良さ」を誇れる頭が無いから「可愛げ」に走ったのが彼女という訳ね…。)

 浅葉秀明…「俺、昔からいい加減だったから真面目な親父をイライラさせるんだ。俺は俺で真面目なだけで人間味の欠片も無い親父が大嫌いだった。母親は父親の言いなりで頼れない。だから俺はガリ勉して進学校受かってここに残った訳。家族一緒が幸せって言えるのは恵まれた家の子供だけだよ。家族といるのが苦痛でしかない、逃げ出した方が幸せになれる奴だっているんだ。」

子供が気にくわない(何故ならば自分が子供だから。)、ただそれだけのくだらない理由で当の子供が何をした訳でもないのに本人を置き去りにして家族旅行に行ってみたり(これは父親だけでなく、そんな「子供イジメ」に結託して乗った他の家族にも問題があると思う。)大人の自分に子供の彼がかなわない事に優越感を持って嘲笑を浮かべている父親に私も嫌悪感を持ってしまったものでした。(そんな形でいちいちみっともなく敵対心をむき出しにするなんて、どんだけ余裕の無い器の小さい男なんだろう?)学費等の養育費を援助して貰いながら「親から逃げた」は無いかもしれない(そんな事は無い。「子供を養育するのは親の義務」で、金以外形での親の義務を何一つ果たせない「平均以下」の父親の方がダメ男なのだ。)と彼は言うけれど、そんな親を憎むでもなく大人な態度で離れて、1人で頑張って暮らしているなんて君は偉いよ、と思わず語りかけてしまったカッコイイ男友達の事情でした…。

 有馬総司…詠子叔母「顔を見てゾッとした。嫌だわ、父親の怜司を思い出して汚らわしい。貴方もよくあんな子を育てる気になったものだわ。施設にでも預けてしまえば良かったのに。」
総司「いい加減にして下さい!子供相手にむごい事を…私からすればよっぽど貴方達の方が恥ずかしい!あの子は頭も性格も良い。自分が置かれている立場をよく分かっていますよ、しなくていい努力ばかりして。あの子を見下すというのなら、一体何を根拠に優越感を抱いているんですか?」

こんな一族から、よくこんな出来た長男が生まれたものだ(普通は長男自ら「お情けで引き取ってあげている妾の子」を差別しそうなものなのに。)と、当の子供を引き取って育てて、自分がまいた種でもないのに責任を取って、一番苦労しているはずなのにそんな事はおくびにも出さない(どころか真っ向から子供を庇っている。)長男夫婦の姿に思わず拍手したものでした。それなのに当の子供は気ばかり使って今もなお自分達に本当に心を開いてくれていない(「優秀な子供」という姿で恩返ししようとはしても、「普通の子供」のように甘えてくれない。)という姿が多少、痛かったものでした。(最も↑の叔母以下、意地が悪い親族からの「被害」のおかげで余計に羽目を外せなくなってしまった面は有りそうだけど。)総一郎自身はあんなに出来た子供なのに、家族でも人間関係って難しい問題だな、と感じたものです…。

 十波健史(ニクフミ)…健史「どうして物やお金で機嫌を取るんだろう?何もしてくれなくても僕は皆を好きなのに。それに僕は成人病で食べる物にも気をつけなきゃならないのに、どうしてケーキだのお菓子だの悪い物を食べさせようとするの?」
親「何もガツガツ勉強する事は無いんだよ。パパのコネがあるんだから。一生、楽にできるんだから。」
健史「ちゃんとした人間になろうとするほどハッキリ分かった。僕の親はダメなんだ…。」

こんなに愛されているのに(子供の為にここまでしてあげているのに)結果、出来上がった子供は好き放題にワガママを言う選良意識の強いクソガキ(当然の事ながら「自分の事しか考えない」せいで周りからは嫌われている。それこそ先生直々に「味方」の立場を任された椿さんからも「お前、一度、何で自分がいじめられているか考えた方が良いって。私だって殴りたいよ。」と言われるほどに。)である辺り、親の程が知れたものでした。常識で考えたら子供に良くないという事は自ずと分かる(成人病の人間に「好物だから」ケーキをあげるって…。)でしょうに「子供に好かれる」為だけに媚を売ろうとする姿勢に、この親には「子供を甘やかす」気持ちは有っても「子供を育てる」気持ちは無かったんだろうな(周りにどんな迷惑をかけようが、子供がダメ人間になろうが、子供に好き放題させる方が大事って、無言電話一家の匿名の両親みたいだな。)と現実が見えた話でした。でもね、そんな「子供の下僕に成り下がっている親の姿」を子供は(便利に使いながらも)軽蔑するし、良いように使われるだけなのよ(「便利屋」に過ぎないから恩返しなんてしてくれない。そういう人間に育ててしまったのだ。)と卒業と同時に彼女と旅に出た健史の姿に頷けた展開でした…。

 井沢真秀…貴志「君は俺に逃げ込んでいるだけだろ?毎日つまらないから。俺なら、このつまらない場所から連れ出してくれそうだから。俺はそういうのは嫌いなんだ。自分の為に生きるのが精一杯のただの男だよ。…そういうの、重いんだ。」
真秀「私、そんなに惨めったらしい女じゃないわ!確かにそういう所が有ったのは否定しない。でも私は助けてなんて一言も言ってない。1人で考えて1人で立ち直っていこうと思っていた。私の心は私だけのものだからよ。」

自分は惨めな女じゃない、何故ならば難関進学校にも余裕で合格でき、クラスも仕切れるような人間(ただのガリ勉でなくて学級委員やってクラスをまとめるような中心的人物。)なのだから、というプライドの高さで完膚なきまでに振られても自分を保っていられた…けれど、高校に入ってから「級長」「成績トップの女性」という華やかな立場は宮沢さんに取って代わられ(それが「地」ではなく宮沢さんの客寄せの「演技」程度に過ぎず、そんなもんに自分は負けているという事もプライドは傷つけられた事だろう。)自分は振られているのに当の宮沢さんは同じ級長の有馬君とラブラブ(自分があれだけ望んでいた「恋」まで手に入れている。)という様に、高校に入ってから凄まじく荒れたそうです。(八つ当たりじゃねえか。)現在でこそ落ち着いた彼女だけれども、つまらない逆恨みで人間一人を潰そうとした性格の悪さ(相手が宮沢さんじゃなければ転落している。)がどうしても忘れられずに、個人的には好きにはなれなかった登場人物でした…。(1対1で悪さ仕掛けてきたつばさちゃんよりも、陰湿で卑怯な女じゃないか、この人。)

彼氏彼女の事情11~21

2009.05.20
 「頭さえ使えば法に触れることなく『生まれて来なきゃよかった』って目に遭わせる事はいくらでもできるのよ。貴方があいつらにいじめられていた話を私が黙って聞き流すと思う?」という心の強い彼女の元、「彼氏の事情」が徐々に氷解していく形で進む後半ですが、実際にこういう事情に出会ったら、真実、恋人が被害者であっても「重い事情」に相手がついて行けなくて離れていった、という話はよく聞くので、だから皆、話す時は「それで相手を失う」覚悟を持つか、墓場まで持って行くか選択している(大抵の場合は後者を選んでいる。口先では可哀相だの何だの綺麗事を言いながらも厄介事と関わるのはゴメンだと潮が引くように去っていく人が大半で、そんな話を聞いてついて来てくれる情のある人間は実はそれほどいやしない。)そうです。なので、彼の場合はとてもとても幸運な事情ではあった(「たまたま」周りの人間には恵まれていた。)のだろうなあと現実の醜さも踏まえながらも感動できた物語でした。

 有馬怜司…怜司「愛情なんて生きたいという本能の前では紙屑になる。俺は海に沈む中で、あんなに誇らしかった母親の美しい顔を蹴ったんだ。ようやく離れた母親の、怒ったような、恨んだような血だらけの顔が…網膜に焼きついた。」
総司「醜く変形した母親の顔と、息子の体中に残る母親の爪痕から、そこにいかに凄まじい生と死の闘いがあったのか…目に浮かぶようだった。」

そんなトラウマを抱えた彼を癒してくれたのが兄でもあり「父親」の役割も果たしてくれた総司だったのですが(つまり、実父の方はまだ生きていたくせに、どの子に対してもちゃんと「父親」として接する事が出来ていなかったんだな。唯一、溺愛していた子供に対してさえも。)そこから出た展開は天才的な弟を「子供」として養っていくには、総司はあまりにも若過ぎたし、それに目を瞑って上手く立ち回っていくには怜司の方も子供過ぎたという切ない結論でした。(「僕は君と違って凡才だからさ。」という総司の自虐を聞くまで気づかなかっただけで、総司に対してさえ自分は「重荷」になり続けていた。)かつて「妾の子」である自分が重荷となって母親を死ぬまで追いつめた(多分、子供(自分)さえいなかったら、直系の後継ぎさえいたら、母親はあそこまで有馬の家に苦しめられる事は無く、もしかしたら今も生きていただろう)過去を考えると、荒れたくなるのも分かる…というか、全部、父親のせいじゃねえか!と当たり前のツッコミを入れてしまった過去物語でした…。(父親の下半身の節操の無さが無ければこの悲劇は生まれなかった気がするんですが…。)

 涼子…不良仲間「ここだけの話、あいつ中学の時に自分を犯った義理の親父を仲間と半殺しにしたって。それからはもう奴隷扱いよ。キレると凄いしな。マブイけどヤバイぜ。」

計画的に復讐を果たしたのは中学の時。という事は彼女が犯され続けていたのはさらにその前の話(わずか13歳の時の性的虐待で母親には「お前が男を誘うんだ!」と見殺しにされた。)で、彼女もまた親に理不尽な扱いを受けてきた被害者だった(過去形)のが分かりますが、それは自分の子供を人質に金をせびったり、我が子を虐待して良い言い訳にも免罪符にもならないよ(今のアンタは息子に消えないトラウマを与えて殺しかけた、ただの「加害者」でそこに同情できる余地は無いよ。)と思わず語りかけてしまった実母でした。(むしろ「虐待される痛みを一番知っている人間」のはずなのに、何故、我が子に同じ真似ができるのか私は理解できない。)でも無言電話女の匿名のように「人としての感情が欠損している人間」って確かにいる(理髪師さんの性生活を吹聴したり、人の妹がセクハラに遭ったのを家族で笑い物にしたり、思えば昔から「人の不幸を面白がる女」ではあった。)し、そういう人間って何年経っても改まらないのもリアルに知っているので実感は凄く感じたエピソードでした…。

 有馬総司…モブA「怜一郎さんのご長男はあまり父上には似ていないようですなあ。」
モブB「え?そんな子いました?」
モブC「まあまあ、あの人と比べるのは酷ってものですよ。」
総司(…そんな話は何度も聞いたよ。僕はもう分かっている。『また』この先ずっと、この言葉を聞かされ続けるんだ。人に会うたび、道を歩くたびに。長年かけて築いてきた立場も一瞬でかき消える。)

自分はそんな「比較」に揺さぶられない位、大人になったと思っていた。けれど本当は、家を出て、自分の家庭を持って「父親から離れた」事で何も言われなくなったから昔の事を忘れていただけで、父親→弟と「優秀な身内」と比較されて惨めな評価を下される事に慣れたわけではなかった…というオチから歯車は狂っていったのでした。不幸の連鎖が続いている有馬家で唯一、健全で真っすぐで強い人間である彼は、実は父親からも信頼されていた(けれど溺愛はされなかった。)おかげで、父親とも上手く関係は築けず(最も、いくら優秀でも実の姉のプライドを傷つけ、よそに隠し子まで作る汚れきった父親が、そんな純粋な息子に好かれるはずもないのだが。)つい出てしまった「うっかりな一言」で弟とも上手くいかなくなってしまった様には、ひたすら涙しか出ませんでした。思うに全てを背負うには不器用で真面目すぎた人だったのでしょうね…。(その前に彼が種を撒いた訳でもない、有馬一族の「お家の事情」の責任を負う必要も無いんだけどね…。)

 有馬詠子…総司「父と家と病院が世界の全てって訳じゃないでしょう?何故いつまでも、そこから自立できないの?」
詠子「アンタに何が分かるの?最高の男を父に持って愛されなかった娘の気持ちが分かるの!?男というだけで父から全てを相続できるあなたに、いつも居場所が無かった私の気持ちが分かるの!?」

同じように父親に愛されなかった子供でも「正妻」(ではなく跡取り)の立場だけは保証されていた長男の総司と違って、彼女は「人並み以上に優秀」でありながら、立場的にも気持ち的にも「いてもいなくてもどうでもいい存在」扱いをされ続けた事に思う所は色々あった様子です。それでも長男が家を出て(幸いにも当の長男の妻は子供が産めず、ラブラブ昂じて離婚も浮気もできない総司の性格上「直系の跡取り」はこれで絶たれた。)父親の意図はともかく自分(の息子)こそが父の全てを手にできる…と思った矢先のまさかの「次男」誕生に、気持ちの均衡は崩れてしまった模様でした。(それで当の次男がロクデナシで後継ぎとして不適格だったらまだ良かったのだが、悪い事に彼は父親譲りの天才的頭脳の持ち主で、明らかに自分達の方が見劣りしている。)この人も元々は勝ち気ながら「泣いている弟を励ます良い姉」だったのですが…お家の事情が絡むと人はこうも変わってしまうという実例でした。

 有馬総一郎…総一郎「子供が出来たので進学しないで就職します。警察官になって自分の事『本官』って言いたかったし。」
父「それなら尚のこと大学へ行った方が良いんじゃないの?君の頭脳は資格者(キャリア)として生かすべきだよ。」

高校出の「地方公務員」から始めると巡査→巡査長→巡査部長→警部補→警部→警視と40歳になってもまだ警部止まり(頭打ち)です、と大した出世が出来ないけれど、大学卒以上の「国家公務員」なら「警視」からスタートが出来て、警視→警視正→警視長→警視監→警視総監と順当に出世できる(「金田一少年の事件簿」の剣持警部と明智警視の違いだな。)のに、出世を棒に振ってまで「コスプレ気分」(自分を「本官」と言う)の為だけに下っ端役人から始めるなんて、バカだろう?と援助してくれる物を袖にしてまで進学の道を蹴った(まあ、子供を持った身で「すぐに働き始めた」のは立派だけどさ…。)彼の姿に「…。」と思えた進路の様でした。親の方も「我が子が初めて言い出したワガママ」に笑って許している(元々子供に食わせて貰えなくても充分に暮らしていけるだけの収入は有るし、極論、息子一家が物乞いになろうが養ってあげられる。)けれど、彼の頭脳レベルを考えるともったいない未来図だな、と思ってしまった結末でした…。

 宮沢雪野…総一郎「どうやってもすぐには生活できるようにはなれないので申し訳ないけど、あの通帳借りていいかな?僕が医大に行く時の為に積み立ててくれた3千万。」
雪野「そのお金、私に貸して下さい!私…本当はずっと医者になりたかったんです。でも、うちに医大→大学院に娘を行かせる余裕は無いし、妹達もいるし諦めていたんです。」

女の場合、まっすぐ医者になると逆に子供を生むタイミングが難しいというのは本当で、出世を考えるのなら尚更だ(「私、ただの医者で終わらずに、アメリカでちゃんとした資格を取りたいの。」「アメリカに留学してフェローシップを取るって、大学卒業して2年間の研修、それから留学してレジデントで3年、フェローシップまで取るならまたさらに3年間、つまり本格的に僕の病院に来るのは11年後って事じゃん!その時に超タイミング良く妊娠できても明日香さんは36才になってるよ。子供がダウン症になる確率も跳ね上がっているし『結婚して子供を生む事』を本当に真面目に考えてる!?」by続・嫌われ松子の一生)という事情を知っている私としては「早過ぎる出産」も一理有るかもしれない(実際、高齢出産でも健常児は生まれてくるし、女医の母親も珍しくないが、それでも子供の授業参観時、周りの「同い年の子供のママ」より彼女が10歳くらい年齢が行っている事実は見て取れる。)とは思えましたが、元々血の繋がりの無い人間が、金を借りた挙句に「長男の嫁」として病院の跡取りになる(病院までぶん奪る。)というのはさすがに図々し過ぎやしませんか?と思わず引いた終わり方でした。(大体、医者になる気なら出産してでも受験した方が…。)秀才でなく凡才なら、尚の事、人生そうそう上手くいかないと思うのですが…。

 浅葉秀明…有馬咲良「ため息つかないで下さい。私ずっと前から秀明さんのこと好きだったんですから。記憶にも無い頃からずっと…お母さんのお腹の中にいた頃から好きだったのかもしれない。」
秀明「…悪夢だ。これから日ごと綺麗になっていく最愛の少女から愛を囁かれ続ける。」

まあ↑の有馬総一郎(彼が女だったらきっと運命の恋人になれたであろう相手)の娘×浅葉のフラグを成立させる為にも、同級生(同い年)の雪野ちゃんには、これ以上「彼女」との年の差が開かないうちに早々に子供を産んでもらう必要があったのだろう、と高校卒業後すぐに結婚出産を果たした早過ぎるヤングママ展開に最終話にして改めて納得がいったものでした。この「最短」の出会いでさえ、本人達高校卒業(18才)+彼女が成長して高校入学(16才)と実に時間がかかって彼はもう34歳になっている事を考えると、逆にこれ以上「出産」を遅らせる訳にもいかなかったのでしょうね。(雪野ちゃんが医者になる為に真っ当に大学→大学院→研修を終えてから子供を産んでいたら彼は余裕で40を超えている。「30代独身」はよくある話で済むが、「40過ぎの独身男」はどんな事情があっても「キモい」としか捉えられない(事実、戸籍に「結婚歴」をつける為だけに成田離婚するカップルさえ存在する。)ので今がギリギリの年齢である。)しかし本人がダメならその面影を残す娘と…って豊臣秀吉×茶々みたいな恋愛方式だな!と思わずツッコミも入れてしまった恋愛譚でした…。

シーズ ザ デイ

2009.05.20
 作者の月刊誌で初めての連載作品にして毎回50枚を1年半かけて書いて行った6作目の長編という内容に本当に小説家って大変なんだなあ(上下巻合わせて900枚もある。そして2冊書くのにそこまで時間がかかる物なんだ。)と実感もした本でした。「リング」や「らせん」のようなホラーでなく「光射す海」のように海を舞台にして人間が立ち直っていく様を描いた話…なのですが、同じ女としてヒロインの一人、月子に始めから嫌悪感を持ってしまった私としては多少、読み辛かった話でした。後書きといい、男と女で読んだ感想が180度変わりそうな話だな、とも思えてしまった物語です。

 船越達也…船越「俺って女にモテるタイプのように見えるか?」
陽子「もろ美人系のママと子供まで作って、その後もちゃっかり他の女と結婚して、今また祐子姉さんに好意を持たれている男が何言ってんのよ。」

月子に酷い目に遭わされてはいるものの、町を連れ歩けば周りの男が皆振り返るほどの美人(月子)を彼女にして、そのまま和み系の朝代ともイイ感じになって(手を出していない分、肉体的には二股にも乗り換えにもならなかったが、「事故」が起きなかったら、それも時間の問題だったろう。)月子との長い修羅場の後も、引き籠もりの兄のように一人者でいた訳でもなく序盤で離婚された妻・真理子とアッサリ結婚しており、離婚されたとはいえ独身に戻った現在、41歳という年齢にして理想の性格そのままの若い祐子姉さんと結ばれた…これを女にモテると言わずして何と言うのか(同時に2股3股をかけられる兵藤の女遍歴には負けたかもしれないが、それは「上には上がいる」というだけの話で、彼は彼で立派にモテていると思う。)内容が幸せだったかどうかはともかくとして、女が切れた試しの無い時系列で↑のような事を言う様には、むしろ一人者の男全員に失礼な言動だろ(離婚どころか、その前段階の「結婚」をしたくてもできない人間だっているんだよ!)とツッコミすら入れてしまったものでした。(「買いかぶりじゃないから、もっと頑張んなよ。大人ってさ、子供に頑張れって言うけど大人の方がちっとも頑張らないんだもん。」という陽子の言葉は正鵠を得ていたと思う。)あんな女(月子)と関わり合いになって不幸だったのは分かるけれど、最終的には幸せに良い女とくっついてるし、事実関係だけ見ればリア充極まりない人生を送っているぞ、お前は、と思えてしまった主人公でした…。

 船越真理子…「私、司法試験に受かったの。4月からは司法修習生として仕事に就く予定だし、だから、これからは1人で暮らすことにしたわ。」

月子との事で恋愛(女)に対する甘い理想が粉々に砕け散っていたのは分かる。女性(月子)に対する幻滅から2度と恋に本気にはなれないという諦めも分かる。けれど「結婚生活(女)なんて、この程度のものだ。」と半分馬鹿にしながら堕性で暮らしてきたのなら、当の事件と全く関係の無い奥さんの方はたまらなかっただろう、と「不要物」として「捨てられた」(離婚された)結末には同じ女として心から納得できてしまったものでした。(浮気はしなかったとか、そういう問題ではない。女をバカにしてるだろ。)なのにローンを払ってきたのは貴方だからと横浜のマンションもきっちり折半(売却)し、慰謝料も要求しなかったなんて、なんて良い女を妻に娶ったんだ(熟年離婚が多い昨今、家も退職金も「慰謝料」としてぶんどる妻が多いというのに…。)と知らず感心してしまったものでした。おかげで船越さんは憧れのヨットを購入することができ、物語は始まって行きます…。

 陽子…「あなた、私のこと殺そうとしたでしょ。ママが言ってたもん。あなたを始め、周りの人は皆よってたかって私を殺そうとしたけど、ママだけが抵抗したからアンタが生まれたのよって恩着せがましく。でもママったら、ママったら…皆の意見を聞いときゃ良かった、なんて言うのよ。」

怒ってもなお、自分を見つめてくれない母親(奇しくもこの点も「母子家庭で親の愛情に恵まれなかった」船越さん自身の家庭環境と似通ってしまっている。)と違って彼女にとっての小林先生は、おそらく生まれて初めて出会えた「甘えられる大人」だったのでしょうね。たとえ、その中身がエリート育ちの青びょうたんに過ぎず、小娘の一挙一動に翻弄されて敢え無くセックスしてしまうほど場に流されるしょうもない男でも(何故「ゴメン!俺ちょっとトイレ!」と言って押しのけなかったんだ。最後までヤってしまうより一時的に恥をかいた方が余程ダメージが少なかったでしょうに。)その一件以来彼女とはロクに目も合わせずに避けるようになった手の平返しをした男でも(気まずくてビクビクしてしまうのは分かるけれど、中学生女子に対していい大人の男が情けないだろ…。)月子に脅迫されて敢え無く自殺に突っ走ってしまう脆い男でも、「初めて自分の話を聞いてくれた人間」に違いはなく、けれど「恋」ではなかったから子供を死産したと同時に「終わった」話にはなってしまった…そんな気がします。とはいえ、想いの内容が何であれ、陽子は子供なりに彼に対して一生懸命だった(それが「恋」でなかったとはいえ、妊娠までしながら相手の男に責任を負わせることを一切考えず、家出までして産み育てようとしたのが「いい加減な思い」だとは思えない。)のに、それを踏みつけにする形で終わらせた月子が余計に憎く思えてしまったものでした。彼女の性格が父親似で本当に良かったと思えた娘です…。

 升野月子…船越「農家の長男に嫁入りした月子の母は夜、戸外で井戸水を使って食事の支度や後片付けをさせられた。ところが満月の夜だけは淡い光に照らされて自分の仕事を助けられた。月に対する感謝の気持ちは大きく、だから彼女は3人目に生まれた初めての女の子に月子と名付けたのだと、名前の由来を聞かされたことがあった。」

そして母親自ら甘やかしに甘やかし続けた結果(大きくなってからも顔だけは美人だったせいで男どもにチヤホヤされてきた経緯も有って)我慢も思いやりも知らない、挙句しつこい自分勝手なバカ女が出来上がったんだろうな(親はいつも「子供に苦労ばかりかけられている我が身の不幸」を嘆くけれど、そういう風に子供を育て上げたのって親本人なんだよね。何でも庇って「大事にしてきた」結果、子供は何をしても尻拭いは全部親がやってくれるものなんだ(親兄弟は自分のパシリなんだ。)と学習してしまったし、自分よりも「ランクが下」(何故ならばパシリだから。)の親の事なんて何十歳になっても大切にしようとしない。このブログのトップに書いた「匿名」の家庭がその代表例である。)と納得がいったものでした。実の娘ですら主人公が腹の中の子供ごと彼女を捨てたのに心から納得するほどの性格(「分かるわ。あの人とは持って半年。2、3年も一緒にいたら嫌になっちゃう。」by陽子)なのに、好みのタイプとも真逆なのに、それでも男って騙されちゃうんだなあ~(「『男』としてはこういう女に魅かれるでしょう。」「僕も最初は読んでて月子が好きだったんですよ。いや~、一度は月子でしょう。」by作者&久間十義)と後書きの対談を通して実感もしてしまった女でした…。

 水上朝代…牛島「世の中、一体どうなってるんだろうねえ。何も2人同時でなくてもいいじゃん。ちょっとズレていてくれたら綺麗にお付き合いできたのにと残念でならない。結局、2人から逃げるような恰好で予定より出向を早め、海に出ちまった。ところが、お前ときたら逆だ。こんな狭い船の中に女2人を同時に引き入れちゃったんだからなあ。逃げ場、無いじゃん。」

それでも2人の女を「傷つける前に逃げ去った」(見事に行方をくらました)分、牛島さんは偉かった。彼女(月子)がいながら他の女(朝代)と両天秤にかけて、どう見ても顔面偏差値は自分より低いその女の方に軍配を上げたり(「バカにしやがって。」by月子。そんな現象が起きている時点で2人の愛は確かに終わっていただろうが、離婚された時の船越さんと同様「プライドが傷つけられる」出来事ではあっただろう。)立場を忘れて二股(乗り換え)をかけようとした船越さんはアホだった、と思えた私でした。そして他の平凡な女に負ける事が許せなかった月子が仕組んだ沈没事件のおかげで2人もの人間(朝代含む。)が死んだ展開を考えると、朝代さん本人がどこまで意識していたかは不明ですが、正式に付き合ってもいなかったのに、船越さんに好意を持たれたというだけで矛先を向けられた朝代さんだって良い迷惑だっただろうな(ていうか始めから船越さんが「月子は俺の彼女なんだ。」と朝代に紹介して「貴女は俺的にも非常に残念ですが、俺の彼女候補には入れません。」と一線を引いていれば、ここまでの事態にもならなかったのでは…?)と思えた過去編でした。一番悪かったのは、もちろん実行犯の月子ですが、そんな女を恋人に選んだのは船越さん本人で、「彼女」がいるにも関わらず人の道に外れて他の女を連れ込んだのも船越さん(気持ちが変わってしまうのは仕方ないと思う。けれど今カノの目の前で見せつけるのは、どんなに性格の悪い「彼女」であっても、それはアウトだと思う。)で、この人がもう少し上手く立ち回っていれば朝代さんも死ぬことは無かったのでは?と思えてならなかったものでした…。

 船越章一郎(水上開地)…「まだ15歳のあどけない都志子を一目見た瞬間『あ、この人だ』と思った。」

許婚であった主人公の母親とは時代背景的にほとんど親が勝手に決めたような縁談で自分の意志ではなかった、都志子こそ自分が一目惚れして激しく身を焦がした真実の恋だった…それはそうだとしても、そんな女性と「出会った」後にアッサリ親が決めた許婚と結婚して子供を作ったのはどうなのか?終戦の混乱の中で連絡が途絶えて彼女が生きている事さえ知らなかったという点を差し引いても、その後再会し「生きている事を知った後」で本妻との間に2人目の子供を作ってるのはどうなのか?あまつさえ2人の子供を抱えた妻を捨てて彼女と生きる為に蒸発するのは完全にアウトだっただろう、と残された妻子(主人公達)の不幸に思わず涙してしまったものでした。(愛情が無いんなら…ヤルな!)いくら自ら家出して後に引けない立場になった(後には引ける。今すぐ帰って奥さんに謝ればいい。)とはいえ、身重の妻を捨てた章一郎も章一郎なら、新しい戸籍を手に入れたのを幸いにちゃっかり受け入れて結婚した都志子も都志子だ(アンタ絶対、全ての事情を知っていただろう。戸籍や名前まで変えた夫に何一つ疑問を持たなかったとは言わせないぞ。)と思えて本人達が盛り上がっている反面、主人公同様「理解」はしても「共感」する事も「許す」事も出来なかったお二人の恋の様でした。考えてみれば主人公が都志子の娘の朝代に惹かれたのも、結果として「息子」に最愛の妻の面影を宿した娘を殺されたのも、そこまでして手に入れた妻に(おそらくは娘の死がショックで)先立たれてボケた果てに海で死んだのも全ては因果応報だったのでは(不幸にした息子に、今度は自分が不幸にされたって話だな。)とすら思えてしまったり…ゲフッ!

 岡崎(鷹野亮)…船越「いいな、岡崎さんはいつでも自分の夢を追えて。作曲家として成功して、いつでも好き勝手に振る舞えるのは貴方が特別な人間で才能に恵まれたからこそ言えることです。」
岡崎「お前には、多分、見えてない。俺にだって感性を磨き、すぐそこにある光や音を第六感で捕える為の訓練を重ねた期間がある。その過程が、お前には見えないんだ。」

生まれつき才能を持った人は沢山いる。(作曲家として結果としては成功し巨万の富を得た岡崎さんはまさしくその好例だろう。)けれど才能が有れば壁に当たることは無いと勘違いしていませんか?16年前、人を「死ぬまで」追い詰める月子を、そんな性格だと分かっていながら捨てる(他の女に乗り換える)寸前まで追いつめた事といい、不倫の果てに子供を作って亡くした陽子を前にうっかり恋話を聞く様といい、祐子姉さんの好意にまるで気づかない(陽子に言われて気づいた後でも後手に回ってなかなか前進しようとしない。)事といい、この話の主人公は肝心な事が何も見えていないんだな、と実感もした↑のセリフでした。しかし、現実例としてそういう男はよくいそうで、リアリティは感じたものです。だから男と付き合うのって大変だし(「子供相手と同じで『保育』してる気分だわ。」by同僚)今の女性は耐えられなくて別れ(離婚)に走るんだな、と納得もしてしまいました。実際、祐子姉さんの母親も、こんな何股もかける男相手に愛人(子供がいながらそんな立場という事は彼には他に「本妻」がいるんだろうな…。)なんてよくやっていられるよ(祐子姉さん自身も主人公なんて「41歳の子持ちのバツ一男」相手によく本気になれるもんだ。)と出てくる女性の人の良さ(過ぎ)に感嘆もさせられた物語でした…。

つきあってはいけない

2009.05.20
 恋愛当初は誰でも相手に対して「よそ行きの顔」を見せる。相手が受け入れやすいようにと自分の内面を隠し、相手に合わせていく。けれど恋愛期間が進行し互いの癖や欠点が出てくると恋愛は修正期に入る。ここで持続するか断念するかの選択が行われる…けれどスムーズに別れるのもなかなか難しいという当たり前(になってしまった)現実も実感できる恋愛(別れ話)中心の一冊です。最初は本当に優しくて「普通の人」に見えた相手(過去形)でも、人間て思いもよらない内面を内包しているんだな(その辺はこのブログのトップに書いた元・友人にして現・ストーカー女の匿名と、それに加担する▲▲さんと同じパターンだけど。)と改めて感じた次第でした…。

 ひき逃げ…トモキ「悪いな…電話貸してくれない?車にひき逃げされちゃった。」
井上「血まみれだったので出血を止めようとタオルを当てたら…傷はどこにも無かったんです。マジで腰が抜けちゃった。だって全部、他人の返り血って事でしょう?」

血まみれの「かつて愛した人」が訪ねてきても(思わずギョッとするほど心配になった状況でも)部屋のドアを開けてはいけないという話です。咄嗟に包帯を探す(騙されたままの)フリをして、ベランダから顔見知りの隣夫婦の部屋に駆け込んだから事無きを得たものの、そもそもドアは決して開けずに警察なり救急車なり呼ぶべきだったなと対応の誤りにツッコミを入れてしまったものでした。警察の調べによるとトモキはその時付き合っていた彼女が浮気したと錯覚して刺した後「衝動的」に元彼女の井上さんに会いたくなって来ただけだと自供したそうですが、その割にはポケットからは井上さんと心中する事を匂わせた遺書が見つかっており(思いっきり「計画的」に会いに来たんじゃないか!)ズボンにはナイフも差していた(何故、凶器を持参していた?)様からギリギリとはいえ逃げられて本当に良かったね、と思わず語りかけてしまった話でした。別れた相手に情けは無用(むしろ「情けは人の為ならず」)だと心から思えた話です…。

 海賊ゲーム…ヒロミ「ノリコ先輩の彼とは『別れて』から付き合ったし、結構、先輩には可愛がられてたし大丈夫だよ。」
カナコ「その可愛がられていた人の男を奪って恩を仇で返したんでしょう。絶対ヤバイよ、アンタ。」
ノリコ「私と彼との連絡係に使っていたら、ちゃっかり竿泥棒しやがって!」

当の彼氏は芸能プロダクションに所属していた事まである超イケメン(だがデビュー直前に同じ事務所のアイドルの卵を妊娠させてしまったせいで事務所はクビ、ついでに芸能界からも追放された。顔は良くても所詮そんな男だったらしい。)ですが↑の事情から裸で縛られて尻に「お尻大好きホモ次郎」とタトゥーを入れられた事から少しは懲りていると良いなあ…と思ってしまった次第です。もちろん「奪った女」の方はこんな程度では済まされずバイクかバケツかを選ばされて(「バイクって何するの?」「簡単だよ。タイヤを空回りさせるから顔で止めてくれれば良いのさ。」byノリコ)バケツを選んだ結果、ゴミ用のポリバケツの中に座らされて海賊ゲーム(黒ヒゲ危機一髪)のようにバケツ中に焼いた畳針を突き刺された…というのは何とも凄惨な制裁の様です。後輩に彼氏を取られたというのはよく聞く話だけれどレディース(女不良)相手にやってはいけない事をしてしまった場合は復讐も怖いな(こういう人達って掟破りの人間に対する結束だけは強いんだよな…。)と感じてしまった話でした。

 つきまとわれて…兄「無言電話の相手、調べられました。こういうの最近では興信所でも調べられるからな。元彼と違うで。心当たり、あるか?名前はな、トモヒサ…。」
トモヒサ「嘘ついて悪かったけど今度は本気で俺が『元彼』になってやるから。そうすりゃ『嘘』にはならないだろう。そういうこと、やりたくなる女なんだよ、お前は。」

お決まりの昼夜を問わぬ無言電話に始まって、右腕を折られた事や子供を堕胎させられたことなどの「元彼との思い出」(嫌過ぎる思い出だな、オイ!)が脅迫メールの内容に含まれていた事から犯人は元彼だと思い込んでいたけれど、実は日記を盗み読みしていた今彼の仕業だった(そりゃ、彼女のマンションの写真も撮れるし、電話番号も知ってるわな…。)辺り、どうやら男を見る目はどこまでも無かった女性のようです。仕事は探すと言いながらも朝からゲームばっかりで「具体的な動き」は何一つ無く、口論になるとDVで黙らせる「元彼」の事を部屋から叩き出してくれたのも兄貴なら、「今彼」の正体を暴いてくれたのも兄貴で(もちろん、当の興信所での調査費用はお兄ちゃんが払ったのだろう。ていうか今彼(実は犯人)に相談するだけで終わらせないで本来、彼女が調べるなり警察に訴えるなりするべき事だったのでは?)頼れる身内がいて本当に良かったね、と思わず語りかけてしまった話でもありました。(結局最後に頼れるのは恋人という名の「得体の知れない他人」ではなく身内という話か…。)

 シェアの女…真弓「彼はストーカーなの。昔、警察に行ったけど全然、役に立たなくて。引っ越し費用もかさんで今は本当にお金もないし…ここに居たいの。」
彼「逆です。実は僕が被害者なんだ。彼女は捕まったんですけど精神病だからって入院が条件で不起訴になったんです。そして去年、退院してからまた始まったんです。」
弘子「でも真弓は首を絞められたって、指の痕が…。」
彼「アレはいつもの手なんです。またやってるんだな。痕をよく見て下さい。親指、つまり長い筋が下にありますよ。アレは他人が絞めたら上につくはずだ。」

映画「NANA」で電車で隣り合っただけの女(ほぼ他人)とシェア生活しながら絆を深めていく話が描かれていたけれど、実際にはよく知りもしない女と暮らすって大変なことだよなあ(「2人で暮らせば家賃を折半できる」ではなく、そもそも1人で家賃を払えない何がしかの事情を抱えた女という時点で怪しさを感じるべき。↑のように相手がストーカー女だった場合の他にも、「仲良く何でも話していた」せいで、ある日預金通帳もパソコンも何から何まで一緒に持ち逃げされて、自分の生年月日を暗証番号にしていたせいで貯金がパーになったという話もある。もちろん「ほぼ他人」の彼女が話していた故郷や名前は全部デタラメで捕まえる事は出来なかった。)と改めて感じたものでした。精神疾患が出てくると犯罪は無効になる(実際は「責任能力の無い人間」を野放しにすることこそ危険な気がするが。)のはよく分かったけれど、不起訴でもいいから取りあえず警察に訴えて、また何度でも入院させるべきだな(諦めちゃダメだ、彼氏!)と思わず語りかけてしまった話でもありました…。
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