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恐怖新聞②~⑤

2009.07.31
 小学生の時、弟の担任にビデオを見せてもらってから気になっていて、大人になってから店でゲームを見かけてつい買ってしまい、(しかも「嫌われ松子の一生」を読み終わったばかりだったので、主人公の名前は「ゲロ尻」とつけてしまった。…ゲフッ!)その数年後書店で文庫を見つけた時は思わず衝動買いしたという、長い年月をかけて踊らされてしまっている作品。恐怖新聞1、2巻もとっても気になってます。(ダメ人間。)

 山小屋の怪…殺人犯「イエティに出会ったという15人のチベット人に色々な絵を見せ、どれが一番、雪男に似てるかを聞いた所、全員が申し合わせたようにゴリラの絵を指差し、その次に似ているのは猿人だったといいます。」

日本でも「周遊奇談」で豊前国中津領(大分県)に、「西遊記」で鹿児島県の深山に、「羅山文集」で駿州阿部の山中(静岡県)に、「北越雪譜」で新潟県の山中にイエティ(それぞれ山男、山わろ、雪男という言葉を当てられてはいるが、残された図や姿形を見ても、明らかに同じ生き物。)がいるという「記録」が残っているそうですが、それは多分、冬眠に失敗した大型のサルだよ(で、熊のように餌を求めて人里に襲いかかってきたという話だと思うよ。)と虐待されていたチンパンジーが飼い主の首を引っこ抜いて逃亡したという実例(枝から枝へ、腕一本で体重を移動させる奴等の腕力を舐めてはいけない。映画「ターザン」でゴリラが張り手で人間の肋骨を折っていたように、筋力勝負を行えば人は確実に負けるだろう。)と合わせて納得してしまったものでした。という訳で「イエティ」は殺されかけていた子供(鬼形くん)ではなくて、肉のいっぱいついた大人(殺人犯)を備蓄食糧(モズのはやにえ状態)に選んだというオチで話は終わるのでしょうね…。

 百物語…中野「怪談会は怖くても『嘘みたいな作り話』だから良いのよ。鬼形くんみたいに本当に霊魂が出てくるのは怖くて嫌よ。」
ポルターガイスト「バカな事を…霊魂を信じもしない奴らが面白半分に百物語などという真似をするから、からかわれたと怒った悪霊が現れた…。その丸く膨らんだ蝋燭の火について来ているのは悪さをする低級な動物霊だぞ!」

という訳で、その場のノリだけで百物語が開催されたのですが、お祈りしてくれる訳でもない(真剣に思ってくれているどころか、信じてすらいない。)のに、笑い物にする為だけにネタにされる側としてはムカつく話であり、霊の中には人間のように「ガラの悪い奴がイチャモンをつけてくる」事もあるらしいです。おかげで心配して蠟燭の火を持ち帰ってしまった鬼形くん(「その火を消さなければ、百物語も『終わった』事にはならないから…。」by鬼形)がとばっちりを食らう形でガラス(割れた電球)を浴びて怪我をする羽目になりましたが、ゲーム版によると鬼形くんが放置していたら中野さんは死んでいた(で、逆恨みで化けて出てこられた。)そうですし、他の2人もかすり傷で済まない重傷を負ったらしいですし、低級霊の方も「こいつは一応、直接の関係は無い人間だから。」と相手を選んで加減はしてくれていた様子です。(じゃあ、怪我させないでって言いたいけどね…。)

 北極点の謎…担任「北極点は『点』であり、それに向いて磁石は北を指すと考えられていたが、それは間違いで北極(北磁極)は点でなく北極海を横切るかなり広い地域なんだ。広い範囲で磁石が役に立たなくなるから飛行機もこの地域は避けて通るし、探検家もどこが極点なのか分からない。実際に北極の中心がどうなっているか見た者は世界にまだ、いないんだ。」

そして北緯80度付近から北へ登るに従って寒くなるどころか暖かくなり、アメリカの探検家ヘイズは北極圏で蝶・蛾・蝿・蜂を捕まえ、イギリスの探検家フランクリンはガチョウの大群を発見、ノルウェーの探検家ナンセン(フラム号で当時最も北極近くまで漂流した話は有名。)は狐の足跡と流木を発見…北へ進むほど氷山(という名の氷の塊)が少なくなり水面だけになることを考えても「北極点が寒い」とは一概に言い切れないらしいです。とはいえ、それで地球が空洞で、北極点から地球の内側に存在する暖かい「緑あふれる大地」に入れる(中で暮らしているのが「宇宙人」で、だからUFOがそこから飛んでくるんだ。)というのはいくらなんでも突飛過ぎる解釈で、エリナ松岡という架空の目撃者を持ってしても眉唾物に感じてしまった仮説でした。(アンタ、多分、磁石が壊れたままの状態で騙されたんだよ…。)とはいえ「一説」としては面白い話かな、と見直しはした話です。

 うらみの火が燃える…戸室「ありがた教は本当に効果があるみたいだよ。ありがたやと唱えていると夜になっても僕は放火したくならない…。」
鬼形「戸室君は必死にやっていた。どんな神でも本人が真剣に祈り清めの行を実行していれば悪霊はとりつきにくくなる…。」

鰯の頭も信心…という言葉にあるように、霊能的には「ズブの素人」でも図工の授業で魂を込めて魔除けのお面(木彫り)作りをした所、それまであった霊現象が治まったという話を聞いたことがありますし、何事も気構えが肝心の様子です。また「普通の人間」でも家を塩で掃除し、線香を焚いてみた所、その部屋に取りついていた霊が部屋に入れずに窓から恨めしげに覗いていた話もある(少なくとも「その部屋」からは追い出すことができた。)そうですし「霊をその場から離す」ことは実はそんなに難しい事では無いらしいです。ただ、話にもある通り当の霊がそれで納得して成仏してくれるかはまた別の話である様子で、あっちがダメならこっち、と今度は戸室くんの甥っ子にとり憑いた女性の霊でした…。こうして順繰りにとり憑いているうちにいつか「家族に放火犯がいる」事はバレるでしょうし、この一家は終わったな(まあ、元々は親の起こした火事が元で死んだ女性の仕業だし因果応報ではあるのだが。)と感じた話でした。

 黄金百枚…「埋蔵金を掘り当てた場合、埋めた人の子孫だという事がハッキリしている場合はその子孫の物になるが、関係無い人の場合は『遺失物』扱いになり、埋めた人の子孫が現れない場合はその土地の持ち主と掘り当てた人が半分ずつ分けることになっている。その上、税金をガッポリかけられる仕掛けになっているから、大抵、掘り当てた人は見つけた事を内緒にしてしまうのが実情だという。」

だから「埋蔵金伝説」が多い割には、現実に埋蔵金が出たと新聞で騒がれる事は少ない(何故ならば、皆、誰にも言わずに懐にしまってしまうから。)だそうです。しかも水の国・日本はそこかしこに水脈が走っており、3メートルも地面を掘ると、話に有るようにすぐに地下水が湧いて出る(そして一度「水が出る穴」を開けてしまったが最後、スポンジに穴を開けたように、水圧が無くなったその穴から地面の全ての水が出ていく。で、酷い時には博多の道路陥没事件のように「土から減った水かさ」のおかげで地盤沈下が起きる事すらある。)ので「埋められた埋蔵金」を掘り起こすのは実は非常に危険な事でもある(鬼形くんのように縦穴を掘ったせいで溺れ死にかけたのは決して誇張では無い。)と、日本の地面事情までよく調べたうえで描かれた話に何気に感心したものでした。結果として「埋蔵金を見つける」という男のロマンは叶えたのだからと20年にも及ぶ苦労に納得していたお爺さんでしたが、大判100枚中95枚が水没した結果には思わず涙が出た、そんな話でした…。

 不幸の手紙…鬼形「デタラメの手紙に霊がとりつくなんて事があるのか!?」
ポルターガイスト「無いとは言えないぞ。霊には人間と同じく意志が有る。中にはネタにされたことを怒ってとりつく奴もいるだろう。それに生きている人間の恨みの念も恐ろしいぞ。あの手紙を受け取った為に血を流した人間は、皆、手紙を出した人間を恨んでいるだろう。」

「ちびまるこちゃん」でも不幸の手紙を出した藤木君(差出人の名前は無かったが筆跡で犯人はバレバレだった。)が翌日の学級会でつるし上げを食らった(「僕…手紙に書かれた通りにきちんと葉書を出したのに、何で不幸になっているんだろう?」by藤木君)ように、そんな手紙は出してしまった方が不幸を呼び込むらしいです。この話でも気が狂うほど霊に追い詰められたのは主犯の中岡君、一番ひどく殴られたのは共犯者の高畑と鈴木、ほどほどに殴られた人間は皆「自分さえ怖い目に遭わなければ、他人が不幸になってもいい」という身勝手な考え方で「不幸の手紙」を友達に出した連中だった…というピンポイントに被害者が限られている様に鬼形くんも呆れながらも納得していた話でした。結果的には恐怖新聞(助かる方法が掲載されていた。)が中岡君を救った話ですが、1回読んだ事で中岡君の寿命も100日縮まっているし、あまり褒められた行動では無いような気もした私でした…。

 悪魔のカード…ポルターガイスト「神父と悪魔の力はほぼ同じ、どちらが勝つのか分からない。ただ犠牲者が1人出るね!」

その犠牲者は病院の窓から突き落とされた先生で、主要登場人物は全員無事で済んだというオチがつきました…ゲフッ!悪魔払いの儀式を行えるのはカトリックのイエズス会派だけだそうで、そこに属しているはずのラファエル神父(父親)は何故、結婚して子供までいるのか不思議な所です。(カトリックの甲斐律は厳しく、神に身を捧げた神父は結婚どころか性行為(セックス)や自瀆(オナニー)さえ禁じられている。健全な男として破りたくなる気持ちは分からんでもないが立場ある人間が破っちゃダメでしょう。)ともあれ彼に除霊して貰うまで鬼形君はポルターガイストと悪魔アイニとの全く嬉しくない「両手に花」状態でとり憑かれており、悪魔1人だけでもいなくなってくれた事で寿命も「一ヶ月先」から延びた事ですし、今回の件で8年位寿命が縮んだとはいえ(平均寿命80年以上の時代背景を考えるとまだまだ「長生き」できるじゃないですか!)事態が「好転」した事にもっと喜ぶべきなのではないかとちょっと思ってしまった話でした…。

 笑う骸骨…武士「馬鹿げた噂通りに笑う髑髏が存在しなかったら腹を切ってお詫び致します!」

どうやら恐怖新聞は鬼形くんに関連した事件だけでなく、こうした無駄な地方事件も記事にして運んで来てくれるようです。(読めば百日寿命が縮む読者の側としては記事が増える分だけ有難迷惑な話ですが。)笑った事が原因でイチャモンをつけられて斬り殺された骸骨になった町人は同じように「笑い」を原因にして武士を自滅させた(見事に復讐を果たした)経緯に思わず拍手してしまった話でした。死んだ後になって笑っても、時すでに遅しでしょうね…。(最もそれを狙ったタイミングだったのでしょうが。)

 名投手怪死…丑の刻参りの話です。古くは祈願成就の為に丑の刻に参拝すること(お百度)が呪詛に転じたもので、室町時代の戯曲「鉄輪」の、陰陽道の人形祈祷と結びついて現代のような形(藁人形に釘を打つ)になったそうです。丑の刻(午前1~3時。時期・季節によって丑の刻の時間の間隔は変わるが午前2時なら確実に範囲内。)に五徳(火鉢に使うヤカンかけ。この作品連載当時既に「珍しい物」となっているから入手するのも大変だったろう。)の3本の足に火のついた蝋燭を立てて頭にかぶり、白装束で一本歯の下駄(特注か?)を履き、守り刀を腰に差して(まず一般の家庭には無いよ、守り刀なんて…。)首には鏡をかけ、口に櫛をくわえて神社の御神木に釘を打つ(神木に釘を打つ事で結界を破り常世から邪神を呼び出し使役して相手を祟るんだそうです。)というもので現場を見られると呪いが自動的に自分に跳ね返ってしまうので目撃者は殺すという傍迷惑な復讐方法(ここまで面倒臭い手順を考えると呪いなんてまどろっこしいことをせずに直で本人に手を下す方が早い気がしますが…。)になったそうです。それにしても「呪いの儀式の真っ最中」さえ見られなければ呪いをかけている事がバレようが、ベラベラ話そうが大丈夫なのか…とオープンな奥様に感心してしまった話でした…ゲフッ!

 円盤着陸…鬼形「正夢だとしたら僕は宇宙人に殺されるのか!?」

エリナ松岡曰く宇宙人は仲良くしましょう(ついでに検査させて下さい。←オイ!)という友好的な気持ちしかなく、危害を加えるつもりは無かったそうですが、嫌な夢を見た後の出来事であり、宇宙人の姿の異様さにパニックを起こした事もあり、鬼形くんの宇宙人へのイメージはエリナさんの旅旅のフォローに関わらず最悪な物となり果ててしまった様子です。あまりの恐怖から記憶から消してしまうほどのショックを受けた鬼形君でしたが、私に言わせれば普段の心霊事件の方がよほど怖いとツッコミを入れてしまったものでした…ゲフッ!何はともあれXファイルといい、いつも尻切れトンボのような形で終わってしまうのは円盤事件の宿命のようです…。

 背中が怖い…個人的には恐怖に怯える人たちより、あんな高さから何度も放り出された赤ん坊の方が心配になりました。(無傷とは凄い。1歳にして受け身をマスターしているのだろうか?)おばあさんは成仏してそれでいいだろうけど、赤ちゃんの方はあの家庭ではもう引き取ってはもらえないだろうし、保健婦さんたちも倒れてだいぶ気味悪がられているのでこれからが大変だろうと本当に心配になった事件です。(ある意味解決してないよ、この事件。)霊がお礼に訪ねてくるのは他の本でも読んだことがあり、本当によくあることらしいですが来られた人の感想は決まって「来なくていいのに…。」が圧倒的に多いそうです。(そりゃそうだよね。)

 奇妙な妹…鬼形「お嬢ちゃん、どこの幼稚園?」
礼子「嫌だわ、お兄ちゃん。妹に何言ってるのよ?」

思いきりランドセルしょってる子に対して「どこの幼稚園?」はないでしょう、礼さん。(しかし名前が礼子って主人公を女化しただけじゃないか!)とうとう心労が祟って入院してしまった(本当に怖いのは死人ではなくて、生きている人間…というネタなんだろうか?)礼ですが、看護婦さんの制服が最初はマトモだったのに次第に変なワンピース化してるのが面白くて(ナースキャップかぶってればいいもんじゃないぞ、皆!)楽しく読んでました。(こんな時にどこに注目してるのさ!)中神記者さんが柔道初段空手二段の猛者(新聞記者より向いた仕事があるんじゃないだろうか?)だということも分かり(それに本気を出させた礼子って…ゴフッ!)面白かった話です。

 ピアノ…女生徒「これは国際コンクールですものね!」
先生「おい、君、どうしたんだい?」
女生徒「シャラップ!マイネームイズ、シェリー・サーマン!」

憑依したシェリーのトランスぶりに思わず(そんなシーンではないと分かっていながらも)笑ってしまった、ゲームにも採用されていた話です。(写真が上手く撮れなくて、五回位無駄に現像させてしまいました。あのフィルム代と現像代はやはり中神記者さんの自腹だったんでしょうか?)ゲームではコンクールの審査員に認められた嬉しさで天国に行っていたのに、漫画版ではシェリー、成仏してないのかい!と終わり方に大ショックを受けた話でした。音楽の先生が倒れたのもゲームには無かった(というか先生自らピアノを弾く検証シーンすら無かった。シビアだ。)のでオリジナルシーン満載でこれはこれで楽しく読んでました。(いや、原作はこっちなんだけど。)しかし、終わり方が納得いかない話でもありました…。(ゲームは平和だったのに。)

 ドラフトの星…ギャランツ「よろしい。我々がくじを引けば運悪く10番以降になる可能性があるが、確実に1番くじを引いて、その選手を手に入れられるなら『人気の山岡』で結構!」

3ページ目で「この試合に勝とうと負けようと関係ない!」(実力どうでもいいんですか?)と監督の人から言われてるってことは山岡さんは初めから実力を見込まれた選手ではなかった(のに、あれだけの観客を湧かせるのは「やるなあ。」ってこと?)ということで、本人が劇画ポーズで悩むほどの凄い選手ではなかった…んでしょうね。ドラフトは確かに球団が勝手に選手を選ぶ人権無視な規則ですが、桑田選手などは「大学に行くから。」と言ってこれを回避してますし(そしてジャイアンツとつるんで大学に行くはずの桑田を唯一指名するという手段で球団に入っていた。ずるい。)山岡も大学に行くと言って入団テストを受けてれば良かったじゃん、と今一つ同情はできなかったキャラでした。笑われるのが耐えられない(訳・自分はもっと価値のある人間なんだ。)と思っている限り金の亡者はついて回ってるんでしょうね。(凄い選手イコール契約金たっぷり…だからね。)

 ふとん…ゲーム採用話パート2です。私は町内くまなく聞き込みをした結果、最後に行った布団売りのおじさんに門前払いをくらって(おそらく霊のことばかりを熱く聞きこむ怪しい中学生と思われたのだろう。)おじいさんの所までたどり着けませんでした。同じ布団屋で買って直している布団だからと同店で預かっている布団の持ち主全員の所に化けて出て、その後も相変わらずだったおじいさんでしたが…おじいさんも成仏してないんですか!とまたもショックを受けた話でした。死体も発見し葬式も済ませたというのに、このうえ何をすれば良いというのでしょうか?またしてものバッドエンドに後味が悪くなってしまった話でした。

 風呂…いや、霊の確認の為とはいえ、場所が風呂場とはいえ、裸で現場に挑むことはないだろうと(いざという時、フルチンで逃げなきゃいけないじゃないか!)ツッコミを入れてしまいました。最後には新聞が助けてくれましたが、窓を突き破るほどの芸当が果たして新聞(紙)にできるものなのだろうかと(しかもピンポイントに新聞の部分しか割れていない。神業である。)ここでも疑問が残りました。それで風呂場に霊がいる事が確定された所で除霊はやったのか、その後もカットされていて続きが気になるお話でした。

 自転車…少女「私の…自転車…。」
店主「事故に遭った所悪いけれど、君は金を握り締めたまま死んで、その自転車を買っていないからね。」

なのにその自転車に取り憑いたなんて売る側としてはたまらない話だ(そりゃ、売った相手に何も言わないか。)と納得したゲーム採用話パート3です。私もゲーム中で自転車に乗ってしまい、見事に事故りました。(ゲームではハンドルが利かないまま車に突進するので、より怖いです。)本編では山崎君の怪我よりも自転車の台数分の人数でサイクリングに行けない事の方が心配なのか君達は、と2ページ目にして無常を感じた話でした。そしてやっぱり…成仏してないのか、この人も!と暗澹たる気持ちになしました。(ていうか、もしかしてゲームに登場した霊は1人も成仏していないのか…?)ところで、今回珍しく恐怖新聞の出番がなかったんですが、どうやって事情を知ったんですか、礼さん?

 交霊会…中川武士「おのれ!武士の魂に手をかけるとは!」
借金取り「お…お斬りなさいましたな!金を返さないご自分が悪いのに私を切り捨てて事を済ませようとなさるとは!この恨み忘れませぬぞ!7代先まで祟って…!」
鬼形「子供ならその武士の血は2分の一、孫なら4分の一、7代先なら128分の一と、100分の一にも満たない、ほとんど他人同然の血筋になるから『7代先まで』か…。」

昔、ビデオで見せてもらったのはこの話でした。(しかも霊媒が倒れた所で休み時間のチャイムが鳴ってしまい、結末が分からずじまいだった。)窓割らなくても新聞届けられるじゃないか(ところで、なんであの霊が新聞を届けていたんですか?)と早速ツッコミを入れた話です。どうやら祟る対象は関わった人全員という観念らしく子孫でもないのに礼さんまで殴られていたこの顛末。(痛いよ、柔道初段空手二段!)生まれ変わりの話は私も聞きますが、大抵の場合前世の記憶は幼い頃に片鱗を見せただけで消えてしまう(生まれた子供が死んだ父親と同じ酒のつまみが好きで、初語が「わしだよ、S子。」だった…が、成長するにつれて普通の子供になったという、など。文江さん、もとい前世で男を裏切った鶴姫さんの場合も本人は何にも覚えてないしね。)ものだそうで生まれ変わってもあそこまで前世の記憶が鮮明な竹の市さんはかなり珍しい人なんでしょうね。(おまけにテレポーテーション能力開眼か…お金返してもらわなくてもびっくり人間ショーで生活していけるんじゃないだろうか?)緑子ちゃんはなんだかんだ言いつつ最後は助かると信じていたので本当に死んでしまったことに大ショックを受けました。(兄ちゃんもあれで仕事クビだろうし、苦労するんだろうな。)基本的にバッドエンドばかりの話なんだなあと改めて思えたものです…。

 「他人の顔」…鬼形「嫌だ、嫌だ~!僕は死にたくない!」

ゲームでも最終話として活用されていた話です。私でさえノーミスでクリアできたのにあんなのにだまされるなよ礼さん!と朝まで待てずに騙されて結果いから出てきてしまったあんまりな間抜けぶりにガックリきた話でした。「どっちみちお前の体は腐ってもう生き返ることは無理だ。」ってことはクラスメートを巻き込んでも無駄だったということで(危うく悪霊に利用されるだけ利用されて終わるところだった。)助けた礼さんは正しい判断をしたんだなと見直しました。(なのに葬式の席でさえ「でもあなたは気味が悪くて本当に怖かったのよ。」と言われてる礼さんが哀れ。そりゃ、浮かばれないだろうなあ。)それにしても礼さんは何で幽体だとブリーフ1丁の姿なんでしょう?(配達人になってからはブリーフスタイルじゃ無くなって密かに安心しました。)など謎が色々残ったまま終わってしまった最終話です。(いいのか、こんな終わり方で…ガフッ!)とりあえず、成仏してない霊がほとんどなので新しく新聞を配達されるようになった主人公の光子さん(暫定)も色々見てしまう羽目になるんでしょうね。
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さよならの理由

2009.07.31
 そういえば私、奈良とは縁がないなあ…と思いながら読んでました。修学旅行でも中学は鎌倉(班ごとに新聞を作らされた苦い思い出があります。)高校は京都(生八橋にハマりました。)大学は北海道(木彫りのアクセサリーを買いました。)だったのでこんな所なのね、と旅行会社のパンフレットを読んで行った気になってる人の気分を味わってました。
 結スケ(高崎結子)…髪を切って短くシャープに…って前と全然変わってないじゃないか!とツッコミを入れてしまった女性。確かに池上さんはワンマンで亭主関白な王様人間だけど、不満を何も言わずに(だから彼は最後まで問題点に気づけなかったんだよ。)増長させてしまったのはあなたなんですよ、と1人で被害者面してる彼女にイラついてしまいました。婚約前から疑問を感じていたのなら指輪をもらった時に「考えさせてほしい。」と保留にすべきことだったろうに、ホイホイOKしてそれから初めてグチグチ不満を言うやり方に(結婚するんだから…と言って相手に自分の理想を期待した所で、今見ている彼は一生変わらないだろうし、強制してそうなっても意味がないよ。)幻滅しました。私はウジウジ相手のせいにしてるこの人自身も立派に腹黒いと思えてならない(あなたは「自分に逆らわない女と居ると気分がいいという池上さん」を察して不満を言わなかったんじゃないの?)ので、どうにもこの人は苦手です。その後も「別れても仲良く」なんて自分に都合のいいことばかり考えている辺り(こんな時は潔く恨まれましょう!)やっぱり好きにはなれないです。
 池上 雅樹…読者の私には彼女の本性(モノローグ)が見えるけど、登場人物である彼には「どんなに勝手をしても不満を言わないできた女」としか見えなかったんでしょうね。(「見つめられただけで天に昇っちゃう。」と言っていた女が、いきなりグチグチ不満を言って一方的にさよならするとはまさか思いもしなかっただろう。)婚約に失敗したからといって、そんな理由で会社を辞めるわけにはいかないし(むしろ辞めたら男失格。)式の招待状を送った親戚や会社関係の人には物笑いの種になってるだろうし、これはプライドが高いだけに辛いだろうな(結スケ、これで恨まれない方がおかしいよ!)と同情してしまいました。本人、お別れのわけがわからないままだったので(しかも相手はたった数日で忘れ去って、新しい男と噂になっている…ゲフッ!)余計に重い出来事だったでしょうね。なんでもなかったように振舞うのは彼でなくても不可能だと思います。
 林くん…旅行先までつけてきて、ホテルの前まで待ち伏せして、心が和むどころか立派なストーカーだよ、それ!とドン引きしてしまった男性。食堂の片想い宣言も立場をかばってるというより、周りで噂にして後に引けないように追い込んでる(これで後に振ってしまったら、晒しものになること確定だろう。)ように見えたので、本当にいい人なのかどうかは個人的には疑問でした。気楽な気持ちで…はとても付き合えないよ、林くん。(このままいけば確実に村八分にあいます。)
 日野 あずさ…事務員A「日野さんてやっぱり池上さんとできてるって噂、本当なんじゃない?」
事務員B「だから…高崎さんが悪役になると被害者として池上さんの株が上がるから…。」
事務員C「わざとかばう。」
事務員D「あ…なるほど。(恨みは深いのね。)」
いや、ライバルであるはずの結スケに色々良くしてくれているので(特に婚約破棄してから無茶苦茶やさしくなったよね。)そこから逆に池上氏に対する個人的な恨みを感じとれてしまうのは私だけでしょうか?結スケのことは自分と同じ「被害者」だと実はこの人が1番誤解していそうな気がします。(浮気宣言の時も同じ席にいたしね。)「付き合ってこられなかった。」とわざわざ過去形に訂正している所から察するに、結スケが彼女との噂を理由に婚約破棄を言い出した直後にお別れを言い渡されたのでしょう。(その3日後には別れた意味がなくなってるし、なんて無情なんだろう…ゴフッ!)ぶっちゃけ、1番可哀想なのはヒロインではなくこの人のような気がしてなりません。

霧の森ホテル①②

2009.07.29
 1巻目は面白かったけれど2巻目から分かり辛い話になったな、というのが率直な感想でした。「ペントハウスの住人」も兄と妹(後から出てきた愛人に父親をかっさらわれた。)の方が分かりやすかったし、「雪原のラブレター」も妊娠騒動じゃなくてただ男に振られただけの逃避行の方がシンプルで良い(結局アンタの本命は元彼と幼馴染とどっちなんだよ!?)と思えてちょっと評価が落ちたものの上手くまとめてあって基本的には読みやすい話でした。続きが楽しみ…と言いたい所ですが、現在作者が新連載をしている分、まだまだ続きが出るのは先の話になりそうです…。

 殺人のすすめ…恒樹「僕は真矢に叱られるのが嫌いじゃない。真矢の前では何でも言える。自分が強気な分、僕の弱音まで受け入れてくれる。でも彼女の…翔子の前では、愚痴は言えなかったものなあ。」

要するに優柔不断で情けない男だからこそ、尻をひっぱたいてグイグイ引っ張って行ってくれる姉御肌タイプの女の方が性に合ったという事なのでしょうね。「決断できない男」(それこそ別れ話すら「彼女」が後ろに控えていてくれないと何も言えない程に。←お前、情けねえよ。)だからこそ「自分で何でも決められる女」の尻に敷かれている方が安心できるということだったのでしょう。(その点を考えると翔子さんでは「甘えさせてくれる女」には確かになれないでしょうね…芯が弱過ぎて。)会社の重役令嬢という事もあって将来も安泰でしょうし、バリバリ仕事をこなす出来るタイプには到底見えない彼(とりえは本当に「優しくて何でも言う事を聞いてくれる」点だけで、その点が災いして二股までかけている部分を考えると美徳とも言い難いだろう。)にとってはまさしく理想的な結婚相手ではあったのでしょうね。翔子さんも翔子さんで立ち直った様子ですしもっと自分に合った男性を探せとエールを送った話でした。

 放たれた扉…唯「亮といれば一生なに不自由なく暮らせるだろう。強引さに撒かれる心地よさも覚えてしまった。でも槙生のひたむきさも愛おしい…!」

ダメ女だな、この女…と刺された理由に心から納得できた物語でした。ていうか普通は二股をかけた男2人共からプロポーズされるのではなく、どっちからも「この尻軽女!」と振られるのが当然の展開だろう、とツッコミも入ってしまった話です。同棲までしている彼氏がいながら、その彼氏にモロバレしながらも関係を辞める事はしない彼女(ねえ、2人の男を両天秤にかけながら何を開き直っているの?)こそが間違いなく登場人物の中で一番残酷な人間だろうと同じ女としては嫌悪感が募ったものでした。(そりゃ「愛人」の立場にいる槙生がキレる訳だと実感できました。)一応、苦学生の槙生の方を選んだようですが、弁護士になんてなれた所でそれで食っていける事は既に難しい時代になっているし(司法試験の成績トップクラスだけがなれる検事や裁判長ならともかく弁護士は数が多くなり過ぎて「報酬が高額」という条件以前の問題として「仕事が無い」有り様になり果てている。)一緒になった所で相当苦労することは目に見えていて、カッコつけから「苦労する方」を選んでいるけれど、やっぱりこの女はそう遠くない未来に自滅していただろう(相手はまだ学生。仕事の無い夫を抱えて、あなたは2人分の給料を稼ぎ出せるほど働けるの?)と思えた顛末でした…。

 ラビリンス…鞠子「母は不器用な女性だった。表現の仕方が分からないだけで本当は鞠子の事を愛しててくれたの。」

大人の力で10歳の子供を鼻血が出るまで殴りつけて、煙草の火を体に押し付ける事が「不器用」の範疇で済む問題なのか…(どう見ても立派な虐待だろ、それ。)と思わずツッコミが入ってしまったものです。(むしろそれが「母の愛」なんて怖いと母親になる事を怯える主人公の気持ちがとてもよく分かるのですが…ゲフッ!)父親の事に関しては、優しいフリだけはとても上手いロクデナシの男も男だけど、おだてられていい気になってホイホイと避妊もせずにセックスしていた母親も母親だ(本当に恋にのめり込んだ以前の問題として、子作りは計画的にしようよ…。)と思えて、やっぱり同情しきれなかったものです。子供の好きな物も知らない、今までも10年間誕生日を忘れていた経緯(「今まで何もあげたこと無いし、これからだって飲んだくれて誕生日を忘れるかもしれない。」by梨也子)といい、本人が自分で言っている通りに「本気で母親失格」だと実感してしまった女性でした…。

 ブラックムーア…雅也「わしと横浜になど逃げなかったら曄子は16で死ぬことなど無かったのだ…。」

「泣かせた女」は星の数でも「殺した女」を作るつもりではなかったのでしょうね、きっと…。ともあれ、すっかり私物化している所を悪いけれど、そのブラックムーアは西坊城家の家宝であって、黙って持ち出した(盗み出した)曄子のものでも、(曄子から盗んだ)雅也のものでもないのだから「思い出の品」として着服していないで西坊城家に返しに行けよ…(曄子が働いて買ったものでも雅也が財力に物を言わせて買ったものでもないだろう、それ。)とツッコミを入れてしまったものでした。(「正当な所有者」はどう考えても西坊城家・現当主である兄貴・公長さんでは…?)墓参りのシーンでは墓守りとして充分な財産を貰ったとはいえ普通はハイそれまでよ(貰うものは貰ったし金の切れ目が縁の切れ目だ。)という所を未だに墓を掃除してくれている若くていい女の奥様の姿が見られるし、本当に幸せな人生を送ったジジイだな、と心から納得できた話でした…。

 ペントハウスの住人…ほのか「ゆうくんのお母さんは結婚できないなら死ぬって何度も手首を切ったそうよ。野心もあったのか父は重役のお嬢さんだったその人と結婚したけれど、結局子供まで作って捨てた昔の恋人の元に戻ってしまって…。」

クズ親父だな、その男と2人の女を捨てておいて、どっちにも未練を残していた体たらくにツッコミを入れてしまったものでした。また、自分達と一緒に暮らしながらも異母弟の事を気にして最後まで名前を呼ばれたら(そこまで気にする位なら責任取って元妻が自殺した時に引き取れば良かったものを、それはしないでブツブツ口先だけで良い父親面していたって最低だな、そいつ。)目の前で看取っている妻子としては複雑だろうと本妻達の方にも同情をしてしまった話です。何はともあれ姉弟だと分かっているのに「口封じ」にキスをして、押し倒されてもおっぱい吸われても抵抗しないほのかさんに驚愕させられた話でした。彼女にとっては相手が誰であれ男相手に(でも弟だぞ!?)こういう事は普通にできる事なのでしょうか…?(まさか、必ず御園緒先生を「口説き落として」みせるって、そういう意味!?)

 雪原のラブレター…カレン「この村がスタートだったわ。両親の墓も私に告白した男の子も、自分以外のモノ全てを捨てたスタート。だから私はその時の気持ちを確認しに来たのよ。頼れるのは自分だけ…ってね。」

だから自分の肉体に頼ってモデル→女優と世間を渡ってきた訳か(「アンタ、そんなことしなくてもトップ女優になれるだろう…。」by卓)と納得すると同時に「10年後も会って下さい!」という約束は果たされたものの、現在他の男と不倫した果ての子供を妊娠中(愛しているのは他の男)で今もまた「振られる役所」で終わっているすぐりくんに同情してしまったものでした…。カレンもカレンで愛した男の子供を「産む気」なら吹雪いている山の中を当てもなく歩くなんて自殺行為は辞めておけよ(霧の森ホテルが超都合良く現れなかったら、男2人がついて来て崖に落ちかけたのを救われていなかったら母子共に雪山で凍死してるぞ。)とツッコミを入れてしまった、ちょっと(何がしたいのか)分かり辛かった話でした…ゲフッ!

アイズ

2009.07.28
 以前、テレビ局の紀行番組の為にロシアへ取材に出かけ、レポーターとして「ごく自然」に建物や広場の説明を加えながら長い坂をゆっくり下りて行った所、胸元のピンマイクにも、はるか先にあるカメラにも気づくはずがなかったロシア人達は皆、怪訝な表情をして避けたり、中にはあからさまに驚きの表情を浮かべてハッと身を避ける人も何人かいた(彼らにすれば「東洋人が大声で訳の分からない独り言を喋りながら歩道を闊歩している」としか映らなかった。)そうで、この「意味不明さ」が不気味な感情を呼び起こしているのだろうなあ、と作者の経験談も語られている文庫本です。だからこの本には「リング」のように身の震えるほどのホラーではなくて「日常の中の非日常」が描かれているのかと納得もしてしまった短編集でした。

 鍵穴…松浦「鳥居のアパートだよ。お前が今住んでいるマンションのペントハウスは以前、鍵穴から死体に手招きされた鳥居のアパートがあった所だ。」
大石「…嘘をつけ。そんな偶然、あるはずがない。」
松浦「また、呼ばれちまったな。」

だから高校時代から憧れだった「早苗ちゃん」を首尾良く妻に迎え、息子を2人も儲けながらも、よその女の存在も相まって(そしておそらくは鳥居の霊の悪影響もあって)2人の仲はギクシャクしている訳だ、と納得すると同時に、それはそれとしてバツ一の子持ちのオバサンだった女(子供は夫が一緒に風呂に沈めてしまったとはいえ)がマンションの最上階のペントハウスに住めるほどの裕福な夫に拾って貰えただけで感謝すべき話で、この上文句を言える立場でもないよな、とツッコミは入れたものでした。(実際同じ女として羨ましい立場だよ、早苗ちゃんは…。)ただ、↑のような事もあるので住む場所は購入前によく調べておきましょう、という話です…。

 クライ・アイズ…安芸子「私は人形ではない!」

その文字通り人形(ダッチワイフ)を本物の人間だと思いこんで、部屋まで駆けつけて「使用」していた男をブチ殺してまで手に入れた隆三も隆三(「オイ!現実をよく見るんだ!」by昭典)なら、相手を本物の人間と思いこんで、寝ていた彼を刺し殺して飛び降り自殺をした安芸子も安芸子(まあ、相手が人形であっても「浮気」に違いは無いだろうけれど…。)で、皆バカ過ぎるだろ!とツッコミを入れてしまったものでした。(このように常軌を逸した行動をしてしまうのがマリファナの効果なのだろうか…?)そりゃ、生きていないはずの人形が「人間達の愚かさ」を嘲笑うかのように笑みを浮かべもするよな(私も爆笑してしまったよ、このオチには。)と大笑いさせて貰った話でした…。

 夜光虫…真由「ずっと、ここにいたのに誰も見つけてくれないんだもん。」

結局、娘の真由は船から置いてきぼりにされて港の店で保護されていた事が判明したのですが、おかげでとんだ騒ぎになった上に、目的であった義父(候補)の川端には全く懐かず(娘が新しい「父」と上手くやっていけるか、その可能性を見計らうという意味も含んで行われたナイトクルーズだったが、結果は最悪な物で終わった。)挙句の果てに少年の水死体を発見したというロマンチックなムードぶち壊しの展開には残念ながら、この恋は終わったなと、あまりの展開に娘の無事にさえ興味を亡くした男の態度からも察せられたものでした。2人の思い出に「水死体発見」というエピソードがつく女も微妙でしょうし、本人はまだ自覚がない様子ですが、全てが台無しになった事をまざまざと実感してしまった展開でした…。

 しるし…父「マーキングがあったこと覚えているかい?これは自分へのサインではないかと思えたんだ。FAとアルファベットが続いたんで一攫千金を狙ってフェイス製薬に投資した所これが大当たり。でもマーキングは結局フェイスではなくFATEへ落ち着いて行った。『運命』。だから父さんは意を決して家を出た。自分の運命を生きる為に。」
由佳里(えっ。本当は3つ目と4つ目の間にHが挟まれていたのを間違えて消してしまった上に、その後もRの文字が続いたからFATE(運命)でも何でもないんだけど…人生の方向を転換した挙句に新しい妻子を失くしてしまった今、単なるスペルミスであったなんて言わない方が良い…わね。)

「運命」や「啓示」なんて「サイン」は所詮思いこみに過ぎない、そこにどんな意味を過剰解釈していくかで人生が変わるのだろうけれど、変わり果てた後になってから実は勘違いの果ての、ただの「思い違い」に過ぎなかったという痛い現実を知らしめるのも残酷な話だろうな(「本当のこと」が必ずしも勝っているとは限らない。それで幸せだと思えるなら、傍目通りそっとしておいた方が優しさであるだろう。)と、咄嗟に黙った娘の機転の良さに頷けたものでした。(しかし自分達を捨てて蒸発した父親に対して、優しい娘だな、この子は。)挙句に家族を亡くした上に無一文になった父親と一緒に暮らしてあげるなんて(しるしをつけて行ったのが義理の弟の幽霊だと判明したからといって)どんだけ良い娘なんだ、この子は、と微笑ましい気持ちにもなった話でした。

 檜…新聞「昭和40年6月28日夕刊。親子が死ぬ。奥多摩で崖崩れ。鉱山職員名波啓正さん方裏山の土砂が崩れ名波さん宅を半壊。妻の律さん(三十四)、長男の啓ニちゃん(五)、隣家の栗田しのぶちゃん(九)が生き埋めになった。」
啓ニ「なんだ、そうだったのか。ここ40年ばかり自分は一体どこを彷徨っていたのだろう。」

だから「一緒に死んだ」母親に育てられたものの、事故に巻き込まれず生きている父親は蒸発したかのように啓ニの前から姿を消しており(だって「住む世界」が違うんだもん。)、恋人(同じく死人)のしのぶと抱き合っていると骨と骨を絡ませているような錯覚を起こすし(多分、傍から見たらその通りに骨と化した死体が絡まり合っているのだろう。)彼女の体からは土の塊が出てくる訳だ、とこの40年間、自分がとうの昔に死んでいる事に全く気づかずに生活していた主人公(おかげで分かり辛い話でした…。)にツッコミを入れながら解釈を入れたものでした。再度、土砂に飲み込まれそうになっていましたが、それで本当に「死ねる」のかも疑問で、不安も尽きなかった話です…。

 杭打ち…山中老夫人「まだ、いっちゃんが生きていた頃、うちの人ったらよく言ったものですよ。『いくら槍投げの選手だったからって、投げやりな人生を送ることはないだろう』って。」

ダジャレかい!とツッコミを入れると同時に、セールスに騙されやすい自分を、酔った勢いで寝て以来恋人面するのがうっとおしくなったからという理由だけでその手の業者に「売った」主人公が恨まれるのにも納得がいった経緯でした。(わざわざ借金を抱えさせて「都落ち」させなくても、正直に「ゴメン、俺、女なら誰でも良いから手を出しただけで、最初からお前に興味も関心も無かったんだ。」と言って殴られる方がはるかにマシな関わり方だと思うのですが…誠意も誠実さも無くて相手を騙す事しか考えていないのがセールスマンの特徴なのでしょうか?)本人はすっかり忘れ去っていても、それで父親まで(生命保険を当てにして)自殺するほど家庭崩壊した現在、いっちゃんの堪忍袋の緒もさすがに切れたのでしょうね。主人公だけに見えている槍はもちろん幻でしょうが、それに後押しされて崖に向かって突っ込んでいる最後に拍手してしまった話でした。

 タクシー…詳子「あなたとは一緒に暮らす意味が分からなくなった。」

その翌日には誕生日でも記念日でもないのに彼女の為に有名ブランドのブレスレットをプレゼントしてきた夫がいい奴だと思えると同時に、当のブレスレットはしっかり貰っておきながら「金や物で人(自分)を釣ろうとするその性根に、彼の思惑とは裏腹にいよいよ離婚の決意を固めさせてくれた。」って自分が不倫しているという不都合な事実は一切黙っておいて、何なんだ、この女は…(何、悪いことを全部相手のせいにしてるんだよ。)と一気に嫌気がさしてしまったものでした。タクシードライバーの声を借りて死んだ愛人から声をかけて貰った辺り、彼からも心から愛されていたことが分かって思えば幸せな女だな、と思えてしまった話でした。

 檜…老婆「今回の悪霊騒ぎはアンタの縁じゃ。覚えがあるじゃろ。」
雅子(別れた夫と結婚する前に子供を堕ろしたことがあるけれど、その事を言っているのかしら?それとも高校時代の万引き…?)

実際には合戦場の跡地であるこの土地で、祖母が連れ子の母を残して自殺したその場所で、血を引いた娘がクラスのいじめられっ子となり(「下呂に行ってゲロゲロ。」byクラスメート)日々自殺を考えていた事に起因しているのですがその事には全く気づかず、ロクな人生を歩んでこなかった半生を振り返っている母親に「…。」と思ってしまったものでした。戦場の櫓の上のようなバルコニーの外で死んでいった人たちの霊を見て、生きようと決意した娘(「死はこんなに簡単に手に入るもの。そこに尊厳は無く、いつでもできる。嫌になったら、またこうして選択肢を自分の手で握っているという快感を味わいながら生きられる所まで生きればいい。」by仁美)に呼応するかのように怪奇音が止んだ辺り、戦国時代から連綿と続いてきた彼女一家の血がやはり原因だったんだなと最後の最後まで「覚え」に気づいていない母親にツッコミを入れながら頷いた話でした。

シュリンクス・パーン

2009.07.26
 何と言うか「天人唐草」「私の人形は良い人形」と読み進んだ自分としては「話がハッピーエンドで終わっている…!?」と逆に驚かされた短編集でもありました。今までは救いようのない結末で終わっていて、「でもそれが現実だよな…。」(現実には白馬の王子様もいないし、理不尽な状況であっても「戦う時」はいつだって1人で戦わなきゃいけないし、そこで挫折して人に縋っているようじゃ何も成し遂げられやしない。)と感じる話が多かっただけに今回は意外に感じることが多かった、そんな神話・童話がらみのタイトルが多い話の数々でした。(何か良い事でもあったんですか、山岸先生!?)

 シュリンクス・パーン…オシアン「すっかり改装したバターシー・ハウスで今年、僕が迎えた花嫁がかつてのパーン(と名付けられた浮浪児)だなんて信じられないだろ。ええ?君。」

で、結婚を記念して書いた話が彼女との回想録というわけか…と話の流れに納得すると同時に、結末に「源氏物語かい!」(手元で育てて「理想の女」に育ち上がった時点で収穫…もとい結婚する話。)と思わずツッコミを入れてしまったものでした。叔父の遺産を受け継いでみたら、バターシー・ハウスとは名ばかりの廃墟と、シュリンクス(パーンが恋した妖精の名前。だがパーンの事は嫌って葦に転身し、永遠に彼女と結ばれなくなったパーンはせめてもの思い出にと葦で笛を作って吹き続けている。)という不吉極まりない名前をつけられた浮浪児を押し付けられた(遺言書「パーン一匹飼育すること。」←どんな遺言だよ!)経緯には改装費と合わせて主人公に同情もしてしまった経緯でした。こんな経緯でも立派に豪華に幸せになれたなんて金に余裕があるって凄いんだな(そこ?)と感心もした話です…。

 パニュキス…チャールズ「神は人間をはじめ黄金で作った。だけど人間を成長させる為に泥を混ぜて人間を大きくした。だから大人になればなるほど泥の率は高くなる。子供の時代だけが純粋に黄金なんです。ネリー、貴女は今でも黄金だけで泥を持たずにいる。そういう人を僕は初めて見るんです。」
ネリー「けれど黄金は自分に泥が混じるのを恐れるあまり、もう一つの黄金しか愛そうとしなかったのですわ。私はハリーを愛していたというより『自分の分身』を愛していたのです。泥に混じるまいと相手の黄金を削り取っていただけ…子供のエゴなんです。」

大きくなっても空想遊びに戯れ(おかげでハリー共々ピーター・パンの真似をして14歳にして2階から飛び降りようとする暴挙に出た。)ロマンチック思考が過ぎて全然現実を見ようとしなかった(それこそアンドレ・シェニエのパニュキスの詩の通りの恋人をハリーに当てはめるほどに。)兄への依存が過ぎたネリーと反して、兄のハリーの方は学校にも馴染んで友達も作り、2年間も家に帰ってこないほど自立して、現実を見てサッサとピアノを辞めるわ、他の女(クレアモント)と結婚するわ、滅茶苦茶独立していた様にはすれ違いが過ぎて多少涙してしまったものでした。けれど、変わっていくハリーもまたハリー自身であり、「あの頃のハリーだけが好きだった」ネリーの気持ちは確かに「愛」とは違う物(実は現実の相手自身なんて全然見てやしない。)だったのだろうと納得してしまいました。おかげで現実の王子様(チャールズ)を見落として12年…第一次世界大戦を間に挟んで長~いブランクを経た恋は今ようやくにして実ったのでした…。

 パイド・パイパー…夫「不倫の果てに左遷されて、それでも懲りずに浮気を続けて、子供が怪我をしても誘拐されても帰って来なかった。それは確かに俺が悪かった。でも何も離婚までしなくとも。男には女と違ってどうしても他の女に目が行く時があるんだ…男の性なんだ。」
妻「この人は女が『自分と同じ人間』に見えていないのね。男だから許して貰えるし、女だから許さないのはおかしいと思っているのだわ。」

中世の時代にドイツのハーメルンから街中の子供達を連れ去ったパイド・パイパー(まだら服の笛吹き男)、人見知りする子だっていただろうに、子供達は何故そんな男について行ったのか…それは彼の声が、自分以外の意志や感情を認められない者が囁く限りなく自己中心的な声だったからだ(「自分の思い通りに動いてくれる限りは愛してあげる」という条件付きの言い分。つまりとっくに成人した人間でも中身の方は他人を思いやれない「子供」であり、同レベルの相手だからこそ子供達も「仲間」認識してついて行ってしまった。)という解釈の元に進むこの話。けれどそれは自分達も同じだった。子供に父親が必要だという大義名分を振りかざして「自分が母子家庭になりたくない」為に↑のような夫にしがみついていた妻、だから子供達も母親と同じように父親を愛しも尊敬もせず嫌がっているし、そうした家庭に夫も戻って来れなくて当たり前だったという殊勝な結論を出して、ようやく離婚に踏み切った道子さん。でしたが夫の女性問題も初めてではなかったそうですし、そもそもこんな「誘拐魔の住む町」に戻ってくる原因を作ったのも夫の転勤(左遷)ですし、思えば1回目の時点で別れておくべきだったなともツッコミも入れてしまった話でした…。(ある日じゃなくて初日に言うべき話だったな、これは。)

 グール(屍鬼)…女「あなたも私を食べていいのよ。」
男「食べていいって、そういう意味かい!」

グールとは「食屍鬼」とも書き、夜中に地底から這い出して来て人間を食う化け物の事です。果物もある、海藻もある(生だけど。)でも僕が欲しいのは肉だ!何でもいい、何かの肉が食いたいんだ!という訳で、とっくの昔に死んだ2人は「肉」を求めて互い(時には自分)を食い合う食人鬼になってしまったのでした。死んで魂だけになったおかげで、いくら食べても肉(生だけど。)は後から生えてくるし、相手の方を食べれば「痛い思い」もしなくて済むし、何とエコな関係かと女の人の方は多少嬉しそうなご様子です。自分達の死体が流れついた辺り、この島は天国でも何でもなくて実在する場所のようですが、船の通らない無人島であるが故に誰も来てくれない事には変わりなく、彼らが成仏するのは(お祓いして貰えるのは)まだまだ大分先の話になっているようでした…。

 鏡よ鏡…羽深緋鶴「お前の父親はあの人から私を引き離しておきながら、お前が生まれるとサッサと私を捨て去ったんだよ!これ以上、何物も小娘のお前なんかに奪わせはしない!そう…若さ、あの人は若い娘が好きなんだもの。私の時もそうだった…!」

つまりママは「あの人」を捨ててパパについて行ったけれど、今度は自分が因果応報でパパに捨てられ(あのキツイ性格では、いくら美人でも嫌気が差すだろう。子供という重荷が生まれたら尚更だ。)フリーになった所で「あの人」との復縁を望んでみても「子持ちのオバサン」(もはや「若い小娘」とは言えない。)になった自分に「あの人」は見向きもしてくれなかった…というのが過去の大体のあらましだったんでしょうね。オマケに娘の心もしっかりと掴んでおかなかったせいで今度は娘に「あの人」を奪われた(久しぶりに自分に近づいてきたので「とうとう復縁か!?」と期待をしたが彼の目的は自慢のもち肌を受け継いだ若い娘の方で眼中に無かった。)様には溜め息しか出なかったお母様でした。恋人の7人の小人達でさえ美人の彼女と居るよりもデブでも可愛い娘と居る方が楽しめていますし、その性格を直さない限り貴女から人は離れていくよ(若さを失いつつあるのを嘆いていますが、そんなの貴女に限らず全人類が無くしていく物。若さ以外の価値に目を向けないと幸せにはなれないよ。)と娘にまで捨てられた様(「娘を嫉妬する女と化したママより他人の彼の方がなんぼかマシです。」by雪)と合わせて語りかけてしまったものでした…。

わたしの人形は良い人形

2009.07.25
 表題の市松人形に取りついた霊の話といい、夫に見殺しにされて水死した妻の霊の話といい、家で変死した母娘の霊にとり殺された主人公の話といい、学校の七不思議よろしく旧体育館に出てくる幽霊の話といい、今回はオール心霊物という共通項を持ってまとめられた短編集です。「日出処の天子」でも描かれた怪奇存在の描写の上手さに、この作者はやっぱり霊感があるのではなかろうかと、知らずいぶかしんでもしまったものでした。

 千引きの石…水谷「ある雨の日、私は変な事に気づいたのです。校舎の裏側、空襲の時に怪我人を運んだ、あの体育館が取り壊された所から、何かがボーッと立ち昇り、しかもそれは徐々に校舎全体を覆い始めているのです。もしかして、あの体育館は取り壊してはいけないモノだった…のでは。」

千引きの石(ちびきのいわ。千人の力で引く事の出来る岩。)とは伊邪那岐命が黄泉の国から逃げて来た後にあの世の出口を塞いだ岩の事です。ここではつまり旧体育館の事を指し、幽霊に引きずられた生徒3人が出た(しかも、うち1人の転校生は怖がって登校拒否という有り様にまでなってしまった。)事から噂払拭の為に取り壊したけれど、霊の方としては「たまり場」が無くなってしまっただけで成仏はしていない、建物を「取り壊した」訳で炎による浄化(線香の風習からも分かるように霊は煙に乗りやすい…らしい。)がなされた訳ではない事から、本当に恐ろしいのはこれからの話になってしまったようです。西町くんのように鈍い態度を取り続ければあまり影響は出ない(霊の方も人間が「怖がる」から余計に面白がる部分があるそうで「ああ、いるな。」と無視しているとそんなにちょっかい出してこないんだとか。)とはいえ卒業まであと1年以上…長いなあと感じてしまった話でした。

 汐の声…監督「6年前にここを買い取った母娘が出るらしいんですよ。娘の方は26、7、母親の方は50歳くらい。入って1年ほどして2人とも変死体で発見されていますから、自殺か他殺かもハッキリしていない。」
モブ「変な噂を聞いたわ、私。出てきた幽霊の元・子役スター舞あけみってやり手のステージママに成長を止める薬を飲まされて小人になった…んですって。」

だから27で死んでも「身長」は子供のまんまでしたが「成長」はしなくても「老化」はする(背は伸びなくてもアラサー(アラウンド30代)になれば顔はオバサンと化し、無い乳も尻も垂れてくる。)訳で「6歳の身長に30間際の顔を乗っけた子供」となってしまった彼女は女として生きる事も、もちろん子役として活躍する事も出来ずに、20代の若さで隠遁するしかなくなってしまったのでしょうね。(薬で毎日痛い思いをして出来上がってみたら失敗作でしたじゃ、思わず母親に殺意を抱く気持ちも分かるな。)そして絞殺してはみたものの母親がいないと買い物一つ満足にできない娘(あの顔と体で出歩くのは勇気が要るだろう。母親を憎んではいたものの、母親がいないと生きていけない娘でもあったのでしょうね。)はそのまま飢死するしかなく、結果体内に大量に薬を残した変死体が出来上がったと、こういう次第らしいです。おかげで同じように芸能界の狂気に狂った母親に振り回されている霊感タレント・佐和ちゃんは必要以上に感応して、ついには連れて行かれてしまったのでしょうね。撮影したフィルムはお蔵入りとなったし無駄に犠牲者を出して終わった結末には涙するしかありませんでした…。(芸能界ってこういう所な訳ね…。)

 ネジの叫び…セシル「大富豪の娘である私にたからずに食事を奢ってくれたり、美人の従姉妹のべスを遠ざけたり…ジョージはいい人よ。私は決して間違った人を夫に選んじゃいないわ。」
ジョージ「金の為の芝居も今は必要ないんだ。人生、楽しく生きなくちゃな!」

結婚したとたん美人のべスとは頻繁に会って出掛けるようになり(もちろん「会う」だけで済んでいないのは予測がつく。)食事を一緒にしてくれるどころか始終イライラして自分に当たるようになった(「釣り上げた魚に餌はあげない」…とはいえ態度変わり過ぎだろ!)それでもいつかは「結婚前の優しかった彼」に戻ってくれるだろうとヨットも財産も何もかも彼に捧げるつもりだったのに、死ぬ間際に彼女が見たのは我が身可愛さに自分を見捨てる彼の姿だった…という事で死んだ後とはいえ、いい加減にセシルの目も覚めたのでしょうね。彼に愛を告げる為ではなく、彼が最も嫌っていた時計のネジを回す音を響かせる為だけに化けて出ている様(「え~と、今何時だっけ?」と呟いたとたん車の中にまで大時計が登場した展開には逆に吹いた。用意周到過ぎでしょ、セシルさん。)には、合法的に効果的に続けてこそ復讐だよな!と思わず拍手してしまった話でした…。

 わたしの人形は良い人形…モブ「この町内から年内に2人も続けて子供が死ぬなんて…野本さんの初子ちゃんが呼んだんじゃないかい?仲良かったから。」
竹内「だから人形をあげたのに!千恵子の代わりにお人形で遊んでねってあげたのに!」

なのに、もったいながった遺族が勝手に着服した為に「副葬品として貰えるはずだった人形」を貰えなかった初子ちゃんの霊は成仏できずに千恵子ちゃんを道連れにしてしまい、千恵子ちゃんの方もまた「自分の大事なお人形」であった市松人形を貰えなかったという未練から人形の元に留まってしまった様子です。セルフで火葬を起こす為に(「女の子」の死体と一緒でなければ、あの人形は逝くことができない。)野本家・お隣さんとWで火災を起こしてみたけれど、そこには人妻という非処女しかいなかった(「女の子」はいなかった)為に孫の世代まで続いてしまった、この話。幸運にも竹内家(千恵子ちゃん)側の養子(竹内陽)がいた為に大体の事情が明らかになり、彼に恋する倉敷さんという不良少女が身代りになってくれたおかげで一応の決着がついた…ようですが陽くん曰く倉敷さんが非処女だった場合、彼女は無駄死にしただけ、だそうで不安いっぱいのまま話は終わっていきます…。

夜叉御前

2009.07.24
 「これはまるで日本画ではないか。」と、髪の毛がピンクや緑の人間としてあり得ない原色バリバリのカラー画が多かった時代に、原色を極端に少なくした品のある色調で描かれた山岸先生の絵を逆に印象的に感じた、と解説の人(夢枕獏)も書いていた(おかげで彩色画がそのままの色で残っている雑誌2冊は今でもこの人の宝物らしい。)話の完成度も高い短編集です。今回は鬼など日本の伝奇を取り入れた話が中心なんだなと納得もしながら読み進めた1冊でした。

 時じくの香の木の実…日向「実際の巫女は私でなく姉だった。しかし、これは決して敗北ではありません。何故なら姉は、ただ私が告げる事を口うつしに伝えるだけなのですから。いわば私は『神』になったのですから。…それなのに、この打ちのめされた思いはどこから来るのでしょう?」

同じ「巫女」の立場にはいても「生身の女」として思うように生きた姉(そして長兄と近親相姦までして子供を作った結果、一族を追われるという当然の報いを受けた。「自由に好きなように生きる」事と「何をやっても許される」という事は違うんだよな…。)は、結果として転落人生を歩むことになっても「人間」として生きたとは言える。(ボロくずのように果てて終わる一生でも「濃い人生」だったとは言えるだろう…内容的に。)けれど日向の方はどんなに優れていても不老不死でも、所詮、一族の為の「有能な道具」に過ぎない…だからこその敗北感なのでしょうね。ならば姉の子供(半陰陽なので姉のように子供を産んで代替わりする事は出来ない。)は自分と同じように、いやむしろ姉の時代以上の「有能な道具」にしてやろう、と彼女は新しい復讐を考えついた様子です。願わくばその子が日向と同じように「時じくの香の木の実」を食べて巫女になれる事もなく死んでしまわなければ良いのですが…。

 キルケー…医者「小学生と中学生でこんな山奥に来るなんて…この子だけが助かった。」

そもそも大人も同行させずに山奥という危険な場所(コンビニのように監視カメラも無ければ、駅のように近くに交番も無い。素っ裸になって山を散策する人や、ナイフを手に行きずりの登山客を追いかける人、崖上から石を投げて下を歩く人を骨折させる子供と、山は危ない人が数多く出現する場所でもある。)に子供達だけで行かせた事自体が間違いだったな(地元民でもない子を、バスを使うほど遠くの地に行かせるなんて…。)と食事を食べなかった奈津子ちゃん以外、全員が犠牲になった展開(漫画なので仲間の皆は動物に変えられるという展開を見せたが、「現実」では頭のおかしい女から毒入りの食べ物を貰って食べちゃっても少しも不思議は無い状況である。)を、嘆きながらも頷いてしまったものでした。保護者が1人、車を出して連れて行ってくれていればこんな事にもならなかったでしょうに、だから子供の一人旅(ではなく団体だけど。)は危険なんだとツッコミを入れてしまった話でした。

 鬼来迎…同僚「ここは本当に人使い荒いんだから。主任なんて怒鳴ってばかり。」
野村「あたし、好きよ、怒鳴る人。妙に優しい人より…。」

外面は優しくても、それは仮面に過ぎず鬼のような内面を潜めている女達(夫の死の原因をまだ4歳だった息子に押し付けて片手を切り落とすほどの虐待をする母親も母親なら、全てを知っていて、ただ傍観していたお手伝いの時枝さんも鬼である。)に比べれば、「鬼のように怒鳴る人」でも裏表の無い人間の方がまだマシだと野村さんも考えを改めるに到った様子です。おかげで再就職した先も辞めた先と似たり寄ったりの職場だったにも関わらず、不満も言わずに甲斐甲斐しく働いている野村さん。(「あの野村って娘、よくやるねえ。」「本当。最近の文句ばっかり達者な若い人に見せてやりたいわ。」by上司)全ては謎のまま、鬼のような勢いで押し寄せた津波に呑まれて終わってしまったお手伝いさん生活だったものの、彼女の中で学ぶ物は有った様子です。(ディープな意味でね。)

 石笛…ナレーター「山梨県の旧家が地割れの下に埋没してしまった事件は大きく報道されました。でも近くの観測所の地震計は何も記してはいないのでした。石笛を吹くと地獄の釜の蓋が開く…というお話なのでございます。」

結果、故人を悼むでもなく手にする遺産の方に血眼になっていた旧家の方々は美術品と一緒に地の底に沈んだ訳ですが、地獄から蘇ったお爺ちゃんが嫁達を「道連れ」にしようと捕まえた(つまり祖父の意図はそこにあった。)、そして事の発端を招いた石笛を吹かせたのは妻であるお婆ちゃん(の霊)だった事を考えると、多分「醜い一族を根絶やしにすること」こそが死んだお爺ちゃんの望みだったのでしょうね。(で、お通夜も始まり親戚一同全員がそろった所で吹き初めさせた訳か。)唯一、邪な心が無かったのは曾孫の美沙ちゃんだけで彼女には何の咎も無かった(が、寝ていた肉体が柱が倒れて全壊した旧家の2階にあった事を考えると、助かったとは思えない。)のですが「眠っている間」に苦しまずに死ねた事が唯一の救いでしょうか?一番人畜無害だと思われた老婆と幼子が壊滅的事態を招いたとは皮肉な話だなとも思えた内容でした…。

 笛吹き童子…伎芸天「そなたは元々、笛の名手としてこの世に生を受けたのだ。しかし、そのあまりの才能ゆえに増長し大成しない運命でもあった。観音様はそなたの才を惜しむあまり、今までそなたの才能を封じ込めていたのである。」

おかげで笛の才能を開花させる事は出来なかったものの、だからこそ「自分が奏でられない妙なる音色」を愛する心が育ち、なまじ才能があるせいで増長して性格が腐った嫌な男でなく、「日出処の天子」の毛人のような真面目君に育った直行(持ち前の才能にあぐらをかいて楽器や音楽をないがしろにするどころか、他の人が捨てた壊れた楽器まで直してあげている。いい人だ。)を見るに観音様の判断は正しかったのでしょうね。家出をして2年、伶人(雅楽を演じる人)の才能が無い事で彼を見限ったお父さんも「類稀なる名手」となった息子を見ればアッサリ手の平を返して受け入れてくれるでしょうし(父親は観音堂の落慶式で音曲を捧げる為に大臣について超都合良く僻地に来ていた。)苦労の果てに持ち前の立場全てを取り戻した彼に素直に拍手した話でした。

 海底より…親類「多美お姉さんもご結婚なさったのだし少しは自由にさせてあげなくては。今までアイドル歌手の貴女のマネージャーとして、お嫁にも行かず頑張ってこられたんだから。」
真美「失明する妹にこれ以上食らいついていたって何の得も無いから結婚したのよね、姉さん。」

現代版「耳なし芳一」の話であり、だからヒロインは失明することになるのか(それまではボンヤリと物の形程度は見えていた。)と納得すると同時に、現在、再び懲りずに迎えに来た平家一門からのお迎えからは体中に読経を書いていないせいで逃げられないだろうな(体中に読経を書いていたけれど、うっかり目を開けてしまった為に「いた!姿は見えないけれど目玉だけは有るよ!」と眼球を抉り取られた怖い話は呼んだ事があるけれど。)と暗澹たる気持ちになってしまったものでした。本人の方も「失明のショックを味わう位だったら波に呑まれて死んでしまえば良かった。」と完全に自棄を起こしていますし(こんな精神状態の人間が未来に希望を持って前向きに生きようと「お迎え」を突っぱねるのは、少なくとも今は無理だろう。)彼女を助けてくれた登くんも折悪く部屋を出ていってしまった直後ですし、結末こそ描かれていないものの、この先の運命が見えた話でした…。

 夜叉御前…医者「生まれたよ。君とお父さんの子だよ。」
姉「訳が分かりません。けれど、どうやら私は鬼に負けてしまったようです。お婆ちゃんの言うのにはパパが死んでしまい、ママは病院に入っているそうです。妹たちとも顔を合わせていません。もう我が家はメチャクチャです。」

実は妖怪やもののけの仕業でも何でもなく、「自分に覆いかぶさる黒い霊」は娘を犯す父親の姿で、押入れを中心に「恨みを込めて自分を見つめる鬼」は近親相姦の元に自分を裏切った娘を憎む母親の姿だった…という内容には、もっと早くに現実を認識しろよ!(理解したくもない現実だという事は分かるが。)と思わずツッコミを入れてしまったものです。吐き気(つわり)もデブ化(臨月)も全部鬼の仕業(心霊現象)で娘は片付けていましたが、かつて子供を産んだことのある妻の方は、それが一体何の予兆なのかハッキリと理解していたのでしょうね。臨月になった娘にまだ夜這いをかける腐りきった父親(他にこの事態に思う所は無かったのか、この親父は?)に斧を振り下ろす母親の姿を見てもまだ現実を認識していない彼女(「私が産んだ子は頭に角が生えてるし、全部が全部あの家の鬼の祟りだったのよ、お婆ちゃん!」「孫や、アンタも精神病院に入院した方が良さそうね…。」by祖母)に思わず溜め息が出てしまったものでした…。

サロメ

2009.07.23
 坂東いるか先生の記念すべき初の個人文庫なだけに色々な作家さんから寄稿ページを寄せられた作者情報満載の楽しい後書きが拝める本です。(後書きはね…。)卓越した画力と性別不明なペンネームから「きっとジジイの漫画描きだよ」「いや中年のおばさんだよ」と様々な憶測が飛び交っていたそうですが、その正体はうら若き貧乳のオシャレを愛する美女だそうで「このタッチで若い女性作家なんだ!?」(女性の割には絵がリアルでハードだったので。)と幾分失礼な感想も持ってしまったものでした。

 サロメ…与一「馬も犬もそなたの慰み道具ではない!神聖な戦道具である弓も女が振り回すな!」

弓(戦道具)を女が持つ事の是非はともかく彼女の気持ちの発散(やつ当たり)の為だけに殺されたり乗り回されたりする動物はいい迷惑ではあったでしょうね。しかし衝撃で頭がクラクラするほど平手打ちをしたり(ていうか女性に手を上げる男という時点で、もう…。)自分の手がはれ上がる程尻を打ったり(「痛みを分かち合っている」なんて殴った人間が何をカッコつけているんですか?)折檻癖(どころか最早DV)のある与一が魅力的には今一つ思えずにひたすら(いろんな意味で)痛い思いばかりしている主人公に同情してしまいました…。それだけにあの結末には胸くそ悪くなってしまったものです。首だけにされたヨカナーン(与一)にヒロインがキスする展開は始めから決まっていた、とはいえもう少し救いが持てなかったものですかね…?

 津山三十人殺し…晴恵「オカイチョウ…どうせなら野良仕事もせず日焼けもしてない色白美男子の睦男さんとしてみたい…。」

この話では希代のモテ男として描かれている都井睦男ですが現実には色白の青ビョウタンが女にモテるはずもなく夜這いが存在した当時の性意識の低さ(夫が博打で身の代を撒きあげられても妻が相手に「一肌」脱いだらそれでチャラにして貰ったりなど当時の村でのセックスに対する感覚・抵抗感は低かった。)と「セックスさせないと銃をぶっ放して殺してやるぞ!」という脅しつけの上に成り立っていた女性関係に過ぎなかったそうです。が、かのタイガーウッズも愛人1人が関係をバラすとそれにつられて次から次へ「被害」に会った女性が名乗り出たように、一人(町子)が騒ぎ出すとあっという間に村中の噂の種、もとい笑い物になってしまったのでした。そんな現実に耐えきれずに「もう死のう。でも一人じゃ寂しくて死ねない。」(いや、死ぬなら1人で死んでくれ。)と大量殺人に走った彼。当時の家には鍵なんて存在しなかった悲劇も重なって30人以上の死者を出した大惨事になったのでした。ちなみにこの時の彼のスタイルである頭に2本の懐中電灯・胸にライトを下げて改造銃を持って殺人を犯す様はかの「金田一耕輔の事件簿」のキャラクターのモデルにもなっており、そのせいか「八墓村編」はよくリバイバルされているようです。

 鉄輪…芙蓉「本当は分かっていた。エドワードは私が想うほどには私を愛してはいなかった。」

だったら不実なエドワード本人を呪えば良い物を彼が手を出した女性にばかり丑の刻参りをする(タイトルにある「鉄輪」はその際に頭にかぶるアイテムである。)のだから迷惑な話です。最後は丑の刻参りを見られた事で呪いが自分に跳ね返ってお亡くなりになってしまった(火ダルマになった挙句に両手の指全てを骨折したら性格は悪くても育ちだけは良いお嬢様はショック死もしてしまうでしょうね…ゲフッ!)ラストには望むように愛されなかった事実に同情すべきか、自業自得だとツッコミを入れるべきか悩んでしまいました。恋する事は素敵な事ですが恋してれば何をしてもいい訳ではないですし巻き込まれた女性達の迷惑を考えると今一つ同情できない女性(他にエドワードの魔手を伸ばされた女性達は誰も呪いをかけてないよ?)でした…。

 四谷怪談…梅「何故私をお恨みになるのです、岩様…。梅はただ、あなた様との間接キスと間接Hを楽しんだだけでしたのに…。」
伊右衛門「お梅、そなた…掛け値なしのバカだろう…。」

最初に積極的に裏切りを働いた(結婚したのにわずか3か月で病気の妻を見限って他の女に手を出した)のは旦那様の方であって「そんな事をしたから岩様は嫉妬に駆られて事故死する羽目になったのよ!」と(自分がその裏切りに加担した事実も忘れて)伊右衛門を責めている彼女ですが「裏切り」の過程はともかく「矛先を好きな人に向けたりしないもの」(で、振り上げた拳はライバルに向かって降ろされる)という恋する女の特性を忘れてしまっていましたね、彼女は…。(梅さん本人にしたって自分をさしおいて他の男と結婚したお岩様本人でなく恋敵の伊右衛門の方を恨んでいる、訳で…。)何故どうして以前の当たり前の女性心理だよと思わずツッコミを入れてしまったものです。お岩様の方を恋い慕っているのなら病床を良い事に寝込みを襲ってしまえば良かったものを(オイ!)旦那様の方(岩様の夫)に手を出してしまっては、そりゃ、トラブルにもなるだろう(何故そんな客観的な判断が出来ない?)とお梅さんの頭の弱さに「…。」と思ってしまった話でした。

 籠釣瓶…お艶「〆香が良くてあたいがダメなんて、そんな事あってたまるか!」

普通は「これが男と女の交わり…っていうかあの2人はとうにデキていたんじゃないか!」(そこまで見せられたら(勝手にしっかり最後まで覗き見したら)納得するわ!)と失恋を実感して諦める場面なんですけどね…。2人が「そういう仲」だと充分承知の上で横取りしようとするお艶さんは確かに性格が悪い(図々しい)と逆玉にも関わらず彼女が選ばれなかった理由は理解できたものでした…ゲフッ!(彼女がお多福(不細工)なのは上の顔と下の顔だけでなく性格面に置いても言えることだったりします…ゴフッ!)振られた上に皆の笑い物になった事実は可哀想だけれどもそれは殺されるほど酷い事ではない(明らかに彼女のやり過ぎ)ですし、自己中心的で独りよがりな女だなあ~と同じ女として微妙に思えた女性でした…。

 オイディプス…イオカステ「予言の通りになるかどうかはその時になってみなければ分からないわ!」

その言葉通り子作りに懲りた夫とのセックスレス生活を通してすっかり夫婦愛が冷めてしまったのか(子供に殺されるという予言を恐れて妊娠の心配の無い男に走ったライオス王を前に10年以上も自分だけ禁欲生活を過ごす毎日に色々(嫌な)心境の変化もあったようです…ゲフッ!)成長した息子のオイディプス(腫れた足)に再会した時には「見つけてしまった、私の運命の人を」と一気に燃え上がってしまったキ印お母様でした…ゲフッ!(「姉上、正気か!?」byクレオン)夫婦揃って男遊びをする是非はともかく相手は選べよ!と互いにアブノーマルな道に走っているお二人にツッコミも入れてしまったものです。男に飢えていたのなら適当な部下に手を出すなどいくらでも浮気の仕様はあったのに何も知らずに毒牙に掛けられた息子はいい迷惑ですよね…。破滅的な運命の元に生まれる羽目になる子供達にひたすら同情した話でした…ゴフッ!

ときめきの墓

2009.07.22
 得意の心霊現象を要素に織り込みながらも男女の霊的愛憎劇に仕立て上げた、作者の心霊傑作短編集です。この短いページ数の中で、よくもこんなに濃い話の数々を描き切る事が出来たな、と作者の力量に感心すると同時に、心霊がらみということもいう事もあって全ての話が幸せな結末を迎えないシビアさに圧倒された1冊でした。海外の精霊の話まで、ネットも普及してなかったこの時代に、よく調べ上げたなと感服もした本です。

 逢魔が時…易者「そろそろ『逢魔が時』ですな。魔が災いをなす時刻…『大禍時』とも書きます。しかし文字の書き方を変えれば『逢う間が時』とも書けます。人間、逢っている時間を大切にしなければいけません。」

結局「彼との関係が壊れる」という霊夢の結末は当たっていたものの、自分は浮気も何もしていない=彼氏が浮気してるんだ、と完全に解釈を間違えて彼氏のストーキングを開始(「何だって?君は僕の後をつけたのか?」「あなたの素振りがおかしいので、つい、そうしたんだわ!」「たちの悪い興信所みたいな真似をして、その挙句に逆ギレかよ!」by大内さん)実際に彼が浮気をした訳でもないのに被害妄想を膨らませて責め始めた為に完全に嫌われてしまった(「たとえ彼女が自分のバカさに気がついて和解したとしても、そういう性格を内的に持っている以上、また同じ事を繰り返すだろう。俺はしばらく女は忘れて仕事一本に生きてみるよ。」by大内さん)様には、いくら彼氏でもたまらなかっただろうな(いくら「自分一筋の女」でも「被害妄想の激しいストーカー女」はお断り願いたい。)と、むしろ彼氏の方に同情してしまったものでした。女だから何でも許される訳ではなく、嫌われる時は嫌われるんだよな~と妙に当たり前の現実が見えた話です…。

 猫と女…岡本「俺に本気だって?それなら何もかも捨てて俺についてこれるか?俺は今夜仕事でローマに発つ。君は猫も捨て仕事も捨て傍目には蒸発した感じになる。それが出来るなら信じてやるよ。」
寧子「私には猫も大切だけど、もっと貴方の方が大切だと思ったから決心したのよ。でも、やはり私は間違っていた。23匹の猫を飢え死にさせるなんて残酷な事をしてでも自分を選ぶか…なんて女に賭けをさせるような人、私にはとてもついて行けない…。」

せめてローマから国際電話をかけて部屋の鍵を開けて貰い、大家さんに猫を外に出して貰うなり、親類に引き取らせるなり、何かやりようがあったと思いますが、彼について行く事だけしか考えなかった彼女は猫好きでありながら飼っていた猫を飢え死に・共食いさせる道をわざわざ選んでしまったのでした。(「女って生き物はこれだから恐ろしい。常識で分かりきった事を無視して感情で行動して…!」by岡本さん)そして、そこまでして彼について行ったけれど、彼の方は仕事で日本を離れる間「下半身の世話」をしてくれる女性がいたら便利だ程度の気持ちしかなく彼女を愛していた訳ではなかった(愛を理由に試していただけだった)事も分かってしまい、それでも「責任」を取ってくれればまだ考えたものの彼が下したのは三行半だった…とは何とも無情な結末です。おかげで寧子は呪いで猫に変えられる(!)程度で済んでも彼氏の方はその場でかみ殺される訳だと代表者(共食いという名の弱肉強食闘争を勝ち抜いた黒猫)の行動に納得してしまった終わり方でした…。

 水子霊…加寿子「妊娠5か月…既に妊娠中絶は無理だわ。となれば何とか『流産』しなくては!」
浩雄「お前は繰り返し下剤を飲んだ…腸に激しい収縮を起こさせれば子宮も動く。水風呂に浸かり腹を冷やし、過激な運動を繰り返し、果てはわざと階段から落ちた。そして見事に目的を達したお前は、ここの大学病院に入り流産の手術をした。」

実際には探せば「法律で中絶が認められる期間」(妊娠22週)を過ぎても「死産」として中絶させてくれる所があるそうですが、一昔前(フリーセックス時代)だと「何カ月も先まで中絶の予約で埋まっている」どころか、あまりにも中絶する女性の数が多すぎて産婦人科医だけでは回せずに管轄外の内科医や外科医まで中絶手術に駆り出される羽目になっていた…そうなので何だかんだ言いながらも現代日本人は貞淑になってきたな(少なくとも一昔前よりは。「草食派」と称される人も増えたしね。)と振り返って納得すると同時に「駆け込みの緊急手術」でないと受けつけて貰えない!と焦って↑の行動にまで出る彼女の計算高さに溜め息が出た話でした。(普通に子供の父親である貧乏タクシー運転手と結婚すれば良いだろ。)「本当にすまないと思っている。」と言いつつもそれは頭の中だけの妄想で終わらせて水子供養をする事も捨てた男に謝りに行く事もしない彼女に、そりゃ水子に祟られるのも仕方ないのでは?と思わず真っ当なツッコミを入れてしまったものでした…。

 奇妙な人形…「フランス人の鉱山師ピェールド・グランデはダウジング(杖占い)を使ってアフリカのダイヤの鉱脈を発見したものの、助手に深手を負わされ権利を横取りされてしまった。かろうじてフランスに帰った彼は怨念を込めて、この黒い顔の呪い人形ディアナ・ヴォーンを7体作り、彼を呪い殺したそうです。」

呪いをかけたい相手の顔と名前を頭に思い浮かべてこの人形の体に針を刺せば、呪われた相手はその部分に怪我をし、その傷が必ず悪化して苦しみ悶えて死ぬ…そうですが、そんな「物凄い効力の人形」の話はネットでも他の本でも見た事も聞いた事も無いですし、この話はどうやら作者の完全創作話である様子です。話中の彼氏が語っている通り、呪いというのは念力(サイコキネシス)の一種で霊能者が一心に呪ってこそ効果がある物で、儀式を通じて霊を呼び出してもいない、霊感も無いただの普通の人間が針を刺しただけでは「呪い」は成立しないとの事でした。(丑の刻参りにしたって用意するのは藁人形だけじゃないし、実際問題、呪いをかける「儀式」の準備を整えるだけでも一苦労だったりする。)という訳で非常に面白い話ですが、信じてはいけない話です。

 霊の求婚…霊「結婚してくれえ…っ!」
岡本「女なら誰だっていいのかよ、テメエ!」

他の本でも毎夜、男の霊にセクハラをされ、お経を唱えても効果が無かった女の人の話がありましたが、彼女の母親が「娘の元に来ているのなら、私の元にも来てごらんなさい。」と念じて、現れたその時に「ふざけるんじゃないわよ!この欲求不満のゲス野郎!」と一喝したとたん2度と出てこなくなったそうで、要するにビクビク怯えて縮こまるから相手も調子に乗ってつけ上がる(逆に相手の方だって自分相手に怯えてくれる「弱い人間」でなければ腰砕けになる小心者であり、「影に隠れて」でないと何もできないダメな奴だからこそ、何をされても黙って泣き寝入りしそうな人間を選んでいる)訳でハッキリ肘鉄を喰らわせれば岡本さんの言う通りに本当に引き下がるんだそうです。どうしてもダメなら、奴は地縛霊(その部屋から動けない霊)なのだし引っ越すべきだったな、と最後までされるがままだった大内さんにツッコミを入れてしまった話でした…。

 治子の厄年…治子「女は普通8才、12才、18才、32才、36才が厄年で、その中でも32才は大厄と言って一生のうちで一番悪い年なのよね。それぞれの厄年の前後の年を前厄・後厄と呼んで前後3年間悪いのよ…。男は9才、24才、41才、60才で大厄は41才ですって。」

父親が事業に失敗して首を吊ったのが42才の後厄、母親が過労で入院したのが37才の後厄…そこまでは厄年のせいだとしても(それにしたって首を吊らずに土木作業にでも走れば父はまだ生きていたし、母親が倒れたのは無理に働いたせいで予測できる事態だし、全部が全部厄年のせいでどうしようもなかったとは思えないが。)娘のこの人が13才(後厄)でチンピラ達に輪姦されたのはグレて夜遊びしていた自分のせい(14才だろうが15才だろうが夜中に盛り場をうろついていたら、そういう危険性はあるだろう。厄年でも何でもなく、アンタのそれは自業自得。)だとしか思えず、今一つ共感できなかった理由でした。厄年が実際に存在し、その年代に確かに不幸に見舞われる人々が多いのは事実…なんでしょうが、3年間も幸せいっぱいの毎日を送る事自体が人生には稀だし、不幸の手紙と同じくただの偶然だと思うのですが…。(と言いつつ去年の厄年にはしっかりお参りに行っていた私ですが。←オイ!)

 神のお告げじゃ…作者「真理子自身は自分のやっているコックリ様を正式な方法だと信じている訳ですが、どんなやり方であろうとコックリ様はコックリ様…。」

真理子のコックリ様(霊)も馬券を本命の最終レースになって外れさせるようにしたり、にわか信心を起こした男への当てつけとはいえ「人を騙して笑っている」辺り、予言の的中率の高さはともかく性格は悪い霊だという事は伺えます。またコックリ様さえしていなかったら、欲得づくで魅力に取りつかれた伸ちゃんに殺される事も無かった展開を考えると、どんな上級霊が現れることになってもやるべきではなかったな(たとえ自分が上級霊を呼び出せても、周りの友達も同じように良い霊を呼び出せるとは限らない。)と↑の作者の言葉に頷いてしまったものでした。ちなみに何故「コックリ様」というのかというと外国のウイジャ版(ABC式)があいうえお式の日本製になり、3本の竹の棒をひもで縛った上に乗せたおはちを使ってコックリと移動→稲荷信仰と結びつけられて「狐狗狸」の当て字がつく→「じゃあ名前通り狐の神様を呼ぶ方法なんだ!」と思いこまれただけで本当は人霊を呼ぶ方法なんだそうです。余談ですが話に出てくるスナックの名前「狐狸狐狸」(こりごり)に吹いた話でもありました…。

 赤い髪…哲夫兄「哲夫は長年の恋人・麻耶さんを捨ててまで貴女を選んだのに、わずか半年で貴女は哲夫を捨てた。」
琴「いくらそれで彼女が自殺したからって、その後、彼まで後追い自殺したからって、そんな言い方は一方的です!あの頃(だけ)は私も真剣に哲夫さんを愛していたんです!」
哲夫兄「しかし付き合ってみて熱が冷めると意外に地味でつまらない男だと分かったので彼と別れた。だから結果として人が2人も死のうが私は悪い事は何もしていない…と?」

何だ、この女、性格が違うだけで考え方は「新・幸せの時間」のヒロイン・小夜子と同じじゃないか(自分のせいでカップルが男女共に死ぬ羽目になったのに今はすっかり忘れ去って(やっぱり他の女から奪い取った)新しい男と恋愛中って…。)とふと思ってしまった女性でした。お菓子や玩具でも好きな女の子(女友達)が持っている物を見ると親が買ってくれるまで泣きやまず、恋人も「奪い取りたかった」だけだった(「大して好きでも無くても無理矢理アプローチして、彼女を捨てさせて奪い取ると、その時『これで相手に勝った』と思った。私は『男』を本当に愛していたのではなく、ただ勝利感に酔いたかっただけなのでは…?」by琴)つまり目的は「女」の方でありながら、その実、相手の悲しみや痛みなんて爪の先ほども考えていない彼女に嫌悪感を抱いてしまったものでした。被害者面して「自殺」に走った最後も思えば全く同じ(「俺がこんなに愛してるのに、俺に一言の相談もせず勝手に死ぬなんて…勝手すぎる!女なんて、あまりにも自分勝手過ぎる…!」by現・彼氏)ですし、死ぬ事で自己陶酔している所悪いけれど、最後まで周りの人間の気持ちを全く考えなかった浅はかで身勝手な女だなとしか思えませんでした…。(「そういう人なのよ、貴女は。自分さえ良ければ他人の苦しみなんて知っちゃあいない…。」by麻耶)

 中古車怪談…風間エリカ「自分を乗せてくれるタクシー運転手は、全く見ず知らずの男よ。運転するのもドアを開閉する権利もその男が握っている。運転手が適当な相手(客)と無理心中をしようと考えて車をぶつけることだってできる。知らない男と、たった2人だけの動く密車!怖いと思わない!?」

実際「東京伝説」シリーズで本当にタクシー運転手が海に突っ込んだ事件があった(客はたまたま窓を全開にして涼んでいた為に車が沈む前に海の中に這い出す事が出来たが、それでも運転手がいきなり「お客さん、ごめんなさい!」と叫んで崖に車を飛ばした時には驚いたという。←そりゃ、ビックリにも程がある経験だったろう…。)事を考えると、このヒロインは車の買い方を間違えた(走行距離も短い外車であるにも関わらず値段の不自然な安さにもっと疑問を抱くべきだった。)だけで考え方は間違っていなかったな、と思えた話でした。ちなみに親がパチンコをしている間に熱中症死してしまった子供といい、車に憑いた地縛霊(本当はその場所から動けない霊の事を「地縛霊」と呼ぶのだが、この霊は車と一緒に「移動」している。)の話は結構聞くので、安い中古車(前の持ち主がサッサと手放さざるを得なかった何がしかの事情のある車)には気をつけましょうという話でした…。

 双生児呪い唄…由紀「いつもあたし達、同じ人を好きになって…お互い庇い合わずそれぞれの自由競争って約束を決めると、必ず男って両方に手を出すのよね。」

いっそ、女2人の間だけでどっちが男をモノにするか決めてはどうだろうか(「所詮はそんな男」の判断に任せるのが間違っているのか、いつもそんなロクデナシ男を好きになってしまう2人に問題があるのかは微妙な所だが、ともあれ「争う価値のある男」ではないと思う…絶対。)と、双子姉妹のうち一人と深い仲になった後も全くブレーキを効かせずにもう一人に手を出す男に「…。」と思いながら意見してしまったものでした。いつも同じ結末(姉妹のどちらも「同じ男」を好きになり、両方とも「失恋する」運命にある。)を迎えてしまうのはきっと何かの因縁だと2人は結論付けていますが、たとえ「姉妹の片割れ」でなくても、この男は「他の女」に手を出していたであろう展開(むしろ「彼女」の姉妹にまで手を出す辺り、どこまでも手当たり次第なスケコマシだという事が分かる。)を考えると双子である事はあまり関係無いような気がする私でした…。

 香典袋…高宮まり「古めかしい小屋の怪談を利用したら…怖がりのカレンはまんまと乗せられて役を降りたわね。香典袋はあたいの細工だったのに。これで代役に立ったあたいが舞台を上手く務めれば次期大幹部候補の一番手は確実って事になるわ。」
カレン「あなたの今の独り言は全部テープに録音したわ!あなたって人は怪談話に怯える人の心を利用して他人を蹴落としても自分が有名になりたいの!?自分さえ良ければいい訳!?」

何故そういう独り言を家で言わないかなあ…?と、鍵もかけなかった楽屋で犯行手口の全てをベラベラつぶやいてしまう、まりの不手際(そういう秘密の話は墓まで持って行こう。)と、逆上して思わずナイフで相手を刺し殺すカレンのキレぶり(あの~、そういう事をしちゃうと問答無用で刑務所行きになるので、誰と主役の座を争うかとかそれ以前の問題になってしまうのでは…?)に、この2人は一体どっちがバカなんだか(両方だな。)とツッコミを入れてしまったものでした。しかし、偶然か必然かこれでまた「4年サイクルの悲劇」が確立したことも確かで、3度目の正直で湧いて出た本物の香典袋(今度こそは心霊現象。)といい、霊現象や因縁が皆無とは言い切れない内容にもなってしまいました。現在でも「四谷怪談」(お岩様)や平将門の首塚など「100%出る」ものはあるそうですし、不吉な話には近寄るものじゃないという教訓話です…。

 ドゥエンデ…ロシオ栗林「ドゥエンデ(大地の魂)の乗り移った踊り…一生に一度でいいから踊ってみたい。もし乗り移って下さるなら…私、命を捧げます!」
ナレーター「人々が気付いた時、ロシオ栗林は生涯の願いを叶えて死んでいた。過度の疲労による心臓麻痺であった。」

実際はドゥエンデ(スペインの精霊。フラメンコの理念においては、本当に無我の境地に入れる超一流の芸術家に憑き人を感動させるという。)ではなくグエスティア(真夜中に墓からさまよい出る死霊達の行列。うっかり近づいて列に参加しちゃった人間は必ず死ぬ。だから出会った時は地面に円を描いてそこを動かず通り過ぎるのを待つ。その円の中だけは神聖な場所で死霊も入る事は出来ない…という言い伝えの前に真夜中に外をうろつくのは辞めよう、という常識的なツッコミを入れさせて下さい。)だった訳ですが一晩中、踊り狂ってしまっては呪いや祟りに関係無く普通に身が持たないだろう、と結末に納得してしまったものでした。彼女が死んだのはグエスティアのせいだったのか、それともロシオ栗林のバカさ加減のせい(何故わざわざ墓場で踊る!?)なのか、微妙な所だなとも感じてしまった話でした…。

ギガントマキア

2009.07.21
 こんなの描いてるヒマがあったら「ベルセルク」の方を完結させてからにしてよ!(おかげで話が平淡になっても取りあえず「年一冊刊行」だけは守られていたのが「もうベルセルクは描かない。」と3年間も休刊に…戻って来てくれて良かったけれど。)と思わず嘆いてしまった、舞台が地球上でもない(ヒロインの話によると隕石の落下で生態系が一からやり直しになり、結果として半分虫だったり蛇だったりの亜人間が増えた世界になってしまったそうだが。)SFロマン話です。話としてはそんなに悪くないのですが、どうせ平淡な話ならベルセルクの方を進めてほしかったという気持ちばかりが膨らんで「状況的」に楽しめなかった1冊でもありました…。

 泥労守(デロス)…「相手の想いも力も全て観客に見せつけて、自分はそれを全部受けきってみせる。そこでは相手も自分も観客も誰も誰かを蔑む事が出来なくなるっス。そうする事で闘技場から『2人』が生きて出られるってわけっス。」

観客が求めているのは要するに「ショー」であり、結果として「良い物を見せて貰えた」なら最後(殺人)までしなくても満足してくれる…という理屈なのでしょうが、客がそこまでする(所詮は「奴隷」に過ぎない泥労守の個人的なワガママを観客が許している)ほど「人気のレスラー」がどうやって闘技場という場所から逃げ出す事が出来たのか(風炉芽さんの力にしたって、常に闘技場という檻の中で繋がれている人間がどうやって彼女と出会えたのか。)色々疑問は残る彼の過去ですが、そんな物はサクッとすっ飛ばしてファンタジー色全開で話は進んでいきます。(何分、主人公である彼以外マトモな「人間」が一人もいないという、とんでもない漫画である。)「…っス」という話し方から個人的にはどうしても「魔界戦記デイスガイア」のプリ二ー(ペンギン型の魔物)が連想されて仕方ないのですが、そんな軽いノリにでも乗らないと読み進められないのも事実で…ゲフッ!

 風炉芽(プロメ)…風炉芽「キレてないっス。風炉芽にはそのような感情の揺らぎなど存在しない。風炉芽をキレさせるとしたなら大したもの。」
泥労守「今、『ス』って…。」

精霊(体液で傷を治す能力といい、どう考えても普通の人間ではない。)だから、人間のような感情が無い、それは別に良い。けれどノーパンで男の頭上に立ったり(見上げ放題。)するのはいかがなものかというか、女子として羞恥心は持とうよ!(服が広がって骨格を形成していく能力を考えると、あのヒラヒラした服も彼女の肉体の一部だと考えられる…ということは常に全裸!?)と別の視点から大焦りしてしまったロリっ子ヒロインでした。この話は彼ら2人が現れて巨人になってしまえばもう大丈夫!という内容ではあるのですが、何分徒歩での移動(自動車とまでは言わないけれど、せめて馬みたいな生き物ってこの世界には無いのだろうか?どうせなら聖虫族の世話になった時に舟代わりに使われていた虫を一匹貰っておけば良かったのにと思っても後の祭り。)のせいで最終話で描かれたように「間に合わなかった」場合もあるようで、ひたすら地味な移動法には溜息ばかりが出てしまったものでした…。

 勇者・雄軍(オグン)…「これは我が一族の戦い。お前達には関わり無きこと。願わくば、この大砂漠に甲虫を駆る一族が在ったという事を語り伝えてほしい。…さらばだ、烈修羅(レスラ)泥労守!」

何とまあ、潔い…と親密になった(頼みごとなら大抵の事は聞いてくれそうな、戦闘はむしろ得意分野である)泥労守を巻きこむでなく、人間代表として人質に取るでもなく(普通はダメ元で「お前ら!それ以上、進むのならこの人間(同族)を殺すぞ!」と脅迫に利用しそうな所。)彼らを解放した、あまりにも漢らし過ぎる態度に感心すると同時に、帝国の人族のようなえげつなさが無いからこの一族は壊滅寸前まで追い込まれたんだろうな(見せしめの為の極刑にしてもコロシアムの中での「決闘」の形を取るし、どんだけ相手を尊重してくれてるんだ、この人達は…。)と納得もしてしまった一族でした。敵と同族の人間であっても「立派な戦士」に対しては殺意が転じてある種の敬意まで抱いているようですし、一族揃って泥労守に好意を寄せ始めた様子(到着初日に生ゴミから卵まで投げつけてきた応対が嘘のようだ。)には、お人好しここに極まれりとまで思ってしまった様です…。

 族長…「我が一族は受けた恩義は決して忘れぬ。…じゃがな、これとそれとは別の話。奴等は殺し過ぎた。あまりにも非道に過ぎた。それこそ一人一人が一度の死で購いきれぬほどにな。我等には復讐の権利がある。そして何より其奴等を生かして帰せば聖地の在り処が帝国の知る所となる。どう転んだにせよ死より道は無いのだ。」

負けた今でこそ物影に隠れて震えている人族だけれど、優位に立っていた時には父親の前で息子を火焙りにし、夫の目の前で妻を犯し(ベルセルクか!)、お婆ちゃんを背負った孫を2人揃って槍で貫き殺し、村の赤子を一人残らず砂蟹の巣に放り込んだ極悪非道な奴らで、今でこそ(立場が逆転したから)縮こまっているけれど所詮そんな奴等であり、彼ら人族の皆さんにも家族がいる以前の問題として「殺らなきゃ殺られる」という状況は何も変わっていない。そしてそれを差し引いても「タダで返す」にはあまりにも度を超え過ぎている(非礼にはけじめが必要です。)という当然の主張に私も心から頷いてしまった代表者の言葉でした。帝国兵の皆さんの記憶は消しておくし、ここで復讐に走るのなら「未来の福音」(巨人の成分を利用しての砂漠の緑化)は諦めろという風炉芽さんの脅迫の元に事無きを得ましたが、せめて一発位殴り返してほしかった(最終話にあるように聖虫族がダメなら奴等は「他を当たる」だけで何も反省してないぞ?)と非常に残念に感じてしまった結末でした…。

NANA⑥~⑪

2009.07.20
 アニメではここまでを放映した(正確には12巻の第1話まで)そうです。当時既に実写映画化もされた後で、声優さんを厳選したという記事が新聞にまで載っていたことを覚えています。(しかし、原作通りでないと矢沢先生が怒ったというデマの記事までは知りませんでした。)友人のよしみつさんから最近の「NANA]は微妙という声があると聞いて、そういえば確かに新キャラが出てきた辺りから微妙だとはたと思ってしまった場面です。(それでも買ってしまいましたが。)

 ナナ(大崎ナナ)…奈々のベットのスプリングの音が聞こえる…ならそれ以外の音もなにもかも丸聞こえじゃないか!(現実に記憶が飛ぶかどうかは個人差としても、ハレンチな状況に頭が真っ白になることだけは確かだろう…ゲフッ!)とあんまりな状況にツッコミを入れてしまった私でした。親友のノブには「お前、おかしいよ。」とまで言われ(今まで友達と付き合ったことないから関係の築き方が分からないんだよ…。)奈々はとっとと引越してしまい(どうせなら引越しのバイトしてるナナに頼んでれば少しはショックが和らいでいただろうに…。)あんまりな展開にたまらなく可哀そうになりました。個人的には連載終了までルームシェアが続くと思っていたのでそんな展開にもビックリでした。(意外に同棲期間は短かったなぁ。)歌が実は下手くそだということにも(いや、人並み以上には上手いんだろうけど。レイラ並みに神に近いレベルだと勝手に思っていました。)びっくりしました。

 はっちゃん(ハチ、もとい小松奈々)…妊娠したからといって展開に「相当の覚悟…か?」と疑問を持ってしまった女性。これで実家にでも帰って一人でも子供を産んで育てる…と言っていたら彼女を見直していましたがほぼ二股状態で、一人で別れたつもりになってた彼氏に裏切ったのも忘れて父親になってもらおう…というのはいくらなんでもご都合の良すぎる考え方じゃないか(そりゃ、タクミも怒るだろう。)と思うのです。そしてナナに「なんでも話してね。」と言っていたのに自分のことは隠してて(妊娠発覚の時も、真っ先に「どうしよう~!?」と相談するのが女友達じゃないか?)ギリギリになってから爆弾を爆破させるように勝手に道を決めるやり方に本当にショックを受けました。全てをタクミにしゃべらせて自分は何も言わないのも友達としてどうかと思います。(せめて自分の口で言って、一言謝れ!)

 シン(岡崎真一)…やっぱりハーフだったのか、と確信しつつ、生まれた状況を整理するのに少し時間がかかってしまったキャラ。(頭悪くてごめんなさい。)要するに浮気相手のスウェーデン男性と母親との間に生まれた子供で(その間男の影も形も見えない現在から考えて、妊娠発覚のかなり早い段階で相手には逃げられたのだろう。)産んで初めて責任を感じた母親が責められるの怖さに自殺してしまい、父親は戸籍上は夫婦の子供として残ってしまった子供をスキャンダラス回避の為に自分の子とはしたが、「なんで俺があいつの尻拭いしなきゃなんねえんだよ。」と(赤ちゃん言葉で喜々として育児をするタイプにはとても見えない。)苦々しい思いが募るばかりで(ここで母親がいれば怒りをぶつける対象がいたが、フォローする人間がいない分、全部シンにとばっちりがいってしまったのだろう。)家族関係は冷え切るばかりだったんでしょうね。(ここで父親がパンピーの貧乏人だったら手の平を返しそうなものだが、偉い先生っぽい職業からしてその可能性は無さそう。)女を食い物にしてるのも自分を見捨てた母親に対する、女への不信感からきてそうなので(サイコドクターの第1話の牧師のようだ。)なら納得と…悲しくなりました。まともな恋愛が…いつかできるといいな。

 ノブ(寺島伸夫)…それまではナナにくっついてるヘタレキャラでしかなかったので(タクミの胸倉つかみ上げた瞬間に私の中でザコキャラから格上げ。)今回飛躍的に好感度が上がったと同時に、何の言い訳も説明もなしに「無かったこと」扱いで蚊帳の外にしたハチ&タクミの残酷さにドン引きしました。(何事も無かったかのようにタクミとラブラブしてるハチの神経にも幻滅。普通、気まずくならないか?)両想いという期待を持たせただけに経済的事情でアッサリ捨てられた(ノブなら夢を諦めて旅館継ぐしか道はないけど、その点タクミなら問題は無いからっていう考え方もどうかと思う。私がタクミならそれで選ばれても嬉しくないよ。))ことに大ショックを受けました。ノブ、いい奴なのに…(いい人止まりになりそうな人ではあるが…ゲフッ!)

 タクミ(一ノ瀬巧)…今まで連絡を断ってたのは奈々の夏休み禁欲令を忠実に守っていただけなのね(しかも非通知設定にされて連絡の取りようが無かった。)と少しだけ見直したキャラ。(クールなだけで実は少しいい奴?)避妊をせずにヤルのはどうかと思いますが(でも相手の女だって分かっててヤってたんだからお互い様ではあるが。)子供ができたら浮気されていても迷わず結婚する決断力は立派だと思いました。(私がタクミなら、迷わず別れているんで。)個人的には経済力を利用されている感がどうしても拭えないので(賃料70万って…何?)微妙に哀れに感じています。

組曲・愛

2009.07.19
 里中先生の作品だったので買っちゃえ!と衝動買いしてしまった、中身のなの字も知らなかった作品。(不倫ものじゃなくて良かった…。)NANAとはまた毛色の(大分)違う歌唱ドラマで、読み終わった後、妹に読ませて感想を熱く語り合いました。(人を巻き込んで読むのが好きなんです。)
 あさ歌唱こ(朝積 唱子)…母親に厳しい批判をしてるくせに、同じ人生を自ら歩んでいる女性。(冷めてしまった愛にはすがらないんじゃなかったの?)また、「先生がこの私が愛するにふさわしい人かどうかじっくり見させてもらう」…という上から目線に(何様だ、お前は!)ドン引きし、やけくそで男と関係する卑屈さにガックリきて(そんな都合のいい男扱いでいいんですか、大介くん・・・。)仕事にまでズルズル私情を引きずる(マネージャー以下、関係者の皆さんはいい迷惑です。)彼女にすっかり幻滅してしまいました。たとえ恋愛初期に素直に行動していても、そのうちにボロが出ていただろうというのが私と妹の共通の認識です。
 高森 将一…唱子「歌は私に、愛は由歌に。歌さえあればそう思っていたのに!」
高森先生「今更何を言ってるんだ。仕事を全部おざなりにして、根暗に歌ってる君に大切な新曲を任せられるわけないだろ。」
唱子「……。」
ここで現実を指摘せずに恋愛話に持っていった先生はやさしい人だなあと思いました。この人は歌手としての唱子の才能に魅かれていただけで(それでもあんな歌い方してたら幻滅しただろうな…ゲフッ!)仮に唱子とくっついていたとしても「歌手としての君の実力だけを愛していたようだ…。」と重苦しい唱子についていけなくなるような気がします。(結婚以降、その辺の違いにはしっかり気づいてくれたみたいで良かったです。)由歌の言うとおり、歌の実力と愛情とは別物なのです。
 川口 由歌…唱子もあの時「ヤルことやったの?」と細部まで確認していれば未来は変わっていたのにね(…ゴフッ!)とツッコミをいれてしまいました。あくまでもウソはつかないつもりだったところが彼女の可愛らしい点だと思ってます。(普通はこの辺でばれてます。)恋愛っていうのは相手に思い通りふるまってもらうことを期待するだけじゃなく、自分が相手を惹きつけるように頑張るもの…少なくとも私はそう考えている由歌の方がけなげに見えるので話の都合上よろしく死んでしまった彼女がとても哀れに思えました。最後に将一さんが唱子のことは完全に思い出になっていて、本気で由歌を愛していたのに伝わってなかったことがすごく悲しかったです。
 西岡 大介…結局唱子の「都合のいい男」で終わってしまった人。(男女が逆ならセクハラで訴えられている。)ああもさわやかに接することができるというのは誰から聞いたのか、事情を全部知っているとしか思えないのですが(でなければ自分で道具宣言などすまい…ガフッ!)それならそれで余計に辛かっただろうなとすごく同情してしまいました。(しかも最後はライバルであるマネージャーを励ましているし、プライド捨ててるよ、この人…。)ある意味この作品の中で一番可哀そうな人かもしれません。(まともな出番もロクに無いしねえ…ゲフッ!)

NANA①~⑤

2009.07.18
行きつけの美容室に置いてあったバンド漫画。(その後、店長が趣味でバンドをやっている事を聞いた。成程。)8巻位まで読んだ所で店内改装に伴い置場が移動してしまい手を出しづらくなってしまった切ない思い出があります。(買えよ。)

 ナナ(大崎ナナ)…東京への手荷物がギターと煙草だったのに彼女がギターを弾いているシーンは1度も無いという不思議な教祖様。(ギターケースの中に洋服詰め込んでただけとか?)レンとの出会いも別れも赤いワンピースだった(1巻より。)ので、再開もそう来るかと思っていたらまともな服でビックリしました。(どこに注目してるのさ。)男勝りかと思いきやシチュー作ってくれたり、机作ってくれたり家庭的な部分に癒され(机は家庭的なのか?)友情にも厚い彼女に拍手です。(幸子がらみのシーンより、ジャケット貸したり殴りかかったりと、どこまで男前なんだ!)

 ハチ(小松奈々)…連載当時、クラスメイトから「カタカナナは好きだけど漢字奈々は嫌い。」という声をチラチラ耳にし、実際に読んで「全くだよな!」と実感してしまったキャラ。(オイ!)友人に似たタイプの人がいるので、章司が疲れる気持ちも分かるし気はきかない上仕事にも不真面目な彼女に心底呆れていた私としては破局は当然の結末だったので(情だけでは続かないです。)むしろ同情してる人が存在することにびっくりしました。(皆、純情だなあ。)まだ5巻なのに既に関係した男は3人にもあがるし、(しかも最初は不倫かよ!)恋愛にかける情熱が激しすぎてちょっと苦手な方です。

 川村 幸子…「わざとだよ」…言ったその相手がキュートじゃなければ間違いなくハリセンをくらわせられているセリフでしょう。(可愛くなければ終電の切符代を無駄にした罪は重い)読者からは「どうせ男は皆幸子みたいなタイプがいいんでしょ。」と幸子派からも否定的にとられている(言った人、本当に幸子派なのかな…ゲフッ!)らしいですが、章司がそのままなし崩しに流されるままにいたら、捨てられていたのは間違いなく幸子の方だったので(奈々を一目見て敗北宣言して引いていたので、あそこで章司がフォローに走ってなかったら奈々は何も気づかないまま付き合いが続いていた…はず。)私は彼女の肩を持ちたいです。ウエスタン風味の服は苦手ですが。(節約の結果か?)

 高倉 京介…とても奈々と同い年には見えない落ち着き系のドレッド友人。(10歳位年サバ読んでませんか?)章司の浮気を通して、さらっとかっこいいセリフを言える辺りに大人を感じました。しかしこのカップル、あまりに熟成し過ぎてて逆に結婚まで時間がかかりそうだと思ってしまうのは私だけでしょうか?(同棲止まりで終わってしまいそうな予感が…ゴフッ!)

 シン(岡崎真一)…いったいどうしちゃったの!?と言う位ビジュアルが変貌してしまった美少年。(青天大晴のエンジェル泰治君の変わりようがフラッシュバックしました。初めは真面目そうだったのが見た目も言動も破滅的に…ガフッ!)ナナとのやり取りを見る限り、家庭の事情が複雑そうでこれから明かされるのが楽しみです。(鬼!)

世にも不思議な幽霊談

2009.07.17
 この本には創作された怪談は1本も入っておらず全て実際に起きた恐ろしい話ばかり…つまり不特定多数の経験談という事で作者は中岡俊哉先生ですが敢えて不特定多数のカテゴリに入れてみました。人間には生存中から霊魂があることはある程度科学的にも証明されている、そして霊魂がある以上は霊体が現れても不思議は無い(人間のあくなき生への欲望から出現する事もあるだろう)と霊を信じる作者がまとめた実話本です。

 死者からの手紙…「お前は永遠に僕のものだ」

心中したその時まで離婚を成立させず戸籍上は永遠に奥さんのものである男が死後に到っても何を勝手な事をほざいておられるのか彼の為に処女を捧げ心中(自殺)未遂を起こし今なお婚約を破談にされた(ウエデイングドレスを破られ住むはずだった新居は怪火で焼かれ毎晩枕元に立ってノイローゼにされた)文字通り人生を狂わされた投稿者に同情してしまいました。(彼に妻がいることを知っても忘れられなかった礼子さんも愚かではありましたが、そこにつけこんだ根津さんはもっと卑劣だと思います。)中岡先生に報告も終わった事ですしとっとと霊能者の所に行って除霊してしまえとツッコミを入れてしまったものでした。

 羽子板と老人…「あの羽子板はわしの物だ。心の歪んだ者が使ったら呪いをかけてやる。」

当の呪われた羽子板は骨董品屋に売ってしまっても何か別の物で怪奇現象が起きた時に継子に嫌われていたら「次」は助けて貰えないという当たり前の常識を考える頭はあったのか以来、義理のお母さんは投稿者にも不必要に厳しくすることは無くなりうって変わって優しく接してくれるようになったそうです。(良かったね、すみ子さん(仮名))という訳で意地悪な人間が使うと首に絵に描いてある蛇が巻きつく、絵柄だけは立派で高級なこの羽子板は今日も老人を死なせた金貸しでなく使用者ばかりを呪っているようです…ゲフッ!

 ネグリジェの女…親友「すごい、絶倫だっ。それにしてもどうして幽霊がセックスを…。」

疑問を感じながらもただでヤレる女の前には理由などどうでもいい(オイ!)と毎日1日交替で幽霊とセックスしに行っていた2人にツッコミを入れてしまったものでした。思うにこの女性の幽霊はあの世へ行くのに自分と一緒に死んでくれる道行きを探しており餌(セックス)につられてホイホイ通ってくるようになったバカな男二人を天秤にかけていたのでしょうね。(つまり投稿者さんは親友に男として負けた、と…ゲフッ!)結果として親友は殺され、投稿者さん自身も男を失格してしまったそうですが命を失うのと男を失うのとどちらがマシかと聞かれたら後者に決まっている(どの道年を取れば「男」は衰えるんですし、Bまでは可能な訳ですし…ゴフッ!)のでこの投稿者は(バカな事をした割には)運が良かったと言えるでしょうね。美味しい話には必ず落とし穴があるといういい見本でした…ガフッ!

大恐怖~思わずゾッとする都市伝説スペシャル~

2009.07.16
 都市伝説とはそもそも「実在しない可能性が高い人間が体験したとされる虚偽の物語」(本当にあったとして語られる実際には起きてない話。イコール怖い話でも決してない。)なのでオールフィクションな内容(オチ的にも「ここまでの事態になる前に警察に捕まるか、本人が正気に戻って違う解決策が見つかっただろう」とツッコミを入れたくなってしまう程、現実味の薄いあり得ない展開が多かった。)にも納得したものでした。そんな訳で全ては机上の空論に過ぎない話として認識しながら私的ベスト3の話を語っていきたいと思います。

 恐怖①「映っていたもの」…「落ち着いて考えて順序立ててやりさえすれば必ず上手くできるんだから…。(万引きでなく殺人が。)」

ちなみに上手く出来さえしても見つからない・捕まらない保証はありませんので念の為。日本警察がいくら犯行の予防もできずに却って事態の悪化を招いたりの無能になり下がったと言っても別に犯人を特定出来なくなった訳ではない(むしろビデオカメラの映像の向上などによって「特定」する能力は上がっている。単純に警官達に意気地が無くて犯人を捕まえられずに本人が自供するまで逃げられ続ける情けない体たらくになっているだけで無能の原因は他にある。)ので、首が無い(顔が分からない)事が原因で被害者の身元確認が遅れてもそのうちにいつまで経っても娘が帰ってこない親達が騒ぎ立てて必ず「主人公をいじめていたグループの子ばかりが殺されている」事実が分かるでしょうし、いじめっ子達を全員始末して震える癖も治った所で、この主人公はそう遠くないうちに必ず逮捕されるだろうなと確信してしまいました。ナイフを肋骨の隙間に差し込んだら捻って傷口を3角形に開いて出血を増やす殺し方で衣服に血がつかないはずもないし(そういう時はシーツやコートなど汚れてもいい物を体にはおりながら犯行に及ぶのが定石なんですが…。)ビデオ屋の店員には気づかれなくてもDVDの万引きが防犯カメラに映っていない保証もないし(その「証拠品」を愚かにも犯行現場に置いてきてしまっているし)多分翌日には彼女の家にパトカーが到着しているなと予測してしまいました…ゲフッ!

 恐怖⑤「青い目の人形」…おじさん「あの(呪われてるとしか思えない)人形、さっきお寺で焼いて貰ったから。」

だったら焼いたお寺の住職さんが焼死するはずなのでは…?(そもそも人形供養も寺で預かるなど「焼く」事に限定はされなかったような…?かの有名な「お菊人形」も未だに取ってあって髪を切っているようですし。)とツッコミを入れると同時に叔父さん一家が全員全滅してしまった結末にやり切れなさを感じてげんなりしてしまったものでした。別におじさん1人が犠牲になるだけでも(オイ!)「人形に不気味さを感じていた妻子が恐れおののいて骨董品屋を閉店した」(そして人形は他の骨董品と共に別の店へ)で辻褄は合うし敢えてより不幸な結末にしなくても良かったのでは?(もう少し救いを持たせてくれても良かったのでは…?)と作者に思わずツッコミを入れてしまったものです。娘の怪我の原因である(かもしれない)人形の「始末」に当の娘を一緒に連れて行く(よりによった人形の側に近づける)のも考えてみれば不自然な話(普通はこういう時は父親1人に任せて母子は全てが終わるまで安全な家で待っている物なのではないでしょうか?娘が言っても聞かない幼い年頃なら特に。)で本当にこんな不手際が現実の話でなくて良かったと切に思ってしまいました…ゲフッ!

 恐怖⑮「死者からの手紙」…「おばあちゃんからだ。亡くなる直前に出したのね。」

じゃあ「死者」からじゃなくてちゃんと生きていた人間からの手紙だったのでは?(その時はまだ死んでないよ!)とタイトルに疑問も感じたものです。香典泥棒が潜んでいる事を知って泊まり込んでいる親族が起きているように蠟燭の火を消し、いざ眠ろうとした時に化けて出たり(あの手この手で寝静まらないようにした)おばあちゃんならではの情を感じた話でしたが「実際にあった話」ならそもそもこの本のタイトルの「都市伝説」(=フィクションという定義)には当てはまらないじゃないか!と編集者にツッコミも入れてしまったものでした。1番心暖まる幽霊話ではありましたが…ね。(あるいは読後感位はハッピーにさせたいという編集者の逆側からの配慮だったのだろうか、この収録方法は?)

実話マジで怖~い話~封鎖された教室~

2009.07.15
 今回からはとうとう見開き1ページを使って出会い系サイトの紹介記事を載せるのは辞めたのか(そして「稲川淳二の怖い話」のラインナップを宣伝することにしたのか…。)とニーズに合わせた広告の仕方に感心したものでした。(残念ながらホラー好きな人間は根暗と解釈される事はあってもモテルという話はあまり聞かないので出会い系サイトで相手を探しても「収穫」は低いと思われますしね…ゲフッ!)という訳で今年も楽しみにしていた新作・マジ怖シリーズです。

 第9話・青い手…監督「内容は『霊が出ると噂の学校に取材に来たレポーターとカメラマン。そこに霊が移りこんで大パニック』!」
山口君「『霊が出る噂の学校』なら予測範囲内でパニックにはならないのでは…?」

過去、自殺や殺人の類が一切起きておらず「そういう噂」の欠片も無い学校であってもホラー映画の撮影に引き寄せられて本物の霊を呼んでしまう事はあるようで撮影初日に青い手がカメラに映ってしまっていました。幽霊の映ったビデオや写メールを放置してしまったが最後、持っている人の所で怪奇現象が起きるようになった話も聞くのですが(最もどちらの話も自殺の名所やいわくつきの場所で撮ったものなど、いかにも強い邪霊がいそうな場合だったので、通りすがりに移っちゃった程度のこの話とはまた状況が違うかもしれませんが。)この映画研究部の人達は結局お祓いとかはしたのか、それとも映画企画をボツにしただけで今もなお放置されているのか、その後も気になった話でした。

 第18話・肩こりの原因…N田さん「いやあ、随分楽になりましたよ。」
マッサージ師(こっちは逆に酷い目に遭いましたよ…。)

霊に取りつかれると肩が重くなる(そして肩こりが発生する)という話も他の者に背中を叩かれると霊が離れるという話もどうやら本当のようですが、おかげで離れる霊の姿を間近で見る羽目になったこのマッサージ師さんは災難でしたよね。事故現場で(野次馬を押しのけてまで最前列で)見た死体の有り様という「話す相手を選ぶ話」(苦手な人は嫌がる話)を延々と話すわ最悪の客だなと思わずツッコミを入れてしまったものでした…ゲフッ!

 第22話・ニゲルナ…男「どうして逃げる。逃げるな。仲良くなりたい…。」

こんな粘着質で一方的な根暗男と仲良くなりたいと思う女も逃げない女もいないだろう(仲良くなりたいのなら時たま挨拶を交わす程度の薄い関係から始める(順を追う)べきなのに、最初から贈り物(コーヒー)を押し付ける下心丸見えの態度で接せられたら誰でもドン引きするだろう。)と「煩わしい人間関係に振り回されない点」に魅力を感じて働き始めたのに煩わしい男につきまとわれる羽目になった投稿者に同情してしまったものでした。モテナイ男に限って何気なく声を掛けてしまった(奴の「視界」に入ってしまった)が最後、過剰に意識されてしつこくつきまとわれるのはよくある事らしいので(それにしたって生霊まで飛ばされるのは稀ですが)そういう男とは出来得る限り接点を持たないように努力するしかないようです。(話しかけずに無言でゴミを回収するべきでしたね…。)結果、耐えられずにバイトまで辞めた投稿者がひたすら可哀想に思えた話でした…。

あすなろ坂①

2009.07.14
 時代区分で言うと大河ドラマ「篤姫」と同じ時代の終盤に当たる「時代劇」となります。(そして昭和編の当時の「現代物」の時代へと移行していく。)江戸時代→昭和への時代の流れを一人の女性(芙美)の人生に託して描いてみたい、というのがこの話を描くきっかけだったそうですが、それにしたって家が豪華すぎないか(江戸時代はお城、明治時代は広大な洋館…と何故かいつも恵まれた暮らしをしている。時代の変化はそこまで人に優しいものだったろうか?)というツッコミはしてはいけないみたいです…ゲフッ!あくまでも生き方を追い求める女性を描いた作品として素直な心で読み進めていきましょう。

 岡村芙美(旧姓)…「時をかける少女・幕末篇」の松平容保&照姫と同じ会津藩の娘です。時代設定も同じ頃なので比べながら読んでみると関連事項が見えて面白いです。有馬家とは同じ会津藩内の上士同士だから(江戸に移動していたのは参勤交代により本家はそこにあるから。正妻になる芙美さんは幕府側の「部下に対する人質」として常に江戸にいなければならないのです。)ということであらかじめ嫁入りの話が決まってましたが鈍~い芙美さんのおかげで2人の男が嫌なタイミングで翻弄されることになってしまいました。(芙美さんが嫁入りのずっと前に新悟と駆け落ちするか、もっと早くに武史様への気持ちに気づいていれば物語は大きく変わっていた。)さて、会津藩といえば「会津の悲劇」でも有名ですが最後まで幕府について戦った後に惨敗、敗北の折に少年も含む侍達はもちろん武家の娘たちまで自刃して果てたという話が残っているので、あそこで武史様が芙美を連れて脱藩していなければ登場人物は全員死んでいた(新悟はちゃっかり生き延びているかもしれないが。)と史実面から考えると怖い話です。(進歩的な考え方の旦那様で良かったね、芙美さん。)人の気持ちには鈍いですが察した後は見て見ぬふりをするのではなくて不器用ながらも真正面からぶつかっていく様に感動した女性でした。モテ女には珍しく人の心に対して痛いくらい真剣に接していてそこに好感が持てるのです。武史様が完全なピエロになりながらもこの人を愛し続ける理由は分かる気がします。鈍いけれど真の意味でいい女ですよね、芙美さんは。

 有馬武史…同じ脱藩浪士の坂本龍馬が、お金が無い→家が買えない→宿屋暮らしで生活していたのに対しあの立派な豪邸は何なんだ(脱藩浪士というものはそんなに儲かるものだったろうか?)というツッコミはしてはいけないようです。英語、フランス語、オランダ語全てペラペラらしく、また当時の日本は外国文化の受け入れに対して頑なではなかった(日本が外国語の表記さえ禁じるようになったのは太平洋戦争以降。それまでは「舞姫」のように外国に留学することを国が認めてさえいた。この頃は結構オープンだったんです。)こともあり本の翻訳などで生計を立てていたようですが翻訳家が皆ゴージャスな洋館に住んでいるという話も聞いたことが無いのですが…一体月に何十冊訳しておられたんでしょう?その進歩的(過ぎる)な考え方が幸いして芙美さんも彼に振り向いてくれるに至るのですが(ぶっちゃけ武史様が昔の厳格な武士の性格そのままだったら芙美も新悟も斬り捨てられ話は2話で終わっている。)タイミングが悪い(妙さんとのこと。せめて芙美さんがあと30分早く帰ってきていれば事の前に着いていたのに…もっと早く走って下さい、新悟。)というのはああいうことを言うのでしょうね。新悟と同じく他の女との間に子持ちの男になった後もなお芙美が彼を選んだ所には秘かに「勝った。」とも思ってしまいました…ゲフッ!

 帯刀新悟…何巻かの作者さんのコメントに「武史と新悟はちゃんと漢をやっている男だ。」とあったのですが、不義の子まで受け入れた懐の広い武史はともかく、他の女と結婚しているくせにウジウジと芙美のことを思い続け、挙句に自分の子供に「フミ」と名付けた(悪趣味にも程があるだろ。奥さんのことを何だと思ってるんだよ。)この無神経男が「漢らしい」とは私にはどうしても思えないのですが…「いつまでもヒロイン(芙美)を思い続けている。」のなら何でもいいんでしょうか?(違うよね。漢らしさって自分の言葉と行動に責任を持った「誠意」で表すものですよね。)彼が芙美さんに思いを募らせる程、私には彼の過去も話してもらえず、おフミちゃんのことでは完全にピエロになっている哀れな奥さんの方が気になって仕方がなく、まるで応援できなかった男でした。「無駄口ばかり叩いて、余計なことに色気を出して、だから女は本当に強くはなれない。」などなど口ではカッコイイ事ばかり言っているけれど実際はウジウジ女々しいだけのしょうもない男ですよね、この人。

 園村あけみ…武史を慕い続けて生涯独身を貫いた女性医師。その生き様はカッコイイですが女としてはもったいないなあと感じてしまうのは私だけでしょうか?恋に興味が無いわけではなくて(それだったら個人の感じ方だし、と何とも思いませんが。)好きな人を諦めたからこそ生涯一般で言う女の幸せに背を向けて生きていくという生き様に…悲しみを感じるのです。(挙句にその好きな人の奥さんは他の男と浮気して子供まで作っており、武史自身もその後女中と浮気している。何故その1回の浮気相手が自分ではなかったのか、とか色々考えてしまったこともあるのではないでしょうか…?)完全な当て馬役(特に武史に振られたことは顔に泥を塗られたのと同然の扱いでプライド共々傷ついたと思う。)なのに当のライバルである芙美さんと仲良く付き合えるのも凄いと思いましたし(普通の女なら避けてる所です。)女としての気持ちをひたすら殺しながら仕事一筋に生きていく生き様がかっこいい反面…やはり痛々しいです。でも妥協して他の男と結婚しない辺りそれで幸せになれるわけではないというのもちゃんと分かっているんでしょうね。(妙さんの大失敗の例もありますし。)総合的に見てやっぱりカッコいい女性だなあと私の中での評価は高かったりします。

 妙…凄い豪邸・有馬家の女中にして武史の浮気相手。とはいえあけみさんに言わせれば女中に手をつけるなんて日常茶飯事(ということはあけみさんの家でも同じようなことはあったのだろう…ゲフッ!)で、だから正妻の座を譲る必要なんてどこにもないそうです。娘の幸せの為に、と自分に思いを寄せていた庭師の耕三の好意を利用する(結婚)に至りますが、その代償は後にあまりに大きく自分に跳ね返ってくることになります。(また、好かれているからといって、それだけで相手を愛せる程、人は単純な生き物ではないという悲劇もあったり…。)家を持たせてくれた上(庭師が一人立ちできる程の)慰謝料まで払ってくれる(充分過ぎるくらいの責任を取ってくれる。)なら、わざわざ自分をごまかして結婚なんかしないで1人で出ていくか、真実を隠したまま娘の側で働き続けるか、純粋な生き方を選ぶべきでしたね。後のあまりに悲しい死に様にはどうしても納得できなかった私です。好きでもない男と世間体その他の理由で結婚しても幸せにはなれないんですね。

女帝エカテリーナ①

2009.07.13
 本屋で一体どんな話なんだろうと立ち読みした所パラッとめくったページがよりによってセルゲイが子作り(国家からの保身)の為だけに愛情も無いのにヒロインとヤルことやっているシーンで思わず「…フッ。」と微笑みながら棚に戻してしまった記憶があります。(真面目なシーンもまともな場面もいっぱいあるのによりにもよってそんなページに当たってしまうことってありません?)今回他の人が描いた短編集にエカテリーナ女帝の話が載っていたので「汚れ切った話(もうすっかりそんなイメージが定着してしまっていました。)でも参考文献には違いないか。」と一緒に購入するに至ったのですが改めて読み進んでみると情報量の多さに「大人な話だけどマトモだ…。」と感動してしまいました。絵が古めなので短編→この話と読む方が展開が予測しやすいかと思います。どっちも楽しめるので好きな方から読んでやって下さい。

 エカテリーナ・アレクセーエヴナ
(ゾフィー・アウグスタ・フレデリーケ・フォン・アンハルト・ツェルプスト)…後のエカテリーナ2世女王です。嫁ぐにあたって長ーいドイツ名から改名されました。貧乏貴族の娘であり本来ならとてもロシア大公后になれる身分ではなかったのですが、母ヨハンナの亡き兄カール・アウグストが当時のロシア女帝エリザヴェート様の元婚約者であったという縁で候補に挙がることができました。(つまりエリザヴェート女帝がクーデターに成功して帝位についていなかったら彼女は歴史の表舞台には永遠に立てなかったということ…でしょうね。)顔立ちは確かにそれほどの美形ではなかったそうですが知性・教養を磨くことで魅力的な女性になれるよう努力したそうです。それにしてもまるで頭から熊の毛皮でも被っているかのような凄い髪の量だなあ(子供時代はまだマトモな髪形だったのに…。)とビジュアルの変化にビックリしながら読んでました。(ネットで肖像画を拝見しましたが、あそこまで凄い髪形ではありませんでしたよ、池田先生?)彼女が「唯一の真実の夫」ポチョムキン(面白い名前だなあ。)と出会うのはまだまだ先の話です。

 ヨハンナ・エリーザベト・フォン・シュレースヴィチ・ホルスタイン・ゴットルプ…ゾフィー(後のエカテリーナ女帝)のお母さんです。デンマーク王家オンデンブルク家分家に当たるホルシュタイン・ゴットルプ家の出でご両親はあまりにも子沢山だったこともあり養父母の元で育てられました。(おじい様がた、子作りは計画的に行ってください。)ツェルプスト家に嫁いだものの22歳も年上の夫との生活は退屈そのもので高貴な生まれの自分が低い身分の男と結婚して地味な境遇に落ち込んでしまっていると不満タラタラだったそうです。話の序盤に見られるゲオルク叔父さん×ゾフィーのロマンスは元々はこのヨハンナが進めてきた話であったのに、彼女の兄アドルフ・フレドリクがスウェーデンの王位に就いたことで「う、うちだって負けていられるものですか!」と高望みをしさらなる良縁(ロシア皇后の母)を求めた為に破談。(そりゃゲオルク叔父さんも泣きます。)ゾフィーと一緒にロシアに行くも副宰相ベストゥージェフ氏失脚計画に加担した為彼女だけ追い出されてしまいました。(ゾフィーが正式に婚約者となった頃には実はもうロシアにはいません。結婚後は入国も文通も禁止されてしまいました。)欲深な考えばかりしているとしっぺ返しを食らうという生きた実例のような感じですね。

 エリザヴェータ・ペトロヴナ…ピョートル大帝の娘にして当時のロシア女帝(の座を奪い取った人。)です。偉大なる大帝の娘として軍での人気は極めて高く7年戦争ではオーストリア、フランスと連合してベルリンを陥落寸前まで追い込んだ女傑でございます。婚約者のカール・アウグストが亡くなって後は生涯未婚を通し子供がいなかったので甥っ子のピョートルを後継者に指名しました。そこまで聞くとなんて一途で純情な女性かと思うのですがラズモフスキー伯以下愛人の数々はいらっしゃったようです。(オイ!)女帝の地位にありましたが政治には興味がなく建築系など文化活動にばかり力を入れて政治は主に大臣達が進めていました。ゾフィーがピョートルといい何でこの人達勉強しないんだろう?と訝しんでいるのはこの為です。そんなゾフィーにも皇太子妃時代から愛人がいた(別に処女じゃなかったそうです。)のを知っているエリザヴェータ女帝(他の男を愛していてピョートルを馬鹿にしているというセリフの所以はここにある。)としてはあんたは偉そうに人を評価できる人間なのかとツッコミを入れたいんでしょうね。(最初は目隠し鬼したりと仲良くしていただけに余計に。)表面上は落ち着いて接していましたが裏には黒いものがありそうですよね、この二人…ガフッ!

 セルゲイ・サルトゥイコフ…ゾフィーの初めての男…というより初めて騙された男と言った方が正解でしょうね。エカテリーナ女帝の息子パーヴェル1世は立場上でこそピョートル3世の息子ということになっていますが、彼女が書いた回顧録でセルゲイの子だと強くほのめかしていること(むしろピョートルの息子だと明言しておいた方が立場的には得なはず、セルゲイを恨む以上によっぽどピョートルが嫌いだったんでしょうね。)包茎手術をしただけで不能が治るか疑問な点(そもそも包茎はご経験を積むことで自然に治るものらしく、それと不能とは関係ないらしいです。あれだけ浮名を流しておきながら手を出さないのも、男としてあり得ない気がしますし。)から父親はセルゲイの方だという説があります。(その後彼女が産んだ子供達の父親については、はなからピョートル説は除外されている。ゲッフン!)女帝陛下達の取り計らいで別れは引きのばせましたが、それが良かったことなのか、早めに決着付けた方が時間の無駄にならなかったのではないかと思ってしまいます。が、後継者という名の手駒を手に入れたいだけの女帝陛下にしてみれば細かいこと(細かいことか?)はもうどうでもよくなっていたようです。ともあれ出産を機に二人の仲は完全に終わってしまわれたようです…ゲフッ!

 ピョートル・フョードロヴィチ
(カール・ペーター・ウルリヒ)…後のピョートル3世です。彼に人気があったというより女帝の時代が続き久しぶりの男の皇帝に注目されていただけといった方が正解のようです。彼にとってエカテリーナは共にドイツ育ちということもあり、取りあえず存分にドイツ語を話せる相手…だったのですが夫婦が男と女として結ばれる頃には既に彼女はセルゲイらと公然と関係しておりピョートルの方も寵姫エリザヴェータ・ヴォロンツォーヴァにご執心という完全に終わった夫婦となり果てていました。(それでもヤルことやってる辺り大人だなあ、2人共。)とはいえ男と女の関係を知るエカテリーナにしてみれば自分に手を出さないのは自分が女だということを否定されているとしか受け取れなかったんでしょうね。男の皇帝というだけで人気があったのにプロシアびいきが災いして国民の人気は急降下(特に7年戦争を即時講和に持ち込みロシアの確実な勝利をふいにしたことは大ひんしゅくを買った。)挙句にエカテリーナを廃して自分の寵姫を皇后に立てようとしたところでさすがに温厚な大公后も切れてクーデターを起こされてしまいました。自国の軍隊なかんずく近衛隊から反感を持たれた君主がどういう命運をたどるかを彼は2巻にて身を持って知らねばならないでしょう…。(巻末モノローグ風に。)

 スタニスワフ・ポニャホトスキ…後のポーランド国王にしてエカテリーナが産んだアンナ王女の父親と推測されている人物です。彼に入れ上げたたエカテリーナは他の愛人達を全て捨ててしまうというぞっこんぶりを見せたそうです。(もう2度と恋に溺れないんじゃなかったんですか?)まつさき先生の読み切りでは「何度も生まれては消えていく儚い恋」の相手として1コマで終わっているというその他大勢のうちの1人でしかありませんでしたが、純情ぶりが可愛くて個人的にはなかなか気に入っていたりします。この後一体どんな別れを迎えてしまうのか2巻が気になる所です。

噂の幽霊屋敷~恐怖のカン詰め①~

2009.07.12
 米沢・出羽三山にある即身仏が色々なミイラの中でも日本独特の物として世界でも注目を集めている事や鎌倉が歴史もあり自然環境も良い反面、数多の古戦場跡となっており多くの霊現象の噂があること、和歌山県白浜町の有名な観光名所「三段壁」が自殺の名所としても有名(年間数人は自殺していると地元の警察も認めている)な事など歴史・地方独特の心霊関連の話も載っておりなかなか興味深い本でした。どの話も当事者を苦しめていたのはそれと全く関係の無い霊ばかりでしたが…まあ、関連事項という事で…。

 姥捨て山伝説の息づくゴルフ場の怪…「霊現象を隠そうとする場合、全てノーコメントという事が多い。語りたくないが故のノーコメント。それは裏を返せばそうした事実があるという事にもなるだろう。」

そりゃそうだ、と思わず納得してしまった持論でした。結局メイン(?)である伊賀(三重県伊賀市)の忍者の里(のゴルフ場)に出る全裸老婆の霊に遭遇する事は出来なかったものの「壺坂霊験記」(妻オサトが夫の目を治そうと自ら夫の目となり杖となり霊験あらたかな壺坂の観音様(壺坂寺は霊場でもある)に願かけに通い、ついには祈りが通じて夫の目が開いたという有名な浪花節。)に触れたり葦原トンネルの霊現象に遭遇したり実りは多かったと思われる話です。壺坂寺や葦原トンネルの寄り道談のほうがメインよりよほど面白いとも感じてしまった体験談でした…ゲフッ!

 戦争の犠牲者達が思いを残す土地…「中国にいる間、毎夜のように日本に帰ることを夢見ていた。早く日本に帰りたい。その事のみに生き甲斐を託していたと言ってもいい。」

作者自身が中国からの引き揚げ者だからこそ分かるそうですが京都府の舞鶴は終戦後外国(特に中国)から故国に帰ってきた引き揚げ船の着く都として、また故郷を目前にして祖国に着いたものの病に勝てずに引き揚げ者収容所で亡くなった多くの人(霊)の無念が残る港町として有名な場所だそうです。(何分戦争中の事で息絶えた人を引き取る家族・縁者が行方不明となっており日本に帰って来ながら無縁仏として葬られた人も多いそうです。)恐山のイタコのホトケオロシ(口寄せとも言う。実際に当人の霊が降りてくる成功例もあるが何分オーバーワーク過ぎて成功率は微妙だそうです。)を通じて心友と語らった作者の実体験に胸が熱くなったものでした。

 色情の悪霊が憑依する駐在員の社宅…「奥さんの不倫がハッキリと分かった時ご主人は奥さんを滅多打ちにし半殺しの目に遭わせたそうです。」

ブラジルやペルーなど南米の男性は非常に嫉妬心が強く自分の女は絶対的に自分の物と考えており他の男と言葉を交わす事はもちろん、ましてや浮気など絶対に許すものではないそうです。(奥さんに見知らぬ男性が笑顔で会釈しようものならたちまち事件が起きるとまで言われている。)奥さんを半殺しにしただけではまだ飽き足らずインカの妖術師を使って呪いをかけたご主人は結果として自分も悪霊(by妖術)に一緒くたにとり憑かれ、撃ち殺した奥さんの霊とセットで苦しめられるというマヌケな結末を迎えたのでした…ゲフッ!

ほんとにあった!呪いのビデオ

2009.07.11
 投稿ビデオをまとめ、且つその地の因縁や背景まで綿密に調べてある(「出る」原因も分かりやすい)呪いのビデオシリーズ①~⑤までを写真と文章でまとめてある文庫本です。そんなノンフィクションのおどろおどろしい国産のビデオなんて見る人がいるのか(舞台が外国だったら「海を渡ってここまでは来ないかもしれない。」とまだ恐怖は薄いけれど。気持ち的に。)という疑問とは裏腹にシリーズは発刊当時⑲まで続いており他にも「THE MOVIE」と映画化までされている(1時間以上も引っ張る程のネタなの!?)そうで本編を読む前にカバーの説明文と前書きにまず度肝を抜かれたものでした…。

 「車窓にハッキリと映りこむ坊主頭の男」…「友達3人で見たら自分以外の2人が交通事故に遭ってしまった。」「ビデオを見てから目が悪くなった。」

…なんでこんなに大勢の人が投稿者(一般人)の彼氏が撮影した極めて私的なビデオを見てるの?と疑問を感じた所でこの映像が全国規模でビデオ発売&レンタルをされている事に気づき納得すると同時に怖くなったものでした。(当の彼氏でさえ行方不明になっているのに、こんな呪われた映像を全国展開しちゃダメだろ!?)そういえばTUTAYAにもそんなタイトルがあったような(DVD化もされてるのだろうか…?)と思い出した所で今まで見た事なくて良かった(ジャンルを問わず洋物映画好きで良かった。←問題はそこか?)とホッと胸をなでおろしたものでした…。見ただけで被害に遭った人も多数いるようですし、やはりホラーは2次元かフィクションに限ると改めて思ってしまったエピソードです…ゲフッ!

 「ブラウン管に映る白い着物の女」…岩本夫人「取材班に来て貰って良かったね。悪い物を連れて行ってくれたね。」

コスプレまでしてやらせじゃないことを確認した取材班を気に入ったのか取材が終わって以来、岩本さん家ではそれまでしていた人の気配も無くなり何も起きなくなったそうです。が、それ以来白い着物の女はこの「呪いのビデオ」を見た不特定多数の人間の前に現れるようになったそうで改めてこんなビデオは見るものじゃないなと実感してしまいました。怖い思いをしたいのなら無難にフィクション映画(作り物)などで妥協しておく方が良いようです。

 「誰もいない校庭で父を呼ぶ声」…ご近所「一家惨殺事件の直前にも家の前を通りかかった時に犯人の青年が父親と喧嘩しているのを見ました。」
取材班「お父さんはその7年前に亡くなっているはずなんですよ?」

母親の戸籍にその後の結婚歴が無かった事から、どうやらこの家には内縁の夫だったのか愛人だったのか間男だったのかは不明ですがともあれ「新しいお父さん候補」が同居していたようです。(で一家惨殺事件で犠牲にならなかったのを幸いにどこかへ逃げてしまったと…ゲフッ!)事件の犯人である長男との喧嘩は絶えなかったそうですが他の家族とは上手くやっていたのか(だとしたら「家族を取られた」→「家族も家族でホイホイと騙されやがって…!」と間違った方向に暴発した可能性はあるかもしれないが。)ともあれ唯一の生き残りである「お父さん」の所在がとうとう分からずじまいの今、真相は藪の中で終わってしまっていました。声が聞こえるだけでなく心霊写真まで撮れたり近所では幽霊スポットとして有名な家でもあるそうなので取りあえず近づかない方が良いようです。

恐怖夜話~ミッドナイトの楽しみ方~

2009.07.10
 「あなた、大変。ポチが靴をくわえて来たわ。」「よくある事さ。」「そうかしら。足首が入ったままなのよ。」という巻末ブラック・ユーモアにも笑わせて貰った、ホラーではあるもののショートショートの意味合いの方が濃い短編集です。話の全ては作者・阿刀田高による夏向けの怪談(フィクション)であり読み物として楽しむも良し、話を昇華してご飯時に語るも良し(こんな暗い話を食卓ネタにするのか…?)のネタ本として大いに楽しんだ本でした。

 死美人…「姉さんにしてみれば、それがどんなに美しい姿でも死の床で裸にされ、犯され、みだらな姿を写真に写されるのは許し難いことだろう。」

…え?レイプまでしてたの?(Bまでじゃなかったの?)と情事時の表記の曖昧さによもや最後(死姦)まではしていないだろうと希望的観測を持っていただけに弟に物凄い嫌悪感を抱いたと同時に写真を使ってのプレイまで楽しもうとしている様に嫌らしさを感じたものでした。フィルムが弟のものであっても肖像権は姉のものですし「そんな写真、現像せずに返しやがれコンチクショウ!」と化けて出てきた様には納得もしてしまったものです。写真を取り返すだけでなく弟への復讐はしなくて良かったのか等々色々ツッコミを入れてしまった話でした。

 レース編み事件…妻「器量も頭も何もかも陽子さんには敵わなかったわ。でもたった一つだけ、あたしは彼女に勝ったのよ。あなたと結婚したんですもの。」

そのたった一つの勝利を横からかすめ取るように死後にサッサと再婚された(しかも入院中も半同棲の形で不倫していた。)ら思わずあの世から呪いたくもなるでしょうね。(しかし何故、夫を呪わない?)夫を奪った挙句に想いをこめて編んでいた枕掛けまで利用して悠々とお昼寝されたら怒り(呪い)も頂点に達するのは分かりますが髪の毛を引き毟って殺した(傷自体は頭皮までで骨にも達していなかったとはいえ頭の皮を全部剝がされたら外傷性ショック死で死にもしますよね…。)のはやり過ぎで思わず「離婚への脅迫程度に留めておけよ!」とツッコミも入れてしまったものです。上記のセリフの内容が本当に真実(器量も頭も何もかも上のいい女)なら「敗北」しても仕方ないような気もするのですが…ゲフッ!

 怪奇マンション…「トイレは窓も臭気抜けも無い上に水が止まらない、下から水が流れない、しかもドアが中から開かない、この3つの不具合がどうした巡り合わせかある日突如として全部一度に起きてしまった…。」(本文より)

タイトルにある怪奇とは名ばかりの心霊・超常現象とは全く関係の無いただのオンボロマンションだった(奥さんの死因は合理的に説明できるただの事故に過ぎない。)訳ですが「ガミガミうるさいばかりであまり良い女房ではなかったからなあ。」と文句の一つも言わずに満足されている辺りは悲劇と言えましょうね。(別の意味で。)死亡事故の原因がマンションのトイレの不具合(所有者の責任問題)だった事で訴訟を起こせば何千万単位の金も手に入る(かもしれない)でしょうし旦那が「素晴らしいマンション」と評しているのにも思わず頷いてしまったものでした…ゲフッ!

ベルサイユのばら①

2009.07.09
 始めに書いておきますがネタばれが嫌なお方はここから先は読まないで下さい。物語はフランス革命を中心とした歴史ものです。「デビルマン」(永井豪)の文庫を読んだ時も思ってしまったことですがアンドレとオスカルがくっつくとか2人ともフランス革命のさなかに死んでしまうとか物語の核となる情報を一巻の後書きで書かないで下さいよ!とツッコミを入れてしまいました。(私のように文庫版から初めて読み始める読者もいるのです!)そんなわけで破滅に向かってまっしぐらな話ですが内容の濃い面白い話ではあります。読んで損の無い物語でしょうね。

 オスカル・フランソワ・ド・ジャルジェ…物語の主人公にしてオリジナルキャラ。大抵の「女なのに男として生きている」人間は男名の他にちゃんと女名を持っていてそれを隠しているものですが女名さえ与えられなかったのかい!とまずそこで意外性を感じてしまいました。(いくら父親のご都合とはいえ可哀想すぎです。)そこまで男として育てられながら将来「我が家の後継ぎを作る為にも男と結婚してくれ。」(酷!)とお見合いパーティーを開かれることになることを知っていると余計に哀れに感じます。(そして初恋の男にはもちろん失恋する…ゲフッ!)この人の父親はどれだけご都合主義なんでしょう?まさにそれに振り回されている彼女が哀れでなりません。もうちょっと子供の人生を考えてあげて下さいよ、親父さん。

 ロザリー・ラ・モリエール…オリジナルキャラその2。物語では彼女の養母が貴族の馬車に跳ねられて死んでしまいまう直前、実は貴族のご落胤だったという出生の秘密を明かされますが、じゃあ実母は誰なのかというと実は養母を跳ねた張本人マルティーユ・ガブリエル・ド・ポリニャック夫人だったりします。養母は先が短い自分の命を察しロザリーの身の振り方を心配していた時、ちょうど実母の馬車を見かけ娘を託そうといきなり馬車の前に飛び出したのでした。(ロザリーのように横合いから話しかければ良かったものを…車は急には止まれないんですよ、お母さん。)いきなり進路を塞がれてお馬さんはビックリです。止まろうと足をバタバタさせた所運悪く蹄が当たってしまいしかも当たり所が悪かった…というのが事件の真相のようでした。(冷静に状況を見てみるとマヌケな死に様ですよ、お母さん…ゴフッ!)ともあれどういう状況にせよ救急車も呼ばずに立ち去ってしまったら立派なひき逃げです。遺族から恨まれても仕方ない状況です。それを考えると実の親子が憎み合うという最悪な悲劇を招いてしまったんですね、お母さんは…ガフッ!

 ジャンヌ・バロア・ド・ラ・モットー…後にフランス革命の呼び水ともなるマリー・アントワネットの首飾り事件の首謀者になる女性。貧民層から成り上がり、過去がはっきりしないという点からロザリーの異母姉という面白い設定に作り替えたようです。(この人の方は実在の人物なんです。)話の中で栄養失調で倒れ貴族の奥様方からカンパしてもらうというエピソードがありましたが、病院などでよくある「○○ちゃんの移植手術の為の募金活動中。目標○千万円。」というカンパの張り紙などで1,2ヶ月もすると必ず「目標額達成!」となっているのに皆さんお気づきでしょうか?(いつも思うんですが目標額以上に集まったお金はどうなっているんでしょうね?)哀れな人へのカンパは意外に有効なんです。そこに気づいて金を集めるとは…人間心理をよく理解した根っからの悪女ですね、この女。(そういえば貴族の奥様に引き取られた時も「哀れな孤児にお恵みを」作戦が功を奏したからでしたもんね。その辺はちゃんと学習していたんだ…ゲフッ!)そんなわけで人を助ける時には相手に殺されてもいい覚悟で手を差し伸べないととんでもない目に合う、という生きた実例となっている人です。皆さんも行き過ぎた慈善活動には気をつけましょう。

 アンドレ・グランディエ…後にヒロインと結ばれることになる侍従…なんですが情けなくてあんまり好きじゃないです、この男。今回怪我を負ったオスカルに命をかけて助けてもらっていますが、それもそもそも男と女の立場が逆だろ!とツッコミを入れてしまったり…。いつか俺もお前の為に命をかけよう…ではなくて今、何かの形で彼女に恩返しをしようとは考えないんでしょうかね?剣の腕もオスカルに劣るようですし男として色々どうなのかな~と思ってしまう殿方です。オスカルの初恋の相手に彼が選ばれなかったのは充分納得してしまったり…ゴフッ!

 マリー・アントワネット・ジョゼファ・ジャンヌ・ド・ロレーヌ・オートリッシュ…「パンが無ければお菓子を食べればいいじゃない。」という問題発言や赤字夫人のあだ名で有名な悲劇の王女です。(最もその悲劇を招くに至るまで国民の反感を買ってしまったのは彼女自身の身から出たさびなのですが…。)本来禁止された賭け事に国民の税金を使いこんだり(50万リーブル(約60億円)って若さゆえの過ちで済む額ではないですよ!)ポリニャック伯夫人の1族に不当に高い地位を与えたり(実力の無い人間にえこひいきをすることを皆が笑ってお許しになるとお思いですか?)国王が妾を持たなかった(本来こういう我儘は妾が言い皇后は大抵のことには目を瞑って貰えるほど同情してもらえる、というわけです。)のも要因の一つとはいえ嫌われる要因は十二分に作ってしまいました。物語が進むにつれて彼女も反省し人間として成長していきましたが、それで50万リーブルが返ってくるなら苦労はいらないんです。色々と気づくのが遅すぎた人ですよね、彼女は。

ウイングマン①~⑨

2009.07.08
 多分、作者の桂正和先生が一番楽しんで描いていたであろうメカ満載の「ヒーローもの」連載で、その中でもカバーは最初と最後の巻以外は全部女の子で、隊員も主人公以外全員女(普通はこういう戦隊ヒーローって男女比3対2で男の方が多くなる物なんだが。)という辺りは担当さんの「女(および恋愛もの)描け!」という策略が見受けられたものでした。そして戦隊もの(ジャンルで言えば幼稚園児向け)の宿命か以降はジャンプの連載も恋愛ものばかりになってしまい(要するにヒーローものは描かせて貰えなかった。)好きな物を描くことと、本人の才能は本当に別物なんだなあ、という事をまざまざと感じた話でもありました…。

 広野健太…健太「ウイングマンは現代の天使なんだよ。人類の平和を願う正義の味方さ。ドリムノートをどうせ捨てるなら俺に使わせた方がいいぞ。」
あおい(これはいけるかも…。ウイングマンがどんな力を持ってるのかは知らないけど彼を上手く利用すればドリムノートを消滅させるよりいいかも。)

中学生にもなって本気で特撮ヒーローものの正義の味方になろうとするケン坊もケン坊なら、ウイングマン(第一話の段階では所詮お子ちゃまのごっこ遊び)の事をちゃんと調べもせずにホイホイ上手い話(他力本願)に乗っかるあおいさんもあおいさん(大体、相手を利用するという考え方自体が薄汚い。)で、ちょっと共感できなかった物語の始まりでした。そもそも異世界のトラブルなんて国も世界も違うケン坊が助けてあげる義理も義務も無いでしょうに「期待外れ」だった事に逆ギレしてひっぱたくメインヒロイン(普通だったら、そんな重い事情に誰も付き合ってくれないよ。本来、全く関係無い人間なんだから。)にしょっぱなから引いてしまったものです。なのに毎朝ジョギングまでして体力をつけて、後日、本当に助けてくれた様(その反面「当事者」であるあおいさんの方は初日だけで走るのを辞めたってどうよ?)には、なんていい子なんだろう!?と話の設定の幼さ(変身ヒーローものだから…。)に反して思わず感動してしまったものでした。ついでに彼が当のメインヒロイン以外の女の子とくっついた展開には秘かにガッツポーズも決めてしまったものです…。

 小川美紅…美紅「あたし、あたし、そういう事するの…良くないと思うわ!」
あおい「あたし、何か悪いことした?」
健太「このスカタン!ありゃ完璧に誤解したぞ!ベッドの上で下着同然の姿で抱きついてくるなんて、アレで俺は完璧に美紅ちゃんに嫌われたぞ!」

おかげでこの2人は「両想い」でありながらカップル成立までにも3巻分無駄に長い年月がかかり、本当だったら鞄を渡すこの日にくっついているはずが、学年が上がってクラス替えしてもまだ別の誤解(先生も巻き込んでの集団急襲事件で失神するまで怖い思いをさせられた。)を元に嫌われたままだった…という無駄な苦労をする羽目になったのでした。顔や体は合っていても服装が間違っていたあおいさん(ほぼ下着じゃないか!)のおかげで、ケン坊が味わった迷惑(あおいさん、あなたっていつも男に抱きつかないと話ができないの?)を考えると、「好きな子」とくっついた展開に素直にホッとしたものです。「ブリッ子」(女としては理想的過ぎて親近感が湧かない!)と一部女子には嫌われていた模様ですが、「周りをかき回す女」(トラブルメーカーのあおいさん)よりはずっとマシに思える私としては、好感度も高かった正規・彼女でした。

 夢あおい…「ケン坊に素顔を見られるなんて、お願い、やめて!素顔を見られたらケン坊に嫌われちゃう!最後までこの『あおい』の姿でいたいのよ!だから!」

ディメンションパワーで容姿を変えているって、それは整形手術と同じく一種のルール違反ではなかろうか?と「見せかけの姿」にこだわって、最後の戦いの時までそんなくだらない事を気にしているあおいさん(自国を奪い返せるかどうか、いわば「革命」の最中も同然のこんな時に、すっぴん顔を見せるのは嫌だとか「小さい事」をゴチャゴチャ行言っている場合では無いだろう、ポドリムスに住む自国人!)にツッコミを入れてしまったものでした。ケン坊に恋する女心の前に、そもそもケン坊は「見た目」で態度を変えるようなクズ男ではない(たとえ始めから「素顔」で出会っていても事情を話せばケン坊は助けてくれただろう。彼はそういう男だし、↑のような考え方は逆に彼に対して失礼だ。)し、問題は「綺麗な見た目」を下地にして色気と甘えで上手い事やっていこうとする貴女の姿勢の方なのでは?と思ってしまった、そんなエピソードでした…。(悪いけど考え方的にあんまり同情は出来ないです。)

 ナアス(斎藤辰夫)…あおい「お願い、死なないで!ケン坊!」
ナアス「お、お前の目にはもう俺は、うつってないのかーっ!」

あおいさんを裏切って利用した元恋人ですが、でもこの人は出世(と両親を助ける為という、ある意味では美談。)という欲に目が眩んだだけで、あおいさんのように「浮気」をした訳ではないよな(「恋人を捨てた」事に関してはお互い様。全く気持ちが無いのに「道連れ」に都合が良いからとナアスに走ったあおいさんを見ると「利用しようとした」のは、むしろあおいさんの方のような気がする。)と、目の前にいるのに全く視界に入らずに終わった最後(霞か何かのように無視されて死んだ様)と合わせてちょっと同情してしまった元婚約者でした…。彼が死んだ後になってから初めて「殺さなくたっていいでしょう!」と被害者面をして喚き立てる(数分前に自分を刺し殺そうとした男の事で、彼が死ぬことを全然問題にしていなかった女が、今更になって何を言い出しているんだか。)辺りも微妙に思えて、余計にあおいさんの評価が下がってしまった恋愛譚でした…。

 森本桃子…健太「ごめんなさい!正義の味方が側にいながら犬、殺しちゃって、ごめんなさい!」
桃子「見知らぬ犬が死んだだけで泣いている正義の味方を名乗る男の子に何故か惹かれて…もっとお友達になりたいと思って、やっとリーダーって呼べるようになった。でも明日からはリーダーじゃなくて、できれば広野君って呼ばせて下さい。」

そんなに前からケン坊の事を!?(「彼女」になれなくても側にいられるだけでいいって、もしかしたら美紅ちゃんより、けなげかもしれない。)と年季の入りぶりに驚くと同時に、完全にアウトオブ眼中(多分、気づかれてもいなかった)で、しかも目の前でポッと出の同級生女子(美紅ちゃん)とくっついたって辛いだろうな…と同情してしまった女の子でした。あおいさんが力を貸してくれたおかげでウイングガールズとしてセイギマンのどのメンバーよりも彼に(仲間として)近づく事はできたのですが、結局相手にされていない事実は変わらず、おかげで失恋とはいえ思い出が出来たと考えるべきか、無駄に近づいて現実を思い知って苦しむ事も無かったのにと見るべきか、悩んでしまったものです。そしてどっちに解釈しても「全てが無かった事」にされたあの終わり方では報われていないのは確実で、思えば可哀想になってしまった女の子でした…。

 桜瀬りろ…あおい「リメルがりろちゃんの戦闘的じゃないやり方を見て、しびれを切らして野蛮なあなた達を出してくる時を待っていたのよ。そうすればりろちゃんも考え方を変えるし、味方に引き込めると思ったのよ。」
りろ「酷いわ、お姉さま。という事は、りろの催眠にかかったフリをして私を騙していた訳ですね。」

ロリコン→ロリ→りろ(ひっくり返しただけ。)という安直なネーミングからも、どういうキャラクターかは推して知るべきな女の子ですが、これ以上「ケン坊に想いを寄せる女の子」を増やすのはいくら何でもやり過ぎと判断されたのか、ケン坊ではなく、あおいさん(女性陣。百合の世界か。)に入れ上げる女の子となったロリキャラでした。(この子が男の子だったらね…あおいさんもランクを落とす形でも一応「彼氏持ち」になる可能性があったろうに。)騙したつもりが、チョイと騙された~という歌(byスーダラ節3番)にあるように「周り(自分)を騙して良いように使っていた。」のは実はあおいさんの方だったとはいえ、それは一応「詐欺」止まりで、「殺人」まで行ってはいなかった(同じルール違反をしている人間でも「50歩100歩」の50歩分だけマシだった。)という事で、より悪質な上司の方を切ってしまった彼女。部下の洗脳はしっかり行っておくべきだったな(敵側の戦力を増やしてどうするんだ?)とリメルに対してツッコミも入ってしまった新キャラクターでした。

 美森くるみ…「必死で私の事をかばっていた時の彼の姿を見て、こう思ったんです。私のスーパーマンが現れたって…。」

最初に会った時には必死で己を傷つけて殴るまいとしている彼の姿に「バカみたい。そんな事をして私の気を引こうとしても無駄よ。」とあざ笑っていたクセに、怪人に襲われそうになって分かりやすい形で庇って貰ったら手の平を返すのか、と17歳のお姉さんアイドルが年甲斐もなく中学生男子(ウイングマン)を追いかけ始めた展開には「…。」と思ってしまったものでした。(しかし本当に恋愛ゲームの主人公並にモテルな、広野君は。)最初に出会ったまさにその時に皆で素っ裸にされて(!)「バ、バカ!この娘だけは映すな!」と美紅ちゃんだけを庇った姿を見れば「私のスーパーマン」は既に彼女持ちだという事は分かりそうなものなのですが…テレビに出た時の書類に書いてあった住所をたよりに訪ねてきたり(それはストーカー行為というんです、くるみさん!)行き過ぎたアプローチの仕方にもちょっと引いてしまった年上(落ち着いたイメージ)らしからぬお姉さまでした…。

 余談…目立つ為だけに職員室の窓から登場したセイギマンの面々に「彼らはここを何処だか知ってんの…?」「その問いについてお答えいたしましょう。そんなバカなと大笑いしても構いません。だが私は断言します。彼らはここを何処だか知らない!」と後ろで呟いている先生方の発言に妹と一緒に大笑いさせて貰ったものでした。

ウイングマン⑨~⑬

2009.07.07
 「正義の味方の巻」(第一話)に始まり「正義の味方の巻」(最終話)で終わる、この物語は、ある1人のどこにでもいるような少年(そうか?)が正義の味方になるという非現実的な夢(「しかも変身して悪を倒すという極めて現実離れした英雄に本気でなろうとしていたのだからアホとしか言いようが無い。」by作者)を異次元から来た少女との出会いによって本当に実現させてしまうという物語なのですが(その辺は漫画である。)ただのヒーロードンパチものではなくて、女の子の心理や主人公の成長の様(実際、最初と最後では全く意味の違った「正義の味方」であったと思う。)など見所もあった何気に深い話でもあったな、と完結と同時に素直に拍手した長編でした。しかし最後に、昔に戻って全てを無かった事にする終わり方はちょっと酷いだろう(ご破算に願いましては…って元通りにするには一番手っ取り早い手段だけど、あまりにもお手軽過ぎないか!?)とそこだけは納得がいかない結末でもありました…。

 広野健太…健太「ドリムノートにあおいさんが生き返るように書くんだ!全ページ消して、全ページに書けばどうにかなるでしょ!」
あおい父「そんな事をしたらウイングマンの全てを失ってしまうぞ!無駄な事は辞めるんだ!」
健太「かまうもんか!あおいさんが生き返るならウイングマンなんて!」

そしてその言葉の通りに願いが叶って、彼は「ウイングマンとしてやってきた全て」を失ってしまい、その代わりにあおいさんは(何故か)生き返る事が出来たという訳か(ジョギングして懸垂して、今まで必死になって体を鍛えてきた、あのトレーニングの日々は全部おじゃんにされたのか…。)と過去に戻って全てを無かった事にされた終わり方(話の流れでは「未来」にあたる「ケン坊と出会った後の思い出」をあおいさんが知っている辺り、時間が戻されたのは地球だけで、ポドリムスの方はリメルもライエルも倒された後の平和な状態でウイングマンを頼る必要も無いらしい。)にガックリきてしまったものでした。無かった事にされた未来では彼の為にパレードもなされて「憧れだったヒーローになる」夢を本当に叶えていた事を考えると、輝かしい未来図を消された事と合わせて切ない終わり方です。最もおかげで「現実」(異世界から来た少女も怪物もいやしない世界)の中で終わる、リアリズムな結末にはなっていますけどね…。

 小川美紅…あおい「聞こえたわ。美紅ちゃんの声。心の叫びを私も心で受け取ったの。だからケン坊にも聞けるはずよ!」
健太「き…聞こえた!こっちだ!こっちに美紅ちゃんがいる!」
あおい(普通、無理だろ。聞こえるはずないもの…。)

そして方向が本当に合っていた(美紅ちゃんが別れ話の時に口にしていたが、これぞ「心からの接し合い」である。)辺り、既に超常現象にまで達しているのか、アンタ達の絆は…と、あおいさんでなくともビックリした恋模様の結末でした。確かにケン坊の心は「今」はあおいさんに向いているけれど、それが恋であったとしても恋はいつか冷める物ですし、あおいさんと一緒にポドリムスに行ってしまえばケン坊は恋人(美紅ちゃん)だけでなく、両親も友達も住んできた世界も、全てを失う事になってしまう(一時的な想いの為に犠牲にするには、あまりにも失うものが多過ぎる。)事を考えると、出来過ぎた終わり方とはいえ「好きな子」と元通りにくっついた事には素直にホッとした結末でした。(酷い言い方だが、あおいさんがいなくなってしまえば2人がトラブル心配も無いしな。)何もかも失くしてしまったけれど可愛い彼女だけは手にできたね、とそこだけは頷けた(本当に「そこだけ」だけど)話の終わり方でした…。

 夢あおい…美紅「私が広野君と一緒にいる時間なんて、あおいさんと広野君の時間に比べたら…広野君、あおいさんと一緒にいる時はすごく楽しそうなのよ。2人とも心から接してるって感じなの。だから、いつかこうなるって分かってたの。」

そりゃ、同じクラスとはいえ学校でしか一緒になれない美紅ちゃんと比べれば、かつて同棲してて現在でもお向かいに住んでいるあおいさん(そしてその気になれば「ケン坊と一緒に寝たくなっちゃったから。」といつでも夜這いに来れる。美紅ちゃんだったら、こんな真似は絶対にしないというか、やらないだろう。)の方が断然有利ではあるし、15歳中学生男子といえば、ちょうど性に興味を持ち始める年頃だし(そんな中で、ほぼ下着のあんな服で接して来られたり、ネグリジェ姿でウロウロされたらドキドキするだろう。主に下半身を中心に。)そりゃ「近所のHなお姉さん」(「普通のお姉さん」は、そもそもあんな格好で男の前でフラフラしたりしない。)に傾いてしまう事もあるだろう(そもそも健康な中学生男子が「夜中、ベッドに潜って自然と思い浮かんでしまうネタ」と言えば大体、相場は決まっている。)と彼の気の迷いを冷静に分析してしまった私でした。2人がとっても楽しそうにしていると美紅ちゃんまで勘違いしているけれど、本当の恋は「楽しい」だけで済まないし(それは「友達」の戯れだ。)ケン坊は「本気」で責任を取るつもりだった様子だけれど、それは恋とは似て非なるものではないかな、と思えてしまったベクトルの変化でした…。

 布沢久美子…「良かった…来てくれたのね、真次さん…。」

「電影少女」のもえみちゃんか!(いや、作品的には「電影少女」の方が後の作品なんだけどさ。)と何でもかんでも好きな人に見えてしまう(その実、ケン坊と真次さんはどこを取っても似ていなくて、いくら視力が悪くても「見間違え」ようが無い2人だと思うのだが。)優しくされるとすぐに良いように受け取って騙されてしまう(でも本当は、真実「騙されている」訳でもなくて「ここで全てを水に流して自分が泥をかぶる形を取れば、自分はこの人の側にいられる。」(逆に言えばここで「相手を責める」という当然の権利を発揮すれば自分は切り捨てられる。)と計算しているだけで、心底では彼女もその人の本性に気づいてはいる。)そんなダメ女になり果てていた彼女でしたが、2度も騙された事でさすがに彼女の目も覚めた様子です。(恋心を完全に忘れ去ったとまではいかなくても、今までの復讐を果たせるほど現実は見えるようになった。)あの男のどこが良く感じたのかは謎ですが、取りあえず割り切れるようになれてホッとした修羅場の様でした…。

 バルド将軍(真次さん)…「お前はもう用済みなんだ。お前をペットにしとくと愛するヴィムとの仲がややこしくなるかもしれないからな。死んでくれ。どうせもう生きていたって仕方無いんだからよ。成仏するんだな。」

だから当のヴィムには相手にもされていないんだって…(男ってどいつもこいつも勘違い野郎ばかりだけれど、どうやらこいつは、その典型だったらしい。)という客観的なツッコミは肝心の彼には届いていない模様です。(本命はヴィムと言っても、最終巻でボスに裏切られた事を恨んで復讐をする彼女が、同じように「味方(部下)を裏切る男」に惚れるとも思えないのだが。)寂しい所に連れてきたのは布沢さんと2人きりになる為でも、キスする為でも、情事を果たす為でもなく(少年誌ですから!)、人目の無い所で殺す為だったというのはさすがに可哀想な結末(布沢さんは彼に対して何も悪い事をしていない、それどころか散々尽くしてきたのに「うっとおしくなったから」という身勝手な理由一つで、本当に殺される羽目になるとは思っていなかった事だろう。)でしたが、2度も騙した女に3度目があると思ってしまったのは彼の迂闊さでしたね。騙した男が今度は騙されたという因果応報なお話でした…。

 美森くるみ…くるみ「だから、さっきから言っている通り広野君とはただの友達だって…。」
レポーターA「そんな訳ないよ。もっと深い仲だって情報も入ってるんだ。」
レポーターB「そうそう、中学生相手にニャンニャン(セックス)したって噂も…」
くるみ「何ですか、それ!言って良い事と悪い事が…!」

彼の修学旅行先に押しかけたり(他の生徒も泊まっている旅館では、そりゃ目に留まるだろう。)、お揃いの七宝焼きのペンダントをプレゼントしたり(ペアペンダントなんて噂を呼ぶ物を…。)、りろちゃんのコンサートに一緒に行ったり(デートじゃないか!)、教えられてもいない彼の自宅まで調べ上げて訪問したり(それはストーキングと呼ぶのです、くるみさん。)疑わしい行動は散々取ってきたけれど、真実、彼とは何にもできなかった(いっそ本当に何かあったのなら、まだ諦めがつくものを。)というのに、噂だけで↑のような嫌らしい批判を下されるなんて、アイドル稼業も大変です。オマケに久しぶりに会えたと思ったら、目の前で愛する彼が他の女(あおいさん)が好きだと爆弾発言をぶちかますなんて、酷い扱いだな(おかげで騒ぎは雲散霧消したけれど、家に帰ってから色々悩みそうな治まり方だよなあ…。)と思わず同情もしてしまったものでした。種は散々撒いてきたけれど結局、実は結ばなかった想いだというのに…ね。

 ドクター・ヴィム…ライエル「ちょこまかとうるさい奴らめ!ブラストフラッシャーをくれてやるわ!」
ヴィム「あの武器は非常事態の時に使うもの!今、使えば私も巻き込まれてしまいます!」
ライエル「お前など、どうなっても構わん!お前の代わりになる奴はこの宇宙に腐るほどいるわ!」
ヴィム「そ、そんな!」

「男なんて興味無いわ!」と仕事一筋に生きてきた(おかげで一部読者からはレズ説まで唱えられていた)のに、待っていたのは当の仕事上の上司から文字通りに「クビを切られる」という扱いだった(「ヴィム、君は可哀想な奴だ。味方に裏切られるほど惨めなものは無いからな。」と敵側のケン坊にまで同情されている。)様に、結局自分を助けてくれたのは仕事でも上司でもなくヒーロー(!)だった結果に、彼女も考えを改めるに到った様子です。恩返しの為に船を操作してライエルに特攻してくれたり(終戦期の日本の無謀な兵士のようでカッコイイが、せっかく助かったのにこんな形で散るなんて…!)本当の意味で悪い人でもなかった事が分かりますが、おかげで好感を持てただけに、あの「全てを無かった事にされた」(一応、未来は残っているケン坊達と違って、「死んだ」彼らは誰に思い出される事も無く、存在すら抹消された)終わり方が微妙に思えたものでした。やっぱり「昔に戻ってやり直し」という終わり方はNGだよな…とまとめ方の綺麗さの反面、納得がいかなかった最終巻でした…。

 余談…バレンタインにて、モテナイ男子達がせっかくチョコを貰ったのに、送った女子(布沢さん)に「彼氏がいる」という事で「これはモテナイ男への『哀れみ』かよ!こんなの受け取れるか!」「冗談きついよ~。渡す人、間違えてんじゃない?」「気持ちは嬉しいんだけど受け取れないよ、真次って人に悪くてさ。」「いくら僕が魅力的だからって浮気はいけないな。これは返すよ。」と揃って返してきた男子達(貰えるもの、食えるものなら何でもOKっていう、意地汚い根性じゃないのね。「彼氏の立場」をちゃんと考えてあげている辺り、いい子達じゃないか。)に、何気に感動したものでした。(ていうか、いくら新しい男を作ろうとしたからって四方八方に手を打ち過ぎですよ、布沢さん…。)

恐怖体験

2009.07.06
 話のほとんどは高港基資先生が描いているものですが、他の人が描いている話もあるし、救いようが無さ過ぎてやりきれない気持ちになる話もあるし(不幸な結末を迎えた原因が自分に有りバッドエンドでも「自業自得」の結果ならまだ納得できますが、何の非も無い自分から面白半分に関わろうともしなかった人間が何故か巻き込まれて悲惨な死に様を迎える結末は…やっぱり読んでいてあまり良い気分はしないです。当事者が女性だと余計に痛々しくて見ていて辛いですし。)敢えて不特定多数のカテゴリに入れておきます。という訳で琴線に触れた話の感想です。

 「選択肢」…タケル「この頃、思うようになった。自分だけが不幸なんだと思っていたけれど、案外、人が人生で手にする幸福は大体みんなこの程度じゃないかと…。」

両親が離婚して「数年」も経ってから母親が再婚した辺り、離婚の原因は浮気ではない(母親に他に男がいて自分がいずれ邪魔者になる事が見通せた選択だったのに「誤ってしまった」訳ではなく悪い方向に転がってしまったのは全くの偶然。父親を選んだ所で父親の方も性悪女と再婚する可能性が無いとは言えない。)事は分かりますし彼が「不幸」になったのは選択ミスだけが原因ではないだろうと私も感じてしまいました。上原さんのお誘いという選択肢も家に火を付けられる前にとっとと殺っていれば結末は変わっていたでしょうし(最も殺人を犯した事実の元に愛想を尽かされる形で最愛の妻子はやっぱり失う羽目になるでしょうが…ゲフッ!)そもそも人生は2者択一の選択肢の「正解」を選ぶだけで全てが好転してくれるほど簡単で単純なものではない(住所不定無職のどん底にいた時に妻と出会ったように何が幸いするか、何が起こるか分からないのが人生であって、そんな簡単に幸せになれれば誰も苦労しません。)と主人公の考え方にツッコミを入れてしまったものでした。彼が「不幸」になったのは紛れもない事実ですがそれは選択肢のせいではなかった(どちらを選んでも「結果」は遠からず同じだった。)事を考えても考え方としては間違っていたんだろうなあ~と暗澹たる気持ちで読んでいました。

 「黒焦げ犬」…飼い主「あそこのお宅、もうクリスマス飾りをされるのよ。でもどうしてもゴンはあれが気に入らないのよね。」
絵島「そこで犬の勝手にさせないで、飼い主としてちゃんと吠えないように躾けて下さいよ。」

無駄吠えさせた飼い主が一番悪い。絵島さんも犬もある意味、犠牲者というアオリの言葉にそりゃそうだ、と思わず納得してしまいました。今はペット用品も充実してきて、ある音量以上の鳴き声を上げると目にレモン汁が掛かるように設定されている(パブロフの犬の要領で吠えないように躾けられる)首輪もあるそうですし近所迷惑を薄々自覚しながらも周りの人の好意(という名の社交辞令)に甘ったれて何もしなかった飼い主にそもそもの原因があったなと改めて頷いてしまいました。火をつけられて生き地獄を味わう羽目になったゴンは哀れですが、そもそも飼い主がちゃんと周りの人の恨みを買わないように育てていればこんな事にもならなかったんだよとツッコミを入れてしまったものでした。

 「友人の母」…山本「お前の母ちゃん、美人だよな~。」
友人「それは無いだろ。ていうか、その前に20才以上年上の俺の母ちゃん相手に頬を染めるなよ。」

相手が既に結婚していて自分と同い年の子供がいるという事実も無視した実にハードな初恋だったんだなあ~と山本少年の初恋にツッコミを入れる(普通は友達の母ちゃん=既婚者という事実だけで許容範囲外になる所ですが…ゲフッ!)と同時にずっと見ていたその綺麗な女性は実は友人の母親ではなく幽霊だった(それでも「姉」でなく「母親」と勘違いしていた辺り「相応に年を取った女性であった」事実には違いなかった訳で…ゴフッ!)というオチには心霊現象以前に主人公の好みの偏り具合に「…。」と思ってしまったものでした。恐怖以前にツッコミ所が多すぎるような気がした、そんな話でした…ガフッ!

この心霊スポットは実在する!

2009.07.05
 以前刊行された本を改題しただけで中身は同じ本なんだそうですが読んだことは無かったのでここで語っていこうと思います。心霊スポットに肝試し等で行ってしまった人(不可抗力で通りすがった例もあるものの)が酷い目にあった話ばかりで遊び半分で死人(かつては生きていた一人の人間)を面白がると痛い目に遭うという教訓が描かれている気がした本でした。

 京都府K市・M池「水辺に立つ死霊」…「深い池なんです。だから落ちた人は上がってこれない。皆あの底にいるんです。」

上賀茂神社を東に進んだ住宅街の中にある自然豊かな池で多くの珍しい動植物が生息している事から天然記念物に指定もされている池なのですが分厚い泥の為に死体が上がらない入水自殺者(普通の水死体はガスが溜まる事もあって浮いてくるんですけどね…。泥という土が大量に上にかぶさると話は別なのかな。)の霊を目撃した(または乗せてしまった)タクシー運転手は後を絶たないそうです。乗せた女の人の言動から察するに死んだ後は成仏できずに他の自殺者の霊に引き摺られ自縛霊になってしまう(「早く家に帰りたいのに!」)ようで、池の周りではうっかり落ちないように気を付けるべきのようです。

 高知県K群・幽霊橋「死者の手招き」…「前はここに橋の名前が書かれていたんだって。でも車のバックミラー越しに欄干を見るとちゃんと『見返橋』って名前が見えるんだって…。」

高知市から国道32号線を北東に進み茂ノ森方面に行くとある幽霊橋。(一応車では行けるらしい。)辺りに民家一つない山奥の寂しげな場所で自殺したユキさんは森林浴目的で行ったのか自殺の名所で死ぬために行ったのか(だったら目的を遂げたという事でまだマシな結果と言えますが。)前者で主人公達と同じように橋の途中で振り返ってしまった(橋の入り口に花をたむければ良かったね、投稿者達も…。)為に襲われて殺されたのなら嫌だなあと色々考えてしまいました。同じように花を手向けに来ただけのユキの両親も犠牲になってしまっているし取りあえず噂に名高い場所には近づかない方が良いようです。

 宮城県M群・廃ホテル「憑依する男」…「最悪な思い出になってしまいました。」

国道45号線の近くの線路付近、海岸沿いのリゾートホテルが並ぶ場所の裏手(観光地の外れ。だから潰れたのかと経営難に納得もしました…ゲフッ!)で普通の観光客はまず足を踏み入れない場所(「知って」いて肝試し目当てで来る人間しか入ることはない場所。廃墟だしね。)だという事に少しホッとしてしまう場所です。霊媒師が肩に自殺者の霊がついている事を発見しながらそのままの状態が続いている辺りプロにもどうにも出来ない位強い霊だという事が伺え正則さんの今後が心配になった話でした。死者を悼む気持ちが無い者がこういう場所に面白半分で行ってはいけないという実例です。

狐狗狸伝説

2009.07.04
 つのだじろうオカルト自選集の1巻です。独自でオカルトの研究をしていたつのだ先生がテストのつもりで描いた「亡霊学級」がぶっちぎりで人気を取り「うしろの百太郎」「恐怖新聞」の連載に繋がりオカルト漫画家として大成→現在に至る…という経緯があったそうで世の中何が起こるか分からない、とコメントが載っていました。という訳で1話1話にコメントがついているお得な短編第1集です。

 狐狗狸伝説…山本勘右衛門「少年よ、私に代わり女二人を殺せ!私の財宝を全てやるから!」
黒田「お金やるからってそんな殺人依頼されても困ります!」

表紙のリアルキュートな狐の絵に思わず萌えた埋蔵金伝説の話です。狐(キツネ)狗(イヌ)狸(タヌキ)とタイトルにある通り動物霊(低級霊)を呼び寄せて話を聞くコックリさんが登場しています。(これは日本限定の物でなく西洋でもウイジャ板という霊と会話をする為の同様の手法が存在する。)会話方式が整っているのを良い事に「家に火をかけよ」と騙して一族を末代まで祟り殺した山本さん。(結局自力で復讐を果たしたのね…。)休みを利用して遊びに来た遠縁の黒田さんはゆっくりするどころか大変な災難に巻き込まれた(まあ、勝手に蔵に入り込んだり自分で足を踏み入れたのも悪かったのだが…。)ものの菱大判1枚は治療代にしっかりと手にしていた様子(むしろ治療してもお釣りがくるだろう。)でその後は心配が無さそうです。埋蔵金は見つからないままだからこそロマンがあるんですよ…ね。

 水がしたたる…亡霊学級の第3話です。話に出てくる水死体(ほとんどうつぶせに上がるのに50人に一人の確率で仰向けに上がってしまった死体。)は鑑識の刑事さんに特別なルートで部外秘写真を取材(スケッチ)させて貰った正真正銘の実録だそうで話は創作なものの絵はかなり現実に近い…そうです。溺れ死んで3~7日位で体の中にガスがたまって男か女か人相もも分からない程パンパンに膨れ上がる水死体。(おかげで水死体は土座衛門と相撲取りの名前を付けられてしまっている。)4、5日で浮かんでくるものの一週間も過ぎると腐り始め(常温保存の上に水分はたっぷりだからなあ…ゲフッ!)10日後にはズルズル皮が剥け始め手の皮なんて手袋を脱ぐみたいにそっくりズルッと剥けて取れる…そうで死に方としては最も美しくない死体の状態を晒してしまう(早期発見してサッサと引き上げたならあるいは綺麗なままで済むかもしれないが。)辺り、こんな死に方したくないなと感じてしまったものでした。工場排水で汚染が進んでいた為遊泳は危険だよと敢えて美しくない姿を晒してまで止めてくれたり、幽霊になってまで授業をしてくれたり、どこまでも生徒思いの水野先生でした(死んだのもプールに忍び込んで遊んで落ちてしまった子供を助けた為。)が登場の仕方のせいか生徒には完全に怖がられてしまっており、ちょっと同情もしてしまった先生でした…。

 おれを殺したのはおれだ…タイトル通り自業自得で死んでしまった主人公の話です。扉絵で警察が山中の死体を調べていた辺り、おそらく死体は発見されたのでしょうが、それが千秋ヒロシ君の方なのか恩地五郎の方なのかは分からず正直不安も感じてしまったものです。結局親友だろうと叔父さんだろうと最後は必ず殺されてしまう運命にあったヒロシ君が哀れに思えたものでした…。人生は何が起こるか分からない(そして上手い話には必ず裏がある。)主人公も他人と入れ替わるなんて余計な事をしなければ貧乏でも平均寿命いっぱい生きられたのにね、とツッコミを入れてしまったものでした。

 デスマスクの旋律…桜子「あたしが友達になった男の子は皆…何故か皆自殺してしまう…。」

いつ、彼女が西神君と友達になったというのでしょうか…?(むしろ幽霊になって男をストーキングする悪霊だと噂を流し下着姿でリストカットするまで彼女を追い詰めた西神君は「友達」からかなり遠い所にいる男子生徒だと思うのですが…。)ともあれ美人なのに他の男子生徒は互いに牽制して手を出してこず(その反動か抜け駆けをした西神君に対しては徒党を組んで集団リンチをしている。酷い。)唯一話しかけてくる西神君タイプは姉・緑子の悪霊がとり殺してしまうせいで今日も桜子さんは彼氏いない歴が継続しているご様子です。ラッパ吹く(嘘つき=ホラ吹き→ホラ貝じゃなくて現代日本の学校にあるのはラッパだよ、と変更されたご様子です。)テキ言う(適当な事を言う。)シカト(花札のカードの鹿がそっぽを向いている→無視している、と解釈されたヤクザ言葉。)カケヒ(駆け引き)フケて(さぼって)バックレてる(しらばっくれてる)シラコイ(白々しい)ハクイ(「良い」「美しい」「素晴らしい」という意味の隠語。江戸時代の盗人・テキヤがよく使ったそうです。)ハモる(「調和」を意味する「ハーモニー」に動詞化する接尾辞「る」をつけた俗語。調子を合わせたいという意味でしょうね。)コマす(誤魔化す、騙す。転じて「嘘や大げさな表現を使って巧みに口説き落とす」という意味でも使われた。江戸時代よりテキヤ・不良が使った隠語。)など死語も満載で(私の年代では意味が分からない言葉も多数ありました。)ジェネレーションギャップも大いに感じた時代を感じる短編でした…ゲフッ!

まちこの千夜一夜②

2009.07.03
 率直に言ってよく人が死ぬ話ばっかりだなあとも思ってしまいましたが、それも「悪は滅びる」というか里中先生の精神論に基づいた道徳観なんでしょうね。個人的にはこういう考え方は好きなので(輪廻転生関連の話以外は)好感を持って読んでました。(私は輪廻転生は新しい人生を始める為の物であって前の人生のやり直しの為の物ではないと思っているので。)3巻も気長~に探してみようと思います。

 ロバはロバ…現世で関わりのある人間は前世でも身近にいることが多いとはよく聞きますが、ここまでピンポイントに近くに生まれ変われるのも凄いとビックリしてしまいました。(タコ→蚊→ロバと生まれ変わって3度とも婚約者の近くにいる。その間決して前世の記憶を忘れないのも凄い。)飼い主がもうちょっと頭が良ければ「日本語を書くロバ」としてひと儲けできたのにビジネスチャンスを棒に振ってしまったなと変な所にツッコミを入れてしまったりもしました。最期にはロバなりに幸せになっていて安心もしました。過去の恋人を忘れるには新しい恋人が1番というのはそれなりに真理のようです。

 半魚人は泣いた…「今でも本気で愛してるのに…。」と言いながら相手のビジュアルが変わった瞬間「そばへ来ないで!気持ち悪い!」と態度を180度変えているメルルが正直微妙に感じてしまいました。「私が愛したのは自分の文化に自信を持ったベララ様だった。」ならビジュアルは関係ないような気がするのですが…。魚人の文化で自信を持ってモボ(モダンボーイ)だと言えるベララ様限定だという意味なのでしょうか?(それも酷いと思う。)妻になった後も「ぬいぐるみを被ってくれなきゃキスしてあげない。」(じゃあもっと上の段階である夜の営みはどうしてるんだ、君達!?卵生なのか!?)というどこまでも見た目重視の発言には「…。」と思ってしまいました。それでも他の魚人女達と違って覚えていてくれただけでもべララにとっては価値があったのでしょうか?人間界でも魚人界でもひたすら忘れ去られた存在になってしまったべララ様には同情を禁じえませんでした。結局、人間はありのままが1番ということらしいです。

 不死身のヒーロー…宇宙飛行士ギルバートが事故に合って永遠に酸欠地獄を味わう展開になったのは純粋な事故なのか、魔女アンナの呪いなのか…恐怖話でこういうジプシー系の女を弄ぶつもりで結婚の約束をしたら日本に帰ってきた後、体に仲人をしたジプシーばあちゃんの顔が浮かび上がってきたという話を聞いたことがあるので、それを考えると微妙な所です。不死身になる薬(不老にはならないんだね。)のせいで永遠に苦しみ続ける結果になってましたが飲んでいなくても死んでしまう運命だったということを考えると運の悪い男だなあと思わざるを得ませんでした。(地球上でも酸素チューブに欠陥があり死にかけたという事故が起きている。本人が怖くなる程、確かに破滅的に運は悪いようです。)どの道このフライトで自分は終わるかもしれないという予感は見事に的中してしまったようです。

 性格の悪い女…「死んだら化けて出てやる…!」という女が旦那ではなくオレンジの元に化けて出る羽目になったのにはホッとしてしまいましたが、冷静に状況を見てみると結婚後わずかの期間我慢しただけで妻の巨額の財産をそっくり頂いた旦那に羨ましさを感じてしまいました。(しかも再婚するのが早過ぎる気がするのですが…浮気を過剰に心配していた妻の気持ちもある意味分かるような。)「遺産」が入ったということは死亡がはっきり確認されたということなのに誰にも悼まれていないのにはさすがに同情してしまいました。(旦那が幸せいっぱいで他の女と再婚してるから余計に。)夫の方も本当に愛情があったのか、自分の理屈に酔っていた(愛に目覚めるよう彼女を救ってあげよう計画。実は同情して上から目線で見ているような気が。)のか疑問だったり…ゲフッ!

 神様の実態…マリア様になって不平不満を言う人間と交代する話。なのにその後せっかく人間の体を手に入れて(交代)も肉体の記憶に負けて元の人格は消滅(変貌)してしまう辺り、人間は魂でなく生まれと育ちで物を言うようです。(まあ、当たり前のことですが。)上手い具合にカップルになれたのはいいものの自分の体が他の女と結婚式を挙げているのを見ている現・マリア様の心中は複雑でしょうね…。(元々振られたことがきっかけで不平不満を言っていただけに尚更。)入れ替わったら人格は変わるし深く考えると複雑だなあ、この展開と思ってしまいました。

 国王の決断…死刑囚の子供は孤児院で育て苛められないように配慮している…とありましたが死刑囚の子供が全員物心つく前の将来の顔貌も分からない赤ん坊だったはずもないのに、同じ国内でバレないものだろうか?とその対処方法にも疑問を覚えてしまいました。そして子供はともかく奥さんの方は死刑になってるんでしょうし(子供がいない者は親も同罪、と言っていたので…。親を守ろうと思うなら子作りしろって事?)やっぱり非人間的な法律だと私は思うのですが…。(なのに誰も配偶者の不幸を考えていないのが悲しい。結婚相手ってその程度の存在なんですか、皆?)子供も同罪にする前に厳しい拷問制度を取り入れるべきではないかと私なんかは考えてしまいました。(そしたら本人だけが責め苦を負う上、後悔だってするでしょう。)

 永遠の愛…霊として側にいるのに見えるのは私だけ(誰とも共有できない。)触れあうこともできない愛は寂しい…と思っていたものの身を隠されて、そこに存在するだけで充分だった、と究極の愛に目覚めている女性の話です。でもこの女性がボランティア活動に精を出すなど「自分の世界」を広げていかなかったらこういう内容の濃い人生は歩めなかったでしょうね。(少なくとも夫に寄生して生きていくことだけを考えているあざとい女には絶対無理。)愛は心で決まるものですが、それ以上に強い信念を持っていないと貫くことは難しいですよね。

 真説かぐや姫…原典によるとわずか3か月で成人したそうなのでそのスピードで行けば老いるのも早いだろうなあ、と納得してしまいました。(むしろ結婚してしまったらあっという間に老婆になってしまい、男としては尽くし損になってしまっていたのでは…ゲフッ!)若さを取り戻した…のはいいとしても(どんな原理だろう?)その後人類が初めて月へ降り立ったのは何百年も後の話です。むしろ生きているはずはないのですが今年で彼女は一体何百才になってるんでしょうね?不老不死の女になったのでしょうかね?

 決めたいロンリーナイト…サングラスいっぱいの大きい目(きっと宇宙人のグレイのような目なのでしょう。)を気にする気持ちは分かりますが、堂々と開き直って人目にさらすのはいいとしても、髪全部をまとめたパーマ待機中のようなヘアスタイル(むしろ髪が見えないんですけど。)にするのはどうかと思いました。サングラスを頼らないのとおしゃれ心を失わないのとはまた別のことだと思うのですが…ね。

 マル秘覗きビデオ…「この頃小田さんの夢ばかり見るの。ベージュのベッドカバーとか(いきなりベッドの話ですか…。)グリーンのカーテンとか、漫才大全集があるとか…。」

普通、部屋に行くまでもなくこの発言だけで自室を覗き見ていることは分かりそうなものですが…ゲフッ!むしろよくこのストーカー的な発言からロマンスを感じることができるなぁと男の感覚の独特さに引いてしまいました。「ヒロインが捨てたこのビデオを誰かが拾って今度は貴方の部屋をのぞくかも。」とありがちな終わり方で締められていましたがゴミ捨て場に置いてあるビデオを拾って使う人間はいないと逆にツッコミを入れてしまったりもしました。むしろゴミの島の礎の一つになる可能性の方が高いですよ、あのビデオ。

 足元の幸せ…生まれ変わりながらも同じパターンで不幸を繰り返している女性の話。同じように側で生まれ変わり続けている牧師さんにそのことを揶揄されながら「損得計算しないでまっとうに生きていきなさい。」とツッコミを入れられていますが、その前に前世の記憶を覚えている人間が世界に一体何人いるでしょうか?そもそも覚えていないからこそ同じ失敗を繰り返しているのであってその説得の仕方はこの人の心には響かないよ、と牧師さんにツッコミを入れてしまいました。話の展開も主人公自身もこの人生はダメだみたいに諦めていますが、彼女もまだまだ若いんですし仕事するとか色々人生の幅は広げられると思うのですが…。生まれ変わる以前の問題として今これからの人生の方をもうちょっと真面目に考えようよとヒロインと牧師さんの両方にツッコミを入れてしまいました。

 バーゲンで成功するコツ…「どこかで休んでから帰ろうか。二人きりで話したいことがあるんだけど。」

この藤田さんの発言について「休む場所」というのはおそらくラブホのことでしょうし「話」というのは肌と肌の語らいをさすのでしょう。主人公の憧れの人だったらしいですがろくでもないエロ男に見えるのは私だけでしょうか?(そして田村さんとヤッたとたんにヒロインに対する気持ちはあっさり諦めているしね。セックスが全てなのかよ、藤田。)ともあれバーゲンにしても恋愛にしても焦ったら必ず失敗するものだそうです。衝動で行動を決めて相手(品物)をちゃんと見ていないと後々しっぺ返しを食らうという教訓話ですね。

 究極のダイエット…「体が抜けない…!普通、頭が出れば体も出るはずなのに。」

確か人間には「肩幅」というものがあったと思うのですが。最後は大震災で家屋に挟まれ再び出られない目に合い「これで助かったら本気で痩せるか開き直って堂々と食べるかきっぱり決意するわ!」と心を決めていますが、2次災害、余震等々が続いている中、彼女は助かるのか大いに疑問なのですが…ゲフッ!(そもそも家の下敷きになっておきながら痛みに心を奪われない位の軽傷でいたというのが凄い。)ダイエットしなかったことを後悔する前に、ここから無事助かる手段を考えましょうよと現実的にツッコミを入れてしまいました。

 夢の中へ…二股男・昇平が相手に振られたのか自分から嫌気が差してお別れしたのかは不明ですが、だから元彼女の月子さんが代用として再び付き合う必要はない訳で、「あっそう。」とスルーしたのは(頭の中が夢で一杯で現実を見てない上での受け答えだったとはいえ)正しい判断だったと納得してしまいました。話でもあるように人間なかなか思い通りの夢なんて見られないものなんですよね。(これは夢だと分かっている場合でも「怖い夢だから早く覚めて!」と起きてしまったり…ね。)無意識が見せている物でも「思い通り」には中々いかないものが夢というものです。足元がしっかりしている分現実の方が不幸でも安定しているんですよ…ね。

 困った時の神頼み…そうそう、円高の時代だったけ、と小学生時代を懐かしく思い返してしまいました。思うにあの「ソロモンの秘宝」はおしゃべり以外何の力も持たないのでしょうが(最後にニコッとほほ笑んだ辺り魂はあるらしい。)それを心の支えにして頑張るヒロインに「この人は強いなあ。」と感動してしまいました。(弱い女だったら「経済的成功より夫と子供の所に逝く方を選ぶわよ。」とそのまま死んでいる。)あの年でゼロからのスタートはきっついでしょうが(…本当にね。)彼女なら成功は置いといても寿命が尽きるまでたくましく生きていってくれることでしょう。熟年からの再スタートですが、が、頑張って下さい…。

 我慢できない…ヒロインのミエちゃんの字は絶対「見栄ちゃん」と書くんだろうと変に確信しています。何でもかんでも我慢するのがいいとは言いませんが、相手の為に何かしてあげたいという最低限のギブアンドテイクさえできないのなら上手くいかないのは目に見えていますよね。(私の身近にも言い訳ばっかりで結果としては何も相手に返さないダメ友人がいるのでイライラする理由は分かる気がしました。)ありのままの自分を愛してほしい、だから相手に気を使わない…これはある種の真理ですがそれは子供が親に欲求する愛情です。恋人であっても友人であっても相手が一人の人間である以上、一方的に尽くされている状態はいつか破綻を生みます。それがこの場合のように殺人事件に発展するかはケースバイケースとしても心の中で殺す人はたくさんいるでしょうね。相手の真心を利用しておいしい思いをしようという不純な動機は必ず相手に嫌われるという教訓話でした。

 当たるも八卦…職業が何であれお金を貰っている以上はその代金なりの働きをすべきだという当たり前の奉仕精神を彼女は忘れてしまっていますよね。叔母様の占いブックが当たっているかどうかは大いに疑問ですが(当たっていたらもっと儲かっているでしょうし…ゲフッ!)リップサービスを生業にしてる以上はトラブルを上手く回避する口上も学んでおくべきだったな(金を貰っておきながら「あてにしたあんたが悪い。」なんて本音を言ってしまうなんて最悪です。)と勝手な主人公にげんなりしてしまいました。そんな性格だから前の職場でも上手くいかなかったというのが分かってませんね、彼女は。OLの利点はサービスしてもお金がもらえない代わりに粗相をした時、会社の社員教育がなってないと「責任」を会社が被ってくれる所なんですよ。

夜のメルヘン②

2009.07.02
 短編集第2弾です。あの短いページでよくこれだけ話が収められるなあと(感想書きながら数の多さにへとへとになりました…ゲフッ!)感心してしまいました。その割に救われない結末の話が多い(または問題が解決しないまま話が終わっている。)ので妹と「この先放置ですかい!?」と焦った話が多々あります。大人度が上がった分だけ話も幸せから遠ざかってますよね、この文庫…ガフッ!

 そして2人は…宇宙を舞台にした不倫話。宇宙とまでいかなくても単身赴任中に独身と偽って他の女と婚約(確かに結婚の約束をしたがその約束を守るという約束はしていない…ということらしい。最低です。)したり関係を持ったりというのはよくある話のようです。今の女性は充実した恋愛ならそれが結婚につながってなくてもいいという考え方の人が増えており不倫する人も多くなっている(でも不倫は違うと思うよ、皆!)そうですが不倫するにもルールがある(特に家族の話は禁句。不満は「もしや自分に正妻のチャンスが巡ってくるかも。」という期待を与え、普通の出来事は「そんなに嬉しそうに話さないでよ!」と愛人関係の悪化に繋がる。どっちにしても話すべきじゃないってことだね。)のにこの男は早速ルール破りをしています。(よりによって子供を言い訳にしないで下さい。勝手に愛人とのだしに使われている子供も哀れです。)事故で2人だけ助かったという異常な状況の中(何故ピンポイントで彼らだけ大した怪我もなく助かったんだ!?どうして他の人が全員都合よく死んでるの!?)女の方もようやく彼の本性に気づいているので助かった後が地獄でしょうね。(そもそも彼以外全員死んでるその状況からして誤解を生むだろう。)全ては自業自得です。不倫なんかするもんじゃないってことですね。

 私の本心…お世辞の大切さを説いている話。展開がコミカルでわりかし気に入ってます。本音ばかりぶつけて「私は本当の事を言っているだけなのに。」と言って周り中から嫌われた人間を知っているので、結構感慨深かったりしました。人間ズケズケ言うばかりじゃなく時には自分が引いたりほめたりすることが大切ですよね。人と人が付き合っていくにはリップサービスという名の潤滑油が必要なんです。…なかなかそれが難しかったりするんですけどね。

 糸通し…糸が針にうまく入らない、眼をこらすと頭が痛くなってくる…というのを読んで思わず更年期障害かと思ってしまいました。(違うだろ!)不器用な私なんかは小学生の頃から糸通しを愛用している(というほど針仕事もしていないのですが。)のでその年になるまで使わずにいられた奥さんには思わず尊敬してしまいました。(…ていうか家にミシンは無いのでしょうか?)結局時既に遅しで旦那さんは他の女の元に走ってしまったのに奥さん自身はそんなことも知らずに幸せだと思い込んでいるので妹と共に「この先どうなるのー!?」と大慌てをした覚えがあります。真実を奥様が知った時の荒れようはきっとすごいことになるのでしょうね…ゲフッ!

 お見合いクイーン…何かの本にお見合いというのはよっぽどの不満が無い限り1回目の相手に決めておいた方がいいと書いてあったのを思い出しました。回数を重ねるごとに「もっと条件のいい相手」を望むようになり(いつの間にやら合格点がどんどん上がっていく。恋愛的な付き合いを望んでない分妥協が無く、また「相手」が次々と見つかりそうなシステムから「ハイ、次。」と切り捨てるのも早い。)気がついたら誰にも気にとめてもらえないくらい年を取ってしまって結婚不可能という例がよくあるそうです。(まさにこの話ではないですか。)世の中大なり小なり問題を抱えていない夫婦はいないという現実がこの手の人間には納得できないようです。人生諦めが肝心とも言いますがこの2人はこうしてずっと独身のまま理想の相手を求めて生きて行ってしまいそうですね…ゴフッ!

 光る竹…光る竹に願いをかけたおかげで吾郎が戻ってきたのに偶然の一致の不思議さに疑問を持ってしまったが最後、彼は消えてしまった…とありましたが彼女以外の村人たちは突然姿を消した吾郎に誰も騒がなかったのでしょうか?(あるいは蒸発したと解釈して触れないようにしているのだろうか…ガフッ!)とそっちの方が気になってしまいました。最後は再び光る竹を見つけましたがその竹も前回と同じく願いをかなえてくれる竹かどうかは謎です。どっちにせよ疑ったとたんに吾郎が消えるのなら何度光る竹を切り倒しても同じ結果になってしまうんじゃないでしょうか?(むしろ竹の存在意味が無い気がする。)と少し考えてしまった私です。竹を当てにせずに自分で努力する方が確実な結果が出るという教訓話なんでしょうね、これは。

 ドアを開けたら…ドアを開けたら妄想が!という失恋話。「振られたんじゃなく自分勝手な考え方が嫌われたんだ。」と謙虚に考えているめぐみさんでしたが、彼氏の方にしたって彼女(めぐみさん)がいながら他の女と婚約してるしむしろこの男の方がよほど自分勝手ではないかとツッコミを入れてしまいました。(この男と別れたのはある意味正解である。)いくら幻覚にしたってあんなコミカルにはっきり出るのは普通あり得ないと思うのですがともかく何も見えなくなって一安心ですね、めぐみさん。

 山の彼方に…最後の最後におじいちゃんの霊に迎えに来てもらったおばあちゃんの話。(迎えには来ないで長生きしてもらう方がいいと思うのですが…ゲフッ!)感動的な話としてナムコ・ナ○ジャタウンの「実録・あなたの恐怖体験」で入選しそうな話です。長年待ち続けて死へのお迎えだけで満足できるおばあちゃんは正直人間のできた人ですよね。おじいちゃんも最期まで焦らさずにお彼岸ごとなどに会いに来てあげれば良かったのにとちょっと思ってしまいました。

 とても退屈な日曜の午後…男と別れていたずら電話にハマった女の話。鼻をつまんだだけで正体がバレない声を出せるのは凄いですが(何故、皆、気付かないんだろう?)男に麻薬所持の疑いで逮捕状が出てるだの、何の関係もない上司の愛人の振りをして「子供が出来たんです。」と嫌がらせをしたりなどなど、女の方だって性格悪いなあ(だから振られちゃうんだよ。)と冷静にツッコミを入れたりもしてしまいました。でもね、恋愛関係のもつれで異常殺人が多発している現在、いたずら電話くらいならまだ可愛いとも思うの…ゲフッ!

 天国への道part1…死んだ人は皆雲の上で家族を待っているというファンタジー話…なのに父親の不倫を知ったり(母親は子供の為にと最後まで事実を隠蔽していた。)挙句その父は相手の女性を追いかけて転生してしまったり(「娘に会ったしもういいや。」と奥様に何の感慨もない辺りが…哀れ。)その後ご主人を迎えに行ったところ愛人と再婚されていたり…ファンタジーなのにやたらと生々しい話に仕上がっています、ゴフッ!死んだ後に夢も希望もなくなりそうな話です…ガフッ!

 天国への道part2…前話と違い病弱な少女が骨になった後、魂(意識)だけで家族の元に帰ってくるほんのり優しい話です。骨のエキスが染み出したことで周り中全ての物に少女の意識が沁み渡っている…という設定でこの話を読んだ後は好き嫌いをすることにもれなく罪悪感が付いてきます。(それでもホワイトアスパラは食べれなかった私でした…ゲフッ!)最後は姉の子供として生まれ変わり再び家族の1員として戻ってきた…という心温まる話で読んでて幸せな気持ちになれました。今度こそ幸せな人生を歩んでください、お嬢さん。

 因果はめぐる…長電話していたせいで後ろの人が走りだし、豆腐持っていたおばちゃんにぶつかり、ボロボロになった豆腐料理を出された旦那さんは愛人に将来の約束を取り付け、したたかな愛人はデートに誘った独身男を振り、やけでその辺の女と関係した独身男はその恋人(ヤクザ系)に刺され、ヤクザ男は隠れる為に最初の長電話女の家に逃げ込んだ…本来こういう「自業自得が巡ってくる」系の話は好きなのですが因果関係が強引過ぎてちょっと共感できなかった話です。刃物突き付けられるほど酷いことはしてませんし、「結果を引き起こす」話ならせめて登場人物は主人公の身近な人で固めてほしかったです…ゲフッ!

 意地…嫁と姑が夫(息子)を巡ってどれだけ尽くせるかバトルする話。当の旦那は他の女と蒸発した挙句に会社の金を使いこみその責任は家族に押し付けるというダメ男なのでそこまで尽くす義理も義務もないような気がするのですが…ゴフッ!金の切れ目(奴は会社を辞めた無職男です。)が縁の切れ目と女に振られホームレス状態になってから電話する勝手ぶりも拍車をかけてどうにも好きになれなかった男です。タイミング良く肺炎で入院し繋がらなかったのは神の采配でしょうね。この後旅行も計画中のようですしそのまま息子が諦めるまで実家を離れて下さい。

 晴れた日空を眺めれば…他の女の元に出て行った夫を鳥に八つ当たりしながらひたすら待ち続ける女の話。(鳥が逃げるわけです。)結局夫は帰ってきたものの長い間会っていなかったせいで(イメージがその間にどんどん美化されてしまい)違和感から締め出しをしてしまいました。今度はルイちゃん(鳥)を待ち続ける生活を始めましたがいつパンを投げつけられるか分からない生活に戻ってくるとは(余程の飢えを経験しない限り)ないと思うのでその間に夫はまた愛想を尽かしてどこかに行ってしまうでしょうね。こうして彼女は永遠に誰かを待ち続ける生活を繰り返すような気がしてちょっとゾッとしてしまった話です…ガフッ!

 決断力の無い女…二人の男から好かれて結論を出せずに「自分の気持ちを見つめ直してみたいの。」と旅に出た女の話。(いっそ二人に決闘でもさせれば良かったのに。)10年単位で旅から帰ってきたものの(旅の期間、長すぎです!)出した結論は法律を変えて何人とでも結婚できるようにする(結局選びきれないのかい!)というもので誰も共感してくれませんでした。(当たり前です。)当の二人はその頃既に別の女性と結婚しているし電波に生きている主人公が逆に哀れにも思えてきました…。こうして彼女は誰とも結婚できないまま一生を終えてしまうんでしょうね…ゲフッ!

 輪廻転生の記憶…自国人であっても20年も言葉を使わなければその国の言葉を忘れる(なので路上生活者のオッサンの中には獣のうめき声しか出せない人も多くいるんだとか。)そうなのでその時の情景だけでなく言葉までしっかり覚えている教授は確かに天才とは言えるんでしょうね。(よくあそこまでピンポイントに歴史の中心を覗ける人物にばかり生まれ変われるものだとも感心してしまいますが。)とはいえ「バカと天才は紙一重」という言葉の通りにそんな扱いを受けています。言葉だけは完璧なのだから教授を辞めて通訳をやった方がいいような気もするんですけど…ね。

 幸せにしてあげたい…いかにもモテなそうなデブ・根暗・オタクと3拍子そろったあの男にヒロインが振られたのが意外でした。(もしかして秋葉系特有の2次元の少女にしか恋はできないというやつだろうか…ゲフッ!)でも「幸せにしてあげたい。」という同情から出た思いはえてして上手くいかないもの(相手が一般的に見て「マトモ」になるようにと自分の型に押し込んでいるだけなので。そこに相手の意思がないのです。)なので付き合わなかったのは正解ではあるでしょうね。(また同情から相手を選んでいるので「普通」よりはるかに格下のどうしようもない人間ばかり選んでしまう事が多い。)思い上がっていたと思うのならその点をよく考えて対等な付き合いができる相手を選んだ方がいいと思いますよ?

 チャンスは1度だけ…「世界の美女」という本に何読んでるの!と旦那さんにツッコミを入れてしまいました。離婚したお母様方の中に旦那の悪口(悪い点)ばかり言う人がいますが、貴女がそういう性格だから旦那さんが嫌になってしまったんですよ(浮気を責めるのは簡単ですが貴女が旦那さんを引き付けるような環境設定をしなかったから他の女に走ってしまったというのもありますよ?)とツッコミを入れたくなる人も大勢いました。彼女もその口でしょうね。被害者顔するのは簡単ですがそれでは問題は何も解決しないですし、ましてや殺人計画立てるなんて論外(自分には保険金をもらう権利がある…ってどんな権利ですか、それは!)だと思うのでお互いに自分を見つめ直してくれて安心しました。金を欲求せずに離婚するのは美しいと思いますよ。

 ジェラシー…嫉妬から相手と「絶対別れない!」と意地を張っていたものの相手が戻ってきたとたん冷めてしまった…不倫でよくあるパターンです。(奥さんと別れてもらったとたん、こんなくたびれたオヤジを貰ってもどうしようもないという現実に気づいてしまった。)とはえこの話では「家は私が頂くわ。」と奥様から離婚を言い渡されたり、「別れ話のついでに何かくれるのかと思ってきただけよ。」とお別れしたり女達が男の都合のいい女と化さないでしっかり自分の道を歩んでいる所が気に入りました。(たくましいです。)不倫だろうと二股だろうとせめて別れ際は潔くしてれば男達も人生のレールを踏み外さなくてもよかったのにね…ゲフッ!

 エステティック・ファンタジー…エステづくめで綺麗になる前に、美人である以上に性格がいいと評判の彼女に「私と彼はずっと前から付き合っているの。お願いだから後から割って入るようなことはしないで。」と男の正体をばらす方が先でしたね。FF4の主人公達を見た時も思いましたが目の前で見せつけるのはやめてやれよ!と大人としてはあまりに節操のない付き合い方にツッコミを入れてしまいました。(公衆の面前でベタベタするよりある日突然婚約指輪をつけてくる方が100倍カッコイイではないですか。)「どうすれば自分が満足するかそれしか君は考えていない。」と男は言っていましたが二股かけていたお前こそその言葉が当てはまるだろとあまりの身勝手ぶりに嫌悪感を抱いてしまいました。犠牲にした費用は高かったですがあんな男は別れて正解だと思いますよ。

開かれぬ鍵 抜かれぬ剣

2009.07.01
 足のない獅子シリーズ9作目です。この話で一応シリーズ完結(従騎士時代終了)で、作者も最後まで取っておいたネタも書いてしまったし、これで終わりかと思いきや次回からは「鍵と剣」シリーズ(仮名)として一回り成長した(「してるといいな…。」by作者)騎士時代の彼らの話が始まる辺り、どんだけこのシリーズの人気が高かったのかが伺えます。ちなみにこの頃作者は大ファンだったオーストリアの某サッカー選手(「麦の穂を胸に抱き」の脛毛の濃い人か…。)の上半身ヌードカレンダーを入手し、一体何の宣伝カレンダーかと思ったら電力会社だった(日本に宣伝打って何の得があるの!?)という驚きのオチも拝め後書きで思わず笑わせて貰ったものでした。

 リチャード・フィッツロイ…「たとえ何があろうと俺の忠誠はお前のものだ。」

男(ギル)相手にそんなこと言っちゃうから腐女子の皆さんが喜んじゃうんだよ、とツッコミを入れると同時に渋々ながらもジェインにキスしていたり好きでもない相手(もとい本気で恋してもいない相手)でも義理で手を出して「あげて」いるという彼のスタイルに再度萎えてしまったものでした。(美形優男2人という状況が揃っていても申し訳ないがこの男には萌えられない…私的に。)所詮当主の息子でなく甥っ子で跡取りにもなれない彼はこれからどうするのか、という将来への不安も半分だけ血の繋がったお兄ちゃん(国王の従兄弟)が荘園をプレゼントしてくれて悠々自適(少なくとも住居にも当面の飢えにも困らない)の生活を手に入れていますし(普通は「存在そのものが邪魔だから。」と殺されてもおかしくはないのに。)周りの皆からも愛されて策略通りに事も進んで(おかげでベインズは国外追放です。)思えば幸せな男だよなと納得もしてしまった主人公でした…。

 ティモシー…ティモシー「両親にも妹にも苦労のかけ通しでした。今更どうしようもありませんが、それを償う為にも、妹の子供のトビーは我が手元に引き取りたいと思っております。」
トビー「あの、俺は…。」
ギル「いずれ、お前は従者になるかもしれない。だがその先は?うちの財政状態でお前を一人前の騎士にしてやれるかどうかはかなり疑問だ。裕福な伯父さんの元で命の危険も肉体労働も無い書記の仕事を継いだ方が良いかもしれないとは思わないか?」

結局「書記ではなく騎士になりたいから」と主人公2人の徐任式の光景に感動したせいもあって、今までと何も変わらずにシェフィールドに残る道を選んだトビー。(だから↑でギルが言っている通りここに留まった所で君が騎士になれる訳でもないんだってば!)まとまった金と地位を用意して家なき子よろしく迎えに来たのに散々待ちぼうけを食らった挙句に断りの返事を貰う事になったトビーの伯父さんがかなり哀れに思えた結末でした…ゲフッ!最もそれなりの金と地位があるのならこれから妻を迎えることもできるでしょうし、わざわざ妹の子供を引き取らなくてもいくらでも家族は作れるでしょうが…ゴフッ!

 サー・パトリック…「バーニーは私の館の召使いだった男だ。そして娘の腹の子の父親だ。だが奴の狙いは娘ではなく金だった。娘との結婚を私がはねつけると奴はその晩のうちに金を盗んで消えた。奴がこれから先ものうのうと生きていくことなど許せるはずはない。娘が産む子供の父親はあんな男であってはならないのだ。」

「娘は奴を愛しているのだと信じ込まされていた」(過去形)とある辺り「捨てられた」ことで娘の目も覚めたのだろうと思われます。復讐を胸に追いかけてみたら従者の一人は病気になるわ、もう一人の従者は当人に刺殺されるわ散々な目に遭っているお父さん。ごうつくばりなバーニーがローマ教皇にお会いするウェイド(の旅行費)を狙っていつまでもグズグズとシェフィールドに留まっていたから良かったものの、普通だったら追手がかかったことでサッサと逃げられているはずで、剣の実力(若さ)でかなわなかったのに横で暴走した馬に蹴られてバーニーが死んでしまった結末には、これぞまさしく神のご加護(「神は御覧になっていて下さった…。」byパトリック)と御業(という名のご都合の良い展開)に感動すらしてしまったものでした…ゲフッ!

 コーンウォール伯エドマンド…「リチャード、沈黙を守れ。この鍵はその戒めだ。王家に波紋を投げかけぬ限り私はお前の身を守る。だが、もしお前が鍵を開けてしまうような事があれば、私はこの剣を抜かざるを得ない。」

とはいえタイトル(「開かれぬ鍵、抜かれぬ剣」)にもある通りリチャードにはその鍵を開く気は無いしエドマンドの剣だって抜かれることは無い(だって彼には元々「王家に連なりたい」という野望そのものが無いんだもん。)という、なあなあの結果で終わるのでした…。挙句に自分を狙った暗殺者を派遣したのが国王陛下の妻だったという「借り」を盾に、この異母弟リチャードにストックスブリッジの荘園を与えてしまっっているエドマンド。(「前国王の王弟の庶子である俺を見逃す事自体が危険な選択なのに、その上こんな勝手な真似をしていいんですか!?」byリチャード)それはもう明らかに国王夫妻に対する嫌がらせだなと納得すると同時に、弟とはいえ父親が自分達を裏切って不倫して作った子供であるリチャードに対する寛大さに度肝を抜かれたものでした…ゲフッ!(普通はその出自だけでも愛せないだろ、この弟君を…。)
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