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聖ライセンス⑧~⑩

2009.09.30
 結果として最も長く続いたこの連載を皮切りに飯田晴子先生は漫画稼業はスランプに陥ってしまい(細々と仕事はしていたらしいですが)かつては色々な出版社に自分の作品を持ちこんでは仕事を取っていた行動力以前に、仕事が楽しくなくなってしまい(辛くても楽しい→ストレス→義務にしかならなくなった)前線から身を引かれたと文庫版後書きに書かれていました。代表作であるこの作品も、もっと逆ハーレム度(恋愛度)を高くしたり当時の読者のニーズ(90年代の「ふしぎ遊戯」に代表される恋愛ブーム)に迎合していたら、あるいは連載ももう少し続いたかもしれない(最も連載が続いた所で作者には「辛い義務でこなす仕事」でしかなくなっているの…でしょうが…。)等々ちょっと考えてしまったものでした。

 フンリ王子…「くそっ。何なんだよ。俺が好きになる女はいつもいつも…。」

女の子の会話の中には「アタシ●●様にだったら無理やりにでも押し倒されてみたい!」というのもありますが、それは「内心憎からず思っているカッコイイ男の人に強引にワイルドに迫られてみたい」という意味で「何とも思っていない嫌いな男にレイプされたい」という意味では全く無く身勝手な欲望の為に娘娘を犯した様には誰も共感しないでしょうね。(むしろそんな事をした翌日に平然とコーニーとラブラブしている辺りは神経を疑った。)この一夜の為に彼はどんなに国を豊かにして栄華を極めても、想い人には振り向いて貰えない運命を背負う事になった訳ですが、それも惚れた女とは幸せになれない彼が可哀想でなく彼に好かれたが為に早世する運命を辿る香妃以下周りの女性達こそが可哀想な気がして同情は…できませんでした。業が不幸を呼ぶというのならアンタのそれはまさしく自業自得だろ、というツッコミしか湧かずに女としてどうにも好きになれなかったユニコーンです…ゲフッ!

 周娘娘…高普「まさかこんな形で魔がさしてしまうなんて!」

娘娘の方からアプローチされるままに「浮気」をしたのなら、その後どんなにドロドロした修羅場に突入しようが、それは「魔がさした」と言えると思います。しかし嫌がる相手を無理矢理に誘拐し、惚れた男がいるのを知りながら支配欲のままに強姦するのはただの犯罪で魔が差した(合意の上でちょっと遊んじゃった。)などという可愛らしい言葉で済む展開ではない(魔がさしたら男は皆、強姦に走るのかよ!)とフンリ王子のそっくりさんにまで唾を吐く彼女に頷いてしまったものでした。(同じ顔の男から媚を売られても、もう嫌悪感しか感じないだろう…。)一応、フンリも(本命はコーニーに設定変更されても)わざわざ城下に抜け出してまで会いに行ったり、キスしたり、元々は彼女に対して気があったようですが、現在は二股になり果ててますし、恋していれば何しても良い訳ではないでしょうし、娘娘が「想いをかけてくれている男(フンリ)を全く理解せず無神経な発言で傷つける女」であってもレイプされるほど酷い事をしたようには見えず(ていうか他に本命がいながらレイプに走る男という時点で…。)ワガママ娘ではあっても可哀想な子だなと同情してしまいました。もしかしたら呪いの元に一番運命を狂わされたのは彼女だったのかもしれません…。

 フヘン公爵…「娘娘…縁を約束していた女だった…。」

本来サッサと(彼女を見捨てて)国から逃げるべき時に、女の為に残った辺り彼の娘娘への想いは本物だったのでしょうが、それなら尚更に彼女を寝取られた展開は恨みを買うだろう(そりゃ呪いもパワーアップするわ。)と終盤、乙女つきのフンリでさえかなり疲弊するほどの怨恨に成長した展開に納得してしまったものでした。フンリに対しては「同じように罪を犯し、それさえも気づかぬほどのありふれた同じ人間」と評していますが一般的大多数の人間とレイプ犯は違うから!と思わずツッコミを入れてしまったものです。呪いをかけたが為に彼女は当の本人に犯され(その内容にしても、レディ達皆がキャアキャア言っている「憧れの君」だったら「ちょっと、聞いたわよ、娘娘ちゃん!●●様に乱暴(に)されたんですって!?」とある種のステータスになる(かもしれない)が同情こそすれ誰一人として羨ましがらない「モテナイ君」がお相手という辺りが悲しみに華を沿えている…ゲフッ!)結局復讐も果たせていない(彼女、犯され損じゃん…。)様には、いくら「不幸になるのが呪いの代償」とはいえさすがに同情してしまいました。代償の分だけ何か得してれば良かったんですけどね…。

 ステュアート・R・メイシェル…ステュー「風は一向に春の予感など感じさせなくて、俺は赤いコマドリ(コーニー)が優しい季節を運んでくるのを待っているのに…。」
コーニー「ステュアート、たとえ貴方が結婚してお互い会えなくなってしまっても、貴方が違う姿形をしていても私の気持ちは変わりありません。それが私の愛です。」
ステュー「俺が他の女と結婚しようが、イケメンだろうが興味ナシって事ですか、それは…。」

どういう意味かというと、そういう意味でしかないだろうなあ…と彼に抱き寄せられても「じゃ、ロビン様の所に行ってくるから。」と全然トキメキを感じていない彼女の姿に溜め息が出てしまったものです。(「負けたよ、俺ほどの男を振るなんて完敗だ…。」byステュー)とはいえコーニーに振られた男の中では最もダメージの少ない断られ方をされたケース(何故ならばヘンリーや高星のように周り中にバレてはいないから)であり名誉だけは守られている分、救いはあるかと思ってはしまいました。(結局始めからコーニー×ロビン様の出来レースだもんな、この話…。)終盤の後日談紹介では相棒も殺され、大統領の護衛中に背中を切られて(混乱を避ける為に助けを呼ぶこともせず)28歳の若さで死んだそうで、儚い最後には思わず涙してしまった当て馬役でした…。死後、体が硬直せずにいつまで経っても腐敗しなかったのを見て神父が驚いたという逸話から「彼は特別な人間→何故ならばユニコーンだから」という設定が生まれたんでしょうね。

 アルフレイン・ホーク…アル「アイロー、俺の事は忘れろ。お前の事は仕事仲間としか思えん…。」
女「ちょっと、何てこと言うの!アル!あんたって男はどうしてアイローの気持ちを分かってやらないの!?」
男「お前、いい加減アイローを好いてやりな。お前の為にいつも必死なんだぞ。」

生れながらの女嫌い(そして誰もそれを分かってくれず勝手にアイローとの縁談まで決められた。)が昂じて村八分にまでなっていた彼。コーニーと結ばれなかったユニコーンの中では彼女との関わりを通して女嫌いが治った(無事にアイローと結婚できた)おかげで唯一「幸せになれたユニコーン」とも言えるでしょうね。(愛し愛されて結婚したのはアルフレインとロビンだけ。他のユニコーンは結婚しても上手くいかなかったり(フンリ)、仕事に生きて一人寂しく死んで行ったり(ヘンリー、ステュー、クリス)、逆に女に追い回され過ぎて嫌気がさしたり(スワン)、ロクな人生を送っていない。)カラークリアしたのに何で皆こんなに不幸になってるんだと後日談特集には逆に愕然としたものでした…。(むしろ描かない方が良かったのでは…?)

 スワン・ジェンピット…「女はもう、こりごりだ。」

この人もこの人でコーニーに気が有り、それでもプロポーズする(嫁さんを迎える)にはまず貧乏生活を脱して生活の地盤を作らないとと画家として頑張った結果、成功したその時にはもうニートのロビンと結婚されていたという痛い現実が可哀想でした…ゲフッ!まあ告白する前に終わっていた(多分、告白した所でコーニー×ロビンの出来レースは変わらない)辺り無駄に傷つかなくて済んで良かったというべきでしょうが、惜しむらくはその後その美しい顔のせいでどこに行っても女から追いかけ回されて「他の女性と幸せになる」どころか「女を見るのも嫌になった」(多分今でも好きな「女」はコーニー1人だけ)という所でしょうか。幸せになる事も無く↑のセリフを残して20歳の若さで死んだというのは、あまりにあんまりで非難が集中したのにも納得がいってしまったものでした…。

 ロビン・レグリシアス(ジョバンニ・バティスタ・シドッティ)…女神「働かない男がここにいます。彼の為に言葉をかけるとしたらお前はどのように話しかけますか?」
クリス「私だったら『良いんじゃないか』と言う…。出来ない人間は出来ないんですから無理を言うのは可哀想です。他人が注意すれば言い訳を考えるだけでしょうし、そっとしときますね。」

ニートの話かよ!(働かなくてもいいじゃないかって、良くねえよ!)とツッコミを入れると同時に、だから女神様は数多の特権を与えた弟がニートをしていても放置していたのか(絵描きとして成功したスワン、サーカスを退団しても焼き物屋を始めたクリス、競走馬を育てているアルフレインといい、他のユニコーン達は皆、地上の世界で色々な事をして働いている。対してロビン様はず~っと天空の宮殿でゴロゴロしているだけである。)と納得してしまったものでした…ゲフッ!最終巻にしてようやく脱・ニートに到った(コーニーと結婚し婿養子という名の「永久就職」を果たした。)訳ですが別にあの村で重労働をしている様子も無いし、志半ばにして獄死した前世はともかく、今世は幸せな人生送ってるよな~(ニートの果てに14歳の若さ溢れるカワイ子ちゃんを捕まえて、数多いる他の男を押しのけて結婚→己の力で家を建てる事もせず婿養子って…。)と多少白い目で見てもしまった男でした…ゴフッ!
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聖ライセンス⑤~⑦

2009.09.29
 この巻から予告編がついて図書館でWユニコーンが破り取った本のページはどこに運ばれたのか(ヘンリーの所でした。それまでもステューの眼鏡を勝手に持って行ったりフラフラあちこちの時代を出歩く常習犯(「時をかける」といえば聞こえはいいけれど…。)だったようです。)次の巻の内容が多少分かるようになっています。映画みたいで演出は素敵だけれど(アニメという動画だったら映えたんだろうけど)紙の上でやるには正直微妙な手法だな(ミニストーリーかと思いきや話がブツブツ切れて分かり辛い。)とも感じてしまったものでした…。飯田先生って本当に「読者に分かりやすく描く」という漫画家として必須の特性に欠けていたよなあと実感もしてしまった手法です…。

 カグニャン…「説教しに来るなら平等な立場で話通せよな。パティの話だけ聞いて彼女の味方だけして偏っているとは思わない訳?」

ケンカの原因は何か知りませんが経緯を見ていると本人のいない所で人を悪し様に言って(「あいつ、よくも人のいない所で陰口を!」byカグニャン。具体的にコーニーに何を言ったのかは知らなくても会った事もない人間が思わず仲裁に来てしまうほど印象の悪い事を言いふらしている事は分かったのでしょう。)トラブルは出来るだけ他人のいない場所で(隠蔽しながら)解決しようとしている辺りパティの方が卑怯ではあるなと感じたものでした。(よしみつさんと同じじゃねえか。)カグニャンは聖なる乙女に対してそうでない自分に劣等感を持っているようですが、だからと言って乙女全員に対して無条件に攻撃的という訳でもない(事実コーニーに対しては布の色を紹介したり「言い訳がましくなくて素直だねえ」と人柄を褒めたり、とても感じが良い。)ですし人間性(性格)だけを見て考えると、どうにもパティの方に問題があったように思えてなりません。(「てっきりパティが酷い事されたと思ったけど…パティ、何したのかな?」と友人(味方)であるはずのコーニーまで違和感を感じている。)…で、そもそものケンカの原因って一体何だったのでしょうね?(「ケンカの内容なんてもうどうでもいいよ!」って言っても…じゃあ今何の為に争っているんですか、あなた達…ゲフッ!)

 パトリシア・アイスタン(パティ)…「私の話を卑屈に受け止めて傷ついたから怒るって一体どういう了見なの?」

傷ついたのは図星を指されたからで原因はお前にある、実は聖なる乙女になる事に憧れているのに努力もせずにいい事ばかり期待しているだけというのは甘い…というのは確かに「本当の事」で正論ではあるのですがそういうお前は言うほどの人間かとカグニャンが反感を持つのも分かる気はしました。どちらも相手を思いやる気はさらさら無く自分の事ばかり考えているという点においては確かにレベルの程度が同じ人間だな(フィーリングが合わないんじゃなくて逆に合い過ぎるパターン。要するに同族嫌悪なのでしょう。)とメグの冷静なツッコミにも納得したものです。しかし話の終わりに置いて「カグニャンが酷い子だと思わせるように話した」事も「コーニーという第三者から責められる事も期待していた」(全部自覚した上でやった計画的犯行だった)事も明らかになり性格は確かに悪いなとも改めて思ってしまいました。こんなブラックな性格の人間が「聖なる乙女」でいいのかと思わずツッコミも入れてしまったものです…ゲフッ!

 ロビン・レグリシアス…ロビン「恋心って冷めるからね。他の男(ユニコーン)の相談に乗るのもいいよ。」
イッチュン「本気で惚れて手が出せなくなったって認めればいいっチュ。」
ロビン「うるさいよ!お前!」

僕ほどの男を振るような女にはもう興味が冷めた…という言い訳がましい拗ねたプライドの高さは健在なものの(振られた時の正しい「すっぱいブドウ」のやり方ではあるものの)乙女を下僕のようにかしずかせるのではなく相手が何をしようとしているのか見るようになった(「自分の思い通りに振る舞ってくれないお前が悪いんだ!」とヒステリーを起こして喚くのではなく相手の意志を尊重しようとしている)辺りだいぶ人当たりが柔らかくなったというか多少は成長したようです。(実年齢を考えるともっと早くにそういう成長をすべきではあったのですが…ゲフッ!)後は「やるべきことさえ見つけられれば自分は誰よりも男らしく生きている。」(誰よりも女々しい性格のあなたが何言ってるんですか…ゴフッ!)という根拠の無い自信からの離脱が彼のテーマですかね…?満たされて何不自由の無い生活をしているのに幸せではない彼の姿に、生まれついての不労所得者が有り余る時間があり過ぎてストレスを感じているという住む世界の違う人間の悩み(働けばいいだろ。)を思い出してリアリティも感じたものでした。引きこもりの人間が徐々に自立していくようにロビン様も成長していってくれることを願っています。(引きこもりは自立しない事の方が多いけどね…ガフッ!)

 マーガレット・ハワード(メグ)…「嫌だ嫌だと言って許される人間は王様だけよ!」

だけどそんな愚かな行為を繰り返しているといつか皆に見捨てられてツケを払わされるその時に真っ先に首を斬られる(「可哀想でワガママで愚かな王様よ!」)と、吐き気をこらえてまで一生懸命通ってくれたメグの説得にヘンリーもワガママが通らないとヒステリーを起こすだけではなく他人の意見をききいれたり果ては他人(コーニー)の相談に乗ったりまでするほど成長したようです。(なかなか人の事にも気を配るようになって自己中心的思考が改まってきたじゃないですか。)が、厳しい母親みたいにいけない所を叱ってくれるメグは信頼は出来てもコーニーのように「癒し」にはならなかったようで2年もかかってやっと信頼関係を築いたのにあっさりそれ以上の相手(初恋の相手)になってしまったコーニーを目の前で見る羽目になったのは多少同情してしまいました。(まあ「厳格な母親」相手に恋は出来ないわな…ゲフッ!)結果、最初の一年目に「見かけは関係ないから会いに行く」という言葉を本気で受け止めたのにすっぽかされ、次の2年目には「自分のクリスタルキーがどれか分からなきゃ会いようがないわな。うん、メグも俺に会おうとはしてくれても無理があったんだよ。(超好意的ご都合主義的解釈)」とキーホルダーにして渡したのにず~っと待ちぼうけを喰らっている緑のユニコーンが哀れでした。悪気の無い他人の行動で自分が傷ついているその時、自分も無自覚に他の人を傷つけていた、人間関係とはこんなものかもしれません…ゴフッ!

 チェルシスティーナ・ハワード…チェルシー「私があなたを嫌う理由はご自分の胸に聞いてみたら?メグのユニコーン、横取りしておいて。」
コーニー「横取りなんて言われても知らなかったのよ!知らないっていうか考えてなかったっていうか…。」

メグの髪が短くなっていた事もあって、そこまで辛い思いをするほどの大失恋だったのかと誤解した姉思いのチェルシーの差別には拍車がかかった様子です。(メグもメグで髪を切ってから2年も経つんだから元通りに伸ばせば良かったのに。)とはいえチェルシーが鏡の廊下に入り込んだ時に助けには行きながら「私だったら頑張れば出れるかも。(かつて自力で出た事のある「経験者」だし。)でもあの子にはきっとムリ。」と心の中では見下していたり、コーネリアの方も大概無神経だったよなあ~と納得はしてしまったものでした。(「あんな子、主人公になっちゃいけないわ!」byチェルシー)結果、ユニ宮で自分の聖ライセンス(正式な資格)を手に入れるも、己の気持ちも管理できない幼い自分は姉をフォロー出来る立場でも無かったと地上に戻ることを決めたご様子です…。

 ホスティーナ・ハワード…ホー「私、本気なのよ。だって私に残された時間は少し…。ううん、あんまり幸せでドキドキしてるのね。こんな大ラッキーを手離したくない。」

初日で光らせたコーニー(来て数時間)よりも早い新記録(タイムゼロ)を樹立し、その後わずか一週間で次の試験をパスした優秀さに、何気に今まで自分が一番の優等生だった事に自負を持っていたのかコーニーも「おめでとう」の一言すら言えないほどウジウジ悩んでいる様子でした。(心の狭い女だな…。)迎えに来たユニコーンにまで「どうぞ私の分まで生きて下さい。」と心の中で語りかけている辺り、もうすぐ死ぬ運命(それを悟っているから、こんなに優秀)なのは始めから決まっていたようで、それで何が大ラッキーになるんだ(別に7色の試練をクリアしたからって病気が治る訳でもないのに。)と疑問に思ったものですが家で見舞客も無く寂しく死んでいく所を7人のユニコーン(ボーイフレンド)と乙女仲間(女友達)という友達を作る機会に恵まれたのは一応、幸運とは言えるかな…と多少、女神様の加護を感じたものでした…ゲフッ!

 ヘンリー・アン・ルーベント…「仕方ないで済むのか?弱い者は死ねと?なのに責任は僕に…?」

自治領の農民の死さえ「栄養失調の果ての飢死」ではなく「サボった末の自滅」(畑が彼らのベッドなので背中が土まみれ→農民たちは監督がいない所では畑に寝転がって遊んでいる。」)だと誤魔化している狡賢く陰険で欲深い親族の中に信頼できる人間はおらず、1人で家柄と責任に締めつけられている彼の姿に、ヘルダー男爵は他のユニコーン(生贄に過ぎない人間)と違って親近感を感じたのでしょうね。結果としての「自分の為に他のユニコーンを犠牲にした」という内容は同じでしたが2人の大きな違いは男爵はそれが悪い事だと自覚しながらユニコーン狩りをやり続け女神様を試している所でしょうね。何も知らず、知ってなおそうする気にはなれない辺りヘンリーの方がまだ純粋だったんだろうな、と似た者同士でありながら、その後の運命の違いに納得したものでした。

 セルラ・ドレスデン・フォン・ヘルダー男爵…「そうか、やっと女神は私を罰したのか…。今、一瞬にして地上に戻されたのは天空からの追放だったのか。」

義父からの虐待も経てずっと女神やユニコーンである自分自身を否定してきた彼でしたが(で「もう一人の自分」とも言えるヘンリーを撃ってしまった為に決定的に「自分を殺してしまった」事になっちゃったのだろう。)ユニコーンでない「ただの人間」になってしまえば義父に捧げた友達(という名の生贄)以下数多の男達の生き血を啜ってきたジル・ド・レ公並の大量殺人者だという現実の元で、馬(ユニコーン)に変身できないだけに逃げようもなくなったという痛い展開が待っていました。今まではどんなに怪しくても馬に変身できる事で捕まる事は無かったのだし(殺人犯を追う人間はいても、ただの馬を捕まえたりリンチしたりする人間はいない。)この人はこの人で今まで充分に女神の加護を受けていたのではと色々考えてしまった話でした…。

 ジョナサン・バーグナー…ジョー「僕は貴方のように上品でもハンサムでもないし、生まれも言えないしさ、それに…それに純白(ホワイト)じゃないしね…。」

目的は何のかのと言って黒人を差別している白人に一泡吹かせること、だから白人が勝ってもその瞬間に撃ち殺されてしまえば、ざまあみろだ(もちろん「シナリオ」を無視して黒人のチャンピオンが生まれるでも可。)と今回の狙撃計画を立てるに到ったのですが、偏屈で国語力も無い狙撃手では「ホワイトマウンテン」(白人のトップ)の意味がちゃんと理解できずに優勝した人間(自分)が撃たれたというマヌケな結末で終わってしまいました…ゲフッ!(「こんな事だろうと思った」のなら防弾チョッキ位身につけておけよと思わずツッコミを入れてしまいました…ゴフッ!)人を呪わば穴二つという教訓をまざまざと感じさせてくれるエピソードです。(まあ、死なずに済んだだけ良かったけどね…。)

 ステュアート・R・メイシェル…ステュー「子供の頃、一度だけ眼鏡の場所を忘れて見つからなかった。すると学校にたどり着くのも大変で、先生に当てられても黒板の字が見えないし、とにかく人生の中でこれほど情けない日は無かった。」
ウッディ「で、忘れるのが怖くなったって?」

それでハーバード大学法学科を卒業し立法調査委員になるほど「物忘れしない人」になった(眼鏡を失くした。たったそれだけの事で人生の改革がなされた。)なんて別の意味で凄い男だなと感心すると同時に、宣伝屋とグルになって自分を利用しようとしているのが分かっているにも関わらずクイズチャンピオンに挑発されるがままに「一度だけ相手をしてやるよ、グレイアメリカン!」と舞台に上がってしまった彼のプライドの高さに納得してしまったものでした。(「ステューは人前で恥をかく事を何よりも嫌う男だぞ。」byボブ←うん、それで人生を変えてしまうほどにね。)その辺はさすがのヴィクトリアンホワイト(見せびらかす上品な成金白人)だったようです…ゲフッ!クイズ大会を通して「人前で負けるのが嫌だ」というしょうもないプライドをかなぐり捨てられるほど精進はした様子ですが、おかげでコーニーに対しても「身も心も大きくなるのを待つ」とプロポーズするほど発情してしまっている様には思わず身も心も大きくなってもその年齢差は犯罪(ロリコン)ではないか?とツッコミを入れてしまった、そんなユニコーンでした…。(ていうか13、4歳の少女に、いい大人の男が何人も夢中になっているこの話の作りからして、もう…ゴフッ!)

聖ライセンス①~④

2009.09.28
 当時の恋愛ブームにあやかろうとしてか、それまで連載していた「パナ・インサの冒険」の続きは担当編集者に「待て!」と止められて休載→交代する形でこの話が始まったそうです。雰囲気としては「アンジェリーク」に近いファンタジー色の強い逆ハーレム状態の話ですがそんな状態の割には恋愛要素よりも説教臭い話の方が多く、美形男が沢山出てくる割には好みは別れそうだと感じた話でした…。

 ロビン・レグリシアス…「僕にはとても大好きな人がいたんです。だけど彼女は結婚を…僕はそれを遠くから見てた…。」

「その結婚、ちょっと待ったあぁ!」と言う為に追いかけてきたのに間に合わなかったのか、土壇場でやっぱり言う勇気が持てなかったのか(後者だったら情けない。)ともあれ彼女との関係は何も変えられずに第1話にして失恋していた情けな系のユニコーンです。飛び出した割には無断外出の罪の重さは分かっていて(罰を受けるのが怖くて)コーニーに食べ物を貰いながらビクビク隠れていた様は文化系特有の気持ちの弱さなのかもしれないけれど、情けない男だなあ~とあんまり良い印象は持てなかったものでした。落ち着いた態度で敬語調で話していたのはただの内弁慶だったらしくその後は(食べ物の)恩人でもあるはずのコーニー相手にさえ怒鳴ったり尊大な態度を取ったり態度が変わった様子が微妙に思えてシンシアお姉さんに選ばれなかったのにも思わず納得してしまった幼い男でした…ゲフッ!

 シンシア…「ロビン様、コーニーをどうかお願いします。」

彼女と夫となったユニコーンが結婚までどういう付き合いをしていたのかは不明ですが「新婚初夜」を終えた以上は既に一線を超えた事は確実で夫に肩を抱かれながら(ラブラブぶりを見せつけながら)他の女の子の世話を頼むという行動にはちょっと無神経で残酷過ぎる(あるいは招待もしていないのに勝手に結婚式会場にまでストーキングしてきたロビン様にしっかりとトドメを刺していた側面があったのかもしれませんが)とも感じてしまったものです。ともあれ、ロビンの気持ちはどうあれ彼女の眼中に全く入っていなかったのは確かで1人で盛り上がっているロビン様に「…。」と思えてしまったものでした。(どうせなら婚約前に止めに来ればいいのに…。)「だけど、だけど、お姉さんだって辛いんだよ。」とコーニーが言っている辺り、所詮ロビンの気持ちはシンシアにとっては「重荷」でしかなかったんでしょうね…ゲフッ!

 トマス・ボルトー…「シンシアと出会ったのは俺の方が先だし!それにもうシンシアはバーナードのプロポーズを受けているし!いや…そうじゃなくて…!(涙)」

ロビンとトマス、彼女の為に争いながらその実シンシア本人は2人の争いなどどこ吹く風で全く違う相手と恋愛結婚している(こんな騒動にまでなっているのに全然眼中に入っていない事実が痛すぎて争いの内容のあまりの虚しさに笑ってしまいました…ゲフッ!←いや、笑うなよ。)ロビンと喧嘩沙汰になりながらも「コイツも俺と同じ彼女に失恋した『お仲間』ではあるんだよな…。」(すまない、ロビン。つい殴っちまった。」byトマス)と相手を気遣っているトマスの大人ぶりに涙ながらに拍手もしてしまったものです。条件だけ見れば、シンシアのみのユニコーンなのに振られてしまったトマスよりも、新しい出会い(自分の聖ライセンスを光らせる乙女…という名の彼女候補)が有るロビンの方が恵まれてもおり、あまり同情は出来ない恋の顛末だな(自分の住んでいる寮にまで「君に会いに来たんだ。」とストーキングされてシンシア本人にとっては迷惑以外の何物でもなかったでしょうしね…ゴフッ!)と改めてロビン様を微妙に感じた過去エピソードでもありました…ガフッ!

 コーネリア・トレイスキャリー…コーニー「聖なる乙女にロビン様が言うほどの格が有るなら、格下のユニコーンである貴方は乙女の私に命令したり、怒鳴ったりしてはいけません。」

ユニコーン(男)に対して頭を下げて頼みごとをしたり、(社交界では非常識ともされる)女の側からのダンスの申込みをしたり、「男に媚びてばかりいる、君には女(聖なる乙女)としてのプライドは無いのか?」という正論の形を取ってはいますが、ロビンが自分の独占欲の為(他の男を近づけさせない為)だけにそう言っているのは明らかで浮気をした訳でもないのにそんな事を言われる(そもそもロビンとは付き合ってもおらず、そこまで言われる筋合いも無い)コーニーはたまらないだろうなあと、さすがに彼女に同情してしまったものでした。そんな性格だからアンタはシンシアお姉さんに振られるし、今ここでコーニーにも振られるんだよ、と再度ロビン様にツッコミを入れてしまったものです…ゲフッ!

 スワン・ジェンピット…パティ「初日から光らせた子も初めてだけど初日から叱られた子も初めてよ。」

そうしてわずか1日で光らせてしまった為にこのユニコーンの話はこれで終わってしまったのでした…ゲフッ!(他のユニコーン達はそれぞれ数話かけてメインキャラ扱いで話が描かれているのにね…その後モテ過ぎが昂じて女性嫌いに陥った末に早世してしまう後日談も合わせて最初から哀れなキャラクターだったなと痛感してしまいました…ゴフッ!)「問題を解決したら木馬が光ってお話がお終い」という話の都合上仕方が無い(木馬が既に光ってしまった以上、以後そのキャラで問題を起こしても解決の印(カラークリア)というご褒美が貰えず盛り上がりに欠ける。)のは分かるのですが他の馬(ユニコーンと言え)が全員メインで出番を貰えているのに(その後話し相手等でちょこちょこ出番があるとはいえ)可哀想だなと思わず同情してしまいました。7人のユニコーンの中でもベスト3に入る位人気があった登場人物だったんですけどね…ガフッ!

 アイロー…アイロー「いや!アルにこんなことした奴に復讐してやるんだ!」
アルフレイン「落ち着け、アイロー!復讐の前に仕事するんだ!」

「よくも私の大切な人に!」という彼女の気持ちから物凄く愛を感じましたが結果としてアルフレインが(彼女の復讐を止める為に)怪我を押して馬を走らせたり、相手から体当たりされて崖に落とされたり多大な(いらない)苦労をしょいこむ羽目になったのも確かで馬が高山病にかかる事も無く無事に事件解決したにも関わらず、この後2人の仲はますますギスギスしてしまった…ようです…ゲフッ!気は強いけれど純情な娘で結構いい子だと思うんですけどね…。(仕事に生きている人間にはそうやって仕事を忘れて感情で動く面が理解できないのかもね…ゴフッ!)

 アルフレイン・ホーク…「これは俺の道だ。あんたがあんたの愛を知っているのなら、それでいい…。」

そういって崖から落ちることを受け入れた彼。自分で自分の命の終わりを納得したり自分の不幸を甘んじて受け入れられる辺りなかなかの男です。(逆に漢として生き過ぎているからこそ、女との恋愛沙汰には気が向かないんだと思われる。)ちなみに彼が助かったのはホワイトユニコーンが身代りに自殺してくれたから(「乙女が奇跡に目覚めたのに彼の人生には数秒間に合わなかった。」by女神様)だそうでその因果応報でホワイトユニコーンの来世で役に立たなければいけないといういらない苦労を、またしょいこむ羽目になった苦労症の彼にちょっぴり同情もしたものでした…ゲフッ!

 クリス・ノーアイラング・ハポン…「乙女には申し訳ないが人が不幸になろうが、どうなろうが、どうでもいい…。」

色んな人の人生相談もしている(相手が欲しい言葉をかけてあげている)ものの、それは表面つらの演技で人を煙にに巻いているだけでそこにクリスの意志や気持ちは無く、ただ八方美人をやっているだけであるのも確か(「また芝居かい、嘘つきクリス。」byエルナンド)で女神様の加護が無く異常に弱い体になっている(人の姿でもホモに触れられると死ぬほどのダメージを受けてしまう。)のにも多少納得できてしまいました。(アンタは本当に聖獣か?とツッコミを入れたくなるほど保身ばかりに走ってはいる。)真実(体質)を言ってみた所でどうせお前には理解できないからと決めつけて本当の事を何も言わないというのは、心の内をさらけ出してクリスと本音で向き合おうとしているエルナンドに対して確かに失礼で、自分を守る為ではなく相手(エルナンド)の為に本当の気持ちを言葉にした事でカラークリア→パワーアップ(!)にもつながった様子です。コーニーが感じていた通り本当の原因はクリスの性格の中にこそ有ったという話でした…。

 エルナンド…「アンタが言ったんだよ!同性愛でも救われると!認めた以上、同罪だろうが!」
クリス「同性愛は認めても、貴方の告白をOKした訳では、ありません…!」

おそらくエルナンドにとっては自分の恋を実らせたい(クリスと恋愛関係になりたい気持ち)以上にこの天使のような人に自分を対等の人間として認めて貰いたい気持ちの方が強かったんでしょうね。(「恋人がダメなら『友達』になって下さい。」という事ですね。でもって本音も言わずに相手を都合良く遠ざけようとするのは「友達」扱いですら無いと…。)なのにクリスは調子良く嘘をつくだけで彼の事もIT(「ソドムの彼」=「あれ」「それ」扱い)と呼んでいる有り様(同性愛への共感を求められるのに辟易しながらも所詮大した行動は出来ないだろうと見下して、彼が「名前のある一人の人間」だという事すら認識していない。)で、この男は全然自分と本気で向き合おうとしていないと、とうとうキレた様子です。(「アンタやっぱり俺を救う気なんて無いんだな!」byエルナンド)要するに「本音で自分に応えて」くれれば「ソドム(を私に強要するのは)いけませんよ。」とクリスから完全に振られてもOKで、サーカスに入団して前向きに生きられるようになった(「傍にいられれば、それだけで良い」か。ある意味で健気過ぎる男だな…。)のはクリスとの間に本当の信頼関係が出来上がったからでもあるのでしょうね。(最もクリスが男にも女にも熱烈な恋をしない人間だから自分の恋が実らなくても他の誰にも取られる心配は無いという要素も大きいでしょうが…。)最終巻でもまだクリスを恋する目で見ていながら最後の最後まで一線を守った律儀な彼に思わず拍手も送ってしまったものでした…。

13月の悲劇

2009.09.27
 コロンブスのアメリカ大陸の発見についてアメリカ大陸というものはずっとそこにあってちゃんと人も住んでいてそれなのにそこにたどり着く事の一体どこが「発見」なのだろうか歴史というものが常に勝者・強者の視点から語られるもので敗者・弱者の側が自身の言葉で自らの歴史を語ることがいかに困難であるかこれらの事実を知ることによってようやくこの不思議な言い回しを理解できるようになったという解説者の言葉になるほどとも思った(さすが評論家)解説も拝める1冊です。(どうせならこの人に「白ゆりの騎士」とか「虹の戦」とかの歴史物を収録した巻の解説をお願いすれば良かったのに…ね。)

 13月の悲劇…マリー「水曜礼拝は黒ミサで額を爪でひっかくのは悪魔の洗礼の印。主ルシフェルは魔王でここは魔女の学校だったんだ…。」
デボラ「マリー、あたし怖い!こんな簡単に調べられる辺りこの学校は内訳を隠そうともしてないじゃない!」

挙句に校庭という皆から丸見えの「戸外」で真昼間から火あぶりを行おうとしてはそりゃ、どんな学校かはバレるしマスコミにも叩かれるだろうと廃校になった結末には頷いてしまったものでした…ゲフッ!(この20世紀では鞭で叩く事さえ教育者としてはアウトです。)酷い学校だと世間に知れ渡ったおかげでそこで生活していた子供達も保護者(親族)が引き取りに来た様子ですが、そもそも外国にまで(自分と関わりを持たずに済むように国外にまで追い出した)子供を捨てた親が「じゃま者」としか思っていなかった子供に対して今更愛情に目覚めてくれたのか大いに疑問であり(子供を追いやれればそれでいいと大金を出してまで魔女養成学校に押し付けたことがバレたら不義の子の面倒を見るよりもっとマズイ事態になるから体裁を整えた…だけじゃないの?)10年以上もこんな所で暮らして表情も人間らしい感情も失くしてしまった子供達が今になって一般社会でスムーズに暮らしていけるのかも疑わしいですし(目の前で猫の首を切り落とそうが何も感じない、どう見ても情緒面に異常をきたしている子供達…。)これで解決…ではなくて問題はこれからだろうなあと暗澹たる気持ちになってしまいました。子供達を引き取った所でその後やっぱり児童養護施設の類(寄宿制の学校は聖バラ十字学校以外にも沢山ある。マリー(ハリウッド(アメリカ)→イギリス)や手紙を出そうとした少女(フランス→イギリス)の場合のように国を問わないのなら選択権は更に豊富だろう…ゴフッ!)に追いやりそうな気がするのは私だけでしょうか…?(そもそも面倒を見る気なんか始めから無かっただろ、この親達は…ガフッ!)カルロス曰く「人々の心に悪魔が住む限りこんな悲劇はこれからも続く」そうでこの言葉はまさに正鵠を得ているような気がした話でした…。(魔女よりも黒魔術よりもこんな牢獄のような閉鎖的な学校に子供を閉じ込める生きた人間の方が怖いです…ゲッフン!)

 金色の闇が見ている…サミュエル「僕、思うんだけど、あの学校は猫達にとっては家だったんじゃないかしら?それに気づかなかったのは人間だけで猫達は自分達の家を奪い返しただけ…。」
エスター「建物をお金出して建てた訳じゃなく、土地の税金ももちろん払わない、掃除もしないで汚し放題で『自分達の家』って言われてもねぇ…。」

建物を建てた本当の所有者からしてみれば泣きたくなるような使い方をされている事でしょう(猫って毛づくろいをしたり己の身に対してはきれい好きでも周りの汚れに関しては一切気にしない生物なんだよな…ゲフッ!)と話を読みながら違う所でツッコミを入れてしまったものです…ゴフッ!話の中ではクラウディア→ジョオ⇔エスターの主人公を中心とした3角関係も描かれていますがクラウディアが本気な反面、ジョオは彼女の気持ちをワガママ(負担)としか受け止めておらず彼に命令をきかせられそうな彼女の父親(育ての親ではなくご主人様)も反対している(「病院長様の私の娘であるクラウディアには『様』をつけんかい!」「パパの言う事なんか気にしないで様づけで呼ぶのはよしてって言ったでしょ!」「どうすりゃいいんだよ!」という現状。)事からエスターの存在が無くてもあの2人が進展するのは絶望的だったろうなと考察してしまいました…ガフッ!(猫嫌いという時点で動物好きのジョオとは無理があるでしょうしね…。)でも、まあ、クラウディアは男達に取り囲まれるほど山とモテルのですからジョオ1人に振られた所で「次」はすぐに見つかりますよ…ゲッフン!

 冬のひまわり…二コラ「ママ、見て。あの絵、変なのよ。雪の中にひまわりが咲いているの…!」
母「きっとこの絵は抽象画か何かで現実を描いていないのよ。」
二コラ「…だって、ひまわりの花だもんね。」

肖像画というからにはこの絵はモデルを見ながら描かれたはずで、絵の中の全ては現実に存在した風景だと分かってしまった彼女の頭の良さ(セント・グレート校という大層な名前の名門校に「学力優秀」で奨学金を認めて貰って入学を果たした位ですもんね…。)現実的打算でなくロマンを追い求める性格から道を踏み外してしまった二コラでした…。(最も少しでもいい思いをして贅沢をする為に社長令息という(どうでも)いい人と結婚して貧乏から脱出するという「道」が本当に正しいのかは疑問ですが…ゲフッ!)今現在の彼氏・チャールズの存在(「二コラ!午後にチャールズと約束があったんでしょう!?」)も村長の息子のルーアの気持ち(「お前が帰ると寂しくなるな。」「それよりもレ二の花が咲いている所に連れて行ってくれる、ルーア?」「…言う事それだけ?」)もロマンの前には男などどうでも良くなってしまう彼女。結局彼女を射止めたのは唯一の理解者である(一緒にロマンを語れる)ロミリーだったことと合わせて袖にされた2人の男はアプローチの仕方を間違えたなと納得もした話でした…ゲフッ!

 ポリアンナの騎士…ポリアンナ「助けてくれてありがとう。」
レナード「それはどうも。医者の勤めだからね。」
ポリアンナ(レナード、ああ、貴方は毎回忘れ去っているのね。あなたに助けられたのはこれでもう5度目なのよ。)

認知症か、レナード!?と6回目もやっぱり忘れ去っており名乗られても「過去の恋人」でもあった彼女を思い出しきれない彼(それまでの事例は全部「通りすがり」のいわば不特定多数の相手に対して行う手助け(いつもやっている事)だから一個人をいちいち覚えていられないのもまあ理解はできる。しかし一時期付き合った恋人の事は普通、忘れない。)にツッコミを入れてしまいました…ゲフッ!(症状は深刻のようです…ゴフッ!)彼女と知り合って早6年(16歳→20代半ば)やっと2人きりで旅行に行けたと思ったら事故に巻き込まれて大怪我を負い挙句に彼女には巡り合った「運命の騎士」とランデブーされたテッドには最終的には結婚出来て報われて良かったねと慰めを入れた(けれど、それで良いのか男として…!)ものでしたが彼女の為に死んだレナードも残り物のような立場で一緒になったテッドも考えてみれば結構哀れな扱いで同情してしまいました。男女逆の立場ならこの主人公は「運命の相手」は幸せにできず、「本命」は待たせまくっている辺りあまり好感が持てなかっただろうな(むしろ男だったら最低)とも考えてしまった話です….。女としても「運命の相手はレナードだけれど他の男と結婚して子供まで作って、でもピンチの時にタダで助けてくれるのだけは待ちわびています」って性格悪いよな~(無償で大変な時ばかり助けてくれる「都合の良い男」がいるというのは女のロマンかもしれないけれど、その考え方自体どうなの?)とあんまり共感はできなかったヒロインでした…ガフッ!

王女アレキサンドラ

2009.09.26
 不幸は時に強い意志を育てる、憎しみに凝り固まりその憎しみをどこにぶつけていこうか方向を探り、方向が定まるとそこに向かって突進していく。しかし憎しみと愛は表裏一体、憎悪をエネルギーに突き進んだ到達点で愛が憎悪に打ち勝って思いがけない到達点を迎える、自分自身に内在していながら気づかなかった愛によって憎しみは氷解していく…という展開に心地良い読後感を味わえる短編集です。話に出てくる国名ラストニア(劇「ふたりの王女」の主人公姉妹が生まれた国)や野生の小狼のような少女ジェーン(劇「忘れられた荒野」の狼少女ジェーン)など「ガラスの仮面」との(名前だけの)関連も多少見れて面白い話でした。

 王女アレキサンドラ…庭師「王女様はまるでお気づきないだろうが…この所ずっと王女様を影から見てばかりいなさるね。」
アルバート先生「わ、私は従医です。王女様は目がご不自由。怪我でもされたら大変と医者の役目を守っているだけです…!」
庭師「ならいいが…ストーカーは犯罪だて…。」

しかしストーカーに惚れてしまったら相手はもうストーカーとは言わない(もっともこれはストーカー本人が嫌がらせ等の行き過ぎた行動は慎む、一応「マトモな範疇」に入れる人間に限った場合の話ですが。)という定説から見事に恋人にまで昇格した彼。アレクサンドラの泣き伏しての告白(それを立ち去る前に御本人に言ってあげていれば展開は随分と変わった気がする…ゲフッ!)に、良かった、迷惑に思われてなくて…と安心したのは私だけではないでしょうね。盲目にしては随分と美しい王女様だ(普通目の見えない人間は目を使わない為に目の周りの筋肉が衰え下膨れた独特の顔になる。)というツッコミはさておいて人を信じる事から道が開けてくる(正しくは皆、罪悪感を刺激されて悪さできなくなる。)よくできた美しい物語には感動させて貰ったものでした。現実にこんな人がいたらは罪悪感の欠片も無い詐欺師が跋扈する展開になりそうですが、その辺は漫画という作り話、美しいまま終わっています…ゴフッ!

 帰らざる氷河…アンナ「陛下の隠し子のエリナを連れて来ましたわ。」
侍従「離宮に来るのを誰にも気づかれなかったでしょうな。」

しかしそれからほどない日の夜遅くに暗殺者がやってきた辺り王妃には気づかれていたのでしょうね…ゲフッ!(最悪、一部始終を見られている。同じ位置に痣のある子供を感涙して抱きしめていたら何の説明が無くとも浮気して隠し子を作られた事はバレバレだった事だろう…ゴフッ!)嫉妬深い王妃の為に母を殺され国まで追われた(友達も一人殺されている)エリナは最後に父親からの愛情を感じたことで全てに矛を収めていますが、彼女の不幸のそもそもの原因は王妃(妻)という人がありながら浮気して隠し子を作った父親であり、暗殺者まで雇った王妃を止められずにいた父親であり、娘を探す事も公に認める事もしなかった父親であること(「実は私には愛人との間に作った王女がもう一人いるんです!どうか探して下さい!」と世界に発信してサッサと保護していたらエリナが放浪する事も生き倒れる事も無かった。)を考えると一声かけただけで許すというのはいくらなんでも寛容すぎないか?(あなたはおかげで10年以上も苦労してきたんでしょ?)とどうしても納得がいかなくなるものです。…が、復讐を果たしてしまったが最後その場で殺されてしまう運命を思うと行動としては正解にはなるのでしょうね。父親の死と共に全ては闇の中に消えたという事で王妃も気持ちに蹴りをつけられたようですし「終わった話」として片付けておきましょう…。

 炎のマリア…マレー先生「ええ!?ジェーンの家庭教師をクビ!?」
スノードン夫人「訳は聞かないで下さい。これは今までのお給料です。」
マレー先生「分かりました。貰えるものさえ貰えるのなら文句は有りませんわ。」
スノードン夫人「…オイ!」

結局マレー先生にとってのジェーンは「金ヅル」でしかなく「子供に優しく接するプロ」の家庭教師だったからこそ金と引き替えに上手く心を掴んでいただけだったというオチがありました。(「技術」はあったけどそこに本当の「真心」は無かったってね…ゲフッ!)プロだけに口先だけのサービス(「あたいと一緒にいたいって言ってたじゃない!」「まあ、ホホ。だってリップサービスもお仕事でしたもの。」)は上手くても仕事はきっちり金と引き替えというプロ意識があり、そこがスノードン夫人(滅茶苦茶不器用で子供の心を掴むのもド下手くそだがハートは暖かい母親。)との違いだと言えるでしょうね。大の男でも近寄れないと言う炎の中を子供一人抱えて素早く脱出に成功した彼女。酸欠で死ななかった事(空襲の死に様を見ても分かるが火事の際は「焼け死ぬ」前に炎が酸素を全部使ってしまって窒息して死ぬことの方が多い。直立して絶叫するなどもっての外。)と合わせて、なんて体育会系の母子だろうと拍手もしてしまった話でした…ゴフッ!)

 真夏の夜の夢…ロリータ「生きることって素晴らしい。今とってもそう思えるわ。」

毒殺された人間を目の当たりにした翌日には誰だってそう思えるでしょうね…ゲフッ!追手(役者)の皆さんに追いかけられて一緒くたに殺されそうになった(と思い込んだ)経験も通して、短い人生、親の理想の娘で有り続けるより自分の好きに普通の少女のように生きていこうと考えを改めたロリータ。役者の皆さんの力で上手い具合に騙しおおせて終わっている話ですが、神童とまで呼ばれた元々の頭は良い彼女が誕生パーティで出会うルイズの友達が偶然たまたま300年前に生きていたハンス王子にそっくりだという不自然な展開(運命的と言うにはあまりにも作為的で出来過ぎている)に全てを悟らないと良いけどねとツッコミも忘れずに入れておきます…ゴフッ!

スポットライト③

2009.09.25
 上高地に着いた後乗鞍岳を眺めました。その後9月20日に熊事件(登山客の無職のオッサンが熊に木の枝を投げた為、怒った熊が襲いかかり助けようとした人がまた襲われ…と9人の犠牲者を出し大パニックを巻き起こした事件。最後は土産物屋に閉じ込められた上、地元「猟友会」の人達に射殺された。警察は何をやってたのだろうか?)が起こる事も知らず「今度は乗鞍岳に登りたいね~。」と呑気に話してました。今あの山では熊防止用に鈴の着用が求められ、大声で歌いながら登山することが推奨されているそうです。(でもね、獲物を遊び殺す猫科の熊に棒を投げつけるなんて攻撃行動をしなければここまでの惨劇にはならなかったと思うの…ゴフッ!)1915年に北海道で起こった三毛別羆事件(冬眠に失敗した羆「袈裟掛け」が人の味を覚え、犠牲者7人重傷者3人を出した史上最悪の羆事件。江戸時代からの森林伐採と明治以降の内陸部開拓で人間と野生動物のテリトリーが重なってしまった為に起きてしまった悲劇といわれている。)の存在も知り、ちょっと怖くなった私でした。

 山科 望…「私は、女優よ。」(映画より)

…え?歌手の映画じゃなかったんですか?(「自分のものにしてしまってる」ってこういう意味ですか…欠点だろ、これは!)そして芸能界で生き抜くのはいいけれど、十代半ばに入ってイチゴのプリントの服は止めてほしいと切に願ってしまいました。(しかもそれでTVに出るなよ!)進藤さんの(普通は300万の借金の取り立てに来る所なのに)タレント申し込を「自分だけの力でやりたいから」と拒否ってますが、思うような仕事がそうそう来るはずもないし(事実、夏ミカンが回してくれた映画以外で彼女に依頼された仕事は、1つも無い。)何が不満なのか分からない人でした。(そうやって選り好みしてるうちに、いつか仕事は無くなります。ていうか今、もう既に無いし…ガフッ!)風間さんとの恋がいつの間にか「初恋」に変換されていたり(小森君を振った時も「さよなら初恋…。」とか言ってたのに。お前は5000回も「初恋」を繰り返してるセーラービーナスか!?)あれだけ人を裏切ってるくせに「私は人を信じるわ」と言っていたり(どの口が言うんですか…いや、いつも裏切る側だからこその発言か?)やっぱりいい加減な人だなあ、この人、と嫌い度は上がる一方でした。腕も故障したし、コネもないし、田上プロではブラックリスト扱いされてるだろうし、多分早々にこの世界から姿は消えることでしょう。

 島 さゆり…夏ミカンの母ちゃん。望母の回想では「心の広いムードメーカー的存在」として聖女のように望とダブらせていたので、1巻での変貌に信じられなくなりました。(「付け人はすっこんでろ!」「あんたの母親なんて女優とも言えないわ。」…等々いい年した大人が証拠品の記事まで持ち出して望(小娘)を泣かせている。どうしてここまで変わっちゃったの!?)夏ミカンの「芸能界の水につかったら奇麗事は言ってられない。」発言はそんな母親を見てきたからなのかと悲しくなりました。(ある意味、可哀想な両親の元で育てられたんだな、夏ミカン…。)そんな彼女さえ芸能界を引退してるので厳しい世界なんだなと改めて感じてます。(やっぱり、望には無理なんじゃないでしょうか?)

 夏ミカン(夏目 美果)…「私には代表作が無い。」…と焦ってましたが、いやいや「星の金貨」の酒井法子みたいに代表作があっても実力がない女優はいる(ぶっちゃけ「星の金貨」「碧いうさぎ」以外のヒットを私は聞かない。その2つも脚本家の野島伸治が彼女に入れあげた結果だし。)ので、そこは劣等感に感じる必要は無いですよ。この子が人を信じられなくなったのは元はといえば望が家を飛び出したせい(そして父親に全く認められていないせい。少なくとも望よりはまともに苦労を知っていると思うのですが…ゲフッ!)なので、望がますます嫌いに…。回を追うごとに(望を聖女化する為だけに)悪役化されているのが悲しかったです。(ライバルを同じ地味系の性格にした作者の失敗でしょうね、これは。)最後は友情を信じる決意をした彼女でしたが、それにしたって友達は選んだほうがいい(望は止めときなよ!)とこれからが心配になってしまったキャラです。…で、そんなバタバタの中で好きになりそうだった淳さんのことはもうどうでもよくなっちゃったんでしょうね…ゴフッ!

 風間 淳…望「スキャンダルを利用するのよ。私は汚い噂に汚れても上映さえできれば…。」
淳「ばか!僕ほか周りの皆さんの気持ちは完全無視かよ!」

ここで右から左にかけて平手をかましたのに何故か相手の右頬はかわされ左頬だけ打たれています。(…フォーク?)
結局作り話は止めてますが記者達としてはそこまで言ってたのに踊らされるような扱いを受けて黙っていられるものだろうか(電話でああ言った以上スキャンダルになるようなことはあると解釈し、どぎつく書くのが普通ではないでしょうか?)と、どこまでもご都合の良すぎる展開に(人気がないから記事にもならないのか…と思いきや望の母ちゃんがタレこみをした時はスタジオにまで記者が押し掛ける程注目されている…なんだそりゃ!?)ため息が出てしまいました。(かつての歌手、倉田まり子さんなんて株詐欺師・中江滋樹と肩を組んだ写真についての記者会見を行った時、その前にテレビ朝日のワイドショー1番組だけに出てしまったことで他局のレポーターの神経を逆撫でしてしまい「母子家庭だからなんでも許されるとでも思ってんのか。」みたいな酷い罵声まで浴びせられていました。女の涙にホロっとくる程、この業界は甘くない…はずなんですけど。)結局元サヤに戻るみたいな感じで望のことを思っていますが(ロリコン、健在か…ゴフッ!)芸能界で注目されることしか考えてない望と、すっかり地味系に染まってしまった彼では根本的に合わないと思うんですが…こんな終わり方でいいんでしょうかね…ガフッ!

 山科 恵子(ママ)…肝臓が弱って倒れたのに恐るべきスピードで退院した女性。最初は「嫌われ役になってまで娘の成長を願う母」だったのに望に同情票を集める為(だけ)に「身の程を知らないトラブルメーカー」に変更されてしまったのが凄く悲しかったです。脇役になった時「ちっとも嬉しくない。」と身を引いた程厳しく成長を促した女性が、その後娘がまだチョイ役に過ぎない状態で周りに女王扱いをすることを要求するまでにトチ狂ってしまうものだろうかと不自然な物を感じてしまうのです。(生まれ変わると言ってたくせに元に戻ってしまったのも「望の同情要素」を無くさない為のご都合主義に感じるし…ゲフッ!)「なんでもっと必死でチャンスを掴もうとしないの!」と進藤さんの申し出を断る事を怒っていますが、かつて仕事を干された身としては人気が無くなったらたとえその世界で一生生きていくつもりでも、もうお呼びなんかかからないことを分かっての不安から来る当たり前の発言(この後、超都合良く夏ミカンが来なかったら仕事はゼロである。)に思えたので受けない望の方がむしろ理解できませんでした。(そもそも夏ミカンの仕事にしたって夏目家のコネで主演を決めた出来レースじゃないですか…ゴフッ!)作中では望の母ちゃんの方が「性格の悪い疲れる女性」として描かれていますが、私としてはあれだけのスキャンダル(病身の母親無視疑惑、風間淳恋人騒動、田上プロ天敵化、映画上映問題発言etc.)を起こしておきながら作者の都合のままにチャンスを与えられる望の方がよっぽどハラハラする女性(普通ならまず間違いなくお払い箱です。)だと思えてなりません。実は苦労してるのは母親の方…ではないでしょうか?

 最後に1言。「嫌われ松子の一生」を読んでいる気分でした!(ちなみに私は松子否定派。)…ゲフッ!

スポットライト②

2009.09.24
友達に「上高地エクセレントラング」「上高地エクセレントショコラ」を土産として配りました。(ごめんなさい。上高地話がまだまだ続きます。)私も余りを食べたんですがエクセレントと言う程美味しくは…無かったような、気がします。しかし人に言わせれば山では食料品を運ぶまでが大変(交通的にね。私も目的地まで片道5時間以上かかりました。おかげで雑誌の酒井法子特集を全部読んで、家族で語ってました。…ヒマだったんです。)なので山菜と牛乳(しっかり瓶一本飲んできました!だから何と言われても困りますが。)以外は決して期待してはいけないそうです。(きっと、カカオを運ぶまでが大変だったのでしょう。)なので、そんな状況の中でお菓子を作り上げた努力をこそエクセレントと評価し「650円の安物にそこまで期待するのは酷だ。」と友好的に判断すべきだと解釈することにしました。(しかも宿屋で割引券を貰い5%割引の値段で手に入れた私には、文句を言う権利など始めからありませんでした…ゲフッ!)ちなみにご近所のTさんには河童饅頭(美味しそうだが一箱に6個しか入ってないので職場用には断念した。)を進呈しました。(これは550円の5%割引で…ゴフッ!)

 山科 望…オーディションのテストについて、「今私が躍った通りに躍ってごらんなさい。」…望ちゃん、さっそく左右が逆なんですけど。(これでよく受かったな…ゲフッ!)歌手の才能と女優の才能はまた別物だと思うのですが(女優かタレントかで悩むのなら話は分かるが。)インスタントヒーロー的に両方で成功してるのはあり得ないんじゃないか(NANAのアニメでさえ声優さんと歌唱キャストは別にしたそうですよ?)とあまりのご都合主義的展開に逆に共感できませんでした。とうとう田上プロに潰されてしまいましたが(やはり上手すぎる展開に読者が許さなかったのだろう。)それも元を正せば身から出た錆なので(夏目監督を裏切って飛び出さなければこんなことにはならなかった。裏切った人間が今度は他の人間から裏切られ…人生とはこういうものかもしれない。)同情はできなかったです。そしてまた進藤さんの気持ちを裏切ってる辺り(そのまま進藤プロにいれば、いつか好意に対して責任を取らなければならなくなることを直感的に察して自分が好き勝手できる方の道を選ぶ辺り、あなたも立派に汚いよ。)やっぱり嫌な人間だな思わざるを得ない…です。
ところで、お見舞いで着てた「NozomI」の服はやはり特注なんでしょうか?

 風間 淳…淳「ずっと…あなたを思っていた。本気で好きになったのはあなただけだ。」
麻衣「ありがとう。でも…私はあなたを胸板丸見えのお星様の服を着た恥ずかしい人としてしか、見ていないわ。」
淳「……。」
…いくらステージ衣装とはいえ、あの服装のセンスはどんなものかと思います。(確かに見に行くだけの価値はあるのかもしれないが…ゴフッ!)「芸能界1のプレイボーイ」という割には彼がらみの女キャラの影も形も見えないのですが、本当にモテてたんでしょうか?(「芸能界1のチェリーボーイ」の間違いじゃないよ…ね?)挙句の果てにはまだ14歳の望に恋心を抱いてるし(ロ、ロリコン…!!)趣味は大丈夫かこの人、と人として心配してしまいました。

 進藤 涼作…ロリコンがここにも1人…ガフッ!しかし望のためにあそこまで尽くしてきたのに(彼女の為に借金を追加してることを望は知らないだろうし、落ちぶれた後に母親も含めて生活の面倒を見てきたのは他ならぬこの人である。)他の男のことを理由にあっさり振られてしまう辺り、哀れに感じてしまいました。(残ったのは300万の借金だけ…望が逃げ出した方向は充分得なことになると思うのですが。)望をだしにしていたとはいえ、人気急降下中の時期にあそこまでプロを大きくすることができる辺り、やはりこの人はやり手だと思います。それも全ては望をTVに復活させる為だったのに…全く努力が報われて無いところが悲しくなりました。

 北原 麻衣…デビューした時から恵まれた女優の地位についてて…と望は言いますが彼女はずっと児童劇団で頑張ってた人(ロクに演技の勉強もしてない望とは違います!)ですし、仕事さえ取れればリハーサルはどうでもいいという望の考え方もどうかと思うので(ここで「借金のために少しでも金(仕事)を稼ぎたいの。」と言ってれば望に共感できるのに…望にとっては自分が原因の借金も至極些細なことなのか…ゲフッ!)麻衣さんのツッコミは尤もだと思います。挙句の果てに「憧れていたけど所詮味方じゃなかった。」という(かつて付き人の誘いを無視して断りの連絡さえ入れなかった自分の無神経さは棚に上げて)心配してくれた人に対しての望の態度に思わず怒りを覚えてしまいました。直後にこの人が倒れたのはやはりショックからなんでしょうか。(ということは原因は望…?)自分の限界を見極めて引退する辺りに潔さを感じ、ますます好きになったキャラです。(ところで、お年はいくつなんですか、麻衣さん?)

スポットライト①

2009.09.23
 実はこの作品に出てくる「ミルクアーモンド」(CM・田上プロ)とやらは実在するおやつです。8月の終わりに旅先で見つけてびっくりしてしまいました。(「河童の卵」という名で有名な上高地土産でなかなか美味しいです。)上高地とタイアップするほどマンガ業界って大変なんだな(作品中、監督がCM料をもらうためにシーンを変えるという話をとうとうと説明してたので伏線かと思いました。)と勘違いした話です。(違うから!)他、上高地では「白い上高地」や「白い白樺」「上高地の恋人」など、どう考えても「白い恋人」から取ったとしか思えない色んなお土産があって楽しかったです。
 そんなわけで上高地に行ってきました。新島々という面白い名前の駅からバスに乗り、稲核(いなこき)ダム、水殿(みどの)ダム、奈川渡(ながわど)ダムという変わった名前(全部漢字変換で出ませんでした。普通、読まないよこんな風に。)のダムを眺めまわした後、河童橋から大正池(大正時代に焼岳の噴火が原因で梓川の水がせき止められてできた池、だそうです。そのまんまじゃないですか。)までを散策し、カモに牛乳ドーナツを半分あげた後(人慣れが進むのでやめて下さいと看板に書かれてました。そのうたい文句の通り人に慣れてて、こっちがあげなくても自分で飛んで手から上手く奪い取ってました。ちなみに一緒に買ったドゥスールは親の夜食に奪われてました。牛乳系の菓子は鳥類や人類の枠を超えて人気いっぱいのようです。)1泊して帰ってきました。(翌日も散策する予定でしたが、雨が降ってたのと、全員の筋肉痛のため、予定を切り上げて早めに帰りました。)では、旅の思い出はこの辺で切り上げて作品について語りたいと思います。

 山科 望…好きでもないけど無理やりやらされて仕方なくこの世界に入ったっていう設定からして、本気で芸能界に入リたくて頑張ってる人全員に失礼だと思うんですけど…。(しかも他人が歌うのを見て自分の方が才能があるとうぬぼれるのもどうかと思う。そんなことで芸能界入りの決心を固めるなよ。)恋しないのが不幸のように表現してますが、実際の芸能人だって恋もせずに仕事一筋に頑張ってる人や、シングルマザーでも1人で仕事に打ち込んでる人が沢山いるので、恋愛しない位…苦労の内にも入らないと思うんですが。(早くデビューして母ちゃんを迎えに行くことより気がかりなことですか?)すぐにべそべそ泣くし、監督が言うような「動物的な雰囲気」も奥様が言うような「気の強さ」も正直私には感じられないし、どこが魅力的なのかよく分からないキャラでした。挙句の果てには見るからに怪しげなマネージャーに(お釣をネコババして電話をかけてまで)ついて監督を裏切ってる辺り、どうにも好きになれない人です。

 進藤 涼作…望「…じゃあ、おやすみなさい。」(そしておもむろに服を脱ぐ。)
進藤「な…何をする気だ、ばかやろう!」

…いきなり人前で服を脱ぐ望の神経にびっくりしました。(進藤さんじゃなくても、貞操の危機を感じることでしょう。)私ならいっそのこと洋服のまま寝てしまいますが(人前なら特に。下着姿で寝るのにも驚きです。)とにかく怒られる以前の常識の問題だろう、とツッコミを入れてしまいました。(こんなことで怒らなきゃならないなんて、イライラするのも仕方無いと思います。)50年ほど前にNHKの番組で女性タレントがどじょうすくいを躍って、着物の下の下帯が一瞬見えてしまったために関係者から「けしからん!」と2度とNHKの関連番組に呼ばれなかったという実話もあるので、彼の言うことは正しいのです。(NHK上層部にはまだ純情な人がいるんです。…多分。)お金が返せなかったら望は1流プロダクション入り、返せた時には売れっ子というどっちに転んでも望に都合のいい取引にも「そんな取引ありか?」と納得できませんでした。(いや、どうなっても望に有利になるように話を進めたのがこの人の手腕と言うべきか?)最初はいい加減野郎としか思っていませんでしたが、望には高価な服を買い与えて自分は散髪にも行かない辺りに(男のくせに何故ボブカット…ゲフッ!)プロ根性を感じ、だんだん可哀想になってきました。(そこまでしても、あの望は自分のために簡単にこの人の好意を裏切りそうで…ゴフッ!)

 夏ミカン(夏目 美果)…「甘いものは太るから控えてるの。」…なのに何故家にケーキがあるのかという矛盾には誰もツッコミを入れないのね、と登場早々に疑問を与えてくれたキャラ。父親の期待をきっかけに望に憎しみを燃やしてますが、演技の基礎も何も努力をしてなくて、自分のドレスを台無しにした人間(アイドルに見とれて見張りを怠った望にも問題があると思う。挙句の果てに先輩には睨まれそうになるし。)が自分より上だという評価をされたら誰だって納得いかないと思います。…と言うか、父親からまともな期待と愛情を受けていたら、この子は歪むことはなかったんじゃないかと思うんですが…2巻以降すっかり悪役に染まっていて悲しくなりました。

 山科 恵子(ママ)…遠山さん(父親)は不思議な人でした。何故、この人と…ゴフッ!(みじめな気持ちをごまかすための結婚…って男の気持ちはどうなるんですか!?そしてそれを子供の前で言うなよ!)映画の主役にこだわってましたが、「紫式部」って文学的才能は確かにあるけど(「源氏物語」は今もなお読みつがれてるし。)清少納言(主人の中宮彰子のライバルに当たる定子に仕えた才女。「枕草子」で有名。)はもとより友人の和泉式部(平安中期最高峰の女流歌人。「和泉式部日記」で有名。)にまで悪口を言ってる性格の悪い女なのでそんなに演じたがる程の役なのかは個人的には疑問だったりします。(性格はピッタリ合いそうだけど。)当時の女性にはない斬新な所は魅力だったが結婚相手としては疲れる女だったと相手の男に遠ざかれていってっしまった所(そんなわけで紫式部は17も下の若さを誇りながら夫・藤原宣孝とはあまり上手くいかなかったらしい。)や子供が生まれてすぐに旦那が病死してしまう所(結婚2年、賢子が生まれてまもなく宣孝は流行病で死んでいる。)など彼女は紫式部とダブる部分がものすごく多いのですが、これはやはり里中先生が意識したんでしょうか?

神の左手悪魔の右手

2009.09.22
 映画「DEATHNOTE」を見たとき(抽選の一カ月レンタル半額に当たったのです。)新作情報として映画紹介が載ってて、気になってつい買ってしまったホラー物。「どうせ貸すならダラダラ続いてる続き物より残暑対策にホラーのほうがいいよね。」と誕生日間近の友達に貸してしまい、ものすごく後悔したものでした。(これからケーキで祝おうとする人に、こんな食欲の激減する話を貸さんでも…ゲフッ!)

 「錆びたハサミ」…一矢先生、何でハサミ持って風呂に入ってるんですか?(ハサミで体は洗えませんよ?)泉姉さんもブラの中にハサミを入れて寝ないで(そして肉片のついたハサミがとてもきれいかどうかも疑問。)法子もスカートの中に入れた血まみれの証拠品を「ほら。」なんて御開帳しないでよ(…それまで股間に挟んでいたのだろうか?)と色々ツッコミを入れてしまいました。どうやら想にはサイコメトリー(触れた物から持ち主の精神を読み取る能力。昔のドラマ「サイコメトリーEIJI」で有名。)とプリコグニション(予知能力。映画「マイノリティりポート」で有名。)能力があって、生霊(?)になった時には左手でヒーリング(しかもかなり高レベル。)を、右手で破壊ができる(そしてその時の右手は色黒で剛毛さんで爪が長いのね、と変な所をチェックしてる私でした。)すごい主人公なのね(なのに誰も言うことを信じてくれないという悲劇がここにある。)とタイトルの意味も含めて納得した話でした。内容については、最初にハサミを拾った泉姉さんに怨念が取りついて、死体たちが出して欲しいと(うん、ますみと一緒じゃ嫌だよね…ゴフッ!))泉姉さんの体と自分達のいる場所をリンクさせた…という風に解釈しています。(法子とリンクしたのは想の超能力から来る嫌がらせだろう。)…ところで、一矢先生親子は結局あの後どうしたんでしょうか?(とりあえず、一矢先生が全裸なので服を着せてあげてから行動して下さい。)

 「消えた消しゴム」…どうやら想の守護霊はたくさんいるらしいです。(しかし、ネーミングセンスは無い想であった。)みどり先生、建設現場に落ちた時点ではまだ生きていたんじゃないでしょうか?(被せたビニール袋も足が出るからと封はしてなかったし、息はできたはず。問題は土を被せてしまってから想が戻るまでの時間…だったんだろう。)死霊となって、どこでも出入り自由になった所で正体を暴いた子供達を抹殺しようとしたんでしょうね。(埋めた場所を知ってる子全員の口を封じてしまえば醜い正体は…少なくとも当分の間は見られることはないから、ね。だから想は記憶を消したんだと解釈しています。)「あなたは想!そうなのね!そうでしょう!?」という洒落(としか読めませんでした…ガフッ!))といい、想の私服の両袖に書いてある「SOH」(想)の文字といい(どういうセンスしてるんですか、お母さん!?)名前に注目した話なのね(違うだろ!)と面白く読んでました。
それにしても大輔ちゃん位は一緒に埋め立ててほしかったです。(全く懲りてないので。)

 「女王蜘蛛の舌」…「かまいたちの夜2」(主人公とヒロインの名前を「ダーリン」と「マイハニー」にして大笑いしながらプレイしてました…ゲフッ!)の底蟲村編のラスト付近はこれのパクリかと疑ってしまいました。(最後に2世が登場する辺りも同じじゃないですか。)いくら美人でも舌が蜘蛛の形に抉れて口から血を出している女なんて怖いんですけど…あんなのがいいんですか、先生?奥様もそんな舌丸見えの笑い方をしたらドン引きされるのは分かりそうなものだろうに(「はっ!」と隠した所で遅いよ、奥様。)頭悪いなあ、と思いながら読んでました。その後、別れたその足でフィアンセの所に帰る先生に凄く身勝手を感じた(一番の被害者はこのフィアンセだろう。)大人の話でした。最後に蜘蛛を倒したはいいものの、実は蜘蛛は一匹だけでは無かったという(先生と奥様の子供だったら凄く嫌。)救われないオチが付いている無情な話です。

 「黒い絵本」…「グロい絵本」の間違いだろとサブタイトルにツッコミを入れた話。予告編から察するに映画化したのはこの話のようです。人形の話を描いた2日後の夕方にはケーキの話が完成し(そんなことの為に仕事を休むなよ!)翌日の朝には魔女の話を完成させてるという筆の速さを(他にすべきことがあるだろうというツッコミも忘れて)秘かに尊敬してしまいました。(パパ、それ殺りすぎですから!)コンビニでのバイトで、仲のいい夫婦を見て思わず絵本の完成も忘れて茫然自失してるパパに凄くリアリティを感じた(「俺、こんな所で何やってるんだろう…。」と人生に虚しさを感じてるに違いありません。そのまま目を覚ましてくれれば良かった…のに。)現実的な場面が気に入ってます。最後は「ヘンゼルとグレーテル」のように服を脱がせて煮えたぎった油につけて食べようとしてますが(ところでももちゃん、なんでノーパンなの?)物語と同じくここで失敗してしまいました。ももちゃんはこの後、おそらくは警察に保護され、児童福祉施設に入ることになるんでしょうね。(ってちょっと待て、想!裸のままの女性を連れまわさないで、上の服1枚貸してやれよ!)

 「影亡者」…とうとう霊視能力まで開眼してしまった想でした。香月先生といい(最初、派手に生理が始まったかと勘違いし、泉姉さんに「早くナプキン貸してあげて!」とテレパシーを送ってました。…生理どこの話じゃありませんでした。随分スムーズに色々な物が出てきてしまいましたが、パンティで垂れ下がりガードはできなかったんでしょうか?まさかノーパンじゃないですよね、先生?)小谷先生といい(病室の壁から首だけ抜き取られてしまった香月先生の師匠。どうやら影亡者の腕はストⅡのダルシムも真っ青な位、伸びるらしい。)霊能者が次々と殺されてしまうのに、兵藤タケル(子供の大群が何で憑いてるんだろう?まさか…水子!?)以下一般人は全員助かってるという凄い話です。ついに想のヌーメラウーメラ時のビジュアルが明らかになり(法子もみどり先生もあれでよく想だって判別できたな…あんな前髪が後退した螺子目の全裸さん、普通分からないよ。)…は、したものの、彼の正体は依然として不明なまま物語は終わってしまいました。(いいのか、こんな終わり方で…ゴフッ!)影亡者もどうやら逃げ切ってしまい猿に取りついたようですが、今度は多分猿にしか犠牲者は出ないと思われるので(しかし、猿のトップになんか立って何になるんですか、影亡者?)当分の間は平和に過ごせるのでしょう。ハッピーエンドというには余りにもおどろおどろしい雰囲気のまま終わってしまい、個人的には納得いかないのですが終わってしまったものは…仕方ないですよね。
愛人申込みまでOKしてしまったみよ子さんも、その後どうなったんでしょう…ガフッ!

虹の戦

2009.09.21
 超有名な戦国武将・織田信長…の正妻の濃姫(本名・帰蝶姫。濃姫は美濃から来た姫という事でついた俗称。紛らわしい為かこの話では濃姫で統一されていた。)の話もあり作者の解釈の個性的ぶりに面白さを感じた(ジャンヌ・ダルクもそうでしたが美内先生の描く実在人物ヒロインはどうにもイメージから外れます。それもまた良し!←え?)話でした。歴史物は「史実」を解釈した作者の個性が出てくるので2倍楽しめるのが嬉しい所です。

 虹の戦…濃姫「たとえうつけ者であろうと夫となったその方をいつか心の底から愛するかもしれません。その時はこの刃、お父上に向くやもしれませぬ。」
斎藤道三「それでこそマムシの娘。男は外で戦をやり、女子のそなたは家にて愛の戦をやる。全てこの世は戦じゃ!尾張で戦こうて参れ!武運を祈っておるぞ、帰蝶!」

作中では省かれているとはいえこの濃姫が嫁いだ信長は吉乃他側室達に20人以上も子供を産ませており(つまり他の女に手を出しまくっている)しかし濃姫との間には一人も子供を作っていない(斎藤道三との重要なパイプ役であっても女としてのお気に入りだったとは思えない)事実から、愛の戦には負けたんだろうなとラブラブな本編に反してツッコミを入れてしまいました…ゲフッ!(「この戦、濃の負け戦。」by濃姫)道三が会見に際して信長を討ち取ろうとした所、歩兵200、弓兵500、鉄砲隊500、騎馬隊200、長~い槍隊600の総勢2千の軍勢に圧倒され、服装(茶筅まげ、機能性を重視したNO袴NO袖スタイル、荒縄の帯)を理由に無礼討ちにしようとしたら非の打ち所のない礼服で登場したエピソードは有名でここでもしっかり描かれている様が嬉しかったものでした。最後に彼を本能寺で打ち取る明智光秀(濃姫のいとこ)が序盤でもちゃんと描かれている辺り物凄く調べたんだなあ~と感心した短編でした。(どう考えても濃姫はこんな可愛らしい女性ではないでしょうが…ゴフッ!)

 雪の音…キルメニイ「目の手術に失敗してからバートはすっかり気難しくなって花すらプレゼントしてくれなくなったのに、どうやって指輪を貰える程に彼をたぶらかしたの!?」
ポリー「被害者顔してるけど愛人を作って充分お楽しみなあなたに『裏切られた婚約者顔』する資格は無いわ!」

家が破産して貧乏に耐えきれず美しさを武器にした(好みじゃないけど財産目当てでバートの婚約者になった)そこまでは理解できても婚約者を影でコソコソ裏切って(目が見えなくなってからはさらに堂々と内通して)他の男と(色々な意味で)遊んでいる様にはもはや誰も共感してくれないだろうとポリーの最もな怒りに頷いたものでした。それでも愛人の方を真実愛してしまったのならまだ情状酌量の余地はある(かもしれない)のに婚約者の目が見えるようになると分かればサッサと愛人を捨てている(目の前でキスまでしておいて追い返している。結局バートに対しても愛人に対しても愛なんて微塵もなく都合に合わせて利用しているだけなのだ。)様にはバートでなくてもこの女を見限るだろうと展開に納得できてしまいました。婚約者の為に愛人を捨てた(ちゃんとケジメをつけた)以前に、今まで平然と裏切り続けてきた彼女の素の姿(ケジメをつけたのは化けの皮がはがれそうな自分の保身の為で「人の目」が無ければ平気でそんな事が出来るこの女の本性)がもう人間として信用できないだろう(そりゃ、バートも人間不信になるわな…ゲフッ!)と内面を見てポリーの方を選んだバートの正しい選択に拍手した話でした…ゴフッ!

 雪の日…さとる「いつか僕達が兄妹じゃなくなったこの雪の日の事をパパやママに話す時が来るだろう。話していいね?」
万里子「その前に昨日交際をOKしたばかりのさとるちゃんの親友に話さなきゃ…。」
さとる「…あ。」

男の友情は女の前には儚いという話でした…ゲフッ!(どうせなら紹介する前に告白しておけば良い物を…。)両親は隠していたつもりだったらしいですが2人共互いに血が繋がっていない事は遥か昔から知っていたという経緯には寝ている隣の部屋でベラベラ話したり、書き損じた(真実が書いてある)手紙を何も考えずに子供の手の届くゴミ箱に捨てたりしていれば、そりゃ、バレるだろうともツッコミを入れてしまったものです…ゴフッ!互いに自分達は手を出して良い間柄(良くねえよ!)だと分かっていながら10年以上も辛抱を続け、両親がいない家の中に1晩2人きりだというチャンスてんこもりな状況の中でも1線は超えない純情な2人に思わず拍手もしたものでした。(こんな状況でキス止まりで済むものなのか…ガフッ!)どうやら隠し事への対処の仕方はともかく育て方は素晴らしい両親だったようです…ゲッフン!

 ふりむいた風…南条「通り過ぎた風はそれがどんなに良い風でもどんなに懐かしくても2度と戻ってくることは無い。でも、もしも風が振り向いてたとえ一時でもその時に戻る事が出来たなら、そうなったらどんなにか…。」

風(桃子)の去った後も気持ちはそのままなのに彼女はすっかり忘れ去って新しい彼氏を作ってしまっていた(「ふ…8年間、長いね…。」by南条)という現実が死期が近いという事実も含めて胸に痛かったです。長い事祖父の元で育てられ、祖父が死んで預けられなくなってから初めて仕方なく引き取った母親(「この子さえいなければ都合が良かったのにと憎んだこともあったのです!」と実の母親から始めから厄介者扱いされていた)金持ち南条家の息子だからと群がってきた友達、と彼を条件の元に選別してきた人達の中で桃子は唯一「無条件」に彼を受け入れた人物ではあったのでしょうがそれは彼女の素であって好きな人だから特別扱いしていた訳じゃなかったというオチもありました…ゲフッ!思い出が蘇って両想いになった所で今度はK君(風)が桃子の元から逝ってしまったのですが最期は「その時」(彼女に愛された特別な一時)に戻れて幸せの中で死ねた事が救いでしたかね…?死後も元彼の元に戻ろうとはせずK君のノートを抱きしめて彼との思い出を感じている主人公に好感が持てた話でした。

 クリスマスの奇跡…「20年正確な時を告げてきたあの時計塔が、その日何故5分遅れて鐘が鳴ったのか、結果として校庭に誰も出る事なく飛行機が墜落しても死傷者ゼロで済んだ事実に町の人達は奇跡と話している。」

20年も経っていればガタがきても仕方ないよ(たまには5分くらい遅れるさ☆)と偶然に冷静にツッコミを入れてしまったものです。(オイ!)世界でも聖歌隊員が皆それぞれの理由で遅刻したところ教会での爆発事故から全員が逃れることができたという「偶然の事例」がありますが、その話を思い出したエピソードです。他、絵本の登場人物が本当に現れたり、鼻にキスされたら赤くなるのが治ったり、サンタクロース(宇宙人)がやってきたり「クリスマス当日」に起こったほほえましい(どころじゃない話もあるが)奇跡の数々に笑みが出てしまったものでした。

大人も眠れないほど恐ろしい初版グリム童話

2009.09.20
 前作で詰め込み過ぎで却って分かり辛いきらいのあった由良弥生先生のグリム童話小説集ですが、今回はそんな欠点を感じてか前作よりもシンプルになって分かりやすく仕上がっており(前作よりは…ね。12人兄弟など場面がコロコロ変わったりアイテムの意味が今一つ分からなかったり話を追い辛い話はやっぱり有りましたが…。)読みやすく感じた話でした。ベストセラーになるだけの事はあります…かね?

 いばら姫…仙女1「私は姫様に殿方の心をひきつける人間としての徳を授けましょう。」
仙女2「私は姫君に殿方が心を奪われるほどの美しい体を授けましょう。」
王「男ウケを考えた贈り物ばかりかい!」

そんな考えられる限りこの上ない豪華な魔法が10個以上も授けられた姫なら出会った時に思わず本妻を忘れて夢中になってしまうのも分かる気がしますが(10個以上の美点を兼ね備えた姫相手に一般人女性は勝てないだろうなあ…ゲフッ!)それでもあっさり捨てられた本妻が哀れだと復讐に走る彼女の姿は今一つ責めきれなかったものでした。王子様にしたって100年目の月日が流れたから時効効果で姫の所まで辿りつけただけですし本当に彼が運命の人なのか姫が疑問に感じるのにも納得した話でした…ゴフッ!

 悪魔の三本の金の髪の毛…妻「なんて乱暴な男だろうね!こんな暴力を振るうから私はアンタに愛想が尽きて他の男が欲しくなるんじゃないか!」
悪魔「何だと!俺がお前を殴るのはお前がこの家に他の男を連れ込んで浮気するからだ!」
妻「好いた男を家に入れたとたんアンタは八つ裂きにして食べちまうじゃないか!」
悪魔「お前が食事もくれないからだ!」

お互いに悪い事をしているのは確実なのに(夫がDVなのは浮気して良い免罪符にはならないし、妻の浮気相手だからといって殺していい理由にもならない。)互いに相手に責任をなすりつけるどっちもどっちの嫌な性格夫婦だな、と地獄に落ちている(住んでいる)理由には納得がいったものでした…ゲフッ!(「50歩100歩」と言うのか「卵が先か鶏が先か」と言うのか…ゴフッ!)それでも一緒に住んでいる辺り、まだ愛想は尽き切っていないのだから(本当に嫌い抜いていたら身一つでも、慰謝料が無くても人は家を出て行くものなので。「熟年離婚までは頑張る」などの打算があるとまた話は変わってきますが…ガフッ!)一歩譲って相手に愛情を持って接すると関係も改善するという教訓話でした。だったら始めからそうしろよというツッコミは却下です…ゲッフン!

 白雪姫…王子「私は白雪姫を見ないでは、もう生きていられない。この世で1番大切なものとして敬い大切にするから是非私にくれないか?」
小人「それでガラスの棺と合わせた重たいセットを誰が持ち運ぶんですか?」
王子「私の召使い達に決まってるじゃないか。」
召使い(なんだって…!?)

おかげで無駄な仕事を増やされた召使いが「何でこんな死体の為に毎日重い思いをしなきゃならないんだよ!」とキレてひっくり返したおかげで白雪姫は見事に毒リンゴを吐き戻し(よっぽど乱暴に転がされたんでしょうね)息を吹き返したのでした…ゲフッ!また、生き返ったその翌日に結婚式を挙げているのにお母様が出席できた事より白雪姫の故国の政務はよっぽど暇だったのか王族自ら国務をほっぽらかしにしているのか(女王自ら白雪姫殺害計画の単に変装して遠出している位ですからね…ゴフッ!)ともあれいきなり女王様がお亡くなりになっても何も困らない体制は出来上がっているだろうなとその後には心配しなかったものでした…ガフッ!

 強盗のお婿さん…王子「愛しい姫よ。あなたは私の婚約者なのに私の城を訪れてはくれないのですね。」
姫「ええ、王子様。男の住処に女1人であがりこむなんて貞操の危険を感じる真似を1国の王女である私がする訳ないじゃないですか。」

そもそも1国の王女が共もつけずにお出かけするなんて事があり得るか!(庶民の恋愛沙汰と違い事件や事故に巻き込まれた場合、国家規模の大問題になるというのに!)とツッコミを数多く頂いたのか第2版以降からは王子様→お金持ちらしい男(あんな異常な性癖のある王子にはむしろ嫁など与えずに座敷牢にでも入れた方が良い。)国王とお姫様→粉ひきとその娘(文字通り「体目当て」なのだから立場ある女性である必要はない。むしろ貧乏人の方がこの縁談を惜しく思って心ならずも了承はするだろう。)と置き換えられたそうです。メルヘンというファンタジーでもリアリティはそれなりに必要だよねと私も変更に納得したものでした。

 神様の召しあがりもの…妹「姉さんはお金持ちですもの。子供もいないから世話なんてしなくて良いし本当に羨ましいわ。余裕があるんだから食べ物くらい恵んでくれるわよね。」
姉(誰にも愛され、チヤホヤされつけているから素直に人に頭を下げる事が出来ない。昔からこういう奴だったわね…。)

姉の心が一瞬で石に変わる訳だと展開に納得したものでした…ゲフッ!(そりゃ、追い返されるだろ…ゴフッ!)対等の立場として話をした事もろくに無く、常にみそっかすとして眼中にも入れてなかった(自分よりは1段下の人間として見下していた)姉に今更へりくだって頼みごとをするのに抵抗があるのは分かりますが、人に物を頼む態度位は弁えておくべきでしたね。どうにもならなくなってから他の人間に縋るのも迷惑な話ですし何より妹の変なプライドのおかげで助かる事も出来なくなった子供達が哀れ(「困っていたのならもっと早く訪ねてきてくれれば良かったのに、こんな可哀想な死に方があるものか!」by義兄)だと、いつまでも大人になりきれていない妹にツッコミを入れてしまったものでした。(下げたくない頭を下げるのが大人というものですよ、妹さん。頭を下げたくないが為に子供を飢え死にさせないで下さい!)

 十二人兄弟…兄弟達「自分達から母を奪ったのも、父に恨まれるのも、城という楽園にいられなくしたのも全てまだ見た事もない妹という幼い女の所為…。」

だから「女」は全て罪深い存在なんだ!と全く関係の無い森に迷い込んだだけの赤の他人の女性を全て強姦→ポイ捨てしてきたのに相手が当事者である妹と分かったとたん「えらい罪を犯す所だった。」(何を今更…。)と急に態度を変えた兄達に「…?」と感じたものでした。(むしろここは「何と、貴様が俺達の妹なのか。」「お前のせいで俺達はこんな境遇に落とされたんだ。許せない!」と狩りが始まってしまう場面の気がしますが…。)厳格な父親に嫌気が差し、粗暴な兄達に幻滅し、結婚した先でも姑に不満を持って上手く暮らせない妹の健気な顔の裏でのワガママさにあまり共感もできず微妙に思えた話でした…。

 踊ってすり切れたダンス靴…末の姫「お姉様方はお父様との生活を捨ててそちらの世界を選んだのよ。そこで裸足のまま永久に王子様と舞踏に興じるといいわ。」
姉姫達「靴が無いと踊れないじゃないの!」
末の姫「靴代がバカにならないじゃないの!」

城にも帰って来ずに無断外泊を繰り返していた(自分から家を捨てていた)くせに都合のいい部分(靴)だけは甘ったれようなんて勝手な娘達だなあ~と感じたものです。「帰らない」(自分の意志次第で融通がきく)のと「帰れない」(完全拒絶されて不可能)は大きく違うとはいえ元々家や家族を大切にしていなかった人間が完全に失って初めて惜しくなったと言っても自分が招いた結果(家族に愛想を尽かされるだけの事をしてきたせい)で同情は出来ないと思ってしまいました。家を失いたくなかったらまず毎日帰って家族としての義務を果たす事から始めるべきですよ、お姉様達、とツッコミを入れてしまったものです。

 唄う骨…骨「兄さん達はおいらを殺し橋の下に埋めたんだ。猪の為に王様の娘さんを貰う為に…。」
王女「あなた、これでも言い逃れをしようというのですか。潔く罪を認めなさい。」
長兄「お前!妻のくせに俺を見捨てようというのか!」
王女「汚らわしい。侍女達と浮気しまくって私のプライドを傷つけた男に私の夫たる資格はありません。」

女性を怒らせると後が怖いという話でした…ゲフッ!(浮気に関しても殺人に関しても普通に考えれば許されるはずの無い事だと分かるはずなのに浅はかな考えで悪気さえなければ結局は許して貰えると甘く見ているからしっぺ返しを食らうんですよね…ゴフッ!)この話で1番哀れなのは息子を3人とも失ってしまった母親と言えるでしょうね。(兄貴2人はそろって弟を殺した罪の結果なので自業自得ですが。)他人の力を利用して狡い手段を使って美味しい思いをしても、いつかは全てが明るみに出る日が来るという話でした…ガフッ!

 三人軍医…女中「ない!軍医さん達の手首と目玉と心臓が…。」
男「大丈夫だ。絞首刑になった泥棒の手首と猫の目玉とこないださばいたブタの心臓を頂戴しよう。」
女中「全部その泥棒の死体から取ればいいんじゃないの?」

わざわざ動物の臓器にしなければ窃盗癖(手首)はともかく色盲(猫の目)と汚物好き(ブタの心臓)はなんとかなったのにね…ゲフッ!ともあれ他人の臓器でも機能する魔法の薬の効き目が証明された訳ですし今からでも墓泥棒をして真っ当な人間の部品を頂戴すればすぐに治るんじゃないの?と騒いでいる軍医達にツッコミを入れてしまったものでした。(大事な「お道具」は他人に預けずにちゃんと自分で管理しておくべきでしたね…ゴフッ!)事の顛末を招いたのは女中なのに管理監督責任として有り金全部手放した挙句に大事な飼い猫を殺される羽目になった宿屋の主人に同情した話でした…ガフッ!

 ホレおばさん…母「マリア1人でこれだけの黄金が貰えるんだ。エリザベートも行かせれば倍になって一生贅沢をして遊んで暮らせるじゃない。」

慎ましく家の事をきちんとするいい子ブリッ子のマリアは生活上の助けにはなっても母親の心の慰めにはならなかった、家政婦能力はあっても話していてつまらない面白みのない女だった事が分かりますが、そんな自分のワガママ(性格の好みだけで娘をえこひいきしている)からマリアを追い詰め(ホレおばさんの所に行きつけなかったら彼女はそのまま井戸で水死している。)可愛がっていたエリザベートさえ黄金欲しさに死なせてしまったこの母親は明らかに母親失格で(子の幸せを願うのが親の役目なのに、この女は自分の幸せの為に娘を犠牲にしている。)結果として美しい娘を2人共失ってしまった結末には自業自得だとツッコミを入れてしまったものでした。まず親として大人になるべきでしたね、この女性は。

大人もぞっとする初版グリム童話

2009.09.19
 本の最後にあるように大量の参考文献を読んだ事もキリスト教の教え(当時のヨーロッパにおける庶民の倫理感)についても調べた事も分かりますが色々話に取り込もうとしたせいか「詰め込み過ぎ」で話が分かり辛いのが難点でした。(知識面に焦点を当てるとトリビア満載で面白いんですが、ストーリー面においては「…。」と言った所で…ゲフッ!)作者は由良弥生先生の小説ですが元々のグリム童話はグリム兄弟がまとめたものですし敢えて不特定多数のカテゴリに入れて語ってきたいと思います。

 ヘンゼルとグレーテル…父「森へ捨てたら生きのびるかは子供達の運次第だ。自分達が手を下す訳じゃない。神様もお許し下さるかもしれない…。」

子供を見捨てることを考えているくせに表面ツラだけはあくまでも良い人間と思われたいと自分の口からは子捨ての計画を言い出さない父親(でも道標さえ作れないように綿密に計画して実行している。)に偽善を感じました。(「もう辞めよう。子供達を捨てる位なら一緒に飢え死んだ方が良い。」「何、バカなこと言ってるんだい。アンタに死ぬ度胸なんてあるもんか。」と全てを見透かしている母親のセリフが印象的でした。)魔女の正体については結局最後まで謎が残りましたが本当に実の母親だった場合いくらなんでも一目で気づくだろう(お菓子の家が作れるほど食料のある家で子供(食い扶ち)を捨てねばならないほどの危機感など無い。)と思われるので性格が似た別の老婆に過ぎなかったのでしょうね。多少分かり辛かった話でした。

 トゥルーデおばさん…娘「あたしはもっと自由に生きたいのよ!」
父「自由だと!?バカも休み休み言え!親の言う事もからっきし聞かずにそれを悪いとも思っていない、苦しみしか与えない娘のくせに、これ以上好き方題しようというのか!」

親に見捨てられても仕方ない娘であっても折檻はしなかった辺りに親の愛を感じました。(思えばそれこそがいけなかったのでしょうが。)メルヘンの女主人公の典型として常に清く正しく美しくその上従順で辛抱強いという性格があげられる(もはや女というより人間の域を超えている。)のに反してふしだらで間違っていてその上反抗的で我慢が出来ない彼女は始めから不幸な結末しか道が無かったのでしょうが全ては自業自得(性的放埓が見られた上流階級でなく厳しい戒律に縛られた庶民に生まれてこんな(性)生活をしながら厳しく糾弾されない辺りで既に恵まれている。旧約聖書の掟「モーセの律法」においては石殺しの刑によってなぶり殺されるべき女性なのにね。)なのでトゥルーデおばさんの魔法によって殺されてしまってもまるで同情できませんでした。どうしようもない状況になってから都合良く親に縋ろうとしても、もう遅いんですよね…。

 長靴をはいた猫…猫「可愛そうな野ウサギちゃん、世間の掟を何もご存じないね。」→王さまへの献上品
猫「王様!お助け下さいませ!ご主人が溺れている間に盗賊に服を盗まれました!」→上質の服を着服
猫「王様にこの土地は誰の物かと聞かれたらカラバ侯爵様の物と答えるんだ!」→土地横領

かつて子供向けの話を読んだ時も思った事ですが猫が一人で頑張っているだけでカラバ侯爵は何もしていないじゃないか!(何もせずして手に入れた富と名誉…ゲフッ!)とツッコミを入れてしまいました。有能な猫ですが、これだけ知恵と機転を働かせられるだけの才覚(もはやプロ顔負けの詐欺師である。)があるのなら役立たずの末息子など見捨てて自分で富を築く方が早い気がしますが変な所で忠義心は強かったようです。良い部下(猫)に恵まれて良かったね(猫がいなかったら何も出来ない男なのにね。)と人(猫)に恵まれたカラバ侯爵に拍手してしまったものでした…ゴフッ!

 わがままな子ども…大司教「親に背き神に背いた生き方をしたこの子が救われる為にはお前たち両親がこの子に鞭をふるって正しい道に導くしかないのだ。」
母親「私、やります。この子の為ですもの。それに、もう皆さんに迷惑はかけられない。私がやるしかないのです。」

「あまりに行いが悪いから神様に見放された」とまで言われた息子でしたが死後であっても「悪い事をしたら痛い目を見る」という当たり前の教訓を学んだ事でようやっと周りの人に迷惑をかけることを辞めたようです。(何度も死体を埋め直す羽目になる村人達は死後もいい迷惑でした。)相手が幼い子供であっても自分から改める気にならなければ性格は直らない、言いつけを守らない人間には制裁を加えるしかない(キリスト教においても「親の言う事を聞かない子供もまた、ふしだらな女と同様に石殺しにせよ」という掟がある。)という教訓を感じた話でした。

 灰かぶり(シンデレラ)…父「この屋敷はあの娘を閉じ込める為の物だった。あの娘の邪眼を封じる為に母親以外に会話することを禁じていたのに…。」
継母「…どんな娘ですか?」

邪眼を持つ者はその視線一つで相手に災いを与える事が出来る…のなら始めからその力を使って継母達を追い出せば良かった話であり父親もその秘密を知っているのなら座敷牢にでも閉じ込めておくべきだったと思うのですが…ゲフッ!ちなみに大きなガラス窓もまだ作ることができなかった(のでガラス窓すらおしゃれな枠組みを使って「小さい」形ではめ込むようにしている。)この時代にガラスの靴(ガラス細工)などまずあり得ない話(そんな硬い靴を履いて歩いたら足が痛いだけだろう。)でこれはVair(皮の材質の一種)をVerre(ガラス)と間違えてしまった為の翻訳ミスからきた誤植と考えられるそうです。ともあれこんな邪悪な娘が王后となってしまってこの国は大丈夫なのかハッピーエンドの後が物凄く心配になってしまった話でした…ゲフッ!

 千匹皮…千匹皮「あの方はお父様よ。私はお父様の娘だわ。」
母(いいえ、あの方はあなたの…私の愛しい花婿よ!)
千匹皮「人の心身を乗っ取るな!」

どうやら母親は死んで以来たびたび娘の意識を乗っ取るようになったらしく完全に乗り移って国王への歪んだ愛を貫いている様(ラストでは声が聞こえるだけで済んでいた母親がとうとう娘の体を完全に掌握して自分でしゃべっている。娘の人格はその後消滅してしまったのか王子が生まれる頃には最早悲鳴すら聞こえなくなってしまった。)には犠牲にされている真っ当な倫理観を持ち合わせた娘が哀れに思えたものでした…。しかもお母様は娘に乗り移って2度も人生を謳歌しながら「今度は王女(身代り第2号)が欲しいですわ。」とまだ懲りていない様子で思わずいい加減にしろよ、このダメ母親!とツッコミを入れてしまったものです…ゲフッ!

 赤ずきん…赤ずきん「おばあさん、どうしてそんなにお口が大きいの?」
オオカミ「お前を食べる為さ!」(ガバッ)
赤ずきん「食べるってそっちの意味かよ!」

文面的に分かり辛いですが「体のどこか(=股間)で引き裂かれるような激痛が走った」「狼の荒い吐息の表現」など赤ずきんは別の意味で食べられてしまった事が分かります。が、相手がお婆さんだと思い込んでいたとはいえ言われるがままに服を脱いで下着姿でベッドに入るのは年頃の娘さんとしてあまりにも迂闊で浅はか(というか、いい歳をしておばあちゃんと一緒に寝るのはおかしいから!)でありお婆さんの正体が狼でなくてもいずれこの考え無しの娘は男にホイホイと騙されて頂かれていたろうな、とげんなりしながら思ってしまいました…ゲフッ!おばあちゃんの「ちゃんとお母さんの言いつけを守らないとまた同じ目に遭うかもしれないよ。」という忠告は正鵠を得ているとも実感してしまったものです…ゴフッ!

 ガチョウ番の娘…侍女「私と入れ替わってこの事は人と名のつくものには毛ほども話しませんって誓いなさいよ。」
ファラダ「そんな人の言うなりの姿を母上がお知りになったら情けなくて胸が張り裂けてしまうでしょう。」

「今でこそ天にも地にも見放された私だけど本当は王女だったのに!」と嘆く位なら最初から毅然とした態度で拒絶していれば良かったでしょう、王女という名の「ご主人様」は貴女だったんですから…と思わずツッコミを入れてしまったものです…ゲフッ!(「これでお母様の心臓が張り裂けてしまったらどうしたらいいの!?」も何も内気で流されるままに侍女にへつらった王女自身が招いた事であってどうしようもなかった不幸(何をしても変えられなかった悲劇的運命)とは完全に別物だったような…ゴフッ!)言う事を聞いてはいても自分の中には秘密を守り通す信念も無く人に良い顔をしたいだけの上っ面のええかっこしさしかない姫ではバレるのは時間の問題だったとはいえ、おかげで殺されたファラダはいい迷惑で「…。」と思えてしまいました。この姫が最初から正体を話していればファラダも、そしてまた侍女本人も殺される事は無かったのではないでしょうか?

 兄と妹…継母「王妃は魔女なんだよ!」
国王「魔女はそなたたちの方だ!」
継母「国王様!私達の話を聞いて下さい!」

継母にも確かに魔力はあったのかもしれませんが、妹と近親相姦をして「こんな俺は森の獣に食べられちまえばいいんだ!」(そんな真っ当な倫理観を持ち合わせているなら始めからヤルな。)と出ていこうとした兄をタイミング良くノロジカ(自分に飼われるペット)に変えたり、国王と結婚して体裁を整えてから元の人間の姿に戻したり(「お前は結婚したんだね。」「ええ。だから私と関係を持ったことや、生まれた王子が何故かあなたに似ている事も大昔に終わった過ちとして一切気にしなくて良いのよ。」「…良かったね…って本当にこれでいいんですか王子様!?」)王妃もまた魔女で都合良く魔術を使っていたことが分かります。(継母に監禁されていたのに何故かお乳をあげに来ることはできたという事態からして異常。)魔女狩りが盛んな時代だったのだから魔法は隠れてこっそり使わなきゃねという教訓話でした…ゲフッ!

麦とぶどうの恵みより

2009.09.18
 黄金の拍車シリーズ5作目です。中世カトリック教会に関する資料(普通の本屋に売っているような本では到底カバーできないようなマニアな知識)を買いに行こうとした所その週一杯お盆休みで買えなかった(カトリック教会付属の書店で何故、仏教の行事である「お盆」休みに!?)という事情も有り執筆が散々遅れ、合わせて絵担当の方もお宅まで資料を取りに行くほど切羽詰まったスケジュールだったそうです。(それで発行が遅れたのか…。)ちなみにこのシリーズも次巻で再度最終章を迎える(5冊以上行ったという事はやっぱりそれなりの人気は有ったんでしょうね。)そうで、どんな終わり方をするのか楽しみな所です。

 デ二ー…「明日以降は何もかもが上手くいくはずだったのだ。」

物語開始2ページ目にして既に死んでしまった登場人物です。正しく殺意をもって殺されたというのに大司教ウォルター・ジファード毒殺(の実験台)の疑いから真相にたどり着くまでも大分遅れてしまい、周りの人達からの関心の無さ(「誰が何の為に奴なんかを殺す『手間』を掛けるって言うんです?元々死んでようと生きてようと大差無いような奴だったのに。」と誰もデ二ーの死を気にしていない。)も合いなって事件解明はズルズルと放置されてしまっていました。実際には神に仕える待祭の密通のネタを握って脅迫した故に相手から口封じに毒殺された立派に動機のあった殺人事件だったのですが、それ以前に皆が彼に無関心だったという人気の無さから死んでもスルーされてしまったデ二ー。人望があるという事は大切な事なんだと実感させてくれる実例です…ゲフッ!

 マギー…「父は母を騙し貧しいまま放置した。娼婦だってお金を貰えるのに、それ以下の扱いをしたのよ。」

恋に目を曇らせたまま死んだ母親にとっては貧しさも苦労も日陰者になるのも「献身の喜び」に変換できたのかもしれませんが、恋情など抱いておらず事実関係を冷静に見れる娘にとっては避妊もしないでセックスし養育費も渡さずに放置して1人大聖堂で悠々自適に暮らしている父親に嫌悪感を覚えるのは当然のなりゆきだろうと私も納得してしまいました…ゲフッ!(金はあるけど噂が怖いから渡さないって…文字通り父親が自分で撒いた種で全ては自業自得でしょうに責任は取りたくありませんと言うのは勝手過ぎるだろと恨まれる展開に頷いてしまいました。)彼女が作った毒入りの菓子は他にも毒が盛られていた為に父親の死因とはなり得ませんでしたが(2重に毒を盛られていたなんてどんだけ恨まれていたんですか、ファーザー・セオドア様!?)殺したくなるほど憎しみを募らせる動機は十二分に理解できてしまった登場人物でした…ゴフッ!大聖堂という神聖な場所なのに昼メロ並のドラマが繰り広げられています…ガフッ!

 セオドア・ネヴィル…「娘が自分を恨んでいる事は知っていた。『妻』が死んでも何もしなかった事を詰った。娘の目には憎しみが宿っていたがそれを真っ向から受け止める事が自分にできる唯一の償いだと考えた。」

そこで(同じ毒入り焼き菓子を食べて死ぬにしても)自分の立場も顧みずに娘に財産を分け与えた、父親としての扶養義務を遅ればせながらでも果たしたというのだったら、まだ感動できたんですけどね…ゲフッ!(娘になら殺されても構わないという自己陶酔以前に、そんな事をすれば娘は親殺しとして重い罪を背負い一生を台無しにしてしまうとか、実の娘のその後の心配はしないんですか…?)結局、この人にとっては聖堂参事会員として神に仕えることが何より大事で妻も娘も世間体以下だったという真実しか伝わってこずに全然共感できなかった人物でした。(「娘に責められるのから逃げもせずに受け止めている俺、エライ!」とか言われても世間から非難される展開からはまんまと逃げおおせて隠蔽に走った人間が何言ってるんだか…としか思えない。)本当は妻も娘も愛していて頭の中だけでは気にかけていた(母娘に経済的な援助をしたいと思ったが思っただけで実行はしなかった。その頭の中だけで自己完結している感情を人は妄想と言う。)と懺悔で書いても彼が何より一番愛していたのは自分の世間体だった事は見え見えで娘に恨まれるのも納得の身勝手ぶりです。母親の葬式にも顔を出さない親父では実の娘であっても毒を盛りたくなるだろうと展開には納得してしまったものでした…ゴフッ!(正確な死因はエグバート待祭が持ってきた毒入りワインの方で実際には娘は親殺しをせずに済んだ訳ですが何はともあれ娘のこれからがおぼつかない展開は変わらない。父親としてどうなんですか、それは!?)

 エグバート…セオドア「神に仕える身である以上、愛人とは手を切るように。別れないのであればこれを公の問題にする。」

愛人に子供まで産ませて死ぬまで隠蔽したアンタに言われたかないわ!(むしろ愛人とずっと切れもせずに菓子を届けさせてラブラブしていたアンタこそ公の場で裁かれるべき人間だったろう。)とセオドア様にツッコミを入れてしまった説得でした。(セオドア様、人を責める立場に立つなら自分の手が汚れていない人間でなければならないという「クリーンハンドの法則」って知っていますか?)結果としてエグバート待祭が毒を持ったのは秘密を知って強請ったデ二ーとセオドア様の2人だけで大司教ウォルター・ジファードは病による全くの自然死だった(毒など盛られておらず助かりようが無かった)事が判明し無駄に動いた挙句に毒殺されかかった主人公2人に同情もしてしまったものです。最後は愛人を殺そうとしたのも見つかってヤケを起こして飛び降り自殺を図った彼。リチャードがとっさに射殺してくれたおかげで「自殺」にはならなかった(か、どうかは微妙)なのが唯一の救い…ですかね?(クリスチャンにとって自殺は罪であり死んだら地獄行き、墓にも入れなくなるので他殺の方がまだ幸せな死に方ではある…理論上は。)愛人と気晴らしをして知られた人間は毒殺する彼といい、被害妄想100%の誹謗中傷手紙を出すウィリアム・ウィックウェイン聖堂参事会員といい神父様が集まる場所(大聖堂)にしてはここにはエグイ人間しかいないと幻滅もした物語でした…ゲフッ!

花嫁の立つ場所

2009.09.17
 黄金の拍車シリーズ4作目です。今回は著者の近況の代わりに同人誌に掲載された巻末漫画が再録されていますが、なんというか昔の方が絵が綺麗で丁寧で現在の劣化の程が改めて実感できただけに思わず悲しくなってしまったものでした。(トーンを使わなくなっても「丁寧に描かれていた」点では短編集の頃が1番上手かったけれど、今は…。)足の無い獅子シリーズは買っていたのに新章に入ってから買わなくなった友人の動機がちょっと理解できてしまった(要するに、挿絵の為だけに買ってたんだな、あの人…。)そんな巻でもありました…。

 ピート…給仕「モニカは十日ほど前、仕入れに行ったピートが荷馬車で帰ってくる途中、道に倒れていたのを見つけて、そのまま『拾って』荷台に乗せてきたって言うんです。」
ギル「何だそりゃ。どんなギャルゲーのフラグだよ!」

合コンにも結婚相談所にも行かないまま恋人が空から降ってきた(出会う努力を何もしないまま都合の良い相手が転がり込んできて一気に同棲まで関係が進む)なんて、そのまんまチープな恋愛漫画じゃないか(もう既に古いネタですよ、それ…ゲフッ!)とツッコミを入れてしまったピートの春でした。とはいえ妻も息子も昔に亡くしてこのままリチャードの保護者で一生を終えるのもどうかと思っていたので嬉しいフラグイベントではあったのは確かです。そんな訳でタイトルは「花嫁の立つ場所」となっているもののリチャードもギルフォードも結婚した訳ではなくピートの元に嫁が来ただけという女性読者を手離さない展開で話は終わるのでした…。(ジェイン達娼婦の皆さんの立場はどうなってしまうのか一瞬真剣に心配したというのに、紛らわしいタイトルをつけないで下さいよ、もう…。)

 モニカ…「もっと前に彼に出会えていたら…。」

男の価値は若さの度合いじゃないと同世代の夫レムとの大失敗した結婚生活において学んだだけに、見る目は確かになったようです。(寡黙だけど誠実で男らしいピートを選ぶとは中々見所があるじゃないですか。)挙句に当の相手(ピート)が自分を庇って傷を負いながらも暴漢から救い出してくれた(…という役目は大体男主人公こそが引き受ける場面なんですけど、何やってるんだ、2人共。)とあっては惚れ直してしまうのも仕方ないですよね…ゲフッ!お互いに自分の子供を失くした経験を持ち、だからこそ絆が深く築けそうな2人。正反対の性格で補い合って良い夫婦になりそうだと結末に頷けたものでした。(それにしても下手したら1ダース以上年の離れた相手と再婚したなんて、ある意味武勇伝である。この時代じゃ珍しくない年の差なのかもしれないが。)

 オーソン…「ネッドとマイクは主人の金と共に城から姿を消していました。彼らはその犯罪を俺がやったものとして吹聴し多くの者がそれを真に受けて俺を罪人として裁こうと待ち構えていたのです。」

無断外出と失踪を繰り返す前にそれを説明してよ…!(そうすれば犯人探索の為と分かるし助力もできたではないですか。)とツッコミを入れてしまった書記の不審な行動でした。結果として彼は罪を被せられただけの被害者だったわけですが城という「組織」で働く以上は(住み込みで24時間仕事先と関わっている状態ならなおさら)報告・連絡・相談が必要だという常識も学ぶべきだと語りかけてしまったものです。今回の主要登場人物の一人ではあるのですがモニカの昼メロストーリーが印象的過ぎて存在感の薄かったキャラクターでした…ゲフッ!

 マイク…モニカ「兄弟そろってアンタ達はどうしようもないろくでなしだったわ!」

なのにアビーといい、君といい、何でこんな兄弟と結婚したのさ…?と思わず疑問も出てしまった義理の兄(旦那の兄)です。彼らの前に親の影が全然見えない辺り「親が決めた結婚相手」という訳でも無さそう(恋愛結婚したは良いものの結婚後になってから相手のDV本性が分かったというパターンの臭いがする。)ですし、きっと顔だけは良かった兄弟だったんだろうな(で、そんな麗しいお顔は3日で見飽きて衝動的に殺してしまうほどの憎しみしか今は感じなくなった、と…ゲフッ!)と邪推もしてしまったものでした。最後は殴られた拍子に自分が持っていたナイフの上に転んでしまって自滅死を遂げた彼。反射神経が鈍いのなら凶器なんて始めから持つなよとマヌケな死に様にツッコミを入れてしまったものでした…ゴフッ!

怖すぎる永井豪

2009.09.16
 元々永井先生は石ノ森正太郎先生のアシスタント(わずか3カ月でチーフアシスタントとなった。)月に一日しかない休みで自分の作品を描き、ギャグ漫画化としてデビューした所、評判になったは良いものの逆にギャグしか描かせて貰えなくなり本来描きたかったストーリー物を描かせて貰えるようになったのは3年も経った後だったそうです。それでもこういう話が描ける辺り、やはりこの人は天才だなあと納得したものでした。という訳で「怖すぎる」とタイトルにある通り「怖い話」が多いのですが、それは単純なオカルトや心霊絡みの話(というのもあるけど)ではなくジャンル分け不可の得体の知れない怖い話の数々です。時には容赦の無い残酷さで、時には人間の存在理由を根底から揺さぶる凶暴さで、時には救いようも無い孤独に追い込む厳しさで読者を責め立てていくので読み応えバッチリな反面、初心者が読むには覚悟が必要な短編集です…。

 ススムちゃん大ショック…「親は何の為に大金をつぎ込んで子供を育てるのか分かるか?可愛いからペットでも飼っているつもりか、それとも将来大人になったら自分達を養って貰う為か。」

有って当たり前だと思っていた「親子の繋がり」は実は種族維持本能というあやふやな糸に過ぎず、その糸は実はいつ切れてもおかしくない危うい物なのだ、と現代の虐待事件増加の背景(日本は特に実母が虐待するケースが多い)と合わせて読んでいて怖くなった話です。主人公のススムちゃんが殺されてしまったことといい、これは決して自分には関係ない遠い世界の話ではなく自分の身の回りに起こっても不思議の無い恐ろしい話と言えるでしょうね。昔はおばあちゃんが子育ての手本を示したり地域社会全体で子育てしてたから母親の虐待はあまりなかったんですけどね…。(動物園の動物も子供を産んでもそのまま放置してしまう事が多いので飼育員の皆さんがミルクを与えたり抱き方などの可愛がる方法を教えたりと盲信的な母の愛を期待していない部分が多いそうです。結局プライバシーの少ない群れ社会だからこそ他人の手本も見れるし他人から見た自分も意識できるから失敗が少なかったという事でしょうかね。)

 真夜中の戦士…「貴様なんかに将棋のコマにされた者の心が分かってたまるか!」

主人公達がいたトーチカというのはコンクリートで作った小型の要塞の事です。将棋のゲームに当てはめたから馬顔のキャラクターがいるのかと納得したものでした。(最も私はチェスの日本版位の認識で将棋をよく知らないのですが…ゲフッ!)主人公達のおかげで戦争の悲しさ、虚しさ、悲惨さ、その全てを味わう事が出来たと言っている火鳥さんでしたが肝心の「登場人物には心がある」という事実も分かっておくべきでしたね。この人の間違いはチェスの駒という無機物でなく心を持った存在を自分の都合で遊び殺したという事実を認識していなかったことと言えます。駒の側からしてみれば恨まれて当然で、いちいち迎え入れて会話すべきじゃありませんでしたね…ゲフッ!

 野牛のさすらう国にて…「地球で生き残った俺達の先祖は気づいたのさ、文明の無意味さを、愚かさを。」

サイコの作者R・ブロックの短編の漫画化作品です。「原始のままの生活、これが人類に適した生き方なのだ。」(そう言う割に銃という文明の利器を使っちゃってますけど…。)と文明を発達させた挙句に核戦争で滅びてしまった先祖の死を糧に自然に逆らわずに生活していく事を決意した人間たちでしたが最後は他ならぬ自然(野牛)に占拠されてしまったという皮肉な結末を迎えてしまった話です。(野牛のみが地の果てまで続くほど繁殖しているビジョンは圧倒的で、絵で見ると原作以上に迫力があって笑えたものでした。←笑うな!)こういう「自然の脅威」に対抗する為に人類は文明を発展させてきたというのに…と歴史の必然も見えて色々考えさせられた話です。そもそも自然は人間も含めて動物を寿命いっぱい自由に生かしてくれるほど甘い存在じゃないという事を忘れていましたよね、この3人…。

 シャルケン画伯…ヴァンデルハウゼン卿「契約通りローゼは貰ったぞ!」

相手の素性も確かめずに結婚契約書にサインなんてするから…(契約書がある以上、彼がローゼを妻にするのは正当な権利ではある。)と金に目が眩んだ浅はかな叔父さんのせいで姪(恋人)が不幸になってしまったという17世紀のオランダに実在した画家ゴドフリ・シャルケンの逸話を描いた話です。(NHK「額縁をくぐって物語の中へ」シリーズでも取り上げられなかった辺りあまり有名な画家ではないらしい…ゲフッ!)「吸血鬼カーミラ」で有名なレ・ファニュの短編を漫画化した作品で、原作では最後に現れたローゼは今まで何をしていたのか、ハウゼン卿と一緒にどこへ行ってしまったのか(そもそもハウゼン卿は何者だったのか?)何もかも不明のまま終わってしまい「えっ?謎を全て放り出してここで終わり!?」と消化不良感が否めなかったのですが絵の力とは素晴らしいです。(同じ終わり方ではあるのに最後に余韻を感じられました。)やっぱり永井先生は描き方が上手いなあ(いつも話の展開を考えないで作品を描いているそうですが、ダンテの「神曲」しかりストーリーが決まっている話でも面白く読めます。)と改めて感じた話でもありました。

 宇宙怪物園…博士「グラウス星が怪物の宝庫というのは真っ赤なウソさ。君達のような騙されやすい若者を手術で怪物に作り上げるのさ。」

それは何も人間限定で作らなくてもいい話だと思いますが…。(どれもこれも同じサイズの怪物ばかりでは逆に飽きがきませんかね?)動物園もただ見せるだけではやっていけない(だからこそ旭山動物園では鹿のジャンプを見せたり、白熊の食事を見せたり客を楽しませるように工夫している。そんな改革以前には冗談抜きで廃園の話が出ていた。)事から芸を仕込むためには人間の頭があった方が良いのかもしれませんが、こんな目に遭わされた人達が大人しく言う事を聞いてくれるかは疑問で、これからの経営に正直不安を感じてしまいました。なんにせよタダで旅行に連れて行ってくれるなどという「美味しい話」には飛び乗らない方が良いようです。(タダより高いものは無いってね…。)

 遺品…美佐「1年経って…やっと身も心もあなたのものになりきれたのに…。」

むしろ、だからこそ殺されて恋人を奪われた司さんは我慢ならなくなったのでしょうね。(今までは「どんなに立場を整えても美佐の心だけはお前のものにならなかった。」と嘲笑う事も出来たでしょうが命も恋人の心も全て奪われた今となっては…。)殺人を犯してまで恋の為に自分の勝手を通すのは確かに犯罪ですが、それでも「私は高瀬と充分に幸せだった。」と夫に愛を感じていた美佐さん。(ツッコミは入れないんだ…。)問題は相手の幸せより自分の幸せを優先させてしまう男2人にあったのでした…ゲフッ!(恋の為に親友の高瀬を殴り殺す高瀬にも、美佐のこれからの幸せも考えずに夫を呪い殺した司にも問題ありでした…。)

 蟲…「虫とは無視です。」

良い人生を送る為に勉強しろという母親の親心(という名のただの押し付け。この後バブルが崩壊し有力企業さえ倒産、失業の嵐が来るので良い大学を出て良い企業に就職できても、この子の将来は分からないのだ。)から現実が嫌になり、周りを文字通り虫(無視)するようになったキヨシ君。(キヨシ、しっかりしなさい!)悲しいのは「そんな問題児となった息子などいらない。」とばかりに考え方を改めるべき母親が息子を虫(無視)と見てしまう所でしょうね。そうやって問題から目を逸らしても解決はしないぞと親子共々ツッコミを入れたくなってしまった話でした…。

 おちこぼれクン…先生「0点ばかり取りやがって、たまに別の物取ったと思ったらエロ本か!一週間の停学だ!親にもよく言っておくからな!」

万引きするとまず親に連絡が行くはずなので、よく言わなくとも既にバレていると思うのですが…。(停学の理由をよく言っておくということだろうか?)頭も悪くて(勉強しなよ。)運動音痴で歌も下手(でも卒業式の会場から追い出すのはやり過ぎだと思うの、先生。黙っていてもらえば済む話じゃないですか。)なのに性欲だけは人並にあった困った主人公です。自殺しようにも(誰もいない時間を狙わずに白昼堂々と行っている辺り真面目に自殺するつもりは無かったと見たが。)止めようとしたクラスメートの事故死を見てとたんに怖くなって諦めていたり(そして現場にいる主人公には誰も注目してくれない。)どこまでもしょうもない男で終わっていました。大抵こういう話ってラストで主人公が豹変して成功して周りの人間を見返してやる…というのがセオリーなんですけどね。(デビルマン、凄ノ王など主人公豹変ストーリーが多い永井先生の作品にしては却って珍しいなと感じたものでした。

 雪…丸石「仕返ししてやった…。でも自殺したのは間違いだったべ。元の自分の体に戻りたい。もっともっと生きていたいんだべ。」

肉体なんていじめっ子達から部品を奪って作ればいい…と安易に自殺した丸石くんの失敗でした。いじめた相手に復讐を果たすのは間違ってないですが(え?)幽霊の超常現象パワーに頼るのではなく自分の力で闇討ちを果たすべきで方法としては確かに間違っていたと私も納得したものでした。人をいじめる人間なんて最低ですが、だからこそそんな最低人間達の為に死んであげることはないだろう(こういう人間は相手が死んだからって改まってくれないんだよ。そもそも、そこまで人を追い詰めている自覚もないほど人の心が分からない人間なんだから。)と死に逃げた丸石くん(リバウンドして帰ってはきたけれど。)の弱さが個人的に残念…でしたね。

 乳房の思い出…中川「私と仲良くなった人の所に死んだ親友が行くかもしれないから…。」

と言っているという事は前の学校では中川さんの友達の所に悉く話をした、その親友が現れたのでしょうね。(霊は話題にすると寄ってくるというからな…。)おそらくはそれが原因で友人全員から気味悪がられてしまったであろう中川さん(中川さんがかつて親友から逃げるように彼女の家を飛び出した時と同じく友人達はみんな中川さんに背を向けたのだろう。)は2度と友達を作らず目立たずに生きていこうと決意したのだと思われます。願わくば彼女が早くお祓いの存在に気づいて親友を成仏させることに成功してくれたらと願う次第です。(友達に話すより先に拝み屋に相談すべきでしたね、中川さんは…。)

 変身…マミ「見てくれてる。彼、私を見てる。幸せよ、マミ…。」

どうやって人間が熱帯魚に変身したのかという最大の謎は置いといて(あれは既に熱帯魚という可愛らしい範疇に収まらない人面魚という妖怪だろうというツッコミも置いといて)アンタの人生はそれでいいのかい!と触れ合いも無く、ただ餌を与えられて飼われるだけの人生になり果ててしまったマミの生き様に合掌してしまいました。いくら自分を見て貰って褒め称えられているとはいえ女としての自分に興味のない男(彼が関心を持っているのはマミの熱帯魚の外見だけであって…。)とは別れた方が正解だと思うのですが…ね。

まちこの千夜一夜①

2009.09.15
 里中先生の短編集です。昔の話だけあって「夜のメルヘン」のような救いようの無い話…はあるものの不倫だの仮面夫婦だのリアリティある現代話は少なくて(むしろ時間逆行やグリム童話のパロディなどファンタジー系の話が多い。)ホッとする話ばかりで安心しました。序盤オマケ漫画から里中先生が千夜一夜物語のシェヘラザード姫に対抗してこの短編集を作るにあたったというのが分かりましたが千話というのは無茶だと読んだ直後に思ってしまいました。ちなみにこの短編集は全3巻で終わっているので千話にはやっぱり届かなかったみたいです。(だから無茶ですって、里中先生。)

 アイドルは歌う…悪魔(?)に自分の身代りを頼む話です。身代わりにされる人間にとってはたまったものではありません…ゲフッ!どうやら代わりにできるのは声だけでなく命もOKのようです。声と命じゃ対等じゃないという声もありそうですがヒロインは往年の歌手の歌手生命(いわば命。)を終わらせたんですから(挙句に一片の罪悪感さえないのですから)天罰が下っても同情はできませんでした。(どうせなら路上生活者とか言葉がマトモに喋れない人とか選べばいいのにね…。)最後の1コマから察するにどうやら死刑宣告を受けた里中先生の代わりのようですがそう考えるとマヌケな死に方しちゃったんだなあ、この人と憐れみの目で見てしまいました…ゴフッ!

 あの時に戻りたい…弁当を届けてもられば友達に彼氏を取られ、自分で届ければトラックにひかれて死ぬ運命(しかも自分の葬式がきっかけで出会った二人は結局くっついてしまう。)というむごい展開に妹と二人で久子さんが可哀想と語り合ってしまいました。生きている分だけ前者の方がまだマシ(そして前者だったらやり直し次第で上手くいきそうな気がする。)でしたし、上手くいかなくてもその後新しい出会いもあったでしょうからもう一度戻らせて貰うわけには…いかないでしょうか?

 3つのお願い…携帯電話の機能にさえ電卓がくっついている今の時代にそろばんだなんて…ガフッ!(いやいや昔の話ですから。それでも電卓使えとツッコミ入れられてますけどね…ゲフッ!)私だったら「金塊のなる木が欲しい。」「隣のマンションの土地が欲しい。」「家の増築費用。」の3つで決まりですが(我ながら現実的すぎる願い事だなあ…ゴフッ!)ヒロインは随分と無駄に願い事を使ってしまいましたよね。(結局職場のクーラーが治っただけですし。)好きな人がいるならお試しで両想いくらい願っておけば良かったのに、ね。

 誓い…「亡くなった妻を愛しているから…。」と言っていたのに1日で敵方の将軍の女に手を出していた劉将軍にちょっと待て!とツッコミを入れてしまいました。「いつまでも女達は悩み続ける…。」とそのまま50年近い年月が経過しても同じことで押し問答を繰り返している奥様達にも悩み過ぎでしょうよ、と驚いてしまいました。でも董さま(前妻)、そのままもう少し待っていれば劉将軍も老衰であなたのおそばに行くと思うのであなたの悩みはもうじき解消すると思いますよ?

 ナルシスに捧ぐ…ありとあらゆる技術を駆使したアンドロイドにしてはしょぼいロボットだなあ(性悪技術者に騙されていませんか、ナルシス?)とロボのあまりにもメカチックな動きに幻滅してしまいました。(どうやら歩くのでさえ介助が必要らしいしね…。人とロボの立場が完全に逆転してるじゃないですか!)互いにそうと知らずにずっと両想いだった二人ですが、いかんせん年の差が大きすぎて口には出せなかったんですよね。(だからってそっくりのアンドロイドを身代りにしてもどうしようもない気がしますが…ゲフッ!)でも、せっかくの財産なんだからもっと他の事に使った方がおばあちゃんも喜ぶとは思うんですけどね…ゴフッ!

 ライバル…ジェーン「ディックを私から奪ったわ。」
リタ「麻薬はやってるし暴力は振るうし最低の男だったわ…。」
ジェーン「それと友達の彼氏を奪うのは別よ!」

男の中身が最悪だったとしても取りあえずその部分だけは謝るべきだと思いました。(イースターのリボン、ミス・スクール選抜、ニューカレドニア旅行など他は全部逆恨みですが、その部分だけは確かにリタが悪かったと思います。)最後にはリタが事故に会う形でチャンスが巡ってくるという幸福が舞い込んできましたが…もしかしなくてもディックのことで神が天罰を下したのではないでしょうか?(結局最悪の男だったことを理由に今もなお1度も謝ってないしね…。)2人共、もう少し友情について考えた方がいいよ、と思った話でした。

 初恋の人…いますよね、こういう相手を試してばかりで自分が尽くすことを忘れている女性って…。(しかも一応言っていることは正論なので反論が面倒臭い。)「どうして理屈抜きに人を信用しないんだろう?」と元彼がイライラする理由は私もよく分かる気がしました。(挙句に「あなたに失恋して以来、誰とも恋ができなくなったわ。」と被害者顔されたらうんざりするでしょう。)取りあえず尽くしてもらうことばかり考えて自分が追いかけることを忘れていてはマトモな恋愛は一生できないよ、とツッコミを入れてしまいました。そんな自己中心的なお姫様では、王子様も大変です。

 僕のアフロディーテ…新車を買って自信をつけたことから彼女が出来た…のはともかくその彼女の名前が美奈子だと知って某少女マンガ「悪魔○花嫁」を連想してしまったのは私だけでしょうか?車と共に心中する結末はデイモスの呪いなのかとも思ってしまったり…ゲフッ!(いや実際にデイモスの仕業じゃなくても美ー奈子さんは彼のせいにするんですけどね…ゴフッ!)ともあれヤルことやって(2時間も部屋の中で何してたの?by車。)婚約までしたのに相手に死なれてしまった美ー奈子さんが今回ばかりは哀れに感じました。…そんな感じですっかり「悪魔の○嫁」にあてはめて読んでいる私です…ガフッ!

 見知らぬ私…車に轢かれた事故がきっかけで世界中の苦しい人達にワープする話です。日本は平和でいい国だなあ(最近は異常犯罪も増えて一概にそうとも言えないのですが…。)と実感すると共に車に轢かれたのにかすり傷で済んだこの子は運がいいなあと感心してしまいました。(よく死ななかったね。)自分よりももっと苦しい人は沢山いるんだから恵まれた環境を感謝しなさい(戦時中の国の国民は確かに恋愛沙汰で悩める余裕なんてないでしょうしね…。)という話ですね。

 あなたがくれた薬の苦さは…結局、薬屋の定吉がいい思いをしただけで終わっている話。(不倫はバレないし、お嬢様を治した薬屋として評判は上がるし…ちょっと話が上手過ぎませんか?)奥さんが席を外してから最悪の事態を想定した話を聞かせるのではなく(これも襖を隔てた先に奥さんがいたというのによくバレなかったよね…。)その場で奥さんに全てを話していれば良かったのに等々色々考えてしまいました。人が良すぎです、お加世さん。(だから騙されちゃうんだよ。)

 ハンサムな彼に恋したら…地味な素顔が嫌だったんじゃなくてあそこまで化けた執念が怖かったんだ…と彼は思っていますが、それを一言も言わないままなら彼女は女は顔が決めてなんだと思い込んだまま一生を送ってしまうと思うのですが…。理由はどうあれ「彼女」にドン引きしてしまっていることには変わりないのですし、それだけでも相手を傷つけているのよ、と彼に教えたくなりました。「女って怖いもんだ。」と言ってますが勝手に自己完結して何も言わない男の方も残酷だなあと思ってしまいました…ゲフッ!

 アイドルはプレイボーイ?…モーリの言うゆみちゃんの「素直で可愛い」所がいまいちよく分かりませんでした。(素直に偏見を信じきっているということだろうか?)芸能人はこういう風に利用されることも多々あり、付き合いでほとんど家に帰って来れない時も多く、そんな事情にも理解ある女性(…というと同じ芸能関係の女性が結局1番しっくりくるようです。)でないとなかなか上手くいかないそうです。それで考えるとライブでも「何でみんなファンなのに静かに聞けないの?」(いや、ああいうのはお祭りだから…。)と自分の価値基準でしか考えられないゆみちゃんじゃハナから無理だったとは言えるでしょうね。モーリの幸せの為にも早いうちに別れて正解だとは思ってしまいました…ゴフッ!

 ブタは社会の味方です…1本の木に100個の実がなるメロン(皮ばっかりですが…。)1日で成熟するトマト(その代り1日で腐る。)100倍の大きさの豚(効率を考えると100匹の豚と変わらなかったという話。作り上げる前に考えようよ…。)など確かに食糧難には役に立たないかもしれませんが(いや、限界を迎えた人間はメロンの皮でも食べるし、トマトも腐る前にさっさと食べて消化してしまえばいいような気が…するのですが。)世界ビックリショー関係の番組でイケるのではないか、とも思ってしまいました。(ていうか、作れるのが凄いと思う。)最後にはすっかり耕耘機と化していたブー子でしたがやっぱり1代で終わってしまうんでしょうね。(あの子に合うサイズの雄豚なんて…ガフッ!)

 ジェラシー・マジック…そもそも助手に手を出した(そしておそらくは「成功したら結婚する」約束をちらつかせ、時によってノーギャラや生活の世話をさせることもあったのでしょう。)事自体間違いでしたね。4年間も付き合ってそれでも正式に結婚しない事からもうカップル的には終わっている事が分かりますが、それにしたって別れ方というものがあるでしょう(相手に嫌がることを続け、むしろ女の方から別れを言わせるのが漢というものです。私はヤッた後、寝グソをして相手にお別れを言わせた勇者の話を聞いたことがあります…ゲフッ!)と、男の事後処理の悪さにげんなりしてしまいました。でも、いくら復讐にしたってマジックを利用してチェンソーで腹を斬らせることはないと思うんですけど…ね。

 どうせ死ぬなら…1ページ目からどうせ死なない事は分かっていました…ゴフッ!母親が金を立て替えた後のセリフ「早く勤めを見つけて返してね。」より(つまり探せばすぐに職に就ける時代だったんだよね。)昔は恵まれてたんだなあ~という時代の流れを実感しました。(現在は4年制大学を出た学生の2割が就職できないという就職難です…ガフッ!)死ぬにしたって死に様というものがあるんですから派手な行動は慎みなさいよ、とヒロインにツッコミを入れたくなった話です。ヒロインよりむしろこんな事の尻拭いをする羽目になった親の方が哀れと言えるでしょうね…ゲッフン!

 静寂のパ・ド・ドゥ…何日も人と話さずにいるとコンビニの店員にさえ声をかけられなくなる(そして年単位に達し、ついに喋ることさえできなくなったという路上生活者が実際に何人もいます。)というのにこの人はよくこんなにスラスラ喋れるな、と逆にビックリしてしまいました。足場がずれているのを発見した時「でも喋ったら酷い声だとバレてしまう!」と悩んでいましたが、あれだけ葛藤する時間があったなら無言で蹴りでも入れてどかせればいいと私なんかは思ってしまうのですが…ゲフッ!対処法を色々間違えてしまいましたよね、この人。

 新説シンデレラ…姉の想い人(ロベルト)に言い寄られた時には「ここで受け入れたら姉にいじめられてしまう。」と慌てて逃げ、再会した時には「もう姉はお嫁に行ってるし。」とあっさりキスまでしているシンデレラの計算高さ(そして尻の軽さ。)にあまり好きにはなれなかった話です。(むしろ失恋のショックでゲッソリ痩せてしまうまでに憔悴し、お嫁に行ってからは王子様の命令でほとんど絶食する羽目になったアーリン姉さんの方が哀れ。)足のサイズまで変わる程に太ってしまったのならもっとポッチャリするはずなのに(姉でさえ頬骨が見えるほど痩せこけて初めてガラスの靴を履けているのである。)とビジュアルがまるで変わっていないシンデレラにも違和感を覚えてしまったり…ゴフッ!

X⑰⑱

2009.09.14
 「そろそろ最後の戦いを始めてもらおうか。」という丁姫の言葉とは裏腹に連載は諸事情で現在も休載中でありその「最後の戦い」は未だに始まっていなかったりします。(あの…いい加減そろそろ始めてもらえませんか?)という訳で結末を見たい方は劇場版を借りるしかない(またはウィキペディア等で事項を確認してみましょう。)という非常に中途半端な終わり方になっていますが現在の所これが最新刊(最終巻?)という事で諦めるしかないようです。

 八頭司颯姫…「私にはあの子のように、いなくなったからって動揺する存在はいないし生きている事が喜びになるものもない。」

要するに自分の為にこんなに尽くしてくれている「獣」は「どうでもい存在」だと暗に言っており、全ての存在に対して平等にそう思っているのか(だったらまだ諦めようはあるが)というと遊人に恋心を抱き特別に思い始めている(挙句に彼とのお茶の為に獣に仕事を押し付けている。)身勝手な生き様に肝心の「獣」はだんだんやり切れない思いを抱えるようになってきたようです。劇場版によると嫉妬に狂った獣に食い殺されて終わってしまった(愛し過ぎて食っちゃったか。)そうで真実大切に思っているかいないかはどうあれ、それを表面に出すのは間違っているよね(正直であれば何言ってもいいという訳ではない。人間も動物も言葉や行動で相手の事を判断するのであって「悪気は無かった」では済まされない言動がこの世にはあり得る。)と颯姫ちゃんの幼稚ぶり(でも30過ぎの匿名よりはまだマシか。「10代後半の小娘」なら気づいて成長する可能性も一応あるだろうし。)に「…。」と思ってしまったものでした。そうやって周りを見下してばかりいると「たかが『その程度の存在』でも何ができるかを思い知らせてやりたい。」と足元を掬われてしまうものですよ、颯姫ちゃん。

 皇昴流…神威「大事な姉を失ってそれでも昴流が結界を作れたのは、あの桜塚森のいる世界を守りたかったからかもしれない。」

けれど姉も桜塚守も死んでしまった今、昴流にはもう「この世界を守る理由」がどこにも無く結果として「結界」を張る天の龍の資質は失われてしまったようです。死んだ桜塚守のよすがを求めて生家で思い出に浸っていた(ただ桜塚守の生きた証を感じたかった)彼には自分が桜塚守の願い(昴流に神威につけられた「他の男の痕跡」を消して自分の為だけに生きて貰う。)を叶えるという誘惑に勝てずに地の龍側についたようです。結果として天の龍の人間は一人も死んでいないのに彼といい嵐といいどんどん「味方」が減っていってしまっている展開にはげんなりしてしまったものでした。彼らの「願い」はどうあれボスに当たる神威はそんな魅力的な人物に感じないんですけどね…。

 有栖川空汰…「足…は折れてるよな。内臓もちょっと潰れてもうたか。右手…こりゃもう動かんか、ずっと…。」

護法童子の効果により足の骨折、内臓損傷、右手の腱が切れたという重症に「生きているのが不思議」と医者は行っていましたがそれよりも、その怪我で嵐と事を成し遂げた挙句にドアまで「ダダダ!」と走って(アンタ、足の骨折は…?)皆が集まって東京の崩壊具合を確認している時にはどこにも包帯を巻かずに元気に過ごしている様には、こんな短期間で「完治しているのが不思議」(どんな治癒力だ!)だとツッコミを入れてしまいました。(医者と結託して狂言入院してたんじゃないでしょうね?)そんな彼を守る為に嵐は地の龍側について空汰を生かす為に神威に自分の願いを叶えて貰う事を選んだようですが空汰本人が「嵐に自分の命を捧げて守る」事を願っている限り2人が幸せに生きていく事は難しいだろうな(そもそもあの人非人の神威がそんな甘っちょろい展開を叶えてくれるとは思えない。)と先行き不安に感じたものでした…ゲフッ!

 霞月…神威「…新しい望みができたようだな。」

「父親」である神威の為に尽くすこと、「母親」である火煉さんを守ること、その両方を叶える為に「『1番大切な人を守る』願いを神威に叶えて貰う」事を選んだ霞月でした。(1日限定という効果の短さが悲しい所です…ゲフッ!)天の龍も地の龍も関係なく望む人の「望みを叶える」事が神威の行動理由だけにもうそれしか神威の為に自分が尽くせる事は無いと思いこんでしまったのでしょうね。(それにしてもどうして神威はいつも「命がけの願い」しか叶えてくれないんだ…。)しかし、たとえそれが真実霞月の望んだ願いであっても神威に霞月(も小鳥も砕木君も建物倒壊でブチ殺したその他大勢の人達にも言える事ですが)の人生を終わらせる権利は無いはずで偉そうに思いあがっている神威に改めて嫌悪感を感じてしまったエピソードでした…。

X⑪~⑯

2009.09.13
 折しも阪神大震災や神戸児童殺害事件が起きた頃でその影響などで18巻まで出たまま連載は休載となっているようです。「地震」を人為的に起こして建物を倒壊させたり(でも舞台は阪神でなく東京なんですが。)女子供がバラバラになって死んだり(時鼓さんといい紗鵺さんといい小鳥といい砕軌君といい死ぬ人物はほとんど首が胴から離れている。校門前に生首を置いた本事件と関連があると見なされてしまったのでしょうか?母親が書いた自伝によると家には「稲中卓球部」の漫画しかなく「X」は置いてなかったそうですが。)等々の展開で読んだ人に悪影響を与えると(強引なこじつけの元に)見なされてしまったのかアニメ版、劇場版共に終結まで描かれているものの漫画版は未だに完結していない(作者4人とも終わりまで描きたい気持ちはあるそうですが。)という事態になってしまっています。日本って「問題に蓋をしようとする」反面、肝心の「予防策」については全くの手つかずにしているよな~と改めて思ってしまった事例でした…。

 猫依譲刃…颯姫「肉を食べたことは無いの?野菜は生きていないの?何かを殺し続けて生きてきたくせにどうして『人間を殺しちゃいけない』と言うの?」

それは全部アンタ(颯姫)も言う資格が無い事だよね(開き直っていない分まだ譲刃の方が人間としてマシな部類と言える。「人間は自分に不都合という理由で同族もそれ以外の生き物も殺せる生物で、そうでない考え方の人も何かを殺して生きていることは確か。」だから自分だって何やったっていいんだと他人の悪事を理由に自分を正当化しているだけで正直最悪な考え方だと感じたものでした。)とツッコミを入れてしまった問答でした。一応「悲しむ人がいるから」(by遊人)「こうやって泣く奴がいるから」(by草薙)と作品中で答えがいくつか上がってはいましたが、それを颯姫が気にかけていない辺り答えなんてどうでも良かった事も伺え結局相手の隙を作る以外、問答の目的なんて何一つ無かったじゃないかと騙されている譲刃に同情してしまったものでした…ゲフッ!(結界であった建物が倒壊させられた原因は颯姫が壊したからで譲刃が「何も答えられなかった事」のせいでは無かったよ…決して。)

 砕軌玳透…封真「お前の望みは命を掛けて丁を守る事=丁を守って死ぬこと。」

勝手にイコールで結ばないで下さい、と一方的な解釈の元に砕軌君を殺した封真にツッコミを入れると共にもしも「適当に体張って丁を守った事で丁姫とラブラブになること」を願っていたら結末は違ったのだろうかと少し考えてしまいました。が、植物状態になり果てて死にたくても死ねない牙暁を殺さずに夢見の力を利用している(本人の「もう今すぐにでも死にたい。」という望みを無視している。)辺り自分の身勝手な判断の元に都合の良い解釈を「望み」として結論付けているだけ(実は他人の望みを叶えているのではなく自分の望みをいいように織り込んですり替えている。)という事は分かるので丁姫が「見た」通り彼が死ぬ運命は変えられなかったのでしょう…ね…。別に7人の封印でも御使いでもなかったのに関わり合いになったというだけで殺されてしまった(いわば小鳥と同じ)彼の結末に涙してしまったものでした…。

 丁姫…庚「姉さんを夢見としてしか生きられない運命から解き放ってあげる。」

そう、夢見(未来予知)が当たるから重宝されてしまう訳(本人は「先を知ってもそれを変えることができないのなら何の意味がある。」と自分の力を蔑んでいますが来たるべき未来の為に「心の準備」をするのには有効な力であるかと…。)で予知が外れるのなら「普通の人間」として好きに生きる事が出来る(それにしたって目も耳も利かず歩く事もままならない彼女に何が楽しめるというツッコミは入ってしまうのですが…ゲフッ!)と妹なりの姉を思う気持ちが庚の原動力だったようですが当の丁姫は既にもう一人の自分に取って代わられてそこにはいないという切ない展開が待っていました。一応「閉じ込められている」だけで人格が消え去ったわけではないようですが元に戻れる可能性は低い様子で暗澹たる気持ちになってしまったものです…。(犬鬼以外の天の龍は全員騙されているしね…ゴフッ!)

 桜塚星史朗…北都「償えない罪は確かにあるけど人を愛しちゃいけない人なんていないんだよ。」

だから人殺しを生業とする職業(罪)とは関係なく弟の昴流とラブラブになってくれ(ちょっと待て。)という彼女の願いは届かず術の発動によって昴流は愛する人を失った上に生き残ってしまいました。2人共そうとは気づかないままずっと両想いで、でも殺してやりたいほど「目障りな存在」(敵)になる事でしか相手の前に立つ事が出来ないと互いに思いこんでいただけだったというのは皮肉な展開です。(それにしてもボーイズラブが過ぎた展開というか堂々と描ききったものだな…ゲフッ!)「愛しているからこそ石ころ程度にしか思われていなくてもせめてあなた本人に殺されたいと思っていたのに…。」と思惑が外れて生き残ってしまった方(昴流)はやり切れないですよね。その後昴流は地の龍に鞍替えして封真の元に行ったようですが一体何の為にそうする必要があったのか(星史朗さんに似ている封真に殺して貰う為という身代り思考だったら凄く嫌。)ともあれ封真側の戦力は衰えずに神威側の味方がいなくなってしまった事にげんなりしてしまったものでした…。

X①~⑩

2009.09.12
 映画化までされていた地球をテーマにした壮大なフィクション物語ですが(アニメ化もされて売上げも凄かったらしいですが)暗さ極まりない話で正直ここまで引っ張らなくても…とついて行けない部分も多かった(丁寧に描いていると言えば聞こえがいいですが同じ「内容」の夢を繰り返し描いたり話の中に無駄も多い。そして首や手足がバラバラになって女性達が死ぬ様を「丁寧に」描かなくてもいいのではないかと…映画やアニメで再現されてないでしょうね、あの描写。)色々思う所はあって絵が綺麗な反面、話には(救いようが無さ過ぎて)あんまり楽しめなかった、そんな話でした…。正直読んでてやりきれなくなってくる話です…。

 司狼神威…「俺は…地球がどうなろうが関係ない。けど小鳥と封真が幸せに暮らす場所なら守りたい。」

「いつまで覗き見してやがる!」(何ガンつけてんだ、てめえ!)と、ただ見ていただけで相手をはじきとばす1巻の頃の短気で攻撃的な性格も話が進むにつれて大人しく思慮深い本来の性質を取り戻してきた様子です。(できるならもっと早くからその性を取り戻して欲しかったものですが。)そうして素直になれた(自分より大切な人間を認められた)時になって封真が覚醒して小鳥を殺す展開には救いようが無さ過ぎて現在誰を守る為に戦わなければならないのか今一つ共感し辛くなったものでした。(いや、封真の為というのは知っているけれど当の封真本人がアレでは…闘う意欲というか守るべき価値が見出せなくて…。)もはや封真は妹は殺すわ公共物(ビル群、レインボーブリッジetc。)を破損するわ大量殺人を犯すわ(破壊された建築物のせいで)完全なる悪人に染まってしまったのだから躊躇っていないでとっとと殺ってしまえ(オイ!)とツッコミを入れてしまう私でした…。

 桃生小鳥…「地球が壊れる位なら私が壊れた方がいい…。」

この子に「神剣を産む為に死ぬ(壊れる)運命」があったのなら死に様にもまだ納得できたのですが正直何の為に死ななければならなかったのか今一つ理解できずに展開について行けなかったものでした。(神威の戦う理由である「封真と小鳥が幸せに暮らしている場所を守りたい」事を喪失させる為に封真の人格を失わせて小鳥を殺したのでしょうが…理由も説明しないままいきなりの展開が過ぎて…。)夢見の丁姫曰く「神威が地の龍としての道を選んでもどの道この少女は死んでいた。」(地の龍になる=地球の「変革」の為に人類滅亡に加担することだから人類の一員である小鳥はしっかり死ぬ運命。)そうで救いようが無い結末しか待っていなかったという運命にはなんだか続きを読む気が薄れてきたものです。(ワイヤーのせいで無駄にバラバラになって死んだグロ過ぎる最後も悲惨過ぎて…。)それにしてもせめて琴莉とか湖都里とか漢字だけでもマシな名前を与えられなかったものですかね、親御さんは…ゲフッ!(よりにもよって小鳥という動物名って…ゴフッ!)

 桃生紗鵺…「他の誰が何と言おうと私は幸せよ。」

心から愛する特別な人(斗織)の為に生きて死ねて確かにアンタ一人だけは幸せでしょうが「刀隠神社にさえいられれば別に結婚相手は誰でも良かった」と条件だけを理由に気持ち(愛情)を利用され続けてきた夫やグロテスク過ぎる死に様のおかげで深刻なトラウマを抱え込む羽目になった子供(そのせいで娘の小鳥は発狂している。)は不幸だよな、と身勝手過ぎる生き様に共感できなかった母親でした。(「今日この場でしか神剣は産まれない」と分かっているのなら酷い自分の死体を子供が見ないように「その日」は遠くの親戚に子供を預けておくとかもう少し配慮ができなかったものでしょうか?。)気が狂った後になってそんな母親の嫌な面を知る事になった小鳥も哀れで他の誰が何と言おうとツッコミを入れさせてくれと思わず嫌悪感を抱いてしまった、そんな母親でした…ゲフッ!

 真神斗織…「明日死ぬのが貴方でなければ泣いたりなんかしないわ。」

最後の言葉が(息子に「一人で強くなって運命(未来)を選べ」と突き放した挙句に目の前にいる息子を無視して)「さや」だった辺り結局この2人は夫なんて子供を作る為の道具でしかなく女同士でありながら両想いだった事が分かりますが両想いなら両想いで他の人間に手を出すなよ(その結果生まれてきた神威と封真がもしいなかったら7人の封印も御使いもそれなりに幸せな人生を歩んでいたというか天寿を全うしていたのでは…?)と身勝手な生き様にツッコミを入れてしまったものでした。神威の父親がどこの誰でどんな人だったのかも結局最後まで不明で(…行きずりの男か?)それ以前の問題としてに気にもしていない有様(一応相手を「騙し続けている」罪悪感を持ち合わせている紗鵺の方がまだ女としてマシかもしれない。)にはやはり共感はできなかったものでした。泣くほど好きなら2人で駆け落ちでもすればいい話でこの人達が地球の最後に関わる要因を産まなかったらこんなスプラッタな物語は始まりもせずに平和だったよなあ~とげんなりしながら読んでいたものです…ゲフッ!

針は何処に

2009.09.11
 黄金の拍車シリーズ3作目です。この本の著者校正を終えた直後、徹夜明けのままロンドンに旅立ち「力の限り観光し血へど吐くまで買い物する」というスローガンの元に死にそうになりながら旅行した(死んでしまうわ…。)という著者近況も読めるなかなか楽しい巻です。ロンドンに到着しただけで、店内のあらゆる所にホームズ縁の品(と称するもの)が展示されているパブに行っただけで、シャーロック・ホームズ博物館に行き、チェルシー・フラワー・ショーを見て、ウィンブルドン博物館に行き、事あるごとに「もう、思い残すことは無いわ!」と言う伯母さんのエピソード(場所ごとに思い残すこと増えてますよ!)も見れて面白い旅行記でした…。

 オズワルド・ハンズリー…使用人「アンタはどうしても国王の財産をちょろまかす計画が書かれた羊皮紙を取り戻したい。俺達はそれを隠したガキを捕まえている。ここで一つ報酬の相談でもしましょうや。」
オズワルド「毎月の給料はちゃんと渡しているのに心得違いはいい加減にしろ。貴様の主人は一体誰だ?」
使用人「だからその関係を1度見直した方が良いんじゃないかと思ってね。」
オズワルド「ぐっ…(泣)」

王家の財産を盗もうと画策し、罪もない人間(ヘンリー)を身につけていた装飾品(サファイアの指輪。祖父の形見であり真実ヘンリー氏の持ち物。)を利用して泥棒の濡れ衣を着せた悪人ではあるのですが目的の人物には逃げられ、部下には裏切られ、一緒に画策した仲間(の部下の暗殺者)には殺されたどこまでも報われない死に様には思わず同情もしてしまったものでした。結局周りの人間の謀略に振り回されただけで終わってしまった彼。妻も子もいるのにこの人の家族はこれからどうなるんだと別の心配もしてしまったものです…ゲフッ!

 サー・ジェフリー…ならず者「最初からそういう話だったろう。あいつはオズワルドを始末したがっていた。それを俺達が代わりに始末してやった。それだけの話だ。」

正確には動いていたのは彼の部下たる暗殺者の君(名前はまだ無い。死ぬまで無い。)なのですが計画の証拠を握ったスパイとその部下の口を封じる事は良しとして(良くねえよ!)仲間の事も最初から利用するだけ利用して抹殺する事を考えていた辺りオズワルド氏よりも極悪度は高い御仁です。せめてもの救いは無事に計画が国王に筒抜けになった(スパイが五体満足に生き延びて国王の元まで辿り着いた)おかげでこれから彼にも社会的制裁が下るという所でしょうか。あなたを殺した張本人もちゃんと「地獄」に落ちてくれたよと不幸の中で終わった悪人(それでもジェフリー氏に比べれば大分優しい御仁である)オズワルド氏に慰めも入れたものでした…ゲフッ!

 マーク…「自分がどこから来て何をしているのか一切他人には喋らないと誓いを立させられました。主人が誓いを解いてくれるまで僕には何も言えません。」

スパイ活動をするにしても一人旅は辛いよね(そして従者のいる「騎士」ならともかく部下の一人も雇えない生き倒れの路上生活者では誰も家に上げてくれないだろう)という事でヘンリー・ウォード氏に仕えている小姓です。彼の背格好がたまたま主人公達の従者のトビーに似ていた為に迷惑な人違いを起こされ誘拐事件が勃発してしまいました。(人違いで攫われた挙句に殺されかけたトビーは良い迷惑です。)事件の真相に関しては口を噤むし主人公サイドで読んでいると全くの役立たず状態ですが主人(ヘンリー)の「信頼できる部下」としては秘密はきちんと守る人間として価値はあったんだろうなと読み返して少し評価を上げた登場人物です…。

 ヘンリー・ウォード(ダニエル・ハワード)…リチャード「あなたはオズワルドとジェフリーの行っていた不正行為について隠密に調査をなさっていたんですね。」
ダニエル「『服の中に縫い込まれ気づかれぬまま買い手に渡った針のように』ね。こっそり懐に潜り込んで痛い目に合わせられるだけの物を掴んでこいという事だ。」

短編集にも名前だけ登場した(挿絵は描いて貰えなかった)ジョナサン神父の2番目の兄貴です。国王陛下の間謀という立場も有りジョナサンの「使える人間」なら下心目当てに助けるという信念から箸にも棒にも引っかからなかったケネス兄貴に対する態度(「扱いが不満?知るか、んなもん!自分がうっとおしい厄介者だという立場をもっと自覚しやがれ!」byジョナサン)とは偉く違って大切に扱われています…ゲフッ!家の跡継ぎという目立つ立場には立てないけれども出来る奴ではある(プロの暗殺者並に大立ち回りをするのは無理があるけれども物色能力・情報収集というスパイの特性は高い)というのは隠密行動をしてくれる「影の部下」としては理想的だったのかもしれません。(で、国王陛下のお気に入りになったと…。)近隣の若い女性を次から次へと口説いて刃傷沙汰にならなかった(どの女も何故か彼を許す憎まれなさがあった)人当たりの良さも武器にしてターゲットに近づく彼。リチャードの館でも「被害」を出しながら問題にはならなかった(「俺の召使いの女達が彼のベッドに潜り込んだとしても自ら望んでそうしたってのなら俺が口を出す問題じゃない。」byリチャード)辺りも対人社交術の高さが伺えます…ゴフッ!ジョナサン神父の司祭らしからぬ女好き(たびたび娼館に出入りするほどの常連。自分の立場に目を瞑って金を出してまで女と寝たいですか…。)はこの兄貴の影響も有りそうです…ガフッ!

SHADOW LADY

2009.09.10
 ここは日本なのか西欧なのかはたまたハーフばかりが集っているのか(日本風苗字なのに何故ブライトとかライムとか外人名がファーストネームなんだ!?)町並はバットマンのゴッサムシティに似ていて明らかに日本ではない(あれが「古くから伝わる建物」らしいですからね…。)事は分かるのに独特の雰囲気というには微妙な内容に「…。」と思ってしまった作品です。(まあコメディに真面目な設定を求める事自体が間違っていると言われればそれまでなのですが…。)絵も綺麗で読みやすいですが本番は無いとはいえ内容は激しくエロいし評価は分かれるだろうなあとは感じた作品でした…。

 小森アイミ(シャドウレディ)…ブライト「辞めるのは勝手だが今まで犯した罪は償って貰う!」

盗んだ物の中に金目の物は無い(もとい高額の物は無い)とはいえやっている事は立派な家宅侵入罪・器物損壊・窃盗である事に違いなく(生活の足しにはなっていないとかそういう問題ではない。)車道に降り立って交通事故を招いている傍迷惑ぶりと合わせて確かに刑務所に入れられるべき人間である(もうこれからはやらないとかそういう問題ではなく迷惑をかけた人達に謝罪すべきである。)とブライトの言葉に納得したものでした…ゲフッ!怪盗行為があくまでも普段の内気な性格に対するストレス解消であり「スリルを楽しんでいる」というのも万引き常習犯の言い訳と同じものを感じて彼女の病んだ一面を感じたと共にシャドウレディを辞めたら次はどんな犯罪に走ってしまうのか(何を持ってして「ストレス解消」するのか)怖くなってしまいました。変身するたびに「これが最後」と言いながら何かにつけて再び変身しているのも(まるで覚醒剤の中毒患者の言い訳のようで「快感」に手を出してしまった後にその味を忘れられなくなってしまったとはいえ)意志の弱さを感じて顔と内気な性格を可愛いとは感じる反面、人間としては今一つ共感はしきれなかった女性でした。シャドウレディの能力も本人のものではなくマジックシャドウの効果ですし「借り物の力」で注目を集めているのも考えてみればズルイよなあとツッコミを入れてしまった微妙な主人公でした。

 本田ブライト(ブーちゃん)…「相当、嫌われてるんだな、オレ…。」

バスルームを壊された上に入浴中に乱入されたら(デモの覗き対策に水着を着ていたからまだ良かったものの普通に裸で入っていたらと思うと怖い展開です。)相手を無視したり水を掛けたりするのも普通の女性の当然の反応で文句を言える立場ではない(むしろこの状況を作った後で相手に慕われる事など漫画でしかありえない)と思いますが彼は状況を今一つ分かっていない様子です…ゲフッ!最近ようやく会話するまでの仲になってきたとはいえ2人は友達どころか知人に過ぎず1人勝手に関係が進んだと勘違いしているアイミには「…。」とも思ったものでした。ブライトの方もシャドウレディの能力に対する憧れを好きと言う言葉で表現していただけで元々レディに対してすら女として愛情を抱いていた訳ではなかったというお粗末な内容にはもう呆れて言葉も出なかったものです。最もそうでなければ顔も性格も知らない相手を好きだなんて思えないよなと変な所で納得は出来てしまいましたが…ゴフッ!

 細川ライム(スパークガール)…ライム「あたし学校辞めちゃったし家も出て来た!もう後戻りはできないの!」
ブライト「できる!今すぐ帰って謝ればいい!」

マジックシャドウの力を借りて、いわばドーピングしているシャドウレディと違って純粋に自分の実力(卓越した武術とワイヤーを中心とした本人の発明品。変身に至るまで自分で地味に着替えており何気に努力家の苦労人である。)だけで勝負している彼女の方が偉いというか見上げた根性の持ち主だなと感心したものでした。(でも親には謝れよ、お前。)発明品もマトモだし正直この人の方が(発明品を元にした失敗のせいでクビ寸前になっている)ブライト刑事よりも使えるのではないかとツッコミも入れてしまったものです…ゲフッ!むしろこの人にマジックシャドウを渡していたら物語は始まりもせずに平和だったのではとデモの選択眼の無さにガッカリもしてしまいました…ゴフッ!

 魔人・メデュー…「我々が目覚められる事、それ自体が世界の破滅を意味するのだ。」

目覚められるほど世の中に黒い欲望が満ちているのなら魔人が滅茶苦茶にするまでもなくその世界は「終わっている」と言える。だから自ら積極的に破壊活動や殺戮行為を行う必要は無いし君達にもチャンスをあげるよ、と随分と甘々な性格の魔人です。が「無駄が嫌いでジタバタしない」というその美し過ぎる性格が仇となって同族の魔人ゼラには真っ先に吸収されてしまったり(自分の美学を元にウンチクたれる前にさっさと逃げていれば良かったのにね…ゲフッ!)最期には(自分より格下の)シャドウレディに泣きつく羽目になったり(魔人のプライドぶち壊しです。)おかげで損ばかりしているキャラでもありました。結局消滅している最後には思わず同情もしてしまった可哀想な魔人です…ゴフッ!

夢の雫、黄金の鳥籠①~⑧

2009.09.09
 君の周りにもいないかい…?加害者なのに逆恨みして被害者(ヒロイン)ぶる女(ヒュッレム)、人の弱みにつけこむ女(ハディージェ)、目的の為なら手段を選ばない女(ギュルバハル)、こういう女をザウルスって言うんだぜ、という某漫画(「ガールズザウルス」)の言葉がありありと蘇ってしまった、そんな女の園(オスマントルコの後宮)の話です。世界史の中でも16世紀のオスマントルコの侵攻といえばポイントの一つな物の、その割に13回も遠征をして領土を広げていったオスマン帝国第10代皇帝・荘麗王スレイマン1世の名前も覚えていなかった私(オイ!)としては知らないことだらけでその辺も新鮮に感じられた歴史物です。(今度は「天は赤い河のほとり」みたいに捏造展開満載じゃないといいな。)最も内容の大半は女の争いに焦点が当てられていますが…。

 ヒュッレム(朗らかな声)…「一生、閉じ込められて暮らすのは嫌!鳥みたいに自由に暮らしたいんです!」

ちなみに当の鳥(中でも特に仲が良いと評判のおしどり)は他のオスが近付くとあっさりと交尾するメスの尻の軽さゆえにオスが常に傍について他の鳥を追い払っているそうで、彼らが一夫一婦なのはそこまでしないと「自分の」子孫を残せないから(ライオンなど他の哺乳類は一夫多妻制ではあるものの強いボス1人だけの後宮制になっていたり、自分がトップにいる限り浮気や托卵の心配はない。)だそうです。なので皇帝の妻(側室)になりながら同時期に寵臣イブラヒムと不倫をし、自分自身でもどちらの子供か分からない子(!)を産んだという話の展開には確かに「鳥のような生き様」だとセリフに説得力を感じたものでした…ゲフッ!以前のトルコ漫画「天は赤い河のほとり」で描かれた「寵愛をどこまでも独り占めしたヒロイン」(妻は自分ただ一人)とは逆に、「他の女達と寵愛を争うヒロイン」の話ですが、「独り占め」(肉体的には「二股」はかけていない)で済んでいた分、前のヒロインの方がまだ好感が持てたな(他の袖にされている妻全員が良い面の皮だ。)と思えてしまったり…ゲフッ!

 ヌール・ジャハーン(才色兼備の女性)…イブラヒム「スレイマン様はきっと最高の帝国をお創りになる。それを継ぐ皇子は『選ばれた逸材』でなければならぬ。だからより広く選ぶ為に沢山の皇子が必要なのだ。」

だったらヘンリー8世(キリスト教徒でありながら立場よりも色欲を取って再婚を繰り返し、果ては梅毒で死んだイギリス王)とアン・ブーリン(国王が寵愛している以外は特に見る所の無い女)からエリザベス女王(グロリアーナ「栄光ある女人」、グッド・クイーン・べス「善き女王べス」と謳われた、スペインの無敵艦隊に勝利したことでカリスマ性を高めた独身女王)が生まれた事例だってあるのだからトンビ(バカ女)が鷹を産むことだって稀にはあるという事で、保険として彼女の子供も取っておくべきだったのでは…(最もエリザベス女王の統治は16世紀後半(1558~1603)なので「16世紀初頭」のこの時代に分かるはずも無かったでしょうが…。)と思えた展開でした。ちなみにヌール・ジャハーンというのはインドの北・ムガル帝国4代皇帝の妃の名前であり、国王は初めて彼女を見た時「その美しさに衝撃を受けた」そうなのでスレイマン1世は同じ「美人」という事で、その名を与えたのでしょうね。最も「美人であること」以上には興味を持たず、腹の子供ごと始末されてもスルーした様子ですが…ゲフッ!

 第一夫人ギュルバハル(春の薔薇)…イブラヒム「オスマン帝国に『皇太子』はいない。長男に限らず有能な皇子が皇帝になれる。だが帝位に就けなかった王子は悲惨だ。皇帝になった兄弟に殺される運命にある。」
ヒュッレム「まさか今までも妊娠した妾をボスフォラス海峡に沈めていたの!?」

当時既に強大な帝国となっていたオスマントルコは他の外国と政略結婚をしてまで同盟を結ぶ必要が無く(だって自国だけで充分戦えるんだもん。)結果として後宮に何十人もいる奥さんは全員何をされても文句を言わない「奴隷の女」だった…そんな事から↑のような弱肉強食も良い所の鬼のような帝位継承制度になった様子です。(これが他国から嫁いできた血統正しいお嫁さんだったら「何で私の息子が殺されなきゃならないのよ!」と戦争に突入してしまうが、皆「自国の奴隷」なものでそんな心配は無い。)だから彼女の行動は母親として息子を守ろうとして故だという事は分かりますが、おかげで何度も食事に毒を盛られて殺されかけたヒュッレムの方は立派に恨みに思ったらしく「イブラヒム様の為なら死んでも良いけど、こんな性格の悪い女の為に犠牲になるのはゴメンだわ!」(ハレムの女として負けたくない!)と対立は深まった様子です。おかげで同じ男の奥さんなのに、表面つらはともかく、2人の仲はひたすら悪いです…。

 1521年夏・ベオグラード陥落…スレイマン1世「約束通り寝返って西の城門を開いてくれた『セルビア人』の命は助けてやれ。分配して奴隷にするのは良いが殺すなと兵達に徹底させよ。」
部下「ハンガリー軍はどう致しましょう?部隊長から投降と助命の嘆願書が…。」
スレイマン1世「馬鹿が!命乞いは城が落ちる前だから意味があるのだ。殺せ!」

新しく皇帝になったスレイマン1世は大人しそうだから、これを機にオスマンの従属から抜け出しちゃえ!と毎年贈る貢納品を受け取りに来た使節をブチ殺して反旗を翻してしまったハンガリー王・ラヨシュ2世。姉のアンナがオーストリアのハプスブルグ家(フェルディナンド大公)に嫁いでいるから不味くなっても援軍を送ってくれるさ!(上手い具合にフェルディナンド大公の兄・カール5世は現・神聖ローマ皇帝の座に就いているし、自分は彼らの妹のマリアを妻にしているし、見殺しにされる事はまずあるまい。)と半分他力本願で臨んだ戦争でした。が、その当時オーストリア(フェルデイナンド大公)の方では宗教問題で起こった内乱鎮圧で手一杯、スペイン(カール5世)の方ではローマー皇帝の座を争ったフランス(フランソワ1世)とイタリアの地で喧嘩中で、「欧州への関門となる古都ベオグラードとはいえ、元々あそこは難攻不落の城塞都市だし、ま、大丈夫じゃね?」とどっちからも見捨てられてしまった結果、居住民のセルビア人の裏切り(ギリシア正教徒の彼らはカトリック教徒であるハンガリー人の支配に不満を持っていた。)も重なってサッサと落とされてしまったのでした。余裕の無いハンガリー側と比べ、スレイマン1世の方は側室(ヒュッレム)とラブレターのやり取りまでしていたと公式記録に残っている辺り、とても余裕で終わった戦だった様子です…。

 ハディージェ皇女…ハディージェ「あなたが後宮から抜け出したという大スキャンダルを黙っている代わりに、今度イブラヒム邸に行く時は私も連れて行って!後宮を抜け出すには他に方法が無いから、あなたに『頼んで』いるんだわ。」
ヒュッレム「『頼む』?これは、強請りでは?」

王女=華やかな女性というイメージそのままに明るい性格のお姫様ですが、それでなくても女が家族以外の男の前に出る事は無いトルコの後宮で生まれ育って、「めったに母后館の外には出ない秘蔵っ子」だったという彼女が、おしとやかどころか、こんな派手な性格に育つかな…?と性格に多少疑問も感じてしまったものです。アルヴィーぜ・グリッティとの恋人関係については、ラブラブなのは分かるけれども多少使える男でも所詮は「便利屋」止まりの男。(イブラヒムのような頭の切れる寵臣とは同じ外国人でも器が違う。)ワガママお姫様と従者の男の忍び愛はよく聞くけれど、そんな低俗な話の為に「自分の妹」(皇帝の親族という立場)という「切り札」は与えられない(彼女は良くも悪くも他の「後宮の女」(皇帝のお下がり)などとは格が違う。)と結ばれなかった結末には立場的にも納得してしまったものでした。子供がいるのに…ではなく、むしろ赤子ができたからこそ頼れる男を夫(父親)としてあてがう為にこの縁談が進められたのではと邪推もしてしまった展開です…。

 母后ハフサ・ハトゥン…ハフサ・ハトゥン「皇子を産んだ第一夫人だろうが元は『買われてきた女奴隷』であろう?他の妾達と同じではないか?」
ギュルバハル「お言葉ながらハフサ・ハトゥン様も、元はクリミア・ハン国の姫君だろうが、内乱鎮圧の際に力を貸して貰ったから逆らいませんと忠誠の証に差し出された『国の奴隷』も同然ではないですか?」
メフメト「ヒュッレム様、お茶会を欠席なさって正解でしたね。出席していたらギュルバハル様と一緒くたにされて嫌われちゃいますよ。」

祖国のクリミア半島はとうにオスマン・トルコに併呑されていようとも、国王であった父メンギル・ギライは既に死んでいようとも、それでも自分は誇り高い騎馬民族タタールの末裔(お姫様)なのだ(なのに何で私が「女奴隷」風情の為に動いてやらなければならないんだ?)と矜持だけは今もなお高い母后様です。彼女がトルコに送られた時(第7代皇帝メフメト2世がキリスト教徒の街イスタンブールを攻め落としてトルコの帝都とし、アナトリア平定、セルビアやトランシルヴァニアも征服した時。それでもまだギリギリで「政略結婚」が有効な程度には黎明期だったらしい。)から時代は流れまくっており、既に後宮には「高い身分出身の女性」が彼女一人しかいない(曾孫の世代のスレイマン1世の時代である現在、既に後宮は女奴隷を集めまくった300人以上からなるハーレムとなっている。)という有り様なのに気持ちだけは昔のままの扱い辛い姑と化している様子でした…。おかげでギュルバハルも「トップが何も言わない」のを良い事に他の妾達を始末したり今まで好き放題できたんでしょうけどね…。

 1522年夏・ロードス島攻防戦開戦…「オスマン軍が島の反対側からも上陸し始めました!ほ、本当に何もしなくて良いのですか?」
リラダン騎士団長「何をしようというのだ?16万対7千という人員比の中で我々にできるのは籠城戦のみだ。」
「…ですよね。(涙)」

ロードス島の誰と戦うのかと言うと、13世紀初頭に本拠地をそこに移していた聖ヨハネ騎士団(11世紀、イスラム勢力からエルサレム奪還を目的とした十字軍の中でも東地中海地域最強と言われた騎士団。)が相手で、良港として古来より栄えたエーゲ海の要衝・ロードス島はオスマン帝国の重要な航路でもあった(メッカへの巡礼やアレクサンドリアとの交易には必ずそこを通る。)のを良い事に海賊行為を繰り返されており(キリスト教の最前線である十字軍も、神様への愛だけでは食っていけなかったらしい。)スレイマン1世も「お前ら、いい加減にしろよ!」と2度目の遠征先をここに決めた様子です。結局の所ロードス島を根城にされなければ安全に航路を通れる(出て行って貰えればそれで良い。)訳で、騎士団総長のフィリップ・ヴァリエ・ド・リラダンが首を斬られる事も無く騎士団(海賊)の皆さんが追い出される形で平和的(?)に解決したこの遠征。42年後に再び相見えるとはいえ降服の条件の良さには騎士団と関係の無い島の皆さんも満足の様子でした…。

 デヴシルメ(人材徴用制度)…メフメト「帝国内の非イスラム教徒の少年達を数年に一度徴用し、イスラム教に改宗して新都(イスタンブル)や古都(エディルネ)で言葉や法学などの沢山の教育を受けさせ、その後、適性に応じて内廷や親衛歩兵隊など要所に配属していただけるのです。」
ヒュッレム「故郷から離されて無理矢理、連れてこられるの?」
メフメト「私は違いますよ。都に出れば能力次第で出世できると聞いたので喜んで徴用されました。強制といっても一人息子や長男は除かれますし、私もシャフィークも似たような欧州の村から徴用されましたが帝都での暮らしに満足していますよ。」

一応、次男以降の文句の出難い子供達を狙っているとはいえ、徴用は強制(次男達を心から愛していても「長男がいるだろ!その子はよこせ!」と頭脳・容姿・体格に恵まれた子供達は持って行かれてしまう。)であり、イブラヒムのように故郷を懐かしんで泣き暮らしている子供達の方が多かっただろうな(そりゃ大人になるにつれ「徴用された子供が逃げ帰って来ても家族は困るだけだし、その前に脱走はまず成功しないし、ここ以外自分の場所は無いんだ。」と諦め、割り切るようにはなるだろうけれど。)と有能なのに何度も逃げ帰ろうとした現・大宰相の過去と合わせて微妙に思えてしまった言でした。そりゃ、中にはヌール・ジャハーンやメフメトのように「自分は下働き程度では終わらないわ。妾以上の人を使う側になるんだから。」と奴隷として来ながら根拠の無い希望に燃えていた子供もいたかもしれないけれど、それは確実に絶対少数派だろう(たとえ王都で暮らした方が、少なくとも飢えからは免れる故郷より上の生活レベルであっても、親への慕情はそんな簡単なものではない。)とメフメトの言にツッコミを入れてしまったものです。全員が全員、喜んで来たかのように自分を基準にして語らないでくれ(どんな言い方をしてもそれは人さらい制度だ。)と思わず語りかけてしまったオスマン帝国の人材徴用制度でした…。

妖鬼妃伝

2009.09.05
 夏に読むのに最適そうなホラー話を集めた短編集です。何分昔の漫画なので読んだ瞬間に「うわ、絵が古い!」とビックリもしたものでしたが話の構成・ストーリーは凄く上手くて絵に慣れてからは充分楽しめた1冊でした。(最も古い少女漫画絵という事で現代の男はなかなか読まないだろうなとも感じてしまいましたが…。)夜に読んだのは失敗だったと後悔もしてしまった(おかげで今、長い事そのまま放置してあるぬいぐるみ(人形)の目線が気になります←洗濯してやれよ)本でした…。

 妖鬼妃伝…妖鬼妃「人間としての成長は2歳の時のまま止まってしまったが、それでも年は取っていった。妖力を持ってしても体が老いて醜くなっていく事だけはどうする事もできなかった…。」

「成長しない」という事と「老けない」事は別物だからね(我々だって成長期を過ぎればもう身長は伸びない(成長しない)訳でこれは人間だれしもに平等に訪れる生理現象である。)と妖鬼妃の言葉に頷いてしまったものでした。全身の神経が麻痺してもテレパシーと念動力が発達して(何ですと!?)歴史の裏から権力を牛耳っていた彼女。こんな素晴らしい超能力者がもう利用出来ないなんてもったいない(え?)と人形で死体をコーティングして貰った(魂の宿る場所を用意した)というエピソードには古来より人形には霊が宿りやすいという心霊関係の実話(髪の毛が伸びるお菊人形etc)と合わせてリアルにも感じたものでした。千年間続いた割には主人公達と対面した1日で滅びてしまい(頭を槍で貫かれて燃やされた)最後はヒロインのラブコメで終わっている辺りは思わず苦笑も出てしまいましたが充分怖くて楽しめた話です…ゲフッ!

 白い影法師…千草「これ以上私につきまとわないで頂戴。それに病弱なあなたが私と同じ行動取る訳にいかないでしょ。」

そして意地になって同じ行動を取り続け結果、病気が悪化して亡くなってしまった少女の幽霊…という設定から病弱→儚い死に様→散り様は美しい→美少女と勝手に美人を想像していたので机からそばかす顔の不細工娘が出てきた時には「こんな顔だったの…!?」と大ショックを受けてしまいました…ゲフッ!(確かにこのいかにも陰気ったらしい顔と性格の娘につきまとわれたら嫌かもしれない…ゴフッ!)唯一の親友だった(過去形)千草にも袖にされ、友達がいない彼女としては新しい転校生の涼子(友達候補)が欲しいという気持ちでいっぱいだったのでしょうが、授業中でも構わずにハグしたり(セクハラです!←え?)吐き気を与えて遠足に行かせなかったり、挙句にブロックの塊を落としたり鉄骨を激突させて殺害を図ったりこんなことを続けたら友達を得るどころかむしろ友達を失くすだろう(何故、千草の時にちゃんと「学習」をしなかったんですか、小森さん…?)ともツッコミを入れてしまったものです。結果として主人公が助かってホッとしたものですが小森さんの霊は成仏はしなかったんだろうなあ(浄霊(納得して天国に行って貰う)じゃなくて除霊(強引に取り除く)だからね…。)と微妙な部分も残った話でした…。

 みどりの炎…町人A「アントンの奥さんはソロモン様に選ばれなすったのかね?」
町人B「いや、ソロモン様がよそ者を選ぶ訳がない。」
町人C「じゃ、どう考えてもキャロルが木を折ったのを庇う為にわざと怪我をしたせいじゃないかい?」

主人公を守るために亡くなったイザベラ姉さん(彼女が手を切って傷口から木の血を入れなければ樹木化して死ぬことは無かった。木を折った責任を考えればキャロルが誤魔化しを行うのが筋でもある。)ハロルド(ジープを運転してくれキャロルを庇って岩壁の前から押し出してくれた人。おかげで彼1人だけがモロに岩にぶつかってしまったのか魂を風に連れ去られる(=死んだ)事に…。)の事を考えると状況を引っかき回しただけで何の助けにもなっていない主人公・キャロルにはあまり共感出来なかった話でした…ゲフッ!ハロルドにソロモン様に一目惚れされ、リオンにも気にかけて貰えている辺り(イモい町娘(セルマ)と比べれば)相当の美人なのでしょうが、あんまりモテ過ぎるのも(助けて貰ってばかりでキャロル本人は何もせずに尽くして貰っているだけというのが)イヤミにも感じてしまって…ゴフッ!唯一キャロルが来てくれたおかげで得をした事といえばハロルドに惚れられたキャロルの甥っ子という事でジープに乗せて貰ったトマス(イザベラ姉さんの忘れ形見)が助かった事ですが、彼を連れて行った所でキャロルの両親が駆け落ちして絶縁した娘の子供を引き取ってくれるかは未知数ですし、そもそもキャロル本人が夏休みを超えて行方をくらましていた事だけで大騒動になっているでしょうし町の事を説明しないとなればこれからがさらに大変だろうな(「全てが砂に埋まってしまった今あの町での出来事はあたしの思い出の中にしか無いのよ…。」とたそがれている場合ではない。)と暗澹たる気持ちになってしまった話でした…ガフッ!

白い矢

2009.09.04
 黄金の拍車シリーズ2作目です。この本では中世らしく馬上槍試合(トーナメント)が開催されており(なのに肝心の主人公2人は参加していない。とことん中世騎士物語の王道から外れた話ですな。)しかしこの物語当時(1278年)一騎討ちの試合は行われておらず、もう少し前の時代になると騎士たちは広大な土地を自在に駆け回り敵方の騎士を捕まえてはその財産を分捕るという見物人(人の目)もへったくれもないまさに戦争を繰り広げていたそうで(中には1日に何度も捕虜になってしまう哀れな人もいたんだとか…そんなに弱いんなら試合に出てくるなよとか中世の人々ってバカばっかりかもとか作者からも合理的なツッコミがなされてました…。)実在人物と共に背景まで色々調べられている事に感心もした2冊目でした。

 サー・ジェローム…ジェローム「俺の指輪がなくなったんだ。貴様が盗んだんだろ!」
リチャード「人を泥棒呼ばわりする前に頭を冷やしてよく探してみたらどうだ。不注意でどこかに置き忘れたという無様な結末になった時、恥をかくのはアンタ自身だぞ。」

そのリチャードの言葉通りにメレディスの部屋に置き忘れただけであり、何故、彼の部屋にいたかというと一緒になってコーンウォール伯を失墜させる為の不名誉な噂を広めるためだったという事実まで明るみになってしまい、自分で目立つ行動をしてしまったが為に決闘を申し込まれそうになるわ、主人公達に脅されるわ、(結局指輪は証拠品として返ってこなくなってしまうわ)散々な目に会ってしまった彼。自業自得という言葉の良い見本を体現してくれています。悪いことは何でも人のせいにして影で噂や悪口を言っている人間は最期には誰も手を差し伸べてくれなくなる(「下手に騒げば俺はアンタがやった小細工の全てをぶちまける。」byギル)という生きた実例です…ゲフッ!

 レディ・エレイン…エレイン「そんな根も葉もない人を中傷するくだらない噂を流しているあなたこそ始末されてしかるべきよ!もし私が男だったら今すぐあなたに決闘を申し込む所だわ!コテンパンにぶちのめしてその気取った顔を飼い葉桶に突っ込んでやるわよ!」
ギル「レディ・エレインは美人だが、でもどこかうちの婆さんに通じるものがあるように思うのは気のせいか?」

美人だがいわゆる女傑タイプであるレディ・エレイン(「実際に決闘を申し込んでいたとしても彼女は勝ったさ。この剣を賭けてもいい。」byコーンウォール伯)夫のウェイド(彼に決闘を申し込まれたら後は遺書を書くしかすることは無い)と合わせて超体育会系のカップルだなと思わず笑ってしまったものでした。(子供が生まれたら体育会系のサラブレッドでしょうね…ゲフッ!)本編の事件とは関係のない人間で主人公2人をもてなしているだけの人物ですが良い味を出しているキャラクターだと好感を持った女性でした。

 サー・マーティン&コーネリア…コーネリア「アルヴィンが弓を引いたと嘘の証言をすれば現場監督(執行長官)である父の罪は問われないと、そう言われて…彼には申し訳ないと思っていました。」
アルヴィン「俺がサー・マーティンが弓を引いた所を見たって話したらお二人は大法官殿に雇われて大芝居を打ってるんだって教えてくれました。」

全ては自分達の結婚資金という金の為に、容疑者に仕立て上げられたアルヴィンまで見返り(金)が貰える事にその状況を甘受している辺り、金による人心掌握の力は物凄い事を実感させてくれるエピソードです…ゲフッ!結果として無駄な人(アルヴィン)探しに労力を割き、いわば事件の黒子である2人に散々に踊らされたけれど、彼らには彼らの事情があり基本的には悪人ではない(金が絡まなくても人を悪く言って陥れようとするジェロームとは違う。)と許している主人公達。より酷い実例があるとそれより悪くない物はマシに見えてくるという現実の証明のようなお二人でした…ゴフッ!

 大法官ロバート・バーネル…リチャード「つまりバーネル殿はサー・マーティン達を使って狂言の暗殺事件を仕立て上げ、その罪をサー・ブレイスに被せようとした、と。」
トビー「自分を狙わせた矢が本当に当たっていたらどうするつもりだったんでしょう?」
リチャード「きっとバーネル殿は僧服の下に鎧でも着こんでおいでだったんだろう。あれだけ太ってるんだ。あと少し厚みが増したからって誰も気付きやしないさ。」

真相は暗殺者の弓の腕が悪かった(「上から下に矢を討ち込むのは楽な仕事ですし、あの時は風も無かった。あの距離で的を外す事はありえません。俺だったらあなたの眉間をぶち抜ける。」byリチャード)のではなく全ては狂言だったというオチがついたこの話、おかげでパシリのように使われた挙句に無駄な労力を費やされた主人公2人(それが主人公といえども王家や教会中枢区の人間に比べると身分の低い彼らの悲しさ)や振り回された周りの人間達はいい迷惑です。実在人物を使っているとはいえこの話自体はフィクションであり本気に取らないで下さいと後書きにも書いてあったのでタイトルの所以にもなった「白い矢」を使わせた本当の黒幕ではありますが信じないで読み進めていきましょう…ゲフッ!

黄金の拍車

2009.09.03
 「足のない獅子」シリーズの続編です。あれから10年、リチャードもギルフォードも結婚して子供ができ、その上2人とも髭面で腹が出て…などという全く売れない展開になった訳ではなく、物語終了直後の若く麗しい2人の姿のまま新しい騒動に巻き込まれる(騎士叙勲を受けたり引っ越しをしたからっていきなり品行方正で勇猛果敢な英雄になった訳でもなく相変わらずの2人の姿が拝める。)という到って無難な展開が始まる人気シリーズの新章、ミステリーは苦手だと書いていた駒崎先生なのにいきなり白骨死体が発見される展開で1作目開幕です。タイトルも英語(LEGLESS LION、そのまんま「足の無い獅子」)からラテン語(Calcar Aureum、これで「黄金の拍車」という意味。その辺の英羅辞書では拍車の訳語なんて載っていなくて大型書店まで足を運ぶ羽目になったそうです…。)に変わり多少パワーアップもした(?)新シリーズです。

 メアリ…「ストックスブリッジには秘密の部屋があってそこに城主様が公にはできない大変な価値のある物を隠している。だけど城主様以外に知る者のいない場所で滅多に確かめられたりはしないので、こっそり盗んでもすぐに気づかれる恐れは無いと祖父はそう言っていたんです。」

そして再度その「宝探し」に挑戦した結果、夫と同じように通路の中に落っこちて出られなくなり、危うく野たれ死にかけた(何度も助けを求めるも全て「幽霊の声」としてスルーされ、飢死寸前まで苦しんだ結果貧乏だろうがコソ泥の罪で牢屋に繋がれようが生きていられるだけマシだと悟りを開いたらしい。)そして当の宝も前国王の隠し子(娘)を預けるという覚え書き(御本人が生きてた30年前だったら強請りのネタとして有効だったが現在はただの紙切れである。)に過ぎなかった辺りがシビアで切ないです。徳川の埋蔵金などもそうですが現実のお宝伝説はこんなものなのかもしれません…ゲフッ!(発見出来た所で発掘費用の方がかかっちゃいました、みたいな…ゴフッ!)

 ファーザー・マイケル・キナストン…ジョナサン「サミュエルの父親はもし息子の墓が見つかれば全財産を教会に寄付して巡礼の旅に出ると言いだした。それで教会の組織力を頼り、頼られた司教猊下はそれはもう大喜びでファーザー・マイケルを派遣してきたというわけだ。」

そして城の地下から「サミュエル」の白骨死体が発見され、これで全財産ゲットだと思いきや、同姓同名の別人だと判明し本物のサミュエルは名前を変えて元気に生きているのが発見されました(なので全財産は息子に相続させるので寄付の話は無かった事にして下さい。)ではファーザー・マイケルが精神的に疲れきるのも分かる気がしました…ゲフッ!人探しも発見もほとんど主人公2人がこなしており、あまり役には立っていない人物ですが精神的疲労は1番感じていたお人だったでしょうね…ゴフッ!今更になって名乗り出たサミュエルの事も報告が遅れて無駄に一喜一憂させたりチャード達の事も寛大に許していますが、依頼した(寄付金を期待していた)教会側もイヤミの一つや二つを彼に言うでしょうしこれからもそれなりに気苦労が絶えないだろうなと同情してしまった神父様でした…ガフッ!

 サミュエル(イーライ)…ギル「父親を死ぬほど心配させたうえ弟に入るはずだった財産さえ危うくしてのうのうと人妻と暮らしていたと。」

探されていた彼は人妻と不倫して駆け落ちしたから行方が分からなくなっただけ(事故に巻き込まれた訳でも事件で死んだ訳でもなく勝手に平和に暮らしていた。)で元気に生きていましたというオチにはもう脱力するしかありませんでした…ゲフッ!(全財産を手離す覚悟をしてまで行方探しを頼んだ父親、欲得ずくの話がフイになった教会側、兄貴と一緒くたに遺産ゼロになるのに慌ててコソ泥の真似事までやり始めて初仕事から捕まった弟など、この男の為に振り回された大勢の人達の事を考えると泣きたくなってきます…ゴフッ!)見つかったのを幸いに、こんな親不孝者は正式に絶縁してしまえとツッコミを入れてしまいました…ガフッ!

 リチャード・フィッツロイ…ジョナサン「神が君にもう一つ『黄金の拍車』を与えて下さったと思え。これは騎士らしく振る舞えという啓示かもしれないぞ。」

「黄金の拍車」は騎士の象徴として剣と一緒に賜る物だそうでリチャード達が「騎士になった後の物語」という意味も込めてこのタイトルにしたんだろうなと由来に納得したものでした。がもう一つの拍車が隠し子隠蔽の為のご褒美(裏取引の証)という後ろ暗い代物で、それ目当てに人一人白骨死体になっている経緯を考えると微妙に思えてくるキーアイテムでもあります…ゲフッ!新しい荘園に着任早々、前任者の書類の不備(書類整理)に、白骨死体の騒動に巻き込まれてんやわんやのリチャードですが、それさえ落ち着いてしまえば元・住んでいた所の3倍は広い城の領主様でまさに前途洋々だな(同情するほどの事情ではないよな。)と一歩引いた目で見てしまったものでした…ゴフッ!本来貰うべき土地や財産など無かったはずの人間だったのに君は充分に恵まれてますよ、リチャード君…ガフッ!

スタンド アローン

2009.09.02
 「もうね、駒崎さんは何書いてもいいですよ。」「何書いても?本当ですか?ホワイトハートなのに30男が主人公で凄いホモ小説だったりしても良い訳ですか?」「ええもう、全然構いません。好きなようにどんどん書いて下さい。」と鰻屋で酔っ払っての編集長の戯言(言質)から発行に到った本だそうです。(by「麦とぶどうの恵みより」後書き)後書きにあったように30代のむさいマッチョ野郎(胸毛完備)がテカテカの口ひげをはやしている無駄にごつい男や、顎がお尻のごとく割れている小麦色に日焼けしたボデイビルダーとかと3角関係を繰り広げる話でなくて良かった…と変な所で安心もしてしまった本でした。(新境地に足を踏み出したとはいえその辺はちゃんと踏み止まってくれたのね、駒崎先生…。)

 ブルース・マクミラン…ブルース「君は僕の妻のローレンと二人きりで会ってるのか?もっとぶっちゃけて言うと浮気相手ではないのか?」
クリス「ブルース…あんたもとうに知っていると思っていたんだが…俺はゲイだ。」

「妻が思うほど亭主モテもせず」という諺の逆事例か妻の側にいるゲイ(クリス)に娘と遊んでいたゲイ(ラフィ)に無用な心配ばかりしていたお父さん。(実際は女性だという時点で彼らの趣味嗜好からは既に外れている訳ですが。)自分達がターゲットでさえなければ理解はあるというタイプだったらしく慌てて謝っていましたね。人の良い従兄弟という事も有りクリスも彼らと過ごしているうちに日常を過ごせる程度に癒されはしたようですが決定的なトラウマの克服にはならなかったというのが現実の痛い所です。で、約束した通りラフィとも一緒にゲイとノーマル織り交ぜて一緒に夕食を食べたりしているんでしょうかね、この家庭?(本当にしているとしたら、なんてアブノーマルに寛大な家庭なんだろう。)

 クリストファー・ジョシュア・ウォーカー(クリス)…「俺をレイプした相手はマフィアだったんだよ。警察何か行った所でマフィアからの圧力でうやむやにされるか殺されると思った。それに俺はもう20歳だった。図体のでかい20歳の男がレイプされたと訴えた所で世間はゲイのSMプレイがちょっとエスカレートした位にしか思わなかったろう。それでロスに逃げてきた。」

ゲイであろうが、受けであろうが、年がいってようが、好きでもない相手にレイプされるのは誰だって嫌だしトラウマにもなるという話です。(20歳の成人男子であろうとも傷つくのには変わりない。)事件から10年、駒崎先生は本当に30男を主人公にしたゲイノベルを書いたんだなあ(主人公たる彼が綺麗系で胸毛完備のマッチョ野郎でなくて良かったです…ゲフッ!)と変な所でも感慨深く感じてしまった話でした。最後にはトラウマも克服し恋人・ラフィとの半同棲も開始した彼。元が小悪魔系の性格だけあって現在は逆にアプローチする側にもなったようです。

 ラファエル・リヴェラ(ラフィ)…ラフィ「愛してるよ。子供の頃からずっとクリスが好きだった。」
クリス「10年間会ってもいないのに…何だって?」

薬と暴力を使って次々と男達をレイプしていくマフィアの叔父(どんな叔父だよ!)といい、この人の家は代々ホモなのか、ともあれ子供の頃から好きだった(狙っていた)というのは年季の入った思いに感動するかドン引きするか難しい所だなと会って早々に告白する彼に唐突さを感じてしまったものでした。(いくつも年下の子供を育て上げて将来の恋人にしたというのは源氏物語風男のロマンかもしれませんが。)数日滞在していただけでもう最後まで関係を進め合鍵まで貰った辺り展開が速すぎないか!?ともツッコミを入れてしまったいきなりの恋人、初期設定(?)のまま小麦色に日焼けした顎割れボディビルダーでなくて良かったと変な所で安心もした人物でした…ゲフッ!

 ロジャー・ウィンター…「元気になったらいつでもいいから連絡をくれ。その時僕には恋人ができているかもしれないし、できていないかもしれないが、友達として一緒に食事にでも行こう。僕はずっと君の友人でいたいと思っていたし、これからもそれは変わらない。」

普通はこの人こそを恋人に選びそうなものなのですが、長く一緒に居過ぎた為に「いい人」で終わってしまった典型的なパターンになってしまったようです…ゲフッ!2度と会わないと言われるくらいならば友人のままでいたい、と機が熟すまで待ち続けた結果、時間を無駄に掛け過ぎて「熟す」のを通り越して腐らせてしまったんでしょうね…ゴフッ!大切な人間でありながらとうとう恋人になる機会は失ってしまった彼。(「忘れないでくれ。君を愛してる。」と言ったのにそれはラフィ登場ですっかり忘れ去られた。)恋とは待っているだけでは進められないという痛い事例です…ガフッ!

聖アリス帝国

2009.09.01
 これは「学園物」なのか「ラブコメ」なのか「風刺作品」(貴族とか女王陛下とか…ね。「鳥獣戯画」の例にあげられる通り風刺作品は大抵コメディという原点を考えると微妙な所、かもしれない。)なのかジャンルに悩む作品ではありましたが、後の2つの短編と合わせてこの本はコメディばかりを集めた短編集なんだろう(皆さん大真面目に行動しており全然ボケてはいないけれどこれはコメディなのだろう、多分。)と解釈する事にしました。馬鹿馬鹿しく痛快なトンデモ作品であり、おかげで「色々ぶっ飛んでいて面白い」「共感できません」と巷で評価は大きく2分されている笑撃的作品です。(未完の「名作」というよりは「迷作」ですな…。)

 <聖アリス帝国>
「本当にそれはどこから見ても普通の学園だったのだ」と主人公は(物語開始6ページくらいまでは)言っていますが寄付金額が多い人=貴族(特優生)という特権の元に男なのにリーゼントにブレスレットをつけている生徒やペンダントに髪留めをしている男子生徒(校則違反以前にオシャレを勘違いしてるだろ。)コーラやマイクに日常的に爆弾が仕掛けられる(!)女王(周りの人間が重傷を負っても生徒会長本人は何故かいつもかすり傷1つ負わずに無事なのも凄い。)学園物という内容を理解して学校にある備品で拷問を行うシステム(石畳の上に正座させて百科事典を載せたり、跳び箱に仰向けにさせてダンベルで手足を吊ったりと物凄くいらない「工夫」をしている。)といい、もはや不思議(で納まる範疇の)学校ではなく「異常な学校」だなとツッコミを入れてしまいました。学園物という「身近なジャンル」の割には物語を取り巻く環境が我々の生活からかけ離れすぎていて濃い作品だと感じる迷作です…ゲフッ!

 怪盗ゼロ(変化薫)…生徒A「怪盗ゼロが襲うのはいつも威張り腐った貴族だけ。彼は弱いものの味方さ。」

…といっても彼が盗んだ物を市民(一般生徒)に供給する場面など無く(金持ちから金を奪って貧乏人に与えてくれる「義賊」ではない。)ただ自分の為に金目の物を盗むコスプレ泥棒でしかないのが分かります。(それでも普段迫害されている人間としては恨みに思う相手が痛い目に合っているのは痛快なのでしょうが…ゲフッ!)正体は男なのにミス聖アリス学園に選ばれていたり(男に負けた一般女子生徒達って…ゴフッ!)第二次性徴期など無視して外面だけは完全にお姉様になりきっているのはさすがですが、おかげで鈍いヒロインには完全に女としか見られておらず目の前で着替えられたりバッチに髪の毛が絡まって密着する羽目になったり相手の分からない片想いをされたり男として苦しんでいる様には多少同情もしてしまったものでした。彼が怪盗をやっている理由は姉の為の復讐らしいですがコスプレをする意味はあるのか(むしろ泥棒やるのなら目立たない格好をすべきでは?)貴族ほぼ全員に何をされたのか(対象が広範囲過ぎな気が…。)何もかも明かされないまま話は放り出されておりマジックショーなどの番外編よりも先にその辺をちゃんと描いて欲しかったと実感した未完成ぶりでした…ガフッ!

 花木桃子…「一体どうなってるんだろ、この学校は。変な人ばかり。」

周りの人間曰く「どう見ても平凡な顔にしか見えない」取り立てて取り柄も無い(というより他の登場人物達のあまりの濃さにすっかり影が薄くなってしまっている)平々凡々な主人公ですが、当の「変な人達」にすっかり慣れきって怪盗ゼロにも女王陛下にも海賊キッド(学園は海ではなく思いっきり陸上なんですが)にも何も異常を感じなくなっている(!)一般生徒達を見ると唯一のマトモで普通な登場人物とも言えゼロが彼女に惚れたのにはきっとその辺の事情もあったんだろうな(この学校には他に「普通の女性」がいない。)とちょっと納得もしたものでした。最終話にて彼女の方もゼロに想いを寄せており凄く複雑な立場ながら両想いになってはいますがそれはそれとしてロケット早く返してやれよともツッコミを入れてしまったヒロインでした…ゲフッ!

 「ダイナマイト❤みるく❤パイ」…聖子「本当は私は黒羽家(虹彦)なんて興味無いの。でもパパがこの見合いをしないとお小遣いを差し止めるって言うもので…。」

もう一人の花嫁候補の加奈子には駆け落ちされてまで逃げられており、結果として見合い相手が2人もいたにも関わらず2人共に逃げられてしまっている虹彦(残ったのは家柄も品も無い偽物娘のみるくだけである。)に少々同情してしまいました…ゲフッ!「僕の花嫁になるかもしれない心惹かれた人が替え玉に過ぎなかったなんて」とショックを受ける前に男としてもっとショックを受けるべき事実が目の前にあるだろとツッコミも入れてしまったものです。花嫁は好きに選んでいいと最後はおじい様も(相手を知らずに)GOサインを出していましたがヒロインのみるくではきっとすぐにボロが出てしまうでしょうし(失礼な事をされても笑って受け流す人間の出来たおじい様ならともかく上流社交界の奥様として通用する性格ではない。)これからが大変だろうなと感じてしまった話でした…ゴフッ!

 「二人のメロディ」…くるみ「しなやかに流れる亜麻色の髪、澄んだ瞳はさながら深い湖水のきらめき、あのヒラヒラのブラウスは本当に男の着るものかしら?」

ときめいている所申し訳ないがこの世にこんな男はいないだろうとヒロイン・くるみを尻目に思ってしまったものでした。(現実の男は彼女が見ている通り「薄汚くてむさくるしくて不潔でいやらしくて無神経な生物」が大多数だろう。)相手の男の木麗幸(これさいわい)という名前にもずっこけたものでしたが主人公のくるみの兄弟の南京(カボチャ)といい令門(レモン)といい美内先生は絶対わざと狙って名前を考えたなとツッコミを入れてしまいました。結果としてメロディどころか騒音を奏でている2人ですが周りが迷惑でもお互いがそれで良いというのならハッピーエンドではあるのでしょうね。(少なくとも当人2人に限っては。)
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