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金田一少年の事件簿・短編集①②

2010.01.31
 読み返してみて改めて、「たかが一高校生」に過ぎない(事件が起こるたびに呼ばれて現場に行かなければいけない警察の人間とは違う。)はずなのに、警察とタイアップして犯罪者を追いかけている訳でもないのに(むしろ警察は、いつも事件が起きた後に呼ばれる側である。)学校や、時には出かけた先でまで(何故か)傷害・誘拐・殺人事件に巻き込まれ、それで短編集まで文庫本に直しても4冊も出ている(短編集だけで…ね。本編に到っては20以上の事件に巻き込まれているって…どうよ!?)主人公の異常な日常に改めて寒気を感じた話の数々でした。これが私なら確実に家から一歩も出歩かなくなるな、と改めて思ってしまった、そんな短編集です。

 氷点下15度の殺意…渋沢圭介「俺の外れたビンディングだけどさ、あの時、競技前で俺、神経質になってて、自分でビンディングを締め直したのが原因で事故っちゃったと思うんだ。だから白峰は全然悪くないんだよ。でも、こんな事チューニングの鬼の奴に言ったら、それこそブチ殺されるだろうし、まずはマネージャーのお前の方からやんわりと、さりげなく言っておいてよ。」
恋人・鈴森笑美「スキー状に凍らせたタオルで殴って、雪に埋めて、殺しかけた後の今更になって、そんなこと言われても…。」
白峰「そんなアホな勘違いで俺は殺されかけたって訳か…?」

真犯人が分かった後に改めて、自分が犯人の癖に「あら、分かんないわよ~。男の友情伝説なんてウソ、ウソ。スキー板から血液反応がでた親友の赤穂さんが、そのまま犯人かもよ~?」「え~、ロケットに写真入れてたって事は春田先輩と池澤先輩って付き合ってて、『彼女』の恨みの犯行だったの!?」と話を作りながら、したり顔で何もしていない部活仲間に罪をなすりつけようとする「彼女」の性格の悪さに引いたものでした。(普通、顔が10人並みの女って、その分、性格を美しく磨いているようなイメージがあるけれど、少なくとも彼女の場合は違ったらしい。)全てがバレた後になってから「キャア!ごめんなさい!」で頭蓋骨にヒビが入った怪我が済むのかというツッコミも忘れる事ができず(それで危うく凍死しかけた殺人未遂を不問に処したなんて、白嶺さんは底抜けにお人好しの性格だったのだろう。)誰も死なずには済んだものの納得いかないものが残った話でした…。

 誰が女神を殺したか?…汐見初音「あたしのお腹の中には先生の子供がいるのよ。でも、先生は『そうか』って言ったきりで…私、不安で仕方無かったのに、先生はさやかなんかと浮気を…!気がついたら、そこにあったビーナス像で殴り倒していたの。」
中津川先生「これ、婚約指輪なんだ。僕はこういうのを選ぶのは苦手で、それで、さやか君にアドバイスして貰っていただけなんだ。僕にとってのビーナスは、生涯、君1人だから…。」
剣持警部「…これって不起訴確実だな。何つー人騒がせなプロポーズだよ。」

良かったね、仕事しなくて済んだじゃん、と剣持警部にツッコミを入れると同時に、影の薄さとは正反対に女生徒と無計画にセックスして妊娠させる顧問(計画的だったら少なくとも卒業後に作るだろう。)と、誤解から来る痴話喧嘩で本当に病院送り物の怪我をさせる女生徒(「手切れ金でも何でも貰って綺麗さっぱり別れる決心」がついてはいても、他の女に乗り換えられるのはプライドが許さなかったらしい。)の様に、大丈夫か、この部活!?(金田一君の周りでしょっちゅう人は死ぬし、どうなってんだ、この学校!?←こんなに人が死ぬ血生臭い高校、他に無いよ!)と既に読者すら誰も気にしていない「お約束になり果てたパターン」とはいえ、思わず不安を抱いた主人公の学生ライフでした。(文化祭でまで傷害事件ですか…。)短編でまでこんな話ですか、と改めて背筋に寒い物を感じてしまった、深く考えると笑えない話です…。

 2分の一の殺人者…桐沢紅子「父さんが死んで、あいつがまんまと母さんをモノにした時、私も『娘』としてあいつの財産も何もかも奪ってやろうと『良い娘』を演じてきたのよ。でも…何、あの男!母さんが死んで2年も経たないうちに今度は冬堂さんと再婚するですって!?2人の間に子供が出来れば血のつながりの無い私は1人、この家から追い出される。だから再婚する前に…!」
冬堂さん「桐沢先生があなた達、双子の娘を捨てるはずないわ!だって、あなた達は先生の血を分けた実の娘なのよ!先生の親友の妻だったお母さんは昔、先生と秘かに愛し合い、たった一度の過ちであなた達が生まれてしまったの。何も知らない親友を裏切ってしまった報いだって、本当の父親と言えなかった分、愛情を傾けていらしたのに、それすらも分からなかったの?」

取りあえず親友の奥さんや弟子(冬堂さん)にまで手を出す、どこまでも女好きのロクデナシ(手当たり次第にも程があるだろ!)だという事が伺え、托卵した「親友の娘」に殺されたのはある意味で天罰が下ったのかもしれないとも思ってしまった話でした。ともあれ、そういう大切な事(父親にとっては下半身の節操の無さが生んだ都合の悪いスキャンダル。)を一切言わずに、生前贈与(手切れ金)の一つも贈らずに、他の女と再婚する(子供が出来なかろうが、遺産相続で財産をせしめる「配偶者」は増える。)と来れば「娘」としては面白くないのは当然で、今まで「良い子」を演じてあげてきた欝憤もあってか殺人に走ってしまったようです。どうせなら、そこまでの行動に出る前に自分達をどうするつもりなのか問い詰めるなりすれば良かった(殺すのは、それからでも決して遅くは無い。)のに「肝心な事を言わない」性格だけは、どうやら血筋だったようです…。

 聖なる夜の殺人…外科医・京極優介「僕はこれでも医者だよ?人の生死にかかわる商売なんだ。たとえ僕自身に『覚えが無くとも』つまらない理由でどこかの誰かさんに逆恨みされる可能性は、残念だけど、いくらでもあるんだよ。」
恋人・秋吉梢「そうよ…あの男、私のことを全然覚えていなかったのよ!あんなに必死に母さんの診察を頼んだ、この私の顔を!あの時のあいつは急患だった母さんの命より、クリスマスに女とイチャつく事で頭がいっぱいだったのよ!」

最もそこまでやる気の無い、責任感ゼロの(当然、実力だって無いであろう)ダメ医者の彼に看て貰えた所で、お母さんが助かったかどうかは微妙な所だと思いますが(絶対にロクな治療をしてくれないと思うぞ…。)、よりによって「僕はこれから彼女とラブラブ・デートなんだよ!」という理由で断ってしまい、「あ~、あと15分、早く来てくれたら助かったんだけどね!」(だから死んだのは「到着が遅れた」せいで、うちの病院のせいじゃありませ~ん!)という理由で死亡診断書を書かれては、遺族としては収まりがつかないでしょうね。どうせ見れない(見る気が無い。)にしても「何とかなりませんか!?」「あ~、残念だけど、うちでは充分な設備が揃って無くて急変した時に対応できないんだよね。患者さんの命を助ける為にも、ちゃんと設備が揃っている大病院に回ってくれる?」とでも言えば、看てもいない患者の為に逆恨みで殺される事も無かった(母親の死因は「蜘蛛膜下出血」であって、「奴に殺された」訳ではない。)のに、と「逆恨みされやすい職種」でありながら、全然、対応がなってなかった医者の彼にツッコミを入れてしまった話でした…。

 鏡迷宮の殺人…秋元和那「私に『東洋テレビの最終面接を受けさせるな。そうしないと融資はしない。』って融資を断られて会社は火の車。ストレスが原因の心不全でお父さんは死んだのよ。父を死に追いやって、お祝いディナーだってヘラヘラ笑っているあの女の顔を見て、私は決心したの。こいつを、この手で殺してやるって…!」
金田一「アンタ…バカだよ。お父さんは命を落としてまで娘の将来を守ろうとしたのに、娘のアンタ自身が潰しちまってどうするんだよ?」

これでアナウンサーになった娘は刑務所行き(殺人罪)で当然、内定取り消しでしょうし(合格枠たった一名の超難関・数百倍の倍率=その「たった一名」がいなくなった所で代わり(希望者)はいくらでもいる。)、結果として試験には受かったのに自分でその結果をふいにしてしまった行動(これじゃ、お父さんも「無駄死に」である。)には、それを一時は高校留年すら危ぶまれた万年ドベの金田一君(多分、登場人物の中で最も「アンタにバカとは言われたくない」人物。)に語られている様と合わせて、本当にもう、溜め息しか出なかった事件でした。仲良しこよしのフリをして影でえげつない卑怯な嫌がらせをする円も円なら、それを必要以上に恨んで人殺しにまで走る和那も和那で(円はパパを使って試験を「妨害」しただけで、ライバルを「殺害」してはいない。)、容疑をかけられた途端に皆して罪のなすり合いをする他の女友達2人といい、就職活動以前の問題で、本当に女は怖いと感じた話です…。

 金田一フミ誘拐事件…金田一「慌てて自首に走った奥さんの話を聞いてたら、あの銀行強盗犯、そんなに悪い人には思えなくってさ。それに本当に強暴な奴だったらフミはとっくの昔に殺されてたよ。」
フミ「人質にされてたって何のこと?フミは自分であのオジサンについてったのよ。」
剣持警部「分かったよ!相馬敦士の逮捕状は強盗の件のみ。それで良いだろ、チビ金!」

無理矢理に車で連れ去られて、ロープで拘束された挙句に絞殺されかけて(良いタイミングで主人公達が駆けつけていなかったら、誰にも止められなかったのを良い事にフミは確実に殺されていた。)動けない状態で首にナイフを突きつけられて、結果的に命が助かってはいても、普通の子供としてトラウマ必至の出来事の連発だったでしょうに↑のように犯人を庇ってあげるなんて、滅茶苦茶強い上に優しい子だな、と主人公譲りのたくましさに感嘆したフミのエピソードでした。当時流行したドラエホン→ノラエホン(「あちこちに設置された基地局を利用して半径100メートルまで居場所を特定できる機能が備わってるんだ。親が子供に迷子にならないよう、こいつを持たせたりするんだよ。」by金田一)のパクリネタと合わせて面白く感じた話でした。

 金田一フミの冒険…猪熊先生「あの男は自分の釣り糸が俺の息子に絡まって溺れたのを見て、無責任にも面倒はゴメンとばかりに逃げたんだ。そして、その川に何の反省も無く女連れでノコノコやってきたニヤけた顔を見た時…俺の中に復讐の鬼が下りてきたんだ。」
フミ「先生、いつも言ってたじゃない。悪い事がバレてぶたれるのは痛いけれど、自分でした悪い事が誰にも気づかれないままになっちゃった時の罪悪感の方が、もっとずっと痛いんだって。嫌だよ…大好きな先生が人殺しをした挙句に、その罪を他の人になすりつけて責任逃れをしようとしているなんて…!」

子供1人を溺れ死にさせて、それに負い目を感じるどころかヘラヘラと同じ川に何の反省も無く釣りに来たバカ男の方も、そんな男を殺して証拠隠蔽に走り「ざまあ。」と復讐を果たした事に黙ってほくそ笑んでいる先生の方も、どっちもそんな殊勝な罪悪感を感じているようには見えないんですが、それでも「先生がそんな人間だったなんて…!」という教え子の痛い一言には、さすがの先生も胸を突かれたらしく、めでたく自供(身の上話)→お縄となっていました。先生の方には息子が死ぬ羽目になった原因を作った男に対する恨みという、それなりの理由は有ったけれど、何もしていないのに殺人犯の容疑を着せられる羽目になった連れの友達は良い迷惑で、そこは共感できないな(そんな教師は嫌過ぎる。)、とフミ共々頷いてしまった、そんな休暇旅行中の出来事でした…。

 白銀に消えた身代金…黒塚議員「三千万貸してなんて簡単に言うが、君みたいな小娘に返すあてなんてあるのかね?悪いがうちは慈善事業やってる訳じゃないんだ。赤の他人の君に、無利子無担保で三千万を貸す道理など無いね!」
黒塚巧「だから僕は、この狂言誘拐をけしかけたんだよ!お父さんなんか、いつも後援会だ集会だなんて、どこか行ってて、母さんが死んだ時だって側にいなかったじゃないか!僕は家庭教師の若林さんを赤の他人だなんて思った事は無いよ!」

だったら息子自ら土下座でもして「どうかお金を恵んでやって下さい!」と頼めば良い物を、狂言誘拐なんて詐欺まがいの方法で脅し取ろうとするなんて呆れた性根のガキだな(大体、お父さんの言う事は間違ってはいない。)と加害者の癖にお涙頂戴劇の元に被害者面し始めた2人に溜め息が出てしまったものでした。(たとえ、けしかけたのが子供の巧の方であっても、それを良い事に「乗った」時点で家庭教師にも問題有り。いい歳をした大人が子供を言い訳に使って利用したのと何も変わらないし、本来なら逆に「子供の先生」として狡い事をして金をせしめようとする教え子を止める立場だっただろう。)ここで拒んだら親子の間に決定的な溝が入る(それも一種の脅迫に思えるが。)と議員の父親は「そんな3千万は無くなったも同じだ!」と無償で3千万を彼女に差し上げています(!)が、それはそれとして、この家庭教師はクビにした方が良いよ、と知らず語りかけてしまった話でした…。

 フィルムの中のアリバイ…剣持警部「医者から話を聞いたが、七瀬君は昨日から意識不明だそうだな。救急車の到着が遅れたから、やばかったんだとか…。」
金田一「ひき逃げしたワゴンが逃走せずに病院に運んでくれれば、もっと早く手当てができたのに…美雪にもしもの事があったら、あのワゴンのドライバー、絶対に許さねえ!」

いやいや、「最寄りの病院にたどり着く」のは早くなっても、一般車で来たら外来から順番に時間待ちしなきゃならないでしょうし(だって「救急」車で来たんじゃないんだもん。)、また当の病院に救急の設備が整っているのかどうかも不明だし、整っていても現在そこのICU(集中治療室)が開いているのかどうかは分からないし、その場合は色んな病院と連絡が取れる救急車で運ぶのが正解で、ワゴン車が居残ろうが居残るまいが患者の病状の結果は変わらなかったと思うぞ(ひき逃げ事故を起こしたのが救急車も通れない山道で、4WDのこの車でないと到底、麓まで運べませんとかだったら、「途中まで」ひき逃げ犯の車で運ぶのは有りかもしれないが、救急車に乗らない限りは緊急を要するから現在「順番待ちをしている患者さん達を無視して速攻で見て下さい」という展開は成り立たないだろう。)と、まるで病院事情を知らない金田一少年にツッコミを入れてしまったものでした。病院って確かに病人・怪我人を見る場所ではあるけれど、24時間営業のコンビニとは違うのよ、と常識の元に語りかけてしまったものです…。
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金田一少年の事件簿・短編集③④

2010.01.30
 大長編という長さで語られずとも、今までの恨みという「動機」を建前に、トリックを利用して無関係な通りすがりの人(主人公、ヒロイン含む)に罪をなすりつける形で(自分は自分でした事の責任を取らずに、まんまと逃げおおせる形で。)殺人を犯していく真犯人達の姿に「やっぱり、犯罪を犯す人達って、どこか考え方がずれているよな。」(その恨みが正当な理由で、人殺しになってでも後悔しないから実行したんだというのなら、そのまま堂々と胸を張って刑務所に行けば良いだろう。何の関係も無いのに無実の罪を着せられる不特定多数の人間は良い迷惑だ。)と改めて思ってしまった事件の数々でした。最も、そうしないと話が成り立たないという大人(作者)の事情は分かっちゃいるのですが…。

 殺人レストラン…助教授「何だ、この少女趣味の内装の店は!いい年して…。そういや、この女、年増のクセに『大草原の小さな家が好きなの!』とかカマトトぶって言っていたな。かーっ、気色悪い!」

確かに目元に小じわが目立ち始めた年齢で、アメリカンカントリーとテディベアに囲まれた「趣味の店」で、ブリブリとブリッ子やっている中年女性って…見てて痛いよな(少女趣味ってさ、文字通り「少女」までにしか似合わない趣味だと思うんだ…。)と、学長の娘(普通の趣味の女性)との縁談の前に、今まで付き合ってきたこの女性が袖にされた展開には残念ながら頷けたものでした。そんな訳で↑の店の方向性のおかげでピンクのフリフリエプロンをつけて偽店主として奔走する羽目になった殺人犯(男)の姿にも笑わせて貰いましたが(でも、女性であっても30を過ぎた年齢でフリフリエプロン(しかもピンク)着用って…どうよ?可愛いユニフォームにウキウキするどころか年齢的に結構な拷問だぞ、普通は?)人1人死んでいるのを「ギャグネタ」にするのって酷くない?という意見か、アニメ版では頭を殴られて気絶していただけで冷蔵庫の中で生きていました、という展開に変更されていました。つまり、アニメ版では、まだ健在している訳ね、あの店…。

 血染めプールの殺人…荻野千花「医師国家試験の身代り受験がバレれば医師免許どころか大学にだっていられなくなる。仮に成功しても私はもう一年、留年…私は悪魔に心を売って、あの女を殺そうと決めたのよ!」
金田一「…人の命を助けなきゃいけない医者になる為に、人殺しになってどうするんだよ?」

要するにこの人、「誰かの命を助けたいから」医者になりたかったのではなく「給料が多いから」金の為に医者になりたかった様子で、動機からして間違っていたな(医者って本来、そういう金の亡者じゃないだろう。)とつくづく感じた身の上話でした。(「父親が博打でとんでもない借金作って逃げちゃって、学費だけでも何とかしなきゃって、私、必死だったのよ!」「金に困っていたら、入試テストを横流しする犯罪行為が許されるんですか?」「だって母は病気なのよ!うちには留年できる余裕なんて、これっぽちも無いわ!」「母親が病気で留年の危機が迫っていれば、人を殺しても良いんですか?」という話である。追い詰められていたのは分かるが、そもそもの原因を作ったのは自分だし、余裕が無い事を言い訳に使えば許される話でもないと私は思う。)死んだ女性は確かに性格の悪い女だったけれど、やった事は「脅迫」だけですし、報復に「殺人」に走るのは、どう考えてもやり過ぎだな(被害者面してるけど、「より罪の重い加害者」は確実にアンタの方だぞ?)と感じたものです…。

 亡霊学校殺人事件…鳴沢研太「妹は伊能に弄ばれた上に裸の写真を撮られて、それを奴の『作品』として世間に発表された事を苦に焼身自殺したんだ。だから俺は奴を殺した事を後悔なんかしていない。火だるまになって死んだ妹も救われたはずさ。」
金田一「今まで、お前みたいな事になった奴、結構見てきたんだよ。だけど人を殺して誰かが本当に救われた事なんか、俺…一度だって見たことが無いんだ。」

そう、今更になって犯人をブチ殺した所で「芸術作品」として発表された妹の裸が撤回できる訳でもない(撤回できた所で、もう既に大分、人目に晒されている。)復讐を果たして捕まった鳴沢自身も逮捕→拘留→当然、高校中退の上に一生、履歴書の賞罰蘭に殺人歴がついて回る人生(多分、一生就職に苦労する身分。)を歩む事になるでしょうし、やってきた事のえげつなさは別として、わずか18才の若さでトイレで殺される羽目になった伊能先輩もある意味では哀れですし(よりによって「最後の場所」はボットン便器式のトイレか…。)、確かに誰も「救われて」はいない結末だな、と金田一少年の言葉に頷けてしまったものでした。まあ、極悪人である伊能の霊がこの先ずっとあの暗いトイレの中をさまよい続けるだろう事が良い気味と言えば良い気味ですが、やりきれない事件でした…。

 瞬完喪失の謎…京谷「先輩!後は僕が弁当配るのをやります!埃っぽいから貴重品室に置いときましょう。空の弁当箱は廊下に出しますんで、どんどん渡して下さい。」
金田一「しかし今年の一年はよく働くねぇ。…よく働くが、何か裏が有りそうなんだよな~。」

その予想通りに、弁当箱を利用して貴重なホームズ全集を外に運び出し、金田一少年を責任問題(に名を借りた詐欺)で問い詰めようとした京谷少年の裏の顔(「あいつ…七瀬さんのこと好きだったんだな。」「まるで小学生のガキだぜ。脅迫状みたいなラブレター出して、惚れた女と仲の良い男を無実の罪で陥れようとするなんて、好きな女に対して屈折した態度、取り過ぎだよ。」by金田一)に思わずツッコミを入れてしまったものでした。結局、「貴重なホームズ全集(しかも初版のサイン入り本)が無い!」と部員の皆さんを大騒ぎさせ、惚れた相手への気持ちは部員じゅうにバレるわ、美雪に金田一少年を幻滅させるどころかトリックを見破られて株を上げる羽目になるわ、全てが裏目に出てしまった彼。そういう結末になるから、人を陥れるような事はするもんじゃないんだよ、と溜め息しか出なかった顛末でした…。

 怪盗紳士からの挑戦状…佐木「それにしても曇りガラスを利用して『朝日』を自前で作るなんて大胆不敵な犯行でしたね。」
金田一「それも匿名の投稿記事を送りつけて曇りガラスに替えさせた怪盗紳士の仕込みだったのさ。そんな事までする位なら、その時に盗めば良いのに、わざわざ予告状出して警察を集めた上で大仕掛けのトリックで目の前で盗み出すなんざ病気だぜ!」

普通の泥棒はもっとコソコソと盗む物でしょうに、わざわざ何を盗むかお知らせをして、目立つ中で盗み出すなんて愉快犯の典型だな(それと同時に、盗まれる物が分かっていて毎度おめおめとしてやられているなんて警察は何処までも使えない組織だな。)と改めて実感した事件でした。怪盗紳士本人には逃げられたけれど名画は守ることができた(でなきゃ「御礼」は出ないだろう。おめおめと犯人を取り逃がし、パトカーのタイヤの空気は抜かれ、ヘリは破壊された始末書もののお粗末な幕の閉じ方では。)事で金田一探偵にも「初」の依頼料が出た(という事は、今まで20以上もの連続殺人事件の犯人を警察に代わって暴き出しておきながら、そのどれもが無給だったんだ…。まあ、主人公自身、警察(国家公務員)の資格も探偵の資格も無い「ただの学生」で、依頼された訳でもない事件の数々にいつも巻き込まれているだけなのだから、それが正当な形なのだろうが。←多分それで「探偵の資格を取るにはどうすれば良いの!?」と次回作「探偵学園Q」が始まったんだろうな。)のですが、名画を盗み出せなかった逆恨み(それ、元々「他人の物」でアンタが逆ギレする筋合いは無いから!)から、怪盗紳士に横取りされる形でまたしても痛い目に遭わされている金田一少年に同情もしてしまった顛末でした。彼らは何にも悪くは無いんですけど…ね。

 午前4時30分の銃声…金田一「これは銃で心臓を撃ち抜かれて死んでいた雪嶺美砂本人が仕組んだ狂言殺人だよ。自分が死んだ後テグスを伝って銃を元恋人の部屋に送って、始発電車を利用してテグスを回収させたんだ。」
剣持警部「全く女の執念って奴は…!そんなトリック仕込む根性があるんなら自殺なんかするなってんだ!」

拳銃と一緒に自分の指紋付きの合鍵まで送った(「自分がやったとバレる証拠品」をわざと相手側に流した。)事から、彼女は本気で元恋人・村山を殺人犯に仕立て上げて彼の人生を破滅させるつもりは無くて、自分を裏切った女癖の悪い恋人を少しばかり懲らしめてやりたかっただけかもしれない(「少しばかりのお仕置き」で当てつけ自殺の元に彼氏を警察に連行させる展開を作るなんて、全く女の執念って奴は…!)という結論が出されていましたが、だったら他にやりようも有ったでしょう(「あたしも『浮気』する!なおかつ彼氏とその女を別れさせてやる!」とホモップル(レズ)大作戦の元に彼氏の浮気相手をモノにした実例を聞いたことがあるのですが…そーゆー「平和的な解決方法」は思い浮かばなかったのだろうか?)とツッコミしか入らなかった痴話喧嘩の様でした…。

 妖刀毒蜂殺人事件…高槻鈴音「く、苦しい。アナフィラキーショックで息が…!あ、あたし、死ぬの?これからって時に?あたしは何も悪い事なんてしてないわ!待ってただけよ。ただ、お義父様が殺されるのを何も言わずに待っていただけ…!」

莫大な借金を抱えた甲斐叔父様はお義父様が死んだら遺産が入る、骨董商の岩見さんだってお義父様が死んだら刀を手に入れるチャンスが巡ってくる(「お父様を殺す動機なら、ここにいる皆が持っているんです。」by鈴音)…親戚以外の人間の事情にまで何だか随分と詳しいな、と思ったら既に興信所で色々調べており、「義父殺害計画」が持ち上がっている事はかなり前から知っていた様子です。確かに殺した張本人は岩見さんであり、彼女は「何もしていない」のですが、イジメの原理で言えば「傍観者が一番悪い」訳(彼女が岩見さんを止めていれば、あるいは義父にバラして注意するよう言っていれば、人が1人死ぬことは無かった。)であって、天罰が下るかのようにアレルギーショックで死んだのには真剣に呪いか何かではないかと疑ってしまった話でした…。世の中、神様はいなくても天罰は有る様子です。

 女医の奇妙な企み…金田一「この旦那のベルト、変じゃない?ベルト穴が使い込んだ所から2つもずれてる…。」
女医「お、夫は食欲不振で一週間で5キロも痩せてしまったのよ!今から思えば、それが死の前兆だったのかもしれないわ…!」
剣持警部「ありゃ?スポーツクラブの会員証、コインか何かで擦ったみたいになってて顔が分からんなあ…。」
金田一「いや、ペースメーカー入れてる人が、どうしてフィットネスクラブなんか通えるんだ?心臓の悪い人が負担のかかるサウナに割引券を貰うほど通うって事もあり得ないよ。」

葬式を出したり火葬したりして「普通に死体を葬る」には死亡届が必要。それが自宅で突然死した場合も「異常死」として警察に届けて検死を行う(死亡原因を調べる為に解剖する)義務があるので、刺し殺しちゃった夫は「普通の経緯」を経たら警察に調べられて、すぐに殺人とバレてしまう。しかし「生きたまま病院に運ばれて医師が病状を診断した後、治療中に死亡した場合」は警察に届ける必要も無く死亡診断書一枚で死亡届が受理できる。だから、ご臨終間近の患者さんを夫に変装させて別の病院で死んで貰い、しゃあしゃあと夫名義の死亡診断書を手に入れたら、自分の病院に戻して「見回りに行ったら死んでたんです~。」と自分で死亡診断書を書けば犯罪成立。超都合良くその日のうちに死んでくれた患者さんが居合わせたからこそ成せた業ですが、↑から分かる通り、かなりアバウトな計画で金田一少年には即バレしていました。最も、縁もゆかりも無い一般人(金田一達)に病院の仕事を手伝わせる事自体がありえない(「すみませんが、ちょっと担架を運ぶのを手伝って貰えませんか?」by看護婦)ので、現実だったらまず成功していたでしょうが…。

明智少年の華麗なる事件簿・明智警視の優雅なる事件簿

2010.01.29
 「ええ!?オマケ漫画に到ってはアシスタント抜きで1人で描いたんですか!並々ならぬ意気込みを感じますね~。」「いえ、抜き差しならぬ事情です。オマケ漫画のことをすっかり忘れて締切目前まで温泉に行ってしまい、その上この時正月休みでアシスタントさんが1人もいなかったんです。」…というオマケ漫画秘話(それでもキッチリ原稿を上げている。)から、漫画家って本当に大変な職業なんだなあ、と改めて感じた番外編短編集でした。彼が主人公として文庫版で2冊も本が出ている辺り、改めて対象読者層(女性ファン)の多さも伺える、そんな本です…。

 明智少年の最初の事件…薬師寺かおる「私、信じてるわ。明智君が『こんな人殺し』なんかするような人じゃないって。明智君なら、そんな『疑われるようなやり方』をする訳ないわ!完全犯罪を狙うはずよ!」
赤沢次郎「同感。お前なら悪魔のようなアリバイトリックとか考えそうだもんな。とてつもなく卑怯なトリックを!」
明智「君達の深~い友情を感じるよ…。」

有名な速筆作家・赤川次郎→赤沢次郎というネーミング(ご丁寧にも彼だけには「推理作家志望」と他の2人の同級生には何も書いていないのに反して一文書かれている。)に地味に吹いたものでした。(相も変わらず、この漫画の登場人物の名前の由来って…。)友達なのに明智さんに容疑がかかるようなトリックを使ったのは「最後に目の前で彼の活躍が見たかった」からで、自分もかつては祖父(金田一耕輔という名のホームズ)の活躍をワクワクしながら見ていた身(ワトソン)としては、その人の気持ちが分かる、と金田一君は言いますが、それでも金田一少年は活躍する姿が見たいなんて自分勝手な理由で祖父を殺人犯に仕立て上げるような真似はしなかっただろう(もはやそれは「やんちゃ」とか「出来心」で済まない、悪質な嫌がらせである。)というツッコミの元に、そこには共感できなかった友情物語の様でした…。(ていうか友情が有ったら友達を殺人犯にしませんから!残念!)

 殺意の四重奏…桐島レオナ「ちょっと、いい加減にしてよ!棘付きの薔薇の花束を贈りつけたり、人の上の電球を割ったり、椅子の足に鋸をかけたり、皆、アンタ達がやったんでしょ!負け犬みたいにセコイ真似して!」
赤堤響介「俺達が『負け犬』なら、お前はさしずめ主人(教授)にしっぽを振る『メス犬』って所か?」

嫌がらせを受けている被害者面をしても、それ以上に汚ない手段(肉体)で留学者の座を寝取った彼女の本性の前には誰も同情してくれない。それどころか本当にメンバーの全員が犯人だった(で、コンサートの真っ最中に殺人事件が起きる要因を作ってしまった=「音楽という芸術を汚した」事だけを嘆いて、誰も彼女の死を悼んでいない。むしろ「そんな女の為に刑務所に行くことになった加害者」に同情して涙している。)という様には乾いた笑みしか浮かばなかった事件でした。犯人も犯人で、コンサートの最中に起こる殺人事件なんて目立つやり方ではなく、元恋人の立場を利用して夜中に呼び出し、山の中にでも埋めて「行方不明」の路線を狙うべきだったな(オイ!)とツッコミを入れてしまった殺人計画でした…。

 幽霊剣士殺人事件…宇佐美「ま、君もせいぜい気をつけるこった。調子に乗って天才ぶりを見せつけているうちに、逆恨みした俺みたいな奴に心臓を一突き…なんて事にならんようにな。」
明智「結局その後、私はメンバー入りを辞退して、フェンシングもそこで辞めてしまいました。」

「才能があるくせに遠慮した、なんてカッコつけているけど、本当はそのキチ男の毒気に当てられて怖くなっちゃったんじゃないの?」と金田一君が言う通り、本当にそんな理由で人1人殺した人間から言われたら怖いって!(「東京伝説」シリーズで同じように助手席に息子のライバルを乗せて、彼がサッカーを辞めると言わないのに逆ギレして諸共に追突事故を起こしたキチ父を思い出しました。現実に本当にこういう人間はいるし、「スポーツが好き」なのと「趣味1つの為に死ねるか」は別だったりもするので、それをきっかけにして熱が冷めてしまうのも無理は無い気がします…。)と、仕事でも高級官僚の椅子を蹴って「たいして儲かりもしない警察(公務員)」になった(警察内では警部補から始まるキャリア組という「勝ち組」だが、それはあくまでも「警察内での話」であって…。)彼の人生の経緯がちょっと理解もできた高校時代の1エピソードでした。しかし、金田一君といい、何で彼らの高校時代はこんなにも人が死んでいるんでしょうね…?

 証言パズル…八木車掌「江熊は借金が担保の額に達すると手の平を返して厳しく催促をし出し、あっという間に家も会社も取られて親父は自殺。母さんも後を追うように病死した。あんな奴、殺されて当然の男だったんだよ!」
明智警視「確かに江熊は下劣な男だったようですが、彼を殺した自分の罪を無関係の乗客(金田一君)に押し付けようとしたのは、あなた自身の弱さですよ?」

全く関係が無いのに、その場に居合わせただけで殺人犯の汚名を着せられた金田一君は良い迷惑な話で、本人は刑務所の中でも「羊達の沈黙」(レクター博士)ごっこをする余裕を見せながらも、事件解決後も忘れ去られて刑務所の中で放置されていた有り様(「お、遅いっ!2人共!いつまで俺をこんな所に置き去りにしておくんだよ~!」by金田一。)と合わせて思わず同情してしまったものでした。明智さんも明智さんで、「衝動殺人」なのに凶器の傘(被害者の持ち物)からは被害者の指紋だけしか出なかった=犯人は真夏でも常に手袋を身につける職業の人物=車掌、と事件の報告を聞いた時点で真犯人が分かっていたのなら、その時に金田一君を出してあげなよ、と電車に乗っている時でさえ「そんな事件」に巻き込まれて嫌な目に遭っている本編主人公(一体どんだけ運の無い少年なのやら…。)に同情してしまったアナザーストーリーでした…。

 殺人ポーカー…三矢「ああ…こんな所で雨宿りなんかしなければ良かった。濡れたままサッサと山を下りていれば良かったのに、こんな所で昔の強盗殺人の目撃者に出会っちまうなんて、最後の最後で、なんてツイてないんだ、私は…!」
明智「ツイてなかったのは三矢さんだけじゃありませんよ。猫田さんも殺人犯に出会って脅迫するなんて妙な気を起こさなければ、ここで命を無くすこともなかった…。」

それでも強請りたかりに走ろうとした脅迫者を殺した後、手持ちのポーカーの札が「ダイヤのフラッシュ」だった事を良い事に自分の札とすり替えるなんて妙な工作(「犯人は赤菱五郎、アンタだな!?『赤い菱形が5つ』…まさに『ダイヤのフラッシュ』だぞ!」「考えてもみて下さい。停電の中でカードの山からダイヤのフラッシュを選び出すなんて、どう考えても不可能でしょう?」by明智)をしなければ容疑は自分を含めた4人全員に均等に散っていたのに、変な隠蔽工作を仕掛けるから墓穴を掘る形で逆に自分が犯人だとバレるのが早まった様には、本当にもう、溜め息しか出なかった結末でした。ツイてないとか、「運が悪かった」のが原因ではなく、「頭が悪かった」のが自滅の要因だったのではないか、としか思えなかった話です…。(明智さんが言う通り、「雨宿りが運命を変えちゃった」のではなく、自分達の過ちこそが「破滅」の根っこに有ったと思うぞ…。)

 死者のチェックメイト…舟木敏朗「アンタは自分のホテルの窓の灯りをチェス盤に見立ててコンピューター不正(カンニング)をして俺との勝負に勝ったんだ。アンタにチェスを打つ資格なんて無い!ゴールドマン!」
ケネス・ゴールドマン「とうとう殺ってしまった…。しかし私は、こんな小蝿のように目ざといジャップの為に、こんな所で破滅する訳にはいかないのだ!」

ホテルの経営を立て直し、妻に慰謝料を払い、不倫相手との結婚資金を貯める(要するに手っ取り早く一攫千金を狙う。)にはラスベガスのチェス賭博で自分に賭けてイカサマの元に勝ち抜くしかない(何故、素直に土木作業をする道を選ばないんだ…?)と間違った思い込みで突っ走り、トリックがバレた事で逆ギレして殺人まで犯した彼に色々ツッコミを入れてしまったものでした。共犯者であった不倫相手(コンピュータープログラマー)の方も、カンニング程度には目を瞑れても、殺人まで犯した彼にはさすがに「×」(ジ・エンド)のメッセージを送っているし(当たり前だ。同じ「犯罪」でもカンニングと殺人では重みが違うし、いくら不倫の果ての愛でも殺人犯と結婚するのはゴメンだろう。)狡い手段ばかり使ったせいで、結果的には全てを失くしてしまった彼の姿に哀愁しか感じなかった、そんな話でした…。

 幽霊ホテル殺人事件…ジム・チッパ「何だ?その目は?俺は昔ジャップのガキを1人、殺してんだぜ!犬っころみてーに簡単にな!ヒャハハハハ!」
パトリシア「で、出所したと思ったら今度は銀行強盗って、全く救いようが無いわね。」
ボブ・デイヴィス「許せなかったんだよ、俺は。刑事である前に親として…。チッパを殺した事についちゃ俺は何にも後悔なんかしちゃいないんだ。たとえ電気椅子に座らされてもな。」

そっか、日本だと大人一人を殺した程度でも長くて8年程度で刑務所から出てこれる(by「嫌われ松子の一生」より。情状酌量が認められれば期間はもっと短くなるし、引受人がいて刑務所内での態度も良ければ、それよりも早く仮釈放が認められる事もある。ぶっちゃけ日本は犯罪者に甘過ぎる緩い国である。)けれど、警官が人を殺しちゃダメだろうとか、殺した後すぐに自首せずに証拠隠滅を図った(やり口が悪質。)とか、色々なツッコミの元に死刑確定という展開になってしまうんだ…とアメリカの速やかな応対・犯罪者への厳しさに感嘆したものでした。(中国なども即座に銃殺刑が執行されるそうだし、「サッサと死刑にしてくれ!」と囚人が逆に裁判を起こしてまで死刑の執行を早めた国って、本当に日本だけだよな…。)そんな事やってるから話に出てくるマスクマンこと高遠遥一にも長~い服役中の間に逃げられてしまうんだよ、と変な所でツッコミも入れてしまった話です…。

金田一少年の事件簿①~③

2010.01.28
 作画担当のさとうふみや先生(そんなペンネームだが実際は女性。)の方は月刊誌でのんびりじっくり描けるものだと思っていたそうで「え!?週刊で描く!?」「え!?じゃあ間に合わないからアシスタント探さなくちゃ!」「え!?それなら仕事場だって大人数で使える所を見つけなくちゃ!?」とドタバタする中、若さで連載を乗り切っていた(「若いあの頃でなければ、出来ない仕事だったなあと思います。今なら絶対に倒れていたでしょうね。」byさとう先生)と文庫版後書きに書かれていました。当時、子供だった私は次々に人が殺されていく、おどろおどろしい雰囲気に推理物を読むというよりはホラーを読むような感覚で読んでいたなあ、と懐かしくも思い出せる名作シリーズです。

 <オペラ座館殺人事件>
 金田一一…緒方先生「彼、入学試験の時、学校始まって以来の好成績で合格したのよ。中学での知能テストの結果を見たら、彼のIQは180という驚異的な数値を記録していたわ。」
美雪「でも、はじめちゃん、2年進級の時は赤点ギリギリで…。」

よく、ありますよね。「子供の頃は神童と呼ばれたけれど、大人になったら、ただの人」っていうパターン…と、その後の追試もカーボン用紙(うつし紙)を使ってのインチキでパスしたり、自力ではどうにもできない位に遅れている彼の学力(まあ、高校受験(中学レベル)まではその場しのぎで何とかなっても、高校に入ってから完全に勉強について行けなくなったというのも、よく聞く話ではあるから…。)にツッコミを入れながらダメな方向で頷けてしまったものでした。この最初の事件から、何度も映画化されている、かの「金田一耕輔」(それというのも、映画「八墓村」が実際に遭った「津山32人殺し事件」をモデルにしてるから、でもあるのだが。)の孫として、祖父と同じく警官でもないのに一般人の分際で事件に首を突っ込んで解決に導く探偵の役目を担うのですが、どんなに難事件を解決しても、それが将来性に繋がらないのも確かであり(「君は今までいくつも難事件を解決したんだってね。でも履歴書には、そんな事を書く欄はどこにも無いんだよ?」byタロット山荘殺人事件)幼馴染み兼恋人の立ち位置にいる美雪のこれからの苦労が忍ばれたものでした…。(事件を解決してはいるけれど、ほとんど全部、無給だしな。)

 月島冬子…日高「良かったあ!月島さん、理科準備室で驚かせて頭から硫酸かぶる羽目になる原因を作った、あたし達のことを誰にも言ってないのね!?」
早乙女「ほら、あたしの言った通りでしょ?あの子、あくまで良い子ぶる気なんだから。おかげでこっちは助かっちゃったけど~。」

彼女達3人を責めた所で自分の顔の怪我が元に戻る訳でもない、覆水は盆に返らず、「もうどうしようも無くなった事態」として、いじめっ子3人組の将来だけを考えて黙って泣き寝入りしてあげれば↑の有り様。こっちは女優としての人生を諦める上に火傷で映画のダークマンも真っ青の怪物のような顔にされた(か、どうかは分からないけれど。)のに、奴らはバレるかどうかだけを心配していて何の罪悪感も感じてはいなかった。(その上、してやったりとばかりにいい気になって人の不幸を喜んでいる。)そんな様に、思わず絶望して自殺に走ってしまったのでしょうね。遺書によると、月島さん自身はそんな彼女達を「許せる」うちに死のうと思ったらしいですが、これ見よがしに彼女達演劇部員一同がお見舞いに来たその時に目の前で自殺した辺り、「当てつけ」の意味合いは立派に有ったと思われます。それでも劇に出演する事だけは諦めない、しゃあしゃあとした3人組の様にはたくましさばかりを感じた(図々しい人間の図々しさには限度が無いって本当なんだな。)そんな話でした…。

 <異人館村殺人事件>
 六星竜一…詩織「お前は母さんの代わりに、あの連中に復讐するんだよ。お前は、あいつらを殺す為に生まれてきたんだから!」
竜一「母さんは、この日の為に様々な殺人術を俺に仕込んだ。そして、あの日、最後の仕上げとして自分を殺させたんだ。」

そんなに復讐なさりたいのなら、自分で行って下さいよ…と、子供の幸せを微塵も考えず、嫌な事を全部息子に押し付ける形で殺人マシーンに育て上げた母親にツッコミを入れてしまったものでした。オマケに自分達姉妹を蒸し焼きにした館の住人の面々は殺すように教え込んでも、その一員だった自分の恋人だけは除外している(「母さんが『アンタだけは殺すな』と言っていたから一応、見逃してやるぜ。俺に言わせりゃアンタも同罪なんだがな。」by竜一)辺り、復讐心よりも思いきり自分の好みで相手を選んでいる事も窺い知れ、何だかなぁ…と溜め息が出たものです。(もう、復讐じゃなくて自分の趣味になっちゃってませんか、その殺人計画?)27年前の悲劇が原因なら、その後に生まれた若葉、霧子、竜一、蓮城さんは何の関係も無い人間でしょうに、親のとばっちりを食う形で人生を狂わされた子供達にひたすら涙した話でした…。

 風祭淳也…「私が他の5人の目を盗んで教会に入った時、詩織を除く全員は既に息絶えていた。使用人に秘かに用意させていた車に乗せて麓の病院に運び込ませたが、このままでは焼け残った死体の数から彼女が逃げた事がバレてしまう。そこで私は館の紋章の『欠けたダビデの星』からヒントを得て6人の少女を解体し、7人に見せかけたんだ…。」

へー、自分の恋人だけが超都合良く生き残っていて、他の6人は全員死んでいた(だから自分が解体したのは「死体」であって、人殺しはしていないんです!)ね…。あなたの恋人は息継ぎ選手権のチャンピオンか何かだったんですか?と、状況にかなり怪しさは感じるものの、当の27年前以来ピタリと趣味の剥製作りを辞めた符号(それが本当に「死体」とはいえ人間の体を切り刻んでしまったトラウマだったら良いのですが…恋人を助ける為に虫の息で生きていた姉妹をもブチ殺して利用した、でないと良いのですが…。)と合わせて生き残りを作った犯人は主人公にはすぐに分かった様子です。そして当の恋人を助けせいで、彼女との間に作った自分の息子の手によって、共犯者であった5人の館の主達は全員殺され、結果としてさらなる悲劇を招いた事から27年間普通に生きてきたけれど、今更になって思わず自殺するほど人生投げてしまったとは、悲しい結末です。改めて、あの詩織母さんの子育ては完全に間違っていたな、と感じた顛末でした…。

 <雪夜叉伝説殺人事件>
 明智健吾…金田一「警視って、あの明智とか言う兄ちゃん、そんなに偉いわけ?」
剣持警部「警察は国家公務員試験一種をパスすれば巡査→巡査部長をすっ飛ばして一気に警部補から入れるんだ。東大卒でアメリカに留学、犯罪心理学を専攻した本庁きってのエリート…キャリア組って奴さ。」

明智って、まさか「怪人21面相」に出てくる、かの明智小五郎の孫じゃないでしょうね…?(この漫画の登場人物、そんなんばっかりだ!)と苗字に一抹の不安を覚えはしたものの、偶然苗字が同じだけの全くの他人なのか、金田一君みたいに言いふらすのはちょっと恥ずかしくて黙っているのか、その辺の事情は全くスルーされて話は進んでいきました。この話ではエリート意識を過信するあまり、犯人に誘導されるがままに誤認逮捕をしそうになったマヌケなイヤミ刑事(ハッキリ言って主人公側から見れば敵役。)の立ち位置なのですが、イヤミでもクールでも性格悪くても、こういう「性欲の欠片も無さそうな美形」は往々にして恋に夢見る女性読者には人気がある(逆に主人公のようなタイプは潔癖な少女達からは「下品で苦手。」と敬遠されてしまう事が多い。)様子で、同じく若手の俵田警部と違って今後も印象深く、美しく登場する事になるのでした…。

 綾辻真理菜…「『地獄』の夢って見たことある?親戚の綾辻家に引き取られてからも、私は毎夜、墜落事故で機体に挟まれ、目の前で死んでいった母さんの夢を見たわ。…私は誓ったわ。お母さんを見殺しにしたあの連中を、いつか一人残らず私の手で殺してやるって!」

映画「沈まぬ太陽」を見た人間なら、この「10年前の事故」が御巣鷹山墜落事件のオマージュ(尾高山って…。)だという事が分かるでしょうね。しかし、彼女の母親が死んだ責任は何処にあるのかと言えば、整備不良の飛行機であり、駆け出しのマスコミという一般人に劣る警察&救急隊の対応の遅さであり、撮影の為だけに訪れたジャッキもバールも持ち合わせていない様子の4人組が見殺しにしなかった所で果たして母親は助かったかどうかは微妙な所だと思うのですが…目の前で死ぬタイミングで顔を合わせてしまった事自体が不幸だったのでしょうね。(怪談本でもリアルタイムな事故現場の横を通り過ぎてしまった、死体をうっかり見ちゃった為に、その夜に化けて出られたというパターンの話は多い。)剣持警部曰く、連続殺人を完遂した(その場に警察の人間が2人もいながら、この体たらくって…。)事で無期懲役は免れないけれど、所内の態度次第では模範囚として早く出てくることも可能(どこまでも警察って組織は…!)だそうで、その辺にも溜め息が出た話でした…。

 余談…1巻目の「ま、これは照明のワイヤーが老朽化して落ちた事故に決まってる。」「違うぜ。照明を吊ってたワイヤーが刃物で切ったようにスッパリと切れてる。自然に切れたものなら、ほつれてバラバラになるはずだ。これは明らかに誰かが鋭利な刃物で故意に落とした跡だ!…これはアンタの管轄だぜ、殺人課の刑事さん。」と、一般高校生にすら劣るプロの警官の姿に、現実の警官ってこんなもんだよな(実際、某老人ホームで3人も顎の高さより高い、明らかに1人では登れないベランダから介護士に突き落とされるという「連続殺人」が起きても、3件目まで全く気づかない位だもんな。)と妙な納得がいったものでした…。

金田一少年の事件簿⑩~⑬

2010.01.26
 原作者の一人である金成陽三郎先生によると、当時の事で、まず思い出すのは毎週1回(時には2回)講談社近くのファミレスで数時間にも渡るみっちりとした打合せ(昼過ぎに店に入って昼食を摂り、そのまま同じ席で夕食を食べ、そして夜食もついでに食べて深夜にやっと店を出て帰宅する、12時間ぐらいぶっ続けで編集者5人と考える日々を送っていた。)だそうです。絵を描く過程が無かろうと「面白い話を作る」って大変なんだな(「振り返ってみると、あの頃はきつかったけど楽しかったなと思います。…あくまでも今だからこそ、そう思えるんでしょうけれど。」by金成先生)と人気の裏に有った苦労が忍ばれたものでした…。

<金田一少年の殺人>
 佐木竜二…兄・竜太「よく聞け、竜二。お前は近々、金田一先輩と会う事になる。その時、先輩は大ピンチになるだろうから、お前はビデオで先輩の力になるんだぞ。」
金田一「あいつ…何が何でも俺の大ピンチをビデオに収めたいんだな?」

やっぱり視覚的トリックの確認役(ビデオ・写真係)は必要だよね、という事で兄貴の方は前々回の事件で殺されてしまった(2度と活躍する事ができなくなった。)おかげで、全く同じ顔の弟が役を引き継ぐ形で登場する事になりました。が、兄貴を「殺した」のは事件の犯人であっても、金田一少年に付き合って連続殺人事件に関わり合いになったせいで死んだ事は確かで、言わば「死ぬ原因を作った先輩」と仲良くする事をよく家族は認めたな(同じ悲劇が弟の方には起こらないという確証は無い。普通は「うちの子のどっちにも、もう近づかないで下さい!」「あんな先輩に近付いちゃダメ!」とバイキンのように扱うだろうし、弟本人だって「おかげで兄貴が死ぬ羽目になった先輩」にもっとドン引きするだろう。たとえお宝映像が撮れるチャンスに恵まれようとも。)と、多少の違和感も感じたものでした。アニメの方では、とばっちりを食う形で何の意味も無く死んでいったなんてあんまりだ、という配慮か病院で兄貴は生き返った設定になっていますし、改めて無駄に殺す事は無かったんじゃないかな~と思えた役所でした…。

 都築哲雄…都築「医者の前田は俺がテレビ局のディレクターって所に目を付けた。移植には生きた人体から切り取った直後の臓器が必要なんだ。だから内臓だけ持ち込むんじゃなく臓器提供者そのものを連れて来なくちゃならん。でもテレビ局が呼んだタレントと偽れば入国ビザを取りやすい。密輸した臓器の中に娘に合う物があれば優先的にくれる約束で、奴は俺に臓器密輸の手伝いをさせたんだ。」
橘五柳「貴様もジャーナリストのはしくれなら自分が今している事が、どんなに汚い事か分かっているだろう!貴様らのような社会悪をペンの力で告発するのが儂の使命だ!」
美雪「本当に酷い話よね。貧しい人から、お金で臓器を買って、病気で苦しんでいる人に高く売りつけるなんて…。」

話では好色セクハラ親父である橘五柳先生の方が「嫌なオヤジ」として描かれていますが、冷静に見てみれば橘先生の言っている事は間違っていないよな(臓器密輸の告発と、橘先生の下半身の節操の無さは全く関係無い問題である訳だし。)と、女を使った接待を利用し事実隠蔽をしようとして失敗し(「聞こえてましたよ、都築さん!裏工作なんかするなんて…!」「ほ、ほっといてくれ!」by都築)実名で出されている自分の悪事がバレるの怖さに逆ギレして相手を殴り殺し、行きずりの金田一少年に全ての罪をなすりつける形で何の罪も無い人達を5人も殺した都築さんに思わず白い目を向けてしまったものでした。最後は娘に腎臓を捧げる為(と、自分が罪から逃れる為)に自殺する形で幕を閉じていますが、本人が言うように「最初からこうしていれば5人もの人間が無駄に死ぬ事は無かった」のに、と「娘の為に自ら犠牲となる父親」という美談に反して全然、感動できなかった話でした…。

<タロット山荘殺人事件>
 速水雄一郎…伊丹「ま、取りあえず口止め料に一億って所でどうでしょう?何だったら5千万にまけてもいいよ。その代わり玲香ちゃん、一ぺん抱かしてよ。NO.1アイドル抱けるなら、その位の価値はある…って、ぐわっ!」
速水「や、殺ってしまった…!こいつが悪いんだ。昔の事件をネタに私をゆすったりするから、ついカッとなって…どうする?自首するか?いや、ダメだ!そんな事をしたら昔の事件までバレるし、娘の玲香だって破滅だ!」

本当に娘の為を思うのなら、強請りたかりに逆ギレして人殺しをするのではなく、もっと早い段階で自首して彼女を本来の親戚の元に返して「普通の生活」を歩ませてあげるべきだったと思いますが(何でよりにもよって芸能界なんて一般人以上にスキャンダルで後ろ指刺される道を歩ませるんだ?)嘘を塗り固める形で、どんどん悪事に手を染めていく様には、犯人がとっくの昔にバレている現実(「俺は今度の事件に関しては『無理に犯人を暴く』事はしたくありません。出来れば自らゴメンなさいしてほしい。悲しむ家族が身近にいるなら、なおさらです。」by金田一。「自分の娘」と同じ年の、たかが高校生男子に呆れた目で見られながら、こんな事を言われて、それでアワアワしているなんて、後ろめたい事情がある以前に、しょうもない情けないオヤジである。)と合わせて溜め息しか出なかった親でした。自分で自分のした事の尻拭いをするのではなく「もしかしたら全ては隠蔽できるかも!?」なんて姑息な計算を働かせるから、強請りなんて低級な詐欺に引っかかる羽目になるんだよ(金田一君の言う通りに自首した方がダメージ少なかったでしょうが!)とツッコミしか入らなかったものです…。

 小城拓也…小城「妹の君だけは分かってくれるよな、玲香!?僕が殺したのは『君の父親』なんかじゃない!君と僕の父親を殺した上に、君を自分の娘と偽って芸能人にして、金儲けまでさせた極悪人さ!」
玲香「やめてえ!どうして、こんなことになっちゃったの!?一体、誰を信じたらいいのよ!?分からない…。私、もう分からない…!」

優しかったお父さんは私を誘拐した人でした…(映画「八日目の蝉」風に。)というパロディネタはさておいて「父親が死んだ」(のみならず殺された)だけでもショックなのに、心から信頼していた父親が実は殺人犯で、血の繋がった実の兄貴に殺されたなんて、17歳の小娘には重すぎる現実であり、思わず錯乱して雪崩の危険がある雪山の中に飛び出すのも無理の無い展開だったと思われます。(せめて自室に閉じこもる方向で場を外せば良いのに、危ないんだってば!)結局、今回の事件は真犯人が雪崩に呑まれて死んだ事と合わせて「ただの連続殺人」として報道されたらしく、玲香ちゃんの父親が実は血の繋がらない誘拐犯(犯罪者)だった事も、真犯人が実の兄だという事も伏せて貰えた様子です。が、その後移った事務所でも、また誘拐されて殺人事件に巻き込まれている辺り、どうにも彼女はこういう星の元に生まれついているらしいです…。(初登場時から雪夜叉伝説殺人事件に巻き込まれていたしな…。)

<蠟人形城殺人事件>
 エドワード・コロンボ…エドワード「煙突を調べる為に入ってみたら、案の定、狭いけれど通れない事は無い。ここを通れば西と東の塔を直接行き来できる。明智さんはこの『抜け道』を通って殺人を行ったレッドラムの正体でしょう?」
金田一「アンタの頭、蜘蛛の巣が引っ掛かってるぜ。狭い煙突の仲を、ついさっき明智さんが通ったとしたら、そんな立派な蜘蛛の巣が張ってある訳が無い。アンタは身を持って明智さんの無実を証明しちまってるよ。」

コロンボって苗字といい、よもやこの人も、かの刑事コロンボの親戚か何かじゃないでしょうね?(ロサンゼルス市警の叔父がいる」という事は甥っ子?)と、またしてもそんなパターンの名前の登場人物(本当にこの漫画に出てくるキャラクターって…。)に思わず生温かい目で見てしまったものの、残念ながらこの人は明智警視のような特出した美形でなかったことも災いしてか「その場(事件)限りの脇役」で終わってしまった様子です。(明智さんなんて彼を主人公にした短編集が2冊も出ている位なのに、ライターのいつきさんも、パクリ小説家の真壁も、凄い髪形の秀才・朝基も再登場は果たしているというのに、この人は…。)印象深さで言えば吸血鬼を彷彿させる意味不明の登場人物・マリアさんの方が上でしたし、やっぱり存在感の薄さがネックになってしまったのでしょうね…。

 多岐川かほる…彼氏「完成された犯罪は芸術だ。時々、思うよ。この犯罪計画を誰かが実行してくれたら、本物の『完全犯罪』が実現できるのに…って。」
金田一「犯罪は芸術なんかじゃない!確かに昔、アンタ達が作った現金強奪計画は完璧だったかもしれない。だが実行したアンタ達に一体、何が残った?仲間の裏切りと、恋人の無惨な死と、憎悪だけじゃないか!アンタだってもう気づいてるはずだ!『紙の上に書かれた計画』と『現実の犯罪』が、まるで違う物だって事に!」

そうそう、どんなに酷い事を考えていようが、それを頭の中の妄想だけで済ませて誰にも迷惑をかけていないのと、実際に犯罪行為に走るのとでは天と地ほどの差がある(金田一君の言う通り、アンタ達がやったことは芸術活動でも何でもない、ただの犯罪行為で、3億円にも及ぶ給料を騙し取られた従業員の皆さんは良い迷惑だ。)と私もツッコミを入れてしまったものでした。思えば恋は盲目の原理で、こんな彼氏に傾倒するまま彼氏の立てた犯罪計画を実行に移してしまった彼女の愚かさこそが、この悲劇の原因だったかもしれない(彼の素晴らしい作品(犯罪計画)が「完遂」される事にワクワクした…ではなく、普通は恋人として、悪事に手を染めようとする彼氏を止めませんか?)と、今また「彼氏が作った殺人計画」を実行に移して、犯罪に手を染めた挙句に自滅した彼女にツッコミを入れてしまったものでした。金に目が眩んだ仲間にもっと早くに気づくべきだった以前に、悪い事はするもんじゃない(そもそも現金強奪事件を起こさなければ、こんな事にもならなかった。)という常識に気づくべきでしたね、彼女達は…。

<怪盗紳士の殺人>
 和泉さくら…蒲生画伯「う~ん、少し痩せた方が良いな。それからそのメガネはコンタクトにしなさい。」
さくら「そして、ある日、父に言われてドレスを着せられ化粧をさせられて鏡を見たらビックリしたわ。私があの絵の少女そっくりになってたんですもの。」

ダイエットして、化粧して、ドレスまで着用して…そこまで化ければ誰だってある程度は似せれるんじゃないか?と、モデルの美少女とかけ離れた野暮なデブスが「お父様の想像通りの娘の姿になりました」マジックに却って胡散臭い物を感じてしまった親子の再会でした。本当はモデルの少女その人なのに「蒲生に怪しまれないように『元の自分の姿』に戻って会いに行った」という彼女の作戦は、胸の蝶の形の痣だけを頼りにDNA鑑定をしちゃったが最後×(バツ)が出る、絵の美少女と似ても似つかない娘が名乗り出ても誰も信じないのでは?(少なくともマスコミの皆さんを信じさせる説得力には欠けるだろう。)とドラマ版では始めから「モデルの姿」で再会を果たしていた展開に頷けたものです。盗まれた絵に描かれた人達は全員殺されたのに何故か彼女だけ殺されずに済んでいる所に始めから怪しいものを感じていたのですが、案の定、彼女が犯人だったというオチで話は締めくくれられいました…。

 小宮山吾郎…「私は17年前、妊娠中の妻を捨てて蒸発したことがあります。そして死んだ妻の左胸には蝶の形をした痣があったんです。さくらさんは私の実の娘だったかもしれないって事ですよ。私がこの事を、もっと早くに彼女に話していれば、こんな恐ろしい事には…。」

まるで「実の父親」である自分が一言、言っておけば「娘」の彼女は復讐にかられて2人も人を殺すことは無かっただろう、みたいに語っていますが、彼が実の父だとカミングアウトした所で「今まで父親の役割を果たしてこなかった事実」は変わらない訳ですし、言った所で何も変わらなかったと思うよ(さくらにしたって、そんな軽い気持ちで「父親」(本当は養父)を廃人にした犯人捜しをした訳でも、話を作ってまで家に入り込んだ訳でも無いだろう。)と、過大評価の元で自己陶酔と自己憐憫に酔いしれている彼にツッコミを入れてしまったものです。当の告白にしたって、有名画家の娘として裕福な暮らしができる方が幸せだろうと、蒲生画伯が生きていたら一生言わなかったそうですし(当の蒲生画伯は「里美がいなくなりゃ誰にも気兼ねなく、さくらをモノにできるってもんだ…。」と違う意味でのパパの座を狙っていた事を考えると、あながち幸せな生活とは言い難いと思うが。)血のつながり以前の問題でアンタに父親面する資格は無いだろ、と改めて実感してしまった血縁関係の真相でした…。

金田一少年の事件簿16~19

2010.01.24
 「行く先々で殺人事件に巻き込まれ、もう何人の知り合いが殺されたり、犯人だったりしたか分からない金田一君」とまで明智警視(in短編集)に言われている程の主人公ですが、この話でも小学校時代の幼馴染(ますみちゃん)が殺人の片棒を担いでいたり、同じ年のタレント(玲香ちゃん)が誘拐されていたり、周りで起きている(本来、関係の無い)トラブルに巻き込まれる形で酷い目に遭っている様に、これはもう、彼本人に呪いが掛かっているのか、彼の周りにロクな人間がいないのかは微妙な所だな、と改めて感じてしまったシリーズの続きでした…。

<黒死蝶殺人事件>
 小野寺将之(須賀徹)…父の遺書「もう、おしまいだ…。私が全身全霊かけて研究し続けてきた夜光蝶のサナギと研究そのものを斑目紫紋に奪われた…。私がこの事を話した人間は、ただ一人、緑だけだ。あの男は資産家だし、緑の実家は多額の借金を抱えている。だからって、何という酷い裏切りだ…!」

だったら子供まで作るほどの仲だったのに裏切られた「被害者」(いわば肉体まで弄ばれた犠牲者。)として恋人に事の真偽を質す位は最後にしても良かった(たとえ↑の憶測が間違っていなかったとしても、もうどうしようもなくて自殺以外に道を考えられなくても、最後に恨みの言葉を残す権利位はある。)と思うのですが、絶望した後はもう何をする気も起きなかった様子で、黙って死んでしまった親父さんでした…。(そりゃ、祖母も「緑め~!死ね!」と丑の刻参りにも出かける訳です。)そして、その後も「実の息子」である自分に対しては手紙も電話も一度も来た試しが無く、探し当ててみたら当の母親はよりにもよってその斑目の妻の座に収まっていた…では「誤解」されても仕方ないよ?(多分、100人中100人が「彼女の心変わり」だと解釈する状況だと思うよ。)と、緑さんが夫だけでなく息子まで「放置」していたが為に起こった悲劇に涙してしまったものでした。考えるに、当の緑さんが「事の真相」をしっかり周りに話しておき、「誤解されるような行動」を取らなければ、こんな事にもならなかったと思うのですが…。

 斑目緑…「この金沢で有名な富豪・斑目家で人工授精で作った『実さんの子』を産み、紫紋の奴に可愛がらせ、この家で何不自由なく育てる。そして、あいつが死ぬ時にこう囁いてやるつもりだったの。『あの子達はアンタの子供なんかじゃない!アンタが殺した須賀実の子供よ!』って。これが紫紋に対する復讐。あの人を失った私の、たった一つの生きがいだった…。」

本当に死んだ恋人の事を思って行動するのなら、彼の息子を産み捨てるままに放置して復讐という個人的趣味に走るのではなく、彼の息子を母親としてしっかり育てるのが筋なのではないか?(何故、息子という連れ子を連れて再婚しない?「左目が緑色のオッドアイ」に惹かれて「コレクションに加える」為に貧乏娘にプロポーズした紫紋なら、同じ目を持つ義理の息子を喜んで迎え入れたと思うぞ。)大体「復讐の道具」に使う為に子供を作るのも母親として大いに間違っているし、それは赤ちゃんをこの世に迎え入れるのに最悪の理由だろう(物質的に恵まれてはいても、愛の無い生活に末娘のるりちゃんは泣いてますけど…。上の2人の娘だって割り切っているだけで、普通に恋する事もできなかった次女も、自由の無い生活を送っていた長女も、幸せとは言い難いだろう。)と感じると共に、そんな小細工が余計な誤解を生んで、ついには我が子同士での殺し合いに発展してしまったのは、もう彼女の悲劇というより自滅でしょうね。(人を呪わば穴二つ…か。)復讐するだけじゃなく、財産までかすめ取ろうと姑息な計算を働かせるから、こんな結果を招いてしまったんだよ、と思わずツッコミを入れてしまった女性でした。(復讐する事が、子供達の幸せより大事でしたか?)

<仏蘭西銀貨殺人事件>
 高森ますみ…ヒロシ「ケチケチすんなよ、500万位。天下のキミサワブランドのトップモデルなら、その位すぐ集められんだろ?お前が昔やってた薬(麻薬)だの、盗み(万引き)だの、ウリ(売春)だのって、洗いざらい、週刊誌にぶちまけても良いんだぜ?」
ますみ「わ、分かったわ。でも、こんな事はこれっきりよ。」
ヒロシ「もちろんさ!取りあえず、現金あるだけ貰って残りは振り込みだ。後は、お前のカラダで手を打ってやるぜ!」

脅迫に走るヒロシもヒロシなら、「親戚をたらい回しにされて寂しくて」思わずそんな生活を送ってきちゃったというますみもますみ(寂しかったら、モデルじゃなかったら、金と引き替えに股を開くんですか、貴女は?)で、どっちも最低だとは思うのですが、必死な姿に、思わずますみちゃんに感情移入してしまうのは演出の上手さでしょうね。ちなみに↑のヒロシは実は死んでおらず、ますみちゃんが慌てて「人間が入りそうなスーツケース」を買いに行っていた間に、部屋に入った奈緒子さんに殴殺された(つまり、ますみちゃんの罪は「傷害」と「死体遺棄」のみで殺人は入らない。)そうで、当然、今度の事件でトップモデルの座からは転落するでしょうが、それほど長い間刑務所にいる事は無く、早々に社会復帰できるらしいです。

 鳥丸奈緒子…君沢「奈緒子の人殺しの事なんか今はどうだっていいでしょ?それより、あなたはキミサワの次期社長なんだから、あたしが引退した後、会社の事、しっかりやってちょうだいね。」
犬飼「君沢先生が引退したらチーフデザイナーには俺の愛人の小夜子を据える。そうなったら奈緒子はお払い箱だな。」
奈緒子「泣き寝入りなんてゴメンだって思った。だから、こう考えたの。先生は私を利用するだけ利用して、ゴミのように捨てようとしている。だったら私もゴミにふさわしい最低の手を使ってキミサワを手に入れてやるってね。」

君沢先生、ますみちゃん、奈緒子さん、と3人が3人共「同じ事件」(昔の荒れた生活をバラすのをネタに脅迫・恐喝され、肉体関係を迫られた事で思わず殺ってしまった。)を起こしておきながら、彼女だけがその場でバレて、完璧な計画を立てていた連続殺人も会社の事務のイージーミス(鳥丸という苗字のせいで「烏丸」と一字違いで打ち込まれてしまっていた=フロッピーデータの無い彼女が犯人。)という、まさかのツキの無さでお縄となってしまった辺り、3人中、一番運が無いのは間違いなくこの女性でしょうね。とはいえ、連続殺人犯であるにも関わらず「久しぶりの再会」から気持ちが盛り上がって、恋人面して会いに来てくれる幼馴染みはいるし(これが「嫌われ松子」だったら「過去なんてどうでもいい!」とプロポーズされたにも関わらず捨てられている。いくら綺麗でも「殺人で服役している女」はそれだけ重い存在で、普通はそこで終わるものである。)「最悪」でもないのだろうと思えはした顛末でした。君沢先生(狙われた被害者)自らが良い弁護士をつけてくれたそうですし、彼女もまた社会復帰は早いでしょうね。

<魔神遺跡殺人事件>
 宗像さつき…友人A「野球部のエースの久里先輩、サッカー部のゴールキーパーで成績優秀な白石君、バスケ部の人気ナンバーワンの成瀬先輩…宗像先輩が付きあった男子の数々って、どの人もスポーツも成績もピカイチの人ばっかり!あれだけ美人でスタイルも良けりゃ、男も選び放題よね!」
美雪「そうよね。そんな優秀な男の子とばかり付き合っている人が、はじめちゃんなんか本気で相手にするはず…。」
友人A「やだ~!金田一なんてアウトオブ眼中に決まってるじゃん!あの男好きの先輩に『つまみ食い』される事はあっても~。」
美雪「…!!」

彼女の「実力」を考えれば、あんな男(2世代ローンを抱える未来を持つ劣等生の金田一君)を「本気」で狙われるはずもないが、「遊び」でつまみ食いされてもたまらない…という訳で、危険に気づいた恋人として急遽、美雪達も同行する事になりました。しかし、そうでもしていなければ先輩は積極的にアプローチしかけてくるし(風呂に入り込んだり、寝室に入り込んだり…少年誌でなかったら確実に「間違い」が起こっている場面である。)、「館の跡取り娘の相手役」として周り中がいらない協力をするし(「アネモネの花言葉は『貴女を愛しています』なのよ。嬉しい!私への愛の告白なのね!」「だ~!違うんです!この花は俺が用意したんじゃなくて…!」by明日香叔母の策略)危ない所だったな、と私も実感してしまったものでした。最もあまりの出来レース状態に、ヤッたが最後、即結婚という、いきなり過ぎる話に、純情な金田一君は引くばかりでその気は無かった様子ですが…。(「う~ん、先輩の全ては知ってみたいかもだけど、この村の全ては知りたくないかも…。」by金田一。一夜の火遊び位ならやってみたいが、彼女との結婚には興味無いって意味ですな、確実に。)

 村西弥生…今日子「死になさい!アンタなんか!妻の私を差し置いて、よくもこんなイモ娘なんかと…きゃっ!」
弥生「今日子奥様が、階段から突き飛ばしたはずみで死んでしまった時、すぐに警察に行こうとしたわ、でも…。」
宗像教授「ダメだよ!弥生!そんな事したら所詮、婿養子で一滴の血のつながりもない僕の立場はどうなる!?今日子の死体は滝壺に落としてしまえば2度と上がらずに済む!今日から弥生が『宗像今日子』になりすませばいいんだよ!」

「魔神具の所有権(結婚と引き換えの当主の立場)だって、むしろあの女の方が志郎さんを結婚に踏み切らせる道具としてチラつかせた。」「この2人は最悪の組み合わせだった。」と一生懸命、奥さんを「嫌な奴」に仕立て上げようとしている所悪いけれど不倫して、奥さんが事故死したのを良い事に死体を捨てて、これ幸いと金と立場を奪ったなんて、200%アンタ達の方が悪いわよ?(「事故死」にしたって弥生さんが階段から突き落としたのが原因だし、厳密には事故と言えないような…。)と、2人の姑息な思惑のおかげで何も悪い事をしていない(奥様がしたのは資料を燃やして、自分の家の鏡を割って、嫌味を言った、その程度の事だけ。不倫も殺人も死体遺棄もしていない。)のに滝壺に沈められて、葬式も挙げて貰えていない今日子奥様の方に同情しながら、思わずツッコミを入れてしまった過去回想でした。「おかげで20年近くも『あの女の影』を演じる羽目になった。」(だから我こそは被害者。)と弥生さんは語っているけれど、それが人1人殺した重みであり、当の女のおかげで「夫」と一緒に豪邸に住んでいる身分としては文句を言う資格も無いのでは?(不満が有るなら今からでも自首なされば?)と白い目でしか見れなかった、そんな最悪のカップルでした…。

<速水玲香誘拐殺人事件>
 安岡真奈美…真奈美「レイプされた挙句にスクープ記事にされて、連ドラもCMも降ろされた。もうダメ…何もかも。死んだ方がマシよ…!」
安岡「バカな真似は辞めるんだ、真奈美ちゃん!僕が…僕が、ついてるじゃないか!」
レイプ犯一味「アンタ、俺達に押さえさせて、自分で手ゴメにしといて、恩着せがましく、あの女と本当に結婚したとはな。大したタマだぜ?アンタも。」

それまで散々、自分の事をチヤホヤしてきたくせに、それは「売れ始めたアイドル」を持て囃していただけで、「スキャンダルが明るみになった」とたん、皆が皆、手の平を返して潮が引くように自分から離れて行った。以前と変わらずにストーキングを続け、↑の場面でも超都合良く現れて「自分の側にいてくれた」のは夫だけだった…という「感動的な馴れ初め」は、実は全部、夫が仕組んだ策略であって、奴こそが諸悪の根源だったという真相に木っ端微塵に打ち砕かれた様子です。「女、7人、子を産ませても気は許すな」(昔、飼い犬と結婚(駆け落ち)した女性があまりに美人なので、犬を秘かに撃ち殺して後釜に座った男が、ある日、聞かれるままに「オラの犬は何で死んでしまったんだろうなあ?」「(こいつはもう7人も俺の子を産んでるし、何言っても平気だろ。)ああ、畜生の女房になっているお前があまりに哀れだったんで、俺が撃ち殺したのよ。」「畜生でもオラの『夫』だったのに、アンタという人は!」と喉をかき切られて殺された話。結婚しようが子供が出来ようが、それと「騙された恨み」は別らしい。)という話にもあるように、夢は最後まで裏切らない方が正解のようです。

 三田村圭子…金田一「あの手作りのおにぎり…本当は『自分の娘』の玲香ちゃんの為に作ってきたんじゃないですか?誘拐されボロボロになって病室で寝ていた娘の為に、本当の母である貴女が。」
三田村「私は女優という仕事が好き。女優である為に今まで色んなものを犠牲にしてきたわ。だから後悔なんてしてない。いくら後悔しても過去には戻れないんだもの。…この事であなたがどう考えようと自由よ。でも、そんな話をマスコミがかぎつけたら、アイドルとして売っているあの子には辛い事になるわ。分かってくれるわね、金田一君?」

連日泊まり込みでの撮影、そして定刻通りに帰れるとは限らない仕事、突然発生する付き合い(飲み会その他)に、家に帰れても夜中の2時や3時だという有り様だという事は多く(それこそ夜泣きしていた子供が「お父しゃん、いる!」「そりゃあ、いますよ。今、夜中の2時だもの。」と「普段いないはずの親」にビックリして泣き止むほどに。by「俺だって子供だ!」工藤官九郎)、売れているにも関わらず「普通の家のような主婦業」ができない事で離婚されたり、タレントや俳優業、芸能活動をしている人間と一般人とは感覚の違いから上手くいかない事が多いそうです。思うに彼女もそんな感じで夫に子供2人の親権を譲る(家庭よりも仕事を取った。)形で離婚→当の子供達が誘拐されて元夫は絞殺、娘は犯人共々、行方不明になった(それが「タロット山荘連続殺人事件」の一件で娘の正体が分かった。)という事だったのでしょうね。玲香ちゃんの才能は母親譲りだったのかと納得すると同時に、実母が生きているのに生き別れになっている有り様に思わず涙してしまった、そんな親子関係でした…。

金田一少年の事件簿23~26

2010.01.22
 連載当初は諸般の事情から名前を伏せていた原作者の一人・天樹征丸先生が子供の頃に夢中になっていたのが明智小五郎と小林少年の活躍、中学・高校時代にハマったのが金田一耕輔シリーズだったそうで、何故、明智ではなく金田一の方の孫にしたのかというと「袴をはいたボサボサ頭のすっとこどっこい」が実は「天才的頭脳の名探偵」だという2面性が少年漫画のヒーロー像にピタリと当てはまったから、だそうです。そして第一話はニューヨークで見て感激したミュージカルに着想を得て「推理物」ではなく怪奇ロマンの名作である「オペラ座の怪人」をモチーフに選んだ、という経緯にこの作品への思い入れの深さも感じた、そんな制作秘話でした。という訳で長らく続いたこのシリーズもひとまずは小休止という形で一旦、連載終了となっています。

<雪影村殺人事件>
 葉多野春菜…春菜の遺書「嬉しい色だったはずが、許されない色だったなんて。もうダメ。死ぬしかない。」
綾花「あれ、妊娠検査薬の事だと思うの!あれってリトマス試験紙みたいに色が変わるんでしょ?お父さん同士が偶然、同姓同名だった事を利用して、本当は島津君と春菜は兄妹だなんて、あたし達の作り話を真に受けて、あの子…。」
冬美「バカね!誰も知る訳ないじゃない。あの子が勝手に勘違いして自殺したのよ。別にあたし達のせいじゃないわ。」

いくら結婚の約束までしていた(高校生の分際で婚約かよ。)とはいえ、高校2年生の身(どうやっても卒業まで出産は待てない。)で、彼氏の方が肩の故障で野球の道を絶たれた時(少なくともプロ野球選手として卒業と同時に「就職」することは不可能。今の時代に高卒で資格無しではロクな仕事に就けないだろう。)に、無計画なセックスをして妊娠しちゃいましたって、兄妹疑惑以前の問題で、アンタら節操無さ過ぎだろ!(事はもう「赤ちゃんが出来たなんて嬉しい!」なんて単純な問題ではない。当然、高校退学→母親に到っては中卒で終わる学歴で、どうやってその赤子を育てていくつもりだったのだろうか?)とツッコミを入れてしまったものでした。結果として兄弟疑惑は、村一番のイケメン・島津君と付き合っている春菜に嫉妬した女友達2人が結束してついた真っ赤な嘘だったのですが、大人しいながらも突っ走りやすい性格の春菜(それこそ無計画な妊娠を何の不安も考えずに喜んでいる程に。)は、そのまんま勘違いを膨らませて自殺に走ってしまったようです…。

 社冬美…「このタイムカプセルを再び開ける日までに、島津君が好きになってくれるような女の子になれますように。」

確かに外見だけは「地味で嫌味なメガネっ子」→「地元のミスコン優勝者に選ばれるほどの美女」になるまでに綺麗になった。けれど、自分が綺麗な事を鼻にかけて、地元の田舎ぶりをバカにしながら、タレント(多分、「成功しても軟禁生活状態で休日に出歩かないように万年睡眠不足でこき使われる」という仕事の内容は見えていない。自分が綺麗な事をチヤホヤされながら給料まで貰えちゃう甘い仕事だと勘違いしている。)なんて分不相応な夢を追いかける「性格の悪い女」になり果ててしまっては、タイムカプセルを再び開ける日になっても島津君には振り向かれていない現実(むしろ彼女達がついたタチの悪いウソのおかげで恋人が自殺した事で、好かれるどころか殺意を抱かれるまでに憎まれている。)に心から頷けた様でした。外見に関しては全く努力していない(別に5年前から変わっていない)春菜に彼を奪われた事で、逆ギレの度合いも高かった事は分かりますが、それにしてもやる事が悪質だったな、と性格の悪さに嫌われる理由が透けて見える女性です…。

<露西亜人形殺人事件>
小説家・山之内恒聖…高遠遥一「幽月さんが挿絵にトリックの答えを描き込んでしまった事件。担当編集者の宝田は原稿の取り立てが厳しくしつこいので有名でしたし、評論家の神明が1人異を唱えたせいで文学賞には落選。愛人の梅園には盗まれたアイデアで自分でも取れなかった大きな賞を獲られた。隣に住んでいた犬飼君は飼っていた犬の鳴き声がうるさかったそうです。」
金田一「そ、そんな理由で、まさか、遺作通りに彼らが殺されるよう仕向けたっていうのか!?」
幽月「なんか山之内先生の裏の顔が見えてくる気がしない?人格者の仮面の下に隠れた、陰湿で執念深くて好色で、そして強欲で残忍な素顔が。」

美雪の言うように「本音では憎んでいた人達を、遺産を餌に館に閉じ込めて、殺人事件が起こるような争いを起こさせようとしたのなら、掌の上で操られているに過ぎない殺人鬼なんかより、そんなおぞましい素顔を持っている計画者の方がよほど怖い。」し、金田一君が言うように「他人を傷つけない為に被っていた仮面だったら、それはちっとも悪い事じゃない。」(頭の中で何を考えるのも自由。下半身丸出しで「ちょっとだけよ。」と美雪(マジックミラー)の前で加藤茶の真似をしている金田一君よろしく、本当にやってしまったが最後、それが「恥ずかしくて生きていけない」事だと分かっているのなら、それで良いと思う。)なのに、そんなおぞましい素顔丸出しで↑のような殺人計画を本当に実行に移すなんて性格の悪いジジイだなあ、と私も思ってしまったものでした。仮面をかぶる事が悪い事だとは言わない。けれど、そういう仮面は死ぬまでかぶり続けてこそ意味が有るんだよ(自分から「醜い素顔」をバラしてどうするんだ?)とツッコミを入れてしまった性悪オヤジです…。

メイド・桐江想子…金田一「何故だ、桐江さん?たかが金の為に何で人殺しなんか…。」
桐江「たかがお金!?そんなこと言えるのはアンタが苦労知らずの脛かじりだからよ!誰1人身寄りのいない私みたいな女にとってはお金が全てなんだよ!金!金!金よっ!とうの昔に落としてしまった大金の詰まった財布を、思いもよらない場所で偶然見つけたとしたら、当然、拾うでしょ?他に手を伸ばそうとしている連中を押し退けてでも…ね!」

逆恨みの果てに殺人劇を仕組む(それをネタに話題彷彿されるの確実な遺作まで書いちゃう。)山之内先生も性格が悪いけれど、「何の恨みも無い」のに金の為だけに次々に人を殺していった彼女はもっと性格が悪いな、としみじみ思ってしまった真犯人の顛末でした。山之内先生が小説家として成功したのは彼女の父親が書いたトリックノート(奇想天外なトリックのネタ)の盗作があってこそ、だから正当に親の遺産(トリックノート)を引き継いでいれば、娘の私が小説家になってウハウハの生活を送っていたのかもしれない(ロクに本も読まない、話題作も知らない、教養の欠片も無い場末の女が、今何か言ったか?)と彼女は言いますが、小説家になるのだって努力が必要。(トリックに関係無く、せめて一作書いてから言え!)16歳にしてバーで働いていた彼女が苦労してきた、自分には運が無かったと主張する話に嘘は無い(少なくとも本気で言っている)んでしょうけれど、腹を空かせても飢え死にする心配はまず無くて、道を歩いていても銃弾が飛んでくる心配も無くて、大人になるまで五体満足で生きてこられた彼女は、紛争地帯に生を受けた人達よりは確実に「幸運」と言えると思うのですが…高望みばかりして足元を見失ってしまったんでしょうね、この人。

<怪奇サーカスの殺人>
 小椋顕人…黒木「何故…?浜辺に流れ着いていた石川さんの遺書を警察に出せば、銀行強盗の犯人でもあるピエロ3人は逮捕できたはずよ。」
顕人「俺は絶対、嫌だった。俺は石川のおっちゃんの手紙を読んだ時から決めてたんだ。俺の大好きな人を2人も虫けらのように殺したあいつらをこの手で…どんな手を使ったって2人の仇は絶対とってやるって!」

強盗事件の方は証拠が揃っているから「逮捕」は確かにされるだろう。しかし彼らの罪は、たかが「強盗」であり「殺人」じゃない。今の今まで、6年半もの長きに渡って犯人達を取り逃がしている無能な警察(ハッキリ言って「真面目に犯人を捕まえる気なんか無いだろ!」と被害者としては喚きたくなるようなズボラぶり。)が唐突に使命感に目覚め、突然に躍起になって1年も前に「事故死」した父親の事件を洗い直して真犯人を検挙してくれるとも思い辛いし、警察に届けた所で、彼らは人を2人も殺した事に関しては隠蔽されたまま、数年の刑期でしゃあしゃあと娑婆に戻ってくるだろう…という展開は小学生にも予測がついた様子です。公共機関が真っ当な裁きを下してくれないなら自分達の手で!(それで本当に殺人を犯す辺りは怖い小学生だが。)と、復讐に走る気持ちは分からなくも無いですが、「仇撃ち」自体も明治5年に正式に法律で禁止されたのでアウトはアウトでしょうね。「少年法」に守られてはいても更生施設には送られる事にはなるでしょうし、再会を果たしたものの石川のおっちゃんとの共演はこれで最後だと思うと切ない幕切れでした…。

 大久保勇夫…美雪「あの生き残ったピエロが犯行を否認?石川って人の遺書だけじゃ証拠にならないんですか?」
剣持警部「石川本人がいないし、前団長殺害の犯人とするにはちょっと弱過ぎるんだよな。単なる強盗事件と殺人じゃ罪の重さも刑期も全然違ってくるし、たいした証拠が無いとなればシラを切るだろうなあ…。」

そこで、荷物(遺書)は無事に浜辺に流れ着いたのに、どうして死体の方は流れつかなかったんだろう?(そりゃ、1年も経っていれば彼の死体は魚と鳥に食いつくされているだろう。←禁句。)という素朴な疑問から探してみた結果、当の石川のおっちゃんは実は仮死状態で生きていて、サーカス団員達の前に舞い戻って来なかったのは記憶を失くしていたから、という漫画ならではの超都合の良い展開が待っていました。挙句に子供達のショーを見た事で当の記憶はアッサリと蘇った(おそらくは、これによって「目撃者」の証言により↑の大久保さんは確実に殺人罪が下された事だろう。)展開には、いくらなんでもご都合良過ぎだろ!ともツッコミを入れてしまったものです。(アニメでは空中ブランコから落ちる顕人を助ける為に1人で重いマットを移動し、子供のピンチをきっかけにして記憶が蘇ったという変更がなされていた。何故、物凄く都合良く、そんな場面に彼が居合わせたのかは謎。)それが漫画だと言われてしまえば、それまでなんですけどね…。

<金田一少年の決死行>
 松岡修治…松岡「元々、狩谷教授は自己中心的でケチな奴として学生に好かれていなかった。教え子の俺達は散々こき使われたが、果たして、あの男が金の分け前をくれるだろうか?答えは『ノー』だ!」
四之宮「お前ら、教授親子を中に閉じ込めるから、ここを塞ぐんだ!缶コーヒー1本でもケチるこの男が宝を山分けなんてすると思うか?だったら、俺達であの金塊をガメちまおうぜ!」

そうして、しっかり昔の事を思い出してみたら、目の前にいる龍道少年こそが閉じ込めた教授の一人息子本人だという事に気がついた展開には、この12年間ずっと気にしていた事で、時効が過ぎてもマジックショーのマスクマン(自分達が教授に被せた拷問用の鉄仮面)の仮装1つに怯えて、思わず本人確認の為だけに香港のホテルに集ってしまうほど後ろめたい出来事だった(それこそが犯人の狙いだったとも知らずに…。)なら、もっと早くに気づけや!と普通にツッコミを入れてしまったものでした。12年もの間、子供の姿のままで全く成長していないという極限状態で起こった人体の神秘を考慮に入れられなくても、教授の隠し子か、はたまた息子が若過ぎる年齢で作った「お孫さん」か、何にせよ血縁者には間違いない「顔」をしている(ていうか本人。)なのだから、もっとアンテナを張っておくべきだったな(大体、↑のような真似をしてトドメを刺さなかった事がそもそもの間違いである。←オイ!)と不手際の限りには溜め息ばかりが出た被害者達でした…。

 狩谷純(周龍道)…純「普通の暮らしがしたい。この町の片隅で当たり前に友達を作って、大切な人の側で、ごく普通の人間として生きていきたい。少しでも取り戻したいんだ。失った12年間を…。」
高遠「12年前のささやかな初恋に固執してるとは…。向こう(麗晶)はすっかり忘れているよ。」
純「かまわないさ、それでも…!」

そんなにも愛しているというのに(「東京伝説」シリーズでも語られているが、こういう「犯罪者の時間」は逮捕されたその時から止まったままで何十年経っても昨日の事のように覚えている。たかが一目惚れで付き合った事すらない相手を延々と思い続け、出所した時が被害者の恐怖の始まりだと記されていました…。)よくあるストーカーとは正反対に豪華ホテル・オーナーの秘書にまで抜擢し、ホテルの権利をタダで譲ったり(「オーナーの機密金庫を開けたら『自分に何かあったら南秘書に全てを任す』って書いてあったんだと。」「つまり、このホテル、そっくりあの美人秘書の物になるって事か!」byボーイ達。)尽くしまくっているのに反して、当の彼女は別の男と恋愛中(しかも自分が起こした事件をきっかけにして2人は知り合った。)というのが痛過ぎる現実でした…。彼女もお見舞いに行ってくれてはいたけれど、それは「たかがお見舞い」(同情)であって別に彼への恋心が芽生えた訳でもないし、抱きしめてくれても「ただの生殺し」に過ぎなかったろうなと思えて、色々切ない終わり方でした…。

薔薇の行方

2010.01.16
 「薔薇の名前」シリーズ2作目です。犬の散歩をしていたら「アンタ去年、税金払っていないでしょ。」「いえ、そんなはずないです。課税義務が生じるギリギリの収入だったんで、それはそれはムカつきながらも、ちゃんと払いました。」「まあ、ちょっと署の方まで。」と連れて行かれ、取り調べに3日もかかり、結局、寿町にいる同姓同名の人が脱税していただけ(って、誤認逮捕じゃないですか!)で無罪だって分かって貰ったものの、全てが終わるまでに半年かかった(!)そうで、おかげでこの本の発行も遅れてしまったそうです。日本警察は本当に無能だな(パソコンの不正使用でも確か4人位、誤認逮捕してたな。)とも、まざまざと感じた裏話でした…。

 山上彬…瀬名「約束の一ヶ月はとっくに過ぎてる。一週間前にルーマニアのお前の住所に違約金の請求を出した。帰ってきたという事は払えないんだろ。今日は掃除でもしてろ。」
紗倉「ちょっと社長、何で所属の子に掃除なんか?ちゃんと清掃の人、頼んでるじゃないですか。」
瀬名「今、彬には仕事が無い。だが本人は違約金を返す為、どうしても働きたいらしい。これも下積みだ。まずは玄関から行け。」

という訳で、所属タレントの一人として瀬名には近づきやすいものの、人気の廃れが仕事の切れ目である芸能稼業では、弟の死を悼んで故国ルーマニアに二ヶ月も帰郷しているうちに皆、明の存在を忘れており、グループの他のメンバーも死亡したか引退したかで全員いなくなっている(既にバンドグループとして終わっている。)現在、どこからも仕事のオファーなんか来ないという厳しい現実が待っていました。おかげで違約金を言い訳に帰ってきた彬は、高校も辞めて逃げる言い訳が無い(おかげで別の学校に潜りこんで様子を探るのもスムーズに行ったのだが。)事も有り、継母にいじめられるシンデレラのように掃除洗濯の毎日を送る羽目になったのでした…。(いっそ、瀬名の所に嫁にでも入ってしまえば良かったのに。)死んだかと思った弟が生きていたと分かったら、当の弟は平気で他の男から「精気」を貰うアバズレ女状態になっており(「兄ちゃんがこんなヤクザな封殺師なんてやってるから、奈津央まで…。」「お前の奈津央像には少し幻想が混じっているぞ。」by瀬名)、できた友達(遠弥)は兄貴を愛するホモ、当の兄貴の久弥は男ならいつでも誰でもOKな有り様だし、この子の周りには変態ばかりしかいないな!と改めて思ってしまったトンデモ話でした…。

 瀬名勇…教頭「えー、産休に入られた高橋先生の代わりに臨時できて下さった瀬川先生です。化学を担当して下さいます。」
瀬名「お前一人では覚束ないと思ってな。一週間だけ。事務所は紗倉に預けてきた。」
彬「嘘だ…。これは、きっと悪い幻だ…。」

結局、アンタも来たんかい!(どんだけ愛してるんだ、彬のことを!)と思わずツッコミを入れてしまいました。と同時に、呪いをかけられてもボーッとして電柱にぶつかるなんて事があり得ないキャラクター(「瀬名はぶつかる前に、あらかじめ電柱を壊すタイプだ。」by彬)なのに怪我が増えているなんて妙だと思ったら、「いつまで経っても何の成果も上げない彬」に焦れた法王庁が、とっくの昔に別の封殺師を何人も送り込んでいたという裏話がありました。(どうやら「個人に対する仕事」ではなく「早い者勝ちの争奪戦」にしたらしい。)ともあれ、被害者(瀬名)がどういう事情か全部知っていて、加害者(封殺師)の組織に入っている自分(彬)に恨みごとも、哀願も何一つ言わない(恋人関係をすっ飛ばしても「関係者」であるのに、爪弾きにされた。)事で、彬との仲は再度こじれた模様です…。

 阿久津遠弥…遠弥「何で兄貴がこんな所にいて、俺の彼女と話してるんだよ!そんなに…俺のものを盗るのが楽しいかよ!」
久弥「奈津美さんは誰の物でもないよ。そういう言い方は辞めなさい。」
彬(奈津央(男)と自分はそんな関係じゃないって言えば早いのに、どうしてそういう言い方するかな、この人は~。)

昨晩、遠弥の目の前で彼女(?)にされるがままにBまでしていた2人が「そんな関係」じゃないという言葉を信じてくれるかは謎ですが、ともあれ「奈津美さんを挟んでの恋敵関係」は「自分と兄貴とどっちが勝つか」という、くだらない勝負事の一つでしかなく、彼女をネタにしながらも本気で恋している訳ではなかった(遠弥が本当に気にしているのは、自分からキスまで仕掛けて、それをオートシャッターで写真(証拠)にまで収めた久弥兄貴であり「奈津美さん」はスパイスでしかなかった。)というのは正直、微妙なオチだと感じてしまった顛末でした。まあ、当の「奈津美さん」が女性ですらなく、同じく兄貴(彬)しか眼中に無い「どーでもいい2人の男」に振られても何とも思わない「男」だったのが不幸中の幸いですが…。(ブラコンを理由に「張り合っている」だけだったって、むしろ女の方こそいい面の皮だし、ちょっと傷つくと思うんですけど…。)

 竹上匡輔…匡輔「久弥の封殺は僕がやる。ただ君は彼と親しいでしょう。彼の体に『第三の存在』の証である薔薇の痣が無いかどうか、きちんと確かめてきてほしい。」
彬「俺が?でも、いくら親しいったって、全身くまなく調べるなんて、そう簡単には出来ないぜ?」
匡輔「だから君に頼んだんだよ。男を脱がせるの、得意みたいだから。」

否定した所で、目の前で瀬名とのラブシーンを見せつけてしまった後では、全ての言い訳が無意味でした…。(「見え透いた嘘はやめなよ。人前であれだけ恥ずかしい真似をしておいて、何を今さら。」by匡輔)しかし、そこまで理解してたのなら、恋人(瀬名)の為に組織の命令までスルーして、同業者の前でも痴態を晒した…もといラブラブな様を見せつけた彬が「恋人を殺された」時に暴走しないはずが無い(たとえそれが「上意討ち」であっても遺族感情はついて行かない。人はそういう生き物である。)というのも常識の元に予測しておくべきでしたね。もう一人の「第三の存在」である男子生徒(女装している事務員の奈津美)も見つけられずに、久弥も黒魔術に手を出しているだけの「一般人」だと分かって、功を焦り過ぎてしまったのは分かりますが、その結果どうなるかも考えておけば「死んで当然の人物」として最後の生贄(ちょうどよく現れた死体)にされる事も無かったんですけどね…。

薔薇の楔

2010.01.15
 「薔薇の名前」シリーズ3作目です。水戸先生も人生色々あった(ていうかキャバ嬢をやっておられた。)そうで、「おミズ時代に毎回指名してくれるお客さんとの同伴をすっぽかし、後にそのお客さんが広域暴力団指定の立派なヤクザさんだと知って横須賀の街をしばらく歩けなくなった(最近のヤクザさんはあまりにも普通のサラリーマンと区別がつきにくいので、ちゃんと組の方でパンチパーマ・サングラス・偽ロレックスなどの着用を義務づけてほしいものです。制服として!by水戸先生)時でも、今回の締め切りほどには焦りはしませんでした。」と書かれている辺りにこの世界の厳しさを感じたものです。「いつもこのような多大な犠牲(ただし本人ではなく他人様の)の上に砂の城を築き、何とか発行にこぎつけている」との表記には、笑い事じゃないと感じながらも思わず吹いてしまった後書きの様でした…。

 山上彬…瀬名「お前の故郷では電化製品が恥ずかしい物なのか?共産圏(ルーマニア)の文化は、やはり分からんな。」
彬「国柄が関係あるか!この歩く有害指定図書野郎!あんなもん、てめえの所の変態妖魔社員にでもくれてやれ!」
瀬名「何を言ってる?悪い物でも食べたか?」
彬「昨日からミカンしか食ってねえよ!」
瀬名「栄養失調が脳に来たか…。」

クリスマスプレゼントに届いた小包みがデジタルカメラでなく性具にすり変わっていた(「冷静に考えてみろ。誰がこんな悪趣味な大人の玩具をお前に送ると思うんだ?」「れ、冷静に考えてみても、お前しか心当たりがいないんだけど…。」by彬)事で、凍死寸前の地獄から天国の気分を味わえるかと思った瀬名の目論見は見事に外れてしまったのでした。(まあ、一緒にご馳走とケーキ食べて、2人きりの夜も過ごせたし、多少、破廉恥な事があったとしても恋人らしくクリスマスを過ごせたという事で良かったじゃないですか…。)結果として当のクリスマスプレゼントは、変態妖魔社員である経理の田中君(マニアに言わせれば高価な「レア物」だが、マニアでない大多数の人間に言わせれば「気持ちの悪いガラクタ」に過ぎないフィギュアを愛好する33才。)が注文した代物で、羞恥心の欠片も無い紗倉さんが恥ずかしげも無く入手してあげ(断れよ、そんな現物支給ボーナス注文…!)、配送を頼まれた奈津央が故意に伝票を貼り間違えた(「ボーナスだなんて職権乱用して、兄さんにプレゼントなんかしようとするからだよ。いい気味だ。」by奈津央)という経緯であり、周りの人間の配慮の無さと合わせて、2人の仲はこれからも前途多難そうです…。

 瀬名勇…ローゼンクロイツ「この魔封じのピアスは普通の方法では取れない。取りたければ陰茎ごと切り取るんだな!」
瀬名「これで『彬』を封じているのか。…魔封じなら、切り取らなくても外す方法がある。壊せば、いいんだ。」
ローゼンクロイツ「よせっ…!お前は『彬』を助けたいんじゃないのか!?無理矢理、壊せば彬も…!」

彬ごとブチ壊してから「悔恨」されてもな…と度重なる日々、凌辱を続け(「食べないなら、また栄養剤を打つだけだ。人は点滴だけで何年も生きるぞ。無駄な事は辞めた方が良いんじゃないのか?」by瀬名←鬼ですか、アンタは!?)彬の肉体をフィラードの元に帰させない為に、他の誰にも触れさせない為に、勢いで魔封じを壊した彼の不器用さ(で、済む内容だろうか?)にツッコミを入れてしまったものでした。おかげでせっかく彬(の肉体)だけは戻ってきたのに、心の方は崩壊したまんまの恋人の為に、次は大英博物館に行くことを決めた様子で、仕事は本当にエベレスト並みに山積みしているのに、事務所も全壊している状態で旅行を決めた社長の姿に紗倉さんの苦労も忍ばれた(「仕方ない。どの道トチ狂った社長が殺人犯になったら『会社はお終い』だ…。」by紗倉)そんな有様です…。

 山上奈津央…奈津央「どこで、買うの?そういう銃…。」
瀬名「ただの32口径トカレフだ。どこにでも売っている。ロシア製だから、あまり性能は良くないが。」
奈津央「そういう、不良品まがいの銃で、人(僕)を…撃つ?」

ソビエト崩壊のどさくさ以降、サハリンを経由して日本にも大量に流されたという噂のトカレフ(撃鉄の部分に赤い星のマークがついている事から通称「赤星」と呼ばれている。)ですが、どこにも売ってねえよ、そんなもん!とツッコミを入れると同時に、運良く太腿に当たってくれたから良かったものの、ちょっと弾がぶれて臓器や毛細血管が大量に詰まっている腹に当たったら命が危なかったでしょうに(銃弾という「点」を当てる事は、目標が人間ほどの太さを所持していても想像以上に大変な事なのである。実際、戦争でもコンクリート壁があれば容易に防げる銃弾でなく、全てを吹き飛ばす爆撃で死ぬ人間の方が圧倒的に多い。)恋人でなければ、その弟であっても容赦なく撃つ瀬名の冷酷さ(「本来だったら瞬殺だが、お前は彬の弟だ。半殺しにまけといてやろう。」「アンタの事情はいつだって僕の兄さんかよ!」by奈津央←これで「普段、見せない優しさに相手(彬)の好感度はアップ」とか考えてるのだろうか、瀬名さんは?)に背筋が寒くなったものでした。本当に当て馬役の弟・奈津央が哀れに思えてくる位、どこまでもラブラブなんですね、あの人は…。

 フィラード・マクウェル…フィラード「我々の目的は破壊ではなく、新たなる進化です。」
瀬名「お前、大学でアニメ研究会にでも入っていたのか?」

彬を攫っても営利誘拐という事は無いだろう、相手は仕事も金も頼れる保護者無い未成年だし(現・保護者である叔父の学はフリーのジャーナリストで、別に売れてる訳でもなく、金も甲斐性も無い。そんな男の甥っ子を誘拐・監禁しても実益は見込めない。)宗教法人って税金を払わなくていいから元々儲かっているだろうし(「それは日本だけですよ…。」byフィラード)一体、何の意味があるのか、と思ったら相手は前世からの電波を受信していましたというオチが待っていました。小説というフィクションだからこそ、そんなアニメのような展開も本物の脅威として成り得ていましたが、現実だったら↑のように、ただの痛い人間で終わっています。ヤッてる内容が同じであっても、言っている事はマトモである瀬名の方を彬が選んだのは、思えば当然の展開だな、と心から頷けてしまった当て馬役2号でした…。

薔薇の夜明け

2010.01.14
 「薔薇の名前」シリーズ4作目です。前回は水戸先生の校了があまりにも遅かった為に後編の本文に挿絵担当の青木先生が絵を描く暇が無かった(表紙カバーの絵だけでギリギリだった。にざ・かな先生の「B・Bジョーカー」でも描かれていたが、原作つき作品はこういう事があるから作画担当の人は大変らしい。)そうですが、今回はきちんと絵が入っている辺り、無事に締め切りを守れたんだな、とちょっとホッとした次第です。一応、舞台であるイギリスにも取材に行ったそうですが「ハッキリ言って何の役にも立たなかった」そうで、取材旅行をしてもそれで都合良くインスピレーションが湧く訳でもないよな、と思えば当たり前の悲しい結果に頷けたものでした…。

 瀬名勇…瀬名「霧を晴らすのに一番いい手を知っているか?火を起こせば良いんだ。」
紗倉「だからって不動明王呪の護符で博物館に火を放つなんて、何って事するんですか、アンタ!つうか、大英博物館って世界遺産なんですよ!操られていただけの人も正気に戻った時には死んでますよ!」

うちの社長はキレるとヤクザや多感な十代よりも恐い。その持論通りに屍鬼(操られているだけの人間)ごと躊躇なく博物館に火を放った瀬名の「暴走ぶり」は今作でも健在でした。(「あんな護符、土産物のポプリと一緒に社長の手が届く机の上になんて飾っておくんじゃなかった。霊力の無い人間にとっては『ただの紙切れ』だから油断してた…!」by紗倉)おかげで、霧の魔力で正気を失っていただけなのに火傷だらけになった元・屍鬼、現・観覧客の皆さんはいい迷惑で、もちろんこんな事態を仕掛けた敵さんが一番悪かったとはいえ、常識を保って生きているのか疑問な御一行様(彬さえ無事なら他はどうでも良い人間達。)の方にも問題は有ったな、としみじみ感じてしまった序盤です。この人達は信念を持って動いている反面、大切な人を廃人にされてしまった被害者である事実は置いておいて、絶対に「正義のヒーロー」ではあり得ないな、とも感じた物語の始まりでした…。

 紗倉さん…老婆「病持ちのあたしに触れてくれた人間は何十年かぶりだ…これをあげるよ。」
奈津央「…変だよ。こんなイギリスの片田舎のお婆さんがどうして日本語を喋れるの?あの人は本当に『喋って』いたの?…言葉が頭の中に直接、響いてくる感じだった。」
紗倉「案外若い頃、日本に留学してたんじゃないの?それでイギリスに帰って来て、道で民芸品を売ってるとかじゃない?」

BCGの予防接種を受けてて感染する心配が無い(20世紀の現代に生きる彼の世界では天然痘は絶滅している。)にしても、醜い容貌の患者の姿にドン引きせずに触れられるかは別の話なのに、その後出会った少女(紗倉さんが目を覚まさなかったら「羅生門」さながらに、その金髪を鬘にして一儲けするつもりだった泥棒娘。)への応対といい、この人は本当に優しい人だな~と改めて感じた経緯でした。(「不気味なお婆ちゃん」も常識的範疇の中に入れちゃったよ、この人は。)極限状態でまで素直になれない主人公カップルの2人を何とか元サヤに戻したのも彼の尽力があってこそ(「君は社長が好きだし、社長だって君が好きだ!認めろ、彬くん!まずは、そこからだろ!うちのバカ社長は僕がこれから責任を持って何とか真人間に調教するから!」by紗倉。恋愛なんて本人だけが悩めば良いという考え方の彼としては、こうやって茶々を入れるのも本意ではない事だろう。)ですし、実は今回、一番活躍していたのは彼だったのかもしれません…。

 エリクシール…エリクシール「馬車で引き裂かれたのは、母さん。火炙りにされたのは本当はお婆ちゃんよ。異形になって死んだのは父さんだけ。お婆ちゃんは異形になりかけた母さんを匿ったから殺されたの。」

そんな地獄絵図を描くなよ!(見返すだけ辛くなるだろ、そんな絵!)というツッコミは彼女の元には届きませんでしたが、お人好しの紗倉との出会い(そしてその後、目の当たりにした奇跡)に救われた部分は有ったのか、そんな「現実を描いた絵」に似非(エセ)天使として金髪の彼が描き足されていた(「僕の金髪は染めただけの偽物だって、あんなに言ったのに信じなかったのかな?」「な、何、あの人、地獄絵図を見て1人ほくそ笑んでいるの?」「紗倉さん、苦労が祟って、とうとうアレに…?」by奈津美&遠弥)様には、知らず、微笑ましい気持ちにもなったものでした。彼女の名前と同じく「万能薬」の力を持つ神が君臨した世界でも、人々は決して幸せではなかった(ていうか1人で町中の人を救うのは血肉を全部使っても普通に間に合わない。)辺り、彬がフィラードと共に教祖にならなかった選択は本当に正解だったなとも感じたサブエピソードでした…。

 ローゼンクロイツ(山上彬)…ローゼンクロイツ「お前は…僕を想いながら自瀆したり、しないのか?」
黒騎士「しないな。夢想の中のお前などに興味は無い。」

ドイツ語で「薔薇十字」の意味を持つ名前(舞台はイギリスなのに何故ドイツ語?)と、血肉で異形を治す特別な遺伝子を代々受け継ぎ、15代目の教祖として生を受けた「彼」ですが、その内情は子孫(次の生贄)を残す為だけに好きでもない女とのセックスを強要され(本性はゲイであるだけに、その命令は余計に辛かっただろうな…。)崇めたてられる反面、自由も無く血肉を貪られるだけという一生に、恋人の黒騎士はそんな彼の運命を断ち切る為にもブチ殺してしまったようです。惜しむらくは彼本人に何の相談も無いまま殺ってしまい、彼の方は「あんなに愛し合ったのに、何でこんな事をするんだ!僕は…お前が好きだったのに!」と来世(彬)に至るまで溝がそのまま残ってしまったという点でしょうね。今生でも魔封じのピアスと一緒に彬の人格まで壊してしまいましたし、どうも瀬名さんは「鳴かぬなら、殺してしまえ、ホトトギス」(思い通りに行かないと、すぐにちゃぶ台をひっくり返して全部台無しにするタイプ。)である様子です…。

ライジングインパクト①~⑥

2010.01.12
 ゴルフが正式に誕生したのは英国(外国)なのに、なぜ舞台が日本なんだ?(世界に3つしかないゴルフ学園の場所の一つに何故、極東の狭い島国に過ぎない日本が選ばれた?)と思ったら「日本は四季も相まって季節ごとにそれぞれのコースの難易度が変化する」し、バブルではじけたゴルフ場だから安く買えた(そこかい!)と説明が有り、納得したものでした。横文字の外人ばかりが登場する中で何で皆、日本語を話しているんだと思ったら、現実でもアン・ソンジュやシン・ジエがバリバリに日本語で優勝インタビューに答えている(今なら分かる。確かに自国語しか話さない外人プロは「何だよ、『出稼ぎ』に来てるだけかよ!」(賞金だけが目的で、お前、うちの国の言語や文化に何一つ興味無いだろ!)と国民としてはかなりイメージ悪く感じるものだ。)様を見て納得がいったものでした。そんな訳で、実は色々辻褄が合ってるなと感じたゴルフものです。

 ガウェイン・七海…霧亜「アンタ確か、ゴルフの女子プロ10位なんて大したこと無いとかって…そもそも、何で見ず知らずのガキに『彼氏いないだろ?』とか言われなきゃなんない訳?」
ガウェイン「オレが、もし大人だったら放っておかないくらい君は素敵だべ…だよ。怒った所も、また素敵。」

そして大人になったその時、12歳差もの年の差を物ともせず本当に彼女を嫁に迎えたのには驚かされた最終話でした。(9才の彼が大人になるまで、三十路に入っても体型を崩さず、若さを保って待ち続けた霧亜の方も凄いと思う。アラサー(アラウンド30代)を過ぎての高齢出産も大変だった事だろう。)が、読み返してみたら第一話の頃から既に「伏線」は張ってあったのね。(霧亜は彼をゴルフに出会わせてくれた、いわば「運命の女性」であり、大人になった頃に「噂がついに真実になってしまった」という訳か…。)と恐るべき展開の始動の様に頷いてしまったものです。それにしたって普通だったら年の差的に有り得ないカップルなのに!(男の方だって自分と同世代以下の若い女の方が良いに決まっているし、女の方だって何年も待っていられない。)と奇跡のように将来結ばれる2人に、逆に微笑ましささえ感じた出会いの様でした…。

 西野霧亜…ガウェイン「なーなー、もちっと大人になったら行っていーんだべ?オレ、成長期だがんな。すーぐ、でっけくなっちまうぞ。」
霧亜「体がでかいから大人って訳じゃないの!」

「霧亜姉ちゃん、起ぎでっか?」(寝てるのなら意識の無い女性相手に強引に初夜を遂げるような鬼畜な真似は出来ないが、起きてて自分に応えてくれる(=GOサイン)なら…。)という「定型の問い」を経て、「寝室」に顔を出し、布団に近付いてきたガウェイン(「なーなー、もちっと大人になったら布団の中に行ってもいーんだべ?」←違うから!東京だから!)にオイオイ!それってまるっきり夜這いの様じゃないか!と2人が将来結ばれる展開と合わせて大焦りしてしまった序盤のシーンでした。祖父の許しも得て(ゴルフを学ぶ為に)彼女の家で押しかけ居候を始めた様には、妹の胡桃の言う通り、それって同棲じゃん!とツッコミばかりが入り、噂に拍車がかかる様(「実年齢=彼氏いない歴の霧亜に、ようやく彼氏ができたんだって。それも婿養子よ。」「おめでたい近況報告だね。」「それが栗色の髪の外国人小学生なんですって。」「それって…。」byランスロット姉弟)にも納得がいったものです…。

 ランスロット・ノーマン…リーベル「西野霧亜プロがここまで来れたのは、カジェリ姉さんを目指していたからだよ。女子最強の女王復活を皆、待ってる!また一緒に…ゴルフやろう!」
霧亜「いい加減、少しは姉離れしな!それじゃシスコンって言われても仕方ないわよ!」
ランスロット「それの、どこがいけないんですか?あなたこそショタコンのくせに。」

開き直りやがった、しかも潔い…!(確かに彼は「ただのシスコン」であって、ストーカーのように誰に迷惑をかけている訳ではないし、文句のつけどころは無い…!)と、それまで「スカした嫌な奴」(ゴルフパターの実力は確かにあるけれど、性格は悪くない?)という微妙な内容だった彼の評価が「本当はお姉ちゃん想いの、凄くいい子だったのね!」と好感度が上がった瞬間でした。そして、そんなお姉さん(将来の小姑…もとい、お義姉さん。)に見舞いを欠かさず、他の皆は復活を「待っている」だけだったのに、こまめに会いに行っていた胡桃ちゃんが彼の嫁の座をゲットしたのにも思えば納得がいった未来図でした。(別に他の皆が冷たかったって言ってる訳じゃない。皆、話題にはしたし心配もしてくれた。でも実際に(たとえそこに自分(男)がいなくても)毎日のように見舞いに来てくれたのは彼女だけだったんだ…って、ポイント高いよな~。)顔だけで自分を判断していたミーハーな裕美子を選ばなかった辺り、思うに彼は見る所は見ていたんでしょうね…多分。

 小泉裕美子…ランスロット「人の顔をチラチラ伺っているようだけど、何か言いたい事があるのなら、どーぞ。」
裕美子「簡単な事よ。アンタとじかに戦えて嬉しいの。普通、公式戦って男と女は別々じゃん。だから一緒の試合でアンタを叩きのめして、女子Jr最強に加えてJr最強の名を手に入れる!」

…と、最初は純粋にライバル視してゴルフの頂点を目指していたのに、「それなりの成績は残せたんだから良かったじゃん!」みたいな妥協論を言うようになって(もちろん思うように結果を出せなかった仲間への慰め…もとい思いやりの気持ちではあるのだけれど。)ゴーイングマイウェイにデートに誘う彼女(「明日には個人戦が控えているんだよ?」byランスロット)に彼は改めて幻滅し、そして「イヤミの一つを言われた」程度で頑張る気力が無くなった裕美子の方も「所詮、自分の気持ちはそんな程度でしかなかったんだ。」(誰にでも良い顔をするお人好しな美形じゃないから、振り向かせたが最後「自分1人だけを特別に扱ってくれる理想的な恋人」になりそうだと、条件付きで好意を寄せていただけで、それを「好きと思いこんでいた」の間違いだった。)と目が覚めた様子です。とはいえ「自分のプライドを傷つけられた」(女としての自分をお断りされた。)のは確かで、以来、他人の恋愛にも否定的になってしまったようです…。

 リーベル・リングヴォルト…アリア「ペナルティを申告しないで大会で優勝した。真剣にゴルフをしている皆を裏切った事が…あなたが、それからの試合で一度も優勝できなかった…いえ、しなかった理由なのね。」
リーベル「お婆ちゃんは『俺がゴルフをしている姿』を見るのが生きがいなんだ。だから俺はツアープロにはならず、ティーチングプロになろうと思ってる。」
ガウェイン「オレはなあ!手加減されて勝づぐれえなら、全力で勝負して負ける方がずっといい!おめえは一生懸命ゴルフやってる奴らをバガにしてるだげだべ!」

ズルをして勝った自分には、もうこれ以上「勝つ」資格は無い、と実力はあるくせに肝心な所でわざとミスして他のプレイヤーに優勝を譲ってきたリーベルでしたが、それって結局、他のプレイヤーを自分の手の平の上で転がしているだけじゃないか(そんな「お情けで与えられた物」なんか貰っても嬉しくはない。いっそのこと熱いキャッツファイトをして「同じ土俵の上」で戦って負けた方が、まだスッキリするわ。)とガウェインは、実は「上から見下していた姿勢」を取っていたに過ぎない彼(本人は善意のつもりだったらしいが…。)に怒り心頭になった様子です。実際、本人がそれで良いと言っても、美味しい部分(試合での勝利)ばかりを人に譲って、自分を抑えて誤魔化した人生を送っている彼を見て、お婆ちゃんが本当に喜ぶかは微妙な所でしょうし、アリア先生の配慮は的を得ていた(「このままでは、あなたがダメになってしまいそうだから。」byアリア先生。)のでしょうね。

 金園秀美…金園「せっかくパパのコネで学院に入っても、肝心のキャメロット杯に出れなきゃ意味ないじゃない!くそ!くそ!せっかく荒井とハーシィのクラブまで折れるよう細工したのに、無駄無駄!全然、意味なーし!」
ハーシィ「あんた…あんたが、あたち達のクラブを…!」
金園「み…みみみ皆さん…アレ?今日は練習場での授業じゃなかったんですか?」

1人言はもっと小さな声で言いましょうね(ハッキリ言ってバカ過ぎるぞ、お前。)…と、自分で卑怯な手を使って、勝手に自白して、自業自得で恨まれた自滅の様に思わず脱力してしまった脇役の様でした。一応、彼にもハーシィ達にクラブ磨きを押しつけられて散々奴隷扱いされてきた(今までいじめられてきた復讐。)という言い分は有った様子ですが、それは彼らの選抜試験を潰して良い言い訳にはなりませんし、そもそもズボンとパンツを雨の中に捨てられたガウェインは金園に何もしていないですし(つまり、いじめに関係無く、こいつは素で性格が悪い。)話が終った後も「登場人物は皆、好きです!…金園は別ですが。」と人気は出なかったそうです。(これはもう、いじめる方もいじめられる方も最低って話に過ぎない。)キャメロット杯でも自分達を蹴落として勝ち進んだ東堂院先輩を応援するほど「仲間」に対しては気持ちのある連中ではあった様子なんですけど…ね。(それは「仲間限定」で、見下している相手に対してはえげつないイジメをする辺りが3人共…な。)

 黒峰美香…美香「天才はあなたの方だったようね。私なんて毎日500球のパッティングをしたというのに、このザマだもの。結局は才能の差だったという訳ね…。」
ランスロット「ボクは6歳の頃から毎日1000球ずつ一日も休まずパットの練習を続けてきた。天才とか才能とか、そんな安易な言葉で片付けてほしくないな。」

あなたには多分、見えてない。自分にだって、腕を磨いて努力した日々がある。あなたが見てるのは「成功した結果」だけで、その過程が見えていないんだ。(人より恵まれた素質があっても、それは努力をしなければ花開かない。そして成功した人間は、それがどんな職業であれ必ず「並外れた努力」をしている。自分の半分以下の努力しかしていない人間に、まるで自分がインスピレーションと能天気さだけで、ここまでやってこれたかのように言われたくないな。)というプライド対決の様に思わず拍手した試合の様でした。ちなみに、この時点で手を握り合って「頑張って…。」「ああ…。」と思いっきり雰囲気を出していた東堂院と彼女が実は付き合ってはいなかった(…アレで?)と後に分かって逆にビックリしたものでした。(きっと子供の頃から仲良くやり過ぎてしまった為に、逆に告白する必要(きっかけ)が無かったんでしょうね。最も外国では「誰もわざわざそんな事は言わない」(何故ならば普段から愛情表現を欠かさないから、そんなの今更、改まってまで言う必要が無い。)そうなので、そんなノリで来てしまったのでしょう。)

ライジングインパクト⑦~⑫

2010.01.11
 マスターズに全米オープン、全英オープン、全米プロの世界四大大会に女性は参加できない事もあって、日本ではよく韓国人「女性」プロを目にするんだろうな(レベル的に稼ぎやすいという点ももちろんあるのだろうが。)、と、いつかきっと男と一緒に世界大会に出場する事を夢見る「女の子」(「アプローチやパットなら女性も男性も関係無いわ!女性が男性に負けるのはドライバーの飛距離だけ!」←しかし、男に負けないくらいドライバーをかっ飛ばせるのも「君1人だけ」に限った話だと思うぞ…。)の姿に、またも納得しながら読み進めた新章です。登場人物の名前も有名な物語やオペラから取ったものが多くて、何気に教養高い人だったんだな、鈴木央先生…と感心したものでした。

 ガウェイン・七海…アリア先生「力みによるダフリね…。しかも原因が分かった所で心の問題を解決しないと治らない『病気』のようなものです。その証拠に右肩が原因だと分かった後でさえ直っていない!」
ガウェイン「そういや、オレも霧亜姉ちゃんと会わねがったらゴルフに出会ってねがったんだな…って、やったー!戻ったー!ワーイ!いつも通り、かっ飛ばせたぞ、気ん持ぢいー!」

自分以上に飛距離を出す人間(クエスター)を目の当たりにした焦りで、初めて思うように打てないスランプという壁にぶち当たったその時、彼女のことを思い浮かべたら、無心に戻れて(初心に帰って?)前以上のスイングができるようになったって…女神か、霧亜姉ちゃんは!?と、滅多に会う事も無くなったのに今もなおガウェインの中で彼女が特別な立ち位置にいる事を改めて思い知らされたエピソードでした。(そりゃ、他の女の子とどんなに仲良くなっても選ぶのは彼女になるわな。)スランプに陥っても、たった一日(!)でそれを克服し、ライバル以上の玉を飛ばすようになった彼に、自分の異母弟疑惑(「ライジングインパクト(が打てる動体視力)は我が一族だけに受け継がれたものだ。」「で、ガウェインにも俺と同じギフトがあるって事は、つまり…。」byクエスター)と合わせて、今度はクエスターの方が大いに動揺する事になるのでした…。

 パーシバル・ロレンス…父「そうだ!君さえ良かったらパーシバルのお婿にでも…」
パーシバル「お父さん!変なこと言わないでよーっ!ガウェイン、行きましょ、行きましょ、車はそっち!…お父さんなんて嫌いっ!バカバカ!」

話を逸らしつつも頬を染めて怒っている(意識している)辺り、彼女もまんざらでもなかった様がうかがえますし、実際、一緒に暮らして仲良くやれた事で期待も持ったでしょうね。しかし、話も合うし、楽しくやれる、特別に仲が良い友達。でも、それだけ(そんな立場、その辺の男友達にすら簡単に取って代わられる。)って現実ではよくある話で、親まで「君がパーシバルの所にお婿に来てくれれば良いのに。」と言っている(そういう事って周りが盛り上がると、本人は「勝手に敷かれた出来レース」に逆に引くんだよね…。)反面、ガウェインの方は友達以上の気持ちを全く持たず、元カノ(霧亜)とそのまま結婚した様に納得がいったものでした。毎日のように会って親しく付き合う事で「お手軽な友達」にはなれるかもしれないけれど、それでは「僕が苦労して心を開いてくれた、なかなか会えない特別で大切なあの人」にはなれなかったという話ですね、これは(そもそも恋愛というものは「相手のことをもっと知りたい」という気持ちから始まる(つまり全部知られたが最後、彼の自分への興味は消えてなくなっている。)のだから、知り合ったその日からお泊りをさせて、部屋のぬいぐるみやパジャマの柄まで全部見せた彼女は初手から誤ってしまったな。)とも実感した淡い恋の終わりでした…。(まあ、淡い段階で終わった分ダメージ少なくて良かったじゃないですか、パーシバルさん。)

 スフィーダ・ボネール…母「体には気をつけてね、プラタリッサ。何かあったら電話しなさい。」
スフィーダ(私だってイギリスに行っちゃうのにスルーして…ああやって、いつもプラタリッサばっかり…。)
母「そうだ。プラタリッサにこのお守りをあげるわ。このチョーカーをママだと思って、しっかり頑張るのよ。くじけそうになったら、これを握りしめて…。」
スフィーダ「ひどい!そのチョーカー、私にくれるって約束したのに、どうしてプラタになんかあげちゃうの!?プラタリッサばっかり特別扱いして!いつも…いつも、そうよ!」」

スフィーダとプラタリッサ、どちらが悪かった訳でもない、えこひいきする親が悪かったのだ。(優勝という「結果」を出している自分ではなく、成果も出していない妹の方を「可愛いから」という理由一つでチヤホヤしていたら、誰だって理不尽を感じるだろう。)とはいえ、どっちがより辛いのかというと、「可愛さだけで世の中をちゃっかり渡っていける妹」(実際、甘え上手な素の性格に戻ってからは読者の人気も急上昇し、他の女に恋していたはずの男(リーベル)まで手に入れている。)よりも「努力をしても報われない姉」の方だろうな(「敵」であるはずのプラタリッサも笑って許さなければならない。気難しい性格は不器用なだけなのだろうが、作者が「そんなに尻に敷かれそうなのが嫌?」と疑問符を出すほどに人気は伸びなかった。特に男に。)と、読者からの好かれ具合も親同様になっている様に同情もしたお姉ちゃんでした…。(和解は出来て良かったですけどね…。)

 クエスター・フェニックス…クエスター「ウソだ…。俺がドライバーで負けるなんて、こんな事が…。」
スフィーダ「米国校はもうダメね。飛距離にプライドを持つ人間が自分よりはるかに飛び抜けた力を見せられたんだもの。それも相手は自分よりもずっと年下…ショックは計り知れないわ。」

「言えねえ…。ドライバーでアイアンに負けたなんて…。」と、かつてガウェインに味あわせた思いを巡り巡って自分が味わう羽目になった(これぞまさしく因果応報。)その時、数時間(!)で精神的ショックを克服したガウェインと違って、頑張ってはいても所詮は温室育ちのお坊ちゃんに過ぎなかった彼は試合の真っ最中である(しかも相棒と組んだペアマッチ=もろに相棒に迷惑をかける試合。)にも関わらず大スランプに陥ってしまった様子です。(悔しさのあまりクラブを放り投げるというカッコ悪い行動まで取ってしまい、完全に冷静さを失ってしまった。)試合が終わったら終わったで、今度は親父登場(ただでさえケンカ中で、傍にいられるだけで気まずい相手。)の上にガウェイン異母弟疑惑が持ち上がるし、苦労知らずのお坊ちゃん(メンタリティは人並み以下。)には違いないけれど、気苦労は絶えないお兄ちゃんだよな(これでよく胃に穴が開かなかったものだよ…。)と思わず同情してしまった、そんな新・登場人物でした…。

 ブリジット・バーロウ…クエスター「なあ、ブリジット、学院を卒業したら一緒に暮らそうか。今更どうでもいい親の元へ戻る事も無いだろ。俺達はもう子供じゃないんだ。」
ブリジット「…俺、お前の事も皆の事も騙してた。お前の親父に頼まれた『お前の見張り』さ。キャメロットに編入しても怪しまれないようグラール・キングダムで死ぬ程の訓練受けて、大会受賞歴まで偽造して貰って、全員分の履歴からゴルフに関するデータまで色んなものをあそこに流し続けてた。何で…気づいてくれなかったんだよ!お前はやっぱり、お坊ちゃんだよ。親父には本気で逆らえないし、俺との事だって結局はままごとだったんだ…!」

「泣き面に蜂」「弱り目に祟り目」(英語でも「雨が降る時は、いつも土砂降り」(悪い時には悪い事が重なる。)と洋の東西を問わない諺になってしまっている。)とはよく言ったもので、飛距離スランプ、異母弟疑惑と合わせて、恋人まで親父の手駒にされていたという、さらなる悲劇がクエスターを待ち受けていました。ブリジットの方も恋した弱みから断る事が出来なかった(「クエスターと同じ学園に入って奴を見張れ!?そんなもん、俺が引き受けると思ってんのかよ!」「あっそ、じゃあいい。君がダメなら『クエスターの見張り兼恋人役』には、こっちでグラマラス系美女を用意して侍らせる事にするよ。」「…!!」という流れが絶対に有ったと思われる。「そんな女に側をうろつかれるよりは、君が彼の傍にいてやりたいだろ。」という話から首を縦に振らざるを得なかったのだろう。)金で人の気持ちを買う事は出来ない、けれど上手く使えば相手の自由を奪う事は出来る(クエスター自身が父の元に残る気持ちは無くても、彼の恋人が手の内にいる限り裏切って離れていく事は出来ない。)という悪い見本です…。

 トリスタン・リオネス…メリオダス「父さんは何も気にしちゃいないさ。人に何を言われようが、一日中働きづめだろうが、どんなに貧乏だろうが…でもな、息子の好きなこと位は思いきりやらせてやりたい。お前にゴルフをやらせてあげる事が私の生きがいなんだ。頼むから、父さんのワガママを聞いてくれ…。」
トリスタン「見ていてくれ。この試合の優勝も貴方に捧げよう。プロになっても、いつの日か頂点を極めたとしても、俺がゴルフをやり続ける限り…父さん、俺は貴方の誇りであり続けたい。」

で、文字通り「死ぬ」まで自分のゴルフの才能を信じて、血もつながらない義理の息子である自分にぬくもりを与えてくれた「父親」に納得する(頂点を極める)まで走り続ける事を誓ったんでしょうが、それとは別に散々自分達をいじめ続けた「父親以外の人間」に対しては完全に人間不信になってしまったんだろうな…と対戦相手との握手すら拒否する、どこまでも冷淡な態度(好きの反対は「無関心」…か。)に納得がいってしまったものでした。だからこそ強力な実力の持ち主であるライバル(ガウェインとランスロット)の登場で形はどうあれ「他人に興味を持った」のは彼にしては大きな一歩だったのでしょうね。ラストでは妹分のイゾルデを育てる為に取りあえずは納得してクラブを置いて子育てに専念している彼(他人の為にそこまでするようになったの!?)に大きな成長を感じたものでした…。しかし「トリスタンとイゾルデ」(オペラ版ロミオとジュリエットみたいな話)って絶対某オペラから取ったでしょ、と思わずツッコミも入れてしまったものです…。

 アーサー・フェニックス…アーサー「ガウェイン・七海…だったね。君の両親は?教えてくれないか?」
ガウェイン「オレ、父ちゃんも母ちゃんもいねえよ。母ちゃんは七海笑子。俺、産んだ夏に死んじまったげっちょな。父ちゃんは名前も知んねえし、一枚っきゃねえ写真も顔が破がっちぇんだ。きっと七海珍ノ助丸とか、とんでもねぐ恥ずかしい顔と名前なんだっぺ!」
アーサー「そうか…。」

出会った初日に「ただの他人」がそんなプライベートな事を聞くか?(しかも血が出るほど拳を握り締めたり、「他人の子供の母親の死」に明らかに不自然に動揺している。)と、息子のクエスターにはバレバレの怪しい態度でしたが、鈍いガウェインは何も感づかずにスルーしていました。電話ではガウェインが自分の息子だと語って(騙って)いた彼ですが、後にそれはアーサーの妄想で甥っ子に過ぎなかった(本妻とも愛人とも子供作るほどウハウハだったという「男の夢」を言ってみたかっただけ。)と分かるのでホッとした次第でしたが、この人にも色々あったんだなあ~と息子にすら心をさらけ出せない不器用さに思わず同情もしたものでした。ガウェイン、ランスロット、トリスタン、パーシバル、マーリン先生と登場人物はことごとく「アーサー王伝説」から名前を取られているのに誰1人仲間にはなっていない様にも涙が出たものです…。(物語の中では王様なのに「円卓の騎士」は誰も集まってくれないなんて…。)

ライジングインパクト⑭~⑰

2010.01.10
 一度は復活(連載再開)したものの、2度もその奇跡は起きなかったらしく、打ち切りという編集部側の「一部の読者が出すアンケート」ばかりに左右された非情な決断(だから今のジャンプは腐女子の意向ばかり重視した内容の薄い話ばかりになっているし、かつては世界一の発行部数を誇ったのに、現在では200万部切りという先細りの様を見せてるんだよ。)から、新章に突入するも話はここで終わってしまい、加筆された読み切りでは子供まで出来ている(もはや完全に彼らの「少年時代」は終わった=連載が再開する事は、もう2度と無い。)様に、思わず悲しみを感じてしまった、そんな終わり方でした…。(いや、綺麗にまとめられていたけどね…。)

 七海ガウェイン…ガウェイン「グラールとキャメロットの試合中…つーが、その前に、その試合どっちが勝ったんだっけ?」
クエスター「…呆れた奴だな。そんな事まで忘れたのか?」
ガウェイン「しゃーねーべ?オレ、まだ小学生だったんだしよー。…だがら試合よかよ、その後じーちゃんが死んだ時のごとの方がよく覚えでんだ。つい、こないだのごとみでぐ。」

最終章をそんな扱いですか、主人公…!(息子達が語っている「伝説」によると友達(トリスタン)をバカにされた事で、その試合中に乱闘騒ぎを起こし、骨折沙汰の怪我をしたせいで、またスパーク状態になって20アンダーもの超成績を残したというのに…。)と、父親の遺志を継いだ因縁の試合を「そんな事」扱いですっかり忘れ去っており(つくづく、アーサー叔父ちゃんの立場って…。)、家族である祖父の死だけしか覚えていないガウェインの姿に涙すると同時に、その時そばにいてくれたのが霧亜だった(楽しい時だけ遊んでいた友達と違い、本当に辛い時にそばで支えてくれたのは彼女だった。)様に、後に2人が結ばれ、最終話では10代後半にして既に子供まで作っている様に納得がいったものでした。(「なぐさめ」がいつの間にか「あやまち」になったんだろうな…。←オイ!)結局、実父ウーゼルの事は最後まで未消化でしたが、自身が親になった現在、自分を捨てた父親の事など完全にどうでもよくなった事でしょうね…。(そもそも最初から、父親を恋しいと思ってはいなかった様子ですしね…。)

 実父ウーゼル・フェニックス…七海笑子「あのね、できちゃったみたい…。」
ウーゼル「俺…知らないよ!俺、ちゃんと気をつけてたもん!」
アーサー「そしてウーゼルは行方をくらました。理由もつげずにな…。全てが一瞬で色あせた。ウーゼルを心の底から憎み、奴を選んだ笑子を哀れみ、笑子を諦めきれていなかった自分を責めた。」

…な、所だったんだろうな(父は子が生まれた事すら知らなかったのか、きっと中絶してくれてる(はず)と恐ろしい現実を直視しない為に2度と帰って来なかったって…典型的な蒸発の様じゃないか!)と天才的なゴルフの才能が有りながらツアーに出る事もせず(そんなに見つかるのが嫌?)、仕事(キャメロット学院)も辞めて現在も完全に行方をくらましている様に、カップル破局の詳しい経緯が読み取れたものでした。(普通は血の繋がった身内位には金を無心する為にも居場所を知らせそうだけど、数々の事業も成功して、いくらでも興信所を雇えそうな弟・アーサーが彼の身元を割り出せていない辺り、よっぽど完璧にホームレスをやっているのだろう。)きっとイギリスで優雅に育った人間が、そこに恋人がいてもイナゴの佃煮を食べる福島に骨をうずめる気にはなれなかったとか、色々言い訳はあったんだろうけれど、女の私に言わせれば子供まで作って責任逃れに走った最低の男だぞ、としか思えなかったクソ兄貴でした…。(アーサー父ちゃん、劣等感を持つ事は無い。キチンと結婚してしっかり息子を養育したアンタは立派に漢として勝ってるよ。)

 須賀川紅葉…美花「60億のうちのたかが100や200でしょ、あなたが今まで出会った人の数なんて。認めてくれないなら、それでもいいじゃない。ふてくされて努力を台無しにするなんて真似は全くの無意味よ。努力は一生続けてこそ、努力なんだから。」
紅葉「お前だけだった、この俺にそんな言葉をかけてくれたのは…俺は!お前に惚れた!美花、俺の女になってくれ!」
美花「何を言い出すのかと思えば…2年以上も会った事が無くて、名前すら知らなかった女(私)相手に、相変わらず思い込みの激しい人ね…。」

それ、他人じゃないか…!(普通は他人→知り合い→友達→恋人(告白)と段階を踏む物なんですが、全部すっ飛ばして最終段階に進む人間は「前々から(一方的に)彼女を知っていた」としてもストーカーとしか認識されないよ…。)と初手から間違えている愛の告白の様に思わずツッコミを入れてしまったものでした。(読者の大半も「情熱的」を通り越してそう思ったらしく「嫌っ!何このマッチョ!キモい!」「あの筋肉にロン毛はヤバい!」「ストーカーになりそうで怖い!」と反応は散々だったんだとか…。)作者も「ライザーがミドル級なら、こいつの筋肉と人気の無さはヘビー級。」と認めており(作者まで…。)、性格が強い黒峰さんだから恐れ慄かずに済んでいるけれど、確かに好かれてもあんまり嬉しくない男だろうなあ、といきなり過ぎる展開に頷けてしまったものでした。悪い奴じゃないんですけどね…。(しかし「いい奴」って恋愛対象外の男を指す言葉と昔から相場が決まっているんだよな…。)

 黒峰美花…紅葉「どうやらお前が惚れていた相手というのは戒の事らしいが、見込み違いもいい所だぞ、美香!こんな口先だけの男より、俺の方がお前を大切にしてやれる!」
美花「あんたこそ東堂院の何が分かるって言うのよ。そんなに私が欲しいなら、この人(東堂院)に勝ってからにしなさいな!」

ダメじゃん、煽っちゃ…とはいえ、いつまで経ってもハッキリと意思表示しない「幼なじみ」止まりの恋人に、足して2で割れるなら…(もちろん、あんなキモいマッチョの恋人などゴメンだし、どこから来るのか分からない思い込みの激しさも謎だけれど、あそこまで露骨な愛情表現にだけは感心しているというか、せめてその半分くらい自分の恋人にもそれが有ればいいのに、と思う所は有ったらしい。)と思わず溜め息が出てしまう部分はあった様子です。結果として、東堂院は相変わらず口では何も言わなかったけれど、将来プロとしてやっていく事よりも、今、紅葉先輩との飛距離勝負に勝って美花を捕まえる事を選んだ(この時に無理をして80インチドライバーをかっ飛ばした為に、腱を痛めるだけで済まなかった腕は再起不能になり、プロゴルファーとしてやっていく未来は露と消えた。「夢なんざ持とうと思えばいくらでも持てる!」と本人は納得している様子ですが…。)そんな様に、美花も何も言えなくなったし、紅葉先輩も男として負けを認めた模様です…。

 ライザー・ホプキンス…若葉「切磋琢磨って言葉があるじゃない。切ない響きだよね。同じ努力をしても10伸びる人間がいれば、1しか伸びない人間もいるのに。…気づいてるんでしょ?君は一生『主人公』にはなれないって。このままじゃ永遠のピエロだって。」
ライザー「小せえよな、俺も。10倍の努力で足りねーなら、100倍努力すりゃいーんだ。それができねえなら、どの道、大して好きでもねーってこった。」

個人差や素質はもちろんあるだろう、けれど技術なんて努力すればついてくる物なんだし、その「人並み外れた努力」を嫌がる人間は実力の世界で大成はできないよ(そりゃ一般人がサッカー選手になろうと思って努力した所で才能的に無理がある話だが、ライザーも日本校とはいえ「1パーセント未満の競争率」をくぐり抜けて選ばれたキャメロット学院の立派な生徒であり「充分に素質はある」部類なのだから、後はやる気と努力の問題である。)と冷静にツッコミも入れたものでした。が、ガウェインとの才能の違い(彼はインフレし過ぎてる特殊例だから、参考にした日にゃゴルファーになれねえ。)に忸怩たる思いを抱えたこともあって、思わず敵陣に着くという裏切りに走ってしまった様子です。結局、試合を通して彼も成長したらしく、最終話ではガウェインを抑えてプロとして活躍する姿が描かれていましたが…当の成長試合の様もじっくり読んでみたかったです。(打ち切りのバカ…!)

 リーベル・リングヴォルト…プラタリッサ「女子プロのアリア・セイフォート、夫レイン・グレースと協議離婚していた事が判明。2人の間には女の子も1人…18で結婚して19で産んだって事かしら。」
リーベル「(僕、いつか、アリア先生をお嫁さんにしたいな…って思ってたのに。)」

ボロボロ泣いて「自分の理想通りではなかった恋人の姿」に見事に終わった初恋の様ですが(「そりゃー泣くって。惚れた女が結婚の上に離婚も経験済みなんてねえ。」by裕美子。人それぞれ事情はあるしアリア先生ばかりが悪い訳ではないのだろうが、「経験者」であるだけで幻滅する男子がいるように「理由も無い恋心」なんて、それだけでしぼむのには充分なのだろう。)それはそれとして「過去に何があっても僕の気持ちは変わりませんから…。」と復活愛の様を呈していた(グラール・キングダムの皆さんは↑を通して「大人なんて皆、汚い!もう先生なんか見るのも嫌い!」とリーベルがキャメロットを飛び出してくるのを狙っていた様子だが、予想に反して彼の性格はどこまでも天使だった。)だけに、最終話ではアッサリその恋心を忘れ去ってプラタリッサと結婚していた様に「現実」を感じながらも釈然としない物が残った私でした…。(そりゃ、アリア先生は霧亜と違って「年下の子供に過ぎない彼」を眼中にも入れていなかったでしょうけれど…。)

 七海太陽…霧亜「まだ、アンタには分かんないだろーけど、ガウェインは大事な息子のアンタにだから想い出の染み込んでいるクラブをあげたのよ。」
太陽「あ、あのさー、父ちゃん、クラブなんだけどさー、あのね…」
ガウェイン「んだ…、また父ちゃん、来週がら試合でヨーロッパさ行ってくっから、母ちゃんど留守番頼むな!」
太陽「か、勝手にどこへでも行けばいーじゃんか!(本当は…クラブありがとうって言いたかっただけなのに…。)」

思春期とツンデレ的性格が併合して、すっかり立派な厨二病になってしまっているらしく、素直でおバカな主人公に比べると今一つ可愛気のないガキ、そして同じ年で既にインフレしまくっていたガウェインに比べると今一つパッとしない才能の様(いや、全国小学生の部で4位は立派に凄いんだけれど、ガウェインの活躍を今まで読んできた身としては、やっぱり「地味」に映るんだよね。)に、何だか残念な息子が2代目になってしまったな(というか親父のガウェインの方が「魅力的な主人公」だった。)という感想を持ってしまった読み切りでした。(いや、ガウェインがプロの世界で立派に活躍して、どつき漫才やりながらも幸せな家庭築いていて安心したし、良かったけど。)今、初めてライジングインパクトが見えてきた彼(レベルで言えば昔のクエスター位?)の才能が花開いていくのは多分これからの話なのでしょうね。見事に親の特徴を受け継いだ子供達の姿に思わず含み笑いが出てしまった話でした…。

GP学園情報処理部

2010.01.05
 最初は「情報処理部」(苦労人の部長・鶴賀先輩の周りの人に振り回される日常譚)の話だったのに、いつの間にやら情報処理部に入部もしていない生徒会の会長・副会長の話がメインになり、続編ではとうとう「GP学園生徒会執行部」(情報処理部は脇役に格下げ決定!?)にタイトルが変わってしまったという歴史が流れる作品の最初の2冊です。「読んだ人に一番印象が残った人物が主役」と考えると妥当な変更ぶりですが、おかげで主人公からも格下げされた部長には同情もしたものでした…。

 天ノ原凛…叡智「君が僕のモノになってくれたら、欲しい物は何でもあげるよ。君はこの先、自由に好きな事をしていいんだ。」
凛「全く矛盾してるよな。あの時から叡智の所有物になった俺の、どこが『自由』なんだよ。」

そして他の子と遊んだだけで「僕の知らない所で他の男と仲良くしてる凛なんて、いらないから!」と逆上して部屋に閉じ込め、それにメイド以下、屋敷の大人達は何も言わず(オイ!)、翌日なんとか凛が監禁状態から抜け出そうと2階から飛び下りた(大した怪我が無かった事より、それに関して何の騒ぎにもならない(させない)この家が怖い。)所、逃走に失敗して再び彼の魔手に捉えられた(相手のあまりの美形ぶりと心配そうな態度に、子供心ながらに「この人には自分がいないとダメなんだ。」と感じて、正式に叡智のモノ(恋人)になると決めた様子ですが、半分、洗脳に近いような…。)という経緯に玉の輿に乗りながらも、彼は彼で苦労しているんだろうなと感じた「今までのあらすじ」でした。何でもできる叡智に甘えている反面、男として劣等感も感じている様子で、恋人をやりながらも男心は今日も複雑らしいです…。

 木村鈴音…鈴音「琴音は昔から俺より頭が良くて要領が良くて、可愛いと思ってた娘は大体が琴音の事が好きだった。そんな琴音に兄貴面して構われて、比べられるのがが嫌で、俺は…。」
琴音「ちゃんと考えろよ。何でお前が『兄貴』の俺を嫌うのか、俺をそんなに意識するのか…俺に気づかせたのはお前なんだからな、鈴音!」

本当に比べられるのが嫌なら、傍に寄らなきゃいいのに、何で同じ高校に入ってるんだよお前…という単純な問いの答えは、どうやら「嫌よ嫌よも好きのうち」(本当の「好きの反対」は無関心であり、視界にすら入らないように「距離を置く」のが正しい行動である。「言葉より行動に真実が出る」事を考えると、口先では悪く言いながらも決して彼から離れようとはしない鈴音の行動から、自ずと本心は見えてくる。)のようですが、やっと思春期に入ったばかりの鈴音くんは「自分の気持ち」にもまだ気づいていない様子で、2人の仲は家も隣同士で互いの部屋に行きかうのを親も公認しているという、チャンス有りまくりな状況下にも関わらず、遅々として進まない様子でした…。既に「自覚症状」まで辿り着いている分、琴音の方が辛い立場だろうな、とも感じてしまった恋愛成長途中の2人です…。

 五十嵐吾朗…吾朗「いっその事…とことんまで嫌われてみようか?どこまでなら許してくれるかなんて、もういい!二度と許して貰えないくらいに滅茶苦茶に抱きたい!」
大ちゃん「保健室の鍵、閉めとくから、1人で勝手にそこで悶えてろ!『許して』ほしかったら反省してろ!バカ!」

優しさだけで今のは「許せる」レベルじゃないだろう…とズボンと下着まで脱がされて、尻に指まで突っ込まれたにも関わらず「許して貰えた」顛末に私も頷けたものでした。普通だったら「最後までしなかったから良いだろう。」(心の準備ができていなかった相手の為に生殺しを我慢してあげた自分ってイイ奴。)ではなく、恋人でもないのに嫌がる相手を無理矢理組み敷いた犯罪者一歩手前の男(そもそも本当に誠実な男はレイプまがいの真似はしない。)を気持ち悪がって二度と目も合わせてくれないのが当然で、昔、爆発事故を起こして大ちゃんの眼を傷つけた(その時も彼は一言も責めずに相手を許した。)事といい、相手の大ちゃんは本当に優しい人だな、と実感もしたものでした。一応、根に好意はあった様子で↑の彼の行動も「(未来の)恋人の若さゆえの暴走」で許してあげちゃったらしいです…。

 鶴賀燎一…燎一「何、俺はこんなに必死になって南を探してたんだろう…。南にとったら俺が心配していようが、いまいが、どうでもいい事なのに…バカじゃないか?」
南「行っちゃ、ヤッ!残されんのヤダ!一緒に行くう!」
燎一「自分から離れてったくせに、置いてかれるのは嫌なんだ…。」

それでも「俺」を追いかけてきてくれたんだと思うと嬉しい…と「そんな程度」を喜んでいる辺りに(普段どんだけ報われていないんだか…は読んでいれば分かるわ。)、相手にとっての特別はお菓子(人間ですらない。)で、それ以上にすらなれない彼の不憫さ(他に気になる「男」がいないと言えば聞こえは良いが、「嫌い」じゃない代わりに「特別な好意も無い」ように聞こえて…あまり嬉しくはない。)に同情し、思わず涙が出たものでした。それでも可愛さは全てを凌駕するのか、兄(自分)を愛する美形な弟(ていうか同じ顔)が傍にいるにも関わらず、彼の本命は菓子以外眼中に無いような性格の南(高校生にもなった立派な十代後半の人間として、その性格もどうかと思う。最も当の「性格に似合う可愛さ(容姿)」が無いとさらに痛い人間になる(例・▲▲さん)ので、外身だけは「見れるレベル」で本当に良かったが。)だそうで、彼のこれからの(正しくは「これからも」)苦労が偲ばれたものでした…。

これ以上は無理です!

2010.01.04
 この話も「風紀の掟」や「紳士協定を結ぼう」に登場する高天原学園を舞台にした話で(最も、取りあえずこの話で「高天原学園周辺の話」は終了し、次回からは全く新しいボディガードの話が始まる訳ですが。)生徒達だけでなく管理人やガーデナーまでホモだったのか(それとも男子校って、そういう場所なの?)と思わず生暖かい目で読み進んでしまったものでした。他のBL話でもそうですが、フィクション上ではゲイはどんどん伝染していくものらしいです…。

 深山タケル…絢吾「タケルはうちで雇ってる執事の爺さんの孫だから、俺には逆らえないんだよな。友達なんかじゃないよ。」
タケル「ああ、そうか。こいつはずっと、そう思ってるんだ。絢吾が好きなのは『対等な友達』じゃなくて『従順な召使い』の俺なんだ。」

絢吾としては「周りに群がっている友達」(いくらでも代わりが効く人間)と同等の相手なんかではなく、「恋人候補」(未来形)という大切な人間のつもりだったらしいですが、↑のセリフを聞いてしまった日には、「悪気」が無くても、そりゃ「誤解」するよな(むしろ、専属奴隷発言としか取れない。)と、高校、大学と違う所に行かれて(要するにハッキリと距離を置かれた。)、その後いくら好きだと告白してもナンパ男の定例句としてスルーされ、キスやハグなどの愛の表現は全部セクハラ扱い、バラの花束をプレゼントしても迷惑がられるだけ(いや、男相手にバラの花束はどうかと思うけれど。)という、タケルの態度(心の閉ざし具合)に頷けてしまったものでした。(男相手に、こんな態度を返されながら、絢吾さんもよく諦めずにしつこく口説き続けられたもんだ…。)人間関係は受け手側の主観が大切、相手を下に見ていても不用意な発言は控えましょう(おかげで彼は7年以上も大きな代償を払わされてしまった。)という話でした。

 森山絢吾…「森山家の跡を継ぐのは麗花だ。…よくあるだろ、子供が出来なくて養子縁組。でも数年後には麗花が生まれたんだ。森山家の人には今まで通り家族だって言われたけど、無理なんだよな。恩があるから、できることは何でもするつもりだけど、跡目を奪うつもりは無い。」

けれど亡くなった実父母の遺産があるから金にも家にも困らないし、執事(タケル)も雇える(そりゃ、骨肉の争いを起こしてまで他の家の財産をぶんどろうとしなくても、何の不自由も無さそうだな。)というオチには、もう笑うしかありませんでした。最も祖父の跡を継いで「森山家の執事」になろうとしているタケルを知る絢吾さんとしては、将来森山家から独立する自分の所(別の家)に彼は来てくれないのではないかと偉く不安だった様子で自信は無かったらしいですが…人は見た目によらない、という良い実例(大体あの容姿と性格と経済力で、未だに彼女の1人も作った事が無い童貞だったって…嘘だろ?)だったのでしょうね、彼は。初恋を一途に追いかけ続けた以上に、その初恋の相手が男だった(そしてそれを成長の過程で訂正もせず突っ走り続けた)事に大いにツッコミを入れさせて貰った相手役でした…。

 安藤くん…安藤「カッコイイよなー、森山さん。男もOKだったら告ってみたいなー。」
絢吾「ちなみに安藤君が俺に言い寄るのって『麗花の婿養子』狙いだぞ。ここの生徒は一癖も二癖もある奴が多いんだから。」

「将を射んとせば、まず馬を射よ」(兄貴の方に先に気に入られておけば、本命の妹にも紹介して貰いやすくなるだろう。)という作戦だったのか、すっかり「ミーハーなファン」の様子を見せている彼でしたが、当の兄貴が「男からの告白」を嬉しいと思うかキモいと思うかはかなり微妙な問題であり、それは婿養子狙いの作戦として有効なのか、色々悩んでしまったものでした。(「俺に言い寄ってくる気持ちの悪い男と、誰が家族になりたいと思うか!」と決定的に疎遠にされる事もありうると思うが…。)ともあれ元々「花婿候補になりそうな生徒」の1人ではあったものの、性格に難あり(その明るい性格が裏表のある仮面の一つに過ぎないとは、同じ男としてどうかと思う。)で脱落してしまったのか、猫居くんのようにタケルに「目をつけられる」事も無く終わった様子です…。

 猫居樹…猫居「管理人さん、前に俺の事かっこいいって言ってくれましたよね。それって、男同士としてでもですか?俺に告白されたり、キスされてもいいとか思いますか?」
タケル「こ、好みの問題だから!」
猫居「でも俺の好きな安藤も森山さんの方が…。」
タケル「え?絢吾さんの身代りになれるかどうか試す為に俺を押し倒したの!?」

おかげでタケルは恋人の絢吾さん(男)にその場面を目撃されて、あらぬ誤解を招いているし(オマケにその日は当の恋人の誕生日という最悪なタイミング…。それで「浮気の現場」を見られたって…。)全く関係無い、好意すら持っていない他人相手にいい迷惑な相談の仕方だな、と呆れると同時に、そんなにも(間違った方向にトチ狂うほどに)思い悩むほど彼を好きなら、他人を「練習台」や「身代り」に利用してないで、潔く告って散ってこい!(散るんすか!)と思わずツッコミを入れてしまったものでした。という訳で、またしても不発に終わってしまった「麗花お嬢様の花婿」候補(ゲイでは女性と結婚はしないだろうし、結婚できた所で相手の女性はカモフラージュに過ぎない存在だろう。)ですが、内気なだけで目的の為なら他人を性奴隷に使おうとする男(タケルがOKしたら手を出していた。)なんてロクなものではないし、脱落させて正解だとも思えた男子生徒でした…。

アトンの娘ーツタンカーメンの妻の物語ー

2010.01.03
 作中出てくる4人の王の名(アクナトン王、セメンクカラー王、ツタンカーメン王、アイ王…って「彼女」が存命時の王様全部じゃないですか!)はその後作られた歴代の王の名を記したレリーフからすっぽり消えています。(つまり歴史からの抹消…よっぽど神官勢力にとって都合の悪い王だったのだろう。)この話で出てくる「魔除けの青いアイシャドー」(人型棺にもご丁寧に描いてくれていたのです。)はこの時代特有のもので、それで時代が特定できたそうです。

 アクナトン王(アトンのお気に入り)…紀元前1353年エジプト新王国時代第18王朝の王にして元アメンホテプ4世。宗教改革の為に神像の破壊、神官の殺害etc.…と様々なことをやってしまっていたので(今さら娘の名前を神官勢力縁の神の名にした所でなだめられるレベルではない。)当然のごとく神官達からは嫌われていました。神官勢力と協調しようと派遣させたセメンクカラー王はアメン神派と見せかけたアトン信者だし(そこで「我々をなめてんのか!」と神官たちの逆鱗に触れても仕方ない状況を作ってしまってもいる。)妥協案を進めるには全ては遅すぎたということに気づいていない辺りがこの人の限界でもあった…ようにも感じます。(走り出したら止まってはいけない。自分の理想を押し付けつつ全ての人に好かれたいというのはちょっと考え方が甘いのである。)自分の体を差し出してまで政治に身を捧げたのは(セメンクカラーとの関係において…特にこの話ではあんなに積極的だったのに「受」だったのには驚きました。)ある意味立派でしたが、誰に嫌われても信念を押し通すという覚悟は足りなかった(革命の立役者がそんなではいけないのである。)とも取れ、病気も含め心も体も苦しかったのは分かるのだけれど、改革者としては甘い人物だった…と思わざるも得ない…です。(いや、人としては好きなんですが。王としてではなく1個人としては好きなんですが…。)

 ネフェルティティ(やってきた美しい人)…ミタンニ王女タドゥケパ。アクナトン王の王妃・共同為政者にして「偉大なる王妃」。1神教を貫き、信念を元に強く生き抜いた(いや、流行病で死んだんだけど。)のは立派でしたが、人の情に冷たすぎてカリスマ性には欠けてしまったようにも思えました。(自身も不倫してたし、側室でもなんでも後継ぎさえ作れればOKという考えに抵抗はないでしょうが、13歳の純情無垢な娘はそんな「大人の考え」にはついて行けようはずもない。彫刻師トトメスetc.の愛人達も使い捨て扱いだし、人を思い遣る点において決定的に配慮に欠けてたよね、この人…。)この人がもっとしっかり娘の気持ちを繋ぎ止めておけば宗教改革が後退することも(その後結局娘はアトン信仰に走ったのだし。)アケト・アトン(アトンの地平)の都で1人寂しく死ぬことも無かったのに…と思うと複雑な気持ちになります。(で、でも死んだ後の話でも最終的には娘はその唯一絶対神を信じる考え方を分かって受け継いでくれたんだし良かったよね…ね。)

 ツタンカーメン王(アメンの生けるしるしor完全なる生はアメンなり)…
ルウ「早く大人の男にならなきゃ!」
セダ「だからって翌日に他の女とヤルのは早すぎだから!」
…正直、側室ムトネジメとのあんなシーンを目撃されて何の気まずさも感じていないルウには度肝を抜かされました。(解釈の1つとはいえ凄い男だ、ルウ…ゲフッ!)
彼が即位してから物語の舞台は旧首都ヴェセート(ギリシア名テーベ。現在のルクソール。)に移りました。アメン神官団の真っ只中です。(危ないなあ。)
彼は数ある王家の墓の中で唯一盗掘を受けてなかった墓の持ち主です。(正確には盗掘して穴を塞いだ跡はあったのだが、穴が小さすぎてほとんどの物が手つかずで残っていた。こんな子供の王様の墓でさえ黄金マスク以下様々な財宝が眠っていたのだから他の墓はもっと凄かったんだろうと推測されています。)「王の眠り妨げる者、死の翼触れるべし」という文句の元に発掘者が不審死を遂げたことでも有名です。(昔、怖い本で読んだ記憶が…。)死因は暗殺撲殺。ミイラに頭蓋骨破損の跡があったらしい。)説が有力(…とはいえあんな派手なシーンになるとは思ってませんでした。最後の毒ワイン追加のシーンも怖かったです。)な少年王です。(この人はセメンクカラー王の死因について学習すべきでした…ゴフッ!)しかし、子供ゆえに不勉強な所や単純で1度決めたら突き進んでしまう面も目立ち、王としてはまだまだアンバランスで未成熟な人物だった(とはいえ将来性に脅威を感じられ殺されてしまうんですが。)というように感じました。(いや、11歳で即位してここまでやったんだから立派というべきでしょうね。)早すぎる死さえなければエジプトの歴史は大きく変わっていたことでしょうね。

 アンケセナーメン妃(アメンによって生きるもの)…発見された彼女の墓(ツタンカーメン王と共に埋葬されていた2児の棺とそっくり同じサイズの空の人型棺があったことから彼女の墓だと推定された。)では人型棺は真っ黒に塗り潰されており(悪意を感じる。エジプトの来世観からいうと彼女の魂は身体に還れずにさまよってしまうことになる。)棺の中にはミイラの代わりに石が詰め込まれていました。(遺体…すり替えて打ち捨てられたのか!?)この事実から推察するとこの話の終わり方の「死んだ後も彼女は悩み続けている」という描き方もあながち間違いとはいえない(か、悲しい…。)と考えると複雑な気持ちになります。神官勢力からいえば(王の名レリーフ削除の件も示してるように)これまで通りの腐敗政治を続けていくに当たって最大の邪魔者(この人が王妃でなければ、単純なツタンカーメン王はアトン信仰復活に走らなかったかもしれない。)に間違いなかったでしょう。(が、ここまでするのはやりすぎな気がする…。)改名して期待を持たせておきながら最後までアメン信仰が独走しないように手を尽くしてきた彼女は許しがたい存在だった…のは分かるんですが、それというのも腐敗政治を正す為に頑張っただけで、夫まで殺しておきながらここまでするのは酷い(状況から察して、誰がやったのであろうとその人はアメン信者に間違いないと思う。)とNHKの特番(特番かよ!)を見た後とても悲しくなりました。アメン神の都もいつしか朽ち果てたというのがささやかな救いです。

ベルセルク27~34

2010.01.02
 最新刊(34巻)を読んで「ガッツ、2ページだけかよ!」(主人公としてそれでいいのか!)と思わずツッコミを入れてしまった話。最近話の流れが平坦になってきて(友達は以前あったドキドキ感が薄れたと語る。)挙句に続きが出るのも遅くなって正直私も「…。」とは思っていたのですが、久々の最新刊に(それでも刊行されてから4か月以上存在を忘れていた…ゲフッ!)懐かしさも相まって最新刊までの「鷹都(ファルコニア)の章」(ちょうどトロールに襲われた村が解決した辺りからです。…あれで本当に解決したのかは疑問ですが。)をまとめてみました。
そして、まとめてみて改めてストーリー進行の遅さを実感した私でもありました…ガフッ!(まさか8冊も話が続いていたとは…。)

 ソーニャ…鷹の巫女。というと聞こえがいいですが、念話(と、霊視?)しか能がないように見えるのは私だけでしょうか?(ガッツ側にいるシールケに親近感を感じてましたが、それ以前の問題として格が違いすぎるような…。)何の修行もしてない所を見ると(インスタントヒーロー…。)その才能は天性の物だったのでしょうが、何故開眼したのかは謎のままです。最新刊では「人か魔物かじゃなくてグリフィスを信じて戦うかどうかが大切なことでしょう!」と美しいことをほざいていましたが、私は人としても魔物としても(旧・鷹の団の団員にしたことを考えると)グリフィスはどうしても信用できないので、彼女の言葉にも嘘臭さを感じただけで終わってしまいました。敵に突撃するのは良しとして、味方のお守りがないと進んで行けないのもどうかと思います。(狩人さんもいい迷惑だったろう…ゴフッ!)
「愚かァ!」の読み方が「バカァ!」ということにはしばらく気が付きませんでした。(よく見ると「愚」の文字の中にちゃんと「バ」というカタカナが入っている。)

 グリフィス…転生前の「計算して王位を手にする大変な立場」と違い、シャルロット姫と婚約したことで(2人の再開→ベッドごとの奪還…が、やたらドラマチックで逆に胡散臭さを感じてしまうのは私だけ…?)「王位を約束された立場」として恵まれた立ち位置から再スタートを切っている(ほとんど出来レース状態。)悪魔。いや、旧・鷹の団の皆にしたことを思うと悪魔以下の最低野郎のような気さえします。(テレジアの父ちゃんや妖精のロシーヌなど、やけっぱちになって残虐非道なことをしてる使徒の方が…まだ、人間味を感じるのですが、私的に。)ファンタジアを召喚する為(だけ)にガニシュカ大帝を生かしていた(そしておそらくは彼が再び転生を繰り返すのも計算の内だった。)のも冷たさを感じて引いてしまいました。(光に包み込まれて安らいでいた所を斬るって…酷過ぎないか!?)味方のソーニャが敵に突進してまで皆の士気を上げているのに、傍観してるだけで助けようとさえしてません。)皆が盛り上がった所を見て指示を出す(おいしい所を持って行っている。)のも「…。」と思いました。いざとなれば味方さえ平気で利用する、冷血で利己主義な所は全然変わってないみたいです、この人。(ただ、相変わらず「計算」が上手いので、それでも心酔する人は多いようですが…騙されないでよ、皆。)

 ガニシュカ大帝…異空間を繋げる為だけに生かされていた使徒。(それだけの人生って…。)今までのストーリーを振り返って見ると異空間を繋げる為の手段を最大限活用した事が分かります。
呼び水の剣…髑髏の騎士が使徒から取り上げたベヘリット(異空間を開く唯一の道具)を体内で剣に生成し(貴方の体内はどうなっているんですか?)強制的に異空間を開くことを可能にした剣。トロール編でもこれで空間を切り裂いてガッツ達を外に連れ出してくれました。
使徒の死亡…ベヘリット要らずで異空間を開くもう一つの方法。(ということは、やっぱりガニシュカ大帝は死んでしまったのだろう。)テレジアの父ちゃんの伯爵やワイアルド団長が死んだ時も描かれていましたが自動的に異空間が開かれ、亡者が魂を地獄に引き摺りこみます。
この2つの要素をWで使った事により、今までにない画期的な世界の同化が達成できたのでしょう。(やりすぎてしまった感を感じるのは私だけでしょうか…?)よりファンタジーに傾いてしまって、これからどう現実に向けて納めていくのか心配だったりもします…ゲフッ!
では本人について、珍しくゴッドハンドに背く使徒です。毒をトラウマに可哀想な人生を歩んできた…とはいえ、よくありがちな話ですよね、この手の話。親子の謀略の運命に翻弄され、転生した後でもグリフィスの策略の元に運命に踊らされている哀れな王様です。何の交流もなかった息子が「生贄」として有効なのには驚きでしたが(息子は「契約の代償」として魔物に喰われただけで父親の手で殺されたわけではないのです。まあ、ほとんど父親が殺したようなものですが…。)誰も信じられず、実の息子や母親にまで裏切られて「覇王となる」ことにしか寄る辺がなかった彼の孤独が哀れでした。(まあ、それはそれとして黒一色はやめて、トーンがかかったままでもいいから彼の人間時の風貌&家族をもっとしっかり見てみたかったです。装飾品も豪華だし、絶対奇麗だったろうに…。)ところで、この野郎は妻も子もいるくせにシャルロット姫を押し倒していたんですね…。(未遂でしたが。)

 ガッツ…最近甲冑に頼り過ぎている感がある狂戦士。シールケがいないと自分を取り戻せないんだから独走するのは(味方も)危険だと思うのですが…ゲフッ!髑髏の戦死(かつての甲冑所有者)によると色盲味覚障害などの困った症状まで出る(そして既にガッツも自覚してる症状らしい。)そうなので控えてほしい所です。
「百人斬りのガッツ」として名を馳せたはずなのにファルネーゼ兄妹(貴族)にもロデリック船長(貴族)にもその名が聞こえていない(グリフィスの名声で霞んでしまったんだろうか?)哀れな元・切り込み隊長。(もし、ちゃんと彼のことを知っていたならば、妖精編以降、彼を捕縛する為の対応はもっと慎重に行われていただろう。)甲冑をつけての戦いぶりが痛くて堪らなかったので(そういえば、あの時に出てきたキャスカ似の少年は一体何者だったのだろうか?個人的にはトロールの腸で肉体を成したゴッドハンドのように、その辺の死体を体に借りた彼の息子の魂だと…いいなあ。)とりあえず脱げた(傷が一段落する程には回復した。)ことに安心しました。疲労と年のせいもあって白髪も出てきた(どう好意的に計算しても30歳は超えてる…よね?)ので、あんまり無理はしないでほしいです…が、最新刊のように出番が2ページしかないのも正直止めてほしいと思いました…ガフッ!
余談ですが、実は結構な色男でモテモテなのにそれに全く気づいていないのも彼らしいです。(シールケ、ファルネーゼはもちろん、1巻で出てきた馬車に乗ってた娘のコレットにまで慕われている。番外編ではフリッカという食用にされかかった娘にまで思われていた。昔の話にはなるがグリフィスに心酔していたはずのキャスカとも合意の上で関係している。…ここまでほとんどの女性キャラと恋愛面で縁があるのも凄いと思います…ゲフッ!)

 シールケ…ガッツ側にいる魔女。鷹の巫女のソーニャよりは実力がありますが、それでも実はガニシュカ大帝の部下のダイバ(呪文を唱える時間を食うシールケと違い、魔法武具のように即刻発動で強力な竜巻や水流を起こしている。)よりは格下と思わざるを得ない魔法使いです。最初は野蛮だ何だ文句を言っていたのにいつの間にやらガッツに惚れてしまった(でも眼中にも入っていない。)少女。「炎の車輪」など精霊を使った魔術が見事過ぎて(フォローさえあれば召喚条件もたやすくクリアできる上、破壊力が凄すぎて下手したら使徒でさえ一掃できそうな威力を持っている。)反則技に見えるのは私だけではない、はず、です。(おかげで助かってはいるのですが。)最近ではファルネーゼに魔術を教え始めたり、念話しか能のないソーニャに会ったり、徐々に同類が増えてきました。

 ファルネーゼ…性格が激変した貴族のお嬢様。(やはり前の破壊的なサド性格では人気が出なかったのだろう。禁句ですが。)キャスカの乳母だけではやっていけないと自覚したのか魔法使い見習いとして妥当な転身を図っている最中です。(しかし「棘の鞭」という魔法道具を操ったり、幽体離脱に成功している辺り少なくともソーニャよりはレベルが上と見ていいだろう。)個人的には兄貴のセルピコとの仲をあれだけ魅せてくれておきながら、あんな体育会系の船長との恋仲など考えられないのですが(ガッツにも完全片思いながら未練はあるようですし。)最終的には誰と結ばれるのか興味深い所です。(しかし万一それがガッツなら、せめてキャスカが正気に戻った後で存分に決着をつけてからでお願いしたいです。)母親との兼ね合いが個人的に気に入って彼女の成長を感じました。(でも「この世では居場所を見つけられない性格」って言うのは酷いと思うの…。)しかし、目的地(エルフヘルム)に着いた後、彼女は一体どうするつもりなのでしょうか?

 アザン…聖鉄鎖騎士団存命時(断罪の塔事件をきっかけに騎士団は崩壊したらしい。)の副長。(ちなみに団長はファルネーゼだった。)何故だかガッツ達の乗っている船に(寝こけているうちに出航されたせいで)同乗しています。(さすがに恥ずかしいのか「髭黒の騎士」として兜かぶって正体を隠してましたがバレバレでセルピコに呼び止められてました。)責任を取らされて副長を解任されたのか、聖職を破門されたのか、ともかく今現在彼の仕事は無いようでイシドロに剣の稽古をしたり、のほほんと過ごしているのがほほえましかったです。(ヒマなんだねえ、他にやることないんだねえ…ゴフッ!)

 余談…読み返してみて改めてソーニャがいらないキャラに思えて仕方ない(魔法使い系としてはファルネーゼにさえ劣るし、グリフィスがらみの恋愛関係ではキャスカ程の存在感さえ無いし、どの要素を取っても「中途半端感」が拭えないんです。)私だったりするんですが…ガフッ!

ベルセルク22~26

2010.01.01
 久々に読み返してみました。「千年帝国の鷹」(ミレニアム・ファルコン)の聖魔戦記の章です。(というより断罪の塔編終了後~トロール編終了までといった方がピンとくるでしょう。)この辺りからファンタジーかつリアルという今までの世界観が壊れ始めて魔法重視の世界に行ってしまってます。(エロス要素が薄くなって立ち読みしやすくはなったんだけど色々変わり果ててしまったね、と友達と語らってました。)ゲーム版の話はこの頃の番外編のようで(友達情報。最近中古で買ったんだそうな。)シールケがガッツの潜在意識の中に入ったとき今までの回想(というよりキャスカのあんなシーン…。子供にそんなのを見せていいのだろうか?)が小さく見えたそうです。(きっと原作読んでない人には今までのあらすじはよく分かんないでしょうね。)

 ガッツ…「最後にキャスカが微笑ったのはいつだった?」と悩んでいましたがそもそも再会以来笑ったことあったっけ?(再会当時は危うく火焙りの刑に処される所で笑うどころではなく、今も亡霊との連戦でそんな場合ではない。むしろ笑っていたら怖いのですが…ガフッ!)とガッツの回想(妄想?)に疑問を覚えてしまった私でもありました。グリフィス一人に復讐心を燃やしているのかと思いきやスランとのやりとり(断罪の塔編終了まで現世では姿が見えるだけのぼんやりした存在だったので意識を持って話せ、動けることに驚きました。でも腸からキスされても男は嬉しくないでしょうね…ゴフッ!)で傍観者も加害者とみなして恨んでいることを発見し、彼の復讐は長くなりそうだと改めて感じました。今回パーティのキャラ全員に魔法武器が配られましたが、シールケの霊視によるとドラゴン殺しにもなにがしかの気が宿っているようです。使徒の殺し過ぎで怨念が宿ってしまったのか、鍛冶屋ゴドーの霊が守護についているのか、どっちにしろちょっと嫌だなあと思ってしまった覚えがあります。

 キャスカ…犬を思わせる夢魔から「キャスカはグリフィスへの復讐心を繋ぎ止める為のいわば生贄でガッツにとっても道具でしかない。」(そして「過去」の片鱗さえ持たない今の彼女は共に戦ったかつての戦友ではなく、抜け殻でしかない。)みたいなことを言われて憔悴していたガッツが痛かったです。ガッツのキャスカを思う気持ちというのはグリフィスがらみの罪悪感なしでは成立しないのかと(いや、今のキャスカじゃ無理なからぬ状況ではあるのだけれど…。)ひたすら人としての価値が薄くなっていく彼女が悲しくなった話でもありました。今回通りすがりの盗賊に先を越された挙句(いつも貞操を守ってくれた息子はもういません…ゲフッ!)ガッツにまで押し倒され(愛ゆえというより、守ってきたものを奪われたことでの自暴自棄。そんなやけくその行為は女として嬉しくないとショックを受けました。)いくら人格を失ってるとはいえそこまで道具扱いさせるかと無常を感じた話でもあります。ガッツの場合はキス止まりで秘かにホッとしたものの(そういう問題じゃないしな…ゴフッ!)涙を流して諦めの表情を浮かべていたキャスカが道具感漂わせて(しかもWで利用される所だった。)ひたすら痛かったです。ガッツの気持も分かりますが、そんな扱い(襲われたことよりも「道具扱い」されたことが不信の決定的な理由ではなかろうか?)を受けたキャスカが彼に不信感を抱くのも仕方ない展開だと、遠くなる2人の関係に納得を感じながらも物凄く切なかったことを覚えています。今回とうとうファルネーゼという乳母(乳母じゃありません!)が付きましたがそれももうガッツの手には負えないという決定的な意思表示にも見えてひたすら痛い展開でした…ゲッフン!

 セルピコ…今回ファルネーゼと並んで過去が明らかになったお兄ちゃん。行き倒れてしかし母親(風貌がメチャクチャ怖い。セルピコは父親似か…と思いきやその後出てきた父親にも似ていない。誰に似たんだ?)と暮らす現実にも諦観を持ちそのまま死を受け入れようとした所でロン毛の天然パーマに助けられました。(どっかの剣士さんのパターンにそっくりだね~。)そして助けてくれたロン毛は言います「だからお前は私のものですからね。」(どっかで聞いたことあるセリフだな~。)挙句にそのロン毛から歪んだ愛情を向けられる所まで(男同士か兄妹かという違いだけで。)どっかの誰かさんとそっくりではないですか!(キャスカ役がいなくて良かったね、ファルネーちゃん。)しかしその後色々な意味で変わってしまった妹と違って彼はまだ過去を引きずりながら迷っているんでしょうね。(やっぱり、そっくり…。)自分以外の者に目を向けだんだん離れていく妹を見る彼が切ない反面、今までに魅せられてしまったせいで、もうファルネーゼの相手は彼以外考えられない私でもあったりします…ゴフッ!
そういえば、その手で親を殺したことまで同じなんですね…。

 ファルネーゼ…髪形を変更したついでに性格も激変した(!)元サド女。いい年して2つ結びはどうかと常々思っていたのでその変化は好ましかったです。キャスカという幼児(幼児じゃありません!)との関わりを経て性格も丸くなって(というより今までグレていただけなのでしょう。)新しい恋までしたせいで最近輝いています。(元々セルピコがタイプだったのだから似た境遇で育ったガッツだってストライクゾーンど真ん中だったの…でしょう。納得はいきませんが。)今回トロールの出産シーン(しかし子供は奇形児というか全滅している。トロールにはメスがいないのか、メスが不細工すぎて相手にされてないのか、どっちでしょうね?メスがいたとしたら腹いせに村、襲ってたりしてな…ゲフッ!)を見て思わず叫んでますが、気絶せずにナイフを振り回してる辺り(これだから素人は怖いのです…。)成長を感じました。(今までのパターンだとブツブツ独り言を言ってうずくまってお終い。腕はともかく精神的に強くなってます。)これからも保育頑張って下さい!(違うから!)

 シールケ…真面目一本筋の魔女の弟子。弟子の割に無茶苦茶強力(過ぎる)魔法が使え今更何を師匠から教わる必要があるのか疑問に思ってしまった少女でもあります。(既に免許皆伝に近い攻撃力を持ってるのだから魔女の館にいた所でもう3時のお茶以外やることはないのでは?)いったい何歳なのか(何十年も変わってない師匠を見てると、彼女もまた年齢不詳かもしれない。)実の親はどうしたのか(師匠とは血縁関係なさそうだし…。)謎の尽きない彼女ではありますが、そんなのはスルーされて物語は進みます。(いいのか、それで…。)魔女の館から外に出て以来、村の子供達に服の事で石を投げられたり、ガッツに言い負かされたり、イシドロに帽子を汚されたりいろいろ苦労をしてますが、大人になってからそんな目に合って挫折するよりは今のうちに経験して強くなっていた方がいいので、保護者もいることだし頑張れ、とエールを送ってました。(ところで、他の皆もそうですが着替えはしないんでしょうか?洗濯してるにしても乾くまで全裸で待つことになりますよね?どうしてるんでしょう?)でもいくらなんでも女人とも交わってるトロールに関わらせたり、ガッツの(そんなシーンもある)過去を垣間見たりは子供にはまだ早過ぎるような気がするのですが…ゴフッ!
個人的には魔女の館にいたゴーレムが一般的な物とは違っていた(胸にある人形がコアでそれを破壊することで壊れていましたが、本式は確か体内にある「EMETH」の文字を切って「METH」(死)にすることで初めて破壊が可能…と地獄先生ぬ~○~でやっていたので間違いない…はず。)のも気になりました。(精霊の名前も「サラマンデル」「シルフェ」など微妙に違うし、我々の世界のものとはまた違ったオリジナル設定なのだろうか?)弱点を見破られた後ガッツ達にザクザク斬られていたのに、その後の使徒(グリフィスの部下)の攻撃の大砲を受け止められたのも不思議で(ガッツ達との戦いを参考に強化したのだろうか?)「…アレ?」と思った私でもありました。

 ソーニャ…「他の人と違うって大変だよね。」と苦労を悟りきったように語ってますが(その実何の苦労もしてないだろ、お前は。)彼女だけでなく誰だって違う人間なんです。そこから他の人に合わせたり、面倒臭くても協力したりと苦労を重ねることで関係を築いていくのが人間であって、彼女のように「私は他の人とは違うのよ。」とあぐらをかいて上から見下すのは間違った姿だと思うのですが…。(見せしめに吊るされていた死体達の霊魂の痛みを他の誰よりも理解していながら放置していたのも人として冷たい気がする。分かっている分余計に残酷な女だ。)今まで一人ぼっちで(それは君がそういう態度で周りの人を区別してたからだよ。)唯一の理解者になった鷹(グリフィス)は恋人が出来て自分から離れかけている(というより自分だけが特別だった場所に人が増えたのが面白くない。そもそもグリフィスは今まで通り分け隔てなく接している…というよりどっちにも等しく興味無いので別に何が変わるわけでもないのだ。)事を嘆いていますがそれも自業自得(第一、最初から相手に合わせてもらうことばかり考えて自分から努力しようとしてない姿勢が間違ってるのだ。)に思え、同情はできませんでした。相手に特別に思われたかったらまず自分が相手の為に特別の苦労をすることから始めるべき(インスタントヒーロー的能力とは別の部分でね。)だと思うのでやきもち以前の問題として生き方が間違っているように感じました。やっぱりこの子はいらないキャラ(いなくてもグリフィス達の実力なら強行突破は充分可能だろう。)に思えてならないです…ガフッ!

 リッケルト…最近ジュドーと髪形が被ってきた(禁句)鷹の団の数少ない生き残り。(にして烙印を刻まれなかった滅茶苦茶運の良いレアな男。)今回初めて「蝕」で何があったかを知らされ(今まで何の訳も知らなかったのに「ハイ、そうですか。」とキャスカのお守りをしていたのもどうかと思いますが…。ガッツ旅立ちの前に「ちょっと待てや、コラァ!」とツッコミを入れて理由位聞き出しなよ、リッケルト…ゴフッ!)大ショックを受けてますが、それでもグリフィスを憎めない辺りがこの人のお坊ちゃんたるゆえんです。(いい人すぎるので他人に対しての悪意など持てないのでしょう。解説書では「貧乏貴族の末っ子」と予測されてましたし。)スピーディーに保護者を亡くしたエリカ(ガッツが断罪の塔に行って帰ってきたらもう死んでいたって早過ぎませんか、ゴドーの親方…。)のこともあってガッツのパーティーには加わらずじまいでしたが、加わったところで戦力にはならなそう(せいぜいガッツの剣のメンテナンス係がいいとこ。)なので、これはこれで納得しました。最後はエリカと平和な人里へと旅立ってましたが、もう彼の出番はないのでしょうか…?
 
 余談…今回グリフィスの元に出来レースのように次々と部下が集まっていますが、その中の一人、ラクシャス(暗殺集団…というよりびっくり人間ショーに近いバーキラカの元一員。不気味な仮面全身を覆う黒マントがポイントです。)を見るたびに某宮崎映画「千と○尋の神隠し」のカオナシを連想してしまうのは私だけでしょうか…?
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