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聖徳太子①~飛鳥川の貴公子~

2010.09.30
 古代日本が舞台なのに「若き英邁なプリンス」だの「強力なライバル」だの「同じセリフ」だの「イエスかノーか」だの当時の人達が絶対に使わない外来語が頻繁に出てきて(もはや「この時代の人々は関西風古語を話しているはずなのに何故標準語で喋っているのか?」というレベルではない。)正直戸惑ってしまった漫画化作品です。(カタカナがひらがなとほぼ同時期に漢字から派生したのは知ってますが、万葉仮名という漢字が定着したのも7世紀頃で推古元年=西暦593年のこの時代には絶対に使われていません。)歴史物を描くなら時代の流れだけでなく時代背景(言葉使いなんて基本中の基本ですよ、池田先生!)もきちんと押さえて欲しいと思わず涙した、そんな「時代の雰囲気を所々で削いでしまっている作品」でした…ゲフッ!(思わずダメ大河ドラマ「江」を連想しちゃいましたよ…ゴフッ!)

 厩戸皇子(聖徳太子)…馬小屋(厩)の前を通りかかった時に産気づいて産まれた(何で高貴な皇女が逃亡中でもないのにそんな所を歩いているんですか?)から厩戸皇子と名付けられた…とありますが、これは聖書(イエスキリスト誕生)のパクリでしょうね。(母親が救世観音が口に飛び込む夢を見て身籠ったというのは釈迦のエピソードである。)日本書紀など彼が出てくる参考文献は彼の死後100年近くたってから編纂された物なので色々な逸話を元にした誇張も多かった様子です。実際には母親が母方の実家である蘇我小姉君の家(すなわち叔父の蘇我馬子の家)に帰って産んだことから蘇我馬子→厩戸皇子と名付けられた様子です。(息子が秦河勝の山背の実家から後見を受けた事で山背皇子と名付けられたように名前は場所や後見人にちなんで決められることが多かったらしい。「この子のバックにはこの人がいる」という分かりやすいアピールにもなったのでしょう。)という訳で間違いなく昔の人が編纂した「史実」とされてはいますが、信じてはいけません。

 日羅…日系百済人の高官武将(達率)。50年前に父親が百済に渡り、さあ帰ろうという時に日本⇔百済の関係が悪化した為に放置され今になって百済の軍事機密を聞き出す為だけに無理矢理帰国させられたどこまでも日本の勝手で翻弄されている悲しい人です。「いい加減にしろよ!お前ら!」と普通に怒ってしまった為に国に抹殺されてしまいました。(利用できそうもない人に用は無い、とはいえ…。)小野妹子に生まれ変わったのは夢見過ぎの展開でフィクションに過ぎない(その後精神を飛ばして超能力で厩戸皇子を救う辺り…池田先生は史実を描きたいんだかファンタジーを描きたいんだか分かりません。)ので、これもまた信じてはいけません。

 善信尼(嶋)…帰化人・司馬達等の娘にして日本史上における初めての出家者。彼女が10歳位で出家したのは本当ですが蘇我馬子が邸宅内に仏像を請来した時には既に出家した後であり弟子達(恵信尼、禅蔵尼)と共に斎会を行っただけでした。(出家したのは別に馬子の策略に体良く流されたのではなく自分の意志だったようです。)海石榴市(つばいち)では全裸にされて鞭打ちにされた(尻だけ、などという生易しい状況では済んでませんでした…。)のに信仰を捨てず百済にも渡った信念の人で、そこまで信心に生きた人に何故秦河勝との捏造恋愛エピソードをわざわざ盛り込んだのか池田先生の描いた展開の理解に苦しんでしまいました…ゲフッ!(信仰に生きた尼僧が男相手に頬染めたりしてるのはかなり微妙に見え、子供まで産んだ秦河勝の奥さんにも失礼ではないかと思ってしまいました。そもそも善信尼の関連事項に秦河勝のはの字も出てこないんですけど…?)

 三輪君逆…額田部皇女「私が秘かに心を寄せている三輪君まで…。」

だから変なエピソードを捏造しないで下さい、池田先生!とツッコミを入れてしまいました。額田部皇女が夫の喪も明けていないうちに他の男にときめいている様にはかなり不自然なものを感じて(自分で「私は殯中の大后ですよ!」とか言ってませんでしたか…?)微妙に思ってしまったものです。確かに彼が穴穂部皇子から額田部皇女を守った(犯そうと宮の中に入ろうとした所を7度命令されても扉を開けなかった。)のは事実ですが、額田部皇女・蘇我馬子が彼の死に怒ったのは別に恋愛絡みの事情ではなく「夫(敏達天皇)が内外の事を悉く任せていた寵臣を殺されたから。」という至極まっとうな理由でした。何も争乱に悉く恋情絡みの話を入れなくてもいいと思うのですが…ね。(1巻の時点で史実からかなり遠くありませんか、この話 …?)
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聖徳太子②~争乱から決戦へ~

2010.09.29
 相も変わらずカタカナオンパレード(「英語表現」以前の問題としてカタカナですらこの時代まだ存在しないんだってば!)の漫画化作品にも関わらず池田先生自身は同じく聖徳太子を漫画化した「日出処太子」(山岸先生)を散々にこきおろして「自分の作品が史実であり一流」とのたまっていたそうです…。(特に聖徳太子×毛人の霊的恋愛に関して。「霊的」とついた部分で史実にないオリジナル表現と分かるのだから、それで鬼の首を取ったように勝ち誇る必要はない気がするのですが…。)時代考証的に絶対にあり得ない言葉使い(セリフ)を羅列してよくそんなことが言えるな、と再度ビックリしてしまいました…ゲフッ!(池田先生のエピソードにしたって秦河勝×善心尼、額田部皇女×三輪君逆など史実から遠い話が盛り沢山なんですけど…「ありえない恋愛話を描いた」点でいえばアンタに言われたくはないんじゃないかとツッコミを入れてしまいました…ゴフッ!)

 穴穂部皇子…大勢が今やどっちにあるかを察して守屋達廃仏派を見限って崇仏派に寝返ったというのにそうコロコロ意見を変えるような人間を信用なんぞできるか!(ごもっともです、馬子どの。)と宅部王子共々殺されてしまいました。臣下としては大人しく神輿の上で飾り物になってくれない大王候補(臣下の思う通りに動いてくれず自分で政治をしようとする大王。後醍醐天皇といい、こういう飾り物になれない天皇は残念ながら長く続かない。)なんて疎ましいだけで、いずれ厄介者として殺されてしまう運命は性格上決まっていたのかもしれません。この人も蘇我の血を引く血族なのに(本当だったら馬子は親戚として味方になってくれるはずの人物なのに。)思えば悲しい皇子です…。

 用明天皇(橘豊日大王)…聖徳太子のパパとして知られる天皇。流行病の天然痘にかかったという設定の割には顔にも体にも赤い斑点が見られないんですけど…。(これは生き延びても一生あばたとして残ってしまう天然痘の代表的な症状である。かの藤原4兄弟が全滅したことでも有名なこの病気は仏教伝来と同時期に大陸から伝わってしまったらしい。)史実を描いているつもりなら病状位ちゃんと調べて下さい、池田先生とツッコミを入れてしまったものでした。仏教信奉を公のものにしたり(仏・法・僧の三宝に帰依した。)地味に歴史を動かした大王なのですが在位が短かったせいか(息子の聖徳太子の方がインパクトが強いせいか)あまり目立っていない大王です…ゲフッ!

 物部大連守屋…馬子妻「兄・物部守屋をお討ち下さいませ。私はあなた様の妻という蘇我の女ですから平気です。」

実の妹(馬子の第1夫人。)にさえ裏切られ(ちなみにそれまでプッシュしてきた穴穂部皇子には見限られた上に馬子に殺されてしまった。)最後は擁立していた彦人皇子の舎人に射殺されてしまったというどこまでも裏切られ過ぎて死んでいった最期には敵ながらどうしようもなく哀れに思えて同情してしまいました。色々な人間が腹に一物を抱えていた陰謀溢れる時代だったとはいえここまで酷い死に様にしなくても普通に戦死扱いで良かったと思うのですが…。

 捕鳥部万…「誰か聞かせてくれ…!何故我々が朝敵として殺されなければならぬのだ…?」

戦というのは所詮「勝てば官軍」ですから…。(負けた側に理があろうと勝った方が自分達の都合の為に「正規軍」となるのだ。)物部守屋の部下として「負けて」しまったことで大王に手のひらを返されて朝敵に仕立て上げられてしまう運命は決まっていたのでした。人の気持ちとは都合によってコロッと変わってしまう物なのです。(例・朝廷の為に戦ったのに最後は考え方の違いから疎ましがられて朝敵扱いされるようになった新撰組。)1人で30人以上殺したというくだりはまた「誇張」が入っていそうですが(後に発明される切れ味のいい日本刀でさえテレビみたいに次から次へと切り捨てられないというのに30人も刃こぼれナシで斬り殺せたというのは快挙を通り越してあり得ない。まさか30人「撲殺」したのではないでしょうしね…。)そんな逸話が生まれるほど信念を持った豪の者だったという事が伺え八つ裂き・串刺しにされた最期には呪われても仕方ないだろとツッコミも入れてしまったものでした。(拝み屋の厩戸皇子がいて良かったね、馬子どの。)

聖徳太子③~華麗なる綾取り~

2010.09.28
 糸と糸を絡めて行う綾取りのようにそれぞれの思惑を通して人間関係が複雑に絡み合っている巻です。(それが華麗に描かれているのかは微妙な所ですが…ゲフッ!)つまり結婚・恋話が多めに描かれている巻ですが1番最初に嫁いだ人が1番愛されるというような順番制度(出来レース)の元での刀自古×聖徳太子の恋愛描写(刀自古が攻めですか!)には正直疑問を感じ、むしろ山岸先生の「お互い計算で結婚した部分が多く心はすれ違ってしまった」という描かれ方の方がどっちかというと個人的に納得できてしまうような気が…しました。この他多くの漫画も「正妻至上主義」的に描かれている話が多いですが(実際上手くいっているカップルもいるにはいますが。)資料を見てると「明らかにお前の本命は側室の女だっただろ!」と思わざるを得ない事例(信長×濃姫など。実際信長は部下の未亡人・吉乃との間に3人も子供を作り、彼女の死後は毎日菩提寺を見て泣いていたそうです。)もあるので…これで「自分の方が上であり一流」とはよく言えたな(これで正史と言える無知ぶりが凄い。)と2巻の記事に引き続きツッコミを入れてしまう私でした…ゴフッ!歴史資料にに忠実に考えるなら最も多く子供を作った膳郎女か「正妻」の大姫、または正妻の面影を宿している血縁の橘大郎女が来るのが妥当で刀自古は最も遠いと思うのですが…ね。

 竹田皇子…蘇我馬子「今度、竹田皇子には我が長女・志紀郎女を妃として差し上げるつもりです。」
額田部皇女「大臣の3人の娘達の中でも1番美しいと評判の志紀郎女を私の竹田に…。」
蘇我馬子「これでお分かりいただけましたか、額田部皇女。」
額田部皇女「不細工なアンタの娘じゃ1番美しくてもたかが知れてるでしょうよ。」

デブ・ヒゲ・鼻毛・あばた顔と4連コンボが揃った馬子(肖像画にしたって100年以上経ってから描かれた物ですし実際にどんな顔だったのかは不明ですが。)の娘にしては偉く美人揃いの姉妹(父親の遺伝子はどこ行った?と驚愕してしまう程。)で普通に喜ばれるレベルで良かったと絵を見て安心したものでした。あの額田部皇女の息子という事で早くから「次の王位継承者」(という名の蘇我氏の傀儡)として目されていたのですが用明天皇(聖徳太子の父親)即位時はまだ幼すぎ、崇峻天皇即位時前後にお亡くなりになってしまったということで結局天皇にはなれないまま人生を終えてしまった皇子でした。馬子の娘として刀自古、河上郎女が存在したことは確かですが志紀郎女という女性がいたかどうかは不確かで「1番の美女を(天皇をさしおいて)竹田皇子に差し上げた」というのは池田先生なりの彼への配慮でしょうね。実際にそんなことをしたら「天皇の私に2級品扱いだと!?」と余計な対立が生まれそうな気がしますが…ゲフッ!

 泊瀬部大王(崇峻天皇)…泊瀬部大王「蘇我大臣が顔を見せないばかりか大伴や巨勢臣らは代理人を寄越しておる!この倉梯の宮に参るのがそれほど嫌か!?」
穴穂部皇女「この私がちょくちょく訪ねて参りますから…再婚までは。」
泊瀬部大王「姉上…身内より男を選ぶんですね…。」

おかげでストレスは溜まる一方の泊瀬部大王でした…。やつ当たりの連発で馬子の娘の河上郎女とはすっかり冷え切ってしまい、それが東漢直駒×河上郎女の密通→東漢直駒による天皇暗殺と自分の最後を後押しする結果にもなってしまっています。(決定的なきっかけは「この猪の首を刎ねるように憎いあいつ(馬子)の首も斬ってやりたいものじゃ。」という問題発言だったらしいですが。)蘇我氏によって擁立されたものの次第に手に負えない存在になり激しく対立したせいで、消されてしまった大王・崇峻天皇。(「一体誰の力で大王の座に就くことができたと思っているのだ!?」by馬子。)姉上の言うとおり形ばかりの即位でも満足して大人しく傀儡をやっていれば長生きできたかもしれないのにね、と悲しくなってしまう最後でした。

 刀自古郎女…刀自古「私は母と違って男の為に自分の誇りを捨てるようなことはしないつもりです。」
厩戸皇子「私は貴女を妃とし今後、父上の嶋の館に妻問いをすることになったのですが…。」
刀自古「では、慎んでお待ち申し上げなくてはなりませんわね。」(あっさりOK。)
厩戸皇子「…プライドを捨てないんじゃなかったんですか?」

家同士の政略で決められた縁談に「結婚前から2人は恋愛をしており結婚後もラブラブだった」というご都合主義的展開(仲が良かろうと悪かろうとヤルことをヤッていれば子供はできてしまう物であり子供の存在は夫婦仲を繋ぎ止める人質代わりにはならないというのが現実である。)は聖徳太子が最も愛したと思われる膳郎女(3番目の妻)の存在を考えても考え辛い展開だと思うのですが…。(「皇子の私が臣下の娘に選別してもらうというのか!?」と憮然としている通り、周りが後押しする出来レースほど勧められる当人は敬遠してしまうというのが世の常である。)権力を持った蘇我家の娘だからと言って「自分は皇族の皇子にも是非にと望まれる程の娘だ。」というのは、いくらなんでも思い上がり過ぎましたよね。「は?結婚なんてまだ考えていませんでしたが?」と相手が答えたのを盗み聞きした挙句に1人で勝手に拗ねていたのには呆れて物も言えませんでした。(自分で盗み聞きしに行ったくせに面倒臭い女だなあ。)こんな思い上がり過ぎな性格ではその後、飽きられても無理はないかもしれません。(だからその後3人も妻を娶ったのか、聖徳太子…ゲフッ!)男が女の元に通うこの時代に馬を駆けて男を襲いに…もとい抱かれに行くというのもどうなのか、毛人兄さんの苦労(彼が駆けつけていなければ刀自古は物部の残党に乱暴されている。)も偲ばれて傍迷惑な女だと思ってしまいました…ゴフッ!

 秦河勝…秦氏の族長的存在であり富裕な商人でもあった(その財力で平安京、伊勢神宮の建設にも関わったと言われている。)彼は朝廷の財政にも関わり聖徳太子のブレーンとして大いに活躍してくれた人物です。大人になった証か髭とモミアゲが増殖しておりこの巻ではまるで別人に変貌しています…ゲフッ!そして今巻では勝手に想い人に(捏造)された嶋さん(善信尼)が百済に行ってしまうこともあり実際には無かったはずの恋愛譚もいよいよ最高潮を迎えていました。「本当に手の届かない所に行ってしまわれるのか…。」と嘆いていた河勝さんでしたが2年も過ぎる頃には他の女と子供まで作っており、この人は恋愛を何だと思っているのか疑問が湧いてくる有様です。(変わり身早過ぎるんですよ、この野郎!)もちろん秦河勝さんの関連事項にも善信尼のぜの字も出て来ないのでこのエピソードは全てデタラメです。なので、信じてはなりません。(それにしたって子供まで産んでくれた奥さんとのエピソードはちゃんと描いておいてほしかったです…。)

 余談…この話では物部氏に勝った酒宴の席で2人は出会ったとなっていますが、当時未婚の女性が夜に酒席に侍り、しかも酒を注ぐというのは、かなり特殊な例(身分の低い奴隷でなく豪族の娘ですよ!?)で泊瀬部大王の言うとおり「どういうつもりで娘達を侍らせたんだろうな?」(大王に娘をチョイスして貰うご指名制の為なら酷い父親だ。)とツッコミを入れてしまいました…ゲフッ!

聖徳太子④~伽藍雲に連なりて~

2010.09.27
 伽藍というのは僧侶が仏道を修行する場所の事であり、それが「雲に連なる」というのは…天国でも表しているのでしょうか?(不吉なタイトルだな…ゲフッ!)この巻から聖徳太子自身の髪形も帽子を被った普通の物に変わったのですが、それまでの長く垂らした髪(美豆髪)+薔薇の花というのも時代考証的にあり得ない物(そもそもこの時代に薔薇はありません。)なのですが、どの資料にも載っていないこの髪形は一体何から参考にしたのでしょうか?(って聞かなくとも某聖徳太子漫画のパクリだとしか思えないんですけどね…。)言葉使いのみならず髪形までこれでよくも「史実に忠実に描いた。」とか歯の浮くような寝言が言えたなと改めて幻滅してしまったものでした…ゲフッ!(せめて時代に象徴される服装とか髪形程度は史実に忠実に描いてほしかったです…。)

 鎌姫大刀自…物部守屋の妹にして蘇我馬子の第1夫人。石上の神宮に毛人が攻め入ったのは彼女が提供していた物部への物資という証拠品を手に入れる為で、自分が矢を射かけられたのも物部の残党(=物部と通じているこの第1夫人の仕業。)であり蘇我氏の有力な息子の暗殺未遂だった(これは蘇我氏に対する立派な反逆。)という毛人の強引な策が弄されていました。(だから矢を射かけた舎人を捕えることも、神宮から逃げ出した布都姫達もどうでも良かったのです。)死んだシーンにも出てこなかった長男の善徳はどうしたのかというと飛行寺(法興寺)の初代寺司になっていたので累は及ばなかった(出家したにしてもちゃんと説明を入れて下さいというか描いて欲しいものですが…。)ようです。これにて第一夫人を始末した毛人は名実ともに蘇我家の惣領息子となった…となってはいますが蝦夷の母親は当の守谷の妹(蝦夷と刀自古は同母兄妹。)ですし鎌姫大刀自なんて名前ではなく太姫という名ですしここでもバリバリに史実を無視している事が分かります。これのどこが一流の史実なんだと再度ツッコミも入れてしまったものでした…ゲフッ!

 物部布都姫…布都姫「こんな蘇我の暴挙が一体いつまで続くのでございましょう?」
泊瀬部大王「645年の大化の改新までだから取りあえずそれまで我慢しようか。」
布都姫「遠っ!私、確実に寿命が来て死んでるじゃないですか!」

河上郎女は大して愛されなかった(自分の敵ではなかった。)のに対して、この布都姫は大王の心を強く掴んでしまい、寵愛を奪われてしまった大伴小手子は泊瀬部大王を恨んで「あの人がこんなことを言っていたんですよ、馬子どの。」と例の問題発言(「この猪の首を切るように憎いあいつの首も…。」)を密告→暗殺事件勃発の運びとなってしまったようです。物部の女を重く扱っている=蘇我氏に対する明らかな対抗を表しているので、蘇我氏にとっては厄介になってきた大王を滅ぼす決定的な理由となってしまったのでしょうね。結果、後ろ盾を失ってしまった布都姫は自害せざるを得なくなり、こうして彼女のわずかな間の天下は終わったのでした…。

 河上郎女…河上「ああ…駒。お父様に頼まれて私の様子を見に来てくれたのね…!?」
東漢直駒「いえ日課のストーキングをしてただけでそういう訳ではないのですが…。」
河上「ちょっと待てコラァ!」

寵愛を布都姫に奪われたというのに彼女の大人しくしていらっしゃる事ったら…と思っていたら既にこの時河上は駒とデキており(駒が細川の屋形を警備した時から通じていたらしい。)愛人がいる彼女は夫の事などかなりどうでもよくなっていたようです…ゲフッ!が、愛人関係とはいえ駒の愛情は本物だったようで「天皇を殺せば河上ときちんと結婚できる。」という馬子のそそのかしに騙された駒は天皇殺害→口封じの為に自分も殺されてしまった(主君の妻や娘と通じることは死に値するので殺される理由としては一応正当。)のでした。結果、河上は夫も愛人も失ってしまい不倫が破滅を呼ぶものだという歴史的な見本となっている事例です…ゴフッ!

 菟道貝蛸皇女(大姫)…「亡き訳語田大王と大后額田部皇女の娘であるこの私が蘇我の娘の後塵を拝することだけは耐えられませんの。」

聖徳太子の正妃となったただ一人の女性です。結婚後ほどなくして亡くなってしまったので実際に2人の間で何かしたのかどうかは不明ですが血筋的には聖徳太子より上の彼女が誇り高い女性であったことは伺えます。とはいえ聖徳太子を愛していたのは本当らしく死ぬ前には彼と推古天皇との繋がりがなくならないようにと弟・尾張皇子(推古天皇の次男。)の娘の橘大郎女(聖徳太子の4番目の妻)を娶るようにと言い残して亡くなったのでした。(自分の死期より夫の将来を心配していた辺りが泣かせます。)という訳で5巻ではきっとその女性と聖徳太子が最も愛した(政略的な要素が少なく最も純粋に愛情から結婚したと思われる)膳郎女(3番目の妻)が出てくるのでしょうね。古本屋巡りをしながら5巻を心待ちに待ってみようと思います。(普通に本屋で注文しろよ。)

聖徳太子⑤~暁闇の篝火燃ゆ~

2010.09.26
 最終巻です。暁闇というのは「夜明け前、月が無く辺りが暗い事」を指しており…日本の国作りはこれからだと篝火を燃やして道を探っている(でも日が差して道が見つかるのはもうすぐ。)という所でしょうか?この巻では(宝塚風に)髭が生え晩年の姿となった聖徳太子。姿はどんどんマトモになってきたのに超能力的にはどんどん山岸先生風になってきて(リアルな話を描きたいんだかファンタジーを描きたいんだかどっちですか!?)かなり微妙さも感じてしまったものでした。(ファンタジーという点においては毒々しい魅力のある山岸先生の方が面白いしね…。作風くらい統一して欲しかったです。)最後は女性関係も微妙に終わってしまった、そんな納得いかない最終巻です…。

 刀自古郎女…「もし間に合うのなら、どうかこの私を愛しいあの方の元に…!」

ちなみに立派に間に合って一緒に暮らしていますのでご心配なく。生没年不詳の彼女ですが、後年に膳郎女、橘大郎女の他の妻達と一緒に斑鳩で暮らした事実からもこの時期に異母弟・毛人に毒殺されたというのは全くのデタラメです。(そもそも「可能性は出来るだけ多岐に安全弁は出来るだけ多く」と言っていた毛人が夫について行くだけで何もできない王位継承権も無い刀自古を無駄に殺すとは思えない。)おそらく池田先生は後に登場する菩岐々美に刀自古が負ける所を描きたくなかった為に先に死なせて勝負不可能な状況にしたのでしょうが、そんな理由で抹殺するのはキャラクターに対しても失礼だし(恋愛勝負で負けても命がある方が私は嬉しいですが…。)何より史実を捻じ曲げて描いている辺り描き方としてどうなのか微妙に思えてしまったものです。(どこが「史実」で「一流」…?)時の実力者・馬子の膝元の屋形でその娘を毒殺するのも、信用できない姉(たかが女一人)を敵視するほど毛人が頭が弱かったというのも無理のある展開に感じて、史実どころか池田先生の趣味(聖徳太子×刀自古のベタ甘ラブストーリー)を丸出しにしただけの作品じゃないかと幻滅してしまったものでした…ゲフッ!

 菩岐々美郎女(膳郎女)…聖徳太子「そなたこそ私が死の床までも一緒にと誓った妃ではないか。」
菩岐々美「他の女の面影を重ねながら、すまし顔で愛を語るんじゃないわよ、いい加減男!」

その後まもなく「新しい女」(橘大朗女)を正妻として娶られた事もあり心中複雑だった事でしょうね…ゲフッ!菩岐々美の方は身分に関係なく聖徳太子を慕っていたのに聖徳太子の方は死んだ刀自古の面影を彼女に見出しただけ(だからこの当時まだ死んでませんってば!)で真実、菩岐々美自身を愛したわけではなかった(所詮、彼女は刀自古の身代り。)…という解釈には思わず本を投げつけたくなる程嫌悪感を感じてしまったものでした。(それって身代わりで満足して気持ちに蹴りを付けたオリジナルに対しても、身代わりにした現在の恋人に対しても物凄く失礼なことなんじゃ…?)そこまで刀自古を愛していたのなら死んだ後は菩岐々美でなくオリジナルである刀自古の墓に一緒に入れてくれと頼むはずですし、聖徳太子×刀自古を確立する為に史実を捻じ曲げた感を受けて共感できなかったものです。ちなみに菩岐々美が死んだのは聖徳太子が死んだ前日ではなく1日後の話で看護疲れと共に最愛の夫を亡くしてしまった彼女の悲哀が伺えて(で、それがWパンチになってショック死してしまったんでしょうね…。)そこまで聖徳太子を愛していたことが伝わっただけに、この作品の刀自古至上主義にはついて行けなかったものでした…ゴフッ!

 大礼・小野妹子…裴世清「我が皇帝からの国書を盗まれ申した…!」

一説として、この盗まれたとされる国書には「日出ずる所の天子」(自分と煬帝は対等だ。)と書いた聖徳太子および日本国家への罵詈雑言が書かれており「こんな内容、とてもじゃないけど天皇に見せられない。」と判断した小野妹子が隠蔽したとも言われています。そして何も言わなくとも「やっぱりそういう内容だったか…。」と事を察した聖徳太子は妹子をお咎め無しとした…らしいです。(全権大使が国書紛失したのは盗難の為ではなく日本の威信の為だった。隋としてはたかが自国の使者一人(裴世清)が一緒くたに死罪になろうと大した問題じゃなかったん…でしょうね。)しかしこれはあくまでも一説であって真相は藪の中…なので池田先生は無難に世間一般の盗難説を取ったようです。それにしても今まで散々超能力を発揮していたのに大人になったとたん、ただの秀才になったな(反対に聖徳太子は夢で妹子に会いに行ったり、地方を駆け廻ったりどんどん山岸先生風に…ゲフッ!)とキャラが地味系になった変化にガッカリしたものでした。(秦河勝×善心尼といい、幼年期聖徳太子のビジュアルといい、池田先生、なんだかんだ言いつつも山岸先生の影響受け過ぎですよ…。)

 橘大郎女…「位の高さから言えば私が正妃なのに、どうしてあんな身分の低い臣下の娘だった膳夫人などに指図されなくてはならないの…!?」

実際問題菩岐々美が身分の違いも忘れて正妃に指図するほど愚かな女だったのか、また推古天皇の孫娘である正妃が寵愛が低いことを理由に泣き寝入りするほど意気地のない妻だったのか(その割に子供はしっかり2人も作っているのですが…ゲフッ!)本当の所は分かりませんが彼女は聖徳太子の死後天寿国曼荼羅繍帳(聖徳太子の死を悼み彼が死後行ったとされる天寿国の様子を描かせた日本最古の刺繍。国宝として中宮寺に保管されていたが現在では大部分が失われ残片が残るのみである。)を作らせており全く絆が無い訳ではなかったようです。それなのに国宝作成(聖徳太子との絆)に関してはサラリとスルーされ、刀自古似の膳郎女に敗北したことだけが描かれている辺り、池田先生の底意地の悪さが見えました…ゴフッ!(この人、本当の意味で一夫多妻制が描けないんだなあ…。刀自古だけが勝者で後は皆、負け組か身代りですか…。)その後のフォローも何もなく尻切れトンボで終わっている辺り(国宝制作どうなった!?)も微妙に感じて描かれ方に同情してしまった奥さんでした…。

女帝の手記・総評

2010.09.25
 主人公は微妙な性格だったけれども、歴史に関して細かい所まで調べられており、それを元にした当事者達の信念と経緯も納得できる(展開に無理が無い)話ですし歴史の解釈の一つとして非常に楽しめたシリーズではあったのでここに総評として改めてまとめてみようと思います。という訳で醜聞として名高い道鏡伝説を純愛として新しい切り口から描かれた孝謙天皇の物語について再レビューです。

 阿倍内親王(孝謙・称徳天皇)…「仲麻呂の全てを信じてるから言う通りにしてあらゆる権限を与えた。あの人は言った『これで結婚できる』と…。」

代償として結婚をチラつかせながら女を思う通りに誘導して利益をせしめる、いわゆる結婚詐欺の手口であり悪いのは利用する為に愛したふりをした仲麻呂の方なのですが騙される方も(頭が)悪いんだよと天皇にしてはあまりにも浅はか過ぎる(素直で可愛い女性と言えば聞こえは良いですがその愛の為に振り回される国家と国民は良い迷惑です。)行動に今一つ共感できなかった女性でした。そもそも仲麻呂には他に何人も妻子がいるのですし(普通はそれを知った時点で諦めるべき恋であり、どんなにのめり込んだ恋であっても所詮不倫に過ぎないのですが…。)仮に結婚が叶った所で幸せになれるはずなど無い事は少し考えれば分かるこんな男の妻になってどうする?)でしょうに都合の悪い事は考えようとしない幼さ(を通り越して40を遙かに過ぎた女性としてあまりに幼稚)が鼻について好きにはなれませんでした。世間を知らない箱入り娘(娘というよりババアのお年ですが)が恋こそ全てと暴走してしまったのでしょうが一緒くたに国の権限を巻き込まないでほしいと一般国民として引いてしまった女帝です…ゲフッ!

 安宿姫(光明子)…「しっかりしなさい!恋をしてしまうのは仕方ありませんが、その思いに溺れて振り回されるのは愚かですよ!」

思えば更年期障害という「大病」で伏せっていた彼女が阿倍に投げかけたこの忠告は正鵠を得ていたと漫画上のセリフ(言わせたのは里中先生)ではありましたが納得したものでした。施薬院、悲田院と王侯貴族にして初めて画期的に福祉事業に取り組んだ彼女は、それがたとえ根本的な解決に繋がっていなくても(原因となっている基本的生活苦はそのままで逃亡農民数の多さは相変わらずでも)「民の為に」行っていた辺り為政者としてはまだマトモだった(少なくとも「男の為に」政治を行っていた阿倍内親王よりはマシだった)と改めて評価が上がったものでした。しかし自分の子供だから(一応、藤原一族の直系だから)という理由だけで政治的実力も信念も無い阿倍を皇太子にしてしまった事は失敗だったと後継者選びを完全に間違えてしまった事だけは残念でなりません。たとえ実の娘であっても本人と同じ才覚があるとは限らないんですね…ゲフッ!

 首親王(聖武天皇)…「人の運命は全て仏の御心だ。私が天皇になる運命に生まれたのも、きっと…。」
阿倍「でも…父上が天皇になってやった事って国庫の破産も無視した大仏建立だけ…ですよね…。」

東大寺の大仏建立で有名な天皇ですがそれは「この人だけの夢」であって仏に救いを求めた気持ちは分かるものの、文化的事業を果たした功績(大仏建立)は認めるものの、度重なる遷都(引っ越し)に、金箔をはる際に水銀中毒で大量の死人を出した大仏作りに国民にとっては大変迷惑な天皇だったろうなあ~と自分の事しか考えられない彼の弱さに「…。」と思ってしまったものでした。それでも恋に溺れて相手の言うなりに政治をしてきたのではなく自分の望みの元に政治を推し進めた信念その望みの大仏建立こそが迷惑だったのだが)は一応評価に値しますかね…?ダメ男であっても相手の言うがままに「自分」という物が無かった阿倍よりはマシな人間ではあったかな(「マシな政治家」ではない。)と私的な評価は一応阿倍よりは上の天皇です…ゲフッ!

 藤原仲麻呂…「上皇はこのまま一生俺の言いなりになると思って油断して放置していた。いや、今からでもなんとしても一生言いなりにさせないと色々とやりにくくなる。」

阿倍の恋心を利用したは良いものの詰めを誤ってしまった筆頭権力者。その後阿倍が道鏡に傾いた事もあり彼女と全面対決する事になるのですが、枕営業という小狡い手段を使って権力を得た手腕は汚くともこの当時一夫多妻制であった「常識」(他の女とも結婚・子作り(浮気)をするのは男の甲斐性で当時としては「ありふれた事」であり大した悲劇でもない。)を考えると阿倍の身勝手な心変わりによって地位も権力も彼女の心も、そして自分の命をも全てを失ってしまった哀れな男とも見ることができ一時は国の最高地位近くに昇りつめただけに同情もしたものです。彼が強敵になってしまったのは公の命令書を発行できる恵美押勝の印を与えたり藤原の姓を他人が名乗れない恐れ多い物にしたり全て今までそれだけの権限を与え続けてしまった阿倍の自業自得でありそこを考えるとやはり彼女には同情は出来ないな(むしろ巻き込まれて迷惑を被っている他の人々に同情してしまうな)と阿倍の不手際ぶりに嘆息しながら読み進めたものでした…ゲフッ!

 道鏡…阿倍「この人は仲麻呂とは違う。自分からは何も求めない。だからもっともっと与えたくなる。」

想い人は変わっても中身(愛し方)は全く変わっておらず仲麻呂にしたこと(国家の最高権力を与えるえこひいき)を今度は道鏡に対して行うようになった阿倍さん。(真意はどうあれそれを唯々諾々と受け取っていた道鏡にも問題はあるが)だからといって皇族でも何でもない一般人を天皇にしようという計画はいくらなんでも行き過ぎで病に伏しても皇太子を立てず(後継ぎ(天皇)を道鏡にしたいという野望の為ですが、そもそもそんな制度を無視した恋情ゆえの自己中心的野望自体が間違っている訳で…。)死後に後継ぎがいないという前代未聞の不始末をしでかした顛末にはもう溜め息しか出ませんでした…。話に描かれているようにこの人に他意は無くただ阿倍の邪な希望に振り回されてしまった(彼女の愛という名目の元に国を動かす駒として使われていた)としたら道鏡もまた被害者と言えるのかもしれません…ゲフッ!

女帝の手記④~たまゆら道鏡~

2010.09.24
 文庫版では各巻ごとにサブタイトルがついており、まほろば(すぐれた良い所のある)光明皇后、たゆたひ(ゆらゆら動いて定まらない)聖武天皇、うつせみ(現し臣。うつしおみ→うつせみと転じてできた語。この世(は我が世となった)藤原仲麻呂、たまゆら(「ほんのしばらくの間」だった)道鏡、と登場人物ごとに合ったタイトルに唸らせて貰ったものでした。(何気に主人公である阿倍にタイトルが無いのね…。)仲麻呂との対決(恵美押勝の乱)や百万塔陀羅尼経(乱で亡くなった人々の魂の供養と平安の為に小さな塔を百万作りその中に経を治めて各寺に配る。百万も手書きでやってられるかという事でここに経文を木版に彫り込み麻紙に写し取るという世界最古の活版印刷物が誕生したのであった。)など今回も歴史や文化について詳しく描かれており読み応え十分だった最終巻でした。(主人公の猪突猛進な性格は最後まで変わりませんでしたが…。)

 阿倍内親王(孝謙・称徳天皇)…里中先生「彼女の字からは固くて1本筋の通った人柄が感じられ色恋に溺れて政治を忘れるいい加減な人とは思えなかった。最もそういう真面目な人はいったん信じ込んだらわき目もふらずに突き進んでしまう事はありがちだが…。」

確かに彼女は政治も天皇としての自分の立場も忘れてはいない、けれど忘れずに愛した男に国の最高権力を与え続けるなら、なお悪いわ!とツッコミを入れざるを得ない女帝です。称徳女帝と道鏡の2人にまつわる下劣でいかがわしい噂はベースのほとんどが唐の女帝の物で後の時代に脚色されて広まったもの(面白おかしいスキャンダルが無責任に独り歩きしてしまっただけで大部分はデタラメ。)だそうですが嘘八百なのは「噂」だけで、墾田永年私財法を停止しても寺院は例外として開墾を認めたり、日本史上初の法王の位(天皇と同等の待遇)を授けたり、神託を利用してまで皇族の生まれでもない道鏡を天皇にしようとしたり「ご寵愛」を理由にえこひいきして引き立てていたのは事実(それだけで引き立てた訳でなく道鏡自身にも実力はあると広虫は言いますがそれにしたって国の最高権力者するのは行き過ぎである。)である以上天皇(国のトップ)としてはふさわしくない人物だったという実感はより一層強まってしまったものでした。藤原氏がその後栄華を極めたからこそ藤原の危機を招いた2人の恋は「下劣」なものとされた(藤原氏が一族の名誉の為に「いかがわしい恋」のレッテルを貼っただけで本当は純愛だった)かのような描かれ方をされていますが恋情で政治を巻きこんで振り回した辺り立派に下劣(低級な恋)と言えるだろうとツッコミを入れてしまったものです…ゲフッ!

 弓削の道鏡…里中先生「彼の字からは素直さを感じて『女帝をたぶらかして天皇になろうとしたいかがわしい僧』という言い伝えのイメージに合わなかった。」

しかし女帝と道鏡の「恋」は真実あった事なので「つけたし」の信憑性の無いスキャンダルもまことしやかに語られてしまった、それで道鏡伝説は「間違ったイメージ」のまま語り伝えられてしまったのではないかと伝説に疑問を持ったのが里中先生がこの話を描くきっかけだったんだそうです。(それで「堅くて一途」な阿倍内親王と「素直」な道鏡という異色の話が出来上がるのでした。)が、そんな素直で純真な人間だからこそ人を疑わずに信用してしまい騙されやすく利用されやすい欠点があるというオチがついてしまいました。(こういう人は与えられた仕事をはこなせても駆け引きを駆使して裏の裏を読む政治家には向かないでしょうね。)パトロン一人(阿倍)がいなくなってしまったが最後、上手く世の中を渡れずに落ちぶれてしまった(本当にしたたかな人間なら阿倍1人がいなくなっても「次」を見つけようとする。)のはそう考えると流れとしても自然で納得もいったものです。一時は法王という最高権力者の地位に昇った彼が庶民の格式で葬儀を済まされた最期はシュールで思わず哀愁を感じた話でした…。

 藤原仲麻呂…里中先生「『権力志向の策士』というレッテルを貼られているが、何故権力を欲したのか彼なりの理由があるはずだ。」

唐風の官名に改めたのも含めて「生まれ」でなく「実力」で最高権力者の地位につける世の中にしたい(形は違えど民間出身の僧である道鏡を天皇にしようとした阿倍と同じく、生まれで全てが決まってしまう「歴史」を覆す変革を望んでいたのではないか?)という解釈が結論として描かれていました。道鏡を肯定するが故にむしろこの人の方が女帝をたぶらかして天皇になろうとしたいかがわしい男として大悪人風に描かれてしまっていますが(『なるべくその人の良い面を探して描きたいと言いながら俺の事あんな描き方して』と仲麻呂さんは怒っているかもしれない」と作者本人がコメントしていました…ゲフッ!)それもまた一つの解釈なんでしょうね。せっかく地位を築き上げたのに志半ばにして全てを失ってしまった最後は多少、同情もしてしまった悪役でした…。

 和気清麻呂&広虫(穢麻呂&狭虫)…阿倍「私はそなた達姉弟を信じているからこそ『道鏡を天皇にする』という都合の良い神託を持ち帰ってくれる仕事を任せたのに、反対派にとって1番効果的なやり方で信頼を裏切った事を許す訳にはいきません!」

その阿倍が言う「信用」というのが「間違ったことでも自分の望みの通りに動くイエスマンになれ」という内容である以上、裏切られても同情は出来ないな(むしろ一緒に出家してまで尽くしてきたのに国を思って正しい事を言った、そのただ一度の「失敗」の為に名前まで貶められて備後に流罪になった2人が哀れ。)と感じてしまったものです。(もはやブラック企業の社員切り捨てのやり方に近いですよ、阿倍さま…。)新しく世話をする事になった由利も真備の娘だからと言って何もしていないのに無条件に信頼していますしこの女帝は本当に人をちゃんと見ているのか自分の都合の良い人間しか認めようとしていないのではないか?)改めて阿倍のやり方に疑問を抱くきっかけとなった犠牲者でした…ゲフッ!

女帝の手記③~うつせみ藤原仲麻呂~

2010.09.23
 「藤原氏の期待を背に史上初の女性皇太子となった阿倍、初めて恋を知る」と2巻の帯に書いてありましたが、その恋が終わって2番目の恋(道鏡)が始まる第3巻です。が、本人が既に40歳を超えたババアである以上それが不倫だろうが純愛だろうが見た目が美しくなく後の伝説に伝えられているような「醜聞」とまでは言わないけれど「いい歳をして男に溺れてみっともない」というイメージはやっぱり拭えなかったものでした。1人で頑張っていた持統天皇を思い出すとやはり見劣りがしてしまう女帝だとも感じたものです…。

 道祖(ふなど)王…阿倍「道祖王は素行甚だ芳しからず、よって皇太子の称号返上を命ずる。」
道祖王「仲麻呂とデキている挙句にそれで権限を与えまくっているアンタが素行注意を言っても説得力無いんだよ!」

「天上の虹」にも登場する天武天皇と藤原五百重(後の不比等の妻)の間に生まれた新田部皇子の息子…なのにビジュアルはただのオッサンだった(新田部皇子と同じ顔のイケメン親王を期待していたのに…ゲフッ!)と心密かにガッカリしてしまった登場人物です…ゴフッ!せっかく皇太子に指名されたのに聖武天皇(上皇)の喪が明けないうちから少年と淫らな関係を持っている(プライベートであり女性相手ではないのだから別に問題は無いような…ガフッ!)など重箱の角をつつくような問題で藤原家(仲麻呂)の野望の為に廃太子とされた経緯には本人も当然不満だったようで橘奈良麻呂と共に謀反計画に参加してしまっていました。それがどういう結果になってしまったのかは読んでの通りです…。

 橘奈良麻呂…仲麻呂「唐では罪人はその名を貶めて汚れたものとして罰するといいます。その慣例を取り入れて黄文王は久奈多夫礼(たぶらかす人)道祖王は麻度比(惑う人)角足は乃呂志(呪い人)橘奈良麻呂は…」
橘嘉智子「うちの奈良麻呂おじいちゃんの名前、ここから削除ね。」
部下「ははっ。皇后陛下。」

「橘奈良麻呂の変」とあるようにこの反乱計画の首謀者は橘奈良麻呂なのに孫娘・嘉智子がその後嵯峨天皇の皇后になった為か罪状の記録にその名前は無かったそうです。(えげつない記録の残し方をしているので子孫として削りたくなる気持ちは分かります…ゲフッ!)ともあれ黄文王や道祖王という王族まで杖打ちで拷問の末に殺したのみならず計画に加担していた人間の(本人は何もしていないのに)親戚というだけでその一族の長老を降格・左遷させた(この事件での死刑者・流刑者は合計443人にも上る。)やり過ぎの処罰に各有力氏族の力は削がれ仲麻呂を叩き潰そうという計画は皮肉にも仲麻呂の独裁体制形成の足がかりになってしまったのでした…ゴフッ!

 淳仁天皇(大炊王)…仲麻呂「形式上必要な『君主の許可』もこの淳仁天皇がいるから全て思いのままだ。上皇はもはや必要ない。俺は『天皇の父』なんだ。」

結局仲麻呂にとってはそれが「利用できる天皇」であれば阿倍でも大炊王でも同じ事であり、むしろこれからを考えると結婚結婚うるさく言わない親しく付き合っても下半身スキャンダルを噂される心配の無い「義理の息子」(正確には長男の嫁・粟田諸姉とめあわせて入り婿のように家に入れた)大炊王の方が望ましいと鞍替えする理由には納得できたものでした。「この男には意地も誇りも無いの?」と何もかも仲麻呂太師の言うなりになる様に阿倍は呆れていますが、そういうワガママを言わない都合の良い人間だからこそ彼が選ばれたんだよ(むしろ自分で政治をしようとする知恵のある人間は「手駒」にはならない。)と大局が見えていない彼女の幼さに改めて幻滅したものでした…ゲフッ!

 井上内親王…阿倍「おいたわしいと見下していた井上どのが結婚も子供も女の幸せの全てを手にいれ、何もかも恵まれているはずだった私は結婚すらも叶わない人生…!井上どのが不幸せだったらまだ救いが持てたのに…!」
井上「アンタ、基本的に私に対して失礼よ。」

結果として結婚もできて子供も持てた井上異母姉(阿倍の死後に決まる話ではありますが夫は天皇に自身は皇后(国のファーストレディ)にまでなる。)を「なんて恵まれた人生で私と違うんだろう」と羨ましがっていますがその結婚相手は冴えないオッサンの白壁王(「もっと若くて素敵な相手はいなかったのかしら?」by阿倍)であり40を遙かに過ぎてできた子供は体力的に産むのも育てるのも大変でしょうし都合の良い一面だけをとらえて自分を貶めるのは(その一面を利用している)相手に対しても失礼だとツッコミを入れてしまったものでした。私に言わせれば生涯独身を余儀なくされたとはいえ、それは立場だけで仲麻呂、道鏡と奔放に恋をしていた(「世間のしきたりなどに縛られず思うままにふるまう事」という意味だそうです、奔放とは。)国家を撒き込んでまで男に溺れていた彼女だって充分恵まれていた(むしろ天皇の立場やしきたりを思い出して下さい。)と思いますし「情けなくて愚か」なのは「人生」でなくて「性格」の方だったでしょうとモノローグを読みながら呆れてしまったものでした…ゲフッ!

女帝の手記②~たゆたひ聖武天皇~

2010.09.22
 723年の「3世1身の法」の失敗(「荒れ地を一から切り開いて田とした者にはその者から3代の子孫(3世)までその田を私有化して良い」「以前からある用水路を利用して土地を切り開いた者にはその者の代(1身)に限りその田の私有化を認める」がその私有地からも祖(税)は納めなければいけないし、天候に左右される雀の涙の収入よりも有力者に雇われて給金を貰う形の確実な収入の方が良いと、有力者の私有地を増やし、国に返す時には手入れせずに荒地となっている結果しか生まなかった。)も描かれておりよく調べられているなあ~と感心した第2巻です。

 聖武天皇…聖武天皇「律令制では天皇は象徴に過ぎない。決定権は無いのに責任は重いし自由は無いから夢を見たかったんだ…。」
阿倍「勝手気ままに遷都を繰り返し大仏建立を推し進めた迷走野郎のどこに『自由が無かった』と…?」

恭仁京建設を中途半端のままに難波宮に遷都をしたのも(「遷都は建設物さえあればできるのではなくて、しっかり人数分の引っ越し費用がかかるって分かっていますか!?」by氷高上皇)紫香楽への勝手な行幸も「やっぱり駄目だったから」と平城京に還都したのもご趣味の大仏建立が出来たのも全てワガママを聞いて貰えるだけの自由があったからであり「思うようにいかない」(金は湧いて出てこない)事だけをさして自由が無かったと言うのは間違っているだろと思わずツッコミを入れてしまいました。(気まぐれに付き合わされる官僚・民衆はいつも大変です。)743年の墾田永年私財法(開墾した土地は永久に私有地としていいという私有財産増大を公に認めてくれる政策)が大仏建立の為の寄付を当てにした有力者との裏取引の側面もあったという真相も含めてこの人のダメ天皇ぶりが良く分かったものでした…ゲフッ!

 安積親王…氷高上皇「阿倍など勝手に五節舞を舞わせておきなさい。私の力であなたを皇太子にしてあげるわ。」

聖武天皇の唯一の息子(血筋的に最も自然に皇太子に立つ事が納得させられそうな人物)という事で反阿倍皇太子派からは目をかけられ、藤原一族からは目をつけられ陰謀に巻き込まれる形で暗殺されてしまった(公式記録では病死となっていますが阿倍の即位前に都合良くいなくなってくれたこのタイミングは出来過ぎているとしか思えません…ゲフッ!)思えば不遇の皇子様です。女性を後継ぎに定着させるには息子の存在が最大の邪魔者であり殺された彼が化けて出る展開には納得できたものでしたが阿倍が仲麻呂とデキたとたん都合良く出てこなくなった事には「…アレ?」と思ったものでした。やはり情事の真っ最中には入り辛かったのか(その後も気まずくて出て来れなくなったのか)純情な彼に合掌してしまったものです…ゴフッ!

 行基…「誰でも仏を思う気持ちさえあれば仏門に入れますよ。」

当時の寺院(官寺)は国家の物であり僧とは国が許可を与えた国家公務員、有力氏族が個人的に建立する氏寺(例・藤原氏の氏寺・興福寺)も現代の私立大学と同じく国家の仏教政策の監督下に運営された貴族内だけの物だった(教典は学術論文、説教は授業といったような「大学」に行ける金のある人(貴族)限定の施設だった。僧籍にある人は免税の特権を与えられるなど美味しい側面もある。)それに反発を抱いて農民にも教えを説き(国が決めた基準以外のやり方で出家を認めた。)民の為に土木事業を進めた彼は一般民衆(だけ)に絶大な人気があり、布教禁止の弾圧まで受けてきた過去(僧の鼻つまみ者)はどこへやら大仏建立の先頭に立ったことで大僧正(僧の最高位)にもなったのでした。かつて宮子皇太后を正気に戻し天皇の信頼を一身に集めていたのは玄昉だったというのに人の心とは移ろいやすいものです。大仏建立に役立つ人間なら誰でも良いという天皇の現金さ故に人一人(宮子様)しか動かせなかった玄昉はこうして失脚したのでした…ゲフッ!

 光明皇后…阿倍「もしや母上の大病は仲麻呂の子を妊娠して強引に流産させたせいでは…?」
光明子「なんてことを言うのです。閉経後の奇跡の懐妊など皆が驚いているではありませんか。」

年表によると東大寺大仏開眼会(752年)の終わったこの時、孝謙天皇(阿倍)自身が34歳(「気のせい…じゃないわ。シワがくっきりと出て、もう若くないんだ。」本人談。)その母親である光明子は(いくら10代半ばで結婚する時代だったとはいえ)どう計算しても50歳という日本人女性平均閉経年齢を超えており(いわれのない不倫の噂だけで文武天皇(聖武天皇の父)の他の妻子を遠ざけた藤原氏の皇后が自ら迂闊に不倫するというのも考え辛いですが)この年齢で妊娠というのはいくらなんでも無理のある展開だろうとツッコミを入れてしまったものでした。(普通に更年期障害だったのでは…?)「大病」をしたのは確かでも原因は絶対に流産ではないなと確信したエピソードでした…ゲフッ!

女帝の手記①~まほろば光明皇后~

2010.09.21
 ちょうど持統天皇のひ孫(聖武天皇)の子供の話です。先に描かれたひ孫の叔父(長屋王)の話「長屋王残照記」と時代が被る事もありエピソードがダブる部分が多く(時代の流れと同時に「立場の違う人から見た事件の経緯」も描きたかったのでしょうが…。)正直同じ話の焼き直しが多いなあとも感じた本でした。話の続きを途中から読む気持ちで孝謙天皇×道鏡の醜聞ラブストーリーまでを追っていきましょう。

 阿倍内親王…阿倍「ややこしくなくて良いから私は妻を一人しか貰わない男の人と結婚しよう、と。」
采女「そんな!皇女様には山ほどの数の妻を持てる、そんな立派な金を持ったお方でないと今と同じレベルの生活は務まりませんよ!」

現存する一夫多妻制の国でも貧乏人は妻を一人しか持てないんだそうです、甲斐性(金)の問題で…ゲフッ!平城京の中でもずば抜けて大きい敷地を与えられ宮殿とも見まごう広大な館で育った太政大臣の孫娘(箱入り娘)ではそんな身分の低い男との結婚生活は確かに無理だろうと侍女がたしなめるのに納得したものでした…ゴフッ!弟の基の死によって日本史上初の女性皇太子として即位しそれにふさわしい人間になる為にと独身と勉強を余儀なくされている(そしてそれに心底では反発している)彼女でしたがそもそも天皇というのは象徴であり儀式や祭司のイベントの際に姿を見せてこなす「おかざり」なのに完全に育て方を間違っているな(むしろ自分で物を考えるような知恵をつけさせず適当に持ち上げてやぐらの上に座らせておくのがベスト。)と母親・光明子の指導に疑問も感じたものでした。(彼女としてはいざという時「藤原の人間」として動けるようなブレーンを子供を利用して作りたかったのでしょうが…。)自分で物を考えて政治をしようとしても当人に政治的才覚があるかどうかは分からないその結果どうなってしまったのかはおいおい続巻の感想にて語っていきたいと思います…。

 藤原長娥子…阿倍「お気の毒に思っています。嫁いだ人の正妻が他の妻を全員自分の監視下に置くような嫉妬深い大悪人で。でも藤原の娘で良かったですね。金に物を言わせて別に屋敷を建てたおかげで叔母様だけは通い婚を押し通せたんですもの。」
長娥子「…。」

以上「長屋王残照記」を読んだ時の私の(吉備皇女に関する)感想でした…ゲフッ!夫を藤原家の陰謀によって殺された長娥子の凛とした姿に「長屋王の変」の真実を知った阿倍でしたが「何(陰謀)が真実かどうかは大事な事ではない、何(長屋王)が正しいかどうかも解釈によって変わること、大切なのは何(藤原家)が世の役に立っているかです。」という母親の言葉に「そんなに藤原家って偉いんだ~。(誰もが藤原家の方が正しいと信じているんだ。)」と藤原の自覚に目覚めてしまって彼女まで真実に蓋をした様には「…。」と思えたものです。が、主人(長屋王)を売り渡した中臣東人を大伴子虫が切り殺しても罪を追及されず政府までうやむやにしている辺り、世の人々は皆藤原家が汚い陰謀を使って長屋王を追い落としたことを知っているし藤原家(政府)自体もそれを自覚して触れないようにしている事実が分かって、彼女もやっと恥(傲慢)の意識を感じたようでした。阿倍本人だって薄々気づいていたくせに実感するまでが遅過ぎるんだよ!と思わずツッコミも入れてしまったものです…ゴフッ!

 安宿姫(光明子)…采女A「聞いた?光明皇后さまのお話…。」
采女B「千人の民の体の垢を洗い清めたら千人目の老人が仏様に変わったって話でしょ?」
阿倍内親王「…ウソ臭い。」

現実にはその時側にいて事のなりゆきをその目で見た采女達が誰なのかすらはっきりしておらず実態は「単なる噂」(作り話)に過ぎないかもしれないと主人公を通して「逸話」に現実味な解釈が加えられている事に驚いたものでした。この逸話の他施薬院(貧しい病人に治療を施す、いわば現代の病院。)悲田院(養護施設および養老院。)という画期的な福祉施設を作った事で有名な(それまで朝廷が持っている栽培地で薬草を作ってもそれは全て貴族の物、仏教は国の安泰だけを祈り文化発展に貢献することだけが目的の物で「貧しい一般人に何かしてあげる」発想自体が無かったので。)皇后ですが、国の根本が変わらず農民の大半は相変わらず貧しい生活を余儀なくされている(例・山上憶良の「貧窮問答歌」)以上、福祉事業をいくらした所で焼け石に水でそもそもの根本的解決になっていないと厳しい指摘がなされていました。実は全くその通りで「逸話」を流したことといい国民の人気取りの為だけの行動という解釈もできるのかもしれません…ゲフッ!(皇后の湯沐良2千戸と亡き父・藤原不比等から相続した封戸2千戸を合わせただけでも彼女1人で当時の国2,3個分に当たる収入があったそうで事業を起こす金に不足はしていませんでしたしね…ゴフッ!)

 宮子皇太后…聖武天皇「夢のようだ。母上と話せる日が来るなんて。」
安宿姫「という訳で治療した玄昉どの及び仏教をますますお引き立てのほどを…。」
聖武天皇「もちろんだとも!」
阿倍内親王「オイ!」

出産後正気を失いずっと引き籠り生活を続けていた人間が36年ぶりに部屋の外に出たり会話したりするような「変化」を見せるようになれば(それが普通の人間なら当たり前にできる何でもない事であっても)これぞ奇跡!と驚く気持ちは分からなくもないですが、その前に36歳のいい大人の男が今更ママンと話せるようになったことを感激する事自体が異常だろう36歳にもなったら普通はとっくに親を卒業している年齢なのですが…。)と天皇の幼さを改めて実感するとともに、救いを求めて仏教に傾倒してしまった経緯が良く分かったものでした。(で国は不作続きで逃亡農民が後を絶たないほど困窮しているというのに大仏作りを始めてしまったと…ゲフッ!)こうして体よく天皇の信頼をますます深めてしまった光明子(安宿姫)は他にも天皇の息子や皇族の男子がいるにも関わらず自分の子供(しかも女の子)を皇太子として立てる事にも成功し藤原家はますます繁栄の一途を辿るのでした…ゴフッ!

るろうに剣心①~④

2010.09.20
 ええ~、新撰組の敵が主人公なの~?と設定からして受け付けず弟が夢中で読んでいたにも関わらずスルーしていたものでしたが、その後、新撰組関連の書物を読むにつれ、奥さんがいながら京都で美人姉妹と姉妹ドンブリをした近藤勇局長、美形な顔で行く先々で女とのトラブルになっていた土方歳三(大河ドラマ「新撰組」では「あんな綺麗な顔を殴るなんて…。」「で、何で僕が代わりに顔をはたかれなきゃならないんですか!」と近藤局長が身代りにしょっちゅう平手打ちを喰らっている。)「不細工な女の方が尽くしてくれるから」と選んだ女に「今日で最後だから」と言ったとたん相手の女は事を終えた後自殺していた(のに「で、名前何だったっけ?」と忘れ、現在は他の女・時尾を妻にしている)斎藤一(藤田五郎)といい、会津の悲劇と共に散った新撰組の悲惨な歴史はともかく「こいつら取りあえず女の敵だ!」と新撰組(の性生活)に大いに幻滅してしまった後(今でも好きな新撰組の隊員は女っ気の無かった沖田総司や映画「壬生義士伝」の主人公にもなった奥さん一筋の吉村貫一郎位。思うに最も多感で潔癖だった思春期女子中学生の頃に関連文献を読んだのがまずかったんだろうなあ…。)「ふむふむ、新撰組の敵が主人公ね~♪」と随分と時が経ってから嬉々として手に取ったものでした。で、思いました。「ええ~、主人公が悪の新撰組をメッタ斬りにする話じゃないの~?」と。(時代、明治ですから。幕末に活躍した新撰組は滅んだ後でした…。)

 緋村剣心…山形有明「是非、帝国陸軍の幹部に迎えたい。多くの維新志士がお前の帰参を待ち望んでいるんだ。」
剣心「あいにくですが、絶対に働きたくないんでござるよ。」

流浪人(るろうに)という言葉(造語)だけ読んでみれば聞こえはいいものの、外で働いて金を稼いでくる訳でもなく、家(道場)で師範代(先生)の一人になって家計を助ける訳でもなく、家事に勤しんではいるものの(それにしたって食費はおそらく薫持ちだろうし)現代で言えば立派な二ートである彼の生き様にはその卓越した剣技とは別に「…。」と思ってしまったものでした。血縁でもないのに家に住まわせてくれる薫という家持ち・土地(道場)持ちの素晴らしい女性に惚れられた(28才のオッサンが17歳美少女の自宅に居候→婿養子って勝ち組過ぎる)のが彼の幸運だったでしょうがそれって今で言う所のヒモと違うのか?(女性の地力で食わせて貰って住まわせて貰ってるって…。)という疑問も出て、剣術の腕はカッコイイけれどもそれとは別に生き方はカッコ悪いよなと再度認識してしまった主人公です…ゲフッ!余談ですがこの頃は30間際の男が主人公(その年齢で二ートってどうなんだよ!?)というのにも抵抗がある時代だったんだなあ、と薫や恵さんの騒ぎぶり(「流浪人さん、父の同志だったって事は今おいくつなのかしら…?」「そーいえば…若くても30前後。なのに無職で…?」by読み切り版)にも納得してしまった男でもありました…ゴフッ!

 神谷薫…剣心「拙者は元々神谷活心流の者ではないし弟子を取る気も無いから悪いけどお引き取り願うでござるよ。」
薫「取りあえず入門させちゃえばこっちのものだったのに何で帰しちゃうのよ!15人もいたのに!」
剣心「興味半分のにわか入門者では半年も持たないでござるよ。」
薫「その半年間分の月謝という収入をパーにしといて何を偉そうに語っているのよ!」

全くニートはこれだから…!生活するには金が必要だという当たり前の現実をちっとも分かっちゃいないんだ!)と薫の苦労が偲ばれたものでした…ゲフッ!そんな訳で第一話でこそ木刀を手に剣心と戦ったり千葉佐那(坂本竜馬の自称婚約者)顔負けの剣術小町(バトルヒロイン)ぶりを見せてくれている彼女ですが(しかし剣心が超都合良く来なければニセ抜刀斎兄弟に道場を乗っ取られていただろうが)この子がそうやって「前線で戦った」のは一巻だけで恵編の時も家で料理を作って待っているだけ(その割に料理の腕は今一つ…どころか酷いものだが。)以来一度も「敵相手に戦う姿は見られない」(弥彦に剣術は教えているけれど)彼女の姿に終盤では実は竹刀剣術では全国レベルで他道場経営者(幹部)とも対等に渡り合える実力の持ち主(女だてらに滅茶苦茶強い)という「初期設定」など綺麗に忘れ去っており一話目及び特筆版を読んで「…え?この人って『戦える女性』だったの?」と物凄い違和感を感じてしまったものでした。それは私だけでなく弟も同様だったようで特筆版のあらすじを聞いて「ええ?薫は『戦わない』でしょ?」と物凄く驚いていたのが…記憶に残っています。黒傘事件の時にはもうピーチ姫のように刀衛(大魔王クッパ)に攫われて剣心(マリオ)の助けを待つ「お姫様」状態だったし誰もそんな初期設定なんて覚えていないのでは…?と疑問も出てしまった女性です…ゴフッ!

 明神弥彦…剣心「この人は神谷活心流師範代で神谷薫殿。今から童の先生でござるよ。」
薫「先生って、まさかこの子まで門弟という名の居候(二ート)に!?」

こうして神谷道場に第二の同居人(という名のニート)東京府士族・明神弥彦が加わる事に相なった…のですが上記のセリフからも分かるとおり彼の保護者(という名の月謝を払う人)は既に他界しており、剣心1人だけでも食いぶちが増えたというのに育ち盛り・食べ盛りの男の子まで加わって薫は本当に大変だったろうなあ(そりゃ味噌に米に醤油に塩に買い込む必要があるし、祖父の水墨画も売らざるをえない必然性が出てくるよね…ゲフッ!)と一人で秘かに納得してしまったものでした。スリも辞め、後に始めるアルバイトも逆刃刀を買う為(全部自分のおこずかい)というやっぱり実収入ゼロのこの門下生、酒の勢いで剣を振るって人の腕を折りリベンジ騒ぎを起こした元門下生達(「私刑(リンチ)で木砲をブチこむ菱卍の連中も度を知らねえバカだけど、こいつらはそれ以下の下衆だぜ!」by弥彦)よりはマシだろうけど道場自体の経営は相変わらず大変だろうなあ木砲で壊された壁の修理費も誰が出したんだろう…?)と別の所で同情してしまいました…ゴフッ!

 相楽左之助…左之助「ねえ隊長、四民平等の時代になったらさ、俺、隊長と結婚して相楽って名乗っていいスか?」
相楽総三「左之…いくら『平等』っていっても別に赤報隊は男が女と同様に男と結婚できるようにする事を伝えている訳じゃ…。」
左之助「でも、俺、男同士の結婚が認められるようになるってそこかしこで言いふらしちゃいましたよ。」
相楽総三「…え!?」
            ~後日~
モブA「ニセ官軍、赤報隊一番隊隊長・相楽総三。同性婚認可などと虚言を用いて人心を惑わしたかどにより斬首だと。」
モブB「英雄気取りで維新志士様の真似は構わねえが俺達ホモップルをぬか喜びさせるなってんだ、全く。」

…というネタが同人誌にあり、維新政府の建前と本音(嘘と誠)を最も端的に表した赤報隊事件(1868年、鳥羽伏見の戦いの直後に結成された草莽部隊・赤報隊。諸藩の農民を官軍の味方につける為に「年貢半減令」を餌に人々を釣っていったが、釣り上げた後で財政難過ぎてその約束は実行できない現実に気づいた維新政府は「皆さん!年貢半減令は赤報隊だけが勝手に言っていた事なんですよ~!」と全部の罪(悪)を赤報隊に押し付け口封じも兼ねて処刑した。戊辰戦争真っただ中の時代だった事も有ってあまり有名になれなかった事件であり私の時代の教科書にも載っていなかったマニアックな歴史事項でもある。)を背景にした切ない過去でありながらも↑を思い出して含み笑いばかりしていた思い出があります…ゲフッ!剣心との戦いを経て過去を忘れる為の喧嘩三昧の日々はもう辞めた…のはいいけれど喧嘩屋(仕事)を辞めたことで収入も無くなりそして仲間(二ート)がまた一人増えた展開にはひたすら薫に同情してしまったものです。(一応、住んでいる所は別のようだけれど食事をたかりに来る無駄飯ぐらいの男という現実には変わりない…ゴフッ!)喧嘩屋を辞めるのは構わない、けれど自分の食いぶち位は自分で稼ごうよとツッコミを入れてしまった登場人物でした…ガフッ!

 鵜道刃衛…「維新だ、明治だ、新政府だと騒いじゃいるが、その中身はなんてことは無い、幕末同様の血で血を洗う権力抗争が続いているのさ。人斬りは所詮死ぬまで人斬り。お前がいつまで流浪人などと言ってられるか地獄の淵でみててやるよ。」

戦争の終わりと共に時代は一気に変わったように思える江戸時代→明治時代への変化ですが「時代の変化」はいつだって緩やかに進むもので明治になってからもう10年も経っているからと言って人々の振舞いや考え方までそう簡単にガラッと変わった訳ではない、影では相変わらず幕府時代同様の迫害や権力抗争が続いており「人間は死ぬまで変わらない」(そして自分も人斬り以外の何物にも変われずに死んだ)という彼の生き様にはマッドな反面、少し分かる気がしたものでした。(人斬り抜刀斎に斬られる事を熱望していた辺りも「あの時代に生きた同類」と剣を交えて死にたかったのではないかな、と思えて…。)「人斬りは自分の意志で人を斬る。だがそれは相手を選ばずお偉い方に利用されるだけ」だったのを無視して剣心に挑んだのは生き方は変えられなくても最後は自分の意志の元に生きて死んだ証にも思えて多少、哀愁を感じてしまったものです。剣心に対しては「人斬りは所詮人斬り」(お前だって俺の同じように変われないさ)と随分と嫌味を言っていますが自分をぶち殺した人間に優しい希望に満ちた言葉なんてかけないのが当たり前でその辺りも理解できたものでした…ゲフッ!この人もこの人である意味での維新政府の犠牲者だったのかもしれません…。

 高荷恵…武田観柳「私はいつもあなたを可愛く思っているんですけどねぇ。」
恵「可愛く思っているのは私が作った阿片の利益でしょ。」
観柳「ええ、ですから、そのついでに貴女も可愛がってあげているんですよ。」

確かに情婦(両想い)ではなかったようだが読み切り版の西脇さんと同じく奴にセクハラを受けてはいたようで、一体どこまで何をされていたのか心配になったものの制作秘話によると彼のモチーフとなったのは男色家(ゲイ)としても有名だった新撰組の武田観柳斎(それに倣って観柳もホモという設定だったが話に関係ないので、その設定が「使われる」事は無かった。)だそうでじゃあ女性の恵は毒牙にかかっていやしないな(むしろ蒼紫の方が危険な立場かもしれない)とホッと胸をなでおろしたものでした。自分の所業(阿片作り)のせいで大勢の人が中毒症状を起こして死んだのだから死んで償うべきだというのは同じ人殺しである(むしろ恵の比ではない)剣心自身の「自分の特技(剣技。恵の場合は医術)を生かして役立てて行くのが本当の償いだ」という凄く説得力のある言葉によって回避されていましたが、現在二ートである彼が生き方を説くのもどうなのか、特技を生かす事を否定はしないがお前はまず働くべきではないのか等々ツッコミは入れてしまったエピソードでした…ゲフッ!

 四乃森蒼紫…「仕官の話なら山ほどあったさ。だがそれは全て俺一人だけの事。部下達を見捨てて御頭の俺が仕官など、何故できる?最後の将軍・徳川慶喜のような醜い裏切りは俺は御免だ。」

なるほど5人分の給料を払ってくれる観柳に乗る訳だ…と元は将軍や大名の城・屋敷を隠れて警護する誉れ高い密偵間者(忍者)御庭番衆(実は実在の役職。最も火男(ひょっとこ)のようなビックリ人間ショーにも出れそうな人物はそうそういなかったでしょうが…。)が一般人の、それも虎(金)の威を借る狐状態の性格の悪い男に仕えている理由が分かったものでした。が、結果そんな男に仕えたおかげで残った部下4人共を回転式機関砲(ガトリングガン)で死なせてしまった最期を見るに完全に雇い主を選び間違えたなと彼の判断に「…。」とも思ってしまったものです。仕官の話が山ほどあったのなら部下4人分養うつもりで自分が大黒柱となって働けば良いものを(薫だって男のニートを3人も養ってるんだしさ!)妙な男気を見せるから人生を誤ってしまったんだとツッコミを入れてしまった人物でした。その後、志々雄に仕えている辺り雇い主を見る目が無いのは治らなかったご様子です…ゲフッ!

 余談…3巻読み切り版の話にて「目線と銃口の角度を見てれば弾道くらい読めるさ!」と拳銃での攻撃を避けていた剣心でしたが、弾道が読めてもそれを避けれる早さで動けるかはまた別の話では?(それは既にマトリックスの動き!)とツッコミを入れてしまったものでした…ゲフッ!

るろうに剣心⑤~⑦

2010.09.19
 幕末4大人斬りの一人・河上彦斎(幕末の大思想家・佐久間象山を一刀の元に斬り伏せた人物)→緋村剣心
坂本竜馬の自称婚約者・千葉佐那(女だてらに強い剣術小町)→神谷薫
新撰組十番隊組長・原田左之助(上野戦争で戦死したが生き延びて大陸に渡り一大馬族の頭領になったという「伝説」まであるという(義経のチンギス・ハン伝説かい!?)人物)→相楽左之助
幕末No,1人斬り・岡田以蔵→鵜堂刃衛
新撰組の観察方・山崎蒸(誰にも顔を覚えられずそれを利用して情報を収集していた)→般若
新撰組五番隊組長・武田観柳斎(甲州文学を学んだ組内では珍しい文官型人間だが目上の者には媚び諂い目下の者には意地悪で陰険な性格の悪い男で時勢が悪くなるや薩摩藩と通じようとして発覚・粛正された男)→武田観柳
新撰組副長・土方歳三(私情を殺し鬼を演じて心で泣いてる人間的弱さを秘めた人物)→四乃森蒼紫
と幕末の時代に生きた人々をモチーフにした登場人物、そして実在人物(山形有朋、相楽総三、大久保利通、斎藤一)が数多く登場することもあり関連させて読んでいくのが楽しい反面ディープなファンからは冗談抜きで剃刀レターが贈られる事も多々あったようです。歴史人物関連漫画を描くのは辛い事だ(バッシング的に)とよく言われているけれど、この作品はその最たる例になってしまった(新撰組ファンには特に。)ようで作者のコメントからチラチラと苦労が偲ばれたものでした。

 三条燕…長岡幹雄「維新で武家が士族になったら今まで仕えてきた長岡家と三条家はもう赤の他人ってかよ!明治ってのは嫌な世だね!四民平等を唱えれば300年の御恩も踏み倒し放題だってよ!」

当たり前だろ、燕はその300年間生まれておらず御恩という名の給料なんて貰ってないんだから…と当然のツッコミを入れてしまったものです。時代は変わり、もはや武家の主従も無くなってしまった今、長岡さんのような男は一気に部下を失ってしまった貧乏人(世が世なら三条家以下色んな人が仕えてくれた俺様殿様な人だったが、あくまでも世が世ならの話で昨日のお殿様も今はただのニートという明治以降の嫌な世の中では誰も思うようにつき従ってくれないのだ。)になったようで、挙句に10歳の子供一人(弥彦)に残り少ない部下共々全滅させられるというしょうもない結末を迎えてしまっていました。(元・旗本家もこうなると惨めなもんだな…。)ちなみに長岡さんの親父に仕えた燕の父親も奥さん子供に逃げられた心痛もあってか後に剣心が身を寄せるダメ人間の村でしょうもない生活を送っており燕ちゃんの周りにはつくづくどうしようもない男達しかいなかったんだな(気分で八つ当たりをするダメ男ばっかりだから、いつ相手が怒りやしないか(そして自分を殴りやしないか)ビクビクオドオドした子に育っちゃったんだな)と実感もしたエピソードでした…ゲフッ!

 石動雷十太…「秘剣「飯綱」、よけられたのは初めてだ。」

金剛石(ダイヤモンド)を真っ二つにするほどの剣技でも金剛石はよけないでいてくれるもんなあ…(あんな殺傷力抜群の剣技で「人を殺めた事が一度も無い」ということは、おそらく金剛石以外に使ったのも初めてだったのだろう…ゲフッ!)とマッチョな外見に反した臆病者精神に溜め息が出てしまった悪役でした…。28歳の剣心よりも年上に見えるオッサンということは幕末の時代に立派に成人していた人間のはずで、なのにマッチョな肉体を賭して時代の為に戦う事はせずにひたすら一般人として影に隠れて震えていたしょうもない男だったのか、という彼の過去を透かし見ると知的な強い男という「外見」に反した「見かけ倒しの情けない小心者という中身」に呆れてしまうばかりの人物です。(弥彦にまで「由太郎が夢に描いた『理想の雷十太』はともかく『本物』はカスだ」と言われてるしな…ゴフッ!)挙句にベラベラと由太郎達を助けたのも狂言誘拐だったと自分でネタバレしているし(そんな事言ったら由太郎に怪我をさせた事と合わせて居候させて貰ってるパトロンの家から追い出されるに決まっているだろ…!)剣心が「2度と剣客として再起はできない」と予言している通りに2度と出番が無かった展開に頷いてしまったものでした。これからの剣道を語る「知的さ」はウンチクだけで頭自体は悪かったんだろうなあと読み終わってしみじみ納得してしまった敵役でした…ガフッ!

 塚山由太郎…由太郎「先生のこの世の全てを蹴散らすような強さこそ俺の理想なんだ。先生くらい強くなれば俺は親父のような無様な生き方をしないで済む。」
父「明治維新後の生活の急変の中で何のつても無い下級武士の私は刀の鑑定の腕だけを頼りに刀剣商になりました。多くの士族が没落している昨今、財を築いた私の人生は傍から見れば成功でしょう。しかし私に言わせれば毎日ひたすら頭を下げて尾を振り続けるしがない負け犬人生です。だから由太郎には強くなってほしかったんです…私の代わりに。」

親の誇りを守るために強くなりたい弥彦とは正反対に「親のようにはなるまい」と思って強さを求めた由太郎でしたが(その割に雷十太先生に尻尾振ってペコペコ媚びへつらっている金魚のフン野郎ぶり(プライドなし)は親父ソックリなのだが…。金を出して居候させてあげている立場なのだしもうちょっと大きい態度に出ても良いのでは?)惜しむらくはその師匠を見る目が全く無かった点、ですかね…ゲフッ!強くても竹刀の握り方一つ教えてくれない師匠(何の為の師匠だ?)より薫の元に出向いて剣術を習い始めてからの方が明らかに腕が上達しているし(「門下生にもなってねーくせに何で毎日稽古しに来てんだ、てめーは!?」by弥彦)確実に先生にするべき人物を選び間違えたなとラスト、当の雷十太に腕の腱をバッサリ斬られ治療も含めてドイツ行きとなった展開に悲しみを感じてしまったものでした。おかげで大きな屋敷を建ててドイツにも行けちゃう金持ちの息子を門下生にし損ねた薫さん家の道場は今日もニートの門下生(弥彦)1人であり、剣術の行く末を悲観するのは「心配無用」だとサブタイトルにまでなっているけれど(実際、剣道は現代日本の今の時代に到るまで続いており廃れることは無いのだけれども)それはそれとして道場の経営難は心配すべきなのではとツッコミを入れてしまったエピソードでした…ゴフッ!

 月岡克浩…左之介「赤報隊ってのは四民平等って名の理想に生きた部隊。今更汚すわけにはいかねーよ。」
月岡「綺麗だの汚いだのなんて関係ない!目的の為には手段など選ぶ必要はない!」
左之介「それじゃあ赤報隊(俺達)は本物の『ニセ官軍』になっちまうな。」
月岡「…っ!」

こうしてわずか2人の男によって再結成された赤報隊(「今でも俺の他に友達1人もいねーのか…。」by左之助)はたった一晩で再解散したのでした…ゲフッ!投げつけられる数々の爆弾(炸裂弾)の導火線だけを切る事が出来る剣心の腕もさすがですが爆弾を持ったまま指二本(人差し指と中指)で着火できるこの人の特技も地味に凄いとこれはこれで注目させて貰った戦いぶりです。(あんたら揃ってビックリ人間ショーに出れるよ…。)という訳で取り締まりが厳しくても「正当な」手段で政府の非道を正す為に新聞屋(絵草子新聞)を始めた元絵師・月岡津南さん。当時のマスメディアの一員となるのに(ブン屋の情報網という人間関係を結成するのに)そんな暗い性格で大丈夫なのかと別の所で心配もしてしまった人物ですが前向きに頑張る気になったようで取りあえず安心したものでした。

 斎藤一(藤田五郎)…斎藤「俺たち幕府側の人間も『敗者』という役で明治の構築に人生を賭けた。俺が密偵として政府に服従しているのは明治を食い物にするダニどもを『明治に生きる新撰組』の責務として始末する為…」
渋海「ま…待ってくれ!金ならいくらでも…!」
斎藤「…犬は餌で飼える。人は金で飼える。だが壬生の狼を飼うことは、何人にも出来ん。」

牙突、映画ではワイヤーで引っ張って異様な出来になったそうです…ゲフッ!(ちなみにこの必殺技「牙突」は斎藤の必殺技「左片手一本刺突」をアレンジしたものだそうで実在の技ではありませんので念の為。←なのに映画でやっちゃっていいのか?)それはともあれ剣心(維新政府側で戦った人間)を主人公にしている都合上もあり、完全に「悪役」として登場した事、美形の優男というイメージからかけ離れた「悪人面」(肖像画を見る限り皆が祭り上げるほど麗しい美形でもない気がするのですが…。)警官という仕事の裏で暗殺稼業を副業としてこなし初登場から道場を破壊して左之助に重傷を負わせた(人気投票第2位の支持を誇る左之助を叩きのめしてしまっては彼のファン(多数の読者)も怒っただろうな…ゴフッ!)という凶悪な顛末にに読者(主に新撰組ファン)からのバッシングも最高潮を迎えたと制作秘話に書かれていました。(遊びで登場だけさせた土方家の石田散薬まで「何で斎藤が売っているんですか!?」ともう重箱の隅までつつく始末で大変だったんだとか。)しかし、イメージと違っていても↑のセリフといい、これはこれでカッコイイじゃないかとダーティー・ヒーローぶりにどんどん人気は上昇し今やすっかり人気キャラの一人となったようです。(それでも数多く登場しながら数コマしか登場していない沖田総司に人気投票で負けている辺り読者の皆さんがどんだけディープな新撰組ファンだったかが伺えるが。)アレンジ溢れる人物解釈(並じゃビビってここまで外せない)に私は始めから好感が持てたんですけどね。(アンチがいるのは人気者の辛い所だという事で…ゴフッ!)

 大久保利通…島田一郎「もう、殺されている…。」
長連豪(ちょうつらひで)「俺達の前に誰が大久保を…いや、俺達はどうするんだ…?」
島田「…どうもこうもない。大久保は俺達が仕留めたんだ。目撃者はいない!大久保は俺達7人が殺ったんだ!」
長「お…おお!」

1878年(明治11年)5月14日紀尾井坂にて「維新の3傑」最後の一人である大久保利通(あと2人は西郷隆盛と桂小五郎)が白昼堂々と暗殺されたこの事件、実際には馬車のドアを開けたその時大久保は立派に生きており「無礼者!」と一喝したおかげで余計に怒りを煽ってしまったのか全身16箇所の刺し傷を浴びて(それも傷の半数は頭部、うち一つは首から地面を貫いた非常にグロイ死に様でこの作品ではまだ顔形が残っていた(過去形)が、それどころじゃない死体の有り様だったのだとか…。)殺されたそうです。「既に政府と新聞社に斬奸状は送った」とあるように犯行予告は警視総監まで知っていたのですが「石川県民に何が出来る。」とたかをくくって何にもしなかった為に予告通りの暗殺が決行されてしまったのでした…ゲフッ!(今も昔もいざという時に警察が何の役にも立たないという悪い見本だな、これは…ゴフッ!)その「誰の一撃が致命傷になったのか分からない」事実を「フィクション上の人物(誰だか分からない人物)が致命傷を加えた」と改変したこの解釈は面白いとも感じたものです。志々雄さんからの伝言を伝えたのに伝言ゲームを発生させる前に殺してどうするというツッコミは有るのですが、一説によると宗次郎が口を押さえた際に大久保がベロベロ手を舐めてきたのが気持ち悪くて思わずその場の勢いで殺ってしまった(「何、伝言を広めそこなった?」「だってあの人、手を舐めるんですもん。」)そうで、これで辻褄も合うなと1人で納得したものでした…ガフッ!

 緋村剣心…剣心「今の拙者は自分の目に映る人を守れる流浪人(二ート)としての強さがあればそれで良い。」
斎藤「二ートとしての強さ…ねえ。だとしたら今のお前は二ートすら失格だよ。刃衛の時は薫、観柳の時は恵と目に映る人を人質に取られまくって、雷十太の時は由太郎が一生物の後遺症を伴う傷を負ったり全然守れてないだろうが。」

既に流浪人=二ートの図式が出来上がってしまっていた私にはシリアスなシーンも笑うばかりでございました…ゲフッ!(そうか、二ートすら失格か…ゴフッ!)しかし、二ートとしてダラダラ生きたい本人の希望はともかく志々雄の事は放っておけないという気持ちが有り、断る前に大久保さんを暗殺されてしまい「友達の仇撃ち」という理由にも後押しされて剣心はとうとう家を出て仕事(暗殺)するに到ったのでした。(違うから。)単身赴任に他の家族は連れていけないと「今までありがとう、そして…さよなら。拙者は流浪人。また…流れるでござる。」と家主(薫)にきちんと挨拶をして去っていった彼。(左之介も恵も数分前までそこにいたし、弥彦だって家の中にいるんだから一緒くたに挨拶くらいしてやれよ…と思わずツッコミを入れてしまいました。)この日、緋村剣心は再び流浪人に戻りなんだかんだで3か月以上タダ飯を食っていたのに食費も居住費も一切払わずに漆黒の闇の中に1人消えていったのでした…ゴフッ!(そりゃ薫も泣いて寝込むわな…ガフッ!)

 余談…恵「暗くて傷口がよく見えないわ!蠟燭でも何でもいいからもっと明かりを!」
薫「恵さん、ハイ!蠟燭よ!」
恵「オホホホホ!熱いでしょう!?…ってあたしに渡してどうするの!?誰か持っていてくれなきゃ治療できないでしょ!」
薫「も…申し訳ございません!」
というネタがあったなあ…と左之助が深手を負って倒れているシーンで、そんな場面じゃないと知りながらも含み笑いをしてしまったものでした。

るろうに剣心⑧~⑫

2010.09.18
 読者からの手紙の中には「私も新撰組大好き!だから勤王志士は大嫌い!」「新撰組好きなんて信じられません。佐幕の犬じゃないですか!」と勤王派と佐幕派の一方だけを推している人(そしてもう一方に対してはアンチ)がチラホラいたそうで明治維新の面白い所は派閥抗争ではなく各々が自分の正義の為に生き抜いた姿だと思っていた作者からは勿体無く思うとコメントで書いてありました。(かく言う作者も一番好きなのは新撰組の土方歳三で二番目は薩摩の大久保利通と見事にバラバラ…勤王と佐幕と両方あって初めて幕末維新が成り立つというだけあってそこに偏見は無かったらしい。)解釈次第でどっちが正義に見えるかも違ってくるのだからあまり一辺倒な考え方も間違っているよなと素直に頷けた意見でした。ちなみにこういう作者の意見は登場人物制作秘話(特に斎藤一)と合わせて「あんなこと書いて読者にケンカを売るのは損ですよ…。」と読者の側からも心配した意見が届いたそうで(実際「士道不覚悟ならいっそ辞めちまえ」とか追い打ちバッシングもあったらしい。)なのに本来バラさなくてもいい元ネタを全部白状している(黙っていればバレない物も多々あったであろう)制作秘話コーナーを辞めなかった辺りこの作者は強いなあ、と感じたものでした…。

 神谷薫…「恵さんには分からないわよ。面と向かってさよなら言われた私の気持ちなんか絶対に分からないわよ!」
恵「…そうね。けど、それはお互い様よ。さよならすら言って貰えなかった完全に忘れ去られていた私の気持ちは、あなたには分からないんだから。」

同じ「剣心に捨てられた女」でも不幸の度合いは恵の方が上で同情に値するし、「追いかける女」としては夜逃げされてもくじけずに自分から全国探しに足を伸ばす操の方が可愛い…と失恋のショックはともあれ拗ねて寝込んで周り中に八つ辺りしている姿は読者の皆さんにも大変不評だったそうです。(恵さんも平手打ち寸止めなんてせずにそのまま一撃入れてしまえば良かったのに…ゲフッ!)そうして恵さんの叱咤激励(プライド捨てての恋仇の後押し。剣心にヒロイン認定されていれば自分が京都に行きたいだろうに…。)に背中を押されてやっと出発し、最初から居場所の分かっている京都へ弥彦を連れて旅立つ辺り…女1人でも追い剝ぎしながら(犯罪行為をしていることはともかく)居場所も分からない相手(蒼紫)を探し続けている操と比べるとやっぱり情けない限りで、あんまり共感はできなかったものでした。すっかり気の弱いヒロイン然としているけれど「もう頭にきた!こうなったらどんな手を使っても剣心に絶対会ってやるわ!そしてまず一発ぶん殴る!」と足を踏みならして怒りをあらわにしていた「強さ」はどこ行った?と違和感ばかり感じてしまい(裏表があるのが女だと言われてしまえばそれまでなのですが…。)以前の読者の意見にもあった通り強いんだか弱いんだかよく分からない女だという感想を改めて感じてしまった女性でした…。影で泣いている恵さんの方がよほど大人でいい女だとも感じてしまったり…ゴフッ!

 巻町操…「好き勝手なこと言うな!このウスラトンカチ!一番想っている人を忘れることの一体どこが幸せなのよ!」

薫⇔剣心←恵の三角関係だけでも厄介(恵が哀れ)なのに、そこにこれ以上フラレ役を入れて話をややこしくしてどうする?みたいな意図から代行ヒロインとして登場した操は道中二人で連れ立ち10日間も同棲する(その気があったら襲い放題じゃないか。)にも関わらずベクトルは蒼紫に向く事になった次第…だそうです。(よくある話だと誰も彼もが主人公に惚れて二股三股当たり前の収拾がつかなくなる展開になるんだけどね…ゲフッ!)とはいえやっと再開した想い人からは「失せろ。2度と俺の前に姿を現すな。」とまで言われてしまうし大事な家族(翁)は殺されかけるし(知らない間に般若くん達隠密御庭番衆の仲間は死んでるし)「悲しい試練」どころじゃない悲劇の連発には同情ばかりしてしまった代行ヒロインでした…。(薫に当てはめて考えるとやっと再会した剣心からは「失せるでござるよ。」と振られ、当の剣心に弥彦を半死半生にされ、左之介と恵は既に死んだ後でした…という所か。辛過ぎるだろ、この状況!)弥彦の言ではありませんが私もあんな根暗で危ない男のどこが良いんだとツッコミを入れてしまったものです。子供の頃から憧れていたとはいえ相手はもう別れた時から10年以上も年を取ったオッサンであり(15歳の少年なら5歳の少女の「カッコイイ初恋のお兄ちゃん」になれるだろうが16歳の若さ溢れる選び放題の女の子が25歳のニートに惚れてくれるか?と考えると疑問符ばかりが出るのですが…。)普通は養父・翁に全身の縫合合わせて138針も縫うほどの大怪我を負わせた(「医者の見立てでは生きてるのが奇跡だって…。」)時点で終わる思いだと思うんですけどね…ゴフッ!

 四乃森蒼紫…蒼紫「抜刀斎はどこだ?」
斎藤「オイ、それが人に物を聞く態度か?御庭番衆御頭なら作法位知っているだろう?まずは布団を敷いて服を脱いで俺を誘え。お前の質問は事が終わった後だ。」

キーワードは「御庭番衆御頭」、レッツトライ、これで今日から蒼紫は君のものだ!…という同人誌のネタにあるとおり宗次郎の「それじゃあ御庭番衆御頭の名が泣きますよ。」という一言で志々雄側についたダメ蒼紫でした…ゲフッ!大ボスである志々雄の元に居れば何もしなくてもいつか抜刀斎はやってくるでしょうに「早く!早く抜刀斎の居場所を教えて!」というその気持ちだけで翁に深手を負わせ(祖父世代の年齢の男に回点剣舞六連をぶちかますなんて老人虐待じゃないか…。)仲間まで裏切ったその経緯(「葵屋って所を襲撃して拷問の一つ二つかませば多分抜刀斎の行方がつかめますよ。」「…だそうだが、どうする、御頭さん?」「良いんじゃね?」)も共感できず「…。」と感じてしまった人物です。死んでいった仲間達の為に「最強」の称号を授けてやりたい(だから抜刀斎に勝ちたい)その気持ちはまだ分かる、けれどその為に残った仲間達(葵屋に住む京都御庭番衆の皆)を裏切ってまで犯罪(京都大火計画)に加担するのは違うだろ(操じゃなくて本来アンタが筆頭に立って放火を阻止する立場でしょうに…。)先代御頭の唯一の孫である操を危険に晒したくないなら京都ごと炎に包まれそうな犯罪は止めろよ等々ツッコミは絶えなかった男です。同盟を組んだ志々雄すら「アンタそのものは気に入っているけれどアンタの様な人間は俺の『部下』に要らない。いずれ組織破綻のカギになる。」と「仲間」からははじいているし(何気に部下にはしてあげた盲剣の宇水以下の評価。)こいつを御頭に推した翁は本当に人選を誤ったなと実感したものでした…ゴフッ!

 尖角…栄次「そいつは俺の仇だ!邪魔をするな!」
斎藤「仇討ちは明治6年に法令で禁止されてる。仇討ちせんでもこいつは取り調べの拷問って付録つきで死刑台送り決定だ。気絶したままトドメを刺されるより、よっぽど苦しいぜ。」

それなら安心した(まだ人権団体が喚き出していないこの時代、死刑執行も早い事だろう。)と余計に苦しい最期を迎えている様にホッと胸をなでおろしたものでした。(オイ!)制作秘話によると本当は10本刀の一番手になる予定だったのに志々雄様の温泉ぶらり旅(京都に着いてもいない段階)にそんなメインレベルの戦いを持ってきてどうする、と一村落の暴力統括者(馬鹿力丸出しの雑魚)に格下げされてしまったそうです…ゲフッ!蒼紫にわずか4ページで瞬殺された阿武隈四入道(…。)を描いているうちに「このトンガリ頭は雑魚にもったいない!」とせっかく独立させたのに結局ザコになってしまった経緯には多少同情もしてしまいました。また、彼の服に関してこの時代にモジモジくんスーツ顔負けのピッチリ服(頭巾が無くなって半袖になっただけ)が有ったのかは謎ですが(まあ肩丸出しでお尻のラインもきわどい男が着用すると非常に見苦しい「レオタード」でなかった分だけマシですが)何はともあれるろ剣一のセクシーダイナマイツキャラ(特に股間)だったなと変な所で印象に残ってしまったキャラクターでもありました…ゴフッ!

 緋村剣心…京女A「酷いわ、剣さん!弄ぶだけ弄んで!」
京女B「アンタ、お腹の子はどうしてくれるのよ!」
剣心「京都…維新から10年、日本中を流れてきたが、この地だけは2度と踏む事は無いと思っていた…。」

それで10年も流れていたのか(ていうか逃げてたのか…。)という同人誌のネタを読んだ事があります…ゲフッ!(奇しくもこの京都編の後に剣心に妻がいた事が判明する人註編が始まったので「やっぱり女を理不尽に捨てたとか女を無責任に弄んだとか挙句に妻が心労昂じて自殺したとかそういう展開だったのか」と心から納得できました。←違うから。)話では恵に薫に2人もの女性から愛されている彼ですが男女(女顔。男よりも女の方が肌のきめが細かくて綺麗な顔なのでこれはこれでイケメンという長所にもなるだろうが。)なのはともかく、チビで赤毛で(それは本人のせいじゃないけれど。)顔に大きな×傷のある(これは殺した人達から今わの際に残された言い訳のしようがなく本人のせいである傷。)男、しかも悪趣味な赤い着物を着て堂々と廃刀令違反をしている二ートの彼(明治を10年も過ぎ侍が社畜(ではなく士族)になった今、そんな恰好をしたら周りはドン引きするばかりである。)は…そんなにも魅力的な男か?と個人的には疑問が出てしまったものです。現実を見ると10日も同じ屋根の下で暮らしておきながら操が蒼紫→緋村に心変わりしなかったのも納得がいってしまったり…ゲフッ!(同じ廃刀違反の二ートなら服装だけはマトモで「若い」蒼紫の方がまだ少しだけマシだよな…ゴフッ!)人気投票と剣の腕は確かに一番でしょうが甲斐性は無いよなと改めて感じてしまった男でした…ガフッ!

 沢下条張(刀狩の張)…張「見さらせ、この頭!これぞ『怒髪天を衝く』ってヤツや!」
剣心「…元々でござろう。そのイカレたホーキ頭は。」
張「人のボケに真顔で突っ込むな、このドアホゥ!」

…え?突っ込み(走り)とツッコミ(漫才)をかけたダジャレ!?と走りながらの一人ボケ突っ込みに笑ってしまったものでした。(文字通りギャグに体張ってますな…ゲフッ!)ちなみにこのキャラクターは「世間一般における誤った関西人のイメージ」をモチーフにしただけで現実の関西人は赤子と一緒に逆中空納刀を決める危ない男ではなく(ちなみにここで逆中空納刀を外したら色々な意味で笑えない結果になる)相手の武器(刀)が壊れているのを承知で人質を取って勝負を仕掛けてくるふざけた男でもなく(それで「正々堂々」ね…。)赤ん坊斬りをやりたがるイカレた男とも違う(「あれは『刀が好きな』目じゃない!あれは『刀で人を斬るのが好きな』目だ!」by青空)ので全国誌用に砕いた関西弁と共に大目に見て下さいと作者からもコメントが残っていました。セクシーダイナマイツキャラの尖角と違って人気も出た(セクシー度で言えば警察の牢の中でも上半身裸のままでいる張もいい勝負だが…ゲフッ!)おかげか警察に早々に捕まった後、サッサと知っている限りの計画の全貌をベラベラ喋った功績を認められてめでたく斎藤の部下として再就職も果たし10本刀の中では唯一「息の長い脇役」として残るのですが、一応警察(国家公務員)の一員(手先)となった以上はその髪形は辞めた方が良いのではと真っ当なツッコミも入れてしまった登場人物でした…ゴフッ!

 比古清十郎と一心太…比古「優し過ぎて剣客にはそぐわないな。今日からお前は熊太郎と名乗れ。」
心太「嫌だよ!そんなダサい名前!この妖怪赤マント!人さらい!」

緋村熊太郎、語呂だけは良い名前だと思うけどな…と同人誌のネタを読みながら思ってしまったものです。(でもさすがに「るろうに熊太郎」じゃタイトルとして微妙か…ゲフッ!)という訳で作者のデビュー作「戦国の三日月」の主人公から13代目の継承者なのか(血でなくて才能で受け継ぐから代々の継承者が実の親をバッサリ斬り殺しながら奥義を会得してきた訳ではないそうでホッとしました。師匠を斬り殺しながら技を会得する流儀というのもかなり嫌ですが。)読み切り作とは同じロン毛でもかなりの別人になり果てている「比古清十郎」でありマントの下はボディビルダー顔負けのマッチョな体つきに「彼の顔に惚れたけど肉体に幻滅した女性ファンがいたらごめんなさい」と作者からもコメントが書かれていました。(いや、私女だけどマッスルだからって別に引かないですよ。(むしろそこまで鍛え上げた努力を誉めたたえてあげたい。)飛翔の蝙也みたいにウエストの細いガリクソンだったら心の底から幻滅しますが…ゴフッ!)それよりも何よりも奥義の一撃をくらって当の素晴らしい筋肉の鎧がメキメキと傷ついたのに瀕死の重傷を負った翌日の朝に何故、何事も無かったかのように重り付きの白マントまでつけて健康に過ごしているのか(…脱皮?)そっちの方がよほど気になりました。やせ我慢してるのかと思いきやそんな体で山を降りて挙句に十本刀の不二と戦って勝っているし(つまり超健康体。どうなってんだ、飛天御剣流!?)謎は深まるばかりの師匠でした…ガフッ!(そもそもあの顔と体で43歳って…。)

るろうに剣心⑬~⑰

2010.09.17
 雑誌のコラムに「バーチャル明治」とも評価されていたそうで「ウンチク的明治学習漫画」でなく「仮想の世界の上でほんの少し明治を感じる漫画」として良い意味で迷いが一つ吹っ切れたとコメントに書いてありました。(でもそのコラムは否定的な意味としてそう書いていたらしいですが…。)という訳で「京都編が終わったが最後、この作品も終了しちゃいませんよね!?」と危惧されていたこの話はまだまだ続くのですが、この後の過去編は暗い展開とグロイ展開ばかりで正直一番面白かったのはここまでかな、と認識を新たにしてしまったものでした…。

 佐渡島方治…宇水「ホントの事話せよ、方治。ホントの事話せば『痛い思い』はせずに済むぞ。」
方治「な…何をする気だか、自分にはさっぱり…って、うぎゃああああッ!」

…と「七爪の罰」でなくて「男同士の情事」(別の意味で痛い展開)に突入したネタがあったなあ…と十本刀の半分以上を葵屋に向かわせる決闘無視の卑劣な計画慣行及び汚れ役決定譚を読みながら思い出し笑いをしてしまったものでした。罰のおかげで刀も握れず仮にも一応十本刀の一員なのに戦う機会さえ無くなってしまった彼。(こいつにファンがいないのは他の十本刀のように剣心一味を相手に死闘を繰り広げる「見せ場」が1ページも無い事も原因になっていると思う…。組織のブレーン(頭脳労働者)たる彼に「戦闘能力」なんか始めから無いだろう(爪の状態に関わらず、この男は闘えないよ。)という最もなツッコミも弟から貰いましたが…ゲフッ!)敵の忠臣は他の作品でもよく見かけるものの、大抵はボスに好かれて自分が良い思いをする為にくっついている腰巾着(イエスマン)であり、ボスに嫌われるかもしれないと分かっていて意見する彼(「どんな卑劣で卑怯な手段を使っても完全勝利を志々雄様に捧げる!その為には人に同胞に、そして志々雄様にさえ蛇蝎の如く忌み嫌われようと私は一向に構わない!」)は結構新鮮な存在…だったのですが、惜しむらくは美形とは言い難いその容姿(顔)のせいか、あんまり人気は出なかったようです。(第2回、3回のキャラクター人気投票があったけれど、あまりに順位が低すぎて名前すら載っていなかったしな…ゴフッ!)自殺して地獄に行くほど志々雄様に心酔しているのなら決闘の最中に手持ちの銃で剣心一味を揃って撃ち殺してしまえば良かったのに(志々雄様に嫌われても構わないし「卑劣な手段」にもGOサインが出せるのなら…ねえ。)ともツッコミを入れてしまった登場人物でした…ガフッ!

 悠久山安慈…「炎の中で苦しみ殺されていった子供達も私が明王として闘い続け救世をこの世にもたらすことを望んでいるはず!」

全ては死んでいった子供達の為にやっていたつもりだったのだけれどももしも今その子達が目の前にいたら、こんな怒りの化身のような和尚様を前に喜んだりはしないだろう(救世(ぐぜ)の是非はともかく、あの子達は「優しい和尚さま」が大好きだった、ただそれだけの思いしかなく、自分達の復讐をすることも、ましてや傷つきながら生きて行く事も望んではいない。)ということに廃仏毀釈の悲劇(1867年の明治元年、祭政一致を図る明治政府が仏教勢力の抑制を図る為に「神仏分離令」を布告した事がきっかけで仏教弾圧の嵐を招き、数多くの寺院、仏具、経文が破壊された。安慈の寺もこれに洩れずもれなく子供達と一緒に焼き打ちの目に遭ってしまい…怒った彼はアーノルド・シュワルツネッガーも真っ青な位に体を鍛え復讐に邁進することになった。)から10年近くも経て手を汚しまくった今更になってから「気づかされた(だけ)」って物凄く重い現実だな…(気づいたからってこれからどうしろと…?)と実は救われていない和尚様に再度涙してしまったものでした。他の十本刀達は何十人殺してようと、その特出した能力を買われてサッサと出所して再就職を果たしている(今も昔も警察って…。)のに対し彼はあくまでも罪を受けると懲役25年を喰らっている有り様で、どこまでも幸せとはほど遠い結末には、もう、泣くしかありませんでした…。(和月先生、安慈のその後の構想は浮かんだ後どこに消えちゃったんですか!?)

 魚沼宇水…「心眼の正体はコレ、はるか遠くの小川のせせらぎの音まで聞き取るこの『異常聴覚』。これにかかれば人間など音の塊。心臓の鼓動は私に相手の心理状態を、筋肉の伸縮と骨の摩擦音は攻撃態勢を如実に教えてくれる。」

つまり暗闇の中でも全然問題ないのに相手の為(だけ)に明かりをつけてあげたり、攻撃を防いだ原理(心眼)をわざわざ教えてくれたり持っている武器(ローチン)に毒も塗らない辺り戦士の鏡だな(どんだけいい人なんだ?)とちょっと彼を見直してしまったものです。話では剣心と戦う事も無く、斎藤相手にわずか2話でやられてしまう(そして「志々雄の命を狙っている」のも周囲に復讐を諦めていない事をアピールするポーズであって、実際にはとうの昔に「負け」を認めている。)せいでへタレ感もありますが実際の彼の腕は宗次郎に次ぐ組織のNO.3であり志々雄にとっても(実力だけは)有能な人間ではあったようです。最後は妖怪テケテケ(上半身だけで腕だけをテケテケ動かして移動する妖怪。元々は電車事故で下半身が轢断された女の子が冬の寒さのせいで出血が止まりそのまま数分間生きていた霊が妖怪化したものらしい。)よろしく牙突で体を真っ二つにされ、挙句に「己の信念を貫けなかった男など生きてても死んでても惨めなものだ。」とイヤミの追撃まで受ける、かくも無残な最期を遂げたラストには多少、同情もしてしまったものでした。しかし自分より弱い人間を何十人と嬲り殺してきた彼はどう頑張っても地獄行き決定でしょうし、また志々雄の配下になるしかないんでしょうね…。(死んでからもそんな人生か…。)

 本条鎌足…鎌足「鎌女?やーねえ、勘違いしちゃって。私はね…鎌女じゃなくてカマ男。」
操「ぞっ…象さん、毛の生えた象さんがぁ~!」

そうそう、昭和の時代で火事の際に女性が風で着物がめくれると何もかも丸見えになるのを恐れて逃げ遅れ、何人もの死者が出た事件が当時の新聞にも取り上げられていたけれど、まだ時代は明治のこの頃、着物を着てる女性ってノーパン&ノーブラなんですよね…(下着のラインが出てしまうのがカッコ悪いので敢えてつけないんだとか…今でも「通」な人はティーバックなど下着のラインが出にくい(というより布地の少ない?)パンツを履いているんだそうです…ゲフッ!)と、スカート(じゃないけど)をめくって全てを丸出しにした男気に当時の風習と合わせて頷いたものでした。(この人だったら丸見えも構わずに火事の際、堂々と逃げれそうですね。その後大変な騒ぎになりそうだけど…ゴフッ!)志々雄様にとって男(戦士)としての1番は宗次郎で女(恋人)としての1番は由美であり自分はどんなに頑張っても「一部下」という「その程度の立場」でしかないことにずっと忸怩たる思いがあったようで最後は切なさも感じてしまったものです。しかし張が「騙った」語り部という新しい生きがいを見つけて前向きに生きる気にもなったようだし、そのうちきっと良い事があるさと慰めも入れた登場人物でした。願わくば「十本刀は『敗れた時には明治政府に歴史を自由にさせぬよう後世に語り伝える語り部になる』影の任務がある」というその嘘で方治も一緒に騙されてくれれば良かったのですが…。(頭の良いあの人は騙されてはくれないか…ガフッ!)

 瀬田宗次郎…義父「今日中に米俵100俵、西の蔵に移しておけって言っただろうが!出来ねえじゃねえ、やれって言われたらやりゃいいんだよ!」

そうやって毎日何十もの米俵を運ぶ生活をしていたら、そりゃ物凄い脚力と腕力がつくだろうなあ…と脇差一本で義父一家を皆殺しに出来た力強さに頷いてしまったものでした…ゲフッ!(今まで全く反撃をしなかったから自分でも弱いと思いこんでいただけで、酒かっくらって寝てるだけの親父や筋トレしている様子は見られない兄貴よりも実は筋力・体力面で勝っていたのだろう。)おかげで人間として大事な感情は失くしたまま「強い者が絶対だから」という盲信的な考えの元に志々雄さんについて行っていましたが(それはつまり「強い人間」が義父一家から志々雄さんにすり替わっただけで問題の根本は「あの時」から何も進んでいなかったのでは…?)「今からでも(オウム真理教の信者よろしく絶対権力者に従うのではなく)人間としてやり直しはきかないのか?」という剣心の言葉にようやく自分でも忘れていた感情を取り戻し、組織に属さず自分で生きることを決めた様子です。(良かった、沖田総司のように早世しなくて…。)こうして彼は18歳にして無職の生活と相成りましたが縮地(初速からいきなり最高の速さに達する足の運びで一瞬の内に相手の間合いを侵略する「幻の体技」。まるで仙術のように地脈を縮め距離を短くし瞬間移動したかのごとく写る事からこの名で呼ばれる。当たり前の話だが漫画以外では見た事が無い。)も使えることですし、その気になれば人力車の運転手や郵便屋として職に就く事も可能(かもしれない)と、多少明るい未来を考えたりもしました…。

 駒形由美…「勝って下さいませ、志々雄様。由美は一足先に地獄でお待ちしてます…。」

この人は誰を殺した訳でもないのに、自殺した訳でもないのに何故地獄に落ちてしまったのだろうか…?(本人は文字通り「死ぬほど愛した志々雄様」について行けて、彼に殺されても地獄に落ちても本望だと言いそうですが…。)と多少理不尽も感じてしまったお姉さんでした。1872年、明治5年のマリア・ルーズ号の事件(「ペルー船さん、脱走するほど奴隷を酷使するなんてちょっと酷過ぎやしませんか。ここの中国人苦力(クーリー)は全部解放させて貰いますからね。」「に、日本だって遊郭に娼婦という名の『奴隷』がいるじゃないですか!」「し、娼婦は人にして人身の自由を奪われたもので、いわば『牛馬』と同じです!『奴隷』じゃありません!…という訳で店に対して借金の元に縛られている彼女達だけど、人が『牛馬』に借金を請求する訳にはいかないよね。解放してあげてちょうだい。」と辻褄を合わせて解放令を出した事件。この事件により日本は「世界に人道を尊重する国家」として面目を上げることとなった。←あの、後半部分の遊郭のお姉ちゃん達の「人道」ってどうなってるんですか?)より、花魁として誇り高く生きてきた由美さんはプライドをいたく傷つけられ明治政府に恨みを募らせた(「奴隷はそれでも人間だけど、娼婦は人間じゃなくて牛や馬と同じなんだって。明治政府は私達を女じゃなくて雌だって言い切ったのよ…!」by由美)ので、結果として復讐を果たせなかった顛末は不幸だけれども、命を懸けるほど愛した人と一緒になれて、そこだけは幸せだったのだろうと好意的に解釈することにしました。明治政府って裏でけっこう悪どい事をやっていたんだな(そして作者もよく調べたな…。)と色々と考えさせて貰ったエピソードでした。

 志々雄真実…「抜刀斎との闘いは時代が俺を恐れて奴に力を貸したが地獄には悪人しかいねえからな。今度はそうはいかねえぜ。」

「時代が生きるべき者を選んだ」だけで自分は抜刀斎に「負けた」訳でも「国盗り」が終わった訳でもない(「閻魔相手に地獄の国盗りだ!」by志々雄)と元々地獄肯定派であっただけに、本当に地獄に落ちてもポジティブに捉えている彼は心底たくましい男だ…と別の所でも感心してしまいました。(作者によると「それでもお共が方治と宇水のオッサン2人だけじゃやるせないだろう。」と由美姉さんも付けてあげたそうです。)弱肉強食をポリシーにした彼の理想(それにしたって本当に剣心の肩肉を食べなくてもよいと思いましたが…。)が明治政府の「富国強兵」政策の元に実現されていく日本の未来を考えると本当にどっちが正しかったのやら、むしろ志々雄がトップに立っても日本の未来は変わらなかったんじゃないか(まあ明治時代の日本という「史実」を背景にしている以上、実在人物以外の人間にトップに立たれては困るという事情は分かるのですが…。)等々色々考えてもしまったものです。「もうこの作品ではこういう悪役は描けない」と作者が言っている通りに次の人註編での大ボス(縁)はガックリと魅力とカリスマ性に欠けてしまっている様を思うと残念に思えてならない京都編の終了でした…ゲフッ!

るろうに剣心18~28

2010.09.16
 過去編を通して桂小五郎や高杉晋作という史実上の人物(知的な桂、奔放な高杉というオーソドックスなイメージのままの幕末・長州の2大スター)が出てくるもほぼ背景扱い(斎藤一のように物語に喰い込んでくる「主要登場人物」にはなっていない。)敵方の皆さんも史実上の人物をモチーフにしたキャラクターは今回皆無(しかも「十本刀がいまいち憎み切れない奴が多いので今回の5人は全員最低な奴らにしよう」という作者の思惑が反映して全然共感できない敵さん達に…。)で話は長いけれども暗いしグロイしあんまり面白くは無かったなあ~と感じてしまった最終章でした。その先も(人気があったのに)引き延ばさず自ら幕を閉じた作者は偉かったと思いますが、おかげで宗次郎のその後(北海道編)などは永遠に描かれる機会を失ってしまい読者としては「ここで終わらせるなら2度と剣心は描くなよ。」という禁止令(脅迫じゃないか。)を出した編集者を恨みたくなる顛末でした…。

 明神弥彦…「『十歳としては強い』ったって剣心達の力になんなきゃ、そんなの『弱い』と同じ…!俺だけ弱いのはもう嫌なんだよ!」

実際、薫が実戦はもちろん試合でも一度も成功した事の無い奥義「刃渡り」を弥彦相手になら決める事が出来る辺り彼の弱さのほどが分かります…ゲフッ!(一応、薫は設定上は「全国レベルの竹刀剣術の使い手」だそうなので弥彦が弱いのか薫が強いのかという疑問は多分後者の方が正解なんでしょうが…。)とはいえ彼はまだ10歳の子供、19歳の体の出来上がった青年(左之助)や古流剣術免許皆伝済みの脂の乗り切った20代後半の男(剣心)と同レベルを目指すのはちょっと無茶のある話で、ここは彼よりも確実に強い人間として薫が戦うべきなのではないか(アンタ、弥彦と違って既に奥義を体得している人間なのに何で闘ってないの…?)ともツッコミを入れてしまったものでした。最も薫は戦いの舞台である道場の持ち主というご主人様であり(今回もまた派手に壊されている道場の修繕費は一体誰が…?戦うべきは普段彼女に養って貰っているニートの3人であるべきと言ってしまえばそれまでなのですが…ゲフッ!

 雪代巴…「これで全て良いんです。だから泣かないで下さいな…。」

一応モチーフはクール・ビューティーだったそうですがクール・ビューティというのは現実にそう称された代表格がハリウッド女優グレース・ケリー(美しく健康的で気品があり、それでいて官能的な女優。冷静で「優雅」な様を称賛して人々は彼女をクール・ビューティーと称した。が「確かに彼女は静かな雪に覆われた美しい雪山のような人だった。しかしその山は実は火山だったのだよ。」と語る人がいる事からも分かるとおり表面に出していないだけで情熱と信念を持った完成されたレディでもある。)である事からも分かるとおり、「冷静」なのは感情表現がド下手くそなだけで、美人ではあるけれど周りを華やかにさせる雰囲気に決定的に欠けている巴(クール・ビューティーという「称号」を掲げるには明らかに役者不足)は…ちょっと違うような気がした私でした。(「冷静な大人の態度」と「根暗」はまた別物だと思うの…。)充分に愛してあげられなかった婚約者(で「今のままの俺じゃ不満なのかよ。」と彼が京都で侍奉公を始めた結果、人斬り抜刀斎に殺されてしまった)の仇を討つ為に仇の所で居候を始めたら今度はその仇と両想いになってしまった…そんな彼女の運命は確かに不幸ではあったけれど恵が言うように2人の男に文字通り「死ぬまでは」愛された人生でリア充にも程がある…もとい、決して悪くはない人生だったろうなと頷いてはしまったものです。ただ、2人の夫(愛したもう一人のあなた)との間で揺れる気持ちはともかく弟・縁の事を考えるとあそこで死に走ったのは確実に間違いだったぞとツッコミは入れさせて貰いますが…ゲフッ!(おかげで「愛したもう一人のあなた」の所に11年後、ロクでもない騒動が…ゴフッ!)

 神谷薫…蒼紫「この薫の死体はもしかしたら作りものかもしれない。腹をかっさばいてみないと分からないが…。」
弥彦「やってくれ!蒼紫!」
蒼紫「…失敗した。これは本物の薫だった。」

…という展開にならなくて良かったね(死体が実は人形だったら…そりゃ脈は無いわな。)と実は生きていたという希望が持てる少年誌ならではのお約束展開に頷いたものでした。(「薫殿が死んだらニート続けられないでござるよ。」by剣心)とはいえ当初は本当に死ぬ予定だったそうで(和月先生、本当にハッピーエンドを目指していたんですか?)しかしそこまでしてしまったら救いようが無いだろうという事で縁の元で監禁生活という名の家事手伝いニートの日々を開始するに到った様子です。(とうとうニート達を養う立場から、養われる立場に…何か素直に喜べない展開だな…ゲフッ!)剣心を殺す事ではなく不幸にする事が目的なら恋人の彼女の死こそ最大のダメージを与えられる手法だったのですが、幼い頃に姉の死というトラウマ必至の光景を見てしまった為に縁は「姉と同じ年頃の女性」を手にかけようとするたびにフラッシュバックに襲われる精神疾患を抱える羽目になり(全部、剣心のせいじゃないか。)おかげで薫は無事でした。剣心に「死者誤入」がバレないように家の中に閉じ込めてはいますが、そのまま蒼紫が↑のように人形を暴かなかったら、誰も薫が生きている事に気づかなかったら、一体薫は何年あの家で暮らす羽目になっていたのか深く考えると怖い展開だなとも思ってしまいました…。

 雪代縁…縁「俺は上海で泥水をすすり屍肉を喰らってきたんだ。ゴキブリなんて本当に贅沢な食材だよね。…ごちそうさま。今日は珍しく美味だったよ。」
薫「…しくったわ。奴の育ちの悪さを忘れていた…!」

日々食事を作っていても薫の料理の腕前は相変わらずだったご様子です…ゲフッ!(他にする事の無い二ートなら食事作り位ちゃんとこなして下さい!)1回目は剣心に勝ったものの以来いつでも微笑みかけてくれた姉さん(の幻)が笑ってくれなくなった辺りアレは彼の妄想(だったら縁が何をやっても笑ってくれるはず)ではなく彼だけに見える巴の幽霊だったのか(元夫の殺害未遂は今までの剣心の所業を考えても笑って許せる事情(オイ!)だが可愛い弟が未成年女子(薫)を家に連れ込んで監禁しているのは姉として笑えない展開だろう…ゴフッ!)ちょっと考えてしまったものでした。この新章の敵「縁と不気味な仲間達」の中では唯一共感できる人間(「お前らが人誅言うな!」とツッコミを入れたくなる位最低な5人組(殺しを楽しんでるだけ)の中で彼の場合、トチ狂ってはいてもそれは深い悲しみからきているもので同情の余地はある。)であり敵の中では唯一気に入っていただけに最後、剣心と同じくダメ人間の村で茫然自失としている様には悲しみを感じてしまったものです。親父と再会はしたものの、どうせ「五年後」を描くのなら彼が立ち直った様も見たかったなあ(…まさか今もまだ村で暮らしているんじゃないでしょうね?)と多少残念に感じてしまったラストでした。

 緋村剣心…剣心「闘う以外に俺がお前から姉を奪った罪を償う方法はないのか!?どうすればいい!答えろ、縁!」
縁「そうだな…じゃあ、これ全部食べてよ。さっきイカから取ったばかりのアニサキス。」
左之助「もちろんそんなの朝飯前だよな、剣心!」
薫「私が殺されるよりマシよねー。」
剣心「…え?あ?いや、その…。」

他に同じネタで白蟻の女王アリ(シロアリ科の昆虫。暗い湿った所に住み家などの木材を食べる害虫。もちろん体に悪い)バージョンもあったなあ、と同人誌にて剣心相手に地味にえげつない復讐をしていた縁に笑った思い出があります…ゲフッ!そんなこんなで闘いも終わって最終話、当時10歳だった弥彦が元服して15歳、わずか5年しかたっていないのに彼の子供(剣路)がもうこんなに大きくなっている(とはいえ言葉をまだ話せず抱っこされている辺り年が行っていても2歳程なのでしょうが)という事は弥彦が道場の外で寝起きするようになってからもう誰に夜の営みを見られる心配もないと早々にあの2人は出来上がったのか(単行本の巻数はともかく志々雄編から縁編に移るまでもわずか2カ月しか間が空いておらず、志々雄編に到るまでも1年はかかっていない辺り出会ってから恐るべき速さでくっついたことが分かる。)男の方は二ートなのに、相変わらず弥彦以外の門下生の姿は見られないのに、このうえ子供なんか作っちゃってこの家の家計は大丈夫なのか!?と別の所で心配もしてしまったものでした。(まあ、いざとなったら道場(土地)を売るという超非常手段はあるが…。)「取りあえずお疲れ様」ではなくアンタの苦労はむしろこれからだろ(一児の父にもなったのだし何はともあれ働いて下さい)と父親になってもニートをやっている(そして主夫の割には子供に嫌われているダメ父ぶり)にツッコミも入れてしまった、そんな流浪人(二ート)剣心でした…ゴフッ!

ブリッツ・ロワイアル

2010.09.15
 ブリッツ(blitz)というのは電撃戦(特に)空襲という意味で俗語では(商品販売・宣伝などの)集中作戦(動詞では「電撃戦で破壊する。」という意味。)を示しています。バトル・ロワイヤルで行われた殺人ゲームとは違う海軍のプログラム…だそうですが正直「最後の一人になるまで殺し合い勝ち残った者が助かる。」という目的が見えていた話に対して、今回は生徒にどういう行動を望んでいるのか分からない微妙な話だなあと思ってしまったり…ゲフッ!(専守防衛学校…つまり軍人を育てる為の学校なら仲間内で殺し合う意味ってあるのだろうか?)どうせ施設なら政府の軍人養成の為の洗脳学校にした方がリアリティあっていいような気がするのですが…。首輪はバンバン作動させているし(あれじゃあ本当に命を道具のように扱っているだけという感じで共感できない。個人的には人と人との裏切りや猜疑心が原因で殺し合いに発展してしまったという「人の心の脆さ故の悲劇」の方がまだヒューマンドラマとして納得できたのですが…。)「不慮の事故による友人の圧死」や「テスト開始時に起こった乱射」など劇的な展開を見せる割には緊迫感が無いし(まあ、田口先生レベルの迫力・アクションを描くのは他の人には難しいですよね。)続編にしては絵も内容も微妙だなあと思ってしまいました…ゲフッ!という訳で「バトル・ロワイアルⅡ」と銘打ってありますが、映画版の「バトル・ロワイアルⅡ」とは全く関連の無いお話です…ゴフッ!

 橋本真恋人…真恋人「あたしがいると皆不幸になるんです。」
先生「その論理だとあなたが死ねば皆助かる、という事になりますね。」
真恋人「いや、不幸と死亡は違うしその論理は成り立ちませんよ、先生。」

真恋人(まこと)って何だよ、この変な名前は!とツッコミを入れてしまった本作の主人公。本人はよく自分の不運を嘆いていますが、巻末の4コマによると黒板をワックス雑巾で拭いてしまったり、テストで名前を書き忘れて-10点(ゼロを越えてマイナスなのか。)にされたりと運が悪いというよりは自業自得といえる内容なので、ただ自意識過剰なだけかと思われます。(それは自惚れですよ、橋本真恋人さん。)唯一純粋に不運といえるのは親にそんな微妙なセンスの名前を付けられてしまったこと位でしょうね…ゲフッ!

 山本葵…真恋人「ごめんね、あたしが不運なばっかりに…。」
葵「あんたのせいで誰かがどうなるなんてことあるわけないじゃない!命の危機に2度に渡って超都合良く助けてもらった幸運な人間が何言ってるのよ!」
真恋人「いや、あたし一応主人公だし…。」
葵「あたし、あんたのその自己中心的な考え大嫌い。」

飲酒が原因で丸坊主にされてしまった主人公の親友。(修学旅行とはいえ学校生活の中でそんな物を飲むから…。)自分達が運悪く防衛学校に強制入学させられるクラスに選ばれてしまったのは不運な真恋人がいたからだと他のクラスメート同様逆恨みしていましたが、嫌がらせで満足していれば良かったものの、殺そうと襲いかかったせいでその後逆に中屋曹長から邪魔者扱いされて殺されてしまいました。人を呪わば穴二つという見本ですが、友達というのなら仲直りした時点で監禁から解放して元の班に戻してあげれば助かっていたのにね、と真恋人の不手際ぶりにもツッコミを入れてしまいました…ゴフッ!

 有川鈴子…真恋人「葵ちゃんはあたしが殺した!ごめんよお、葵ちゃん!」
鈴子「自分を責めることないよ、まこちゃん。葵ちゃんはまこちゃんが殺したんじゃない。最もトドメをさしたのはまこちゃんが乗ったエレベーターだったろうけど…。」
真恋人「ダメじゃん!」

試験開始と同時に無差別銃撃戦が始まったというのに何故か一発も当たることなく無事だった人。(看護班の人間だから?)その後首輪を爆破させられた際に痛み止め効果もある怪しい薬に手を伸ばしていますが痛みが無くなるだけで延命効果はないでしょうし(そんな薬は作ることが不可能、痛みが無くなる分集中して治療に当たれる効果はあるかもしれないが。)飲めた所で手遅れなのは変わらないような気もしてしまったり…ゲフッ!真恋人も「行ってくるからここに居てね。」と放置しないで手当てしてあげればいいのにともツッコミを入れてしまいました…ゴフッ!

 野村勝史…「なあ橋本、オレのものになれって。そうすればお前を助けてやるよ。」

とご立派なことを言っていますが、彼にできるのは首輪爆発の引き金となるリモコンをちらつかせて皆を脅す事だけで、実際にはコード番号を知らない為に誰も殺せないというチンピラの脅しのようなお粗末な内容だったりします…ゲフッ!真恋人に対しては真実好意を持っていたようですが(志願兵にと真恋人を突き出したのは彼女への好意故に一緒に参加するであろう南君からリモコンを奪う為。)当の真恋人は過酷な状況の中恋愛なんてすっかりどうでもよくなってしまった模様で、元々真恋人の方が片想いしていた(過去形)相手だけに哀れに思えてしまいました…。女心とは移ろいやすい物ですよね…ゲフッ!

 中屋美和特務曹長…中屋「思い込みの激しさ、厳格な父と優しい母、そして父の死、画家志望…結構理想的だったんだよね橋本って、真帝国の指導者として。」
鈴子「画家志望は指導者の資質と関係なくない?」

もしかして、かの独裁者アドルフ・ヒトラーと同じ経歴だから指導者タイプだと思っているのでしょうか?しかしヒトラーと違い真恋人はカリスマ性という人を惹きつける手腕に大きく欠けている(事実、クラス内では不運を呼び込んだ張本人として村八分にされている。)ので、せいぜい日本の天皇のようにお飾りとして傀儡になる位しかできないと思うのですが…ゲフッ!曹長殿は大収穫として喜んでいますが絶対に見込み違いだと思えてなりませんでした…ゴフッ!(ここまでの目に合わされた真恋人がその後曹長達の島の平和の為に指導者として行動してくれるとも思えませんしね…ガフッ!)

 余談…敵に後ろ蹴りを喰らってドブに頭がハマった伊東さんに関して「助けて!抜けない!」と騒ぐ前に冷静にヘルメットを脱げば良かったじゃないかともツッコミを入れてしまいました…ゲフッ!

お金は貸さないっ

2010.09.14
 お金がないっシリーズ第5弾です。この巻から発行会社が(それまでの会社が潰れてしまったのか)リンクスロマンスに移行し、合わせて今までの話も新書版として同会社から新しく発行する流れになったそうです。旧版と違う新しい表紙と挿絵の描き下ろし(香坂先生担当)に、ミニ番外編小説の書き下ろし(篠崎先生担当)に編集者と揃って血の汗を流しながら頑張ったそうで苦労の程が伺える過程でした…。(たとえ肉体労働でなかろうと「仕事する」って大変な事なんだよなあ…。)

 <病気かもしれないっ>
染谷「狩納が具合悪いって本当?エボラ?梅毒?」
許斐「地球が滅びるかもしれませんね…。」
狩納「あの野郎…!」

綾瀬を落札し、大学のホモ達の魔手から守り、許斐との騒動を経て、石井一家の拉致監禁から取り戻し…とめまぐるしく過ごした3ヶ月間の濃さ(濃過ぎだろ!)にさすがの狩納さんも風邪でダウンしてしまった様子です…ゲフッ!そんな中で綾瀬は1対多人数だったにも関わらず圧勝した挙句に砂浜に埋めてスコップで頭を割ろうとした「真冬のスイカ割り事件」という狩納さんの武勇伝(というよりご乱行)を吹き込まれ、また溝が出来始めてしまっていますが結局頭は割らずに口だけ割った(黒幕の名前を吐かせた)という真相に再度元サヤに落ち着いた様子です。熱がある中、突然行方不明になった綾瀬を探しに犯人を殴りに行った狩納さんに免じて他人のバイクを歩道橋の上から落っことし、先に手を出された(ので正当防衛が通用する)の良い事に地獄絵図さながらの暴行を加えた高校時代の思い出に関してはツッコミを入れないでおいてあげましょう…ゴフッ!

 <お金は貸さないっ>
 久芳誉…「一緒に暮らしている『働かないヒモ』のせいで仕事に支障をきたすようならそれは望ましくありません。ただ、当人がその状況を納得しているんならどうすることもできません。兄弟で暮らすのも永続的な事じゃありませんし、その時どうして兄弟で暮らす必要があるかを考えます。」

その通り、DVな彼氏であろうと変態プレイを行う男であろうと付き合うか別れるかを決めるのは女(役)側ご本人であって他の第3者が真実心配しても口出しするだけ「余計なお世話」にしかならないそれが現実というものです。(「本当にあった笑える話」でDV彼氏に悩む甘えたな女友達の為に彼女をないがしろにしてまで駆けつけ続けたら当の女友達は今までの相談がウソのようにお相手と幸せな結婚をし、自分は「痴情のもつれを利用して甘い汁を吸おうとしたストーカー男」(でも頑として拒み続けたアタクシは偉い!)として嫌なレッテルを貼られた(もちろん彼女には振られた)話が載っていたが、これはその最たる事例だろう。)言葉では何とでも言える、そして口先で何と言おうが「結局は別れられない」行動に真実が出ているという話でした。(だからって口ではなく肉体に聞かなくても良いと思いますが、狩納さん…ゲフッ!)

 鷹嘴大和…「北なんか子供の頃ヤクザから巻き上げた金で商売してたんだぜ。兄貴分に黙って女で商売したバカヤクザの上前を狩納は根こそぎ撥ねたんだ。北はガキの頃から凄かったって皆言う。それに比べれば俺が拾った鞄に入っていた60万を人に貸して増やそうとしたこと位なんだって言うんだよ。」

確かに中学生位の子供の頃からそんな事をしていたのは「凄い」けれどもそれは悪い意味での「凄さ」であって皆はドン引きしながら言っていても決して称賛はしていないと思うのですが…ゲフッ!(憧れを抱いているのは多分大和君一人だけだろう…ゴフッ!)おかげで狩納(悪の親玉)の対極にいるような善意の塊・綾瀬に対しては始めからキツイ態度で挑んでいましたがピンチを助けて貰って見直した事も含めてすっかり惚れてしまった様子です。(「お前は暴力金融屋の愛人は向いてねぇ。喜べ。俺の正妻にしてやる。」by大和。)小学3年生にして↑のような悪事を働くわ、狩納×綾瀬の情事を想像してトイレに駆け込むわ(ていうかホモップルの情事がオカズとしてOKなんだ…ガフッ!)どんな9歳だよ!と思わずツッコミを入れてしまった新しい登場人物でした…ゲッフン!

 綾瀬雪弥…狩納「お前は俺の寿命をどんだけ縮めれば気が済むんだ?」

今回はたまたま「●●に大和君に会いに行ってきます。」とメールを送っていた為に早々に発見することができた(とはいえ「綾瀬が外出した」ことだけが早い段階から分かっただけで、その後離れた場所のカラオケボックスに連れ去られた以上、見つける為には相当の労力を使った事だろう。仕事中なのに。)けれど、お約束のように貞操は奪われかけているし、スプリンクラーで騒ぎを起こす事に成功するも助かったのは超都合良く表れてくれた狩納さんのおかげですし(スプリンクラーが火を感知した場合、放水するだけでなく警報がビルの全てに鳴り響く。他の階の皆さんが「異常」を察知するのに効果的な手法ではあったが狩納曰く「スプリンクラーなんてあの界隈じゃ本物取りつけてる店の方が少ないんだぞ」とのこと。)外出する度に(男なのに)誘拐・強姦未遂を受ける羽目になる美しい恋人を持つと本当に大変だという狩納社長の苦労が伺える↑の一言です。…が綾瀬が騒動に巻き込まれる事自体に狩納が関係している以上、偉そうにいる資格は無いぞ(前回は狩納に恨みを持つ許斐、今回は弟分の大和のせい。そもそも綾瀬は狩納と知り合うまでは「処女」のまま大手を振って外出できる至極無難な生活を営めていた)ともツッコミを入れてしまったものでした…ゲフッ!

お金がたりないっ

2010.09.14
 お金がないっシリーズ第4弾です。この頃作者さんはまだ大学に在学中(「目次は決まれど本文埋まらず留年生活満喫中」)だったそうで、そんな若い時期に(BLとはいえ)ヒット作を飛ばしたのかと(最も漫画家や作家のデビューは10代がほとんどだそうで珍しい事ではないのかもしれませんが。)作者の年齢の若さにも驚かされたものでした。(でも他の「仕事」と両立するよりはまだ時間に余裕のある「学生」の内が色々無理を言えるかもね…。)そんな訳でシリーズはまだまだ続くようです。

<お金がたりないっ>
狩納「アルバイトしてまで俺にプレゼントなんて本当に驚いたぜ。こんな時期だろ?お前が金だけ持って逃げるんじゃねえかって一瞬本気で焦ったぜ。」
綾瀬「時期って、そりゃあ父の日より3か月も遅いですけど…。」
狩納「…誰が親父だ、バカ野郎っ!糠喜びさせやがって!」

喜びの絶頂にいただけに家族行事を再現しただけだった(別に特別な理由は無かった)という真相でどん底に落とされたのは痛かったでしょうね…。貰ったライター(2万2千円)の5倍近い値段の張る買い換えたばかりの新品ライターを染谷にあげてしまったことと併せて彼の苦悩は深そうです。(普通は3ヶ月も時が流れ去っていたら「父の日」も何もないと思いますが…。)上げて上げて、こそのサプライズプレゼントでありビックリさせるだけではダメ(プレゼントで「驚か」せ、真相に「驚愕」させ、純粋な英語の意味だけを指すのなら正し意味合いなのだが…。)だという事を贈り物をする前にまず考えておくべきでしたね。最後に正直に(無神経に)何もかも言ってしまわなければハッピーエンドで終わったのにとラストの不手際ぶりにツッコミを入れてしまった話でした…ゲフッ!(ダメだぞ綾瀬君、和製英語の意味って物をもっとちゃんと考えなさい。)

<仕方がない?>

 綾瀬雪弥…綾瀬「き、聞いて下さい。伯父さんが入院して、それで…。」
狩納「お前、信じてんのか、そんな話!小学校で習っただろうが、親父が事故ったって言われても知らない奴には絶対ついて行くなって!」

こういう人がお爺ちゃんお婆ちゃんになった時にオレオレ詐欺に引っかかるんだろうな…(ゆとり教育の弊害か?)と思わず遠い目で見事にノコノコとついて行ってしまった綾瀬を見てしまったものです。(で、連れて行かれた先は伯父が入院している病院ではなく本番OKのいかがわしい店。だから狩納さんがあれほど危険だってツッコミ入れていたのに!)伯母・利佳子は確かに自分を騙して借金の片に売った鉄男の母親だが(普通はそれだけで絶縁するのに充分な理由だが)だけどそれが利佳子まで自分に嘘をつく理由にはなり得ないとまたも石井家を信じている綾瀬君。(「息子の不始末から2か月、その間一度もお前に会いに(謝罪に)来なかったような女が亭主が倒れた位で家族顔して連絡よこすかよ。何度騙されりゃ気が済むんだ!?」by狩納)人を信じて同じだけの誠意を勝ち得たいのならまずはその相手を選べと私もツッコミを入れてしまったものでした…ゲフッ!

 石井利佳子…染谷弁護士「この久が原の家と土地の所有者は綾瀬君、君なんだよ。登記簿を見てもちゃんとそう記載されている。ここは君の持ち物で今日までの固定資産税その他も全部君の口座から引き落とされている。」
利佳子「ち、違うのよ、雪弥君。こんな広い家でしょ?あなた1人を住まわせるのは不用心だし、だから私達が…」
雪弥「家が広くて困る事など何も無い。」
狩納「マトモな面倒一つ見てこなかった甥に、よくそんな台詞が吐けるもんだな。」

何の事は無い、伯母の利佳子も始めから綾瀬を騙していたクチであり(実は綾瀬も家の所有権の事は知っていたが「ここで『良い親戚』になればいつか家族扱いして貰えるかもしれない。」と黙ってアパートに追い出されるがままになった。が、石井一家は恩を感じるどころか味をしめて更に綾瀬を使って絞り取る事しか考えず、結果今回の騒動に到る…ゲフッ!)狩納の忠告は全て正鵠を得ていた(「お前は信じたくねえだろうが金の為なら人間何だってやるんだ。身内も何も関係ねえ。お前の伯母は銀座に持ってる自分の店が上手く行ってねえって事務所にまで電話かけて来やがって…」「電話、本当にあったのに俺につながなかったんですか…。」「問題点は明らかにそこじゃねえええぇ!」)訳ですが身近な家族を全て亡くし血縁至上主義となってしまっていた綾瀬は今回も懲りずに騙されてしまっていました…ゴフッ!どうやらこの家族の中で唯一マトモなのは伯父だけのようですが当の伯父も妻子が影で何をやっているか全く気づいていない(息子が億単位の借金をこしらえ、それを人身売買に加担する形で誤魔化そうとし、妻もまた甥っ子を金の片に売ろうとしたのを全く知らないって…家族として問題があるだろ、確実に!)辺りダメ男だという事は察せられ暗澹たる気持ちにもなりました。甥っ子が男とデキてる事を知っても何も言わなかったようですし一家揃って問題のある人間だったんだなとツッコミを入れてしまったものです…ガフッ!

 狩納北…狩納「俺はおまえの『親』にはなってやれねえ。なってやる気もねえけどな。」
綾瀬「じゃあ、狩納さんは俺の『お兄さん』で…。」
狩納「いい根性じゃねえか、綾瀬!」

役柄的には「アニキ」(ヤクザ組織の中でも「支配者」の呼称。転じてホモップル(男版)の攻めを指す言葉でもある…ゲフッ!)で間違いはないのですが「大切な恋人」ではなく「都合の良い時だけ甘える(利用する)親」と言われた事でただでさえキレやすい狩納さんも堪忍袋の緒が切れてしまったようです…ゴフッ!(綾瀬の居所をいち早く突き止めたり業界に自分の影をちらつかせて安全を図ったり今回も多大に金を撒いただろうにその扱いではな…。)影で苦労している割には短気で損気な性格が仇になって綾瀬には血縁以下の扱いをされている狩納さん。(その血縁が綾瀬並に「いい人達」だったらまだ納得できるが借金の片に人を売るようなロクデナシ石井一家にさえ劣ると態度で示されてはやりきれない気持ちにはなるだろう…ガフッ!)同棲もアハハンな関係も果たしているけれども彼の想いが本当に報われるのはまだまだ遠い日になりそうです…ゲッフン!

お金じゃ買えないっ

2010.09.14
 「お金がないっ」シリーズ第3弾です。話の展開的に完結かと思いきやシリーズはまだまだ続いているので地道に追いかけて行こうと思います。カバーのコメントによると綾瀬はB型(てっきり真面目~なA型かと思ってました。)狩野は獅子座(肉体で愛を語る蠍座じゃなかったの?)だそうで本人達のイメージと違う意外な1面に少しビックリしてしまいました。

<お金じゃ買えないっ>
 狩納北…祇園「聞きましたで!綾ちゃんに借金完済されてしもたんやて!?」
狩納「ああ、それはな…」
祇園「そやけどまあ、よう持った方ですわ。どだい住む世界が違う上に、いきなり強姦かますわ1回50万円で肉体関係を強要するわその他諸々…そこまでやったら恋愛に発展する可能性なんか万に一つもありませんわな~。」
狩納「うるせえんだよ、テメーはよ!」

という4コマに吹いてしまいました。実際問題強姦されようが相手を思い遣れるほどの綾瀬の果てしなくお人好しの性格が無ければ2人の間に愛情というか情が通う事は絶対にありえなかったでしょうね。(普通は強姦の時点でその相手とは終わる。)とはいえ好き勝手に襲ってくる男を信用などできるはずがなくついには綾瀬にまで三行半を突き付けられてしまいました。最終的には再度同棲が成立したものの5億2千万の借金も再び成立しており今までと何一つ変わっていないじゃないか!とツッコミを入れてしまいました…ゲフッ!

 綾瀬雪弥…「今週の収入50万円、今週の利子350万円。こんな僕に完済の日は来るのでしょうか…?」

高額(過ぎる)利子のおかげで莫大な借金もとうとう5億の大台に乗ってしまいました。この話でついに体で金を返すシステムを返上し、時給2千円という割のいい仕事に就職(狩納さんの事務所でのバイト。)出来ましたが、おかげで収入は月に23万8千円と今までの日給(1発50万円)よりかなり下がってしまい(それでも私の月給より高額なのですが…ゲフッ!)借金完済の日は余計に遠くなった気がしてなりません…ゲフッ!「仕事中は絶対服従。」としてヤラれる羽目(割のいい話には裏が有りました。)にもなっているし、むしろ今までの返済システムか兼業という形にした方が良かったのではないかと思ってしまいました…ゲフッ!

 許斐清高…許斐「お金の力は凄いですね。30万円で喜んでステージに立って下さるそうです。」
綾瀬「許斐さん!嘘つきだ、あなた!1発50万円の高額で買われていた俺がそんな安値の為にこんなことをするんじゃありませんっ!」

北京語を話せない狩納でさえ脅されている事を瞬時に見抜ける訳です。狩納曰く「自分は絶対にこの男の父親を殺してはいない。」との事ですが彼からの借金の催促を苦に自殺したなどの展開は充分にあり得る(「夜逃げしそうな奴は確実に潰せ。自殺してえって言うんなら止めるな。何があっても金は返さなきゃならねえんだっていう道理を骨の髄まで解らせてやれ。」)ような気がして物理的に殺していないだけだろ?ともツッコミを入れてしまいました。許斐が見初めていた女性を寝取られたなど1部僻みも入っているようですが結局父親に関する詳しい事情は謎のままで内容が気になる所なのですが…これから明かされるのでしょうか?

<余裕がない。>
 狩納北…「泣きたいのは俺の方だぜ。」

本当に泣きたいのは従兄弟の借金の片に売られて、その代金を返済する為に1回50万で体を売る羽目になり、毎度この人に激しいプレイを強要されている綾瀬の方だと思いますが…ゲフッ!綾瀬との運命の出会いが父親と勘違いされた上に相手には綺麗に忘れ去られていた事実(自分1人で盛り上がっていた儚い幻影だった。)を知っても彼の事を諦めきれずにいる…のは同情に値するのかもしれませんが、同棲(軟禁?)を始めた後も自分にとって都合のいい部分しか知ろうとしてこなかったのはさすがに問題がありますよね。ロマンスだけでなく現実もちゃんと追わなきゃダメだろと狩納さんに対してツッコミを入れてしまいました。

 綾瀬雪弥…「ねえ、きっと俺が初めて狩納さんと会ったの…、あそこ、だよね…?」

熱のせいで狩納さんの存在自体忘れ去っていたものの「父親の幻」はなんとなく覚えていた綾瀬君。それを考えると初めて会った場所を思い出した所で、それは「愛する人と初めて出会った運命の場所」というには程遠い内容「親父さんの幻が見れたお得な場所」というだけで恋愛からは遠いような…。)で喜んでいる狩納さんには悪いものの、この恋の前途はまだまだ多難そうだと思ってしまいました…ゲフッ!(むしろ喜ぶべき場面でもないです…ゴフッ!)

 染谷薫子…「そんなに責めないで欲しいな。狩納さんが知らない綾ちゃんの事、俺が知ってる訳ないだろ。」

女装癖のある男など人間とみなしていない=人として価値の無い1番無害な人間(酷い!)だからこそ、よもや綾瀬(恋人)を取られる心配はないだろうと出入りを黙認していただけにオカマと綾瀬がかけおちしたかも知れないという妄想にはショックを受けていた狩納さんでした。(信用が無いのは置いといても…染谷さんに対して失礼すぎやしませんかね?)アンタ達が恋人関係なら普通はもっと互いに対する信頼と知識があるはずではないかと染谷さんにまでツッコミを入れられてしまう程です。(最もです。)今回に関しても仕事中に番号非通知で(痴話ゲンカが原因で)かけてくる上に話の途中で切るなんて失礼極まりない扱いですよね。勝手なことばかりしていると恋人だけでなく友達まで失くすよ?と狩納さんに対して色々思ってしまいました。

お金しかないっ

2010.09.13
 「お金がないっ」シリーズの第2弾です。最近では肉親とも「趣味の本」を共有するお方も増えたそうで小説(創作)では気持ち良くなっているものの実際は尻の穴に直腸検査のカメラ(指1本程度の太さ)を入れるのさえ涙が出るほど痛いと「濡れ場のシーン」のたびに切々と訴えるお父様(え?父親に!?読ませたの!?)もいらっしゃったそうです。この話はあくまでフィクションだという事を踏まえて腐った夢を見ながら読んでいくのが正解なようです…ゲフッ!

<お金しかないっ>
 飯田純…祇園「これはいわゆる痴漢避けブザーや。本番はもっとどえらい音で違う階におる奴らまで飛んでくること、請け合いやで。」
飯田「ハッ!無気力・無関心が問題になっているこの現代日本で他人の為に飛んで来てくれる人間が果たしているのかな!?」
祇園&綾瀬「…っ!!」

今までは「何も知らないガキ」だと思っていたのでいたいけな少年を犯すのはどうかと遠慮していたものの「経験豊富な大人」なら問題ないや(いや、問題はあるだろ!)と綾瀬に手を出そうとしたエセお友達1号。色んな所で(綾瀬の事を調べる興信所代に当てる為に)借金を作って退学処分になった時川と違い彼はまだ在籍しているらしいので大学に行かせたがらない狩野さんの気持ちが分かる気がしました。(こんなゲイばっかりが集っている大学は無いだろというツッコミは置いといて。)どうやら綾瀬の周りの人間は大学内に限っても悪い人達ばかりだったようです…ゲフッ!

 祇園寅ノ介…祇園「しゃーないから綾ちゃんのエッチな写真、大学中にバラ撒いてこよーっと。」

そりゃ綾瀬に階段から突き落とされてしまう訳です。(打ち所が悪くなくて良かったね。)雑誌掲載時(初登場時)綾瀬の尻を触っただけでも「許せん!」とお叱りの手紙が来たのだそうで綾瀬を助けたついでに手を出そうとしたことは(未遂に終わっても)余計にひんしゅくを買ってしまったのか漫画版での出番は久芳さんに取って代わられてしまっていました。(か、可哀想に…。)しかし飯田に裸に剥かれた綾瀬のポラロイド写真を狩野さんに提出した事などで綾瀬の彼への評価は地の底まで落ちてしまった(そういう事は黙ってりゃいいのに…。)ので、護衛をつけるのならもっと対象に信用されそうな人間をつけるべきだったなとも狩野さんにツッコミを入れてしまいました…ゲフッ!(だから久芳さんに変えられたのか。)

 時川敬昌…時川「狩納、あんた玄関を壊して入ったな。器物損壊に家宅侵入罪で警察に必ず連行されるぞ!」
綾瀬「そんな…!時川のしたことだって…!」
時川「ケチな脅迫文や盗撮、ゴミ漁り程度じゃ足も付きにくいし罪も軽い。俺は警察なんか怖くないんだ!」
綾瀬「最低だな、お前。」

未成年(綾瀬)拉致監禁の罪を忘れていますよ、時川君ともツッコミを入れてしまったエセお友達2号。綾瀬に目をつけていたのは高校の頃からだったそうで彼が撮った段ボール3箱分にまで及んだ盗撮写真を買い取る為に綾瀬の借金はまたも膨らんでしまったのでした…ゲフッ!(1枚10万円が3箱分か…ゴフッ!)ともあれ大家に内緒で工事した滑車や盗撮機材、綾瀬の尾行調査代の為に借りた借金の為に大学は辞めざるを得なくなり(学費に費やす金があるならまず借金の返済に充てる事が筋であろう。)これにて彼の登場(そして彼の人生)は終わったのでした…。

<可愛気ないっ>
 染谷薫子…どうやら綾瀬のバイトは「仕事の辛さを分からせて専業主夫の立場の有り難さを実感させる」為の狩納&染谷の策略始めから早い段階でクビにする予定ではあったようです。(モノローグにあったとおり綾瀬は自分でバイト先を探すか、面接を受けて公正な判断の元に染谷に従業員として認めさせるかした方が正解でしたね…。)綾瀬に自分から店に出るように仕向けて女装させた上で狩納を呼んだ辺りは用意周到ぶりを感じてこの人の裏の顔が見えた気がしました。(以前いちゃもんつけた客が乱入してきたのは想定外の事だったでしょうが「計画」に支障は無かったでしょうね…。)接客業をしているだけあって話しやすい人ではありますが、だからこそ誰の味方をしてどう相手を立てていくべきかもちゃんと分かっている人ですよね、この人…ゲフッ!

 綾瀬雪弥…狩納「お前はどうしてこう可愛げがねえんだ。」

という訳でサブタイトルは「可愛げない」に決まった模様です。無断早退の上に客とシケ込んだ事でバイト先をクビになってしまった事(風俗店でも本番禁止の店で客とヤッてしまえばクビになる。「嫌われ松子の一生」にもあった通りいかがわしいお店でもこういう点は結構シビアなのだ。)破損した食器類&制服の弁償代を払う羽目になったこと(おかげでバイト代を差し引いてもマイナスに…裏ルートで手に入れているだろう事情から制服は相場以上に高いのでしょう。)は納得できたものの、客(狩納さん)のツケは100%降ってわいた災難でさらに借金が増えてしまった状況にはもう同情するしかありませんでした…。(最も綾瀬の稼ぎでは弁償代も大学の学費も確実に払えない事は目に見えているのでこの結末は始めから決まっていたのでしょうが…ゲフッ!)手錠生活まで余儀なくされ本当に哀れな主人公です…ゴフッ!

 狩納北…狩納「お前もちゃんと男だったんだよな。」

今までもこれからも綾瀬を女役として扱っている人間が言っても説得力の無いセリフではありますが、ともあれ「狩納さんが認めるほど価値のある人間になりたい。」という綾瀬の気持ち(狩納に憧れる故の反発心。)は伝わったようで大学に行くことも許してくれていました。(あんなホモまみれの大学に行かせていいのかという問題点は置いといて。)キャラ的には主人公を金で束縛する悪役状態ですが綾瀬の学費も生活費も今回の染谷への借金もしっかり負担してくれていることは確かで綾瀬はけなげだけど非情に金のかかる男だなあ(送り迎えも珍しい型のボルボ(北欧モダンデザインの精華とも言える高級外車)だしね…。)という認識が強まってしまいました…ゲフッ!様子を見に行ったとたん客のケンカに足を突っ込む羽目になったり意外に苦労してますよね、狩納さんは…ゴフッ!

お金がないっ

2010.09.12
 ドラマCD化、漫画化もした大人気小説シリーズの第1弾。私も友達にドラマCD(を私が持っていたテープにダビングした物。CD本体は貸したくなかったらしい。)を「面白い話があるから!」と貸してもらって聞いた事がありますが内容の凄さにビックリして(生まれて初めて聞いたホモCDだったのでそれにもビックリ…。)思わず「声優さん(しかも男)に演じさせていい内容なの!?」と度肝を抜かれた思い出があります。現実問題ホモな内容のドラマCDは多数存在するという事実を知ったのはさらにその後の話でした…ゲフッ!

<お金がないっ>
 綾瀬雪弥…狩野「石井、金が無いんなら作るしかねえな、その体で。」
綾瀬「…か、体ってまさか鉄男にまで手を…。」
狩野「そんな物好きがこの宇宙に存在するか!」

ゲイボーイを蹴り殺しそうになったノンケの男(狩野)さえも虜にしてしまった美形クオーター。一般的にハーフやクオーターは掘りの深い西洋人の顔立ちときめ細かな東洋人の肌質を兼ね備えた究極の美形のように言われていますがそれは親達が美形だった場合(そしてそれを受け継げた場合。)の話で現実は「この顔でこの人はハーフなの?」というハーフな人(もろ日本人顔。)も大勢います。それを考えると生まれながらに究極レベルを持ち合わせた綾瀬は強運の持ち主と言えそうですが彼にとって悲劇だったのはそれが女顔だったという現実でした。挙句に身内(鉄男)に売られ、売られた代金3億2千万円(ビデオ代&オカマ達の人件費含む。とはいえ凄い高値で売れたんですね…ゲフッ!)の借金を抱え込む羽目になり、体を売って稼ぐ(これも1回50万円とは破格の値段です。それでも利息にさえ追いつけない辛い現実は置いといて。)生活を送るようになってしまった様は立派に運が悪いと言えそうです…。本人はいい子なのに周りの人間達が悪い人ばっかりでした…ゴフッ!(凶運の間違いですね。)

 狩野北…綾瀬「狩野さん、そ、そういう事はしないって約束したじゃないですか。」
狩野「約束?したけど約束を守るっていう約束はしてねえだろ。」
綾瀬「アンタ悪魔ですか!!」

3年前に親父が殺された際、彼もまた追われたそうで「刃傷がある怪しい男(自分)を助けてくれた」綾瀬に驚くと同時に惚れてしまった暴力金融屋。だったら怪我が完治した際に「その節はどうもお世話になりました。」と菓子折りを持ってお礼を言いに行く(のを口実にお付き合いを開始する。)という行動を取ればいいものをグズグズしていたせいで相手には完全に忘れ去られてしまっていました。(3年は長すぎですよ、狩野さん…。)ちなみに綾瀬が売られていた店名のアクシは眼を意味するインドの古語でそれが由来か店内の至る所に隠しカメラが有るのですが…それなら賭けで狩野が綾瀬の体に仕込んだカードを使ってイカサマしたのもバッチリ映っているはずで映像を記録しておく措置を取っておかなかったのが店側の敗因だったな(まあイカサマの証拠となる映像を取っておく習慣を取る方が店としてはマイナスになるのでしょうが…。)と感じてしまいました…。

 石井鉄男…狩野「石井の事はバラして売るのさ。腎臓、角膜、肝臓…こんなむさくるしい野郎の体でも五百万にはなるぜ。」
綾瀬「ああ、腎臓も角膜も2つずつあるし、肝臓は再生可能な臓器ですもんね。」
石井「鬼かよ、お前ら!」

最も何の罪もない従兄弟を自分の借金の為に売り渡し、挙句の果てには競売の様子(顔がバッチリ映っている上に素っ裸でエロいポーズを取らされている図。)までビデオに収めて売ろうとした彼も彼で悪魔だとは思いますが…ゲフッ!(お金が絡むと身内を売り渡す程にまで人間とは変貌してしまうものです…。)ともあれ当の従兄弟が暴力金融屋の愛人に昇格したこと(とその従兄弟に三行半を突き付けられなかった奇跡のおかげで)でお金の方は体(下半身)を使わず地道に緩~く返済していくことで済んだようです。最後に頼れる(情け深い扱いをしてくれる)のは結局身内という真理のおかげで助かっていますが頼られた側(綾瀬)にしてみれば迷惑千番な話だろうなあ~と心配しながら読み進めていました…ゲフッ!

<普通じゃないっ>
 狩野北…綾瀬のアパートに望み通り連れて行ってあげたのはいいですけれど、自分が多くの人から恨みを買っている暴力金融屋であっていつ何時愛人を拉致されてもおかしくない人間(しかもその愛人を連れたまま政治家の後ろ盾まである「業者」の吉泉さんの頭からワインぶっかけて恨まれたばっかり。)だという事を忘れておられましたよね、彼は…。(あんなセキュリティのなってないボロアパートに置いて来た挙句に1人で道を歩かせるなんて…。)染谷さんは「綾瀬に外出さえ許さないなんてやり過ぎ。」と言っておられましたが今回の事件に代表される身の危険性を考えるとあながちやり過ぎとも言い切れない気もしないでもないような…ゲフッ!(最もそんな立場にまで綾瀬を追い詰めてしまったのは他ならぬこの男な訳ですが…ゴフッ!)愛人にあんなものを入れたまま食事をさせたりという「普通じゃない」男に関わってしまったが故の綾瀬の悲劇の話ですよね、これ…ガフッ!

 祇園虎ノ介…「あんたみたいな学生、あっという間に身ぐるみ剥がれて2丁目に売り飛ばされた挙句に親まで丸裸にされてしまうのがオチやで。」

ここは新宿。その新宿の2丁目といえば同性愛者向けのバーやクラブが集中し大阪市北区堂山町と共に世界最大級のゲイ・タウンとなっている場所(世界レベルなんだ…。)だそうで、オカマの染谷さんがよく遊びに来る理由が分かる気がしました。(同じ新宿内というご近所なんですね。)今回、狩野の舎弟という事でビデオを取る役目を押し付けられていましたが、その割には的確に指示を出しながら本領発揮で撮っていたり、綾瀬が狩野の愛人だと分かってからもビデオ出演にスカウトしようとしたり(東京湾に浮かぶ羽目になりますよ?)本当に舎弟の自覚があるのかこの人とツッコミを入れてしまいました…ゲフッ!美人と見れば男の尻でも鷲掴みにするその性格から彼もまた警察に(セクハラで)とっ捕まる日は遠くなさそうだなとも思ってしまいました…ゴフッ!

 工藤美香…「やだ!お父さん助けてっ!ここどこよぉ!どうしてそんな格好してんのぉ…!」

今現在はいきなり見知らぬ男にトランクに詰め込まれてナイフ突き付けられた恐怖でいっぱいでしょうけど、落ち着いたら親父の性癖(両刀使い。しかも男の方が好きらしい。奥さんの立場って…ゲフッ!)や怪しい人間との付き合い(元々彼女が攫われたのだって父親の配下の人間が暴力金融屋の愛人(未成年)を誘拐した報復であって父親のせいでもあるのだ。)に嫌でも気づくはずでその後の家庭生活を真っ当に過ごせるのか凄く疑問を覚えてしまいました。(父親の方も裸同然の格好で男と絡んでいたのを見られたのは痛かったのではないかと…ゴフッ!)助かったのはいいですけど思春期(高校生)の娘にこんな現実を見せてしまった後ではその後めでたしめでたしでは済まないですよね、絶対…ゴフッ!

クローバー①~⑪

2010.09.11
 社内恋愛を描いた話なのに何故かタイトルは植物のクローバー(もしかしてメインヒロインが葉っぱの数と同じく3人いるから?)というシリーズでOL3人組のそれぞれの恋愛を描いているのですが、一番の主人公である沙耶以外の2人は尻が軽くて(挙句に不倫までしていて)あんまり好きなタイプじゃないなとツッコミを入れながら読んでしまった話でした。連載されたのは10年前、ちょうど不倫ブームも始まっていた頃だよなと世情と合わせて思わず遠い目で見てしまったものです…。

 鈴木沙耶…「その夜、初めて名前で呼ばれた。」

何というかキスまでは物凄く時間が掛かったのに一線を超えるまでは早かったな(1話かい!)と展開の速さに驚かされたものでした。が、恋愛経験の乏しさ、免疫の無さから彼に夢中になった反面すれ違ったり、空回りしたり、恋愛の辛さも味わう事になった沙耶であり柘植さんがああ見えて実はモテモテ君な事もあり他の女性の影に苦悩も多くなった様子です。(柘植さんがサッサと皆にバラして公認と化せば堂々とできるのにと思いきや、オヤジ達に夜の生活を想像される事や会社に妹尾さん(元彼女)がいる事も有り隠したかったらしい。)社内恋愛は秘密が鉄則であり社員同士のロマンスは婚約発表で皆をアッと言わせるのが普通という例にもれず、この2人の仲は最終巻(24巻)まで長~いこと隠し沙汰される事になるのですが、中学生恋愛で終わった(経験値は中学生レベルの)沙耶には色々と辛かっただろうな(なのによく頑張ったよ、20巻以上も。)と成長と合わせて一番共感できたヒロインでした。

 妹尾莢花…「付き合っている時、彼、優しかったわ。でもね、それは『彼女への義務』でやってたの。恋愛なんかじゃない。あの人のは『マニュアルをこなしてる』だけなのよ。」

本当は立派な恋仇として憎まれて然るべき彼氏のストーカー(「下の玄関はオートロックのはず…。」「入る人がいたから一緒に上がってきちゃった。部屋に入れてくれないの?」「…。」)なのに「彼の事は好きだけど諦めてはいるから。」と現・彼女の友達という立場はちゃっかりキープし(普通だったら「お互いに彼の事が好きなら、じゃあ、あたし達はライバルだね…っていうか絶交だね。」と絶縁する所である。)挙句にそれを利用して↑のような事を吹き込む(破局に導こうとする)彼女の腹黒い中身に思わず拍手してしまいました。(天然に見せかけて策略が上手いなあ、この人…。だからこそ彼女が嫌になった柘植さんは鈍くて不器用でも策など弄せない良い子の沙耶を選んだのでしょうが…ゲフッ!)何をやってもこの2人の間には割り込めないと悟って身を引く際にもコネを利用して沙耶を秘書課に飛ばしているし(「秘書課って2、3年は辞められないじゃないですか。可哀想だなって思って。…つまり結婚を2、3年待たなきゃならないから。」by一葉)最後の最後まで君は君だった、と悪気はない(かもしれないが明らかな故意で行っている)嫌がらせの数々に感心した女性でした…ゴフッ!

 谷上一葉…「春に引っ越そうと思ってるってあの人に言ったの。そしたらうちに来ないかって。奥さんと別居してるのは知ってたけど…そしたら実はもう別れてたのよ。それで何の障害も無くなっちゃって、じゃ結婚しようかって。」

という訳で11月に合田さんと別れてから猛暑になりそうな「今年の夏」までというわずか半年程度の付き合いでゴールインというスピード結婚(いや「今から式場を予約したって半年以上先」なのに9月に式を挙げられるということは12月から3月までのわずか3か月の付き合いで結婚が決まったという事だ。)という経緯を考えても城島さんは彼女を愛しているというより奥さんに逃げられて1人でいるのが寂しい中、一葉だけでも確実にキープしておきたいという勢い(離婚されて寂しいタイミング)しかなかったのではないかな~と終盤に離婚に到る経緯の伏線を強引に見てしまったものでした。一葉にとっては「好みのタイプの男との結婚」という事もあって(あれほどラブラブだったにも関わらず結婚は考えられなかった合田さんとは違って)あっさりOK出来るほど城島さんに気持ちが有ったのだろうけれども、こんなしかめ面で文句ばかり言う高級嗜好の女(「宝くじが当たったら?まずはメゾンエルメス全館買い占め、それから…。」「3億で足りるかい!」「私は金のかかる女なのよ。」という様が「ギャグ」を通り越して物凄く性格悪く見えました。旦那のボーナスを靴3足で使い切り「浮気の代償よ。安いもんでしょ。」というのも…浮気を知っていたのなら、まず辞めさせろよとしか思えず…ゲフッ!)を奥さんとして毎日顔付き合わせて暮らしていくなんて辛かっただろうなあ~と後に城島さんの愛が冷めた理由にも頷けてしまったものです…ゴフッ!

 松沢里李香…里李香「あたし一人でなんて産めないよ!育ててけない!調子のいいこと言わないでよ!」
村岡「いいよ。離婚しても。…別に深く考えてとかじゃないんだ、俺のことだから。ただ、そういう気になっただけ。」

騒動の反面どうせこの人が妊娠していないだろうご都合主義的展開は始めから予測がついていた(騒ぐ前に妊娠検査薬を使って調べればいいだろ。)ので、元サヤに戻った予想通りの結果と共に「やれやれ。」と溜め息をついてしまったものです。残念なのは妊娠が不確かなこの状況ですらこれだけの騒ぎになるのだから本当に妊娠してしまった時の修羅場はこんなもんではない、と役者がそろって学習してくれなかった点ですかね…。現実の離婚が「そういう気になった」程度の気持ちでできるほど簡単な問題ではない事も合わせてアンタらは本当に考え無しだ(ちょっとは深く考えようよ)とツッコミを入れてしまったものでした。避妊しないでセックスすることにOKを出す里李香も里李香なら(「アンタ、女としてサイテー!」by一葉)安全日も調べずにセックスするこの女と関係を続けていたらいつ妊娠してもおかしくないという当たり前の展開に頭が回らない村岡さんも村岡さんでいい加減でダメダメな2人だなと心底思ってしまった人達です…ゲフッ!

クローバー⑫~⑰

2010.09.10
 「ぶ~け」→「クッキー」→「コーラス」と雑誌の廃刊に伴って連載される場所はコロコロ変わりながらも(単行本自体は全部「マーガレット」のカテゴリに入っているがこの雑誌も既にこの世には無い…んだろうな、きっと…。)その都度新しい連載先をゲットできていた辺りこの作品の人気の高さが伺えます。(さすが20巻の時点でシリーズ累計730万部突破のミリオンセラー万歳漫画…噂によると映画化の話もあるそうです。)主人公達の恋愛譚も長く続いて多少中だるみの勘も出てきましたが(禁句)この後は伏線も綺麗に回収してまとめられていますので懲りずに続きを読んでいく事にしました。

 柘植翠…「俺、勉強のし過ぎでおかしくなってるんだ!何であのバカ女からのプレゼント持ち歩いてんだよ!ごめん、鈴木さん!君という人がありながら!」

沙耶にも女性としての魅力があるのを認めた…のではなく「手近にいる女」ならば兄貴の彼女にまでフラついてしまう彼の気持ちの軽薄さに「…。」と思ってしまったものです。(さすが後に「都合のいい女」をセックスの道具として使う気持ちの悪い男だ。)それでもまだこの頃は「ダサい」ながらも純情で不器用に夢を追っていた(片想いをしている女性に対しても真実一途だった)様に好感を持っていた(過去形)ので「態度が悪い弟」でも、そんなに嫌悪感は感じてなかったですかね。(身長が伸びて髪形が変わってから見かけからして気持ち悪くなった。この頃のお坊ちゃん風の容貌の方がダサくてもまだ無難に見えるのにな…個人的に。)読み返してみて改めて「そういえば昔からこの男は人を卑下して見下している性格の悪い部分が有ったよなあ~。」と目について現在どんどん好感度が下がっている所です…ゲフッ!

 柘植早織…沙耶「柘植さん(32)の母親にしては…ちょっと若過ぎないか!?どう見ても40…ううん30代、20代にも見える!」

実際年齢は42歳(実子・翠くん(18)を産んだ女相応の年齢)だそうですが42歳の女が20代にも見える外見をキープしているって凄いな!と普通に驚いてしまったものでした。が、無駄に若い外見のせいか10歳も年の離れた柘植さんはともかく6歳しか違わなかった長男とは夫を裏切って不倫していたらしく、旧家の嫁としてもまるでなっていないのに何も知らない家族皆から大切に扱われている現実(「沙耶さんはまだまだね。暁もわりと普通の子を選んだわね。」「でもあの人に比べれば…。」「ね。」by祖母達)には引く事しかできませんでした…ゲフッ!(夫と息子とその彼女と周りの人間をどんだけ裏切ってるんですか…?)本人いわく「(新しく妊娠した100%夫の子供と言える)この子がいるから、もう大に会うのも怖くない。」と完全に吹っ切れたようですがそのきっかけがお腹の中にいる「この子」だけであり「この子と翠」と言っていない(つまり翠くんの父親は早織さん自身ハッキリ夫だと言い切れない=大の子供である可能性がある)疑いは濃厚な辺りが秘密の恋愛通り越して気持ち悪い設定だなあ(妹尾さん曰く彼らの家庭は「源氏物語」みたいだそうで当の物語では主人公・源氏の君は義母が好きで父親を裏切って「不義の子」を作っている。という事は…。)と共感はできなかった義母さんでした。挙句に当の妊娠で沙耶と柘植さんの結婚はまたも先延ばしになっているし、どこまでも周りに迷惑をかける女性だなあと暗澹たる気持ちになってしまったものです…ゴフッ!

 柘植大…「お義母さんが妊娠って、もしかして…またアンタの子供なの?」
大「翠はオヤジの子供だ!」

つまり義理の母親とヤッていた事は本当だったのねと長年付き合っていた幼馴染彼女にまで逃げられたラスト(いくら肉体関係まで行っていた恋人だからって「義母と関係を持っていた彼氏」(本人は否定しているが異母弟は実子の可能性がある)は普通に気持ち悪いと思われても仕方が無い。結婚したら当の義母とも親族として親しくお付き合いしなければならない訳で、そりゃ逃げられて当然だろう…ゲフッ!)には心から頷けたものでした。どうやら柘植兄弟の初恋は揃ってこの義母だった(「だって結局他人なんだよ。思春期の頃に22、3の女の人が同居するなんてムラムラくるって」by里李香)ようですが当時12、3でしかなかった柘植さん本人はプラトニックで終わったものの16にもなっていた長男・大は元々彼女が「店先で見かけるたびに憧れていた高校生」だった(気持ち悪い話だが義母の方にも大いにその気が有った)だけに立派に一線を越えていた(一応「間違い」として終わらせたものの気持ちだけは20年も経った今もまだ引きずっていた←長いから!)ようです。今回だけは100%確実に親父さんの子供らしいですが、こんな男、こんな家族、嫌になるよなあ~と36にもなってまだ独身(そして当分は確実にその状態が続く)という彼の現実に納得がいってしまいました…ゴフッ!

 小沢ゆう子…「初めての彼。恋人。好きな人。だけど…なんか不自然なムードなのよね~。」

だからっていきなりホテルの部屋を取るのは飛ばし過ぎでは…とツッコミを入れてしまったものでした。とはいえ付き合って3か月も何もナシという展開はともかく(別に結婚するまで清らかな関係というのも私は有りだと思うが…。)元々「二股が出来る男」(つまりこの男、好きな女がいても他の女を抱ける男なのだ。)であり、他の女の子と仲良く話しているのを見てしまって、しかも自分は避けられ始めているという内訳には不安を感じる気持ちは分かる気はします。(というより普通に浮気を疑うだろう…ゲフッ!)段階が進んだ事によってようやく恋人らしくなったものの今度はHの内容についての不満が出たり(女同士の会話って…。)喧嘩ばかりしている関係は相変わらずで(最も「別れる」と言うのは口先だけで痴話喧嘩で終わっているらしいが。)カップルらしくなったものの変わらない2人だなと微笑ましく思えた後日談でした。

 如月撫子(ロング)…母「あなた、そろそろお勤め辞めたら?もう28なんだし英雄さんをあまりお待たせしてもね。」
英雄「僕は君を大切にするよ。君はただ黙って家にいてくれればいいんだよ。」
撫子「…ええ。分かってるわ。」

望まない大して好きでもない親の決めた相手と婚約して、恋一つマトモに経験しないまま結婚しようとしている様は一昔前だったら同情に値したのかもしれないけれど、現代女性から言わせれば婚約者を見つけることだって大変なのに好みの男とのフラグまで立っているなんて贅沢な悩み以外の何物でもないだろう(その婚約者にしたって及第点は挙げられる程度の「無難な男」どころか今時珍しい専業主婦が出来るほどの稼ぎのある「超優良債権」なら尚更に。っていうかそんな素晴らしい婚約者がいるのに合コンに出る女という行動自体がどうなのだろう…?)と読者からの共感は全く得られなかったようで、このフラグは自然消滅の果てに婚約者と結婚したという結末だけが最終巻で描かれていました。漫画上ではコミカルに描かれている彼女だけれども言っている事は恩着せがましい小言の連発で現実に目の前にいたらうざい女上司以外の何物でもない(「なのに完璧なマナーと上品な微笑みで合コンではハーレム状態。人間って…色んな意味で表面に騙されやすいのね。」by沙耶)だろうなあと、ゆう子の場合と違って後日談が詳しく描かれなかった(頻繁に登場する脇役止まりでサブヒロインになり損ねた)経緯には心から納得できたものでした…ゲフッ!

 宇都宮先生…「あゆが大切で、大事にし過ぎて、腐らせてしまった。俺達は実らなかった。」

別に痴話喧嘩の果てに刃傷沙汰になって思わず殺ってしまい、現在大事にしていた死体が腐っていますという展開ではないので念の為。(当たり前です。)…という訳で「人生のタイミングがどうしても合わない」(彼女がこれから大学進学という大事な時期に「メロン農家の嫁に来てくれ」なんて言えない)という、どこまでも彼女の事を想った理由から好き合っていたのに別れざるをえなかった宇都宮先生。これ以降、最終巻まで彼の出番は無くプライドを捨ててまでライバルの男性(翠くん)に任せたとおりに彼女は翠くんとラブラブになるその後の展開が…見ていて辛かったです…ゲフッ!(翠くん、悪いけれど身長が伸びてから「ただの根暗男」(悪気はない良い奴)から好きでもない女の子とヤル日々を続ける「気持ち悪い男」になったし…ゴフッ!)せめて腐れ縁の友達のように面倒を見ていた同僚の女性とその後なし崩し的に結婚して生まれた女の子に「あゆ子」と名付けたとかいう後日談があればまだ(妻の立場は無いけれども取りあえず彼1人だけは)救われたのにどう見ても翠くんより凄く良い奴なのに完全放置で当て馬にされて終わった結末(結局一度も手を出せずに終わった)には納得がいかずに、その後のあゆ子の恋愛譚にも全く共感できなかったものでした…ゴフッ!(せめて大学で普通のカッコイイ男を見つけてる方がまだマシ…っていうかあのキモくなった男以外だったら誰だってマシだったのに、何であのメガネになるんだよ!)正直作者以外にあのカップル(翠×あゆ子)に萌えている人間がいるのかも疑問なその後です…ガフッ!

 松沢里李香…央太「村岡、あんたさ、ずるくない!?奥さんが行かないから身代りに里李香を連れて行こうなんて!」
村岡「確かに勝手な話だよな。よく考えたら大切な女の子をアラスカに連れて行きたいなんてとんでもないよな。でも1人では行きたくなかったんだ。」

「一人で外国には行きたくない」それだけが彼の正直な気持ちで「里李香ちゃんと一緒に行けたらと本気で思った」のは奥さんにNOと言われたから(で里李香を選んだ割には奥さんと離婚もしていない)という事実の前にはプライドを捨てて会社を辞めてまでついて行った彼女の明らかな判断ミス(失敗するのは目に見えていた)と言えるでしょうね…。とうとう彼について海外へ!と盛り上がっていた所悪いけれども他人の旦那を寝取ってまで幸せになる展開は世の中間違っている(苦労しているのは分かるけれども可哀想なのは村岡の子供であって愛人である彼女は悪役でしかないだろう。)としか思えなかったので元はといえば奥さんが旦那(村岡)をしっかりと捕まえておかなかったのが事の原因だった(もしも奥さんが始めからアラスカについて行っていれば愛人とランデブーの末に不倫の子供まで作られる事は無かった。)とはいえ自分の意志でついて行った里李香も里李香で共感はできないなと感じてしまったものでした。「仕事」と「奥さんと子供」と「私」とどれが一番大事?という質問は「仕事」も「彼氏」も捨てて彼を選んだ里李香からしてみればギリギリの質問だったのでしょうが(どれも手放していない)村岡さんの言葉を借りればそこまで「後先考えずに」決めてしまう人間なんていない(そもそも離婚はそんな簡単にできる問題ではない)訳で、もっときちんと考えてから行動すべきだったなとツッコミしか出なかったものでした…ゲフッ!(取りあえず子供はきちんと結婚してから作りなよ、里李香さん…。)

クローバー18~24

2010.09.09
 足かけ12年(!)も連載が続いたこの作品もいよいよ最終巻を迎え多少中だるみをしていた(禁句)主人公達の伏線も見事に回収して話が終わっていました。(主人公も結婚するまで5年か…ずいぶんかかったな。)という訳で主人公は本編では全く出てこなかった同姓同名の同期の鈴木さん(…仲悪かったの?同期なのに。)に代替わりして「クローバー・トレフル」として後日談が連載されていましたが、こっちはそこまで好きになれなかったヒロイン(少なくとも沙耶ほど共感できなかった)ので買うのは控えている所です…。

 柘植翠…「俺が好きなのは今も大切なのは鈴木さんだけだ。なのに今は顔がぼやけて上手く思いだせない。」

この人、途中までは良い奴だったのに、今でも良い所はあるのにコミカルにしようと付加した辺りが共感をすっ飛ばして裏目に出てしまったな、と本命女性(あゆ子)をあっさり忘れてセックスに溺れ、しかもその相手の子(亜弓)は『彼女』にもせずに体だけ弄んでいる(おまけに避妊もしていない)経緯に気持ち悪さを感じて一気に引いてしまったものでした。(作者は「サイテー」とか「翠くん、性格悪いです」とツッコミを入れて「笑い所」にしようとしていたけれど、同じ女として全然笑えない展開だと思う…。)身長が高くなりコンビニの売り上げを増加させる仕事能力を発揮出来たり「どんどんカッコ良くなってきている」と作者は称賛しているけれど付き合う人間の価値って身長の高さでも能力でもなく性格ですし(絶世の美女として描かれた女性が絵で見てみると少しも絶世でも美しくもないように「説得力の無さ」の前には振るような讃辞も虚しく響くばかり…ゲフッ!)正直全然共感できなかった恋愛譚でした。留学するのを幸い、そのまま2度と戻ってくるなと思わず念じてしまったものです…ゴフッ!(沙耶が言うように「男の子が好きな女の子にナニをするのが自然な事」でも好きでもない女を女体経験値の為だけの踏み台に利用するような付き合いをしたこの男の行動は違うと思うの…。)

 鈴木あゆ子…「私の理想の相手は渡り鳥のリーダーみたいな人。私はリーダーの番(つがい)の相手。鳥類は哺乳類と違って一夫一婦制だから生涯番の相手は変わらないの。死ぬまで私だけを愛してくれる…。」

この子、こんなにドリーミングな性格でなくもっと冷静に現実を見ていた女の子だったのにね…と、あまりの変貌ぶりの酷さに翠くんと合わせて引いてしまった現・彼女さんです。(ちなみに一夫一婦で有名な鳥の鴛(おしどり)は放っておくとメスがすぐ浮気する尻軽女なので常に一緒にいて見張っているからだという説もあったりして鳥類の生態にもあんまり夢は持てなかったりするのですが…ゲフッ!)この子も別に嫌いではなかったのですが、あの気持ち悪い男(翠くん)と付き合い始めて「私もあんな結婚式したいな」(もちろん隣にいるこの人と!)と夢見過ぎている経緯には翠くんとセットで引く事しかできず(夢見れる程の男じゃないだろ…確実に!)キスまでしていても気持ち悪さ以外の何物も感じられませんでした。(それ以上のシーンが描かれていなくて本当に良かったです。)おかげで続編(本編より数年後)を読む気持ちに余計にブレーキがかかっている今日この頃です…。

 谷上一葉…「城島、会社辞めて『彼女』の実家の呉服屋やるんだって。家も車も離婚する慰謝料として全部私にくれるって。オマケに退職金も。」

世の中には離婚に当たってDVなど男の方が200%悪いのに「分かりました!慰謝料も養育費もいりません!とにもかくにもあなたと別れさせて下さい!」と身一つで(無一文で)出て行かざるを得ないケースだってある(実際問題、離婚したら後は知るかと相手の女性への慰謝料のみならず子供への養育費すら払わない男は意外に多い)のに↑の条件は破格に恵まれているように思えて、浮気の果てに隠し子を作って離婚した経緯はともあれ「きちんと妻に対して責任を取った元夫の誠意」には逆に感動したものでした。事実関係だけを見ると結婚しているのに不倫した夫の方が悪いのですが、過去に不倫しまくっていた一葉に何を言う資格もない(因果応報…じゃないの?)気がしますし、浮気していたのを知っていて子供を作ろうとしていた(夫婦の仲はとっくに終わってたのに彼を繋ぎ止める「人質」を作る為に子供は欲しかった)という考え方もどうかと思えて涙するほど傷ついた割には同情し辛かった女性…でした。(個人的に言わせて貰えば「彼は私にとってもう男じゃないのかもね。」などなどの悪口を「会社の人間」相手に言いまくっていた(絶対会社中に伝わっているよ、その評価。)この奥さんは性格が良いとは言い難い。正直城島さんは気が弱い割に今までよく耐えていたと思う。)物事を何でもズバッというのは彼女の魅力でもありますが何でもかんでも無神経に言えば良いというものでもないですし(そもそも普通は離婚の理由だって大々的に言うものでもないと思うけどね…。)可愛い奥さんをやりたいのなら、冷たく振る舞うだけでなく相応に努力すべきだったのでは等々色々考えてしまいました…ゲフッ!

 松沢里李香…「央太は口では色々言うけどいつも今の事しか考えてない。あんたといると心が潰れちゃう。いくらあたしにとってあんたが重要でも、いくら好きでも一緒にはいられない。」

とはいえ他の男の子供まで産んだコブつきの女が次期社長の御曹司(新しい人)とくっつくシンデレラ展開はさすがに読者が許さなかったようで発生しかけていたフラグ(「何か君とは物凄く運命を感じるよ!」→名刺渡し)は御曹司の驚異的な物忘れか「まるで無かったこと」として無難に央太とくっついていました。自分にプロポーズしたくせに他の女とセックスしてたんだ!(そしてバレなきゃそのまま続けてたんでしょ!)と里李香はセフレがいることを責めていましたが彼女でもないのなら彼の性生活を責める権利すら無いだろう(婚約者なら正当な主張として彼を縛る権利もあるが当のプロポーズは断っておいて「昔の恋人」も他の女性に渡したくないって…。)とあんまり共感できなかったので素直に元サヤに納まった結末には普通に納得できたものでした。(そもそも不倫の果てに未婚の母になったという一般的な親が全員大反対する彼女の立場で結婚相手を選り好みしている場合じゃないだろと普通にツッコミが絶えなかったので…ゲフッ!)泥沼化が多い3大ヒロインの中で最も勢いよく泥沼に突き進んでいた女性だっただけに幸せを手にした様には素直にホッとしたものです。良かったね、央太くん。

 筒井栞…莢花「栞ちゃんは今まで手に入らない物は無かったの。そういう人生を送ってきた人なのよ。そんな人の告白は断っちゃ却ってダメなのよ。適当に受け流しておけば良かったのに貴方は『人生で初めて拒絶した人』になっちゃったのよ。」

「自分の敗北(拒絶)なんて認められない」から余計にのめり込んでしまう男顔負けの心理は察せられる、けれども「何としても手に入れてやる!」というその気持ちを迷惑がりながらも「ここまで愛されるなんて困ったわねぇ、ウフフ…。」と悪い気はしない程度に嬉しく思える(可能性が出てくる)のは女だけで、男は「立場上の権力」にかしづく事はあっても彼女本人を愛おしく思える事は多分あり得ないだろう、と愛情は芽生えなかった結末には(始めから見えていたものの)納得してしまったものでした。年齢らしからぬ子供っぽい女だからこそ大人でしっかりしている柘植くんとはいいコンビで上手く支えて行ってくれるだろうと社長(父親)も推していた縁談ですが当の柘植さんは耐えているだけで楽しくも何ともなかった(でも出世の為に大抵の人間は古くからの恋人を捨てて社長令嬢を選ぶような気はする。楽しくなくても「耐えられる範囲」の中に収まってはいるのなら尚更に。)というオチの前に見事に振られてしまっていました。婚約速報までしたのに会社中の噂になってから振られるなんて哀れだなと勝手な行動にため息が出る反面そこだけは同情してしまった女性でした…ゲフッ!

 柘植暁…「婚姻届は24時間受け付けているはずなんだよな。」

沙耶に花嫁修業までさせて、父親に結婚の許しまで貰って、それでもグズグズと5年間も先延ばしにしてきた問題でしたが男は一度決めたら行動は早い(だったらもっと早くに行動を決めてやれよ…。)という特性か式も挙げないまま、区役所の開店も待たずに電撃入籍という結末には多少、驚かされたものでした。(以前「せめて籍を入れるだけでも!」と沙耶が要求した時には「ごめん、俺はそういうのダメなんだ。どうせ一生一緒にいることになるんだから半年や一年先に伸びたからって大して変わらないだろう?」(変わるよ。)と逆に断っていたのにね。そしてこのパターンで5年も逃げ続けたのにね…ゲフッ!)柘植さんに言わせると沙耶は自分の好きなタイプとは真逆だそうですが「自分の理想」と「実際に付き合う相手」は別(生きた人間にお綺麗な理想を追い求めてもしょうがない)という事は現実にはままある事で(実際に柘植さん自身も最初は「怖い上司」として沙耶の理想とは正反対のタイプだったのだし。)実際に付き合っていける以上は2次元的な理想論なんて気にする事はないよと沙耶に多少慰めを入れてしまったものでした。(結局君が一番長く付き合っている相手らしいし…勝っていると思って良いと思うよ、一応。)という訳でヒロインの結婚と共に幕を閉じるこの物語、続編でもしつこく登場するらしい彼らは本当に人気があったんだなあ~(というより、むしろそこで売っているでしょ、続編…。)と実感もした真面目カップルです…ゴフッ!

 鈴木沙耶…「私はもっとこじんまりした、せいぜい50人位でちょっとした記念日に出来れば…って程度だったのに、何か結婚式が大事に…。」

でも柘植さんの為なら頑張る!と分厚いノートにメモを取りながら準備してきたのに会社の都合で急な転勤が入っておじゃんになったり(栞さんの公私混同騒動で閉じ込められたり、つくづく迷惑な会社だな…)最終巻まで振り回されていた主人公。結果としては2次会の会場みたいな場所でささやかな式を挙げるという彼女の望みは友人達も含めたサプライズによって叶えられていましたが、最愛の彼との長い長い付き合いの果てに本当にお疲れ様(他のヒロイン2人は里李香といい一葉といい長い年月の間にどっちも相手と別れていたのいうのに。)と素直に拍手を送れたラストでした。(妹×翠くんのモノローグは気持ち悪い式だったけど…ゲフッ!)長年付き合ってきたのに結婚相手は打算で栞さんを選ばれ泣く泣く杳生とくっつくという展開(結婚相手に「恋」をしていなくても日常はこなせるから打算で相手を選ぶという嫌な現実は、ここまで話を引っ張ってきておきながら読者が許さなかっただろうが)にならなくて本当に良かったね、と思わず語りかけてしまいました。作者によると「長年温めていたラストとは全然違うものになった」そうですが(何をするつもりだったんですか、稚野先生…?)ヒロインが幸せになれるものこそ読者の希望に叶った終わり方であってベストなラストだったと私は思っています。お疲れ様でした、沙耶さん。

悪魔の花嫁⑦

2010.09.06
 巻数はラッキー7の7ですが相変わらずおどろおどろしい話(表現がスプラッタ系でないのでわりかしすんなり読めますが。)が続くお話です。(人間不信系の話が多いのは作者さんの趣味でしょうか?)ふと気がつくと美奈子が出てくる話はヒロインなのに3話しかありませんでした。(ヒロインとしてそれでいいのだろうか?)どの話も心の琴線に触れるものの救われる話がほとんど無いのはさすが悪魔の所業と言うべきでしょうね。主要人物と関係ない話が多いので早く本編を進めてほしいと切に思ってしまった巻でもありました…ゲフッ!

 シデ虫の鎮魂歌…デイモスは普段はカラスの姿でお散歩しているみたいです。「人がこっちに来る!」と慌てて服を着た人間の姿に化けましたが今時そんなオシャレ~な刺繍のついた王子様ルックの服(ちゃんとスカートちっくな宝塚風に仕上がっている。)は無いだろうとツッコミを入れてしまいました。さすが少女漫画です。長年男っけの無かったかおるちゃんは何の疑問も持たずに一目惚れをしています。(服のセンスで引きませんか?)父親は過去に妻が事故で死んだことがきっかけでかおるを憎むようになりましたが、そもそも彼が妻にキスをして気を散らせなければリボンは飛んで行かなかったはずですしお父様がリボンを取っていれば母親が落ちることはなかったので梨江を殺したのはむしろ父親の方なのでは?と検証すればするほど父親に疑問符を持ってしまいました。ばあやは始めからかおるサイドに同情していたので死体は2人で結託して隠したんでしょうね。シデ虫が食いつくした今証拠は何も残っていないしこれからも行方不明で通るのでしょう。

 愛の化石…記憶喪失が治り7年ぶりに花嫁の元へやってきたのに誤解を招いて殺されてしまった話。しかしヴィーナスのトリック(ただの包装紙に過ぎない新聞を偶然読んでくれたことでトリックは成立。普通は破ったら速攻で捨てられてしまう所なのに成立した辺りは運がいいとしか言いようがない。)はともかく他の女からのプレゼントを後生大事に7年も取っておいたら誤解されても仕方ない状況ですよ?と私などはツッコミを入れてしまいました。話の内容は置いといても、とりあえず働いてもいないのに毎週食べ物を買え、あんな広大(過ぎる)屋敷に住まうお嬢様の生活が羨ましいです。今度は美奈子の近所じゃないようですが日本のどこにあんな豪邸が建てられるんでしょうね?…ゲフッ!

 タロットは知っている…1日で結婚を決めるなんて(いくら焦っていたにしても早すぎだろ!)無理な行動をとって相手を陥れても上手くいくはずはないんですよね。(男は勝負事が好きな生き物なので卑劣な手段を使って勝ち(結婚)を手に入れた女は決して許さず恨みが募るものなのです。)タロット占いの客として現れたデイモスがカード通りに運命を変えてくれますが、その時の彼の服装がまた凄くて度肝を抜かれてしまいました。(かおるちゃんと会った時といい、どうやら服の趣味は神話時代で止まっているらしい。)自分の占いの「恋人」の逆位置の通りに愛情は冷め、「搭」の通りに悲劇的な事故に合い、「運命の輪」の通りに多額の賠償金が手に入り、「太陽」の通りに彼はバンドが成功しました。「女司祭長」が示す通りに年上の女と結婚した為に彼の運命は変わったのです。妹の運命を狂わせたつもりが自分に同じことが跳ね返ってきたというのは皮肉な結末ですね。(というか彼女が実の妹にしようとしていたのはこういうことなんですよね…と考えてみると同情できなかったり。)運命が変わっても人の心は変えられるものではないといういい教訓話にもなっています。

 天使の爪痕…天使のドングリ話再登場です。カブトムシの烙印がばれるとナイフの行方が知れると友達をプールに突き落として殺していましたが、そもそも兄の死体を隠したのはともかくナイフは美術館に返しておけば良かったじゃないか(母親の仕事が美術館→テレビ局のお掃除おばちゃんと変わっている辺り、前の職場は結局クビにはなってしまったらしい。)とツッコミを入れてしまいました。しかもそこで友達を殺してしまったら苛められていた張本人として警察は真っ先に彼女を疑うでしょうし、ひいては手首の痣の事で言い争っていたこともバレ、兄の死体の事もバレてしまうのではないでしょうか?デイモスの言うとおりこの後彼女は全てがおじゃんになってしまうんでしょうね。

 裏切りの遺跡…美奈子の恋物語パート3です。(俳優のジュンとカメラマンさんとの事はすっかり忘れて)仲良く2人でしゃべっている写真なんて見た人が絶対に誤解する内容でしょうに(たとえライラが見なくても周りの人間の噂の的になるのは避けられまい。)そんなことは夢にも考えない辺りは女として配慮が足りないとしか思えません。(死亡事故にまで発展するかはともかくある程度の災厄に変わることには間違いない。)「末代まで呪ってやる。」と恨んで死んだ加世の怨念はこうして子孫(藤堂さん)が全滅したことで成就したのでしょうね。1回口をきいただけの美奈子に律儀に死亡届が送られた辺り既に周りからはそういう仲として公認されていたみたいです。砂漠の果てまで行ったにも関わらず死亡が確認できたのはやっぱりデイモスが死体を引きずって町に戻してくれたからなのでしょうね。(でなければ行方不明で終わる。)これをデイモスにもいい所があると取るのか、死ぬまで眺めていないでとっとと助けろとツッコミを入れるのかは読者の自由です。(私は後者。)

 魔術の効用…ここでも図書館の館長の誘いに乗ってホイホイと食事とダンスに行く辺り美奈子のガードの緩さというか慎みの無さが分かります。むしろ好色そうな館長がその後ホテルへと連れ込まなかったのが奇跡のようです。本の通りに思う相手(館長)が石を手にしたとたん彼女の元にやってきて打ちどころが悪かった為に永遠に離れることがなくなった辺り(死んでしまったら動けません。)あの魔術書は本物だったんでしょうね。美奈子も3日間放置してないで早く確認に来ればいいのに(とはいえあの状況で異常に気付かない辺りいつ来ても同じか…。)と行動の遅さにツッコミを入れてしまいました。取り越し苦労どころかもう全ては色んな意味で終わってしまっていますよ、美奈子さん。

 残酷な処方箋…双子が片方を殺して優雅な生活を手に入れる…よくある手法の話ですが、お姉さんは全くの好意で妹を歓待しているのに殺して乗り替わろうなんて酷すぎやしないか(殺した理由は100%嫉妬だろう。)と共感はできませんでした。彼女を「気まぐれ猫ちゃん」呼ばわりするマリオが素敵かどうかは置いといて姉の恋人を平気で自分のものにしようとするその神経も性格の悪さを物語ってあんまり好きじゃないです、この子。最後はほくろがきっかけで真子だと分かってしまいましたが、高級食事の内容も贅沢なセンスも分かっていない彼女ではそのことが無くても早々に正体がばれていたでしょうね。

 予期せぬ目撃者…ヴィーナスの役をやっていて、その服装からも神話時代のドラマかと思いきやコーラを缶で飲んでいる辺り(いくら澄ましていてもそんなものを持っていることで雰囲気台無しです…ゲフッ!)時代感はメチャクチャな話のようです。「鏡は姿ばかりじゃなくその人の心を写す。」…その後人殺しの自分を責め続けた良心の姿を作りだしたのはおそらく鏡の魔力なのでしょうね。「目撃者」の証言の通りにピンポイントで顔にVの字の傷をつけることができた辺りはもう呪われたアイテムにしか思えません。とはいえ彼女が傷を負ったのは警察と話をした後ですし殺人罪についてはこのまま疑われずに済むんでしょうね。(あの傷でその後女優としてやっていけるのかは謎ですが。)

 糸車のある城…デイモスの嫌がらせの理由は恵まれたお嬢様へのただの八当たりなのでしょうね。(八当たりを受けた方はたまったものじゃないが。)いばら姫の伝説があった城なら故事に習って同じ過ちは繰り返さないように魔術師を呼ぶのは辞めればいいのに(そうすればお嬢様は人間不信に陥ることも無く平凡な人生を送れたはずなのに。)と私なんかはツッコミを入れてしまいました。こうしてお譲様が自殺なさってしまった以上婚約者のヘルダーは(もちろん原因もばれるでしょうし)爵位も地位も取り消しとなり貧しい一生を送るんでしょうね。女を利用すると報いが来る…というより、せめて報いが来ないとあまりに悲しい結末なのでそうなってほしいです。

悪魔の花嫁⑥

2010.09.05
 この辺りからヒロインの美奈子も本格的に恋をし始めます。(その相手に決してデイモスが選ばれないのは笑える所でもある。完全にアウトオブ眼中なんですね、美奈子さん。)1話でその恋人が死んでしまい嘆き悲しむも、その次の話ではその恋人の存在自体も忘れ去っているようなパターン(回想くらいしてあげて下さい。)には同じ人間として「…?」と疑問符が出てしまうこともしばしばでした。そのあっけらかんぶりはデイモスも見習って(そしてとっととヴィーナスとの約束を守って)ほしい所です。過去を綺麗に切り捨て(過ぎ)る辺りある意味悪魔よりも酷い性格してますよね、美奈子さんって…ゲフッ!

 雪おこし…どうやら毎年冬になると黄泉の池にも氷が張ってヴィーナスは出て来れなくなるみたいです。(毎話、彼女が出てこないわけです…チッ!)話では山に滞在した男が婚約者が来たことを隠した深雪さんに激怒し別れを切り出す話でしたが、ここで1番悪いのは記憶を失ったわけでもないのに婚約者の存在をわざと黙っていて深雪さんに手を出したこの男だと思います。別れ話を切り出したのは都会の生活に帰りたいという身勝手な気持ちもあったのではないでしょうか?なんにせよそんなずるい考えには報いが来ても当然の結末だと言えるでしょうね。…そういえば婚約者の麗子さんは無事に山を降りれたんでしょうか?

 さようなら親指姫…現実を見てみたら自分はもう老女だった…「プレゼント」(犬木加奈子)でもやっていた手法です。夢を見ているうちに現実の王子様を持ちそびれてしまったという深く考えると恐ろしい状況の話ですが、もう100歳もお過ぎになってらっしゃることですし(むしろ生きていることだけで凄いと思う。)苦しい時間はそう長く続かないよ(酷い。)と励ましたくなりました。(励ましにならないから!)でも個人的には「さて、メロドラマでも見るか。」と言っていた物凄く現実的な親指姫の話(夢を壊しそうで童話にはできないな、この話。)が気に入っています。が、シンデレラ・コンプレックスの強い親指姫には満足頂けないようです。老婆バージョンよりはかなりましだと思うんですけどね…ゲフッ!

 泣きぼくろの女王…とうとう美奈子も初恋を迎えた話です。タレントのジュンは芸能人にしては純情すぎる人(というよりあのお姉さんが近づく人間を牽制しまくっていたせいでマトモに人と関わったこと自体ないのだろう。)だったようで普通なら一般人を面白がって弄んでポイ捨ての所をかなり真面目に恋愛していました。性格の悪い姉を「そんな人を姉と紹介できない。」とメイド扱いしていましたが(それも酷いと思う。)君もいい年なんだし姉に対して毅然とした態度を取って子離れさせるべきじゃないのか(そして芸能人という人の多く関わる仕事の中にいるのだから誰かいい人をお姉さんに紹介してあげて下さい。自分だけ相手を作ってる状況だからバランスが取れないんですよ。)と最後には後追い自殺までしてしまう彼の弱さにツッコミを入れてしまいました。しかし手首を切ったばっかりで傷口を水につけてもいないのだから美奈子が急いで救急車を呼んでいれば助かった…と思うんですけどね。カードにこだわって愕然としている場合じゃないですよ、美奈子。

 仮面の道化師…ファンという名前はモテ男として有名なドン・ファンから取ったんでしょうね。日本人なのに何故ファン(外人名)なんだという疑問は整形手術でデイモスと同じ外人顔になれた(元日本人のオッサンがそこまで変化できるのも凄い。手術を執刀した医者はブラックジャック並の腕前だったのでしょう。)ことから納得できました。元の顔のままだったらロマンスは一転してコメディにしか見えないなあ…と素顔には笑ってしまった話です。それにしてもデイモスと全く同じ顔ならわざわざ顔を渡す必要はない気がするのですが…。

 2次元半の恋人達…美奈子とカメラマンの多田さんとのロマンスの話です。どうやら美奈子はわずか2話前に死んだジュンの事はきれいさっぱり忘れてしまったようです。(早いよ!)カメラマンに殺された元恋人が様々な嫌がらせをしますが、美奈子が乗っていた枝を見事に撃ち抜いたり(美奈子に当たらないのが凄い。)ピンポイントに鳩を撃ち落としたり(ちょうど美奈子の上に落ちるように鳩の落下点まで計算しきったのが凄い。)プロも真っ青の射撃の腕前に嫉妬を感じるのを通り越して感動してしまいました。最後は谷川に落ちたのをまたデイモスに助けられてますがいい加減ヴィーナスとの約束を果たしてあげなよ!(20世紀待ちの上また待つのか…。)と再度ツッコミを入れてしまった私でした。

 藤色の情話…姫様に一目ぼれした彫師の無実の自殺は、情熱的と取るか、お藤さんという婚約者がいたくせに身の程知らずの上に身勝手な行動だったと取るか、意見が分かれそうな所です。(私は後者。)贈り物を突き返した辺り姫様が彫師をなんとも思っていないのは確実なので(またご褒美に姫様自身を望まない辺り彫師も一応身分の違いは分かっていたのだろう。)彼が姫様の事を忘れられなくても時間と共に気持ちに折り合いをつけて(たとえ長い時間がかかることになっても)お藤さんと結ばれていただろう(「お姫様」なら政略結婚で嫁ぐのも早いだろうしね。)という現実を見ると切ない話です。(早まったね、お藤さん。)結局手に取るだけでかんざしは買わないのかデイモス、とツッコミも入れていました。

 血まみれの伯爵夫人…デイモスがやっと殺る気になってくれたかと思いきや「気が抜けた。」発言には思わず殴りたくなりました。(その後彼の殺る気は連載終了まで発揮されることはありませんでした…ガフッ!)美奈子が吸血鬼ネラに襲われていましたがわざわざ外まで運ばなくてもその場で襲えばいいじゃないかと襲い方にツッコミを入れてしまたのは私だけでしょうか?(正直無駄な手間だと思うんですけど…。)今回も事件が起こったことすら気づいていない美奈子ですが、友人の形見の品が無くなってしまっても彼女は何とも思わないんですかね?(普段のパターンならデイモスにまたいちゃもんをつけるところなのにこの後も何も言わない。彼女にとって友人の死もその形見の品もどうでもいいことなのだろうか?)

 クリスマスの幽霊馬車…自分で手を下せないなら第三者(死神)に頼めばいいんだ、とデイモスもやっと気づいたようです。(早く気づいて下さい。)1話前の「吸血鬼も悪魔も大嫌い。」という美奈子の発言(関係ないのにわざわざ聞えよがしに言う辺り彼女の性格の悪さが分かる。色々あったものの何度も助けてくれた相手に言うセリフではないと思う。)この恋は望みがないとやっと察したのでしょうか?(察するの遅すぎですが。)
キスをするオルゴール人形に恋人の姿を重ね「やめてくれ洋子!」と激昂し(じゃあ鳴らすなよ!)せっかく貰ったプレゼントを壊した所(貰ったその日に壊すかな、普通。)その壊し方通りに相手が死んでしまった…20世紀の今日に日本で馬車に乗っているのにも驚きですがあまりの状況の相似性に呪いでもかかっていたんじゃないかと疑ってしまいました。が、死神が現れた辺りやっぱりある種の呪いがかったプレゼントではあったんでしょうね。(ヴォードー教の呪い人形といいデイモスはその手のアイテムを沢山持っているらしい。)洋子が彼を連れに来たのは愛が半分復讐が半分という所でしょうか?でも愛する恋人と一緒にいられて彼本人的には幸せなのでしょうね。

桜狩り 上

2010.09.04
 こんな大風呂敷広げた話が上・中・下の3巻で終わらせられるのか?と心配してしまったところ、後書きによると話の内容は既に完結していて後は絵を描いていくのみの状況だと分かりちょっと安心しました。後書き前の蒼磨と正宗のセリフは中巻で印象的に使われているシーンの物で読んでから感慨深くなったものです。ともあれ、少女漫画の大家的な人がこんなに堂々とボーイズラブ描いてしまっていいの!?(ああ、でも今までの作品の脇役キャラなど結構その手のネタは多く使われていたっけ…ゲフッ!)と読みながら滅茶苦茶焦ってしまった記憶があります。で、でも色々胸に訴えかけてくるものはあるので友達には貸してしまいました。貸した友達は果たして読み終われるのか今になって心配している話でもあります…ゲフッ!

 田神正崇…元々彼は斎木家に働きに行く予定ではなく(予定の家が没落しており、轢かれそうになった車の主の名刺を頼りに斎木家に行ってしまった。ここでおとなしく実家に帰っていれば物語は始まらなかった…のに。)斎木家の方でも書生は募集してなかった事(蒼磨がタイミングよく紹介状を見つけてしまった為父親の推薦を得て働けることになってしまった。)から考えて不運な少年というか、歯車が回るとはこういうことを言うのでしょうね。(受験に関しても時期を見合わせずに7月の試験を受けて帝大に行っていれば何事もなく屋敷を出ていけた…はずなのに。)社員の吉野さんを蒼磨の愛人の一人とも気づけない(葛城先生も呆れる程の)鈍感さも災いして蒼磨のいい部分だけを解釈して捕えてしまったことから彼の悲劇が始まりました。(田神君以外の愛人たちは皆、蒼磨のそういう面に気づいており、愛しながらも軽蔑している。)蒼磨にとっては損得勘定(恋愛感情)抜きで接してくれた初めての人間(というより唯一色眼鏡で彼を見ずに人間扱いしてくれた人だったのでしょう。)だったのでしょうね。北の蔵で出会ってより櫻子に淡い思いを抱いていたのですが、上巻ラストシーンを読めば分かるとおりそれどころの事態ではなくなりました。中巻では真っ最中に櫻子に見せつけられたり(そこまでして仲を引き裂きたいか、蒼磨!)と余計に過酷な仕打ちが彼を待っていたりして、正直メチャクチャ可哀想なキャラです…ゴフッ!

 斎木蒼磨…イギリス人とのハーフ。美人の母親に似てしまったたことはある意味悲劇と言えるでしょうね。(もし彼が父親似だったらこんな乱れきった人生にはならなかったでしょう…から。ハーフに生まれても不細工な人は不細工ですし。)母親は「舞姫」よろしく貴族とはいえ没落した貧乏人で下働きをしていた時に斎木父と知り合ったようです。その時は泣く泣く別れたものの祖父が死んで家督を継ぐと早速蒼磨を引き取っている辺り(奥様と櫻子はいい面の皮である。最もこの時代の結婚は全て恋愛とと関係ない家同士の計算結婚であり、斎木父が永遠の恋人を忘れられなかったのもある意味理解できるが…。)よほどアビゲールを愛していたんでしょうね。(伊豆の踊子ではエリスは狂いながら子供を産むも相手の男はそれっきりでした。)ともあれ誕生と同時に母親を亡くし、数年後にようやく父に引き取られるも異国で好奇の目にさらされながら男女問わず異常な愛情を向けられるうちにすっかり歪んで育ってしまったんでしょうね。(鈍そう~で母親のように惜しみない愛情を注ぐ人にはとても見えない父親ですし。下手したら蒼磨の乱れた側面に現在も欠片も気づいていない可能性すらある。)周り中が下心(見返り)を期待して彼を特別視する中、田神君は初めて何の損得計算も無く自分に尽くしてくれた人間(初めて無条件の愛情を示してくれた人間。)だったのでしょうね。挙句に自分の為に体を張って暴漢に襲われてくれて(この書き方じゃ怪しい誤解をされそうだ…!)「あなたの為ならなんでもする。」なんて言われてしまって(それって「母親」のセリフですよね。親の愛に飢えてきた蒼磨には殺し文句だったかもしれない。)トキメキはMAXだったんでしょうね。なのにあんなハレンチな写真を見られてしまって。(櫻子が出てきた時点で処分しておけば良かったのに。詰めが甘いですよ、蒼磨さん。)それだけでもショックだったのに田神からは拒絶されてしまって。(大ショックです。)どうせ叶わぬ恋ならば自分の手で滅茶苦茶にしてやれ!というやけくその心理は分かるのですが…訳も分からず犯された田神君はいい迷惑です。ホモでも何でもいいですから(良くねえよ!)取りあえずそういうことは互いの合意の上で行いましょうよ、蒼磨さま!

 斎木櫻子…蔵に閉じ込められたせいで発育不良だったのか16歳にはとても見えない蒼磨の異母妹です。(下半身だけは成長しているようですが…ゲフッ!)髪が白く目が赤いというのはウサギにもよくいる白子(白ウサギ)という生まれつき体に色素が無いという奇形(なので眼は血の色が出る。)で肖像画はわざわざ絵師に頼んで黒く塗りつぶしたのでしょうね。(マトモに見えるように。本人は蔵にいるのでバレることは無いのですし。)美貌の兄貴に数々の愛人がいることを知っているものの兄貴によって母親を奪われた不幸から自分こそ兄貴に一生尽くしてもらえる価値のある特別な人間だと思い込んでいるフシがあるようです。(異母兄妹という常識的な禁忌は気にしていないらしい…ゴフッ!)練習の成果か主役2人の情事のシーンになる頃にはちゃんとスタスタ歩けるようになっていました。(蔵の中もそれなりに広いんだからちゃんと歩いていれば良かったのに。いつもしゃがんで移動していたのだろうか?)どうやらこの兄妹、顔は母親似で下半身は隠し子を作る程の好色な親父似(なるほどアビゲールと同じ顔の蒼磨に惹かれるわけだ。)というのは共通しているようです…ガフッ!

 葛城医師…斎木家の元書生(そこから田神君のように大学に進み医者になった。)にして蒼磨の初めての相手です。(というより蒼磨が体を投げ出す代わりに義母を殺す手伝いをしろと取引をした。医者を丸めこめば死亡診断書の偽造は簡単なことだったの…でしょう。)出会って4年間ねっとりとした視線で眺めまわされたり寝苦しくて目を覚ましてみると自分の上に葛城がのしかかってたり(犯される寸前です。目を覚まさなかったらとんでもないことになっていたでしょう。)蒼磨の性格が歪んでしまったのは主にこの人のせいもありそうです。彼は「自分は蒼磨の初めての人」ということで自分は他の人間と違う蒼磨の特別に値する人間と勝手に意識していますが、普通は自分と関係を持ちながら他の人に手を出されている時点で「この人、自分に本気じゃないんだ。」と気づきそうなものですが…ゲフッ!勘違い野郎(…見て見ぬふりをする人々?)がいっぱいいて蒼磨も大変ですよね。おまけに何故だか野郎ばっかりの嬉しくない状況ですし…ゴフッ!(上巻現在、蒼磨と関係中の女は実の妹の櫻子だけである。マトモな関係の女もいないじゃないですか!ゲッフン!)

 松下孝文…もう少し裕福な家だと取りあえず育ててできの悪い子を養子に出すという実力制を取るんですが、彼らの実家(野上家)にはそんな余裕さえ無かったようです。どうせなら物心つく前の赤ん坊の頃にでも養子に出せばいいものを、多感な時期に家を追い出されてしまったせいで兄ちゃんはすっかり不良になってしまいました。(最も松下家は始めから無料の丁稚目当てで養子を貰った感があるようなので、いつあの家に貰われてもいずれは不良に身を落としていたでしょうが…。)もう少し早く田神家が養子をもらいに来てくれれば自分が弟と同じように学校に行け、普通の子供に近い暮らしが出来たろうにと悔しくてならないんでしょうね。思わず正崇を殴っているのは、運だけで多少なりともマトモな家で暮らせただけなのに自分を下に見下すな!と彼なりにたまらない気持があったからなのでしょう。(松下の家ではまともな職に就くチャンスさえ望みがないでしょうしね。)刺青に正崇が注目している辺り本格的にヤクザ仲間とつるむようになったのはごく最近の事のようです。この後、彼の為に正崇は体を蒼磨に売って借金返済をするという「お金がないっ!」と全く同パターンのそんなな展開を見せることになります。どうやら親類の為に巨額の借金を背負わされるというこの手のパターンは王道のようです…ゴフッ!

サイコドクター①~④

2010.09.02
 描く人が変わった新章を友達に借りて読んだことがあります。新章で登場人物が「私もかつて楷先生には救われたんです。」と言っていたことから旧章もあるんだということを確信し思わず探してしまいそして現在に至ります。こういう「心理物」は結構好みなので読んでて色々考えさせられるとともに楽しかったです。続巻が見つからないので不明ですが旧章は一体どんな結末を迎えたんでしょうね?

 File1「高所恐怖症」…新章のいつまでたっても進展しない恋をしているあずさちゃんを知る私としては彼女が既にこんな大人の恋をしていたことにビックリしてしまいました。(むしろま処女ではないかと疑っていたくらいなので。相手から求められればステップを上がるのは早いというタイプでしょうか?)相手の伊勢さんも本気で彼女の為に自殺してまで愛を証明しようとしていた様は読んでて圧巻されました。(でも、親子ほど年の離れた小娘に本気になるのはどうかと思うよ、オッサン。)それを考えると事件解決後あっさりと楷先生に鞍替えしたあずさの変わり身の早さにホクロのおじちゃん(伊勢さん)が哀れに思えてきます。死んでたら間違いなく無駄死にに終わっていたでしょうね…ゲフッ!

 File2「シャドウ(影)」…新章第1話でも取り上げられていた二重人格の話。サディストの旦那も旦那なら奥様の方も嫌がるポーズをとってはいたものの行為の最中は快感を感じていたマゾヒズム(旧・幸せの時間のM女望月さんを思い出してしまいました。)だったようです。(最も体と心は別なので快感を感じる相手でもそれだけでは愛せないそうですが。)なので「クロダ」消滅後も「奥さんが他の男(人格は別なので。)との関係を悦んでいた」ことや「旦那が犯罪者のように激しい行為を好む」ことが問題として残ってしまったんでしょうね。(まあ結果として上手く趣味が合ったとして解決したわけですが…ゴフッ!)異性から好かれて嬉しかった(過去形。)ものの徐々に一緒にいるのが重苦しくなるという旦那さんの心理は少し分かる気がします。(自分は相手に充分に応えられないってね。)人生経験を積んで応用力のある二人だからこそうまくいってますが我慢の足りない人は離婚に至ってしまうんでしょうね。

 File3「洗脳解体」…タイトルを変換したら千農家遺体と出ました。(だから何?)個人的には朋美さんがセミナーにハマったことよりも下着姿で歩いたり飲尿療法をしたり(本当は尿じゃなくて麻薬だったのですが。)数々の常識外れの行動を目の当たりしているにも関わらずあのエリート意識バリバリの伊集院官僚が彼女を見捨てなかったことに驚きました。(こういうプライドが高いタイプは下着歩きの段階で自分の立場を優先してお別れしそうなものなので。)最後に仕事まで辞めて彼女と共に生きる決意をした辺りよほど彼女を愛しているのでしょう。(普通の男でも山での別れ以来会おうとはしないと思われるので。)で、互いに無職になった二人ですがこの先どうやって生活していくんでしょうね?…ゲフッ!

 File4「恋愛妄想」…今から15年前の事件…っていうことは楷先生は一体今いくつなのさ!?(どう計算しても40過ぎ!?)と若々しい楷先生のビジュアルからかけ離れたご年齢に滅茶苦茶焦ってしまった話です。妄想とはいえ自分に気がある男に他の男の話をするなんて楷先生はよっぽど春日子さんの好みから外れていたんでしょうね…ゴフッ!(莢ちゃんに根津さんというイケメンを割り当てたのはある意味正解といえる。)とはいえ現実には傷ついている女を両手を広げて待っているイケメンなど存在しない(これこそフィクションだからこそ可能な夢の終わり方である。そこまで女にご都合のいい男なんていないのが当たり前…なんだよね。)ので新郎を事故死として彼女の前から消し去る作戦はある意味功を奏していたといえるでしょうね。ともあれこの話で楷先生は決して異性に興味が無いわけでもマトモに恋愛ができないわけでもなく、単にあずさに興味がないだけ(だから鈍い。)ということが分かる回でもあります。…ごめん、あずさちゃん、でも望みは無いと思いますよ?

 File5「食べ過ぎる女」…見合いの前後でbefour/after並に変わった(というより変わり果てた。)茜お嬢様の変化が素晴らしかったです。見合い相手にはモテそうというよりむしろ「僕ちゃん女の人と手もつないだことも無いんでちゅ。」とママに泣きついたタイプに見えると言った方が効果的にダメージを与えられるような気がしてしまいました(身辺整理するほど女にモテる、というのはある意味男の勲章になる気がするので。)が、今まで母親のいいなりに育ってきた一人娘にしてみれば物凄い反抗です。(服装からしてね。)お母さんもビックリでしょうね。また、茜さんが巣立ったことで仕事上の跡取りもいなくなってしまった(Wの意味で生きがい喪失。)ことはあの年(老化防止化粧品を扱っている会社の社長なのに60過ぎのおばあちゃんに見える…。本当に効果あるんですか、商品?)では辛かったでしょうね。ここは心機一転してお客様への礼儀もわきまえずウジウジ妻の稼ぎに寄生して生きている旦那など離婚して新しい生きがいを探してみてはどうでしょうか、お母様?(わずか数日一緒にいただけであれだけやつれるのならいっそお別れになった方がいいような気が…。)

 File6「出生の傷」…ちょうど私が小学生に上がるくらいの頃コインロッカーに赤ちゃんを捨てるという事件が大量に起きてました。(ブラックジャックでも使われ、世にも奇妙な物語でもデジタルソフトの赤子を捨てる場として使われたりしていた。社会現象とまでなっていたんですね。)一般的に養父母が子供を預かって養育するのは15歳まで、しかし15歳になると自分の意思で正式に養子になることもできる…ことから高校の頃という思春期真っ只中の複雑な時期に打ち明けるにいたったんでしょうね。(つまりギリギリまで悩み、それでも真実の核心は言えなかったのでしょう。これは養父母さん達の思いやりでしょうね。)面と向かって「俺に子供などいない!」と完全否定されながらも立ち向かった理君は、強いですね、本当に。(映画「家なき子」に登場する少年ははこの時点で「もういい、帰る。」と逃げてしまっていた。それが大部分の反応でしょうね。)…ところで大曾根文部大臣の左手には指輪が見られませんが、あのお年で大臣という立場で未だ独身でいらっしゃるんでしょうか?同棲の相手(理の母親)潤子さんが死んだことよりトラウマでも負ってしまったんでしょうか?等々変な所に注目して色々考えてしまった私です。

 File7「男らしさコンプレックス」…力石剛太ってすごい名前だなあ(猛って名前はジャイアンの本名でもありよく聞くけど。)とママさんの本名(というより親御さんのセンス。)に驚いてしまった話です。父親が恐れるに足る存在ではないと分かってしまった(というよりそれだけが彼の防波堤だった。)今、もう彼を止める物は何もなくなってしまったんでしょうね。(オカマの道とは極端すぎるが。)とはいえ、ボクシングの才能はあったし本人も興味はあってその後本場のボクシングを見にラスベガスに行ったりもしているし(莢さんの事件参照。)強制して育てさえしなければまともな道で開花したかもしれないのにね、と親御さんにツッコミを入れたりもしてしまいました。最初の1ページ目でランニングにいそしんでいる辺り、ママさんは美しい体作りには今も余念がないようです。

 File8「セックスレス夫婦」…取材メモよりセックスレス夫婦というかパートナーを必要としない自己完結男や自己解放を楽しむキャパシティの無い子供のままの女が増えている、とありましたが楽しめないなら無理にセックスしなくてもよいのでは?(「北回帰線」にあった通り今の科学力を持ってすればやることやらなくても子供は作れるのですし。)と冷めた目を持った私なんかは思ってしまいました。作者さん達は歪んだ時代になったと嘆いていましたが歪んだ感覚で育ってしまった子供達にとっては普通の感覚に合わせること自体が苦痛でしかなく、合わせた所で手に入る物は真実自分が望んだ関係ではないとしたら、いつか破綻が来るのは目に見えていませんか?(自分は我慢して嫌悪感に耐えているのに相手ばっかり無条件で気持ち良くなってているという状態に一生耐え続けなければならないのは、辛いと思う。人として。)普通とか異常とかいう一般論ではなくて受け取る当人の気持ちが1番大切ではないのかな?と色々考えてしまいました。(そういう意味ではこの話は上手い解決法を取ったというか簡単な事情で良かったと思う。感覚に対する生理的嫌悪感って理屈でどうにかなるものではないんですから。)

フィガロの結婚

2010.09.01
 そもそも音楽というものは深い感情の揺れを増幅させる「悲劇向け」のメディアであって、軽快でスピーディーなテンポまで求められる「喜劇」には向かない(「舞台で笑いを取る」のなら、むしろ音楽など入れずに身振りと言葉オンリーでの漫才をやった方が早いだろう。)音楽で人を感動させるよりも、音楽で笑いを取る方がはるかに難しい…にも関わらず、この「喜劇オペラ」の名手としてそれを見事にやってのけた辺りからモーツァルトの天才ぶりが伺い知れるかと思います。喜劇オペラが長いオペラ史の中でごくごく短い時代にしか繁栄せず、その全盛期が18世紀末(まさしくモーツァルトの時代)だったという事からも頷けた史実です。

 フィガロの結婚…音楽教師バジリオ「結婚とお楽しみは別です。常識ですよ。お金持ちを愛人にする、それも常識ですよ。愛人にするなら小姓のケルビーノよりも殿様ですよ。」

領主はその領地内で結婚する花嫁を夫より先に味見する「初夜権」(「これは領主の子孫を広める為に有効な法令なのだ!」という詭弁の元に発布したとたんに13世紀のど田舎のスコットランドにすら領主として赴いてくれる人間が殺到した(by映画「ブレイブ・ハート」)とありましたっけ…ゲフッ!)をきっかけに繰り広げられるドタバタコメディですが、そんな権利を駆使しなくても↑のセリフから分かる通り当時の風俗は乱れまくっており(18世紀の貴族社会は恋愛に対して極めておおらかで男も女も同等に自由に軽やかに官能的に戯れ合うことが当然だったとされていた。たとえ男が外で浮気しようとも女は清く正しい良妻賢母を貫くべきだという道徳の時代になったのはフランス革命をはさんで19世紀になり男性原理の「市民社会の考え方」が浸透してからの話である。)何世紀も前の時代遅れの権利を振りかざさなくても上手い事口説けば(それが難関なのだが)愛人にはできたのですがね…。スザンナ浮気疑惑の時も興奮しているのはフィガロ1人だけで周りの大人の男達は滅茶苦茶冷めている(「大げさだな、そんなに大事件か?」「思いつめるほどの事か?」「若いうちはあんなものさ。」と協力しながらも誰も親身になってくれていない。)辺りからも時代背景が読み取れて納得した話でした。それで「愛は永遠」と締められれても…「愛に名を借りた浮気騒動は永遠」(この人達はこれからもこんな感じです。)という意味にしか聞こえなかったり…ゴフッ!

 魔笛…夜の女王「危険から貴方を守り幸せに導く魔法の笛です。」

で「魔笛」な訳ね…とタイトルに納得しました。この話はジングシュピエール(歌芝居。オペラよりも少し軽いミュージカルのようなもの)と呼ばれる市民・庶民向けのジャンルの作品だったそうで、「フィガロの結婚」や「ドン・ジョバンニ」のような「恋(浮気)に取りつかれている貴族当主」の姿などどこへやら「一夫一婦的な清く正しい愛」の賛美(パミーナ王女に欲情するモノスタトス、「ガールフレンドなら何でもいいよ~。」とぼやくパパゲーノすら「浮気」はしていない。)ばかりが描かれており、そのせいか徹頭徹尾「官能の18世紀貴族社会の人」であったモーツァルトはパミーナ王女とタミーノ王子というこの真面目カップルに対してあまり意気込みを持てなかったらしく(解説でも「実に生気の無い他人行儀で退屈な音楽」と哲学者キルケゴールに指摘されてしまっている。)話のつまらなさにも納得がいってしまったものでした。(お綺麗な話だけど、何と言うか薄っぺらい話だよね…。)フランス革命前から勃興してきた市民階級は貴族の放埓な生き方に極めて批判的(ルソーの啓蒙思想の元に「真面目で質素な生活」を道徳の中心に据えていた。)だったので恋に戯れる斜陽貴族向けでなく、清く正しい市民向けの作品であったが為に「教科書のような良い話」なんだけど「深みの無い作品」になってしまったんでしょうね…ゲフッ!

 ドン・ジョバンニ…ジョバンニ「君は運命を信じるかい?」
ツェルリーナ「私はマゼットと結婚しますわ。それが運命です。」
ジョバンニ「ああ違う。正直に言おう。君を一目見て運命の愛を感じた。大いなる運命に身を委ねて私と結婚してくれ、今すぐに。」
ツェルリーナ「そういえば聞いたことがあります。時たま貴族の殿方は貧しい娘を本気で愛してしまう…と。」
ジョバンニ「まさしくそれだよ!もう待ちきれない!別荘へ行って即、契りを交わそう!」

オイオイ、婚約者のマゼットの立場は!?と誘われて決して悪い気がしている訳でもない(それどころか相手になびいている。)ツェルリーナの媚態に大焦りしたものでした。誰彼かまわず女漁りをするジョバンニもジョバンニですが、(正体を知ってからは自分も被害者のようにカマトトを装ってはいるものの)GOサインを出していたツェルリーナもツェルリーナだ(「殿様と進んで二人きりになって…口説かれたんだろ?そして君も結構その気で…。」「酷いわ、マゼット!私、浮気なんかしてませんよ!(結果的には!)」という痴話喧嘩の様には自分の婚約者の事をよく分かっているじゃないか、マゼット、とすら思ってしまったり…ゲフッ!)と感じてしまった、そんな物語でした。ジョバンニがイタリアで640人、ドイツ213人、フランス100人、トルコ91人、スペイン1003人…と数多の女性を「収穫」できた背景には、玉の輿を夢見れる貴族の殿方という理想的な条件を差し引いても出会ったその日に男について行ってしまう尻の軽い女性達の貞節の無さもあったのではないかとすら疑ってしまったものです。(むしろ奪われたのが肉体だけで強姦殺人の憂き目に遭わなかっただけ恵まれていたのではないか、この女性達…?速攻で捨てられたとはいえ和姦ではありましたしそもそも「ついて行った」事自体が間違いかと…ゴフッ!)度合いで言えば明らかに悪いのはジョバンニですがこんな男に騙されない為にも慎重に行動した方が良いとエルヴィーラ(一番騙されている女性)中心に語りかけてしまった話でした…。

 セビリアの理髪師…フィガロ「一目惚れと純愛のハッピーエンド。めでたし、めでたし…と言いながら、この後『フィガロの結婚』が続編として作られたのならば伯爵はあの通りの浮気者でロジーナは悩むという事に…。」

でも、身分も何も無い卑しい小間使い(スザンナ)にさえ色目を使い(つまり浮気だろうが本気だろうが恋愛する相手の「身分」なんて気にしていない。)すぐにのぼせあがる性格だからこそ持参金ゼロの天涯孤独の(親戚という人脈すら無い)ロジーナを正妻として娶ってくれた訳で文句を言える身分でも無いよな(本来だったら山ほどの持参金を用意できる伯爵令嬢など、自分と同等以上の身分の女性を娶るべき立場であり良くも悪くも「金や身分を気にせず愛に生きる彼」だからこそ(愛が有り余って浮気をしても)ロジーナの今日があるというものだ。)と思ってしまったものです。「フィガロの結婚」の前の話ということは、この時はロジーナも若かった(今でも充分に若くて美しいけれど、あの頃よりは若さという財産は色あせている。)訳で若さを失い始めた妻を前に夫が浮気に走り始めている現在の姿は何となく分かる気もしました。(リアル過ぎて嫌過ぎる…!)ここで終わっていたら「美談」だったんですけどね…。
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