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羊達の沈黙

2011.03.29
 映画の内容があまりにも素晴らし過ぎて、主演男優賞、女優賞、以下第64回アカデミー賞の全てを総舐め(独占)してしまったというとんでもない名作です。おかげで続編(「ハンニバル」。レクター博士のファーストネームをそのまんまタイトルにする辺りが…。)は作られるわ、1作目(レッドドラゴン)は撮り直されるわ、生誕編(ハンニバル・ライジング)まで作られちゃうわ、ほとんどレクター博士祭りのような様を見せるその後ですが、一番シンプルで面白かったのはやはりこの1作目かな(シリーズ的には2作目だけど。)と思えるシリーズ最初のヒット作でした。

 クラリス・スターリング(ジョディ・フォスター)…「明け方、子供の悲鳴のような奇妙な音が聞こえたので納屋に行ったら、そこで小羊達が殺されていた。逃がそうとゲートを開けたけれど小羊達は怯えて全然逃げない。私は小羊を一頭抱えて必死で逃げたわ。少なくとも一頭だけは助けたと思ったけれどダメだった。ほんの数キロ逃げただけで保安官につかまった。怒った伯父は私を施設に送ったの。牧場生活はそれが最後よ。」

パロディ映画「羊達の沈没」の主人公名ジョー・ディー・フォスターのおかげで二度と名前を忘れられなくなった主演女優です。女の身でFBI(圧倒的に男が多い職場)でやっていくなんて大変だろうに、女だという事でチルトン先生以下セクハラも多かったろうに(「君はレクターの好みだと思うよ。美味しそうだから。」←そんな発言、セクハラ的にアウトに決まっているでしょう!?)何故、彼女はそんな職に就いたんだ?という疑問は↑の身の上話(親が死んでからロクな目に遭わなかった。)しかりで幼い頃の思い出(警官をやっていた父親)が余計に美化されている側面からも来ている様子です。トラウマと引き換えに犯人逮捕のヒントを貰ったおかげで「連続殺人犯逮捕」という華々しいスタートから始められた(そして「生贄の羊」(被害者)を助け出した事で今度こそトラウマを克服した)彼女でしたが、それはあくまでもスタート地点に過ぎず、彼女が真に苦労するのは実はこの後(次回作)の話となるのでした…。

 ハンニバル・レクター博士(アンソニー・ホプキンス)…クロフォード「奴は一見、正常に見えるが特別な異常者だ。個人的な話は一切するな。奴をマトモな人間だと勘違いしないこと。その点は忘れないでくれ。」

やだ、映画「レッドドラゴン」の頃よりも若~い(「おかしくない?それよりも後の話なんでしょ?」byうちの弟)とお約束のネタで盛り上がりはしたものの、完成度は相変わらずの存在感のある「主人公」でした。(もう犯人の方が「脇役」になってしまっている。思うにレッドドラゴンでは犯人の方が「主役」という王道展開だから批判があるんだろうなあ…。)今作ではビルの本名をネタに警護の緩い場所に移されたのを幸いに警官殺害に成功→顔の皮を剝いだ警官の服と皮で変装→救急車でまんまと逃亡した様には、やっぱり今もなお異常性(カニバリズム)健在と同時に頭の良さも健在(「被害者が発見された場所は不自然なほどバラバラにされている。作られた嘘のようだ。」「つまり嘘ついて隠したい証拠があるって事よね。」「欲しいものを毎日『見て』いてつい殺ってしまったという事は最初の被害者は…ビルの友人よ!」におそらくは資料を読んだ瞬間から気づいていたと思われる。)な様子です。おかげで娑婆に出てからも捕まる事はなく、彼が表舞台(次回作)に再び姿を見せるのも10年後の話となるのでした…。

 バッファロー・ビル(テッド・レヴィン)…キャサリン「車にソファを積むの、手伝いましょうか?右腕を骨折してご不自由なのね。」
ビル「ありがとう。トラックの中にそのまま乗って引っ張ってくれないかな?奥へ入れたいんだ。」

実際「東京伝説」(日本の事例)でも↑と全く同じ手口で車に連れ込まれて強姦されかかった事例が有る(が、「何するのよ!」と顔を掴んだ際にギャル特有の長~いネイルが目にズボッと刺さり、犯人思わずのけぞり→その隙に横転→車のドアを開けて逃走→翌日から黒髪に染めて「別人」になったおかげで後日、眼帯をかけていた犯人を見かけたが目をつけられなかった、という平和的な話で終わった。)そうで古今東西、犯罪の手口って似通う物なんだなと妙に納得もしたワンシーンでした。小さな親切、大きなお世話…ではないけれど、あんな真夜中に何故か彼女が車から降りてきたタイミングで家具の出し入れをしている男(真実「ただの引っ越し」だとしても、おそらくは「夜逃げ」の部類だろうし確実にロクな事情ではないだろう。)からして怪しさを感じるべきで、たとえ声をかけられても関わり合いになるべきではなかったなと娘のピュアさにツッコミを入れてしまった展開でした…。

 キャサリン・マーティン(ブルック・スミス)…母「娘を連れ去った方にお願いします。キャサリンは心の優しい娘です。それは貴方もお分かりでしょう。あなたも愛や同情をお持ちでしょ?今がそれを世界中に示すチャンスです。あなたにも慈悲の心は有るはずです。広い心で娘のキャサリンを返して下さい。」
クラリス「彼女、利口ね。とても賢明よ。『娘』と『名前』を繰り返してる。キャサリンを物ではなく人間扱いさせようとしてるのよ。殺しにくいでしょ。」

高畑裕太容疑者のレイプ騒動で、会見の間、一切椅子に座らずに娘を持つ母親の身として謝罪をしていた女優・高畑淳子さんの態度(あまりにも出来過ぎていて却って「芝居がかった演出だ。」と囁かれるほど立派な言動だった。)を見た時も思ったけれどそこまで計算し尽くした「演出」の上での訴えでなければ人の心には響かないし、ましてや思うように人を動かす事など出来はしないんだ、と懇願する風を装いながらの母親の「賢明な計算的演出」に舌を巻いたものでした。しかし、それはそれとして娘を心配するのならダイエット管理位はしておくべきだったな(被害者はいずれも「大柄な女性」。つまりデブで犠牲となったどの女性も「ガリガリ亡者体型」ではなかった。彼女達の命を奪ったのは中性脂肪でもコレステロールでも無かったが「肥満」が原因で死んだ事は確かである。)と連続殺人が起きている最中の詰めの甘さにツッコミも入れてしまった話でした…。
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羊達の沈没

2011.03.28
 かの「羊達の沈黙」とは一字違いですが、内容は大違いのコメディ映画であり、「羊達の沈黙と間違えて見てしまいました。俺の貴重な時間を返してくれ。」「そのまま沈んで行って下さい。」という否定的なコメントもチラホラ見られた(パロディ映画の宿命として、こういう映画は好き嫌いが別れてしまう…もっとハッキリ言えば嫌われる時は嫌われてしまう映画である。)「サイコ」を基本ストーリーとしたパロディ映画です。個人的には、さほど下品でも無くて素直に大笑いさせて貰ったのですが原作至上主義の視聴者からはやはり受け入れ難かったようです…。(30世紀ウルフ社(!)製作という、ライオンの代わりに狼が吠えて咳こむオープニングから笑わせて貰ったんですけどね…。)

 ジェーン・ワイン(シャーリーン・ティルトン)…アントニオ「よろしかったら夕食をご一緒に。パスタはお好きですか?」
ジェーン「ええ、大好きよ。」
アントニオ「残念。これはタコスです。では、またの機会に。」

じゃあ聞くなよ!と思わず家族一同ツッコミを入れてしまった地味に笑えたシーンでした。「金が無いから結婚できない」という彼氏の言い訳(実際は紙切れ一枚の問題なので「結婚」はできるが、その後の結婚生活が明るさや(金銭的)余裕と無縁の生活になることは明白であり、幸せになれるかどうかは微妙な所だろう。)を真に受けて、思わず看板に書かれていた通りに「金を持って逃げた」この女主人公。頭の中(ではなく隣を並走するトラック)から響いてくる声(「会社の金を持ち逃げするなんて!」「ゲーセン行こう!」etc)に耐えきれずに車を止めて、泊まってしまったホテルがよりにもよってサイコキラーの住み家だったという原作同様のオチと共に悲劇(ではなく喜劇)は始まっていくのでした…。

 アントニオ・モーテル(エッジオ・グレッジオ)…母「ダメよ、絶対に許しません!この家に女を連れ込むなんて!」
アントニオ「ママ!出番でもないのに、うるさいよ!台本読んで黙っててよ!」

実はこの人こそ監督&製作&脚本担当という1人何役もこなした、このパロディ映画の指揮者であり、それだけでなく準主役までこなしている様にはそんなに制作費が無かったんですか、監督!?と思わずツッコミも入れてしまった配役でもありました。シャワーシーンでの殺人(こっちのパロディの方では尽く包丁での攻撃をかわされ、最後にはバズーカ砲まで使用し「女性刺殺!犯人は軍関係者か!?」という見出しの新聞が出てしまう体たらくだったが。)といい、内容を見れば分かる通り、かのアルフレッド・ヒッチコック監督の映画「サイコ」を盛大にパクったものであり、終わり方にもあるようにヒッチコック監督(役)に刺し殺されても仕方ない内容の映画ではあるのですが、個人的には充分に笑わせて貰った映画でした。いい仕事をありがとう!グレッジオ監督!

 ジョー・ディー・フォスター(ビリー・ゼイン)…「異常猟奇殺人者であり、優れた心理分析士でもある『彼』のいる建物から目は離せない!」

そして建物から目を離さず前方を見なかった結果、交通整理をしていた男性2人をひき逃げし、ライトにぶつかって折った(そして折れたライトの下敷きになった犠牲者を更に2名出した)様に一番度肝を抜かれたのを覚えています。「羊たちの沈黙」の主演女優であるジョディ・フォスター→ジョー・ディー・フォスター(男主人公)というネーミングに吹いた、「サイコ」を本筋としたこの話の中では唯一「羊達の沈黙」ネタを振りまいてくれる男性であり、アメリカ人男性は頭でっかちだけでなく体も鍛えているという定説から物語は彼の筋トレから始まるのですが、懸垂かと思ったら軽い木の棒を持ち上げているだけだったり、腕立て伏せかと思ったら女性とイチャイチャしてるだけだったり、マラソンしていたら大統領のそっくりさん(笑い方までそっくりで驚いた。)が一緒に走り始めてSP共々ケンカになったり、むしろ小ネタ(周りの人々)の方に笑わせて貰った登場人物でした…。

 マーティン・バルサム探偵(マーテイン・バルサム)…「ジェーン・ワイン、ジェーン・ワイン、ジェーン・ワイン…あった。ジェーン・ウォーター。自分の名前から偽名を作って泊まったんですね。」

その「偽名」の上に何個も本名が連ねてある(常連客だったんかい!)のには何も言わないんですか、バルサム探偵…とツッコミを入れると同時に、この人こそ「サイコ」で本当に探偵役で出演した御本人(だからって自分の名前をそのまま使いますか!)だという事実に2度ビックリした配役でした。(そのせいか主人公は彼が登場して以来よく「バルサム探偵!」と大声をあげてその名を呼び、そのたびに上から水バケツが降ってくる事が多い。)最後はサイコ同様に階段から転げ落ち(落ちるまでの間、通行人(!)が彼を見つけて慌てて避けて行ったり、場所は刻々と変化していったけれど。)包丁・人参・大人の玩具など様々な物で滅多刺しにされた様には原作と重ね合わせて思わず笑ってしまったものです。ワイパーが登場するほど犯人に冷や汗を流させたり、結構追い詰めていた人だったんですけどね…。(キの字のつく人には理屈は通用しない…か。)

ハンニバル

2011.03.27
 傑作か怪作かは見た人が決める作品ではあるものの、男主人公のファーストネームをそのままタイトルにしている様からも分かるとおり、レクター博士のプロモーションビデオか?と疑いたくなるくらいに彼の独壇場の映画となり果てている完結編です。小説版では2度と解けない暗示をかけたクラリスと2人で暮らし始めたというハッピーエンドだったのですが、仮にも一応、連続猟奇殺人犯が何の罰も与えられずに、そこまで幸せになるのってどうよ?と常識の元に待ったがかけられたのか映画版の結末はあのように変えられたそうです。個人的には映画の結末の方が気に入ったものでした。

 クラリス・スターリング(ジュリアン・ムーア)…「我々は現場に出る時に敵に撃たれて死ぬ事も覚悟しています。納得できないのは任務を遂行したにも関わらず、局内で背中から味方の手によって撃たれるに等しい扱いを受ける事です。」

ええ~、ジョディー・フォスターじゃないの~?と配役に不満を感じた(「同じ役は2度やらない。」と本人が降板したそうです。)ものの、「優秀な成績で華々しいスタートを切った新人FBI」(出世街道を驀進しそうな完璧人間)だったクラリスが、現在では「最も多くの人間を無駄に射殺した女性FBI」としてギネスブック認定(中傷レター)を送りつけられるほど「出来の悪い社員」になり果てている様に、確かにイメージが変わったな(「少しでも先生とご一緒したくて。」と男の下心さえも上手く扱っていた、ジジイ殺しとも取れる、あの「世渡りの上手い彼女」は何所へ…?)とガッカリもしてしまった未来図でした。当初からアウトサイダーだったクラリスは所詮「お役所的なゲーム」に身を置く事が出来ず、ムッツリ一匹狼になっていった(その為に「頑張って仕事している」のに左遷の憂き目に遭ったりロクな扱いを受けていない。)のは、まあ理解できるものの残念な女性になってしまったなという感を受けたヒロインでした…。

 ハンニバル・レクター博士(アンソニー・ホプキンス)…「君のママも言っていただろう。『何でも食べてみるのが大事よ、特に新しい物をね』と。」

イタリアで芸術を学びエスプレッソをすすりながら優雅な暮らしをしていても食生活は相変わらずか…と愛するクラリスと「思いを募らせての再会」を果たしながらも悪趣味極まりない脳味噌晩餐会で完全に失敗してしまった彼の不手際(それが「少しでも気のある相手」に対して出す食事?古今東西ディナーというものはその後の情事に向けて雰囲気を盛り上げていく為の「大切な前座」なんだからゲテモノを出すのはアウトでしょう!)にツッコミを入れてしまったものでした。しかし、アメリカではスクリーンに見入る客席の紳士淑女達がこの夕餉の様に声をあげて笑っていた(ヴァージャーとつるんでクラリスと自分を陥れようとしたクズ上司に自分で自分の脳を食べさせる復讐劇は爆笑シーンとなっていた。)そうで、何とも文化の違いを感じたものでした。(アレはギャグシーンと解釈されるんだ…。)でも、ロマンチックなシーンとはやっぱり解釈されないよな(アレで雰囲気は盛り上がらんだろう。)と再度、認識を新たにしたものです。最もクラリスの方もあの状況で「(気つけ薬の)ワインくれ。」と自分の心配ばかりしており(「気持ち悪いから、もう辞めて。」であって「その人を助けて。」じゃないのね…。)かなりフラフラしていた様子でしたし、どこまで理解していたかは未知数ですが…。

 メイスン・ヴァージャー(ゲイリー・オールドマン)…ヴァージャー「コーデル!下のイノシシの群れの中から銃を拾ってあいつらを撃て!」
コーデル「い、嫌です!もし巻き込まれたら…。」
レクター博士「コーデル!そいつを下に突き落とせ!私のせいにすればいい!」
コーデル「…!」

子孫が人に飼育されて食われるだけの大人しい「ブタ」になり果てている(そして映画「ベイブ」において子ブタの「人畜無害な可愛いイメージ」は完全に定着した。)事から、先祖のイノシシに対しても同様のラブリーなイメージを抱いていたのですが、体重270キロを超える巨体といい(相撲取り以上だな。)、44本もある歯といい、鋭い牙といい(そうだよね、あの牙は獲物を狩る為の肉食系動物の物だよね…。大体、イノシシは突進してくる生き物だし。)この映画においてその「イノシシの間違ったイメージ」が完全に修正されたのを感じたものでした。(人間の死体まで食う所から、とにかく空腹でどんなゲテモノでも食べられるという状態を「今なら豚の餌でも食べられる」と表現する意味を実感してしまいました。)イノシシって本当は怖い生き物なんだと実感すると同時に、そんな動物の群れの中へ促すパワハラ上司の抹殺を誘いかけたレクター博士の臨機応変な対応に思わず「上手い!」と拍手もしてしまったワンシーンでした…。

 アレグラ・パッツィ刑事(フランチェスカ・ネリ)…レクター博士「吊るされたユダは木を見上げながらこう言いました。『強欲、首括り、そして自滅。私は我が家を絞首台にしてしまった』と。」

「友達のフェル博士」(実は連続殺人犯のレクター博士)の事はもうヴァージャーに売ってしまった後なんだし、「私だってプロだ!(だから密告料金を貰うだけでなく、「プロの警官」として10大犯罪者の一人を捕まえた功績を称えられるという2度美味しい思いを味わう権利があるんだ!)」と妙なプライド(強欲)を発揮して、しつこく「彼」につきまとわなければ首括りの刑に処される事も無かったでしょうに、だからクラリスが個人保護法を違反(無断で携帯番号入手)してまで、あれほど危険を知らせてくれていたのに身の程も弁えずに勝手に暴走して自滅した結末には、もう溜め息しか出ませんでした。(金も入ったんだし、後はヤバイ人達(復讐鬼ヴァージャー)に任せて奥さんと高飛びでもすれば良かったのに。)レクター博士の質問に「正直に答えた」(誰に対して密告したのか、今度はレクター博士にヴァージャーの事を売った)おかげで自分1人の自滅で済んだ(奥さんは夕食にされずに済んだ)のだけが褒められるべき点ですが、所詮「小者」のチクリ魔が図に乗り過ぎたせいでバカを見てしまったな、と思えた登場人物でした…。

 余談…パッツィ刑事のなじみのスリ男がレクター博士に「玉を潰される所を上手く避けた」おかげで腹を潰されて死んだシーンにて、「いっそ避けずに玉だけで済ませて大事な内臓を守っていたら彼は死ぬ事は無かったのではないか?」と考えた所で、志村けんの仕置き人パロディネタでハマグリの貝で玉を潰されて死んだ男がいた(潰されたのが玉だけでも「外傷性ショック死」で死ぬ事は充分に有りうる。)事を思い出して、どうやってもダメか、と実感したものでした…。

ハンニバル・ライジング

2011.03.26
 「羊達の沈黙」があまりにも素晴らしく、その中のレクター博士があまりにも魅力的だった事から「こんな美味しいキャラクターを放っておく手は無い!」という大人達(作者含む)の汚い陰謀から作られた「レクター博士誕生秘話」です。が、続編を作り、更に過去編をリメイクした(でもこのリメイク版「レッドドラゴン」は良かった!)所までは良くても、それでも飽き足らず出生譚まで作ってしまったのはさすがにやり過ぎで、話の中に鎧兜だの日本刀だの生け花だの「西洋映画には明らかに不自然な物」は出てくるし(日本ファンの外国人は大喜びしそうだけれど。)ウケだけを考えて作られてしまった話だなと思えた映画でした…。

 ハンニバル・レクター(ギャスパー・ウリエル)…ハンニバル「愛しています。」
ムラサキ「あなたに愛に値するものがあるの?」

同棲したり、キスしたり、今まで散々ラブラブだったのに、誘拐犯から助けてあげた直後に彼女が出した答えは(ドアから顔を出した犯人の一味の首を思わず刺してしまい、彼と「同類」の人殺しになった後にも関わらず)「アンタとはもう、やってられんわ!」という常識的な答えで、そこまで殺人行為にドン引きしたのかと思いきや「失恋の痛手はドカ食いで晴らす」と言わんばかりに仇の頬肉を食い始めたハンニバルの事はスルーして立ち去っている(…え?止めないの?)様には微妙にしか思えなかった、そんな彼の若き日のロマンスでした。ともあれ「恋人」に去られてしまった事でもう彼には「殺人・食肉衝動」しか残らなかったのか、復讐(見せしめ)というある意味では正当な理由で食肉を続けていた彼ですが、復讐を終えたその後は全く理由の無いカニバリズムを続け、いつしか天才猟奇殺人者となった(…その割にはどうにも「羊達の沈黙」のレクター博士と、彼とのイメージがダブらないのだが。)という説には、何と言うか、凄く無理を感じた展開でした。「怪物は生まれもっての怪物」なら育った環境は関係無い気がするのですが…。(誕生編はそもそも必要あったのかな…?)

 精肉業者ポール・モマン(チャールズ・マックイグノン)…ポール「日本女のアソコは横についてるって本当か?お毛々もまっすぐ生えてんのか?」(尻触り)
同僚「ポール!失礼だぞ!」

その前に何故、伯爵夫人御自らゴミゴミした市場に買い物に出掛けているのか?(普通は雇っているシェフとか使用人の仕事なんじゃないの?買い物とか料理とかを「ご主人様」は普通しないのでは?)という基本的な疑問があるのですが、ともあれうっかりハンニバルのいい人にセクハラしてしまった為に妹の復讐劇とは全く関係無い人物なのに3枚下ろしにされてしまった彼。多分この「些細な出来事」がハンニバルを猟奇な自分に目覚めさせたきっかけになってしまったのでしょうが、だとしたら原因を作ったのは他ならぬレディ・ムラサキなのでは?(剣道(日本刀の扱い方)を教えてしまったのも、明らかに情操教育に悪いであろう生首(大阪の陣での首級)の絵を見せたのも彼女。きっかけこそガラの悪い肉屋からのセクハラだったが素地を作ったのは彼女から教わった間違った日本教育ではなかろうか?)と思え、そこで罪を償わせるのでなく誤魔化しに走らせた経緯(「手を洗って!早く!」byムラサキ)と合わせて改めてヒロインを微妙に思えてしまった展開でした…。

 レディ・ムラサキ(コン・リー)…グルータス「生きているレディ・ムラサキに会いたいだろう?」

それは紫(ムラサキ)ではなく紫(ゆかり)の読み間違いなのでは…?(緑(みどり)とか藍(あい)とか茜(あかね)とかいう名前だったら「色の名前」でも、まだ日本人名として分かる…が、紫(ムラサキ)は無いだろ!←「きっと村崎(ムラサキ)という苗字なんだよ。」byうちの弟)と名前にツッコミを入れてしまう、ハンニバルの保護者兼恋人のような立ち位置の義理叔母です。(既にお亡くなりになっているとはいえ叔父さんの立場って…。)甥っ子の殺人に関しては「そこまでしなくても!」「子供がいるのに。」と口先ではたびたび止めてはいますが、そう言う彼女がやってきた事は生首を運んでまで彼を容疑者から外し、野放しにし続けた事だけで全く抑止力になっていない(それは「庇っている」とは言わない。「協力して増長させた」って言うんだよ。)という有り様には微妙にしか思えず、そこまで共犯者をやってきたくせに最後に出した結論が「私もう知らない。」という様には「…。」としか思えなかったヒロインでした。何を言っても「糠に釘」なら、そもそも彼女の存在意義すら無いような気がするのですが…。

 グルータス(リス・エヴァンス)…「お前も妹が飢えてたら俺を食わせただろう。そう、愛だよ。俺は愛する自分の為に食った。詫びは入れんぞ。」

厳しさを増す冬の寒さと一向に収まらない戦火のせいで薄汚いドイツ軍残党は踏み越えてはいけない一線を軽々と踏み越えてしまった訳ですが「同じ条件下」で何故、少年ハンニバルは生き残れたのかという普通の疑問の答え(A.空腹に耐えかねて己も「自分の為」に食ってました。)を突きつけられて、ここに置いて「ハンニバルにわずかに残っていた人間性」も完全に崩壊してしまった(妹を食ったくせに今はのうのうと幸せに暮らしている奴らが許せない!という正義感で復讐を果たす被害者のつもりだったが、自分もまた全く同じ条件が当てはまる「加害者」だった。)様子です。だからってその後も同じこと(カニバリズム)を繰り返すのはどうなのか、船の爆発から「ハンニバルは死んだ」と解釈して捜査を打ち切った警察の無能さ(結果、生き延びたハンニバルの手にかかり最後の一人まで犠牲になった。)と合わせてツッコミを入れてしまった終わり方でした…。

レッドドラゴン

2011.03.25
 かの「羊達の沈黙」の前奇譚となる話であり、こちらはいわゆるリメイク版(1作目はかつて既に映画化されている。)に当たるのですが、火だるまになって車椅子ごと走ってくるシーン以外何の見所も無かった旧作(「ハッピー・デイズ!」とダサいエンディングテーマで終わる脱力感しか感じない終わり方からして、もう…。)に比べると、こちらは話も演技も緊迫感のある良作に昇華されており、画質の美しさ(さすが現代版!)と合わせて拍手してしまった逸品でした。(むしろ、あの駄作をよくここまでの出来に仕上げてくれたものだ。)個人的には気に入っている映画なのですが「羊達の沈黙」至上主義派の方々(それ以外認めない人達)からは、蛇足だの、やればやるほどオリジナルに傷がつくだの色々と言われている様子で、多少悲しい私でした…。

 ウィル・グレアム捜査官(エドワード・ノートン)…レクター博士「思っていた通り、君は超能力者だ。芸術レベルの想像力を持った者という意味でね。恐怖と嫌悪を感じる相手の気持ちをも理解する能力だ。本人には厄介な才能だがね。」

「僕は犯人の気持ちになって考える事が出来ています。」以前に一般的な人間はそんな人間の気持ちを想像することすらできない(分かりたくもない)のが普通で、レクターやダラハイド、異常殺人鬼と同じ精神を自分の中に感じ取り、同調する能力には捜査の進展には役立つものの精神は普通の人間である彼には身に余る代物だった様子です。恐怖と嫌悪を感じる相手と同調するだけでも辟易するのに、友人だったレクター博士には裏切られた挙句に殺されかけ(おかげでFBIも辞めました。)今回また犯人に瀕死の重傷を負わされた経緯には離婚のダブルパンチ(元々、家族の反対を押し切って始めてしまった仕事なだけに始めから奥さんのウケは悪く、挙句にその仕事のせいで家族一丸となって殺されかけた展開には、さすがにリミットを超えてしまったらしい。)と合わせて事件後、彼は廃人になってしまったそうです。おかげで次作に当たる「羊達の沈黙」ではクラリス・スターリングに主役交代して話は進んでいきます…。

 ハンニバル・レクター博士(アンソニー・ホプキンス)…女性理事「こんな素敵な夕食会を過ごして、ちょっと疚しい気もするわ。うちのオーケストラのメンバーが一人、今も行方不明なのに。」
指揮者「でも正直に告白すると私はハッキリ言ってホッとした。酷い言い方だが、実際、彼の演奏も酷かった。」

当の彼が「目の前」に(料理として)いることを考えると、死後もそんな評価を下されている故人(失踪した事を悲しまれるどころか、いなくなった事を心から喜ばれている。)に哀れみを感じてしまったものでした。今作ではハンニバルは、時には敵(ウィル)に塩を送り、時には協力者の立場を捨てて遠隔殺人を指示したり、異常に存在感のある脇役として活躍しているのですが、「羊達の沈黙」「ハンニバル」「ハンニバル・ライジング」でどれもこれも「主役」だった彼が「たまに絡んでくる脇役」になってしまっている(画面上ではとても脇役程度の存在感ではないのだが、そういう問題ではないらしい。)事でシリーズのファンの皆様からは押し並べて評価は悪くなってしまっているようです。個人的にはウィルの言う「欠点」(「貴方は頭が良いが一つだけ欠点がある。それは貴方が気違いだという事だ。」byウィル)一つで「好き」にはなれない人なんですけどね…。(友達になってしまったが最後、そのうちに殺されそうな男なんだがな…。)

 フランシス・ダラハイド(レイフ・ファインズ)…ウィル「お前はなんてダメな子なんだ!部屋の中で漏らしたのか?そんな真似をするならアレをちょん切ってやってもいいんだぞ!さあ、言ってみろ!『僕は醜いケダモノです。誰も愛してなんかくれません。』と!」
ジョシュ「…パパ、やめて。」
ダラハイド「貴様あああぁー!」

↑の息子ジョシュへの罵倒の言葉は犯人・ダラハイドのトラウマを刺激して、うっかり人質(息子)を手放すように仕向ける為の「演技」だったのですが、おかげで息子の命が助かったのも確かなのですが…命は無事でも子供としてトラウマ必至の出来事(殺人犯に頬にナイフを突き付けられ、助けてくれるはずの父親に見捨てられた(罵倒された)状況は、たとえ演技でも子供にはキツイものがある。)に、本来「両親の離婚」を一番止めてくれる役割を果たす「息子」はもう父親を無条件に慕う事は出来なくなってしまった模様です。(むしろ父親とセットで↑の事件を思い出してしまうせいで側にいるのが辛い。)「現場」が自宅だったおかげで、正当防衛とはいえ「その手で人を殺した家」(トドメを刺したのは奥さんのモリー)に住み続ける事に嫌悪感を感じた妻とも上手くいかなくなってしまい(引っ越して新しくやり直そうにも「瑕疵物件」ってロクな値段で売れないんだよね…。)そもそもウィルが「仕事」を引き受けなければこんな目に遭う事も無かったという事実の前に、犯人は今度こそ死んだのに、一家は崩壊してしまったのでした…。

 リーバ・マクレーン(エミリー・ワトソン)…「哀れみは嫌いだけど、もっと悪いのはうわべの哀れみ。特にラルフのように股間を膨らませた奴のね。」

本当は下心しか無いくせに「障害者なんか気にかけてあげている自分」に酔って、尽くす気も無いくせに自己陶酔しているのだからタチが悪い(相手は「普通の男」である自分を有り難がるのが当然で、それだけで無条件に感謝されて尽くされるべきだと思っている。「君の為なら何でもするよ!」みたいな綺麗事はいくらでも言うけれど、実際にクーガを触らせてあげたダラハイドのように「相手の為に何かする」事など実は微塵も考えていない。←男の欲情=非常識。それが答えですな。)それで「付き合いやすいバカ男」(ラルフ)でなく「自分の為にそんな事をしてくれたD」(ダラハイド)を選んだのだろうな、と納得したものでした。ダラハイドの方も、次に狙いをつけた一家のビデオを見ながらも彼女の肉体に目を奪われたり、人間としての葛藤に苦しむほど彼女に惚れた(もうすぐドラゴンになる(はずの)自分に必要な人間は生贄となるべき一家の母親の方なのに、彼らのビデオを放置してリーバと寝てしまったり生きた人間の彼女の方が生贄よりも上の存在になってしまった。)様子ですし、それが正しい事かはともかくお互いに「恋していた気持ち」は本物だったのでしょうね。悲恋に終わってしまった結末には涙しか出なかった、そんな2人のロマンスでした…。

 余談…レクター博士の巧みな誘導があったとはいえ主人公の住所をホイホイと教えてしまった「責任感の無いバイトちゃん」(「ありがとう、規則に反してまでパラパラ住所録を調べてくれるなんて君は天使だ。」byレクター博士)が全部悪かったな、と実感した話でした…。

バトルシップ

2011.03.24
 バトルシップとはその名の通り「戦艦」の事であり、軍艦のうちの水上戦闘艦艇の中で最も大砲火力と装甲防御に優れる艦種の事を指し、当のバトルシップVSエイリアンという形で撮影された映画です。(この映画、SFだったのか…。)「地球外生命体を探す為に5倍強い電波を発信してみよう!」「なあ、例えば地球外生命体がコロンブスで俺達が先住民って立場になっちゃったらどうなると思う?」という不安がそのまま現実になった、宇宙戦艦と戦う男(バカ)の背中を見せてくれる最高のバカ映画であり、豪快かつ単純で中身の無い映画でもあるので思慮深い作品を探している人にはあんまりお勧めしない映画です…。

 アレックス・ホッパー海軍大尉(テイラー・キッチュ)…兄「26にもなってなんてザマだ!全財産は65ドル、車もアパートも無い!もう我慢できん!今この瞬間から俺の決めたルールに従え!反論も条件も無しだ!仕切り直しだ、まず俺と同じ海軍に入れ!」
アレックス「やかましい!働いたら負けなんだよ!」

悪さをしない代わりに漬物の重しにもなりゃしない「人畜無害なニート」だったらまだ我慢できた。けれどバカ弟がやったことはナンパの為に不法侵入してまでチキン・ブリトーを入手し(この時のBGMがピンク・パンサーのテーマで思わず吹いた。)しかも当のお相手が自分の上司の娘だった(「どこまでバカをやれば気が済むんだ!?下手すりゃ俺の将来まで真っ暗になっちまう!」byストーン兄貴)という体たらくには温厚な兄貴もさすがにキレ、軍に強制就職させられた弟は映画のタイトル通りに戦艦(バトルシップ)に乗る立場となったのでした。そして5年後ニートは大尉になってナンパしたブロンド美女とは結婚を前提に付き合っている(そして立派なお兄ちゃんは立派過ぎるので艦長にまで出世した。)様にはいくら何でも展開出来過ぎだろ!?と思わずツッコミを入れたものです。それでも記念式典にはバッチリ遅刻して、トイレでは乱闘を起こし、規律正しい軍隊の元に有りながらアレックスは相変わらず人間のクズであり、兄貴のコネでも庇いきれなくなった結果(「コネがあるだろ?電話してくれ。」「弟を慎み深くするコネは持ってない!」byストーン兄貴)この演習後にはクビが決まったのでした。合掌。

 ユウジ・ナガタ一等海佐(浅野忠信)…ナガタ「独り言か?」
アレックス「ああ。アンタをくそったれと罵っていた。」
ナガタ「もう一度、言ってみやがれ、この野郎!」(日本語)
アレックス「何言ってんだか分かんねえんだよ、この野郎!世界共通語の英語で話しやがれ、バカ野郎!」

英語はペラペラなのに、罵倒の言葉だけは何故か日本語で話している(あるいは彼なりの配慮だったのかもしれないが、言葉は分からなくても言いたい事はバッチリ伝わっている為にケンカには発展した)準主人公です。片や自衛隊の艦長、もう一人は大尉という高い役職に有りながら、そんな2人がトイレで殴り合いのケンカをしているという有り様を見るに、ナガタ艦長の方も充分に性格に問題は有りそうなご様子です。(これでよく自衛隊の艦長になれたな。)しかし性格はともあれ知恵と指揮力は本物だと艦長職を譲られた様には、白人主人公が準主人公の為に活躍の場を譲るパターンは凄く多いけれど、それはあくまでも「同じアメリカ市民に」という話であって他国の人間に艦長という責任が極めて重い職を譲るというのは本当に驚いた(もしかして私は皆既日食並みに凄い瞬間を目撃したのでは?いや、それは無いな。ただのバカシーンだ。)ものでした。バカ同士気が合ったのか、彼との共闘を経て主人公もようやく「仲間と協力すること」を学んだ様子ですし、成長にも一役買ってくれた登場人物です。

 サマンサ・「サム」・シェーン(ブルックリン・デッカー)…サム「ニック、ボクシングのチャンピオンになった貴方も、アフガニスタンで勲章を貰った貴方も同じ人間よ。」
ニック「だから何だ?今は軍人にもなれない半人前だ。」

そして「怖くて近寄りがたい退役軍人・黒人ニック」と2人で仲良く山登りに出かけた結果、「臆病者で宇宙人から逃げ出したユダヤ人科学者・キャル」(白人=バカ代表格のアレックス、日本人=親善試合でも顔を蹴る卑怯者ナガタ、スコットランド人=式典の最中に色々な国のこんにちわを言って顰蹙を買う田舎のバカ…という描かれ方といい、この映画は色んな人種がそれなりにバカにされていると感じたものでした。)と遭遇して民間人の立場でアンテナ破壊チームとして活躍してくれる主人公の彼女です。世界侵略の危機に3隻の軍艦と民間人だけで対応しているって無茶にも程があるだろ!(NASAくらい仕事しろよ!)という至極最もなツッコミはこの話に入れてはなりません。おかげで初っ端から人工衛星にぶつかって数が減るというマヌケな様を見せた頭の中まで筋肉だった宇宙人(映画に出てくる宇宙人って皆そう。)はニックに見事に肉弾戦で負けてしまい、援軍を呼ぶ前にアンテナを破壊されて地球侵略の夢は灰燼に帰したのでした…。

 シェーン提督(リーアム・二ーソン)…アレックス「提督、娘さんと結婚するお許しを頂けますか?」
シェーン提督「ノーだ。ダメな物はダメだ。」
アレックス「そんな…自分は世界を救ったんですよ!?」
シェーン監督「世界を救う事と娘の事は別問題だ。」

映画「96時間」(バカ娘への愛で暴走する哀愁漂うお父さん)シリーズを見た自分としては可哀想に、この作品でもロクデナシ男と付き合うバカ娘に苦労させられて…(大体、何で「提督の娘」があんな場末のバーに通ってるんだ?)とハマり過ぎている役所に思わず涙したものでした。ちなみに↑のような事を言っていますが物の本(「プライドと偏見」)によると18世紀末頃まで上流社会では「最初のプロポーズは断るのが(女性の)慣習」だったらしく内心では受けるつもりでも時には2度、3度と断る場合が有り、この「お断りの返事」は慎ましさを踏み外さない程度に男のプロポーズを励ましてくれている(「断りの返事」は単なる「言葉」に過ぎない。)…だそうで、冒頭で2人が出会ったきっかけでもあるチキン・ブリトーの話をしながらランチに誘った(「一緒に来い。食べながら君の降伏条件を話し合おう。」byシェーン提督)辺りからも分かる通り一応、婚約者としては認めてくれたらしいです。

リアル・スティール

2011.03.23
 ロボットボクシングという内容から流行りのロボットアクション(派手な破壊シーン)を詰め込んだだけの中身の無い映画だと侮るなかれ、「ロボットアクション映画」を隠れ蓑とした父と子の成長物語というシンプルで分かりやすい話を、とても丁寧に描いた点に思わず拍手してしまった久しぶりの名作でした。そしてロボットに書かれた「超悪男子」の文字や「日本製のゲームは最高だよ!」と何気に日本がヨイショされている点にも同じ日本人として含み笑いが漏れてしまった映画です。

 チャールズ・ケントン(ヒュー・ジャックマン)…マーヴィン「妻はマックスを心から養子に望んでいる。私もそうだ。」
チャーリー「7万5千。いや10万ドルだ。デブラにはこう言え。『親権を渡す条件として夏の間、息子と暮らしたい。今まで息子の側にいなかった埋め合わせに、父親として、せめて絆を取り戻したい』と。デブラは信じ、アンタはヒーローになる。で、丸く収まる。」
マーヴィン「10万ドル払えと?そんな無茶な。」
チャーリー「テキサス州法に基づいた父親の権利でマックスを引き取り里子に出すと言ったら?デブラは大騒ぎするだろうな。」

最初(はな)から引き取る気なんか無かったくせに、義妹夫婦の金ピカ腕時計(おそらくは100万単位の代物=そんな物を日常着用できる程の充分な経済力を持った金持ち夫婦)を見たとたんに「こいつらからは金を引き出せる。」と態度を一転、脅迫を始めた(1ドル=約100円と換算して「俺の息子が欲しければ750万円、いや1千万よこせ!」と言っている。)様には今まで父親としての義務も果たしてこなかったくせに息子を切り売りするなんて最低の親父だな(むしろ貴様は金を要求するどころか、今まで育てて貰って来た養育費を払う側だろ。)と白い目で見てしまったものでした。恩も愛も金も借りっぱなしで踏み倒す、邪魔になったら何でも捨てる、息子をわずかの間引き取ったのも「もう半額を手に入れるまでの人質(担保)確保」の為でしたし、後々パートナーとして過ごすうちに本当に息子と絆が芽生えたとはいえダメ親父の典型だな(ここまで悪どいと、いっそ清々しいわ!)と思ってしまった主人公でした…。(いいのか、こんな男が主人公で…。)

 マックス・ケントン(ダコタ・ゴヨ)…「この詐欺師!マーヴィンにいくら貰った?僕を売った金なんだから半分よこせ。世話してくれなくていいから。」

可哀想に、わずか11歳でこんなにすれちゃって…と、うちの弟にも同情されていた主人公の息子です。とはいえリアル・スティール(ロボットファイト)の大ファンで、主人公のボクシング時代に培った戦い方のセンスを見抜いて協力を求めた(「動物園でアトムを戦わせた時、敵の動きを完全に読んでた。」byマックス。人間、何か一つくらいは取りえがあるもんだとダメ親父を見直した所で、その長所がヒモという短所一つで台無しになっている現実にも気づいてしまったり…。)事から、踊る息子(パフォーマンス担当)と戦う父親(戦術担当)の名コンビが誕生し、2人はパートナーとして本当に絆が築かれて行った(実は絆を深める為には「仲良くデートする」よりも「苦労を一緒に乗り越える」方が有効だと心理的にも証明されている。)とは意外な展開でした。血の繋がりではなく「共通の趣味」が2人を結んだと言える親子の絆ですが、乱闘沙汰に巻き込まれたり子供にはやっぱり危険な世界(映画中では父親だけが半殺しの目に遭っていたが、借金が無くてもやっかみ(嫉妬)から息子が同じ目に遭わされないとは限らない。)であり、約束の期間を待たずして義妹夫婦に息子を引き渡したチャーリーの親心にも納得がいってしまった結末でした…。

 ベイリー・タレット(エヴァンジュリン・リリー)…「今までリングの中でも外でも落ち目になってもアンタを支えてきた。でも問題はアンタ自身にある。もう疲れたよ!」

今まで彼を家族(夫?)扱いして支えてきたけれど、当の彼が何をしてきたかというと他に隠し子を作り(マックス。正確には彼らこそ正妻と嫡男なのだが、幼馴染の彼女としてはポッと現れた新しい女に長年付き合った彼氏を奪われ子供まで作られたなんて割を食うにも程がある展開だったろう。)、家賃は滞納(「ジムを売る?辞めとけ。親父さんが化けて出るぞ。」「アンタが家賃を払わなきゃ借金を返せないんだからしょうがないじゃない!家賃は払わなくてもロボットを買う金は有るんだ!?」byベイリー)、せっかくのロボット(ノイジーボーイ)も一晩でパーにする(「だから言ったのに。何かをするのなら、その前に少しは考えるもんじゃないか?」「アンタはもう試合に出る事もできない。最後のチャンスを潰したのよ。」byマックス&ベイリー)という、典型的なヒモ(女を食い物にする男)の体たらくで、今までは「寝技」で誤魔化し続けてこられたけれど(そんなもんで良くやってこれたなと思うけれども。)その為に父親の魂(ジム)を売る所まで追い詰められて、さすがの彼女も我慢の限界に達した様子です。どんなに支えても、こういう人間は決して対等に返したりはしないしむしろ支えている限りそれに甘えて決して変わりはしない(彼女に家賃を利子つきで返したのは皮肉にも手を切って「支えるのを辞めた」後だった。)んだなと妙に当たり前の現実が見えた2人の関係でした…。

 デブラ・バーンズ(ホープ・デイヴィス)…「チャーリー、あなたは正しい選択をしたのよ。キャロラインも喜ぶと思う。8月27日にはあの子を返してね。」

「息子と過ごすのは一夏限り」(自分が父親失格というのは分かっているから最後に思い出が欲しい。)というチャーリーの美しい言を信じて本当にマックスを彼に託した辺り、この女性はどこまでもお人好しだなあ~と実感もした展開でした。普通は姉を捨てた男(妹として立派に恨んでいる相手)になんて「息子と暮らしたい!?親失格のダメ男が何言ってんの!?」と断固として拒否している場面でしょうに、ラストシーン(ロボットファイト出場OK)にしたって、普段育てているのは自分達なのにイベントの主役だけ持って行かれるって人間として狡い展開(オムツも替えず、離乳食も用意しなかった実の親がイベントという楽しい場面だけ持って行くって「親」としてはかなり複雑な物があるだろう。)なのに、マックスの意志を優先させてGOサインを出している辺り、実はできた女性です。彼女の本音はサッサと邪魔な義兄を片づけて可愛い甥っ子と暮らしたい(ていうかマックスと一緒に暮らせれば2度と関わり合いになりたくない。)でしょうにひたすらマックスの気持ちを考えて自分を抑えた辺り、しっかり者のイイ女だなと思えた叔母さんでした…。

エアフォースワン

2011.03.22
 エアフォースワンとは大統領が搭乗した機のコールサインであり(ちなみに副大統領が乗った場合はエアフォースツーとなる。)ここでは大統領専用機のVC-25が話の舞台として使われています。1997年当時はこの専用機は非公開となっており制作しようにも取材すらできなかったのを当時の大統領ビル・クリントンと友達だったハリソン・フォードが彼の誕生日会で「こんな映画作りたいんだけど見せて貰っていい?」と直接交渉→「見るだけ」ならね(写真はダメよ。)という条件下で特別許可を貰い、記憶を元にスケッチ→セットで再現したという逸話もある名アクション映画です。

 ジェームズ・マーシャル大統領(ハリソン・フォード)…ジェームズ大統領「要求拒否を。きりがないぞ。代償を払ってでも義務は果たす。」
キャサリン副大統領「ご自分が殺されても?」
ジェームズ「キャサリン、ネズミにクッキーをあげると…?」
キャサリン「…次はミルクを欲しがるようになる。」

人質に取られた家族への愛か、国家への正義か…と2者択一を迫られて大統領が出した結論は、そのどちらでもない単身でのテロリスト撲滅(いや、ちょっと待て!)でした。場所が「空飛ぶホワイトハウス」の異名も持つ大統領専用機エアフォースワン(VC-25。機体の壁は防弾製で、よくある飛行機映画のように銃弾で開いた穴から空気が漏れて気圧の違いで掃除機効果が起こるという事はない。)という事を盾に派手な銃撃戦を繰り広げ、テロリスト達と格闘戦を行う様子にはこんな大統領いないだろ!とツッコミを入れつつも、英知に長けた(その割に衛星電話の使い方が分からず一生懸命説明書を読んだり、使おうとしたらホワイトハウスの番号が分からなかったり、やっと出た交換手には大統領を名乗るイタズラ電話だと思われたり、地味に大変な事態に陥ったが。普段、何でも側近にやって貰っているから、そういう事になっちゃうんだよ。)豪勇無双なその姿に夢中で見てしまったものでした。…でも、こんなスーパーマン的に強いアメリカ合衆国大統領は今までもこれからも存在する事は無いとは思いますけどね…。

 グレース・マーシャル夫人(ウェンディ・クルーソン)…「あなたの当選を信じていたのは3人だけ。でも貴方は勝利を確信していた。そしてしっかり信念を貫いた。理想に燃えて。今夜も同じよ。」

という訳で今夜も同じく勝利を(何故か)確信して信念を貫いた(「俺の飛行機から出ていけ!」byジェームズ大統領)という事だったのでしょうね、話の内容としては。奥さんも奥さんで強い女だったらしく、すぐにも自分を殺せるテロリストを前に「あなた達の目的が何か知らないけど思い通りには絶対にならないわよ!夫は交渉に応じない!」と啖呵を切ったり(「何だと、この女!」「オイ!逆ギレしたからって殺してどうするんだよ!」「まだ娘が残っているだろ。」「あ、そっか。」とならない人情味溢れたテロリストの皆さんで本当に良かったと安堵してしまいました…。)この状況下で娘を庇おうとしたり母親らしい面を見せるのには感心した女性です。に、したって、まさか夫が単身テロリストと対決して、しかも撲滅するとは思っていなかったでしょうが…。(理想に燃えて行動するのはともかく…どんな夫だよ!

 イワン・コルシュノフ(ゲイリー・オールドマン)…「信念の為だ。いざとなれば神にも背く。恐怖も良心の呵責も祖国への愛の前には消え失せる。」

とカッコイイ事を言いながらもこのテロリスト達の要求って「大統領の命が惜しかったら、うちのボスを解放しろ!」という非常にチャチな脅迫で、それこそ映画中で語られていた通りにホワイトハウスの皆さんが代わりの者に全権を委任して(非情な事を言ってしまえば大統領の代わりなんて、どうにでもなる。)現・大統領及び飛行機の中の数十人の命を諦めてしまえば、それでお終いという些末な話乗客共々、貿易センタービルに突っ込んで特攻隊のように自爆した「本物のテロ」(3機目など「ビルに突っ込まれるよりは被害が少ないから!」と乗客を犠牲に撃ち落とされてしまっている。)をリアルタイムにテレビで見てしまった後の自分としては、何と言うか器の小さいテロリストだな(テロリストで一番怖いのは自分の命を犠牲にする事も厭わないキの字のつく人間である。)と思ってしまったものでした。結局、当のボスは解放されそうな所で撃ち殺されているし、ハイジャックした皆さんも全員倒されて終わっているし、何だかなぁ…と思えた悪の組織でした。

 ギブス護衛官(ザンダー・バークレー)…ジェームズ大統領「(裏切り者は)お前だったのか!」

おかげで、これから他の機に乗り移って逃げるという大事な時にまた戦う羽目になり(それはこんな時間ギリギリの時にやらずに他の機に乗り移ってからやってくれ。)それでも1人でテロリスト全員を倒した大統領(というよりスーパーマン)にかなうはずも無く、負けた挙句にエアフォースワンから脱出しそびれ、機ごと大破して終わった結末にはアレは助からないだろうな…と思わず合掌してしまったものでした。幸いにも仲間のテロリストは全員死んでくれた(「死人に口無し」で自分が裏切り者だとバレる心配は無い。自分からカミングアウトしない限りは)事だし、友達面して一緒に助けて貰って、またの機会を待てば良かったのに、と思わず最後になってからのバカさ加減にツッコミも入れてしまった内通者でした…。

コンエアー

2011.03.21
 コンエアーとは「囚人護送(輸送)機」の事で実在するアメリカ連邦保安局空輸隊の名称です。出廷や医療緊急事態、囚人輸送を行い(それを飛行機でって日本ではまずあり得ない展開だな。さすが国土の広い国アメリカ。)、この作品では、その通りに囚人を運んでいた所、逆に囚人に飛行機をハイジャックされてしまい、元・正義の突撃隊だった主人公は昔の血も騒いで対決することに決めた…というトンデモ話です。ちなみにCGはほとんど使用されておらずラストの飛行機がホテルに激突するシーンも廃業して廃墟になったホテルと廃棄された旅客機を買い取って突っ込ませた一発勝負の撮影だったそうで、その甲斐あってかこの映画は「最低人命軽視&公共物破壊しまくり作品賞」(死体をメモ代わりに使って落っことしてしまってはな…。)の元に見事にゴールデンラズベリー賞(その年の最低の映画に送られる非常に不名誉な賞)に輝いてしまったそうです…面白い映画なのに。

 キャメロン・ポー(ニコラス・ケイジ)…サリー「ポー!何故、飛行機を降りないの!?娘さんが待ってるわ!」
ポー「女性を見殺しにして自分だけ助かるような父親を娘はどう思うかな?」

かの佐賀バスジャック事件(2000年に起こった、人質が初めて死亡した17歳少年によるバスジャック事件。男達は降車の許可を貰うと残される女性を尻目に自分達だけサッサと降りており、それどころか許可前に窓から飛び降りて逃げ出した男の為に「私じゃない!私は何もやってない!」「でも連帯責任ですから。」と隣の席に座っていた女性が一人牛刀で刺し殺されている。)でも、こういう男が一人でもいればな…妻でもない赤の他人の女性の為に凶悪犯罪者がいっぱいの飛行機内に残った彼の紳士的過ぎる行動に思わず感動したものでした。こうして、酒場の喧嘩で殴り返したら運悪く相手が死んでしまい、オマケに突撃隊の隊員だった(=その鍛え上げられた肉体は既に凶器として、空手の茶帯以上のように正当防衛が認められなかった)おかげで運悪く過失致死(殺人罪)になってしまった彼は、よりにもよって仮釈放のこの日にハイジャックに巻き込まれるという運の悪い展開を繰り広げ、娘に会う時はさらに長引く羽目になったのでした…。

 サイラス・グリサム(ジョン・マルコヴィッチ)…警察「年齢は39歳。そのうち25年は刑務所暮らし。刑期中に法学博士など2つの学位を取得したかと思えば囚人を11人殺し、暴動を3回、脱獄を2回企て、殺した人間は数知れない。癌細胞より人を殺したとほざいている。」

まあ、癌で死ぬ前に老衰で死ぬ事の方が多いからな(年を取ると誰でも癌になるが、進行が遅いので老衰のスピードの方が勝つ。)と彼の言い分に一応、納得すると同時に、博士号まで取れる頭を持ちながら何故、その頭をもっと他の所、犯罪以外の分野で使わない…?とツッコミを入れてしまいました。(まあ、精神鑑定の結果は「異常」だったそうだし頭は良いけれどそれは「成績」で人格的には「ただのバカ」という事だったのだろうな。)ちなみに彼はその悪行が祟ってかラストでは梯子車に拘束されたまま歩道橋に激突し、歩道橋の高さから落ちる前に(普通は歩道橋より高い所に張られているはずの)送電線に何故か接触し、アスファルトの道路に落ちる所を、何故かどこにも存在していない工事現場のベルトコンベアーの上に落ち、その後ベルトコンベアーの下の地面でなく、何故か明らかに距離があったはずの杭打ち機のハンマーの真下に落ち(…ワープ?)頭を潰されるというとても不思議な死に方をしており、見ながら「?」となってしまったものでした…。

 ベイビー・オー(ミケルティ・ウィリアムソン)…サイラス「この中の誰が裏切り者か、3つ数える間に正直に名乗り出て貰う事にしようか。」
ベイビー・オー「待て、俺がやった。俺だよ。」
ポー「相手にするな。こいつはインスリンを打ったばかりで頭がおかしい。もう薬が脳に回ってマトモじゃないんだ。」

インスリン、注射器無くちゃ、打てねえよ…という事で重度の糖尿病である彼は、火災→ハイジャック騒ぎの中うっかり注射器を踏まれて壊されるという運の悪い展開から2時間以内にショック死することが決まってしまいました。(薬はその手にあるのにね…。)そして、せっかく薬を打てたと思ったら自己犠牲精神を発揮し主人公を庇って、やってもいない濡れ衣を被って撃たれた様には、なんていい奴なんだ!(たとえ、もうすぐ死んでしまう人間でも「どうせ死ぬなら最後に一度位、人の為に華を咲かそう」ではなく「俺は限度時間ギリギリまで生きるんだよ!できる事なら、それ以上も!」と生にしがみつく人間は非常に多いのに健康体に戻ってから自己犠牲心を発揮できるなんて感動した。)と思わず涙したものです。最後は、おかげで腹を撃たれるという重傷を負っていながらも、取りあえずラストの時点ではまだ生きており、病院に搬送されていたので助かってくれてると良いな(これ以上、運の悪い展開はいらない。)と思わず願ってしまった人の良い男でした…。

 サリー・ビショップ(レイチェル・ティコティン)…ジョニー23「このハートの入れ墨は今までにレイプした女の数だ。お前の刺青も彫ってやるぜ!上から下まで楽しんでやる!」
サイラス「辞めとけ。外に放り出されたいか?一瞬でもお前のムスコがパンツから飛び出したらお前は空を飛ぶことになるぞ。」

乗っているのが犯罪者集団だという事を考えると、レイプ願望の男を止めるどころか「へっへっへ!皆でたっぷりと慰んでやるぜ!」と仲間に入ってあられも無い展開が繰り広げられそうですが、どうやらこの飛行機に乗った囚人の皆さんは若干一名を除いて全員「紳士」だった様子です。(さすが年齢制限の無いフィクション映画です。)危機に瀕している場面に反して上層部の方では彼女達部下ごと飛行機を撃ち落とそう!という非情な提案がなされていたり(だから「最低人命軽視賞」に輝いちゃうんだよ、この映画!)一度で懲りなかったジョニー23(レイプした数だけ入れているハートの刺青の数23は「バレた事例」だけで本当は600回らしい。)に再度襲われかかったり、嫌な目にばっかり遭っている様には、こういう事もあるから護送官に女性を入れるのは辞めようよ(そりゃ日本にも女看守はいるけどさ…。)と思わず語りかけてしまったものでした…。

ガラスの仮面23

2011.03.20
 とうとう文庫版最終巻です。(完結するのはいつの日かな…?)文庫版の表紙も4冊続いて紅天女の絵が描かれていますが(梅の谷から打ちかけ越しにこちらを見つめる阿古夜、天に向かって手を広げる紅天女、湖に向かって微笑みかける紅天女、豪華な衣装で舞を舞う阿古夜)「京の都が荒れすさんでいた時代」(南北朝時代)にふさわしい着物姿でいると思ったら弥生時代を彷彿させる質素な服装でいることもあり、服装がコロコロ変わる天女の姿に話の迷走ぶりも感じたものでした。(天女だから弥生時代から存在していた、時代に合わせて服装を変えていった(え?)としても不思議は無いのかもしれませんが…。)

 「紅天女」…ナレーター「仏師・一真と梅の木の姫神の化身・阿古夜。この2人がどうなったのか、この後梅の谷で何があったのか、今は語りますまい。」

物語最大の修羅場(痴話喧嘩)は語られなくてもエピローグとして「それから数年後」の仏師一真の姿が語られる辺り結末は分かりきっており、あまり興味はかきたてられないな(結局「勝利」して生き残ったのは一真の方で、薬草の知識や天地神明と心を通わす術などを彼に伝えながらも阿古夜は負けて死んでしまった。「死んでも恋は終わらない」と一真は言うが死に追いやった当人の言葉だと思うと感動も半減しようというものです…ゲフッ!)と思ってしまった全容でした。激しく「一途」な恋をしていた(確かに「浮気」はしていない。)反面、恋より使命を優先させて恋人を死なせた一真が微妙に思え、人間が争い傷つけ合う様を「捨ておけ」とスルーしている紅天女にも冷たさを感じて自然界の理と恋を描いた幻の名作ではあるんだろうけど同じ人間としては共感し辛い話だな(仏の魂を体現した仏師、女神の化身という「慈愛溢れた存在」のイメージに反してあまりに慈悲に欠けており自分の事しか考えていない…ような。)とも感じてしまったものです。どちらかというと泥臭いけれど懸命に生きている「狼少女ジェーン」や陰謀渦巻く「2人の王女」の方が話としては面白かったと思ってしまったり…ゴフッ!

 源造…「この私が一真役を演れるなんて夢のようです。源造はもう思い残すことはございません…。」

一日限りの舞台の上だけの話とはいえ永遠の憧れの女性・月影千草の恋人役をやれて感無量の様子の源造さんですが健康極まりなく生きているのに死期が迫っている人間のように達観しないで下さいよ!君が生きて幸せを掴むのは、まだまだこれからの話だ!と、いいな…。)と焦ってツッコミも入れてしまったものです。今回は劇団つきかげの皆と共に1人3役(語り手兼ナレーター兼楠の殿様)という難しい役をこなしておりいつの間に彼は演劇を学んだのか驚かせて貰いましたが思えば彼は元々女優(千草)の付き人で芸能界関係の人間だった(マヤの元付き人ののりさんも演技達者だったし付き人は役者の卵というパターンが多いのかもしれない。)という事も思い出し1人で納得をしてしまいました。結果、劇が終わったと同時に血を吐いて倒れた(これでもう3回目位の瀕死の状態に陥った)月影先生もカッと目を見開いて無事に生き返った(最後の舞台は終わったが彼女の人生はまだまだ続く)ことですし、そろそろ新しいパートナー(源造さん)と人生を歩んでは貰えないんですかね…?(別居されたとはいえ奥さんと二股かけていた一連と比べると一途に尽くしている彼の方がどう見ても良い男なんですが…美しいイメージばかりが増幅される死人は無敵なのだろうか?)

 姫川亜弓…「私には取り巻きはいても仲間がいない…華やかに見えても本当はいつも一人…本当の友達なんて一人もいないわ!」

真の天才であるマヤは世の中を変える力を持っている。影響力が大きいだけに大きな渦を巻き、彼女がその渦に巻き込まれて飲まれるか中心にありながら不動のままいられるか、支えてその渦から守ってやれる者がその鍵になる、みたいなことを速水親社長が言っていましたが、亜弓さんの言うとおりマヤには劇団つきかげ+一角獣の仲間達や厳しい保護者の月影先生、将来の恋人(と1人で盛り上がっている)桜小路くんと喜んで支えてくれる人達が沢山いるし、熱を上げている所悪いけれども速水さんなんていなくても大丈夫なんじゃ…?(1人孤独に頑張っている亜弓さんに比べたら滅茶苦茶恵まれているじゃないですか、この女。)と読み返してふと思ってしまったものでした。つり橋が壊れているのを知りながらマヤを見殺しにしようとしたり(でも結局見捨てきれなくて助けている。良い奴じゃん。)一瞬でも不正な手段で役を得たいと思ってしまった自己嫌悪に苦しんだり(一瞬だけの話ですぐに理性を取り戻したじゃないですか。本当にずるい人間なら最後まで見捨ててますよ。)完璧な存在でなく人間らしい弱さや深みも出てきた彼女。紅天女編に入ってから同じ人間として大いに共感したと共に恋にうつつを抜かすばかりで全然頑張っていないマヤを応援する気持ちがどんどん薄らいでしまいました。今回は殴り合いのケンカにおいて男同士の友情のように新しい絆を築いた2人(「おぬし、できるな。」と互いを認めている2人でしたが演技でなく喧嘩の能力を競ってどうするんですか、あなた達…ゲフッ!)でしたが正直怪我してるのに何が笑い転げるほど面白いか分からない友情の築き方は、定型パターンとはいえ疑問ばかりが湧きでて(キャッツファイトを通して絆が出来るどころか、決定的に溝ができてしまう場合もあると思う。)あんまり共感はできなかったものでした。亜弓さんの方はともかくマヤは明らかに彼女を特別視していない(思い出したように気にしているだけで恋の行方に遊びに、自分の事ばかり気にしている。)し色々微妙に思えてしまうライバル関係です…ゴフッ!

 北島マヤ…「良かった、あたし、もう少しでバカな事をする所だった…。」

「始めから失うものが何もないんだもの。こういう時は強くなれるわ。傷つく事を恐れていたら何も出来ないもの。」(ダメでもともと。勇気を出してぶつかってみよう。)と「ふたりの王女」のオーディションに芸能界を追放された身で乗り込んだ人間と同一人物のセリフとはとても思えません。(かつて桜小路くんも「芝居に夢中になる程には恋人を思ってくれないのだろうか?」と嘆いていましたね。)そういえばこの子は演劇に対してなら驚くほど大胆になれるけれど恋愛面に関してはいつも受け身で、そのくせ惚れっぽくて冷めやすい性格だったなあ(桜小路くんの事を捨ててまで付き合った里美さんの事もスピーディーに忘れ去っているし好きな相手に対しての情熱は昔から無かったな。)と改めて思い出した次第です…ゲフッ!マヤ本人が自分で言っているように「自分の運命の扉を開く事が出来るのは自分のこの手だけ」、速水さんに告白するよりも、そんなしょうもないプライドの方を大事に思っているのならいつまで経っても月影先生の言う「本物の恋」なんてできやしないよ(紫織さんの立場を考えると今更になって略奪愛に目覚められるのも困りますが。)とツッコミを入れてしまいました。互いに存在に気づき不穏な空気の中で終わる23巻ですが、その後も身を引くと見せかけている割にはウジウジと未練たらしいマヤにも思ったような修羅場には発展せずあっさりスルーされる展開にも色々ガッカリさせられたものです…ゴフッ!

 余談…この「魂の半身」の恋を描いた幻の名作「紅天女」にて男役(一真)の
「死ねば恋が終わるとは思わぬ。」(だから恋の為に死んで良し!)
のセリフ(魂の半身カップルは一連×千草の例もそうだが、どちらかが早死にする運命にある。劇中では阿古夜の方が死んだらしいが。)もあって速水さん死亡説が信憑性を増してしまったのではないかな~と邪推もしてしまったものでした。真澄様に長生きして欲しい自分としては「そんな不吉な悲恋」(マヤ)に人生捧げて欲しくないんですけど…ね。(いいじゃんか、無難に平和に紫織さんで。)

オースティンパワーズ デラックス

2011.03.19
 オースティンとは2005年まで実在したイギリスの大手自動車メーカー、オースチン(ブリティッシュ・レイランドの傘下会社)から取ったそうです。1960年代まではイギリスを代表する大衆車から高級車までを手掛けた老舗名門ブランドだったものの、1970年代以降は高級車分野から撤退し大衆ブランドに落剥→イギリスに蔓延した労働紛争の影響も受けて品質ガタ落ち→イギリス人自身にも見放されて滅亡したという経緯に、不吉な名前じゃないか!と思わずツッコミを入れてしまったネーミングセンスでした…。

 オースティン・パワーズ(マイク・マイヤーズ)…オースティン「バネッサ、一夫一婦の美しさを教えてくれた君がフェムボット(女性型アンドロイド)だったなんて…。」
上司バジル「知っていたが言い出せなくて…。」
オースティン「え?」

しかし彼女が「死亡」したとたん「じゃあ僕ってまた(自由気ままな責任も何も無い)『独身』じゃないか!イェー!」と素っ裸でホテル内を散策し始める彼の姿(よく、公然猥褻で捕まらなかったな…。)変わり身早いんだよ、この野郎!と思わずツッコミを入れてしまったものでした。1作目の自分を大切にしていたプライドのあるヒロイン(バネッサ)が好きだっただけに、2作目の新しい相手役(ていうかシャグウェル(セックスが激しい)という苗字からして)も受け付けず、60年代(フリーセックス時代)思考に戻った考え方も90年代に育った人間としては受け入れ難く、何と言うか、あんまり楽しめなかった2作目です。むしろ1作目のバネッサのセリフ「あんな女のどこが良いの!?」(やはり顔と体か?それだけか?)が頭の中でリフレインしてばかりで…新しい相手役とのカップルに全然好感を持てなかったのが敗因でした…自分的に。

 Dr.イーブル(マイク・マイヤーズ)…ナンバー2「世界征服の為の資金ですが…それを買収したスターバックス拡張に回せば5倍の利益が見込めるかと思うのですが…。」
イーブル「決めるのは私だ。お前ではない。私は開発したタイムマシーンで過去に行きオースティンのモジョを奪ってくる!」
スコット「どうせならトイレに居る所にでも出て一発撃った方が早いじゃん!」
ナンバー2「タイムマシーンを使うのなら、未来に行って株式市場を知る方が利益につながるかと…。」

相も変わらず世界征服の事ばかり考えているバカ上司と、真っ当なツッコミを入れているのに地球ボールをぶつけられて泣かされているナンバー2(1作目で裏切った制裁として炎の中に落とされたのは軽い火傷で済んだらしい。)の姿に思わず哀愁を感じてしまったものでした。(まず、独立を考えませんか、ナンバー2さん…?)ちなみに↑のナンバー2が買収して「悪の組織の資金源」になったという設定のスターバックス(コーヒーチェーン店)は「安く、しかも良質で美味しいコーヒーを提供しています。」というナンバー2のほめちぎる言葉が響いてか北米大陸外に支店を出す前に世界的に知名度が上がったそうで、こういう事があるからどのスポンサーも「1シーンだけでいいから、うちの会社の商品を映画に出して下さい!」とタイアップに必死になるんだろうな、と納得した裏事情でした…。

 フェリシティ・シャグウェル(ヘザー・グラハム)…上司バジル「彼(オースティン)に特別な感情を抱くのは辞めろ。任務の妨げになる。」
フェリシティ「特別な感情なんて無いわ。私には任務が全て。」
上司「よろしい。では今夜ファット・バスターズと接触して貰う。この探知機を奴の体に仕込むんだ。どんな手段を使ってもいい。繰り返すが、どんな手段を使っても良いんだぞ。」

と、言われたのを良い事に「仕方なかったの、任務の為よ。」と自分を正当化してどんな男とでも寝る彼女に(「貴方だって私の立場なら同じ事をしたはずよ!」byフェリシティ←何、開き直ってるんだ、テメエ!)、前作ヒロインの一夫一婦主義と正反対のビッチぶりに(「自分のモジョが奪われたからって私に八つ当たりするの?(訳・「役立たず」の癖に一端の口をきくの?)」「グサッと来た~、今の。」byオースティン)、「自分に正直」と「開き直れば何でも許される」を混同している無神経ぶりに(浮気した時は嘘でも「違う!」と言う方が思いやりだと思う。嘘をつく罪悪感に「自分が苦しむ」のは嫌だから正直に言って何でもかんでも許して貰おう…ではなく、そんな事を言われて悩み苦しむ相手の気持ちを考えてあげた方がまだ良心的だと思う。)、正直あんまり好きにはなれなかった新ヒロインでした。そしてこんな尻の軽いビッチにやすやすと乗り換えたオースティンにもまた幻滅してしまったり…ゲフッ!

 フラウ・ファービッシナ(ミンディ・スターリング)…フラウ「あれ以来、電話もくれないし…。」
イーブル「一夜限りの関係だと君も承知の上だったはずだ。君への感情が世界征服の妨げとなったら困るんだ。」
フラウ「生涯、他の男性とは恋には落ちないわ。」
イーブル「そりゃ絶対その通り。無理。その顔じゃね。」

あんまりだ。(一夜限りの恋人とはいえ、そこまで言うか?)と思わずツッコミを入れてしまった、何故か発生した恋愛フラグでした。結局スコットは試験管ベビーでなく(一晩で終わった関係であっても)両親が愛し合った結果生まれた子供だという事が判明し、ラストでは母親が(わざわざテレビ番組で)カミングアウトしたおかげで親子の絆も回復した様子です。(少なくとも冒頭のように放送禁止用語を連発しながら乱闘で終わる事は無くなった。)が、おかげでチラ見した3作目(妹が見ているのを数シーン見たが、あんまり面白そうでなかったし、2作目からして質が落ちていたのでマトモには見なかった。)では彼は親父のように後退し始めた頭で立派に跡を継ぐことを決めてしまった様子ですし、ボンクラでも現実だけは見ていたへタレ息子が好きだった私としては色々ガッカリしてしまった未来でした。(父子が仲良くなって母ちゃんは満足そうだけどさ…。)という訳で3作目はスルーしている現在です…。

 余談…今回もまたオースティン達に騙されてマグマに落とされて死んだ部下に「ヤキが回った?ドジな見張りは明日からヒ番?彼は君への恋に身を焦がして灰になった。」「もういいわ。」「ハイ。」というダジャレ応酬に苦笑したものでした。(でも一作目の方が面白かったけどね…。)

オースティンパワーズ

2011.03.18
 60年代を知っている人にはたまらない、と言わしめている程にファッションや音楽面で60年代への徹底的な愛情を見せる実にご機嫌なコメディであり「バカも休み休み言え~い!(Yeah!)」というキャッチコピーがこの映画の全てを表している、おバカ映画の金字塔です。…が、アメリカコメディ特有の卑猥なギャグは満載で、人によっては「見るのも嫌になる位の下品さ」という評価を下されてもいるほど「健全な婦女子」にはそっぽを向かれそうな内容だという事実には納得がいってしまった映画です。(私も女子だが…腐女子なので。)

 オースティン・パワーズ(マイク・マイヤーズ)…オースティン「ペニス増大機モリモリ君?ヤダなあ、それ僕のじゃないよ。僕、こういうのタイプじゃないもん。」
係員「スウェーデン製ペニス増大機モリモリ君のカード払い控え一枚、サインはオースティン・パワーズ。保証書一枚、記入者はオースティン・パワーズ。本が一冊『ペニス増大機モリモリ君と僕~僕、こういうのタイプなのよねえ、ベイビー~』著者オースティン・パワーズ。」

どんなに否定しても物的証拠が全てを語っているな…(「ていうか係員の人も悪ノリしてるでしょ。」byうちの弟)と1番笑ってしまったシーンでした。という訳で「007シリーズのパロディ」(モテモテさん系スパイ映画)と銘打ってある事からも分かる通り、60年代の世界的なカメラマンとは仮の姿である「スパイのモテ男」(そりゃもうオープニングからして当時の流行だったミニスカ姿の女性達が踊り出す程に。スパイなのにそんなに目立っていいのか?普通だったら見つけやす過ぎてとっくの昔に殺されているでしょう、というツッコミは映画の中には届かない。)だった彼ですが、90年代では時代遅れで通用しない、時代のギャップに直面する彼の悲哀も描かれている(能天気な彼でも、さすがに悩む状況だった。)辺りが好感を持てた、そんな話でした。(彼の性格の下品さはともかくとして。)主人公である彼を、遠くから見ている分には「有り」かどうかで、この映画を受け入れられるかどうかが別れます…。

 Dr.イーブル(マイク・マイヤーズ)…イーブル「イギリス王室は世界一の地主にして大富豪だ。そこで大金を要求し、もし王室が拒んだらチャールズ皇太子があたかも妻以外の女と不倫しているように見せかけ、皇太子を離婚に追い込む!」
ナンバー2「…皇太子は実際に不倫をして、それを認めた結果、既に離婚しています。」
イーブル「じゃあ作戦その2だ。レーザーで地球を包んでいるオゾン層に穴を開ける。すると人はゆっくりだが確実に紫外線を浴び、皮膚ガンにかかる危険性が高まる!」
ナンバー2「…それも既に現実に起こっています。」

脅迫作戦の身代金の100万ドル(「…もう少し高めに設定してはいかがでしょうか?我が社の年収だけで90億ドルを超えていますし。」byナンバー2。←もう、世界征服なんかしなくてもバーチュコン社だけで食っていけると思うのですが…。)といい30年間の時代の変化に取り残されたのはオースティンだけではなかった様子です…。この人もこの人で、大酒飲みで女好きで頭のおかしい父親と、娼婦で15で彼を作った母親の間に生まれ、虐待されて育ってきた(「ゾロアスター教に入信させられて夏はミャンマーで過ごし、粗相をすると麻袋に入れられて殴られた。まあ、それはどこの家庭でも同じだろうが…。」「じゃあ今日はここまでにしましょう。また来週~。」by親子カウンセラー)ことから性格が歪んだんだろうな、とある意味で納得すると同時に、歪んだままの性格で周りの人間を大切にしないから後継者として体外受精で作った息子(その割には「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の主人公を連想させる90年代的ボンクラ青年に育ってしまっているが。)にもドン引きされて上手く関係を築けない訳だと頷いてしまいました。ラストには、だから腹心のナンバー2にまで離反されちゃうんだよ(アンタの周りに人がいなくなるのは絶対、性格のせいだ!)と1人頷いてもしまったものです…。

 バネッサ・ケンジントン(エリザベス・ハーレイ)…「私は、貴方とセックスしません、絶対に!もし地球上の男女が貴方と私だけになって、人類の存続が2人にかかっているとしても、貴方とだけはゴメンです!」

「バネッサ、貴女は偉いわ。彼の魅力に負けずに頑張ってるんだもの。」(「ハァ!?『魅力』ってどこが?何、あの歯並び、最悪!」byバネッサ。後ろでオースティンは裸で歩いているのを上手いこと持ち物で大事な部分が隠れている有り様だし、そもそも彼は「素敵」なのかと私もツッコミを入れてしまいました。)という母親の言葉からも分かるとおり、60年代ほとんどの女性は「世界的なカメラマン」という彼の魅力(というより「有名人と一夜を共にするチャンス」)に自ら負けてセックスしていた様子で、それが30年前に生きていた彼の常識(というか女の方にも問題があった。)であり、彼自身はそれほど悪い人間ではない(むしろ回転ベッドでポーズを決めたりどこまでも懲りない姿勢には苦笑いが出るほどだ。)と彼女も次第に彼を見直すに到った様子です。しかし「彼氏候補」に対しても「浮気が貴方にとっては些細な事でも、私には重大な事だわ!私と本気で付き合いたいのなら時代の変化を分かって!もう軽い気持ちで誰とでもHする時代じゃないの!たとえ貴方が良くても私は嫌!そういう人間じゃないの!」「本命はあくまでも君で『捨てる気』は全く無いのに…何で!?」と「別れる」危険を冒してまでもキッチリ一線を引いた彼女は確かに偉かった(彼氏を失うか、それとも自分のプライドを取るかで躊躇無く後者を取れる人間はそれほど多くは無いだろう。たとえ「所詮はそんな男」で遅かれ早かれ前者の結果が待っているとしても。)と男に媚びない(自分を持っている)姿勢に好感を持ったヒロインでした。なので2でのヒロイン交代が非常に残念に感じてしまったものです…。

 ナンバー・ツー(ロバート・ワグナー)…「実は30年前に化学薬品から通信事業に鞍替えしまして…今では38州にケーブル会社を持ち、クリーブランドには製鋼所、テキサスには海運会社、シアトルには精油所、シカゴには工場のミニチュアを作る模型工場ができるまでになりました。」

「ナンバー・ツー」っていう名前(本名)なんだ…と地味に驚いたイーブルの片腕です。世界征服の事ばかり考えているアホ上司が冬眠している最中にフロント企業のビジネスを↑のように巨大化し、世界的経営者として称賛されるまでになったのに、Dr.イーブルが下した評価は「ま、こんなもんだろ。」で終わりという様に、そりゃ彼でなくとも「こんな上司の部下」を辞めたくなるだろうと最後に裏切りに走った経緯(「アンタはバカみたいに世界征服の事ばかり!今や征服すべき『世界』など無い!企業の時代なのに!」byナンバー2)に心から納得してしまったものでした。ちなみに映画中で語られているのですが「ナンバー2」とは「ウンコ」の隠語(「ナンバー2(ウンコ)のボスは何処だ!?」「そうだ!クソに舐められるんじゃねえ、相棒!」byトイレ個室隣の客)でもあり名前からして可哀想な人だったんだな、と改めて同情してしまったトリビアでした…。

 余談…エイリアンに変異させたスズキに頭を食われた(食わせた)部下を前に「今頃、頭冷やして反省してるかも。これじゃ頭角を現わせない。コチコチの石頭だったら食われなかったのに、頭取就任は無理だな。」「よしなさい!」「失礼しました~。」という吉本新喜劇並のダジャレに何気に笑ってしまったものでした。その上、ナンバー2の秘書アロッタ・ファギナ(「沢山のヴァギ○」のダジャレ。部下の名前までそんなかい…。)の部屋の作り(障子に日本式風呂)といい、「柔道チョップ」(柔道ってチョップあったっけ?)といい、製作者の皆さんは何気に日本好き!?(3の舞台は日本だそうだし。)と感じた小ネタです。

コマンドー

2011.03.17
 テレビ放映されるたびにネット上でいわゆる「祭り」になる、ネット掲示板(2ちゃん)ではピーク時に毎分2千レスポンスを記録した、スレッド(一つで千個書き込める)が30を超えてサーバーがダウンした…等々の逸話を誇るシュワちゃん映画です。「ターミネーター」で悪役を演じたのを転じて、ビルドアップされた肉体を充分に活かしたアクションヒーローをこの作品で演じた事でこの映画以来シュワちゃんは「正義の味方」というアクションスターの地位を不動のものにした出世作にもなったのでした。ちなみに映画が大ヒットしたことで続編も執筆されたのですがシュワちゃん自身が興味を示さなかった為に制作は幻に終わり、その脚本を加筆修正したものが、かの「ダイ・ハード」になったそうです…。

 ジョン・メイトリックス(アーノルド・シュワルツネッガー)…ベネット「俺の報酬は10万ドルだがタダでも良いと言った。アンタに復讐できたからな。」
ジョン「必ず戻ってくるぞ。(I'll be back)」
ベネット「楽しみに待ってるぜ。」

出た!「ターミネーター」でもおなじみの「I'll be back」(トラックで戻って来られなくて良かったね。)と1人で盛り上がると同時に、あんな敵の要塞で何故、上半身裸で突き進むんだ!?(銃で撃たれはしたけれど、穴が一個開いただけなんだから脱がずに着たまま進めば良いだろう。この映画はいつから「ランボー」になったんだ?)と、その後の展開にツッコミを入れてしまいました。が、折しも、その後ベネットとの肉弾戦があったので、これは「こち亀」で言う所の海パン刑事戦法(掴まれやすい、引っ張られやすい「服」を着て戦うよりも、汗でヌルヌルした全裸の方が掴み所が無いという点でケンカには有利。最も、だからと言ってフルチンで戦うのはいかがなものかと思うが。)だったのかと納得がいったものです。(で、その肉弾戦に到るまで服を着てない意味は…?)初登場から大木を抱えて進む(素晴らしい上腕ニ等筋が拝める)シーンに始まり、潜入する時は(イイ感じの後脊筋の盛り上がりを見せながら)船を漕ぐシーンが拝め、ラストでは半裸というこの映画(「容疑者は男性。190センチ。髪は茶。筋肉モリモリマッチョマンの変態だ。」と警備員にまで言われてしまっている。)ネットで毎度「祭り」になるのは絶対このサービスシーン(?)満載の作りのせいだと密やかに確信も持ってしまった私でした…。

 娘ジェニー・メイトリックス(アリッサ・ミラノ)…アリアス「親父は我々に協力してるよ。じきに、また『一緒』になれる。嬉しいか?」
ジェニー「アンタがパパにやっつけられる事の方が嬉しいわ。」

しかし親父が任務を遂行し終わった(もう「お役御免」になった)その時には、やはり自分共々殺すつもりなのだろうし、このままこの犯罪組織の思うままに過ごしていたら生きて「一緒」になれることはないだろう、と自力で脱出した(壁の木を外し子供特有の小ささを利用して部屋から逃げた。その後ベネットが爆笑問題のパネルのように壁を蹴り壊して出てきたことから考えても、あまり強い作りの壁ではなかったと思われる。)行動力に感心はしたものの戦闘力までは父親から受け継がなかった様子で(まあ、女の子であれだけの大量殺戮ができてしまったら怖いけれど。)最後の最後で捕まってしまい、父親が挑発しなかったら(そして敵がその挑発に乗ってしまうアホでなかったら)殺されていたであろうことを考えるとラストで生きて一緒になれたのには素直にホッとした終わり方でした。たとえマフィアの皆さんの生き残りが一人もいなくなろうとも…ゲフッ!(「生存者は?」「いません。」「隊に復帰しろよ!君に限る!」byカービー将軍)

 シンディ(レイ・ドーン・チョン)…シンディ「どんな事情なの?」
ジョン「部下に命を狙われた。」
シンディ「私だって狙いたいわ。」

その部下の部下が彼女に色目を使ったから(彼女は誘惑要員として使えそうと見たから。)…それだけの理由で巻き込まれた思えば不運な女性でセリフ「アンタ一体何なのよ!?車は盗む!シートはひっぱがす!私は攫う!人を撃ち合いに巻き込んで大勢死人は出す!電話ボックスを振り回した次はターザンみたいに天井からブランコしたり、アンタ人間なの!?警察がアンタを撃とうとしたのを思わずぶっ飛ばした(さすが空手のレッスン受講者。)せいで私まで追われる身よ!一体何なのか教えてちょうだい!」にあるように大変な目に遭ってはいますが…その後のトラブルの数々は「待って!置いて行かないで!」とジョンに自分でついて行ったのが要因で、自分の車が惜しかったのは分かるけれども、当の車はカーチェイスの果てにお釈迦になっているし、その後の選択は間違えていたな、と彼を助ける為にロケットランチャーをぶっ放した行動(前後を間違えて初弾をあらぬ方向に撃ってしまったのはご愛嬌。)と合わせてツッコミを入れてしまったものでした。いや、手助けしてくれたいい人なんですけどね。

 元部下ベネット(ヴァーノン・ウェルズ)…ベネット「顔を出せ、ジョン。眉間を撃ち抜いてやる。そうすれば苦しまん。」
ジョン「俺に恨みがあるんだろ?だったらナイフで刺せ!『楽しみ』を捨てるな!」
ベネット「ああ、そうさ。人質なんか要らん!銃も要らん!ぶっ殺してやる!」

…と、挑発に乗らずに静かに素早く眉間を撃ち抜いていれば鉄パイプで背後のボイラーごと貫かれて「蒸気抜き」されるという常軌を逸した死に方をせずに済んだのにね…と後悔しても後の祭りです。とはいえ映画中でジョンに1対1で「ダメージを与えられた」のは彼とクック(元グリーンベレー)の2人だけ(後の皆はボスも含めてジョンに瞬く間に殺された。ベネットに「ただのカカシですな。俺達なら瞬きする間に皆殺しに出来る。」と評されていたようにやはり「ただのカカシ」だったのだろう。)という事を考えると彼も決して弱くはないと思われるのですが…いかんせん相手が悪過ぎたのでしょうね。そもそもの恨みも「楽しみで人を殺し過ぎる」事で上司のジョンに部隊を追い出された(そして新しい大統領にも国外退去処分にされた。)という逆恨みでしたし、「蒸気抜き」しろとまでは言わないけれど少し冷静になって状況を見てみろと思わずツッコミを入れてしまった男でした…。

イレイザー

2011.03.16
 「イレイザー」と言えば聞こえは良いですが、和訳すると「消しゴム」「インク消し」「黒板消し」という意味です。(嫌だな、そんな異名…。)上司にも守って貰えず、仲間にもハメられて、孤立無援の戦いを強いられる主人公ですが、そんな事で我らがシュワちゃんが負けるはずもありません。たった一人でも組織相手に見事に勝利した(ほぼ壊滅させた)様には、もう拍手しか出なかった、主演の味が生きているアクション映画でした…。

 ジョン・クルーガー(アーノルド・シュワルツネッガー)…「お前達は消去された。」

重要証人の命を守る為に彼らの人生を跡形もなく消去する…それが証人保護プログラム執行官である彼の任務なのですが、ここで重要なのは守って貰えるのは命だけで、生き延びることができても職場(仕事)や社会的地位は失う羽目になる(それが正当な主張であっても「仲間を売る」行為には当然、代償がつく。よしんば元の職場で働けた所で「自分達の仲間を売った人間」を周りの皆が温かく受け入れてくれるかは疑問だが。)という事でしょうね。ジョニー→オカマバーの店員、ロドリゲス→神父、と彼に守って貰えた人間は今も元気に生きている反面、全員が転職している事と合わせて現実の厳しさが垣間見えたものでした。(ぶっちゃけ、書類を横流しするだけで今までと変わらず過ごせると思っていたカレンさんはコピーをもう一枚取っておくだけの知恵は有っても、物凄く見通しが甘かったと思う。)今回は証人のカレンさんを守る為に、話の要にもなった最新式の銃を両手に撃ちまくるシュワちゃんの姿には「この映画は一体いつからターミネーターになったんだ…?」とも、知らず、つぶやいてしまったものでした。

 リー・カレン(ヴァネッサ・ウィリアムズ)…ドゥゲラン「我々は危害を加える気は無い!」
リー「散々、銃で撃って来て、自宅にまで地雷を投げ込んだ後で、今更そんな言葉を信じられるか!」

たとえ本物の保安官の立場を持った人間であっても信用がならない(そしてタイミング悪い事に彼女は「絶対に危険な目には遭わせないから大丈夫だよ!」というFBIの言葉に騙されて書類(ディスク)持ち出しをした結果、上司ドナヒューに銃を突き付けられた果てに自殺されたというトラウマ必至の目に遭ったばかりだった。)そんな彼女の結論に心から頷けてしまったものでした。オマケに序盤で投げ込まれた空中で爆発してネジ釘が飛んでくる地雷は第二次世界大戦中にドイツの英雄(という名の大量殺人者)ロンメル元帥が使用したものであり、今回はとっても幸いな事にジョンの手だけで済んだものの、戦場では頭を貫通しての即死や内臓を貫通して悶え苦しんで死んだ兵士が後を絶たなかったという殺傷能力抜群の逸品(むしろ脚一本だけで済む普通の地雷より遙かに怖い。)であることを考えるとそりゃ、信じられないよな(むしろこの女性は映画が終わるまで、よく生きていられたものだ。)と改めて思えてしまった有り様でした…。

 ロバート・ドゥゲラン連邦保安官(ジェームズ・カーン)…「君にはまだ評価を言ってなかったな…満点だよ。」(ズドン!)

おかげでネットの評価には「DVDの評価をまだ言っていなかったな…満点だよ。」という類のコメントが多かったです。他にも「人を殺ったことは?」「3つの大陸で戦争に参加した。」「能書きはどうでもいい。」(「聞いといてそれかよ!」by弟)などなどツッコミ所満載の敵役でしたが、最も大きいツッコミ所はやはり飛行機で薬を盛った時点でジョンをサッサと殺していればこんな事にもならなかったのにでしょうね。1人でも武装組織を壊滅出来る「イレイザー」(と言うより「ターミネーター」の間違い)の異名で知られる優秀な殺し屋ですし、もしもジョンを仲間に引き込めれば現在の任務である「リー・カレンの殺害&ディスク回収」は滅茶苦茶簡単に済ませられる(折しも彼を仲間殺害の容疑者に仕立て上げたおかげでジョンの保安官としての立場は消えて無くなったも同然=彼も後には引けないだろう。)という打算も働いたのでしょうが、問題はジョンがそんな安い男であろうはずがないという映画当然の展開でした。「邪魔者はサッサと殺す」のが信条なら「例外」を作るべきではなかったというのが彼の失敗だったのでしょうね。

 ジョニー・キャステレオーネ(ロバート・パストレリ)…ジョニー「どういうこった?」
ジョン「『君らを殺して仲間割れした』んだ。」
ジョニー「なるほど。アホだな、こいつら。」

実際にアホだったのは密告(チクリ屋)をしながら、なじみの店に顔を出したせいでアッサリと身元(隠れ家)がバレ、序盤にして殺されそうになっていた彼の方だとは思うのですが、ジョンという超優秀な証人保護官のおかげで犯人達は更なるアホに仕立て上げられて無事に命は助かっていました。この人もこの人で港のマフィアの一員(彼の従兄弟は港の「組」を仕切っているボス。)であり、善人とは言えない立場の人間(まあ密告=内部告発=仲間内の人間でなければ不可能という図式を考えれば「証人」の方だって叩けば埃が出る人間に間違いは無いだろうしね。)なのですが、その中でも許せない人間に関しては警察に売ったり、命の恩人(ジョン)に対しては泡吹いてまで侵入経路を作ってあげたり(その為に心房細動を偽装したおかげで電気ショックをかけられ、また死にそうになっていたが。)何気にいい人でもある、その筋の人です。最も「この世界」でそんな正義感を持ってしまっている以上、あんまり長生きは出来なそうな予感はしますが…。(既に映画中で2回も死にかけてるしな。)

ホーム・アローン

2011.03.15
 俳優マコーレー・カルキンを「世界一有名な子役」に押し上げた出世作であり、その記録はギネスブックにも輝いた(挙句に「チケットの売り上げが伸びる」事を「ホーム・アローンになる」と動詞の一つにまで数えられるようになった。まるで日本の「真相は藪の中」のようだ。)現在でも「クリスマスに最も視聴される映画」として有名なシリーズ映画です。この華麗なる出発の後、主演の彼は親の離婚、ヘロイン中毒と酷い転落人生を送る羽目になる事を思うと涙なくしては見られない、そんな映画でもあります…。

 ケビン・マカリスター(マコーレー・カルキン)…ケビン「こんな人数の多い家、もう、うんざりだ!僕が大人になったら1人で住むからね!1人で!」
ケイト「じゃあ、もう一度、言ってみたら?願いが叶うかもよ?」

奇しくもその「家で1人で好き放題に暮らしたい」という願いは家族の置き忘れで図らずも叶う事になるのですが、一人旅と同じく1人で過ごすという事は「自由」である反面、泥棒や変質者に襲われた時に誰にも助けて貰えないという短所も有り(最も最近は「2人でいた」所で恋人を見捨てて逃げる男や、面倒事に巻き込まれそうになると手の平を返す友達も増えたそうなので、一概には言えないらしいけれど。)わずか8歳にして、たった一人で大の大人2人と戦う姿には「仕掛けた罠の残酷さ」に健気さをすっ飛ばして「過剰防衛だろ!」とツッコミを入れてしまったものでした。店員をスラスラと騙して買い物をする様といい(「よくこんな嘘800が並べ立てられるもんだな。8歳でこれじゃ将来が心配だ。」byうちの弟。)もはや子供の姿をした小悪魔だな(彼の真の怖さは、計画的に酷い罠を仕掛けた性格の悪い子供であるにも関わらず、持ち前の「可愛さ」で全てを視聴者に忘れさせることができる点である。)と実感してしまった本作品の主人公でした…。

 母ケイト・マカリスター(キャスリン・オハラ)…ケイト「飛行機に乗せて!乗せなさい!でなきゃ滑走路に立ってヒッチハイクしてやるわ!それとも私にハイジャックをさせたいの!?」
ガス「そいつは大変だ。シカゴは通り道だから奥さんさえ良ければ乗せて行ってあげますけど?」

寝坊していた間にトラックに入り込んで遊んでいた近所の子供をケビンだと勘違いして数を数え、その子供が出発時に車から下りた(普通はここで「ケビン!どこに行くの?…ってケビンじゃない!?」と気づく場面。)にも関わらず、そのまま空港に行ってしまった…つまり自分達の人数確認ミスのせいで息子を置き忘れる羽目になったのにヒステリーを起して↑のようなクレームをつける辺り、このお母さんも何だかな…と思ってしまったものでした。(ガスがそうしているようにレンタカーを借りて家まで運転して行けば良い話じゃないか。でなきゃ高い金を払ってタクシーを使うとか。)幸いにもポルカバンドのトラックにタダ乗りさせて貰えたおかげで家にはたどり着けましたが、冷静に考えると見知らぬ男の集団が乗る車に女1人で乗り込むってかなり危ない行動(一刻も早く息子に会うどころか、そのままトランクに詰められて2度と息子に会えなくなってもおかしくはない。)で、結局大人しく2日後の空き飛行機を待って帰ってきた家族と「着いた時間」は一緒だった事と合わせて微妙に感じてしまったお母様でした…。

 ハリー・ライム(ジョー・ペシ)…「おいしいのはあの家だ。この目で確かめた。お宝がゴロゴロある。ステレオデッキにビデオデッキ、玩具の他、宝石や現金もあるだろう。証券類もありそうだ。こいつは見逃せねえヤマだ。」

「東京伝説」シリーズによるとプロの泥棒は金(紙幣)だけを盗むのではなくノートパソコン、電話機、コピー機、金庫(取りあえず運び出して持ち帰ってからゆっくりと開封(破壊)する。)など売れそうな物は何でも持ち出していくそうなので、現金だけでなくデッキなどの電気機器にも目をつけている辺り、こいつらは良くも悪くも(悪いよ!)プロだと感じたものでした。ただ、この2人組にとって災難だったのはその家にケビンという名のクソガキが武装して様々な罠を仕掛けていた何故、泥棒が来る前に警察に連絡して家の周りを張っていて貰わないんだ…?)事でしょうね。股間を銃(玩具)で撃ち、額にアイロンを落下させ、ドアノブを熱して火傷させ、頭をガスバーナーで燃やしたその様はもはや「子供の可愛いイタズラ」で済む範疇を超えており、泥棒の2人組の方もこんな危険な家なんて途中で諦めて逃げ出せば良かったのに(何故、痛い思いをしてまで最後まで付き合うんだ、お前ら?)とツッコミを入れてしまった有様でした…。

 隣人マーリー(ロバーツ・ブロッサム)…マーリー「何年も前、息子と大喧嘩をした。わしはついカッとして『お前の顔など見たくない』と言い、息子も同じ事を言った。息子とはそれきりだ。明日の孫の発表会も歓迎されないと思ったから今日の練習を聞きに来たんだ。電話しようとも思ったが口をきいてくれないかと思うと怖いんだよ。」
ケビン「つまり、息子さんに電話してみれば良いんだよ。ダメだったらダメで諦めがつくじゃない。それに、もう怖がらなくて済むしさ。」

そして一人孤独に暮らした(息子一家は出て行った。)結果、どこからか伝言ゲーム(噂)が発生してそのうちに破綻したらしく近所の家からは「あのジジイは息子一家をぶち殺したシャベル殺人鬼で、死体(証拠)が見つからないせいで逮捕されていない。」という酷いレッテルを張られ、日々除雪作業をしている割に報われないお爺ちゃんになり果てていました。ケビンの一言で失敗した所で、少なくとも未練だけは無くなる(それで決定的に決別する事になっても完全に「敵対した」のなら少なくともこれ以上相手の顔色を伺って媚を売ったりビクビクと怖がる必要は無くなる。)とお爺ちゃんも勇気が出たのか、次に窓から姿を見かけた時には息子と抱き合っていた(コブラツイストをかけ合っていたのではない)姿が見られ、どうやら和解には成功した様子です。たとえ年月が経ち過ぎてしまっても「謝る」のに遅過ぎるという事は無い(そこから「やり直せるか」は別問題だとしても。)としみじみ感じたシリアスドラマでした…。

 余談…この映画に登場するケビンの従兄弟フラー役(大きな眼鏡をかけたオネショ小僧)こそ主役を演じたマコーレー・カルキンの実弟(リアルブラザー)のキーラン・カルキンであり、同じ父母から生まれた子供でもやっぱり違うんだな(あそこまで可愛い天使のような子供はオーデイションで100人以上の子供を振るい落とした事からも分かる通り100人に一人もいやしない。それは同じ遺伝子を持つ兄弟でも言える事であり、あれほどのカリスマはそうそう生まれるものではない。)と実感もしてしまいました…。

ホーム・アローン2

2011.03.14
 基本的には1作目と同じパターン(似たような話)ではあるものの、ケビンの頭の良さ、母親を代表する家族愛、家に仕掛けられた罠の痛々しさ、孤独な老人に差し伸べられる小さな手…と作品の特徴は前作以上に光っており、興行成績もその年のトップだった「アラジン」(当時はまだディズニー映画黄金期)に次いで2位という好成績を修めており、面白さは1作目以上である2作目です。シリーズは一応5作目まで続くのですがネット情報によると
3作目→「家に一人ぼっちの子供が泥棒を撃退する」点だけが同じの別の家の話で人間ドラマは無い。
4作目→「マカリスター家の話」に戻ったもののキャストは全員違う人間で、もう名前だけが同じの別の話である。
5作目→3作目同様「別の家の話」であり今一つパッとしない。
という評価が下されており主演の子供も全員違う子(やはりマコーレー・カルキンのように連続主演を果たせるほどの天使(ではなく小悪魔)のカリスマを持ち合わせている少年はそうそういないらしい。)という点を考えると3作目以降を見るのはちょっと躊躇している(ていうか、あんまり期待できない)現状です…。

 ケビン・マカリスター(マコーレー・カルキン)…ケビン「何でクリスマスに熱いフロリダなんか行かなくちゃいけないのさ。僕が大人で大金を持っていたら1人で好きな所に行くからね!1人で!家族の誰も連れて行ってやるもんか!」
ケイト「じゃあ去年みたいに願ってみたら?また叶うかもよ?」

全然、学習してないな、このガキ…と、うちの弟にまでツッコミを入れられた本作品の主人公です。今回は空港に着く所までは家族と一緒だったものの、お気に入りのレコーダー玩具の電池を交換していた(「そんなもの、後でいいだろう!」by父)隙に置いて行かれ、父親と同じコートを着ていた男性の後をついて行った(そして当時はチケット確認が機械で行われていなかった為に誰も間違いに気づかなかった。)結果、NYに着いてしまい、それを悲観するどころか乾電池と一緒に着服した父親の手荷物の中の金とカード(「手癖の悪いガキだな!」byうちの弟)を使って豪遊を始めた辺りは相変わらずしたたかというか頭の良い(小賢しい)子供だと感心したものでした。「僕は償いきれないほどの悪い事をしました。」という反省には前作以上に残酷になった罠の数々と合わせて頷く事しか出来なかったり…ゲフッ!

 母ケイト・マカリスター(キャスリン・オハラ)…ケイト「子供を1人でチェックインさせるなんて信じられない!」
ホテル支配人「それが実にお上手な作り話を…」
ケイト「子供に騙されるなんて、それでもプロ!?信じる方がバカよ!カード泥棒だと脅されたせいであの子は逃げて、クリスマスなのに貴方達のせいで息子は大都会で迷子になってるのよ!」

騙されてやりこめられた「被害者」は明らかにホテル側の方(むしろ営業妨害もいい所)なのに「10歳の子供相手に、いい年した大人が本気で追い詰めて逃げられた」(全く大人げない。)という事実の前にはどんな言い訳も通用しませんでした。おかげでホテル側の謝罪として最上階のペントハウスに2家族15人はタダで泊まれる事になり、ケビンの活躍(玩具屋泥棒から売上げ金を守った。)により玩具屋のオーナーからは部屋いっぱいのクリスマスプレゼント(玩具)が届き、家族そろってリッチなクリスマスを送れる事になったマカリスター一家。(最高級スイートルームに泊まっているリッチな客。なのにチップはいつもガム…。)とはいえ、それまでケビンが使ったリムジン、高級アイス、プール使用等の諸々のルームサービス代は無料にならなかった(「ケビン!お前、ルームサービスだけで967ドルも使ったのか!」by父)そうなので、結果としては痛み分けに近い形で幕を閉じたクリスマスでした…。

 ハリー・ライム(ジョー・ペシ)…マーブ「脱獄したばかりでピリピリしてるんだよ。ハリーが玩具屋を襲おうなんて言うから…」
ハリー「バカ野郎!黙秘しろ!」
警察「何!?お前らは鳩に襲われていた不審者じゃなくて前科持ちの脱獄犯だったのか!」

頭の悪さは前作と変わりなしで言わなくて良い事をペラペラしゃべる相棒のおかげで2人は職務質問だけで済まず、再度逮捕に到ったのでした…。(最もケビンが撮った玩具屋泥棒の証拠写真と、海外逃亡計画(脱獄の証拠)を録音したテープがある以上、黙秘していても逮捕は免れなかっただろうが。)今回はNYに場所を移した(前回、主人公の家で痛い目にあったシカゴではない。)のに飛行機を乗り間違えた悪魔の子供・ケビンと関わり合いになってしまったが為に、改装工事中の叔父の家を舞台に、レンガを頭にぶつけられ、ペンキの缶(中身入り)を落とされ、洗おうと水道を手にした所で感電させられ、頭を燃やされてトイレの水に突っ込んだ所で爆発した(可燃性の液体にすり替えられていた。)という明らかに前作以上に痛い目に遭っている様には何度やられても立ち上がる不死身の泥棒の姿に凄さを感じる(実際、医者から「こんなイタズラをされたら命は無い。」と評されている。)と同時に何故こんな痛い思いをしながら最後まで付き合うんだよ、お前ら!(致命傷を負う前に普通に諦めようよ…。)と前回同様のツッコミを入れてしまったものでした。ケビン(験の悪い象徴)を見かけた時点で場所を変えるべきでしたね、2人は。

 鳩おばさん(ブレンダ・フリッカー)…鳩おばさん「私はこの鳩と同じさ。町の人は目で私を見ても心では見てないフリ。私も昔はこんなじゃなかった。仕事も家も家族もあった。でも愛した男が私を捨てて去って行って、それからは相手を信じることができずに逃げ出してばかり。また傷つくのが怖いの。」
ケビン「昔ローラースケートを買って貰った事があるんだ。でも壊れるのが嫌で箱に大事にしまっていたら、そのうちに足のサイズが大きくなって履けなくなっちゃった。使いたいと思った時にはもう役に立たない。同じ事だと思うよ。ハートだって使わなきゃ持ってる意味が無いじゃない。怖がってないで勇気を出さなきゃ。」

前作のシャベル殺人鬼(ではない)隣人マーリーと同じく「孤独な老人」がケビンの言葉をきっかけにして前向きに人生を歩み始める感動の場面ですが、悲しいのはやり直しがきいた(ケンカしていただけで家も家族もある)マーリーお爺ちゃんと違ってこの老女には何も残っていない(行方不明の夫は多分これからも永久に戻ってくる事は無いし、孫どころか子供もいない天涯孤独。家も失い現在はオーケストラ会場の舞台裏でコッソリ寝泊まりしているホームレスであり、他人と関わるどころか、いつ警察に不審者として連れて行かれてもおかしくない人物である。)という点でしょうね。一歩踏み出せば良いだけだったマーリーお爺ちゃんと比べて、彼女はこの年で一から全てを始めなければいけない訳で、その道の険しさを思うと知らず気が遠くなってきたものでした。ケビンとはキジバトの飾りを貰った特別な友達になるもシカゴに住む彼とはこの先2度と会う事は無いでしょうし(くどいようだが、ここはNYである。)感動以外の理由でも思わず涙が流れたシリアスドラマでした…。

 余談…「昨夜もここへ来たな。スナッフィ、アル、レオ、そしてクリフ。男とくれば誰彼かまわずだ。」「そんなバカな…。」「(クリフって俺の名前じゃん!)そんな…違いますよ!」「いいだろう、俺は信じてやる。だが、このマシンガンは信じねえ!」とフロントの人間を騙すネタにも使われたあまりにもバカ過ぎるギャング映画はこの話の為に別で撮影されたフェイク映画ですが、ケビンが見ていた部屋があるプラザホテルは実在のホテル(ちなみに室内プールは存在しない)であり、電話番号が本物だった為に映画公開後、予約が殺到したそうです…。(ちなみに「ケビンが泊まった411号スイートルーム」は1泊12万円(!)というお値段で提供されたんだとか。高い。←「スイートルーム」にしては安い方なのかもしれないが少なくとも我々には縁の無い部屋の話だ。)

王家の紋章⑥

2011.03.13
 作品中でも紹介されていたアブシンベル神殿(砂岩をくり貫いた大小二つの神殿。)のラムセス2世の巨大座像がある岩窟神殿です。4体ある巨大な石像は左から若い順に年代別にしたラムセス2世の像で(4体とも自分って…。)2体目は地震の時に壊れてしまったそうです。また、この神殿は最愛の妻ネフェルタリと地方神ハトホルに捧げた神殿でもあるらしく(だからヌビア地方という砂漠の中でも北風が強く厳しい自然の中の上、スーダンとの国境がすぐ側にあるという最悪な場所にあるんだとか。)奉納碑文には「永遠に彼女の為に朝日が昇る。」という愛情あふれた一言が書かれているそうです。自分の像あり妻のの像ありのラムセス2世とその妻の為のとてつもない記念碑として今日も残っています。

 タヒり王女…メンフィス王の父ネフェルマアト王の後妻。彼女の故郷ヌビアはラムセス2世の最愛の妻ネフェルタリの故郷だとも言われています。(だからあの表紙の写真だったのかな~と深読みもしてみたり。)さて、作品中キャロルがエジプト王(メンフィス)と結婚することでエジプトの王位継承権を得ると書かれていましたが、そんなことエジプトの王位継承制度ではありえません。それならこのタヒり王女のように王をたぶらかして結婚した後とっとと暗殺して好きな男と再婚して王にすればいい話で王家の血筋なんてあっという間に絶えてしまうからです。個人的には彼女が腰入れする際(メンフィスの嫌がらせで)従者の方々は砂と泥にまみれたボロボロの姿になっていたのに同じように砂、泥を浴びたはずの彼女だけが何故か綺麗なままで無事に着いているのが不思議でした…ゲフッ!(禁句。)自分の娘程の年の女を妻に迎え入れて恋愛が成立するのも難しいでしょうと老いてなおお盛んな父王にもツッコミを入れてしまったり…ゴフッ!

 メンフィス王…いまさら言うのもなんですがエジプトの王になるには王位継承権を持っている王の長女(いない場合は先王の妃。)との結婚が不可欠なので彼のように未婚で王になれることなどあり得ません。これは古王国時代からのエジプトの慣例でこの物語の舞台でもある新王国時代には確固たる王家のしきたりとして制度化していたので基本的前提が大いに間違っています、この話。(禁句。)今回は何十人もの武器を持った戦士達相手に素手で戦い、相手の攻撃からすべて急所を外し、傷の手当もせずにアルゴン王と一騎打ちをしている(その後崩れたラマッス(人面獣身有翼の像)の像の欠片を全部かわしてキャロルを連れて逃げることにも成功。)様にやっぱりこの人は体育会系なんだなあと認識を新たにしました。これなら立派にSASUKEを最終ステージまでクリアできるというか、もう人間業とは思えません…ゴフッ!

 女王アイシス…「女王」と呼ばれていますが、エジプトではそもそも女が王になることはできません。かのクレオパトラが女王呼ばわりされていたのはプトレマイオス13世、アントニーとの結婚で彼らを王にした上で尻に敷いていた結果、政治の実権を握れたからであっていくら王位継承権を持った王の長女(なので本来ならメンフィスよりも彼女の方が立場は強いはず…なんですけどね。)でも結婚しないうちは所詮ただの王女でしかないのです。(最もアイシスが皇后にふさわしい政治的才覚があるかは個人的に大いに疑問ですが…ガフッ!)それはそれとして、改めて常夏の暑~い国であるエジプトに、クーラーなんかもないこの時代に、あのように太陽光を集める黒い服ばかり着て彼女は熱くないんでしょうか?とまたも服装に疑問を持ってしまった私でありました…ゲッフン!

 ラガシュ王…バビロニアではシリシュ(龍)を信仰していたということを初めて知りました。という訳でアイシスを妃に迎えてエジプトの王位をも得ようとする彼の考えは王位継承制度的にみると正解に当たります。(王位継承権を持った王女と結婚した男が次の王になるのであって、男自身がエジプト王家の血縁である必要はない。かのアンケセナーメンもそれでヒッタイトの王子を次の王に迎えようとして、王子達を暗殺されて失敗していました…ゲフッ!)キャロルではなくてアイシスを選ぶ辺り女(の外見だけ)を見る目はあるじゃないかと見直したものの解説によるとこの後彼までもキャロルに求愛する男の一員になり果ててしまうそうなので…正直アイシス様のその後が心配です。体だけ弄ばれた挙句にまたキャロルに恋しい男を奪われるという展開は悲しすぎるので辞めて欲しいものですが…どうなっちゃうんでしょうね?

 イズミル王子…だからどうやって流砂から助かったんですか、貴方は!?という肝心な部分が謎のままの運の強い電波な王子です。(キャロルを妻に…と夢見る前に彼女に嫌われている現実と、そうなるまでにしてしまった自分の言動を今一度見直してほしいものですが…ゲフッ!)個人的にはいっそあのまま砂に埋もれて欲しかったのですが、何故だか助かってしまっていました。それよりも完全に無駄死になってしまったぽい哀れな従者・ルカの方に余程同情してしまうのですが、さすがに彼の方は助からなかったんでしょうね…。(あれだけ思いっきりダイブしてればね…。)どんな手段で助かったのかは不明ですがどうせなら部下も全員引き連れて助けて欲しかったです。この人がキャロルを追い求めれば追い求めるほどそれに付き合わされる部下の皆さんはいい迷惑だよねと改めて感じてしまった私でもありました。女一人を大軍引きいて追いかける前に政治活動(現実)にでもちゃんと身を入れてくださいよ、王子。

王家の紋章⑤

2011.03.12
 表紙はスネフェル王の息子ラーヘテプ王子とその妻ネフェルトの座像です。大神官でもあり将軍でもあったラーヘテプ王子を無視して奥様のネフェルトのバストアップのみ映していますが(ラーヘテプ王子に失礼でしょ、撮った人!)おかげで水晶と黒曜石でリアルに作ったという「目」がよく見えます。発見された時、現地のエジプト作業員は「この像は生きている!」と誤解して逃げだしたという逸話があるそうです。

 キャロル・リード…ハットゥシャ(20世紀のトルコ高原)という山の上で、ただでさえ涼しい(そしてもちろん冬には雪が降る程冷える。)というのに冷水につけられてさぞ辛かったでしょうね…。結果、熱が出て(脱出の希望を悟られないためにも)イズミル王子にもたれていましたが、たったそれだけのことを「心から自分の妃になってくれる決心をした。」と過大解釈されて(というより王子が一人で勝手に盛り上がっているだけに見える。)余計に恨まれる羽目になっているのも皮肉な展開でした。(あ、哀れな…。)日干し煉瓦は水につかると泥土になることやジギタリスの花は噛み砕くと劇薬になる(そんな花を部屋に置くなよ!)ことなど歴史だけでなく雑学にも詳しいのには舌を巻いてしまいました。と、ところでジギタリスの解毒薬みたいなものってこの時代にあったんでしたっけ…ゲフッ!

 メンフィス王…アルゴン王に酒漬けにされたり、髪を触られたり(その後地下室に鎖でつながれたりもする。)部下のサソリ男ズアトにも「畜生、俺のメンフィス様に…!」(いつ、お前の物になったというんだ!?)と言われていたり…何か今回、展開が怪しくありませんか?(セクハラ責めに見えて仕方ないのは私だけでしょうか…ゲフッ!)そして髪で思い出したのですがエジプトって確か髪は短く切って(ハゲにして?)カツラをかぶる習慣だったと思うのですが…彼といいアイシス姉様といい何故、彼らはロン毛なのでしょうか?そういえば正式に即位した王様にも関わらずメネス頭巾も付け髭(どちらもファラオの装飾)もメンフィス様はお付けにならないのね、と改めて服装の異常に気付いてしまったり…。うん、この話はあくまでもフィクションなんだなあということを改めて思い出しました。ツッコミを入れてはいけない部分なのでしょうね…ゴフッ!

 イズミル王子…ヒッタイト王「のうイズミル、ナイルの娘をわしにくれぬか?」
イズミル「父上、隣に母上がおられるのですが…。」
目の前に妻と子供がいるのに堂々と他の女を口説く(しかもその許可を息子に求める。)王様にビックリしました。キャロルが逃げた後「心から私の妃になると見せかけてよくも裏切って逃げだしたな!」と王子は被害者顔をして怒っていましたが誘拐・監禁の挙句に水責めにしたり首を絞めたりしてしまっては(むしろ被害者はキャロルの方に見えるのですが。)もう恋愛に発展する可能性なんて万に一つもないということくらい分かりそうなものだと思うのですが…ゲフッ!どうやらこの王子様(も、お付きの人々も)人として基本的な常識的思考というのが欠けていらっしゃるご様子です。相手に好かれたいならまず思いやりの心を持って接しましょうよ、王子様。(今更思いやりを持って接した所で決して伝わらない状態にまで嫌われているとも見受けられますが…ゴフッ!)逃げ切られた後も「決して諦めはせぬ!」と心機一転して思いこがれていますが…人生諦めも肝心だと、思いますよ?…ガフッ!

 シャル…アルゴン王に見捨てられてしまった哀れな弟です。どうやら性格が野人の兄貴とは違って思いきり文化系な弱々しい性格の子(似てない兄弟だなあ…。)みたいですが、そんな何をされても唯々諾々と従ってしまうような弱い人間だからこそ(後継ぎ争いのライバルになることもなく)兄貴に殺されずに済んではいたんでしょうね。メンフィス王に引き渡され殺されかけた後も「兄上、神様の娘を騙して妻にするのはまずいんじゃ…。」と反対意見を言えるのは凄い(普通は臆病心からイエスマンになりそうなところだがそうした所で殺す時は殺す兄貴だと分かっていて人生投げているのでしょうか?…ゲフッ!)と思いました。ともあれ優しすぎて支配者には向かない弟ではあるんでしょうね…ゴフッ!

 アルゴン王…女好きのくせにメンフィス王を見て「ふるいつきたくなるような美少年だ。」とか「美少年が悶える様は何ともいえぬなぁ。」などなど同人的に誤解を招きそうなセリフの数々には思わず両刀使いか!?と疑ってしまいました。(ミヌーエ将軍が足を切ってまで眠らずにメンフィス王を守っていなかったら一体どんな展開になっていたことやら…ゲフッ!)いかにも野人という感じの男なのにキャロルに手を出そうとした時にはちゃんと着替えて出て来た辺り(まさかお色直しか?)は意外に紳士なのかもしれません。最終的にヤルこと(敢えてカタカナ変換。)はイズミル王子と同じだとすると鞭打ちの刑も水責めも首絞めもしない辺り扱いの内容だけはこっちの男の方がマシだろうか?ともツッコミを入れてしまいました…ゲフッ!

王家の紋章④

2011.03.11
 「アトンの娘」を読んだ私には一目で表紙の写真がツタンカーメン王とアンケセナーメン王妃だと分かりました。ツタンカーメン王の墓に一緒に納められていた「黄金の玉座」です。右腕を椅子の背もたれにかけてくつろいでいる所に王女が香油を塗ってくれているという2人の親密さがよく表れている絵です。バックに12条の光を出しているアトン神が描かれていることから父・アクナトン王達が起こしたアマルナ革命時代の遺品であることが分かりますが、革命失敗後アマルナの遺品はすべて破壊されたにも関わらず、王も王妃もアメン神に移行して改名までしていたにも関わらず、この玉座が無事に墓に納められていたのは何故なのか今でも謎に包まれているそうです。
 さて、解説を読めば分かりますがOVA版王家の紋章のメンフィス役は「シティーハンター」の冴羽リョウをやった神谷明さんだったそうです。エジプトもトルコ(ヒッタイト)もお好きな神谷さんにとってはこの仕事は願ってもない話(「もう、どうにでもして!」と細川先生の前に身を投げ出す寸前の危険な自分もいらっしゃったんだとか…ゲフッ!)だったそうですが「メンフィス様の神々しく放たれている光輪の1本たりとて折ったら承知しないからね!」「汚したらただじゃ済まないわよ!」「モッコリ男はお捨てなさい!」等々ファンからのプレッシャーも凄かったんだそうです。結局大成功のうちに完成したのですが改めて人気のほどを伺わせる恐ろしいエピソードだと感じてしまいました。

 キャロル・リード…自家用のヘリコプターがある辺り物凄い富豪ぶりが伺えます。(ジミーとの結婚は逆玉だったのか…大富豪の娘に釣り合わない貧乏人にライアン兄ちゃんが反対するわけだ。)ツタンカーメン王の発掘支援者のカーナボン卿が死んだ(なるほどキャロルの父ちゃんがアイシスに呪い殺されるわけだ。)ことは私も知っていましたがその瞬間カイロ中の電灯が消えたことや飼っていた犬がイギリスで遠吠えして死んだこと、ミイラや遺品に直接触れた学者や役人が20人以上怪死した事は知らなかったのでよく調べているなあ、と感心してしまいました。キャロルはどうやら未来に戻るたびに記憶喪失になるらしく、おかげ古代の秘密は守られているのですが1巻の頃と比べてあんなにロン毛になる程長い間行方不明になっていたにも関わらずその間のことを何も覚えてませんじゃ家族は心配するでしょうね。再び古代に戻ってしまった今(また行方不明に…。)心配しっぱなしの家族が哀れに思えてきました。

 メンフィス王…文庫版2巻といいイライラすると風呂に入りたくなる性分のようです。(余計に頭に血が昇りませんかね?)キャロルのいる現代の情報では彼のミイラは盗まれてから何カ月も経つにも関わらず未だに発見されないままだそうです。(警察の怠慢を感じます。)本編について…いくらキャロルの生存を信じたいからってジャマリのウソ臭い話(本当に嘘だしね。)を信じすぎ!とツッコミを入れてしまいました。そんな彼を誘惑する為だけにアッシリア宮廷1の美女(ジャマリ)が近づいているというのに肝心のメンフィス王はキャロルのことばっかりで無関心です。(きっと美しいアイシス様と共に育ったので妖艶な美女は見飽きているのでしょう。)やっとキャロルが帰って来るもすぐさまヒッタイトに連れられてしまったせいで婚儀はまたまた延期…お二人がちゃんと式を終えられるのはいつになるんでしょうね?…ゲフッ!

 アイシス女王…「私はメンフィスの身が心配で下エジプトから駆け付けてきたのです。」そのご都合に付き合わされて移動しなければならない部下達は大変でしょうね。今回彼女の部下アリ達が砂漠でキャロルを襲っていますがライオン事件の時は下エジプトにいて、今回はメンフィスの側にいて…とアリバイはバッチリのようです。ともあれジャマリを通してメンフィス王との不仲(ひいては上下エジプトの不調和。)がアッシリア側にも伝わってしまうようでこの先の展開が心配な私です。(ヒッタイト側には既にイズミル王子を通じて2人の不仲が知られているし。挙句にそのヒッタイトとアッシリアは今回同盟を結んでしまったのである…。)内輪もめはあくまでご家庭内だけでやって民の前にその姿を見せないでよお二人さん、とツッコミを入れてしまいました…ゲフッ!

 イズミル王子…「しそんじたらナイルの娘に当たる。」というウィリアム・テルのリンゴ状態で弓を放つ辺りやっぱりこの人相手を気遣うという気持ちに欠けてるなあと認識を新たにしてしまいました。(結果、当たらなかったから良かったものの、命中してたら死んでますよ、王子?)「流れ星は無かった…。」(「マッチ売りの少女」でも触れられていますが、人が死んだら星が迎えに来てその時の星が流れ星だという迷信があります。)とカプター神官共々キャロル生存を信じて安心していますが、迷信が本当だとしても未来人のキャロルの場合、星が流れるのは20世紀の空では?とツッコミを入れてしまいました。どうやら前回エジプトに負けて燃やされた都は海岸近くにある城に過ぎなかったらしく国家及び首都は顕在のようです。ヨルダンの死海まで到着し古代エルサレムを眺めたのにはなかなか感慨深かったですが感動している場合じゃないでしょう、キャロルとツッコミも忘れない私でした…ゲフッ!

 ジャマリ…アルゴン王の元・寵姫。アッシリア宮殿1の美女だそうですがアルゴン王もメンフィス王ももう既に彼女に見向きもせずにキャロルのことを追いかけている辺りは悲しい展開です…ゲフッ!キャロルへの腹いせの為だけにメンフィス王を誘惑しようとしていましたが、会ってみてビックリ、若く美しいメンフィス王をすっかり気に入ってしまったようです。この手の女性は今までのパターンだったらとっくの昔にアイシスに殺されているはず(例・ミタムン王女。一国の王女でさえ殺してしまうのだから身分もない踊り子なんて1ページで処分してしまいそうなものですが…。)なのですが何故か今もご顕在でいらっしゃいます。(どうしたんですか、アイシス様?)ともあれどっちの王様も虜にできていない辺り彼女が王様の妃になる望みは薄そうですね…ゴフッ!

王家の紋章③

2011.03.10
 ざっとネットで検索したんですがとうとうこの頭部彫像は誰のものなのか分かりませんでした。(「エジプト」「頭部彫像」だけで検索をかけたのもまずかったのかもしれませんが…ゲフッ!ネフェルティティ様の片目の彫像や、異様な外見のアクナトン王の像など有名どころの像はあったのですがこれは分かりませんでした。)だから、せっかく歴史的ムードで盛り上げているんですから、エジプトの誰のどういう像なのかということも一緒に載せて下さいよ、秋葉文庫さん…ゲフッ!

 キャロル・リード…アメリカ人のいい所のお譲さんにしてクリスチャン…という事実から見るとどうやら彼女はWASP(ワスプ。ホワイト・アングロ・サクソン・プロテスタントの略。)のようです。メンフィスの説得するのに失敗し腕を折られる羽目(さすが胸の高さの石を楽々飛び越えられる体育会系の王様である。)になったり、溺れ死にさせられそうになったりした辺りでは違う環境で育ってきた者同士は結婚した後いつか命がけで相手を変えなければいけない時期が来るという友人(既婚者)の言葉を思い出しました。うちの親も夫婦げんかで骨折沙汰になったことはあるのでそれも合わせて凄くリアルな話だなあ、と思った覚えがあります。(綺麗事でいかないのが結婚という現実なんです。)怪我の経過も良好のようですしミイラ作業の解体などで医学的には進んでいた国で良かった(じゃあヒッタイト人のルカに手当てを任せるべきではなかったのでは…ゴフッ!)と改めて思いました。

 メンフィス王…普通兄妹で恋愛するのは一般的にはありえないという常識を説いた所で実の姉から熱愛されてしまっている彼には信じてもらえないでしょうね…ゲフッ!キャロルに放たれた刺客が断じて姉上の差し金ではないと信じている辺りはそんな姉でも自分にとってはただ一人の味方だった事(彼がコブラにかまれた時「次の王様は…。」等々の画策に参加せず純粋に心配していたエジプト人はアイシスだけでした。)弟としての愛着はあった(男としてではない。)ので、あんな恋情だけで生きているような姉さんでもいざ敵対するとなると寂しいんでしょうね。それでも愛は芽生えてこない辺りは悲しい現実(いや本能から来る当然の拒絶だと思いますが。)と言えるでしょうか?ちなみに彼が婚儀の最後で行っている雄ライオン狩りについて、実は雄ライオンは普段は寝そべっているばかり(狩りはもっぱらメスが行う。)で他のオスが来た時にしか戦わないのであんまり強くないそうです。倒してもだから強い男とは言い切れないかも…ゴフッ!(儀式にできる辺りはある程度の勝算が確実だからのことでしょうし…ガフッ!)

 イズミル王子…ヒッタイト人特有の長い髪は戦の時に首を守るため…とあったものの髪の毛で守りきれるものか?と疑問を持っていたので中から鉄剣が出てきた時には、隠すためかとようやく納得しました。(映画「ブレイブ・ハート」のウィリアム・ウォレスのようだ。)彼の為に部下のルカは黙ってメンフィス王に殺されてくれようとしたり、危険を冒して助けに来てくれたのに冷たく追い返している王子にやっぱりこの人微妙だなあ(部下から慕われる文化系特有の優しさが無い…。)と好感度は平行線のままでした。ルカにしたってこのまま寝返ってキャロルの部下になってしまった方が幸せなのではないかとも思ってしまったり…ゲフッ!最後にはライオン狩りに間に合っていましたがあの状況で見つかったら今度はメンフィス王に捕まりますよともツッコミを入れてしまったり…ゲフッ!

 アイシス女王…「今から下エジプトに帰りますがメンフィスが止めてくれれば留まります。」そんなことに付き合わされる国民はいい迷惑です。好きな男の為だけに生きていく様は女として純情と言えるのかもしれませんが(にしたって相手は実の弟なんですが…ゲフッ!)勝手な女王の都合の為にだけに翻弄される部下や民はたまらないだろうなあと読んでてげんなりしてしまいました。イズミル王子捕縛の件にしたって死体を送りつける気でいたり、敵国(ヒッタイト)の兵を借りて上エジプトに侵攻する計画を立てたり(あまつさえ聡明な王子の横でその話をしている。内乱が起こる予定の国にヒッタイトが攻め入ったらエジプトが滅びますよ?)女王としてはつくづく愚かな女ぶりにやはりこの人は王妃の器ではないと再確認してしまいました…ゲフッ!

 アリ…アイシス様付きの女官。ライオンを使ったキャロル殺害計画にはそんなことしないで自分で刺した方が(ターゲットにメンフィス王が混ざることもなく)確実だったのでは…とツッコミを入れてしまいました。(あんな至近距離に至るまでライオンが気付かれないくらいですから人ならもっと気付かれずに近くまで行けることでしょう。)おかげで儀式は大騒動です。横にイズミル王子がいようがルカが鮮やか過ぎる手並でライオンを牽制していようが誰も注目していません。(オイ!)ライオンを使う時点でこんな騒動になる可能性もあることは読めるでしょうに、それが出来ない辺りは上司と同じく頭の悪い部類に入るんでしょうね。この責任はどう取るつもりなんですか、アリ様?

運命の人③

2011.03.09
 佐橋慶作(佐藤栄作)、田淵角造(田中角栄)、マツコー(ハマコー)と誰かを連想する名前が多い作品ですが事件を元にした「フィクション」と銘打ってはあり、主人公は最終巻の沖縄には行ったこともなく3巻の最後のまま競艇(競馬じゃありません。)にハマり今でも自堕落な生活を送っているそうです。(最低の男だな。)なので現実の物語はここで終了となります。そして4巻ではフィクション100%の沖縄編が始まります…ゲフッ!

 弓成亮太…編集局長「勝訴を勝ち取ったのを節目に社を離れて君の能力に見合った道を歩んではどうかと…。」

その後、逆転有罪が決定する事になるので社としてはいい時期に弓成さんを切ったなと感心してしまいました。「三木さんの有罪が動かぬものなら自分も責任を取る。」と辞表を出した弓成さんでしたが(三木さんの有罪に対しての結果責任というのならまず彼女に土下座して詫びに行くべきであって仕事を辞めることは何の贖罪にもならないと思うが。)仕事を辞める時の鉄則として次の就職先を決めてから辞表を出すべきでしたね。(たとえ閑職に追いやられようとも勤めている以上は給料が出るし無職の肩書きだって追わずに済むのです。皆から嫌われようと割り切って強かに居座るのも選択肢の一つと言えます。)「待ってましたとばかりすんなりと辞表が受理された。」事で自分を使い捨てにした酷い会社だと文句を言う前に(毎朝新聞のイメージを地に落としておきながら何で会社側の方が「どうかお辞めにならないで下さい。」と頭を下げなきゃならないんですか?)ちゃんと人生設計を考えておくべきでしたね…。女性だって次の職を決めずに仕事を辞める時は結婚という永久就職をする時だと相場が決まっているものです。(でなきゃよほどの資産が無い限り生活できませんから。)実家の弓成青果吸収合併の時の「うちを合併しての再発足である以上そっちは弓成青果と社名を変えるのが当然だ。」(九州青果はむしろ頼まれて救済してあげてる側だというのに…頭下げるべき立場が逆でしょ。)という態度といい自分の事を過剰評価し過ぎでしたね、彼は。時には下げたくない頭を下げてこそ漢だという時もある事(「あんたの決断一つで従業員は全部助かるんよ。時代はこうなったけど従業員の一人も路頭に迷わさんと会社を閉めたとなれば先代と同じ墓に胸を張って入れるやないですか。」…私にはこの理屈を「汚ない」と一蹴することはできません。)も理解して生きていかないと人はついてきてくれませんよ。

 三木昭子…「魔がさしたとしか言いようのない一時の恋が、まさかこんな結末で奈落に突き落とされるとは…。」(本文より)とありましたが本来不貞行為というのはそれなりの代償を支払わなければならないもの(むしろ不倫とはこういうものなのです。)で、初めての恋情だからといって理性で押し留めもせずに突き進んでしまった彼女もまた大人の対応から外れていたとは思うのですが…。(そりゃ自分だけが有罪になって家も職も失ったのに比べ、相手だけが無罪で豪邸ランクの広~い家に住んでいるのが許せない気持ちはとっても良く分かるのですが。)若くして一回り以上年上の夫との結婚したのは自分の家庭の事情から逃避する為の手段でありいざ結婚してしまったら「しょうもないオッサン」という相手の現実を認識して一気に熱が冷めてしまった(相手の欠点も全て盲目的に隠してしまう恋はいつか冷める時が来るのです。)という事は映画「ライアンの娘」で描かれているように現実でもままあることのようですがそれは妻子持ちの男と不倫していい理由にはならないし行動を冷静に見ているとただの身勝手で自己中心的な「中身が子供のままの女性」のように思えてなりません。(三木さんに有罪を下したのだって弓成さんじゃなくて政府側が強引に国家公務員法違反にあてはめてのことでしょうに女性解放家(三木さんの事を考える会)の皆さんが言っているように本当に自分の真の敵が何であるのか見えていなかったんですね…。)しかし、そんな女性であるにも関わらず演じている真木よう子さんが可憐でお美しくて強かで、その魅力にやられて全てを許してしまっている自分がいます。(オイ!)

 弓成洋一…「ママの人生はパパの為だけにあるんじゃないから、そんなことは言わない方がいいと思うよ。」

どんな非道な人間であっても子供は無条件に親を慕ってくれるものですが、反面子供は成長するにつれて親を必要としなくなる生き物でもあります。大人になって冷静に状況を客観視できるようになると親への評価も変わっていってしまうものです。だというのに「パパとママが別れるのは絶対嫌だ!」と弟を連れて家出したり、多感な思春期を迎えても父親の事件の事で高校退学を決心する程まで追い詰められても愚痴一つ言わない純情息子ぶりに感動してしまいました。弓成さんは息子の退学(ボストンへの留学)に対して「ほとんど日本にいない鯉沼などに相談する前にここへ来てお父さんのせいだと怒鳴り、泣いて欲しかった。」と言っていましたが真実、息子に対してすまないと思っているのなら向こうからお伺いを立ててくれるのを胡坐かいて待っているのではなく自分から祖師谷に行って謝るのが筋だと思うのですが…。妻子の「1度として小倉には来ずむしろ距離を隔てるような生き方をしている。」のもそれが引っかかるのなら自分から会いに行けばいい話です。(むしろ自分達の近況を知らせてくれる分だけこの妻子は思いやりがあると言える。)誰も彼もが自分の為に動いてくれるのが当然という何様思考(そんな態度の人間に手を差し伸べてくれる人がいると思いますか?)から改めるべきだったな、弓成さんはと自業自得で落ちぶれていく様にげんなりしてしまいました…ゲフッ!

 鯉沼玲…「亮太さんの事件の本質と由里ちゃんを傷つけご両親を泣かせていることとは別問題でしょう。八雲の家に行って詫びる事もせずに放ったらかしにするなど余程の無責任者か腰抜けです。」

こういう弓成さんのように仕事ばかりで家族に思いやりの無い人間は大抵熟年離婚の憂き目を見ます。(本当に充分過ぎるほど耐えてますよ、由里子さんは…。)想い人の為ならわざわざ国外から日本にまで帰ってくる玲の方が余程誠実で頼りになる男とは言えるのですがそれがパンツを脱ぎ捨てられる理由に達するかどうかは個人差が出てくるものだったりするんですよね…ゲフッ!(結婚ってそういう物で兄妹のようなままごと遊びでは済まない関係なんですよね。)弓成さんとの不仲は他の男にトキメキを感じる理由にはならないし(「腕に縋って泣きたい」のであって気持ちが秤の上で揺れているのとは違うんですよね…。)展開に納得はいったのですが正直もったいないとは思ってしまったり…。由里子の息子の良一を預かることに関してもいい男だと思いながらも体よく利用されてませんか?というツッコミを入れずにはいられない、そんな不器用ないとこ殿でした…ゴフッ!

 余談…ドラマ版では三木さんが女性週刊誌、テレビのワイドショーに出てか弱い被害者女性を演じ続けていた事を掘り下げて「6月11日に奥さんとの昼ご飯をキャンセルした後自分との情事に耽った。」という嘘をついていましたが嘘とは「本当にあった出来事」をまぜると信憑性が増すもので上手い方法だと感心してしまいました。小説版では「ワイドショーに出ていた。」の1文でサラッと終わっていた表記だったのでドラマを見て彼女の行動がどこまでの影響力を出して苦しめたのか初めて分かって感動し「日本の裁判はやはり公正なんですね。胸が晴れました。」と復讐をしっかり成し遂げた爽やかにコメントしている小説版三木さんに思わず拍手を送ってしまいました。(褒めるのかい!)誠意を見せてくれない相手にはしっかり復讐を成し遂げておきましょう。ヨゴレ役でも何でも最後には強かに行動している方が勝つのです。

運命の人②

2011.03.08
 ドラマはなかなか視聴率もよく好評…なのですが前面に出てるのが男女の不倫ドラマという事もあり当事者や直接の関わりを持った人達からはすこぶる評判が悪いそうです。主人公のモデルである西山記者も「フィクションが多すぎるので全然見ていない。」そうで本木雅弘が政治家達に土下座していたシーンには「何で俺があんな奴らに謝らなきゃならんの?」と憤慨していたのだとか…見てない割に家族経由か噂話経由かともあれしっかりチェックはしてるのね(何で見てもいないドラマの内容知ってるんですか?)と秘かにツッコミを入れてしまいました…ゲフッ!

 弓成亮太…正木次席検事「イギリスのコモンロー(慣例法)にクリーンハンドの原則というのがある。人を責める者は自分の手が綺麗でなければならないという意味なんだ。」

言い得て妙です。いくら知る権利の元に政府が国民の税金を使ってアメリカとの取引を誤魔化した事を声高に行った所で「人妻と不倫するような人間がが何を『綺麗事』をほざいてるの?」と不快感を持たれる結果に終わることは目に見えてます。確かに国民を欺く権力者達の秘密主義から来るこの密約問題は1新聞記者の私生活(性生活)とは無関係で問題のすり替えに他ならないのですが、それ以前の問題として「主張する内容の正当性」と「大衆を惹きつける力」は別物ということを弓成さん達は理解しておくべきでした。「新聞記者が何故新聞に書かずに外部に流したんだ。政争に使うつもりだったんじゃないか!?」という国家公務員法違反(新聞倫理綱領の条項の一つ「ニュースの取扱いに当たってはそれが何者かの宣伝に利用されぬように巌に警戒せねばならない。」…からつけた因縁。)では言い訳として弱かった政府側にとって2人の不倫経歴は自分達から注目を逸らす為の助け舟としてまさに格好の題材だったでしょうね。(弓成さん自身も上司にギリギリまで伏せており毎朝新聞も「向こうが言いださないならこっちからわざわざ言わなくても…。」と隠し立てしていたおかげで反響も強くなりましたし。)「越後もなか」(政治家から折にふれて保険の意味で新聞記者に贈られる賄賂。内容は現金や銀座1流テーラーのお仕着せ券付きワイシャツなど様々。)を贈られたことのある人間なら人間はイメージに振り回される生き物だという事をちゃんと分かっておくべきでした。(不倫なんかしたらイメージダウンに繋がるだけです。)思えば「新聞記者の書かれ方一つで生かされも殺されもする」政治家達はその辺をよく分かっていたんでしょうね。戦う以前の問題として作戦負けしてしまいましたね、弓成さん。

 三木昭子…起訴状「被告人弓成は被告人三木と秘かに情を通じ…」

この「情を通じ」という言葉はその年の流行語にもなったそうです。互いに家庭があったんだし2人の不倫は対等の関係で自己責任だろう(貴女達は大人の関係だったのだから唯々諾々として渡したはずないでしょ。)というのは男の理屈で世間では通りません。自分の生理までチェックして記録に残す因縁霊のような夫(因縁霊とは「7代先まで祟ってやる!」という先祖代々取り付いてきた霊のこと。7代先には当人の血は64分の1にまで薄まっており、昔の人の平均寿命が30年位の短いものだったとしても200年以上は過ぎているはずです。なんて粘着質な霊なんだろうと子供心にツッコミを入れた記憶があります。)に嫌気がさして真っ当な男である弓成さんに恋着してしまった(気持ちを繋ぎ止めるために文書を渡し続けた。そしてそれが原因で全てを失ったことを逆恨みしている。)事情は分かりますが貰えるものは貰っておくとしゃあしゃあと気持ちを利用していた弓成さんの生き方も卑劣だと思うのですが…。弓成さんも「向こうから拒まれたんだし、いつか別れなきゃならない関係だし、まあいいか。」と放置するのではなく文書を貰っている以上は運命共同体よろしく仲間として結束を固めていればこんなことにはならなかったのにね、とツッコミを入れてしまいました。(野次馬女性達の激励の言葉のように彼女に「知る権利のジャンヌ・ダルク」になって貰っていれば結末は変わっていたのでは…?)

 司政治部長…販売局「知る権利がどうのと電話や手紙をくれるのはマニアやインテリだけで逮捕までされたなんて何か後ろ暗い所があると思てる読者の方が圧倒的に多い。部数が伸びるはずないやろ。」

これもある意味での真理ですが本当に売れる物は売り手側でなく買い手側が決めるものです。内容を重視していたものの商品性が欠如していた為についには倒産してしまった虫プロよろしく視聴者側の共感が無ければ支持は得られません。司さんは弓成の直接の上司として(おかげで「政治部長は何をしていたのだ!」とやり玉に挙げられたり、弓成の奥さんに三木さんとの不倫の事実を伝える役回りをする羽目になったり散々な目に合ってます。)仲間として彼を助けてやりたいと奔走していますが、自分に対して弓成が「綺麗事で特ダネはとれんよ。」と冷笑している(特ダネが取れない無能な上司と馬鹿にしている。)のも知っており、三木さんとの恋愛関係もギリギリまで隠し立てしていた(潔白だと聞いていたので弁護士達もビックリです。おかげで裁判計画はそれまでと全く違う立ち位置から始める羽目に…。)ことから心中複雑な物もあったようです。弓成さんの人を人とも思わない不遜な生き方からして一般的には嫌われるキャラクターなので皆が扱いに困っている様子も理解できてしまったり…ゲフッ!

 弓成由里子…大野木「弓成は自分が舐めた恥辱を絶対に人に語らない。弁解がましく口にした所で全てが理解されるわけないし自分が惨めになるばかりと考える人なんですよ。」
由里子「私もそう思えばこそ今まで問い質す事もせずに参りましたが、実は人の心など全く思いやらないエゴの人だと…。」

言い換えてしまえば「言った所で所詮お前には分からない。」と理解者として見縊られているようなもので、それで「黙って俺について来い。」というのは何とも理不尽な話です。(当の内容には他の女との不倫も含まれており妻としてのプライドはボロボロである。国家との裁判を前に負担をかけるなと言われても…妻側にかけられた負担の数々は完全無視ですか?)弓成が受けた「不当な辱め」は身から出た錆(三木さんを利用する気がないのなら合意以前の問題で寝る必要はなかったはずである。)とも言えるのに、何もしていない自分が何故週刊誌に面白おかしく書き立てられなければならないのか(「いつもおしとやかに振る舞っている分したたかそうだから、さっさと離婚届に判を押してるかも。」「子供にいつバレルかが問題ね。」「ああいうインテリ奥さんに限って溺愛型だからいじめとかがあったら学校に気持ちを爆発するんじゃ。」などなど…ご近所がそういう風に思って興味津々で見られているとしたら怖くて外を歩けません。)もう耐えられないという彼女の気持ちはとてもよく分かるような気がします。旦那はとっとと北九州に逃げ帰っているからいいものの残された人達は辛いですよね。(こういう場合、妻子も一緒に北九州に連れて行って裁判の時は自分だけ上京するというのが思いやりなのでは…本当に自分の事しか見えてなかったんですね、この主人公…。)「黙って俺について来い!」と走り出してふと後ろを見たら誰もいなかったというのは現実でもままあることなので裁判の間ついて来てくれただけでも家族に恵まれていたと言えるでしょうね、彼は。

 余談…「マリー・アントワネットの首飾り事件」というのをご存じでしょうか?王妃と親しいと自称するジャンヌ・ド・ラ・モット夫人がロアン枢機卿を騙して160万リーブル(約200億円)もするダイヤの首飾り(元々はルイ15世が愛人のデュ・バリー夫人の為に注文した物だったが彼の急逝の為に契約が立ち消えになってしまった代物。高価過ぎて誰も買わない首飾りを抱えて業者は大層お困りでした。)を「王妃の代理」として買わせて自分の物にしてしまった(バラバラにして売り払ってしまった。)カタリ詐欺事件で、ラ・モット夫人は「自分は王妃のレズ相手の愛人であり、この不当逮捕はダイヤをタダで手に入れようとする王妃の陰謀。」という事実無根の噂を流し、パリ高等法院(最高司法機関)も宮廷と政治的に対立していた為にラ・モット夫人は有罪なもののロアン枢機卿は無罪という王妃にとって都合の悪い判決を下してしまいました。(その後ロアンは枢機卿をクビになり彼の放蕩な人柄を知らない人々からは余計に王家への嫌悪感が高まりました。)アントワネット本人は真実何もしていないまさしく濡れ衣を着せられた事件だったのですが世間では事実に反し王妃の陰謀として噂が流れ、それでなくても贅沢三昧(挙句の果てには国民の税金で賭博にハマっていた。それで今回の事件だけは自分は潔白と言われても…。)であまり評判のよくなかった彼女の評価は決定的に貶められてしまったのでした。ラ・モット夫人の方は両肩にVの字の烙印(ボルーズVoleurseフランス語で「泥棒」という意味。)を押され終身禁固刑になるも沢山の民衆から同情されイギリスに脱走した後は虚偽醜聞を元にした告白本を出版して金を稼いだという後日談があり最後に勝利するポイントはそこに正義があるか否かでなく、いかに大衆を味方につけるかだという真理が分かる事件です。最後に物を言うのは正義でも道理でもなく人望なんですよね…。(だからこそ極悪人の権化のようなヒトラーも党首になれた訳で「無理が通れば道理が引っ込む」ということわざの意味がよく分かる事件です…ゲフッ!)この事件と色々ダブる経緯が多い(事件を恋愛下世話の色に塗り替えた女性が対象を奈落の底に突き落とした辺りが特に。)ので思わず長々と語ってしまいました。

運命の人①

2011.03.07
 沖縄返還問題(事実)を基盤にしたフィクション巨編。ドラマ化に当たって当時の写真が週刊誌に再掲載されていたのですがドラマでは思わず三木さんが流されてしまうのも納得してしまいそうな麗しいもっくん(本木雅弘)のビジュアルだったのに現物の西山記者のお顔は「何でこんなしょうもないオッサンに…。」と思わず嘆いてしまいそうなレベルでガッカリしてしまった覚えがあります…ゲフッ!(顔も売り物にしている俳優の方を先に見てしまったのがまずかったんでしょうね…ゴフッ!)「自国の議会対策しか考えないアメリカと自国の国民の事など一顧だにしない日本政府…弓成が入手した3通の電信文がなければ想像もつかないようなカラクリが闇の中へ葬り去られようとしている。」(本文より)とある通り沖縄返還に際して日米の間で裏取引があったという歴史の影の部分を書いた傑作小説です。

 弓成亮太…弓成「審議官の元に廻ってくる決裁書類って1日当たりどれ位あるの?」
三木「色々な書類があるから一概に言えませんけど嵩にすると14、5センチかしら…その中でお役に立つ物があれば嬉しいわ。」

確かに「旦那に2人の関係をバラされたくなかったら決裁書類を回してもらおうか。」という脅迫はしていないものの…誘導尋問のように「こうして貰ったら助かるんだけどなあ。」と暗に仄めかしながら相手の好意をいいように利用した事実には変わりないような気がするのですが…。(それで「三木さんが自分からした行動で俺に非はない。」みたいに言われても…嫌われたくない1心で仄めかされるままに次々に犯罪行為に手を染めた三木さんが哀れです。)そして密約の証拠ともなる文書を手にいれ合計3回も記事を書いたのに誰も注目してくれなかった(ネタ元がバレないように配慮した結果ありのまま書けなかったせいのように書かれていましたが、他にも原因はあるような気がします。)ので「弁護士だから心得ているだろう」という盲信(実際は六法全書を丸暗記しているだけで「頭で考える」ことが苦手な人物がほとんど。裁判の際に辞書代わりに使う事は出来ても「作戦」を考えることはできないのだ。)で相手も見極められずに文書を渡し結果的に機密文書(ネタ元)を晒し物にした大失態には私も閉口してしまいました。(最初はネタ元を大切にする姿勢を取っていたものの、問題が決着しそうになると焦ってコロッと態度を変える始末…大スクープか、取材源の秘匿か、どっちつかずの姿勢で両方の美味しい所を取ろうとしたからしっぺ返しを食らったのではないでしょうか?)小平官房長官(お父ちゃん)に「犠牲者を出すなんて2流どころか3流の記者だ!」と怒られていたのには思わずうなずいてしまったり…ゲフッ!

 三木昭子…「若さと艶っぽさが漂っている」「蠱惑的な眼差し」「目元が潤むと男心を惹きつける色香が一段と匂いたって来る」などなどの表現より、2人がそういう仲になったのは三木さんの方に弓成さんに対する色気があったから彼女自身に男を惑わす素質があったから、のようなニュアンスを一生懸命出そうとしているのが分かりますが40間近のババアに対して蠱惑的だの艶っぽさだのいう表現を使う事自体に無理があるような気がするのは私だけでしょうか…ゲフッ!(ババア呼ばわりしてごめんなさい、三木さん。)それは多分に弓成さん(だけ)の主観を含んではいないでしょうか?「ミニ丈のスカートからすらりとのびた脚」に目が行ってるのも(セクハラです。どこ見てるんですか?)弓成さん以外何人いたのでしょう?文章にかなり不自然なものを感じて微妙に思ってしまいました…ゴフッ!(主人公が弓成さんで、彼の眼から物語が紡がれているのは分かっているのですが…。)
 というわけで辞表(紙切れ1枚)で済む事態では到底なくなってしまい逮捕までされてしまった(「お父ちゃん」の言う通りクビだけで済めばまだいい方。)元外務省事務官。上司の安西審議官にしてみれば可愛がっていた部下と新聞記者が揃って自分を裏切っていただけでも腸が煮えくりかえる思いなのに「じゃあ償いの為に身を投げます!」と投身自殺まで図られる有様(わざわざ審議官の部屋から自殺されたら醜聞の上塗りで余計に困ります。)からマトモに怒ることもできず、正直扱いに困る(始末に負えない)部下だったろうなあ…と同情してしまいました。この「真実」(それでも「弓成さんに渡したのは出回った3通だけで他の書類は見せてない。」とバレバレの嘘をついて庇ってくれていた。嘘をつかれている側としては「人を見縊るな。」と余計にイライラが募ったことでしょうが…。)の告白の前夜、弓成さんへの電話で「ちっ!」と舌打ちをしていたことから奥さんが感じたのと同様、読者の皆も三木さん=嫌な女のイメージがつきそうですがここまでの事態になってしまったら誰だって舌打ちしたくなると思います…ガフッ!(むしろ電話機叩きつけて足で踏みつける場面でしょ、ここは。)

 三木琢也…結核は抗生物質による治療法があるというだけで現在もまだ存在します。(天然痘と違い絶滅したわけではないのです。)そして感染る病気なのでかかってしまったら即、職場の皆さんに蔓延させないためにも退職して頂くしかありません。という訳で縁故採用の枠で奥さんの三木さんが外務省に務めることになりました。表向き採用試験はあるもののどこの馬の骨とも分からない人間なんて信用ならない(今回のようなケースになったらたまりませんから。)という理由から縁故採用(コネ入省)がほとんど(全部?)の外務省。昭子さんが入省できたのはまさしく元外務省役人だった旦那のコネのおかげ故…だったので旦那の言う「私の顔に泥を塗った。」(ドラマ版。本当は安西審議官のモノローグ。)というセリフは正に的を得ていました。旦那自身の粘着質な性格はともかく奥さんに浮気をされた挙句に「犯罪者」の身内にされてしまったことは事実で、この人も立派に被害者のカテゴリには入ると思います…ゲフッ!

 余談…ドラマ版では「今までありがとう」というメッセージと共にスカーフを贈られていた三木さん(あれだけのことをしてくれたのに返礼がスカーフ1枚って安過ぎませんか?)でしたが「あり~がとう さよ~なら~ 先生~♪」という歌に代表されるようにこれは別れの言葉です。愛人との別れは1歩ずつ下がりながら徐々に自然消滅に導いていくのがベスト(「そういえば最近あの人と会ってないわねぇ…2年位。」というのが理想。)でしょうに「貰う物も貰ったし、もう君への用は済んだよ。」とでもいうような知らん顔で去って行くような真似をしたらそれは相手から恨まれます。プレゼントを贈るのなら「今まで」なんて「まとめを連想させる言葉」など使わずにただ一言「このスカーフは最も似合う三木さんへ」と褒め言葉を添えればいいのです。

アイドル志望はスキャンダラス!?

2011.03.06
 本編を読むと「スキャンダラス」をぶっ飛ばした「セクハラの嵐」に思えるのですが…。後書きのイタズラ電話の話より「イタ電をかける時は製造者責任を問う意味も込めて実の両親にかけましょう。」というコメントになるほど!とうなずいてしまいました。(うなずくな。)ちなみに水戸先生はパンツの色を聞いた時点でガチャ切りされたそうです。実の両親なら声で自分だと分かってほしかったそうですがそれは親子でも姉妹でも恋人でもガチャ切りする場面です先生と思わずツッコミを入れてしまいました。
 「両親が鬼籍に入られている場合にはテレクラ(女性はタダ。その為いたずら電話は本当に多かったらしい。)にかけましょう。」というのにも納得してしまったり…。(納得するな。)ちなみに出会い系サイト等の普及によって数が激減したものの、テレクラをきっかけにデートしていた相手が実は家出していた女子高生で事件になった歴史もあり衰退はしたものの(色々あって現在は深夜0時から朝までテレクラとしての営業は禁止されているらしい。)今でもテレクラは絶滅することなく存在しているようです。(出会い系と違って直接相手の声が聞けるので性格の把握がしやすいのだとか。)なのでオチることなくちゃんと有効ですよ水戸先生とこの場を借りて励ましの言葉を贈りたいと思います。そんなわけで本編の感想です。

 アイドル志望は前途多難…「志望」(望んでみたけどダメでした。)というタイトル通りアイドルにはなれていません。挙句に大切な仕事(ドラマの準主役)まで恋人(…恋人か?)のヤキモチでなくなってしまいました。しかし芸能界にこういう「大人の世界」(体と引き換えに仕事ゲット。)があるのは本当らしく(最もあそこまでホモが盛んだというのはフィクションだと思うが。)「スポットライト」(里中満智子)の文庫版前書きでも「その世界のことは描けなかった。」(描いたらマズイです!)とチラリと書かれていました。さらに言ってしまうと芸能界は10代が華なので「若いからこの話を断ったってチャンスはいくらでもある。」なんて言える年かどうかはかなり微妙(でも14歳は早過ぎか。)だったりします。「体売るんなら事務所の社長の息子である僕だけに売れよ。」と言われていますがその後の話でも仁史との関係を続けながらも直貴がテレビで活躍している様子は見られないのでヤッている以上はちゃんと引き替えたら?とツッコミを入れてしまったりもしました…ゲフッ!

 アイドル修業は前途多難…どんな修行だよ!と内容のハレンチ具合にツッコミを入れてしまいました。「直貴が仁史の「お手付き」なのは既に事務所内で暗黙の了解となっている。」(本文より。そりゃロッカールームで事に及んでいればバレるのも早いでしょうね…ゲフッ!)事より1人だけ関係が知れ渡っていることを全然理解していない直貴がたまらなく哀れに思えてきました。挙句にやっぱりそのことが原因で他の男(二葉)に襲われてるし当人の自覚はありませんが直貴にはいい迷惑でしょうね…。仁史にも「上映会」をする前に撮られたビデオを押収するべきではともツッコミを入れてしまったり…ゴフッ!

 アイドル未満は前途多難…「未満」(示された値に達しないこと。つまり含まれてはいない。)であり「以下」(それを含んでそれより下。)ではないのね。しかも前途多難なのね。というわけで最後までアイドルにはなれていません。しかもアイドルになる為の修業はもう完全にどっか行ってしまってるような気がします…ゲフッ!兄が兄なら弟も弟だなあ~と思ってしまった最終話です。10階建てのマンションを所有しうち最上階はペントハウス状態、父は社長で兄は公認会計士(典型的な同族経営らしい。)という設定にますます仁史の立場の強さが分かる話です。話には未登場ですが父までエロかったらどうしようとかなり心配してしまったりしました…ゲフッ!(両親はあの兄弟の子育てを完全に間違えたような気がします…ゴフッ!)最終話もやっぱり仁史との付き合いが原因で他の男(聡史)に襲われている様にはもはや笑うしかありませんでした。(笑うなよ。)哀れなキャラですよね、直貴って…ガフッ!

 恋の処方箋…処方箋とは医師が患者の病状に応じて薬とその服用法を指示した文書のことです。なので恋の処方箋に媚薬が登場するのは当たっているんだか間違っているんだか…ゲフッ!学園中のアイドルとなってもそれが原因で学校中の男どもに狙われていたら嬉しい状況ではないでしょうね。(ていうかどんな生徒達だよ!)主人公と両想いになるもその交際は秘密(ホモだから当然と言えば当然だがそのせいで防波堤になっていない。)で今まで通りライバルの男が餌付けに来ていますし、目下悩むべきことは珠里がいつから自分を好きだったかではなくどうやって他の男達との間にバリケードを築いていくべきかではないのかな~とツッコミを入れてしまいました…ゴフッ!

 真夏のピーターパン…水戸先生の同人誌に書いた話の再録で後書きには口直しならぬ口汚しとまで書かれていましたが私的にはこの本の中で一番気に入った話(内容の破天荒具合が何気にツボに…。)なので人物別にとことん語ってしまいます。「子供は何でも知っている」の後書きに保育園で4歳の子供に責められる受けを書きたいみたいなことが書いてあったので、とうとう実現してしまったのか、先生、と別の意味合いからも感慨深く読んでいました…ゲフッ!

 山田一郎(45歳)…刹那「行こう。人間椅子でも顔面騎乗でも●●●調教でも毎日してやるぜ。」
一郎「…それも、いいなあ。というか、それ、いいなあ。」

この、ダメ人間め!とツッコミを入れながら笑ってしまいました。(笑うなよ。)「今、一郎はティンカーベルだ」の記述に吹いたり(ということはピーターパン(刹那)について行ってしまったんでしょうね。)毎日が夢の日々だ…との記述にどんな夢だよ!とツッコミを入れたり爆笑の嵐を提供してくれた主人公です。どうやら天性のM気質らしく(でなければあの家族と暮らしていくのは不可能だろう…。)刹那についていくきっかけになったのも平手(強烈だが角膜や鼓膜を傷つけないよう絶妙な配慮を伴った技術。ともあれ人の家に不法侵入していきなり「プレイ」はしないで下さい。)でした。最後の蒸発については家族はもちろん罵詈雑言の嵐を言うでしょうが蒸発しても不思議のない家庭環境ではあると思うので違和感はないような…ゲフッ!刹那のことが無くても失踪に誰もが納得できそうな家庭だと私は思ってしまったので…ゴフッ!

 山田貞子…中学で教師いじめ(というかリンチ)をした為に内申書が悪くなり高校に行けず、夜間高校をサボってホステスをし、客とデキた後離婚、その後歯も生えていない赤ん坊(慎一)を放って他の男と蒸発をした経緯より…最低は君じゃないのかな?という一郎の独白は的を得ていると大いに納得してしまいました。(こんな女もう家に入れちゃダメです。)彼女がこうなった経緯についてはもちろん彼女だけの責任じゃない(一郎が甘い顔し過ぎているのに「好き勝手をしても家には必ず入れて貰える。」と足元を見ている部分があるように感じる。)でしょうがそこから這い上がらない、真面目になろうとしないのは彼女の自己責任です。(20歳すぎて「何もかもが思い通りにならなくてムカつく。」発言は甘え過ぎてるように思う。上手くいかないのが人生というものですよ?)生きていく為には周りと協調することが必須だという真理に気づいて妥協するまで彼女はずっとムカつきっぱなしなんでしょうね。成長していかないとどんどん周りから人がいなくなるよとツッコミを入れてしまいました。

 山田慎一…「将来は同人ゴロになって脱税をする。商業誌の安い原稿料なんてやってられっかよ。」

これは水戸先生の切なる心の声なのでしょうか?一郎がこの子は将来どんな人間になるのかな、と期待を膨らませている所申し訳ありませんが取りあえずロクな人間にならないことは目に見えている(少なくとも格安弁護士会に入って貧しい人の為に働いたり、医者として無医村に赴いて暮らすような素晴らしい人格ではない。)ので過剰な期待はしない方がいいような…ゲフッ!親に向かって罵詈雑言を浴びせても暴力を浴びせても優しい一郎は何も言わないのでいい人だなあ~と思ったもののだからこそ子供2人がつけ上がるんだよとツッコミも忘れない私でありました。そろそろ「人生をなめるな!」とビシッと言ってやって下さい、黒柳徹子似のお母さん!(一郎に期待はしないのか。)

 樋口刹那…一郎「私は…凄く綺麗なお姉さんの人間椅子になってみたかったなあ…。」
刹那「その夢は新宿の歌舞伎町辺りで3万円も出せばすぐに叶うと思うよ。」

凄く地に足がついてていい夢だ(確かに物理的に見れば地に足はついているでしょうが…。)と評価されていましたがそれは本当に「いい夢」なのか個人的には凄く微妙な所です。一郎が就職したことを泣くほど嫌がっていたことについて、そうしたら彼は余計に彼の家族に縛られて利用されるだけだということが見えていたから(だから攫いに行ったんでしょうね。)だと解釈しました。特別な好意もないのに家族だということだけで虐待され続けてきた刹那(この名前もどうかと思う。鶴平や亀助という名前も逆方向で微妙だとは思うけど…。)にとって同じく家族に縛られている一郎(しかし持ち前の善意思考でちゃんと現実と向き合っていない。)は何か感じる所があったのでしょうね。(貞子からの顔面フライングクロスチョップや慎一のラッシュパンチも立派に家庭虐待に入ると思うし…自覚してないだけで酷い目にあってますよね、一郎さん。)最後に愛の逃避行が実現したのはいいとして(良くねえよ!)その後どこでどうやって暮らしていけるのかちょっと気になる私でありました…ゲフッ!

俺のすべて

2011.03.05
 後書きより(「ひみつの比嘉先生」や「恋愛実験室」を読んだ人間ならより納得と思いますが)水戸先生は「丁寧語でしゃべる先生」がお好きなようです。(モデルはゲームキャラだそうですが…何のゲームなんでしょう?)「24人のビリーミリガン」についての感想もチラッと入っていて(「2重人格どころか24人格。それじゃあ病人というよりむしろ怪盗21面相だろう。」とのコメントに吹きました。)たまたま同じ本を読んだことのある私は嬉しくて感激してしまいました。コメントにあったとおりいいお話で私も大好きです。水戸先生は色々本を読んでいるんだなあ~と感心しました。(だから文章が上手いんですね。)

 長柄久嗣…郁也「どーして靴脱ぐの?脱いだら足が寒いよ。」
久嗣「…それはこたつしか暖房器具の無い俺の部屋へのあてつけか?」

天然なだけに完璧主義者(時直)にとってはイラッとくるタイプだったろうなあ…と郁也のそれまでの生活(虐待までの経緯)がちょっと想像できたシーンでした。阪神大震災などで多くの人間が仮設住宅に移った(つまり親戚の方々は彼らを引き取ろうとはしなかったのです。戦前と比べて日本社会は親戚のつながりが薄くなりました。核家族でも生きていけるようになった豊かさゆえの歪みです。)のに突然来た見知らぬ子供を(上司の命令があったとはいえ)引き取って一緒に暮らしている辺り情に厚い人間だなあ~とちょっと感動してしまいました。(普通だったら「上司の奴、面倒臭いこと押しつけやがって!」と却って虐待して本人が出ていくように仕向けそうなので。)郁也との情事では「こいつは腹違いとはいえ弟で…。」(しかしキス一つであっさりそう言っていた天使は負けた。)と悩んでいましたが男同士なら子供ができる心配もないし(何故近親相姦がいけないのか、それは奇形児が生まれるからです。)気にすることはないのでは?と私は何も気にせず読んでいました。(気にしろよ。)最後は誤解も解けてハッピーエンドで終わって良かったねとホンワカした気分で読み終えました。2人が兄弟の垣根を飛び越えて恋人同士になってしまったことは特に気にしていません。(オイ!)

 長柄郁也…久嗣「シャツもズボンも下着も全部脱げ!お前が確信犯か天然かは取りあえず後だ!」

その後平然と裸で風呂に入って挙句に「頭洗えないー!」と久嗣を洗い男にしている辺り「確信犯」の方だったんでしょうね。16歳という実年齢に対しては私も久嗣同様「12才位にしか見えないよ!」とかなり驚いてしまいました。(字が読めない、九九ができないその他知的レベルでは3歳位なので余計に。5歳の子供が「初めてのおつかい」で電車に乗ったりスラスラ絵本を音読している辺り彼らよりは下だということが分かります…ゲフッ!)幼少時にきちんとした教育を受けないと狼少女のカマラ同様脳の発達が止まってしまい、その後普通教育を受けようとしても習得できない(脳が受けつけない。カマラも最後は歩いたり簡単なことができるようになったり人間に近くなってきたものの結局同世代に追い付くことはできなかった。)と聞いたので母親死亡後父親が妾腹の子供を隠蔽しようとして病院という名の座敷牢に閉じ込めていたとしたら(世間に出さない子供に教育はいらない…。)おじいちゃんが謝るのも含めて全てが納得できるなと思ってしまいました…ゴフッ!美貌も災いして数多くの性的虐待も受けてきたらしく思えば可哀想な子供です。型にハマったことしかできない時直ではなく面倒見のいい久嗣に託した辺りはおじいちゃんの判断は正しかったなと感心してしまいました。

 長柄時直…久嗣の兄貴にして郁也を虐待していた張本人。(そこに性的虐待も含まれていたのかは微妙。)こういう相手に対して関心を持つことだけを愛だと勘違いしている男はよくいます。(本当は自分の思い通りに相手が動いてくれることを期待するのではなく、自分がどこまで相手に尽くせるかを愛というのですが。)そしてこういう人間は虐待する相手も選び久嗣のような強くてハッキリ反抗する人間ではなく郁也のように弱くて優しい子供(いかにも圧力に屈して言うことを聞かせられそうな子。)を狙うので家庭虐待の典型的なパターンだなあと納得してしまいました。最後には郁也の好きな花束を持ってお見舞に行ったり、ようやく相手にも気持ちがあることに気づいた(しかしこれは久嗣×郁也の関係に焦って初めてポイントを稼ごうとしているという部分もありそう。)ものの時既に遅し、郁也の心は完全に自分から離れた後でありました…。でも郁也が何度も病院の窓から飛ぼうとしていた辺りこの男といたのは郁也にとって死ぬほど辛い関係であったのは確かで今更媚を売ろうとしたって何もかも遅いと思えて仕方ないので当然の結果には思えます…ゲフッ!

 葛城…過去にシンナーをヤッていたせいか少し頭の足りない久嗣の後輩。久嗣に憧れて彼と同化したいが為に真似をして郁也を襲っていた辺り、ジョン・レノンとの同化を求めて真似しまくっていたストーカーファンの事件(「この世に2人もジョン・レノンがいるのはおかしいからもう一人は殺す!」と本物を射殺した電波な男。本物の真似をして日本人女性と結婚した。)を思い出しました。事件と同じく本物達にとってはえらい迷惑な男です。憧れるのも真似をするのも本人の自由だけどその対象の人間に迷惑はかけるなよとツッコミを入れてしまいました。(その後母親が来たせいで2人の中はさらにこじれることに…母さんタイミング良く来過ぎというか歯車が回るとはこういうことを言うんでしょうね。)またあんなことの後で「勘弁して下さいよ~。」と甘えようとする顔の皮の厚さも嫌悪感を催してしまったり…。(「ゴメンで済んだら警察はいらない。」という状況以外の何物でもないでしょうに。)嫌な男ですよね、この人。

王家の紋章②

2011.03.04
連載ももう20年以上続いているそうです。(本当にガラスの仮面並みです。)文庫版第2巻の表紙はおそらくギザの3大ピラミッドのうちの一つ(クフ王のピラミッド?)とスフィンクスなんでしょうね。…と、推測しかできないのが残念です。せっかく海外フォトバンクとも協力して雰囲気だしてるんですからどこの何の写真か書いておいてくれてもいいじゃないですか、と思うのですが…ゲフッ!

 キャロル・リード…3か月ぶりのタイムスリップです。「私のせいで古代戦争が!」と悩んでいましたが、いやいや事の発端はヒッタイトのミタムン王女が殺されたことによる復讐であり(ていうかミタムン王女が殺されることがなければ兄貴のイズミル王子がエジプトに来ることも、突発的に思いついた嫌がらせでキャロルを誘拐することも無かったんです。)全部アイシスのせいですよ?とツッコミを入れてしまいました。(むしろキャロルが現代にいたままでも何かしらいちゃもんをつけて戦争になっていたことでしょう。)汚水の濾過、鉄剣の作り方、棒と布を使っての格子折りや水袋を使ってのアクアラング代用は現代人ならではのアイデアだと感心してしまいましたが、そうやって当時の人間が決して思いつかない知恵を出すたびに自分の立場が神格化されてどんどん悪くなっていってしまうのは皮肉な結果です。砂漠での重労働に就かされたり、鞭打ちの刑にあったり酷い目にばかりあっているのにはヒロインなのにこんな扱いでいいのか!?と思わず悲しくなってしまいました…ゲフッ!

 メンフィス王…「なに、私の側に来たくないだと…。」この後2度に渡って同じセリフをキャロルが話している所を聞いてしまったり(嫌われとりますな~。)姉上が「キャロルが死ぬのも時間の問題じゃな。」という問題発言を口にしている所に居合わせてしまったり(…キャロルの看病は?)つくづくタイミング悪い子だなあとツッコミを入れてしまいました。砂漠での苦役を申しつけるも翌日には「砂漠は熱いだろうなあ、倒れてないかなあ。」と滅茶苦茶心配している(じゃあ始めから苦役なんか命じるなよ。)辺りは彼なりの愛なんでしょうね。自分の胸の高さまである石を飛び越えてプロポーズする様には、なんて身体能力の高さだろうとビックリしてしまいました。(戦争で優勢になるわけです。)ともあれ両想いになれて良かったね、と祝福していました。おめでとう、メンフィス様!

 アイシス女王…キャロルを連れに来たついでに父親の墓のパピルスを売った男をミイラ処理して殺しています。(必ず殺人を犯してから帰るなんて…恐ろしい女だ。)どうやら今回のタイムスリップは彼女(王家の呪い)の仕業ではないようです。(アスワンの湖に突き落とした後、見失ってしまったので放置して古代に帰ってきました。)さて今回他の女(キャロル)の為に戦に行くメンフィスにそれでも勝ってほしいと神々に祈りを捧げるという印象的なシーンがありますが、そもそもあなたが幼稚な嫉妬心からミタムン王女を殺さなければ戦争にはならなかったのよ(キャロルを古代に連れてきたことと同じく今回も自業自得の結果なのである。)とツッコミは絶えませんでした。(召使や奴隷ならともかく一国の王女を自分の都合で殺してしまうのは国際問題に発展して当然である。仮にも下エジプトを治める女王がそれくらいの事も予測しないなんて…。)女王としてはあまりに恋愛問題しか見ていない様にキャロルを妃に迎えようとするメンフィス王の意図は実は物凄く正しいのではないかとも思えてしまいました。もうちょっと政治問題にも関心を持って下さいよ、女王陛下。

 イズミル王子…本来、部下の一人にでも妹(ミタムン王女)の様子を探らせるのが普通な所、商人に身をやつしてまで王子自ら敵国に潜り込む辺りは物凄く妹思いのお兄ちゃんなんでしょうね。(「卑劣な男」呼ばわりには「くだらない女の嫉妬で妹を殺して挙句に隠蔽しようとしたお前らに言われたくねえ!」と言いたい所なのでしょうね。)嫌がらせでさらって以来すっかりお気に入りになってしまったキャロル(その割に扱いは酷い。)に対して「そなたを愛しいと思うこの私を欺き通して…。」とまるで恋人に裏切られたかのような被害者顔をしていますが鞭打ちの刑に処したり、監禁したり、ナイフ投げつけたり冷静に考えれば嫌われるのは当然の結末に思えてならないのですが…ゴフッ!(むしろ被害者はキャロルの方だろう。)文化系の割にあまりいい人じゃありませんよねこの人…ガフッ!

 セチ…奴隷村の一つゴセン村にてタイムスリップしてきたキャロルをセフォラ母さん共々匿ってくれた優しい奴隷男。車輪の下敷きになって殺されそうになったセフォラ母さんをキャロルが命をかけて助けたのに、結局病気で死んでしまったのかとセチの死共々物凄く悲しくなりました。(せっかく助けたのに…!)「今度生まれてくるときはキャロルの側に…。」という最後のセリフよりジミー(現代でのキャロルの恋人)はきっと彼の生まれ変わりだと妄想したのは私だけではないはず…ゲフッ!彼の死もあって余計にイズミル王子が憎かったりします…ガフッ!

時をかけた少女達~戦国(室町)編~

2011.03.03
 今年度大河ドラマがちょうど最後の話のお市(信長の妹)の末娘・江の話(そして彼女が作られるまでから死ぬまでの間の事象を全部盛り込むつもりらしくお市の結婚から物語は始まっている。3月3日現在はちょうどお市が柴田勝家と再婚した所です。)ということもあり関連する人々が多く出てくるので合せて読んでみるのが楽しかった本です。また大河ドラマを見ていない方でも信長関連の話ということで椎名先生の「ミスタージパング」を読んでみると関連事項が見えて結構面白いかと…。どっちも見ていた私は歴史物関連で2度3度と美味しい思いをしながら読んでました。有名どころの人は関連した本もたくさん出ていて、解釈の違いが大いに楽しめて得した気分です。

 1541年のデスティニー…武田信玄最愛の妻という通説の諏訪御寮人の話です。数年前の大河ドラマ「風林火山」(井上靖の著作。この話では名前しか登場しない軍師・山本勘介が主人公。)でも描かれており、信玄は正室・3条の方と不仲だったこともあり姫と息子・勝頼を溺愛したそうです。ここでは「湖のような青く深い美しさを持った姫」として「瑠璃姫」と呼ばれていますが実名は不詳で「湖衣姫」(こいひめ。諏訪に流れ込む之渡川から取った。)とも「由布姫」(「風林火山」を書いた際、井上靖自身が由布院に滞在して書いたので。ドラマ上ではこの名が使われていた。)とも言われています…が、法名(乾福寺殿厳妙香大禅定尼)から考えるに本名はウメ(梅)という名前らしいです…ゲフッ!(皆が色々凝った名前を考えていたというのに、また随分と和風な…ゴフッ!)話では彼女を妻にすれば諏訪の残党もおとなしくなる(根絶やしにするより頭のいいやり方。)と言われていましたが実際には武田に恨みを抱いた姫を迎えるなど危険だと家臣一同が反対しており(当然、でしょうね…。)側室にと勧めていたのは軍師の勘介だけだったそうです。ともあれ2度に渡って超都合よく姫のピンチに駆けつけた様はいくら脚色でもあり得ないだろ!とツッコミを入れてしまった私でした。(しかも2度ともたった一人で…お城の殿様というのはそんなにも行動が自由だったろうか?)

 1545年のジューン・ブライド…本能寺の変で有名な明智光秀の話です。(この事件を起こしたせいで彼の評価は非常に芳しくない。)信長の正室・濃姫とは母方のいとこ同士に当たり、それだけの理由でドラマなどではたまに「互いに憎からず思っていたけれども、光秀の方が身分が低かったこともあり斎藤道三の策略によって引き裂かれた」という描かれ方をしていますが、この話を読めば分かるとおり光秀は他に類をみないほどの愛妻家だった(全身が醜いあばたまみれだったにも関わらず本当に継室・煕子が生きている間は一人の側室も置かなかった。死んだ後初めて諦めて側室を置いたというのもこの時代には珍しく、よほど愛していたのでしょう。)そうなのでまずあり得ない話です。城を破られて攻め入られた所を超都合よく助けてもらったというのは話ができすぎ(どんだけタイミングいいんでしょう?)にしても婚約者時代から光秀が病気になった時に屋敷を訪れて快癒祈祷をお願いしたり、髪を売って光秀を助けたりとラブラブだったのは確かなようです。ちなみに話の中ではあまり似ていない煕子姉妹ですが本当は妹とは瓜二つの容貌であばたが出来た際、妹を「これが煕子です。」とごまかして婚礼を行おうとしたのを「嘘つくんじゃねえよ、ゴルァ!」と光秀に見破られて、彼の要望で本物煕子と結婚したと言われています。(注・セリフは脚色です。信じないで下さい。)

 1548年のTrue Wedding…信長に関することを漫画で知りたい場合はこの話よりも椎名先生の「ミスタージパング」を読んだ方が詳しく知れます。「ミスタージパング」でも「そろそろ真面目に子供を作ってみるか?」と言っていたり、この話でもラブラブな2人ですが実際に子供はできることがなく信長はこの後「最愛の女性」と言われた未亡人・吉乃さんを愛人に迎えることになります。タイトルにture(真実)とついていますが実は全然「真実」の愛じゃありませんでした…ゲフッ!結婚前「信長がうつけでなく夫として素晴らしい人ならばこの刃は父上に向けるやもしれません。」と言ったエピソードは有名ですがその後全く歴史の表舞台に登場してこないことから当時の奥制度(1正室多側室多愛妾多伽制。この時代に生まれなくて本当に良かった。)をきちんと管理できるしっかりした美女ではあったものの女としての魅力(可愛さとか、ポヤヤンとした優しさとか…。)には欠けてしまっていたのかも、しれません…ゴフッ!ちなみに彼女の名称「濃姫」というのは「美出身の高貴な女性」と言う意味で結婚後につけられた通称でありこの話のように親父がそう呼んでいた訳はありません。彼女の本名は帰蝶ですので騙されてはなりません、という話です。

 1561年のトライアングルLOVE…秀吉は椎名先生の「ミスタージパング」の主人公でもあり墨薪奉行の彼が経費削減に成功し、その分を軍事予算に回せたというストーリーが語られていました。秀吉(演じてた竹中直人の決め台詞「心配ご無用!」を思い出します。)に実際に会ったルイス・フロイトが「優秀な武将で戦闘に熟練しているが気品に欠けている。身長が低く醜悪な容貌の持ち主であり指が6本ある。極度に淫蕩で悪徳に汚れ獣欲に耽溺している抜け目なき策略家。」と評していること(注・あくまで「聖職者」から見た秀吉像です!)サルというあだ名を付けられた(そしてねねにあてた手紙では「ハゲネズミ」とまで書かれている。)ことからも分かる通り秀吉はこんなにイケメンではありません。(むしろどっちかというとブサメンです。)2人は当時には珍しい恋愛結婚だったというのは確かですが「野合で結ばれた」(正式の結婚をしないで結ばれること。)という表記より結婚前から婚前交渉は行っていらっしゃったようです…ゲフッ!(犬千代との事がどこまで史実なのかは未確認ですが…少なくともこの話中の犬千代はすごく哀れ。)また話では「ねねはあんなに幸せそうですよ。」と認めている母親ですが実際は実母はこの結婚に生涯反対していました。(だから浅野長勝の養女になって結婚したんだとか。)この頃は秀吉の身分も低くたかが養女のねねの方がずっと身分が上だった…というのに恋というのは偉大です。オマケですがこの話やドラマなどでは丁寧な言葉遣いをしているねねですが実際は秀吉と二人きりの時は尾張弁丸出しでしゃべっていたそうです。(諸大名の前で尾張弁で秀吉をたしなめたという逸話もある。)そんな2人もちょっと見てみたかったなあ、と思う私でありました…ゲフッ!

 1567年のプリティー・ウーマン…この時点では信長は最愛の女性・吉乃(実質上の正室とも言われている。)に出会った後なのか濃姫とは完全に冷めた夫婦として描かれてしまっています。(2話前のラブラブ話は一体何だったのか…ゲフッ!)
 という訳で「聡明な戦国一の美女」と謳われた信長の妹・お市の話です。元々織田家は美男美女の家系でモテていたそうですが最初に夫となった浅井長政も結構イケメンで政略結婚だったとはいえお互い一目惚れだったそうです。大河ドラマでは長政への愛ゆえに信長への「裏切り」(両端を縄でくくった小豆=兄さま、今あなたはこの袋の中の小豆同然。)は報告しなかったとなっていましたがお坊さんまで切り捨てたあの信長が「最も可愛がった妹」(「市が男ならいい武将になっただろう。」と言っている。)とはいえ「裏切り者」を許すはずないでしょう、と展開にツッコミを入れてしまったのを覚えています。(実際、実の甥っ子にも関わらず長男・満福丸は殺され次男・万寿丸は出家させられている。)しかしその「裏切り」のおかげもあり信長が本能寺の変で殺されるまでは「兄」の庇護の元、娘3姉妹(茶々、初、江)と共に贅沢に暮らせていたそうです。(オイ!)また、息子・満福丸殺害の際、命令したのは信長なのに執行したのは秀吉だったということで「おのれ!秀吉!」と信長本人に対する恨みはあまり無かったんだとか。(何故、兄貴を恨まん?)柴田勝家との再婚後、秀吉に攻められた時、夫と共に自刃して果てたのは秀吉に対する嫌悪感もあったから…のようです…ゴフッ!

 余談…応仁の乱(1467~)以降のこの戦国時代、男の髪形は月代(てっぺんツルツル)のはずなのにとっくに元服しているはずの殿方、しかも肖像画ではしっかり月代姿で描かれている殿方達がなぜか皆髪の毛フサフサに描かれているのに「…アレ?」と思ってしまったのは私だけでしょうか…ゲフッ!

あした輝く

2011.03.02
 戦争が多くの日本人にとって「もう既に遠い昔のこと」になってしまってはいないだろうか?現代社会にも通じる「すべてを水に流して丸く納めよう」という事なかれ主義故に日本人は真に生まれ変わるチャンスを逃してしまっている。自国の歴史を通して己を知ろうとしないものに他者の心や立場は分からない、という後書きの言葉が胸にズンときました。私も結構人の気持ちには鈍い方(もっと酷い友人も知っているが。)で、戦争も他人事という意識が強かったので…同じく「戦後」に生まれた方にそうおっしゃられると説得力があります。作中のちばてつや氏自身ののエピソードから脚色した鶏をペットにするという場面(その後ちば氏の家の食卓に変わり果てた姿で出てきたそうです…。)も含めて凄くリアルな当時の人間ドラマに仕上がっている名作です。

 夏樹今日子…「加賀中尉は立場をどこまでも貫く立派な方よ。ご立派過ぎて…ついて行けないわ私は。」

よく言った!と快哉をあげたセリフでした。今日子父曰く縁談のいかんは今日子の気持ち次第と言っていますが「ゲゲゲの女房」を見た方なら分かる通り、この時代、まだまだ女の気持ちがだけで縁談を決められることはあり得ませんでした。結婚は家同士が決める見合い制(そして「見合いをした=決まった」ということで断るなんてできませんでした。)のもので決めるのは本人でなく父親でした。(だって地位も何もない女の気持ち一つで断られたなんて男のプライド台無しじゃないですか。当時まだ地域社会の結びつきが強かった時代で家同士の付き合いだって悪くなります。)そこを考えるとこの父親はよっぽど今日子を溺愛していたんでしょうね。(この時代で本人達が結婚を決められるのは父親が戦死した後の戦後のどさくさにまぎれて…位でしょうか?それでも親戚やご近所同士のつながりが深いので結局世話焼きおばちゃんが決めるパターンが多かったようですが。)
 さて今日子本人について私だったら16歳からこんな慈愛にあふれた人生送れる自信がありません。16歳で父親を亡くし、妊娠→流産→姑に嫌われながら居候、と改めて厳しすぎる人生によく文句ひとつ言わず耐えていけるなぁと冷静に事情を追いながらすごい女だと思ってしまいました。速水さんを思って矢も盾もたまらず鞍山へ行く場面ではいくらなんでも少女漫画思考過ぎる(お互い広ーい山道を走っていたというのによくすれ違いにならずに超都合よく出会えたもんだ…とツッコミを入れてしまったのは私だけ?)とは思ってしまったものの、恋する人の言葉を胸にひろ子でさえ許す場面(私だったら確実に船から海へ突き落してます…ゲフッ!)や、血の繋がらない娘(明日香)を心から娘と思っている辺り(実の親子でさえ「この子の出来が悪いのは、あのろくでなしの父親に似たから。」と問題を遺伝子のせいにして責任逃れしようとする人がいるので…本当にすごいですよ、今日子さん。)本当に情愛深い人ですよね。きっとこの人はどんな苦しい目にあっても速水さんの言うとおりすがすがしい目を忘れないで生きていくんだろうなあ、と同じ女として尊敬してしまう女性です。長い物語中苦労も多かったですが、お疲れ様でした。

 速水香…「どうしてそうべったりくっついていたいんだ。いつもいつも見張られているみたいで息が詰まって重苦しい。」
これは今日子に嫌われる為の嘘のセリフですが今まさに気持ち悪い男に好かれて困っている私は上手いこと言うなぁ、と感心してしまいました。

 極度の過労で肝臓がやられていても速攻で未来ちゃんを作ることはできたんだなあと今日子との初めての舞台が野外だったこともあり、絶倫ぶりに感心してしまいました。(汚れ知らぬ雪だけが知っていた…だけでなく誰かしら目撃者が絶対にいたと思いますよ…ゲフッ!)間接キスも意に解さなかったり、タオルを勝手に使ったりで無神経すぎると今日子からたしなまれていますが(それ位なら可愛いと思うの…。)その後彼女の娘の明日香が着替えを堂々と覗いた男にOKサインを出している(これはアウトだと思うの…。)場面を見てまさに時代は変わったんだなあ、と悲しい気持ちで実感してしまいました。(香さんもこんな男に娘を任せないで下さい!)黙々と鉄道修理を一手に担ったり今日子と共にまさに古き良き人々という言葉が似合う彼ですが、そのせいもあって苦労は絶えない漢です。ともあれ本当だったらソ連(当時はソ連。)の炭鉱で死んでたはずだったのに家族と共に過ごせて、妻に看取ってもらえて、当時の事情を考えるとまだ幸せな人生を送れたと言えます。お金があっても心が通っていないひろ子夫婦との対比もあって幸せとは心が決めるものだと改めて教えてもらったキャラです。

 石野ひろ子…「本当だったら父さんと母さんに可愛がられながら学校に通って幸せに過ごしているはずなのに…。」

というセリフからも分かる通りこの子は年齢相応の精神しか持ち合わせず要領の良さも災いしてそこから最後まで成長できなかったのが分かります。香さんのことといい、結婚式の時(「式に呼びたかったけどお母さんは病気だし今日子は看病だし(貴女達が出られないのは自業自得よね。)」というセリフにはむかつきました。本当に出て欲しくない理由は「女中代りにこき使った挙句に風俗で働かせようとした」という嘘がばれたら困るからでしょうに、何でも人のせいにして勝手な女です。)といい、この人は「ごめんなさい」と「ありがとう」が言えない人なんだなあ(最も私の身近にもこういうセリフが言えずに見え透いた嘘を繰り返しつく友人がいるのでよりリアルには感じましたが。要するに自分の事情しか見えないのでしょう。)と漫画の中でも皆から嫌われている(そして読者にも嫌われているに違いない…!)理由は分かる気がしました。両親を目の前で亡くして、その血を絶やしたくないという悲願をも(おそらくはセックスレスで。)ついに達成できなかった哀れな女にはなるのでしょうが人に好かれるのに必要なのはそんな個人的な事情じゃなくてその人の人柄が物を言うというのに最後まで気づいていません。(だからこそいつまでも自分の扱いは「理不尽」だと思っているのでしょうが。)「理不尽」な目に合ったのは自分だけじゃないという当たり前の社会現象を忘れてしまっていますよね彼女は。

 速水明日香…大きくなってからも少女時代も全く緑川夫妻のどっちにも似てこなかったのが意外でした。(ひろ子の「あの子だんだん緑川先生に似てくるわね。」のセリフにはいや、似てないよ!とツッコミを入れてしまったり…ガフッ!)どうやら体育教師だった実の父の遺伝子が開花したらしく柔道部のホープとして活躍していました。(反面、妹の未来は病弱な香に似て文化系らしい。)初恋の速水さんのことが忘れられずに就職先を調べたり会社の前にまで足を運ぶ様にはけなげを通り越してそれはストーカーですよ明日香さん!(そしてそこまで想うほどいい男とはとても思えない…ゲフッ!)と思わずツッコミを入れてしまいました…ゴフッ!自分の生まれ、未来の反抗期、矢代さんとの恋愛(せめて父さんが存命中は上手くいっていて良かった…。)と苦労の尽きないキャラですがあそこまで冷たくした遊び人に卒業後も6年も音信不通にされたのに、今さらに2年待ってくれなんて男に取ってご都合よすぎないか!?と結末にも納得できませんでした。個人的には中身こそ父親に似た男らしい人と恋に落ちて欲しかったです…。

 矢代健一…鏡越しに着替えを覗いていたりとしょっぱなからのエロい行動にドン引きしてしまったキャラです…ゲフッ!(私ならこの時点でこの男とのロマンスは終了しています。)速水さんのように帰りたくてもソ連軍の捕虜(監視付き)になって帰れない事情と仕事に身を入れたいという我儘からその気になれば週末に日帰りになってでも帰国できるのに帰国しない事情は違うよね…と最後まで身勝手さから抜け出せていない幼さぶりにあまり好きにはなれなかったキャラ(少なくとも明日香の相手にふさわしいとは思えない。)です。「2年間私をほっとくのならお別れよ!」と言う婚約者の洋子に「なんてことを言うんだ!」と胸の内で責めていますが、仮にも婚約者を前に「速水はこんなことを言う女じゃなかった。」と他の女と比べている(お前こそなんてこと考えてるんだよ!)この男も偉いこと言える立場じゃないなあと微妙な気持ちで見ていました。(そんな洋子だって彼が怪我をした時は一晩中病院の玄関で心配していたりと彼女なりの愛情は確かにあったのです。)義母に対しての態度といい基本的に「辛い思いをしてるのはのは自分だけじゃない。」という当たり前のことに気づいていない人間ですよね、彼は。(明日香に比べれば一応実父がいるだけでも恵まれた事情である。そしてそんな「不幸な」事情だから周りの人間に冷たくしてもいいという理由には決してならない。)成長しない日本人というのはまさにこの人にも当てはまるのでは、とも思ってしまいました。

バック・トゥ・ザ・フューチャー

2011.03.01
 ラストシーンに出ていた「to be continued」の文字は「主人公達の人生の旅(冒険)はこれからも『続く』!」という意味の「ジョーク」であり、本当だったらこの1作(単品映画)で終わる予定の映画だったそうですが、テロップを見た多くの人間が「続編を制作する」という意味に誤解し、問い合わせが殺到した(実は主演のマイケル・J・フォックスも「エージェントに電話しようかと思った。」という、テロップを見て驚いた人間の一人。)結果、急遽シリーズ化する事になったという異例のシリーズ映画です。という訳で公開当時、全米で「フューチャー現象」と呼ばれるブームが生まれるほど大ヒットした映画、堂々の1作目です。

 エメット・ブラウン博士(クリストファー・ロイド)…ドク「燃料のプルトニウムはリビアの過激派から巻き上げたんだ。プルトニウム爆弾を作ってくれと言うから、壊れたパチンコの部品でインチキ爆弾を作ってやったよ。」
マーティの手紙「ブラウン博士へ。僕が未来に戻った夜、あなたはテロリストに撃ち殺されます。そんなバカな事にならないように何とか身を守る方法を考えて下さい。」

そりゃ、過激派の皆さん、怒りますって…と弟と一緒に当然のツッコミを入れてしまったものでした。タイムマシーンを完成させておきながら、そんなバカバカしい理由で殺されてしまう最後には主人公も何とかあの手この手で博士を救おう(未来を教えよう)としていますが「余計な情報を『知る』だけでタイムパラドックスが起こる可能性がある!」とせっかく書いた手紙まで破ってしまった彼。しかして実は自分も気になってはいたのか、マーティーが未来に帰った後にちゃっかりセロテープで復元させて(パズルですか。)未来をチェックして死を逃れた(防弾チョッキを着込んで難を逃れた。)様には思わず笑ってしまいました。(「この際、堅いこと言うな。」byドク。)考えてもみれば真実、未来改竄を恐れている人間がタイムマシーンなど始めから作るはずがないよなと納得もした結果です…。

 マーティン・マクフライ(マイケル・J・フォックス)…「僕、もう行っちゃうけど、一言、言っておきたかったんだ。君達のおかげで…すごく勉強になった。」

ダウンベストを幾度となく救命胴衣と勘違いされ、ついには「沿岸警備隊です。」と開き直った本作品の主人公です。家では電話をかけてくる(だけで)自分のガールフレンドを「はしたない女」呼ばわりして(「じゃあ、どうやって付き合う機会を作るのよ?」by姉リンダ)酒や煙草は以ての外、品行方正を絵にかいたような教育を強いてきた母親が、若い頃は一転して男(マーティ)の尻を追いかけ、酒を盗み飲みし、煙草も習慣的に吸っている不良娘だった(自分が知っている母親像との、あまりのギャップにマーティも吹くほど驚いております…。)という様に女って裏表のある生き物なんだなあ…と彼もとても勉強になった様子です。(ジョージとの恋に関しても、あのふがいない親父が自分から女を追いかけたとは考え辛いし、おそらく確実に「追いかけた」のはこの肉食系の母親の方であったと思われる。)マーティの奮闘のおかげも有り、変わった後の未来(1985年)では自分と同じく肉食系女子(ジェニファー)に関しても理解を示すようになった母。(思うに、変わる前の未来ではジョージと結婚した事を後悔はしていなくても「誰が見ても素敵とは思えない男」相手に突っ走り過ぎた自覚は有ったのだろう。)ハッピーエンドと思いきや、ドクの登場(とテロップの文字)によって彼の冒険は急遽3まで続く事になり、まだまだ苦労は絶えない主人公でした…。

 ロレイン・ベインズ(リー・トンプソン)…ビフ「もしもし、マクフライ?(頭の中身は)入ってますか?」
マーティ「あそこで『KICK ME』(僕を蹴って)の張り紙を背中につけて皆にからかわれてるアレが僕の父さん。」
ドク「お袋さんは奴の何処に惹かれたんだね?」
マーティ「…思うに『ビフ以外の男』なら誰だってマシだったんじゃないのかな?」

変わってしまった未来(1985年)では頼もしく成長した夫のジョージに、よりラブラブな様を見せてくれますが、元の未来でも社会的に成功した「上司」のビフではなく、ふがいない万年平社員のジョージと結婚した事を微塵も後悔していない辺り↑の結論が見い出せた私でした…。学校では皆にいじめられ、プライベート(学校外)でも父親の車に轢かれてそのまま放置されたり(いくらアメリカは医療費がバカ高くて救急車も有料とはいえ、そこは病院に連れて行ってあげるシーンだと思うが…。)踏んだり蹴ったりの人生を生きている彼に同情した結果の恋(「ナイチンゲール症候群だな。看護婦が患者に惚れてしまうアレだよ。」byドク)でありジョージの方も「押せば、そのまま押し倒せる男」だったからこそ実った結婚だったんだろうなあ、と実感した恋模様です。それをうっかり車に轢かれそうなジョージを庇ったマーティと知りあってしまったが為に「普通の恋」に堕ちたロレインの元に事態はこじれ始めていきます…。(それにしても、このお母さん、ちょっと惚れっぽ過ぎやしませんか?byうちの弟。主人公にキスしたその数分後にジョージに心変わりしているし、全くその通りだ。)

 ビフ・タネン(トーマス・F・ウィルソン)…ジョージ「全く、ビフは油断するとすぐサボろうとするから目が離せない。あいつは高校の頃からそうだった。」
ロレイン「でも彼(引き立て役)がいなかったら私達は恋に落ちてなかったわ。」
ジョージ「そういう事。」

デール・カーネギーの「人を動かす」を読んで一念発起して明るく振る舞おうとしたジョージが外しまくった結果、初対面のビフにサンドイッチを顔にぶつけられ、女子達には「偽善的でいけすかない男」の烙印を押され、挙句に両親にまで不審に思われ…とすっかり自信を失くした(by小説版。父ジョージが引き籠もりに走ったのはこういう側面もあったらしい。)のを良い事に高校時代から手柄を全部横取りしてジョージに寄生(利用)する事で上司にまでのし上がっていたビフでした。が、何と言う事は無いジョージの力が無ければ仕事一つ満足にきない社畜で、彼の協力を失くした未来では車のワックスがけ専門の使用人に成り下がっていた(それすら「彼は自分達のキューピットという『きっかけ』だったんだから。」と大目に見てくれるマクフライ夫妻でなかったら、とっくの昔にクビになっていた事だろう。)という現実には、態度を一転させてヘコヘコしている姿(自分より弱そうな人間にはデカイ態度に出るけど、立場が悪いと分かれば手の平を返してゴマをする。所詮こんな人間。)と合わせて笑いながら納得してしまったものでした。彼にはモデルもいる(大統領選にも出た、かのトランプ氏。)そうで、人間の本性がよく表れているな~と改めて実感もしてしまったり…ゲフッ!

 余談…「1985年の大統領は(1955年当時は俳優だった)ロナルド・レーガンだ。」「俳優の?じゃあ副大統領はジュリー・ルイスか?ファーストレディはジューン・ワイマンか?」(ちなみに正しくは副大統領はジョージ・H・W・ブッシュ、ファーストレディはナンシー・デイビス。)とバカにして信じない場面において「レーガン批判だ!」と言う視聴者もいたものの、当のレーガン大統領自身はこの場面をとても気に入って巻き戻させた程で、その後の演説でも「映画「バック・トゥ・ザ・ヒューチャー」で述べられているように『我々がこれから行こうとする場所に道など必要ない』のです。」と流用したり、お気に入りぶりを見せたそうです。

王家の紋章①

2011.03.01
 ものすごく長く続いている(「ガラスの仮面」並みに。)タイムスリップ物語。「アトンの娘」を読み終わった時から気にはなっていた(エジプトを舞台にした話と聞いたので。)のですが「いや、長い話だし…。」と躊躇してた後、文庫化に当たって(とうとう完結したのかと勘違いして)ついに手を出してしまい、手を出したが最後大ハマりしてしまって現在に至ります。解説よりエジプト考古学を勉強したい女の子のほとんどがこの作品の影響を受けている、と聞き原作も130版を重ねる名作と知って2度ビックリでした。(どれだけの人間がこの話を読んだのでしょう?)わざわざ一冊づつ区切って記事を書いているのはもちろん好きだからです。(長い話だってのに…ゲフッ!)

 (アンケセナーメン王妃とツタンカーメン王)…奇しくも文庫版第1巻の表紙はツタンカーメン王の黄金マスクです。ミイラの柩に入っていた花束(遺体の上、1番目の棺の上、2番目の棺の上に矢車菊の花束が置いてあったそうです。現在はカイロの博物館に保管されています。王妃が最後の別れの時に王への愛の印に入れたのでしょう。)兄妹での結婚(厳密にいえばこの二人は叔父と姪に当たりますが。持統天皇の結婚形式と同じ近親婚ですね。)若くして死んだ王(ツタンカーメン王も少年の若さで亡くなられました。)など、この話でも描かれている諸事情はこのカップルから取ったんでしょうね。おかげで1巻の時点から親しみを感じてすんなり物語に入っていけました。(それ以上に、この話が面白いからという理由ももちろんありますが。)色々思いだせて懐かしかったです。

 キャロル・リード…アイシスと共に下街に出かけた時の服装(CAROLと胸に名前がアップリケしてあるワンピース)は母親の手作りなのか、10代後半にもなって恥ずかしげもなく着ている辺りは愛を感じます。彼女が過去に流されて後の展開には「人を呪わば穴二つ」という言葉を思い出しました。(そもそも墓を暴いた人間が呪いに値するのならジミーだってブラウン教授だって当てはまるんですから全員連れて行きなよ!ともツッコミを入れてしまったり…ゲフッ!)「古代では鉄の武器を持った民族が勝利を得るのよ。」など未来人ならではの知識がある辺り学校の勉強はちゃんとしていたご様子です。(さすが考古学マニア。)しかしいきなり水につけられたり、絞め殺されそうになったり酷い目にあわされる羽目になるわ、彼女の兄貴は心配して大捜索をしているわ母親なショックで寝込む事になるわ彼女にとっても家族にとってもこのまま現代で過ごす方が幸せなのではないかな~と思ってしまいました。話の展開上また古代に戻る羽目にはなるのでしょうが(呪術版が欠けたのをいいことにまたアイシスがやってきそうな気がする…ゲフッ!)どうかこのままそっとしていてほしいと願ってしまった主人公です。

 メンフィス王…メンフィスというのはエジプトの都市の名前の一つでありこんな名前のエジプト王は史実上存在しません。(この漫画は舞台が3千年前のエジプトというだけで歴史物とは違います。)という訳でキャロルがこの時代に登場しようがどんなに歴史を捻じ曲げようがまるで問題はないのだ(この話は歴史上の人物は一人も登場しない完全なるフィクションですから!)と安心しきって読んでいました。発見されたミイラ鑑定によると18才位の若さでお亡くなりになった(…今、彼は17歳。あと1年の命なのでしょうか?)そうですが、一体何が彼に起こったのでしょうか?死体(ミイラ)も闇商人に売られたまま行方知れずになっているし(そして物語はそんなこと放置したまま進んでいく。それでいいのか?)扱いだけ見ると結構哀れな人なのかもしれません。瀕死の重傷でキャロルに告白したというのに本人は告白された自覚さえないのも深く考えると哀れかも…ゲフッ!

 アイシス女王…最初、弟命のブラコン姉ちゃんだと思っていたのでその気持ちが女としての物だと知った時にはたまげました。「神話でも神々は兄妹で結婚したんだから。」(元々エジプトの近親婚は王=神として神話に自分達を当てはめた所から来ている。)と自分の気持ちを正当化していますが、ミイラ達のDNA鑑定をした結果本当に結ばれて子供を作ったカップルはほとんどいないそうです。(王は側室達に子供を産ませ、王妃は誰と関係しようと生まれた子供は王の子扱いとされました。)…だから!落ち着いて下さいよ!お姉様!近親相姦願望を全くタブーとみなしていないアイシス様にツッコミを入れてしまいました。キャロルの言うとおりライアン兄さんとかロディ兄さんとかはたまたミヌーエ将軍とかとまっとうな恋をした方が彼女の為…と私は思うのですが…。(実の弟は辞めときましょうよ…。)

 ミヌーエ将軍…アイシスを慕う将軍。その割にたった1回振られただけでもう諦めているという根性の無さをお持ちです。(いや、当のアイシスは弟のメンフィス相手に絶対に報われない恋をしているのだから頑張ればまだまだチャンスはあると思うのですが…。キャロルに対してもちょっといいなあと思っているし、いい加減な男だな~と思ってしまったり…ゲフッ!)仕事に対しては真面目みたいですが女性への一途さではちょと微妙だなあこの人と思ってしまいました。
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