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オール・ユー・ニード・イズ・キル

2011.04.30
 このタイトル、確実にビードルズファンからバッシングを食らうだろう…(「愛こそ全て」と訳せる名曲「オール・ユー・ニード・イズ・ラブ」は、あまりにも有名。)という事で全米公開時には「エッジ オブ トゥモロー」とタイトルを変えられていた(割には当の「明日」は時間ループのせいで、なかなか来ないのだけれど。)という日本小説が原作となった映画化作品です。という訳で原作を読んだ人間としては「新米2等兵」の役を結構な年が行った叔父様(トム・クルーズ)が演じているとか、戸籍詐称をして年齢を上げて軍に入った「戦場の女神」が少女には見えない(あそこまでマッチョな女性軍人にしなくても…。)とか、色々な点で借りるまでに葛藤があったのですが、見てみたらこれはこれで面白いと感じられた映画でした。

 ウィリアム・ケイジニ等兵(トム・クルーズ)…キャスター「今朝未明、パリで巨大なエネルギー派が発生。詳細は未だ不明ですが、これによりギタイの戦闘能力は完全に失われた模様です。」

多少分かり辛いラストシーンでしたが、輸血によってタイムループ能力を失った彼はオメガを倒した際にまた頭から青い体液を浴びたおかげでタイムループ能力を再獲得し、ギタイは死滅したまま(アレ?オメガが死んだのは2日後のはずでは…?)映画の始まりからやり直せるという「夢のリセット」が実現した(で、今度は「前線の取材」を断りもせずに受けたおかげで少佐→ニ等兵(脱走兵)に降格になる事も無く、リタ達のいるパリに到着した。)という模様です。おかげで原作では死んでいるリタ達以下、皆が立派に生きていますし、ギタイとの戦いもほぼ「残党狩り」になった(少なくとも自分達の乗っている飛行機が撃墜されて、着陸したは良いものの機体の下敷きになって死ぬ心配は無い。)そんな出来レース状態に、彼でなくともニヤニヤ笑いが止まらなくなった終わり方でした。(ちょっと、ご都合良過ぎな終わり方でしたが…ハッピーエンドですし、これはこれで良し!)

 リタ・ヴラタスキ軍曹(エミリー・ブラント)…リタ「私は兵士よ、敵から逃げたくない。私が死のうとあなたに関係無いでしょ!」
ケイジ「関係あるさ。君と出会ってしまった。…守りたい。」

「同じ体質を持つ羽目になった仲間」として親交を深めていく(というより厳しくしごかれているだけ)の中で、次第に恨みが募っていった…のではなく、いつしか惹かれていったという恋の始まりですが、最初に命からがら助けてあげた所をバッテリーだけ持ち逃げして見殺しにした第一印象からして最悪の女相手に、その後も自分を何度もブチ殺した鬼のような女相手に、そんな気持ちになれるか?という疑問が個人的には湧くのですが、戦場など「女性が絶対的に少ない場」では男がゲイにでも目覚めない限りはそんな気持ちになっちゃうそうです。ましてや、その「特別な体質」が他の人間に移せない(彼女以外とは共有できない。)とあれば尚更の話…ですが、それを確かめる為に彼女は体液を通して体質を移せないかと何度も色んな相手とセックスを通じて試してみた(そんな事するから「戦場のビッチ」って呼ばれちゃったんだよ、貴女は!)そうで、その点もヒロインとしてはどうなんだと、色々思う所満載だった、そんな女軍人でした…。

 カーター博士(ノア・テイラー)…カーター「私はカーターだ。素粒子物理学と生物学の博士だ。まあ、リタに出会う前までの話だがね。今は頭のいかれた整備兵で通っている。」
リタ「彼はタイムループを信じてくれる唯一の人間。そしてギタイを誰よりも理解してる。イギリス一の学者よ。」

原作小説では、この人は男(オタク)の萌えを体現した「ドジっ子眼鏡キャラ」だったのにね…(ツンデレ美少女だったリタの変貌といい、取りあえず日本のライトノベル的・萌え要素はハリウッドでは大手を振って歩けない事は分かった。)と、文化の違いから来る設定の変更に涙ながらも頷いてしまったものでした。(実際、他の作品におけるバトルヒロインにおいても「男と戦って勝てるほどの女性は、絶対にもっとマッチョでゴツイはず。」と海外読者からは疑問が絶えないらしい。)という訳で「ただの整備兵」だった彼女は、「ギタイの居場所を突き止めるほどの有能なオタク男研究者」として新しく生まれ変わった…のですが、その姿に思わず溜め息が出てしまったのは私だけではないでしょうね…。取りあえず言う事を信じてくれる味方で、役にも立つ人間だという点はかなり重宝するのですが…。(あのビジュアルにガッカリ感が半端ないんですけど…。)

 ファレウ曹長(ビル・パクストン)…ファレウ「罰として腕立てを50回!全員だ!礼はケイジ2等兵に言え!」
ケイジ「恐れ入ります!」→ゴロゴロ、バキッ、グシャッ!
ファレウ「…そんなに腕立てが嫌か。」

いや、死んでますがな、当の部下!と思わず労災(パワーハラスメントによる自殺)で訴えられそうな死亡事故にツッコミを入れてしまった、ループ中で最も笑ってしまった死亡事例でした。ちなみに↑の事例の恨みもあったのか、散々「作戦が敵に漏れていて全滅される」と警告してきたのに無視して口にガムテープを張って強引に出撃させられた怨恨か、最後のオメガ撃退作戦ではJ分隊の皆は連れて行って貰えたのに、隊長である彼だけは蚊帳の外にされ、こうして出番が減る羽目になったのでした。人(部下)には親切にしておきましょう、という教訓的事例です。(最も彼が指揮しているのはJ分隊だけではないし、頭の固い彼に話したが最後、ガムテープ事件の二の舞になるだけで確実に失敗していたでしょうが…。)
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グラン・トリノ

2011.04.29
 俳優クリント・イーストウッドの俳優業最後の仕事(「もう何年も監督だけやっていこうと思っていたけれど、この頑固な元軍人役には惹かれたんだ。」byイーストウッド)ともなった場末感漂う人間ドラマを描いた映画作品です。グラン・トリノとはアメリカの車会社フォードが作った車の名前(フォード・トリノ中、1972年~1976年の間に生産された物を指す。)であり、当の高級車が盗まれそうになる所から話が始まるという名作映画でした。

 ウォルト・コワルスキー(クリント・イーストウッド)…「どうしようもない身内より、あいつらの方が身近に感じる。全く情けない。」

そして、人間のクズの「身内」と、善意溢れる「他人」の隣人…どっちに遺産を残す?という問いの答えは後者となったのでしょうね。最愛の妻のお葬式でもへそ出しルックでふざけた事を言う孫(「父と子とタマに。」byバカ孫)に、誕生日でも祝うどころか老人ホームに押し込めて家をせしめようとすることしか考えない息子夫婦(妻の宝石類を「形見分け」と称して無断で着服しておきながら、まだ懲りていなかったらしい。)にだからアンタ達は本来貰えるはずの物を全部、横流しされたんだ遺言の元に家もグラン・トリノも手に入れられなかった遺族の皆さんにツッコミを入れてしまったものでした。(家は教会に寄付され、高級車グラン・トリノもバカ孫が欲しがっていた勲章も隣人タオの手に渡った。思えば妻の事もあったからこそ彼はしっかりと「死後の財産管理」をしていたのだろう。)遺言が発表された時の遺族の笑顔→驚愕までの表情の変化がとても見物だった、そんな話でした…。

 ヤノヴィッチ神父(クリストファー・カーニー)…「報復をする気ですか?貴方がその気なら私は彼らの家へ行きます。貴方が諦めるまで、何度でも。」

それは小説「テロリストのパラソル」(「懺悔します。実は僕、ここに使えるシスターをレイプして孕ませちまったんです。」「あなたの罪は許されました。」「ありがとうございます!実はまだ何もしてないんですけど、神様にも許された事だし、これで心おきなく実行できます!」「き、貴様という奴は…!」)のように犯罪を犯す前から罪を免れる為の懺悔ではなく神父という「目撃者」を作る為の事前準備だった(ご丁寧にも「事件」が起きる前に手でピストルを撃つ真似をして、どこに何人銃を持った人間がいるか、それとなく「目撃者」に示している。)という伏線には思わず唸らせてもらったものでした。懐から取り出したのもピストルではなくジッポで(その前に「煙草に火をくれないか?」と相手側に質問しており、「懐に手を突っ込んで」ライターを出すのは会話の流れからは全く不自然ではない。)「丸腰の人間を一方的な勘違いの元にハチの巣にした」目撃証言から不良達には長期刑が下される事になったのでした…。

 スー・ロー(アーニー・ハー)…スー「弟が車を盗もうとした償いに貴方の所で働かせてほしいの。拒絶は侮辱と取られるので、どうか受けてほしい。」
タオ「嫌なら、辞めるよ。」
スー&母「アンタは黙ってて!!」

自国語と英語とでWで女達にやりこめられている気弱な弟に思わず笑ってしまったものでした。不良達にもビビらない(少なくとも情けな系の弟のように良いように従うタマではない。)気の強いお姉さんで、彼氏が逃げても黒人のチンピラに屈しない精神を持った強い女でしたが…やはり女の身である以上、限界は有り、弟タオの事(ウォルトが行った報復)を逆恨みした従兄弟達に顔が腫れ上がるまで暴行された上にレイプされる(力で男の集団には敵わなかった)という酷い目に遭わされていました。(それがトラウマにならずに正気の元で生活している辺り、この女性はやはり強いなあ、と涙と共に感動したものです。)元々、弟とウォルトの交流もこのお姉さんあってこそ(気弱な弟は、自分からプライドを捨てて償いを言い出す事などできない)だけに精神の強い人だって理不尽な扱いには立派に傷つく事を知っている(それは「本人の中でも、もう過去の事にしてる」とか、正義を盾に「被害者として強い立場でいられる」とか、そういう問題ではない。)だけに、あの展開には同じ女としても忸怩たるものを感じてしまった、そんな「報復」の有り様でした…。

 タオ・ロー(ビー・ヴァン)…タオ「世間話をするって言っても、僕は無職で車や彼女が有る訳でもないし…。」
ウォルト「仕事が無い、車も女も無い、オマケに肝も根性も無いじゃ話にならん。そんな話するな。」

それでも何故、庭仕事なんかしてるニートの彼に色目を投げかけデートに誘うとアッサリOKするユア(ヤムヤムではない)のような女が出てくるのかというと、それは彼がスマップで言う草薙くん(決して「お目々パッチリで鼻筋が通った美形」とは言い難い顔なのに、イケメンな他のメンバーとタメを張れるほど人気がある。)のような癒し系の男だからという一言に尽きるでしょうね。ウォルトのおかげで(そしてその前に彼の為に馬車馬のように働いたおかげで)口のきき方や態度から学ぶことができ、仕事もゲット、彼女もゲット、週末にはグラン・トリノでドライブデートというリア充な生活を送り始めた矢先の「事件」には私も理不尽を感じたものでした。でも、そこで縮こまらずに姉が犯された事に怒って奴らに殴りこみをかけようとする彼は、それが無謀に過ぎなくてもカッコ良かった(ちゃんと男やってるじゃないか、お前。)と不良に媚を売るばかりだった序盤に比べての成長に拍手はしたものでした。最も何の策も考えていなかった様子なので、ウォルトが一計を案じなかったら確実に失敗(無駄死に)していたでしょうが…。

 余談…せっかく高級車のグラン・トリノを持っているのに、骨董品のように、ただ磨くだけで普段は安トラックで運転しているという有り様に「…え?乗らないの?」(何の為の車だ!?)と思わず主人公にツッコミを入れてしまいました。が、高級車って「ガソリンを流しながら走る」と言われている位、燃費バカ食いの代物(ガソリンの種類だってレギュラーじゃなくて高価なハイオクだったりする。)という事実を思い出して、だから普段は安トラックなのかと変な所で納得したものです…。

ダーティハリー5

2011.04.28
 シリーズ5作目です。が、辛口批評家からは「他の映画を観た方が良い。」「クリント自身がハリーというヒーローを演じるには限界の年齢。」などなど散々な言われようで、評価も低い最終作です。個人的には、話のパクリ元…ではなくオマージュの原案となった事件が分かるだけに面白く感じた(ビードルズのジョン・レノン殺害事件。ストーカー男が自分をレノンと思いこんで真似の限りを尽くしたが、最後には本物が邪魔になってついには殺してしまった。)のですが、シリーズ中でランキングをつけるとやはりこの作品が最後に来てしまうのは否めず、評価を否定はしきれなかった私でした…。(やっぱりベスト作は2作目ですな!)

  ハリー・キャラハン(クリント・イーストウッド)…「もう弾は無い。意味が分かるか?貴様の運は尽きた!」

いつもだったら「何発撃ったか忘れちゃった。さあ、弾は残ってるかな~?今日の犯人はツイてるかな~?」と、ちゃめっ気たっぷりに犯人を試している所なのに、最初からネタばれに走るとはよっぽど腹にすえかねていたんだな、ハリーさん…と彼の怒りの度合を感じたものでした。シリーズ最終作という事でハリーも幾分か老けてはいるものの「定年間近の刑事」(悠々自適に命令を下す役所)どころかバリバリに現役で働いている様には相変わらずペーペーの立場で全く出世できなかったのか、この人は…!「勤続年数」が多い割には上司の覚えが非常に悪いもんなあ、ハリーさんは…。)と涙ながらに頷いてしまった様でした。女性レポーターとの噂が流れる割に今作では別に4のように美味しい思いもしていませんし、相変わらず再婚した様子は見られませんし、苦労ばかりしている様子には同情しかできなかった晩年の彼です…。

 ピーター・スワン監督(リーアム・二ーソン)…犯人「奴の映画は全部、俺の夢なんだ。奴は俺の夢を盗み見して映画にして手柄を立てた。ただじゃ済ませない。償わせてやる。」

マフィアのボスを捕まえたハリーを「こいつなら早死にしてくれそうだ。」とデッド・プール(リストの中の「有名人」のうち何人死ぬかのトトカルチョ。)のメンバーに入れたり、態度の悪いロックスターを「てめえなんざ薬でもやって早死にしてしまえ!」とデッド・プールのメンバーに入れたり(またか!)、趣味の悪い真似はしたものの、実際にリストの通りに人が死んで疑いをかけられたものの、結局スワン監督は悪趣味なだけで犯人でも何でもなかった(どんなに極悪な行為でも、それを頭の中の妄想だけで済ませるのか、本当に手を出してしまうのかの間には物凄く差がある。)というオチの元に彼は無実でした。ロックスターのプロモーション映像を作っていたり場末感漂う仕事はしているものの、この世界では「仕事」があるだけでもめっけもんですし、映画も(オカルト系ではあるものの)「それなりのヒット」は飛ばしたそうですし、彼は立派な成功者(嫉妬される対象)ではあったんでしょうね。本人は何も悪くないのに周りにいるダメ人間のせいで迷惑を被る役所(例「96時間」シリーズ。)はこの頃から健在だったのか、とリーアム・二ーソンに同情もしたキャスティングでした…。

 相棒アル・クワン(エヴァン・C・キム)…ハリー「生きてるか?防弾チョッキを着ていて良かったな。」
クワン「じいちゃんはこうも言ってた。『相棒の忠告はよく聞け』って。」

心配症の爺ちゃんが施してくれた「悪しき物を避ける入れ墨」はしていたものの入れ墨は防弾チョッキ代わりにはなってくれないという常識も頭にはあったようで、爆弾を乗せたラジコンカー(映画「トイ・ストーリー」でも主人公達を乗せたラジコンカーが引っ越しトラックに追いついていたし、意外にスピードが出る代物らしい。)に追いかけられて事故を起こした際には、ハリー先輩の忠告(「俺の相棒は死ぬか、病院送りになることが多いから気をつけろ。」byハリー)通りに着用していたおかげで、それが防護服代わりになって命は助かった(重症は負ったけれど。)という結果に落ち着きました。中国拳法に通じてカンフーを使いこなし、それでチャイナタウンの不良を退治したりと、この映画はいつからジャッキー・チェンになったんだ?(アジア映画ファンが喜びそうなシーンを無理矢理入れてないか?)というツッコミは入るものの、これにて、またハリーの相棒はダウンする事となったのでした…。

 真犯人ハーラン・ルック(デヴィット・ハント)…医師「彼は一年前に統合失調症と診断された。自己嫌悪から自分の人格を見失い、本や映画の登場人物を自分と思いこんでいるんだ。だが病院では72時間の拘束しかできないし対処の仕様が無い。」

つまり「無職で病気のダメな自分」には自信が持てないから特別な存在である本や映画の登場人物の真似をして自分を誤魔化している訳か(要するにこの人の頭の中身は、玩具を手に、なりきりごっこ遊びを繰り返す3歳児と未だに変わらない訳ね。本当の子供だったら思い通りに周りが動いてくれなくても泣きわめく程度で済むのに、図体だけは大人で逆ギレして刃物を持って殺人に走る辺り、子供よりタチが悪いけれど。)と納得すると同時に「それでも日常生活を送れるから」と一般社会に帰している病院の対応精神病でも本当に酷い人間はトイレにも行けなくなったり、寝たきりになったり、と若い人でもリアルに「介護」が必要。それを考えると「自分で立って歩けて、その気になればフリーターにもなれる彼」は軽度の症状でしかなく、その程度の人間の為に入院ベッドを埋めたくないのは、分かるけどさ…。)にツッコミを入れながらも頷いてしまったものでした。狂人相手に警察も病院も大して役には立たない、という嫌な見本です…。

ダーティハリー4

2011.04.27
 今作ではなんとクリント・イーストウッド自らが監督を務め、シリーズ5作中最大のヒットを飛ばした(個人的には2作目こそが一番面白かったが、もはや「ハリーの人気」で持っているようなシリーズですし、大人気シリーズの新作&当の主演男優が監督も共任というファン狂喜の展開に話題をかっさらったのだろう。)今までの刑事vs犯人という抗争の図式とは多少変わって、レイプ被害(性犯罪)という「身近な話題」に着目された4作目です。この作品の評価もあってかクリント・イーストウッドはこの3年後に市長にまでなり、社会的な出世も果たしたという歴史ある作品です。

 ハリー・キャラハン(クリント・イーストウッド)…「俺に言わせれば、お前達は犬のクソだ。『犬のクソ』は、かき集められたり、風に飛ばされたり、人に踏まれたりする。気をつけるんだな。」

その後、加害者にも人権は有る(犯罪者にそんな権利を与える必要は無いと思うが。)のに↑のような事を言ってトラブルを招く頑固一徹な性格が災いして、股間を撃たれて死んだ被害者の出身地サンパウロに出張捜査の名目で(実際は強引な検挙から余計なクレームを呼ぶハリーに、ほとぼりを冷まさせる意味合いを込めての左遷で)飛ばされた主人公でした。そして、ど田舎に飛ばされたその先でガラの悪い発情した女・レイに迫られたり(「あたしと寝たいんだろ、分かっているさ。」「人間と寝たい。」byハリー)うっかり犯人・ジェニファーと懇ろになってしまったり、2作目で人妻に迫られていた経緯よろしくハリーはどうやら人生に疲れたオバちゃんにモテる要素を持ち合わせてしまっている様子です。(何というか、「普通の恋愛」と縁遠い人なのかな、彼は…。)おかげでヒロインとデキ上がった時も祝福するどころか、情緒不安定なオバちゃんなんて辞めとけやと思わずツッコミを入れてしまったものでした…。

 ジェニファー・スペンサー(ゾンドラ・ロック)…「私達をレイプした男を見つけたわ。老けて醜くなっていたけれど、あの男。銃を買ってバーまでつけて誘ったの。上から体を触ってきたその時に殺ったわ。…愛してるわ、べス。」

「捨て身になっていた」から相手はしたらしく、情事を果たした後になってから股間を撃たれて殺された加害者(また、えげつない殺し方を…。)のマヌケな最後には思わず失笑してしまったものでした。(そして映画「ハンニバル」で玉だけを潰されて死んだ男を見た時も思ったが、人間は大事な内臓が無事でも竿や玉を破壊されただけで外傷性ショック死で死ぬという説はここに置いて確信が持てた。)加害者達にとっては10年も前の悪ノリの延長上の出来事でも、被害者達はそんな軽~い気持ちで受け流していやしない(足を踏んだ側は即座に忘れ去っても、踏まれた側は一生涯忘れない。イジメの永遠の心理である。)まだ高校生だった妹がそれによって正気を失ってしまった事も有り、彼女は愛する妹の為にも同じように加害者達の人生を破滅させようと復讐を誓った様子です。おかげでミステリアスと言えば聞こえは良いものの、どうにも明るさや朗らかさという「正しい魅力」からかけ離れているヒロインの姿に、思わず恋に落ちるほどの女性かな~と、微妙に思えてしまった女の方でした…。

 ジャニングス署長(パット・ヒングル)…「待っていた、貴女が復讐しに来るのを。やっと来てくれたのに息子は分かっていない。自分を責めて車で崖から落ちたんだ。罪を償わせるべきだったが、妻は出産時に死亡し息子とは2人きりの家族だったんだ。お願いだ、このまま去ってくれ。最後の一人のミックは署内で捕まえている。貴女の復讐はこれで終わりだ。」

たった一人の家族を庇う為と言えば聞こえは良いですが、この父親がした事は本来だったら息子にサッサと自首させて罪を償わせるべき所を、警察署長という立場も利用して事件自体を取り沙汰させずに隠蔽に走った事だけ(おかげで犯人グループも「アイビーの親父さん(警察署長)がいるから安心さ。」と増長している。)で、10年間も放置して被害者に連絡を取ることすらしなかった(この父親に人の心が残っているのなら我が子が起こした犯罪の被害者に慰謝料なり何なり払うべき場面である。)事だけで、もはやこの男は「家族を守っている殊勝な父親」ではなく警察の立場も利用して「家族の犯罪行為を増長させているダメ父」だなと冷静な評価を下してしまったものでした。取りあえず、警察は「事件」を予防することすらできない上に、事件が起きた後さえ何の役にも立たない事がとてもよく分かる事例です。ジェニファーさん同様、復讐を果たすのなら自分で動く方が確実(そして頭さえ使えば法に触れること無く「生まれて来なきゃ良かった。」という目に遭わせる事は充分に可能。)という事らしいです。

 ミック・パーキンズ(ポール・ドレイク)…「ベイビーの銃で撃ってやった。ベイビーを殺るのは昔(のレイプ体験)を思い出してからだ。」

そんな余計な思い出作りに走らずにサッサと殺していれば既にハリーの恋人となっている危険な女(彼女に「手を出した」が最後、速攻で怒りに燃えた恋人(ハリー)が報復にやってくる。そして言わずもがなだが彼の怖さは「非力な女1人」レベルの比ではない。)のおかげで死ぬ事も無かったろうに、あるいはそのまま警察で大人しく捕まっていれば今も元気に生きていたろうに、世の中(というより主人公のハリー)を舐めていたおかげで同じ犯罪を繰り返そうとして自滅した当然の結末には失笑しか出ませんでした。↑のような見え見えの細工をしたおかげでジェニファーの罪(彼女が今までやってきた復讐殺人)まで「彼の指紋付きの銃」から彼のせいにされているし(そして「今までの行状」から「いつも友達を裏切って利用していた奴なら仲間殺し位、平然とするだろう」と皆が納得し誰も彼の無実など信じなかった。)最後は己の人間性が物を言って終わったなとしみじみ感じた悪役でした…。

ダーティハリー3

2011.04.26
 すっかり人気シリーズとなった「ダーティハリー」の続編ですが、内部抗争も描かれた2作目に比べると多少落ちるかな(それでも充分面白いけれど。)という感がある3作目です。今作では何だか「下ネタギャグ」が多くて、真面目な顔してセクハラ発言をする主人公や、集団で男を騙している風俗店のやり口などなどに大いに笑わせて貰ったものでした。(そういえば1作目から「裸でナイフを持ってアレをおっ立てていたら、少なくとも募金活動ではありません。だから撃ちました。」という下ネタがあったし、そういうダーティな話が多いシリーズでしたっけ…。)

 ハリー・キャラハン(クリント・イーストウッド)…ハリー「協力しないと、お前が警察と繋がっているという噂を流すぞ。」
ムスターファ「名前通り『汚いハリー』だな!」
ハリー「そう、最低さ。(ダーティエスト)」

ダーティ(普通に汚い)→ダーティアー(より一層、汚い)→ダーティエスト(most biggest汚い)という最上級形ですかい!と思わずツッコミを入れてしまったダーティ論でした。正義を貫く為なら汚い手段をも厭わない(だから「ダーティハリー」って呼ばれちゃうんだよ、貴方は!)彼の姿勢は今作でも健在でしたが、おかげでテロリストにアッサリ屈するマッケイ本部長(新しい上司)とは、また気が合わなかった様子です。せっかく市長を助けてあげるも相棒の死×2にうちひしがれて表彰して貰える機会(出世のチャンス)を見向きもせずに歩き去っているし(まあ、彼の性格上、相棒が死ななくても表彰状に興味を見せたとは思えないが。)相も変わらずアウトローな出世街道から外れた男として彼は生きていくのでした…。(で、4作目ではとうとう左遷の憂き目に遭い、地方に飛ばされるという訳か…。)

 ケイト・ムーア(タイン・デイリー)…ハリー「道でミス・クロウが5ドルで馬とヤルのを見せると言う。この事例における法律違反は何だ?…ただし、動物虐待は除いて。」

立場的には受なのに動物を虐待する側ですかい!(しかもこの質問はセクハラだろう!)とツッコミを入れると同時に、上層部の女性(ミス・クロウ)の目の前で当の本人をそんな例えに使ってしまう辺りにハリーが出世できない理由が分かる気がしました。(だから貴方はいつまで経っても巡査止まりなんだよ!この万年平社員!)ともあれ物語の序盤で今作の男相棒・フランクがサバイバルナイフで刺されて殺されてしまった為に↑の面接試験を通ったばかりの新米女性刑事が彼の相棒として就任する事になった、この経緯(セクハラな内容だが、これは一応「正規の刑事昇任試験」である。少なくともこの映画内に置いては。)には質問が質問だけに思わず笑ってしまったものです。警察上層部にお願いだから、もっと面接官は選んで下さいと思わず語りかけてしまった名シーンでした。

 ワンダ(サマンサ・ドーン)…風俗店ティファニー「私はマルグリット、女優の卵です。先日、友達ととてもセクシーな映画を撮りました。もし良ければ50ドルでコピーをお送りします。」

恐るべきはアイドルを偽装した振り込め詐欺同様こんな話に引っかかってしまう男性が本当にいるという現実です。(実際は手紙のキスマークすら、結構なお年の行ったおばちゃんチームが跡をつけており↑の手紙から連想するような「若い美女」は1人もその中にいないというのが…悲しい。)店も店で高い金を払ってプレイをする段階になったら出てきたのはダッチワイフだったり、詐欺満載の経営方針で、そこに勤める女性の本性は会わなくてもなんとなく想像できたものでした。ちなみに上記の店に勤める敵の一味・ワンダは一応、気は咎めていたのか(用済みになった人間は平気で撃ち殺すくせに)信心深い教会のシスターに転職しており、後ろからハリーを撃ち殺そうとした所、さらにその後ろから今作の彼の相棒・ケイトに撃たれアッサリご臨終する羽目になったのでした。合掌。

 ボビー・マックスウェル(デヴァレン・ブックウォルター)…マッケイ本部長「犯人諸君!金も飛行機も用意した!応答してくれ!」

ケンカする相手さえ間違えなければ全ては思い通りに行ったというのに、よりにもよった相手(ハリー)と対決してしまったが為に、命乞いをする醜態を晒すも容赦なくロケットランチャーで塔ごと木っ端微塵にされた最後に哀愁を感じてしまったものでした。(オマケに粉々に吹っ飛ばされた後になって、お望みの物を積んだヘリがやって来ている辺りが物凄くマヌケに感じた。)ヒッチハイクする相手はきちんと選んでいた(制服を手に入れる為にバス会社の人間を狙った。色仕掛けにうっかり乗ってしまったが為に何の関係(怨恨)も無いのにいきなり殺された運転手達が哀れでした。)のに、事件を起こす場所を選び間違えたのが彼らの敗因と言えましょうね。(ハリーの管轄外を当たっていれば、所詮「腰抜けのお役人」である↑の本部長タイプの人間しか警察にはいないのだから全ては上手くいっていた。)敵の下調べを怠ってしまったが為の敗北には溜め息しか出なかった男でした…。

ダーティハリー2

2011.04.25
 味方の中に敵がいるほど恐ろしい事は無い(いつ、後ろから刺されるか分かったものじゃなく、たまらない。)という訳で一刑事vs内部組織の形を取って話が進められるシリーズ5作中で最も面白いと思えた2作目です。(もちろん3作目以降も充分に面白いのですが。)車のボンネットに人が乗っても横からはみ出ないほど幅広の車から(というか、あのティッシュ箱の上に箱を乗せたような形の車のデザインからして)時代も感じる、そんな映画でした。

 ハリー・キャラハン(クリント・イーストウッド)…「人は分をわきまえなきゃな。」

という訳で1作目で警官バッジを湖に投げ捨ててまで刑事を辞めたはずの男なのに、いつの間にやら復職していた、シリーズ通しての主人公です。(上司には「これ以上お前の為に『警官の暴行』でクレームをつけられるのは、うんざりだ!」と喚かれているが、そんな問題人物でも辞められると困るほどに現場は人が足りていないのだろう。前作での相棒・ゴンザレスも刑事を辞めているし、今作での相棒アーリーは爆殺されているし、銃社会アメリカは刑事の入れ替わりも激しい様子です。)毎度毎度、過激なアクション中心に活躍している熱過ぎるほどの情熱を持って行動している彼が↑で言うような「分を弁えている」のかどうかは微妙な所ですが(悲しい話だが一般的な警官の大多数は事件の犯人そっちのけで違反切符を切る事に血道を挙げるような「正義の立場を利用して金をせしめる寄生虫」(典型的な「お役人」であり、その中に「ヒーロー」はいない。)であり、彼のようなタイプは稀である。)そんな突っ走り過ぎている所が個人的には好きだったりします…。

 キャロル・マッコイ(クリスティーン・ホワイト)…「ハリー、聞き辛い事だけど聞いていい?何故、一度も私を口説かないの?」

そりゃ、貴女という「子持ちのオバサン」に全く興味が無いからじゃないかなあ~(大体、子供の前で本物の拳銃でロシアンルーレットを始めるような危ないご亭主の事を考えれば、彼女を口説いてしまったが最後、どんな修羅場が発生するかは深く考えなくても分かりそうなものだ。)と今でも「現役」だと勘違いして、結婚しているにも関わらず(夫の立場は!?)ハリーに色目を使い始めた彼女にツッコミを入れてしまったものでした。(よくある「気持ちは19歳だけど、鏡に映る自分の姿は違う」って奴だな。)行き過ぎた思考回路の夫について行けなくて別居していても、別居(一緒に住んでいないだけ)と離婚(けじめまでつける)は別物ですし、どう転んでも自分には利がある(成功すればハリーの妻、失敗しても別居中の夫の妻として食いっぱぐれる事は無い。)ように計算しながらアプローチしている様が嫌らしく感じて、あまり好きにもなれなかった奥様です…。(ていうか、年を考えよう、奥様。)

 新人警官ジョン・デイビス(デヴィット・ソウル)…ハリー「ブリッグスの言う通りだ。お前達は経験が足りない。」

…と、バイクで段差を飛び越えたり、せまい廃墟(空母)の中を走ったり、派手なバイクアクションを繰り広げながら(「アレはスタントさんも大変だったろうねぇ…。」byうちの弟)最後にハリーが横転した所でそのまま突っ走って海ポチャで人生が終わってしまった様にはえ?何この経験不足からのマヌケな終わり方!?と私も思わず度肝を抜かれてしまったラストシーンでした。黒幕の方も助手席に爆弾があるのに気づかず上機嫌で去っていくような詰めの甘い男でしたし、思えば彼らと組んだ所で、この犯罪者抹殺組織に未来は無い(実際ハリー1人に翻弄されて自滅している。)という事は始めから見えていたろ思われます。射撃大会でうっかり銃を貸した為に「犯行に使われたのと全く同じ銃弾」(証拠品)まで回収されているし、暗躍するにはちょっと頭の悪い人達だったのでしょうね…。

 二ール・ブリッグス警部補(ハル・ホルブルック)…ハリー「警官が正義感を盾に人を殺すようになるとエスカレートする。道交法違反だけでも射殺するようになる。」
ブリッグス「『悪人』以外は一人も殺していない。100年前と同じようにしているだけだ。」
ハリー「現場を目撃しただけで殺されたチャーリー・マッコイの立場は!?」

それまでは「犯罪を撲滅する為には犯罪者の抹殺も有りだ!(ていうか俺はあの人間のクズ共をブチ殺してやりたい!)」と過激な正義感を語っていた同僚チャーリー・マッコイの事を疑っていたのですが、「口先だけで言っている」のと「実際に犯行に及んでいる」のとは大きく違うという事で、読みは外れていて、実は上司の彼こそが昔の保安官を気取って悪人達を抹殺していた黒幕でした。しかし、昔だってアメリカの法律はアメリカ人にしか通用しない(移民や原住民には何やってもOK!)という無法地帯状態だったから許されただけで、デスノートの主人公同様に何の罪もない一般人を「邪魔だったから」という理由一つで殺している(結局「悪人」だから殺しているのではなく、「気に入らない人間」だから殺している、というのが彼らの本音であり、本当の意味での善悪の認識なんか無い。)辺りは言い訳の仕様もなく、ハリーには共感して貰えなかったのでした。自分で用意した爆弾でウッカリ自滅してしまった(ハリーはこっそりスイッチを押していた。)のは、まさしく因果応報ですが、死んでもあまり共感は出来ない人物だよな~としみじみ思ってしまったものです。

ダーティハリー

2011.04.24
 かのクリント・イーストウッドをスターの地位に押し上げた彼自身「最大の当たり役」となったシリーズ映画です。(おかげで「現代劇」で「主人公の性格に難あり」で「過激な描写がある」事から出演を断ったジョン・ウェインは完成した映画の出来の良さに断った事を酷く後悔したそうです。)車がえらく横長だったり、車の排気ガスが真っ黒だったり(「大気汚染に配慮して排気量を10分の1にしろ!」というマスキー法の施行前なので遠目からでもエンジンがかかっているかどうか分かるほど排気量は酷い。)電話ボックスが有ったり(携帯が普及した現代ではまず見かけない。)コードレス電話機がいやに大きかったりと、背景から時代も感じて面白かった映画でした。

 ハロルド・フランシス・キャラハン(クリント・イーストウッド)…チコ「何故『ダーティハリー』と呼ばれているんだ?」
同僚「こいつは世の中の全ての人間が『汚い』と憎んでいるからさ。」
チコ「娼婦の部屋を覗いていたし『スケベなハリー』かも。」
ハリー「『汚れ仕事』ばかり任されているからだ。」

大学出の相棒(キャリア組)と違って、高校出の叩き上げである彼は、それだけでも出世に不利なのに、組織と規律から逸脱したアウトロー的かつ直情径行で信念を貫徹する性格(ゴマすりや誤魔化しをしない性格)から、さらに出世から遠く離れた「汚れ仕事担当」として割を食っている様子です。ある意味で非常に真面目な性格なのですがやっている事は銃をぶっ放して犯罪者には容赦なく暴行を加えるという非常に過激な行動であり(「お前に恨みは無いが『警官の暴行』というクレームに対処するのは、もううんざりだ!」by2作目上司)映画を見た観客からはヒーローならぬダークヒーローの典型として人気を博していったのでした。(申し訳無いがアレで「いい人」(草食系の人)の立ち位置を得るのは不可能だろう。)おかげで1作だけで終わるはずがシリーズ化してしまい、ラストでバッジを捨ててしまいながら、彼は刑事に復帰する羽目になったそうです…。

 スコルピオ(アンディ・ロビンソン)…ハリー「考えているな。6発撃ったか、それともまだ5発か。無我夢中で俺も数えていない。コイツは44マグナムだ、撃たれれば頭が吹っ飛ぶぞ。考えてみろ。今日はツイているか?」

ちなみに序盤では犯人(銀行強盗犯)が降参したにも関わらず撃ってみて弾切れ、ラストでは銃を手にした犯人(スコルピオ)を即座に撃って命中している(どう見ても弾があと何発残っているかの「確信」があっての行動としか取れない。)辺り絶対にキッチリ撃った数を数えていただろ、お前!と思わずハリーにツッコミを入れてしまったラストでした。殺人事件を起こして快感を感じている異常者の割に、頭はそれなりに良かったらしく、「弁護士を呼んでくれ!」と人権を主張したり、殴り屋に金を掴ませてまで「重傷」を演出したり、世間話からの誘導でアッサリ酒場の親父から銃を手に入れたり(酒屋に来るのは大抵が酔っ払い=揉め事が多いので主人は大概、銃を手に備えている…という知識があったと見た。)下手な知力の高さからホイホイ罪を免れていた犯人でしたが、最後はとうとう運に見放されてしまった(そもそもジャックしたバスの上にハリー(刑事)が降ってきた時点で既に運が悪い。)らしく、自分がやってきたように銃で撃ち殺されてしまったのでした。人を殺して悦んでいるゲス野郎だっただけに爽快感も感じてしまった最期でした…。

 相棒チコ・ゴンザレス(レ二・サントーニ)…チコ「怪我が治っても僕はもう戻らないかもしれません。教員の資格も持っているし。」
妻「夜、彼を見送る時、いつも思うの。これが最後かもしれないと。弱音だと分かってはいるのだけれど…。」
ハリー「辞めたい気持ちは分かる。君達2人は向かない。」

実際ハリーの奥さんも「待って、ハリー!行かないで!」と飛び出して車に轢かれて死んだという、「刑事の妻としての心配」からアホな死に様を迎えた経験があるだけに、嫌気が差している2人を止める事も出来ず、2作目からは相棒交代(むしろ毎シリーズ相棒は代わる。)という展開となるのでした。銃撃戦をしてまで犯人を追いつめたのに(チコが撃ってくれたおかげでハリーは犯人の隙をついて足を刺して追い払う事が出来た。いわばチコは殴り殺されそうになっていたハリーの命の恩人でもある。)死にそうになった結果が無駄足に終わった(結局、犯人には逃げられた。)では、やる気も無くなるというものでしょうね。後に捕まえた時も「令状が無い以上はどんな物にも証拠能力は無い!」と犯人は釈放されているし、本当に正義感を持った人間は逆に警察で出世できない(ラストで刑事バッジを湖に投げ捨てたハリーのように、やってられなくなるだろう。)という警察の内情をひしひしと感じたエピソードでした。

 バナーマン判事(ウィリアム・パターソン)…判事「逮捕状も無く無断で侵入した上に医者も弁護士も呼ばせなかった!自白は『強要』させた物として無効だし、犯行に使われたのと全く同じ銃は『記念品』と同じだ!あの男にも人権は有るんだ!」
ハリー「では、殺された少女の人権は誰が代弁するんです!?」
判事「それは私だ!お前ではない!」

銃は「たまたま同じ種類のものを持っていただけ」として証拠にならないにしても、どこのマンホールの中に閉じ込めてあるという「犯人以外が知るはずの無い情報」を話せる(しかもそれがピタリと当たっている。)時点で、この男が犯人であるのは疑いようが無く、被害者の14歳の少女が監禁の末に強姦されていた事実(吐き気を催すほどの所業に手を染めていたクズ)と合わせて「加害者にも人権は有るのだ!」と犯罪者側に立って擁護するこの判事にも胸糞が悪くなったものでした。(よく、こんな人間の味方に立てるね。人権以前の問題として貴方に良心や正義感は無いの?不正に手に入れた証拠でも、証拠は証拠だと思うのだけれど。)おかげで釈放された犯人は案の定(ハリーの予言の通りに)早々に次の事件(バスジャック事件。死人が出なかったのは結果論で、銀行や飛行機のように異常事態を知らせるシステムが備わっていないバスは周りにも危機を知らせ辛く、最も助かり辛い乗っ取り事件と言われている。)を起こしているしバカ判事が気違いを無罪放免にしたおかげて犯罪が増えた展開には溜め息しか出ませんでした…。(そりゃ、死んで文句も言えない被害者より、クレーマーと化した加害者の対処の方が大変でしょうけど…ね。)

アウトロー

2011.04.23
 2016年秋、映画館で観た「ジャック・リーチャー」があまりにも素晴らし過ぎて、それが続編だと分かると俄然、映画1作目も観たくなって、思わずツタヤで借りてしまった旧作映画です。原作は小説の大人気シリーズ(この映画では9作目の話が採用されている。)だそうで話がしっかりしている理由にも、内容の濃さにも納得がいった、そんな作品でした。ちなみに作品のタイトルは主人公が「世界で最も危険な流れ者(アウトロー)」だという点から取られたそうで、素直に「ジャック・リーチャー」シリーズにしておけば良いのに、とも思ってしまった、多少見つけるのにも手間取った映画でした…。

 ジャック・リーチャー(トム・クルーズ)…サンディ「この男が私を淫売って言ったのよ!」
ジャック「尻軽(アバズレ)って言ったんだ。」
男5人組「てめえ、俺達の『妹』に何をイチャモンつけてやがる!」

その後、乱闘になるも元軍人の素晴らしい経験値からあっさりボコボコにしたのですが、瞬殺したにも関わらずとても良いタイミングで駆けつけた警官(明らかに乱闘の前から通報を受けている。)、「ジャック・リーチャー」を狙って諾と答えても否と答えてもトラブルを起こすように流れを作った女の登場(「ねえ、私といいことしない?」「ま、マジで!?それじゃ今すぐこっち来て!脱いで!そこに寝て!」と答えた所で「てめえ、俺達の『妹』に何しようとしてやがる!」という筋書きは全く変わらなかった事だろう。)から自分が警察に捕まるように起こされたこの「騒動」は明らかに人為的な策略で、それというのもジェームズ・バーの乱射事件で余計な動きを起こさせないよう仕組んだ黒幕がいるからだと、逆に「疑い」を持つきっかけになった出来事でした。大ボスのゼックが言っていたように「余計なトラブル」を起こさなければ気づかれる事も無かったんですけどね…。

 ヘレン・ロデイン弁護士(ロザムンド・パイク)…ヘレン「ナンシーは夫に嘘をついた。『車を点検に出す』と言って実際はショッピングセンターへ。カードに記録を残さないように結婚記念日のサプライズプレゼントを買っていた。ダレンと妻との関係はギクシャクしていて最後のその日の朝も口論になってた。でも彼の遺体の傍には朝、買ったバラの花束が。おそらく死ぬ間際、彼は妻の事を考えていた…。」
ジャック「ダレンとナンシーは不倫関係だ。妻に花を買うなら帰宅時だ。出勤前じゃない。ナンシーも結婚記念日が目前ならカードの記録を気にする必要は無い。つまり夫以外の男への秘密のプレゼントさ。だから彼女はダレンが撃たれた後、彼に歩み寄った。皆が逃げていた中で。」

なるほど、言われてみればその通りだ、と納得すると同時に遺族には言えないな、この話…(せっかく「美談」を信じ上げてくれているんだ。故人を冒涜するような「ありのままの真実」は墓の下にそのまま埋めてあげよう。)と現実に醜さに溜め息をつきながら頷いてしまった裏事情でした。(女社長だけを狙ったカモフラージュの為に巻き添えを喰った他の2人は純粋に気の毒に思えるが、この2人に関しては天罰が下ったとしか思えない。)銃社会アメリカでは毎日のように人が殺されており(もはや日本のように銃刀法を作っても手遅れ。アル・カポネが禁酒法を逆手に取って密造酒で財を成したように、銃の密売が盛んになるだけで状況は全く変わらないだろう。)それで今日新しく5人もの死者が出ても別に珍しい話じゃないと淡々と判断を下しているジャックは、おそらく一番、遺族感情に引きずられずに冷静に事件が見れていたのでしょうね。そして核心に近づいていくのでした…。

 ジェームズ・バー(ジョセフ・シコラ)…ジャック「この乱射事件は出来過ぎている。薬莢、指紋、糸クズ…証拠が多過ぎるとは誰も思わなかった。刑事も判事も弁護士の君も目が眩んでいる。だが奴は俺なら見抜くと知っていて、だから俺を呼んだんだ。」

映画レッド・ドラゴンでも語られているのですが、犯行というものは回数をこなすごとに上手くなっていく(経験を元に、どんどん手際が良くなっていく)のが普通なのに「一度目の事件」よりも下手クソになっているのは、どういう訳だ?と、ジュースの箱に当たって無傷の手作りオリジナル弾丸(そもそも逆光の中、動いている対象を相手に百発百中の腕前を見せたスーパー狙撃手が、動いていない箱相手に無駄玉を使ってますという状況自体が変。)、コインパーキングをわざわざ使ってまで残された本人の指紋(停めなきゃいいだろ!)、現場にこれ見よがしに残された薬莢(持ち帰れ!)…と、その気になればいくらでも回収できた証拠品の数々が全部残っている辺りに却って怪しさが湧いて出た経緯でした。本当は無実の罪なのに捕まって、挙句に護送中に囚人の皆さんに暴行を受けて昏睡状態に陥るまでの怪我を負う羽目になったジェームズ・バーに、ひたすら同情した話です…。

 ゼック・チェロヴィエク(ヴェルナー・ヘルツォーク)…ジャック「『囚人人間』。その名にピッタリの場所(監獄)に行けるな。」
ゼック「万一ぶち込まれても俺には老人ホームだ。お前は流れ者の殺人容疑者、私はたまたま運悪くここに居合わせただけの老人。刑務所に行くのはどっちかな?」
ジャック「俺の予想じゃ、どっちも行かない。これが正義だ。」

素直に「ごめんなさい」と言えば、まだ可愛気があるものの、開き直って増長し始めたのだから始末に負えない(挙句に人の足元を見て脅しつけを始めるのだから、許してやろうという気持ちも失せる。)と容赦なく撃ち殺した主人公に思わず拍手してしまったラストでした。凍傷を起こした指を噛み切ってまで(壊疽防止)、わざと頭に怪我をしてまで(危険労働回避)、「生き残る為に何でもしてきた」のなら、人に対する態度も学んでおくべきだったな(無駄に怒りを買ってどうするんだ…。)と、環境的に死ぬ要因が一つも無いのに下手な一言を言ってしまったせいで死期を早めた様には溜め息しか出ませんでした。切り札は敵にバラさずに最後まで隠しておくべきだったろ、と思わずツッコミも入れてしまったものです…。(そんなこと言うから「切り札」が「自爆ボタン」に早変わりしちゃったんだよ、アンタは!)

ヴァルキリープロファイル

2011.04.22
 ゲームと全く内容同じじゃん!と土方悠先生の漫画版のオリジナリティの無さに「…。」とは思ってしまったけれど(まあ、ゲームがヒットし過ぎてしまった上に、アンソロジーの類で散々漫画化されている作品だったから、本編の話を真面目に漫画で描いても「今さら」感が強くて注目されなかったのでしょうが…。)死ぬ運命を背負った人達の物語(死ぬまでの人間ドラマ)が面白くて(特に「え~と、ほら、アレだよな!」と一生懸命、善行を思い出そうとしているバドラックなんて彼には申し訳ないが爆笑するばかりだった。)ゲーム版はかなり評価している(名前が変えられないので弟のプレイを見ているばかりではあったが。)ので、ここに簡単にまとめておきました。(あまりに人数が多いので主要登場人物、思い入れの残る初期登場人物に限定しましたが。)

 レナス・ヴァルキュリア(プラチナ・ブレスバーン)…母「何やってんだい!早く桶に水を汲んでおいで!」
プラチナ「…オッケー!」
   ~間~
プラチナ「私はただ場を和ませようとしただけなのに…お母さんは冷たいわ!」
ルシオ「…冷たいってゆーか、寒っ…!」

自分の親の悪口を言うルシオから「そんなこと言わないで!」と親を庇いつつ「ルシオが(悪く)思ってくれているだけで充分だから。」と悪口を容認している微妙な少女。(酷い親に耐えている、けなげな少女と「自分を評価してくれている事で充分満足」ということで、自分だって親を悪くは思ってはいるんじゃないですか…とね。)プラチナという名前は「髪が珍しい白銀色だから」つけられた名前だそうで(そのまんまじゃないですか。)だったらアーリィだったら「ブラック」、シルメリア(メリー)だったら「ゴールド」ってつけていたんだろうなあ、この親、と適当ぶりに「…。」と思ってしまいました。娘に冷たい親も親だけど表面上しか慕っていない(ようにしか見えない)娘も娘だな、と似たもの親子にどっちもどっちだと納得したものです。ルシオの妹が売られたことからも別に彼女だけが特別に酷い状況だったわけではないことが分かりますし(むしろ発達障害や死亡に至るまでの暴行でない分、人権の無い時代背景を考えても彼女はかなりマシな部類に入るだろう。…そんなブラックなゲームにしたら売り出せねえよ!というツッコミは置いといて。)あんまり同情は出来ないヒロインだなあと思ってしまったり…。

 ルシオ…ルシオ「その羽飾り…外してくれないか?」
ヴァルキリー「(羽むしり)これは、カブトだ。」
ルシオ「……。」

いつまでもウジウジと幼い頃に死んでしまった初恋の少女を思い上げている姿(挙句にその思いが昂じて、現在では顔が似ているだけの、自分のことを覚えていもいないレナス(別人)に入れ上げている。)は、もう純情一途というよりただ、しつこいだけの情けない男に見えて、あんまり好きにはなれなかった男役です。(大体、彼が死ぬまで傍にいたスリの女性の立場って…。)御本人の死因であるスリグループの仲間がうっかり貴族の財布に手を出してしまった事から貧民街の焼き打ちを受けて死んだ(全く関係無いのに同じ町に住んでいたが為に犠牲になった普通の貧乏人の皆さんは可哀想だが、「一味」であり生活の為を口実にして犯罪を続けていた彼らには同情できない。3Kの仕事を探すなり、故郷に帰るなり、他にも道はあっただろう。)事情にも、その生き様が微妙にしか思えず、共感し辛かったキーパーソンでした…。

 ジェラード王女(アンジェラ)…アリューゼ「隣国の王への届け物?中身は何だ?」
   「ヴィルノア国王宛て 品名・ジェラード」
アリューゼ「アイスか~。」
バドラック「溶ける前に早く持って行っちまおうぜ。」

そんなバカ男2人に任せたずさんな仕事だった為に、ジェラード王女は「疑問を感じた運び人に中身を確認される」(でもって早々に発覚した王女誘拐殺人事件は未遂に終わる。)事も無く、計画通りに①隣国の王に人質に取られた上で殺される、②気つけ薬のワインに混ぜられたゾンビパウダーでグールと化して殺され王位継承者死亡の②番の方向でお亡くなりになりわずか14才でヴァルキリーの仲間になった(エインフェリアの中では最年少。どんだけ短い生涯だったんだ。)不遇な王女様でした…。ギリシャ神話でも「ベレロボーンの手紙」(王様からの手紙を運んでみたら、その手紙には「この配達人(ベレロボーン)はムカつくので殺っちゃって下さい!」という内容だった。宅配物の中身確認はとても大切だという話。)というエピソードが有ったなあ、とおバカな配達人のおかげで死んでしまった彼女に思わず手を合わせてしまったものです。合掌。

 アリューゼ…ジェラード「妾の美技を邪魔するとは、どういうつもりじゃ、バカ者!半裸!万死に値するぞ!つーか殺すぞ!」
アリューゼ「黙ってきいてりゃ、炎魔法ぶつけたくせに、こきおろしやがって、バカにしてんのか!?」
ヴァルキリー「それより、下界初のアフロ戦士になっているから、何とかしろ。そのままでは人物特性になってしまうぞ。」

容姿を武器を一目見て「ベルセルク」の主人公のパクリだと思ってしまった(目の傷があと2センチずれていなくて良かったね。)登場人物ですが、最後は潔かったのか「しぶとく復讐に生きる」のではなく、「あっさり自決する」道を選んで仲間に加わったキャラクターです。おかげで「王女殺害容疑者」(国家転覆罪)の弟になってしまったロイは捕まり、当の弟を逃がす為に部下のロウファが殺されてしまったりという2次災害が起きている様を見るとやっぱり頭は悪かったんだろうな(大体、運んでいる中身を一目確認さえしておけば…。ジェラード王女がアンソロジーで言っている通り、やっぱり半裸のバカだ、こいつ。)と思えて本人に申し訳ないと思いながらも含み笑いが止まらなかった男でした。フレイにまで「戦闘能力は高いけれど、彼にはエインフェリアとしての資質が無い。」(頭に問題あり過ぎ。)と言われてしまう訳です…。

 豊穣の神フレイ…フレイア「ラグナロクでオーディン様、負けちゃったよう…。」
レナス「バカな!フレイもいてむざむざと!」
フレイア「だって2人共、胃に穴が開いてて…。」
レナス「私のせいじゃん!」

北欧神話ではこの人、男神のはずなんですけど…(しかも偶像では巨根を持つ神として形作られている。)と、バッドエンディング版での異様な強さに逆に納得がいってしまった登場人物でした。(「本当は男」なんだもんな…。)手に入れたエインフェリアやアーティファクトは一応オーディン様への貢物(それを探す為にヴァルキリーは下界に降りている。)なのにゲームを進行する上で役に立つ仲間やアイテムをそうそう手離せるか!とガメるプレイヤーは多々いたらしく、漫画でも↑のネタよろしくレナスと彼女との喧嘩ネタが非常に多い(「貴女の仕事ぶりだけど、全く褒められた物ではないわ!」「別に褒められた事ではない…。」「だから、そう言ってんじゃん!」byフレイ)のが印象的でした。物語自体もレナスが主人オーディンに疑問を持ち、反発する(人間としての記憶が蘇る。)事から悲劇が始まっていますし、中間管理職のフレイとしては胃の痛い展開だったでしょうね…。

 レザード・ヴァレス…レザード「老夫婦には未来が無い。しかし若いカップルには積み上げたものが足りない…。」
ロレンタ「熟年夫婦に愛がある、と考えている辺りが純情よねぇ…。」
夫「え!?愛、無かったのか!?」

立派な変態(偏った考え方の元に我が道を突き進み過ぎ。)の割に、変な所は純情だったのか、↑のように無駄に死人を作るのは全て、死者の魂を選定して勇者(エインフェリア)にするヴァルキリー(レナス)に会いたいが為に起こしていた騒動で、堂々と場も弁えずに愛の告白をするわ(「大切なのはヴァルキュリア、私が貴女を愛しているという事なのだから!」「神と人との間に愛が成立すると本気で考えているのか!?」←全エインフェリアに聞かれている中で全く躊躇せずに告白をぶちかますレザードも凄いが、即答でスルーするレナスも酷い。)そのぶっ飛んだ生き方は逆に印象深かった様子で、人気も「主人公」のレナスと1、2を争うほど高かったそうです。(ルシオの立場、無いね。)最も嫌いなキャラクターでも1位に輝いてしまうほど、好き嫌いは別れてしまった様子ですが…。(大丈夫、アンチがいるのは人気の証拠さ!多分。)

 邪神ロキ…ルシオ「一人にしてくれ…。(泣)」
ロキ「そういう訳にはいかないな。」
ルシオ「じゃあヴァルキリーと2人にしてくれ…。」
ロキ「そういう訳にも、いかないよ…。」

ルシ男というオリジナルストーリーが入りながらも「ロキの反乱」によってヴァン神族は滅亡に追い込まれ、主神オーディンは彼の息子のフェンリル(狼)に食われてしまった(さすがにそこまでグロテスクなカリバニズム展開は全年齢向けゲームで再現できなかった様子だけれども。)という北欧神話に沿った展開は健在でした。(つまり、どんなにエインフェリアを送っても結局、自分達は負けてしまうという未来は変わらないんだよな…。)ちなみにAエンディングルートではそうやってトップに立った彼を明智光秀(3日天下で終わった人。)のように討ち取って、ホムンクルスの体を持つ(成長する神となった)レナス自身がオーディンに代わって創造主となった展開だそうで、その後の世界で再生された人達は既に消滅したルシオ同様、新しく造られたものであり「復活」はできなかったそうです…。(悲しい話だが「ラグナロクを生き延びた人間」はレザードとブラムスだけだったんだとか…。)

武装錬金①~⑤

2011.04.21
 「一つの物語を強烈に好きだと思ってくれる気持ちは素晴らしいと思うけれど、それ以外は認めないというのは本当に残念。」みたいな事を作者も言っていた事からも分かるとおり、読者はまだまだ「和月先生=るろ剣」の気持ちが強く、しかも連載時期が「鋼の錬金術師」の人気最盛期と被った(最も被っているのはタイトルだけで内容は全く別物なのだが、中身をよく読まずに混同する人間は多かったらしい。)こと、支持してくれる読者層の年齢が高かったこと(要するに「アンケート葉書」を出すのが恥ずかしくなってくる年頃の中高生以上。)などなど色々な不運・不幸が重なって連載はわずか9巻で打ち切り(そして作者の根性から連載終了直後に60ページもの読み切りで補足完結という異例な事態が起こる。かの「思春期未満お断り」が打ち切りになったのに「じゃあ読み切りの形でいいですから、このキャラクター達を描かせて下さい!」と続編をねじ込んだ渡瀬悠宇先生みたいだ。)となり、ネットの評価に反して「面白い」と思えた自分としては作者が納得いくまで連載を続けられなかったのは本当に残念な結果だな、と人気投票(葉書)だけで判断する編集部のやり口に嫌悪感を改めて感じながら読み進めた本でした。日本一の発行部数を誇る雑誌上で生き残るには「ほどほどの人気」でなく「物凄い人気」でないと続けられない(実際、別の雑誌だったら連載はもう少し続けられたと思う。)のは分かるけれど、それで連載が続いている他の作品が流しそうめんみたいに内容がグダグダになっている事を考えると、あんまり褒められたものでもないよな、と認識を新たにもしたものです…。

 津村斗貴子…「帰れば元通りの世界。来れば戦いの世界。自分が住む世界がどちらか言わずとも分かるだろう?君は来るな。来てはいけない。妹と一緒に帰りなさい。」

昨今ツンデレに名を借りた理不尽な暴力ヒロインが多い中、攻撃力が高い(その気になればギャグで誤魔化した暴力が振るい放題な)割に、最も暴力や苦労を押しつけやすい対象であろう主人公に↑の言葉で自分と巻き込まいとし1人で戦う様にはこの人は「優しい大人」だと戦い方のスパルタンぶりに反して登場初期から好感を持ったバトルヒロインでした。(最もこの辺は「最近は『暴力ヒロイン』が嫌われる傾向にあるから。」という作者の配慮も根底に有ったらしいけれど。←「NARUTO」のヒロインのサクラなんて男にも女にもワーストトップで嫌われているしな…ゲフッ!)顔の傷といい(それは「るろうに剣心」の主人公の特徴…。最もるろ剣の方では主人公を描いたら「女の子」になってしまった為に男だと判別をつけられるように敢えて十字傷を入れたらしいが。)性別が逆だったらこの人はきっとカズキを押しのけて主人公を張っていただろうと実感も出来た、女の子の割には存在感が滅茶苦茶あるヒロインでした…。

 武藤カズキ…「オレ、頑張ったんだ。でも…オレ、偽善者なのかなぁ…。」

第一話で早くも見ず知らずの女の子(斗貴子さん)の為に尊い犠牲となり(第一話から死ぬ主人公というのも珍しいよな…。)妹・まひろの遅刻減点まで引き受けてなんていい子なんだろう…と昨今の少年漫画には珍しく周りの人間思いな様に思わず感動してしまった主人公です。(その純粋培養された性格が悪人には癇に障るらしくパピヨンには「綺麗事ばかり言う偽善者」(「一番嫌いなタイプだ。」byパピヨン)とまで言われてしまっていますが…。)しかし良い子過ぎて逆にアクが薄く感じるのか、イロモノ代表のパピヨン以下濃過ぎるキャラクターが周りに集中してしまっているせいか(多分後者だな。)人気投票ではヒロインに負けてしまったり、ネット上でも存在感があまり無い主人公(だから周りが濃過ぎるんだってば!)と評されていたり、辿る運命の割には(主に「るろうに剣心」との比較もあってだろうけれど。)結構な言われようで、ちょっと同情してしまったものでした。いかん、頑張れカズキ!(和月先生風に。)

 パピヨン(蝶野攻爵)…蝶野「自分はのうのうと生き返って、お前は俺にこのまま死ねと?病という運命を受け入れて死んでしまえと?」
カズキ「で、作ったホムンクルス一体につき一人の犠牲だけで20人。エサとして更なる犠牲者…犠牲者だらけだ!」
斗貴子「死んでしまえ!」

最初に出てきた猿のアジトにも相当数の人骨があったし、ホムンクルスの素体にされた人間の精神(魂)だって潰している事を考えると何、一回死んだ事で綺麗に清算されたかのようにふるまっているんだ!とツッコミを入れたくなる位の大量殺人者なのですが…正直ここまで我を通して、周りからの非難も屁とも思わず、たった一人になっても一切の迷いも持たずに目的に向かって邁進するその姿勢はいっそ好感が持てると逆にポイントが高くなった主要登場人物でした。(個人的に。)親分風気取りながらも「取り巻きがいないと何もできない人間」(偉そうなことを言っているけれど何をやるにもパシリ任せで「自分」では何もできない人間。)はよくいるけれど、どこにも味方がいなくても自分を貫ける信念の人はなかなかいない(たとえその信念が「他人を糧とする事をも厭わず、己が生き延びる為だけに独走する」という間違ったものであっても、そこまでする根性とエネルギーは見上げたもの、というか…。)とその信念の強さだけは買ったものです。(「善でも、悪でも、最後まで貫き通せた信念に偽りなどは何一つない!」byブラボー)結果としてカズキにやられて死んだはずの彼がしゃあしゃあと生き延びた事に関しては賛否両論ありそうですが、これでカズキは「偽善者」になっても「殺人犯」にはならずに済んだ訳で個人的には色々な意味で嬉しかったのですが…あの胸板ほぼ見えのパピヨンスーツといい、パンツ一丁姿(しかも黒ブリーフ)といい彼のセクシャルバイオレットなオシャレについて行けなかった読者も結構いた様子で人気もあった反面、彼を恰好だけでキモい!と判断する読者も多かったらしいです…。(そんな個性的な所が大好きだったんですが。)

 鷲尾…鷲尾「創造主は私の命の恩人。一度死んだ私に新しい命と力を下さった。今、その方の命がかかっているのだ!邪魔立ては許さん!」
カズキ「蝶野はお前達を実験材料としてしか見ていない。他人の命は全部ないがしろにして、死ぬ恐怖から免れて自分が生きる事しか考えていない。」

「死を恐れる」のも「生きたいと願う」のも生物の本能で創造主の行為は間違っていない!(他人を蹴落としてまで自分が生きたいというのが人間の、そして生物全ての本能だ。)というのはある意味では正解でしょうが…それよりも何よりも自分が創造主にとって実験動物並のどうでもいい存在だという事実関係(「目的を果たせないなら、ただの役立たずだ。」by蝶野)に思う所は無いのか…と涙ながらにツッコミを入れてしまったものでした。(「そんな奴でも命の恩人である事実に変わりは無い!」って言いそうだけどね…。)ちなみに元々の人間版鷲尾はひ弱な蝶野を鍛える為のトレーナーで別に何も悪い事はしていなかったのに逆恨みでホムンクルスにされたそうで(というか蝶野作ホムンクルスの犠牲に選ばれた人間の大半はそんな感じだな…。)人間側も動物側もどっちも哀れな扱い方をされたな、と密やかに同情したキャラクターでもありました…。

 蝶野次郎…「蝶野の家に生まれたのに1年遅かっただけで後はずーっと『兄さんの予備』扱い!名前だって曾々爺ちゃんにちなんだ由緒ある『爵』の一文字をつけて貰えず至って普通!兄さんが発病するまで、僕がずーっと地を這うイモ虫だったんだ!」

良かったじゃん、「次爵」とかのS極やN極がついているような石の名前(それは磁石だ。)じゃなくて、普通に無難に「次郎」という名前で…というツッコミは彼には届かないらしいです。とはいえ兄貴よりも出来が良い成績を修めていれば、あの父親の事だから、もっと早くに次男を格上げしたでしょうに(最もIQ230の化け物並の頭をした兄に打ち勝つのはまず不可能だろうが。)「普通の生活」に文句を言いながらも、枠からはみ出てまで人並み外れた事を成し遂げようとはしなかった…辺りが兄に負けた部分なのだろうなと頭以外の部分でも敗因が見えた弟君でした。ちなみにパピヨンが言っている彼の味の評価(「悪魔のように黒く、地獄のように熱く、接吻のように甘い…これが人間の味か。」byパピヨン)はフランスの元外相タレーランの「美味しいコーヒー」を評したセリフだそうで「そうか、次郎君はコーヒー味か。言われてみれば確かに『ブラック』な子だったもんな…。」と妙な納得もしてしまったものでした…ゲフッ!

 ドクトル・バタフライ(蝶野爆爵)…「パピヨンは蝶は蝶でも、私と違い1人では高くも遠くへも飛べない出来損ない。それでも一応はホムンクルスだから私がお情けで『保護してやってる』のさ。」

ヒントを貰いながらも独力で研究を完成させた曾々孫・パピヨンの成果を認めてくれた…訳ではなく、助けてくれたのは修復フラスコの効果を証明する為の「実験素材」に使いたかったからで、仲間に引き入れてからも決して信用した訳ではなく見下していた(「所詮アイツは私の研究を使いながらも不完全なホムンクルスにしかなれなかった愚図。」by爆爵。)というのが、パピヨンの痛い所です。(所詮、あの親父と弟に連なるDNAを持ったご先祖様だからな。「エリート街道を外れた身内」は評価に値しない存在なのだろう…。)結果として「飼い犬」に手を噛まれた(どころか下剋上を果たされた。)のも逆に見下されたのも納得の展開でしたが…それよりも何よりも鬚といい、服といい、この一族のセンスの悪さ(ある意味で個性)に度肝を抜かれたお爺ちゃんでした。パピヨンも見下されながらもオシャレな服だけは気に入った様子(以来、アレが彼の一張羅となる。)で、やっぱり血筋なのか…と改めて頷かせて貰ったご一族でした…ゲフッ!ちなみにドクトルはドイツ語でバタフライは英語だけど、ついでに言えばパピヨンはフランス語だけど、気にしない、気にしない…。(「お願い、気にしないで…。」by和月先生)

 早坂秋水&桜花先輩…桜花先輩「私達の望みはたった一つ。ホムンクルスになって死ですら別てない命を得て、2人だけの世界で共に生きていくこと…。」
斗貴子「言いたい事はそれで終わりか。自分達が一番不幸だと思っているのなら別にそれで構わない。だが、貴様達がホムンクルスになって人に不幸を振り撒く真似は絶対に許さない!」

比べてみれば、偽物(誘拐犯)だったとはいえ「母親」と温かい家庭を営んだ記憶があって、実の両親に疎まれながらも「普通の家」で暮らすチャンスもあって(逃げ出したのは双子の勝手。冷静に考えれば母親に「あんな女が3年も育てた子達なんて、もう私の子じゃないわよ!」と言われる「罵声だけで済む生活」の方が、脱落すれば食われる「子飼いの信奉者」となるよりも幾分は得だったろう。)双子の片割れである「身内」も生き残って側にいる…辺りは一家全員どころかご近所の人達まで食われて、その精神的ショックから家族との記憶まで失くしてしまった斗貴子さんよりは不幸ではないのでは?(後は赤ん坊の頃に家族を食われて「家族との記憶」すら作れなかった錬金戦団の剛太とかね…。)とツッコミも入れてしまったものでした。秋水先輩の得意技が逆胴(左胴。「本来なら侍の二本差しが邪魔して斬っても致命傷にはなりにくい箇所。現代剣道に於いてもその辺を考慮に入れて最も判定が厳しく一本が取りにくくなっている。けど裏返せば相手が最も油断していて上段者にとっては絶好の狙い場所にもなり得るとか。」by六舛)だったり、剣道関連の技が出て来た辺りはやっぱり「るろうに剣心」の作者なんだなあ~と微妙な所で嬉しくも感じたもので、最後「2人だけの世界」から互いに違う道へと歩み始めた辺りは成長したのでしょうが、高校生にもなって武者修行の旅に出るのはどうなのか(それはそれで良いけれど、いくら腕を上げても剣道で食ってはいけないよ…。)大学へ進む道を選んだ姉の方が腹黒い分、きちんと将来を見据えた選択ができていたな、と進んだ道の違いにも頷いてしまった2人でした…。

武装錬金⑥~⑩

2011.04.20
 「これが自分にとっての最後の少年漫画作品になるかもしれない」と考えてやりたいと思っていた事のありったけをぶつけた一年半、体力の消耗が激しく一冬に4回も風邪を引いたとか、疲労困憊のあまり約30年ぶりに寝小便を漏らしたとか(サラ金で働く女性があまりの疲労とストレスでトイレにも行けず、紙パンツを履きながら過ごし、遊ぶ余裕なんて無いせいで友達も、そして彼氏もいなくなったという話を思い出しました…。)打ち切りの報せを聞いて、誰とも会いたくなくて一晩だけ箱根の温泉に逃げたとか、それでも何が何でもこの作品は最後まで描きたいとあがいて60ページを超える読切&描き下ろしの形で何とか終わらせた事とか、読んでいると血の叫びが聞こえてきそうな後書きと共に、作者が本当にこの作品を愛してくれていたことが伝わってきて、何と言うか感慨深い思いが込み上げてきたものでした。(そしてやっぱり漫画家は「ただ漫画描くのが好き」な程度ではなく「この人にこのまま漫画を描かせていたら心身共に限界を迎えて死んでしまうのではなかろうか?」と思われるほど「必死になれる人」でないとなれない物なんだなあ、と改めて感じたものでした。)そんな訳で良い意味で「イロモノ」だったこの作品(変態ばかりが目につく作品ではあるが、それさえ気にならなければ面白い…はず。)もいよいよ(残念ながら)完結です。

 津村斗貴子…「キミが死ぬ時が私が死ぬ時。いや…キミと一緒に生きていく。もう離れない。キミと私は一心同体だ。」

本当はこのシーン、ヴィクターとシルバースキンが抱き合うという非常にむさくるしい絵(正しくは、怪物化したカズキとシルバースキンに身を包んだ斗貴子。)になるはずだったのですが、↑のセリフの元でラブラブマックスになる場面でそんな絵はアウトだろう(いくらコメディと言っても外し過ぎるのもいかがなものかと思う。)という良識的な判断から制服を着たカズキと斗貴子という「イメージ画像」で送られる事となりました。(「え~、裸じゃないの~?」by黒崎先生)雑誌終了時にはカズキの唇を奪い(注・合意の上です。)読み切り(補足完結)版の扉絵ではウエディングドレスまで着て(結婚かよ!)幸せに終わっていた彼女。この物語は日常を奪われて「非日常の世界」(戦士の世界)の中で生きてきた彼女がカズキと手を取って「日常の世界」に戻っていく話でもあったそうでバカップルぶりと合わせて素直に祝福出来た終わり方でした。おめでとう、斗貴子さん!

 武藤カズキ…「オレが皆を守るから、誰かオレを守ってくれ…!」

随分とパワーインフレはしたけれど(インフレが過ぎて危うく人間を辞めた存在になり果てる所だったけれど。)この子の内面はやっぱり初めて登場した時と同じ「普通の心の優しい男の子」のまま(斗貴子達「戦士」のように元々の精神がスパルタン的に「強い」訳ではなく周りの人達の為に、ただやせがまんしてるだけ。メンタルは実は一般人並み。)なんだなあ…という妙に当たり前の事を実感させてくれたセリフでした。(「俺が皆を守る」けれど、本当は「俺だって怖い」のね…。)それがヴィクターでもパピヨンでも、誰でも彼でも救いたいなんて甘っちょろい理想論ばかり言うのに不快な所が全然無いのは、当の彼の人の良さに起因する事でもあるのでしょうね。(パピヨンには「前にも増して大層な偽善者ぶりだ。」と言われてしまっていますが…。)最後は結局誰も彼も助かって斗貴子さんまで日常の世界へ連れ込めた、まさしく彼の頑張りが実を結んだ終わり方には拍手ばかりが出た話でした…。

 パピヨン(蝶野攻爵)…カズキ「死んだ命をしっかり弔って、これで全部終わりにしよう。お前の名前は俺がずっと覚えている。お前の正体もずっとずっと覚えている。だから新しい命と名前で新しい世界を生きてくれ。」

ホムンクルスになる人間のほとんどが「嫌々、無理矢理そんな体にされた」(人間の世界に未練タラタラで「出来る事なら人間に戻りたい」その感情が食人衝動として表れている)反面、パピヨンの場合は「自分の意志で心から望んでそんな体になった」(始めから人間社会に何の未練も持たなかったから、別に人間を食べなくても禁断症状が出ない)のでホムンクルスとしては欠陥品(病気の症状はそのまんま。)でも、脱・人間は完全に果たした新しい存在になった様子です。とはいえ「動物実験」の段階までにも数多の犠牲者を出し、超人になった直後には弟以下、何十人と食いまくった後になって食欲が無くなったというだけで全てが許されていいのか?(親殺しでもあるよな、この男。)というツッコミは入ってしまったものでした。2巻死亡時、家族や部下ですら彼の存在を忘れ去っており父親にさえ名前を呼んで貰えなかった(「なあんだ。蝶野攻爵は今夜ではなく、とっくの昔に死んでいた訳か…。」by蝶野)最後を考えると多くの人に愛を込めて名前を呼んで貰っている今は嬉しい限りなのですが、一般的価値観から考えるとそこまで「過去」を捨て去って良かったもんかなあ(むしろ捨てるべきはマスクと衣装だろ!)とも言われている主要登場人物でした。(蝶・素敵な水着といい、彼のそういう突き抜けている所が大好きだったのですが。)

 キャプテン・ブラボー(防人)…「最後まで貫き通せた信念に偽りなどは何一つない。俺の信念は一人でも多くの命を守ること。その為なら仲間(カズキ)殺しも厭わない。俺は悪にでもなる。」

まさかの上司の離反(いや、組織の一員である彼の立場からしてみれば妥当な判断ではあるのだが。)には、それまでの関係が良好だっただけに、海水浴でも良いコンビを見せてくれていただけに(…まさか「最後の思い出」になるように、という嫌な方向での仏心だったのだろうか?)タイトル同様「Say it not so,Bravo!」(嘘だと言ってよ、ブラボー!)と思わず胸の内で叫んでしまった展開でした。その後、和解して主人公達を炎から庇って燃え尽きた(尽きてません!)終わり方には、その回のタイトル「GONE INTO FLAME」(炎と共に去りぬ。)通りに死んでしまったのかと焦ったり…なんだかタイトル通りに踊らされた記憶ばかりが生々しい登場人物です。ちなみに彼のコート(シルバースキン)は実は武装錬金(武器)だったというオチがありましたが「伊達や酔狂でこんな変な恰好をしているとでも思ったか?」「思ってた!」のネタに地味に笑わせて貰ったものでした。(味方にまで…。)

 中村剛太…斗貴子「君と私は一心同体。君が死ぬ時が私が死ぬ時だ!」
カズキ「分かったよ。でも一方通行の一心同体なんかゴメンだ。だから斗貴子さんが死ぬ時がオレが死ぬ時だ!」
剛太「もうダメ。ストロベリー過ぎて…立てね。」

斗貴子さん、公衆の面前でも全く構わずカズキにプロポーズしたのは最高だが「その他大勢」にされた人間の気持ちも考えるべきだ。剛太くん、きっと傷ついたぞ(その前には人工呼吸にかこつけて危うく「目の前」でキスシーンを繰り広げてしまう所だったし…。)と、思わず語りかけてしまった3角関係の様でした…。「恋の為(だけ?)に動くキャラクター」という設定は始めから揺るがなかったものの、当初は惚れる相手は斗貴子でなくカズキの妹・まひろの予定だったそうで(全然接点の無い2人=惚れた理由は一目惚れという顔だけの上っつらな判断でなされたもの…って凄くつまらないし共感もできないから現在の方向に変更されて本当に良かったと思えた。)おかげで初恋だって実らなかったものの、熱い友情の元に立派に成長し、それに周りの女(ちーちゃん)も気づき始めている(大丈夫。本当に良い男は「女1人」に振られても別の女10人にモテルから!←本当か?)現在が、ちょっと嬉しく感じる今日この頃な彼でした。

 ヴィクター…ヴィクター「アレキサンドリア…母さんは、最期に何と?」
ヴィクトリア「ママはいつまでもパパのこと愛していたって…。」

「今」ある白い核鉄は1個だけ。とてもカズキが人間でいられるタイムリミットである25日後までにヴィクター分と合わせてもう一個作れる時間は無い…なら、締め切り伸ばせばいいんじゃんという考えてみれば結構簡単な解決方法(2者択一でなく時間差で一つずつ解決できる問題にした。意外と盲点だが柔軟で役立つ考え方である。)で人間に戻れたラスボスです。奥さんとの再会は果たせなかったけれど(100年以上経っちゃっていたからなあ…。)娘の方はホムンクルス化していたおかげで認知症になる事も無く別れた頃とほぼそのままに親子生活が再開できていますし(これで娘がもし「普通の人間」のままだったら、ヴィクターはせっかく人間に戻るも自分よりはるかに年老いた娘(ババア)の介護に追われ、妻の最期の言葉を聞くどころか日常会話すらマトモに成り立たないという悲劇が待っていた。合掌。)化物のままなのは相変わらずだけれど、共に暮らせる家族が出来て、同じ立場の仲間(蝶野作ホムンクルスの皆さん)も増えて、多分、今の彼らは幸せなんだろうな、と人間社会に戻れなかった点を差し引いても「救いが持てた終わり方」に感じた結末でした…。

 読切「エンバーミング」…リトル・ロゼ「執事さんは随分と人造人間にご執心ですね。マリゴールドが僕達、壊し屋を呼んだ事、博士の卵という僕の表向きの触れ込み、全部死体卿に筒抜けでした。実際にその目で見た人造人間はそれほど魅力的でしたか?主人を裏切って敵に取り入る程に。」

情報ダダ漏れ=味方の中に内通者がいるという事であり、両足を切断されて思うように出歩くことすらできないマリゴールドお嬢様を普通に除外すれば自ずと「犯人」は見えてくる(執事以外の誰にも、そんな真似は出来ない。お嬢様が最後まで知らなかったのが救いだったが、彼こそが自分の両親を売り渡した裏切り者であり、死体卿に良い顔をしてゴマをすっていたコウモリ野郎だった。)という事だったのでしょうね。アフターケアも万全なのか、進んで人造人間に関わる悪人は全滅させるのがリトル・ロゼの組織のポリシーなのか、彼にもきっちりと制裁を加えてくれていた様には心から拍手したものでした。ちなみに元の話(メアリー・シェリー著「フランケンシュタイン」)は天才学生ヴィクトル・フランケンシュタインによって作られた人造人間(名前すら与えられなかった。)が作るだけ作って捨てられたのを恨んで、引っ越し先まで追いかけてきて「一緒に暮らしてくれとは言いません。だから、せめて嫁さん下さい。そうすれば2人仲良くひっそりと生きていきます。」「冗談じゃない!1人だけでも殺人事件を起こしまくった迷惑野郎なのに、これ以上増やせるか!」と決裂し、最後は北極で共倒れみたいな形で終わった…という話なので、主人公ジョン・ドゥが「自分と同じ人造人間の花嫁」が目的というのにも原典を知っている人間としては納得できた話です。(なるほど、生みの親にまで拒絶されて迫害され続けた記憶なんて「失っている」方がまだ幸せかもしれないな…。)そんな原作を知る人間としては関連項目が多いという点で2度美味しい思いを味わえた話でした…。

ダークマン

2011.04.19
 子供の頃、オペラ座の怪人と見まがうような「醜い姿の主人公」と「人工皮膚を使っての変装」を面白く感じながら見た覚えが有り、それなりにヒットした名作なのに何故、棚のどこを探しても無いんだ…と思ったら、この映画はホラー物ではなくてアクション物だったというオチがありました。あんな顔なのに…(←人間は顔じゃないんだ!)と驚きながらも、ようやく見つけた事を喜びながら、弟も巻き込んで、久しぶりの視聴を楽しんだものです。

 科学者ペイトン・ウェストレイク(リーアム・ニーソン)…リック「アンタ達を襲った奴の名はデュラン!取引先も教えた!もう辞めてくれ!何もかも話したんだ!」
ペイトン「分かっているよ、リック。だが許さない。」

将来、大ブレイクする「96時間」シリーズでも同じような事を言っていたな(「信じてくれ!知ってる事は全部、話したんだ!」「信じるよ。だが容赦はしない。」by96時間)と実感すると同時に、若い頃から「こんな可哀想な男の役」をやっていたのか…!(ハマり過ぎてて涙が出そうなんですけど!)とリーアム・ニーソンの名演技に、知らず拍手してしまいました。人工皮膚を使っての「完璧な変装」で相手方を翻弄しながら罠に嵌めていくという面白いアイディアを別にすれば、尻の軽いバカ女の為に苦労しながら復讐していくという物語の内容が96時間の話の骨子と全く同じで非常に楽しめたものです。彼が「邪悪な怪物」になってしまったのは醜く崩れた素顔のせいでも仮面(人工皮膚)のせいでもなく、火傷治療の副作用(脊髄視床路を切断した為に起こった精神の枯渇。…もっと言っちゃえば、こんな事態を招いたジュリーのせい。)なのですが、自分のせいだと勘違いしてるペイトンが、そのまま人間として生きるのを辞めてしまったのが悲しく感じた結末でした…。

 恋人ジュリー・ヘイスティングス(フランシス・マクドーマンド)…「私はあなたの力になりたい。力になれるわ。もう何も隠さないで。」

ちなみに、そんな事を言っている彼女がした事は、賄賂の証拠となるメモを彼と同棲している自宅に置きっぱなしにした為に彼をギャングに急襲される機会を呼び込み(つまり、ペイトンがあんな体になる原因を作ったのはこの人。)、上司にわざわざ彼ら一味を襲っている犯人を教え(犯人が分かれば、その恋人を尾行すれば居場所を特定するのは簡単である。)、高層ビルでの決戦でも手錠で鉄骨にぶら下がり注意を逸らさせた(一番大事なこんな時に…!)、という「役に立つ」どころか「彼の力を削いでいる」だけの存在(そもそもペイトンが酷い目に遭ったのは大体この人のせい。)で、この女性と一緒にいたら命がいくつあっても足りやしないと思ったのか、最後は邪魔者は全部消えたはずなのに、彼が選んだのは「彼女との別れ」でした。最も上司ルイスの事といい、尻は軽い女性の様子なので、すぐに新しい恋人を見つけそうな気はしますが…。

 ロバート・G・デュラン(ラリー・ドレイク)…コンビニ店員「待てよ、兄弟。撃ち殺さないでくれ。」
ペイトン「兄弟じゃない。デュランだ。ロバート・G・デュラン。」(カメラ目線)

コンビニ強盗をしながら、何でこの人は覆面もせずに顔丸出しでやって来て、わざわざ監視カメラに近付いて、いちいちフルネームまで名乗っているんだ?(普通は全部、隠す所だろ?)と思ったら、これは彼を警察に拘束して身動き取れなくする為のペイトンのトリックだった(「コンビニ強盗!?俺は何もやってない!」「ハァ!?監視カメラにバッチリあなたの顔が映ってるんですよ?」「お前らは俺の言葉より、目を信じるのか!」←当たり前です。by映画「シカゴ」のネタ)というオチが有りました。惜しむらくは、せっかく警察で捕まえたのに、叩けばいくらでも埃が出るであろうギャングなのに(ていうか拘留を良い事に色々取り調べてしまえば良いのに!)単なる強盗(軽犯罪)としてサッサと釈放してしまい、思いのほか早くに本人が取引現場に現れてしまった事ですかね。(まあ、金もコネもある男だからブタ箱から出る事位、造作もない事だったのでしょうが…。)同じ顔なのを良い事に、どちらも本人のフリをして「撃て!」「殺せ!」「…どっちを!?」という展開になったのにはお約束とはいえ笑ってしまったものでした…。

 上司ルイス・ストラック(コリン・フリールズ)…ルイス「ジュリー、大きな見方をしろ。この開発を見ろ、君と私で作る都市だ。邪魔はさせないし、私達の間に何の感情も無かったとは言えまい。今もある。」
ジュリー「私を殺さないなら、他に用もあるので…。」
ルイス「…これまでか。」

↑のような事を言いながら彼女の肩を抱いたり、髪に顔を埋めたり、明らかに「上司と部下」を逸脱した行為を取っている(そしてジュリーの方もそんな行為を嫌がりながらも「異常」には感じてはいない。こいつら絶対ナニかあったな、と確信した。)事から察するに、ジュリーが彼とイイ仲だったのは残念ながら事実だったのでしょうね。ペイトンの仮面が出来上がる571時間=2ヶ月ちょっとの日々、2人は会う事が出来なかった→恋人が死んだと思い込んで悲しみに暮れているうちに、ルイスからの「慰め」がいつの間にか「過ち」に変わっていたという定番の流れは察して余りありますが、それにしたって恋人が死んで3ヶ月も経たないうちに、もう他の男と関係してるって、早過ぎるだろ!とジュリーにツッコミも入れてしまったものです。思えば、そんな「間男」を今のペイトンが許すはずもなかろうと高層ビルの建設現場から落っことされてしまった最後に、深く頷きもした終わり方でした…。

ベイマックス

2011.04.18
 エンドロールのアニメ絵でも灯籠祭りの提灯が出てきたり、薬味調味皿で制作者の名前が書かれたり、これでもかという位、日本文化財の姿が見られる作品です。(大体、序盤のロボットファイトにしたって、何で土鍋とカラ傘が出てくるんだ?重くて幅広の土鍋は賭け金を入れて運ぶには明らかに使い辛い代物だろうし、紙の傘より板の方が平らで実用的だと思うんだが。)パンフレットの表紙の絵ように「アナと雪の女王」のような「感動のハートフルストーリー」なのかと思いきや(いや、その要素も有ったけれど。)中身は思いっきりアクション映画で、アメリカでの宣伝絵との違いとも合わせて「騙された…!」とも感じた映画でした。

 浜田飛呂(ヒロ・ハマダ)…「まさかスーパーヒーローになるなんて、本当に何が起きるか分からないよね。沢山の人を助けたいという兄さんの思いを胸に、僕達は進んでいく。ベイマックスと共に!」

確かに学校にも行かず、裏ロボットファイトで危険な目に遭いながら自堕落な生活を過ごしていた序盤に比べると彼は変わった。けれどここまで変わり果てる事も無かったんじゃ…ないかな~(まさか、大学生にもなってスーパーヒーローになるなんて…。いやいや仮面ライダーとかでも「中の人」は立派にいい歳をした大人が演じている事は分かっちゃいるのだが。)と思えて、大体皆、思いっきり顔出ししながら活躍しているのに何で正体がバレないんだ?(仮面ライダーのようにフルフェイスの昆虫マスクかぶってます、とかだったら「正体不明の謎のヒーロー」であり続けるだろうけれど、顔見りゃ一発じゃないですか!)という疑問と合わせて、ちょっと微妙に感じた結末でした。まあ本人も充実しているらしいし、人助けにもなっているらしいですし、良かった事ではあるんですけどね。

 浜田義(タダシ・ハマダ)…ベイマックス「タダシはとても健康でした。もっと長生きできたはずです。」
ヒロ「仕方ないよ、事故なんだし…でも、事故じゃなかったら?会場でマイクロボットを盗んで、証拠を隠す為に火を付けたなら?そのせいで兄さんは死んだんだ!あいつを捕まえてやる!」

ちなみに、この兄貴は原作には存在もしないオリジナルキャラクターであり、その点を踏まえても原作通りに「いなくなる運命」は始めから決まっていた物と思われます。真面目を絵にかいたような性格で、死んだ時も恩師を助けようとして自滅した(当の教授はマイクロボットを使って、1人勝手に助かっていたというのに。)という、どこまでもいい奴な死に様で、余計にヒロが教授(原因人物)に殺意を抱いた気持ちが分かったものでした。(「あんな極悪野郎の為に命を落とすなんて!」「だからこそタダシは立派なんですよ。」by私的妄想会話)結果的に火事の事は本当に「ただの事故」であり、教授は殺人犯ではなかった訳ですが、その偶然の事故を良い事に火事場ドロボーに走ったのは確かであり、発明品がヒロの物であった事も含めて「仕方ない」で許せる事象かな?と少し考えてもしまったものでした。ぶっちゃけ、教授の娘のアビゲイルの方は無事だったのに、何でこの兄貴の方は死んだままなんだ…という残念な気持ちも残っています。

 キャラハン教授…キャラハン「爆破事故の時、君のマイクロボットがあったおかげで助かった。」
ヒロ「じゃあ兄さんは?見殺しにしたの?あなたを助けにいったのに!」
キャラハン「バカな奴だ。余計な事をするからだ!」
ヒロ「ベイマックス、殺れ。」

アンタ、ヒロと同じく「大切な人を失った経験」を持ちながら、「故人を冒涜する」なんて遺族の逆鱗に確実に触れる言葉をどうして吐いてしまうんだ…と、大人のくせに場の空気を全然読めていない彼(大体、頼みの綱のマイクロボットを操るマスクが外れた状態で、科学武器を搭載したヒーロー6人に囲まれた多勢に無勢の人員差で、何で相手側を怒らせるような事を言っちゃうんだ?)に思わずツッコミを入れてしまったものでした。最終的に彼の愛娘アビゲイルは異世界で無事に生きており、教授本人は建築物破壊と度重なる殺人未遂、マイクロボットの窃盗・無断増産と数多の罪で逮捕されたものの、娘との再会を予感させる形で話は終わるのですが、娘が死んだと思いこんで自棄を起こしたとはいえ知らない間に、こんな事までしでかしてしまった親父を娘は一体どんな目で見るのか?再会した後も一悶着あるだろうなとも予感してしまった私でした…。

 ベイマックス…ベイマックス「ロケットパンチを使えばあなた達2人は助けられます。言われない限り離れられないので『ベイマックス、もう大丈夫だよ』と言って下さい。あなたは、もう大丈夫です。」
ヒロ「そんな、嫌だ!ベイマックスまで、いなくなるなんて!」
ベイマックス「ヒロ、私はいつも一緒にいます。」

だって握ったその手の中にはデータカードが…(いつの間にそんな事をしたのやら、ともあれ無駄に「永遠の別れ」のようなシーンに演出しないで、始めからネタばれしてやれよ。)という、どんでん返しオチに吹いたと同時に拍手したものでした。(そこで、データカードがあったとはいえ、徹夜で84回以上も失敗しながら作り上げた兄貴と違って、日も暮れないうちに、わずか1シーンで作り上げたヒロはやっぱり天才だったんだろうな。)ちなみに、このロボ、弟情報によると神社の鈴を模した顔以下、フワフワ・プニプニした癒し系の可愛らしい外見は映画スタッフが作り上げたオリジナルデザインであり原作ではドラゴン風のいかつい顔をしたオッサン…もとい人工生命体だったそうで、原作を読んだら確実に夢が壊れるな、とここでも認識を新たにしたものでした。(うん、オッサンの外見でヨチヨチ歩きしたりする所作は見るに耐えないし、「人間は中身だ」とはいえ、やっぱり「外見に合わせた言動」って大切だと思うの…。)

ジャファーの逆襲

2011.04.17
 ディズニー映画「アラジン」の続編です。ビデオ版オンリーの作品として映画館で公開はされなかったものの(やっぱり1作目に比べると落ちる面はあるものの)、同じ雰囲気、同じキャラクターの元で織りなす相変わらずの話に「番外編」としては充分に面白く感じた作品でした。「アラジン3部作」としてまだ続編は有るらしいですが、今作で(バカ過ぎるという意味で)魅力的な敵役のジャファーも完全に消滅してしまったし、口コミを見る限り2作目よりも評価は低いし、私のアラジン記はここまでとしておく事にします…。

 アラジン…ジャスミン「やっぱり隠し事をしていたのね!嘘つき!酷いわ、また秘密、また嘘!アラジン、変わってくれたと信じていたのに…!」

恋に夢見てる所、悪いですがどんな男であれ「今、見ている彼の姿」は変わりません。貴女と婚約しようが、結婚しようが、子供が産まれようが「そのまま」です。(むしろ、結婚したり、子供を作ったり女性が「地盤を固めた」事で、突然に愛に目覚めて、唐突に恋人を大切にし始めた男の話はあまり聞かない。)恋人が妄想通りになってくれなかった事に不満を感じる前に、その点は貴女だってお互い様(貴女だって「恋人の為に変わった」部分は一つもありません。)なのだし、非難しても仕方ない点であるように感じた私でした。恋なんて皆、思いこみや錯覚が大部分を占めている物。理想が裏切られたその時は「妄想通りでなかった恋人も見方を変えればまた素敵」だと思うか「もっと妄想に近い人を探す」か、じっくりと考えてみるべきで相手に理想(という名の妄想)を強要するのは違うだろう、とツッコミを入れてしまったものでした。(大体、理想を押し付けた所で人間はそうそう変われる物でもないし。)ラブラブハッピーエンドという、お約束通りに仲直りはしていましたけどね。

 イアーゴ…「いいようにこき使われて、お礼も言われない。餌の代わりに砂埃。もう自分1人で生きていく。自由になって羽ばたくのさ、これからは!」

かつて鳥籠から自分を買ってくれたのは他ならぬジャファーだったとはいえ、砂漠深くに埋もれた中からランプの精でも何でもない(本来全く関係の無い)自分が手作業で砂から這い出す仕事を(ノーギャラで)強要され、お礼どころか文句を言われ、それに文句を言い返したら攻撃されるというパワハラ極まりない環境に、確かに嫌な上司を見限る条件はすべて整ってしまっていたな(それはもう「かつて採用してくれたのはこの人だ」とかそういう問題ではない。昔、自分がしてあげた事を盾に取って、今、相手に好き放題して許される道理は無く、恩に着せる事自体が間違っている。)と、彼が主人(のランプ)を井戸の底に突き落とした展開に頷いたものでした。かつての敵のアラジンに寝返り、今また自分可愛さにアラジン達の事も裏切った「実に分かりやすい根っからの悪党」だからこそ、友情も美意識もどこにも無く、コンビを再結成した所で「こいつは都合が悪くなったら即座に相棒を売る奴」(戦場と違って万が一にも美談は生まれない。)とジャファーもきちんと理解していれば最後にまた裏切られてマグマの底にランプ(自分の命)を沈められる事も無かったのにね、と信頼関係ゼロの2人にツッコミを入れてしまったものでした…。

 魔人ジャファー…アビス・マル「何故、奴を救った!?岩に叩きつけりゃいいのに!」
ジャファー「計画を話しただろう。あのドブネズミは楽には死なせない。」

そんな殺し方にこだわらずにサッサと息の根を止めておけば、詰めの甘さから今回も失敗する事は無かったでしょうにね…。(「過程」ではなく「結果」を出す事こそが大事なのである。と言うか大人になったらどんな仕事でも結果を出さない限り認められない。それが世の中というものだ。)と、今作でもアラジンを殺すチャンスはあったのに、妙なプライドからスルーした為に自滅する羽目になった最後には、これで今度こそ復活できなくなった点と合わせて「…。」としか思えなかったものでした。彼がトップに立つチャンスは何度もあったのに(前作でも蛇になって締めつけた際「何だよ、ジーニーの二の次のくせに!」「それがどうした!?」「ギャアァァ!」とそのまま絞め殺していれば、今頃はアグラバーの王様だった。)後先を考えないで行動してしまう彼の性格に問題が有り過ぎたな、とランプと一緒に消滅した最後に溜め息しか出なかったものです。合掌。

 盗賊アビス・マル…ジャファー「沈没船の財宝に巨大な宝石etc…もう充分、満足しただろう?私の自由を願ってくれるな?」
アビス・マル「お前を自由にした途端、宝が消えたら?凄んでも魔人に『殺し』はできないだろ?」
ジャファー「別の疑問もあるぞ、『一生、車椅子の生活になりたいのか?』という事だ。」

現実に、底意地の悪いジャファーの性格を考えると自由の身になった所で確実に↑のような嫌がらせに走る(実際、一つ目の願いで「沈没船」が眠る海底に引きずり込み、溺死しそうになった所で「砂漠に帰る」願い事をさせたり、3つしかない願いを2つも無駄に使わせている。無料サービスをしてくれたジーニーとはえらい違いだ。)ことは想像に難くなく、その辺はさすがのマイナーキャラ(ケチな盗賊)でも学習能力があったのでしょうね。ランプの精には「誰も殺せない」という制約はあるものの「重傷を負わせる」事は出来る(というより、誰も願っていないのにジーニーもジャファーも洞窟から移動したり、地割れを起こしたり、盗賊団に変身したり、結構好き放題に魔力を使っている。主人が願わない限り魔法は使えないという制約は無いのか。)らしく、主人のはずなのにいつも尻に轢かれている彼。結局、願いは一つも叶わなかった(1、2つ目の願いは無駄にされ、3つ目の願いを願う前にアラジン達にランプを壊された。)様と合わせて、ちょっと同情もしてしまったものでした…。

アラジン

2011.04.16
 その有名過ぎるテーマソング「ホール ニュー ワールド」は他の映画を制してアカデミー賞を獲ってしまったそうで、映画を見たことは無くともメインテーマは聞いた事がある方は多いと思われます。(ディズニーランドでも時に流れているそうですし。)ディズニー「90年代黄金期」の作品の一つでゲーム化もされたり、ビデオシリーズで3部作化されたり、人気の作品ですが、年端のいかない、いたいけな子供にはオープニングでラクダに乗った商人が薄暗い中を不気味なテーマソングを歌いながら歩いていく場面といい(怖いって。)、獣の頭を模った魔法の洞窟が序盤にして商人を食い殺している場面(爆)といい、「入り辛い作品」にはなってしまっているそうです…。

 アラジン…アラジン「一緒に魔法のじゅうたんに乗ってみないか?宮殿を抜け出して外の世界へ。」
ジャスミン「平気なの?」
アラジン「僕を信じろ。(trust me)」

「本当に辺野古沖に米軍基地を作る気あるんだろうな?」「俺を信じてくれよ。(trust me)」と言っておきながら、地元住民にも良い顔して「もちろんあなた達が反対するように辺野古沖に基地なんか作りませんから!」と途中まで進んでいた開発計画をわざわざ頓挫させて大顰蹙を買った鳩山元首相のように「自分を信じろ」なんて言う人間は往々にして信用ならない人間である事が多い(要するに「信じられるだけの行動」を取っていない自覚もあるから口先だけの言葉を利用して騙そうとしているのであって、本当に信用に足る人物は自分でわざわざそんな事を言わない。)と魔法まで使って大嘘ついて、偽りの身分で姫をゲットした主人公の姿に変な所で頷けてしまったものでした。一応、善意(好意)から出た嘘ではありましたが、鳩山元首相のように悪気が無い分だけ却ってタチが悪いという実例もありますし、基本的に「信じてくれるかどうかは貴女次第なんだけど…」みたいな事を言う人間は頭から疑ってかかった方が良い様子です。

 ジャスミン王女…サルタン王「お前は今度の誕生日までに結婚せねばならんのだ!法律でそう決まっておる!」
ジャスミン「法律が間違っているわ。無理に結婚を押しつけないで。それに、結婚には愛がないと…。」

愛で、何とかなるのか、身分問題が?という基本的なツッコミはそこには入らないらしいです。(まあ、王宮という御殿に住む元々が財産持ちである彼女達にはアラジンというヒモの一人位、楽々養えるんでしょうが。)一応、国を治める王族の一員である彼らですが、王様は王様で玩具遊びに夢中(政務はどうした?)ですし、姫は姫で考え無しに家出して、蝶よ花よと何でもタダで与えられてきた生活環境が祟って物を手に入れるには支払い(金)が必要という一般常識も知らない有り様(彼女の顔に一目惚れしたアラジンがいなかったら家出一日目で腕を切り落とされている。)ですし、能天気で非常識なのはきっと家系なのでしょうがこんな人達がトップだからアグラバーの町の治安は悪いんだろうなと妙な所で納得がいったものでした。夫にしたアラジンも庶民の生活を知っている「気の良い男」ではあるけれど、実務能力に長けているかどうかは未知数ですし、先行き不安な王国の様です…。(だから政略的にも役立つ「王子」と結婚しろって言ってたんでしょ、王様が!)

 魔人ジーニー…「俺の望みは自由だ。どんな魔法も宝物も自由にはかなわない。…自由が無い、それが魔人の宿命なのさ。無限の力はある。だけど、お家(ランプ)が狭いの。」

本人いわく一万年もランプの中にいた(ちょっと待て。一万年前に人類は存在しないぞ。)そうで、言ってる事のどこまでが本当で、どこまでが嘘なのかはかなり眉唾物ですが、ともあれ「不自由な身」である部分には嘘は無い様子です。おかげで「2つ願いを叶えてくれたら、最後の願いで自由にしてあげるよ。」と言っていたくせに我が身可愛さに撤回し始めたアラジンには期待が高かっただけにガッカリ感が半端無かったんでしょうね。それでなくても口車に乗って無料サービスで洞窟から出してあげた(本来だったら「一つ目の願い」として魔力を使わせる所を「願うって宣誓もしてないのにアンタが勝手にやってくれたんだろ。」と騙した。ラストでもジャファーを騙して自滅させているし、アラジンはどうやら根っからの詐欺師らしい。)だけに、個人的に好意を持っていただけに、裏切られた時には理不尽を感じたと思われます。それが当然の権利で「逆らう」事は出来なくても、人間として彼が怒るのは当然、アンタに被害者面する資格は無いよ、と思わずアラジンにツッコミを入れてしまった展開でした。

 国務大臣ジャファー…アラジン「お前の力はジーニーが授けただけのもの。そうだろ、ジャファー!所詮お前は2番目って事さ!」ジャファー「その通りだ。だがそれも今だけの事。奴隷よ、3つ目の願いだ!この私を最強のジーニーにしろ!」
アラジン「何か忘れていやしないか?ジーニーになったからには彼の宿命も受け入れろ!『無限の力はあるが、家は狭い』。」

一つ目の願い→アグラバーの支配者(と言いつつ内容的には宮殿を持ち出して王と姫のわずか2名を奴隷にしただけ。町の人達はほっぽらかしだし、本人はそれで満足そうだが、かなりショボイ内容になってしまっている。)2つ目の願い→最強の魔術師(なるほど、そうすれば自分の魔力で好き放題できるし「3つしかない願い」を無闇に使う必要も無くなる訳か、と感心した。)となった所で、アラジンの甘言にまんまと乗ってジーニーにされたラストではやっぱりバカだ、この男とツッコミしか入らなかったものでした。(ジャンル別でも1位にはなっていて、それで大抵の事が思い通りになるのなら、いいじゃんか、それで。必要以上に欲張るから自滅する羽目になるんだよ。)元々、国務大臣なんて良いポスト(王様というトップではなくとも一生、何不自由なく暮らせる身分。)だったのに、それを不満に感じて支配者の地位を狙うような奴でしたし、「分をわきまえる」という考え方さえ有れば全てを失う事も無かったのにね、と白い目でしか見れなかった典型的な悪役です…。

スコーピオン・キング

2011.04.15
 映画「ハムナプトラ2」に出てきたスコーピオン・キングを主人公に据えたスピンオフ作品です。「番外編」(所詮は本編より劣る話)として見るのなら、まあ面白い話ではあったけれど、ハムナプトラほどヒットしなかった経緯を見ても分かるとおり、うちの父さんからは酷評されていた(ていうかアクションシーンばかりで寝てた。)作品でもありました。まあ、一応、史実人物を取り上げた(らしい)話ではあるし、話のネタとして1回は見てみるのも一興…ですかね。

 マサイアス(ザ・ロック)…兄「血肉にかけて、強く生きろ。」
マサイアス「死にかけて誓う、兄上。」

調べてみれば分かるのですが実はこの人、実在人物です。(紀元前3300~3100年頃、上エジプトに最初の王国を築いた人物。サソリの紋章から通称スコルピオン1世(スコーピオン・キング)と呼ばれている。)が、エジプトの王様が何で外国人(アッカド人)なんだとか、何で彼の前に王様(予言士を傍に侍らせたメムノーン王)がいるんだとか、ヒロインのカサンドラはエジプトじゃなくてギリシャ神話に出てくる予言者だろ(「愛してるよ、カサンドラ王女。私の愛を受け入れてくれるのなら国の大事も分かるほどの大いなる予言の力を授けよう。」「すいません、アポロン様。貰うだけは貰ったけど、その力で貴方は将来、私に飽きると出たので恋人にはなれません。」「ハァ!?まだ何もしてないのに何それ!じゃあお前の予言は『誰も信じない』ように呪いをかけてやる!」という経緯の元、トロイア戦争の悲劇が起こり彼女の国は滅びた。)とか、数々のツッコミの元にこの話は全くのフィクションだという事が分かります。という訳で信じてはいけない話です。(もう「歴史映画」ではなく、ほとんど「ザ・ロックを前面に押し出す為の映画」になっているからな、この話…。)

 相棒(コンラッド・ロバーツ)…「ラクダだってコブの『大きさ』で選ばないだろ?テクニックと持久力が大事なんだ。」

「5カ国語で祈りを捧げるから許してくれ!」「うるさい!死ね!馬泥棒が!」という初対面といい、パシリ扱いで良いように使われても美味しい思いが出来るとなるとホイホイと乗る性格といい、この人よもや「ハムナプトラ」に出てきた調子の良い小悪党(ベニー)の先祖じゃないだろうな(あの男もイムホテップ相手に何カ国語も駆使して祈りを捧げ、その中にユダヤ教の祈りがあった為に奴隷扱いされる事で助かったんだよな。←聖書のモーセが皆を引き連れて海を割って逃げるまで、ユダヤ人はエジプトの奴隷だったからね。)とあらぬ想像を膨らませたものでした。殴られて気絶させた相手でも、綺麗なお姉ちゃんがいる店に連れて行って貰うと↑のように有頂天になったり、どこまでもお手軽な彼。その要領の良さは確かにしぶとさに繋がったというか、おかげでこの時代でも生き残れたのだろうというか、幸せな性格だなと思ってしまった男でした…。

 メムノーン…メムノーン「やがて私が伝説の王になったその時、お前をいつも私の傍に置く。玉座でも床の中でも。」
カサンドラ「汚れれば私は予知の力を無くします。すなわち戦にも支障をきたします。」
メムノーン「その頃には、もうお前の予言も要らぬ。」

いや、だから嫌われてるんだってば…(明らかに嫌がってるじゃん!)という視聴者全員からのツッコミは彼の元には届いていません。飛んできた矢を真剣白羽取りの要領で止めたり、部下との大立ち回りで圧倒したり、周り中が認める「一番強い戦士」だからこそ王様になった彼ですが、そんな理由で王様になっただけに誰も彼を慕っていない(それこそ、彼を倒した外人・マサイアスを大歓迎して、そのまま手の平返して新しい王様に据えてしまうほどに。人柄に関しては予言士同様、皆に嫌われていたのだろう。)現実が全然見えていなかったのも思えば彼の敗因だったのでしょうね。白羽取りに自信を持って取り組むのは良いけれど、マサイアスの矢を素直に避けていれば死ぬ事も無かった(何故、真正面から、分かっていて受け止めようとする!?)展開を考えると、予言に頼って行動してきた(つまり上手くいくように自分で考えてはいない。)経緯と合わせて頭が悪かった事も伺え、溜息ばかりが出た、そんな王様でした…。

 カサンドラ…カサンドラ「平和と繁栄の時代が訪れるのが見えます。」
マサイアス「…ナニをすると力を失うのではなかったのか?」
カサンドラ「他に王から貞操を守る方法がありますか?予言士は代々こうして身を守ったのです。」

うわあ、良いように騙されて翻弄されていた王様、可哀想…(力が減らないのなら堂々と壺の蛇を当てて「疑惑」を否定してあげれば良かったのに…他の男と寝た事を自分に長年想いを寄せてきた男相手に肯定するなんて、残酷な女だ。←NG集にて、手に巻き付けた蛇が本当に噛みつきそうになり、スタッフが必死になって止めたり、別の意味でも「やばいシーン」だったそうです。)と思わず同情もしてしまったものでした。彼女いわく王様に協力して行った予言の全ては「強要されてやった」だけ(言わなきゃいいじゃん。)で幼い頃から「囚われの身」だったそうですが、アンタが行った予言のせいで自信満々に戦を行ったメムノーン王の元に大勢の人が殺されているのに、召使いにかしずかれながら花びらの浮かぶ風呂に浸かっている身分で、被害者面するか!?(王都でさえスリやかっぱらいが横行している程、皆アンタと違って日々の生活にも苦労してるんですけど!)とちょっと共感は出来なかった女性でした。力が本物(役に立つ女性)なのは認めるんですけどね…。

ハムナプトラ2~黄金のピラミッド~

2011.04.14
 原作タイトルは「MUMMY」「MUMMY2」(マミー。英語でミイラの事。)というそのまんま過ぎる題名だったのですが、それではあまりにもベタ過ぎるだろう、という事で日本では1作目の目的地である知られざる王家の墓・ハムナプトラにタイトルを変更した→続編が出た時もそのまんま「2」として銘打った模様です。(実際、今作で行くのはスコーピオン・キングのピラミッドであってハムナプトラには行かないのだが。)ビデオ版オンリーとして3作目も一応あるらしいですが、今作でイムホテップも死んでしまった(敵役は違う人に変更されている)し、私のハムナプトラ記はここまでとしておく事にします…。

 エヴリン・カナハン(レイチェル・ワイズ)…アレックス「ママ、侵入者を撃退するなんて凄い!どこで覚えたの?」
エヴリン「知らないわ。今のはパパの真似。」

1作目でも全く後先を考えずに古代エジプト遺跡(の罠や呪い)に足を突っ込む性格ではあったものの、それまでは「頭でっかちな文化系」に過ぎなかった(攻撃力は無かった。)のが、侵入した族を撃退できるほどの暴力的な女になったのには、ますます傍迷惑な女になったなと成長を喜ぶどころか微妙に思えたヒロインの様でした。自分が発掘した腕輪(つまり、また原因を作ったのはこの女な訳ね。)を息子がつけちゃった日から7日後に、腕輪の持ち主であるスコーピオン・キングが目覚め、倒さなければ世界は滅びる(また、そういう話か!)という展開には相変わらず世界レベルの迷惑を呼び込む女だなと旦那以下周りの人達の苦労が忍ばれたものです。今作に置いて実は1作目でイムホテップ達に殺されたエジプト王の娘の生まれ変わりだという事も分かった(で、思い出したショックで飛行船から落ちそうになった。どこまで危なっかしい女なんだ!)のですが、それはそれとしてアナクスナムンとの刃物を持っての「女の争い」は怖いとしか思えず、やっぱり、あんまり共感できなかったヒロインでした…。(もう本当に、息子の為にも家にいて下さい…。)

 兄ジョナサン・カナハン(ジョン・ハナー)…女「エジプトを冒険したなんて勇気があるのね。」
ジョナサン「勇気だけじゃなく、金もある。」
女「だから、ついて来たのよ。」

家に(妹のものではない)女の下着が脱ぎ捨てられている事態がしょっちゅう(つまり、幼い子供もいる妹夫婦の家に女を連れ込んで、その為のトラブルもしょっちゅう。)で、族が家に侵入した時も真っ先に疑われていた(「今度は何をした!?」「俺は何もしてないよ…最近はね。」byジョナサン)辺り1作目同様のロクデナシ兄貴ぶりは相変わらずの様子です。最も、根っからの遊び人(要するに「数多の修羅場」もくぐり抜けてきた男。)であり、お調子者系ペテン師(だから妹達の功績を自分の物として吹聴しがら、彼女達に寄生するという、いわゆるヒモ生活を送っている。)だからこそ機転は利き、車のキーを折ってしまうというミスをした後でも、2階建てバスを調達するというあり得ない手段(大体、2階建てバスが実際に運行したのは1956年からで、1933年であるこの時には普及していないのだが。)を取って代車としたり、役には立っている男です。迷惑野郎(トラブルメーカー)であることは確かですが「世界レベルの迷惑」は呼びこんでいない点から妹よりはマシな人間かな、とも思ってしまったり…。

 息子アレックス・カナハン(フレディ・ボース)…エヴリン「ああ、リック!」
アレックス「野外で堂々と止してよ。家でやってよね。自分の親ながら、全く呆れるよ。」

両親が(ウォーター・トラップを考えもせずに)持ち帰ったアヌビスの腕輪を好奇心から、うっかり腕にはめちゃった(そういう危険な物は「子供の手の届かない所」に置いて下さい。)為に腕輪の生贄になってしまったり、↑に代表される周りを無視した両親の熱愛ぶり(その時に彼らの子供である自分は全く目に入っていなかった。)のおかげで敵方に捕らえられてしまったりこんな2人の元に生まれてしまったおかげで割と散々な目に遭っている一人息子です。両親の影響でエジプト遺跡に詳しく、おかげで「次の目的地」を砂遊びで作り上げたり(よく作れたな。あんな精巧な砂細工。)状況を打開する手立てにはなったのですが、そもそも、この両親が「普通の親」だったら息子は始めから家に族が侵入してくる異常な事態なんて経験する事も無く、平和に過ごしていた事を考えると確実に「あの両親のおかげで助かった」のではなく、絶対に「あの両親のおかげで酷い目に遭った」部類だよなと認識を新たにしたものでした…。

 イムホテップ(アーノルド・ヴォスルー)…リック「逃げるんだ、エヴリン!」
イムホテップ「助けろ、アナクスナムン!」
(アナクスナムン、サッサと逃げる。)
イムホテップ「アナクスナムン…!」

主人公達の方は相手を思って「自分なんて見捨てて逃げろ!」と言っていたのに反して、イムホテップ達の方は「愛しているなら助けてくれ!」と対比していた(女の方も「逃げろ!」と言われたエヴリンが彼の言葉を無視して助けに戻り、「助けろ!」と言われたアナクスナムンが彼の言葉を無視して逃げている辺り見事に反比例している。どっちにしろ「自分の願いを無視された彼氏」の方は気が気ではなかったでしょうが…。)姿が印象的でしたが、3千年も愛してきたアナクスナムンに目の前で逃げられた事で「君にとっての俺は所詮そんな程度の存在だったのか…!」と、彼の熱烈な恋も(ようやく)終わりを告げた様子です。(まあ、平然と不倫が出来るような女の愛なんて「所詮は娼婦の純情」で、そんなもんだよ。「人を愛する事」と「自分の家族まで裏切れる事」とは別だし、元々彼女は「自分の為」にどんな人間でも犠牲に出来るような女だったんだから。)ショックのあまり亡者の蠢く崖(割れ目)をほとんど登り終えていたのに、絶望して自ら落ちた最後と合わせて思わず涙してしまったラストシーンでした…。

ハムナプトラ~失われた砂漠の都~

2011.04.13
 「王の眠りを妨げるもの、死の翼触れるべし」というツタンカーメン王の祟り(スポンサーであったカナーボン氏が原因不明の熱病に倒れ、死んだその時、イギリスにいた飼い犬が甲高い声で鳴いて同時に死んだり、停電が起きたり、不吉な現象が相次いだ。オマケに相続税が異様に高いイギリスでは遺産を受け継ぐ(税金を払う)のも一苦労で、持参金ゼロの恋愛結婚をした息子は、危うく家(城)を手放しそうになりながら泣く泣く美術品(カナーボンコレクション)を売って難を逃れたというロクでもない逸話もある。もちろん、そんなビンボー状態で発掘費用など出してる場合ではなく、発掘作業は一時、中断された。)を思わせるような「ミイラの呪い」を描いた映画です。何故ミイラになるのかというと、死後に体から離れた魂は後に体に戻って来て蘇る(ので、家である肉体は大事に取っておかなければいけない。場所が分かるように本人の絵を描いた棺も用意しておく。)という宗教感から来るものだそうで、その通りにミイラがアクティブに動き出した姿(バイオハザード状にヨロヨロもしていない。)には感動も通り越して恐怖を感じた映画でした。(でも、ホラーじゃなくてアクション物なのね、この映画…。)

 イムホテップ(アーノルド・ヴォスルー)…アナクスナムン「必ず、私をよみがえらせて!」

むしろ時の王様を殺した後に自殺するなんて事をせずに、無難にイムホテップと駆け落ちでもした方が、彼はわざわざ彼女の遺体を盗み出す手間もなく、生きたままスカラベ(フンコロガシ。丸めた糞が太陽の形に似ている為に、ラー神、アトン神など太陽神を崇めるエジプトでは聖甲虫扱いされた。軍隊アリではない。なのに何なんだ、あの動きは…。)に食われる刑に処される事もなく、王様だって死ぬことは無く、皆幸せだったような気がするのですが(2で分かる事だが、この時、父親が死ぬ姿を見てビックリした娘が、うっかりバルコニーから転落して死ぬという余計な悲劇も起きている。)恋に溺れて他人(ではなく夫)を犠牲にしてでも自分の思いを優先させる利己主義の塊のようなお二人さんには始めから、そんな周りへの配慮など無かった様子です。3千年経ってもその想いは消えず(むしろ消えてくれ。)現在もなお周りの人間を犠牲にしながら愛を貫こうとする姿には、感動を覚えるどころかどんだけ傍迷惑なお二人さんなんだ!?とツッコミしか入らなかった、そんな愛の形でした…。(本当にもう、無難に成仏して下さいよ、お二人さん…。)

 エヴリン・カナハン(レイチェル・ワイズ)…リック「持ち主が寝てる間に勝手に本を取ってくるのは『盗み』だぞ。」
エヴリン「違うわ。あなたと兄流に言えば『ちょっと借りてきた』のよ。」
持ち主「…辞めろ!その本を声に出して読んじゃいかん!」

映画「死霊のはらわた」と全く同じパターン(「死者の書?えーと、クンダ、アストラダ、モントセ…」「『音読するな』って書いてあっただろうが!」byリメイク版)で、黙読だけで済ませれば良かったものを、わざわざ「呪文を呟いてしまった」おかげでミイラ(イムホテップ)復活の憂き目を招いた、思えば迷惑極まりないヒロインです。(映画の序盤から本棚をドミノ状に倒して部屋を壊滅させていたし、実は無職のクズ兄貴と「ダメ人間ぶり」は同等かもしれない。)そんな展開になっちゃうだろうと予測してたから砂漠の民の皆さんは「どんな手を使っても聖地ハムナプトラを守る」事を使命としていた(「使命の為なら罪も無い墓泥棒を殺してもいいって言うの!?」byエヴリン)のに彼女のおかげで全部台無しになってしまった様には、正義感ぶって活躍している彼女に多少イライラもさせられたものでした。だから「読んで祟りは無いのか?」って兄貴も心配していたというのに…ね。

 リック・オコーネル(ブレンダン・フレイザー)…リック「俺は命の恩人の君を約束通りハムナプトラへ連れて行った。任務完了。契約完了だ。」
エヴリン「私はただの契約なの?」
リック「決めろよ。俺と一緒にエジプトを出ていくか、1人で残って世界を救うか。」

「本を『読んだ』のは君だけだ。俺は関係無い!」と言いながら結局、彼女の為に残ってあげて、助けてあげてくれる彼は(そこに「将来の嫁にする」という下心があろうとも。)本当にいい奴だと実感したものです。(普通だったら妹でもない他人、しかも自業自得でトラブルを呼び込んだ重たい事情を抱えた女の為に、ここまでしてくれる男はまず、いないだろう。たとえ下心があろうとも。)人並み外れて頑張ったおかげで、「ただの脱走兵」(処刑寸前の囚人)だった彼は、ヒロインの呪いも解いた上にイイ感じに盛り上がり、今では「一般人の夫」として(ベニーが勝手にラクダに乗せていた黄金の財宝のおかげで財産持ちにもなり)悠々自適な生活を送る…はずだったのですが、子供が産まれても全く性格の変わらなかった妻の為に、2でまたしても苦労する羽目になるのでした…。

 ベ二ー(ケヴィン・J・オコナー)…リック「覚えてろよ、ベニー!忘れるな!貴様は地獄に落ちるぞ!」
ベニー「へへ~!そんな逆声、聞き飽きて怖くもないわ!」

呪いの箱を開けるその時に怖がって逃げた(「賢い奴だ。」byリック)おかげで、発掘仲間の学者たちのように「臓器のつまった箱を開けた呪いの対象者」にならずに、パシリという保証された立場になったのを良い事に開き直って舌を出し始めた彼。それまではかつて裏切った気まずい相手、自分よりも強い相手(リック)にヘコヘコと媚を売っていたのに自分の方が良い立場に立てたと思ったとたんに手の平を返し始めた様には、この人間のどうしようもない本性が見えて呆れる事しかできませんでした。(「あなたみたいに救いようの無い人間には必ず報いが来るわよ!」byエヴリン)最後には走って逃げるのが遅れた為に、財宝室でスカラベと一緒に最期を迎える事になった顛末(良かったね、「大金を手に入れる」という望みを叶えてから死ねて。「望み通りに生きた人生」じゃないか。)には「皮肉な最期」と合わせて渇いた笑みしか浮かばなかったものです…。

スピード

2011.04.12
 1994年公開の作品だけあって、スマホではなく携帯電話(それもデカイ。)だったり、パソコンもブラウン管タイプ(後ろにデカイ。)だったり、小物にも時代を感じる作品です。思えば小学生の頃に読んだストリートファイター2の4コマでもガス欠で速度が下がり始めたバスを乗客の皆さん(ファイター)が後ろから押しながら走る形で事無きを得ていた(え?皆さん時速80キロ以上で走ってたの!?ていうか皆、無事にバスを降りてるじゃないですか!)そんなネタが有ったなあ(アレはこの映画が元ネタだったのね。)と懐かしくも思い出した、そんな映画でした。

 ジャック・トラヴェン(キアヌ・リーブス)…犯人「エレベーターに爆弾を仕掛けた。爆破されたくなかったら300万ドル用意しろ!」
ジャック「こちら、ロサンゼルス警察の者です。『エレベーターの故障』です。しばらくご辛抱下さい。」
客「…どうして警察が?故障なら修理屋だろ?」

常識的ツッコミから乗客の皆さんには、すぐに爆破テロに巻き込まれた事がバレてしまったものの、おかげで最後に残ったオバさんには「怖くて体が震えて動けないの!」「やってる場合ですか!早く手を伸ばして私の手を掴んで!」というお約束オチをぶちかまされた(あと一分、脱出が遅れていればオバさんはエレベーターと一緒に落下していた。)ものの、ジャックの迅速な救出行動のおかげで1人の死者も出す事は無く、おじゃんにされたこの最初の事件。貨物用エレベーターに隠れていた犯人の顔まで拝んでしまったが為に次のバス事件では名指しでご指名される形で槍玉に挙げられた不運な警官主人公です。本人が言っている通り、こんな人間と出会ってしまった事自体が不運(「俺に出会った事を後悔させてやる!」「もう後悔してるわ!」byジャック)だったのでしょうね。という訳で物語は始まっていきます…。

 同僚ハリー・テンプル(ジェフ・ダニエルズ)…ハリー「俺達はツイてたんだ。相手は頭のイカれたサイコ野郎だ。吹っ飛ばなかったのが奇跡さ。それにお前が人質の俺に撃った一発だ。15㎝ずれてたら、勲章は女房(未亡人)が貰ってた。」
ジャック「無事だったから、もういいじゃないか。」
ハリー「分かっちゃいない。俺はいつまでも側にいると思ったら大間違いだ。ツキなんてものは、いずれは離れていく。そういうもんだ。」

そう、撃ったのが心臓でなく足(太腿)であっても、人間の足の付け根には動脈が走っており、誰でもそこを切られれば簡単に死に至る。だからナイフを使った喧嘩では、最初に狙うのは首筋でも心臓でもなく、男の急所のほぼ真横に当たる「足」(太腿)なんだよ、という事実を踏まえると↑の「人質の足を撃つ」行為の危険性がより分かるかと思われます。(というか、射撃の腕があるのなら普通に最初から犯人を撃って下さい。ハリーが序盤で助かったのは本当にただの「運の良さ」、そしてそれは何度も続くものではなく、2度目は無かった(犯人の住所を尋ねたとたん、家に仕掛けられた爆弾によって爆殺された。序盤のように爆破現場にいて、爆風でふっ飛ばされたくせに、何故か2人共かすり傷だけで済んだという奇跡は2回も起きてくれなかったらしい。)というのは悲しい現実です。犯人も最後には死んで仇は取れたのだけが不幸中の幸いですが、そこはフィクション(あり得ない展開)として裏切っておいてほしかったです…。

 犯人ハワード・ペイン(デニス・ホッパー)…ハワード「俺の気持ちが分かるか?あのエレベーターの1件に丸々2年かけた。それがどんなに大変な事だったか分かるか?一世一代の仕事を台無しにされて、おめおめと引き下がれると思うか?」
ジャック「復讐なら、俺にしろ!」
ハワード「お前を爆破しても金は入ってこない。」

その2年間、もっと他に情熱と時間を費やすべき物が有っただろう(大人しく花火でも作っていて下さい。)という常識的な意見は逆恨み思考のサイコ野郎には届かない様子です。とはいえジャックの言う通りに「イカレているが、頭の切れる奴」だという犯人の様にそれが一番厄介なタイプの人間だよなあ~頭は良いくせに頭おかしいって…いっそ認知症(マトモなやりとりもできないほど頭がおかしくなっちゃったボケ老人)にでもなってくれた方がまだ世間様に迷惑をかけなかったでしょうに。)と思わずツッコミを入れながら見てしまったものでした。本人曰く、そんな自分のイカレぶりには自覚がある様子(「お前は病気だよ。本物のサイコ野郎だ。」「違うな。貧乏人なら『病気』だが、金持ちなら『変わり者』で済むんだ。」byハワード←違うから!)で、自分で分かっているだけに、改まる事は無いだろうな(懲りずに繰り返しているしな。)と白い目で見ながら、最後まで「そんな人間」で終わった彼に軽蔑の念を抱いたものでした…。

 アニー・ポーター(サンドラ・ブロック)…アニー「あなた、警官でしょ?念の為に言っとくけれど、私は今、免停中なの。それでも運転して良い?」
ジャック「理由は?」
アニー「スピード違反。」

そりゃ「80キロ以下になってしまったが最後、バスが爆発する」という状況の中では却って頼もしいわ、と心強く思えたものでしたが、初めて運転するバスで、道行く車をふっ飛ばしながら、時には乳母車をもふっ飛ばし(「イヤァァ!赤ちゃん轢いちゃったあぁ!」「落ち着け!中に入っていたのは缶詰だ!」←紛らわしい物で運ばないで!)80キロのスピードのまま急カーブを曲がり(横転寸前で、タイヤ、浮いてましたけど…。)果ては道路が切れていた為に登り坂からジャンプする羽目になった(バスがあんな飛び方できる訳ないだろとか、冷静なツッコミをそこに入れてはいけない。)という、明らかに「普通の運転」を逸脱した展開の数々には、たかが女子大生には荷が重過ぎないか?と思わず心配にもなったスリル満点の様でした。最後は地下鉄での疾走を経て、公衆の面前で結ばれていた2人(あの、ラブラブな所、悪いんですが、記念写真撮ってる人とか、ライスシャワーみたいの投げてる人とか、ギャラリーが滅茶苦茶いるんですけど…。)ですが、「異常な状況下で結ばれた2人は長続きしない」という定説の通りに、この2人は2では既に別れていたそうです。(ダメじゃん!)

風の谷のナウシカ

2011.04.11
 実はこの映画は、かの「耳をすませば」のように既に雑誌で連載されていた漫画作品の映画化だった(宮崎監督自らが筆をとり雑誌アニメージュに14年の長きに渡って描いていた。)為にトトロやラピュタのように原作無しの全くの新作(知名度ゼロ)映画よりは公開当時の興行成績は良かったそうです。(トトロやラピュタよりは…ね。)とはいえ、この作品が「広く一般に認知される」ようになったのは、やっぱり翌年からのテレビ放映後で、チェルノブイリ地区の奇形動物を連想させるかのような異常な生態系の森(腐海)と、その中で生きる人との難しい話に、当時小学生にもなっていなかった私は内容がさっぱり分からなかった記憶がある映画です…。

 ナウシカ…「ね、怖くない。怯えていただけなんだよね。」

いや、痛いから!と指を野生動物に噛まれながら微笑みを浮かべているヒロインの姿に「寛容さ」を通り越して引いてしまったものでした。(そもそも、生き物の口の中というのは基本的に雑菌だらけであり日常的に歯磨きなんかしていない野生動物なんて尚更の話で、噛まれたら傷自体が小さくても化膿したり、ウイルス性の病気になる可能性がある。良い子は絶対に真似しないように。)普段から、好きだから腐海に通っている(おかげで王蟲の抜け殻も見つけました。)という姿も、吸うと死ぬ毒に犯された空気と、怒らせると手のつけられない蟲がいる腐海を好んで行くナウシカは完全に変人だ(「普通の人」は風の谷に住む大勢の住民と同じく、そんな危険地帯に自分からわざわざ行かない。)と思えて、後半の体張っての体育会系展開になるまでの普段の言動に同じ「一般人」としては少々共感のし辛かったヒロインでした。蟲と心を通わせる為にも「一般から外れている」必要は有ったのでしょうが…ね。

 クシャナ王女…「巨神兵を他国が持つ恐怖ゆえに私はペジテ攻略を命じられた。奴の存在が知られた以上、列強は次々とこの地に大軍を送り込むだろう。お前達に残された道は一つしかない。巨神兵を復活させ、列強の干渉を排し、奴と共に生きる事だ。我が軍がペジテから奪ったように、巨神兵を奪うがいい。」

巨神兵を手に入れる為だけにアスベルの故郷ペジテを侵攻し、今また風の谷の族長(ナウシカの父親)を勢いでブチ殺して支配下に置いた、立場的には完全に「悪役」に属している彼女ですが、それというのも何十人殺してもそれが全て「戦功」になる最前線からわざと外され、石の回収だの、都市の侵攻(戦争ではない。)だの恨みを買うばかりで「功績」に繋がらない仕事をボンクラ兄貴達に押し付けられている結果、貧乏くじを引いているだけでもある(彼女は国からの(酷い内容の)任務を忠実にこなしただけで誰がやっても恨みを買う仕事ではあるだろう、これは。)ので、兄弟間のえげつない骨肉の争いの様も通して多少、同情してしまった女性です。彼女の国トルメキアで正統な王家の血を引いているのは彼女のみ(ボンクラ兄貴3人は国王の連れ子であり、王女であった彼女の母親が産んだ子ではない。)という事で風当たりも強かったそうで、実は両足と片腕が無いという不自由な体と合わせて、やっている事の非道さは承知の上ながら、嫌いにはなりきれなかった王女様でした…。

 ユパ・ミラルダ…婆「『その者、青き衣を纏いて金色の野に降り立つべし。失われし大地との絆を結び、遂に人々を青き清浄の地に導かん』。ユパはその者を探し続けるように定められた男じゃ。」
ユパ「私はただ腐海の謎を解きたいと願っているだけだ。我々人間は、このまま腐海に飲み込まれて滅びるよう定められた種族なのか、それを見極めたいのだ。」

伝承にある「青き衣」=王蟲の青い血に染まった服(着たくないな~、そんな服。)を指し、「金色の野」=王蟲達の金色の触手の上(降り立ちたくないんですけど。)という意味で実はナウシカこそ彼が探し求めていた運命の救世主だったという展開には「お約束」ながらも頷けた終わり方でした。(しかしグロイ内容だったんだな、例の伝承…。)選ばれた存在たるナウシカとしては、大好きな腐海が実は地底深くまで汚れた大地を浄化する為に存在するものだったと分かって、思わず地面に突っ伏して嬉し泣きするほど感無量の様子(でも傍から見ている側としては地面に寝転んで突然泣き出した意味不明の女の姿にドン引きするばかりなので、何をやっても様になるほど、容姿によほどの自信が無い限り、そういう言動は控えて下さいね?)であり、おそらくこれから人と蟲とは駆逐し合う関係ではなく共生する方向で進む…はずですが、人々の意識はそう簡単には変わらないでしょうし、これからが大変だろうなあ、と実感した結末でした…。

 アスベル…ナウシカ「あなたは殺し過ぎる。もう光玉も蟲笛も効かない。」

元々、彼(と飛行機が墜落して死んだ双子の妹ラステル)の住む都市ペジテは工房都市であり、発掘を稼業として生計を立てていたのを、うっかり巨神兵の骨格を発掘してしまい、それを狙ったトルメキア(クシャナ王女達)の侵攻から今回の騒動が起こったそうです。おかげで妹を人質に巨神兵ごと連行されたと思ったら、当の飛行機が蟲達に落っことされたり、トルメキアの敵国が手を貸してくれたと思ったら作戦は故郷を蟲に襲わせてトルメキア兵を撃退する事だったり(結果としてトルメキア兵は死にましたが、故郷ペジテも一緒に壊滅しました。←ダメじゃん!)この人もこの人で色々と悲劇に見舞われているのが分かります。が、腐海というよりによった場所でドンパチ騒ぎを起こすわ、蟲を殺し過ぎてベテランのナウシカでもフォローしきれないレベルに達しているわ(尻拭いをする…もとい、助ける側としては大変です。)「ヒロインの相手役」というよりは「主人公に守られるお姫様」という立ち位置にいる感がある、情けな系の男の姿には「…。」と思ってしまったものでした。避難民船まで敵に襲われ(これも退治してくれたのは彼でなく剣の達人であるユパ。)苦労はしているんですけどね…。

となりの山田くん

2011.04.10
 ジブリ映画といえば「ヒット」という言葉とセットで語られる事が常ですが、その30年の歴史の中で唯一「赤字」となってしまった作品です。(その後ビデオ化で最終的には黒字になったとはいえ。)空前の大ヒット作「もののけ姫」の次作がこれかよ、とか、あの「かぐや姫」調の絵はジブリでは無い(宣伝にて「制作は順調に遅れています」とあったものの「かぐや姫」のように8年越しにならなかった分、今思えばまだマシな制作速度だった。)など色々な意見(という名の非難)が飛び交ったそうですが、個人的にこういう日常ギャクが大好きな自分としては充分「有り」な作品ではあったんですけどね…。(確かに「映画化」するほどの深い内容かと問われると疑問は出ますが…。)

 祖母・山田しげ…しげ「これは見事な!こんなに大きくて立派なのは初めて見ますわ。何という種類ですか?」
隣人「丹精込めて育ててますから。こっちは美濃菊、この大輪のは…」
しげ「いえ、このイモ虫の種類です。」
隣人「…さあね。」

せっかく花を褒められたと「誤解」していい気分になっていたのに「派手な花に負けない立派な蝶になるんやで。」と嫌味のような言葉(いや、イヤミ以外の何物にも捉えられないな、これは。)を言って台無しにしてしまったり、交通事故の現場を見ても枯れた花や折れたガードレールを嘆いたり(お婆ちゃん、真実、亡くなった人への同情がゼロでも空気は読んで!)、社会的弱者だからこそ許される言動の数々には70年間そんな性格で、よく若い頃に刺されずに済んだなと逆に感心したものでした。(昔は「水と安全はタダ」な国だったからな、日本は。今はそこかしこで隣人トラブルから刃傷沙汰が起こるほど地味に危ない国になってしまったけれど。)現在でも暴走族相手に平然と「正義の味方」になるように注意したり、身の危険を全く考えていない部分は健在で、正直、彼女のこれからが地味に心配になってしまった行動派のお婆ちゃんでした…。(まあ、アニメだから心配は無いでしょうが…。)

 長男・山田のぼる…担任「諦めてはいけません。家事は最初の5分間、テストは最後の5分間が決め手です。」
のぼる「先生!クラスメートが保健室に行った分のロスタイムは無いんですか!?」
担任「ありません。」

先生相手にそんな交渉を持ちかける所(提案できる辺り、逆に凄いが。)からも分かる通り、成績(ペーパーテスト)は悪いのぼる君ですが、コッソリ酒を嗜んでいたり、女の子から電話を貰うなど何気に青春していたり、要領は良い(有害図書を買おうとした所でクラスメート(しかも女子)と鉢合せ、とっさに「ベトナムの悲劇」を手に取って「へー、山田ってそんな本、読むんだ。」「そりゃ、世界の中の日本だからな。」と自然な会話につなげたりと機転は効く。)部分にに地味に感心した長男でした。本当に頭の良い人間、というか世の中を渡っていける人間はむしろこういう「目端の効く部分」こそが役に立つのですが(むしろ社会に出たらペーパーテストの成績が良くても気の利いた話一つできない「つまらない男」よりも、バカでも話の面白い男の方が好かれる。)彼の真価が認められるのは残念ながら社会に出てからの話になるでしょうね。主人公を張れる(隣の山田「くん」という事は…。)だけあって何気に面白い部分のある「普通の男」キャラクターでした。

 父・山田たかし…司会「では次に山田様のご祝辞を頂きます。」
山田「えー、本日はお日柄も良く…(チラッ)」
メモ「ゴボウ、キューリ、バラ肉、ゴミ袋、電球」
山田「…!!」

最も信頼していた者(妻)の手から渡されたカンニングペーパー(と間違えた買い物メモ)の為に、覚えてもいなかった祝辞を急遽アドリブの元で長々と語る羽目になった(いやいや、真面目に血の気が引く場面だぞ、これは。)にも関わらず「どんな酷い仕打ちでも、それが悪意から出たものでない限り、諦めが有れば許せます!」「諦めこそが、いかなる事態に陥ってもくじけたり、折れたり、キレたりしない為の秘訣なんです!」と自分をドン底に突き落とした妻を許す方向で語っている辺りはまさしく夫婦愛だなと感じたものでした。が、夢いっぱいの結婚式で語るには明らかに不適切な内容(「キレる」って結婚式では禁句でしょう。ご祝儀の額だって割り「切れる」額にならないように3万とか5万とか偶数を避けているのに。)には、やっぱりツッコミを入れさせて貰った有り様でした。まあ、そのまま固まらずに何でもいいから語りきった辺りは男でしたけどね…。

 長女・山田のの子…のの子「先生の今年の抱負は何ですか!?結婚ですか?転職ですか?」
女教師「うるさいわねえ…!」

年頃の適齢期を過ぎた女性に対して出すには非常に痛い質問を遠慮なくズバズバ投げかけてしまう辺り子供って残酷だなと思ってしまった1シーンでした。ちなみに当の先生が出した決意は「適当」(「適度に的を得ている」というのが本来の意味だが現在では「適度に的を外している」「いい加減」という意味で捉えられてしまう事が多い微妙な言葉である。)だそうで、質問はやっぱり「適度に当たってしまっていた」(ダメージを受けた)のかと色々考えてしまったものでした。ちなみに当の、のの子は下の子らしく要領が良い様子で、家族に置いて行かれても平然と知り合いの家に遊びに行ったり、大人がケンカをしていてもテレビの音が聞こえない事で泣いていたり、非常にたくましい様にやっぱりこの世に妹萌えに代表されるような「可愛い妹」なんていやしないよな(むしろ女は裏表のある非常に現金な生き物である。)と同じ妹を持つ身として納得もいったキャラクターでした…。

ホット・ショット2

2011.04.09
 大抵、「1の良作が出来た後に2の駄作が出来る」と言われていますが、こちらは2の方が断然面白い…というより1の方は飛行機のエンジンの熱でバーベキューをしていたり、軍隊の行進がいつの間にか手をつないでのダンスになっていたり、背景的ギャグは多かったものの、ツッコミの入れようも無い位くだらないネタばかりの駄作で記事にもしなかった(「昔の映画は話で勝負しようとしている面が強いから名作が多い。」と語っていた私でしたが前言撤回します。昔の映画でも駄作は駄作でした。ゴメンなさい。)のですが2では面目躍如したのか「ランボー」のパロディネタを中心に思わず含み笑いが出てしまうほど質が上がったのに驚き喜んだものでした。惜しむらくは1からその手腕を発揮してほしかったものですが、贅沢は言わない事にしておきましょう。

 トッパー・ハーレー(チャーリー・シーン)…モブ「何を読んでるんだ?」
トッパー「大いなる遺産。」
モブ「面白いか?」
トッパー「俺は遺産ゼロ。」

そういう話ですか?(わびしくなるから読むの辞めたら?)という小ネタはともあれ、金は無くとも、男達の憧れのマドンナとなった女上司とイイ仲になり、まだ未練のある元恋人とも復活愛の様を成し、金銭面の方はともかく下半身…もとい実生活の方では両手に花の充実生活となった様には、この幸せ者!と思わずツッコミも入れてしまった男でした。今回は増えに増えたアメリカ兵捕虜を救いだす為には彼の力を借りるしかない!と引っ張り出され、それほどアメリカ軍高幹部が彼に入れ上げている割には弓矢を全部外してニワトリを討ち出すほど弓射の腕が悪かったり(そんなにド下手なら別の武器を使ったら?)、居眠りしている見張りから鍵をコッソリ取りあげるのにラジオのスイッチを入れるわ、棒を扇風機に突っ込んで鉛筆削り状態になるわおよそ隠密行動に向かない男なのですが…何故に彼が選ばれたんでしょうね?

 元カノ・ラマダ(ヴァレリア・ゴリノ)…トッパー「君は何故ここへ?戦場は地球上あちこちにあるのに。」
ラマダ「私だって貴方とは2度と会わないと思っていたの。でも仕方ないわ。続編(パート2)じゃ出ない訳にいかないもの。」
トッパー「批評家が何て言うかな?『マンネリのキャストに頼り…」
ラマダ「トッパー、やめて。キャスティングの事を言い訳にしてもお互い傷つくだけだわ。」

かつて彼女の勝手な都合で捨てられはしたものの、いつか彼女は自分の良さを再度実感して、俺という恋人の元に舞い戻ってくるだろう…という淡い夢は、実は彼女は人妻で、愛し愛されていた(と思っていた)過去においてさえ「自分は愛人という都合の良い男に過ぎなかった」という現実の様に粉々に打ち砕かれてしまったのでした。(「ラマダ…ま~さかでしょ?」byトッパー)一応、夫が死んだという誤報の元に「自分は新しい恋人(トッパー)とフリーの身分で恋愛していたつもりだった」(に、したって乗り換えるの早過ぎ。)とか「あなたと新婚旅行に行く前日に夫が生きているという連絡が入った」(それで夫の元に行くのを選んだのは貴女自身。妻の立場という保身を選んでトッパーを捨てた事実には変わりないよ。)とかの言い訳は色々ある様子ですが、夫に土下座してトッパーの元へ行くという選択肢もあったのに自分1人の勝手な都合で二の次にした事実(そして何も言われないのを良い事に自然消滅を狙った小狡さ)は拭えず微妙に感じたヒロインでした…。

 夫デクスター・ヘイマン(ローマン・アトキンソン)…トッパー「ヘイマン!助けに来た!一緒に逃げよう!」
ヘイマン「私は歩けないんだよ。両足とも靴紐を結ばれてしまった。…固結びだ。」
トッパー「汚い奴らめ!」

靴紐をほどけば良いでしょうが!という常識はアホ2人には届かなかった様子です。そして、せっかく重い思いをしてまで助け出したのにカメラの良いアングルを求めて飛び跳ねているうちに足を踏み外して崖に落っこちた最後にはマヌケ過ぎて言葉も出なかったものでした。(そして、そうなったとたん現・夫の死を悼むどころか「邪魔者はスムーズにいなくなった」とばかりにトッパーとラブラブしだす妻のラマダも何だかな…。いくら本命がトッパーの方だからと言っても、薄情過ぎやしませんか?)彼は所詮「しつこいストーカー」に過ぎなかった(「彼ったら女学生だった私の後を毎日つけてきたの。親は怒って警察に通報したけど彼はへっちゃら。私はしつこさに負けたのね。」byラマダ)とはいえ結婚は合意の上でしたんでしょうに(むしろ私だったら、そんなストーカー男と結婚するよりは一生独身でいた方がまだ幸せな人生だと決して承諾しないが。)ラマダの被害者面・夫の誰にも悼まれなかった哀れな死に様と相なって、主人公達の元サヤ展開が微妙に感じた、そんな終わり方でした…。

 タッグ・ベンソン大統領(ロイド・ブリッジズ)…「大統領自ら救出に向かう。勇敢な行動だが疑問が二つ。何故、国連に任せなかったのか?何故、酸素ボンベにヘリウムが入っていたのか?」

それよりも砂漠の国イラクに何故ジャングルと河があり哨戒船が走っているのか、海岸に到ってはアメリカナイズされているというより4人の歴代大統領の顔が彫られたサウスダコタ州ラシュモア山そのものだしここは一体どこなんだよ!(少なくとも絶対にイラクと違うだろ!)という疑問の方が気になってしまったのですが、そこはコメディ、そんな謎はサラッとスルーされて話は進んでいきます。(オイ!)彼が来てくれたおかげでスターウォーズ顔負けの戦いを経て(影絵が戦っている中、2人で食べ物を手に小休止していた辺り戦っていたのは別の人の様子だが。←禁句)敵の親玉を打倒することができましたし、顔も体も超合金仕様に改造しているのだから、いっそ始めからこの人が1人で捕虜救出に行っていればスムーズに話が進んだのでは?(トッパー、いらないじゃないか。)とすら思ってしまった、そんなアメリカのトップでした…。

かぐや姫の物語

2011.04.08
 まるで一枚絵の墨絵が動いているかのような特徴的な絵での映画化作品ですが完成までに8年の歳月がかかり、製作費も50億を超えたというアニメ映画としては破格の経緯に、日本古典の新解釈の元に「和風で面白い表現」だったけれど(とても面白がってくれた人がいた反面、「いつものジブリ映画」並の一般的な広がりはそれほどでは無かった点を考えても)またこの絵で作品が作られるのは最低でも10年は先だろうな、と実感もしてしまった作品でした。海外からも「全てがフレッシュ(新鮮)」だと絶賛された(確かにあの絵は日本好きの外国人が凄く喜びそうね。)作品ですが、そんな訳で「次回作」の制作は遠そうです…。

 なよ竹のかぐや姫(タケノコ)…ナレーター「今は昔、竹取りの翁といふ者ありけり。野山に混じりて竹を取りつつ、よろづの事に使いけり。名をば讃岐のみやつことなむ言ひける。その竹の中に元光る竹なむ一筋ありけり。怪しがりて寄りて見るに…」

そうして光る竹を割ってみた所、なんと中にいたかぐや姫まで真っ二つに切ってしまったのです…というブラック・ジョークは置いといて(しかし「かぐや姫」が映画化される遙か前の私の学生時代、古文で初めてこの物語に触れた時に「よく『中の人』は無事だったな。」という感想を最初に持ったものだった。)この映画では筍が花のように開いて翁が何もしないまま中から姫が出てきたというアニメならではのオリジナル表現が使われていました。(意地でも姫を一緒くたに切らせまいという熱い思い、確かに伝わりました。)原作を読んだ身としては「美人度だけが取り柄の身分も無い拾いっ子娘が5人もの求婚者を素直に振ってくれていれば良かったものの無茶な難題を押し付けて手玉に取った挙句に帝まで籠絡して、満足したとばかりにとっとと月に帰った嫌な女」というイメージがあったので、この野山を駆け回り男友達と対等に遊んでいる田舎娘丸出しの姫の性格は新境地でした。話の筋は同じでも「解釈の違い」で印象はガラッと変わるんだなあという事実を改めて認識させて貰った作品です。

 石作皇子…石作皇子「仏の御石の鉢を探しているうちに、私の姫への想いは人知れずとも可憐に咲く、この蓮華のような物なのだなと悟りました。姫が本当にお望みなのは得難い宝物ではなく、姫を愛する我が真心なのではないですか?…行きましょう。堅苦しい都など抜け出して、花咲き乱れ、鳥が歌い、魚が躍る、緑豊かな、ここではない何処かへ!」
北の方「一輪の花のように、貴方に摘まれ、捨てられ、悲しみのあまり髪を下ろして仏門にお入りになった姫君が何人いらっしゃる事か…!(訳・また浮気かよ、てめえ!)」

原作では真っ先に宝物を持って行って、真っ先に偽物とバレて振られた人物だったのですが、この映画では日本にかつてあった文化「一夫多妻制」の元に正妻がいるのに他の女に手を出しまくっている浮気男として描かれていました。(平安当時の文化は「源氏物語」にもあるように飽きられたらそれまでの「通い婚」。主人公・光源氏はどんなドブスで教養の無い姫でも「一回手を出した」以上は一生生活の面倒を見てくれる甲斐性のある男だったから人気もあったが、人権も女の立場も無かった当時は現実にそこまで責任を取ってくれる男はいなかっただろう。)その口の上手さには姫も思わずグラついていましたが、その前に「相手に合わせて巧みにツボを押さえる」プロのホスト顔負けの女のあしらい方の技術の高さについて疑問を持つべきでしたね。基本的に女性に対して手慣れている素敵な男は「それだけの経験値を積んでいる女泣かせ」である様子です…。

 石上中納言…中納言「あった、あったぞ、燕の子安貝!早く降ろせ…って、わあああ!」
かぐや姫「…で、亡くなられた?」
女童「はい。中納言様は腰の骨を折られて、それが元で…。」

原作では(やっぱり姫もやり過ぎたと思ったのか)事故から死ぬまでの間に彼と歌のやりとりも交わしており、パロディ漫画では彼こそが本命として描かれている話さえある(「あの方が何を持って来られても『これこそ燕の子安貝です!』と言えば良いんだわ。あー、私って頭イイ。」「姫様…中納言様がクソ真面目に貝を探した結果、転落してお亡くなりになったというお知らせが…」「な、何という事でしょう…!」by里中満知子「新説かぐや姫」より)のですが、本筋を変える(原典から外れる)訳にもいかないという宿命の元に彼は原作通りに姫とは結ばれぬまま散ってしまう運命を辿ったのでした。19世紀の西洋医療さえ麻酔代わりに尻に葉巻を突っ込んで手術しており(「手術は成功したが、急性ニコチン中毒で患者は死んだ」という有り様だった。)そのさらに前、抗生物質さえ無かったこの時代の医療事情を考えると「たかが骨折」でも命取りになったのでしょうね。5人の公達の中では唯一、嘘や誤魔化しに走らず、真面目に試練に臨んだ人物(皆が「偽物」で姫を騙す事ばかり考えていたのに、彼だけは誠実に取り組んでいた。)だっただけに姫の悲嘆もひとしおだった様子です…。

 捨丸兄ちゃん…かぐや姫「捨丸兄ちゃんとなら、私、幸せになれたかもしれない。今それが分かった。」
捨丸「冗談だろ。こんなボロ着て、時には草木かじって、よんどころ無い時は泥棒まがいの事もやって…お前に俺達みたいな暮らしができる訳が無い。」
かぐや姫「何でもないわ!生きている手応えがあれば、きっと幸せになれた。」

いや、何だかんだで飢えた経験の無い人間が(「田舎暮らしをする」のと「餓死寸前の生活を送る」のとは大きく違う。竹から黄金や着物が湧いて出てくる家で暮らしていた人間が、メニューが質素であっても食べ物に困った事があるとは思えないし、彼女の家で餓死者が出なかった事を考えても、子供の頃に到っても周りと比べて恵まれた生活を送っていたと言えてしまうだろう。)生活苦に負けて泥棒をする事も、もちろんバレて殴られた経験も無い人間が(ていうか君が呼び止めたせいで当の泥棒の最中だった捨丸兄ちゃんは捕まってボコボコにされる羽目になったんだが。)何を語っちゃってるの?(↑の生活は「生きている手応え」を感じられはしても、それで幸福かどうかは大いに疑問の余地があると思うぞ。)と思わず姫にイラついてもしまった結論でした。そして2人揃って空を飛んで(!)逃げ出した展開にはこの映画はいつから「ピーター・パン」になったんだ!?とオリジナル表現にも程がある描写に度肝を抜かれたものです。しかし彼は既に妻子持ち、兄貴分として「タケノコ」を見捨てられない気持ちに嘘は無くても、姫が言うように「全ては遅過ぎた」のでしょうね。10年間離れて連絡も取り合ってなかった2人が「今でも恋人です」というのは現実でもありえないでしょうし、たとえ結ばれた所で結末は見えていた関係だったでしょうね…。

思い出のマーニー

2011.04.07
 FC2内の映画ブログをネットサーフィンしていた際に、この映画中心のとあるブログを発見→後日、そのブログからの足跡が訪問者リストについていて「え?新作映画が出るたびに作られる、よくある『雨後のタケノコ放置ブログ』じゃなかったの?」と驚愕→そのブログをちゃんと読んでみて「大人でもそこまでハマれるほどの深い話なの!?」(「崖の上のポニョ」といい、もうジブリ映画はファンタジー表現の上手さはともかく「子供騙しのお話」しか作っていないものだとばかり思っていた。)と初めて興味を持って久しぶりに見てみたジブリ映画です。原作はジョーン・G・ロビンソンの古典的名作(児童文学)で思いっきり英国の話を、強引に日本に舞台を移しての素敵な映画化作品でした。(なので「イギリスと領土の広さは大体同じでも、山ばっかりで平地の無い、ぶっちゃけ土地の少ない日本に別荘が建てられるか!」とか「何で日本に金髪碧眼の思いっきりヨーロッパ系の少女が住んでるんだよ!?」というツッコミは素直に置いておきましょう。)

 佐々木杏奈…養母「あの子、いつも『普通の顔』なんです。感情を表に出さないというか…昔はもっと表情がある子だったんですよ。でも最近、分からなくなってしまって…やっぱり血が繋がっていないからなのかな…?」

彼女は確かに挨拶もできるし行儀も良い。(パニックを起こして暴れまわったりの「問題児」では決してない。)でもそれはホテルで会った「他人」同士が交わすかのような礼儀正しさだ(つまり自分は「親」なのに他人並みに距離を置かれている。)…と義母も感じ取っている様子です。その後マーニーという親友の出現で、杏奈もようやく人に心を許すことを覚え始めたようですが、当のマーニーは祖母(マーニー)から聞いたおぼろげな思い出話を元に杏奈の頭の中で作りだした妄想の友人で(だから時代背景的に絶対にありえなかった大岩家(現代)での生活をマーニーに語る事は出来ないし、恋人・和彦の代わりにもなれなかった。)マーニーが幽霊なのではなく、実は杏奈こそが「そこ(過去)に存在しないはずの人間だった」というオチには逆に驚かされたものでした。全ては「夢物語」だったものの、おかげで「マーニー」をきっかけに湿っ地屋敷に越してきた家族と友達にもなれ、自分のルーツも辿った彼女の成長物語に素直に拍手した話でした。

 マーニー(マリアン)…ばあや「マーニー!私を布団虫にして閉じ込めるなんて、こんな事ばかりしているとロクな大人になりませんよ!」
マーニー「それで、ばあやはいつも痛い位に髪をすくし、メイド2人には無理矢理怖いお化けがいるサイロに連れて行かれたの。私、他のどんなことでも我慢できる。でもサイロだけはダメなの。」

品良く強引な態度が可愛い、どこが現実離れした所が却って魅力になっている少女(ウフフ笑いがこんなに似合って、ボートの上で「漕いで!」というタイタニックごっこが「この人、大丈夫!?」にならないのは、おそらく彼女だけだろう。「振る舞い美人」という言葉は有るが、優雅な振る舞いは華となる容姿があってこそ映えるのであって、例えば太っちょブタの信子がウフフ笑いをして小首をかしげて顔をのぞき込んで来ても「似合いもしないのに何を気持ち悪くブリッ子気取ってるの?」とドン引きされて終わるだけで多分、誰の心もつかめない。)ですが、惜しむらくはその可愛い女の媚態は「女」には通用しない(彼女に気のある男やウブな子供はドギマギさせる事が出来ても。)という点でしょうね。特に「毎日一緒に暮らしている人間」は既に彼女の美貌は見飽きている(好きな子なら何をされても「可愛いイタズラ」で許して貰えるだろうが、例えば信子に布団虫&監禁の刑にされたらどう思うかと考えれば分かるとおり「効力を発揮できない人間」相手ではかえって逆効果になる。)事でしょうし、ばあや達お手伝いさんとの確執は、もう「卵が先か、鶏が先か」の事情だったのではないかと思ってしまったものでした。最もこのばあやさんの方も大人気なく、やり過ぎでサイロの事がバレた時は、さすがにクビになったそうですが…。

 信子…杏奈「いい加減に放っておいてよ、太っちょブタ!」
信子「…ふ~ん、短冊の願い事の『普通』の意味が分かったわ。でも可哀想に、普通のフリをしても無駄。だってアンタはアンタの通りに見えているんだから。」

…え?この人、「近所の太ったおばさん」じゃなくて杏奈より一つ年上なだけの「同年代の女の子」だったの?(そういえば母親と歩いている時、セーラー服という中学生が着用する制服を着ていたっけ。)と私も大概、失礼な事を思ってしまったものでしたが、純粋に杏奈を気にかけて色々話しかけてくれていたのに(その全てが杏奈にとっては「大きなお世話」であった様子だけれど、変わり者の杏奈を遠巻きにして影で笑っているクラスメイト達に比べたら、ずっと優しい子だと思う。)容姿を元にした酷い悪口を言われて、それでも「ハイ、私もきついこと言ったから、これで終わりにしましょう。」と割り切ろうとした辺り、この子はいい子だな、と感じたものでした。(原作ではトランプでズルをした挙句に「不細工なでくのぼう!」と悪口を言った、ただの嫌な奴だったのに。)母親が親バカなせいで「娘が泣いて怯えている」だの「カッターをチラつかせて脅した」だの散々話は膨らんでしまっていましたが、彼女本人は悪い子ではなかったように感じています…。

 佐々木頼子…頼子「私は田舎について行かないけれど、親戚の大岩さんはきっとよくしてくれる。いい子にして何でも食べて、元気になって帰ってらっしゃい。」
杏奈(…メェメェうるさい山羊みたい。)

ほぼ母子カプセル(娘にベッタリ)状態だった彼女が、夏休みという学校も無く一日中娘とランデブーし放題の特別な期間に敢えて娘を遠い親戚の所に預け、電話もせずに娘のペースに任せた(いつもだったら娘が手元にいても「娘がああで、こうで、もうどうしよう!」としょっちゅう電話をかけている所である。)辺り、お母さんの覚悟が伝わってきたものでした。娘と再会した時に今まで隠していた受給金の事を話した(今までだったら、保身を第一に「マズイ部分」は隠し通してきた。が、それで心を閉ざした娘を前に、そんなくだらないプライドもかなぐり捨てたのだろう。)所からも分かる通り、杏奈だけでなく、彼女も「子離れという成長」を果たしたのだろうと母と子の成長物語に頷いたものでした。最後に血の繋がらない養母である彼女を杏奈が「母です。」と素直に紹介した(公に「母親」だと認めた)辺りも心情の変化が伺え、わだかまりが解けたことを実感したエピソードでした。

囚われの寵愛

2011.04.06
 魚に放射線物質が規定値以上含まれているということが今日の新聞で取り上げられてました。(ヨウ素もセシウムも出たのに、なのに何故規制がされないんだ!?)今まで海に流せば薄まって安全と言われてきましたが、そもそも「海で薄まる」はずならば水俣病やヘドロ騒ぎが過去に起きているはずもなく実は海って意外に薄まらないものなのではという認識を新たにしてしまう私でした。
 しかし「海に流す」ことは今必要なことなのです。何故ならばせき止めた場合、高濃度の放射線物質を含んだその水は現在作業をしている工場の上に溢れ出し今の大気中の放射線だけでも濃度が高くて作業時間が短い中、余計に放射線物質が増えたら作業不可能になるからです。(あと5年は冷やし続けないと爆発するというこの危険な状況で…とうとう止めちゃったよ、どうするの日本!?)
 魚は泳いでしまうのでどこで取れたか「原産地」が特定できなくなるのが難点です。しかしカルシウムなら産地の特定された牛乳からでも取れます。(人気が高くて売り切れ続出が続きましたが…今なら前よりは手に入れやすいはず。)この際、危険な魚は諦めて野菜でも肉でも「産地が分かる食べ物」で乗り切った方が身の安全のためには良さそうです。私も今日、仕事が終わったら牛乳買ってきます。(売ってたらね。)

 魚と言えば海、海と言えば海賊という強引なこじつけ(どんな連想ゲームだ?)の元に更新してしまいました。水戸先生の海賊物第2弾です。第1段に当たる「略奪シリーズ」とまた雰囲気が違ってシリアス系なBLです。ファンタジー物とはいえ1王国の歴史、そして海賊との関わりがよく見えてファンタジーの割に世界観がしっかりしているなあ、と感心してしまいました。女王自ら海賊の略奪を許可するのはどうかとも思いましたが、そもそもそれを防ぐために海軍が存在する(物資の無い国の目の前を商品乗せた船で通ってそれで襲わないで下さいって言う方が無理があるよね…。)ということに改めて気づいた本でもありました。水戸先生の本には珍しく笑いの要素は少なかったですが(それでもツッコミを入れて笑っていましたが…ゲフッ!)面白く読んでました。読んでてなるほどと思ってしまった本です。

 エルファーシュ・アルメリア王子…「トルキオール2世にもマリアルイーズ女王にも似ていない」ことからしてどうやら彼は父親(ザカライアス)似のようです。(なのに顔を合わせた時、何故誰も気づかないんだろう?と不思議に思ってしまいました…ゲフッ!)王朝の歴史から抹殺されつつある不遇の王子…ですが継がせる気が無いならトルキオール2世も再婚して新しい皇位継承者くらい作っておけば良かったのにね(どんどん衰退していく国の王に王女はやれん!と次々に断られていたりして…ゴフッ!)とここでも王の詰めの甘さにツッコミを入れたりしてしまいました。生まれてからの前半生は塔に監禁され、唯一の友人シーヴァーにも置いて行かれ不遇のうちに過ごしていましたが、その後もシーヴァー(男)の愛人にされたりとやっぱり不遇(アブノーマル)な運命しか歩めずにいる様には、どんなに溺愛されてるにしても同情を禁じえませんでした。(本人は天然ないい子なのに、母・マリアルイーズの不義、シーヴァーの熱愛と周りの人間の勝手のせいでどんどん茨の道に…ガフッ!)やっと巡り合えた父親(ザカライアス)も目の前で死んでるしどこまで不幸なんでしょうね、この王子は?…ゲッフン!

 黒狼シーヴァー・マギア・レウカデウス…思いっきり銀髪なのに何故「黒狼」なんでしょうね?普段は必要最低限しか喋らない。なのにエロいことしてる時だけは饒舌、そんなポーカーフェイスはどうなのか?と後書きで作者さんにまでツッコミを入れられていた無口な執着野郎です。(作者自らそこにツッコミを入れてしまっていいんでしょうか?…ゲフッ!)最後には「王の海賊」(寵愛を受け不死と不敗を約束された者)としてアルメリアにクーデターを起こすに至りましたがレウカデウス国内から来た部下達の不満(アルメリア王族への憎しみ)を抑える為にもアルメリアの領土を乗っ取る形でレウカデウスを復興させた方が良かったのではないかとも思ってしまったり…王族最後の生き残りであるのにホモに目覚めたら後継ぎはどうするんだとかあれこれツッコミを入れてしまいました。エルファーシュが女だったら政略結婚という形で合理的に解決もできたのにな等々色々考えてしまいました。

 海龍ザカライアス…お伽話風に語られたマリアルイーズ女王とのロマンスにホロリときてしまいました。どうやらエルファーシュが自分の息子だということはつい最近まで知らなかったらしく(生まれてすぐ北の塔に幽閉され肖像画さえ描かれなかったので。肝心の母親の方は産後しばらくして「産褥熱で病死した」という形で殺されてるし。)物語は大きく変わってしまいました。(知ってたらトルキオール2世をさっさとぶち殺して息子の為の海賊として尽くしてくれてそう、この人なら。)野郎どもに囲まれて過ごしていただけあるのかシーヴァー×エルの禁断の仲に関しては認めているようで(私はてっきり「父として息子が女役になってるのなんて許せるか!」と助けに来たのかと…ゲフッ!)察していながら何も言わない事にビックリしてしまいました。個人的にはシーヴァーと協力してエルファーシュ王子の為に2大海賊として馳せ参じて欲しかったのですが…潔い死に様に儚さを感じてしまいました。生きていてほしかったん…ですけどね。

 トルキオール2世(ハヴァド・トルキオール)…エルファーシュ皇子の義父にして現在のアルメリアの国王。浪費癖も無いくせに自分から墓穴を掘って国をどんどん衰退させている様はまさしく暗愚の王というか「真面目」なんだけど実力も面白みも無いつまらない男の典型的なパターンだということが分かります。(日本人の男にこういう男はよくいます。この人も一昔前の年功序列制のサラリーマンやってたなら問題なかったんでしょうが…。)国の為に海賊の手を借りるのは許せない、そんな綺麗事を掲げていながら金を当てにして隣国レウカデウスを滅ぼすのはどうなのか(むしろ海賊達の略奪行為の方がまだ罪が軽い気がする。)綺麗事も政治的能力も中途半端でやっぱり王としてふさわしい器の男ではなかったな、と読み進むたびに思ってしまいました。エルファーシュ皇子も革命を起こしたことですしとっとと退位して下さい。これは全部貴方のツケです。

 紋章官クロード・マックウィーン…1年前に王子を大海賊シーヴァーの元に送り届けたのは自分なのだ、とそれを誉れに感じていますがあなたがやったことは本当にただそれだけで誰にでも出来る仕事(漕ぎ手)でしたよ(むしろ歴史ある王朝の正統後継者を海賊の男妾にしてしまったという最悪な仕事でもあったのですが…ゲフッ!)とツッコミを入れてしまったのは私だけではありますまい。物語開始2ページ目で「この美貌じゃ王子が貴族たちの慰み者になったという噂も嘘ではないかもしれない。」と外見だけで勝手に人を判断していたり(お前、失礼だろ!)王子に助けられて陸に戻して貰ったり(オイオイ、立場逆でしょ。本来、部下である貴方が王子を守るべき立場でしょうが。)シーヴァーの部下に言われている通り全く役に立ってない男だなあとうなづいてしまいました。ダメじゃないですか、この男…ゴフッ!

僕らの王国

2011.04.05
 今まで散々黒幕に回って悪さを仕掛けてきた御大も登場して、新キャラも出てきて、物語はこれからか!?と思うような展開ですが、後書きでも「まだまだ、この話を描いていきたいと思っている」と書かれていたけれど、内容そのまんまで新装版が出たり、作者は他の話を描いていたり、取りあえず、この話はここで一旦お終いという事になった様子です。(まあサブキャラに到るまで全員がくっついたし、運動会も無事(?)終わったし、区切りは良い所だけどさ…。)他にも番外編であぶれたキャラが新しい相手とデキあがっていたし、登場人物全員を幸せにする気はあった(そしてそこは完遂させた。)んだろうなと納得はした話でした。

 野中暁…祖母「長女の妃菜は嫁いで行ったきりだし、長男の上総は5年前に亡くなったし、もう孫のあなた達しかこの家を継げる人間がいないので、急遽、呼び出したのです。」
暁「じゃあ、そんなに跡継ぎが欲しけりゃ今から自分で産めばいいじゃん。鷹統なんて名前、興味無いよ。俺にはちゃんと野中って苗字がついてるんだから、帰らせて貰うよ。」
怜「どこに帰るの?誰もいないのに、待っててくれる人もいないのに、一人で帰るの?」

何故、こんなどこにでもいる「普通の男の子」(ハッキリ言って、何でもできちゃう天才美形少年の怜や、彼と双肩を並べている秀才貴族のラウルに比べれば「地味な存在」である。)に、祐治叔父さんにラウルにしょっちゅう攫われている「お姫様」状態の彼(仮にも一応いい所の家のお坊ちゃん(大富豪の孫息子の一人)なのに、もはやマリオのピーチ姫並に誘拐されまくっている。それで良いのか、男として。)に、怜といい、ラウルといいそんなにも入れ上げるほどの人間か?という疑問はあるのですが、思えば天才・秀才の彼らに対して劣等感もやっかみも無く「同じ人間」として接したのは暁くらいのものだったのだろうな(怜にしても、ラウルにしても「一般人」にキャーキャー言われて持て囃される事は有っても、嫌がられて殴られたのは初めての事だったのだろう。)と彼らにモテモテ…もとい「新鮮な存在」になった様に一応納得がいったものでした。恋人になった怜は男同士である以上に異常なヤキモチ焼きですし、両想いであっても苦労はしてるんだろうな(それで幸せであっても人と付き合うって大変なんだよね…。)と頷けはした主人公です。

 カイル・怜・べーシル…「昔バイオリンを習わされた時に周りから上手い、天才って褒めちぎられたんだよな。でもある時、正直な先生に『つまらない』って言われたんだ。『正確で綺麗な音色だけど感情がこもってないから、聴いてても楽しくない』って。当たり前だよな。楽しいと思うより、全てに良い結果を出す事が義務だとしか考えてなかったんだから。」

後妻として嫁いだ肩身の狭い母親の為にも、前妻が産んだ娘達のやっかみに対抗する為にも、「優秀な息子」として結果を出すことが全てだったのでしょうが、優秀さが過ぎて12歳で既にSAT(アメリカの大学進学適性試験)でどこの名門大学にも入学できる高得点を取得し、帝王学を学び株の投資家としても利益を上げて、父親のべーシル氏から一銭も受け取ってないレベルに達してしまった今逆にべーシル家を継ぐことに興味が無くなってしまった(もはやべーシル家に関係なく自立して稼いでいる。)んでしょうね。(そんな事しなくても充分に自活できるし、母親の為に頑張ってきたのだろうけれど15歳にもなったらそろそろ母親ではなく恋人を選びたくなるお年頃だし、マザコンでない限りはあの閉鎖的な家から離れる事を考えるだろう。)母方の親戚である鷹統家の跡取り問題は思えば渡りに舟の話だったと思われます。気になっていた従兄弟の暁は父親(上総)にこそ似ていなかったものの恋人としては理想的なタイプだったし、きっと今は人生バラ色なんだろうな、とラブラブにも程が有るリア充な様に頷けたものでした…。

 ラウル・ド・パヴィエール・べーシル…怜「会うたびに突っかかってくる鬱陶しい奴だとは思っていたから今まではずっと無視していた。暁の事が無ければ、あんな奴どうでもいい存在だ。」
暁「どうでもいい存在って…それって『嫌い』だと思われる以前の、存在すら認めて貰えてないって事で…。」

「好き」の反対は「無関心」か…(思えば、その内容が「怒り」であっても、やっとライバル(怜)が自分に対して反応するようになった事が嬉しかったんだろうな、ラウルは。今まで怜がやっている事は何でも真似していたストーカー状態だったからこそ尚更に。)と関わりが増えた反面、全然仲良くなってはいない義理叔父と義理甥の関係に溜め息が出ながらも得心がいったものでした。そして、ようやく怜以外の人間にも関心を持った(というより暁に恋してしまった)今、また相手には「どうでもいい存在」扱いされた(「最初の頃より優しくなった。」と暁は評価しているけれど「お前、やっぱり『いい奴』だよな。」って体の良い断りの文句だよね…昔から。)事で傷はさらに深く抉れた事だろうなとスペックは高いのに、努力家でもあるのに、当て馬役扱いで終わった最後には涙したものでした。番外編で新しい恋人と幸せになった事だけが救いですけどね…。

 リュセル・シグレ・黒崎…奥宮「君のそんな焦れったい所が、つい、いじめて泣かせてしまいたくなるんだよ。まるで好きな子をいじめる子供みたいにね。」

だからっていじめているだけでは関係は一歩も前には進まない。そもそも女の子(じゃなくて男性だけど)はいじめるのではなく愛するものだし、相手が男の気持ちに全く気づけない鈍~い人間なら尚更、進展しないだろう、と5巻もの長きに渡って進展しなかった2人の仲に納得してしまったものでした。(そもそもシグレくん自体が任務第一に考える仕事人間で、元々「恋にうつつを抜かすタイプ」ではなかったしな…。)挙句に思い通りに行動してくれなかった事で「君には失望したよ。」なんて拗ねて悪口を言う方向に走っては「顔面通りに受け止めてしまう真面目人間」であるシグレくんは余計に引くばかりだろう(それを「おやおや、今の態度はヤキモチなのかな~?ん?ん?どうなのかな~?」と喜んで受け止めることができるのは、自分が可愛いと自惚れている、男を手玉に取ることが趣味のビッチだけだ。)とギリギリまで迷走していた2人の関係に頷けたものです。最後は結ばれていましたがラウル様が真っ最中に帰ってこなくて本当に良かったな(買い物に時間がかかっていなかったら自室で何を見る羽目になっていた事やら。)と実感もしてしまった結ばれ方でした…。

 ヴィルヘルム・サギリ・黒崎…サギリ「何故、私なんです?」
祐治「私も君と同じように孤独だからかな。ただ違うのは、私はとても寂しがりやなんだ…。」
シグレ「…兄さんが?以前モロ好みの甥っ子(暁)をうっかり攫って、学生時代にはリネン室で数多の男を毒牙にかけ、あまつさえ俺にまで手を出そうとした、あの祐治様の所に…!?」

思えば祐治様は好みのタイプのシグレの兄貴で美人と評判のサギリ君には始めから興味が有った(そして実際に会ってみてモロ好みだと目をつけた。)のでしょうが、それとは別にこの男は「ウサギ男」の典型ではないのか?(ウサギは人に構って貰わないと寂しくて死んでしまう、か弱い生き物だが、それとは別に年中発情期で誰彼構わずのケダモノの本性丸出しの生き物であり、既にウサギのマークはプレイボーイの代名詞としても捉えられてしまっている。)と一日で相手に手を出している節操の無さにツッコミを入れてしまったものでした。(そういう事は、もっとお互いをよく知ってからでも遅くないのでは…?)サギリ君も恋を知って「感情の無い人形のような人間」からは成長できたのでしょうが、その恋の相手があのプレイボーイの祐治様ではこれからが大変だろうなあ(元秘書の椎名さんの旦那の事まで狙っていた、相手が結婚してようが子供がいようが関係無しの最低男らしいしな。)と彼の今後と弟の心配に心から頷けてしまった恋の顛末でした…。

 穂積日和…珠貴「お前の純粋な恋心を踏みにじっている気は無いし、応える気は満々だったんだけどな~。」
日和「そう…9年間も愛し続けた『タマキちゃん』は魔女だった。いや、悪魔(男)だった…!」

初対面の時から女装をしており(「本当は花嫁のベールを持つ役は碧子姉さんがやる予定だったんだけど、前日に熱を出しちゃって急遽、俺がやることになったんだよな。」「だからって何で男の子に女装を!?」by日和)送られてきた入学式の写真でも女子の制服を着ていた(姉がいたからこそ制服のお下がり位あったのだろうが…記念写真まで偽装して家族ぐるみで騙すか?)のなら、「誤解」しても仕方ないよな、とドイツで青春を満喫する事もできずに「初恋のタマキちゃん」に恋し続けていた日和に同情してしまったものでした。また姉という「同じ系統の顔の女」が3人もいながら性格の方は弟以上に死亡しており、新しく恋をする事もできなかった(「この中にいると珠貴が一番マトモに見えてくる…。」by日和)というのは、まさしく悲劇でしょうね。気がついたらお互いこそが理想の相手だった…というよりお互い以上にマシな相手がこの世にはいなかった、それが2人の結論だったような気がします…。(まあ、お互いが幸せならそれでいいんですけどね…。)

塔の上のラプンツェル

2011.04.04
 「これからのアニメはCGですよ!」と勧めたが最後「うるせえな!ウチはずっとこのやり方でやってきたんだよ!」と頭の固いディズニー上層部からクビを言い渡される→ピクサーという会社でCGアニメ「トイストーリー」シリーズ大ヒット(この作品は後にディズニーのレーベルにも名を連ねる事になる。)→ディズニーがアニメ部門閉鎖の危機に陥るほど低迷(「何を作っても不評で、もう大衆にとって何が面白く感じるのか分からなくなりました。」byディズニーアニメスタッフ)…の流れを経て、かつてクビにされたジョン・ラセター監督が返り咲く形でディズニーで初のCGプリンセス映画登場となった記念すべき作品です。おかげでアニメ部門は何とか取り潰しを免れ、かの大ヒット映画「アナと雪の女王」につながっていくのでした…。

 ラプンツェル…「世界がまるで昨日と違う。ようやく巡り会えた、大事な人。」

ある日、髪を引き上げてみたら母親を偽装した男に襲われた…ではなく運命の王子様が上がってきた(塔に入ってきた男こそ彼女の運命の人だった。)という展開は原作と同じですが女性の部屋に無断で上がり込む男ってどうよ?というツッコミからか、フリンが部屋に入って早々にフライパンで殴られる展開には、何と言うか昔読んだライトノベル「伝説の勇者の伝説」の一節を思い出してしまったものでした。(うっかり女性の部屋に入ってしまった主人公が「い、いやぁぁ、痴漢!犯されるうぅ!」「女、武器を取れ!その変態を撲滅しろ!」「殺してやるっ!!」「ちょ、ちょっと待てええぇ!」という騒ぎになった話。女性の部屋に無断で侵入するというのは、そのように罪深い行為なのだ。)自分の誕生日に必ず大量の明かりが夜空を飛ぶという符号から、アレは絶対に自分への「サイン」だ!と妄想を膨らませ…もとい思いを募らせ、0歳児の頃の記憶まで蘇らせた(普通は思い出せないぞ、絶対!私だって「自分で記憶している」のは年長のクリスマス会くらいからで最低でも4、5才のはずだ!)のは、まさしくアニメ(フィクション)ならではの奇跡でしょうね。生まれた時は「金髪」だったのに、実の両親に再会した時は何故か「茶髪」になっていたという容姿の変化にも関わらず実子だと認めて貰えたのにも多少の疑問が残った主人公でした…。(まあ、かの「赤毛のアン」も大人になるにつれて髪質が変わったって言うから…。)

 フリン・ライダー(ユージーン・フィッツハーバート)…「僕にも夢がある、控えめだけど。暖かい地で暮らしたい。僕だけの島、日に焼けて一人きり。有り余る金に囲まれて。」

俗物の典型だな、この男…(新しい解釈だと言えば聞こえは良いけれど、こんなのが「王子様」役でいいのか…?)と今までの「愛と恋に生きる、お綺麗な王子様」(こんな男が現実にいたら正直怖いと思う。)とは真逆の「金と欲が全ての男」(カモにされる危険性があるので実際に関わり合いにはなりたくないが、いかにも現実にいそうな調子の良い男。)の姿に思わず「…。」となってしまった本作品の相手役です。最後は金よりも女の方が大事…もとい、ラプンツェルが何よりも(それこそ自分の命よりも)大切な存在だと気がついて彼も変わった様子ですが、結局、婿養子として冒頭で望んでいた、城(の所有者として)の眺めも、高価なティアラ(夫婦である以上は共有財産ではある。)も、全てを手に入れている様には、本当に要領の良い男だなあ~と逆に感心すらしてしまった、そんな男でした…。

 魔女ゴーテル…ゴーテル「信じなさい、お母様は貴女の味方。信じて、全ては貴女の為よ。」
ラプンツェル「お母様の言う通りだった。何もかも、全て。」

彼の目的は高価なティアラだけで「彼女自身」には興味も関心も無かった(まあ、そんな酷い話であっても目的が「ティアラ」であって「彼女の肉体」でなかった分だけ、マシな話ではあるのだが。)という、その筋書き、途中までは上手く行っていたんですけどね…と塔の中に戻ってきたタイミングで全てがバレた様には、あり得ない展開(くどいようですが、普通は赤子の頃に見た情景なんて思い出せません!)と合わせてツッコミを入れてしまったものです。この人もこの人でラプンツェルが手元から去るのがそんなに心配なら、誘拐した女の子と一緒に18年間も同じ塔の中(しかも同じ国内)でず~っと暮らす(そんな逃げ方じゃ犯人はすぐに捕まっちゃいます。)なんてことをせずに、各地を転々としながら国から離れるとか、誕生日を別の日に偽装するとか、色々とやりようが有ったでしょうに色々と詰めの甘いお婆ちゃんだったなと最後に転落して落ちたマヌケな最期と一緒に微妙に思えてしまったお義母様でした…。

 馬マキシマス…フリン「こんな変テコな戦いは、さすがの俺も生まれて初めてだぜ!」

乗っていた人がやられても剣を口にくわえて主人以上に戦う事が出来て、悪人の行方も優れた嗅覚で主人以上に追い詰める事が出来ているし(犬か!)もう乗っている人いらなくないか?(色々な意味で残念な話だが、もはや10人の兵士より、彼一頭の方が確実に有能だと断言が出来てしまうレベルである。)と誰かが進言したのか、ラストでは「一兵士のペット」から「近衛兵団のリーダー」として大出世を果たしており、馬に文句も言わずに倣っている人間の兵士達に思わず哀愁を感じてしまったものでした。(仕事ぶりが馬にも劣るって、それで良いのか、男として…!)種族を超えて実力が評価されているって素晴らしい事ではあるんですけど…ね。(普通の仕事は人種を超える事が有っても、動物を本気で雇ったり、種族は越えないものなんですけどね…。)

ラプンツェル

2011.04.03
 原発の事故よりさかんに代替エネルギーを(他の発電方法。地熱とか風力とか原子力と違いリスクの少ないエコな発電の方向で。)と言われてますがその為の発電所を今から作ると何カ月かかるのか、またその費用は誰が払うのかツッコミ所は満載だなあと思ってしまう今日この頃です。
 中でも地熱発電については太い鉄柱を地中深くまで掘って煮えたぎる熱湯(温泉じゃダメなんです。)に当てなければならず(もちろん外れることがあります。その時は費用は全部無駄に終わります。)1回行うのにかかる費用は1億円、それで電気を作ると1キロワット/40円(原子力の8倍の値段。)というロー・リターンな割高話に日本の皆さんは8倍の電気料金を払えるほど金持ちばかりだったっけ?と(そりゃ提唱している学者先生達は払えるかもしれないが。)とそこでもまたツッコミを入れてしまいました。
 節電の為、電気はこまめに消して下さいとも言っていますが蛍光灯の場合、つけた時に6日分の電気量がかかる(つまりつけたり消したりするよりもつけっぱなしにした方が却って電気を使わない。こまめに消した方がいいのは家庭のトイレ等に使われている白熱灯のみ。)ことも分かって言っているんでしょうか?(いや説明していない辺り調べてもいないな。)今の情報を調べもせずに昔聞いた話の利点だけで発言している辺り無責任だなあ~と感じてしまいました。この本の話の一つ「青い目の人形」にした日本人の仕打ちといい、思い付きだけで行動するのは昔から変わってないんだな(ポリマーでひびの入った部分を埋めることにしたって、埋まってしまった場合その水は地表に出て地上は余計に高濃度→放水作業さえ不可能→水蒸気爆発になります。「結果」を考えずに行動してドツボにはまる様は昔とそのままなんです…ね。)と民族的特性を見た気分でした。(と、無理に関連付けて更新してみました…ゲフッ!)

 エカテリーナ2世の短編を描いてくれたまつざきあけみ先生の本です。(エリザヴェータ様の「ヴェ」が言えてないあの話です。)今回は日本の童謡関連の話(「青い目の人形」と「かごめかごめ」)が多くわらべ唄好きな私としても読んでて楽しかった話でした。(というより情報量の少ない「歌」からあれだけの話を作り上げたのが凄いと思いました。)特に「かごめかごめ」は遊女の歌としてしか知らなかったのでもう一つの解釈としてもなるほどと思ってしまった話です。(他にも徳川の埋蔵金の場所を指しているという解釈もあるそうですが、さすがにこれは眉唾ものではないかと…ゲフッ!)歴史物ではないですが1粒で2度美味しい気分を味わいながら読んでました。

 ラプンツェル…トマトや果物ならいざ知らずラプンツェル(葉っぱ系)を畑で生のまま食べている母ちゃんにビックリしてしまいました。悪魔と契った娘として(マリエッタ姫が仕組んだせいで)城じゅうの人間から白い目で見られるもいつも王子様に守ってもらえているラプンツェルよりも、高い塔の上から突き落とされ(悪魔じゃなかったら死んでます。)片目を亡くし挙句の果てにラプンツェルを庇って死んでしまう羽目になっている(そんな時ラプンツェルは王子様と駆け落ち中というラブラブな状況でした…ゲフッ!)悪魔マーリンの方がよっぽど哀れに思えるのは私だけでしょうか?話の最後のように素直に「バンザーイ!」とはどうしても喜べなかった私でもありました。余談ですが前をちゃんと見ずに木に激突して死んだマリエッタ姫の死に様がマヌケすぎると笑ってもしまったり…ゲッフン!

 白い花嫁と黒い花嫁…原作では王様に仕えている兄レギーネルの妹(ルシア)の絵が大層美人だという話を聞き「後妻としてその絵の娘を迎えたい。」と命じたものの継母の陰謀で継子(シンシア)の方が嫁いできてしまい怒った王様が継母、継子の両方を罰した、というものでした。全然違う話なので騙されないで下さいね、ということです。
 さて話についてどうやら悪魔メンフィスと「契約」をする為にはヤルことが必要らしいですが、そこをふまえて今まで契約した5人の中には男はいなかったのかなあとちょっと気になってしまった私です…ゲフッ!最後シンシアはメンフィスの花嫁として旅立っていましたが旅に出る必要性はあるんでしょうか?(…ハネムーン?)もしかして未だにメンフィス王子は国(刺客)に追われているんでしょうか?等々ちょっとその後が心配になってしまった物語でもありました…ゴフッ!

 にんじん…ジュール・ルナールの原作では赤毛(にんじん)が原因で母親にうとまれた男の子がその家庭環境からひねくれた嘘つき少年になってしまっていたのを改心した母親の愛情に触れ立派な青年になったという話でしたが…読めば分かるとおりもう全然違う話になってしまっています。赤毛の娘の事を心配するんなら自分だけでなくコレットにもカツラ位用意してあげれば良かったのに(少なくとも自分の秘密(赤毛)のこと位は話して本当は嫌っていないという「理由」くらい明かすべき。)と思ってしまったのは私だけでしょうか?姉のエルネスチーヌの方も自分の美貌を鼻にかけて人の心を弄ぶ嫌な女に成長してますし母・マドレーヌさんは完全に子育てを間違えたなと感じてしまいました。

 かごめかごめ…話でも紹介されているように「流産させられた女」を歌っているとも「遊郭に売られた娘」を歌っているとも言われています。「かごめかごめ(籠女→籠を抱いたような女→妊婦)籠の中の鳥はいついつ出やる(籠=腹の中の子供はいつ生まれてくる?)夜明けの晩に(まだ日の出ていない真夜中に)鶴と亀が滑った(縁起のいいもの×2が滑る=流産を表す。)後ろの正面だあれ?(自分を突き飛ばして流産させたのは誰?と振り返って確認している。)」だとも「籠の中の鳥(籠の鳥→遊郭に囲われている遊女)はいついつ出やる(いつになったら年季が明ける?)夜明けの晩に(夜明けの時間の見張り番に)鶴と亀が滑った(鶴→遊女と亀→客が脱走しようとしているのが見つかった。)後ろの正面だあれ?(後ろの正面→自分で確認できない場所→この世とあの世の境目→二人の運命やいかに?)」だとも解釈されているそうです。話としては本当に何もしていないのに犯人扱いされたお姑さんがちょっと哀れでした。また、もう既に妊娠してるのに何ヤッてるの貴方達!(寝話でないと会話ができないんですか?)と息子夫婦にもツッコミを入れてしまったり…ゲフッ!

 メデューサ…ゴルゴン3姉妹の一人で唯一不死でないメデューサは女神アテナの神殿でポセイドンといけない事をしてしまった為にあのような頭が毒蛇の不細工女に変えられてしまったそうです…が、そんな神話はもう完全にどこかに行ってしまっています、この話。蜂に2度目に刺された時抗体が出来ていたせいで死ぬ(アナフィラキシーショック)という話は確かにありますが、それは体が抗原に対して過剰免疫反応を起こし全身に化学伝達物質を送って毛細血管を拡張させたが為にショック反応が起きているのであって(つまり2度目以降の真の原因は蜂ではなく体内にある。)全身に蕁麻疹が出るという症状(他、胸部不快感、血圧低下、声紋浮腫、呼吸困難など。)はあるもののそれが16年も続いたり、ましてやショックでむくみその他が取れるなんて話は聞いたことがありません。(体型まで変わって…何ですか、あの変化は?)ともあれ馬鹿にされてショックを受けたのは分かりますが素っ裸のまんまで村の中→森を走ることはないと思うのですが…ゲフッ!

 青い眼の人形…たとえ髪と眼の色が違っても顔と声は同じなのだから普通は一目で正体に気づくものではないでしょうか?と旦那さんにツッコミを入れてしまいました。昭和2年にああいう青い目の人形1万3千体がアメリカから日本全国の幼稚園や小学校に贈られましたが、第2次世界大戦中に「鬼畜米英の人形」としてほとんどが火あぶりにされたり竹やりで突き壊されたりしたそうです。(「戦火」を逃れた人形は200体程。そんな呪いのような真似をしたって戦争に勝利できるわけじゃないのにね。)その人形を持ちながらご近所の人達から何も言われない子供時代を過ごしていたことからして大正時代の話なのでしょうか?(この頃、日本では鹿鳴館などアメリカ文化の模倣ブームが起きていてわりかし偏見はなかった。)血の繋がった姪に手を出す叔父は文字通り最低野郎ですが、それを見て見ぬふりをせずにバットで殴り(激しい方だ。)あの時代で離婚をした叔母さんが偉いと思ってしまいました。(実際には薄々気づいていても見て見ぬふりをする、または家族に全く関心が無くて気づきもしないダメ女が多いので。)結局性の対象以外の扱いを受けることなく殺されてしまった別人格のドリーは哀れでしたが(期待を持たせた真人はある意味叔父より残酷だったのかもしれない…ゲフッ!)あの二人はきっとこれから少しずつ信頼関係を取り戻していくことと信じています。

 ブレーメンの音楽隊…怖いのは分かりますがなにも素っ裸のまま逃げることはないと思うのですが…ゲフッ!(唯一助かったアイリスも裸のまんまで倒れて大変だったろうなあ。)最後のとうとう人間になれて主人と結婚できたという話の流れより…ティムは一足先にブレーメンへ行ってサックス奏者のマックスにとりついて体を乗っ取ったようです。(そうでなかったらたった1週間しか付き合ってないどこの馬の骨とも分からない娘と結婚なんてするはずないですよね。)ティム死亡に関する「本当の事」については自身の幸せの為にも墓まで持っていく秘密として永遠に口を閉ざしていて下さいと切に願ってしまいました。物は言いよう、同じ罪を犯していた4人でも相手のプライドをくすぐることでこのように運命は変わるということです。

紳士協定を結ぼう!

2011.04.02
 「これから」も全然普通じゃない日々が続きそうです…と書かれてはいるものの、お話自体はこれで終了らしく、後書きでも「とても励みになりました。」「ありがとうございました。」(過去形で「終わった話」として書かれている、ということは…。)とコメントされている辺り、皆が皆、力が残ったまんまという微妙な状況の中ですが続きを描かれる事は無いらしいです。(まあ主要登場人物全員がちゃんとカップル成立しているし、描き残しは無いんだろうけれど…。)どちらかというとサブキャラの方が好きだった私としては番外編と小説版が出ている事に狂喜したシリーズでもありました。

 斎和嘉&玖牙守弥…守弥「お前…俺が分からないのか?」
和嘉「そんなこと言われてもイギリスで生まれ育った俺は日本に3回しか来た事が無いし、一回目に到っては5年も前の話だ。」

想い続けていた期間はクリスよりも上だったとはいえ5年間も手紙も電話も無しで過ごしたら、忘れ去られるのも無理は無いよ(むしろ5年も音信不通でいたら、どんなできた女でも意固地になるのが普通で、覚えてくれていても終わっていると思うぞ。)とツッコミを入れてしまったものでした。(それは「5年間もずっと恋していた」のではなく「頭の中で妄想を膨らませていた」と言うんだよ。)特殊な事情を抱えているのも分かるけれども、それと友達を作ろうともしないのはまた別問題ですし(実際問題「俺、エイズになっちゃったんだ…。」「えっ。不治の病のあのエイズ?それはちょっと…」「や、いやいや、実は疑似陽性で間違いだったんだってよ!」「なーんだ。思わずドン引きしちゃったじゃん!」「…ヤバイ。俺はこの悩みを誰とも『共有』できない…!」みたいに「特殊な事情」のせいで友達を失くす人間は少なくない。誰だって面倒な事情とは関わり合いになりたくないというのが悲しい話だが大多数なのだ。)玖牙の問題は根暗である以上にそれを何とも思っておらず改善する気も無いという所だな、と自分の事しか考えていない様にあんまり好きになれなかった(むしろ何故あんな根暗男を選ぶのか、共感がし辛かった)主人公カップルでした。和嘉自体はいい子なんですけどね…。

 龍哭蓮&梛契己…「梛家は先代の記憶を受け継ぐ器です。今の『梛契己』は本当の主が目覚めるまでの仮の人格です。玖牙に憑いていたモノが消える時にその全てを持って行ったとしたら、このまま目覚めない可能性もあります。」
蓮「…という訳で、今の契己は俺以外の記憶は曖昧らしい。」

前世的に言うと、元は全部「梛家だけの話」で、蓮&和嘉→双子の姉、契己→姉貴と結婚するはずが他の男に「妻」を寝取られた双子の弟(で、それを恨んで横恋慕した間男を鬼の姿に変えたらしい。)、玖牙→双子の姉の方を寝取った間男…という血筋らしいです。姉が双子を残してくれた(おかげで女役は蓮と和嘉の2人に増えて、今世では醜い争い(ラブバトルショー)が繰り広げられる事も無く弟君側も間男側も双方が平和にカップル成立した。)おかげで話は幸せに締めくくられたというのは幸運と言えましょうね。記憶を失っても恋人である蓮の事はバッチリ覚えていたようですし(他の事は全部おぼろげな記憶を残して忘れ去ったのにこの男は…。)呼ばれて早々に目を覚ましたし何も問題は無い(本当か?)という結果で終わった様子です。

 クリストファー・ランドルフ…クリス「俺、和嘉のこと大好きなんだぜ。」
戒人「ご主人様は、もう少し私(彼氏)という者の存在をですね…。」

そりゃ、「そういう関係」にまでなった相手がいながら、Hまでしておいて、同棲までしておいて、毎日美味しいご飯を作って貰っておいて、他の人(和嘉)が好きと言うクリスの方が酷いよ、と思わずツッコミを入れてしまいました。いつも強引に流されるまま体の関係が続いていた(それは自分の本意ではない。)と言っても、その気になればイギリスに帰る事もできる(体を求められたら拒めない…にしても別居する事はいくらだって可能。)のに、日本(和嘉の側)にいる為にそれをしないのはクリスの意志であって、冷静に見れば「恋人のくせに勝手な事をしている」のはクリスの方Hまでしておいて「他人」だと言うのは、さすがに酷過ぎると思う。)だよなと頷けてしまったものです。個人的には2人の関係が谷岡ヤスジの漫画の一節(「すっかり世話女房顔して…このままじゃいつか『本命』が出来た時にとんでもない事になる!オイ!ハッキリ言うけどな!」「ハッキリ言うけどナニかしら?」「俺はお前を生涯、離したくないし誰にも渡したくないと思ってるんだ。」「やれ別れるの別れないのって私達、日常茶飯事だもんね。」といつも寝技で相手を繋ぎ止めているブタ女の話。)に見えて仕方ない私でした…。

 雲居戒人…戒人「早い話が、私はご主人様と永遠の仲(愛)を誓った下僕なんです。」
守弥「つまり卑俗的な意味で『性の奴隷』か。まあ、そういう事なんだな。お幸せにな!」
クリス「お前は口を出すな、玖牙!」

わざわざ和嘉(一番の恋敵)の前でベッタリとくっついて隠そうともせずにそんな事を言う辺り正妻宣言か?と疑ってしまったものでした。(いや、間違いなく牽制の一言だろうけれど。)同じストーカーである玖牙(「一人で来たはずなのに、何でついて来てるんだよ!?」by和嘉&クリス)には即座に同類…もといクリス側にいる「自分」だと判断がついた様子で2人揃って消えてくれましたが、相も変わらず和嘉に対して好意を示すご主人様(「全く…本当に懲りない人ですね!」by戒人)に心中は複雑だった事でしょうね。最後には「お前こそ正妻だ。」と言うようにクリスからロザリオを与えられていましたが(「昔、親に買って貰ったアンティークで大したものじゃない」とクリスは言うけれど、彼が両親ではなく叔父夫婦に育てられた事、風呂以外で毎日いつも身に着けていた物である事を考えても大切な思い出の品ではあったのだろう。)戒人といても幸せかどうか分からないという問題発言をなされた直後ですし、これからも彼の不安は尽きないんだろうなと同情しながら応援してしまったサブキャラクターでした…。

妖変源氏物語①②

2011.04.01
 原発がああいうことになってしきりに代替エネルギー(原子力発電以外の発電法)が唱えられるようになりました。学者の皆様は「原発が無くなっても風力、地熱、太陽光発電があるから大丈夫だ。」と言っていますが、事はそんなに簡単にいかないということを御存じなのでしょうか?
 まず電気料金について1キロワットの電気を作るのに原始力は5円(原料を使い回せるから安く済む。)火力・水力・風力が20円、地熱・太陽光が40円かかります。つまり原子力→エコなエネルギーに変更すると単純計算して電気料金が8倍に跳ね上がります。エコ系発電が16%を占めるドイツでは企業が次々海外に逃げているそうです。(料金高いから。)
 それでも必要な電気量が来るならまだマシです。現在作っている電気は火力と原子力が2本柱として伸びており(水力発電所はもう作れる所に全部作ってしまったので70年代位から平行線になった。)風力や地熱発電についてはグラフにするとツバメも真っ青のギリギリの低空飛行状態(ゼロに近い所に平行線がツーッと…。)で休耕田という休耕田に発電所を作っても8%にしかならないそうです。…それで2本柱のうちの1本を担えると思えますか?この話の時代レベルまで電気を使わない生活に切り替えられたら全然問題ない(ということで無理に関連付けて更新してみたり…ゲフッ!)でしょうが…できますか?皆さん?(私は無理です。)
 放射線物質は確かに危険。でも今回の問題は原子力発電ではなく東電の対応にあった(そもそも発電所自体は地震直後もきれいに残っており吹っ飛んで骨組みだけ残して瓦礫の山になった原因は水素爆発のせいです。)ように感じるので東電以外のしっかり対応できる組織(または国)に任せながら原子力発電を続けていくしか今の日本の生活を維持することはできない…と思います。
 
さて話について「源氏物語」の中で最も甲斐甲斐しく夫に従っていた紫の上ですが本当にそうだったのでしょうか?彼女もまた同じ女として、女らしい怖さやいやらしさも持ち合わせていたのではないでしょうか?…という所からこのような嫉妬深い(でもこれは源氏の君に原因があると思うの…。)紫の上が出来上がったんだそうです。と、いうわけでこれは紫式部の源氏物語の漫画化作品では決してないそうです。(作者談。)十二単(12枚)を着ているはずなのによくもあんなに簡単にすっぽんぽんになれるもんだと思ってしまうほど女体とか裸とか出てきてしまう話(でも大ゴマがふんだんに使われていて漫画的に読みやすくはあったです。)ですが同じ「源氏物語」関連の話ということで作者は寺館和子先生ですが敢えて大和和紀先生カテゴリに入れておきました。(大和先生の作品も他を読む予定は無いしな…。)

 若紫の巻…紫の上が「藤壺って誰よそれ!」と嫉妬に燃えているシーンでは今まで(心中複雑だったとしても)どこまでも源氏の君に「都合のいい女」として解釈されていたのと違って新鮮さを感じてしまいました。二人の年の差といい、なんだか「天上の虹」の持統天皇の苦しみとダブって見えてやな感じです…ゲフッ!(讃良ちゃん→紫の上、大海人→源氏の君という構図が見えます…ゴフッ!)作者さんとしてはここまででこの話はおしまいのつもりだった(そりゃないですよ、寺館先生!)そうですが無事に続いてくれてほっとしました。そんな訳で紫の上の苦しみはまだまだ続きます…ゴフッ!

 藤壺の巻…「若紫」の前の藤壺との初恋がメインになっていますが、タイトルも「藤壺」となっていますが、正直、義理とはいえ息子と合意でヤッている女(1度きりなら…ではなくてその1度も拒み通しなさいよ…。)なんかより上手くいかない恋愛のはけ口にされてしまった葵の上の方に余程同情してしまいました。(見て見ぬふりをしないで下さい、おばあちゃん。)むしろあの二人がこの後、心を通わせられたことが不思議でなりません。(おかげで葵は他の愛人に祟り殺される羽目にはなるし、いい迷惑である。)それでも飽き足りずに若紫を毒牙にかけよう計画には反吐が出そうになってしまいました。娘程の年頃の妻(藤壺)を娶った父親(桐壺帝)といい源氏の君の女癖の悪さは遺伝のようです…ゲフッ!

 六条御息所の巻…1話目での紫の上の生霊が確認できる話です。「どきなさい!私が殺るわ!」と怒気も露わに突き飛ばしたシーンでは思わず「この女、男らしい…。」と感動もしてしまいました。(するな。)「私は7つも年上だわ。」と気にするのは分かりますが、そうやって卑下するのは相手に「そんなことないよ。」と否定してもらいたいから(実はあからさまに相手を試している行為。)であって気を使う方の男としては「この女いつまで人の気持ちを弄んでるんだ。」と嫌気がさすのも早いでしょうね。(毎晩会っている恋人なら尚更。確かに「疲れる」タイプといえるでしょう。)娘がいるにも関わらず恋してしまえばブレーキの効かない「女」になり下がってしまうのか、生霊にまで成り果ててしまった様にはお母さん、落ち着いて!と哀れを感じながらもツッコミもしっかり入れてしまいました…。

 朧月夜の巻…お互いに事の深刻さを考えていない2人の不倫の恋の話です。こんな女を許した挙句に寵愛している朱雀帝(兄貴)もどうかと思いました。(原典では「僕がもし女だったらやっぱり源氏の君を好きになると思うもの。」という問題発言までぶちかましている。マズイだろ、それは!)お互い本気でなかった(特に源氏の君の方は「障害の多い恋」という状況に藤壺を重ねているだけ。)のならしてはいけないことってあるんです。次の話の扉絵で「一体私の何が悪かったのか?」と自分に酔っている様にはいい加減にしろ!(原因が朧月夜だろうが藤壺だろうが全部貴方がまいた種でしょうが!)とツッコミも入れてしまいました。源氏がどうなっても本当に構いませんが、それに巻き込まれる紫の上が哀れに思える私でした…ゲフッ!

 明石の君の巻…須磨で愛人を作った話。(自分から田舎に引っ込んで謹慎している中、何やってるんですか?)どこでも愛人を作るのはこのろくでなしの特性として明石の君の目の前で「これでこの地とも終いだ。」と大喜びする節操の無さはどうかと思いました。(基本的に無神経ですよね、源氏の君って…。)寺館先生版紫の上からはまたも生霊が飛んでいます。それで弘徽殿女御の元に行っている場面では呪う相手を間違えてるだろ(源氏の君を祟って下さい。)とツッコミも入れてしまいました。挙句に子供が出来てしまったのは明石の君にとっても紫の上にとっても最悪のタイミングだったと言えるでしょうね。今まで以上に源氏の君が嫌いになってしまった話でもありました…ゲフッ!

 梅壺の巻…タイトルは梅壺(六条御息所の娘)となっているのに彼女が源氏の君の後ろ盾で冷泉帝に嫁ぐというメインストーリーはほとんど省略され明石の君の姫君が紫の上の元に行くまでの経緯ばかりが描かれています。夫と他の女との愛の結晶なんて存在するだけで大事なのにそれを(皇后にする為という自分の都合だけで貴女が育ててくれなんてどこまで勝手な男なんだ(だったら自分で育てろや!)と源氏の無神経ぶりにげんなりしてしまいました。(あのおおらかな花散里でさえいい顔してないじゃないですか…。)源氏に気に入られる為だけに引き取ることを決意している紫の上ですがメラメラ燃える執念の元にちい姫が苛められやしないか物凄く心配になりました。寺館先生版紫の上は一体どんな風に復讐をしていくつもりなんでしょうね…ゲフッ!

 余談…当時の女性の髪形は長~いロン毛だと決まっていたのは分かりますが(髪形で違いを出せないということ。…トーン使ったりするのは邪道だったのでしょうか?)それにしたって登場人物達の違いがまるで見分けられないのは私だけではないはずです…ゲフッ!最も話自体は面白いのでこの物語はセリフ(文章)で読んで流れを追って行った方が得策のようです。…ゲッフン!(3、4巻に入ると後ろで髪をくくっていたりようやく見分けがつきやすくなってくるんですけどね。)
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